688: 2018/01/30(火) 14:20:04.79 ID:4wGR+G6H0
実は忍な楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】バツイチ子連れな楓さん


689: 2018/01/30(火) 14:23:05.35 ID:4wGR+G6H0
ようやく、ようやく尻尾が掴めそうです

慣れないことを続けていたせいか、お酒の量も増えてしまいました

……あ、仕事に差し支えないほどですよ? ええ

お酒を飲んでも飲まれるなってよく言いますしね

あれは酔っぱらっているフリですよ、フリ

本当ですよ? 本当ならお酒なんて避けたいんですから
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
690: 2018/01/30(火) 14:27:00.49 ID:4wGR+G6H0
どうやって潜入しようと思っていたら、ある日スカウトされて、簡単に潜り込むことができました

それに、お仕事もとても楽しくて、没頭してしまいました

事務所のアイドルも良い人ばかりだし、ちひろさんも、プロデューサーも言わずもがな

ですが、表向きはそうかもしれませんが、裏の顔は果たしてどうなんでしょうか……?

たくさんの女性を抱える芸能プロダクションです、黒い噂もあったりします

私はそれを調べるために、ここへと潜入することとなりました

691: 2018/01/30(火) 14:35:52.37 ID:4wGR+G6H0
「楓さん、今日もお疲れ様でした」

笑顔で私を労ってくれる、事務員のちひろさん

人畜無害な笑顔ですが、プロデューサーに怪しげなドリンクを飲ませ

アイドルにも、似たようなものを飲ませているとか……

私も一本飲んだことがあるのですが、その効能は凄かったです

頭がぼーっとして、何て言うんでしょう……プロデューサーに対する気持ちが変わってしまったと言うか……

あ、これは別にどうでもいいですね

692: 2018/01/30(火) 14:40:17.75 ID:4wGR+G6H0
「ちひろさんもお疲れ様です」

お辞儀をしながら、相手の出方を見る

「……最近、お疲れじゃないですか?」

きた! この展開を待っていたんです

「そうですね……忙しくて、休む暇もありません」

ここはちひろささんの口車に乗せられることにしましょう

「あら、そんなときはこれがいいですよ」

懐から取り出したのは、明らかに既製品とは思えないドリンク

693: 2018/01/30(火) 14:43:24.80 ID:4wGR+G6H0
私が前に飲んだドリンクも、このようなキャップをしていました

「では、お言葉に甘えて……」

キャップを開けて、ドリンクを一気に呷る

……体の内側にじわりと染み込んでいくような感覚

そしてその後は、気持ちがしゃっきりとして、力が湧いていくような……

やっぱりこれは合法じゃないですよ

694: 2018/01/30(火) 14:47:34.05 ID:4wGR+G6H0
「いつもありがとうございます。そういえば、これってどこで作ってるんですか?」

コートの内側に潜ませた短刀に手をかける

返答次第では、ここで処理しなければならない

「ああ、これはですね、大手の製薬会社と漢方を取り扱う会社に共同開発してもらいました」

ふぅん、まぁ口だけならなんとでも言えますよね

「確かどこかに成分表があったと思うですが……」

自分のデスクを漁っているようにみえるが、もしかしたら飛び道具などを取り出すかもしれない

私はいつでも動き出せるように、体に力を入れる

695: 2018/01/30(火) 14:50:02.52 ID:4wGR+G6H0
「ありました、これです」

ちひさんがデスクの引き出しから手を抜いた瞬間に体を動かす

……しかし、手に握られた書類を見て、急静止させた

「見せてもらっても良いですか?」

「ええ、成分がわからないのを飲むのも不安でしょうし」

にこにことした表情でちひろさんが答えた

696: 2018/01/30(火) 15:04:57.43 ID:4wGR+G6H0
書類に目を走らせる

……ぱっと見では怪しそうな成分や植物は使っていなさそう

「楓さんの気持ちもわからなくはないですよ」

ちひろさんが悲しそうな顔をして、言葉を続ける

「プロデューサーさんが急に元気になったり、プロデューサーさんに対する気持ちが変わってしまったり……」

ちひろさんの言葉はもしかして本当なのかもしれない、そう思って、短刀から手を離す

「これは男女での効能が違ってしまうという、こちらの落ち度ではあります」

「ですが、アイドルの方たちもプロデューサーさんも、元気でいて欲しいという気持ちは変わりません」

ちひろさんは深々と頭を下げて、私にこう言った

「体に何かあったらすぐに言ってください、すぐ対応致しますので」

……ちひろさんはどうやらシロみたいですね

697: 2018/01/30(火) 15:08:27.00 ID:4wGR+G6H0
あれから事務所を去って、家路へと向かっている時

「楓さん、お疲れ様です。今夜どうです?」

くいっとお猪口を傾けるような仕草をするプロデューサー

「良いですね、お付き合いしますよ」

ちひろさんがシロなら、プロデューサーはどうなのか?

