1: 2009/05/11(月) 17:55:47.84 ID:NdXM2BJF0
雛「カーナーのーぼーりー、なのー!」

金「痛いかしら。首が折れるかしら」

雛「うゆーごめんなさい。お詫びになでなでしてあげるのよ?」

金「あ、ちょっと……そんなところ触っちゃダメかしら雛苺!」

2: 2009/05/11(月) 17:59:26.99 ID:NdXM2BJF0
金「(何かしら?今日は雛苺の様子がどこかいつもと違うかしら……)」

金「(何故かやたらとカナに貼りついてくるかしら)」

4: 2009/05/11(月) 18:01:44.63 ID:NdXM2BJF0
雛「くんくんごっこなの。ヒナが犯人で金糸雀はそれ以外」

金「そのバールを捨てるなら付き合ってあげてもいいかしら」

6: 2009/05/11(月) 18:04:03.07 ID:NdXM2BJF0
雛「次はおままごとよ?ヒナは金糸雀のお嫁さんね?」

金「最初からそういう安全なものにしてほしかったかしら」

7: 2009/05/11(月) 18:06:16.45 ID:NdXM2BJF0
紅「いらいら……」

翠「そわそわ……」

金「(雛苺だけじゃないわ。真紅たちの視線からも何か危険なものを感じるかしら)」

8: 2009/05/11(月) 18:08:00.84 ID:NdXM2BJF0
雛「それじゃあこれ台本ね。94ページ冒頭のシーンからはじめるの」

金「何でおままごとに台本があるかしら」

雛「細かいことを気にしてはいけないのよ?」

金「台詞以外にも色々書いてあるようだけど……」

雛「シチュエーションの指定よ。そこにある通りに演じるの」

10: 2009/05/11(月) 18:13:35.48 ID:NdXM2BJF0
金「それもうおままごとでも何でもないかしら」

雛「いいからはじめるの。できれば台詞以外の文も声に出して読んでほしいの」

金「わかったかしら。えっと……」

金「『やめ……お前何やってんだ!』男は抗議の声を無視し俺をうつ伏せに組み伏せた」

金「そのまま俺自身を掴むとその手をゆっくりと上下させはじめる」

紅「ぶっっ!」

翠「ぶふっっっ!!」

11: 2009/05/11(月) 18:18:48.22 ID:NdXM2BJF0
紅「ひ、雛苺!あなたさっきから金糸雀に何をさせてるのよ!」

雛「うゆ?ヒナたちは一緒に遊んでいるだけなのよ?」

翠「あ、これJUMの部屋にあった官能小説じゃねーですか」

金「しかもよく見たら男の子同士の恋愛ものかしら」

13: 2009/05/11(月) 18:27:09.48 ID:NdXM2BJF0
紅「もういいわ。雛苺、あなたちょっと紅茶を淹れてきなさい」

雛「ヒナは今金糸雀と遊んでるんだからいやー、なのー」

紅「下僕のくせに私の言うことが聞けないの?」

雛「ぶ~……。すぐ帰ってくるから待っててね金糸雀?」

金「え、ええ。わかったかしら」

パタパタパタ……

紅「こほん。さて、と……」

金「……?」

紅「雛苺も行ったことだしこっちへ来て一緒に読書でもどうかしら?」

15: 2009/05/11(月) 18:29:22.56 ID:NdXM2BJF0
紅「あなたも本は好きでしょう?良さそうなものが倉庫から何冊か出てきたの」

金「え?」

翠「それよりもうすぐスコーンが焼けるです。こっちへ来て翠星石と食べるです」

金「え?え?」

18: 2009/05/11(月) 18:32:03.47 ID:NdXM2BJF0
紅「よかったら貸して……いえ、あなたにならプレゼントするわ」

翠「今日のは特に力作です。おめーもきっと気に入るですよ」

金「ちょ、ちょっと二人とも。どうして今日に限ってそんなにカナに優しいかしら?」

19: 2009/05/11(月) 18:33:44.85 ID:NdXM2BJF0
紅「何を言ってるの?私はいつだってあなたに優しく……むしろラヴね」

翠「翠星石もいつだって優しいです」

金「今までそんな扱いを受けてきた覚えはないかしら」

20: 2009/05/11(月) 18:36:09.35 ID:NdXM2BJF0
翠「あ、そういえばスコーンの焼き具合を見ないとです」

紅「行ってらっしゃい、ごゆっくり」

翠「おめー二人きりだからっておかしなことするんじゃあねーですよ?」

紅「あら?何の話かわからないわ翠星石?」

金「……そろそろ本気で不安にななってきたかしら」

22: 2009/05/11(月) 18:38:29.23 ID:NdXM2BJF0
金「ちょっと真紅、くっつきすぎかしら」

紅「いいじゃない。せっかく邪魔者がいなくなったんだから」

金「やめるかしら、どうして服に手を入れようとするかしら!」

24: 2009/05/11(月) 18:43:18.28 ID:NdXM2BJF0
金「カ、カナはもう帰るかしら」

紅「なによ、まだ来たばかりじゃないの」

金「用事を思い出したかしら。今日はみっちゃんと予定があるかしら」

紅「みつですって?私よりあの女を優先すると言うの?」

金「しまったかしら、ここでみっちゃんを巻き込むのはマズいかしら」

25: 2009/05/11(月) 18:45:58.88 ID:NdXM2BJF0
金「えっと……今のは間違いで本当は忌引きかしら」

金「今日はお父様の7回忌かしら」

紅「そう。残念だけど忌引きなら仕方ないわね」

金「カナも残念かしら、そういうことでお先に失礼するかしら!」

27: 2009/05/11(月) 18:49:00.85 ID:NdXM2BJF0
パタパタパタ……

雛「何を言ってるの真紅?お父様はまだ氏んでないの」

紅「そ、そうだったかしら?危うく騙されるところだったわ」

雛「今ならまだ間に合うの、早く金糸雀をおいかけるの」

30: 2009/05/11(月) 18:51:09.20 ID:NdXM2BJF0
金「はぁ、はぁ、みんな今日はどうしてって言うのかしら?」

金「絶対何かおかしいかしら。隠れて中の様子を少し伺うかしら」

31: 2009/05/11(月) 18:52:57.24 ID:NdXM2BJF0
紅「雛苺、あなたは留守番だと言ったはずよ?」

雛「いやよ、ヒナももっと金糸雀と遊びたいもの」

紅「あなたさっき散々遊んだでしょう?」

雛「ヒナはまだぜんぜん足りないのよ」

33: 2009/05/11(月) 18:54:56.06 ID:NdXM2BJF0
紅「仕方ないわね。あなたちょっとここに入ってなさい」

