1: 2009/06/30(火) 08:10:50.31 ID:UpZ6JRB2O

昼休み。大事な話があると俺を呼び出した古泉は、唐突に意味不明な事を言い出した。

古泉「そうです。貴方の遺伝子情報を元に、惚れ薬のような物の開発に成功致しました」

キョン「なんだ『のような』と言うのは?それに唐突過ぎて意味がワカラン」

古泉「まぁ細かい事は置いといて……これなんですが」

古泉は机の上にペットボトルを置いた。

キョン「これがその惚れ薬のような物?」

中には半分ほど、水のような液体が入っている。

古泉「ええ、無色無味無臭です」

キョン「へぇ……」

惚れ薬と言うからには、ピンクのイメージがあったが。

古泉「まだ未完成ですがね」

キョン「未完成って事は何か問題点があるのか?」

3: 2009/06/30(火) 08:11:42.33 ID:UpZ6JRB2O
古泉「ええ。先ず、この薬を飲むと貴方と同様の属性を得られるんです」

キョン「俺と同様の属性?」

ますます意味がワカラン。

古泉「そこが問題点なんですよ。これを飲めば、貴方の倍はモテモテになる。しかし、それと同時にフラクラ能力も倍になってしまいます」

キョン「…………」

5: 2009/06/30(火) 08:12:50.54 ID:UpZ6JRB2O
キョン「……えっとだ。俺はモテモテだったのか?」

古泉「そして最強のフラグクラッシャーですねぇ。現在も自覚してない辺りが特に」

キョン「……まぁいい。そんな物を校内に持ち込んで何を考えている古泉?」

古泉「長門さんに助言を伺いたくてね。我々『機関』の研究施設では、これ以上改良出来ないらしくて」

キョン「成程。長門ならか……って、どう改良するつもりだ?」

古泉「理想としては、フラクラ能力が発動しない事ですよ。現状のままモテモテになる。男の夢ですから」

6: 2009/06/30(火) 08:14:36.85 ID:UpZ6JRB2O
キョン「……お前の所属する『機関』とやらは、アホの集まりなのか?」

古泉「貴方だから言える台詞ですねぇ」

キョン「モテモテになってどうする。面倒くさいだけじゃないのか?」

古泉「それも、貴方だからこその台詞ですよ」

キョン「……まったく。貴重な昼休みに、よくもまぁこんなくだらない事でわざわざ部室に呼び出しやがって……」

古泉「くだらない事ありませんよ。しかもこれは、男女問わず惚れさせる事が」

―――ガチャッ

谷口「うーっす!ってあれ?キョンと……古泉だったよな?お前達二人だけか?」

キョン「谷口?」

谷口「ったく、涼宮の奴。人を呼び出して置いて……それにしても暑いな今日は。これ、ちょっと貰うぜ」

そう言って谷口は机の上にあったペットボトルを手に……おいっ!?

キョン「待て谷口!?」

古泉「ちょっと待って下さい!!」

谷口「喉が渇いて今直ぐにでも氏にそうなんだよ。後で新しいの奢るから良いだろ……」

―――ゴクッゴクッ

8: 2009/06/30(火) 08:17:44.61 ID:UpZ6JRB2O

谷口「ぷはっ……あー生き返ったぜ」

全部飲みやがった。

キョン「おい、古泉。谷口はどうなっちまうんだ?」

古泉「…………」

キョン「古泉?」

古泉「……済んでしまった事は仕方ありませんよぉ」

キョン「はぁ?」

古泉「谷口きゅ……谷口君、涼宮さんに呼び出されたんですか?」

『きゅ』って古泉。谷口を何て呼ぼうとしたんだお前は。

きゅんか?谷口きゅんなのか?ええ?

