1: 2012/03/05(月) 11:12:05.75 ID:NQDCILhB0
ほむら「転校生の暁美ほむらです」

キャーカワイー ザワザワ

ほむら「(まどか……今回こそあなたを救って……!?)」ビクッ

まどか「ゼヒッ……ゼヒッ……せ、先生」ピクピク

さやか「先生!まどかがそろそろヤバいです!」

早乙女「あら……そろそろ動き回っていいですよ、鹿目さん」

まどか「は、はい!やっと息が出来る!」ギュン!ギュン!

ほむら「ま、マグロ人間……うーん」バタリ

早乙女「暁美さん!?暁美さァーん!」
夢の中で逢った、ような……

5: 2012/03/05(月) 11:14:48.21 ID:qSXGE5szi
狂気を感じる

6: 2012/03/05(月) 11:15:16.52 ID:H5V6yi0B0
何々人間ってB吸映画っぽくていいよね

7: 2012/03/05(月) 11:16:23.12 ID:NQDCILhB0
──保健室

ほむら「……は!」パチリ

まどか「気が付いた?」

ほむら「あ、あなたは……?」

まどか「私、鹿目まどか。保健委員なんだ」

ほむら「ま、まどか……なの?いや、それより……。」

ギュン!ギュン!

ほむら「あの、目が追いつかないのだけど……。」

まどか「ごめんね、わたし止まると息できなくなっちゃうから」

12: 2012/03/05(月) 11:20:36.46 ID:NQDCILhB0
まどか「驚かせちゃってごめんね?」

ほむら「い、いえ……それよりまどか」

15: 2012/03/05(月) 11:25:43.59 ID:NQDCILhB0
まどか「驚かせちゃってごめんね?」

ほむら「い、いえ……それよりまどか。あなたは自分の人生が尊いと思う?家族や友達を大切にしてる?」

まどか「えっ……それは……大切だよ、家族も、友達のみんなも」

ほむら「だとしたら、今と違う自分になろうなんて……。」ハッ

ほむら「(うーん……どうしよう……。)」

まどか「あ、暁美さん?大丈夫?」

ほむら「ほむらでいいわ……。」

17: 2012/03/05(月) 11:31:42.59 ID:NQDCILhB0
──喫茶店

さやか「まあ、確かに初めてまどかを見た人はびっくりするよね」

まどか「悪いことしちゃったかな……。」

仁美「まどかさんは悪くありませんわ。それに、きっとすぐ慣れますの。みんなそうでしたわ」

まどか「そ、そうかな……ゼヒッ」

さやか「ま、まどか!?無理して椅子にずっと座ってるから!早く息吸ってきなって!」

まどか「う、うん……!」ギュン!

21: 2012/03/05(月) 11:41:43.35 ID:NQDCILhB0
──CDショップ

さやか「悪いねまどか。付き合って貰っちゃって」

まどか「ううん、私も座ってるより歩き回れた方が楽だから……。」ギュン!ギュン!

さやか「いや、あんたの場合歩き回るっつーより……まぁいいや」

まどか「それにしても仁美ちゃん、凄いね」

さやか「あぁ、今日はお茶のお稽古でしょ?あたしには絶対ムリだわ……。」

まどか「私も……ん?」ピタッ


──助けて……!

さやか「まどか、止まって大丈夫?息止まっちゃうんじゃ……?」

──助けて……!

まどか「声が、聞こえる……助けてって!」ギュン!

さやか「まどか!?ちょっ……速い!」

23: 2012/03/05(月) 11:50:49.51 ID:NQDCILhB0
QB「うぅ……。」ボロッ

まどか「……あなたなの?」

QB「助けて……!」

ほむら「そいつから離れて」ザッ

まどか「え……ほむらちゃん!?でもこの子……凄く怪我してるんだよ!?」ギュッ

ほむら「あなたには関係な……ちょっと、待って!」

まどか「で、でも止まると息止まっちゃうし……。」ダダダダ

QB「助け……。」ガグガクガクガク

27: 2012/03/05(月) 12:00:36.59 ID:NQDCILhB0
ほむら「まどか、そいつから離れて!とにかく止まって!」

まどか「だってだってこの子傷だらけだし……。」ギュゥゥゥン

QB「……。」ブクブクブク

まどか「あぁっ!私がこのまま持ってたらこの子の息の根が止まっちゃう!で、でも止まったら今度は私の息の根が止まっちゃうし……ど、どうしよう!」

さやか「ちょっと、速いよまどか……。」ゼェゼェ

まどか「さやかちゃん!パス!」ヒュッ

ほむら「!?」

さやか「え、えぇ!?何これ!」パシッ

QB「……。」ブクブクブク

さやか「怖い!」

30: 2012/03/05(月) 12:09:10.52 ID:NQDCILhB0
さやか「え、えっと……転校生!パス!」ブン!

ほむら「遠慮しておくわ」チャキッ パァン!

QB「」ブチュッ!

さやか「!?」ピチャッ
まどか「あ……あ……!」

さやか「な、何……パンって……その銃、本物……?」

ほむら「えぇ」

まどか「ど、どういうことなの……?何がどうなってるの……?」

ほむら「(聞きたいのはこっちよ……。)あなた達に話す必要はないわ。さよなら」ザッ

さやか「ちょっと、待……!」

グニャアアアア……!

さやか「え……何、これ、景色が……!」

ほむら「……下がってて」チャキッ

32: 2012/03/05(月) 12:20:03.52 ID:NQDCILhB0
アントニー「ハ!カ!タ!ノ!」

アントニー「シシオマコト!ツヨシ!ツヨシ!ツヨシ!」


まどか「嫌っ……!」

さやか「じょ、冗談だよね!?私、悪い夢でも見てるんだよね!」

ほむら「紛れもなく現実よ。氏にたくなければ私のそばから離れないでちょうだい」パァン!パァン!

アントニー「ヒィエア!」ビチュ

さやか「た、戦ってる……。」

まどか「ゼヒッ……ゼヒッ……!」

ほむら「まどか!?」

まどか「動かないと……息が……!」

ほむら「くッ……!」

ヒュゥゥゥゥゥゥ……。

さやか「何?この音……。」
ほむら「銃撃……危ない!伏せて!」

ズドドドドドドドド!!
アントニー「アヒィィィィ!!」ボシュウゥゥ

33: 2012/03/05(月) 12:28:57.87 ID:NQDCILhB0
マミ「危ないところだったわね」

さやか「あなたは……?」

マミ「私は巴マミ。見滝原中の三年生よ……あなたも一緒だったのね。暁美ほむら」

ほむら「巴マミ……。」

まどか「や、やっと息が出来る!ありがとうございます!」ブワァ

マミ「きゃ!あの子は……。」

さやか「あぁ、信じてもらえないかもしれないんですけど、まどかはマグロ人間で……。」

マミ「う……噂には聞いてるわ」

ほむら「(噂になってしまっているの……?)」

39: 2012/03/05(月) 12:36:28.87 ID:NQDCILhB0
さやか「それで、マミさんはどうしてこんな所に?」

マミ「友達を助けにきたの。キュゥべぇっていうんだけど……。」

まどか「そ、それってもしかして……。」サァーッ

QB「」デロリーン

マミ「キュ……キュゥべぇ……?」

さやか「あー……これは……不慮の事故で……。」

まどか「(さ、さやかちゃん!?本当のことは……!)」コソコソ

さやか「(だって、なんて説明すればいいのさ!)」コソコソ

マミ「キュ……キュゥべぇ……!」ウルッ

QB「やれやれ、酷い目にあったよ」

マミ「キュゥべぇ!?」バッ

まどさや「えぇっ!?」

42: 2012/03/05(月) 12:48:32.21 ID:NQDCILhB0
QB「まったく、ラグビーボールのような扱いを受けた挙げ句拳銃で頭を撃ち抜かれるなんて……わけがわからないよ」

マミ「えぇっ!?」

QB「特に暁美ほむら。君はなぜ明確な殺意を持って僕を狙ってくるんだい?」

ほむら「……。」

QB「先日もそうだ。マミが助けに来てくれなければ、僕は危ないところだった」

ほむら「答える必要はないわ」

QB「……まぁいい。君みたいに魔法少女が僕をつけ狙う理由なんて、おおかた察しがつくしね」

マミ「キュゥべぇは私の大事な友達よ。これ以上つけ狙うなら容赦はしないって、言ったはずよね?」
ほむら「……私に今キュゥべぇを狙う狙う理由はないわ。それに、あなただってここで事を構えたくないでしょう?」



さやか「なんか置いてけぼりだね、あたしたち」

まどか「そうだね」ギュンギュン

43: 2012/03/05(月) 13:04:46.23 ID:NQDCILhB0
マミ「……えぇ、そうね」

QB「ところで」ズイッ

まどか「わっ!」

QB「二人にお願いがあるんだ」

さやか「お願い?」

QB「あぁ。僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

さやか「マグロ少女?」

まどか「それなら私、なってるっていうか生まれつきなんだけど……。」

QB「魔法少女だよ。僕は、君の願いをなんだって一つ叶えてあげる」

さやか「え、ほんと?金銀財宝とか、不老不氏とか、満漢全席とか?」

まどか「さやかちゃん、それちょっと違う……。」

QB「なんだって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

ほむら「でも、代償は大きいわ」

まどか「ほむらちゃん?」

44: 2012/03/05(月) 13:15:08.66 ID:NQDCILhB0
ほむら「魔法少女になるということは、さっきのような化け物と一生戦い続けなければならなくなる宿命を背負うということよ」

さやか「それってどういうこと?」

マミ「話すと長くなるわ。明日の放課後、校門前で会いましょう。私の家に案内するわ」

まどさや「は、はい!」

ほむら「……私も行くわ」

マミ「暁美さん……えぇ、いいわよ。その代わり……もし妙な真似をした時には、分かってるわね?」

ほむら「……。」

45: 2012/03/05(月) 13:27:46.69 ID:NQDCILhB0
──翌日、マミの家

マミ「それで、魔法少女になるっていうのは……。」

ドタドタドタドタドタ

近隣住民「おい!ドタドタうるせーぞ!」ドンドン

マミ「すいません!すいません!」ガチャリ
近隣住民「許したッ!」ガチャリ

マミ「……あの、鹿目さん、息が止まっちゃうのは分かるんだけどせめてもうちょっと静かに……。」

まどか「す、すいません……。」ドタドタ

ほむら「仕方ないでしょう巴マミ。まどかは命がかかってるのよ」

マミ「分かってるわよ、でもこれ以上近所の人に迷惑をかけるのは良くないって……。」

まどか「す、すいません!」

マミ「あ、大丈夫!大丈夫だから!」

49: 2012/03/05(月) 13:46:40.77 ID:NQDCILhB0
さやか「ねぇまどか、願いで普通に肺呼吸できる人間にしてもらえばいいんじゃないの?」

まどか「え?それは……。」

マミ「そうね、そうすればドタドタしなくて済むし……。」

ほむら「(止めたほうがいいような……そうでないような……。)」

まどか「うぅ……考えさせてください」

マミ「そう……美樹さんは?」

さやか「私も、まだ……。」

マミ「そう……願いは、くれぐれも慎重に決めてね」

QB「願いが決まったら、いつでも僕に声をかけてくれ」

52: 2012/03/05(月) 14:00:32.35 ID:NQDCILhB0
──鹿目家

まどか「ただいまー」

知久「おかえりまどか、今日は遅かったね」ギュンギュン

まどか「先輩の家にお呼ばれしてたの」

タツヤ「あーうー!」シュッ!

知久「まどか、ご飯ができるまでタッくんの面倒を見ててくれないかな」

まどか「わかったー、タッくん、レイズナーごっこしよ!」

タツヤ「らじゃ!」ギュン!

唐突だけど、私のパパはマグロだ。
比喩とかじゃなくて、本当にマグロだ。
昔自分探しの旅をしていたママが、フィリピン近海で運命的な出会いをしたのがきっかけで、様々な障害を越えて結婚までこぎつけたらしい。
そんなわけで、私はマグロの人間のあいの子なのだ。
もちろん、弟のタッくんも。

64: 2012/03/05(月) 14:25:13.49 ID:NQDCILhB0
知久「できたよ」デデン

まどか「うわぁ!美味しそうな魚介類!」パクパクモグモグ

タツヤ「ちゃーん」
知久「どう?」

まどか「うん!舌の中がシャッキリポンでイワシだよ」シャッポリキン

タツヤ「はーい」

知久「それは良かった」ギュンギュン


まどか「……ねぇ、パパ」

知久「ん?」

まどか「もし、私が普通の人間の子供だったら……どう思う?」

知久「うーん……こうやって水の中で一緒にご飯を食べられないのが残念っておもうかもしれないね」

まどか「そっか……。」

知久「ママも一緒に食べられればいいのにね」

まどか「ガラス越しだからね、私たちの食事……。」

77: 2012/03/05(月) 14:45:28.81 ID:NQDCILhB0
まどか「おやすみー」

知久「おやすみ」

まどか「(人間になればさやかちゃんたちと普通に遊んだりできるけど……今みたいに、パパとタッくんと一緒の水の中にいれなくなるんだ……迷うなぁ)」スイスイスイ

ゴヅン!