雛「おトイレ?ヒナは今したくないの」

紅「いいから早く入りなさい」

ポイッ ガチャ

雛「!?……おかしいの、ドアが開かないの」ガチャガチャ

紅「こういうときのために外鍵を付けたのよ」

雛「真紅ひどいの、こんなところに閉じ込めるなんて!」

紅「お茶とお菓子も用意しておいたからお腹が空いたら食べていいわ」

雛「いくらうにゅーでもこんなところで食べるのはいやーなのー!」

35: 2009/05/11(月) 18:56:31.23 ID:NdXM2BJF0
金「な、何かしらあれ。やっぱりいつもと違うかしら」

金「逃げるかしら。こんなことなら鞄で来ればよかったかしら」

40: 2009/05/11(月) 19:07:09.55 ID:NdXM2BJF0
紅「金糸雀、どこにいるの金糸雀……!」

金「不味いかしら。確実に追ってきてるかしら」

金「どうすればいいかしら。このままでは家にも帰れないかしら」

?「……何をしているの金糸雀?」

金「ひぃっ!そ、そこにいるのは誰かしら!?」

蒼「僕だよ。そんなに驚いてどうしたの?」

金「蒼星石?あなたいいところに来てくれたかしら!」

43: 2009/05/11(月) 19:10:01.17 ID:NdXM2BJF0
蒼「……話はわかったよ。真紅に追われているんだね?」

金「そうかしら。理由はわからないけどすごく様子が変かしら」

蒼「心配はいらないよ。僕が君を逃がしてあげる」

47: 2009/05/11(月) 19:15:20.76 ID:NdXM2BJF0
金「ありがとう蒼星石。やっぱりあなたは頼りになるかしら」

蒼「お礼には及ばないよ。愛する君の為だからね」

金「…………」

蒼「…………」

金「…………」

金「え?」

50: 2009/05/11(月) 19:20:05.24 ID:NdXM2BJF0
金「や、やめるかしら!あなたの場合ちょっと生々しすぎるかしら!」

蒼「どういうこと?僕が男の子みたいだから?」

金「いえあの……今のは失言だったかしら」

蒼「悲しいな。君にそんなふうに思われていたなんて」

金「ちが、えっと……ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったかしら」

蒼「(うるっ……)」

金「あ、謝るからそんな潤んだ目で見るのはやめてほしいかしら……」

52: 2009/05/11(月) 19:22:51.03 ID:NdXM2BJF0
蒼「もう一度言うよ。僕は君のことを愛している」

金「ま、真顔でそういうことしれっと言うのはあなたの悪いくせかしら……」

蒼「どうして信じてくれないの?僕はこんなに本気なのに」

金「そ、そんなこと急に言われてもカナは……」

蒼「わかった。今から証拠を見せてあげる」

金「えっ……?」




金「そっ、蒼星石!こんなところでそんなの出しちゃダメかしら!」

58: 2009/05/11(月) 19:29:21.00 ID:NdXM2BJF0
蒼「見て。僕のこのローザミスティカを」

金「それは大事なものかしら、早くしまうかしら蒼星石!」

蒼「わかるかい?君といるだけで瞬きがこんなにも早くなってるよ?」

金「……本当かしら。こんなのはじめて見るかしら」

蒼「君が望むならこれは君にあげてもいい」

金「そ、そんなの受け取れるわけないかしら」

蒼「僕が本気だということわかってくれる?」

金「わかった……わかったから早くそれをしまうかしら!」

62: 2009/05/11(月) 19:39:23.46 ID:NdXM2BJF0
金「やめて蒼星石……カナもあなたも女の子。しかも姉妹の関係かしら」

金「こんなのぜったい間違っているかしら」

蒼「間違い?姉妹同士で頃し合うよりよほど正常と思うけど」

金「うぅ……そう言われると何も言い返せないかしら」

63: 2009/05/11(月) 19:40:37.13 ID:NdXM2BJF0
蒼「金糸雀……どうか僕のこの想いを受け入れてほしい」

金「そそ蒼星石……顔が近すぎるかしら///」

66: 2009/05/11(月) 19:43:17.02 ID:NdXM2BJF0
蒼「あっ、どうして逃げるの金糸雀!」

金「ごめんなさい、カナにはどうしていいかわからないかしら!」

蒼「待って、行かないで」

金「もう訳がわからないかしら、とにかく逃げの一手かしらー!」

68: 2009/05/11(月) 19:45:41.99 ID:NdXM2BJF0
金「はぁ、はぁ、はぁ、何とか蒼星石を撒いたかしら」

金「多分追ってきてるかしら。とにかくどこかに隠れて……」

紅「見つけたわ金糸雀。あなたこんなところにいたのね」

金「……何でこうタイミングが悪いかしら」

69: 2009/05/11(月) 19:47:24.93 ID:NdXM2BJF0
紅「会いたかったわ。ずいぶん探したのよ」

金「そ、そうかしら。カナに何かご用かしら?」

紅「忌引きなんて嘘でしょう?また家に戻って私と本でも読みましょう」

金「カカ、カナは遠慮させてほしいかしら……」

74: 2009/05/11(月) 19:54:17.22 ID:NdXM2BJF0
紅「本が嫌ならDVDはどう?ちょうどくんくんの新作があるの」

金「カ、カナはお人形だから人形劇にあまり興味はないかしら」

紅「それは偏見よ。くんくんはただの人形劇ではないわ」

紅「一見単調ながら深く作りこまれた綿密なストーリー。
王道的なトリックの数々は使い古されたものでありながら
古臭さを全く感じさせないわ。それというのもミステリーとしては斬新な
主人公のキャラ付けが……まったく昨今の紋切り型アニメ、特撮は
少しはこの作品を見習ってほしいものね。メディアにお金を払う
コアな視聴者層のことも少しは考えてほしいものだわ。
私なんてこの作品のためにブルーレイの購入までJUMに打診して……」




金「…………」

75: 2009/05/11(月) 19:55:43.70 ID:NdXM2BJF0
紅「本編だけじゃなく特典も見逃せないわ。初回限定版には
くんくん生写真ブロマイドとトレーディングカードが付くの。
これが全部で5種類もあって揃えるのも一苦労ね。
JUMにネットオークションで手に入れてもらったのだけど
人気があるせいかなかなか出回ってなくて……
その他にも映像特典として何と新作映像で
『くんくんお昼のワイドショー殺人事件』が21分45秒もの
大ボリュームという大盤振る舞いでマニアも大満足の……」

