1: 2016/07/27(水) 21:29:46.85 ID:gmnTMmYD0
3: 2016/07/27(水) 21:31:44.23 ID:gmnTMmYD0
――――――
悠貴「お疲れ様でしたっ、プロデューサーさん! お先に失礼しますねっ!」
P「ああ。お疲れ様。気をつけて帰って……ん? どうした悠貴。急いでるようだけど、何か用事か?」
悠貴「あ、はいっ! そうなんです! 実は、今日は家に帰ったらゲームするんですっ!」
P「え? ゲーム? ……。えっと、今ゲームって言ったか?」
悠貴「そうですっ。今、すごくハマってるゲームがあるんです! 楽しいですよ!」
P「え、ゲームって、その……いわゆる、テレビゲーム、ってやつの事か? マリオとか、ポケモンとか」
悠貴「はいっ。そんな感じですけど……どうかしましたか? もしかして、アイドルがゲームとか、あまり好ましくないとか……」
P「あ、いや、すまん。そういう事じゃないんだ。全然悪いことはない。そうじゃなくて、なんだか悠貴がゲームするイメージがなくて。あまりインドアな趣味はないと思ってたんだが」
4: 2016/07/27(水) 21:32:30.98 ID:gmnTMmYD0
悠貴「そんなことないですよ? 私、ゲーム大好きですっ!」
P「そうなのか? へえ、意外な事実を知ったな。まあこっちが勝手にイメージ持ってただけだが……。ちなみに、どんなゲームするんだ?」
悠貴「MMORPGですっ!」
P「えっ」
悠貴「え?」
P「……。えっと、何度も驚いてすまない。今度は、意外なジャンルが出てきたから驚いてしまった」
悠貴「そ、そんなに意外でしたかっ? 私は大好きなんですけど」
P「あ、ああ。俺もちょこっとやった事はあるし、面白いと思うが……まさか悠貴が、な。すごく意外だ。正直、さっきから驚きっぱなしだ」
P(最近の女子中学生の間では、当たり前なのか? ううむ、流行のリサーチ不足だな。俺もまだまだ勉強が足りないな……。よし。ならリサーチも兼ねて、悠貴にいろいろ聞いてみよう)
6: 2016/07/27(水) 21:33:10.51 ID:gmnTMmYD0
P「……とりあえず、俺のことはいいんだ。気にしないでくれ。それより悠貴、今やってるのはどんな感じのゲームなんだ?」
悠貴「どんな、ですか? えっと、そうですね……かんたんに言うと、妖精の国を冒険するゲームっていう感じでしょうか」
P「妖精の国? じゃあプレイヤーは妖精になるのか?」
悠貴「そうですっ。妖精だから、空も飛べるんですよっ! それがすっごく気持ち良くてっ!」
P「へえ。それは楽しそうだな」
悠貴「はいっ。それに、同じ妖精でも火とか水とか、色んな種族があるんです」
P「なるほど。それは自分で選べるってことか。ちなみに悠貴はどの種族にしたんだ?」
悠貴「闇妖精の、インプですっ!」
P「や、闇?」
悠貴「はいっ!」
P「そ、そうか。闇か。うん。きっと、可愛い衣装が好きな悠貴なりの、グッときた何かがあるんだな」
悠貴「そうなんですっ! インプの特徴はですね……あっ!?」
P「? どうした」
7: 2016/07/27(水) 21:35:34.93 ID:gmnTMmYD0
悠貴「ご、ごめんなさいっ! もう帰らなきゃ! 今日はギルドのみんなと約束してるんですっ! 遅刻しちゃいますっ」
P「そ、そうなのか。悪かったな、引き留めてしまって」
悠貴「い、いえっ! プロデューサーさんは悪くないですっ! 私こそ長々と説明してしまったので、お仕事の邪魔を―――」
P「いや、俺は大丈夫。それより、早く帰ったほうがよくないか? 約束……」
悠貴「ああっ!? そ、それもそうですねっ! 帰りますっ! おっ、お疲れ様でしたーっ!」ダッ!
