203: 2013/09/04(水) 00:01:40.81 ID:/e4dmMD/0


【咲-Saki-】穏乃「勝つんだ、咲に!」【前編】

灼(始まった・・・)

灼(毎回完全試合なんて無茶苦茶は誰も出来ると思っていなかった)

灼(マスコミだって当初は宮永結を散々扱き下ろしてた)

灼(県予選から始まって全国大会まで完全試合を続けていく内に、評価は入れ替わった)

灼(本人のは普通の麻雀に見える、牌の偏りもない、聴牌すらできないこともある)

灼(けど他家が和了れない)

結「ロン、千里山まずは1000点ね」

憩「点数下げてまで狙い撃ちかー」

灼(北九州の白水哩でもダメだった。個人戦2位の荒川憩はどうだろう・・・)

灼(聴牌気配はあるけど・・・)

結「ロン、2000点」
咲-Saki- 25巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
202: 2013/09/04(水) 00:00:32.28 ID:/e4dmMD/0
晴絵「灼・・・そのネクタイ、付けてくれるのは嬉しいんだけどさ」

晴絵「縁起、悪くないかな?」

灼「何言ってんのハルちゃん」

灼「私がここに居るのは、このタイのお陰だよ」

灼「だから連れて行く、決勝まで」

 ―――

恒子『去年の雪辱を果たせるか。個人戦2位、千里山女子2年荒川憩』

憩「よろしくですー」

恒子『シード校2校を相手に大健闘を見せる阿知賀女子からは鷺森灼』

灼「よろしくお願いします」

恒子『そして、北九州の王者新道寺から白水哩。絶体絶命の危機にエースは何を思うのか!』

哩「よろしく」

恒子『そして現れました!今大会、皆さんの最大の関心をさらった、予告通り全ての試合を完全試合で終わらせている選手、世界チャンピオン宮永照と同じ最強のDNAを持つ、宮永結ぃぃぃーーー!!』

結「よろしくね」メラッ

204: 2013/09/04(水) 00:03:42.43 ID:/e4dmMD/0
<回想・阿知賀部室>

晴絵「宮永結の『完全試合』にはいくつか特徴がある」

灼「特徴?」

晴絵「まず1つ目は、有効牌率の激減だ」

晴絵「宮永結と試合をするとツモ牌がズタボロだと思っていい」

灼「それってチャンピオンの有効牌をツモり続ける連続和了の逆?」

晴絵「そうだと思う。『自分が有効牌を掴む』の真逆の『他人に無効牌を掴ませる』力なんだと思う」

晴絵「その力が競合した結果、個人戦では宮永照が勝ってるとも考えられるが・・・まあ、それは予測にすぎないし、宮永照以外には出来ない対策だから意味がない」

晴絵「それでも聴牌まで持っていけた選手が何人か居る。そこで現れるのが」

晴絵「2つ目の特徴、当たり牌が失われることだ」

灼「当たり牌が、ない?」

晴絵「聴牌した後、その当たり牌は誰もツモれないんだ。予選では必氏に他人に差し込みに行った選手が居たが、その選手の手配とツモ牌に当たり牌は無かった」

灼「本当に、完全無欠なの?」

晴絵「それが3つ目、宮永結自身は普通に麻雀を打つため裏目もあるし火力も普通。これで宮永照ばりに有効牌をツモり続けるなら完全無欠だろうけど」

灼「それでも他家が和了らないなら」

晴絵「いくつか対策的なものはあるけど、通用するかどうかは分からない」

晴絵「伝えるだけ伝えておくから、灼自身が状況を見て判断して」

205: 2013/09/04(水) 00:05:00.84 ID:/e4dmMD/0
灼(ハルちゃんの作戦を実行したいけど、そもそも有効牌が来なさ過ぎて準備も整わない・・・)

結(よしこの一向聴は高く・・・ってダメじゃん)

結(これ和了ったら8000オールで終わりだし! まだ千里山から3000点しか取ってない!)

憩(崩したな)

結「・・・ノーテン」ムー

憩(新道寺には悪いけど、監督の作戦が良い方向に進んだわ)

憩(ウチらから削りたい宮永結は高い手を和了せん)

憩(その上、宮永結の和了率は常識的な範疇でしかない。より手が限られるから和了率どころか聴牌率も落ちるわ)

哩(2回戦、私はこいつ相手に1度も和了ることができなかったと)

哩(そのせいで姫子に鍵を渡すこともできず、あの試合)

哩(恨むつもりはない。認められんのは自身の力の無さ)

哩(千里山は危険を冒してまで清澄との戦いに臨んだ。2回戦、お前たちの想いは私たちにも届いた)

哩(こちらもただやられた訳じゃなかと)

206: 2013/09/04(水) 00:07:11.50 ID:/e4dmMD/0
結「んー、なかなか来ないなぁ」パチ

哩「」チラ

憩「?」

哩「ポン!」

憩「!」

哩(気付けたか。さすがだ)

憩「」パチ

哩「チー!」

哩(よし、聴牌)

結「・・・」

哩(お前の『完全試合』は配牌とお前自身には無効)

哩(他家の捨て牌とお前自身の捨て牌は、有効牌になりやすいとよ)

哩(2回戦とは違い、千里山の荒川憩は百戦錬磨。協力し合えば『他人に無効牌を掴ませる』効果を軽減できる!)

哩(問題は・・・)

憩(ええよ。多少の点数は獲得するとええわ。ウチたちも『完全試合』が崩せるのかどうか確認したいかんな)

結「やるねー、諦めてないなんて。私、そういう人って好きだよ」ニコ

哩「勝ちを諦めるなんて有り得んとよ」

結「だよねー」

結「ツモ、300・500」

207: 2013/09/04(水) 00:08:46.40 ID:/e4dmMD/0
哩(くっ、間に合わなかった)

憩(新道寺イイ線やな。ならウチも仕掛けて行きましょかー)

憩「」パチ

結「要らないのしか来ないよ・・・」

結(何? この状況で有効牌切ってるの? なんでさ?)

憩(あんたがツモ切りしてるんは、あんたにとって不要な牌。繋ぐこともできない浮いた牌や)

哩(奴のツモ切り牌の周辺でロン和了はなかと)

憩(当然、有効牌が永遠に来ないことなんてない。山が深くなればなるほど、有効牌の確立は上がるんよ)

哩(それだけじゃないな。ツモ切り牌の周辺牌は、奴が持っていない牌・・・配牌までは分からんが、河にも無ければ、山に残っている可能性が高い!)

憩(『完全試合』を100%破れる作戦なんかないわ。けどな、有効無効を切り分けて、確立上げてやれば破れ・・・)

結「ふふふ」メラッ

憩「」ゾクッ

憩(あかん!?)

結「ポン」

結「チー」

結「ロン、3900」

208: 2013/09/04(水) 00:10:37.77 ID:/e4dmMD/0
哩(『有効牌が入らない』以外に、まだ何あると?)

憩(今のはパターンにないわ。新道寺は何か気付いたんか?)

結「ますます良い表情だよ。でも私には勝てない」

結「どうせ、私の力を照おねーちゃんの真逆だとか判断したんでしょ? 半分は正解」

結「だけど運命には誰も逆らえない」メラメラメラ

哩(そんなことはなかと。こいつは個人戦では宮永照と宮永咲、原村和にも和了られとる)

憩(弱点はあるはずや、しかしそれが分からん)

結(久じゃなくても読み取れるよ。分かんないって顔してるね)

結(そりゃ分かんないだろうけどねっ)

結「仕方ないから、私を支える第二の能力を教えてあげよう」

灼「は?」

憩「おー、教えて欲しいわ」

哩「聞いてやるとよ」

結「私はね」

結「運が良いんだよ!!」

哩・憩・灼「・・・」

哩「聞いて損したと」

憩「はよサイコロ回してやー」

結「ええっ!? 何それ!? 麻雀で生まれつき運が良いってホントーに超強いからねっ!!」

灼(この子の戯言は、いつも通りのパフォーマンスだから置いておいて)

209: 2013/09/04(水) 00:13:10.81 ID:/e4dmMD/0
照「結は有効牌の位置と種類が見える」

久「咲がカン材の位置と嶺上が分かるのと同じね」

和「そうだとしても他家が到達する前に和了れるかズラせるのは、運が良いと表現しても良いと思いますが」

和「もちろん咲さんの常識を超越する超人的な幸運の前には霞みます」

照「そもそも完璧に『有効牌が来ない』だったら、わざわざあんな事する必要ないし」

久「その辺り、結は上手いわよね」

和「照さんが居るので余計に騙されてしまいますね」

210: 2013/09/04(水) 00:14:06.39 ID:/e4dmMD/0
灼(ダメだ、後半戦が始まっても状況は変わらない・・・)

灼(千里山も新道寺も、聴牌できるようになって来た)

灼(どうも2人で互いの牌を読み合ってる感じ)

灼(私だけ蚊帳の外・・・?)

灼(・・・)

灼「チー!」

憩(阿知賀、気付いてくれたんか。嬉しいで)

哩(よし!これだけで有効牌率が倍になると言って良いとよ!)

哩・憩・灼(まだいける)

結「・・・」

結(んー? この配牌は)

結「」メラッ

211: 2013/09/04(水) 00:15:18.95 ID:/e4dmMD/0
灼「ポン」

憩(阿知賀はボーリングの形やったな。にわか仕込みの知識やけど、筒子を渡すから使ってや)

哩(千里山、筒子が多いな。阿知賀に関係があるのか? 手持ちの筒子から切るか)

灼(よし、聴牌できた!)

灼(宮永結の『完全試合』は、ほとんど聴牌できない。けど、他家が聴牌できる形が生まれる場合)

灼(最初に聴牌できる形の和了牌は、王牌に取り込まれるはず・・・!)

灼(だから最初に聴牌した人はほとんど和了れない)

灼(ただし、王牌に取り込まれるってことは、嶺上牌が高い確立で和了牌になる!)

灼(支配の及ばない王牌に私の特性を組み込めば、嶺上開花で和了れる!)

灼(私が、ハルちゃんの過去を振り払う!)

灼「カン!」

結「」ボッ

 ―――インターハイ準決勝
 ―――赤土さんが大量失点しちゃって、負けちゃったんだ

212: 2013/09/04(水) 00:16:28.06 ID:/e4dmMD/0
結「槍槓ロン」メラッ

結「・・・・・・国士無双32000」

灼「っ」

哩(そんなバカなこと・・・)

憩(なっ、ウチを削りたいんやなかったのか!)

灼「あ・・・ああ・・・」ガクガク

哩(こいつ、聴牌し辛いだけじゃなかと。最初に聴牌した者が和了しようとすると叩き落とす、二重で他人を和了らせない支配)

憩(他家の協力が必要、そして二番目に聴牌することが必須。なんちゅう悪どい能力や、インターハイというこの場所じゃあ、極悪やないか・・・)

憩(突破口は見つけた・・・けど)チラリ

阿知賀 :0

結「早く点棒渡してよ」ゴゴゴ

灼「・・・・・・」ブルブル

結「」ムカッ

結「あれだけやられた新道寺もこうして出てきてるのに、恥ずかしくないの!?」

213: 2013/09/04(水) 00:18:12.47 ID:/e4dmMD/0
晴絵「あ、あら・・た」サー

憧「そんな・・・」

玄「灼、ちゃん・・・」

穏乃「灼さん・・・」

 ―――

憩(チャンピオンにやられた松実玄をフォローするために追い上げムードだった阿知賀、それにストップを掛けてしまったんや、正気じゃ居られん)

憩(しかも阿知賀は10年前にも同じような状況で準決勝敗退しとる。マズイわ・・・)

憩「深呼吸や」

灼「・・・?」ブルブル

憩「一度、大きく息を吸って吐くといいわ」

憩(その震えた手つきじゃチョンボしてまうで?)

結(千里山、阿知賀が山崩せば罰符飛びで決勝進出なのに・・・)

哩(千里山・・・)

214: 2013/09/04(水) 00:19:29.09 ID:/e4dmMD/0
憩(新道寺、悔しいが2人じゃこいつの『完全試合』は破れん)

哩(そうだな、だが戦う意思は失わん)

憩(約束や)

哩・憩(決勝に残った方が、必ずこいつの『完全試合』を破る!)

憩(すいません、部長。部長まで繋げませんでした・・・)

哩(すまん姫子。私の力が及ばんかっとよ)

結「あ、ノーテンだ」

哩・憩「は?」

憩(聴牌を崩して連荘を拒否!?)

結「千里山と新道寺とはまた打ちたいけど、阿知賀とはもう点数のやり取りする気ないから」

灼「」ビクッ

結「二度と麻雀打つな、弱虫」

清澄 :352000(+62000)
千里山:45000(-22000)
新道寺:3000(-4000)
阿知賀:0(-36000)

恒子『パーフェクトゲェェェーーム!!ついに準決勝まで完全試合を達成しました宮永結!大記録達成が目前に迫ってきましたっ!』

健夜『このインターハイのルールで彼女を打倒するのは、少々厳しいかも知れません』

215: 2013/09/04(水) 00:20:39.67 ID:/e4dmMD/0
結(麻雀で負けたくらいでうじうじしてるのは大嫌いだよ)

結(帰れば仲間と、暖かい家族が居る癖に・・・)

 ―――お前がクズだからツモられたんだろうがっ!
 ―――1000点取られるごとに一発だ
 ―――なんのための宮永の血だ!

結「」ブルッ

結「あ・・・咲っ!」

咲「結、お疲れ様」ニコ

結「完全試合は達成」ブイ

結「でもごめん、咲にまで回しちゃった」

咲「ううん、気にしなくていいよ」

結「まあ和の友達にも打たせてあげよう、って気持ちもあってさ」

咲「はいはい」

結「じゃあ私戻ってるね、応援してるから!必要ない内に終わっちゃうだろうけど」

咲「結」

結「なになに?」

咲「先に夕食食べてていいよ」

結「え?」

咲「ありがとう結」

結「?? う、うん?」

結「あ、あのさ、咲」

咲「なに?」

結「えっと、調子悪い?」

咲「そんなことないよ」ニコ

咲()ゴゴゴゴゴゴ

216: 2013/09/04(水) 00:22:03.00 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

憧「・・・」

穏乃「・・・」

玄「・・・」

憧「し、シズは次の試合に。あ、灼は私たちで何とかするから」

穏乃「う、うん」

憧「とにかく、まずハルエ・・・ってどうしたの!?」

晴絵「はぁ・・・はぁ・・・」ギュウゥ

憧「ハルエ・・・あんたそこまで・・・」

玄「赤土さん!」

穏乃(どうしよう・・・行くべきなの? こんな、みんな苦しんでるのに)

憧「シズ、遅刻しちゃうでしょ、行って!」

憧「私、諦めてないから・・・シズも諦めないでよねっ!」

穏乃「・・・憧、ごめん、お願い!」ダッ

217: 2013/09/04(水) 00:23:06.42 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

結「ただいまー」

照「」ガタガタガタガタ

久「もしもし? 私だけどちょっと探して欲しい子が居てね」

和「」ウロウロウロウロ

結「」ポカーン

結「なに?」

和「大変です、結さん、咲さんが・・・」

結「咲が?」

和「迷子になったまま帰って来ません!」

結「・・・さっきすれ違ったよ」

和「え?」

結「もうすぐ会場入りするよ・・・ほらモニタに映った」

照・久・和「・・・」

照「久が大騒ぎするから」

久「照が泣きそうな顔で咲が居ないって言って来たんでしょ」

和「まったく先輩方、落ち着いてください」

結「ていうか、咲ここに戻って来なかったの?」

久「ええ。咲ったら、今日はほとんど居なかったわね」

久「・・・あの子が照や結、和の応援をしないなんて・・・どうしたのかしら」

モニタ内の咲『』ゴゴゴゴゴゴ

218: 2013/09/04(水) 00:52:46.06 ID:/e4dmMD/0
<大将戦>

恒子『最強の遺伝子を持つ3人目の雀士、第2試合の40万点で他校を恐怖のどん底に叩き落とした小鍛治プロ2世の魔王、宮永咲ぃ!!』

健夜『大将まで回ってしまいましたが、点数的にすぐ終わるのが救いでしょうか』

恒子『あれれ? すこやんからのツッコミがないよ?』

健夜『あの子は強いです。私もあの子となら麻雀を打てるかも知れません』ウズ

恒子『え? 麻雀を? いつも打ってるんじゃ?』

咲「よろしくお願いします」ゴゴゴゴゴゴ

姫子「よ、よろ、しくとです」ビクビク

竜華「よろしくな」

穏乃「よろしくお願いします」

穏乃(灼さん、赤土さん、大丈夫かな・・・)

穏乃(今は集中しなきゃ)

219: 2013/09/04(水) 00:53:55.46 ID:/e4dmMD/0
竜華(長い時間かけるのは危険やんな)

竜華(仕掛ける!)

竜華「カン」

穏乃(ドラをカン!)

竜華(宮永咲は嶺上開花が得意や。まずはそれを潰す)

竜華(そしてウチはドラカンすれば、その後4巡で新ドラ4枚入って来るんよ)

竜華(既に頭はあるで。12巡で四槓子をツモれる!)

竜華(すまんな穏乃ちゃん、ウチらは決勝で必ず清澄を倒すから)

穏乃(信じられないけど、12巡以内に役満を聴牌できる)

穏乃(えっと・・・こ、この人、その気になれば毎局12巡以内に四槓子か数えを聴牌できるってこと!?)

穏乃(そうだよ。去年、準決勝までは宮永照よりも獲得点数多かった人だもん)

竜華「」ゴォ

竜華「ロン!数え、32000!」

咲「はい」

竜華(よし、行けるわ!・・・)ハッ

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、32000です」

穏乃(よし張った、高め倍満!)

咲「」パチ

穏乃「ロン!16000!」

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、16000」

穏乃「!」

姫子「ろ、ロン、5200とです」

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、5200」

竜華(こ、これはあかん・・・)

穏乃(こんなこと、出来るの?)

姫子(部長、やっぱりこいつは・・・こいつは化け物とです)

220: 2013/09/04(水) 00:55:25.88 ID:/e4dmMD/0
恒子『ぜ、前半戦終了して各校の点数は・・・点数は動かずっ!』

恒子『・・・ねぇすこやん、何が起こってるの?』

健夜『こーこちゃん、ちょっと覚悟しなきゃダメかも』

恒子『か、覚悟?』

健夜『あんまり大きな声を出し続けると喉が潰れちゃうから、少しトーンを落として』

恒子『な、何を言ってるのかな?』

清澄 :352000(+-0)
千里山:45000(+-0)
新道寺:3000(+-0)
阿知賀:0(+-0)

咲「これじゃあ・・・これじゃあダメだ」

穏乃「え?」

竜華(なにがダメなんや、個人戦前半と同じプラマイゼロ、それも全員に対してやっとるやん)

咲「すいません、靴を脱いでも良いですか?」

審判員「はぁ、どうぞ」

咲「失礼します」

竜華(・・・圧力が増した? 精神的なスイッチの切り替えか?)

咲「もっと・・・もっと」ゴゴゴゴゴゴ

221: 2013/09/04(水) 00:56:35.74 ID:/e4dmMD/0
<大将戦前半から4時間後>

灼「・・・ゲホッゲホッ」ポロポロ

灼「・・・私・・・わた、しが・・・」

灼「ハル・・・ちゃ・・・ん」

晴絵「灼?」

晴絵「すまない・・・私の・・・せいだ」

灼「ちが・・・違うよ・・・」

灼「私、小1から麻雀打つの辞めて、それをハルちゃんのせいにして・・・」

灼「もっと、あの頃から、続けてれば・・・」

晴絵「・・・」

灼「・・・ごめん」ポロポロ

灼「ごめんね・・・」

晴絵「戻ろう、灼。みんな待ってるから」

灼「・・・・・・」

222: 2013/09/04(水) 00:57:14.02 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

晴絵「ただいま」

灼「・・・・ただいま」

憧「・・・」

玄「・・・」

宥「・・・」

灼「ごめん・・・みんな、私の・・・せいで」

憧「」ギリッ

晴絵「憧、灼は私の作戦を実行したんだ。だから、私の」

玄「違うんです」

晴絵「違う?」

玄「まだ、大将戦が終わらないんです」

晴絵「は? いや、だって前半終わってから4時間以上経ってるんだよ? どれだけ長考すれば・・・」

憧「20連荘」ボソ

宥「その20回和了ったんじゃないんです。誰も、誰も和了らなくて20連続流局で・・・」

晴絵「」

晴絵(インターハイ準決勝)

晴絵(私は、来てはならない場所に戻って来たばかりか)

晴絵(大切な教え子たちまで連れて来てしまったのか・・・?)

223: 2013/09/04(水) 00:58:26.19 ID:/e4dmMD/0
<更に2時間後>

観客A「なぁ、やばくね?」ザワザワ

観客B「止めた方がいいんじゃ」ザワザワ

観客C「日付変わるぜ?」ザワザワ

観客D「」Zzzz

 ―――

哩「お前たちの強さはもう十分と! もう辞めさせろ!」

結「こっちだって何がなんだか分かんないよ!」

和「通してください! 今の咲さんは普通じゃありません!」

警備員「そう言われても・・・」

憧「和・・・」

和「憧」

憧「どういうことなの? 清澄の作戦じゃないんだよね?」

和「あんな作戦はしません! いえ、普段の咲さんなら絶対しないはずです」

結「だから様子がおかしかったって!」

久「騒いだって無駄よ。大会本部に掛け合いましょう」

憧「あ、私も・・・」

憧(あれ? チャンピオン?)

224: 2013/09/04(水) 00:59:38.88 ID:/e4dmMD/0
照「・・・」

照「高鴨穏乃」

照「淡の目を覚まさせてくれたその力なら、咲の目も覚まさせてくれる?」

憧(淡? 誰?)

照「私は麻雀以外に出来ないから。それ以外、何も・・・」

照「いつだって、誰かが望んだ私でしかない」

憧「ねぇ、ちょっと」

照「!」

照「何?」

憧(ちょ、ちょっと緊張するな。世界チャンピオン目の前にしてるし)

憧「い、妹さんなんですよね?」

憧「どうしてあんなことを?」

照「わからない・・・」

照「私、しばらく咲と離れて暮らしてて、咲が何を思ったかなんて・・・」

憧「離れたことを後悔してるなら」

憧「やり直せば良いんですよ。やり直せないなんてこと、あるはずないです」

憧(ナニ自分に言ってんのよ、私!)