13: 2009/06/30(火) 08:25:40.28 ID:UpZ6JRB2O
そして古泉は何故か頬を紅潮させながら、谷口の肩に手を置きながら話し始めた。

古泉「いったい、どのような用件で?」

谷口「良くわかんねーんだよ俺も。
『私の手伝いをしなさい!来ないと氏刑よ!』
とか言われてよー」

古泉「……困ったものですねぇ」

谷口「本当だよ。涼宮の奴とは、あんまり関わりたくないんだがなぁ」

古泉「んっふ、涼宮さんのみならず女性なんてそんな物ですよ。女性と親しくなっても疲れるだけ……」

谷口「なんだよ急に。って顔が近ぇよ!息がかかってるって!なんで鼻血出してんだよ!?気持ち悪いっ!?」

古泉「ああん……つれない御方ですねぇ」

キョン「…………」

―――ガチャッ

ハルヒ「やっほー!谷口来てるっ!?」

14: 2009/06/30(火) 08:26:48.37 ID:UpZ6JRB2O

ハルヒ「キョンと古泉君も一緒?ちょうど良いわっ!貴方達も今年の七夕祭りの準備と手伝いをしな……さ……い……」

谷口を一目見るなり、ハルヒの動きが止まった。

谷口「七夕祭り?なんだよそれは」

ハルヒ「あっ……えっと、その」

谷口「俺をパシリか何かに使うつもりか?俺はゴメンだぞ?こう見えて俺は忙しいんだ涼宮」

ハルヒ「ち、違うわよっ!?その、買い物を頼む……そうっ!?
い、いいいっしょに買い物をしなさいよ私と思ってっ!?」

日本語で喋ってくれハルヒ。

16: 2009/06/30(火) 08:29:05.62 ID:UpZ6JRB2O

谷口「一緒に買い物?」

ハルヒ「そ、そうよっ!?私と一緒に、放課後二人で」

古泉「みんなで行きましょうっ!!」

ハルヒ「古泉君っ!?」

古泉「『みんなで』買い物に行きましょうか涼宮さん。七夕祭りと言うからには、色々と購入しなければいけないでしょう?」

ハルヒ「だ、駄目よ駄目よぅ!?」

古泉「何が駄目なんですか?こういう買い物は『みんなで』するのが良いじゃないですか。
ねぇ、谷口君も『みんなで』買い物するのが良いですよねぇ?」

強調し過ぎだ古泉。

そんなにハルヒと谷口が、二人で買い物に行くのが嫌なのか。

19: 2009/06/30(火) 08:38:06.07 ID:UpZ6JRB2O

谷口「なぁ。盛り上がっているトコ悪いが、今日は国木田と約束があるんだよ」

ハルヒ「…………」

古泉「…………」

これがフラクラ能力ってやつ?

谷口「それにそんな餓鬼臭いのは苦手だし、面倒くさ」

ハルヒ「明日っ!じゃ、じゃあ明日は!?」

谷口「明日とか言われても俺は」

古泉「決まりですね!明日行きましょう!ええ、『みんなで』行きましょう!」

ハルヒ「決定ね!明日の放課後よ!」

谷口「面倒くせえ……そういうのはキョン。お前の仕事だろ?」

キョン「俺にふるな」

20: 2009/06/30(火) 08:41:13.04 ID:UpZ6JRB2O

ハルヒ「明日の放課後、駅前に集合ね!決まりなんだからっ!!」

谷口「おい涼宮。俺はまだ行くとは……」

ハルヒ「放課後、ここに集合よっ!遅れたら罰金っ!」

古泉「そろそろ授業ですね。では谷口きゅん。明日の放課後」

谷口「お、おい」

有無を言わさず二人でたたみかけ、最後には無理矢理約束させて逃亡したハルヒと古泉。

そんなに谷口と買い物に行きたいのか。お前達は。

谷口「…………」

キョン「……良かったなぁ谷口。モテモテで」

谷口「面倒くせえなぁ……」

22: 2009/06/30(火) 08:50:32.01 ID:UpZ6JRB2O
………

……



俺と谷口は、昼休み終了間際に教室に戻った。

谷口「……なんか視線を感じるな」

そりゃそうだ。教室中の女子が、谷口を恍惚の表情で眺めている。

あと国木田も。

国木田……お前ってやっぱり……。

24: 2009/06/30(火) 08:53:08.67 ID:UpZ6JRB2O


ハルヒ「ねぇキョン」

キョン「なんだハルヒ?」

ハルヒ「谷口をSOS団の正式団員として入団させようと思うんだけど……」

キョン「…………」

……それはそれで面白そうだな。

キョン「ああ、いいんじゃないか?反対する理由も無い」

ハルヒ「そ、そうよね!」

嬉しそうだなぁハルヒよ。

25: 2009/06/30(火) 08:59:40.05 ID:UpZ6JRB2O
この場に朝倉涼子が存在していたら、もっと面白い事になりそうなんだがなぁ……等と考えながら俺は教科書を準備し、睡魔と闘う準備を始めた。

女教師「はい。席に着いて。授業を……始め……ます……」

スゲエ効果。凄いな『機関』

女教師は谷口から目を離さない。

ていうか、既婚者じゃなかったか?この女教師は?

女教師『んんっ……では授業を始めます」

指輪を外しやがった。

27: 2009/06/30(火) 09:03:15.01 ID:UpZ6JRB2O
授業中も、落ち着かない様子の女性達。

谷口を見ながら、何か思い詰めた表情をする女子。

嬉しそうに谷口を見つめる女子。

写メを撮るな。授業中だ。

おいそこ。唐突に編み物を始めてどうする。もう初夏だぞ。何を編むつもりだ。

チラッと後ろのハルヒを見ると、意外にも真面目にノートを書いて……いねぇ。

ノート一面に谷口の名前。目がキラキラした変な男の落書き。それは谷口のつもりか?

ハルヒ「はぁ……」

溜め息をつくな。あと、そのネタはどっかで見たぞー。

29: 2009/06/30(火) 09:08:55.10 ID:UpZ6JRB2O
そういや国木田は……

国木田「んっ……あっ……」

恍惚の表情で谷口を見ながら、ポケットに手を突っ込んで微妙な動きをしているように見えたが気のせいだろう。

気のせいだ。

あぁ気のせいだ。

気のせいだから、もう一度確認なんかしない。

こんな事で、俺と国木田の中学からの友情は失われん。

33: 2009/06/30(火) 09:21:03.95 ID:UpZ6JRB2O
で、当の谷口はと言うと

谷口「……ふが」

口を開けて涎を垂らしながら夢の中。

女教師も見て見ぬふりか。

そこは少し羨ましいな。

47: 2009/06/30(火) 10:09:28.59 ID:UpZ6JRB2O

そして休み時間。

ワラワラと谷口の周囲に女子達が群がり……なんて事は起きなかった。

流石にそれは無いか。
少しは期待したんだがな。

『おーいっ!キョンくんっ!』

この声は……鶴屋さん?

鶴屋「やっほーい!」

教室の外で、鶴屋さんが笑顔で手をふっている。その後ろに、朝比奈さんも居た。

キョン「どうしたんですか?二人で?」

鶴屋「なにやら、クラスの女子数名が谷口に一目惚れとか意味不明な事を言い出してさっ!それでちょっとからかい……に……?」

みくる「えっ……あれが谷口くん……?」

鶴屋、朝比奈、アウトー!