P「お疲れー……」
P「…………」
8: 2016/07/27(水) 21:36:54.03 ID:gmnTMmYD0
P「……MMOか。悠貴の意外な一面を知れたな」
P「悠貴があれだけハマるゲーム……ちょっと気になるな。俺もやってみようかな」
P「どれどれ。なんてゲームだ? ちょっと検索を―――あ、しまった。肝心のタイトルを聞き忘れてしまった……まあ、明日聞けばいいか」カタカタ
P「キーワードだけでも出るかもな……MMORPG、妖精、空を飛べる、インプ……っと」カタカタ
P「……おっ、出た出た。ええっと……ん? ああ。なんだこのゲームか。これだったら、タイトルだけなら俺も聞いたことあるな」
P「社会人になってから、こういうのは久しくやってないな。学生の頃は、俺もよくやってたなぁ……ん?」
P「検索候補に……闇妖精の、凄腕プレイヤーの噂ってのがあるな。闇妖精、インプか。悠貴と同じ種族だな。なになに?」
P「……11連撃の、オリジナルソードスキル……絶剣? へえ、こりゃあすごい。有名プレイヤーとなると、こんな異名までつくのか。カッコいいな。どうせやるなら、俺もこのくらい強くなりたいもんだ」
P「えっと、プレイヤー名は……」
9: 2016/07/27(水) 21:37:39.34 ID:gmnTMmYD0
P「―――え」
P「…………」
P「……。いや。さすがに本名ではやらないよな。ネットは怖いからな。うん。他人他人。きっと同じ名前の違う人だな。きっとそうだ。うんうん」
P「…………」
P「……一応、もうちょっと調べてみるか」
―――その1 マザーズ・ロザリオ 終わり―――
10: 2016/07/27(水) 21:38:25.68 ID:gmnTMmYD0
――――――
P「悠貴って、陸上の他にも何かやってるスポーツとかあるのか?」
悠貴「陸上以外で、ですか?」
P「ああ。悠貴って、傘の上で枡を回せるくらい器用だからさ。走るだけじゃなくて球技とか、他の事もなにか始めてみてもいいんじゃないか?」
悠貴「んー、そうですねー……」
P「いっそのこと、格闘技でも始めてみるとか……いや、さすがにそれは無いか。今まで経験ないだろうし、アイドルの女の子がいきなり格闘技ってのも―――」
悠貴「経験ありますよっ」
P「えっ」
悠貴「格闘技、やったことありますっ! というか、今も習ってますっ!」
P「そ、そうだったのか!? 知らなかった……」
悠貴「内緒にしてたわけじゃなかったんですけど……すみませんっ」
11: 2016/07/27(水) 21:39:19.94 ID:gmnTMmYD0
P「そうか、格闘技か……すごいな悠貴は。色んな事にチャレンジしてるんだなぁ……。ちなみに、何を習ってるんだ?」
悠貴「八極拳ですっ」
P「は!?」
悠貴「えっ!? な、なんですかっ?」
P「え……あっ、ああ! そうか太極拳か! なるほどな、うんうん! 確かに体操みたいにゆっくりとした動きで、健康にもいいって言うしな―――」
悠貴「ちがいますよっ! 八極拳です、八極拳っ!」
P「……。そ、そうか。八極拳か」
悠貴「はい! 八極拳ですっ! にのうちいらず、ですっ!」
P「お、おう」
P(聞き間違いじゃなかった)
12: 2016/07/27(水) 21:41:10.96 ID:gmnTMmYD0
P「えっと……その、八極拳ってのは、どんなことを習うんだ?」
悠貴「もちろん格闘技なので、色んな技を習いますよ!」
P「わ、技か。……技って、いうと、例えば?」
悠貴「最初に習ったのは、鉄山靠ですね! 上手く出来るようになった時は、すごくうれしかったです! あとは連環腿とか、裡門頂肘とか、白虎双掌打とか……あっ! この間は、やっと猛虎硬爬山ができるようになりましたっ!」
13: 2016/07/27(水) 21:41:48.93 ID:gmnTMmYD0
P「そ、そうなのか。すごいな悠貴は」
悠貴「そんなことないです! 道場の先生にはいつも、『10年早いんだよ!!』って叱られて……お恥ずかしいですっ」
P「厳しい先生なんだな」
悠貴「でも私、頑張ります! いつかは先生みたいな、きれいな連携の、崩撃雲身双虎掌が打てるように……っ!」
P「そ、そうか。ま、まあ真面目にやってれば、いつかは叶うさ。頑張れよ悠貴」
悠貴「ありがとうございますっ! プロデューサーさんが応援してくれたら、もっと頑張れそうですっ! えへへっ」
P「それはよかった……ははは……」
P(ガチの実戦格闘技のような気がするのは、俺だけか? いつか悠貴が虎になりそう……)
―――その2 愛がたりないぜ 終わり―――
14: 2016/07/27(水) 21:42:21.08 ID:gmnTMmYD0
――――――
悠貴「……はあ」
P「?」
P(なんだか……レッスンから帰ってきてから元気がないな。なにかあったのか?)
