1: ◆v5iNaFrKLk 2015/05/15(金) 16:11:39.68 ID:xmAJ40mn0

コンコン

叢雲「入るわよ。遠征の報告なんだけど……って」ガチャ

叢雲「誰も居ない……あの馬鹿、またサボってるわね」


※注意※

・初スレ、初SSです

・趣味満載、キャラ崩壊有り

・そもそも>>1は艦これ初心者

もし良ければお付き合いください。



艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)

2: 2015/05/15(金) 16:16:04.38 ID:xmAJ40mn0

夕張「だから提督、この際だから大きめのタービンに換えてパワーアップを図るべきです」

提督「いや、これ以上は要らないよ。むしろ今のでもちょっと大げさな位だと思ってるんだから」

夕張「でも折角ここまで仕上がっているんだから勿体無いですよー」

提督「そうは言ってもなぁ」

夕張「ここは一つ、更なる高みを目指してもっと貪欲に 叢雲「何をしているの」

提・夕「「あ」」

叢雲「工廠を私的な理由で使うなと何回言ったら分かるのかしら、アンタら……!!」

夕張「アハハー……」

提督「いや、まあ……」メソラシー


深紫色の180SX←提督のクルマ

黄色の180SX←夕張のクルマ


3: 2015/05/15(金) 16:22:59.16 ID:xmAJ40mn0

叢雲「いいこと?ここは建造・開発をする施設であって、アンタら馬鹿二人のガレージじゃない」

提・夕「ハイ」

叢雲「しかもやるべき執務を放って愛車の整備に没頭とは随分いいご身分ね」

提督「でもさ、むらk……」

叢雲「あ゙?」

提督「スミマセンでした」

叢雲「で、夕張。秘書艦の役目はあくまで執務の補佐であって提督個人の趣味にまで付き合う必要は無いの」

夕張「ハイ」

叢雲「自由時間内なら構わないけど、今は執務中よ。それ位分かっているわよね?」

夕張「仰る通りです……」

叢雲「だったら……さっさと片付けて持ち場に戻りなさい!」

提・夕「は、はいいぃぃっっ!!」

叢雲「それと……瑞鳳」

瑞鳳「!?」ビクッ

叢雲「隠れているつもりだろうけど、バレバレだからね」

瑞鳳「ア、アハハー……面白そうだったからつい」

叢雲「あのねぇ……アナタもそういうのに興味を持つことは構わないけど、上司と秘書艦が職務放棄しているのを物陰から見ているだけだったら、アナタもあの馬鹿二人と同罪よ。分かった?」

瑞鳳「はぁい、気をつけまーす」

叢雲「全く……頭が痛くなるわ」

4: 2015/05/15(金) 16:33:46.51 ID:xmAJ40mn0

執務室

提督「やれやれ、相変わらず叢雲は怒らせると怖いよなぁ」

夕張「私達に非がある以上仕方ありませんね」

提督「でも、ウチは普段装備の開発位しか工廠を使わないし、設備も充実しているんだから余っているスペースも使わないと勿体無いよな」

夕張「懲りませんねぇ」

提督「だって勿体無いのは事実じゃん」

夕張「確かに。溶接機器もあるから、板金作業も出来ますし」

提督「あとはリフトがあれば最高だな」

夕張「それも同意しますが、ますます何の為の工廠か分からなくなりますね」

提督「というか、強制撤去された上めちゃめちゃ怒られそう」

夕張「ですが提督、リフトは無理ですが先日あるモノを発注しておきました」

提督「ほぅ……して、あるモノとは?」

夕張「エンジンクレーン」

提督「何でまたそんなもんを」

夕張「折角だからエンジン降ろして色々手を入れようかと」

提督「スゲエなお前……流石に自分でそこまでやる気力は無いわぁ」

夕張「あと、タイヤチェンジャーも一緒に」

提督「お、そっちは有り難い」

夕張「安価な製品なので手動ですが、無いよりマシかと思いまして」

提督「ビート落とすの面倒だからなぁ」

5: 2015/05/15(金) 16:47:11.65 ID:xmAJ40mn0

夕張「驚くにはまだ早いですよ、提督」

提督「まだ何かあるのか」

夕張「実はですね、ゆくゆくあのワンエイティでやりたいことがあるんですよ」

提督「やりたいこと?」

夕張「ええ。実はRB26を載せようと画策しておりまして……」

提督「え、お前それ本気で言ってるの?」

夕張「モチのロンです。出力を上げるなら一番手っ取り早い方法かと」

提督「そりゃあRB26ならSR20以上に頑丈でパワーもあるけど」


RB26=R32~R34までの第二世代GT-Rに搭載されていた直列6気筒エンジン。強い。速い。

SR20=180SXを含む様々な車種に搭載されていた直列4気筒エンジン。素ではそこそこだけどパーツは豊富。たまに化ける。


夕張「小さい車体に大出力のエンジン!これこそ最大にして究極の形!実に試し甲斐があるってものじゃないですか!」キラキラ

提督「夕張らしいと言えばらしいな、そのコンセプト」

夕張「そうでしょそうでしょ?」

提督「今となってはそこまで珍しくない気もするが」

夕張「実践しているのは一握りです」

6: 2015/05/15(金) 17:07:41.26 ID:xmAJ40mn0

提督「しっかし、以前から工作や機械弄りが好きなのは知ってはいたが……クルマ買った途端見事にどハマりしたなぁ」

夕張「提督の影響も大きいです」

提督「うーむ……仲間が出来て嬉しい反面、引き釣り込んでしまった罪悪感も少々」

夕張「提督が気に病む必要は無いでしょ。遅かれ早かれこうなってましたよ」

提督「そうかなぁ」

夕張「そうですよ。むしろ、感謝している位です」

提督「感謝?」

夕張「私は艦娘、元はと云えば人間とはいえ、やはり兵器として戦うことが前提です」

提督「そんなこと……っ」

夕張「勿論、提督が私達をそんな風に見ていないことは分かっていますよ」

提督「あ、ああ……」

夕張「提督から色々教わって私はクルマを、時雨ちゃんはギターを弾く様になったりしてますし」

提督(凛として時雨ってネタのつもりで教えたとは云うまい……)

