1: 2009/06/29(月) 21:07:24.40 ID:Uqckyc6L0
キョン「だからといって一日一食はあまりにも可哀相だろ」

朝倉「ううっ…」

長門「あなたには関係のないこと。早く帰って」

キョン「おい待て長門!俺の話を聞いてくれ!」

朝倉「お願い長門さん!キョンくんの話を聞いてあげて」

長門「長門さん…?」

朝倉「!!」

長門「いったはず。ご主人様と呼ぶべきと。悪い子!悪い子!」バシッバシッ

朝倉「ごめんなさいごめんなさい!」

キョン「おいっやめろ!」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
3: 2009/06/29(月) 21:13:14.98 ID:Uqckyc6L0
長門「なぜ止める?」

キョン「止めて当然だ!見ろ!朝倉が怪我してるじゃないか!」

長門「彼女は私のことをご主人様と呼ばなかった。おしおきされて当然」

朝倉「ごめんなさいご主人様…」

長門「だめ、許さない」ビシッビシッ

朝倉「ひっ!」

キョン「だからやめろ!長門!」

長門「ハァハァ…しょうがない、今日は彼に免じて見逃すことにする」

朝倉「あ、ありがとうございます」

キョン「大丈夫か朝倉?体中痣だらけだぞ」

朝倉「心配してくれてありがとうキョンくん。でもこんなの平気よ」

キョン「平気ってお前…」

10: 2009/06/29(月) 21:20:11.97 ID:Uqckyc6L0
長門「そろそろエサの時間」

キョン「エサ?」

長門「そう。彼女にエサを与える時間。今日はご馳走…お食べ」ゴトッ

朝倉「いただきます!ご主人様!」

キョン「おいっ!待て長門!」

長門「なに?」

キョン「なんだこれは?これはなんだと聞いてるんだ!」

長門「あなたが喚く理由が分からない。朝倉涼子に与えたのはカレー」

キョン「そうじゃない!なんで地べたにカレー皿を置くんだ?おまけにスプーンはどうした?」

朝倉「……ご主人様からエサをもらう時はいつもこうやって食べるんです」

キョン「なっ!?」



13: 2009/06/29(月) 21:29:36.34 ID:Uqckyc6L0
キョン「そうなのか?長門」

長門「そう。それが彼女に対するしつけ」

キョン「しつけだと?おいっ!朝倉は犬じゃないんだぞ!」

朝倉「キョンくん…」

長門「でも朝倉涼子は私の奴隷」

キョン「朝倉、こんなバカな命令に従う必要はないぞ。スプーンを使って食べるんだ」

朝倉「でも……」チラッ

長門「逆らったらおしおきする」

朝倉「ごめんねキョンくん。やっぱりいつもみたいに食べるわ」

キョン「待て!なら俺がお前にカレーを食べさせる」

キョン「それなら文句ないだろ、長門?」

長門「ない」

15: 2009/06/29(月) 21:40:12.15 ID:Uqckyc6L0
キョン「だ、そうだ。いいよな?朝倉」

朝倉「そんなのだめよ。あなたに迷惑かけちゃうわ」

キョン「お前に犬みたいな姿をさせるものか。正直、食べづらいかもしれんが我慢してくれ」

朝倉「ううん。ありがとうキョンくん」

キョン「そんじゃ口にカレーを運ぶけどこぼすんじゃないぞ」

朝倉「うん。……モグモゴ……あっ」ポロッ

キョン「こらっ!言ってるそばからこぼすな」

朝倉「だってスプーンにいっぱい乗せるんですもの。全部口に運べないわ」

キョン「そうか、それはすまん。……これくらいならどうだ?」

朝倉「それなら大丈夫よ。あ~ん」

長門「イライラ」


17: 2009/06/29(月) 21:52:49.42 ID:Uqckyc6L0
長門「もうエサの時間は終わり。これは片付ける」

キョン「おい待てよ!まだ朝倉が食べてる途中じゃないか!」

長門「関係ない。今日はもお終い。また明日」

キョン「ふざけんなよ!こいつはただでさえ一日一食しか食わせてもらってないんだぞ!」

キョン「お前はなんだって朝倉に辛くあたるんだ!」

長門「それはあなたが彼女ばかり仲良く――なんでもない」