P「悠貴、お疲れ様。どうした? なんだかいつもより疲れてるんじゃないか?」
悠貴「あ。プロデューサーさん。お疲れ様です……」
P「今日のレッスン、きつかったか? それとも、何か悩み事でも?」
悠貴「……えっと。その、ですね」
P「うん」
悠貴「あの、プロデューサーさん。私って……その、個性が無い、ですよね?」
P「……うん?」
15: 2016/07/27(水) 21:43:11.65 ID:gmnTMmYD0
悠貴「私って、ちょっと背が高いだけの、普通の女の子ですし」
P(……言ったら悪いけど、中一で164cmは、ちょっとじゃないと思うが)
悠貴「アイドルって言ってもまだ新米で、私はジュニアモデルの経験しか無いし」
P(そんな経験のある女の子も、そうそういないと思うが)
悠貴「趣味だって、普通だし」
P(ミックスジュース作り……は、普通、なのか? 普通といえば普通だが、中学生の女子はみんな嗜んでるもんなのか?)
悠貴「岡山県出身だし」
P(え、それは無個性と言っていいのか? 同郷の人、みんな敵に回すんじゃないか?)
悠貴「天秤座だし」
P(それも敵が増えるんじゃないか? 星座カーストの話か?)
16: 2016/07/27(水) 21:43:53.62 ID:gmnTMmYD0
悠貴「こんな私だから、なんとか個性的なキャラを目指そうと思って、さっきの演技力レッスンの時に頑張ってみたんですけど……」
P「頑張ってみた? ええっと……つまり、悠貴なりに色々考えて、レッスンで試してみたけれど、それが裏目に出てしまった。ってことか?」
悠貴「はい。失敗しちゃいました……えへへ」
P「なるほど。そういうことだったか」
悠貴「…………」
P「……まあ、うん。とりあえず、悠貴に個性があるかないかって話は置いておくとして」
P(充分個性的だと思うが、今の悠貴は何を言っても納得しないだろうし)
17: 2016/07/27(水) 21:46:04.99 ID:gmnTMmYD0
P「考えて考えて、それで頑張った結果、空回りしてしまった。って事なら、そんなに落ち込む必要はないんじゃないか?」
悠貴「……そう、ですか?」
P「ああ。ただ、悩む事は必要だと思う。失敗してしまったんなら、次はどうするか。今度は成功するぞ、って気持ちで挑めるように、次回の演技力レッスンまでに、また次の手を考えておく事。いいな?」
悠貴「…………」
P「失敗したんなら仕方がない。むしろそのためのレッスンじゃないか。たくさん失敗して、たくさん悩んで、悠貴がなりたいと思うアイドルに近づけるように、また頑張るんだぞ。もちろん相談には乗るからな」
悠貴「……はい。そうですよね。 確かに今日はダメでした。でも、次のレッスンがありますもんねっ」
P「そうそう。落ち込むのは終わり! ポジティブに行こう、悠貴!」
悠貴「はいっ! わかりましたっ! また失敗しちゃうかもしれないけど、私、頑張ってみますっ!」
18: 2016/07/27(水) 21:46:39.02 ID:gmnTMmYD0
P「その意気だ。今日の失敗だって、きっといい経験に……あ、そうだ」
悠貴「?」
P「ちなみに今日、レッスンでどういう事をしたんだ? あまり言いたくないだろうが、どこが悪かったのか知っておかないと、俺もアドバイスができないからな」
悠貴「あっ、確かにそうですねっ。えっと……じゃあ実際にやってみるので、プロデューサーさん、協力してくれますか?」
P「協力? いいけど、何をすればいいんだ?」
悠貴「床で、横になってもらえますか? 倒れてるような感じでっ」
P「倒れてるような……えっと」スッ
19: 2016/07/27(水) 21:47:30.94 ID:gmnTMmYD0
P「こんな感じに、寝そべったままでいいのか?」
悠貴「はい、それで大丈夫ですっ。じゃあさっそくやってみますねっ」ゴソゴソ
P「ああ。よろしく―――ん? それは……黄色いローブ? 着るのか? どうした悠貴、急にフードなんて被ってグェッ!?」
悠貴「…………」
P「え? えっと……え? 俺、踏まれた? え、なんで踏むんだ? というかそのローブどこから出して痛いッ! 痛い痛い! グリグリしないで! 結構痛いから! その細い脚の、どこにこんな力があるん痛いッ! 痛いって!!」