50: 2009/06/30(火) 10:16:55.76 ID:UpZ6JRB2O
鶴屋さんは、つかつかと谷口の元へ歩いて行き、

鶴屋「谷にゃん!」

谷にゃん?

谷口「ふが……鶴屋さん?」

まだ寝ていたのか谷口。

鶴屋「谷にゃん……逆玉とかどうだいっ?」

直球勝負。鶴屋さんらしいなぁ。

谷口「あー……すいません鶴屋さん……ちょっと眠いんで後で……」

ハルヒ「ちょっと鶴屋さんっ!?」

鶴屋「なんだい?ハルにゃん?」

ハルヒ「いいいきなり何を言い出すのよっ!?」

鶴屋「べっつにぃー?ハルにゃんには関係ないっさ」

ハルヒ「関係あるわよっ!?」

いや関係無いと思う。多分。

51: 2009/06/30(火) 10:22:19.78 ID:UpZ6JRB2O


ハルヒと鶴屋さんの不毛な言い争いが開始。

谷口はハルヒと鶴屋さんに挟まれながら、睡眠を邪魔されたのが気に入らないのか不機嫌そうな顔でそっぽを向いていた。

みくる「あのぅ……キョンくん」

キョン「なんですか朝比奈さん?」

みくる「谷口君って、どういうコスプレが好みなんでしょうか……?」

キョン「…………」

貴女はどこの高みを目指そうとしているんですか朝比奈さん。

52: 2009/06/30(火) 10:39:25.13 ID:UpZ6JRB2O


いや、ちょっと待てよ。

キョン「なぁ、谷口。お前そう言えば昔、俺に言ってたよな」

谷口「いきなりなんだよキョン。それより助けろ。ハルヒと鶴屋さんを静かにさせてくれ……」

キョン「スク水姿の女の子が一番可愛いって」

ハルヒ「!?」

鶴屋「!?」

谷口「そう言ったような気もしないが、んな事今はどうでもいいじゃなえか。それより……ん?」

ハルヒ「…………」

鶴屋「…………」

動きが止まるハルヒと鶴屋さん。

キョン「そう言う事らしいですよ。朝比奈さん」

みくる「スクール水着ですかぁ……」

53: 2009/06/30(火) 10:40:56.66 ID:UpZ6JRB2O
そう呟いて、考え込む朝比奈さん。そして同様にハルヒ、鶴屋さん、クラスの女子達。あと国木田も。

キョン「な?静かになっただろ谷口?」

谷口「ああ……しかしキョン。どんな魔法だこれは?」

キョン「企業秘密だ」

果たして、この中の何人が明日からスク水を持って来るのだろうか。

楽しみだなぁ。デジカメを購入するか。

56: 2009/06/30(火) 10:52:38.87 ID:UpZ6JRB2O
そんな訳で放課後。

谷口の話題で持ちきりの部室に居ても意味が無いと考えた俺は、さっさと帰る事にした。

デジカメも購入しないといけないしな。

キョン「どこが安いかな……ん?」

長門「…………」

キョン「長門?」

校門前。長門が無言で立っていた。

60: 2009/06/30(火) 10:59:46.23 ID:UpZ6JRB2O
もしかして谷口を待っているのだろうか?古風だなぁ長門。

俺の姿に気付いたのか、長門は俺に歩み寄って呟いた。

長門「貴方を待っていた」

キョン「俺を?谷口じゃないのか?」

長門「……その事で話がある。このままでは、彼の存在は危険過ぎる」

63: 2009/06/30(火) 11:16:28.25 ID:UpZ6JRB2O
キョン「危険?」

長門「そう」

長門は空のペットボトルを手にしていた。そのペットボトルは……

長門「古泉一樹の属する『機関』の開発した薬のみなら直ぐに対応は出来た。しかし、現在の彼は涼宮ハルヒの影響も受けている。更に未来からの加護も」

キョン「…………」

長門「私は現状を快く思っていない。元に戻したい」

キョン「別に谷口は」

長門「谷口だからこそ。彼が貴方の立場に入れ替わっている現状が」

長門は、一呼吸置いてから呟いた。


長門「凄く嫌」



69: 2009/06/30(火) 11:26:56.52 ID:UpZ6JRB2O

長門の話によると、こういう事らしい。

あの薬を飲んだ時点で、谷口のモテモテ率は俺の24倍。

フラクラ率は25倍。

機関は気付かなかったが、恋愛事に興味が無くなる因子もあり、それは26倍。

なんて薬を開発したんだ。

そして直後にハルヒの影響が働き、モテモテ率は現在3265倍。

フラクラ率と恋愛に興味が無いのが逆に低下し始めて、共に俺の9倍。

いろんな意味でアホか。

長門「以上、説明終了」

キョン「……モテモテ率は3265倍なんだろ?お前は大丈夫なのか長門?」

83: 2009/06/30(火) 13:28:16.81 ID:UpZ6JRB2O
長門「……彼の姿形、声、匂い、全てを認識しないよう強制遮断した。ギリギリの所だった」

