975: 2018/02/06(火) 20:07:04.50 ID:9a03Oap20
Pと結婚して夫婦な楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】ネカフェ生活満喫中な楓さん


976: 2018/02/06(火) 20:13:41.14 ID:9a03Oap20
柔らかくてとてもいい匂いがする

俺の好きな匂いだ、とても落ち着く

「あまえんぼさんですね」

楓さんの声が聞こえ……あれ? なんで楓さんの声が聞こえんだ?

状況を確認しようと目を開けてみても、前が見えない

ただ、顔が柔らかいものに挟まれている感覚はある

「そんなに動くとくすぐったいです」

くすくすと笑う声が、少し上から聞こえた
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
977: 2018/02/06(火) 20:20:03.85 ID:9a03Oap20
「おはようございます、あなた」

「おはよう、楓さん」

あなた? 貴方の意味か、それとも良い人のあなたの意味か

「あん、くすぐったいですってば」

こっちはちょっと息苦しいよ? 

息苦しくて、暖かくて、良い匂い。これらが導き出すもの、それは

「私の胸の中の居心地はどうですか?」

「最高だけど、そろそろ離してもらいたいかな」

ずっとこうしていたいけど、それはちょっとまずい。男って大変なんだよ






978: 2018/02/06(火) 20:24:46.35 ID:9a03Oap20
無理やり楓さんの胸の中からはいずり、枕のある高さまでたどり着く

「もっとこうしていたかったのに、残念……」

そんな台詞をはいているけど、楓さんは悪戯っ子みたいに笑ってる

「楓さん、俺たち何で一緒に寝てんの?」

俺の言葉に楓さんはぽかんとした表情の後

「ふふっ……」

いたっ! 痛いよ楓さん! ほっぺ抓らないでよ

「寝坊助さんにはこれくらいしないと」

あー……今の痛みで完全に頭が動き出した

979: 2018/02/06(火) 20:31:36.03 ID:9a03Oap20
「おっけー、ようやく目が覚めた」

「自分のお嫁さんを忘れてしまうような旦那さんは知りません」

ぷいっと逆方向を向いてしまう楓さん

「……つーん」

擬音を口にしないで、可愛いけど

さて、楓さんを無理向かせるにはどうすればいいかな

「ああっ! 楓さんに抓られたほっぺが痛い、これはもう駄目かもしれない」

大げさなリアクションと声で痛いアピールをしてみた

「ああ……最後に楓さんの顔を見たかったな」

がくり……

「はぁ……仕方ない人」

そう言った楓さんはくるりとこちら側を向き、俺の顔を両手で挟み、耳元で囁く

「最後じゃなくて、これからずっと私の顔を見せてあげますからね」

やべぇ、ぞくぞくする

980: 2018/02/06(火) 20:38:12.87 ID:9a03Oap20
「よーし、朝の準備終わり! 朝ごはんは?」

「ちゃんとできでますよ、今日の卵焼きは上手にできました♪」

嬉しそうに言う楓さん、その頭には寝癖がぴょこりと立っている

「そっか、それは楽しみだ」

「はい♪ たくさん食べてくださいね」

楓さんが動くたびに、寝癖もぴょこぴょこと動く

面白いから食べ終わるまで放っておこう

「いただきます……うん、卵焼き美味い!」

俺の好みの味付けだし、焼き加減も丁度いい

「では私も……うん、美味しいですね」

嬉しそうな楓さんの笑顔を見ると、俺もつられて嬉しくなってしまう

981: 2018/02/06(火) 20:46:59.27 ID:9a03Oap20
「今日はお互いオフだし、どこか行く?」

「そうですね……私はあなたと一緒ならどこでも」

おおう……破壊力のあるセリフだ

「そこら辺ぶらぶらしてみようか、今日は天気も良いし」

「はい、じゃあお片付けしちゃいますね」

そそくさと楓さんが食器の片づけを始める

自分の持ち歌を鼻歌で歌いながら、何だか嬉しそうに

……しかしまぁ、俺が楓さんと結婚できたなんて奇跡に近いな

ピンク色の可愛らしいエプロンを付けた嫁さんを見ながら、そう思う

楓さん可愛いな……いかん、顔がだらしなくなってる