照「・・・そうか。結局、私はまた麻雀に打ち込んだだけだった」

225: 2013/09/04(水) 01:00:51.54 ID:/e4dmMD/0
清澄 :385000
千里山:15000
新道寺:0
阿知賀:0

穏乃(いつ・・・終わるの)

竜華(聴牌すらさせて貰えんわ・・・)

姫子()ボー

穏乃(あはは)

穏乃(また山が終わる)

穏乃(流局か・・・)

穏乃(もう・・・いやだ・・・)

穏乃(こんなの、楽しくない)

穏乃(麻雀?)

穏乃(これの、どこが?)

穏乃(ただツモって)

穏乃(切って)

穏乃(それを流局まで繰り返す)

穏乃(次で31回目か・・・)ボー

226: 2013/09/04(水) 01:01:45.82 ID:/e4dmMD/0
穏乃(・・・)

穏乃(・・)

穏乃(・)

竜華(穏乃ちゃん?)

穏乃()ゴゴゴゴゴゴ

咲「」ピクッ

穏乃「海底ツモ、1000・2000の30本場は4000・6000」

清澄 :379000(+27000)
千里山:11000(-34000)
新道寺:-4000(-7000)
阿知賀:14000(+14000)

恒子『』グデー

健夜『こーこちゃん、終わったよ』

恒子『はっ!? 大将戦、決着ぅぅーー!!準決勝を制したのは、やはり最強無敵の清澄高校!他校を寄せ付けない強さを見せつけました!そして0点から諦めずに勝ちを拾ったのは阿知賀女子!』

健夜『清澄高校の力が圧倒的で、2位はどこが勝ち抜けてもおかしくない状態でした。この長い戦いの中でも諦めずに立ち向かったのは、よく頑張ったと思います』

227: 2013/09/04(水) 01:02:40.62 ID:/e4dmMD/0
憧「シズ!!」

穏乃「あ、憧ぉ~」ギュウ

憧「宮永咲っ!」キッ

憧「・・・・・・・え」

咲「」ガクガクブルブル

憧(な、なんであんたがこの世の終わりみたいな顔してんのよ!?)

照「咲」

咲「」ダッ

照「・・・」

照「」ズーン

228: 2013/09/04(水) 01:03:57.95 ID:/e4dmMD/0
<穏乃憧部屋>

憧「ほらシズ、アイス買って来たから食べよ」

穏乃「うん・・・」

憧「そうだ、ラーメン食べに行く? 雨だけど傘さして行けば大丈夫だし」

穏乃「そうだね・・・」

憧「シズ・・・」

憧「棄権しよっか」

穏乃「え」

憧「ほら、私らの目標だった和と遊ぶってのは達成したわけでしょ?」

憧「千里山の人たちは清澄と戦いたがってたわけだし、譲っても良いんじゃない?」

憧「私たちだって、レジェンド~とか呼ばれちゃうくらい頑張ったんだし」

穏乃「そんなの」

229: 2013/09/04(水) 01:04:31.14 ID:/e4dmMD/0
憧「あのね、シズ」

憧「もうシズに傷ついて欲しくないの」

穏乃「き、傷つくなんて大げさな・・・」

憧「麻雀、打ちたい?」

穏乃「」ビクッ

憧「灼も普通の状態じゃないし、ハルエだって・・・」

憧「もう奈良に帰っても」

穏乃「・・・ごめん憧」

憧「なに?」

穏乃「・・・少し、寝かせて」

憧「うん、ゆっくり休んで」

穏乃「」ブルブル

憧「シズ・・・」

230: 2013/09/04(水) 01:05:47.64 ID:/e4dmMD/0
<夢?>

晴絵「・・・今年のインターハイは中止になった」

穏乃(まだインターハイは終わってないよ? なんで帰るの? まさか憧?)

玄「・・・」

憧「そりゃ、ね」

穏乃「和、落ち込んでるだろうな」

穏乃(和が? なんで?)

玄「あの、赤土さん、チャンピオンのご葬儀に私も・・・」

穏乃(葬・・・儀?)

晴絵「親御さんが拒否してるらしくてな、葬儀も行われないそうだ」

玄「そうですか・・・」

晴絵「和の状態も気掛かりだろうけど、私たちもいつまでも東京には居られない」

穏乃(ニュース・・・宮永照さんと宮永咲さんが、交通事故!?]

穏乃(え? 何? どうして?)

231: 2013/09/04(水) 01:06:38.40 ID:/e4dmMD/0
穏乃「あ、ああ・・・」

憧「嘘・・・」

玄「和ちゃん・・・」

灼「どうしたの?」

憧「和が、自頃したって」

穏乃「」ダッ

憧「シズ!待って!」

 ―――

穏乃(麻雀なんかやらなければよかった)

穏乃(和ともう一度遊ぼうなんて考えなければよかった)

穏乃(なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで)

穏乃(私はただ、みんなでもう一度騒げれば)

穏乃(それで、良かったのに)

穏乃(こんなんだったら、最初から何もかも諦め・・・・・・)

 ―――諦める? 違うでしょ
 ―――諦められるわけが、ない・・・!

232: 2013/09/04(水) 01:07:28.16 ID:/e4dmMD/0
<現代・咲>

咲(降って湧いた奇跡は簡単に享受できない)

咲(お姉ちゃん、結、和ちゃん、京ちゃん、部長、染谷先輩、優希ちゃん、福路さん、長野で戦ったみんな)

咲(この夢のような世界は、私にとって幸せすぎて)

咲(無くなるのが怖った)

咲(1秒でも長くこの場所に居たい)

咲(決勝戦が来る)

咲(私とお姉ちゃんが氏んだ、あの日が)

咲(どうすれば良いの? どうすれば終わらないの?)

咲(終わらせないようにしなきゃ)

233: 2013/09/04(水) 01:08:10.12 ID:/e4dmMD/0
照「どこにも居ない」

久「携帯も繋がらないわね」

結「はぁ・・・はぁ・・・」

和「結さん、これ以上は」

結「咲が、見つかるまでは・・・」

照「咲・・・」

和「照さん?」

照「みんなはここで待ってて。咲を探してくる」

久「この雨の中、外へ出たって言うの?」

照「間違いない」

和「なら私も行きます!」

照「好きにして。久は結を何がなんでも止めて」

結「なっ」

久「了解」ガシッ

結「なんでっ!」

照「結が倒れたら咲が戻った時に泣く」

結「でもっ」

照「たまにはお姉ちゃんらしいことをさせて」

結「・・・・・・うん」

234: 2013/09/04(水) 01:09:08.83 ID:/e4dmMD/0
和「コンビニの傘ですが、どうぞ」

照「私は心当たりのある場所へ行ってみる。あなたも思い当たる場所へ」

和「わかりました」

照(『前』もこんな雨だった)

照(私が弱かったから咲を傷つけて)

照(咲に強くなって欲しいって言いながら、私自身は全く強くなれてない)

照(あの子は過去を受け入れて強くなった)

照(運命というものがあるのなら)

照(弱い私だけを連れて行け)

235: 2013/09/04(水) 01:09:43.30 ID:/e4dmMD/0
照「・・・」

照「・・・」

照「咲っ!!」

照(トラック!? そんな!! 『今回』は私も間に合わない!)

咲「・・・っ!」

??「おおおおおおおお!!!」ドカッ

照「咲ぃぃぃ!!」

236: 2013/09/04(水) 01:10:20.42 ID:/e4dmMD/0
咲「いたぁ」

??「あたたた」

照「高鴨、穏乃・・・!」

咲「生き・・・てる?」

穏乃「」ムク

穏乃「なに、やってるんですか」ポタ

咲「わた、し」

穏乃「約束したんです!和とどっちが勝つか競争しようって!」

穏乃「みんなと、憧と、あなたたちに勝とうって!!」ポタポタ

穏乃「みんながあなたたちを待ってる!それなのに」クラ

憧「し、シズぅ!? 血出てる!救急車!」

咲「あ、あの・・・」

穏乃「決勝戦、絶対負けませんから」

憧「何格好つけてんの!頭打ったかも知れないから動かないで!」

237: 2013/09/04(水) 01:10:55.68 ID:/e4dmMD/0
照「咲」パチャ

咲「・・・なに、お姉ちゃん?」

照「必要なのは体力だったみたい。咲を突き飛ばせるパワーとスピードが大事だった」

咲「奇遇だね。私も少し運動しようかなって思った。でもその目標値はどうだろう」

照「咲」

咲「なに、お姉ちゃん?」

照「未来に対して悩むなんてくだらないことだよ」

照「それこそ、少し運動して咲を突き飛ばせるようになれば変えられるくらい」

咲「そうだね」

咲「私も、そう思った」

238: 2013/09/04(水) 01:11:53.43 ID:/e4dmMD/0
<少し前・穏乃憧部屋>

穏乃「」ムク

憧「シズ、起きた?」

穏乃「行かなきゃ」ダッシュ

憧「シズ!傘!傘!」

穏乃(インターハイ決勝前日、宮永さん姉妹が交通事故で氏んだ)

穏乃(色んな人が涙を流した)

穏乃(色んな人が想いを絶たれた)

 ―――お願いします、咲さんを
 ―――負けたまま終わるのは癪だろ
 ―――勝ち逃げは許しません
 ―――気持ちよく帰れんやないか
 ―――深山幽谷の化身よ、頼む
 ―――ほんま氏ぬなんてないで

穏乃(そんな)

穏乃(夢だけど夢じゃない世界)

穏乃(ここに来たのは、あの時の、みんなの想いのお陰だ)

穏乃「はぁはぁ」

穏乃「たしか、こっち」

穏乃「居たっ!」

穏乃「ああああ、大ピンチ!?」

穏乃「間に合えぇぇぇーーー!!」

穏乃「おおおおおおおお!!!」

239: 2013/09/04(水) 01:13:48.08 ID:/e4dmMD/0
救急隊「事故ですか!? 怪我人は?」

憧「ほらっ!救急車来たから乗って!」

穏乃「憧、心配しすぎだよ。ちょっと道路にぶつかっただけだし、それに」ダラダラ

穏乃「ああ!むしろ突き飛ばした宮永さんのが大変かも!?」ダラダラ

咲「え? ああ、私なら大丈夫。穏乃ちゃんが楯になってくれたし」

照「2人共乗って。後でみんなを連れて行くから」

憧「ほら、チャンピオンの言う通りにする!」

穏乃「わ、分かったから・・・」

咲「あ」

穏乃「え、あれ、虹? 今、夜だよ!?」

憧「あ、あれって月虹!? え? そんな見えるわけ・・・」

照「虹には別の世界との架け橋って言い伝えがあった」

咲「・・・別の」

穏乃「世界・・・」

穏乃「宮永さん」

咲「咲でいいよ? お姉ちゃんも結も居るし。敬語も使わないで欲しいかな」

穏乃「じゃあ咲」

穏乃「もう一度言うよ」

穏乃「決勝戦、絶対勝つから」

咲「・・・うん」

咲「一緒に麻雀楽しもうね」

240: 2013/09/04(水) 01:15:29.05 ID:/e4dmMD/0
<病室>

結「咲! 本当に大丈夫なの!? 本当に!? ほんとのホント!?」

咲「大丈夫だよ。ちょっと検査するだけだし」

久「でも何もなくて良かったわ。元気も出たみたいだし」

咲「はぁ、そうでしょうか?」

和「では今日一日、私が看病を」

久「今日は決勝戦があるでしょ」

結「咲に負担を掛けないように、絶対大将までは回さないから!」

咲「はいはい、でも難しいと思うなぁ」

穏乃「そうだよっ!灼さんは準決のようにはいかないよ!」

結「え~、あいつが? 咲を助けてくれたことにはすっごい感謝してるから、穏乃が相手だったら手が鈍るけどさ」

穏乃「手加減する必要はないよ!そして大将戦で私が咲に勝つから!」

結「ちょ、それは言い過ぎでしょ、無理!」

穏乃「じゃあ決勝全力で来てよ!勝つから!」

結「オーケー乗った!覚悟しといてよねっ!」

咲「空回りしそうだなぁ」クスクス

241: 2013/09/04(水) 01:16:12.59 ID:/e4dmMD/0
憧「シズ、みんな連れてきたよ」

玄「穏乃ちゃん大丈夫!?」

宥「包帯、痛そう・・・」

灼「怪我、どんな感じなの?」

晴絵「シズの親には連絡入れておいたから」

穏乃「ちょっとちょっと!みんな大袈裟すぎだよ!こんなの転んだのと一緒だって!」

憧「交通事故と転倒は全然違うでしょ!」

穏乃「でも木から落ちた時より痛くないし」

憧「落ちたぁ~~!?」ギロ

穏乃「い、いや、あはははは!」

憧「誤魔化すな!」

242: 2013/09/04(水) 01:16:53.92 ID:/e4dmMD/0
照「あの」

晴絵「あ、ああ、なんだ?」

照「彼女の親はいつ来ますか?」

晴絵「・・・それが」

照「はい」

晴絵「唾付けとけば直るって・・・」

照「・・・」

晴絵「・・・」

照「決勝戦ではよろしくお願いします」

晴絵「切り替え早いなっ!?」

晴絵「ま、まあ、憧の話だと何だかんだ言いつつ飛ばしてくるらしいから、来たら任せるつもりだ」

晴絵「それとな。・・・決勝では負けないよ、この子たちは」

照「・・・」

晴絵「私にとても大切なことを思い出させてくれたから」

243: 2013/09/04(水) 01:17:44.00 ID:/e4dmMD/0
<回想・晴絵灼部屋>

晴絵「・・・」

灼「・・・」

晴絵「・・・」

灼「・・・」

 コンコン

玄「あの、赤土さん、灼ちゃん、お客さんが」

晴絵「お客?」

憩「いやー、良いホテル泊ってんなぁ、羨ましいわ」

灼「荒川憩?」

怜「うちらもおるでー」

哩「私たちも居ると」

晴絵「千里山と新道寺のレギュラー陣? どうしてここに?」

憩「清澄の鼻っ柱をへし折って貰いたくてなー」

哩「想いを託すのならばお前しか居ない」

灼「想いを」

竜華「あと玄ちゃんに逢いになー」

怜「竜華が浮気とか泣きそうや」

竜華「ちゃうよ!?」

244: 2013/09/04(水) 01:18:52.27 ID:/e4dmMD/0
煌「清澄と決勝を戦うのはあなたたちです」

煌「だから私たちの想いも一緒に決勝へ持って行って欲しいのです」

浩子「まあ実際はあの反則臭い清澄に、3校の力を合わせたところで勝てるかは怪しいですが」

セーラ「ええやん、応援してくれる人の顔思い出すだけで、ほんま力になるで」

哩「これでも3年間宮永照に泣かされて来ている。立ち直り方くらい心得ている」

竜華「いやー、自慢にならんなー」

憩「ウチなんて飛んで負けてしもたくらいやで。おまけ全国放送で泣き顔放送や」

セーラ「おいおい、不幸自慢しても立ち直れんで」

セーラ「ええか、鷺森灼」

灼「は、はい」

セーラ「ウチら1人1人の顔覚えや」

セーラ「強そうやろ!実際強いしな!」ケラケラ

灼「は、はぁ」

245: 2013/09/04(水) 01:19:49.37 ID:/e4dmMD/0
竜華「アホ!セーラ意味わからんわ!」

竜華「あんな、あんたはウチらに勝ったんやで」

竜華「もう胸張って帰れるやろ? じゃあ後残ってんのはなんや?」

灼「でも、私は、ハルちゃんの・・・」

竜華「知らん」

灼「それは私たちだけの・・・」

竜華「それでも知らん」

竜華「あんた、一番大切なん抜けとるで」

怜「もう胸張って帰れるんやろ? なら後は楽しむだけやん」

怜「負けたってええんよ。強い奴に向かってくのって燃えるやん」

怜「もう全然勝てなくても、一週間焼き鳥とかでも、楽しいもんやで」

セーラ「昔の怜やなー」

煌「楽しんで来てください。あなた方が笑顔で終わることが、負けた私たちへの最高の餞別になります」

246: 2013/09/04(水) 01:20:36.60 ID:/e4dmMD/0
灼「わた、し・・・」

晴絵「灼・・・」

灼「ハル、ちゃん・・・」

晴絵「私は灼に、一番大切なことを教えてなかった」

晴絵「子供麻雀教室でずっと教えて教えられたことを」

晴絵「麻雀を楽しいって気持ちを」

晴絵「よし!」

晴絵「こうなったら、あの宮永結に一泡吹かせて帰ろう!」

憩「ええな!」

哩「気づいたことがあるとよ」

灼「みんな・・・」

247: 2013/09/04(水) 01:21:32.14 ID:/e4dmMD/0
竜華「玄ちゃんも頑張ってや」

玄「はいっ!」

怜「熱いっ!この人の膝枕熱いで!?」

宥「すいません、私寒がりで」

竜華「人に浮気言うといてそれか!」

怜「実はウチより体悪いんとちゃう? 大丈夫なんか?」

宥「昔からなので」

竜華「無視はさすがに泣くで?」

怜「竜華にも浮気される気持ちを味わせるしかないやろ」

 ワイワイガヤガヤ

248: 2013/09/04(水) 01:24:20.48 ID:/e4dmMD/0
<病室>

晴絵「・・・」

照「・・・」

晴絵「お前は・・・麻雀が楽しくて仕方ないんだな」

照「・・・はい。他のことが何も出来なくなるくらいに」

晴絵「強いはずだ。世界チャンピオンになるほどに」

玄「アワワワ、チャンピオンが居るよぉ」

憧「そりゃ居るでしょ。妹さんだもん」

照「決勝戦、楽しみにしてるから」

玄「は、はいぃ!」

穏乃「そ、そういえば生世界チャンピオンだ!どうしよう、サインとか貰っておいた方がいいかな!?」

照「生・・・」

249: 2013/09/04(水) 01:25:05.07 ID:/e4dmMD/0
久「とにかくみんな会場で仮眠室を借りましょう」

久「寝てない人も居るでしょ? 決勝戦なんて視聴率高いわよー、そこで醜態を晒したくないでしょ?」

晴絵「車があるから清澄も乗って行ってくれ」

照「ではお言葉に甘えて」

憧「シズ、大将戦のために力を溜めておきなさいよ!」

玄「絶対、穏乃ちゃんに繋ぐから!」

宥「私たち穏乃ちゃんを待ってるからね」

灼「約束する」

和「咲さん、穏乃、待っていますから」

咲「うん」

穏乃「先に行ってて必ず行くから!」

250: 2013/09/04(水) 01:29:09.89 ID:/e4dmMD/0
<会場ロビー>

小蒔「陽に照らされ咲いた花は実を結ぶか」

照「神代小蒔・・・?」

小蒔「神産巣日(カミムスビ)である」

照「神代に降りた神か」

小蒔「人の力も存外に侮れぬ。時に妾の力に匹敵する」

照「・・・?」

小蒔「未踏の幸運を得し人の子よ」

小蒔「世界を繰り返した果てに何かを見たか?」

照「!」

照「お前は、知っているのか、ここが・・・今が何なのか」

照「ここは私と咲の見ている夢の世界だと、そう思っていた。違うのか? 本当に時間が?」

小蒔「夢現(ゆめうつつ)などと人の子にとって無価値に拘る不可思議さよ」

小蒔「そして驕るな。2人の小さき人の子が望んだ程度で創れる世界ではない」

小蒔「この世はお前たち人の願いが結実した―――紛れも無い現実である」

照「なんだか、良く分からなくなってきた・・・」

251: 2013/09/04(水) 01:29:54.30 ID:/e4dmMD/0
霞「すみません、通訳しますよ」

照「岩戸霞?」

霞「神の力の源は願いなのです。その願いが集まり、神は神たる力を行使できます」

霞「私は覚えていませんが、あなたたち2人が氏んだ後、皆さんはインターハイをもう一度、今度は笑顔で終わりたいと願いました。その願いが神に届き・・・」

霞「神は時間をお戻しになられた」

霞「記憶はなくともその願いと想いは皆が持っている。『前回』よりもほんの少しだけ笑顔が多く、ほんの少しだけ想いに真っ直ぐな世界になりませんでしたか?」

照「それだと私と咲に記憶があるのは」

霞「それは神の力を利用して自身の願いを叶えた者たちが居るのです」

照「利用した?」

霞「宮永照と宮永咲」

照「私たちが望んだ・・・」

霞「あなたたち2人は、他の人たちよりも更に過去の後悔を望んだ」

照「そうか・・・」

252: 2013/09/04(水) 01:30:46.83 ID:/e4dmMD/0
照「・・・」

霞「宮永さん?」

照「正直理屈は分からない」

照「本当かどうか確かめる術もない」

照「けど」

照「私は、咲と結の笑顔を取り戻せたんだな」

小蒔「感謝を抱くならば決勝で妾を楽しませるのだな。妾は有象無象の神々と違い甘くないぞ」

霞「空気を読んで頂きたいですね、神産巣日様」

小蒔「む・・・?」

253: 2013/09/04(水) 01:31:48.39 ID:/e4dmMD/0
晴絵「監督!」

トシ「あの千里山を破ってくるとはね、驚きだよ」

晴絵「地力では負けていたかも知れません。けど、気持ちは負けていませんでしたから」

トシ「お互い初就任で決勝まで連れて来れるなんてとは思ってたけど」クス

晴絵「はい、あの子たちの気持ちがあったからこそです」

トシ「あれは・・・清澄の子たちじゃないか。仲良くなったのかい?」

晴絵「いえ・・・うちと清澄の子が、交通事故に巻き込まれまして」

トシ「ほんとかい!?」

晴絵「大したことは無いので大丈夫です。今検査中で大将戦までには間に合い・・・いえ、必ず来ます」

トシ「そうかい。あの元気な子か。豊音も楽しみにしてるよ」

トシ「それじゃ、後でね」

晴絵「はい!」

254: 2013/09/04(水) 01:33:02.87 ID:/e4dmMD/0
<決勝戦>

恒子「ついに決勝戦を迎えます、インターハイ!勝つのは三連覇の掛かる清澄高校か!!それとも他校が阻むのか!目が離せない展開が始まります!!」

えり(ゲストの紹介でしょうが)