谷口が可哀想になって来た。

長門「貴方に手伝って欲しい。同じ遺伝子の貴方だけが、彼に以前と変わらず接触出来る」

またこれかよ……。

キョン「で、どうすりゃいいんだ長門?」

長門「先ずは時間を稼いで欲しい。取り返しのつかない間違いを皆が起こす前に」

既に起こしている奴が何名かいるが。

長門「……その間に私が、谷口を元に戻す薬を開発する」

長門は、ほんの少し液体の残っているペットボトルを見ながらそう呟いた。

キョン「元に戻す薬ね……わかったよ長門。何とかやってみるさ」

84: 2009/06/30(火) 13:37:54.91 ID:UpZ6JRB2O
………

……



俺は新しいデジカメを購入してから帰宅した。

キョン「スク水か……」

―――Prrrr

キョン「ん……?」

帰宅早々、古泉から着信。どうせ谷口絡みだろうが、とりあえず取ってみるか。

キョン「なんだ」

古泉「……貴方に相談があります」

キョン「言ってみろ」

古泉「僕は今、迷っています。世界の安定を優先するか、それとも自分の気持ちに正直にスク水を」

―――ピッ

直ぐ様に着信拒否設定。

さらば古泉一樹。短い友情だったな。

86: 2009/06/30(火) 13:49:51.22 ID:UpZ6JRB2O
キョン「何を考えているんだアイツは……」

―――Prrrr

また直ぐに携帯が鳴り響いた。

全く、次は誰だ?ハルヒか?朝比奈さんか?鶴屋さんか?国木田か?


【着信 佐々木】


キョン「……もしもし?佐々木?」

佐々木「久しぶりだねキョン」

キョン「あぁ」

佐々木「突然だが、君に聞きたい事があるんだが良いかな?」

キョン「どうした?かしこまって」

佐々木「その……君のクラスメイトの……谷口君っているだろう?」

キョン「…………」

佐々木「今日、国木田と歩いている所を偶然見かけて……それで……」

90: 2009/06/30(火) 13:57:24.36 ID:UpZ6JRB2O


キョン「佐々木。谷口に一目惚れでもしたのか?」

佐々木「なっ……何を言っているんだい?僕が一目惚れ?そんな訳無いだろう?恋愛は精神病の一種で」

キョン「佐々木」

佐々木「だから僕は、そんなつもりじゃ」

キョン「谷口は、スク水の女の子にしか興味が無いらしい」

佐々木「……えっ?」

キョン「スク水姿で、校門前で待ってたりする女の子が好みだと言っていたな確か」

佐々木「…………」

流石に無理があったか?

佐々木「くっくっ、君と親友で良かったよキョン」

俺もだよ佐々木。

佐々木「スク水で校門前か……ふむ……」

何を納得したんだろうか佐々木は。

95: 2009/06/30(火) 14:04:49.07 ID:UpZ6JRB2O
佐々木「……キョン、電話して置いてなんだが、急用が出来てしまったよ」

キョン「急用なら仕方がないな」

スク水を購入しに行くんだろうな。

佐々木「じゃあまた後で……」

キョン「ちょっと待て佐々木」

佐々木「なんだい?」

キョン「一人で谷口と国木田に会ったのか?」

佐々木「いや?橘さんや九曜も一緒だったが……」

キョン「へぇ……」

これはメモリーカードを更に購入しなくては。

佐々木「じゃあ僕は急ぐから」

キョン「あぁ。また明日な」

―――ピッ

明日は忙しくなるな……。

長門。別に元に戻す薬とやらは、急いで作らなくてもいいと思うぞ。

120: 2009/06/30(火) 16:09:29.65 ID:UpZ6JRB2O
ほんの少し再開

122: 2009/06/30(火) 16:10:24.75 ID:UpZ6JRB2O
………

……

……

妹「おはようキョンくぅ~ん!朝だよ~!?」

キョン「眠い……あと五分……」

妹「駄目だよ起きて~?」

キョン「ぐはっ!?」

朝一に目覚めのフライングボディプレス。使い手、小学六年生になった妹。

妹「キョンくんのお友達が迎えに来てるよ~?」

キョン「お友達が迎えね……ん?」

お友達が迎え?

妹「一緒に学校に行こうって、さっきから来てるよ~?」

キョン「…………」

朝から一緒に学校に行こうと迎えに来る、幼馴染みキャラなんて俺にいたっけ?

125: 2009/06/30(火) 16:15:18.31 ID:UpZ6JRB2O


キョン「……長門か?」

多分そうだろう。もう薬が出来たのか?

キョン「……急いで準備するから待たせててくれ」

妹「は~い♪お待たせる~ん♪」

妹は不思議な音程で喋りながら、部屋から出ていった。

……朝っぱらから、なんでそんなに元気なんだ妹よ。

126: 2009/06/30(火) 16:19:52.96 ID:UpZ6JRB2O


俺は眠気眼で学校に行く準備し、急いで玄関に向かった。

キョン「おはようさん。待たせて悪いな、なが……」

「おはようございます。可愛い妹さんですね。お待たせる~ん♪」

「ふっくっく、寝癖、付いてるぞ」

キョン「……いつから俺はお前達とお友達になったんだ?」





橘京子と藤原。二人が北高の制服を着けて、玄関に立っていた。

127: 2009/06/30(火) 16:22:57.39 ID:UpZ6JRB2O
橘「私達、お友達じゃないですかぁ?」

キョン「そんな覚えは俺にはまったく無いな。お引き取り願おう。ていうか帰れ」

藤原「待て。僕達の話を聞いてからでも遅くはない」

キョン「聞く耳が無いな。大体なんだその恰好は」

橘「えっ?似合いません?」

くるくると回って見せる橘京子。ツインテールとスカートが遠心力で……正直言ってこれはこれで

キョン「うん可愛い。凄く似合って……って違うだろ!?何を口に出しているんだ俺は!?」

藤原「まぁ聞け。君とあの長門有希と言う名のTFEI端末だけでは、現状は戻せんぞ?
薬の開発に成功しても、谷口と言うアホな現地民に飲ます事は出来ない」

128: 2009/06/30(火) 16:25:06.44 ID:UpZ6JRB2O
キョン「……何故お前がそれを知っている?」

藤原「ふっくっく、禁、則、だ。君にはこれだけで理解出来るだろう?」

成程。スゲエ説得力。
キョン「と、言う事はだ。成功する方法も知っているんだな?暗黒微笑の未来人」

藤原「あんこっ……?」

橘「まぁ、とりあえずです!ここでは何ですので」

そう言って橘京子が玄関を開けると、真っ黒なリムジンが止まっていた。

橘「車内で説明しますから。さぁ乗ってくださいなのです!」

143: 2009/06/30(火) 17:40:22.27 ID:UpZ6JRB2O


―――車内

キョン「先ず、順に説明してくれ」

橘「異変に気付いたのは昨日の夕刻です。あのアホ面に出会った瞬間から、佐々木さんと九曜の様子がおかしくなっちゃって……」

アホ面……酷い言われようだな谷口……ん?

キョン「お前は何ともないのか?」

橘「何がですか?」

キョン「いや、谷口に惚れてないのか?」

橘「なんで私があのアホ面に惚れなきゃ」

藤原「ふっくっく、橘京子は同性愛者だからな」

橘「ちょっと藤原くんっ!?」

148: 2009/06/30(火) 18:02:35.02 ID:UpZ6JRB2O


キョン「……成程な」

橘「ち、違いますですよっ!?私は至って普通ですからっ!?」

藤原「佐々木が好きじゃ無かったのか?」

橘「そっ、それは人間として尊敬してますと言いますか、その」

キョン「そう言えば俺の妹を可愛いとか言っていたな。手を出したら許さんぞ」

橘「ですから、それは違う意味での可愛いって意味ですっ!」

藤原「…………」

キョン「…………」

運転手「…………」

橘「……んんっ、もうっ!?なんですかその目は!?」

藤原「ふっくっく、冗談だ橘京子。そう怒るな」

150: 2009/06/30(火) 18:15:18.74 ID:UpZ6JRB2O
橘「冗談にも程がありますよっ!?まったく……」

ぜんっぜん冗談には見えなかったがな。橘京子。

橘「……えっと、それで藤原君に連絡を取ったわけですよ」

藤原「今回は修正可能の範囲内だ。谷口と言う現地民に、そちらのTFEI端末が作った薬を飲ませれば済むからな」

キョン「だったら別に俺と長門でも……」

藤原「あのTFEI端末では周防九曜の相手は出来ん。
結果、失敗する。そういう……ん?禁則、か。まぁそういう事だと理解して置いてくれ」

キョン「長門でも止められ無いだって……じゃあどうやって?」

藤原「僕が抑える。この時代のTFEI端末なら、幾らでも方法はあるさ」

運転手「……そろそろ到着します」

156: 2009/06/30(火) 18:27:36.91 ID:UpZ6JRB2O


藤原「まぁ、それまで時間はあるからな」

藤原はビデオカメラをいつの間にか手にしていた。

キョン「おい。なんだそれは」

藤原「新しいデジタルカメラを購入した君に言われたくないな。それに、これは橘京子も了解済みなのだよ」

橘「そういう条件で藤原君に協力を依頼したのですよ!」

橘京子もデジカメを手にしていた。

藤原「君のおかげだ。さぁ行くぞ」

リムジンのドアが開く。そこには……!



キョン「……言ってみるもんだなぁ」

スク水のまま登校している女生徒達。

我が母校、北高は天国と化していた。

162: 2009/06/30(火) 18:43:47.31 ID:UpZ6JRB2O
スク水、スク水、スク水だ。スクール水着パーティーだ。

俺の3562倍と言う、意味不明な数値だけモテモテの谷口の為に、女生徒達が一丸となってスク水登校。

藤原「ふむ、この時代の女性も中々……」

橘「あの娘可愛いっ!?」カシャカシャッ

おっと、こうしてはおれん。俺も撮影を……

国木田「おはよう。キョン」

後ろから声をかけられた。この声は国木田……まさか……。

163: 2009/06/30(火) 18:45:55.61 ID:UpZ6JRB2O


国木田「みんなスク水なんて凄いや……僕には真似出来ないよ……」

よかった……国木田はスク水じゃないのか。

キョン「あぁ。本当に凄いな国木……田……?」

国木田「えへへ。駄目かなぁ?」

振り向いた俺の目に飛び込んで来たのは、女子の制服に身を包んだ国木田だった。

168: 2009/06/30(火) 18:55:05.92 ID:UpZ6JRB2O
キョン「国木田……お前……」

国木田「僕、本当は女の子だったんだよキョン」

しれっと嘘を付くな。中学の時、修学旅行で完璧な男だと確認したぞ。

国木田「やっぱ……駄目かな……」うるっ

キョン「……国木田」

―――カシャッ

俺は女子制服姿の国木田をデジカメに収めた。

国木田「キョン?」

キョン「最初から諦めるな国木田。当たって砕けろ」

国木田「うん……そうだよね……僕、頑張るよ!」

キョン「そうだ。頑張れ国木田!」

スカートの中はどうなっているんだろう?

『んっふ、国木田君もまだまだですねぇ』

この声は……!

国木田「古泉君……」

172: 2009/06/30(火) 19:03:44.68 ID:UpZ6JRB2O
古泉「おはようございます。昨日は酷いですね貴方。急に電話を」

キョン「行くぞ国木田」

国木田「えっ?」

古泉「ちょっと、なんで顔を伏せてるんですか?こっちを見て下さいよ?」

キョン「断る。見たくない。絶対に見たくない」

嫌な予感しかしねぇ。
キョン「国木田……古泉はどんな恰好をしている?」

国木田「>>99」

キョン「……古泉」

古泉「なんでしょうか?」

キョン「二度と話しかけるな」

古泉「ちょ、ちょっと……」

俺は国木田と共に、校内に全速力で逃げた。

179: 2009/06/30(火) 19:16:41.93 ID:UpZ6JRB2O
教室に着いた俺と国木田を待っていたのは、スク水姿の女子クラスメイト達。そして

ハルヒ「珍しいわね?こんな早くアンタが登校してくるなんて」

―――カシャッ

ハルヒ「ちょっといきなりなによっ!?」

キョン「いや、つい」

スク水姿のハルヒ……これでポニーテールだったらなぁ。

ハルヒ「まったく……後で撮影代払いなさいよっ!?」

キョン「まぁ、そう言うな。谷口に頼まれたんだから」

ハルヒ「それを先に言いなさいよバカキョンッ!?撮り直しよ撮り直しっ!!」

自らセクシーポーズを披露し始めたハルヒ。

うむ、最高だ。

―――カシャカシャッ

ハルヒ「綺麗に撮りなさいよっ!?」

キョン「へいへい」

わかってますって団長殿。
それにしてもハルヒの奴。チャンピオンでグラビアになってたどこぞの声優と大違いで、意外に胸があるなぁ。

180: 2009/06/30(火) 19:22:45.80 ID:UpZ6JRB2O


―――ガラッ

谷口「うぃーっす」

ざわっ……と教室中が、一瞬どよめいた。

谷口「眠い……よう、キョン」

キョン「おう谷口。眠そうだな」

ハルヒ「た、谷口君っ!?」

谷口「んあっ?」

ハルヒ「ど、どうかな……これ……?」

谷口「……あぁ、いいんじゃねぇのか?」

ハルヒ「本当っ!?」

よしっと小さくガッツポーズをするハルヒ。

ハルヒ、谷口は別に誉めてないと思うぞ。

187: 2009/06/30(火) 19:29:15.26 ID:UpZ6JRB2O


国木田「ね、ねえ谷口……」

谷口「……なんだその恰好は」


国木田「僕、本当は女の子だったんだ」

谷口「ふーん……そっか。とりあえず岡部が来たら起こしてくれ国木田。少し眠るわ」

国木田「うっ……うん……」

国木田が不憫でならねぇ。

そういや藤原と橘京子は何処に行ったんだ……?

192: 2009/06/30(火) 19:39:02.39 ID:UpZ6JRB2O
………

……



そんな訳で、スク水パーティー。いや、授業が始まった。

ハルヒ「ちょっと暑くない……?」

キョン「あぁ。クーラーの調子が悪いらしい。さっき岡部が言ってただろ?」

ハルヒ「そんな事言ってた?」

谷口ばっかり見て、聞いて無かっただけだろうよ。

確かに蒸し暑い。しかしだ。

スク水。汗ばむ身体。

俺は、北高男性教職員の本気を見た。

195: 2009/06/30(火) 19:48:21.34 ID:UpZ6JRB2O
昼休みは、朝比奈さんと鶴屋さんの様子でも拝見しに行こうかな……ん?

ふと、教室の窓から校庭を見ると、授業中に関わらずになにやらウロウロしているスク水二人組。

あのもっさりした黒髪と、見覚えのある顔……佐々木と周防九曜が居た。

学校をサボって何をしているんだ……あの二人は……。

ほらほら、生活指導の教師が注意しに来たぞー。

逃げろー佐々木ー周防九曜ー。

うぉっ!?

周防九曜の手が一瞬発光して、教師がその場に崩れ落ちた。

うんうん。これで良し。みたいに頷くな佐々木。

そして校内に潜入……さらば佐々木ーフォーエヴァー。

俺の知っている佐々木はもう何処にもいないんだなぁ。

207: 2009/06/30(火) 20:30:01.70 ID:UpZ6JRB2O
これで北高に全員集合って訳か……長門の姿が見えないが、アイツは制服姿だろうから直ぐに見付かるだろう。

そして休み時間。俺が出向くまでも無く、鶴屋さんと朝比奈さんがスク水姿で教室にやって来た……最高だ。

特に朝比奈さんは素晴ら。あの胸が、あのくびれが、あのお尻が強調されて……カシャカシャ

みくる「ふわわ、キョンくん撮らないでください~恥ずかしいですぅ?」

恥ずかしいなら、スク水登校なんてしなきゃいいじゃないですか。

鶴屋「やぁやぁ谷にゃん!調子はどうだいっ!?」

そして谷口の前で、見せ付けるように胸を突き出す鶴屋さん。

これも撮影しなければっ!

209: 2009/06/30(火) 20:37:47.65 ID:UpZ6JRB2O
谷口「……えっと、鶴屋さん。今日は水泳大会でもあるんですか?」

鶴屋「へっ?」

相変わらずだなぁ谷口。

ハルヒ「ちょっと鶴屋さんっ!?谷口は眠いんだから、そっとして置いたらどうかしらっ!?」

鶴屋「ふん、ハルにゃんには関係無いにょろ」

ハルヒ「なんですってぇ!?」

谷口を巡る言い争い第2ラウンド開始。

この二人は、事が終わったら以前のように仲良くなれるんだろうか……?

みくる「あのぅキョンくん……」

キョン「なんでしょうか朝比奈さん」

みくる「国木田くんは、どうしてあんな恰好を……?」

貴女もですよ朝比奈さん。

210: 2009/06/30(火) 20:39:45.17 ID:UpZ6JRB2O

キョン「……国木田は、実は女の子だったんですよ」

みくる「ふええっ!?」

キョン「今まで黙ってて、すいません」

みくる「そんなぁ……またライバルが増えちゃった……どうしよう……くすん」

その泣き顔をいただきだ!

―――カシャカシャッ

みくる「はわわ、撮らないでくださいよぅ?」

213: 2009/06/30(火) 20:49:11.43 ID:UpZ6JRB2O


長門「……貴方は何をしているの?」

キョン「うわ、長門!?」

いつからそこに居たんだ?

スク水朝比奈さんの撮影に夢中で気が付かなかったぞ。

長門「……事情は彼達から伺った」

教室の外には、ビデオカメラを手にしている藤原と橘京子。

長門「作戦を立てる。貴方も来て」

キョン「いや、そろそろ授業が……」

長門「今はそれ所では無い」

215: 2009/06/30(火) 20:52:13.55 ID:UpZ6JRB2O
キョン「あぁ、スク水が……」

長門「いい加減にして」

少し苛ついた感じの口調をした長門に無理矢理引きずられ、俺は授業をサボるハメになった。

220: 2009/06/30(火) 21:02:36.33 ID:UpZ6JRB2O
………

……



文芸部室には長門、藤原、橘京子、そして俺。

キョン「ふむ……宇宙人、未来人、超能力者。新たなSOS団結成ってとこかな」

藤原「ふっくっく、観測対象は居ないがな」

長門「それでは、計画を……」

橘「ねぇ、見て下さいよぉ!この女の人、名前わかりますっ!?」

キョン「阪中さんじゃないか!?」

藤原「喜緑とか言うTFEI端末も素晴らしいぞ」

キョン「喜緑さんまで……」

橘のデジカメと藤原のビデオカメラには、二人のスク水姿が。

最高だ。もうこのままでも良いような気がして来た。

長門「…………」

226: 2009/06/30(火) 21:19:45.46 ID:UpZ6JRB2O
藤原「ふっくっく、冗談だよ。怒るな人形」

長門「…………」

藤原「ん?やる気か?人形風情が」

キョン「おい、やめろ」

橘「そ、そうですよ!?」

いや、原因はお前だろ橘京子。

藤原「そちらの朝比奈みくると僕は違うぞ?」

長門「…………」

藤原「…………」

なんだこの展開は。アホか。

229: 2009/06/30(火) 21:36:35.81 ID:UpZ6JRB2O
大気が揺れ動く……対峙する二人の空間が歪む……感じがする。

いや、実際どうだか俺にはワカランし?