金「……あ、あの。ちょっといいかしら真紅?」

紅「何だったかしら金糸雀?」

金「趣味を押し付けすぎかしら。あなた絶対女の子にもてないタイプかしら」

紅「えっ……?」

80: 2009/05/11(月) 19:59:25.86 ID:NdXM2BJF0
紅「私が……この私がもてない……?」

金「うわ……めちゃめちゃヘコんでいるかしら」

紅「ブツブツブツ……」

金「ご、ごめんなさい。今のはちょっと言い過ぎたかしら」

紅「嘘よ……私は誇り高きローゼンメイデンの第五ドール……薔薇の香りのGarden Party……」

金「あ、あの、真紅……?」

紅「ぎろっ!」

金「ヒィ!?」

85: 2009/05/11(月) 20:03:02.70 ID:NdXM2BJF0
紅「こうなったら実力行使あるのみだわ!」

金「ちょ、やめるかしら!いきなり何をするかしら!」

紅「既成事実よ。お昼のドラマではこうすればいいと言っていたわ」

86: 2009/05/11(月) 20:05:29.37 ID:NdXM2BJF0
金「な、何で下から脱がそうとするかしら!?」

紅「愛は下半身に到達する。JUMの持っている本に書いてあったわ」

金「あなたはおかしなものに影響を受けすぎかしら!」

88: 2009/05/11(月) 20:09:28.64 ID:NdXM2BJF0
蒼「金糸雀、どこにいるの金糸雀?」




紅「あの声は蒼星石……?」

金「そ、蒼星石もカナを追ってきてるかしら」

紅「他にもあなたを狙う子がいるのなら一刻の猶予もならないわ」

紅「この場で私のものにしてあげる。覚悟してもらうわよ金糸雀」

金「いやぁあ、乙女の貞操の危機かしらー!」

91: 2009/05/11(月) 20:12:36.21 ID:NdXM2BJF0
金「あっ!あんなところでくんくんが現場検証をしてるかしらー!」

金「…………」

紅「もくもく……」

金「ひぃい!?くんくんにも全然反応しないかしら!」

94: 2009/05/11(月) 20:15:50.45 ID:NdXM2BJF0
紅「これは……」

金「な、何かしら……?」

紅「あなた下着が汚れてるわ」

紅「そうなのね金糸雀。あなたもその気なら先に言ってくれればよかったのに」

金「ちっ、違うかしら!それは所謂拭き残しというものかしら!」

紅「あらそうなの?そういう子供っぽいところも可愛いわよ」




金「あああ、こうしている間にも大切のものがガンガン失われていくかしら!」

97: 2009/05/11(月) 20:19:51.00 ID:NdXM2BJF0
紅「もう少しね。早くその手を退けて見せて頂戴」

金「こっ、このままでは本当に既成事実を作られてしまうかしら!」

紅「諦めなさい。その格好ではもう逃げることもできないでしょう?」

金「何とかするかしら。今こそ策士の本領を発揮するときかしら……!」

99: 2009/05/11(月) 20:23:58.01 ID:NdXM2BJF0
金「冷静になるかしら。カナは今までどんなピンチもこの頭脳で乗り切ってきたかしら」