恒子(あ、すいません、先輩、お願いします)グッ

えり「この過去最高と言われるインターハイに、新旧の日本のエースをゲストとしてお迎えしています」

えり「まずは現日本代表の先鋒、三尋木咏プロ」

咏「やほー、テレビ局の垣根越えとかすごくねー? すこやんパワーですか?」

えり「ピクピク・・・そして前世界選手権で日本代表の先鋒を務めた、小鍛治健夜プロです」

健夜「宮永姉妹の誰かが次の日本代表になるだろうし、私たちがインタビューしてる構図を映したいんじゃないかなぁ」

恒子「その中で一番年上な小鍛治プロですね。一回り離れてるんですよね?」

健夜「」ズーーーーーーーーーーン

255: 2013/09/04(水) 01:33:50.43 ID:/e4dmMD/0
咏「あの3人にすこやんと私加えたら、ドリームチーム誕生で世界一じゃね!」アッハッハ

健夜「ど、どうでしょうか、他にも強いプロは居ますし(なんで年下ばかりのチームなの!)」

咏「我々にはない小鍛治さんの経験があれば大丈夫ー!伊達に長くは生きていないっすよ」

健夜「30とかすぐだからね? 咏ちゃんも油断してるとすぐだから、本当にすぐだから!」

咏「はぁ、台本読むの疲れた」

健夜「え? 台本なんて無かったよ!?」

咏「んー? 小鍛治プロは渡されなかったんですかい?」パタパタ

恒子「」テヘ

健夜「こーこちゃーーーーん!!」

えり「先鋒戦、やはり注目は世界一にも輝きました宮永照選手です。今年から先鋒戦に配置され、エースポジションとは思えない圧倒的な点を獲得しています。自身の持つ獲得点数記録にも王手をかけており、三連覇と記録更新をもってプロの世界へ入ることが目標でしょう」

256: 2013/09/04(水) 01:36:03.19 ID:/e4dmMD/0
<先鋒戦>

えり『清澄高校と阿知賀女子の両大将選手ですが、本日未明に交通事故に巻き込まれ現在病院で検査を受けています』

えり『午後の大将戦には間に合うというお話ですが、両校とりわけ姉である宮永照選手の精神状態が気になります。小鍛治プロ、三尋木プロ、いかがでしょうか?』

健夜『宮永照選手に関しては問題ないと思います。むしろ阿知賀の松実玄選手の方が危ういですね』

えり『それは何故でしょうか?』

健夜『私から見て宮永照選手は、精神的にかなり成熟しており落ち着いています。一方、松実玄選手はまだ歳相応と思われる反応をしています。高校生という年齢からすれば松実玄選手は普通の反応なのですが。今はまだ大丈夫に見えても、準決勝を考えると厳しい状況です』

えり『なるほど。加えて宮永照選手は大量点数を獲得することで妹さんを待つという目に見える結果を出すことが出来ますが、松実玄選手が同じ失点をしてしまった場合のプレッシャーは準決勝の比ではないということですね』

健夜『はい、そうですね』

えり『』ジーン

健夜『どうしました?』

えり『い、いえ、小鍛治プロから見ても厳しいということですね』

咏『いやー、そうじゃ無いんじゃね』パタパタ

健夜『咏ちゃん・・・三尋木プロから見ると違う印象を受けますか?』

咏『チャンピオンちゃんに関しては同意見すわー。あの人私より年上なんじゃねー、知らんけど』

咏『でもドラゴンロードちゃんは違いますね』バッ

咏『人は背負った時に大人になるんですよ』

257: 2013/09/04(水) 01:37:07.76 ID:/e4dmMD/0
照「」ゴゴゴゴゴゴ

玄(穏乃ちゃん・・・阿知賀のみんな、千里山と新道寺の皆さん・・・行って来ますっ!)

白望「だる・・・(決勝まで来ちゃったなぁ、まあみんな大喜びしてるしいいかぁ)」

照・玄・白望「」ピクッ

小蒔「待たせた、人の子たちよ」

玄「え・・・?」

白望(神代小蒔、全然印象が違うけど・・・)

照「そいつは神代小蒔じゃない。カミなんとかって神様」

小蒔「神産巣日(カミムスビ)であるぞ」

白望「・・・神代の九面にここまで自我のある神様居たかな」

小蒔「霧島の九面では無い。主らの願いを九面が聞き入れ、それにより妾が降臨した」

白望「・・・なんでもいいや」

小蒔「さて人の王者よ」

照「・・・」

小蒔「妾を楽しませるがよい」ゴゴゴゴゴゴ

玄(何この気配・・・チャンピオンを越えてるんじゃあ・・・?)

小蒔「此度の戦、10の満ちし役を見せよう」

小蒔「始まりを告げる。天和、16000オール」

258: 2013/09/04(水) 01:38:09.81 ID:/e4dmMD/0
玄「ええぇぇー!?」

白望「」ポカーン

照「」照魔鏡発動

照(小瀬川白望、咲の話だと『前』は特異な打ち手じゃなかった。けど・・・まさか照魔鏡に映らないなんて。いや違うな。迷うような仕草の後、突如打ち筋が変わるらしい。つまり特異性も含めて『不定』、『不定』こそが本質。照魔鏡には最悪の相性だな)

照(松実玄は準決勝とは別人。彼女の背後に何人もの人が見える。竜の背に乗せて運んできたか。準決勝以上に油断はできない)

照(そして神代小蒔、いやカミムスビ。次元の違う神、全ての律を操り、あらゆるものを生み出す。時さえ戻せるのだから、当然まともにやっても勝ち目はない)

小蒔「安心せよ。人の範囲の力しか使わぬ」

玄(か、開幕天和のどの辺りが人の範囲の力なんでしょうか?)

恒子『て、てて、天和ぉぉーー!!信じられません!インターハイ史上初、究極の役が我々の目の前に姿を現しました!この史上最強のインターハイの決勝に相応しい始まりの鐘が鳴らされたぁー!!』

健夜『あの神代選手に降りた神は・・・』

咏『間違いない。怪物なんておこがましい。文字通り、神様ですよ小鍛治プロ』ブルッ

259: 2013/09/04(水) 01:38:50.20 ID:/e4dmMD/0
照「ツモ、300・500」

照「ツモ、700の1本場800オール」

照「ツモ、1000の2本場1200オール」

玄(早いよぉ)

白望(平均5巡って・・・)

小蒔「ロン、清老頭32900」

照・玄・白望「!」

小蒔「王者とは言え、まだ幼き者か」

照「・・・」フッ

玄(笑った。チャンピオン、やっぱりそうなんだ)

玄(麻雀が好きで好きでたまらなくて、でも麻雀を本気でやるには他に3人必要で)

玄(家族以外で、自分の全てを出せる人たちをずっと求めてるって)

照「まだ幼いかどうか、確かめてみたらどうだ?」

260: 2013/09/04(水) 01:39:36.81 ID:/e4dmMD/0
白望(こっちも全然印象違うなぁ。点数申告くらいしかしゃべらないイメージだったのに)

白望(ま、あの宮永結の姉だからな。本当はもっと好戦的なのかも)

白望(ダルい・・・)グデー

白望「ツモ、500オール」

白望「ツモ、1000の1本場1100オール」

小蒔「ほー」

照(『連続和了』? でもコピーってわけじゃない、自分の使いやすい形に変化させた?)

白望「ちょいタンマ・・・」

玄(この人・・・)

白望「ん」カッ

白望「ツモ、清老頭16000の2本場は16200オール」

小蒔「足りない部分を上手く組合せたな。次は簡単にはいかぬぞ」

照(やられた分を近い形でカウンターしてくるのか?)

照「思ったよりも、やる」

玄(なんなのこの卓!? うわーん、みんなぁ)グスッ

261: 2013/09/04(水) 01:40:28.79 ID:/e4dmMD/0
竜華「あかん、玄ちゃんの心が折れかけとる。泣き顔もけっこう可愛いけど」

セーラ「ありゃあ、折れるで・・・」

怜「もしウチらが残ったら、あの魔界で戦うことになってたんか」

煌「自信喪失は確実ですね」

憩「園城寺先輩だったら戦えそうですが」

怜「うちじゃ無理に決まっとるわ」

憩「ほら、あの準決勝でチャンピオンに役満を直撃させた技を連発すればいけるん違います?」

怜「氏ぬわ!」

竜華「あははは。まあでも、うちらの想いを載せた竜は飛んでくれるわ」

262: 2013/09/04(水) 01:41:08.99 ID:/e4dmMD/0
玄(ふぅ)

玄(なんでこれで和了れないのかなぁ)

玄(竜華さんの想いを載せた、配牌ドラ独占)

玄(・・・負けない。だってここにあるのは、お母さんとの思い出だけじゃない)

玄(みんなとの約束だからっ!)

玄「ダブルリーチです!」

照(配牌時点でドラを独占するのは分かっている。読みやすい。それは自滅の道だ)

照「っ!」

玄「ダブリー一発ツモドラ12、16000・8000の3本場は16300・8300です!」

白望(2巡で数えって・・・。もしかして配牌時点でドラ独占してるの?)

白望(ダルすぎる・・・)

小蒔「楽しませてくれる。緑一色、16000・8000」

263: 2013/09/04(水) 01:42:05.77 ID:/e4dmMD/0
えり『東場が終了し最下位は清澄高校・・・。な、なんなんでしょうか、この戦いは。信じられません』

恒子『チャンピオン宮永照!次に役満を振り込んだら飛び終了だぞ!? どうした!』

えり『い、1位の永水女子神代小蒔、他者を圧倒する役満和了で8万点以上のプラス』

健夜『すごいっ・・・!』

咏『さすが神様だねー』パタパタ

咏『けどさー』

咏『あまり人間舐めないで欲しいぜ?』

照「」ゴゴゴ

照「ポン」

照「チー」

照「ロン、1500」

小蒔「ふむ」

照「ポン」

照「ポン」

照「ロン、2000の1本場2300」

小蒔「ほう」

264: 2013/09/04(水) 01:43:01.65 ID:/e4dmMD/0
玄(有効牌が全然入って来ない・・・さっきから副露多いし、もしかしてズラされてるのかな?)

白望(自分の有効牌を他者に掴ませてる? リスキーだなぁ)

照「ロン、3900の2本場4500」

白望(ああ、これ普通に打つとベタ降り以外は当たりそう)

白望(ダルいけど仕方ないか)

白望「」パチ

照「」ピクッ

白望「ロン、2600で3本場だから3500」

照(『不定』は真似るだけじゃない。全体効果系をすり抜ける役目もあるのか)

照「ツモ、400・700」

小蒔「哀れ」

小蒔「人同士で戯れることなど望んでおらんぞ」

小蒔「字一色、16000・8000」

265: 2013/09/04(水) 01:44:14.26 ID:/e4dmMD/0
白望(チャンピオンを抑えるとこっちが止まらないなぁ)

白望(でも、この神様に対抗する手段とか無いでしょ・・・)

白望(天和を狙って和了っちゃうような神様なんだし・・・)

玄(花田さん・・・)

玄(・・・)

玄(私も諦めないですよ!)

玄(神様は言っていたのです。10種類の役満を和了るって、そして人の範囲で戦うって)

玄(それってつまり、私のドラやチャンピオンの打点制限のような、弱点って意味のはずだよ)

玄(神様はずっと役満。この半荘2回、神様は役満10回10種以外は和了らない!)

玄(しかも、同じ役満が無いから神様がどんな待ちなのか、何を捨てるのか予測しやすいはず)

266: 2013/09/04(水) 01:45:10.15 ID:/e4dmMD/0
小蒔「良き目だ竜よ」

玄「ロンッ!16000です!」

照(神代から直撃!)

白望(ふーん、神様が役満を消費すればするほど、むしろ直撃は取りやすいわけね)

玄(けど神様も予測してる、国士や四暗を残してるはわざと)

玄(せめて、この局のうちにもう一度・・・)

白望「ロン、12000」

小蒔「ふふふ、雲の如く柔軟な子よ」

玄(私の直撃を一瞬で真似した!)

267: 2013/09/04(水) 01:45:43.60 ID:/e4dmMD/0
えり『前半戦が終わりまして変わらず永水女子の神代小蒔がトップ、最下位は清澄高校の宮永照です』

恒子『まさかまさかの大番狂わせ、清澄高校宮永照の不敗神話が崩壊する日が来たのかぁ!!』

咲「お姉ちゃん・・・」

咲「お姉ちゃんがあんなに楽しそうなの何年ぶりだろう」

咲「良かったね」

咲「お姉ちゃんは私よりもずっと麻雀を楽しむから」

咲「誰にも負けないよ」

268: 2013/09/04(水) 01:46:37.81 ID:/e4dmMD/0
憧「はい、飲み物」

玄「ありがとう、憧ちゃん」ゴクゴク

憧「玄があの中で善戦してるなんてねぇ~。準決じゃ手も足も出なかったのに」

玄「みんなのお陰だよ。私1人の力じゃ、とっくに飛んでると思う」

晴絵「それにしても、またインターハイが怖くなって来たよ」ニガワライ

玄「今の神代さんは神代さんであって神代さんじゃないそうです」

晴絵「神降ろしとか言うのなんでしょ? プロでも居るから知ってるけど、あそこまで強いなんてね」

憧「世界チャンピオンすらボロボロだし・・・」

憧「まさかチャンピオンが飛んで終わりとか無いよね・・・」

玄「・・・チャンピオンはここで終わらない」

憧「玄?」

玄「みんなが憧れた、みんなが勝とうって思ったチャンピオンは、こんなもんじゃないよ」

269: 2013/09/04(水) 01:47:28.23 ID:/e4dmMD/0
<決勝前回想>

セーラ「いやぁー、何度見ても怪物やなー」

姫子「こないな人倒す方法あるんですか?」

哩「わからん。けど諦めん」

竜華「うちらの代にとっては、頂点であり目標や」

セーラ「そうやな・・・」

玄「皆さんは・・・どうしてそんなにチャンピオンを倒したいんですか?」

セーラ「ん・・・勝ちたいんは普通のことやろ?」

玄「それはそうなんですけど」

竜華「うちらが高1ん時な、正直言えばなんやコイツ!って思ったわ」

竜華「無表情に淡々とシステムのように打つ、コンピュータと麻雀打つのと変わらない」

セーラ「中学ん時からそうやけどな。こっちが本気で打っとるのに、つまらなそうに麻雀打つ奴だ思うたわ」

玄「それって悔しいんじゃあ・・・」

セーラ「そりゃもー、ごっつムカついたわ!」

270: 2013/09/04(水) 01:48:40.02 ID:/e4dmMD/0
竜華「でもな、彼女が世界選手権に出る前のインタビューで言ったんよ」

竜華「『日本のチャンピオンとして、みんなの力を世界に見せてくる。応援して欲しい』ってな」

竜華「それで分かったんよ。この人不器用なだけやって」

竜華「セーラなんかテレビにかじりつく様に応援してな」

セーラ「世界一かかってたんやで? 竜華やって拳握りしめてプルプルしてたやん」

玄「私もその試合見てました。チャンピオンが世界チャンピオンになった試合」

竜華「宮永照は日本の力を世界に見せてくれたんよ」

竜華「だから思ったんや。今度こそ私たちの力を、宮永照に見せたいって」

怜「うちは世界チャンピオンと戦うってだけで燃えるけどな」

竜華「やられるの気持よくなってきたら危ないで・・・」

憩「いきなり中学に来られて「世界チャンピオンを一緒に倒そう」言われた時は驚きましたわ」

竜華「あははは」

哩「理由なんかみんなそれぞれとよ。それでも負けん気持ちだけは一緒と」

玄「・・・チャンピオンがみんなをここに連れて来てくれたんだ」

玄「ありがとうございます・・・私も」

271: 2013/09/04(水) 01:53:52.54 ID:/e4dmMD/0
小蒔「ん? 休憩時間に戻らなかったのか?」

白望「歩いて戻るのダルい・・・」

照「この気持ちを沈めたくなかった」ゴオオォォ

小蒔「心地の良い覇気だ」

玄「お待たせしましたっ」

小蒔「よい。席に着くがいい」

照「・・・」

照「ツモ、1300・2600」

玄(いきなり高め・・・?)

照「ロン、7700」

白望(んー、『連続和了』を捨てたのかな? だとしたら有難いけど、違うだろうなぁ)

照「ツモ、2600オール」

小蒔(かような低き手で和了っても追いつけぬが)

照「ツモ、4000の1本場4100オール」

玄(あれ? ちょっと待って)

白望(まさか)

272: 2013/09/04(水) 01:54:33.84 ID:/e4dmMD/0
照「あと4回だ」

小蒔「・・・素晴らしい」

玄(もしかしてもしかしてなの?)

玄(『連続和了』を支える、『必ず有効牌』が来るに対して『配牌が良くなる』は抽象的すぎて微妙な効果だったけど)

玄(卓に着いている間、和了した回数分配牌に有効牌が入ってくる?)

玄(チャンピオンが和了った回数は前半戦含めて10回、あと4回で・・・)

玄(あと4回和了られたら全局天和か地和!?)

玄(さ、さささっきは「こんなもんじゃないよ」とか格好つけちゃったけど、それは無いよぉ!!)

玄(だって、まだ南場もあるのにチャンピオンの配牌は10も有効牌で、全部4巡以内にツモ和了、しかも和了るごとに数は上がって巡は少なくなる)

玄(ううん、でもこの点差だもん。チャンピオンだって面子崩して点数取りに来ることもあるよ)

照「ツモ、12000の2本場、12200オール!!」

照「残り3回だ。私は誰にも負けない」ゴゴゴゴゴゴ

273: 2013/09/04(水) 01:55:15.29 ID:/e4dmMD/0
白望(これで最後とは言えダル過ぎる・・・)

小蒔「お主の力、既に神の領域へ達しておる」

小蒔(少し譲歩しすぎたか。ここから残りの満ちし役を和了るまでに、奴に3度の和了を許してしまうだろう)

小蒔(それでは後ろの者が哀れだ)

小蒔「ふむ、王と竜と雲よ」

照「?」

玄「はい?」

白望「雲って私?」

小蒔「神もたまには言の葉を返す」

玄「かえす?」

小蒔「初の言は撤回する。全ての満ちし役は見せられぬ」

274: 2013/09/04(水) 01:56:10.78 ID:/e4dmMD/0
白望(こいつ、他のシステム的な神とは全く違う。思考が人に近い)

小蒔「この戦は妾の負けだ。ゆえに妾は従者たちへ繋ぐことを考える」

白望(これは運が良いなぁ、少なくてもチャンピオンの天和連荘を止めてくれるってことか)

小蒔「特に王者よ。とても楽しめたぞ」

照「気が早い」ゴゴゴゴゴゴ

小蒔「ふふふ、お主が更に成長を遂げた時、再び相まみえたいものだ」

えり『チャンピオン、配牌の面子を崩すようになりましたね』

健夜『神代選手は簡単に和了らせてくれないでしょうから、配牌には介入されている可能性が高いです。それを回避するためでしょう』

えり『(あれ? これ麻雀ですよね?)』

咏『やべー、おもしろそー、ねぇ小鍛治プロ、終わったらあの子ら誘って打ちません?』

恒子『そ、その中継は是非私に!』

照(最後の親番が邪魔されたか、さすがに天和連荘で終わらせることは出来なかった)

小蒔「させぬよ」

玄(・・・)

275: 2013/09/04(水) 01:56:42.35 ID:/e4dmMD/0
竜華「へぇー、親御さんとの思い出なんか」

玄「そうなんです。そうしたらいつの間にかドラが来てくれるように」

玄「竜華さんはそういうの無いんですか?」

竜華「無いよ?」

玄「えぇ!?」

竜華「玄ちゃんさ、麻雀楽しんでるか?」

玄「え? 楽しいですけど」

竜華「んー、そういうんやなくてなー。能力に振り回される言うんかな。もっと自由に、好きなように楽しく打ちたいとかは思わん?」

竜華「ドラ捨てて、入らなくなって、自分で迎えに行って。それもええよ? そこまでやって、そこまでやっても泣いちゃうくらい辛いんやったら・・・」

玄「私は・・・」

竜華「ああ、好きに打ってええんや。玄ちゃんが楽しいように打ち。それが一番やで」

276: 2013/09/04(水) 01:57:43.30 ID:/e4dmMD/0
玄(行くよ、みんなっ)

照・小蒔・白望「」ピクッ

玄「カンッ!」(嶺上牌も新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(もちろん新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(やっぱり新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(ドラばっかりだよっ!!)

玄「四槓子だけど、あえてこっちで申告させてください。ドラ18、数え役満ですっ!!」

玄(ドラがいっぱい入ってくるの、とっても楽しいから!)

小蒔「片時さえも油断ならぬ者たちよ」

白望(手配にドラが入った? これって罠じゃん・・・竜の財宝を狙うと食い殺される感じか)

白望(ドラの位置を完全に操ってる。無茶苦茶強力な支配だな・・・)

照(私の配牌にまで紛れ込ませて来たか、奪い切ってやるっ!)

玄(独占するんじゃない。竜のみんなと騒いで、遊んで、勝つよっ!!)