ただ。

それぐらいの緊張感と重苦しい空気が、部室に漂っている。

キョン「長門、俺達が悪かった。もう止めろ」

長門「…………」

橘「藤原君も止めてくださいよ!?悪いのは私達なんですから!?」

藤原「……ふん、まぁこれぐらいで良いだろう」

キョン「?」

藤原が呟いた途端、重苦しかった部室内の空気が軽くなった。

長門「……どういう事?」

藤原「やれやれ……言わないと理解出来ないのか?今ので九曜が気付いたって事だ」

232: 2009/06/30(火) 21:45:38.95 ID:UpZ6JRB2O


長門「……天涯領域の……」

藤原「あぁ。これで九曜はフラフラせず、谷口とやらの身を守る為に常に傍から離れないだろう。
ふっくっく、これでやり易くなっただろう?」

長門「…………」

してやられたって顔をしているなぁ長門よ。

藤原「九曜は僕が抑える。安心するんだな」

橘「私は古泉一樹を抑えます」

長門「……わかった。任せる」

そのまま長門は溜め息を付いた。

スゲエ悔しそうな顔をしながら。

233: 2009/06/30(火) 21:51:28.43 ID:UpZ6JRB2O
キョン「……長門」

長門「なに?」

目が怖えよ。

キョン「あー……薬はもう出来ているのか?」

長門「ここに」

―――ドンッ

あのペットボトルを、長門は机の上に置いた。

長門「……谷口に飲ますのは貴方の役目。私は涼宮ハルヒの能力を一時的に抑え込む。あの時の応用」

キョン「おい、そんな事をしたら……」

長門「情報統合思念体から許可は降りている。心配しないで」

キョン「そうか……」

やれやれ、もうやるしか無いのか。

もう少し楽しみたかったんだがなぁ。

237: 2009/06/30(火) 22:04:25.78 ID:UpZ6JRB2O
………

……



そんな訳で、俺達四人は谷口を元に戻す作戦を開始した。

長門がハルヒを抑え、藤原が九曜を、橘は古泉。

そして俺は、何気ないふりをして谷口に薬を飲ませる。

これで全て元のさやに戻る。らしい。

キョン「さて……」

俺は何やら騒がしい教室のドアに手をかけた。

―――ガラッ

ハルヒ「ちょっと!?谷口から離れなさいよっ!?」

佐々木「九曜っ!谷口君から離れてっ……!」

九曜「や――だ――」

谷口「誰か何とかしてくれ……」

キョン「…………」

238: 2009/06/30(火) 22:05:33.35 ID:UpZ6JRB2O
スク水姿の周防九曜が、谷口に嬉しそうに抱きついている。

それを引き離そうと、これまたスク水姿のハルヒと佐々木が奮闘している。

キョン「……まぁ、とりあえず」

―――カシャカシャッ

俺はデジカメで、目の前で繰り広げられている面白い光景を撮影した。

245: 2009/06/30(火) 22:17:26.43 ID:UpZ6JRB2O
橘「佐々木さん……なんてスク水が似合っているのかしら……素敵です……」

橘京子は、佐々木を中心に一通り撮影した後、

橘「はぁ……それでは、私は古泉一樹を抑えて来ます!」


満足した表情で教室から出ていった。

長門「……………」

そのまま長門が高速で詠唱を開始。そして、

藤原「九曜。いい加減にしろ」

藤原が周防九曜に近付き、おもむろに頭を掴んだ。

九曜「う――あ――?」

藤原「ふん、暫く寝てろ」

―――ドサッ

周防九曜は、その場に崩れ落ちた。

長門「……涼宮ハルヒの制御完了」

これで終わりかよ。

あっけなえな。

250: 2009/06/30(火) 22:24:52.89 ID:UpZ6JRB2O
佐々木「藤原君……これは……?」

藤原「ふっくっく、良く似合っているぞ佐々木」

ハルヒ「キョン……有希……いったいどういう事?」

キョン「…………」

呆気に取られる二人を無視して、俺はペットボトルを空けながら谷口の元に歩みよった。

キョン「よう谷口。調子はどうだ?」

谷口「意味わかんねぇよ。なんだよこれ」

相変わらずだなぁ谷口よ。

252: 2009/06/30(火) 22:36:07.98 ID:UpZ6JRB2O
キョン「実は今回のスク水パーティーはな。お前を喜ばせようと、校内の女子生徒が一丸となって行った物らしいんだが」

谷口「俺の為に?馬鹿じゃねぇの?」

ハルヒ「!?」

キョン「スク水は好みじゃなかったっけ?」

谷口「なわけねーだろ」

佐々木「そんな……っ?」

キョン「じゃあ何が好みなんだ?」

谷口「好みも何も、面倒くさいだろうよ……女とか恋愛とかよぉ」

国木田「えっ?じゃ、じゃあ」

谷口「いや、男はもっと興味ねーよ国木田」

国木田「…………」

静まり返る教室。

262: 2009/06/30(火) 22:43:03.18 ID:UpZ6JRB2O

泣き出す女子達。

呆然とするハルヒと佐々木。

カッターナイフを手に、思い詰めた表情をする国木田。

そろそろ笑いが堪えきれねぇ。

キョン「……さて、谷口。喉渇いてないか?」

谷口「あぁ、暑くて氏にそうだよ」

クーラー効いてないしなぁ。

キョン「ほら」

俺はペットボトルを谷口に手渡した。

谷口「お、すまんなキョン」


―――ゴクッゴクッゴクッ



272: 2009/06/30(火) 22:55:30.21 ID:UpZ6JRB2O
谷口「ぷはっ……あー生き返った……ぜ……!?」

ハルヒ「……あれ?」

佐々木「……えっ?」

谷口「……お、おいキョン!?これは夢かっ!?何が起こっているんだ!?」

キョン「夢じゃないな。明らかに現実だ」

ハルヒ「やだっ……なんで私……」

佐々木「僕は……いったい……」

国木田「なんでこんな恰好してんだよぉ……?」

長門「涼宮ハルヒの制御、校内の情報操作、共に完了……」

と長門が呟いたと同時に


『きゃあああああああぁああぁぁあぁああっ!?』


『いやあああああああぁああぁぁあぁああっ!?』


校内が揺れ動く程の悲鳴がこだました。

275: 2009/06/30(火) 23:11:42.29 ID:UpZ6JRB2O
………

……



その後の事は、想像にお任せしよう。

ん?疲れたからじゃないぞ?

眠いからとかじゃないから?

まぁ、佐々木がスク水姿のまま泣き叫んだり、ハルヒが国木田を無理矢理ひんむいて制服を奪ったりといろいろあったが、連絡を受けた機関やら鶴屋家やらが総動員で北高に制服を届ける事によって、何とか事態は収まった。

281: 2009/06/30(火) 23:17:57.67 ID:UpZ6JRB2O
そして表向きは謎の集団催眠事件として処理された。

後に残ったのは、女子生徒全員の忌まわしいスク水の記憶と、俺と橘と藤原の手元に残った記録。

まぁ、谷口に惚れていたなんて記憶が残るよりはマシだろう。

さて、スク水フォルダの整理でもするか……。

―――Prrrr

キョン「なんだよ……忙しいのに……ハルヒ?」

284: 2009/06/30(火) 23:29:12.13 ID:UpZ6JRB2O

キョン「もしもし?なんだこんな時間に」

ハルヒ「……有希が全部教えてくれたわよ?」

キョン「…………」

ハルヒ「まぁ古泉君と谷口はしょうがないとして、アンタと佐々木さんのお友達」

キョン「いや、ハルヒ。これはだな」

ハルヒ「覚悟は出来ているんでしょうねっ!?」

……どうやら、世の中は上手くいかないように出来ているらしい。

ハルヒ「既に二人は確保したわ!」

藤原……橘京子……捕まったのか……

ハルヒ「スク水の刑に処すから、今すぐ部室に来なさいっ!以上っ!!」

―――ピッ

キョン「スク水の刑ってなんだよ……」

最後がこれとはなぁ……やれやれ、思い付きで行動するもんじゃないよなぁ?

いろんな意味で!!


289: 2009/06/30(火) 23:32:32.40 ID:UpZ6JRB2O
はい終わり

最後gdgdなのは、いつも通りなので許して

……出来ると思ったけど、まだまだだったなぁ

寝る

293: 2009/06/30(火) 23:36:52.05 ID:CGcaW4CEO
乙ー

294: 2009/06/30(火) 23:37:01.15 ID:SmuGzXhWO

引用: キョン「俺の遺伝子を元に開発した惚れ薬?」