まどか「あづ!痛たたたたた……考えごとしながら寝ようとしちゃダメだなぁ」ジンジン

80: 2012/03/05(月) 15:00:43.22 ID:NQDCILhB0
──翌日、喫茶店

マミ「さて、今日はあなた達に魔法少女がどういうものか体験してもらう魔法少女体験コースよ。準備はいい?」

さやか「はい!バット持って来ました!」

マミ「うん、心構えとしては充分ね。鹿目さんは……。」

まどか「ヒッヒッヒッヒッヒッ……。」ヒクッヒクッ

ほむら「まどか!まどか!?座ってたから……。」

マミ「は、速く行きましょう!」ドタドタドタドタ

83: 2012/03/05(月) 15:17:23.61 ID:NQDCILhB0
──魔女結界

さやか「うっわ……すごっ」

まどか「この奥に魔女がいるんですか?」

マミ「えぇ……怖い?」

さやか「そ、そんなこと!」

ほむら「怖いなら魔法少女になる必要はないわ。魔法少女になったら、ここで戦うことが日常になるのだから」

まどか「二人ともすごい……怖いけど……でも……!」ギュン!

まどか「テンション上がってきた」ダダダダダ!!

ほむら「まどか!?どこに行くの!」

マミ「危ないわ!戻ってきて!鹿目さん!鹿目さァーん!」

86: 2012/03/05(月) 15:36:14.95 ID:NQDCILhB0
まどか「すごい……こんな世界があったんだ……なんか理由もなくワクワクする!」ズギュゥン!

アントニー「アォッ!?」ズバン!

マミ「鹿目さんが……使い魔を貫通した!?」

さやか「あちゃー、まどかテンション上がっちゃったか」

ほむら「美樹さやか、これは一体……?」

さやか「まどかのお母さんは今でこそバリキャリだけどさ、昔は世界を股にかける冒険家だったらしいのさ。あんまりにも未知で不思議な空間だから、まどかの中の冒険家の血が騒いじゃったんじゃないかな」

ほむら「そんなバカな事……。」

まどか「すごい!すごい!」ズギャギャギャギャギャ!!

アントニー「ヤナップ!」「ヒヤップ!」「マソップ!」ズバン!ズバン!ズバン!

マミ「とにかく、追いついて止めないと!」

さやか「え?なんか調子いいし……このまま行かせても大丈夫なんじゃないですか?」

マミ「魔女の強さは使い魔とは桁違いなの!鹿目さん一人では危険すぎるわ!」

92: 2012/03/05(月) 15:53:53.48 ID:NQDCILhB0
ドドドドド……ドカッ!

まどか「痛たたたた……はっ!」

ゲルトルート「……。」デーン

まどか「これが魔女?いつの間にこんな所まで……マミさん?ほむらちゃん?さやかちゃん?」キョロキョロ

まどか「あ、あれ……もしかして私、一人?」

ゲルトルート「!」シュババババ

まどか「うわわっ!」ババッ

ゲルトルート「……。」シュルシュルシュル

まどか「きゃあっ!」シュルルルル

ゲルトルート「……。」

まどか「(つ、捕まっちゃった……そ、それより、息が……できな……!)」

97: 2012/03/05(月) 16:13:38.90 ID:NQDCILhB0
さやか「ぜぇ、はぁ……二人とも、もうちょっとゆっくり……!」

ほむら「まどかの命がかかっているのよ、急がないと……!」

マミ「そうよ、頑張って美樹さん!」

さやか「うぅ、なんか最近走ってばっか……。」ハァハァ

まどか「かは、けほぉ……。」ゼヒィゼヒィ
ゲルトルート「……。」

ほむら「いた!まどか!」

さやか「縛り上げられてる!あれじゃまるで水揚げされたマグロだよ!」

まどか「み、みんなぁ~、助けてぇ……ゼヒッ」コヒューコヒュー
マミ「鹿目さんの顔色が大変なことになってるわ!」

ほむら「……くっ!」ガ チ ャ ン !
ピタリ……。

ほむら「まどかの動きを止めているところだけを……!」パァン!

ほむら「時は動き出す」ガ チ ャ ン

まどか「あくっ……!」ドタァン!ビチビチビチビチ!
ほむら「魔女から離れるわよまど……重ッ!?」グググッ

まどか「ご、ごめん、マグロだから……。」カアァッ

101: 2012/03/05(月) 16:33:22.25 ID:NQDCILhB0
ほむら「と、とにかく早く逃げて……まどか、立てる?」スッ
まどか「う、うん……ありがと」グッ

ゲルトルート「……!」グワッ!

ほむら「……!」

さやか「危なーい!」
ズダダダダァァン!!

ゲルトルート「~~ッッ」グラァ……。
マミ「やらせないわ!」

まどか「マミさん!」

マミ「合わせるわよ、暁美さん!」

ほむら「(合わせる?)」

マミ「行くわよッ!ティロ・フィナーレ!」ズドォォォォン!

ほむら「え!?あ……手投げ弾!」ピン シュッ!

ゲルトルート「!!?」チュドォォォォォォ……ン

さやか「やった!」
まどか「(これが、魔法少女……。)」チラッ

ほむら「!」ハッ
まどか「(手投げ弾……。)」

105: 2012/03/05(月) 16:49:10.40 ID:NQDCILhB0
コロン……。

まどか「マミさん……それは?」

マミ「グリーフシード、魔女の卵よ。運がいいとたまに魔女が落とすの」

さやか「魔女の卵!?それって危ないんじゃ……。」

マミ「いいえ、魔法少女にとってはむしろ役に立つものなのよ。ほら」カチッ シュウウウ……。

まどか「あ……ソウルジェムがキレイになった!」

マミ「ソウルジェムの穢れをグリーフシードに移すことで、こうやって魔法少女はソウルジェムをキレイに保つの。暁美さん」ヒュッ
ほむら「!」パシッ

マミ「あと一回くらいは使えるはずよ。これはあなたの分」
ほむら「……受け取っておくわ」

まどか「あの……気になってたんですけど」

マミ「なに?」

まどか「魔女の卵って言いますけど……魔女って哺乳類ですか?それとも魚類?」

マミ「え?そんなこと……気にしたこともなかったわね。」

まどか「ほむらちゃんはわかる?」

ほむら「……いずれ分かる時が来るわ」

107: 2012/03/05(月) 17:05:44.80 ID:NQDCILhB0
ほむら「それよりも、まどか」

まどか「えっ?」

ほむら「魔法少女でもない人間が魔女の結界の中で一人になるのは自殺行為よ。今後、あんなことは絶対にしないでちょうだい」

まどか「う……。」

マミ「そうね、今回は私たちが間に合ったから良かったけど……危ないところだったのよ」

まどか「ごめんなさい……。」

ほむら「もっとも、本来私はあなた達が魔女の結界に入ること自体に反対なのだけれど」

さやか「じゃあ、なんだって私たちといっしょにいるわけ?」

ほむら「下手に足を突っ込んで……氏んでほしくないだけよ。さよなら」スタスタ

さやか「なんだ、転校生っていい奴じゃん!」

マミ「うーん……でも、なんで彼女はキュゥべえを狙ったのかしら、今はそんな気配もないし……。」

さやか「謎は深まるばかりッスね」

111: 2012/03/05(月) 17:29:31.70 ID:NQDCILhB0
──翌日、病院前

さやか「これって……。」

QB「グリーフシードだ、孵化寸前だよ。孵化したら周りにいる多くの人が巻き込まれることになる」

さやか「多くの、人が……。」

まどか「私、マミさん達呼んでくる!」

さやか「……私、残るよ」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「だって、もしこの魔女を逃がしちゃったら、また人が襲われるんでしょ?そうならないようにさ……。」

まどか「さやかちゃん……すぐ戻るから!」ズギュン!

QB「危険だよ。いいのかい?」

さやか「大丈夫だよ。まどかの最高時速は160kmだから」

117: 2012/03/05(月) 17:43:28.28 ID:NQDCILhB0
マミ「ハァ……ハァ……ここね」ゼェゼェ

まどか「はい、ほむらちゃんにも声をかけたからすぐに来てくれると思います」
QB「『マミ、グリーフシードはもう孵化寸前だ。なるべく刺激しないようにゆっくり来てくれないか』」

マミ「む、無理よ……こっちには鹿目さんがいるのよ?」ハァハァ

QB「それもそうだ……まあ、できる限り努力してくれ」

マミ「そ、それじゃ……いくわよ」ハヒーハヒー

まどか「(大丈夫かなぁ……。)」

キィィィイイン……!

まどか「行きましょう、マミさん!」タカタカ

マミ「鹿目さん、落ち着いて。焦る気持ちは分かるけど、昨日言われたことを忘れたの?」

まどか「う……。」

マミ「私の側から絶対に離れないこと。行くわよ?」

122: 2012/03/05(月) 17:54:03.53 ID:NQDCILhB0
マミ「はっ!」ダダダダァン!!

使い魔「アオォーッ!!」バチュチュ

まどか「すごいです!マミさん!」ダカダカダカダカダカダカダカダカカンダタダカダカダカダカダカダカ

マミ「(足音が……これはもう静かに行くのは無理ね)」

マミ「一気に突っ切るわよ!鹿目さん!」

まどか「はいっ!」ギュオオオ!

マミ「ちょっと、速すぎ……!」

127: 2012/03/05(月) 18:11:12.84 ID:NQDCILhB0
──魔女の部屋

バギャアァ!!

まどか「さやかちゃん!」ゴロゴロゴロゴロ

さやか「まどか!マミさん達は!」

まどか「後から来るよ!」ピチピチ

さやか「後からって……アンタまた置いていっちゃったの!?とゆーか跳ねるな!」

QB「まずい事になったね……魔女は今にも孵化しそうだよ」
さやか「そ、それって大ピンチなんじゃ……!」

QB「来るよ!」

ゴゴゴゴゴ……ポテン!

シャル「……。」

まどか「……。」

さやか「……。」

まどか「ち、小さいね……。」

さやか「これ、まどかでも勝てるんじゃないの?」

130: 2012/03/05(月) 18:27:44.20 ID:NQDCILhB0
まどか「そうかな?よ、よーし……!」
マミ「ちょちょちょちょっと!何やってるの!?」
まどか「何って、私でも倒せそうだからやっつけちゃおうかと……。」

シャル「……。」チョコン

マミ「危険よ!魔女は見かけによらないんだから……。」

まどか「はーい……。」

シャル「……。」ジーッ

マミ「(しかし、本当にまぁ……つい、油断しちゃいそうな見た目をしてるわね)」

マミ「いくわよ!」ダダダダダァァン!!

シャル「!」バチュチュチュ!! ポテッ……。

さやか「やった!?」
マミ「いえ……。」

ズ ル リ……。

シャルロッテ「アングリ」グワッ!!

さやか「うわぁぁ!」
マミ「くっ!」バッ!
まどか「う、ウナギみたいなのが!」
マミ「やっぱり……そんな事だろうと思ったわ!」

135: 2012/03/05(月) 18:43:01.27 ID:NQDCILhB0
シャルロッテ「グァーッ」ビュン!

マミ「はっ!」バッ!

シャルロッテ「ガーッ」ギュン!

マミ「くっ!」ババッ!
さやか「マミさん!避けてばっかりじゃダメだよ!」
マミ「(速すぎて攻撃に転じる暇がない……今はなんとか避けていられるけど、このままじゃ!)」
まどか「く……スピードだけなら負けないのに!」

さやか「まどかは飛べないからなぁ……。」

マミ「せめて……せめて一瞬でも撃ち込むチャンスができれば!」

パラララララララ!!

シャルロッテ「グァ!」

マミ「銃撃!?どこから……!」

ほむら「今よ、巴マミ!」

マミ「え、えぇ!ティロ・フィナーレ!」ズドオォォォン!!

シャルロッテ「ガ……!」ボゴォォォォォ

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「間に合ったようね」

141: 2012/03/05(月) 19:06:14.60 ID:NQDCILhB0
シュウウウウウ……。

さやか「景色が元通りになっていく……。」

マミ「暁美さん……助けられちゃったわね」

ほむら「礼には及ばないわ。それより……今度こそわかったでしょう。魔法少女は氏と隣り合わせなの。私たちだって必ず魔女に勝てる保証なんてない。だから……これ以上首を突っ込むのは止めなさい」スタスタスタ

さやか「マミさん……。」

マミ「そう、ね……暁美さんが助けてくれなかったら、今回は危なかった……魔法少女体験は、今日で終わりにしたほうがいいのかもね」

まどか「マミさん……。」

マミ「それじゃ、気をつけてね二人とも。もし魔女に襲われたら、いつでも──」

まどか「あ、あの!マミさん!あの……ありがとうございました!」

マミ「鹿目さん……。」

さやか「私、よく考えてみます……もし魔法少女になった時はよろしくお願いしますね!」

マミ「美樹さん……ありがとう。またね!」

145: 2012/03/05(月) 19:28:21.65 ID:NQDCILhB0
──翌日、学校

まどか「ねぇ、さやかちゃん」

さやか「ん?」

まどか「今でも魔法少女になる気、ある?」

さやか「うーん、ないって言ったらウソになるかな。もっとも……まだハッキリと願いが決まってるわけじゃないけどね。ぼんやり。まどかは?」

まどか「私も……なりたくないわけじゃないんだ。でも……今の私の願いは、叶えていい願いなのかわかんないんだ」

さやか「ふーん……。」

まどか「ちゃんとした人間にはなりたいけど……それが本当にいいことなのかどうか。」

さやか「……ま、急かされてるわけでもなし、じっくり考えればいいよ!」

まどか「うん……。」

148: 2012/03/05(月) 19:37:06.64 ID:NQDCILhB0
──病院

上条「もう治らないんだよこの腕は!奇跡でもないかぎり!」

さやか「あるよ!奇跡も魔法もあるんだよ!」ガラガラガラ

上条「さやか!?どこに!」

さやか「キュゥべえ!私と契約して!」

QB「よしきた」

キュイイイイイン……!

166: 2012/03/05(月) 19:51:20.29 ID:NQDCILhB0
──夜、市街地

仁美「~♪」フラフラ

まどか「あれ?仁美ちゃん?」

仁美「あら、偶鹿目さん。こんな所で……偶然の出会いですの」

まどか「仁美ちゃん、どうしたの?こんな時間に」

仁美「そう!私、これから素晴らしいところに向かいますの!鹿目さんもぜひ一緒に!」

まどか「い、家の人に怒られちゃうよ!」

仁美「そんなこと言わずに……。」セップーン

まどか「(首筋のあれって……魔女の口づけ?)」

仁美「さあ!行きますの!」ズルズル

まどか「やめて!自分で歩くから……そうじゃないと息が……ゼヒッ」

169: 2012/03/05(月) 20:06:11.12 ID:NQDCILhB0
──廃工場

仁美「着きましたわ」

まどか「ゼヒッ……ゼヒッ……。」ピクピク

仁美「あらあら、ゾナハ病の発作を起こした人みたいな顔になってしまって」

まどか「ゲッホ、ゲッ……スウゥー!こ、こんなところで何するの!?あの人達は……?」ダカダカダカダカダカ

あの人達「コレがオレ流のファンサービスだ!」ドボドボドボドボ

まどか「あ、あれって……混ぜたら大変なことになる奴だよ!このままじゃみんな氏んじゃうよ!?」

仁美「そうですわ。私たちは肉体を捨てて素晴らしい世界に旅立ちますの!今ある肉体に縛られている世界なんて、愚かなだけですわ」

まどか「何言ってんの!止めないと!」タッ

ゴッ

仁美「やらせませんの!」まどか「どいてっ!」ボムギ!

仁美「がっぱ!」ビチャアァァ

まどか「あっ……!ご、ごめん!」

178: 2012/03/05(月) 20:19:45.78 ID:NQDCILhB0
仁美「カッハ……ケフゥ」ビクン!ビクン!

まどか「だ、大丈夫だよね仁美ちゃん……?それより、今はあれを止めないと!」

操られた人「ウゥ……。」「アァ……。」ワラワラ

まどか「らっせい!」ゴッス

「ゲブファ!」メギギャア ドタバタバタ

まどか「て、手加減したから大丈夫だよね……。」

あの人達「お前のタックルは素晴らしかった!威力も!スピードも!だが!この俺に当てるにはまるで全然程遠いんだ」まどか「そいやっさ!」モッゴォ
あの人達「よっぽぁ!」ドシャアアア

まどか「よし……後はこれを捨ててと」ガシャアアアアン!!

まどか「ふぅ……ん?」

操られた人「ウゥゥ……」「アァァ……!」ムクリムクリ

まどか「ひ、ひぃ……怖い!」ギュン!

183: 2012/03/05(月) 20:30:59.18 ID:NQDCILhB0
バタン!
バン!バン!

まどか「なんとか逃げたけど……狭い場所はあんまり良くないなぁ……。」

グニャアアアア……。

まどか「景色が変わって、もしかして……きゃあっ!」

使い魔「アハハ」「ウフフ」

まどか「魔女!それにしてもここは一体なんなんだろう……水の中そっくりだけど違うみたい。エラ呼吸ができないや」

使い魔「ヒヒィ」ガシッ

まどか「きゃ!離して!」

使い魔「ホホホ」「ペポォウ」ガシッ!ガシッ!

まどか「ちょっと……離して……本当に……ゼヒッ」

エリー「……。」パタパタ
まどか「ゼヒッ……ま、魔女……?ゼヒッ」

エリー「……。」ヴ……ン

まどか「ゼヒッゼヒッ、意識が……ゼヒッゼヒッ」ピクピク

エリー「(画面見てよ……。)」

188: 2012/03/05(月) 20:40:30.74 ID:NQDCILhB0
まどか「(だめ、このままじゃ本当に氏……!)」

キィン!ザシュッ!ドシュッ!

使い魔「!?」スパパパァン!!

まどか「カジキ……マグロ?」バタバタバタバタ

シュタッ……。

さやか「大丈夫?まどか」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「待っててね、ケリつけちゃうか……らッ!」ズギュウン!!

まどか「速い!」

さやか「これで!トドメだぁーッ!!」

エリー「(画面見──)」ドスッ……ブシュウウウーッ!

196: 2012/03/05(月) 20:50:15.28 ID:NQDCILhB0
まどか「さやかちゃん、その姿……!」

さやか「あー、これ?いやあ、叶えるべき願いが決まったってゆーか……。」

ほむら「美樹、さやか……。」

さやか「転校生?遅いよ。魔女はもうこのさやかちゃんが倒しちゃったのだ!デビュー戦大勝利!」

ほむら「……。」ギリッ

さやか「どうしたの?そんな顔して……。」

ほむら「いいえ、なってしまったものは仕方が無いわ。せいぜい早氏にしないように気をつけてちょうだい」スタスタ

さやか「なっ……!あたしは齢百まで生きると心に誓ってるんだからなー!」

199: 2012/03/05(月) 20:59:29.24 ID:NQDCILhB0
まどか「あの、さやかちゃん……。」

さやか「ん?」

まどか「怖くないの?魔法少女になるの……。」

さやか「ン……そりゃ怖かったけどさ、後悔はしてないよ」

まどか「そう、なんだ」

さやか「まぁ、これからさやかちゃんも魔法少女として町の平和を守っちゃいますからね!」

まどか「(さやかちゃんも魔法少女になったんだ……私は……。)」

まどか「……あ!」

さやか「どしたの?」

まどか「仁美ちゃん……。」サァーッ

仁美「コポォ……フォカヌポゥ……。」ビクンビクン

202: 2012/03/05(月) 21:06:06.16 ID:NQDCILhB0
──翌日

中澤「よう上条!」

上条「久しぶり、中澤」

まどか「ほら、上条くん来たよ?いきなよさやかちゃん」

さやか「い、いいよ私は……。」テレテレ

中澤「そういえばさ、お前と入れ替わりになって志筑さんも入院したんだぜ」

上条「志筑さんが?」

中澤「ああ。なんでも廃工場で大怪我してぶっ倒れてたんだってさ。アバラが二本折れてたって」

上条「うわぁ……酷いな。一体なにがあったんだろう」

まどか「~~!」ドキドキドキ

208: 2012/03/05(月) 21:13:23.14 ID:NQDCILhB0
ほむら「美樹さやか」

さやか「ん?」

ほむら「昼休み、屋上に来て。話があるわ」

さやか「話?まさか愛の告白なんかでは……!」

ほむら「茶化さないで。大事な話よ、必ず来て」

さやか「う……わかったよ」

224: 2012/03/05(月) 21:35:24.39 ID:NQDCILhB0
──昼休み

さやか「……で、話って何?」

ほむら「待って、まだ一人来ていないわ」

さやか「一人ぃ?」

マミ「ごめんなさい、ちょっと遅れちゃって」ガチャ

さやか「マミさん!ってことは……。」

ほむら「えぇ、魔法少女関係の話よ」

227: 2012/03/05(月) 21:42:36.65 ID:NQDCILhB0
マミ「聞いたわ美樹さん、魔法少女になったのね……これからよろしく」

さやか「はい!よろしくお願いします!」

ほむら「それで、話というのは……。」

さやか「わかった!これから三人で力を合わせて戦おうってことでしょ!」

ほむら「いいえ。私が言おうとしているのはむしろその逆。徒党を組まないこと」

さやか「……え?」

230: 2012/03/05(月) 21:57:48.45 ID:NQDCILhB0
さやか「ちょちょちょちょ、待ってよ、何で!?普通そこは『じゃあこれからは3人で力を合わせて頑張ろー!』ってなるところじゃないの!?」

マミ「落ち着いて、美樹さん。これにはちゃんとした理由があるのよ」

さやか「理由?」

ほむら「よく考えてみなさい。魔法少女の必需品であるグリーフシードは、どうやって手に入れる?」

さやか「そりゃあ、魔女を倒して……あ」

マミ「そう、三人で協力しても、一度に得られるグリーフシードは一つなの。魔女を安定して倒せているうちはいいけど、もし魔女が出ない時期が続いたり、強い魔女を相手にしてグリーフシードを消耗してしまったら、やがて足りなくなる」

さやか「それじゃ、ソウルジェムの穢れがどんどん溜まってって……氏ぬ?魔法が使えなくなる?どっちにしろヤバいね……。」

ほむら「それを避けるために、極力組んで戦うのは避けようという提案よ」

234: 2012/03/05(月) 22:07:49.45 ID:NQDCILhB0
さやか「なるほど」

マミ「でも……確かに3人じゃ取り分は少なくなるけど、生きていけなくなるほど見滝原はそ魔女の少ない土地ではないはずよ。どうしてそんな提案を?」

ほむら「一つでも多くのグリーフシードが必要なの」

マミ「なぜ?」

ほむら「……ワルプルギスの夜が来る」

マミ「え……ワルプルギスの夜!?」

さやか「何それ?」

マミ「天災クラス……最凶の魔女よ。私も話でしか聞いたことがないけど……来襲したが最後、通り過ぎた全てのものを滅ぼすと言われているわ」

さやか「なんだって!」

240: 2012/03/05(月) 22:26:00.11 ID:NQDCILhB0
さやか「それって……それが来るってことは、この見滝原も!?」

ほむら「えぇ。それを防ぐためにはワルプルギスの夜を迎え撃つ必要がある。迎え撃つためには、より多くのグリーフシードが必要だということ」

マミ「そういうことね……。」

ほむら「それともう一つあなた達に言う事があるわ。極力、無駄な戦いはしないこと」

さやか「無駄な戦い?」

ほむら「えぇ、無駄……つまり、使い魔を相手にすることよ。使い魔はグリーフシードを落とさない。その上、相手をしたぶんこちらが消耗するわ。もし見かけても、相手をしないで」

さやか「……でもさ、使い魔も人を頃すんでしょ?」

ほむら「そうね」

さやか「だったらさ!無駄じゃないじゃん!人を守ってるじゃん!それでも相手するなって言うの?」

ほむら「えぇ。使い魔は人を頃し……成長することで魔女になり、グリーフシードを落とすようになるわ。手を出さないほうが合理的よ」

さやか「な……だからって、間違ってるよそんなこと!助けられる人を見捨てるようなマネ!」ダッ!

マミ「美樹さん!」

さやか「あたしは反対です!やるなら二人でどうぞ!」

バタン……。

243: 2012/03/05(月) 22:30:13.71 ID:NQDCILhB0
マミ「美樹さん……。」

ほむら「……。」

マミ「悪いけど、今の意見は私も反対よ。目の前の使い魔を見捨てて……誰かが犠牲になるのなんて嫌」

ほむら「好きにすればいいわ」

マミ「えぇ、そうさせてもらうわ。それじゃ」バタン

ほむら「……。」

ほむら「はぁ……。」


──教室

まどか「あれ、さやかちゃん。ほむらちゃんは?」

さやか「知らない!」プンスカ

250: 2012/03/05(月) 22:41:51.98 ID:NQDCILhB0
──放課後

さやか「さて、気合い入れていきますか!」

まどか「あの、さやかちゃん……。」

さやか「ん?」

まどか「ごめん、私今日仁美ちゃんのお見舞いに行ってきていいかな……。」

さやか「全然大丈夫だよ!あたしも後で行くからよろしく言っておいて」

まどか「うん」ギュゴッ

さやか「相変わらず速いなー……さて、パトロールといきますか」

260: 2012/03/05(月) 22:56:11.77 ID:NQDCILhB0
──二時間後

さやか「ふぅ……なかなか見っかんないなー」テクテク

使い魔「ブーンブンブンブン!!」

さやか「いた!あれは……使い魔?」

『無駄な戦いはしないこと』

さやか「……えぇい!」ピカッ! ジャキィン!

ドスドスドスッ!!

使い魔「!?」ヒョイヒョイ

さやか「あ!逃げるな!」ビシュウ!!

ガキイィン!!

さやか「!?」

杏子「いい度胸してんじゃん、人の縄張りで堂々とさ」ギィン!

さやか「わぁっ!」ドテッ

杏子「ちょっと礼儀ってヤツを教えてやんないとねェ!」ジャキッ!!

268: 2012/03/05(月) 23:08:32.34 ID:NQDCILhB0
さやか「な、縄張りって何のこと!?」

杏子「スッとぼけてんじゃないよ!魔法少女にはそれぞれテリトリーってもんがあるんだ!この風見野一帯はあたしの縄張りだよ!」ガキン!ガキン!!

さやか「風見野!?ここ、見滝原じゃ、ない……のッ!?」キィン!キィン!

杏子「なにとぼけたこと言ってんだよッ!」ガキイィィィィン!!

さやか「あっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン……ザクッ

杏子「はい、終わり。とっとと出て行くか、喉ぶっ刺されるか」チャキッ

さやか「いや……ちょっと待ってよ」

杏子「あ?」

さやか「なんで私、こんなことになってるの?」

杏子「おめーが風見野に入ってきて勝手なことやってるからだろうが!」

さやか「何言ってんの!ここは見滝原でしょ!?」

杏子「いや……ちょっと待て、話がかみ合わねー」

272: 2012/03/05(月) 23:22:35.05 ID:NQDCILhB0
杏子「……あんた、自分が今どこにいるかわかってる?」

さやか「え?そういえばずっと地図確認しないで歩いて……携帯で見てみよう」ピポパ

さやか「……あ」

杏子「な?」

さやか「ご、ごめん!分かんなかったから……!」

杏子「わかんなかったって……見滝原から風見野って結構遠いぞ。普通気づくでしょ」

さやか「そんなに遠いかな……ちょっと散歩くらいの感覚だったんだけど」

杏子「ちょっと散歩感覚で市を越えてくんなよ……。」

さやか「(ずっとまどかと一緒にいたからなー……知らないうちに体力ついてたのかな)」

284: 2012/03/05(月) 23:50:38.33 ID:NQDCILhB0
杏子「とにかく、とっとと帰りな。これ以上居座るようだったら、容赦しないよ」

さやか「……ちょっと待ってよ」

杏子「ん?」

さやか「使い魔を倒しちゃいけないの?助けられるかもしれない命を見頃しにするのが正しいっていうのか?」

杏子「……あんたさ、不自由したことないでしょ」

さやか「え?」

杏子「恵まれてるって言ってんの。カツカツの奴は、そんな大甘なこと言ってる余裕なんてないからね」

357: 2012/03/06(火) 05:52:05.52 ID:PVriolNO0
さやか「恵まれてるとか不自由したことないってとか……あんたに何が分かるのよ!」

杏子「さぁ?あたしはあんたの事情なんか知らないし、知る気もないね。ただ、今まで一度でも生きるのに困ったことがあるなら、魔法少女として人助けしようなんて言葉は絶対出てこねー」

さやか「そんな事ない!私の先輩にだって、ずっと魔法少女やってて……それでも、人助けをしようって人はいたよ!」

杏子「だとしても、そいつは魔法少女として生き残ってきたうえでやってんでしょ?あんた、魔法少女になってまだ何日?」

さやか「い、1日だよ……。」

杏子「だったら、せいぜい自分のことだけ考えてな。あたしとしても、今回みたいにアンタみたいなのが勝手に入って来られるとうぜーの」

さやか「ぐぅ……。」

359: 2012/03/06(火) 06:01:46.62 ID:PVriolNO0
杏子「答えてやったろ?満足かい?」

さやか「……よくわかったよ。でも、アタシにはやっぱり自分が困るからとかそんな理由で見過ごすなんて出来ない」

杏子「おまっ……!」

さやか「勝手に縄張りに入ったことは謝るよ……じゃあね」スタスタ

杏子「なんなんだよ一体……あいつ、絶対何にも分かってないでしょ」

杏子「見滝原、か……マミの奴、今頃何してんだろ」

361: 2012/03/06(火) 06:18:42.54 ID:PVriolNO0
──マミ家

マミ「私の場には、二体の『神竜の聖刻印』(☆8)がいるわ!」

ほむら「同じレベルのモンスターが二体……まさか!」

マミ「お察しの通りよ!レベル8のモンスター二体で、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」パチッ


ほむら「(エクシーズ召喚……同じレベルのモンスター二体を『重ねる』ことで可能とされる召喚方法……切り札が来る!)」

マミ「これが私のファンサービスよ!出でよ!NO.15 ギミック・パペット ジャイアントキラー!」ドン☆

ほむら「強制脱出装置。ジャイアントキラーはエクストラデッキに戻ってちょうだい」ピラッ

マミ「……おかえり」パシッ

ほむら「ターン終了?」

マミ「ちょっと待ってよ、私たちこんなことやってていいの?美樹さんのこと、探さなくて……。」

ほむら「いいわよもう、大体あなただってノッたじゃない」
マミ「それはそうだけど」

ほむら「(本当……もう今回どうしましょう)」

363: 2012/03/06(火) 06:32:32.73 ID:PVriolNO0
さやか「はぁ……。」トボトボ

さやか「恵まれてる、か……確かにそうなんだよね。友達はみんな辛い思いしてるのに、あたしは──」

上条『さやか……もう、バイオリンは弾けないんだよ。この腕じゃ、どうにもならないんだよ!』

まどか『ゼヒッゼヒッゼヒッ……先生ェ、そろそろ走ってもいいですか……もう息が……。』

仁美『ケプフォ……コヒューコヒュー』ピクッピクッ


さやか「……いや、よそうよそう!恭介の腕は、無事治ったわけだし……。」ブンブン

さやか「そうだ、仁美のお見舞いに行こうっと。まどか、まだいるかな」テクテク

367: 2012/03/06(火) 06:58:50.29 ID:PVriolNO0
──病院

仁美「コー……ヒュー……。」

さやか「仁美、お見舞いに来たよ」

仁美「さ……さやかさん」

さやか「大丈夫?アバラやっちゃったらしいけど……。」

仁美「それが……何も覚えていませんの。お医者様には、車か何かに衝突されたかもしれないと言われましたわ」

さやか「へ、へぇ……。」ヒクッ

仁美「……ねえ、さやかさん」
さやか「ん?」

仁美「私……今、どんな姿してますの?」
さやか「え?なんでそんな事……。」

仁美「さやかさん、目を合わせてくれませんわ。先ほど来た鹿目さんも。正直に言ってください、私いま……そんなに酷いありさまですの?」

さやか「いや、まどかの場合は、なんていうかその……大丈夫だよ、仁美は。ちょっと今は医療器具とかくっついて痛々しいけど……後は、綺麗な仁美のまんまだよ!」
仁美「本当?」
さやか「うん、自信持っていいよ」

仁美「さやかさん……ありがとう。それなら、ずっと言おうと思ってたんですけど、私──」
看護婦「面会時間終了でーす」
さやか「あ、はい!ごめん仁美、また来るから!」ガラガラガラ
仁美「あ……。」

368: 2012/03/06(火) 07:16:37.22 ID:PVriolNO0
──マミ家

ほむら「ガトリングオーガの効果発動。セットカード1枚を墓地に送り800ダメージを与える。5枚送るわ」バババババッ

マミ「きゃあぁぁぁー!!」LP4000→0 ビーッ

杏子「……久しぶりに来たと思ったら、デュエルごっこかい。ずいぶん呑気してるじゃん」

ほむら「あなたは……。」

マミ「佐倉さん……どうして!?」

杏子「来ちゃ悪いワケ?」

マミ「でも佐倉さん、あなた……。」

ほむら「……かえって好都合よ。あなたにも話があるわ……佐倉杏子」

杏子「ん……?どこかで会ったか?」

371: 2012/03/06(火) 07:26:14.75 ID:PVriolNO0
ほむら「そんなことはどうでもいいわ、重要じゃない。それよりも話というのは……。」

杏子「知ってるよ。ワルプルギスの夜が来るんでしょ?」

マミ「え!?あなた、どこでそれを……。」

杏子「キュゥべえの野郎から聞いたんだ。なんでそれをあたし教えたのかはわかんないけどさ」

マミ「(ありがとう、キュゥべえ……。)」

ほむら「……気味が悪いわ」

マミ「え?」

374: 2012/03/06(火) 07:46:25.96 ID:PVriolNO0
ほむら「アイツが理由もなく、そんな事をするハズがない」

マミ「ちょっと……いつまで疑ってるの暁美さん!キュゥべえは私の大事な友達……!」

ほむら「あいつはそんな奴じゃないわ」ギリッ……!

マミ「あなたはなんでそこまでキュゥべえを疑うの?暁美さん!」

杏子「でもさ、アイツが今まで嘘をついたことはないよ。確かに狙いはあるんだろーけど、信じるしかないんじゃないの?」

ほむら「……。」


マミ「もう、二人とも……なんでそんなにキュゥべえを疑うのよ」

杏子「もうアンタほどお人好しじゃないってだけだよ」

マミ「いい子なのに……。」

379: 2012/03/06(火) 08:12:08.13 ID:PVriolNO0
──翌日

まどか「ねぇ、さやかちゃん……仁美ちゃん、私のことなにか言ってた?」

さやか「え?いや、別に……。」

まどか「そっか……よかったぁ」ホッ

さやか「……。」チラッ

上条「でさ、やっぱりヴェーラーは3積みのほうがいいと思うんだよ」

中澤「えぇ?確かに虫環境だけどマジックミラーでよくね?」

さやか「(……恭介と、結局まだ喋れてないな……。)」

さやか「……。」モジモジ

ほむら「……。」

384: 2012/03/06(火) 08:30:48.62 ID:PVriolNO0
──放課後

さやか「どうしたの?またまた呼び出して……。」

ほむら「美樹さやか。あなた……上条恭介のこと、どう思っている?」

さやか「へ!?ど、どうって……あいつは、幼なじみで……まぁ、いい奴だと思……。」

ほむら「そういう事じゃないわ。ハッキリしなさい、好きなの?嫌いなの?」

さやか「えっ!?そ……そんな事……。」カアァッ

ほむら「ハッキリ答えなさい」

さやか「……あ、あのさ!もしかして転校生……恭介のこと、好き、なの?」

ほむら「別にそういうわけではないわ。でも……今のうちにハッキリさせておかないと、あなたは後悔することになる」

さやか「それってどういうこと!?」

386: 2012/03/06(火) 08:47:52.72 ID:PVriolNO0
ほむら「いいの?あなたは上条恭介を別の女に取られて」

さやか「な、何を……あたしは別に、恭介が幸せならそれで……。」

ほむら「嘘を言わないで。いざその時が来たらどうにもならなくなって後悔して……絶望するくせに」

さやか「なんで、あんたにそんな事がわかるのよ!」

ほむら「分かるわ。あなたが誰よりも上条恭介のことが好きなことくらい」

さやか「な……な……!」カアァァ

ほむら「私は親切で言ってるの。話せなくなってからでは遅いのよ。一度過ぎた時間は二度と戻らないの」

さやか「転校生……あんた……。」

ほむら「さぁ、ハッキリしなさい。自分自身の気持ちを」

さやか「あ、あたしは……好き。恭介が、好き!」

388: 2012/03/06(火) 09:02:24.90 ID:PVriolNO0
さやか「そうだよ……あたし、ずっと恭介のこと、見てきたんだよ!恭介のこと、好き!大好き!」

ほむら「あ……後はそれを本人に言えばいいのよ」

さやか「好き!好き!大好き!」ガシッ

ほむら「ちょ、ちょっと!」

まどか「お弁当箱忘れちゃった……。」ギュゴッ

さやほむ「!!」

まどか「え!?……あ、あ……!」ポーッ

ほむら「ま、まどか!?違うの、これは……!」

まどか「ご、ごめん!わたし二人がそんな関係だなんて知らなくって!じゃ、じゃあね!」ズギャアアン

さやか「待って!これは事故!!」

ほむら「ま、まどかに変な誤解されたじゃない!」

さやか「何よ、けしかけたのはアンタじゃない!」

ほむら「だ、だって、あんな事になるなんて思わないでしょう!?」

さやか「それは、つい熱が入っちゃって……。」

392: 2012/03/06(火) 09:19:46.57 ID:PVriolNO0
さやか「はぁ……酷い目に遭ったよ。時間あるし、仁美のお見舞いに行こ……なんか言いかけてたし」


──病院

ピッ……ピッ……。

仁美「コヒュー……コヒュー……。」

さやか「うっす、仁美」ガラガラガラ

仁美「さやかさん……。」

まどか「あ、さやかちゃん……。」カァッ

さやか「あの、まどか?違うんだよさっきのは」

仁美「さやかさん。お話がありますの。大事なお話ですの……。」

さやか「大事なお話?」

仁美「私……上条恭介くんのこと、お慕いしておりますの」

さやか「……え?」
まどか「(えぇっ!?)」

394: 2012/03/06(火) 09:34:31.25 ID:PVriolNO0
さやか「そ、そっか……仁美も」

仁美「えぇ……でも、上条くんのことをずっと見てきたさやかさんには、先を越す権利がありますわ。どちらにせよ、わたしはしばらく入院生活ですし……ゲフッ」

まどか「あ、あの、そんな大事な話、私が聞いちゃってよかったの?」

仁美「構いませんわ。まどかさんは私達のことをよく知ってますし、なによりも大切な友達ですから」

さやか「……でも、やっぱ卑怯だよ。そんなこと聞いちゃったら、仁美が入院してるうちに告白なんてできない!公平に告白の順番を決めるべきだよ」

仁美「公平に?いったいどうやって……。」

さやか「デュエルだ!デュエルで決着をつけよう!」

402: 2012/03/06(火) 09:44:30.09 ID:PVriolNO0
──屋上

さやか「勝ったほうが先に恭介に告白する権利を獲得する……いいね?」

仁美「異論ありませんわ」カラカラカラ

まどか「看護婦さん、仁美ちゃんの車椅子引きましょうか?」

看護婦「あなたに任せたら仁美ちゃんが氏んじゃうわよ」

さやか「いくよ!デュエルディスク・セット!」ジャキン!

仁美「DゲOザー・セット!ARヴィジョン・リンク完了!」クルクルクル……チャッ!

「「デュエル!」」
さやか LP 4000 仁美 LP 4000

408: 2012/03/06(火) 09:58:09.50 ID:PVriolNO0
さやか「私の先攻!ドロー!」ピッ

さやか「私はコアキメイル・ガーディアンを召喚!」

ガーディアン「ゴァ!」ゴゴゴゴゴ……。

コアキメイル・ガーディアン ATK1900

まどか「攻撃力1900!」

さやか「カードを二枚伏せる!」シュイーン シュイーン

さやか「さらに、コアキメイル・ガーディアンの効果により、エンドフェイズ時に手札から岩石族モンスターを見せるか、このモンスターを破壊しなければならない!私は手札からコアキメイル・サンドマンを見せ、ターンエンド!」

さやか 手3 伏2 ガーディアン(ATK1900)LP4000

仁美「自滅の代償を持つ替わりに、強い力を持つコアキメイルモンスター……それがあなたのデッキですか、さやかさん!私のターン、ドロー!」ピッ

仁美「私は真六武衆・キザンを召喚!」
キザン「ポアッ!」ATK1800
まどか「真六武衆!?」

さやか「勝ちにきたね……仁美のやつ」

411: 2012/03/06(火) 10:04:01.87 ID:PVriolNO0
即興でデュエルは時間がかかる+分からない人が多そうなのでデュエルパート省略か否か

>>411>>417までの多数決で決めます

420: 2012/03/06(火) 10:19:05.39 ID:PVriolNO0
仁美「これで終わりですわ!真六武衆・シエンの攻撃!」ズバァ

さやか「きゃああぁぁぁー!」ズシャアアアアァァ LP600→0 ビーッ

『WINNNER 志筑仁美』

まどか「あ……。」

仁美「私の……勝ちですわ」

さやか「い、いやー……やっぱ強いな仁美は……完敗だよ」

仁美「さやかさん、勝負は勝負ですから……約束は守っていただきますわ」

さやか「分かってるよ……絶対に抜け駆けしたりしない。お互い頑張ろうね、仁美」タタタッ

まどか「あ、待ってよさやかちゃん!」ギュバァ!

仁美「さやかさん……げふっ!」ボタボタボタ

看護婦「仁美ちゃん!?デュエルのダメージが……ドクター!ドクター!」

425: 2012/03/06(火) 10:34:22.55 ID:PVriolNO0
さやか「はぁ……負けちゃったなー」

まどか「さやかちゃん」

さやか「仁美、可愛いからなー……いい子だし、頭もいいし……恭介も、きっと……。」

まどか「さやかちゃん!しっかりして!」ズガッ

さやか「はっぐ!」メキメキィ

まどか「あ!ごめん……つい速度がついちゃって……。」

さやか「いや、大丈夫……ケホッケホッ」ポロポロ

まどか「さやかちゃん、涙……。」

さやか「……ぅうううっ……!私……なんであんなことしちゃったんだろう……なんでデュエルなんてしちゃったんだろう……!」ボロボロ

まどか「さやかちゃん……だ、大丈夫だよ。まだ分からないよ」

429: 2012/03/06(火) 10:54:46.91 ID:PVriolNO0
──夜、上条邸の前

さやか「……。」ジーッ

さやか「……はぁ」ションボリ

杏子「泣かせるねぇ。思い人の腕を治してやったってのに、自分は外で見てるだけかい」

さやか「あ、あんたは……あの時の!」

杏子「奇遇だね、こんなところで会うなんて」

さやか「……って言うか、なんでアンタがそのことを知ってんのよ!」

杏子「ちょっと聞いたのさ。土地を移動する時には、その土地の魔法少女の人数と情報くらいは把握しとかないと、でしょ」

さやか「土地を移動?そうだ……そもそも風見野に済んでるアンタが、なんでここにいるワケ?」

杏子「新米のアンタには関係ねーよ」

さやか「なにそれ!」

435: 2012/03/06(火) 11:14:41.86 ID:PVriolNO0
杏子「それにしても、アンタ……バカ丸出しだね」

さやか「なっ!」ムカッ

杏子「貴重な願いのチャンスを使った挙げ句にこれ?やっぱり他人のために願いを使ったやつはロクなことになんねーな」

さやか「うるさい!あんたに何がわかるのよ!」

杏子「今の様子見てるだけで十分わかるでしょ。ねぇ、アンタ……ここの坊やをモノにしたいんでしょ?」

さやか「何……何が言いたいの?」

杏子「だったらさ、坊やの両手足潰してやりゃいいんだよ。そうすりゃ坊やもあんたにベタ惚れさ」

さやか「そんな事!」

杏子「だったらあたしがが代わりにやってあげようか?」

さやか「させるかッ!どっちにしろ、仁美が退院すれば恭介は幸せになれるんだ……あたしは恭介が幸せなら……。」キッ

杏子「やる気かい……ここは一目につく。場所変えよーか」

439: 2012/03/06(火) 11:30:26.88 ID:PVriolNO0
──鹿目家

まどか「~♪」ギュン

QB「まどか、まずいことになった」

まどか「キュゥべえ?」ドヒュン!

QB「美樹さやかが他の魔法少女と交戦を始めた。はやく止めないと大変なことになる」

まどか「さやかちゃんが!?一体誰と……わかった、私も行くよ!」バチャア

QB「こっちだ、ついて来……。」

まどか「遅い!場所だけ教えて!」ズギャアアアアン!!

QB「……落ち着きがないなぁ」

446: 2012/03/06(火) 11:45:38.41 ID:PVriolNO0
──陸橋

杏子「ここなら遠慮はいらないよね」ピカッ ジャキィン!

さやか「……。」ゴポッ

ドドドドド……。

杏子「何だこの音?何かが近づいて……。」

まどか「さやかちゃん!駄目ーッ!」

さやか「まど──」ギュオン!!

まどか「え……?」ポタ……ポタ……。

杏子「あ……あぁ……!?」

さやか「あれ……私の、お腹……どこ?まどか……。」バタッ……。

杏子「こいつ、氏んでる……。」

まどか「い……嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

454: 2012/03/06(火) 11:52:44.14 ID:PVriolNO0
まどか「さやかちゃん、さやかちゃぁぁん!ごめんなさい……勢いをつけすぎたから!」

杏子「なんなんだテメェ!こんな魔法少女がいるなんて聞いてねーぞ!」ガッ

まどか「グッ……私は違う……よ……けほっ!けほっ!」

杏子「ちっ!心臓がブチ抜かれてやがる……即氏だ。魔法少女じゃなかったら、アンタ一体なんなんだよ!」ジャキッ!

まどか「わ、私は……マグロ人間!」

杏子「ハァ!?」

マミ「美樹さん……うっ!?」タタタッ
ほむら「これは、一体……。」

杏子「聞きたいのはこっちだ!」

460: 2012/03/06(火) 12:05:22.20 ID:PVriolNO0
マミ「だめ……治療が効かないわ!」シュウウウウ

杏子「そりゃそうだ、心臓がぶち抜かれてるんだ……。」

まどか「うっ……うっ……さやかちゃぁん」グスッ

杏子「この……泣いてんじゃねえ!元はと言えばてめーが原因だろうが!」

ほむら「やめなさい杏子。そもそもあなた達が争ったりしなければ、まどかの体当たりもなかったわ」

杏子「っ……!」

QB「やれやれ、大変なことになったね」

杏子「キュゥべえ!大変どころじゃねーだろうが!」
まどか「なんとかしてよキュゥべえ……さやかちゃんを助けてよ!」

QB「残念だけど僕にはどうすることもできない。しかし、君になら救うことができるかもしれない」
まどか「私に?」

QB「あぁ、僕と契約して……。」

ほむら「まどか、奴の口車に乗ってはだめ」

まどか「どうして!?だって、このままじゃさやかちゃんが……!」
ほむら「いいえ、大丈夫よ。よく耳を済ませて」
グジュグジュグジュグジュ……。

まどか「さやかちゃんの体から、音が……。」
QB「なるほど。美樹さやかの能力は治癒だったね。ソウルジェムが無事である限り、肉体は不氏身ということか」

463: 2012/03/06(火) 12:17:30.50 ID:PVriolNO0
さやか「……。」グジュグジュグジュグジュ

杏子「身体の穴が、塞がっていく……!」

マミ「う……ッ!おぇっ!」バッ

さやか「スー……スー……。」

QB「どうやら、息を吹き返したようだね。ソウルジェムが無事で命拾いしたよ」

まどか「さやかちゃん!」

杏子「おい……なんだよ今のは、こいつはさっきまで間違いなく氏んでたぞ!それがなんで何事もなかったみたいに……!」

QB「当たり前じゃないか。ソウルジェムには傷一つついてなかったんだから」

マミ「え……?」

QB「ソウルジェムさえ無事なら、君たちの肉体なんて魔力でいくらでも修復できる。たとえ心臓が破れてもね」

杏子「なんだよ、それ……それじゃあたし達、まるで化け物じゃないか!」

469: 2012/03/06(火) 12:43:05.95 ID:PVriolNO0
QB「化け物だって?むしろ魔女と戦う時に便利な身体じゃないか。人間の身体はちょっとしたことですぐ戦えなくなってしまう。でも君たちは、ソウルジェムさえ無事ならいくらでも戦えるじゃないか」

マミ「そんな事……!」

QB「望んでなかったというのかい?しかしマミ、君は魔法少女にならなければ今ごろこの世にいないじゃないか」

マミ「それは……。」

杏子「いったい、あたし達の身体にどういう細工しやがったんだ!」

QB「身体?僕は君たちの身体には何もしていないよ。ただし、君たちは『魂』を捧げたよね?」

マミ「え……まさか……。」

QB「君たちのソウルジェム。それは君たちの魂の魂そのものだ。うっかり肉体の100m圏外に離したり、壊したりしたら氏んじゃうから」

杏子「テメェ!聞いてねーぞ!」ガッ!

QB「聞かれなかったからね」

472: 2012/03/06(火) 12:57:47.82 ID:PVriolNO0
QB「もっとも、君は知っていた様子だね……暁美ほむら」

ほむら「……。」カチッ シュウウウ……。

マミ「美樹さんのソウルジェム、いつの間にあんなに濁って……!」

QB「肉体を再生させるのにも魔力が必要だからね。それを知っていたからグリーフシードで浄化したんだろう?」

ほむら「答える必要はないわ」ファサッ

さやか「……あ」パチッ

まどか「さやかちゃん!」

杏子「!」

マミ「!」

さやか「……何?何、なの……?」

477: 2012/03/06(火) 13:27:13.87 ID:PVriolNO0
──翌朝

チュンチュン……。

さやか「……。」ムクリ

杏子「『いつまでもショボくれてんじゃねーぞ、ボンクラ』」

さやか「!?」シャッ

杏子「『ちょっとツラ貸しな。話がある』」

──────────────────

杏子「アンタさ、やっぱり後悔してる?こんな身体になったこと」

さやか「……。」

杏子「……アタシはさ、まぁいっかって思ってるんだ。この力で好き勝手してるわけだし。後悔する程のもんでもないってね」

さやか「それは自業自得でしょうが」

杏子「そーだよ。自業自得にしちゃえばいいのさ。自分のためだけに生きてれば何もかも自分のせいだし、後悔なんてあるわけない。そう思えば大抵のもんは背負えるもんさ」

──廃教会

さやか「ここは?」

杏子「……ちょっとばかし、長い話になる」

483: 2012/03/06(火) 13:49:53.08 ID:PVriolNO0
杏子「あたしの親父は、とんだロマンチストだった」

さやか「ロマンチスト?」

杏子「あぁ。ここは親父の教会さ。親父は神父だけど、夢のある人だった。アトランティスとかムー大陸とか信じててさ……それを見つけることが、新しい時代の救いに繋がるって信じてた」

さやか「……なんの話?」

杏子「最後まで聞けって。だからある時、親父は教義にないことまで説教するようになった。そのうち、共に新大陸を探す人まで募りはじめてさ……もちろん、信者の足はパッタリ途絶えたよ」

さやか「(そりゃそうだ……。)」

490: 2012/03/06(火) 14:02:48.59 ID:PVriolNO0
杏子「当然だよね。端から見たら胡散臭い新興宗教さ。どんなに夢を追い続けても、出る杭は打たれる。世間じゃただの鼻つまみ者さ」

杏子「あたしたちは一家そろって食う物にも事欠く有り様だった。納得できなかったよ、親父は、あたしたちは新大陸を信じてた。でも、突飛すぎることを話す親父を誰も信じてくれなかった。悔しかった、許せなかった……!だから、キュゥべえに頼んだんだ」

杏子「みんなが親父の話を、真面目に聞いてくれますようにって」

さやか「その話を、真面目に……!」

杏子「翌日には、親父の教会は新大陸を探しに行くって人でごった返していた」

さやか「……。」

498: 2012/03/06(火) 14:21:25.12 ID:PVriolNO0
杏子「毎日おっかなくなるくらいの勢いで信者は増えていった……あたしはあたしで、晴れて魔法少女の始まりさ。いくら親父の夢が正しくたって、それで魔女が退治できるわけじゃない。だからそこはあたしの出番だって、バカみたいに意気込んでたよ。でもある日……。」

さやか「ある日?」

杏子「数回の探検を終えて、親父がおかしな事を言い出した。」

杏子「『アトランティスの入り口をみつけた!喋る魚のいる海域だ!』って、ね。」

さやか「喋る魚?それって……。」

杏子「その次の航海で、親父は資金と人員を総動員して……それっきり帰ってこなかった。
残ったあたし達は行方不明になった探検隊の家族にさんざん責め立てられて、お金は親父が全部使っちまったし……結局、それから生き延びたのはあたしだけだった。あたしの祈りが、家族をバラバラにしちまったんだ」

505: 2012/03/06(火) 14:39:23.38 ID:PVriolNO0
杏子「その時に誓ったんだ。あたしのこの力は二度と他人のために使わないって……奇跡ってのはタダじゃない。希望を祈れば、それと同じだけの絶望が撒き散らされる。そうやって世界はバランスを取ってるんだよ」

さやか「な、なんであたしにそんな話を?」

杏子「……アンタもあたしと同じ間違いから始まった。これ以上後悔するような生き方をすべきじゃない。アンタは対価としては充分すぎるほどのモンを支払ってるんだからさ。これからは開き直って好き勝手やればいい」

さやか「好き勝手……?」

杏子「そ、好き勝手やっちゃえばなにもかも自業自得だしさ」

さやか「(恭介……仁美……!)」

さやか「……わたし、やっぱり出来ない」

杏子「なっ!何でアンタ……。」

515: 2012/03/06(火) 15:10:31.92 ID:PVriolNO0
さやか「好き勝手やるなんてできない……わたしには、仁美を裏切れない!でも私、恭介のこと……あぁぁぁぁぁぁ!」

杏子「お、おい!」

さやか「好き勝手やれったって、どうしろって言うのよ!何がしたいのよ!わたし!それに今さら……恭介にどんな顔して会えばいいのよ!こんな……石ッコロの身体にされて!」

杏子「無理やり自分のモンにしちまえばいいだろうが!せっかく手に入れた力なんだ」

さやか「それは……そんなの、やだッ!」ダダダダダ

杏子「おい!……あのバカ!」ダッ

520: 2012/03/06(火) 15:42:12.03 ID:PVriolNO0
さやか「……っ」タッタッタッタ

杏子「おい、待てよ!」

さやか「ほっといてよ!あたしはアンタみたいな生き方はできない!」

杏子「そんな事、わかんねーじゃねーか!」

さやか「何よ!あんたは私のこと……何も知らないくせにッ!わかったような口聞かないでよっ!あんたは自分のこと喋ったかもしんないけど、あたしの事情は又聞きしただけでしょ!?」

杏子「っ……!」ズキッ

さやか「あぁ、もう……。いつからこうなっちゃったんだろう……どっからこうなっちゃったんだろう……!」ゴポ……。

杏子「お前、ソウルジェムが……!」

さやか「こんな事になるなら……仁美とデュエルなんてしなきゃよかった……あたしって」

バキィン

さやか「ほんとバカ」

ゴォォォォォ……!

杏子「さやかー!」

532: 2012/03/06(火) 16:07:28.63 ID:PVriolNO0
オクタヴィア「グォォォォン!!」

杏子「テメェ、何なんだ!さやかに何をしやがった!」

ほむら「下がって」

杏子「な!?どっから!」

ほむら「いいから、掴まって」ガ チ ャ ン!

オクタヴィア「」ピタリ

杏子「こいつは……。」

ほむら「絶対に離さないで。手を離したらあなたの時間も止まってしまう」

杏子「どうなってるんだよ、あの魔女はなんなんだよ?」

ほむら「……かつて、美樹さやかだったものよ」

杏子「な……!じゃあ、さやかは!」ガッ

ほむら「捨てなさい。ソウルジェムが砕け散った今、美樹さやかの身体は余計な荷物でしかないわ」

杏子「ふざけんな!」

ほむら「今のあなたは足手まといにしかならない。一旦退くわ」

杏子「く……!」

538: 2012/03/06(火) 16:27:31.24 ID:PVriolNO0
タッタッタッタッタッ……バッ!

ほむら「結界を抜けたようね」

杏子「てめぇ、どういうことだ!あの魔女がさやかだって……。」

ほむら「彼女のソウルジェムはグリーフシードに変化した後、魔女を産んで消滅したわ。それがソウルジェムの最後の秘密……魔法少女になったものの、逃れられない運命」

杏子「なんだと……!」

ほむら「あなたの背負っている美樹さやかの肉体はただの抜け殻。氏体よ。後処理にはせいぜい気をつけて」

杏子「テメェ!それでも人間かッ!」

ほむら「もちろん違うわ。あなたもね」スタスタ

杏子「ジョーダンじゃ……ねぇ……!」グッ

548: 2012/03/06(火) 16:51:04.30 ID:PVriolNO0
──翌日

パァァァ……。

QB「そうして氏体の鮮度を保って、どうするつもりだい?」

杏子「……こいつのソウルジェムを取り戻す方法は?」

QB「僕の知る限りでは、ないね」

杏子「てめーの知らないこともあるってことか?」

QB「魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれほどの不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない」

杏子「できるんだな?」

QB「前例はないね。僕にも助言のしようがないよ」

杏子「いらねーよ、誰がてめーの手助けなんて借りるもんか」

杏子「(とはいえ、どうすりゃいいんだ……ズバッとやったら魔女はグリーフシードになっちまうし、説得しようにも魔女の言葉はわかんねーし……。)」

杏子「せめて言葉が通じれば……は!」

551: 2012/03/06(火) 16:57:43.35 ID:PVriolNO0
ピンポーン

まどか「お客さん?誰だろう……。」ガチャ

杏子「よう」

まどか「あなたは……!」

杏子「ちょっと話があるんだ。顔貸してくれる?」

まどか「う、うん……どうぞ」


知久「まどか、お友達かい?」ドヒュウ

杏子「マグロがしゃべった!」

まどか「それ、私のパパ……。」

557: 2012/03/06(火) 17:08:23.94 ID:PVriolNO0
杏子「待てよ……喋る魚って、もしかしてアンタ」

知久「ん?」

杏子「いたのか?アトランティスに……。」

まどか「アトランティス!?」

知久「……懐かしいな。まさかまたその名前を聞くとはね」

杏子「じゃあ……!」

知久「そう。ぼくはアトランティス近海にしか生息しないアトランティスクロマグロ……人間界では、人語を解する幻のマグロと呼ばれてるんだ」

まどか「えぇーっ!?」

杏子「喋る魚、アトランティス魚……パパの言ったことは間違ってなかった!あったんだ!アトランティスは!」

565: 2012/03/06(火) 17:22:06.34 ID:PVriolNO0
まどか「ちょっと待って、じゃあママもパパに出会う時にアトランティスに辿り着いたってこと!?」

知久「そうだよ、ママの乗っている船が難破したのをパパが助けて……海底都市、アトランティスに連れていったんだ」

まどか「難破したところをナンパしたんだね」

杏子「浦島太郎の逆だな」

知久「そこで僕たちは恋に落ち、今に至るというわけさ」

まどか「アトランティスって人と魚が一緒に暮らしてるの?」

知久「あぁ。アトランティス近海の魚は海底の人間と助け合い、コミュニケーションをとるために独自の進化を遂げたんだ」

杏子「じゃあ、そのままアトランティスで暮らしたほうが良かったんじゃないの?」

知久「それじゃママがこっちで行方不明扱いになっちゃうからね」

まどか「凄いなぁ……。」

574: 2012/03/06(火) 17:34:24.75 ID:PVriolNO0
杏子「……本題に入るぞ。あんた、人間意外……例えば、魚の言葉、わかったりする?」

まどか「私?うん、一応……。」

杏子「本当か!?なあ、悪いけど……ちょっと付き合ってくれないかな」

まどか「いいけど、置いていかれないでね!」ズギャッ!!

杏子「お、おい!どこ行くんだよ!」

知久「晩御飯までには帰ってきてね」

580: 2012/03/06(火) 17:46:59.94 ID:PVriolNO0
杏子「ったく、どこ言っ……。」

まどか「それで、話って!?」キキィーッ

杏子「うわ!?猛スピードで向かってくんな!」

まどか「ご、ごめん……。」

杏子「いきなりこんなこと言うのもなんだけどさ、美樹さやか……あいつが、魔女になった」

まどか「え……?それって、どう、いう……!」

杏子「言葉通りの意味だ。どうやらソウルジェムってのは穢れが溜まりきるとグリーフシードに生まれ変わっちまうらしい。それで……さやかの野郎は……!」

まどか「う、嘘だよね。嘘だよ、魔女になっちゃったってそれじゃさやかちゃん……!」

杏子「今は氏んじまったようなもんだ……でも」

まどか「そんな……さやか、ちゃん……!」ウルッ

杏子「最後まで聞きなよ。美樹さやかのこと、助けたいと思わない?」

まどか「え?」

杏子「本当に助けられないのかどうか……あたしはそれを確かめるまで、諦めたくない」

まどか「……。」

杏子「アイツは魔女になっちまって、人間の言葉は届かない。でも友達のあんたなら……魚の言葉が分かるアンタなら、目を覚ましてやれるかもしれない」
まどか「私が……。」

583: 2012/03/06(火) 17:56:47.56 ID:PVriolNO0
杏子「できるかなんてわかんねーし、付き合いきれねぇってんなら無理強いはしない。結構、危ない橋をわたるわけだし……あたしも、絶対何があっても守ってやるなんて約束はできねえ」

まどか「……ううん、手伝う。手伝わせて欲しい……私、鹿目まどか」

杏子「……ったく、調子狂うよホント」スッ

まどか「うんまい棒?」

杏子「佐倉杏子だ。よろし」メッシャア!

まどか「あぁ、うまい棒が粉々に……。」ボロッ

杏子「スピード落として受け取りゃいいだろ!ったくもう、ホント調子狂うな……。」

593: 2012/03/06(火) 18:13:26.32 ID:PVriolNO0
杏子「……ここだな」

まどか「ホントにさやかちゃんかな……ほかの魔女だったりしないかな」

杏子「魔力のパターンが一緒だ。間違いないよ」

まどか「さやかちゃん……。」

杏子「もう一度聞くけどさ。本当に覚悟はいいのかい?」

まどか「うん。私もう何か慣れっこだし……大丈夫、連れていって」

杏子「ホント変わったやつだね、あんた……。」

バタン!バタンバタンバタンバタン……!!

杏子「来るよ!」


バァン!

オクタヴィア「グォァァァァァン!!」

まどか「あれが……さやかちゃん……?」

600: 2012/03/06(火) 18:31:23.25 ID:PVriolNO0
杏子「目ェ覚ませ!さやか!……頼んだよ、まどか!」

まどか「うん!さやかちゃん!元に戻って!こんな姿になるの……さやかちゃんだって望んでなかったハズだよ!」

オクタヴィア『うるさい!もう放っておいてよ!あたしはここでずぅっと終わらないコンサートを聞いてられれば……それでいいの!』ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

まどか「うわ!わ!」ヒョイヒョイ

バキィィィィン!!

杏子「大丈夫か、おい!」

まどか「う、うん……。」

杏子「ちっ、手加減なしかよ……あんな車輪、あたったら怪我じゃすまねーぞ」

まどか「さやかちゃん、やけっぱちになってる……どうして!?暴れたいわけじゃないんでしょ!町の平和を守るんでしょ!?」

オクタヴィア『うるさい!もう全部どうでもいいの!放っておいて!』

まどか「本当に?上条くんも!?」

オクタヴィア『!!』ピタッ

605: 2012/03/06(火) 18:45:33.51 ID:PVriolNO0
まどか「そのままでここにいたら上条くんにも永遠に会えないんだよ!いいの!?」

オクタヴィア『でも……私、ゾンビだもん!恭介に会ったって、どうせ……。』

まどか「違うよ!今はゾンビですらない!私と同じ……魚人間だよ!」

さやか『魚、人間……。』

杏子「(そこはせめて人魚だろ……。)」

まどか「魚人間だよ!小学校のころの私のアダ名……わかるでしょ?」

さやか『き、近海のヌシ……。』

まどか「そうだよ!海王類だよ!?上条くんにそんなアダ名で呼ばれるの、さやかちゃんだって嫌でしょ!」

さやか『そ、それはやだ……。』

615: 2012/03/06(火) 19:00:58.28 ID:PVriolNO0
まどか「だったら、元に戻って私たちと一緒に帰ろう?さやかちゃんなら、絶対にゾンビだなんて言われないよ!」

オクタヴィア『でも、でもどうせ仁美が恭介と付き合っちゃうだろうし、もう全部遅いんだよ!』

まどか「まだわからないよ!上条くんが仁美ちゃんを選ぶかなんて……。」

オクタヴィア『わかるよ!恭介、どうせずっと振り向いてくれなかったし……仁美に告白されたら絶対付き合っちゃう!』

まどか「……あぁもう!なんでさやかちゃんはいつもそうななの!」ヒュン! メッシ

オクタヴィア「ギエェェェェェ!!」

杏子「お、おい!説得するんじゃ……。」

まどか「もう限界!堪忍袋の尾が切れた!」

杏子「バカ、今そういう場合か!?」

まどか「マグロは向こう見ずなの!」

622: 2012/03/06(火) 19:11:03.57 ID:PVriolNO0
まどか「さやかちゃんのバカ!バカ!アワビ!どうしていっつもそうなの!?」

オクタヴィア『何さ!バカって言ったほうがバカなんだよ!』

まどか「あ!今さやかちゃんバカって言った!じゃあさやかちゃんバカだ!バーカ!」

オクタヴィア『バカバカうっさいマグロ女!だったらアンタは大バカよ!』

まどか「あー!言っちゃいけないことを……!じゃあさやかちゃんは釣りバカ!釣りバカ!」

オクタヴィア『なんでさ!』

杏子「……よくわかんねーけど、レベルの低い会話だってのはよーく分かった」

632: 2012/03/06(火) 19:33:27.63 ID:PVriolNO0
まどか「もっと自分のことよく見てよ釣りバカ!」

オクタヴィア『釣りバカ言うな!』

まどか「さやかちゃんにはいいところ、いっぱいあるじゃない!なんで気づかないの!?」

オクタヴィア『え……?』

まどか「私、知ってるよ。さやかちゃんが物凄く優しいってこと!だから仁美ちゃんの先を越さないで……デュエルを挑んだんでしょう!?」

オクタヴィア『あ、あたし……。』

まどか「ごめんね。仁美ちゃんが入院したの……あれ実は、私のせいなんだ」

オクタヴィア『えっ!?』
まどか「不慮の事故だったんだけど……仁美ちゃん、魔女に操られてたから、逃げるためにタックルしたら……。」

オクタヴィア『そうだったんだ……。』

まどか「ごめんね。私が仁美ちゃんをを怪我させなきゃ、さやかちゃんは……。」

オクタヴィア『いやいやいや!まどかが謝ることじゃないって!』

まどか「ありがと。やっぱりさやかちゃんは優しいね……。」
オクタヴィア『そ、そんなことねーって!』

まどか「あとこの際だから言うんだけど、実は私さやかちゃんの心臓に風穴開けちゃって」
オクタヴィア『ちょっと待て!何!いまなんて言った!?』

杏子「ん?さやかの魔女が……少しずつ、小さくなっていってる?」

655: 2012/03/06(火) 20:04:38.24 ID:PVriolNO0
オクタヴィア『へー、私まどかの突進で氏んじゃってたんだーはははは』

まどか「ごめんごめん、うっかりうっかり」
オクタヴィア『ってなるかいバカチン!』ベシィン!
まどか「痛ァッ!?」バチィ ゴロゴロゴロゴロ
杏子「まどかー!さやか、てめぇ!」チャキ!
まどか「杏子ちゃん、大丈夫……大丈夫だから」ボロッ

杏子「大丈夫って……魔女にぶん殴られたら無事じゃ!」

まどか「大丈夫、喋ってて分かったんだ……魔女になっても、さやかちゃんはさやかちゃんだよ……ゼヒッ」ヨロッ

オクタヴィア『ま……ま、どか!私、こんなに強くするつもりは……。』

まどか「大丈夫、これでお互い様だよ。ほら、こんなに元気!」ダダダダダ
オクタヴィア『まどか……。』

まどか「さやかちゃん、一緒に帰ろう。ここは一人ぼっちだよ」

さやか『私……私!』
まどか「さやかちゃん!魔女の中から……!」

杏子「奇跡が……起きた!このまま引っ張り戻すぞ!」
まどか「うん!さやかちゃん!しっかり掴まって!」
さやか『まどか、私……!』
シュルシュルシュル……!
まどか「何これ?何か巻きついて……!」
杏子「さやか……一本釣りだぁー!」

665: 2012/03/06(火) 20:31:56.22 ID:PVriolNO0
──ホテルの一室

さやか「う……ん」パチッ

杏子「目が覚めた?」

さやか「あ……あたし……!」

杏子「苦労したよ、魔女になったあんたをあんたの友達が説得してくれたおかげでソウルジェムを釣り上げることができたんだ」

さやか「……ありがと」

杏子「あ……あたしはいいよ。それより礼はあんたの友達に言いな、まどかって言ったっけ!」

さやか「……その、まどかはどこ?」

杏子「足音がうるさいって苦情が来て、追い出されちゃったよ。しかし、本当の奇跡ってあるもんだね。友達の言葉で呪いが解けるなんて……。」

さやか「まどかが真っ直ぐぶつかってくれたから。真っ直ぐ受け止めてくれたから……なんか途中から、悩みとか色々どうでもよくなっちゃった」

杏子「へぇ……。」

さやか「まぁ、真っ直ぐぶつかられすぎて一回殺されちゃったらしいんだけどねー、ははは」

杏子「笑い話になってねーぞ、それ……。」

675: 2012/03/06(火) 20:50:20.16 ID:PVriolNO0
──マミ家

ほむら「私はD-HERO ダイヤモンドガイを召喚」パシッ

マミ「……ねぇ、もうすぐワルプルギスの夜が来るっていうのにデュエルなんてしてていいのかしら?私たち……。」

ほむら「仕方ないでしょう、今私たちにできることは何もないわ」

マミ「それにしても美樹さん、家に帰ってないみたいだけどどうしたのかしら。心配ね……。」

ほむら「……美樹さやかは」

杏子「邪魔するよ、マミ」ガチャ

さやか「こんにちはー」

マミ「美樹さん!佐倉さん!」

ほむら「美樹さやか!?まさか……!」

杏子「起きたのさ……奇跡が!」

マミ「あ、あの……何の話?」

さやか「あぁ、実は私、ちょっと魔女になってて……。」

マミ「なに!どういうこと!?」

684: 2012/03/06(火) 21:04:15.03 ID:PVriolNO0
マミ「ど、どういうこと!?美樹さん、魔女になってたって……。」

杏子「どうもソウルジェムに穢れが溜まりきると魔法少女は魔女になっちまうらしいのさ」

マミ「嘘!?」

さやか「あ、でも今は大丈夫ですよ!まどかと杏子にソウルジェムの一本釣りで助けてもらっちゃいましたから!」

マミ「え?えぇ?」

ほむら「(あぁあ……。)」

マミ「い、一本釣りって何?魔女になるってどういうこと?何?何なの?」

さやか「うーん、ちょっと説明が難しくなっちゃったかな……とにかく、魔法少女はうっかり落ち込みすぎると魔女になっちゃうけど、まぁ大丈夫ですよ。大丈夫」

マミ「ちょ……ちょっと待ってよ!そんな衝撃的なことをサラッと言わないで!」

杏子「でも、なんとか元に戻れたしね」
さやか「うん」

マミ「そういう問題じゃなくて……あぁもう、なんかもうどうでもいいわ」

701: 2012/03/06(火) 21:28:45.74 ID:PVriolNO0
──ワルプルギスの夜前日、ほむらの家
バタァァァン!

ほむら「待っていたわ、まどか」

まどか「あの……ほむらちゃん、話って?」

ほむら「明日やってくる魔女……ワルプルギスの夜は、今までの魔女とは格が違うわ。明日、まどかは絶対に外に出ないでちょうだい」
まどか「で、でも私も何か力に……!」
ほむら「ダメよ。いくらマグロ人間とはいっても、あなたは魔法少女ではないの。足手まといよ」

まどか「あぅ……。」
ほむら「……ほんと、なんでマグロ人間なんだろうね……?」

ギュッ……!

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」ビチビチビチ
ほむら「まどか、私ね……未来から来たんだよ?色んな未来を見てきたんだよ……?でも、まどかがマグロ人間の世界なんてここだけ。私が見てきた世界では、まどかは普通の人間だったのに……私が時間を巻き戻しちゃったせいで、運命がズレちゃったのかな?」

まどか「ほ、ほむらちゃん……苦しいよ……!」コヒューコヒュー
ほむら「あっ……ごめん。意味、わかんないよね?忘れて……。」
まどか「ほむらちゃん。私はマグロ人間に生まれたこと、後悔してないよ」
ほむら「え?」

718: 2012/03/06(火) 21:55:21.27 ID:PVriolNO0
まどか「まぁ、つい最近まで普通の人間になりたいなって思ったりもしたよ?でもね……気づけたんだ。マグロ人間の私にしか出来ないことがあるって、そしてその特技でさやかちゃんを助けることができた」

ほむら「マグロ人間にしか、できないこと……。」

まどか「うん。走るのが速いことも泳ぐことが速いことも……役に立たないことだと思ってた。むしろ、みんなと足並みが揃わなくって嫌だなって」

ほむら「陸上とか、水泳とか始めようとは思わなかったの?」

まどか「小さいころどっちの大会も出禁になっちゃって……。」

ほむら「……。」

まどか「お魚と喋ることができるのも、一番嫌だった。お魚を食べなきゃならないのに、声が聞こえちゃってたから……でも、今はそれでもいいって思えるんだ」

ほむら「まどか……。」

まどか「私は、立派なマグロ人間として生きていく。いつか……人間とマグロの架け橋になれるようなマグロ人間に」

ほむら「う……うん」

727: 2012/03/06(火) 22:05:18.53 ID:PVriolNO0
──ワルプルギスの夜、当日


マミ「ついに来てしまったのね……この日が」



さやか「よーし!来るならいつでも来い!ワルプルギス!」

杏子「無茶すんじゃねーぞ、アンタは新人なんだからな!」
さやか「わ、分かってるよ!」



ほむら「(あれから一晩考えた……たとえマグロ人間でもまどかはまどか、絶対に守る。そう決めた!)」キッ



ほむら「……来る!」

ワルプルギス「キャーッハッハッハッハッハッハッハ!!」

735: 2012/03/06(火) 22:14:32.71 ID:PVriolNO0
──避難所

まどか「……。」ソワソワダカダカ

タツヤ「あーい」ダカダカダカダ

避難民「ちょっと!ドタバタうるさいよ!それになにこの大きな水槽!」

知久「どうもすいません」バシャバシャ

避難民「マグロがしゃべった!?」

まどか「……私、ちょっとトイレ」ギュン!

避難民「ひっ!」

知久「気をつけてね」

744: 2012/03/06(火) 22:36:20.55 ID:PVriolNO0
まどか「(みんなは……戦ってる、でも、私は……!)」ヒュン!ヒュン!

詢子「待て、まどか。どこ行くんだ」

まどか「ママ……私、友達を助けに行かないと」

詢子「そういうのは消防にまかせろ。素人が動くな」

まどか「私じゃなきゃダメなの!」

パァン!

まどか「あ……。」

詢子「テメェ一人のための命じゃねぇんだ!あのなぁ、そういう勝手やらかして、周りがどれだけ……ッ」

まどか「お願い。行かせて」

詢子「理由は説明できねぇってか……なら」ヒュッ

まどか「!」パシッ

詢子「パパからプロポーズの時に貰ったお守りだ。持ってきな」

まどか「綺麗なクリスタル……いいの?」

詢子「あぁ、その代わり……絶対返しに帰ってこいよ」

まどか「……うん!」ギュバァッ!!

752: 2012/03/06(火) 22:53:41.73 ID:PVriolNO0
QB「契約しないのかい?まどか」

まどか「私はもう決めたんだ。マグロ人間として生きていくって」ダダダダダ

QB「しかし、ワルプルギスの夜は強い。正直言って、彼女たち4人が束になっても勝てる相手じゃない……しかし最高の素質をもった君が契約して戦えば、結果はまた違ったものになるだろう」

まどか「うぅん、私は私のまま……みんなの手助けになりたい!」

QB「やれやれ、無謀だよ。契約もせずにワルプルギスの夜と対峙するなんて……。」

まどか「マグロは向こう見ずなの!」キュイイイイイイン

まどか「(速く、もっと速く……みんなのところへ!)」プンッ……。 パアァン!

QB「ソニックブーム!?まさか君は音の壁を越え……うわぁ!」ボテッ ゴロゴロゴロ

まどか「もっと……もっと速く!」パァン!ズギュゥゥゥ……!

773: 2012/03/06(火) 23:10:37.02 ID:PVriolNO0
ワルプルギス「キャーッハッハッハ!!」ゴゴゴゴ……。

さやか「つ……強すぎる……反則だよ!こんなの……!」
マミ「撃っても撃っても効いてる様子がない……こんなの、どうやって倒せばいいのよ!」
杏子「こりゃ、流石にマズいよねぇ……グリーフシードも、もう底を突いてるよ」

ほむら「まだよ……まだッ!」ズドォォォン!
ワルプルギス「アハハ……キャーッハッハッハッハ!!」ズガガガガガ!!

4人「ああああああッ!!」ドスドスドスドスッ!!

マミ「だめよ……勝てないんだわ。私たち、みんなここで……!」

杏子「マミ!絶望したら終わりだぞ!」
マミ「でも、これ以上どうしろっていうの!?」

ほむら「(だめ……四人で挑んでもまるで歯が立たない!このままじゃ、また……!)」

プンッ!ギュルギュルギュルギュル……!

さやか「昼間に、流れ星?とうとう幻が……。」

ほむら「……いいえ!あれは!」

まどか「えぇぇぇぇぇいッッ!!」ドガシャアアアン!
ワルプルギス「ギャアアア!!」

杏さや「まどか!?」マミ「鹿目さん!」

781: 2012/03/06(火) 23:24:14.98 ID:PVriolNO0
まどか「あぁっ!」ズダァァン!


ほむら「まどか!あなた……どうしてここに!」

まどか「ごめん、やっぱりじっとしてられなくなって……来ちゃった」

ほむら「来ちゃったって、あなた……!」

まどか「私が囮になるよ。みんな、その間にワルプルギスを倒して」

杏子「そんな事……下手すりゃ氏ぬぞ!」

まどか「大丈夫。マグロは速いから」ビュンビュン

マミ「みんな、ここは鹿目さんの気持ちを汲みましょう」

さやか「マミさん!?」


マミ「どちらにせよ、私たちはこのままでは勝てないわ。なら、少しでも力を合わせるしかない!」
杏子「ちっ……。」ヨロッ

まどか「さあ、ワルプルギス!私はここだよ!ほら!こっちだよ!」

790: 2012/03/06(火) 23:37:19.22 ID:PVriolNO0
ワルプルギス「キャハハハハハ!!」ガガガガッ!!

まどか「ほらほら!そんなに瓦礫を降らせたって全っ然当たらないよ!」ヒョイヒョイ

ワルプルギス「アーッハッハッハッハッ!!」ドガガガガガガガガ!!

まどか「数を増やしたって当たらないよ!ダメダメダメ!ほーらほーら!」スーイスイ
ワルプルギス「アハ……ハ!」イラッ

さやか「凄い……避けきってる!」

マミ「今のうちに私たちも仕掛けるのよ!ティロ・フィナーレ!」ズドォォォォン!

杏子「おう!行くよ!」

ほむら「(ダメ……こんなことを繰り返したところで、すぐ限界がきてしまう……!)」

800: 2012/03/06(火) 23:55:27.40 ID:PVriolNO0
──30分後

ワルプルギス「キャハハハハハ!!」

さやか「も、もーダメ……これ以上戦えないよ」
杏子「くっそ……不氏身かよ!あいつは!」
マミ「私も、もうダメ……!」

ほむら「(やっぱり……消耗戦を仕掛けたところで、持久力が違いすぎる)」

まどか「はぁ、はぁ……まだまだ」ヒュッ

ほむら「(まどかも、もう全速力で動き続けられてない……このままじゃ)」

ゴオッ……!

まどか「あ……(瓦礫が、頭上に……!)」

ほむら「ま……まどかぁぁぁぁッ!」

──そのとき、ふしぎなことがおこった
パキィィィィィン!!

まどか「……あれ?私……生きてる?」
マミ「何、あれ!鹿目さんが光ってる!」

杏子「いや、あいつのペンダントが強く光ってるんだ!」
まどか「これは、ママから受け取ったお守り……私を守ってくれた?」
ゴゴゴゴゴゴ……!
さやか「今度はなに!地響き!?」

821: 2012/03/07(水) 00:19:13.14 ID:b9XlbhDZ0
ズズズズズズ……!

マミ「水の中から……何かが来るわ!」

バシャアアアアアン!!

?「君かい?アトランティスの守り石を発動させたのは」

まどか「は、はい……あなたは?」

?「僕はアトランティスからやってきた正義の使者!N(ネオスペーシアン)・アクア・ドルフィンさ!」

マミ「い、イルカ人間!?」

さやか「キモっ!」

まどか「そ、それでどうしてここに……!」

キモイルカ「君のその『石』の輝きはアトランティスの仲間の危機を知らせる合図さ。仲間を連れて助けにきたよ!」

魚類達「ギョギョーッ!!」

四人「な、なんだってー!」

830: 2012/03/07(水) 00:26:10.71 ID:b9XlbhDZ0
まどか「で、でも私はアトランティスの事もあなた達も知らないし……どうして、助けにきてくれたんですか?」

キモイルカ「その石は、知久さんのものだろう?僕たちは昔、彼にとてもお世話になったんだ……だから、少しでも恩返しがしたいと思って。君は知久さんの娘さんかい?」

まどか「は、はい」

さやか「まどかのパパって、いったい何者なんだ……。」

キモイルカ「さあ、いくぞみんな!僕たちのワクワクを見せつけてやれ!」

魚類達「ギョギョーッ!」

843: 2012/03/07(水) 00:43:13.51 ID:b9XlbhDZ0
キモイルカ「いくぞ!コンタクト融合だ!」

魚類達「ギョギョォーッ!!」

杏子「融合ったって……群れてるだけじゃん!」

ババババババ……!

マミ「いや……違うわ!魚達が、空中でなにかを形作っていく……。」

さやか「なんだっけ……似たようなの、国語の教科書で見たことあるぞ、たしか……。」

ほむら「……スイミー」

まどか「すごい……まるで巨大な1匹の魚……!」

キモイルカ「そう。僕たちは一匹一匹は弱い魚でも、力を合わせることで大きな魚を形作り……強い敵に立ち向かう事ができる!これが結束の力だ!」ドン☆

ワルプルギス「ア、アァ……!」タジ……。

キモイルカ「さあ、来るなら来い!相手になるぞ!」

ワルプルギス「キャ……キャー!」スタコラピュー

杏子「わ、ワルプルギスが、逃げた……?」

さやか「と、言うことは……!」

マミ「やった!勝ったのよ!見滝原を守ったのよ!私達!」
ほむら「(まさか、こんなことが……。)」

853: 2012/03/07(水) 01:08:04.12 ID:b9XlbhDZ0
まどか「ありがとうございます、アトランティスのみなさん」

キモイルカ「なに、これくらいお安い御用さ。知久さんによろしくいっておいてくれ」ジャボーン

まどか「帰っちゃった……。」

ほむら「全て……終わったわね」

杏子「なーに言ってんのさ。ワルプルギス追っ払っただけでしょ?」

ほむら「え?」

マミ「そうそう、私達、もうほとんどグリーフシード使い切っちゃったし……。」
さやか「おまけにあたしは仁美と恭介のことが……あぁ!ソウルジェムが濁る!」
杏子「テメェ、このまま魔女になったらぶっ飛ばすぞ!」
さやか「だ、大丈夫だよ!さすがに二回も魔女にはならないって!」
まどか「魔女になったら、また連れ戻してあげるからね」
さやか「何か!そんなに魔女にしたいのか!?」

ワイワイガヤガヤ ギャーギャー ズギュンッ!
ほむら「……。」フッ
マミ「どうしたの?暁美さん。ニコニコしちゃって……。」
ほむら「ううん、何でもない」

ただ……ようやくあの悪夢のような夜を、一人も欠けずに越えられたんだと思うと、笑みがこぼれずにはいられなかった。そして、何より大切なのは……。

まどか「それにしても、パパって何者なんだろう……。」
まどかを守れたこと。私のよく知っているまどかとはちょっぴり姿形が違うけれど、私のよく知るまどかと同じ笑い声を聞くだけで、私の心には爽やかな潮風が吹き渡るのであった。


859: 2012/03/07(水) 01:11:40.89 ID:b9XlbhDZ0
終わり
即興なので話の流れがおかしいのは勘弁してください

861: 2012/03/07(水) 01:11:55.25 ID:eEwc9LZT0
面白かった!

862: 2012/03/07(水) 01:12:01.14 ID:DFHepPyh0

感動的な場面なのにこの微妙なモヤモヤwwwwwwww

引用: ほむら「まどかがマグロだった……。」