金「……先ずは状況を整理するかしら」

金「既にドロワーズは膝下まで下げられてしまっているかしら」

金「局部を覆うのはもうカナのこの手だけかしら」

金「もし手を離したら次の瞬間にはカナの貞操は終わるかしら」

金「まさに絶体絶命かしら。しかし真の策士はこの状況を逆に利用するかしら」

101: 2009/05/11(月) 20:26:00.72 ID:NdXM2BJF0
金「考えるかしら。ここがカナの知性の見せ所かしら」

金「観察するかしら。ヒントは必ず目に見えるところにあるかしら」

106: 2009/05/11(月) 20:29:41.17 ID:NdXM2BJF0
金「真紅は今、半分まで下げたドロワーズを更に下ろすことに必氏かしら」

金「恐らくはカナの足を大きく開かせるためと思われるかしら」

金「すごい力かしら。このままではこじ開けられるのも時間の問題かしら」

金「でも逆に必氏になりすぎて周囲の状況に注意が向いてないかしら」

金「…………」

金「…………」

金「この体勢、今なら真紅の顔に容易に膝蹴りが入るかしら」

107: 2009/05/11(月) 20:39:16.24 ID:NdXM2BJF0
紅「きゅう……」

金「結局暴力で解決してしまったかしら。策士の名が泣くかしら」

金「一応誰かに持っていかれないよう物陰に隠してあげるかしら」

金「それにしてもこの状況は一体どうしたことかしら」

翠「おっ?そこにいるのは金糸雀ですか?ちょうど今おめーを探してたところです」

金「……またとてつもなく悪い予感がするかしら」

110: 2009/05/11(月) 20:42:28.91 ID:NdXM2BJF0
金「やめるかしら!何で追いかけてくるかしら!」

翠「おめーが逃げるからですよ、いいからちょっと止まって翠星石の話を聞くですよ」

わきわきわき……

金「いっ、嫌かしら!その手つきは絶対話をする手つきじゃないかしら!」

111: 2009/05/11(月) 20:44:09.74 ID:NdXM2BJF0
翠「待つですよ、翠星石はお前にプレゼントを持って来たです!」

金「そ、そんな手に引っかかるカナではないかしら」

翠「特製のスコーンです、この匂いがお前にはわからねーですか?」

金「……そういえばさっきから逃走の連続でちょっとお腹がすいたかしら」

翠「おめーの大好きな甘い玉子焼きも持ってるですよ!」

金「!!」

金「…………」

金「翠星石、何て巧妙な手を使うかしら……!」

113: 2009/05/11(月) 20:46:41.53 ID:NdXM2BJF0
金「あの……本当に何もしないかしら?」

翠「当たり前です。翠星石はお前にスコーンを焼いてきただけですよ」

金「カナのために……?」

翠「そうですよ。お前の好物の玉子焼きまで用意してきたですよ」

翠「ほら、こうしてスコーンに挿んでやるから温かいうちに食うですよ」

117: 2009/05/11(月) 20:48:58.36 ID:NdXM2BJF0
金「もぐ、もぐ、もぐ……」

翠「どうですか、お味は?」

金「おいしい。出来ることなら別々に出してほしかったけど……」

金「でも……」

金「やさしい味かしら……とても」

翠「何か引っかかりますが喜んでくれるならまぁいいです」

121: 2009/05/11(月) 20:53:54.34 ID:NdXM2BJF0
翠「チビカナ。食べながらでいいから聞いてほしいです」

金「むぐむぐ。何かしら翠星石?」

翠「あの、ちょっと言いにくいことですが……」

金「もぐ……?」

翠「今までお前にひどいことばかり言って本当に申し訳なかったです」

金「……!」

翠「お前のことは姉として尊敬しているのですが面と向かうとつい軽口ばかり出てしまって」

金「むぐっ、そ、そんなのカナは全然気にしてないかしら」

123: 2009/05/11(月) 20:55:11.35 ID:NdXM2BJF0
翠「すまんです、チビカナ……」

金「それより翠星石とこうしてお話できたことがカナはとっても嬉しいかしら」

126: 2009/05/11(月) 20:58:08.78 ID:NdXM2BJF0
翠「金糸雀……やっぱりお前は翠星石の大切な姉妹です」

金「す、翠星石。こんなところで抱きつかれたら恥ずかしいかしら」

ふわり……

翠「んん……?」

金「どうしたかしら翠星石」

翠「金糸雀……おめー何だかとてもいい匂いがするですね」

金「!?」

金「その目……さっきの真紅と同じ飢えた狼の瞳かしら!」

128: 2009/05/11(月) 21:02:09.16 ID:NdXM2BJF0
金「いやぁあ!やっぱりこうなるかしらー!」

翠「すまんです、お前を大切思う気持ちに嘘偽りはねーですが……」

金「それならもう追いかけるのはやめてほしいかしら!」

翠「よくわからねーですがその香りを嗅ぐと本能に逆らえなくなるですよ」

金「香り?そういえばカナの身体から薔薇の香りがするような……?」

翠「とにかく翠星石はもう一刻も辛抱がたまらんです」

翠「おめーは諦めて大人しく翠星石に抱かれるです!」

金「いやかしら!それだけは絶対に嫌かしら!」

130: 2009/05/11(月) 21:06:11.79 ID:NdXM2BJF0
金「はぁ、はぁ、はぁ、何とか翠星石を撒いたかしら……」

翠「金糸雀ー!金糸雀ー!!」

金「まだ近くにいるかしら。蒼星石にも追われてるし状況は最悪のままかしら」

彅「シンゴー!シンゴー!!」

金「この辺りは野獣達がひしめき合っているかしら。なんという危険地帯なのかしら」

金「今日は見てないけどもしかしたら水銀燈だっておかしくなってるかもしれないし……」

金「カナはこれからどうしたらいいのかしら」

136: 2009/05/11(月) 21:11:12.80 ID:NdXM2BJF0
薔「全ては私とお父様のせい……」

金「ひぃっ!ば、薔薇水晶!?」

薔「ごめんなさい……」

金「やめて食べないで!あぁでも今は違う意味で食べられ……どちらにせよカナはもう終わりかしら!」

薔「皆がおかしいのは……お父様が作ったこの香水が原因で……」

金「こんなことならお腹いっぱいたまごやきを……それよりみっちゃんにもっと優しくしておけば良かったかしら。写真くらいいくらでも撮らせてあげておけば……」

薔「あと食べるのは私じゃないほう……」

金「…………」

薔「…………」

金「…………」

金「え、あの……あなたのせいってどういうことかしら薔薇水晶?」

139: 2009/05/11(月) 21:13:01.19 ID:NdXM2BJF0
薔「この香水……薔薇乙女を魅了するフェロモンでできている……」

金「おかげでカナはとんでもない目に遭ったかしら」

142: 2009/05/11(月) 21:14:19.75 ID:NdXM2BJF0
金「どうしてあなたのお父様はこんなものを作ったかしら?」

薔「私が、頼んだ……」

金「あなたが?」

薔「私は……あなたたちにとてもひどいことをした……」

金「…………」

薔「私は気が付いた……あれはとてもいけないことだった……」

金「い、今更そんなこと言われても……」

薔「あなたたちと……仲良くしたい……」

薔「ぐすっ……」

144: 2009/05/11(月) 21:15:56.42 ID:NdXM2BJF0
金「え?あ、あなた泣いてるのかしら薔薇水晶……?」

薔「ごめんなさい……ごめんなさい……」

金「ズルいかしら。そんなふうに言われたら……」

金「カナにはもうあなたを責めることができないかしら」

147: 2009/05/11(月) 21:17:59.14 ID:NdXM2BJF0
金「あなたの気持ちはわかったかしら。ここはカナと一つ約束をするかしら」

薔「やく……そく……?」

金「いいかしら薔薇水晶?」

金「あなたがもうこんなものを使わないと言うのなら」

薔「こくこく」

金「この件が片付いたら、皆との仲をこのカナが取り持ってあげてもいいかしら」

153: 2009/05/11(月) 21:21:21.77 ID:NdXM2BJF0
薔「ぐすっ……」

金「あぁもう、泣いたらダメだって言ってるかしら」

薔「だって……ぐず……」

薔「ありがとう……おねがいします……」

金「あなた思ったよりいい子かしら。これならそれほど心配はないかしら」

薔「本当に……?」

金「ばっちりカナに任せるかしら!」

154: 2009/05/11(月) 21:23:18.99 ID:NdXM2BJF0
金「もう一つ聞いていいかしら薔薇水晶」

薔「こくこく」

金「この香水、どうしてあなたが使わなかったのかしら?」

金「あ、それとどうしてカナに使ったのかしら?」

薔「質問が、二つになってる……」

金「いいから早く答えるかしら」

薔「それは……」

金「それは……?」

薔「…………」

薔「じんた、いじ、っけん」

金「ふざっ……わかりにくく言ってもダメかしら!」

156: 2009/05/11(月) 21:26:35.70 ID:NdXM2BJF0
薔「ごめんなさい……」

金「す、済んだことは仕方ないかしら。それより皆を元に戻す方法を教えるかしら」

薔「匂いを消すか……嗅覚の疲労を利用する……」

金「それはお風呂で香水を落としたり、相手をこの匂いに慣れさせればいいということかしら?」

薔「そう……さすが、頭脳派……」

金「今更おだてても遅いかしら」

157: 2009/05/11(月) 21:28:55.16 ID:NdXM2BJF0
金「具体的にはどうするかしら?」

薔「この香水……あげる……」

薔「直接ふりかければ……匂いにはすぐ慣れる…」

金「わかったかしら。それじゃあなたも手伝うかしら薔薇水晶」

薔「それは……むり……」

金「な、何でかしら?」

薔「この香水……ローザミスティカを持たない私にも少しずつ効いてきてる……」

金「え?それじゃあなたもカナのことを……」

薔「そう。だから……もう行く……」

金「あ、ちょっと待つかしら薔薇水晶!」

薔「ごめんなさい……あとは何とかがんばって……」

金「無責任すぎるかしらー!」

159: 2009/05/11(月) 21:30:58.57 ID:NdXM2BJF0
金「はぁ……カナ一人でどうすればいいのかしら」

金「このまま何事もなく家に帰ってお風呂に入れればいいのだけど……」

金「多分無理かしら。双子と……あと水銀燈にも見つかれば追われることになるかしら」

金「…………」

金「考えても仕方ないかしら。事情がわかった分状況は好転したかしら」

金「いざとなればこの香水もあるし、あとは行動あるのみかしら」

金「えいえいおー!かしらー!」

ぱしゃっ!

銀「冷たっ、いきなり何するのよぉ」

金「えっ?」

163: 2009/05/11(月) 21:35:34.43 ID:NdXM2BJF0
金「水銀燈、あなたどうしてここに……?」

銀「知らないわ。空を散歩してたはずなのに気が付いたらここにいたの」

金「多分この香りに誘われて来たかしら」

銀「何それ?薔薇の香水……?」

金「えっと、実は……かくかくしかじかで……」

銀「つまりその香水をかけられたことで私も狙われる立場になったのね」

金「ごめんなさい、あなたを巻き込んでしまったかしら」

銀「ま、いいわ。話を聞く限り私もあなたを襲いに来たところだったみたいだしね」

165: 2009/05/11(月) 21:37:57.59 ID:NdXM2BJF0
銀「それで?私たちは今誰に狙われてるの?」

金「えっと、真紅や雛苺はしばらく追って来なれいはずだからあとは蒼星石と……」

翠「やっと見つけたですよ金糸雀」

銀「……この子ね。確かにいつもと違って目が殺気立ってるわ」

166: 2009/05/11(月) 21:42:47.11 ID:NdXM2BJF0
金「一緒に逃げるかしら水銀燈!」

銀「あ、ちょっと……」

金「早くするかしら、今の翠星石は普通じゃないかしら!」

銀「はぁ……仕方ないわねぇ」

翠「水銀燈、おめーここで何やってるですか!金糸雀に手を出したら許さねーですよ!」

167: 2009/05/11(月) 21:44:57.53 ID:NdXM2BJF0
金「不味いかしら、このままだと追いつかれてしまうかしら!」

翠「フヒヒ……すぐに捕まえてやるですよ」

銀「とりあえず翠星石を撒けばいいの?」

金「そうだけど何かいい方法でもあるかしら」

銀「疲れるからあまりやりたくはないんだけど……私に掴まりなさい金糸雀」

金「え?」

バサッ

翠「あ、こら!空に逃げるなんて卑怯ですよ!」

173: 2009/05/11(月) 21:51:00.33 ID:NdXM2BJF0
この話は一話完結ですが自分の中でだけキャンプの話と
金糸雀「みんなでキャンプに行くかしら!」

続いてるのでこの時点で既に金銀の仲は結構いいです。
その点だけ踏まえて見てもらえるとありがたいです。
その他は特に前の話と続いたりしてないです。

176: 2009/05/11(月) 21:52:50.65 ID:NdXM2BJF0
バサッ バサッ

金「す、すごいかしら。これなら翠星石たちも追って来れないかしら」

銀「残念だけど長くは持たないわ。どこか適当なところにでも降りるわよ」

金「あ、ごめんなさい……重かったかしら」

銀「え?い、いえ。そういうわけじゃないわ。気にしないで」

178: 2009/05/11(月) 22:00:08.41 ID:NdXM2BJF0
銀「その香水を使えばあの子たちも正気に戻るんでしょう?」

金「これは……さっき水銀燈に全部かけてしまったかしら」

銀「そう。それじゃああとは匂いを洗い流すしかないわね」

金「ごめんなさい……」

銀「いいのよ。無闇に味方を増やしても後で面倒がありそうだしね」

金「……?」

184: 2009/05/11(月) 22:08:13.41 ID:NdXM2BJF0
銀「それで?これからどうするつもり?」

金「えっと……逃げながらカナの家を目指してそこでお風呂に入るかしら」

187: 2009/05/11(月) 22:09:42.36 ID:NdXM2BJF0
金「水銀燈。あなた一人ならいくらでも逃げられる……」

金「香水を落とすことだって簡単にできるのに」

銀「さすがにこの状況で一人逃げられるほど薄情でもないわ」

金「でも……カナのためにあなたまで危ない目に遭うことになるかしら」

銀「こんなものに操られて自分を見失うよりはましだわね」

金「ありがとう……水銀燈」

銀「別に。あなたが気にすることなんて何もないわ」

188: 2009/05/11(月) 22:11:01.73 ID:NdXM2BJF0
銀「いざとなれば二人で川にでも飛び込めばいいんでしょう?」

金「そんなのダメかしら、お父様にもらった服を汚してしまうかしら」

銀「冗談よ。まぁ相手があの双子だけならどうってことはないわ」

翠「ゼェ、ゼェ……言ってくれるじゃねーですか水銀燈……」

金「いい加減しつこいかしら翠星石」

銀「何でそんなに息が切れてるのよ」

翠「ハー、ハー……今度は逃がさねーですよ。一度戻って鞄を取ってきましたからね」

190: 2009/05/11(月) 22:13:41.78 ID:NdXM2BJF0
バサッ バサッ

銀「さすがにスピードに差があるわ。追いつかれるのも時間の問題ね」

金「つ、捕まったらどうなってしまうのかしら……?」

翠「もう諦めろです!今大人しくすれば先っぽだけで勘弁してやるです!」

銀「何か不穏なことを叫んでるわ……」

金「ひぇえ!水銀燈、お願いだからもっと飛ばしてほしいかしら!」

194: 2009/05/11(月) 22:18:23.51 ID:NdXM2BJF0
バサッ バサッ

銀「ねぇ金糸雀。あなたどうしてさっきから逃げ回ってるの?」

金「どうしてって……追われているからに決まってるかしら」

翠「今追ってきてるのは翠星石一人でしょ?」

金「そんなの見ればわかるかしら」

銀「こっちは二人よぅ?しかもこの私が付いてるのよ?」

金「えっ……?」

200: 2009/05/11(月) 22:26:28.31 ID:NdXM2BJF0
翠「きゅう……」

銀「最初からこうすればよかったわぁ」

金「ごめんなさい翠星石。あなたのスコーンの味は決して忘れないかしら」

翠「勝手に頃すんじゃねーですぅ~……」

202: 2009/05/11(月) 22:31:34.88 ID:NdXM2BJF0
申し訳ないです最後にひとつだけ…。
>>>198
蛇足感否めなかったので今回は普通に文字のみですすみません。