982: 2018/02/06(火) 21:00:29.86 ID:9a03Oap20
楓さんの片付けも終わり、お互い出かけるたびに着替えることにした

「覗いちゃ駄目ですよ?」

何て言われて覗かない奴はいるだろうか? 俺は覗かないけどね、うん……

こういう時、男は準備が簡単で良い

テーパードのデニムにニット、寒いからコートとマフラーでフル装備だ

十分もあれば俺の着替えが終わるんだけど、女性はこういう時はとても長い

長いけど、それを何も言わずに待つのが男ってもんだ

長いほど、気合いを入れてくれてるってことだし、何より楓さんお洒落さんだしね

……今日はミニスカートかな、それともショーパンかな、楽しみだなぁ

983: 2018/02/06(火) 21:13:21.06 ID:9a03Oap20
「お待たせしました」

白いコートにライトブルーのニットワンピースに身を包んだ楓さん

ほお……予想は外れたけどこれはこれで……

黒いタイツに包まれた脚から、顔まで見上げてみると、むぅっとした楓さんと目が合った

「えOちな目をしてます」

「そんなことないよ? うん、ほんとだよ」

い、いやー! 今日も楓さんは美しいなー! ……ちょっとわざとらしかったか

「調子良いんですから……そろそろ行きましょうか」

そう言うと、片腕に寄り添ってきた

「外は寒いですから、仕方ないですね」

そういうことにしておいてあげますよっと

984: 2018/02/06(火) 21:24:13.97 ID:9a03Oap20
「あ、これなんてどうですか?」

「うーん……ちょっと若すぎないかな」

何でも揃ってそうなショッピングモール

そこで、楓さんが俺の洋服を見繕っているんだけど

「まだまだ若いでしょう? 気持ちも若くしないと駄目です」

めっ、と人差し指を立てて怒られてしまった

「そうかなぁ、楓さんの隣に立ってて変じゃない?」

俺だけなら別に良いんだけど、楓さんが変な目で見られるのは嫌だな

そんなことを言うと、楓さんはきょとんとした後

「他の人は良いんです。それに、あなたは十分素敵ですよ」

さも当然とばかりに言い切った。すごい嬉しい、けど凄い恥ずかしい


985: 2018/02/06(火) 21:37:27.15 ID:9a03Oap20
「そろそろお腹空かない?」

「そうですね、そろそろお昼にしましょうか」

洋服を見たり雑貨を見たりしていたら、あっと言う間に時間が経ってしまった

女性の買い物は長いっていうけど、一緒に楽しんだらそんなの気にならないもんだ

それに、誰かの感性があると、見るものが広がって実に楽しい

「ううん……何が良いですかね?」

「なんか麺が食べたい気分だな、あそこの店にしよう」

何語かわからないから店の名前がわからないけど、パスタがありそうなのはわかる

女性は好きなんでしょ、パスタ

「私はラーメンでもいいですけど、そこにしましょうか」

この人全然飾らないよなぁ……


986: 2018/02/06(火) 21:43:52.64 ID:9a03Oap20
俺はトマトソース系のパスタ、楓さんはクリーム系のパスタをそれぞれ頼んだ

「楓さん、ワインあるよ」

「夜までお酒は止めておきます。酔ってしまったらせっかくのデートが勿体ないです」

じゃあ俺も夜まで止めておくか、一人で飲むのもなんだしね

しばらくすると、頼んでいたパスタがテーブルへと運ばれてきた

「いただきますっと」

「いただきます」

お互いの声が重なり、同時にフォークを手に取った

顔を見合わせて、吹き出しそうなのを堪えながらパスタを口に運ぶ

うん、美味いな

「これ美味しいですね。では、あーん♪」

上手にパスタを巻いて、俺の口へと持ってきた




987: 2018/02/06(火) 21:54:32.53 ID:9a03Oap20
「うん……美味い。じゃあお返し」

ぎこちなくパスタを巻いて、楓さんの口へ運ぶ

「あーん……あら? あーん」

ふふふ……誰がすぐ食べさせると言った? お前はこのパスタを目の前、ああっ!

「……美味しい♪」

がしりと腕を掴まれ、強引に食べられた……

「あーんしてる楓さんの顔をもっと見ていたかったのに……」

「じゃあいっぱい見せてあげます♪ はい、あーん」

それは俺への気遣いなのか?

いや、きっとパスタが美味しかったからもっと食べたいに違いない



988: 2018/02/06(火) 22:00:33.72 ID:9a03Oap20
昼食を食べ終わった俺たちは、食材と今日の晩酌用の酒などを購入した

「あ、このお酒前から気になってたんです」

「これも捨てがたいですね……うーん」

「これお酒に合うんじゃないですか?」

「こっちも美味しそう……」

さっきから一人ではしゃいでる、まるで大きな子供みたいだ

「こらこら、迷子にならないように気を付けるんだよ」

そう言うと、楓さんがぎゅっと手を繋いできた

「じゃあ、ずっと繋ぎとめていてくださいね?」

そんな時だけ大人の顔をするのはずるいんじゃないかな

989: 2018/02/06(火) 22:08:17.93 ID:9a03Oap20
「いやー、随分買ったな」

ようやく我が家に着いたのは夜に差し掛かる時間だ

「先にお風呂にします?」

楓さんの言葉に、俺はにやりと笑って答える

「一緒に入ってくれる?」

「ええ、良いですよ。もうお風呂は出来てますので入っちゃいましょう」

さらりと答えられた、もう少しこう……悩むとかないの? 嬉しいけどさ



そんなやりとりの後、俺は浴槽の中で楓さんを待っている

「お背中流しますね」

髪をアップにして、バスタオルを巻いた楓さんが浴室へと入ってきた

歳をとると、見えない工口さみたいなのがわかってくる

やめよ、おっさんくさい





990: 2018/02/06(火) 22:18:37.96 ID:9a03Oap20
「ふぅ……良い湯だった」

マジでのぼせるかと思った

「ぽかぽかですね♪」

楓さんはほんのり桜色。色っぽい感じだ、特にうなじがせくしー

「じゃあ、飲もうか」

「はい、飲んじゃいましょう。おー♪」

おお、行動が早いな。てきぱきと楓さんが準備をしていく

あんなに細い体のどこに元気を隠し持っているのやら

テーブルには酒とおつまみがもうセットされた

楓さんが、まだですか? まだなんですか? と散歩を待つ犬みたいな表情でこっちを見てる

「今行くよ」

俺は仕方ないといった風に声をかけた

991: 2018/02/06(火) 22:26:13.52 ID:9a03Oap20
「「乾杯」」

こちりとグラスが鳴る

……お、これ美味いじゃないか

「ふぅ……おいし」

どうやら楓さんも気に入ったようだ

「良い焼酎ですね、しょっちゅうは飲まないので美味しく感じます」

「俺も普段はあまり飲まないからね。でも、これならしょっちゅう飲めるよ」

俺の返事に、ぱあっと目を輝かせる楓さん

「さすが私の旦那さんですね」

「そりゃどうも、ほらほら、酒だけじゃなくておつまみも食べて」

美味い酒と美味い肴。長い夜にこれがあれば幸せだ

あと、可愛い嫁さんもね

992: 2018/02/06(火) 22:33:07.37 ID:9a03Oap20
「あなた、ちょっと寒くありません?」

そう? 酒飲んでるし、空調も効いてると思うけど

「私は寒いと思うんですけどねぇ……」

ちらちらとこちらを伺うように、楓さんが視線を送ってくる

なるほど、これはそういう口実か

「うーん……言われてみれば少し寒いか、こっち来る?」

「わーい♪」

俺が言うと、楓さんがすっ飛んできた

「あったかい……」

すりすりと頬ずりをして、ご満悦みたいだ

993: 2018/02/06(火) 22:51:04.72 ID:9a03Oap20
「大丈夫? まだ寒い?」

楓さんのさらさらした髪を撫でながら聞く

「うーん……まだちょっと寒いです」

めちゃくちゃくっついてて、俺はとても温かいです、はい

「だから……」

楓さんが目を潤ませて、上目づかいで俺に言う

「お布団の中で、温めてくれませんか?」

――あなたの体温をもっと感じたいんです。最後にそう付け足した

「……汗かいちゃうくらい温かくなっちゃうけどいい?」

「良いですよ。ねぇ……早く温めてください」

おねだりするような楓さんの声で、とどめを刺された

「手のかかる嫁さんだなぁ」

お姫様だっこで楓さんを抱えると、ぎゅっと楓さんが抱きしめてきた




おしまい


994: 2018/02/06(火) 22:56:11.93 ID:9a03Oap20
読んでくれた方に心からの感謝を
たくさん安価もらって最後まで書けて良かったです


引用: 【モバマス】楓さんで安価