夕張「何よりこうして提督と過ごす時間はとても楽しくて、私……いえ、私達にとって、かけがえの無い日常になっているんです」

提督 ←何故か涙ぐんでいる

夕張「本当に……ありがとうございます」

提督「夕張……!」

夕張「提督……さぁ行きましょう、スピードの向こう側へ!」

提督「いや、その台詞は無いわぁ」シレッ

夕張「 」

7: 2015/05/15(金) 17:24:23.22 ID:xmAJ40mn0

談話室

叢雲「全く。あの馬鹿二人はホンットにどうしようもないわね」

古鷹「また……提督と夕張、かな?」

叢雲「ええ、一人ずつなら何てことないけど、組んだ途端一気にタチが悪くなってウンザリだわ」

古鷹「提督と夕張って一番趣味が合うみたいだし……」ニガワライ

叢雲「クルマ、音楽、蕎麦屋の食べ歩きにマンガと、やったら合うのよねアイツら」

古鷹「でも、ここの艦娘は提督の影響受けた子は結構居るよね」

叢雲「だから余計に腹が立つのよ。初期艦であるこの私を差し置いて」

古鷹「あ、気にしてるのそこなんだ……」

叢雲「……今の無し」

古鷹(可愛い)

古鷹「でも、私も実は夕張のこと……ちょっと羨ましいなって」

叢雲「羨ましい?古鷹さんが?」

古鷹「うん」

叢雲「どうして?」

古鷹「提督と趣味の話で盛り上がっているのを見ていると、スゴく楽しそうだから。私はこれといって特に趣味は無い分、余計に……かな」

叢雲「古鷹さんでもそんなこと思うのね」

古鷹「これでもこの鎮守府では古参だからね。叢雲ちゃん程ではないにしても」

叢雲「それって関係あるのかしら……」

古鷹「そういうものなの。ねっ?」

叢雲「何か釈然としないわね……」

8: 2015/05/15(金) 17:36:07.04 ID:xmAJ40mn0

夜・鎮守府裏

夕張「提督!準備完了です!」ビシィッ

提督「よし!ではこれより、湾岸線に向けて出発する!」ビシィッ

夕張「了解です!」

「ちょーっと待ったー!!」

夕張「ムムッ!?」

提督「ナニヤツ!?」

青葉「呼ばれなくても登場!青葉ですぅ!」

提督「なんだ青葉か。この前頼まれたスクエアプッシャーのCDなら山城が返してくれないから無いぞ」

青葉「頼んだ覚えないですけど!?」

夕張「というか山城さんって、そういうのも聴くんだ……」

提督「ん?意外か?」

夕張「バーガーナッズやシロップ16gが好きなのは知ってました」

提督「元はと云えば俺の趣味だけどな」

夕張「毒されてますねぇ」

提督「でもアイツ邦洋問わず割と何でも聴くぞ。この前なんかマンサンの『ネガティブe.p.』持ち出してたし」

夕張「それはむしろイメージ通りなんですが(タイトル的な意味で)」


その頃の山城―

山城「トゥデーイ……バリ島で氏にたいよー……」

時雨「その選曲、山城が歌うと余計に重いよ」

14: 2015/05/15(金) 20:30:43.87 ID:xmAJ40mn0

青葉「山城さんの音楽の趣味なんかどうでもいいですよ!」

提督「俺としては勝手にCD持って行くから、かなり困ってるんだけど……」

青葉「それより!最近お二人が夜な夜な出掛けているとの情報を掴んだので、事実関係の調査をですね……」

夕張「随分と今更ね……」

提督「だなぁ」

青葉「えっ」

提督「最初に言っておくが、別に逢引してるとか恋仲になっているとかそういうアレじゃないぞ」

夕張「一緒に出てはいるけど、別行動というか別空間というか……」

青葉「??」

提督「要するに、それぞれのクルマで夜中の高速をドライブ。深夜徘徊だ」

青葉「……ど、ドライブデートってことですか?」

提督「広く取ればそう言えるかもしれんが……」

夕張「世間一般的におけるドライブデートで、わざわざクルマを2台出す必要はある?」

青葉「無い……ですね」

提督「だろう?やましい事なんて一つも無いっ」ドン

夕張(公道を[ヒエー]キロで走ることはやましい事ではないのかしら……)



15: 2015/05/15(金) 20:36:07.06 ID:xmAJ40mn0

青葉「グヌヌ……折角良いスクープが手に入ると思ったのに……!」

提督「まあ夕張と二人だけで出ているから、そう捉えられても仕方ない」

夕張「むしろ今まで知らなかったことに驚きね」

青葉「しかしこの青葉……このまま引き下がるわけにも行きません」

提督「うん、お前の性格からしてそうだろうな」

青葉「なので今夜は、お二人に同行させて頂きます!」

提督「別にいいけど」

青葉「意外とアッサリ!?」

夕張「提督がいいのであれば構わないけど……」

提督「いや、だって見られて困ることもないしな」

夕張(公道でゼロヨンをやっているのは見られても困らないのかしら……)