キョン「んっ?俺がなんだって?」

長門「兎に角、これ以上朝倉涼子に関わらないでほしい。迷惑」

朝倉「……」

キョン「だめだ!こんな所にいたら朝倉は餓氏しちまう」

長門「餓氏しようがどうしようがあなたには関係ない」

キョン「……俺が引き取る」

朝倉「キョンくん…?」

21: 2009/06/29(月) 22:04:57.32 ID:Uqckyc6L0
長門「いまなんと?」

キョン「朝倉は俺が引き取らせてもらうって言ったんだ」

朝倉「わ、私を!?どうして!?」

キョン「こんな人間以下の生活を目の当たりにして放っておけるか」

キョン「それにどうやらお前から朝倉を引き離す必要もあるみたいだからな…」

長門「そんな勝手なことはさせない」

キョン「悪いが誰もお前の話は聞かないぞ。…さっ俺の家に行こう、朝倉」

朝倉「ほんとにいいの?」

キョン「ああ、人並みの暮らしはさせてあげるつもりだ」

長門「待って、朝倉涼子。行ってはだめ」

朝倉「ご主人様…」

キョン「長門のことは放っておくんだ!まだ惨めな暮らしをしたいのか!?」

長門「行ってはいけない。今ならまだ間に合う…引き返すべき」

48: 2009/06/30(火) 07:57:14.76 ID:bFQ1lj+b0
長門「これからはエサも一日二食にする。だから戻ってくるべき」

朝倉「ご主人様、私…」

キョン「やめろ朝倉!長門の話を聞くんじゃない」

朝倉「でもご主人様が…」

キョン「朝倉、俺はお前のことが心配なんだ。頼む、俺の家に来てくれ」

キョン「お前はここから出る必要があるんだよ。目を覚ませ!朝倉!」

長門「だめ、あなたは騙されている。きっと彼はあなたを性奴隷にするはず」

朝倉「私は…私は…」

朝倉「ごめんなさいご主人様…私はキョンくんと行くわ」

キョン「朝倉…」

長門「どうして…そんな…しどい…」

キョン「許せよ、長門」


51: 2009/06/30(火) 08:11:30.94 ID:bFQ1lj+b0
キョン「さてと…狭い家だが遠慮なく寛いでくれていいからな」

朝倉「………」

キョン「どうしたんだよ、玄関につっ立って?中に入らないのか?」

朝倉「違うんです。ご主人様に感謝してるんです。私を引き取ってくれて」

キョン「ご、ご主人様ってもしかして俺のことか?」

朝倉「はい、私を世話してくれる新しいご主人様なので…」

キョン「え~と…普通に名前で呼んでくれていいぞ」

朝倉「どうしてですか?」

キョン「俺はべつに奴隷としてお前を引き取ったわけじゃないんだ。だから敬語もやめてくれ」

朝倉「す、すみません…」

キョン「そうじゃないだろ?」

朝倉「あっ、ごめんね……キョンくん」

キョン「そうだ。それでいいんだ」ナデナデ

朝倉「うん」


52: 2009/06/30(火) 08:27:48.15 ID:bFQ1lj+b0
キョン「ただいま」

妹「キョンくんおかえり~!あれっ?そっちの人はだれ?」

キョン「ああ、今日から一緒に暮らす朝倉涼子だ」

朝倉「ご主人様の妹さんですね。よろしくお願いします」

妹「ご主人様?」

キョン「バカっ!さっき言ったばかりだろ!」

朝倉「ご、ごめんなさい」

妹「ねぇご主人様ってどういうこと?」

キョン「なんでもないから気にするな」

妹「あっ分かった!お姉ちゃんメイドさんなんでしょ!」

キョン「はっ?」

妹「だからご主人様って言うんでしょ?違うの?」


70: 2009/06/30(火) 11:46:45.11 ID:bFQ1lj+b0
妹「お母さんたちが旅行に行ってるから頼んだんでしょ?」

朝倉「そ、そうなのよ。キョンくんに家事の手伝いをしてほしいって言われて」

キョン「おいっ朝倉!なに勝手な事を」

朝倉「お世話になるんですもの。これくらいいいでしょ?」

妹「やっぱりそうなんだ。じゃあご飯もお姉ちゃんが作るんだね!」

朝倉「ええ、もちろんそうよ。なんでも好きなものを作ってあげるわ」

妹「やったー!じゃあ私カレーが食べたい!」

朝倉「分かったわ。じゃあ今日の献立はカレーにしますね」

キョン「すまんな。お前に家事をやらせるために連れてきたわけじゃないだが…」

朝倉「いいのよ。引き取ってもらったんですからこれくらい当然よ」

朝倉「それに私、家事は得意だから気にしないで。ねっ?」

キョン「そうか…」


71: 2009/06/30(火) 11:56:54.56 ID:bFQ1lj+b0
妹「ところでお姉ちゃんはなんて名前なの?」

朝倉「朝倉涼子よ。よろしくね」

妹「うん。……あのね、涼子ちゃんって呼んでもいい?」

朝倉「ええ、もちろんいいわよ」

妹「えへへ…涼子お姉ちゃん好き~」ギュッ

キョン「やれやれ、もう仲良しか」

妹「あれっ?涼子ちゃんの服、ボロボロだよ?」

朝倉「あっ、これは…」

妹「他の服に着替えないの?たくさん破けてるよ…」

朝倉「ごめんなさい。今着てる制服しか着る物はないの」

妹「……」


75: 2009/06/30(火) 12:12:22.49 ID:bFQ1lj+b0
キョン「あー良かったらこれ着てくれ。ウチの母親の服なんだが合うだろう」

朝倉「借りてもいいの?」

キョン「構わないさ。なんだったら明日、一緒に服を買いに行こうぜ」

朝倉「でも私お金もないし…」

キョン「いいよ。それくらい俺が出してやるさ」

朝倉「そんなのだめよ!」

キョン「気にすんなって。だってお前はお金がないんだろ?」

朝倉「じゃあ身体で払わせて!」

キョン「はっ?」

朝倉「前のご主人様の時はそうやってたの…だからあなたにも」

キョン「ま、待て待て!身体で払うって長門がそんなことさせてたのか?」

朝倉「……うん」



77: 2009/06/30(火) 12:24:32.38 ID:bFQ1lj+b0
長門「あなたのためにジュースを買ってきた」

朝倉「ありがとうございます!ご主人様」

長門「ジュース代120円……出して」

朝倉「あのうご主人様、私お金なんてありませんけど…」

長門「なら身体で払うべき」

朝倉「えっ?あっいや、やめてください!ご主人様!」

長門「ねーちゃん、いい身体しとるやんけ」モミモミ

朝倉「だめです…ご主人様…あっ…」

長門「ここがええのか?」モミモミ


朝倉「――ってな感じで身体で払わせられてたんの」

キョン「そ、そうか(ふぅ~正直、もっとハードなのを想像してたぜ)」

妹「??」

125: 2009/06/30(火) 22:20:56.39 ID:23dXgy8/0
キョン「兎に角、アレだ。今日一日はウチの母親の服で我慢してくれ」

朝倉「ええ、それは全然構わないわ。着替えてきてもいいかしら?」

妹「キョンくんは出て行ってください」

キョン「分かってるよ。出て行くからそう押すな!」

朝倉「うふふ。ほんと仲がいいのね」

妹「涼子ちゃんの服は洗濯カゴに入れるね…あれっ?」

朝倉「どうしたの?」ヌギヌギ

妹「涼子ちゃん…その痣どうしたの?」

朝倉「ああ、これね。……大丈夫、はなんでもないのよ」

妹「でもいっぱい赤くなってるよ…」

130: 2009/06/30(火) 22:34:19.92 ID:23dXgy8/0
妹「もしかしてさっきのお話のこと?酷いことされたの?」

朝倉「……うん」

妹「グスン…グスン…」

朝倉「どうしてあなたが泣くの?」

妹「だって涼子ちゃんいっぱい怪我してるよ…とっても良い人なのに身体中に痣あるよ」

朝倉「ありがとう、心配してくれてるのね」

妹「涼子ちゃん…私もキョンくんも涼子ちゃんを虐めないから安心してね」

朝倉「うふふ、やっぱり兄弟なのね。あなたも彼と同じでとても優しいわ」

妹「キョンくんと?」

朝倉「そうよ。キョンくんが私の身体を心配してくれたとき、私すごくうれしかったわ」

朝倉「おまけに私を引き取ってくれて…彼にはとても感謝してるの」


132: 2009/06/30(火) 22:45:48.52 ID:23dXgy8/0
朝倉「誰にも優しくて親切で、おまけにおせっかいで…」

朝倉「だからね、私キョンくんが喜ぶことならなんでもしてあげたいの」

朝倉「親切にしてくれた恩返しをキョンくんにしたいの」

妹「涼子ちゃんってキョンくんのことが好きなんだね」

朝倉「えっ!?そ、それは…」

妹「にひひ~涼子ちゃん、顔真っ赤だよ~」

朝倉「もうっ!妹ちゃんのいじわる!」

妹「キョンくんも涼子ちゃんのことが好きだといいね」

朝倉「それはどうかな…きっと私なんて相手にされてないわ」

妹「そんなことないよ!涼子ちゃん可愛いもん。大丈夫だよ」

朝倉「そうかな…」

妹「そうだよ。そ、それにね……私、涼子ちゃんみたいなお姉ちゃんがほしいんだ」

朝倉「妹ちゃん…」ジワッ

135: 2009/06/30(火) 23:00:16.50 ID:23dXgy8/0
妹「あれ~!?今度は涼子ちゃんが泣いちゃった」

朝倉「ご、ごめんなさい。私うれしくて…」

妹「えへへ、私たちって泣き虫だね」

朝倉「そうね、泣いてばかりいる泣き虫姉妹ね」

妹「姉妹!?」

朝倉「私もあなたのお姉ちゃんになりたいわ」

妹「涼子ちゃん大好き!!」ギュッ

朝倉「私も妹ちゃんが好きよ」


キョン「あいつら着替えるのに何分かかってるんだ?」


137: 2009/06/30(火) 23:10:16.67 ID:23dXgy8/0
朝倉「着替えるのに時間がかかってごめんね」

キョン「やれやれ、待ちくたびれ――!?」

朝倉「サイズがちょっと合わなかったけどどうかしら?」

キョン「………」

妹「キョンくんどうしたの?ぽぉ~としてるよ」

キョン「あっおう…いいんじゃないか?似合ってるぞ」

朝倉「ほ、ほんと?」

キョン「ああ、本当だ。(着ている服のせいか朝倉が大人っぽく見えちまう…)」

朝倉「でもね、サイズが小さくて中が見えそうなくらいスカートが短いの」

朝倉「ちょっと屈むとすぐ見えちゃうのよ…ねっ?」

キョン「ば、ばか!実際に屈むやつがあるか!」

朝倉「きゃっ!ごめんなさい」

キョン「まったくそそっかしい奴だな(白か…)」

朝倉「ごめんなさ~い…」


140: 2009/06/30(火) 23:29:00.90 ID:23dXgy8/0
朝倉「さてと、着替えたはいいけど何をしようかしら…?」

キョン「まぁ、ゆっくりくつろげよ」

朝倉「そうもいかないわ。私は一応この家のメイドさんですもの、何かお仕事しなきゃ」

朝倉「そういう訳だからさっそくお洗濯でもするわね」

妹「お洗濯ならもう済ませたよ~」

朝倉「なら掃除機をかけるわ」

妹「それもやった~」

朝倉「それならお夕飯の支度を…」

妹「まだ2時だよ?」

朝倉「ううっ…」

キョン「そう気張るなって。ほらっソファーにでも座ってのんびりしろよ。なっ?」

朝倉「うん。じゃあ、隣失礼するわね。(キョンくんの隣に座っちゃった…)」


145: 2009/06/30(火) 23:44:20.54 ID:23dXgy8/0
キョン・朝倉「………」

キョン「……おい」

朝倉「えっ!あっ?な、なにかしら?」

キョン「なんで黙って座ってるんだよ!」

朝倉「だって何も喋らないから静かにしてないとだめなのかなって…」

キョン「俺だって気恥ずかしいんだよ。そ、そうだ、なんか会話しようぜ」

朝倉「そうね、そうしましょう。えっと…キョンくんは今何をしてるの?」

キョン「ソファーに座ってるんだが…」

朝倉「………」

キョン「おい!」

朝倉「そんなに言うならキョンくんから話しかけてよ!」

キョン「えっ?おれ?そ、そうだな…じゃあ、朝倉は今何をしてるんだ?」

朝倉「だからソファーに座ってるんだけど…」

キョン「………」



149: 2009/06/30(火) 23:53:41.75 ID:23dXgy8/0
キョン「もしかして俺たちってバカ?」

朝倉「……たぶん」

キョン「虚しくなるから会話はやめようぜ」

朝倉「そうね」

キョン「………」

朝倉「………」

キョン「だぁぁぁ!なんか喋れよぉぉ!」

朝倉「だからキョンくんが喋ってよ!」

キョン・朝倉「あれっ?」

キョン「やっぱ俺たちってバカ?」

朝倉「……うん」


妹「こういうのを似たもの同士って言うんだよね」

155: 2009/07/01(水) 00:10:13.56 ID:8XJNwvQh0
キョン「まったく、俺たち高校生にもなって何をやってるんだかな…」

朝倉「ふふっ、そうね。おかしいわね」

キョン「でも俺は嫌いじゃないかな…こういうの」

朝倉「キョンくん?」

キョン「なんか朝倉と居ると時間がゆっくり流れるっていうか…不思議な感覚なんだよな」

朝倉「不思議な感覚…?」

キョン「ああ、なんかすごく心地良いんだよ。何故だかは分からんけど」

朝倉「そう言ってもらえると幸せだわ。私もキョンくんといると同じ気持ちになるの」

キョン「おれと?」

朝倉「うん。あなたの隣に居るとね、なんだかすっごく優しい気持ちになれるのよ」

朝倉「きっとキョンくんが優しいからそれが伝染しちゃうのね」

キョン「おいおい、人を伝染病呼ばわりか?」

朝倉「あらっ人を優しい気持ちにできるって大切なことなのよ」


157: 2009/07/01(水) 00:22:11.15 ID:8XJNwvQh0
キョン「そうなのか?」

朝倉「そうよ。だって人って傲慢だから自分からなかなか優しくしないものなのよ」

朝倉「それに優しくしているつもりでも打算や顕示欲が混ざっていたら、それは単なる偽善よ」

朝倉「だからね、キョンくんみたいに心から他人のために親切にできる人は貴重なの」

キョン「俺が優しいね……自分ではそう思わんが」

朝倉「そんなことないわ!だってキョンくん私を助けてくれたじゃない」

朝倉「私ね…うれしかったの。あなたの優しさにすごい勇気をもらったの」

キョン「朝倉…」

朝倉「だから誰がなんと言おうとキョンくんは優しい親切な人よ。それがあなたの魅力なんだから」ニコッ

キョン「(こいつなんだってこんなに可愛いんだ…こんなの反則じゃないか)」

朝倉「??」





162: 2009/07/01(水) 00:38:51.81 ID:8XJNwvQh0
キョン「(あれっ?なんでドキドキしてるんだ俺?)」

キョン「(朝倉は俺のクラスメイトでそれ以上でもないはずなのに…)」

キョン「(なんでそんな…もっとこいつと一緒に居たいだなんて思っちまうんだよ)」

キョン「あ、朝倉…もうちょっとこっちに来いよ」

朝倉「もう十分近いと思うけど?」

キョン「いいからこっちに来いよ。俺はお前の新しいご主人様なんだろ?」

朝倉「ご主人様……」

キョン「あっいや、違うんだ。そういう意味で言ったんじゃないんだ。(しまった!俺はなんてことを!)」

キョン「すまん!許してくれ朝倉!(くそっこれじゃあ長門と同じじゃないか…)」


240: 2009/07/01(水) 19:02:58.91 ID:8XJNwvQh0
今帰ってきますた。ごめんなさい。
あと30分ほど猶予をください。

245: 2009/07/01(水) 19:31:03.20 ID:8XJNwvQh0
キョン「すまん、これじゃあ俺は長門と同じだよな。お前がつらい思いをしてきたのは知ってるはずなのに」

キョン「それなのに俺はお前を自分の思いどおりにしようだなんて…許してくれ、朝倉」

朝倉「……よいしょっ」ススッ

キョン「えっ?」

朝倉「もうちょっと近くによった方がよろしいですか?ご主人様」ニコニコ

キョン「おまえ、怒ってないのか?」

朝倉「どうして?」

キョン「だって俺はお前の期待を裏切ったんだぞ。俺のことを優しい人だって言ってくれたのに、
     信じてくれてたのに、それなのに俺はお前を裏切ったんだ。怒って当然じゃないか」

朝倉「あらっ。だってキョンくんは私のご主人様じゃない。あなたの命令に従うのは当然よ」

朝倉「それに私うれしいの。キョンくんにお仕えできることが…あなたのそばにいれることが」




254: 2009/07/01(水) 19:45:29.03 ID:8XJNwvQh0
キョン「(こいつ真顔でなんてことを言うんだよ。俺の側に居たいだなんて…勘違いしちまうじゃないか)」

キョン「(いや、もう十分勘違いしてるかもな。朝倉は俺のことどう思ってるんだろか…)」

朝倉「うふふ、でもおかしいな~」

キョン「えっ、なにが?」

朝倉「キョンくんの命令よ。真剣な顔でどんな命令するかと思えば“俺の近くに来い”よ」

キョン「おかしい、かな…?」

朝倉「だってソファーは広いのに私たちはギュウギュウじゅない?これってどんな命令なのかしら?」クスクス

キョン「(こいつもしかして気づいてないのか!?)」

キョン「(普通、健全な男女が近くに寄り添ったら意識するはずなのに…)」

キョン「(もしかして朝倉は俺のこと…)」

朝倉「あっ!分かったわ!どうしてキョンくんがこんな命令をしたか!」

キョン「!?」


256: 2009/07/01(水) 19:59:58.05 ID:8XJNwvQh0
キョン「ど、どうしてだと思う?」ドキドキ

朝倉「私のスカートが短いから近くでパンツを覗こうとしたんでしょ!」

キョン「はっ?パンツを……?」チラッ

キョン「うおっ!マジまる見え!」

朝倉「ほらっやっぱり!だから隣に来いって言ったのね。やらしいんだから!」

キョン「いや、それは違うんだ。お前のパンツを見ようとしたんじゃなくて…」

朝倉「でも見たんでしょ?」

キョン「まぁ、それは…(ご馳走さまでした)」

朝倉「やっぱりそれが目的だったんじゃない!変だと思ったのよ。真剣な顔して近くに来いっていうから」

朝倉「ほんと男の子ってエOチなんだから」プンプン

キョン「(あ~怒ってる朝倉も魅力的だな……っていかん!早く誤解を解かなくては)」

261: 2009/07/01(水) 20:17:05.70 ID:8XJNwvQh0
キョン「いや、だから誤解なんだよ、朝倉」

朝倉「はいはい、言い訳はいいですよ~だ」

キョン「頼むから俺の話を聞いてくれよ。パンツを見たことなら謝るからさ」

朝倉「どうしようかな~」

キョン「ああ、分かったよ。朝倉の言うこと何でも一つだけ聞くから。それでチャラにしてくれ」

朝倉「ほんと?」

キョン「ご主人様が言う事を聞くってのもおかしな話だけど…一つだけなんでもいいぞ」

朝倉「ふ~ん、じゃあこれで許してあげる」ギュッ

キョン「おっおい!?」

朝倉「こんなに近いんだから一度腕を組んでみたかったの。ダメかしら?」

キョン「い、いや、ダメじゃないぞ。(むしろおっOいの感触が当たってうれしいです)」

262: 2009/07/01(水) 20:17:47.19 ID:8XJNwvQh0
めし

267: 2009/07/01(水) 20:51:06.96 ID:8XJNwvQh0
朝倉「テレビとかでよく親密な男女が側によって腕を組んだりしてるじゃない?あれを思い出したのよ」

キョン「そ、そうか(おっOい!おっOい!)」

朝倉「あれっ?もしかしてキョンくんが近くに来いって言ったのは…そういうことをしたかったから?」

キョン「!!」

朝倉「で、でもテレビだと一緒に座って腕を組んだりしてるのは恋人同士だし…もしかしてキョンくんって私のこと」

キョン「(やばい!気づかれるか!?)」

妹「キョンく~ん!」

朝倉「あらっ妹ちゃん、どうしたの?」

キョン「どうしたんだよ、大声なんか出して?(よしっ!ナイスタイミングだ!)」

妹「あのね、ミヨキチがね、お泊りしようって。だからミヨキチの家に行って来るね」

キョン「(えっ?それってもしかして…)」

270: 2009/07/01(水) 21:02:37.87 ID:8XJNwvQh0
妹「じゃあ行って来るね!」

朝倉「気をつけていって来るのよ。お家の人に迷惑かけちゃだめだからね」

妹「えへへ、涼子ちゃんお母さんみたいだね」

妹「それじゃあいってきまーす!」

―バタン―

朝倉「あ~あ…二人っきりになっちゃったわね」

キョン「二人っきり!?(朝倉と一日中一緒…二人だけ…)」

朝倉「??」

キョン「ハッハハ、さてどうすっか?」

朝倉「変なキョンくん…??」

272: 2009/07/01(水) 21:15:01.33 ID:8XJNwvQh0
長門「朝倉涼子、お腹がすいた」

シ~ン

長門「そうだった。もう彼女はいない」

長門「私の奴隷を彼が盗んだ」イライラ

長門「イライラが治まらない…朝倉涼子のせい」イライラ

長門「イライライライラ」

長門「悪い子!悪い子!」ビシッビシッ

長門「朝倉涼子は悪い子!」ビシッビシッ

長門「ハァハァ……虚しい」

 朝倉「長門さ~ん」


長門「……私が愚かだった」ポロッ

274: 2009/07/01(水) 21:25:37.05 ID:8XJNwvQh0
キョン「(朝倉と二人っきり…こんなチャンスはもう二度とないぞ)」

キョン「(このチャンスを有効に使うにはどうすればいい?何をすればいいんだ?)」

朝倉「ねぇキョンくん、一つ聞いてもいいかしら?」

キョン「(ゲームするってのは平凡すぎるか…なら一緒にお風呂とか…お風呂!?)」

キョン「だ、だめだ!それは断じて却下だ!」

朝倉「あっごめんなさい…」

キョン「えっ?あっすまん。独り言だから気にしないでくれ」

朝倉「でも今キョンくんだめだって…」

キョン「いいや、ほんとになんでもないんだ。単なる独り言だから…それよりも俺に聞きたいことがあるんだろ?」

朝倉「うん、とっても大切なことなの」

キョン「なんだ?(これはまさか朝倉から逆告白か!?)」

朝倉「あのね…」

キョン「おっおう!」

朝倉「数学の宿題はもう済ませた?」


278: 2009/07/01(水) 21:35:30.08 ID:8XJNwvQh0
キョン「はっ?」

朝倉「だから数学の宿題よ。課題、出されたでしょ?キョンくんもう済ませた?」

キョン「いや、まだだけど…」

朝倉「ダメじゃない!早く片付けないと。そうだわ、良い機会だから今取り掛かるべきよ」

キョン「今ですか…?」

朝倉「そう今よ、今。そうでもしないとキョンくん手をつけないでしょ。そんなのダメよ」

キョン「で、でもせっかくのチャンスなんだぞ」

朝倉「チャンス?なんの?」

キョン「(しまった!?つい口に出してしまった)」

キョン「えっとそれはあれだよ、羽目を外すチャンスじゃないか」

朝倉「宿題を済ませるチャンスよ。ほらっさっさと勉強に取り掛かって」

キョン「……まったく、なにが楽しくてこんな機会に勉強をせねばならんのだ」

281: 2009/07/01(水) 21:51:39.49 ID:8XJNwvQh0
キョン「なんでこんなことになっちまったんだか…」カリカリ

朝倉「ん~これがキョンくんがいつも寝ているベットね」モフモフ

キョン「あのさ、人が必氏こいて勉強をしている横ではしゃぐの止めてもらえないか?」

朝倉「だってつまんないんだもん」

キョン「だからと言って人のベットで足をパタパタさせるなっつーの!お子様か!」

朝倉「え~酷いわ。私にこんな大人っぽい服を着せて子供扱いだなんて」

キョン「だからそれしか服がなかったわけで――!!―」

キョン「え~と、朝倉さんよ…今度は何をしているんだ?」

朝倉「見て分からない?シェイプアップの運動よ。こうやって仰向けに寝て自転車を漕ぐみたいに足をあげるの」

朝倉「えいっ!えいっ!意外と大変なのよ、この運動」

キョン「知るかよ…(ってかパンツまる見え状態なんですけど。これでどう勉強に集中すりゃいいんだよ)」

287: 2009/07/01(水) 22:03:06.71 ID:8XJNwvQh0
朝倉「ねぇキョンくんまだ~?」

キョン「そう思うんだったら宿題を手伝ってくれよ!」

朝倉「あらっそれはダメよ。ちゃんと自分の力で解決しないと覚えることはできないわ」

キョン「まったく、こういう事に関してはクソ真面目なんだよな…」

キョン「はぁ~真面目に取り組むか…」


キョン「………」カリカリ


キョン「んっ?いやに静かになったな。おい、朝倉?」

朝倉「スヤスヤ」

キョン「いつの間にか寝てるし!?」

朝倉「zzz」

キョン「ほ、ほんとうに寝てるんだよな?」ドキドキ


292: 2009/07/01(水) 22:17:25.02 ID:8XJNwvQh0
キョン「おい、朝倉、パンツが見えちゃってるぞ」ドキドキ

朝倉「zzz」

キョン「間違いない。こいつは完全に寝ちまってる!」

キョン「………ほっぺくらいなら触っても許されるよな」

キョン「ムニムニ…おおっ!朝倉のほっぺプニプニしてる!」

朝倉「zzz」

キョン「ほっぺを触ったくらいじゃ全然起きないか…」

朝倉「スースー」ゴロン

キョン「!!」

キョン「太もも!朝倉の太ももが露に…!?」

キョン「触ってみたい…朝倉のむちむちとした太ももを!」

朝倉「zzz」

キョン「ゴクリ」

296: 2009/07/01(水) 22:29:25.42 ID:8XJNwvQh0
キョン「いいよな?太ももくらい大丈夫だよな?」

キョン「許せよ!朝倉!」

朝倉「キョンくん…ムニャムニャ」

キョン「………」

………
……


朝倉「う~ん…あれっ?」

キョン「目が覚めたか?ぐっすり寝てたみたいだが」

朝倉「もしかして私寝てた?」

キョン「ああ、ぐうぐういびきをかいてたぞ」

朝倉「そんな…恥かしいわ」

キョン「恥かしいといえば朝倉の寝顔もすごかったな」

朝倉「ええっ!もしかして見たの!?」

298: 2009/07/01(水) 22:35:31.02 ID:8XJNwvQh0
キョン「おうっ写メにばっちり撮らせてもらったぞ」

朝倉「やだ、お願いだから消してちょうだいよ!」

キョン「それは無理な相談だ」

朝倉「どうしてよ…寝顔を撮られたなんて恥かしいわ」

キョン「どうしてもだ。(太ももに触れなかったんだ、それくらい許されるだろ)」ニヤニヤ

朝倉「ううっ…意地悪キョンくん」

ピンポーン

朝倉「あれっ?誰か来たみたいよ」

キョン「誰だろう。はい、どちら様ですか?」ガチャッ

長門「朝倉涼子を引き取りに来た」

キョン「長門!?」

304: 2009/07/01(水) 22:48:59.89 ID:8XJNwvQh0
朝倉「どうして長門さんがここに…」

長門「言ったはずあなたを引き取りに来た」

長門「これ以上あなたを彼のそばに置いておくのは危険」

キョン「べつに朝倉と居ても何も問題なかったぞ」

朝倉「そうよ、さっきだってキョンくんと一緒に仲良くしてたんだから!」

長門「(それが問題…彼に朝倉涼子を取られてしまう)」

長門「ご託はいい。さっさと家に帰るべき」グイッ

朝倉「きゃっ!」

キョン「おいっ暴力はやめろ!」

長門「(しまった!)」

キョン「長門!お前はまた朝倉に乱暴しにきたのか!そうなのか!?」

長門「ち、違う…今のは間違い…」




307: 2009/07/01(水) 22:56:19.04 ID:8XJNwvQh0
キョン「間違いだって?おまえまだそんな言い訳を――」

長門「私は朝倉涼子に謝りに来た」

朝倉「長門さん?」

長門「私はあなたにたくさん酷いことをした…後悔している」

長門「反省している。ごめんなさい」ポロポロ

キョン「長門、お前…」

長門「だからお願い、帰ってきてほしい…」

長門「一人は嫌。一人はとても寂しい」

長門「私は朝倉涼子と一緒に居たい…」

朝倉「ご主人様…」

309: 2009/07/01(水) 23:02:32.14 ID:8XJNwvQh0
長門「だからお願い。帰ってきて…」

朝倉「でも今の私のご主人様はキョンくんだし…」

朝倉「それに私、まだキョンくんに恩返ししてないの」

長門「分かった。……朝倉涼子がそう望むなら私は諦める」

朝倉「ごめんなさい」

長門「でもこれだけは聞いてほしい…」

長門「朝倉涼子、あなたに酷い事をしてきたけど一緒に過ごせて楽しかった」

長門「今まで酷い事をしてごめんなさい。さようなら…」

トボトボ

朝倉「長門さん!」


313: 2009/07/01(水) 23:06:23.50 ID:8XJNwvQh0
キョン「行かなくていいのか?」

朝倉「だって私はキョンくんの側にいなきゃ…」

キョン「朝倉、お前はもう十分俺に恩返しをしてくれたよ」

キョン「お前と過ごせて俺は幸せな気持ちになれた。だからもういい」

朝倉「でも…」

キョン「せっかく長門と仲直りできるチャンスなんだぞ?」

朝倉「……」

キョン「ほらっさっさと行け。これはご主人様の命令だぞ」

朝倉「キョンくん、ごめんね!」

キョン「ああ、ちゃんと仲直りするんだぞ!」

314: 2009/07/01(水) 23:11:38.58 ID:8XJNwvQh0
キョン「さてと…朝倉は行っちまったか」

キョン「とうとう家には俺一人だけになっちまったな…」

ポツーン

キョン「一人は嫌か…」

キョン「朝倉が居ないと寂しいだなんて俺も女々しいかな?」

キョン「あいつともっと一緒に居たかったな…」

長門「ならそうするべき」

キョン「おわっ!?な、長門?なぜここに!?」

朝倉「驚かせてごめんね、キョンくん」

キョン「お、お前たち帰ったんじゃないのか?ってか仲直りはできたのか?」

朝倉「うん、キョンくんのおかげでね」

キョン「そうか、それは良かった。でもなぜここに戻ってきたんだ?」

317: 2009/07/01(水) 23:17:25.25 ID:8XJNwvQh0
朝倉「だって長門さんは私のご主人様だけど、キョンくんも私のご主人様なんだもん」

朝倉「三人一緒にいないとご主人様の命令を聞くことはできないでしょ?」

キョン「だからっておまえ…」

長門「これは彼女が決めたこと。不本意だが私はそれに従う。あなたもそうするべき」

朝倉「だからね、三人一緒に過ごしましょう」

キョン「やれやれ、そうきたか…」

長門「言っておくがあなたには彼女を渡さない」

キョン「それは俺のセリフだな。誰がお前に負けるものか」

長門「それはこっちのセリフ」

朝倉「ねぇなんの話をしてるの?」

キョン・長門「それは秘密」

朝倉「??」


                  fin

319: 2009/07/01(水) 23:18:46.83 ID:FYpP4oNF0
otu

320: 2009/07/01(水) 23:19:58.10 ID:knjY/CLK0

引用: 長門「朝倉涼子は私の奴隷…あなたに指図されるおぼえはない」