悠貴「―――クッソ弱えぇ」ボソッ
P「……え? 今何て―――」
20: 2016/07/27(水) 21:48:23.23 ID:gmnTMmYD0
悠貴「クッソ弱えぇっ!! ですっ! ヒャッハーッ!! ですっ!! ヒャッハー!!」
P「」
21: 2016/07/27(水) 21:49:15.14 ID:gmnTMmYD0
悠貴「雑魚がっ! ○ねよっ! バーカっ! ですっ! ヒャッハーですっ!」
P「」
悠貴「マジ弱すぎるわぁテメーっ!! ヒャッハッハー!! ですっ! えへへっ!」
P「」
悠貴「もうめんどくせぇのはナシだっ! ですっ! 大蛇斬頭烈封餓っ! 受けな―――」
P「悠貴」
悠貴「―――っ!? な、なんですかっ?」
P「別の方向性で行こう。頼むから。お願い」
悠貴「……あ、はい」
―――その3 フォースイーター 終わり―――
22: 2016/07/27(水) 21:49:56.18 ID:gmnTMmYD0
――――――
悠貴「おはようございますっ! プロデューサーさんっ!」
P「ん? ああ。おはよう悠貴。今日も早いな―――っ!?」ガタッ
悠貴「? どうかしましたかっ?」
P「……。悠貴。えっと……その右手は、どうした?」
悠貴「右手……あっ、これの事ですかっ?」
P「ああ」
悠貴「ロープアームですっ」
P「……? ロープ、アーム?」
悠貴「はいっ。ロープアームですっ」
23: 2016/07/27(水) 21:50:23.58 ID:gmnTMmYD0
P「……。そ、そうか。ロープアームか」
悠貴「はいっ」
P「へえ……」
悠貴「…………」
P「…………」
悠貴「……? プロデューサーさん、どうかしましたか?」
P「えっ? あ、いや。どうもしないけど……むしろこっちが聞きたいというか」
悠貴「?」
24: 2016/07/27(水) 21:50:51.00 ID:gmnTMmYD0
P「……! あ、もしかして、何か撮影だったか? 悪い、すっかり今日の予定が頭から抜けてたよ。ははは」
悠貴「撮影? いえっ、違いますよ。今日はレッスンの日ですっ」
P「……。そうか。やっぱりレッスンの日か。予定を忘れてなくてよかったよ。はは……は」
悠貴「はいっ! 今日もレッスン、頑張ってきますねっ!」
P「あ、ああ。頑張れよ……うん」
P「…………」
25: 2016/07/27(水) 21:52:09.22 ID:gmnTMmYD0
P「……なあ悠貴。やっぱり、その右腕は―――」
悠貴「あっ、これだとダメでしたか? パワーアームの方が、アイドルらしかったでしょうか?」
P「いや、そうじゃなくて、その右腕はなんで―――ちょっと待て。他にもあるのか?」
悠貴「ありますよっ。スイングアームとか、ドリルアームとか」
P「す、スイング? ドリル?」
悠貴「マシンガンアームとか」
P「マシンガン!? 銃器!? いやそれはおかしいだろ!」
悠貴「おかしい……ですか? 便利ですよ?」
26: 2016/07/27(水) 21:52:40.95 ID:gmnTMmYD0
P「中学生のアイドルが、銃器を便利な道具と思っちゃあいけない!! 悠貴、そもそもなんでそんな右腕に―――」
悠貴「あっ、ちょっとすみませんっ! 通信が入ったので、失礼しますっ!」
P「え? 通信? 電話の事か?」
悠貴「お疲れ様ですっ。はい……。はい……えっ!? 本当ですかっ!? 大変!! すぐに向かいますねっ!!」
P「え、ど、どうかしたのか?」
悠貴「すみませんプロデューサーさんっ! 今日はレッスンお休みします! 私、急いでプルトンロケットを止めに行かないとっ!」
P「プルトンロケット!? な、何言ってるんだ!? 悠貴、落ち着け! 何一つ説明になってないぞ! それとも芝居の練習なのか!?」
悠貴「アイドル、乙倉悠貴の最期を見ろ! ですっ! いってきますっ!!」ダッ
P「おいっ、待て悠貴!! 不吉な事を言って出ていくんじゃあないっ!! 悠貴っ、悠貴ぃーっ!!」
27: 2016/07/27(水) 21:53:13.60 ID:gmnTMmYD0
―――その後、何日か連絡が取れなかったが、悠貴はなぜかタヒチで発見された。
―――その4 カセットアーム 終わり―――