203: 2009/05/11(月) 22:32:52.06 ID:NdXM2BJF0
銀「これで鞄が手に入ったわね」

金「え?でもこれは翠星石の……」

銀「とりあえず本人は中にでも詰めておいて後で返してあげればいいんじゃない?」

204: 2009/05/11(月) 22:34:07.98 ID:NdXM2BJF0
バサッ バサッ

金「もうすぐカナの家かしら」

銀「やっぱり空からだと早いわね」

金「あとはお風呂に入って香水を落とせばすべて解決かしら」

銀「そう簡単に行くとは思えないけど……」

蒼「やぁ金糸雀。遅かったね」

金「そ、蒼星石……」

銀「まぁ家の前で待ち伏せするのが一番確実な方法だわね」

205: 2009/05/11(月) 22:35:54.95 ID:NdXM2BJF0
銀「そこをどきなさい。この子は家に帰るのよ」

蒼「水銀燈。君がどうやって金糸雀を手なずけたかは知らないけど……」

蒼「君を倒してからゆっくりと彼女に聞くことにするよ」

銀「やれるものならやってみなさいよ半ズボン」

蒼「後悔しても知らないよ未完成」

金「ちょ……二人とも何マジになってるかしら!?」

207: 2009/05/11(月) 22:39:35.93 ID:NdXM2BJF0
ギン! ガキン!

金「やめるかしら!刃物は洒落になってないかしら!」

蒼「彼女はああ言ってるけど?」

銀「あなたが退くならやめてあげないこともないわ」

蒼「僕にその気はないよ。君こそ今謝るなら許してあげてもいいよ?」

銀「寝言は寝てから言いなさい」

208: 2009/05/11(月) 22:42:17.43 ID:NdXM2BJF0
蒼「それじゃあそろそろ本気で行こうかな」

銀「何それ?強がりのつもり?」

蒼「強がりかどうかはすぐにわかるよ」

210: 2009/05/11(月) 22:43:37.40 ID:NdXM2BJF0
銀「ぐっ……何なのこの力、何でこんなに強くなってるのよ」

蒼「愚問だね、水銀燈」

蒼「愛のためなら……僕はいくらでも強くなる」

銀「く……この単純バカ……」

211: 2009/05/11(月) 22:45:12.14 ID:NdXM2BJF0
金「水銀燈、もっと離れて戦うかしら!」

銀「これでいいのよ。あなたこそもう少し離れなさい」

蒼「余裕だね。そんなことを言っていていいのかい?」

219: 2009/05/11(月) 22:54:49.45 ID:J9WZqmMLO
銀「確かにこのままだとちょっと不味いかもね……」

蒼「そういうこと。怪我したくなかったら君が退くんだね」

銀「(すごい力……このまま、押し切られる……)」

ふわり……

蒼「!?」

蒼「この香りは、金糸雀と同じ……?」

銀「蒼星石の手が緩んだ……?」

221: 2009/05/11(月) 22:58:00.31 ID:J9WZqmMLO
キン……!

蒼「っ……庭師の鋏が……!」

銀「はぁ、はぁ……勝負合ったわね蒼星石」

銀「これ以上やるなら怪我程度じゃ済まないわよ?」

蒼「…………」

銀「事情を説明してあげるから大人しく話を聞きなさい」

223: 2009/05/11(月) 22:59:59.99 ID:J9WZqmMLO
蒼「僕はまだ負けてない……!」

ダッ

銀「(しまった、まさか素手で向かってくるなんて……!)」

蒼「油断したね、もらったよ水銀燈!」

金「水銀燈、危ないかしら!」

バキッ!

銀「……えっ!?」

蒼「か、金糸雀っ!?」

金「きゅう……」

225: 2009/05/11(月) 23:03:42.45 ID:J9WZqmMLO
…………

…………

…………

金「ありがとう。もう大丈夫かしら」

銀「まったく……あまり無茶するんじゃないわよぅ?」

蒼「すまない金糸雀、僕は……」

金「気にしないで。勝手に飛び出したカナが悪いかしら」

金「それよりもカナの話を聞いてほしいかしら」

227: 2009/05/11(月) 23:05:22.47 ID:J9WZqmMLO
蒼「……大体察しはつくよ。水銀燈から君と同じ香りがしたからね」

銀「そう。飲み込みが早くて助かるわ」

蒼「でもね金糸雀。君を愛していると言ったのはきっと僕の本心だよ」

金「えっ?」

蒼「君は……僕の大切な姉妹だからね」

金「蒼星石……」

蒼「本当にすまなかった。僕はもう行くよ。詳しいことは全て終わってから話してくれればいい」

229: 2009/05/11(月) 23:07:24.21 ID:J9WZqmMLO
蒼「水銀燈。あとのことは君に任せるよ」

銀「もう全部片付くところよ。心配はいらないわ」

蒼「でも、その……僕がいないうちにヘンなこととかしたら承知しないからね?」

銀「…………」

蒼「な、何でそこで黙るのさ!?」

銀「え?あ……もちろん大丈夫よ。当たり前じゃない」

234: 2009/05/11(月) 23:10:50.21 ID:NdXM2BJF0
コポコポコポ……

金「何のお構いもできなくて申し訳ないかしら」

銀「いえ、悪いわね。お茶なんか出してもらっちゃって」

金「みっちゃんがいればもう少し色々できるのだけど……」

金「あ、でもその代わり自分の家だと思ってくつろいでもらっていいかしら」

金「夜までこの家にはカナと水銀燈の二人だけかしら」

銀「ぷふっ!」ブハッ

金「な、なに?急に吹き出してどうしたのかしら?」

銀「ごほっ……ご、ごめんなさい。何でもないわ」

238: 2009/05/11(月) 23:15:37.58 ID:NdXM2BJF0
金「あの……」

銀「なに?」

金「も、もうすぐお風呂が沸くかしら」

銀「そ、そう」

金「着替えはカナのを貸すかしら。少し小さいかもしれないけど……」

銀「だいじょうぶよ。悪いわね」

金「それで……えっと……」

241: 2009/05/11(月) 23:17:04.86 ID:NdXM2BJF0
金「カナ、考えたんだけど……」

銀「……うん?」

金「あの……」

銀「…………」

金「この香水、二人同時に落とさないとダメなんじゃないかしら?」

242: 2009/05/11(月) 23:18:37.21 ID:NdXM2BJF0
金「あの、ええと……」

金「カナたちだって真紅たちみたいにおかしくならないとも限らないし……」

銀「そ、そうね」

金「だから、あの……」

金「水銀燈さえ、嫌でなければ……」

銀「………」

金「………」

銀「………」

金「一緒に、あの……ぉ、お風呂に入ってもらってもいいかしら?」

246: 2009/05/11(月) 23:22:52.53 ID:NdXM2BJF0
金「…………」

銀「…………」

金「あ、あの……水銀燈?」

銀「あ、ええ。そうね。それがいいわ」

金「ごめんなさい。一緒じゃいやかもしれないけど……」

銀「そんなことないわ。だいじょうぶよ」

金「あ、ありがとう。かしら」

銀「別に。念のためよ。またさっきみたいなことがあったら困りゅしね」

金「…………」

金「水銀燈。今、かんだ?」

銀「いいえ。かんでないわ」

250: 2009/05/11(月) 23:28:46.36 ID:NdXM2BJF0
ピピピピピピ……

金「あ、お風呂が沸いたみたいかしら」

銀「そ、そうね」

金「それじゃ、あの……ご案内するかしら」

銀「そうね」

金「着替えはこれを使ってほしいかしら」

銀「そうね」

金「…………」

銀「そうね」

金「えっ?」

銀「あ、いえ。何でもないわ。気にしないで」

251: 2009/05/11(月) 23:33:21.82 ID:NdXM2BJF0
ガラガラガラ……

金「あの、水銀燈。お願いがあるかしら」

銀「な、なに?」

金「少しだけ、後ろを向いててもらってもいいかしら?」

銀「えっ?」

金「やっぱり、あの……人前で服を脱ぐのはちょっと恥ずかしいかしら」

銀「そ、そうね。しばらく廊下に出てるから終わったら呼んで頂戴」

金「あ、別にそこまでしなくても……」

銀「いいのよ。大丈夫よ」

ガラガラガラ……ピシャ

銀「…………」

銀「はぁ……疲れるわ……」

254: 2009/05/11(月) 23:35:55.22 ID:NdXM2BJF0
金「待たせてごめんなさい。もう大丈夫かしらー」

金「カナは先に入ってるから水銀燈も早く来るかしらー」

銀「そうね、わかったわ」

ガラガラガラ……

金「服はそこのカゴに入れておいてくれれば後でカナのと一緒に洗うかしら」

銀「そう。ありがと……え……?」

銀「これって、金糸雀の……」

255: 2009/05/11(月) 23:37:12.06 ID:NdXM2BJF0
銀「あの子こんなに脱ぎ散らかしちゃって……」

銀「まったく……こういうところ本当に子供なんだから」

銀「仕方ないわね。少し片付けておいてあげようかしら」

銀「…………」

銀「金糸雀の、ドロワーズ……」

銀「しかも、裏返し……」

258: 2009/05/11(月) 23:42:23.69 ID:NdXM2BJF0
銀「何と言うか、あの子レディとしての慎みが少し足りてないのよねぇ……」

銀「はぁ……あとでお説教でもしてあげようかしら」

銀「…………」

銀「随分大きな染みができてるわ……」

銀「あの子……終わった後ちゃんと拭いているのかしら」

銀「…………」

銀「私もお説教どころじゃないわねぇ……」

263: 2009/05/11(月) 23:47:48.24 ID:NdXM2BJF0
銀「さっきとは違う染み。何か、べたべたする……」

銀「この匂いといい、どう考えてもアレよねぇ」

銀「…………」

銀「子供みたいに見えてやっぱり女の子なのね」

267: 2009/05/11(月) 23:52:45.71 ID:NdXM2BJF0
銀「これは……」

銀「あの子、後ろの方まで汚しちゃってるわ」

銀「…………」

銀「さ、さすがにこの辺りでやめておこうかしら」

銀「これはこれでいいんだけどやっぱり罪悪感の方が勝るわね」

金「水銀燈ー、時間がかかっているようだけど何かあったのかしらー?」

銀「い、いいえ。何もないわ。今入るところよー」

268: 2009/05/11(月) 23:56:46.71 ID:NdXM2BJF0
金「もー、水銀燈遅いかしら」

銀「(まぁ当然だけどタオルでしっかり隠してるわ……)」

金「早くしないとカナだけ先に香水を落としてしまうかしら」

金「そうしたら今度はカナがあなたを襲っちゃうかもしれないかしら」

銀「…………」

銀「えっ……?」

金「何を驚いているかしら。冗談に決まっているかしら」

銀「そ、そう。冗談ね。あなたにしては面白かったわ」

金「どうしたのかしら水銀燈?何か様子が変かしら」

銀「そんなことないわ。それより身体を洗うから少しそこ空けてくれる?」

270: 2009/05/11(月) 23:59:40.57 ID:NdXM2BJF0
金「あの、水銀燈」

銀「な、なに?」

金「カナがお背中お流ししますかしら」

銀「い、いいわよ。そんなこと……」

金「迷惑……かしら?」

銀「そうじゃないけど、何か悪いわ」

金「悪くなんてないかしら。今日は水銀燈にいっぱい助けてもらったかしら」

金「カナは少しでも水銀燈のお役に立ちたいかしら」

銀「…………」

銀「ま、そこまで言われたら断れないわ」

金「よかった。それでは失礼しますかしら」

273: 2009/05/12(火) 00:04:49.49 ID:WcdFRmxK0
金「ふぁ。白くてすべすべで……キレイな背中かしらー」

銀「い、いちいちそういうこと言わないの」

金「あ、そういえば羽はどうやって洗ったらいいかしら?」

銀「適当……適当でいいわ。あとで自分で洗うから」

金「そうはいかないかしら。めいっぱい丁寧に洗うかしら」

銀「ちょ、やめ……付け根を擦るのはやめなさい」

277: 2009/05/12(火) 00:09:18.68 ID:WcdFRmxK0
金「ごしごしごし……」

銀「こ、こら。あなたどこ触ってるの」

金「ごめんなさい。今のは手が滑ったかしら」

銀「まったく、気をつけなさ……ひっ!?」

金「あ、また……」

銀「あ、ぁなたわざとやってない?」

金「そんなことはないかしら。本当に手が滑っただけかしら」

280: 2009/05/12(火) 00:14:28.57 ID:WcdFRmxK0
銀「はー、はー、はー……。も、もうやめなさい。もう十分にきれいだわ」

金「それじゃあ次は前の方を洗うかしら。バンザイしてこっちを向くかしら」

銀「…………」

金「??……どうしたのかしら水銀燈?」

銀「この子は……あまり調子に乗ってるんじゃないわよぅ?」

286: 2009/05/12(火) 00:16:45.03 ID:WcdFRmxK0
金「きゃあ、やめるかしら。お風呂であばれると危ないかしら」

銀「いいからそのタオルとりなさい」

金「あ、そ、それは取っちゃダメかしら……!」

銀「今度は私が洗ってあげるわ。あなたは黙って座ってなさい」

288: 2009/05/12(火) 00:23:55.38 ID:WcdFRmxK0
金「す、水銀燈。胸が背中に当たってるかしら」

銀「よく聞こえなかったわぁ。何が当たっているですって?」

金「だから、あの……あふぇ!?こっ、擦り付けるのはやめるかしら!」

290: 2009/05/12(火) 00:30:02.31 ID:WcdFRmxK0
金「あははははは、カナのは触っちゃダメかしらー!」

銀「なによぉ、つまらない反応ね」

金「そんなこと言われても……あはははは、くすぐったいかしらー!」

293: 2009/05/12(火) 00:34:44.34 ID:WcdFRmxK0
金「ひぁあ!そっ、そこは……!」

銀「ふぅん?やっぱりこっちは反応が違うんだ」

金「な、何を言って……やめ……ホントに……」

銀「うふふ……」

銀「今更やめるワケないでしょう?」

298: 2009/05/12(火) 00:41:51.89 ID:WcdFRmxK0
金「………!」

銀「…………」




……!!

…………

299: 2009/05/12(火) 00:43:16.13 ID:WcdFRmxK0
銀「ふぅ……お風呂上りのヤクルトは最高ねぇ」

金「…………」

銀「風が涼しくて気持ちいいわぁ」

金「…………」

銀「いいかげん機嫌直しなさいよぅ」

金「…………」

金「カナはあんな恥ずかしい目に会ったのは生まれて初めてかしら」

銀「最後はあなただって嫌がってなかったじゃない」

金「そ、そういうこと言うのは反則かしら!」

303: 2009/05/12(火) 00:49:44.92 ID:WcdFRmxK0
銀「はあ、ヤクルト美味しいわぁ……」

金「は、話を聞くかしら水銀燈!カナとヤクルトとどっちが……」

銀「あなたよ」

金「えっ?」

銀「ふふ……」

金「…………」

金「う~~~……」

308: 2009/05/12(火) 00:55:09.57 ID:WcdFRmxK0
銀「そろそろその鞄開けてあげれば?」

金「あ、そういえば翠星石たちのことすっかり忘れていたかしら」

銀「もう襲ってくることもないんでしょう?」

金「え、ええ。たぶん大丈夫と思うかしら」

金「…………」

銀「どうしたの?」

金「カナに考えがあるかしら。開けるのは少し待つかしら」

銀「考えって?」

金「まずは薔薇水晶と蒼星石を探すかしら」

310: 2009/05/12(火) 00:57:19.11 ID:WcdFRmxK0
蒼「……わかった。僕も手伝うよ」

銀「やけに物分りがいいじゃない」

蒼「大分迷惑をかけたからね。金糸雀の言うことに従うよ」

金「そんなの気にしなくて……でもあなたが協力してくれるのは本当に助かるかしら」

薔「あの……」

蒼「なに?」

薔「あ、ありがとう……」

蒼「別に君のためじゃない。言っただろう?僕は金糸雀の……」

金「蒼星石、そういう言い方は……」

蒼「わ、わかってる。なるべく彼女とも仲良くできるようにするよ」

311: 2009/05/12(火) 01:00:02.94 ID:WcdFRmxK0
翠「…………」

翠「…………」

翠「う~ん、もう朝になったですか……?」

薔「こんにちは……」

翠「…………」

翠「お、おめーは薔薇水晶!?なな、何でこんなところにいるですか!」

金「落ち着いて翠星石。この子はあなたを鞄から出してくれたかしら」

翠「チビカナ?それに真紅たちも……」

翠「アレ?確か翠星石は家でスコーンを……何だか思い出せねーです」

紅「よくわからないのだけど私も外で倒れているところをこの子に介抱してもらったみたいなの」

翠「え?おめーもですか真紅?」

313: 2009/05/12(火) 01:02:50.29 ID:WcdFRmxK0
翠「何があったのかほとんど覚えてねーですよ」

紅「私もよ。金糸雀が遊びに来た辺りから記憶がとても曖昧で……」

翠「誰かに追われてたような気がするです」

紅「むしろ追っていた気がするわ」

金「こ、細かいことはいいかしら。それより薔薇水晶に感謝するかしら」

314: 2009/05/12(火) 01:04:10.47 ID:WcdFRmxK0
ぼそぼそ……

薔「やっぱり……騙しているようで気が引ける……」

金「ひ、人聞きが悪いかしら。策と言ってほしいかしら」

蒼「別に騙してるわけじゃないさ」

金「蒼星石……?」

蒼「君たち隠し事はしてるけど嘘はひとことも言ってないよ」

金「あ、言われてみればそうかしら」

蒼「いいんじゃないの?彼女が真紅たちを介抱してあげたのは事実だし」

金「くす……」

蒼「な、なに?」

金「何でもないかしら。ありがとうかしら蒼星石」

318: 2009/05/12(火) 01:06:39.29 ID:WcdFRmxK0
金「えっと、あとはヒナを助けに行くかしら」

銀「雛苺がこの子を見たらちょっと怖がるかもしれないわね」

金「す、水銀燈……」

薔「それは仕方がない……私は……」

翠「そんときゃ翠星石が言い聞かせてやるですよ」

薔「え……?」

翠「この翠星石、受けた恩義は倍返し!ですぅ」

紅「私も協力するわ薔薇水晶」

薔「…………」

薔「ありがとう……」

321: 2009/05/12(火) 01:08:18.14 ID:WcdFRmxK0
銀「ま、しばらくは色々あると思うけど何かあればこの子に言うといいわ」

金「え、カナ……?」

銀「そうよ。今回はあなたが一番がんばったわ」

蒼「僕たち結局たいしたことはしてないしね」

紅「私なんか雛苺がどこにいるかも知らないわ」

金「あ、ヒナなら多分真紅の家のお手洗いに閉じ込められているかしら」

紅「誰がそんな酷いことを……」

金「こ、細かいことは気にしてはいけないかしら」

323: 2009/05/12(火) 01:11:17.65 ID:WcdFRmxK0
薔「あの……」

金「は、はい」

薔「よろしく……お願いします……」

金「…………」

金「ま、まぁ大船に乗った気でカナにどーんと任せるかしら」

銀「この子は……すぐ調子に乗るんだから」

金「困ったことがあれば何でも言うといいかしら」

金「薔薇乙女一の頭脳派この金糸雀が、楽してズルして解決かしら!」




金糸雀「何でいきなりモテモテになっているかしら」  ~fin~

324: 2009/05/12(火) 01:12:43.19 ID:9PbtjYGi0
乙!!!!

339: 2009/05/12(火) 01:33:30.08 ID:WcdFRmxK0
ありがとうございました。途中からgdgdぶりが酷くてスミマセン。
やはり長編は身の丈に合ってないので短編で明日また金メインで立てようと思います。
一応アニメ準拠ということできらきーはご容赦を…。

引用: 金糸雀「何でいきなりモテモテになっているかしら」