277: 2013/09/04(水) 01:59:26.10 ID:/e4dmMD/0
竜華「あかん」

怜「どないした?」

竜華「宮永照・・・やっぱ、凄いわ・・・」

 ―――

照(楽しい)

照(全力で打ち合って、それでも返してくる人たち)

照(けど、勝つのは私だ)

照(私は誰よりも麻雀が大好きだから)

小蒔「これほど牌と相思相愛なる関係を結ぶ者がいるのか」

玄「チャンピオン・・・」

白望「・・・(望んだ牌しか来ないって言うの? それは無理だなぁ)」

照「ツモ、地和、16000・8000!!」

278: 2013/09/04(水) 02:01:01.78 ID:/e4dmMD/0
恒子『先鋒戦終了ぉー!!最終的にチャンピオンが1位を奪還しましたが、各校の点数は接戦!かつてこれほどチャンピオンが追い詰められたことはあるでしょうか、いやない!』

健夜『プロでもここまでの戦いが出来る選手はほとんど居ません。非常にレベルの高い試合でした』

えり『正しくエースのぶつかり合いでしたが、こうなるとエース級があと2人控えている清澄が有利でしょうか?』

咏『んーどうだろうねー。準決勝までは清澄で決まりだったんだろうけど』

健夜『そうですね。まだ清澄が一歩リードしていると思うのですが、何があるか分からない差です』

照「お疲れ様でした」

玄「お疲れ様です」

白望「おつかれ・・・ダルい」

小蒔「大義であった」

照「お前はまた出てくるのか?」

小蒔「お主が生きている間には現れぬかもな」

照「・・・そうか」

279: 2013/09/04(水) 02:01:49.04 ID:/e4dmMD/0
玄「あ、あの、チャンピオン!」

照「宮永照だと・・・」

玄「私には、私たちにとってはチャンピオンです」

照「・・・」

玄「チャンピオンに、届きましたか? 私たちの想いが」

照「・・・」スッ

玄「・・・」

照「高校3年のインターハイ、私にとって忘れることの出来ない最高の日々になった」

照「開催してくれた人、出場した選手、戦った人、仲間たち」

照「全ての人に感謝したい」

照「ありがとう」

玄「あ」パァ

玄「はいっ!」

清澄 :109000(+9000)
永水 :104000(+4000)
阿知賀:95000(-5000)
宮守 :92000(-8000)

280: 2013/09/04(水) 02:03:11.53 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

久「まさか照が10000点も稼げないなんてね。永水の切り札にも驚いたけど、宮守と阿知賀にも驚いたわ」

結「照おねーちゃん、もうちょっとで負けるところだったね」

照「強かった。けど、あの戦いは2度と出来ないと思う」

久「インターハイだからってやつかしら?」

照「私の場合はそれもある。他の3校はそれぞれ別の想いを持ってきた。そしてそれを持ち寄ることは2度と無い」

和「それよりも早い巡で終わってしまったため、大将戦大丈夫でしょうか」

照「・・・」シュン

結「大丈夫、私で飛ばすから」

和「本当に大丈夫ですか?」

結「わざと回した以外は大将戦になってないでしょ? 私の『完全試合』は無敵だよ」

久「相変わらず勝てるかどうかは論題に乗らないのね」

照「3校とも何をやってくるか分からない。特に阿知賀は危険かも。油断しないで」

久「決勝に残ったチームは油断ならない。大丈夫、分かってるわ」

281: 2013/09/04(水) 02:03:49.40 ID:/e4dmMD/0
<廊下>

エイスリン「シロ!」

白望「ようやく終わった・・・」

エイスリン「オツカレ!」

エイスリン「(良い子良い子してる絵)」

白望「決勝の人ら、ちょっと今までとは違うから・・・気を付けて」

エイスリン「(ガッツポーズの絵)」グッ

豊音「迎えに来たよー!ほら、肩貸すから帰ろう!」

白望「・・・高い」ズルズル

282: 2013/09/04(水) 02:04:41.98 ID:/e4dmMD/0
<永水控え室>

初美「あの神様、姫様の身体乗っ取ったりしないですよね?」

霞「大丈夫よ。あの方は人を愛しておられる神だから」

巴「でも帰って来ませんね」

霞「せっかく降りたから人界見物でもしてるんじゃないかしら?」

初美「それなら良いんですが」

霞(宮永照、神の力にこれほど均衡するなんて・・・)

霞(宮永咲・・・どうなるかしら)

283: 2013/09/04(水) 02:06:21.14 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

玄「ごめん、やっぱり勝てなかった」

憧「な、何言ってんのよ!あの人外魔境から-5000で帰って来たって最高の戦果でしょ!」

晴絵「玄もその魔境を作ってた一員だけどな」クスクス

宥「玄ちゃん凄かったよ」

灼「約束は果たせた?」

玄「うん。勝てなかったけど、それでもすっごく楽しかった」

玄「それに・・・チャンピオンが私たちのこと認めてくれて、本当に嬉しかった」

玄「私、竜華さんたちにお礼言ってくるねっ」ダッ

玄「あ・・・すぐ戻って来てお姉ちゃんの応援するから心配しないで!」

憧「まったく、まだ終わってないのにはしゃいじゃって」

晴絵「宥」

宥「はい」

晴絵「お前も全てをぶつけて来い」

宥「はい!」

290: 2013/09/04(水) 19:28:28.11 ID:/e4dmMD/0
<次鋒戦>

えり『今大会、清澄高校がこの点差で先鋒戦を終えるのは言うまでもなく初です。世界チャンピオンでもあるエースがまさかの苦戦、このような状況でこそ総合力が試される時ですが』

恒子『大会前に宣言したように、今年の清澄高校に弱点はありません!次鋒は宮永照と共に3年間清澄高校を支えた上埜久!』

えり『その上埜選手ですが、今大会は成績が伸び悩んでいる感があります。不調の原因はどう思われますか?』

咏『先鋒がチャンピオンちゃんで大量リードしちゃうからっしょー』

健夜『そうですね。宮永照選手が大量得点してしまうため、次鋒の上埜選手は失点を抑えて次へ繋ぐ役割に徹している感があります』

恒子『それはもちろん後半のクリーンナップも強力だからですよね!』

久「今年も春とだったら楽しかったのに。永水も気が利かないわね」

巴「逆に危険そうなんですよ、あなたは」

エイスリン「ヨロシク」

宥「よろしくお願いします」

291: 2013/09/04(水) 19:29:48.75 ID:/e4dmMD/0
久(さってと、何だかんだと油断できない状況になって来たわね)

久(和や結は強いけど、また神代のような隠し球が無いとも限らない)

久(特に宮守は初出場の上、あの熊倉プロが連れて来た5人)

久(負けられないわ)ボゥ

エイスリン「ツモ!2000・3900!」

久「んー」

久(松実宥ちゃんは準決勝ほどの覇気がない。けれど阿知賀の中じゃここまで全試合プラス)

久(狩宿巴ちゃんは『祓い』系統の異能だから私には通用しない)

久(やっぱり宮守のこの子、変な手順ね)

エイスリン「」サイコロ-

久(・・・なかなか可愛いわね)

292: 2013/09/04(水) 19:30:37.69 ID:/e4dmMD/0
巴(まさか、神産巣日様が敗北なさるなんて想定外もいいところです)

巴(あんな事を言ったものの正直に言ってしまえば、私の対戦相手が上埜久になってしまったのは作戦ミスです)

巴(麻雀がデジタル指向な私と上埜久の相性は最悪に近いですから・・・)

巴(しかし、上埜久以外の2人は違います。その異なる力、清め祓わせていただきます)パァ

宥「」ピクッ

エイスリン「ナ、ナニ?」

宥(あれ・・・温かい牌が来ない・・・?)

エイスリン(カ、描イタ牌ガ・・・)

巴(先に奉納を済ませておくのは反則っぽいですが、仕方ありません)

久(異能のバランスは凄く良いのよねぇ永水って)

久(その分、配置に気を配らなきゃならないんでしょうけど)

久「ロン、7700」

293: 2013/09/04(水) 19:31:44.12 ID:/e4dmMD/0
巴(清澄の独壇場はマズイですが、準決勝のように宮守を暴れさせるわけには・・・)

巴(いや、清澄を稼がせるのは危険でしょうか? しかし先鋒戦が想定外に稼げなかったのは清澄も同じはず)

巴(少なくとも副将までは他家を瞬時に飛ばすような火力は無いはず)

巴(火力と和了率を考えれば、次鋒戦で危険なのは宮守。この方法でいきます!)

久「ツモ、3200オール」

巴(上埜久っ)

久「舐められたものね」

294: 2013/09/04(水) 19:32:57.22 ID:/e4dmMD/0
<回想・県予選前清澄>

久「照、咲、結のトップ3独占は予想通りだけど・・・」

久「和、美穂子、私、まこの順ね」

まこ「まさか和が4位につけるとは、予想外だったの」

美穂子「ネット麻雀ではとても強いんですよね?」

久「元々学生レベルに収まらない実力はあったんでしょうけど、咲たちと打つ事で更に強くなったようね」

まこ「去年全国制覇をしたチームをゴボウ抜きとは参るのぉ」

久「まだ終わってないのよ? 負けを認めるのは早いわ」

まこ「そうじゃったな」ニッ

美穂子「・・・」

久「どうしたの美穂子?」

美穂子「久さん」

久「何?」

美穂子「最終日、全力で打って欲しいんです」

久「全力でって・・・いつも本気で打ってるわよ?」

美穂子「す、すいません、言い方がおかしかったです」

美穂子「インターミドルで私と戦った久さんは、もっと強かったはずです」

美穂子「無意識なのかも知れません」

美穂子「けど・・・私にあの時の、あの大会にもう一度挑戦させてくれませんか?」

美穂子「あの時の言葉の―――」

295: 2013/09/04(水) 19:34:05.87 ID:/e4dmMD/0
<現在・次鋒戦>

久(青いサファイヤは赤いルビーと同じ素材の宝石なのよ、だったかしらね)

久(まったく、2年間一緒に居て聞けないなんて美穂子も臆病よね)

久(私は状況が悪いとか、ハンデキャップがあるとかを言い訳にして欲しくないって考えなだけ)

久(だから目を閉じて隠している子を見て、そのくらい気にせずにしなさいって説教だったのよ)

久(それは美穂子を落胆させた答えだったかも知れない)

久(けど、もうあなたと私の友情はそんなこと関係ないでしょ?)

久(照は他のチームは様々な想いを持ち寄ったって言った)

久(なら私が決勝へ持ち込むのは、私の一番の親友との約束)キィィン

久(必ず三連覇を果たして帰るわ!)

久「ツモ、4000の一本場、4100オール!」

296: 2013/09/04(水) 19:35:59.24 ID:/e4dmMD/0
宥(あれ? 悪待ちじゃない?)

巴(普通に五面張に取った? いえ、ここぞという時以外は普通の待ちのはず・・・しかし決勝で?)

久「この状況ね、もうとっくに悪い待ちなのよ」

久(親友を待たせているのだから)

エイスリン「アノ」カキカキ

久「何かしら?」

エイスリン「(青い炎と赤い炎の絵)」

エイスリン「」カキカキ

エイスリン「(紫の炎の絵)」

久「Excellent ! That's the correct answer.(すごいわね、正解よ)」

エイスリン「ニ、日本語、ワカル」

久「ちょっとからかっただけ。やっぱり可愛い子ね」

エイスリン「///」

297: 2013/09/04(水) 19:37:04.65 ID:/e4dmMD/0
宥(どうしよう、私の打ち方が全くさせて貰えない)

宥(永水の狩宿さんが何かしてるみたいだけど分からないし)

宥(でも、上埜さんの連荘を止めないと・・・)

久「ロン、11600は12200」

巴(まずいです。これじゃあ宮守を止めている意味が・・・)

宥(私の、全て)

宥(私は玄ちゃんたちと一緒に遊びたいって思って、ここまで来た)

宥(他のみんなに比べて、勝ちたいって気持ちは少ないと・・・思う)

宥(でも、玄ちゃんが世界チャンピオンと戦って守りきった点棒を)

宥(失いたくない、絶対にっ!!)ゴォ

298: 2013/09/04(水) 19:39:29.47 ID:/e4dmMD/0
宥「リーチ」

久(理牌と視点移動から考えて手配は萬子の染め)

久(・・・一発ツモを確信してる? いや信じている?)

巴(妹の松実玄は、宮永照でさえ崩せない圧倒的な異能の持ち主です)

巴(もし姉にも同じレベルの異能があるとしたら・・・?)

宥「ロン、17200」

久(そういうことなのね)

久(どんな相手でも安定してプラス、赤い牌を集めるだけで出来るものじゃない)

久(この子の支配力は『妹の点棒を減らさない』こと。玄ちゃんが先で初めて成立する力)

久(玄ちゃんの後である限り絶対にマイナスにならない。マイナスにならないのだからプラスになる)

久(新道寺の『縛り』も強力だけど、こっちは玄ちゃんと同等の才能の持ち主だから強度が桁外れだわ)アセ

299: 2013/09/04(水) 19:41:07.19 ID:/e4dmMD/0
宥「上埜さん」

久「何かしら?」

宥「ありがとう、ございます」

久「あなたが嫌味を言うような子じゃないことは分かるわ」

久「でもごめんなさい、何のお礼かしら?」

宥「宮永さんたちにも伝えてください。あなたたちが清澄をここまで連れて来てくれたから」

宥「私は卒業する前に、玄ちゃんたちと一緒に遊ぶことが、一生の思い出を作ることができました」

久「それはあなたの仲間たちに言いなさい。私たちが貰っていい言葉じゃないわ」

宥「・・・はい」

久「私だって意地があるから稼いで中堅に回すわよ?」

宥「私も、みんなのためにいっぱい点棒を取ります」

清澄 :120000(+11000)
阿知賀:113000(+18000)
永水 :87000(-17000)
宮守 :80000(-12000)

300: 2013/09/04(水) 19:43:12.95 ID:/e4dmMD/0
えり「次鋒戦が終わりまして、阿知賀女子松実宥選手の健闘により2位に浮上。1位清澄との差を7000に縮めました」

えり「これで松実宥選手は全ての試合をプラスで終わらせたことになります。今年のインターハイのレベルを考えると快挙だと言っても良いでしょう。更に次鋒戦の区間1位を獲得です」

咏「よく頑張ったけど完全試合ちゃんとチャンピオンちゃんが居るから目立たないねー、かわいそー」

恒子「しかし王者清澄がまさかの2位と4桁差!このままだと王者陥落も有り得るぞ!!」

健夜「点差もないですし、宮永咲選手に回す前に差をつけられれば有り得るかも知れませんね」

えり「小鍛治プロは宮永咲選手を評価しているご様子ですね?」

健夜「今大会最強ですね。もちろん、先ほどの神代選手のような例外もありますが」

咏「あれとは二度と会うことないしね。嶺上開花ちゃんが個人選手としては最強でしょ」アハハ

えり「それでは大将戦まで清澄が1位なら他校に勝ち目はないと?」

健夜「そこまでは・・・。これは個人戦ではありませんので何かが起こるかも知れませんので」

301: 2013/09/04(水) 19:44:42.43 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

久「結局稼ぎ負けちゃったわ、良いとこ無しね」

和「1万以上のプラスで首位のまま戻って来たのですから、何も問題がないかと・・・」

結「これで和がマイナス10万されても、清澄が勝つから大丈夫だよ」

和「されません」

久「元気付けてるようで、力が抜ける言葉ねぇ」

照「」ポリポリ

久「せめて何か言ってよ」

照「お疲れ様、あとは後輩たちを見守ろう」

久「・・・あら」

久「照からまともな慰めが出るなんて意外すぎ」クスクス

照「私だって成長したいって思ってる」

302: 2013/09/04(水) 19:47:08.61 ID:/e4dmMD/0
<宮守控え室>

エイスリン「ゴメンナサイ・・・!」

豊音「気にすることないよー!」

塞「トシさんに徹底的仕込まれたお陰で、あの清澄に喰らい付けてる。まだまだ逆転できる範囲だ」

胡桃「ほらシロだって同じくらいマイナスなのに、ふんぞり返ってるから気にしないで」

白望「・・・慰め合う? ダルいけど」

エイスリン「・・・ダイジョブ」

トシ(エイスの『絵描き』・・・試合前に描いた絵と同じ手配になるようにツモれる)

トシ(宮永照に匹敵する才能と思い、かなり鍛えたつもりだったけど少し時間が足りなかったね)

トシ(それにしても・・・)

トシ(やるじゃないか、あんたの教え子たちは)クス

303: 2013/09/04(水) 19:48:49.09 ID:/e4dmMD/0
<永水控え室>

巴「すみません!あんな結果になるなんて!」

霞「罰ゲームは何が良いかしら?」

初美「社の店番を一週間変わって欲しいです!」

春「沖縄まで行ってさとうきび買って来て」

巴「3人共試合まだじゃないですかっ!? それと春、沖縄は厳しいです」

霞「じゃあ、終わったらその時に考えましょう」

初美「もちろん優勝してからですけど!」

304: 2013/09/04(水) 19:50:46.85 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

宥「ただいまー」

玄「お姉ちゃん!お疲れ様!」

宥「うん」

玄「さすがお姉ちゃん、すごいよっ」

憧「いやぁ、宥姉ほんと凄いわ。次鋒戦で区間1位でしょ? 閉会式で表彰されるってことじゃん」

宥「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

玄「お、お姉ちゃんがかつて無いほど震えてる!」

晴絵「じゃあ私が緊張しないおまじないを」

灼「それはもういいから」

憧「さて・・・。もし中堅戦の間にシズが戻って来たら、そこのカバンに代えの制服入ってるから」

灼「分かった」

玄「頑張って、憧ちゃん!」

憧「準決勝じゃ和に負けちゃったからね。決勝は勝つぞぉ!」

305: 2013/09/04(水) 19:52:57.86 ID:/e4dmMD/0
<中堅戦>

えり『前年度インターミドルチャンピオン原村和、非常に早い打牌が特徴です。決勝まで安定したプラスの成績は、その実力を証明していると言って良いですか?』

咏『清澄じゃなかったらエース張れる実力でしょー。長期スパンでの収支でやったら、ほとんどのプロ勝てないんじゃね? 知らんけど』

憧「和」

和「憧」

和「先ほども言いましたが、決勝まで戦えるなんて嬉しいです」

憧「和のとこの大将がやってくれたお陰でね」ニガワライ

和「その咲さんに負担を掛けないためにも、準決勝以上に頑張るつもりです」

憧「私だって負けないよ」

和「どちらが大将のために頑張れるか、勝負ですね」

憧「いや、副将戦もあるんだし」

和「結さんは別に稼いでくれなくても良いです」

憧「え? もしかして仲悪いの?」

和「いえ? ただ結さんとはライバルなので、結さんにも負けたくありません」

憧「あ、ああ、同じ1年だしね」

憧(和、宮永結、宮永咲は雑誌で比較されまくってるしね。意識しちゃうよねぇ~)

憧(なんか違う気もするけど、そう思っておいた方が幸せな気がする・・・)

306: 2013/09/04(水) 19:55:03.69 ID:/e4dmMD/0
春「清澄と阿知賀は知り合いなの?」

和「幼馴染です」

春「久も?」

和「部長は違います」

春「そう」

憧(去年は決勝で清澄と戦った滝見春。相手の聴牌気配に対する読みが凄い、ってくらいしか特徴なかった。その分振り込みが極端に少ない)

胡桃「5分前ピッタリ、って全員居る。すいません、遅れた?」

憧「決勝だから気が早っただけですから」

胡桃「気持ちは分かるね」

憧(鹿倉胡桃、こっちは初出場だから牌譜も十分じゃないけど、晴絵の先生とも呼べる人が監督してるから油断禁物)

憧(準決勝は和とセーラが戦っていたから私もプラスで終われた感がある)

憧(実際の実力は和よりもかなり下・・・どうやって戦うかが重要)

和「憧? 大丈夫ですか? 始まりますよ」

憧「あ、うん、大丈夫」

憧(私にはセーラのような大火力の麻雀はできない。けど、和にだって負けないものはある!)

307: 2013/09/04(水) 19:56:20.85 ID:/e4dmMD/0
憧「ポン!」

和「ロン、2000点」

憧「よ、容赦ないね、和」

和「2位の阿知賀を狙い撃つのは戦略上当然です」

和「ツモ、1000・2000」

春(『のどっち』の雀力は高校生レベルじゃない。素で打ったら勝てない)

春(ずらし)

和「ロン、2600」

春(予想はしてたけど、ダメ)

胡桃(中堅戦だけ異常な打ち手が居ないから、実力差がモロに出てるなぁ)

胡桃(私も相当練習したけど、相手は小学生の頃からネトマにどっぷりつかったジャンキーだし)

胡桃(しかも現実の方は対戦相手によって、打ち方が柔軟に変わるからこっちのが強い)

308: 2013/09/04(水) 19:57:46.33 ID:/e4dmMD/0
胡桃(エイスが負けちゃったから、ここで何とか稼ぎたい)

胡桃「リーチ」

和「・・・」

春(原村は親だけどベタ降り。・・・削れるかも知れないからずらさない)

憧「リーチ!」

憧(和が降りたなら、私は行く!)

胡桃「ツモ、2000・3900」

憧(ちぇ、リー棒損した)

憧(・・・今の感じ、昔あったな)

309: 2013/09/04(水) 19:59:49.52 ID:/e4dmMD/0
<回想・阿知賀女子子供麻雀クラブ>

憧「あーもう!和が降りたら玄が和了るってなにぃ」

玄「でも、私も収支だと和ちゃんに勝ててないよ」

玄「初めて戦った時なんて1回も和了れなかったし・・・」

穏乃「誰も和に勝てないのかぁー」

和「勝負は時の運です。誰でも私に勝つことは出来ます」

憧「でも、ほとんど和が勝ってるじゃん」

和「確立を上げるように打っているので、私が勝つ可能性が高いだけです」

和「憧は和了率に拘りますね?」

憧「え? うん、まあ」

和「和了率だけでなく、ちゃんと点数も計算した方がいいですよ。期待値を出してから和了るかどうか考えて」

憧「えっと、期待値って何?」

和「期待値というのは」

晴絵「小学生の範囲じゃ習わないし、難しいだろ」

310: 2013/09/04(水) 20:01:54.78 ID:/e4dmMD/0
穏乃「さすが、和!まだ習ってないところも勉強してるんだね!」

和「麻雀で強くなるために勉強しただけです」

晴絵(期待値って高校数学じゃなかったっけ・・・)

和「2回に1回和了れる1000点と3回に1回和了れる2000点」

穏乃「2回に2回1000点和了れれば良いってことだねっ!?」

和「それじゃあ確立の意味が・・・」

憧「じゃあ私は3回3000点和了る!」

穏乃「じゃ、じゃあ私は・・・!」

和「何の勝負ですか。意味不明です」

晴絵「和の打ち方も1つの打ち方だよ」

晴絵「けど、いつも最善の手で打つのが良いとは言わない」

和「ですが」

晴絵「和の中ではコンピュータが世界最強の雀士なのか?」

和「え?」

晴絵「ま、勝てないようにプログラムを組まれたら確かに最強だけどな」

晴絵「お前たちはまだ子供なんだ。どれが最強とかどれが最善とか考えないでいいと思うぞ」

晴絵「今は好きに打って、大人になった時どんな麻雀を打ちたいのか考えておく程度でいいんじゃないかな?」

311: 2013/09/04(水) 20:03:36.35 ID:/e4dmMD/0
<副将戦>

憧(私、ずっと麻雀続けたいから阿太中に入ったはずなのに・・・)

憧(先のこと何も考えてなかったな)

憧(そりゃ、そうだよね・・・)

憧(続けたかった理由は)

憧(和に勝ちたかったからだもん)

憧(私のスタイルが和にそっくりなのも、それが理由)

憧(和と同じスタイルで、和に勝ちたかった)

憧(麻雀教室に和が来てから、シズの口から出るのは和のことばっかりで)

憧(でも、そのくらい和は強くて)

憧(色んな意味で・・・嫉妬してた)

胡桃「阿知賀、手番だよ」

憧「あ、はい」

憧(うん、そうだよ)

憧(私勝ちたい、和に)

312: 2013/09/04(水) 20:05:24.86 ID:/e4dmMD/0
憧「リーチ!」

和「憧・・・?」

胡桃(あれ? 阿知賀中堅は副露での加速が持ち味だったんじゃ)

春(様子見)

憧「リーチ一発タンヤオイーペーコードラ1・・・裏3!4000・8000!」

胡桃(裏のモロ乗りは偶然だろうけど、雀風が変わったのかな?)

和(スタイルは同じですが、読みが鋭い。勘が冴え渡っている状態、でしょうか)

憧(和、あなたは賭けに出るのは極力避けて生きているんだと思う)

憧(シズが声を掛ける前まで、友達も作らずネット麻雀をしていたのもリスクを避ける一環でしょ)

憧(和から見たら色んなことに意地になって、失敗ばっかりな私はおかしいのかも知れない)

憧(けど、挑戦する勇気と失敗してもめげない強さは手に入れたよ!)

憧「ダブルリーチ!」

313: 2013/09/04(水) 20:07:01.81 ID:/e4dmMD/0
和(部長の悪待ちのように確立操作ではありません)

和(ランダムの狙い目が、私よりもハイリスクハイリターン)

春(これは止める)

春「ロン、せんてん」

憧(ダメか。打点は良かったんだけど)

胡桃「ツモ、2000・4000」

胡桃(流れを止めてくれてありがと、永水女子の人)

春「・・・」

春(仕方ない、あまりやりたくなかったけど)

咏『んー、あの子ってさぁ。戒能プロの親戚かなんかかい?』

えり『え? ええ、従姉妹だそうです』

咏『なっるほどね~』

恒子『何か気になることでもあったんですか!?』

咏『荒らすつもりじゃね? 知らんけど』

314: 2013/09/04(水) 20:09:02.27 ID:/e4dmMD/0
春「ツモ」ゴゴゴゴゴゴ

憧(今度はこっちか)

胡桃(なんか変な感じ)

和(レベル10・・・)

春「大三元、16000・8000」

憧「は?」

胡桃(こんなの牌譜で見たことないけど)

和(そういえば戒能プロにはソロモンの力で役満を和了るオカルト話がありましたね)

和(以前の私なら一笑に付すところですが)

春「親番」

憧(も、もう永水の人たちメチャクチャじゃん・・・)

憧(この永水と戦って副将戦で飛ばす宮永照ってどんだけ・・・)

憧(あー私のバカ!その宮永照(化け物)と戦い切った玄に失礼でしょ!)

315: 2013/09/04(水) 20:11:13.92 ID:/e4dmMD/0
照「私は・・・?」

久「照?」

照「いや、なんか失礼なこと言われた気がして」

久「いつもじゃないの?」

照「・・・」

結「もっと表情動かさないと怖がられるばかりだって」

316: 2013/09/04(水) 20:12:40.52 ID:/e4dmMD/0
憧(そもそも清澄には、永水以上にメチャクチャやらかす2人が控えてる)

憧(役満でも何でも好きなだけ和了りなさいよ!稼ぎ勝つ!!)

憧「ロン、3900!」

春「流された・・・」

憧「ツモ!3900オール!」

胡桃(すごい勢い。見た目と違ってマナーは良いけど、気迫がこっちまで伝わってくる)

春「」ゴッ

和(おそらく役満を聴牌しましたか)パチ

胡桃(ベタ降り。卓の中じゃ一番固い)

憧「ロン!11600は11900!」

和「憧っ!」

憧「1位まくったよ、和!!」

和(明らかな役満聴牌を回避して、私を直撃ですか!自ら振り込むリスクがあると言うのに・・・!)

恒子『清澄陥落ぅ!!絶対無敵のはずの清澄高校が2位に転落しましたぁ!!』

咏『今の彼女は強いかもねー』

健夜『流れが確実に彼女に向いています。それを恐れずに飛び込み、掴み取っている』

咏『運命の女神に後ろ髪があると思ってると、負けちまうぜデジタルちゃん』

317: 2013/09/04(水) 20:14:22.80 ID:/e4dmMD/0
和(そういえば入ってすぐの頃、部長に言われましたね)

和(人生のその瞬間は1度しかないって)

和(ああ、思い出しました、憧)

和(あなたたちが私に教えてくれたこと)

和(計算と論理に従った麻雀。それは勝つことが至上命題であるネット麻雀。勝つこと以外面白くないからこそ生まれた打ち筋)

和(でも、あなたたちが教えてくれました)

和(時にはできもしない役満を狙って、和了れなくても笑い合えた)

和(バレバレの流し満貫を狙ってるのが分かって、最後に邪魔をしたり)

和(とにかく勝ちたかった時、我武者羅に和了を狙いにいきました)

和(計算も論理もない、ただ大好きな友達と楽しく打つ麻雀)

318: 2013/09/04(水) 20:16:05.14 ID:/e4dmMD/0
和「」パチ

憧(ここでドラの対子落とし?)

胡桃(永水の異能を回避し、阿知賀の流れを逆に飲み込むつもりかな?)

憧「2000、2本場で2600!」

胡桃(・・・無理でしょ!白望じゃないんだから、こんな暴風みたいな状況で)

和(この先の人生で、もしも私が賭けに出なければならない時)

和(たとえ負けたとしても、悔いのない方に賭けたい)パチ

胡桃「!」

胡桃「・・・ロン、1300」

和「はい」

憧「の、和?」

319: 2013/09/04(水) 20:17:25.40 ID:/e4dmMD/0
結「和が、わざと振り込んだ」

久「へぇ」

結「デジタル打ちにそんな選択肢ってあるの?」

久「今までの和には無かったわね」

久「現状で春と憧ちゃんには勝てないと悟った」

久「ネット麻雀だったらそれで終わり。あとは終わりまで削られるだけよ」

久「けど、和は信じたのよ」

結「逆転を?」

久「違うわ」

久「あなたと咲に回せば、必ず勝ってくれるって」ニコ

結「あ、な、あ、あれだけ言ってたくせに情けないね、和!」///

久「ふふふ」

照「豪語してたのは結の方でしょ」

320: 2013/09/04(水) 20:19:39.24 ID:/e4dmMD/0
和(この決勝戦、私は負けです)

和(それでも清澄は、結さんと咲さんは絶対に勝ってくれます)

阿知賀:134000(+21000)
清澄 :101000(-19000)
永水 :99000(+12000)
宮守 :66000(-14000)

恒子『ついに清澄が1位の座より陥落!インターミドルチャンピオン原村和がその座を受渡してしまったぁ!!しかも、33000点ビハインド!!』

えり『1位を奪取したのは阿知賀女子、新子憧。去年のインターミドルでは県ベスト16でしたが、ここへ来て大きな成長を見せつけました』

えり『それに対して厳しいのは初出場の宮守女子です。準決勝までは次鋒の活躍がありましたが、決勝では抑えられてしまいました』

恒子『そして副将戦、全試合完全試合が掛かる最強姉妹が1人、宮永結が現れます!おおっ、視聴率が上がるぞぉ!』

健夜『それ言っちゃダメだよぉ!!』

321: 2013/09/04(水) 20:20:38.40 ID:/e4dmMD/0
憧「いやー、和がこんな打ち方するとは思わなかったわ」

和「憧、本当に強かったです。私がどうしょうもないって思ったのは、咲さんたち以外では初めてですよ」

憧「アハハ、いけるかも!って思ったところがドンピシャで当たちゃってさ」

和「油断はしていませんでしたが、負けました」

憧「またやろうよ、次も勝っちゃうから」

和「是非。次は負けません」

和「それから」

和「清澄は負けませんよ?」

憧「阿知賀だって負けないから」グッ

322: 2013/09/04(水) 20:22:04.20 ID:/e4dmMD/0
<廊下>

春「これ、去年より美味しく出来たから」

久「あらありがと」

初美「そんなことだろーと思いました!」

春「ん」

初美「ポリポリ・・・まったく・・・ポリポリ」

久「頂いていくわね」

春「うん」

初美「負けた後輩を慰める風習は、清澄にはないんですか!?」

久「あるにはあるわよー」ポリポリ

久「相変わらず美味しいわ、春」

春「うん」

久(食って掛かった私が居ると和も困るでしょうし)

久(明らかに和よりも上の照や結の方が、気楽で良いはずでしょ)

323: 2013/09/04(水) 20:23:19.32 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

和「申し訳ありません」ペコ

照「気にしなくていい。和はまだ1年だし、強い人と打った経験が少なすぎる」

結「そうそう、後は私に任せてゆっくり見ててよ」

和「結さん、どうかお願いします」

結「任せておいて!」

照「結、調子に乗って走らない」

結「分かってるって」ガチャ

照「こっちおいで」

和「照先輩?」

照「」ヨシヨシ

和「あ、あの・・・」

照「和は強くなった。私の知る以前の原村和よりも、遥かに強い」

和「はい・・・。もっと練習して、いつか照先輩よりも強く」

324: 2013/09/04(水) 20:24:32.24 ID:/e4dmMD/0
<宮守控え室>

トシ「まさか阿知賀が1位になるとはね」

エイスリン「ジャイアントキリング」

豊音「でもここからは宮永さんたちだよ!ちょー楽しみ!」

トシ「豊音の言う通りだよ。宮永姉妹の力は異常すぎる」

トシ「確かに勝ってるのは阿知賀だけど、危険なのは圧倒的に清澄だ」

塞「それにうちだけヘコんでますからね、そろそろ稼いでおきたいところです」

トシ「塞、モノクルは置いていきな。まさかが有り得る」

塞「・・・いえ、持っていきます」

トシ「けどね」

塞「みんなで来た決勝で、後悔したくないんです」

トシ「・・・本当は止めるべきなんだろうけどねぇ。持って行きな。頑張るんだよ」

塞「はい!」

325: 2013/09/04(水) 20:25:48.91 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

憧「ただいまー!」

玄「すごいよっ!私たちが1位になったよ!」

憧「玄や宥姉のお陰だよ」

晴絵「お疲れ。忘れ物は見つかったか?」ニッ

憧「・・・うん」

憧「これからもずっと麻雀を続けて行こうって気持ちになった」

憧「シズが見てくれなかったのが、ちょっと心残りだけどね~」アハハ

晴絵「さすがにちょっと連絡してみるか」

憧「シズのお母さん来てるんでしょ? いいよ、私が連絡してみる」

憧「晴絵は副将戦見たいでしょ」

晴絵「・・・悪いな」

晴絵「灼」

灼「ハルちゃん」

晴絵「私の想いも託した。頼む」

灼「うん!」

326: 2013/09/04(水) 20:27:06.48 ID:/e4dmMD/0
<副将戦>

えり『宮永結選手が1位以外でバトンを受け取るのは初めてです。全試合完全試合は達成されるのか、どんな戦いを見せるのか、注目の一戦です』

結「性懲りもなく来たね。ま、穏乃に免じて相手してあげるよ」

灼「・・・お前の完全試合を倒す」

塞「優勝するには宮永結の完全試合を止めることが絶対条件だからな」

初美「言っておきますが、私も清澄狙いですよー」

結「お前たちが100人集まっても私には勝てないけどね」ゴゴゴゴゴゴ

塞(信じられないほどの圧力・・・私ですら気配が分かる)

初美(負けませんよー、今年は)

灼「・・・」

327: 2013/09/04(水) 20:27:59.95 ID:/e4dmMD/0
<回想・阿知賀宿泊ホテル>

哩「宮永結の支配で最も強力なのは、最初に聴牌した者へ高打点で直撃を取ることだろう」

灼「有効牌が来なくなる、じゃなくて?」

哩「そちらも脅威的ではあるが、終盤になればなるほど崩れる」

哩「けどこの高打点直撃した時の牌譜を見っとよ」

晴絵「配牌ツモ共に、まるで灼に役満直撃することが決定付けられてるようだな」

憩「今までウチらも、単に狙い撃っただけだと思ってたんやけどなー」

憩「この子、どう見ても相手の和了牌の種類と位置分かってるしな」

灼「それだけでも反則級・・・」

憩「けど、あんたが嶺上開花狙いとか無茶してくれたお陰で、この不自然に気付けたよ」

哩「奴の『完全試合』はツギハギだらけということが分かったと」

328: 2013/09/04(水) 20:28:59.57 ID:/e4dmMD/0
晴絵「最初の1人を叩き潰すために、無茶な配牌とツモになる」

晴絵「残りの2人が更に協力して聴牌すれば、宮永結は対応できないどころか無防備に」

灼「けど誰かが聴牌したら、ほとんどその巡以内に直撃取ってるよ?」

晴絵「そうなんだよなぁ。残りの2人が聴牌する暇もない・・・」

哩「あなたならどうしますか?」

晴絵「・・・昔の私なら誰かを囮にして、宮永結から直取りを狙っただろうね」

憩「この子以上の怪物でも無い限り、直接やり合うんは避けるべきですー」

晴絵「ああ。だから私は大失点した」

灼「ハルちゃん・・・」

晴絵「私は負けた。灼、お前ならどうする?」

灼「私は―――」

329: 2013/09/04(水) 20:30:07.54 ID:/e4dmMD/0
<副将戦>

塞「」パチ

初美「カンッ!」

灼「」パチ

初美「さらにカンですよー!」ゴゴゴ

塞(準決でボロボロにされただけあって、合わせてくれたか)

灼(薄墨初美の鬼門は四喜和を集める。宮永結とどちらの支配力が勝つか知っておいた方がいい)

結「ツモ、500オール」メラッ

初美(うーん、ゴミ手で流されちゃいましたかー)

灼(連荘前提だから点数は考慮外)

結「ああ、そうそう」

結「この決勝戦は、副将戦東一局で終わりだよ」ゴゴゴゴゴゴ

塞(出し惜しみをしてる場合じゃないな)

330: 2013/09/04(水) 20:31:02.26 ID:/e4dmMD/0
塞(塞ぐ!)

塞「ぁっ・・・!」

結「2100オール」

塞(せめぎ合いすら起きない!瞬時に弾かれた!)

結「それって負担が掛かるんじゃないの?」

塞「・・・」

結「そういうの嫌いじゃないけど、試合終わったら真っ白になって廃人とかはやめてね」

塞「忠告は有難いが、お前ならやめるか?」

結「・・・アハハ」

結「そういうの大好き」

灼(見るだけで種類問わずの異能を止める力だったっけ・・・)

灼(今のやり取りから、宮永結には通用しなかったみたい)

灼(宮永結が親番だと薄墨が北家なのは運がいい)

331: 2013/09/04(水) 20:31:52.72 ID:/e4dmMD/0
初美「開きますよー!」

結「」メラッ

初美(字牌が入って来ません・・・)

結「2本場、2800オール」

初美「強いですねー」アセ

灼(・・・誰も聴牌にさえ持っていけないなんて)

結「照おねーちゃんは、決勝に持ち込んだ想いが強くするって言ってたけどさ」

結「お前たちとは賭ける想いが違うんだよ」ゴゴゴゴゴゴ

結「親ッパネ、6300オール!」

灼(つ、強い・・・準決勝よりも、更に・・・!)

結「1位奪還!!」メラメラメラ

332: 2013/09/04(水) 20:33:21.48 ID:/e4dmMD/0
恒子『強すぎるぅーー!!これが宮永結!完全試合であっという間に1位を奪還しました!!誰もこの怪物を止められないのか!』

えり『他家は聴牌はおろか、一向聴にも出来ません。これは準決勝までの対戦と比べても異常です』

健夜『配牌以外でも有効牌が混ざってはいます。ただし、その牌が誰かの有効牌として使えるのは1巡か2巡程度。それを見抜くのは彼女たちでは難しいです』

えり『今までの試合すら全力では無かったと?』

咏『さぁねー。けど、スポーツとして麻雀打ってた準決勝までとは違う。まるで頃し合いでも始めたかのようだぜ』バッ

結「あっという間に終わらせてあげるよ!」

結「ダブルリーチ!」

灼(ずらすために、ほとんどリーチ掛けなかったはずだけど)

初美(徐々に点数が高まってますねー)

塞(これじゃまるで)

結「来たぁ!」

結「親倍、8400オール!!」

灼・初美・塞(チャンピオン!)

333: 2013/09/04(水) 20:34:40.08 ID:/e4dmMD/0
憩「・・・」

哩「・・・」

竜華「2人が難しい顔で黙ってしまったわ」

怜「宮永姉妹とか化け物すぎやろ・・・」

煌「しかし、あれではどうしようもありません」

怜「さすがにチャンピオンほど高速で連続和了するわけやないみたいやけど」

浩子「まあ、まだ1度なので偶然とも言えますが・・・」

セーラ「偶然・・・ねぇ」

竜華「偶然とは言わんけど、なんか変やな」

334: 2013/09/04(水) 20:35:54.43 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

晴絵「あいつらに限界はないのか・・・」

玄「今回は全部ツモなんですね」

晴絵「・・・なに?」

玄「え?」

晴絵「玄、何か分かるのか?」

玄「えっと私、チャンピオンにたくさんやられましたけど、確かにチャンピオンと戦ってました」

玄「それに対してあの子は、副露もロンも無しでただただツモ和了なのです」

玄「あれじゃあ自分1人でツモって手を作ってるのと同じだなぁって・・・」

玄「ちょっと、部室でみんなを待ってた頃の私を思い出しちゃって」

晴絵「それだ」

玄「は、はい?」

晴絵「灼、気付いてくれ」

335: 2013/09/04(水) 20:37:08.87 ID:/e4dmMD/0
灼(これが宮永結の全力・・・)

灼(憩さんや哩さんを相手にした時でも全力じゃなかった)

灼(『完全試合』と『連続和了』を同時に使ってくる怪物に、勝つ方法なんかあるの?)

灼(ダメだ)

灼(私だけ諦める選択肢なんか無い!)

灼(『完全試合』は相変わらずだけど、『連続和了』の方は劣化もいいとこだ)

灼(これって本当に『連続和了』なの?)

灼(宮永照の実妹が打点上昇で連荘を重ねれば、嫌でも宮永照の『連続和了』を連想する)

灼(けど、宮永結はクラッシュトークやマスコミ向けのパフォーマンスも多用する・・・他家を翻弄するタイプだ)

灼(『連続和了』もどきが、その一環だとすれば)

336: 2013/09/04(水) 20:38:12.99 ID:/e4dmMD/0
灼(そうか・・・単なる認識違いだった)

灼(宮永結は『他家の有効牌』だけじゃない、『自分の有効牌』も見えてるんだ)

灼(自他の有効牌の位置から、確実に和了れる点数を調整しながら『連続和了』に見せかけた)

灼(運が良いとかの戯言なんかも、全部これを隠すためのブラフ)

結(気付いちゃったかな?)

結(そう。実際のところ、私は照おねーちゃんや咲の劣化品でしかないんだよ)

結(『完全試合』とか言ったところで穴だらけだし、支配力だって強くない・・・あ、もちろん咲たちと比べてだけど)

結(『初回頃し』の方は強いけど、それだって弱点にしかならない)

結(私の異能だけで『完全試合』の達成や東一局で他家を飛ばすのは難しい)

結(けど、私はそれを達成してきた)

337: 2013/09/04(水) 20:39:08.47 ID:/e4dmMD/0
<回想・結が宮永家に来る前>

結父「とにかく雀牌以外は触らせるな。役を覚えたらお前が毎日相手をしろ」

結母「・・・分かったわ」

結母「でも物心つくまでは、あと2,3年掛かると思うから」

結父「牌の感触になれさせろ。見て、握って、ツモるくらいなら出来る」

結母「ええ・・・」

 ―――

結父「地元のプロ程度に1万点も取られただとぉ!!」

結父「10万点取り戻して来い!それまで家に入れるな!」

結「でも、予定があるからって」

結父「・・・よかろう」

結父「これからお前が1000点失うごとに、これで一発叩く」

結「そ、そん」ガクガク

結父「1点も取られなければ良いだろう!まずは今日の10発だ!!」

338: 2013/09/04(水) 20:39:37.16 ID:/e4dmMD/0
結母「この雀荘で5人飛ばして来なさい」

結「・・・出来なかったら?」

結母「出来ない? 何を言っているの? たった5人飛ばすのに何時間もかかるの?」

結「う、ううん。すぐ、終わらせて帰るね」

結母「ええ、良い子ね」

結「・・・」

 ―――

結父「海?」

結「う、うん、行って来ていいかな?」

結父「麻雀の練習をしろ」

結「でも・・・」

結父「なまじ運動が出来るから練習をしないのか?」

結「ひっ」

 ―――

結父「勝って当然、どう勝つかが問題だ」

結父「負ければゴミ以下だ」

339: 2013/09/04(水) 20:40:04.08 ID:/e4dmMD/0
<副将戦>

結(私は物心ついた時から命を賭けて麻雀を鍛えたんだ)

結(お前たちが束になったところで、勝てはしないよ!!)

灼(こいつは麻雀のプロってだけじゃない。異能のプロだ)

灼(とにかくそれを使いこなし、麻雀に勝つことを熟練させた)

灼(・・・・・・)

灼(お前は強い)

灼(準決勝、あんなに泣いたのはハルちゃんが負けた時以来だったよ)

灼(けど、少しだけ感謝してる)

灼(お前のお陰で、ハルちゃんの気持ちが分かったから)

340: 2013/09/04(水) 20:41:41.64 ID:/e4dmMD/0
灼(私はみんなのお陰で、こうしてお前と再戦してる)

灼(もしあのまま阿知賀が敗退したら、私は二度と麻雀をしなかったと思う)

灼(私は初めてハルちゃんを理解することが出来たよ)

灼(挫折して、子供麻雀クラブで思い出して、実業団で活躍して、そしてまた向き合いに来た)

灼(本当にすごいハルちゃんが辿ってきた道筋の)

灼(その結果を、見せる)ボゥ

塞(全て手出し? 毎巡有効牌をツモっているとは思えないが)

初美(あの目、諦めた人の目じゃないですねー)

結「・・・」ムー

灼「ポン」

塞(え? ツモ牌が対子になったのか!?)

初美(まさか・・・ということは、ここですね?)

灼「ポン」

342: 2013/09/04(水) 20:42:53.14 ID:/e4dmMD/0
初美「それカンですよー!」

結「」ムム

灼(お前の力が、宮永咲のような強固な運命支配だったら勝ち目はなかった)

灼(だけど『完全試合』は異能と技術の半々によって支えられてる)

灼(『完全試合』と戦うと、どうしても配牌と他人の手牌、宮永結の捨て牌に目がいってしまう)

灼(そうじゃなくても配牌から手を作るのは、麻雀として当然のこと)

灼(だから、宮永結は配牌時点から計算して他人がツモれないようにずらし、必要ならば先に和了る)

灼(いくら計算しても他人よりも先に和了れない局が稀にあり、それが流局となる)

灼(フルオープンで開始時に計算してるみたいなもの)

灼(単純な話で、配牌の面子以外は全部落とせば、有効牌が変わって宮永結の計算は大幅に狂う)

灼(それでも有効牌が入りにくいし、配牌時点で計算してしまうのはコンピュータかと疑うレベルだけど)

344: 2013/09/04(水) 20:44:50.97 ID:/e4dmMD/0
恒子『パーフェクトゲーム、破れるぅぅぅーーー!!!』

恒子『阿知賀副将、鷺森灼!ついに!今大会初めて!宮永結のパーフェクトゲームを阻止ぃ!!お聞きくださいこの歓声を!!』

咏『今のはこれ以外の道筋が無いくらいだ。諦めずよくやった』

えり『今朝未明に妹さんが事故に遭ったそうで、落ち着いた気持ちではなかったでしょう。そう考えると少し酷な気もしますが』

健夜『たとえ万全な状態だったとしても、今の一撃は耐え切れなかったと思います。素直に鷺森選手、そして臼沢選手、薄墨選手を讃えましょう』

灼「やった・・・!」グッ

灼「あ、ご、ごめん」

結「別にいいよ」

結「さすがに厳しかったかぁ」

結「準決勝で言ったことは撤回するよ」

345: 2013/09/04(水) 20:46:04.73 ID:/e4dmMD/0
灼・初美・塞「・・・」

結「なに?」

初美「気にしないんですかー?」

結「なんで?」

塞「いや、お前これからマスコミにパッシングを受けるだろうし」

結「全然気になんないけど?」

灼「しかも完全に3対1だったし」

結「照おねーちゃんだっていつもそうじゃん」

灼(や、破られたのに全く堪えてない?)

初美(少しも動揺しないとは・・・)

塞(支配が崩れることは期待できない、のか)

結「・・・」

結(くそおおおおおおお!!)

346: 2013/09/04(水) 20:47:03.27 ID:/e4dmMD/0
照「やばい」

久「破られちゃったわねー」

久「まあ、まだまだ稼げるから良いんでしょうけど」

照「稼げないかも」

久「今の手順は、そう何度も再現できるものじゃないわよ」

照「・・・結がすごい動揺してる」

久「・・・それはピンチね」

和「ほんとに動揺してる時は顔に出ないんですね」

347: 2013/09/04(水) 20:49:07.97 ID:/e4dmMD/0
塞「・・・ロン、12000」

結(お、落ち着け)

初美「ツモ、四喜和16000・8000」

結(えっと、咲は来たんだっけ?)

灼「ツモ、2600・1300」

結(すーはー)

塞(気の毒になるほど動揺してる)

咏『アーハッハハ、ボロボロだねぇ~』パタパタ

えり『先鋒戦で小鍛治プロのおっしゃった状況が、まさか宮永結選手に振りかかるとは思いませんでした』

咏『なまじ完全試合をしてたからねー。この状況で崩されて動揺するなってのは無理だね』

348: 2013/09/04(水) 20:50:28.27 ID:/e4dmMD/0
<副将戦・インターバル>

結「変なことなんかしなきゃ良かった・・・」

結「戻っても咲居ないし・・・」

?「結」

結「え・・・」

結「おかあ、さん」

結母「久しぶりね」

結「だって、病院」

咲父「決勝くらいはって、1日だけ許可貰って来たんだ」

結「」フルフル

結母「あなたは、あんなに楽しそうに麻雀を打つのね」

結「べ、別に・・・」

結母「結、このままでいいの?」

結「」ビクッ

結母「あなたの大好きな人に、そのまま渡すなんてできないでしょう?」

349: 2013/09/04(水) 20:51:27.44 ID:/e4dmMD/0
<回想・宮永家>

結母「結、この人たちがあなたの新しい家族よ・・・」

結「お母さん?」

咲「よろしく」

結「う、うん・・・」

 ―――

照「結も麻雀できるらしいから、みんなでやろう!すぐ準備するから!」

結「え・・・」

咲「ごめんね、お姉ちゃん麻雀大好きでさ」

結「・・・咲、も?」

咲「私? 私は普通かな? 好きでも嫌いでもないけど。結は?」

結「私は・・・・・・嫌い」

咲「え? そうなんだ。じゃあ、お姉ちゃんにやめようって言ってくるよ」

結「え!?」

咲「ん?」

結「負けても、怒られない?」

咲「誰に?」

結「・・・」

咲「んー、お姉ちゃんとは賭けをしない方がいいよ。何か賭けると強くなるから」

咲「じゃあ、ちょっとだけやろうか。つまらなかったら、体調が悪いとか言ってやめればいいからさ」

咲「何か合図送ってくれたら、私がやめようって言うから」

結「咲・・・」

350: 2013/09/04(水) 20:52:23.03 ID:/e4dmMD/0
照「負けたっ!」ガシャーン

咲「すっごい強いね、結!」

結「そ、そうかな?」

照「つ、次は負けないから!!」ダッシュ

咲「ちょ、お姉ちゃん!片付けくらいしてってよ!」

結「・・・」

咲「気にしないで。負けるとああなるの」

咲「やっぱりつまらなかったかな?」

結「え? そ、そんなことないよ・・・」

結「咲と打って、いつもよりも全然上手くいかなくて・・・すっごく、楽しかった」

咲「そう? 嬉しいな」ニコ

結「咲・・・これから、その、よろしくね?」

咲「うん!」

351: 2013/09/04(水) 20:53:40.59 ID:/e4dmMD/0
<副将戦・後半>

結「・・・」

結「お母さん、行ってくるね」

結母「ええ」

結母「あなたの好きなように、暴れてらっしゃい」

咲父「優勝したら好きなものを食べさせてあげるから、頑張りな」

結「残ってるのは私と咲だよ? 絶対勝つっ!!」ゴゴゴゴゴゴ

352: 2013/09/04(水) 20:54:54.97 ID:/e4dmMD/0
塞(支配力が戻ってる)

初美(動揺が収まりましたかー)

灼(ふふ)

結「むっ、今笑ったね?」

灼「あなたほどのプレイヤーでも、動揺してボロボロになるんだな、って思っただけ」

結「あったりまえでしょ、私まだ高校生だよ!?」

灼「うん、そうなんだよね」

灼(あの小鍛治プロですら世界で挫折を味わってる)

灼(みんな、同じなんだ)

結「もう和了らせないからね!」

353: 2013/09/04(水) 20:56:20.71 ID:/e4dmMD/0
恒子『副将戦決着ぅ!!パーフェクトゲームが破れた宮永結!一時は動揺から失点を繰り返しましたが立ち直り、再び『完全試合』によって他家を圧倒!首位を奪い返しました!』

えり『パーフェクトゲームこそ達成されませんでしたが、全試合において宮永結選手以外はマイナス、完全勝利と言って良い戦いを見せてくれました』

えり『鷺森灼選手、薄墨初美選手、臼沢塞選手も、数々のエースたちを追い返した『完全試合』を破る大健闘です』

小鍛治『でも清澄が首位で、大将戦まで来てしまいましたね』

咏『・・・そうですねー、あれが来るってことですか』

清澄 :129000(+28000)
阿知賀:120000(-14000)
永水 :94000(-5000)
宮守 :57000(-9000)

354: 2013/09/04(水) 20:58:56.49 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

結「あれ? お母さんたちは!?」

照「挨拶して帰った」

結「奢るのが嫌になって逃げたなぁ」

和「そっちですか」

久「優勝の打ち上げくらいなら部費で出してあげるわよ」

結「・・・」照「・・・」和「・・・」久「・・・」

結「咲は?」

久「まずいわね」

和「それは阿知賀もです」

照「今すぐ結の髪を染めて咲として出てもらう?」

久「照ってたまに吹っ飛ぶわね」

和「待つしかありませんね・・・」

久「大会側も事情を考慮して少しくらいは多めに見てくれるでしょうけど・・・」

355: 2013/09/04(水) 20:59:44.56 ID:/e4dmMD/0
<永水控え室>

初美「ううう、すいませんー」

巴「お疲れ様」

春「問題は大将戦」

霞「・・・」

霞「それじゃあ行ってくるわね」

巴「大丈夫ですか? おそらく宮永咲の力は、宮永照をも・・・」

霞「私ね」

霞「今、すごくワクワクしてるわ」

356: 2013/09/04(水) 21:00:37.37 ID:/e4dmMD/0
<宮守控え室>

塞「あとは頼む、豊音」

エイスリン「ガンバッテ!」

白望「楽しんできて」

胡桃「全力で!」

トシ「教えられることは全て教えた、行ってきな」

豊音「うん!ちょー楽しみだよー!」

胡桃「そういえば、清澄と阿知賀の大将は来るの?」

豊音「どうして?」

白望「交通事故にあったって」

豊音「えええええええええっ!?」ガーン

塞「間に合いそうだって話だったけど」

豊音「大丈夫!きっと来るから!」

豊音「なんだかね」

豊音「この戦いのために、ここへ来た気がするよ!」

357: 2013/09/04(水) 21:01:36.25 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

晴絵「灼、よくやった」

灼「結局、負けちゃったけど」

晴絵「今度は勝とうな」

灼「うん・・・」

晴絵・灼「・・・」フッ

憧「そんな場合じゃないでしょ!」

晴絵「そ、そうだったな!」

灼「連絡は?」

憧「さっきのおばさん・・・シズのお母さんの話だと、もうすぐ終わりそうらしいけど」

灼「まだ、病院にいるの?」

憧「・・・たぶん」

玄「ど、どんなに急いでも間に合わないのです」

憧「ああああ、もっと時間かければ良かったぁぁぁ」

玄「わ、私も」

灼「ごめん、宮永結と戦うことで頭がいっぱいで」

宥「・・・温かい」

憧「いや、宥姉」

宥「大丈夫だよ、こんなに温かいもん」ポカポカ

憧「?」

358: 2013/09/04(水) 21:02:49.95 ID:/e4dmMD/0
<決勝卓>

 シーン

えり『ど、どういうことでしょうか。時間になりましたが選手が誰も現れません』

咏『おいおい、空気読もうぜアナウンサー』パタパタ

小鍛治『・・・』

恒子『すこやんすこやん、どうなってるの?』

小鍛治『みんなの望みなんじゃないかな?』

<永水控え室>

巴「か、霞さんなら随分前に向いましたよ!?」

係員「し、しかし」

初美「まさかチャンピオンの迷子体質が伝染したんですかねー」

春「違うでしょ」ポリポリ

<宮守控え室>

トシ「ええ、既に行きましたよ。着いてないとしたら、インターバル時間が短いせいではないですか?」

トシ「それは運営の怠慢ですねぇ」

係員「そ、そんなはずは」

塞「あははははは」アセ

359: 2013/09/04(水) 21:04:00.45 ID:/e4dmMD/0
<病院>

穏乃「すっごい施設だね、さすが東京」

咲「穏乃ちゃん、何とも無かった?」

穏乃「全然平気だよ!包帯なんて大袈裟にしなくてもさ」

咲「今朝はけっこう血出てたからしてた方がいいよ」

穏乃「そっかー。咲はどうだった?」

咲「私なんてちょっと擦り剥いただけ」

穏乃「決勝戦、どんな感じ?」

咲「お姉ちゃんが神代さんに苦戦したみたいで、点数は平ら・・・って言っても普段の清澄から比べるとだけど」

穏乃「うーん、お、阿知賀2位!」

咲「新子さんが取り戻そうって奮闘したみたい」

360: 2013/09/04(水) 21:04:59.75 ID:/e4dmMD/0
恒子『パーフェクトゲーム、破れるぅぅぅーーー!!!』

恒子『阿知賀副将、鷺森灼!ついに!今大会初めて!宮永結のパーフェクトゲームを阻止ぃ!!お聞きくださいこの歓声を!!』

咏『今のはこれ以外の道筋が無いくらいだ。諦めずよくやった』

えり『今朝未明に妹さんが事故に遭ったそうで、落ち着いた気持ちではなかったでしょう。そう考えると少し酷な気もしますが』

健夜『たとえ万全な状態だったとしても、今の一撃は耐え切れなかったと思います。素直に鷺森選手、そして臼沢選手、薄墨選手を讃えましょう』

穏乃「灼さん・・・!」

咲「結、お疲れ様」

咲「あれ? 私が妹にされてる・・・誕生日私のが一週間くらい早いはずだけど・・・」

穏乃「もう副将戦が終わりそうなのか、急がないと!」

穏乃「行こう!」

咲「うん!」

361: 2013/09/04(水) 21:06:15.58 ID:/e4dmMD/0
穏乃母「早く乗りな!」

穏乃「お母さん!」

咲「あの、検査料金とか手続きは」

穏乃母「後に決まってんだろ!」

穏乃「咲も乗って!急いでお母さん!」

穏乃母「任せときなっ!」

穏乃「事故起こさないでよ!」

穏乃母「誰に言ってんだい!」

362: 2013/09/04(水) 21:07:33.50 ID:/e4dmMD/0
<会場>

穏乃母「穏乃!どうせなら優勝してきな!」

穏乃「そのつもりだよ!」

穏乃母「あんたも、優勝してきなよ!」

咲「は、はい・・・」

穏乃「同時にとか無理だし!?」

穏乃「私、阿知賀の控え室寄って、憧から制服借りてくるから!」

咲「急いでね。何とかして時間稼ぐから」

穏乃「それじゃ、後で」

咲「うん、負けないよ、穏乃ちゃん」

穏乃「私も!」

363: 2013/09/04(水) 21:09:04.96 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

穏乃「みんな!」

憧「シズ!」

玄「シズちゃん!」

宥「穏乃ちゃん」

晴絵「シズ、大丈夫か?」

穏乃「もちろん!」

穏乃「憧、制服貸して!」

憧「はい、準備してある」

穏乃「急げ急げ」ガサゴソ

364: 2013/09/04(水) 21:10:17.82 ID:/e4dmMD/0
晴絵「シズ、ありがとう」

穏乃「どうしたんですか?」

晴絵「私をここまで連れて来てくれて」

穏乃「いいえ!私の方こそ、ありがとうございます!」

宥「穏乃ちゃんのお陰で、すっごくあったい」

穏乃「もっと熱くなりますよ!!」

宥「うん、頑張って」

玄「とうとうここまで来たねっ」

穏乃「うん!玄さんのお陰だよ!」

玄「一番頑張ったのは、シズちゃんだよ」

憧「シズ」

穏乃「憧」

憧「楽しんで来てね」

穏乃「オッケー、任せて!!」

穏乃「灼さん!」

灼「誘ってくれて、本当に、ありがとう」

穏乃「楽しかったですか!?」

灼「・・・うん・・・すごく!」

穏乃「」キュ

穏乃「行ってきますっ!」

365: 2013/09/04(水) 21:11:06.39 ID:/e4dmMD/0
<大将戦>

咲「岩戸さん、姉帯さん?」

霞「ちょっと迷っちゃったのよね」クスクス

豊音「トイレが混んでたんだよー!」アハハ

咲「あ」

咲「ありがとうございます」ペコリ

霞「なんのことだか分からないわね」

豊音「そうそう」

穏乃「うおおおおおお」ダッダッダッ

穏乃「あれ!? 誰も居ない!?」

咲「こっちこっち」

穏乃「すいません!お待たせしました!」

豊音「今来たところだよー」

穏乃「え?」

霞「さ、場所決めをしましょうか」

366: 2013/09/04(水) 21:12:03.10 ID:/e4dmMD/0
えり『か、各校の大将4名が一斉に姿を見せました』

咏『動揺しすぎだぜー。もっと盛り上げてやれよ』パタパタ

恒子『泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ!大将たちの準備は万端か? 清澄が3年連続の記録を達成するのか、それとも他の3校が優勝を手にするのか!ここで!インターハイの王者が決定します!!』

咏『実力的には間違いなく清澄の嶺上開花ちゃん。けど、他の子たちからも並々ならぬ気迫を感じられるぜ』

健夜『そうですね。やはり団体戦は何が起きるか予測がつきません』

恒子『先輩』

えり『』コク

えり・恒子『インターハイ決勝、大将戦、開始です!』

367: 2013/09/04(水) 21:16:58.04 ID:/e4dmMD/0
霞「ところで、怪我は大丈夫だったのかしら?」

穏乃「はい、大丈夫です。だから遠慮しないでください」

豊音「最初からするつもりはないよー!」

穏乃(すごい、みんな頑張ってくれたんだ)

穏乃(トップの清澄と9000点ビハインド、これなら逆転できるかも!)

咲(岩戸さんの絶一門はすごいよね。姉帯さんのリーチ封じも強いし)

咲(前回は・・・そっか。『点数調整』して2人共敗退させたんだっけ。テンパッてからなぁ)

咲(神様の力使った絶一門は私たち以外に破れる人居ないだろうから、決勝まで来るのは当然だけど)

咲(姉帯さん、臨海に勝ったんだよね? 前と何かが違うのかも・・・)

豊音「んー、追っかけるよー!」

豊音「ツモ、4000オール」ゴゴゴ

清澄 :125000(-4000)
阿知賀:116000(-4000)
永水 :90000(-4000)
宮守 :69000(+12000)

368: 2013/09/04(水) 21:18:19.08 ID:/e4dmMD/0
<宮守控え室>

胡桃「結局、豊音に任せることになっちゃったね」

塞「言い訳するわけじゃないけど、ある意味じゃ良い状態で豊音に回せた」

エイスリン「トヨネ、夢ミルンダッテ」

塞「あれだろ? 宮永咲と戦って負ける夢。夢なら勝てと言いたいが」

胡桃「豊音は、宮守女子に来る前から宮永咲と戦うことを楽しみにしてたみたい」

トシ「ああ、今の豊音は強いよ」

豊音『2600の1本場2700オール』

清澄 :122300(-2700)
阿知賀:113300(-2700)
永水 :87300(-2700)
宮守 :77100(+8100)

豊音『ロン、3900の2本場4500だよー』

清澄 :117800(-4500)
阿知賀:113300(-0)
永水 :87300(-0)
宮守 :81600(+4500)

豊音『ロン、7700の3本場8600』

清澄 :117800(-0)
阿知賀:113300(-0)
宮守 :90200(+8600)
永水 :78700(-8600)

369: 2013/09/04(水) 21:19:28.62 ID:/e4dmMD/0
咲(これって)

霞「あらあら」

穏乃(咲が独壇場になるかと思ったのに、宮守の人が和了り続けてる)

穏乃(そりゃ咲は宮永結みたいに完全試合を実現するわけじゃないけど)

豊音「『先んずれば即ち負ける』」ゴゴゴゴゴゴ

豊音「8000、4本場で8400オールだよー」

穏乃(こ、これで宮守が・・・)

宮守 :115400(+25200)
清澄 :109400(-8400)
阿知賀:104900(-8400)
永水 :70300(-8400)

恒子『最下位からの逆転劇ぃ!!宮守女子が一気に1位に踊りでたぞぉ!』

えり『準決勝でも同じく、大将戦開始時に最下位だった宮守女子が東一局で首位を獲得していますね』

咏『先に1位になると負けるんじゃねー、知らんけど』

健夜『凄い選手ですね。このままだと連荘して終了になってしまいます。相手が宮永咲選手でなければ』

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

370: 2013/09/04(水) 21:20:33.76 ID:/e4dmMD/0
咲「カン」

穏乃(やっぱり、やられてるだけじゃ終わらない!)

咲「もいっこ、カン」

豊音(ちょーすごいっ!『先負』の支配力を物ともしてないよ!)

咲「嶺上開花、8000の5本場で9500。責任払いのルールなので、姉帯さんお願いします」

豊音「はいっ!」

清澄 :118900(+9500)
宮守 :105900(-9500)
阿知賀:104900(-0)
永水 :70300(-0)

恒子『秒殺!首位を奪われた次の局、鮮やかな和了で首位を奪い返したぞ、宮永咲!!』

霞(準決勝で見せたあれは、やっぱり全体支配系だったみたいね)

霞(かなりの強度があったと思うけど、宮永咲の前じゃ無力だったかしら?)

371: 2013/09/04(水) 21:21:38.43 ID:/e4dmMD/0
穏乃「私も行くよ、100速で!」ゴオォ

咲(そういえば衣ちゃんが言ってたっけ)

咲(海底が和了れないって話)

咲(でもごめん)

穏乃「」ブルッ

咲(もう、私が嶺上に咲かせる花には・・・誰も届かない)ゴオッ

咲「嶺上ツモ、2600オール」バチバチ

清澄 :126700(+7800)
宮守 :103300(-2600)
阿知賀:102300(-2600)
永水 :67700(-2600)

穏乃(私の領域で・・・軽々と和了られた・・・)

穏乃(うんうん違う)

穏乃(王牌がいつもの高さにない)

穏乃(森林限界の向こう、前人未踏の地に咲く花)

372: 2013/09/04(水) 21:22:45.09 ID:/e4dmMD/0
豊音(やっぱり夢は夢だったんだね)

豊音(本物の宮永さんは夢よりちょー強いよー!)

霞(どんな異能でも効果対象が存在してる)

霞(配牌、ツモ牌、王牌・・・全体を操作するとしても山か河)

霞(けど、彼女のそれはどれにも当てはまらない)

霞(『点数調整』、点数というゲームの根幹そのものを操作する異能)

霞(干渉している支配の次元が文字通り違うのだから)

霞(どんな技術、異能をもってしても無力かも知れないわね)タラ

373: 2013/09/04(水) 21:23:44.27 ID:/e4dmMD/0
<大将戦前>

霞「あらお戻りになられましたか?」

小蒔「・・・」

霞「そろそろ姫様の身体を返して頂きたいのですけれど」

小蒔「・・・」

霞「神産巣日様?」

小蒔「霞よ、大将戦は人では勝てぬ」

霞「おっしゃている意味がわかりませんが」

小蒔「こと麻雀という競技では妾ですら勝てるか分からぬ、と言っている」

霞「別天津神の言葉とは思えませんね」

小蒔「それはよい」

小蒔「凶神では相手にならん故、妾が力を貸してやるぞ」

霞「お心遣い感謝いたします」

霞「けれども『私たち』も、今日という日を楽しみにしておりましたので」

374: 2013/09/04(水) 21:24:54.81 ID:/e4dmMD/0
<大将戦>

霞「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「」ピクッ

穏乃(永水の人からすごい圧力が)

霞「ロン字一色、32300頂きますね、宮永さん」カッ

咲(字牌による絶一門、その上掴まさちゃったか)

宮守 :103300(-2600)
阿知賀:102300(-2600)
永水 :100000(+32300)
清澄 :94400(-32300)

375: 2013/09/04(水) 21:26:16.58 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

結「さ、咲が最下位に落ちたぁぁ!!?」

和「しかも永水の点数はプライマイゼロの原点戻し、完全に咲さんを意識しています」

久「んーすごいわねぇ。決勝のチーム、例年だったらどこも優勝できたんじゃない?」

照「今年のインハイは、みんな強い」

結「永水めぇ、また神様降臨とか反則をやりだしたな!」

久「プロの公式大会でだって認められて・・・いえ、認められているというか認識されていないというか、だったわね」

和「大会規約に『神様を降ろしてならない』なんて書けません」

照「それでも咲が負けるとは思えないけど」

結「でも咲は事故にあったばかりなんだよ? あんまり無理させるのは」

久「擦り剥いただけだったって言ってたでしょ。ちゃんと検査もしたんだし」

久「照、仮に神様相手だったら勝率どの程度かしら?」

照「相手が私の戦ったカミムスビ級でも、100%咲が勝つ」

テレビ画面の咲『嶺上ツモ、3000・6000』

清澄 :106400(+12000)
宮守 :100300(-3000)
阿知賀:99300(-3000)
永水 :94000(-6000)

376: 2013/09/04(水) 21:27:36.58 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

玄「すごい・・・」ゴク

憧「そんなに?」

玄「うん・・・どうやったら戦えるのか、まったく分からないよ」

憧「私から見ると、チャンピオンの『連続和了』や宮永結の『完全試合』の方がどうしょうもないように見えるけど」

晴絵「実感しやすいように言うとだ、宮永咲と戦うにはどうしたらいいと思う?」

憧「え? そりゃあ・・・んーと・・・どうしよう・・・」

晴絵「今憧が上げた2人は、まだ戦う方法を考える余地がある」

晴絵「けど宮永咲にはそれがない。なのに自由自在に点数を調節できる」

憧「・・・」

晴絵「憧が前に言った通りだよ・・・宮永咲は無敵だ」

憧「シズ・・・」

テレビ画面の咲『』ゴゴゴゴゴゴ

377: 2013/09/04(水) 21:28:40.95 ID:/e4dmMD/0
穏乃(ど、どうしよう)

穏乃(普通の女の子じゃん、って思ってたけど)チラ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

穏乃(麻雀だと別人だ)タラ

穏乃(・・・咲には『負けた』牌符がない)

穏乃(もしかしたら一度もマイナスになったことがないのかも)

豊音(すっごい楽しみにしてたけど)

豊音(ここまで何もできないとは思わなかったなー・・・)

霞(どれほどの異能や打点をもってしても・・・)

霞(宮永咲の『点数調整』の前には、点棒計算の一部でしかないのね)

378: 2013/09/04(水) 21:29:35.06 ID:/e4dmMD/0
えり『1位が幾度も入れ替わります。しかし、清澄高校宮永咲が何度も奪還しています』

咏『・・・』

健夜『・・・』

えり『プロから見て優勝は』

咏『せ、世界大会にもここまでの奴はいねーよ・・・格闘家が素手で最新型ステルス爆撃機と戦っているようなものだぜ』

健夜『こんな天才が生まれていたなんて・・・宮永咲は比喩でも何でもなく麻雀の歴史を変える真の天才です』

恒子『ど、どったの2人共? すっげぇ冷や汗かいてるんだけど・・・』

えり『日本を代表するお2人が、そこまで言う逸材だと・・・?』

咏『日本とか言うレベルじゃないんだよねー』

健夜『歴史上、世界中の雀士たちを集めても彼女を打倒できる人は居ないかも知れません』

379: 2013/09/04(水) 21:30:31.15 ID:/e4dmMD/0
穏乃(点数だけ見れば今までの清澄高校と比べれば十分逆転できる範囲)

豊音(『仏滅』使っても無効化できないだろうなぁ。『大安』しても意味ないだろうし)

霞(絶一門はものともしてないわね。神様から聞いた『前回』よりも遙かに強いわ)

穏乃(親番だけど・・・)

咲「嶺上ツモ、500・1000」

清澄 :108400(+2000)
宮守 :99800(-500)
阿知賀:98300(-1000)
永水 :93500(-500)

380: 2013/09/04(水) 21:31:34.49 ID:/e4dmMD/0
<永水控え室>

初美「自分はプラマイゼロ、他はマイナスで終わらせるつもりでしょうか」

巴「今までの傾向から、宮永咲の最強パターンはそうだと思います」

春「宮永照と宮永結相手に練習し続けたパターン」

巴「実際には練習ではないと思いますが・・・」

初美「どちらでもいいですが、あの人たち相手にプラマイゼロを実現できるって話でしたよね?」

春「久がそう言ってた」

初美「・・・どの辺りに勝ち目があるんでしょうか?」

巴「・・・・・・」

381: 2013/09/04(水) 21:32:48.37 ID:/e4dmMD/0
咲「ロン、2600」

穏乃「うん・・・」

清澄 :111000(+2600)
宮守 :99800(-0)
阿知賀:95700(-2600)
永水 :93500(-0)

穏乃(準決勝で分かってたことだけど・・・)

穏乃(どうしょうもないくらい、本当に強い)

穏乃(そうだよなー)

穏乃(メチャクチャにやられすぎて、正直に言えば麻雀が怖くなったくらいだもん)

穏乃(だけど『みんな』が繋いでくれた想いは無駄にしたくない)ゴオォ

霞(親番ね。宮永照ばりの連荘をされたら敵わないわ)ゴオォ

豊音(ここは止めないとね)ゴオォ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

382: 2013/09/04(水) 21:33:42.11 ID:/e4dmMD/0
咲「嶺上ツモ、1300オール」バチバチバチ

清澄 :114900(+3900)
宮守 :98500(-1300)
阿知賀:94400(-1300)
永水 :92200(-1300)

穏乃(う、嘘・・・今のはみんなが全力で止めにいったのに)

咲「カン」

穏乃(この人は)

咲「嶺上開花、2000の1本場は2100オール」

穏乃(強さの次元が違うよ)

清澄 :121200(+6300)
宮守 :96400(-2100)
阿知賀:92300(-2100)
永水 :90100(-2100)

穏乃(そういえば、小鍛治プロと打った時もこんな感じだったっけ)

穏乃(諦めずに一歩先へ踏み出さなきゃ)

穏乃(たとえそこに森がなくても、駆け上がる大地はある!)

383: 2013/09/04(水) 21:34:44.91 ID:/e4dmMD/0
穏乃「ポン!」

豊音(なんか仕掛けるつもりかな?)

穏乃「チー」

霞(助走をつけたわね)

豊音(でもマズイんじゃないかなー)タラ

咲「・・・・・・」

穏乃「ツモ、1000・2000の2本場は1200・2200!」

清澄 :119000(-2200)
阿知賀:96900(+4600)
宮守 :95200(-1200)
永水 :88900(-1200)

穏乃(破った、って喜びたいところだけど)

穏乃(今の和了も咲の掌の上で翻弄されてるしとしか思えない)

咲「リーチ」

豊音(ダブリーってことは)

霞(いけないわね)

穏乃(やばいっ)

咲「カン・・・嶺上開花、2000・4000です」

384: 2013/09/04(水) 21:35:46.20 ID:/e4dmMD/0
穏乃(コレで)

霞(前半戦残り1局・・・リーチね)

清澄 :127000(+8000)
阿知賀:94900(-2000)
宮守 :93200(-2000)
永水 :84900(-4000)

穏乃(副将戦終了時、清澄の点数は129000点・・・)

穏乃(今の清澄の点数は127000点、プラマイゼロまで残り2000点)

霞(2000点になるのは60符1翻と30符2翻、どちらもそう難しくない・・・)

豊音(宮永さんの圧倒的な和了率を考えたら、2000点の役なんて簡単だよー)タラ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「カン」

穏乃(これって)

豊音(どうすれば)

霞(いいのかしら?)

咲「嶺上ツモ、500・1000です」

清澄 :129000(+2000)
阿知賀:93900(-1000)
宮守 :92700(-500)
永水 :84400(-500)

385: 2013/09/04(水) 21:36:51.12 ID:/e4dmMD/0
清澄 :129000(+-0)
阿知賀:93900(-26100)
宮守 :92700(+35700)
永水 :84400(-9600)

えり『数値のみを見れば宮守女子の圧勝のように見えますが』チラリ

咏『麻雀でプラマイゼロを狙うことが、どれほどの難しいのか考えれば分かるぜ』

えり『宮永咲選手は県予選の個人戦でも1日の全試合をプラマイゼロで終わらせています。これは・・・』

恒子『苛烈な攻撃でもなく!鉄壁の防御でもない!誰も触れられない!視界さえも遮ることはできない!』バッ

恒子『孤高の頂きに咲く花、清澄高校大将、宮永咲っ!この無敵の魔王を相手に、他の3校はどう立ち向かうのか!?』

386: 2013/09/04(水) 21:38:01.69 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

結「はい、飲み物」

咲「ありがと、喉がカラカラで・・・」

結「あんまり飲み過ぎると、いつものようにトイレ行きたくなるから気を付けてね」

咲「私はいつもトイレ行ってるわけじゃあ・・・」

和「それでも開始前に行っておいた方がいいですね。迷いそうなので私が連れて行きます」

咲「・・・うん」

照「決勝までプラマイゼロにするとは思わなかった」

咲「お姉ちゃんから見ると嫌かも知れないけど、穏乃ちゃんと約束したから」

照「最近は崩せない自分が悪いって思ってる」

387: 2013/09/04(水) 21:40:03.94 ID:/e4dmMD/0
結「約束って?」

咲「穏乃ちゃんと全力で戦おうって約束したから」

咲「これがお姉ちゃんや結、お父さんたちにも破られたことのない・・・正真正銘の全力だよ」ゴゴゴゴゴゴ

久(おっそろしい子ねー。麻雀以外は可愛い子なのに)

咲「・・・」

咲「和ちゃん、いっぱい飲んだらトイレ行きたく成っちゃった」ブルッ

和「はぁ、そうなると思ってました」

咲「大丈夫。トイレ行って、すぐ卓へ戻るから」

咲「あと結」

咲「心配かけてごめんね」

結「いいよ。でも今度埋め合わせて」

388: 2013/09/04(水) 21:41:15.72 ID:/e4dmMD/0
<決勝卓>

豊音「すっごい強いよー」グデー

白望「傍から見てると稼いでるけど」

豊音「あ、シロ―、来てくれたんだ」

白望「喉が渇いたからついでに」

豊音「ありがとー」

白望「まあ向こうで飲もう」ガシッ

豊音「あ、みんな!」

塞「戻れなかったのか? 珍しいな」

エイスリン「(笑顔のみんなの絵)」バッ

胡桃「あんまり落ち込んではいないね。心地の良い疲れかな?」

豐音「うん、そんな感じ」

豐音「けど、ごめん・・・勝てないかも」シュン

白望「ここまで来たんだから十分 胡桃「水を差さない」

塞「いや本当に十分だよ」

塞「勝っても負けても、ここが私たちの最後の戦いだ」

塞「豐音も全力でやってくれ」

豐音「・・・うん」ニコ

389: 2013/09/04(水) 21:42:25.16 ID:/e4dmMD/0
<自動販売機前>

霞「緑茶がないのね」

良子「相変わらず全く堪えていませんね」

霞「あら良子さん」

良子「あのモンスターと戦ってケロッとしてるとか、さすがは姫様に近い血を持っているだけはあります」

霞「今話題のトッププロが高校生の大会に用事かしら?」

良子「姫様の応援」

霞「嘘はいけないわね」

良子「喧嘩売られたので来ました、カムカム相手になってやんよ」

霞「ああ、宮永照さん。けど試合はとっくに終わったわよ?」

良子「春の試合も見ようと座ってたらスリーピングしました。そして、大将戦で起こされた」

霞「クスクス、春にはちゃんと試合見ていたって言っておくわ」

良子「そっちが主題ではなかったのですが」

良子「問題はないんですか? 何か貸しましょうか?」

霞「要らないわ。私はこの子と、彼女と戦うのを楽しみにしていたから」

良子「凶神をこの子とか言っちゃうあなたが怖いです。いいんですね?」

霞「ええ、小蒔ちゃんの言葉を借りるなら、全力以上で当たらせてもらうわ」

390: 2013/09/04(水) 21:43:48.69 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

穏乃「ごめん・・・みんながここまで頑張ってくれたのに!」

憧「バカ」ポカ

穏乃「いたっ、何すんだよ、また血が出るよ!?」

憧「まだ後半あるでしょ、諦めるには早い」

穏乃「あ、諦めたわけじゃないって!」

玄「シズちゃん、手を出して?」

穏乃「玄さん?」

玄「ぐるぐるー、それで結びます」キュ

穏乃「玄さんのリボン? って皺になっちゃうよ?」

玄「私はもうやり切ったから大丈夫だよ」

玄「だから、私もシズちゃんと一緒に戦うよ」

憧「いいね、それ」ニヤ

憧「シズ、私のも結んであげるから手出しなさい」

穏乃「あ、憧には制服も借りてるし」

憧「いいのよ」ガシッ

穏乃「逆に腕が動かしづらいんだけど・・・」

391: 2013/09/04(水) 21:44:57.38 ID:/e4dmMD/0
灼「じゃあ制服のリボン外して、このネクタイ付けてって」

穏乃「灼さんまで!?」

晴絵「おおーいいな。私も小鍛治さんがあそこまで言う最強の雀士と戦わせてくれ」ニヤニヤ

穏乃「赤土さんも」

宥「じゃあ、私はマフラーを」

穏乃「暑いですよ!?」

宥「そう・・・」シュン

穏乃「持っていきます!」

穏乃「・・・」腕リボン×2+ネクタイ+マフラー

憧「冷静に考えると、これで全国放送とか罰ゲームね」

穏乃「れ、冷静にさせないで」

玄「か、刀や傘を持ち込む人が居るんだから大丈夫だよ」

玄「だからシズちゃん、いつも私たちが付いてるから」

憧「最後の半荘、私たちの全てをぶつけて来て」

穏乃「みんな・・・」

穏乃「うんっ!」

392: 2013/09/04(水) 21:46:55.65 ID:/e4dmMD/0
<ロビー>

穏乃「よし、頑張るぞ」

憧「シズ」

穏乃「憧?」

憧「ごめん、みんなの前じゃ言えなかったこと伝えようと思ってさ」

穏乃「え? そんなことあるの?」

憧「まーねー、みんなの頑張り否定しちゃいそうだし」

憧「シズ言ったよね?」

憧「笑顔で終われれば、私たちの勝ちだって」

穏乃「・・・うん」

393: 2013/09/04(水) 21:47:24.47 ID:/e4dmMD/0
憧「だから、どうすれば点数で上回れるとか、優勝とか考えないでさ」

憧「シズらしく打って来て欲しいかな。私はいつものシズが好きだから・・・」

憧「し、シズが始めたことなんだからシズらしく終わらせて良いんだよって意味だから!」

穏乃「憧・・・うん、そうだよね・・・なんか色々あって私らしくなかったかも」

穏乃「ありがと、憧」

穏乃「だから憧の言葉を1つ訂正するよ」

憧「う、うん」

穏乃「終わらせるんじゃなく、これからも続けるために」

穏乃「私たちの全てを出してくるよ!!」

憧「・・・頑張って、シズ」

394: 2013/09/04(水) 21:49:04.37 ID:/e4dmMD/0
えり『阿知賀女子高鴨選手、マフラーを持ち込んできました』

咏『マフラーちゃんのマフラーだねー』

恒子『リボンからネクタイに変わってますね。代わりに腕にリボン巻いてるんですが、これは何でしょう?』

健夜『さすがに分かりませんが、阿知賀女子の各選手が持っていたものを大将戦に持ってきたんではないでしょうか』

えり『お守りのようなものでしょうか。確かに阿知賀女子は2回目の出場ながらめざましい活躍をしていますので、ゲン担ぎをしたのかも知れませんね』

健夜『他校の選手もインターバルが終わってから、弱気になっている子は1人としていません』

咏『むしろ前半以上の闘志を感じますね。こいつは一波乱あるかもー、知らんけど』

395: 2013/09/04(水) 21:50:28.21 ID:/e4dmMD/0
咲「暑くない?」

穏乃「熱いよ、燃えるように!咲は熱くないの?」ゴオオオオ

咲「暑いけど・・・」タラ

霞(私は寒いくらいだけれど・・・)

豐音「みんな燃えてるね!私も熱くなるよー!」

穏乃(いきなりの親番)

穏乃(ここで流れを掴む!)

穏乃「ポン!」

霞「」ジー

穏乃「どうかしましたか?」

霞「いいえ、ごめんなさい」

396: 2013/09/04(水) 21:51:33.09 ID:/e4dmMD/0
霞(松実玄ちゃんが他人の異能を載せていたから、同じことが起きるかと思ったけれど)

霞(ドラ爆や筒子の臭いはしないわね)

穏乃「ロン、3900です」

豐音「んー」

清澄 :129000(-0)
阿知賀:97800(+3900)
宮守 :88800(-3900)
永水 :84400(-0)

豐音(中堅の子がザンク刻むのは異能ってわけじゃないよね)

豐音(じゃあ、やる気だけで向かってるってことかな?)

豐音(それじゃあ宮永さんの力に勝てないよー)

穏乃「ツモ、700オールの1本場800オールです」

清澄 :128200(-800)
阿知賀:100200(+2400)
宮守 :88000(-800)
永水 :83600(-800)

397: 2013/09/04(水) 21:52:51.49 ID:/e4dmMD/0
咲「・・・」

霞(宮永さんは反応なしね。高鴨さんは)

穏乃(さすがにマフラーは暑いかも・・・)ダラダラ

霞「肩掛けとか膝掛けにしたらどうかしら?」タラ

穏乃「そ、そうですね」

霞(さて)

霞(3万点差は改善しておきましょうか)ゴゴゴ

霞「ツモ、2200・4200頂きますね」

清澄 :126000(-2200)
阿知賀:96000(-4200)
永水 :92200(+8600)
宮守 :85800(-2200)

霞(親番だし、役満和了っておこうかしら)

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴ

咲「嶺上開花、2000点です」

霞(さすがに前半戦で警戒されたわ)

清澄 :128000(+2000)
阿知賀:96000(-0)
永水 :90200(-2000)
宮守 :85800(-0)

398: 2013/09/04(水) 21:57:25.65 ID:/e4dmMD/0
豐音(待ってたよ、私の親番!)

豐音(もう迷う必要はない『赤口』を使うよー!)

豐音(私はみんなのためにも、宮永さんに勝ちたいからね)ゴゴゴ

咲「やめておいた方がいいですよ?」

豐音「」ビクッ

豐音「・・・それでも出さなかった後悔するから」

穏乃「咲は姉帯さんと打ったことがあるの?」

咲「・・・何をやるかまでは分からないよ」

咲(代償が必要そうなことを、やろうとしてたから止めたんだけど・・・)

399: 2013/09/04(水) 21:59:21.82 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

結「なかなか凄い配牌と、ツモだね」

久「それにしても良すぎるわね?」

照「鏡で見たわけじゃないから予測だけど、六曜の中の『赤口』だと思う」

結「なにそれ?」

和「『赤口』は良くない日だったはずですが、他人の運が悪くなるということですか?」

久「いえ正午の時間帯だけは吉だったはずよ、ということは」

照「自分の力と運気を親番だけに集約させたんだと思う」

久「つまり、親番以外の和了を放棄したってことかしら?」

結「自分がラス親なら分かるけど、ラス親って咲だよ? 馬鹿じゃないの?」

久「だから咲は止めたんでしょ。無駄だからやめろって」

照「一点集中しないと、咲を破れないって考えたんだと思う」

400: 2013/09/04(水) 22:00:15.46 ID:/e4dmMD/0
豐音「6000オール!」ゴッ

清澄 :122000(-6000)
宮守 :103800(+18000)
阿知賀:90000(-6000)
永水 :84200(-6000)

霞(あらあら、また転落しちゃったみたい)

霞(この圧力・・・性質は私の凶神に近い、宮守の切り札ね)

豐音「4000の1本場は4100オールだよー!」ゴッ

清澄 :117900(-4100)
宮守 :116100(+12300)
阿知賀:85900(-4100)
永水 :80100(-4100)

穏乃(咲もすごいけど、姉帯さんもホントすごい)

穏乃(さすがインターハイ決勝だ)

穏乃(けどテレビの中の和を見たあの時とは違う)

401: 2013/09/04(水) 22:01:53.29 ID:/e4dmMD/0
穏乃(今はそこに私がいる)ゴゴゴゴゴゴ

豐音(そんなっ!鬼神の『赤口』が宮永さん以外に!?)

穏乃「ロン、5200の2本場5800」

霞(どういうこと? たとえ彼女の力が山神級だとしても、これほど簡単に破れるとは思えない)

清澄 :117900(-0)
宮守 :110300(-5800)
阿知賀:91700(+5800)
永水 :80100(-0)

咲「嶺上開花、2300オール」

霞(宮永さんはものともしない)

清澄 :124800(+6900)
宮守 :108000(-2300)
阿知賀:89400(-2300)
永水 :77800(-2300)

穏乃(咲に連荘だけはさせない)

穏乃「ツモ、1本場なので1400・2700」

豐音(宮永さんの親番なのにあっさり和了ったよー)

霞(こっちも認識を改めなきゃマズそうね)

清澄 :122100(-2700)
宮守 :106600(-1400)
阿知賀:94900(+5500)
永水 :76400(-1400)

402: 2013/09/04(水) 22:03:18.02 ID:/e4dmMD/0
穏乃(みんなで山へ入って日が沈むまで遊んだあの頃みたいに)ゴゴゴゴゴゴ

豐音(このレベルが2人も卓に着いてるなんて)

霞(私や姉帯さんの使役する神を超えている力、一体どこから)

穏乃「ツモ、8000オールです!!」

阿知賀:118900(+24000)
清澄 :114100(-8000)
宮守 :98600(-8000)
永水 :68400(-8000)

豐音(宮永さんの『点数調整』どうやって破るつもりなんだろう)

豐音(山に干渉する異能を打ち消してるのは間違いなさそうだけど)

豐音(それだけじゃ宮永さんを破れないしなー、何するか分かれば隙を付いてまくれるかも・・・)

咲「カン」

穏乃(これを和了られたら・・・)

咲「ロン、7700の1本場で8000です」

穏乃「うん・・・」

清澄 :122100(+8000)
阿知賀:110900(-8000)
宮守 :98600(-0)
永水 :68400(-0)

403: 2013/09/04(水) 22:04:57.32 ID:/e4dmMD/0
霞(凶神ちゃん、最後まで踏ん張ってもらうわよ)ゴゴゴゴゴゴ

霞「ツモ、3900オール」

清澄 :118200(-3900)
阿知賀:107000(-3900)
宮守 :94700(-3900)
永水 :80100(+11700)

穏乃(残りは3局、私の親番はない)

穏乃(勝つには・・・)ゴォ

霞(・・・怯えている)

霞(高鴨穏乃、あなたは一体)

穏乃「ロンです!1300!」

霞(神の力を完全に無効化してる)

清澄 :118200(-0)
阿知賀:108300(+1300)
宮守 :94700(-0)
永水 :78800(-1300)

404: 2013/09/04(水) 22:06:30.42 ID:/e4dmMD/0
豐音(宮永さんが2人居るつもりで打つ!)

穏乃「ロンです、2600」

豐音(そんな、ものともしないなんて・・・)

清澄 :118200(-0)
阿知賀:110900(+2600)
宮守 :92100(-2600)
永水 :78800(-0)

霞(点数的には逆転の目は残されているけれど)

豐音(ここまで来たんだから、優勝したいよー)

穏乃(咲)

咲(穏乃ちゃん)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

穏乃(咲との点数差は7300点、優勝は狙える範囲)

穏乃(ここまで全力でいったけど・・・それでも咲にはプラマイゼロの可能性が残ってる)

穏乃(3600オール、放っておいたら咲は絶対に和了る)

穏乃(私はこの山を登れるのかな・・・)チラ

穏乃(憧・・・玄さん・・・宥さん・・・灼さん・・・赤土さん)

405: 2013/09/04(水) 22:08:23.20 ID:/e4dmMD/0
<回想・阿知賀女子子供麻雀クラブ>

穏乃「富士山に登りたい!」

憧「いいねー!行こう行こう!」

和「氏にますよ。子供が行くような場所じゃありません」

憧「幼稚園児だって登ってる場所だよ」

玄「でも、さすがに子供だけでって言うのは」

穏乃「」ジー

晴絵「行っても良いけど、親御さんの許可を取ってからな」

穏乃「やったぁー!!」

和「止めてくださいっ!」

穏乃「富士山って途中から森がなくなるんですよね?」

晴絵「森林限界のことか? 富士は2500メートルくらいからだったかな?」

和「そのためならば、わざわざ富士山へ行く必要ないじゃないですか」

晴絵「富士と言えばご来光だな。日本一高い場所から見る朝日は絶景だぞ」

穏乃「いいなー!いつか登ろうよ、みんなでさ!」

和「わ、私は遠慮させて・・・」

憧「和は体力つけるところからね」

穏乃「森林限界かぁ」

406: 2013/09/04(水) 22:09:38.48 ID:/e4dmMD/0
<大将戦>

穏乃「今、その先へ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

照「これは・・・」

結「咲・・・」

和「咲さん」

晴絵「まさか」

玄「シズちゃん」

憧「シズ」

恒子『とんでもない状況になったぞぉ!!』

えり『インターハイ決勝大将戦、南4局。永水女子岩戸選手が九蓮宝燈、宮守女子姉帯選手が四暗刻、阿知賀女子高鴨選手が最低満貫と3選手が逆転手を聴牌しました!誰が優勝を掴んでもおかしくありません!』

咏『・・・マズそうだねー』

えり『・・・え?』

霞(110符2飜なんて、今年の特殊ルールでもまず和了れないわ)

豊音(宮永さんと高鴨さんが潰し合ってくれるかもしれないしねー)

霞・豊音(逆転を狙う!)

407: 2013/09/04(水) 22:11:25.04 ID:/e4dmMD/0
えり『そんな、3選手が聴牌をしてから和了牌が誰1人としてツモできません・・・これは』

健夜『正真正銘、本物の『完全試合』だと思います』

えり『ほ、本物? 宮永結選手もやっていましたが』

健夜『宮永結選手は結果として『完全試合』を達成していました。しかし、宮永咲選手のこれはもっと異質なモノです』

咏『けど、見ぬいた奴は居ますぜ』

穏乃(咲は始まる前、全力で相手してくれるって言ってた)

穏乃(咲の全力って何だろう?)

穏乃(プライマイゼロにすること? 『点数調整』して好きな点数を取れること?)

穏乃(私はどれも違うと思う)

穏乃(どんな場所でも咲き誇れる花)

穏乃(それがきっと咲の全力)

408: 2013/09/04(水) 22:12:47.61 ID:/e4dmMD/0
穏乃(なら、それを咲かせるのはいつか)

穏乃(この南4局、普通は咲はプラマイゼロを狙ってると考えるけど)

穏乃(私は咲がプラマイゼロを捨てて優勝を目指してくると思う!)

穏乃(このまま打っても絶対に和了れない!)

穏乃(だからっ!この咲き誇る花を!!)

穏乃「カン!!」

健夜『人は予測を超えてくる』

恒子『小鍛治プロ?』

健夜『私自身が何よりも体験をしたはずでしたが、まだ認識が甘かったようです』

えり『どういうことでしょうか?』

咏『あの子はすげぇよ。宮永咲の思惑を読んだ・・・途中までは』

えり『途中、まで?』

409: 2013/09/04(水) 22:14:13.49 ID:/e4dmMD/0
咲(穏乃ちゃん)

咲(友達と一緒なら、どこまでも登っていけるんだね)

咲(そこがインターハイの全国決勝でも)

咲(世界が変わった先だとしても)

咲(仲間と一緒にどんな『高さ』でも登ってくる)

咲(だからきっと、ここまで来てくれるって思ったよ)

咲(けど)

咲(あなたとまた麻雀がしたいから)

咲(今日は私の全力を見せるね)フワァ

霞(これが彼女の本当の・・・!)

豊音(怖いを通り越して、綺麗だよー・・・)

穏乃(そんな、届か・・ない・・!)

咲「ロン」

咲「槍槓のみ、1500点です」

清澄 :119700(+1500)
阿知賀:109400(-1500)
宮守 :92100(-0)
永水 :78800(-0)

恒子『け、けっちゃあああぁぁぁーーーく!』

410: 2013/09/04(水) 22:15:20.42 ID:/e4dmMD/0
恒子『全国高校生麻雀大会、制したのは三連覇を達成した無敗の王者、清澄高校ぉぉぉーー!』

健夜『岩戸選手と姉帯はプラマイゼロと考え、高鴨選手は嶺上開花で和了ると判断した』

健夜『けど宮永咲選手は『点数調整』も嶺上開花も捨てて和了を目指したんです』

咏『宮永咲にとって『点数調整』や嶺上開花は、練習して身につけた技術でしかないんじゃね』

健夜『あの子の技術と麻雀の技術は違いそうですが』ニガワライ

えり『では最後に見せた3校の逆転手をすり抜けた和了こそが、彼女の真の打ち方ということですか? それってデジタル打ちじゃあ・・・?』

咏『わかんねー全てがわかんねー』アハハ

411: 2013/09/04(水) 22:16:38.68 ID:/e4dmMD/0
結母「あれがそうですか?」

咲父「ああ」

咲父「僕や照と打って、『勝ちすぎてしまう』咲の真の力だ」

咲父「昔、照が泣きついてきたよ。咲と打つと一度も和了れないって」

結母「『点数調整』なんて出来るので、本気はどれほどかと思いましたが」

結母「名前をつけるならば『絶対勝利』でしょうか」

咲父「間違ってないね。過程を全て無視した、ただ『勝つ』という圧倒的支配」

咲父「彼女たちは逆転手を聴牌した時点で、もう和了る方法はなかった」

咲父「大輪か雑草かなんて問わない。どんな場所でも強く咲き誇る花」

結母「・・・」

412: 2013/09/04(水) 22:17:25.90 ID:/e4dmMD/0
咲父「どうかしたかい?」

結母「いえ」

結母「ただ・・・あんな子がずっと側に居れば勝ちに拘ることが馬鹿馬鹿しい」

結母「結が幸せそうで良かったです」テクテク

咲父「優勝の祝福くらいしてあげたらどう?」

結母「私が母親の資格を持っていると?」

咲父「母親に資格が必要とは驚いたよ」

結母「病院へ戻ります」

結母「・・・もしあの子が望んだら、次のお見舞いは連れて来てください」スッ

咲父「ああ、了解した」

咲父「・・・」

咲父「咲、本当にすごいよ、お前は」

咲父「お父さんにできないことも、お前ならできるんだからね」

413: 2013/09/04(水) 22:18:37.54 ID:/e4dmMD/0
豊音「わぁぁあぁぁ、ありがとうございましたぁぁぁ」ウワァァン

霞「お疲れ様でした」

穏乃「くそぉぉ!お疲れ様ぁぁ!」

咲「ありがとうございました」

穏乃「あとちょっとだったのに!」

咲「でも、すごくすごく強かったよ、穏乃ちゃん」

咲「姉帯さんも、岩戸さんも」

霞「ありがとう」

414: 2013/09/04(水) 22:20:14.63 ID:/e4dmMD/0
豊音「」ガサガサ

豊音「これ、みんなのサイン書いて・・・ください」グス

穏乃「え? わ、私はそんな凄いプレイヤーじゃないし」

豊音「そんなことないよ!」

豊音「それに、私が戦った決勝戦の記念に」

霞「寄せ書きみたいな感じでいいかしら?」

穏乃「じ、字汚くても怒らないでね?」

咲「あはは、やっぱり持ってきてたんだ」

霞「はい、ハンカチ使って」

豐音「ありがとう・・・」

霞「宮永さんはすぐに控え室に戻った方がいいわよ。お姉さんなら慣れてるだろうから」

咲「うわ・・・記者の人たちが・・・」

咲「穏乃ちゃん、またね」

穏乃「・・・うん」

咲「」タッタッタッ・・・キャー!

415: 2013/09/04(水) 22:21:20.83 ID:/e4dmMD/0
霞「さて、取材のターゲットは宮永さんだから私たちはゆっくり帰りましょうか」

穏乃「ひ、酷い・・・」

霞「準優勝とは言え、負けた後に質問なんてされても辛いでしょう?」

穏乃「・・・」

霞「高鴨さんも姉帯さんも、本当にお疲れ様。それじゃあまた」

穏乃「はい」

豊音「私も帰るよー・・・」

穏乃「気を付けてください」

穏乃「私も」

穏乃「・・・」チラ

穏乃「」カチャ

穏乃「王牌は」

穏乃「嶺上開花、和了れてた」

穏乃「けど私には」

穏乃「こんな高い場所で花を咲かせる力強さはまだなかった、のかな」

416: 2013/09/04(水) 22:23:38.49 ID:/e4dmMD/0
<阿知賀控え室>

憧「おかえり、シズ」

玄「お疲れ様、シズちゃん」

穏乃「あれ? 2人だけ?」

憧「気を利かせてくれたみたい」

穏乃「でも、私、みんなに」

憧「謝りたいとか言ったらグーパンチするからね?」

穏乃「・・・」

玄「あの時、シズちゃんが部室に来てくれてから」

玄「すっごい楽しかったね!」

穏乃「は、はい・・・」

憧「そうだよー。私たちの目的ほとんど果たしたんだよー?」

憧「あと残ってるのって1つだけじゃん」

穏乃「うん」

穏乃「頭では分かってる」

穏乃「あとは笑顔で、和たちに「今度は勝つから」って言えば全部だって」

穏乃「でもさ・・・」

穏乃「悔しい・・・!」

憧「シズ」ギュ

玄「シズちゃん」ギュ

穏乃「わぁぁああぁぁぁ!」

417: 2013/09/04(水) 22:24:54.68 ID:/e4dmMD/0
<宮守控え室>

豊音「」ドヨーン

エイスリン「トヨネ、元気ダシテ!」

塞「初出場で全国3位、これ以上望んだらバチが当たるぞー」ナデナテ

トシ「よく頑張った。堂々と胸を張って帰れるよ」

豊音「うん・・・」

胡桃「豊音・・・」

白望「次はインカレ? めんどくさ」

豊音「え?」

白望「・・・私冬は無理だし。勉強しないとみんなと同じ大学行けないから」

豊音「あ」パァ

塞「ふふ、みっちり教えてやらないとな!」

豊音「うん、頑張るよー!」

418: 2013/09/04(水) 22:25:46.18 ID:/e4dmMD/0
<永水控え室>

小蒔「大義であった」

霞「いつまで居るんですか神産巣日様」

小蒔「飽きぬ見世物をしていたのでな。妾も楽しませて貰った」

霞「神産巣日様が宣言通り役満を全部和了っていれば勝てたんですが」

小蒔「な、なにぃ? そのような次元では無かっただろう?」

霞「冗談です。私だって少し落ち込んでいるのですから、慰めて頂けないなら静かにして頂けませんか?」

小蒔「・・・」

初美「ほんと、今年の清澄は強かったですよー」

春「生きてるのが不思議なくらい」

巴「笑えないですね」ニガワライ

419: 2013/09/04(水) 22:26:46.55 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室>

咲「ううう、記者の人たち夢に出てきそう・・・」

結「やったぁ!全国優勝だよ咲ぃ!!」ギュウゥ

和「お疲れ様です、咲さん。私たちが勝ちましたね!」(結さんに絶好のポジションを取られました)

久「お疲れ様、後の記者会見は私と照が中心になるから大丈夫よ」

久「姉妹を代表してコメント求められるでしょうから、何か考えておいた方がいいわよ?」

照「・・・まだ個人戦がありますので」

久「玄ちゃんに言ってたセリフでいいじゃない」

照「言えるわけない」

結「あ、和、穏乃たちにおめでとう言いに行くなら私も行くよ?」

和「つくづく塩を塗りこむのが好きですね」

結「友達なら遊んだ後に何か言うでしょ?」

和「確かにそうなんですが・・・閉会式までにはまた会いますから、その時にしましょう」

久「あら和、あなたも気遣いができるのね」クスクス

和「私だって中学の団体戦で負けた時、辛かったですから」

久「それより結はこの後を覚悟した方がいいわよー?」

結「記者会見とかすごい行きたくないぃ」

咲「結があんなこと言うから。自業自得でしょ」

420: 2013/09/04(水) 22:28:18.89 ID:/e4dmMD/0
<ロビー>

晴絵「はい、灼。宥はホットにしたよ」

灼「ありがと」

宥「ありがとうございます」ハフ

晴絵「全国2位だからなー。いやー、ほんと頑張った」

灼「ハルちゃんは、忘れたものを取り戻せた?」

晴絵「」フッ

晴絵「この笑顔を見て分からないかな!?」

灼「わずらわし」

晴絵「・・・」

421: 2013/09/04(水) 22:28:53.96 ID:/e4dmMD/0
晴絵「ふぅ」

晴絵「私が麻雀が好きで、どれだけ楽しかったのか思い出す。それで半分だった」

晴絵「もう半分は、相手も同じ人間で、同じように麻雀を楽しみ、同じように勝とうとして、同じように挫折するってこと」

晴絵「このインターハイでさ」

晴絵「お前たちや、私よりも遥かに才能のある子、努力で結果を出す子、色んな子を見て思い出せた」

晴絵「どれだけボロ負けしても、大泣きしたとしても」

晴絵「次こそ、って言えれば良かったんだ」

灼「ハルちゃん」

晴絵「予定通り、放送席から出てきたか」

晴絵「灼、見ててくれ」

422: 2013/09/04(水) 22:31:01.17 ID:/e4dmMD/0
晴絵「小鍛治さん!」

健夜「赤土さん? 準優勝おめでとうございます。私も知っている子たちが頑張っていて、なんだか嬉しくなりました」

晴絵「その節はありがとうございます」

晴絵「しかし、今日は聞いて欲しいことがあります」

健夜「聞いて欲しいことですか? なんでしょう?」

晴絵「この子たちを見届けた後、私はプロになります」

晴絵「だからそれまでにトップリーグに復帰してください」

晴絵「その時、高校時代のリベンジをさせて頂きます」

健夜「・・・ええ、楽しみにしています」

咏「へー、なら一緒に魔王退治しよぜー」パタパタ

健夜「魔王って誰のことかな?」

咏「小鍛治さんから聞いてるよ。そん時はうちにもプロテスト受けに来て欲しいとか思っちゃうんだよなー、これ名刺ね」

晴絵「あ、どうも・・・」

咏「この阿知賀を導いたのはすげーよ。そいじゃね~」ヒラヒラ

健夜「それではまた」

晴絵「今度は雀卓でお会いしましょう」

423: 2013/09/04(水) 22:33:16.33 ID:/e4dmMD/0
<清澄控え室前>

結「いやだぁ・・・!」

咲「はいはい、部長とお姉ちゃんがフォローしてくれるから」ズルズル

照「どうしろと・・・?」

和「穏乃、憧、玄さん?」

穏乃「和」

結「」ピタッ

結「なんか用?」

憧「いや取り繕っても見ちゃったから」

和「どうかしましたか?」

玄「うん、私たち和ちゃんたちと約束をしようと思って」

和「ああ、私は個人戦出ませんので暇ですよ」

和「一緒に観光しましょう」

憧「それもしたいんだけどねー、今日はそうじゃないんだな」

玄「チャンピオン」

憧「和」

穏乃「咲」

玄・憧・穏乃「「「次は絶対に勝つ(ちます)から!!」」」

照「何度でも受けて立つ」

和「楽しみです」

咲「うん!」

424: 2013/09/04(水) 22:35:41.50 ID:/e4dmMD/0
<インターハイ後>

穏乃「うーん、どうしよう?」

憧「全国準優勝したのに部員が足りないなんて」

玄「阿知賀って生徒数少ないもんね」

穏乃「灼さんだって最後の最後でようやくだったからねー」

灼「5人集まったのが奇跡」

宥「やっぱり、冬も出ようか?」

憧「受験勉強してなさい」

宥「はい・・・」

晴絵「新1年生に期待すればいいんじゃないの?」

穏乃「それじゃ冬に間に合いません!」

晴絵「別に冬に間に合わなくても先週も長野に行ったじゃないか」

玄「チャンピオンはそのままプロになるらしくて、冬も出るらしいんです!」

晴絵「まあ、そうだろうね・・・」

憧「大体、清澄は去年のレギュラーで染谷って人が入るだけで、戦力はほとんどダウンしてないんだよ?」

宥「あ、久さんも推薦貰えたら出ちゃうかもって言ってた」

憧「メンバーそのまんまじゃん!」

玄「リベンジには丁度いいよね!」

憧「晴絵だって咲と打って負けたのに、何とも思わないの!?」

晴絵「最近はプライベートで健夜さんと打ってるから、別に」

穏乃「とにかく!このままじゃ出場できないよ!」

穏乃「和や咲との約束が果たせない!」ウガー

灼「私だって、宮永結にリベンジしたい」

玄「高校時代でチャンピオンと戦える最後のチャンスだよ!」

晴絵「宮永照は結局個人戦併せて世界連覇、有望すぎて泣けてくるな」

穏乃「何とか冬までにもう1人見つけて」

穏乃「今度こそ」

穏乃「勝つんだ、咲に!」


426: 2013/09/04(水) 22:37:28.22 ID:/e4dmMD/0
終わりです
ここまで拙作に目を通して頂いた方、感謝いたします
本当にありがとうござました

435: 2013/09/04(水) 22:59:21.25 ID:/e4dmMD/0
プロアマ交流戦や個人戦は収支対決っぽかったので、直接対決は咲が勝っても収支だったら照のが上のイメージでした
番外編、私の実力では多数のキャラを同時に動かすのが厳しいかと・・・

キャラの呼称は本当にすいません
咏プロのことも含めて申し訳ありませんでした

436: 2013/09/04(水) 23:01:44.53 ID:/GNU3DmTo
乙!!

引用: 穏乃「勝つんだ、咲に!」