28: 2016/07/27(水) 21:53:42.84 ID:gmnTMmYD0
――――――
P「…………」
P(なんだか……最近、悠貴の様子がおかしい気がする。悠貴自身がおかしい、っていうより、なんというか、こう、ありえない事が起こってるというか……色々と突っ込み所があるというか)
P「疲れてるのかな、俺……今日は早めに帰って休もうかな」
29: 2016/07/27(水) 21:54:21.34 ID:gmnTMmYD0
ガチャ
悠貴「お疲れ様ですっ!」
P「…………」ジー
悠貴「あ、プロデューサーさんお疲れ様です! レッスン終わりました!」
P「……。そうか、レッスン終わったか。お疲れ様」ジー
悠貴「……? プロデューサーさん、疲れてますか? なんだか顔色が悪いような」
P「……ん? あ、ああ。やっぱりばれたか。ダメだな。担当アイドルに心配されるようじゃあ」ジー
悠貴「そんなことないです! 普段、私たちのためにずっと頑張ってくれてるんですから、たまには私たちにも頼ってくださいっ! プロデューサーさんに何かあったら、私イヤですっ!」
P「悠貴……ありがとう。心配してくれて」ジー
30: 2016/07/27(水) 21:54:53.84 ID:gmnTMmYD0
悠貴「そんな、お礼なんて……あっ、そうだ! よかったら紅茶でもいかがですか? 最近煎れ方を覚えたんですっ」
P「紅茶? へえ。いいじゃないか。色んなことに挑戦してるんだな、悠貴は。すごいぞ」
悠貴「えへへ……まだまだ勉強中なので、お恥ずかしいですっ! でも、アイドルとしてもっと輝けるように、色々覚えられればいいなと思ってっ」
P「いい心がけだな。俺も見習わなきゃな……他にも勉強してる事はあるのか?」
悠貴「はいっ。最近勉強してるのは、念動力ですっ」
P「……。そうか! 念動力か! すごいな悠貴は! それって、触らずに物を動かせるとか、そういうことだろ?」
31: 2016/07/27(水) 21:55:35.95 ID:gmnTMmYD0
悠貴「い、いえいえっ! そんなすごい事はできないですっ。ロボットに乗らないと、あまり意味がなくてっ」
P「……ろ、ロボット?」
悠貴「はいっ。テストを受けたら念動力の素質があったみたいで、今はそれをもっと伸ばせるように特訓中です!」
P「いや、それってどんなテスト……いや! なるほどな! ロボットか! すごいな! どんなロボットなんだ?」
悠貴「赤いロボットですっ! 頑丈で、大砲やミサイルもついてて、でも空を飛べるんです! すごいですよねっ!」
P「確かに! 重そうなのに、飛べるなんて!」
悠貴「ですよねっ! ……あっ、あと他にも、戦車にも乗りました! 人型と、動物型に変形するんですっ」
P「ひ、人型と、動物? そんな戦車あるわけ……いいや! すごいな! ハイテクだな! ちなみに何の動物になるんだ?」
悠貴「豹ですっ! 豹型ですっ!」
P「豹か! 強そうだな! それに速そうだ!」
32: 2016/07/27(水) 21:56:15.00 ID:gmnTMmYD0
悠貴「でも変形するには、ちょっと大変で……私もまだうまく出来ないんですっつ」
P「大変? 操作が難しい、とか?」
悠貴「野生が足りないそうですっ」
P「え?」
悠貴「変形するには、もっと野生的にならないといけないそうですっ。私はまだ、それが出来なくてっ。勉強中です!」
P「野生……で、変形?」
悠貴「はいっ」
P「戦車が?」
悠貴「はいっ」
P「…………」
33: 2016/07/27(水) 21:56:48.62 ID:gmnTMmYD0
悠貴「四機そろえば合体も出来るって!」
P「…………。すまない」
悠貴「……え?」
P「すまない、悠貴。限界だ。もう何が起こっても、何を言われても突っ込まないと決めたが……やはり……っ! 限界だっ!!」
悠貴「っ!?」
P「なんだ!? ロボットって! なんだ念動力って!? なんだ野生って!? 悠貴は何を目指してるんだ!?」
悠貴「ぷ、プロデューサーさん!? どうしたんですかっ!?」
P「こっちのセリフだ! 悠貴! いったいさっきから何を言ってるんだ!? 悠貴はアイドルだろう? いつの間にパイロットになったんだよ!?」
悠貴「落ち着いてくださいっ! 落ち着いてくださいプロデューサーさんっ!」