16: 2015/05/15(金) 20:39:29.48 ID:xmAJ40mn0

提督「とりあえず青葉は俺の横に乗りな。夕張の隣はまだ危ない」

夕張「下手だと言いたいんですね」

提督「いや、青葉乗せたらうるさくて集中出来ないだろう?」

夕張「んー……確かに」

青葉「ひどっ」

提督「行けば分かるさ。さて、ぼちぼち行こう」


17: 2015/05/15(金) 20:44:52.29 ID:xmAJ40mn0

青葉「あのー……提督」

提督「ん、何だ?」

青葉「どうして提督はそんなジェットコースターのガードみたいなシートベルトをしているんですか?」

提督「何でって、そりゃあ運転中に身体をしっかり固定する為だ」

青葉「では何故青葉の席には無いのでしょうか?」

提督「普段助手席に人乗せないから着けてないんだ……一応純正とはいえRのシートだから、普通のクルマに比べればホールド性は高いと思うぞ」

青葉「では、この後部座席とシート横に張り巡らされた鉄棒はなんでしょうか?ジャングルジムですか?」

提督「ボディの剛性アップと横転時の保護にも役立つ5点式ロールバーと後付のサイドバーだな」

青葉「……横転するんですか?」

提督「俺は無いけど、もしもってこともあるからな。ホントは着けたくないのヨ」

青葉「……青葉は生きて帰って来れますか?」

提督「生きて帰る事はクルマの運転においての鉄則です。お、夕張が踏み始めた」

青葉「え、ちょっとクルマってあんな速く加速するものなんですか……」

提督「あれでもまだ全然。というか、喋ってると舌噛むぞ」

青葉「いや、待ってやっぱり降りイヤアアアアアァァァァ!!!!」


18: 2015/05/15(金) 20:55:05.69 ID:xmAJ40mn0

某パーキングエリア

青葉「 」チーン

夕張「あらら、やっぱり伸びてますね」

提督「見出しはあれだな、『深夜の都心高速に木霊する絶叫!青葉・提督のクルマで失神事件!』ってとこか」

夕張「イニDじゃないんですから……」

提督「しかもド初期のネタだ」

青葉「 」

提督「まあ、普通あんなスピードで走り回るなんて恐怖以外の何者でもないだろう」

夕張「慣れって怖いですねー……」

提督「おっと、慣れた頃が危ないんだ。慢心ダメ、ゼッタイ」

夕張「精進しますね」

提督「そもそもこんな事しないのが一番なんだけどな」

青葉「ダメ……クルマが……壁が……迫ってくる……」

19: 2015/05/15(金) 20:59:59.08 ID:xmAJ40mn0

青葉「うぅー……この青葉、気絶するとは情けない」

提督「その割には走行時の動画はバッチリ撮れているのには驚きだ」カメラチェック

夕張「よく見えますねぇ」カメラチェック

青葉「それは青葉の台詞ですよ!?」

提督「ハハハ、で感想は?」

青葉「未知との遭遇とでも云いましょうか……お二人はいつもこんなことを?」

提督「そうだな。夕張がクルマ乗るようになってから週1、2日ペースかな」

夕張「たまに箱根の方にも行きますしね」

青葉「鎮守府内で他に同じ事をする人は?」
 
提督「今のところ夕張だけだな」

夕張「でも、時々瑞鳳が物陰から覗いている時もありますよ?」

提督「え、マジ?」

夕張「艦載機が好きな分、実は機械そのものにも興味あるんじゃないかしら」

提督「全然気付かなかったー……」

21: 2015/05/15(金) 21:14:35.88 ID:xmAJ40mn0

青葉「そういえば、今まであまり気にしていませんでしたがお二人は同じクルマなんですね」

提督「そ。年式で細かい違いはあるけど同じ180SX……通称、ワンエイティだ」


提督のワンエイティ

ミッドナイトパープルに塗装された中期型

それなりにチューニングを施しているが見た目は恐ろしく地味

前期バンパー+R32リップ、スモークテールが特徴

必氏で探したインパルのホイールがポイントらしい

約400ps程度


夕張のワンエイティ

パステルイ工口ーに塗装された後期型

開口部の大きなFバンパー、カーボンボンネット、低めのGTウィングを装備

まだ実験・製作途中の為パワーは控えめで、空力や足回りを重視しているとか

約300ps程度


青葉「同じ車種でも随分対照的ですねー」

提督「コイツみたいに見た目を派手にするのが嫌なんだよ」

夕張「提督が地味過ぎるんですよ。何でわざわざ前期のバンパーにしているんですか」

提督「俺の中で180SXと云えばこの顔なの!」

夕張「ただでさえ古臭いのに暗い色にするから余計に地味じゃないですか!」

青葉(クルマ知らない人からすればどーでもいいですねー)

23: 2015/05/15(金) 21:31:51.85 ID:xmAJ40mn0

>>20 HKSのドラッグ仕様180SXがまさにそれでしたねw


提督「グヌヌ……この渋さが分からんとは。これでも現役の頃は有名だったんだぞぅ」

青葉「現役って……提督は以前から?」

提督「免許取ってから4年位はしょっちゅう来てたよ。もう10年以上前だ」

青葉「ほえー……」

提督「当時は黒だったから『ステルス』とか言われてたらしい」

夕張「今でも変わらないじゃない……」

提督「あと『環状のインターセプター』とか、紫にしてからは『紫電』とかもあったな」

夕張「……通り名って、ゲームだけじゃなかったのね」

青葉「紫電に至っては安直ですねぇ」

提督「ま、深海棲艦が出るようになってから、それどころじゃなくなったったけどな」

青葉「あー……なるほどぉ」メモメモ

夕張「ところで提督、この後どうしましょうか?」

提督「そうだな……もういい時間だし、あと一周したら帰るか」

夕張「了解です……って、あら?」


26: 2015/05/15(金) 21:55:01.36 ID:xmAJ40mn0

ブーン……

夕張「赤い……雨宮エアロのFDですね」

提督「随分気合入ってそうだな。この時間に珍しい」

青葉「FD?」

提督「車名はRX-7なんだけど、あれは三代目のFD3S型だから通称FDなワケよ」

青葉「どうして型式で呼ぶんですか?」

提督「一口にRX-7と云っても、初代のSA22C、二代目のFC3Sもあるから、混同するのを避けて……かな。別にセブンでもいいんだけどさ」

夕張「私達のワンエイティはS13型の一代限りだから、そういうことは無いんだけどね」

青葉「なるほどー……」メモメモ

提督「でもこれもまた時々面倒で、シビックにもFD型があるからなぁ」

夕張「普通FDと云ったらセブンですよ」

提督「そうなんだけど、前にもナナマルっていうから70スープラの話かと思ったら、実は70ランクルだったってこともあったから……」

夕張「そしたら、セブンと云ったらスーパーセブンとかもあるんですか?」

提督「それも体験済みだが」

夕張「いやいやいや……」

青葉「???」


27: 2015/05/15(金) 22:14:30.67 ID:xmAJ40mn0

提督「ところでさー……」

夕張「はい?」

提督「もしあのFDから艦娘が出てきたら面白くない?」

青葉「まっさかー」

夕張「そうですよー。こんなことしてるの私達位……」ハッ

提督「……気付いたか、夕張」

夕張「いえ、まさかとは思いますが、色は違えどあのエアロって……」

提督「そうだ。例の兄弟の弟が乗っていたFDと同じだ」

夕張「そして……彼らが元々ホームにしていたのは……」

提・夕「「赤城山!!」

提督「……って、あるわけないってwww」

夕張「幾らなんでもそれはwww」

青葉「あのー……何の話ですか?」

提督「ああスマンwww後で俺の部屋にあるマンガを見せるからwww」

夕張「もー提督くだらな過ぎですよwww」

青葉「あ、ドライバーが降りてきました。女性のようd……」

提督「んwwwどうした青葉www」

青葉「 」ユビサシ

提督「ん?」

夕張「へ?」

赤城(私服)

提督「 」

夕張「 」




28: 2015/05/15(金) 22:26:07.64 ID:xmAJ40mn0

提督「イ、イヤーキレイナオネーサンデスネー」

夕張「ソーデスネーアコガレチャウー」

青葉「いや、あれ私服ですがどう見てもあk 提督「言うな!言えば現実になる!」

夕張「えー、そんな同じ赤城だからって、えー……」

提督「いや、きっとあれは赤城さんによく似た綺麗なお姉さんだ。そうに決まってる」

青葉「ではもう一人助手席から降りたサイドポニーの女性は加賀さん似の綺麗なお姉さんですね」

加賀(私服)

提督「 」

夕張「うわー……」

青葉(とりあえず写真撮っておこう)

赤城「あら?」

加賀「ふむ……」

赤城「あそこに居るのはもしかして、以前演習で相手になった……」

加賀「どうやらそのようですね」

29: 2015/05/15(金) 22:57:54.23 ID:xmAJ40mn0

※赤城さん・加賀さんの私服は各自補完でお願いします


提督「おー……やっぱり気付いた」

夕張「そういえば、私も私服の方がいいでしょうか?」

提督「うーん……考えたこと無かった」

青葉「あのお二人の格好は外を出歩くには流石に不自然ですからね」

提督「思いっきり浮くよな、どう考えても」

夕張「それにしても、艦娘でこういうクルマに乗ってる人が他にも居たなんて……」

提督「そういえばあそこの鎮守府の提督もクルマ好きなんだよなー。確かエリーゼに乗っていたハズ」

夕張「エンジンがトヨタのヤツでしたっけ」

提督「2ZZだな」

青葉「どうするんですか?」

提督「どうするもこうするも、顔を合わせた以上挨拶はしておこう」

夕張「逃げる方が怪しいですからね」

提督「そうそう。たまたま見知った顔に会っただけの話だ」

青葉「その割には随分慌てていたような……」

提督「そりゃあだって、こんな夜中に高速で[ヒエー]キロで走ってるなんて公に出来ないだろ」

夕張「ましてや他の鎮守府の人達だし……」

青葉「出る前に『やましいことは無い!』って言ってませんでしたか!?」


47: 2015/05/16(土) 09:08:54.35 ID:e/Rn2V3r0

由良「ワンエイティこと180SXは1989年、S13シルビアの姉妹車種として発売されたスポーティ・クーペです。発売当初の言い方をすると、スペシャリティ・カーに分類されます」

由良「車名の180は排気量、SXは当時の日産に存在したNX・SX・ZXのクーペがあり、この内の中型車両を指すのがSXでした。ZXは言わずもがなフェアレディZのことですが、NXクーペって日本では……うん」

由良「生産期間はおよそ10年。当初は車名の由来ともなるCA18エンジンを搭載していましたが、91年にマイナーチェンジを受けた際にお馴染みのSR20にスイッチ。さらに96年には外観に大幅な改修を受け、今でも見かけるあの丸テールになりました」

由良「排気量が2Lになったらワンエイティじゃないじゃんとは言ってはいけないお約束。ねっ?」

※シルビアの最終型になったS15の輸出名は200SXだったりします

由良「さて、特徴はリトラクタブル・ヘッドライトにハッチバックのスポーツカーらしいスタイル。前代のS12にもリトラ・ハッチバックのスタイルはあったので、それを踏襲したものともいえますね。ちなみにアメリカでは名前や外見の類似性から『240ZXの再来』とも言われていたようです」

由良「日本においても人気は絶大で、姉妹車種のシルビアと共に小型かつ当時としては高出力なFRとしてスポーツ走行の定番となり、あらゆるシーンにおいて活躍しました」

由良「特にドリフトにおいては、ハッチバック故にシルビアよりタイヤを多く積める利点もあったそうです。恐らく提督のワンエイティも>>1が栃木出身ということもあり、ドリフト界隈においてワンエイティ使いとしてその名を轟かせた古口・平岡両氏のかつての仕様を参考にしたものと思われます」

由良「余談になりますが、幼い頃の>>1はワンエイティという名称を知らず、『イチハチオーエスエックス』と呼んでいて、シルエイティが流行りだした頃にその呼称が間違いだったとようやく気付いたり」

由良「街中で見かければルーフ(正確にはピラー部分)が黒く、リトラのライトと外見に微妙に共通点のあるNSXだと思い込んだりと今となっては微笑ましい勘違いエピソードが多数あったようです」クスクス

由良「以上で簡単ながら、180SXの紹介を終わりにしたいと思います。ご清聴有難うございました」


52: 2015/05/16(土) 09:49:00.97 ID:e/Rn2V3r0

赤城「こんばんわ。以前お会いしたこと、ありましたよね?」

加賀 ペコリ

提督「ええ、その節はお世話になりました。そちらの提督さんはお元気で?」

赤城「はい。元気過ぎて困るくらいですよ」

加賀「少しは年齢を考えて落ち着いてほしいものです」ハァ

提督「いやあ……あの方が静かになったら、それはそれで怖いですよ」

赤城「ウフフ、それもそうですね」

青葉「結構普通に談笑してますね」ヒソヒソ

夕張「提督って意外とコミュ力高いから」ヒソヒソ

青葉「その割には浮いた話がありませんね」ヒソヒソ

夕張「基本ヘタレだからいつも良い人止まりなのよ」ヒソヒソ

青葉「押しが弱そうですもんねぇ」ヒソヒソ

53: 2015/05/16(土) 09:52:31.28 ID:e/Rn2V3r0

提督「(全部聞こえてるぞクソが)ところで随分気合の入ったFDに乗っているみたいだけど……」

赤城「ええ。当初は普通のクルマを買おうと思っていたのですが、提督に相談したら『是非乗ってみてくれ』と勧めてきまして」

提督「勧められたって、それ多分……」

加賀「恐らく、ウチの提督が乗ってみたかったってだけでしょうね」

提督「だよなぁ。あの人昔からロータリーも好きとは聞いていたが……」

赤城「それ以上にロータスが好きでエリーゼにしたみたいですが、心の何処かに引っかかっていたのでしょう」

加賀「赤城さん、最初は気乗りしなかったみたいですが……日を追うごとにのめり込みましたね」

赤城「お恥ずかしながら、今ではあのような形になりました」

提督「いえいえ、ウチの夕張も似たようなもんですから」



55: 2015/05/16(土) 10:09:47.61 ID:e/Rn2V3r0

青葉「夕張さん、ロータリンだか口リータだかとは一体何ですか?」ヒソヒソ

夕張「ロータリーとロータス。ロータリーはエンジンの形式で、ロータスはイギリスの自動車メーカーのことよ」ヒソヒソ

青葉「で、そのロータリーって普通のエンジンとはどう違うんですか?」ヒソヒソ

夕張「通常のレシプロエンジンは一つの燃焼室で圧縮・燃焼・爆発・吸排気と4つの工程を分別してピストンを動かし、動力を得ているの。これが現在主流の所謂4サイクルね」

夕張「一方ロータリーはその名の通り、おにぎり型のローターが繭型の燃焼室を一回転する間にその工程をほぼ同時にこなすことが出来るの」

青葉「同時に、ですか」

夕張「そういう意味では2サイクルも似たようになっちゃうけど、今はロータリーの話だから説明はナシ」

夕張「ロータリーの利点はレシプロみたいにピストンの上下運動を回転運動に変換する必要が無い分、エネルギーのロスも少ないことね」

青葉「うーん……分かったような分からないような」

夕張「本当は図で書いた方が分かりやすいんだけど」

青葉「でも要するに、スゴく効率の良いエンジンってことですね」

夕張「とりあえずそう思ってもらっていいわ。更に構造もシンプルで軽量。水素燃料でも動かせるらしいの」

56: 2015/05/16(土) 10:24:02.19 ID:e/Rn2V3r0

青葉「へえぇ……その割にはあまり普及しているようには思えませんが」

夕張「レシプロに比べるとデリケートだったのよ」

青葉「ほう」

夕張「とてつもない精度が必要だったの。当初は未来のエンジンと期待され、各国のメーカーはこぞって開発に乗り出したものの、とても採算が取れるものではないと見放された」

夕張「最終的に残っていたマツダだけが実用化に成功したのよ。開発秘話はプロジェクトⅩにも取り上げられたわね」

夕張「その後ル・マンで日本車唯一の総合優勝を飾った787Bを始め、小型車からレーシングカー、果てはマイクロバスまでマツダは様々な車種に載せられたわ」

青葉 メモメモ

夕張「あと燃費が悪くなりやすい、低回転域が弱いというのもデメリットね。RX-8の生産が終わっているから今現在ロータリーエンジンは途絶えてしまったけど、その魅力に取り憑かれるファンは後を絶たないわ。赤城さんもその口じゃない?」

夕張「まあ、若干語弊があるかも知れないけど、大方こんな具合ね」

提督「長々と説明有難う」ツーバーメヨー

夕張「あれ?聞いてました?」タカーイソーラカーラー

提督「呼びかけても応じなさそうだから、終わるまで待ってたんだ」オシエーテヨー

夕張「あら、それは失礼しました」チジョウノホシヲー

提督「それより……って青葉歌うな。帰る前にちょっとした演習だ」

夕張「演習?」

57: 2015/05/16(土) 10:28:34.18 ID:e/Rn2V3r0

赤城「私と夕張さん。ここから環状線までの一周を一緒に走らせてもらおうと」

夕張「それって、もしかしてバトルじゃ……」

提督「バトルってそんなゲームやマンガじゃあるまいし。ただいつもよりハイペースで並走するだけだ」

夕張「同じじゃないですかぁ!!」

赤城「どう?加賀さん?」

加賀「……入電が来ました。現在流れは良好」

加賀「通行量も少なく、事故・工事・移動オービス等の取締りをしている箇所も無いそうです」

赤城「了解です。行けますね」

青葉「あの、加賀さんは何を……?」

加賀「彩雲を飛ばして交通状況の確認をしていました」ドヤッ

青葉「使い方!」

58: 2015/05/16(土) 10:36:39.77 ID:e/Rn2V3r0

赤城「では、私が先行しますね」

夕張「……了解です」

提督「どうした、浮かない顔して」

夕張「そりゃあ、勝手に演習という名のバトルをさせられることになったんですから……」ハァ

提督「だからバトルじゃないって」

夕張「いい加減引っ叩きますよ?」

夕張「というか!私提督以外の人と走るの初めて!」

提督「そうだっけ?前に俺の友達の岩崎に乗せてもらったことあるじゃないか」

夕張「私の意識が速攻で壱・撃・離・脱したからノーカンです!」

青葉「なんだ、夕張さんも気絶してたんですね」プッ

提督「アイツは色々キレ過ぎだからなぁ」

加賀「盛り上がっているようですが、そちらの提督はどうするんですか?私は赤城さんに同乗しますが」

提督「折角だから、後ろに着いてって観戦させてもらうよ」

青葉「撮影は青葉にお任せ!」

赤城「ふふ。では、行きましょうか」

夕張「もー……」


71: 2015/05/16(土) 22:03:46.74 ID:Ue8nxK3S0

青葉「それで、夕張さんに勝機はあるんですか?」

提督「どうだろな。パッと見た限り赤城さんが優勢かな」

青葉「と、言いマスと?」

提督「FDとワンエイティではクルマの基礎からして違うのだが、ここはサーキットじゃないんだからそこはあえて考慮しないとして」

提督「クルマの動きを見ている限り、赤城さんは無駄が無い。策敵で鍛えたのか、周りの流れがよく見えている。この場所を走る上で大きな武器だ」

青葉「今はまだ流す程度の速度ですが、それでも分かるんですか」

提督「まあね。青葉もよく見ていてごらん。ホラ、今何かちょうど……」

青葉「言われてみると、夕張さんは少し躊躇しているようにも見えますね」

提督「アイツは感覚だけで判断するのを嫌うからな。まあ、無理はしないと散々教え込んだってのもある」

青葉「ふむ……」

提督「何が起こるか分からない以上、行かないと決めたら絶対に行かない。それも大事なことなんだけど、アイツの場合良くも悪くも慎重過ぎるんだよ」

青葉「一方の赤城さんはスパッと行きますね」

提督「クルマも良く作りこまれているから、足も綺麗に動いているな。FR乗りなら誰もが見習いたいものだ」

72: 2015/05/16(土) 22:09:24.20 ID:Ue8nxK3S0

青葉「まるで地上の戦闘機、といったところでしょうか」

提督「良いこと言うな。実はFDってゼロ戦を参考にしているんだ」

青葉「ゼロ戦を?」

提督「ゼロ戦と云えば、徹底的な軽量化を施して性能を向上させたことで有名だろう?」

青葉「ええ、開戦当初は無敵でした」

提督「FDの開発チームはわざわざ渡米して、僅かに残っていたゼロ戦を見て、軽量化の技術を学んだらしい」

青葉「なんと……現代にまで技術が繋がれているんですねぇ」

提督「終戦後に飛行機屋がクルマ屋になっていたりする例もあるぞ。BMWのエンブレムも元はと云えばプロペラがモチーフだ」

提督「日本では中島飛行機が解散した後、スバルとプリンス自動車に別れている。まあ、プリンスは日産と合併したけど」

青葉「そう考えると、感慨深いものですね」

提督「その大戦で沈んだ艦の魂を背負う艦娘に言うのも変だけどな」

青葉「艦娘も元は人間ですから」

提督「ん……そうだ、ちょっと夕張に電話を繋いでくれ」

青葉「今運転中ですよ?」

提督「ハンズフリーだから大丈夫だ。早くかけてかけて」

73: 2015/05/16(土) 22:11:34.64 ID:Ue8nxK3S0

ピロリロ

夕張「あーっ!こんな時に電話なんて誰よ!」ピッ

提督『もしもーし、夕張ー聞こえるかー』

青葉『青葉も居まーすっ』

夕張「何ですか提督!もうすぐスタート地点なんですから!」

提督『おお怖い怖い』

夕張「チャカすだけなら切りますよ!」

提督『いいから落ち着け。冷静さを欠いたら勝てるモンも勝てん』

夕張「……私、勝てるんですか?」

提督『俺の見込みでは7:3でお前の負けだな』

夕張「キーッ!!」

提督『だから落ち着けって。いいか、赤城の方がクルマも腕も恐らく上だ。ソレばかりはどうしようもならん』

74: 2015/05/16(土) 22:14:29.26 ID:Ue8nxK3S0

夕張「じゃあ、どうすればいいんですか……」

提督『言ったろ?これは演習だって。お前なら勝てはしなくても離されることもない。いつも通り楽にすればいい』

夕張「楽に……」

提督『深呼吸してからいつもの三か条、言ってごらん』

夕張「スー……ハー……」

夕張「一つ、周りをよく見ること」

提督『うむ』

夕張「一つ、迷った時は止めること」

提督『よし』

青葉『スタート地点到達!赤城さん加速を始めました!』

夕張「一つ……楽しむこと!」

提督『そうだ!行って来い!』

夕張「はい!」

75: 2015/05/16(土) 22:17:45.55 ID:Ue8nxK3S0

青葉「あわわ……は、はやいぃっ……」ガチガチ

提督「ワハハ!赤城さん完全バトルモードだな!お淑やかな顔してとんでもねえ踏みっぷりだ!」

青葉「スピードが違いすぎるゥ!」

提督「青葉うっさい!」

青葉「でっでででも、さっきより夕張さんの動きにキレがありますね」

提督「流石青葉!しっかり見とけよ!」

青葉「……っ!……っ!」

提督「今俺達がやっていることは救いの無い愚かな行為だ!」

青葉「はいぃ!」

提督「だが今この瞬間は全員本気だ!例え一瞬で全てを無に返してしまうことになったとしても!」


提督「こんな飛び切りの時間、人生において味わえる機会なんざ早々ねえ!」


提督「その目で!カメラで!しっかり焼き付けておけ!」

青葉「提督!何かキャラ違いませんかあぁぁぁ~……っ」

76: 2015/05/16(土) 22:21:51.22 ID:Ue8nxK3S0

青葉『ヒエエエエエエー……』ピッ

夕張「心が軽い……いつもより動ける……」

夕張「もう何も怖く……ってフラグ乙っと」

夕張「無駄口を叩ける位、リラックスできているわ 」

夕張「それでも、体の中の圧が高くなる感じ……テンションとは違う」

夕張「奥底から湧き上がるような、この高揚感」

夕張「……悪くないわね」

夕張「こうして見ると、赤城さんのFDってホント良く出来てるわねー……」

夕張「FDとワンエイティの差かしら?パワーは向こうの方が出ていそうだけど……」

夕張「出口からのトラクションの掛け方が上手いわね。見習うべき点は多そう……」フム

夕張「でも、私の方が入り口で一瞬追いつく。ブレーキングは私の方が上?」

夕張「ああ、向こうは加賀さんも乗っているんだった。それを差し引いたらほぼ互角ってことね」

夕張「よし!ピッタリ着いてデータを取って、私のワンエイティの礎にさせてもらうわ!」


77: 2015/05/16(土) 22:25:56.16 ID:Ue8nxK3S0

赤城「ふふっ」

加賀「楽しそうね、赤城さん」

赤城「勿論。普段の戦闘とはまた違った緊張感、何だか心地良いの」

加賀「……やはり私には理解しかねるわ」

赤城「あら、どうして?」

加賀「無益だからよ」

赤城「趣味なんて大抵無益なものじゃない?」

加賀「それは分かります。が、これは得るものより失うものの方が遥かに勝る」

加賀「出来れば降りて欲しいの、私は」

赤城「それが……いつも横に乗る理由?」

加賀「分かりましたか?」

赤城「長い付き合いだもの」

加賀「勿論、この程度で降りてくれるなんて思っていません」

赤城「そうね。とっくに止めていると思うわ」

加賀「だから……どんな形であれ、いずれ訪れる最期の時まで、隣で見届けましょう」

赤城「……ゴメンなさいね、ワガママで」

加賀「お互い様です」

79: 2015/05/16(土) 22:31:32.27 ID:Ue8nxK3S0

提督「オイオイ、マジー……?」

青葉「 」ミギニフラレ

提督「夕張のヤツ、いつもより速いんじゃないのー……?」

青葉「 」ヒダリニフラレ

青葉「って、提督ー」

提督「どしたァ!」

青葉「何ですかその青い炎を操る赤髪のバンドマンみたいな返事!百八式ですか!?」

提督「お前また人のゲームを勝手にやってたな!ネタが分かりづらいんだからヤメレそういうの!」

青葉「それより!都心高速って!何でこんな入り組んでいるんですかぁー!?」

提督「突貫工事で作ったからだよ!新規に道路を通す暇が無くて、川を埋め立てたりして作ったからな!今となっちゃ欠陥だと認める始末だ!」

80: 2015/05/16(土) 22:35:02.82 ID:Ue8nxK3S0

青葉「な、なんでー!?」

提督「一番はオリンピックじゃないか!?当時はクルマが増え始めた頃でもあったから、それに対応するためにも大慌てだったらしい!」

提督「だが当時のクルマはてんとう虫だのそんなんばっかだ!出しても精々60キロ!こんな造りでも充分だった!」

提督「ところが今はどうだ!同じ軽自動車の括りでもパワーは十倍近い!この狭い国で横幅1.8メートルあるクルマもザラにある!」

提督「交通量は格段に増え、一家に一台どころか一人一台持っていてもおかしくない時代!」

提督「半世紀近くで自動車は格段に性能が上がった!しかし縦横無尽に無理くり繋げてしまった道をイチから建て直すことも出来ない!」

提督「そして今では高速道路とは名ばかりの、都会の迷宮となったわけだ!」


81: 2015/05/16(土) 22:39:33.92 ID:Ue8nxK3S0

青葉「その結果がこれですかぁ!?」

提督「このジャンクションのコーナーを抜ければ、外回りで一番速度がノる下りのストレートだ!」

提督「下った先に川だった頃の名残の橋桁がある!」

青葉「な、何で橋桁が!?」

提督「無理矢理作ったって言ったろ!ここからが難所よ!」

提督「ただでさえ見通しの悪いS字に橋桁の威圧感ったら、規制速度内でも怖いぞぉ!」

青葉「ならスピード落としてぇ!」

提督「アホ言え!丁度一般車両も居ない!間違いなく二人とも踏み抜く!」

青葉「うひぃいぃいぃぃ」

提督「下りのストレート……!オールクリア!」

82: 2015/05/16(土) 22:42:05.21 ID:Ue8nxK3S0

夕張「前方車両無し……オールクリア」

夕張「ここから先なら、この子でもFDに着いていける……っ」

夕張「いける……並べる……っ」


加賀「……並ばれましたね」

赤城「そうね」

加賀「本当に楽しそうなんだから……」

赤城「これでも抑えている方よ?この状況では、流石に気分が高揚します」

加賀「え、それ私の……」


夕張「もう少しで……っ!」

夕張「ああーっ!もう!もっとパワーが欲しい!」

83: 2015/05/16(土) 22:46:48.68 ID:Ue8nxK3S0

提督「あ、マズイ」

青葉(え、急に声のトーンが)

提督「夕張、そっちのラインを選ぶと……飛ぶぞ」

青葉「と、飛ぶって……!?」

提督「文字通りだよ。橋桁抜けた直後のS字は酷くうねっているんだ」

提督「角度によっちゃあ最悪出口で分離帯に……刺さる」

青葉「さ、刺さる!?」

提督「夕張め、赤城さんのペースに釣られて、実力以上の域に入ってる!」

提督「事によっては二台が絡むぞ!」

青葉「えええぇぇぇっ!?ヤバいじゃないですかぁ!」

提督「……そこは引けぇ!夕張ぃ!」

84: 2015/05/16(土) 22:49:44.76 ID:Ue8nxK3S0

夕張「S字手前で前に出れる……そういえば、こっちのラインってあんまり通らないようにしていたな……」

夕張でも「今なら行ける……かつてない程乗れている……」

夕張「行け……行けっ……行け――っ!」


赤城「……!?」

加賀「どうかしました?」

赤城「………」

加賀「?」

赤城「……ここは譲れませんっ」

加賀「また……私の……」


85: 2015/05/16(土) 22:53:37.74 ID:Ue8nxK3S0

コーナー入り口、先に進入したのはワンエイティだった。

赤城のラインを潰す様に鼻先を突っ込む。

前へ、前へ、前へ―っ

夕張(動きがスローモーションに見える……)

夕張(タイヤが跳ねている……手に取るように分かる)

夕張(フロントの接地感が無い……)

夕張(……飛ぶっ!)

コンマ数秒の中、夕張の頭の中でこの後起こりうるクルマの挙動は予測できた。

車体全体がスライドしたまま宙に浮き、制御不能に陥る。

この速度では、無理に立て直そうとすれば余計に悪化する恐れがある。

更にすぐ後ろには赤城のRX-7……続けて提督の180SXが。

自分に何かあれば、最悪後続を巻き込みかねない。

ならば最小限の被害に抑えるためには……

86: 2015/05/16(土) 22:56:23.69 ID:Ue8nxK3S0

ガツンッ!!

夕張「~~~っっ!!」


青葉「横から壁に突っ込んだーっ!!」ギャー

提督「おいいぃぃっっ!!それ元々俺が買ったエアロだぞーっ!?」

青葉「……え?」


加賀「……赤城さんっ」

赤城「終わり、ですね……」


夕張の選択。

コーナー出口の側面に車体を押し付け、無理矢理体勢を整える自滅の方法だった。

ただ壁に当てるだけではダメ。角度が深ければ反対方向に吹っ飛ばされかねない。

無残にも壁に車体を打ち付けるワンエイティを尻目に、赤城の赤いRX-7が通り過ぎる……。

夕張「……やっちゃった」

夕張「一番近いランプは芝ふ公園か……何とか自走はできそうだけど」

93: 2015/05/17(日) 00:59:16.61 ID:Z270vncJ0

芝ふ公園ランプ

提督「夕張ー!!」ドアバン

青葉「夕張さーん!!」ドアバン

夕張「アッハハー……やっちゃいましたー……」

提督「こんの馬鹿!何ともないか!?」

夕張「全然、ピンピンしてますよ」

提督「俺の買ったエアロ……テメ、割れてたら弁償だからな!」

夕張「 」

青葉「薄情な人ですねぇ。さっきは貶すようなこと言っておいて」

夕張「使ってないからって私が勝手に着けちゃったから、仕方ないです」

94: 2015/05/17(日) 01:01:26.18 ID:Z270vncJ0

青葉「そう云えば、赤城さんと加賀さんは?」

夕張「あの二人なら、あそこに……」

赤城 ペコ
加賀 ペコ

提督「赤城さんにも感謝だな……最悪FDも巻き込むところだった」

夕張「私が体勢を崩す中、上手く避けてくれましたからね……ビックリしました」

提督「とりあえず挨拶してくる。夕張はそのままでいいから。青葉、行こう」

青葉「ハイ!」

タッタッタッ……

夕張「それにしても……」

夕張「最初の台詞がホントにフラグになるとはネ……」フッ

夕張「もう何も怖くないって……メチャメチャ怖かったんですけど!」


95: 2015/05/17(日) 01:03:53.60 ID:Z270vncJ0

提督「とりあえず、赤城さん達には帰ってもらったよ」タバコトリダシ

夕張「青葉は?」

提督「コンビニに行ってもらってる。喉渇いたしナ」ジッポーシュボ

提督「それと赤城さんからの伝言。『楽しかった。またご一緒しましょう』だと」

夕張「………」

夕張「……提督」

提督「なんだ」フー

夕張「負けちゃいました……」

提督「完膚無く、お前の負けだ」

夕張「乗れている……と思ったんですけどねぇ」

提督「そうだな。見事に赤城さんにノせられていた」

夕張「……そう、ですよね……」

夕張「あの瞬間……凄く怖かった」

提督 スパー

夕張「でもそれ以上に……負けたことが悔しいです」

提督「あァ」

夕張「僅かでも自惚れていた、自分にも腹が立ちます」ジワッ

提督「あァ」

夕張「自分のミスで……この子もボロボロにしたことに……もっと腹が立ちます」
ポロポロ

提督「……なら、やめるか」フー

96: 2015/05/17(日) 01:06:28.87 ID:Z270vncJ0

夕張 グシュッ

提督「お前が今片足突っ込んでいるのは、こういう世界だ」

提督「俺が現役の頃にもナ、事故起こしたヤツは何人も居た」

提督「何人かはケロッとした顔でまた戻ってきた。中には、重い障害を持ったヤツ、氏んだヤツも居た」

提督「お前だって艦娘である前に一人の人間だ。本音を言えば、ただでさえ明日も分からない場所に居るのに、わざわざこんなキナ臭い所に置いておきたくはないのヨ」

夕張「じゃあ、どうして……提督はここに……」

提督「さぁねェ。気付いたらココに居たし、また気付いたら舞い戻っちまった」

提督「本当はお前をダシに、戻りたかっただけかも知れん」

提督「夕張。さっきは完膚無く負けたとは云ったけどな、でも勝者は居ないんだ。誰一人として」

提督「残るか降りるか……選択肢はそれだけ」

夕張 ウゥッ

提督「これを機会に降りるのなら俺は止めはしない。丁度良い機会だしナ」

提督「それでも残るというなら、それを咎める気も無い。俺にはその権利は無い」

提督「いつだって、お前次第だ……」


さあ――お前はどうする――?


97: 2015/05/17(日) 01:08:02.87 ID:Z270vncJ0

夕張 ウエェェェン

提督 タバコポロッ

提督「ちょ、え。何で泣くんだよ」

夕張「だってぇぇ~……」ウエェェン

提督「ああ、もう落ち着けって。今このタイミングで青葉が帰って来たら……」

青葉「提督ぅー!ウーロン茶ー……って、ああ!提督が夕張さん泣かしてるー!」

提督「ちがっ……夕張が勝手に……ってオイ!写真撮るな!」

青葉「ナイスデスネー。ナイスデスネー」パシャパシャ

夕張 オーイオイオイ

提督「ギャーッ!ヤメレー!」


夕張180SX vs 赤城RX-7

対戦結果……D 敗北

98: 2015/05/17(日) 01:09:09.54 ID:Z270vncJ0

GSしとくかい?

YES ←
NO

99: 2015/05/17(日) 03:17:57.83 ID:KxhVHvVso

昔サーキットやらなんやらでインプでGT-Rに噛みついたり煽り倒したりぶち抜いたりした過去を思い出したわ
しかし>>1よ、レブと仁と湾岸もだがナニワトモアレを忘れてないか?

100: 2015/05/17(日) 05:44:49.86 ID:MpePbJGYo
乙乙

隣に夏美乗せとけばワンチャンあったかもww
あのころの藤島は二輪、四輪多くてよかった

次回:【艦これ】夕張「クルマ買いました!」【その2】


引用: 夕張「クルマ買いました!」