たくさんのアイドルをプロデュースしているのなら、過ちもあるのではないだろうか

そう考えて、プロデューサーの案に乗ることにした

……決してお酒が飲みたいだけではないです、ええ

698: 2018/01/30(火) 15:13:53.02 ID:4wGR+G6H0
「今日もおつかれさまでした。それでは乾杯」

ジョッキが合わさり、かちんと音を鳴らす

「……はぁ、お仕事の後の一杯は本当に美味しいですね」

これが労働に対する対価だとしたならば、最高だと思います

お酒は百薬の長と言われますが、それも頷けますね

「良い飲みっぷりですね! 楓さんと飲むと楽しいですよ」

子供みたいに瞳を輝かせて、プロデューサーが楽しそうに笑う

……まぁ、悪い気はしないですよ


699: 2018/01/30(火) 15:17:11.00 ID:4wGR+G6H0
「ふぅ……これも美味しい」

日本酒に切り替えて、色々な銘柄を楽しんだ

最近飲みやすい日本酒が良いみたいな風潮ですが、私はそれが不思議です

お水ではなくお酒なのですから、それ相応の飲み口があるほうが良いのではないでしょうか?

……話がそれてしまいましたね

「プロデューサー? 私ちょっと酔ってしまったみたいです」

一つ芝居をうってみることにしましょう

邪な気持ちを持っていたら、対応はおのずとわかるはずです

700: 2018/01/30(火) 15:19:46.91 ID:4wGR+G6H0
「ペースが速かったですもんね、それじゃあ――」

私はプロデューサーの言葉を待つ

「送っていきますね、タクシー呼んできます」

「……ええ、お願いします」

拍子抜け、というか、やけにあっさりとしていた

でも、まぁ良い……これはこのまま芝居を続けることにしましょう

701: 2018/01/30(火) 15:22:31.01 ID:4wGR+G6H0
タクシーが到着したことを告げられて、居酒屋を出ることにした

「きゃっ……すみません」

わざとらしく、つまずいたふりをしてプロデューサーに寄りかかる

「大丈夫ですか、手を貸しますから」

これは真摯な対応ですけど、何故かもやもやします

「タクシーまでもう少しですから」

……完全に毒気が抜かれしまいました、これはプロデューサーもシロですかね

702: 2018/01/30(火) 15:25:59.39 ID:4wGR+G6H0
タクシーに乗り込んだあとは、お互いに無言だった

はぁ……芝居と言ってはみたけれど、実は結構良い気分

体も熱いし、今日は簡単にシャワーを浴びて寝てしまいましょう

「ほら、着きましたよ」

「すみません、また手を貸してもらえますか?」

もちろん、とプロデューサーが笑って、手を握ってきた

手が温かい……きっと外が寒すぎるせい

703: 2018/01/30(火) 15:28:10.21 ID:4wGR+G6H0
「すみません、鍵はここなので開けてもらっても良いですか?」

うう……飲みすぎてしまいましたかね

お家についた安堵感もあって、頭がくらくらとしてきました

「……抵抗はありますが、仕方ないですね」

渋々と言った風に、鍵を開けて、部屋の中まで私を運んでくれた

どうでもいいですけれど、最後にもう一芝居うちますか

704: 2018/01/30(火) 15:32:08.03 ID:4wGR+G6H0
ベッドの近くまで歩いて、そこでプロデューサーも巻き込んで、ベッドへと倒れてみせる

「あったかいですね」

「か、楓さん!? 放してください」

プロデューサーの言葉を無視して、プロデューサーの胸の中に顔をうずめてみせる

あ……ドキドキしてるのがわかる

プロデューサーの心臓はとても早く鼓動していた

「今日は寒いですし、温めあいませんか?」

さぁ、貴方はどう動きますか? プロデューサー

705: 2018/01/30(火) 15:35:34.04 ID:4wGR+G6H0
「酔いすぎです、俺は帰りますからね」

……あ、ちょっと女としてのプライドを傷つけられました

「そうですか、残念ですね……」

そう言いながら、自分の服をはだけさせていく

……よし、こんな感じでいいですかね

「はい、ちーず♪」

素早くスマートフォンのカメラを起動させて、タップした

ぱしゃりと機械音がなると同時に、プロデューサーが面白い悲鳴をあげた

706: 2018/01/30(火) 15:40:05.90 ID:4wGR+G6H0
「なにしてんだアンタ!」

珍しく口調が乱れるプロデューサー

「ふふ♪ 他のアイドルやちひろさんが見たらどう思いますかねぇ」

貴方にお熱の子が見たら、さぞ面白いことになるでしょうね

「脅しかよ……」

はぁ、とプロデューサーがため息を吐いた

「まぁまぁ、ちょっと温かくなるまでですから……」

夜はこんなにも寒いんですから、少し温まりましょう?

忍としてはお仕事は失敗ですが、女としては成功かしら?




おしまい

707: 2018/01/30(火) 15:40:50.31 ID:4wGR+G6H0
読んでくれた方に感謝を
夜からまた再開しますね

引用: 【モバマス】楓さんで安価