34: 2016/07/27(水) 21:57:28.16 ID:gmnTMmYD0
P「落ち着いてられるかっ!! というか!! レッスンから帰ってきて!! 一番最初に、悠貴に言いたかったことは……っ!!」
P「―――なんで、アフロになってるんだ!? あのキュートなショートヘアはどうした!?」
悠貴「はいっ! グレンキャノンもですっ!」
P「答えになってないっ!!」
―――その5 Machine Soul 終わり―――
35: 2016/07/27(水) 21:58:13.90 ID:gmnTMmYD0
――――――
P「―――はっ!?」ガバッ
P「…………」キョロキョロ
P「……ここ、事務所……か? そうか。ソファーで休んでたら、眠ってしまったのか」
P「…………」
P「はあ……。なんだか、メチャクチャな夢だったな。いったいなんだったんだ……別の世界線の悠貴ってことか? 色んな悠貴が出てきたけど―――」
ちひろ「悠貴ちゃんの話ですか?」
P「うわっ!!」ビクッ
ちひろ「きゃっ!?」ビクッ
36: 2016/07/27(水) 21:59:12.23 ID:gmnTMmYD0
P「…………」
ちひろ「……ぷ、プロデューサーさん?」
P「……。あっ。す、すみませんちひろさん。ちょっと、びっくりしただけです」
ちひろ「い、いえ。こちらこそ、驚かせてしまったみたいで。ごめんなさい」
P「いえ、気にしないでください。その、ちょっと夢見が悪くて……」
ちひろ「そうなんですか? プロデューサーさん、大分お疲れなんじゃないですか?」
P「……そうかもしれないですね。今日はもう終わりにして、早めに帰ることにします……。あ、そうだ。悠貴はもう戻りましたか?」
ちひろ「いえ、まだですね。でもそろそろ、レッスンが終わって戻ってくる頃だと思いますけど……あっ、そういえば」
P「どうかしましたか?」
ちひろ「悠貴ちゃんが、戻ったらプロデューサーさんに相談したいことがあるって言ってましたよ」
P「相談ですか?」
37: 2016/07/27(水) 21:59:40.31 ID:gmnTMmYD0
ちひろ「はい。なんでも、自分は今のままでいいのか、って事を気にしてるみたいで」
P「……え?」
38: 2016/07/27(水) 22:00:11.87 ID:gmnTMmYD0
ちひろ「アイドルとして、何か足りないんじゃないか。って言ってましたよ。こう、なにか特別な個性とか、趣味とか特技とかが必要なんじゃないかって―――」
P「今のままでいいっ!!」
ちひろ「っ!?」ビクッ
39: 2016/07/27(水) 22:00:40.76 ID:gmnTMmYD0
P「そのままの悠貴でいい! 大丈夫です! 無理に変わる必要はないんです! 悠貴は充分なくらい魅力的なんです! かわいいんですっ!」
ちひろ「えっ!? えっと、あの、え!?」
P「悠貴はかわいい! かわいいんだ! オーディションで初めて見た時、俺はそう思った! 今でもそうだ! かわいい悠貴なら、きっとトップアイドルになれる! 俺はそれに賭けているんだ!」
ちひろ「わ、わかりましたっ!! わかりましたからっ、落ち着いてください!!」
P「メルヘンな時も! アクティブな時も! 新春の時も! 傘芸の時も、春爛漫の頃も、秋風の頃も! そしてこれからもっ! 悠貴はかわいい! ずっとかわいい! 可能性は無限大だ! 悠貴のかわいさは無限大だっ!!」
ちひろ「プロデューサーさんっ!? しっかりしてくださいっ、プロデューサーさんっ!!」ユサユサ
40: 2016/07/27(水) 22:01:36.64 ID:gmnTMmYD0
――――――
悠貴「…………」
悠貴(すごく、入りづらい……///)
―――乙倉ユウキの可能性 終わり―――
41: 2016/07/27(水) 22:02:21.28 ID:gmnTMmYD0
SSR引けないです。
きっとこれは、担当アイドルなのに、メインのSSを書いたことが無かったからです。
今なら引けるはず。お迎えしてきます。
ありがとうございました。
引用: P「乙倉ユウキの可能性」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります