1:2009/06/21(日) 20:29:01.62 ID:wREbfYCuO
ポロッ
翠星石「あぁー!また翠星石の箸から煮豆が転がっていっちまったですー!」
雛苺「翠星石はぶきっちょさんね。ヒナはお箸使うのくらい楽勝なのよ」ヒョイパク、ヒョイパク
翠星石「ぐぬぬー、ちび苺のクセに生意気ですー!今度こそ……あっ!」ポロッ
5:2009/06/21(日) 20:35:35.21 ID:wREbfYCuO
のり「翠星石ちゃん、無理せずこっちの滑り止めつきのお箸を使ったら……」
翠星石「嫌です!翠星石はこっちの可愛いお箸が良いんです!そんな可愛くないデザインの箸を使うなんて、死んでもお断りです!だいたい、ちび苺がごときが普通の箸を使ってるのに、滑り止め付きを使うなんて、この翠星石のプライドが許さんです!」
真紅「まったく、お箸くらいでいちいち騒がしいわね。本当に下らないのだわ」
翠星石「滑り止め付きの箸さえ使えなくて未だにフォークとスプーンで飯食ってる超不器用ドールは黙ってろです!」
真紅「なっ!私は不器用じゃないのだわ!ただフォークとスプーンを使って食べるのが好きなだけで……だいたい、箸なんてナンセンスなのだわ!」
翠星石「へーへーそうですか。一生そやって吠えてろです」
真紅「くうぅ……」
ジュン「うるさーい!飯くらい静かに食わせろー!!!」
10:2009/06/21(日) 20:42:53.72 ID:wREbfYCuO
食後
翠星石「んしょ、んしょ」
ジュン「ん?性悪人形、何やってんだ?」
翠星石「見て分からんですかちび人間。翠星石はお箸の練習をしてるです!」
ジュン「れ、練習?」
翠星石「そうです。こうやってお箸を開いて……」クパァ
翠星石「閉じてを繰り返して、もっと上手にお箸が使える様に練習してるんですよ」カチ
18:2009/06/21(日) 20:47:47.68 ID:wREbfYCuO
ジュン「練習ねぇ……雛苺に負けたのがそんなに悔しいのかよ」
翠星石「当然ですぅ!ちび苺ごときにいつまでも偉そうな顔させてられんです!にっくき煮豆をお箸で上手に挟める様になるまで特訓あるのみです!」
ジュン「やれやれ……ちょっと待ってな」
翠星石「戸棚なんか漁って何やってるですか、ジュン?」クパァ
25:2009/06/21(日) 20:55:43.68 ID:wREbfYCuO
ジュン「確かここに節分の時に使った豆の残りが……お、あったあった」
ジュン「あとは皿を二枚用意してと」
翠星石「そんなもんで何をやろうってんですか、チビ人間?」
ジュン「まあ、見てろよ。片方の皿に豆を何個かいれて……」ジャラジャラ
翠星石「フンフン」
ジュン「ちょっと箸、貸してくれ」
翠星石「はいです」
27:2009/06/21(日) 20:59:54.64 ID:wREbfYCuO
ジュン「この豆を箸で掴んで……」
ジュン「こっちの皿にうつす」コロン
翠星石「おお、流石に器用です!上手い事やるもんです!」
ジュン「これを繰り返してやれば、ゲーム感覚で楽しみながら箸の使い方が上手くなると思うぞ」
翠星石「凄いです!これは良い事を聞いたです!感謝するですよ、ジュン!」
ジュン「べ、別にこんなの感謝される程大した事じゃないよ。それに、飯の時間にいちいち騒がれたら迷惑だから、ただそれだけで……」
翠星石「ジュン……よーし、さっそく翠星石もやってみるです!」
30:2009/06/21(日) 21:04:53.25 ID:wREbfYCuO
翠星石「まずは、お箸を開いて……」クパァ
翠星石「お豆をつまむ」グッ
翠星石「そしてこっちのお皿に……」プルプル
翠星石「あっ……あぁ!」ポロ
翠星石「落っこっちまったですぅ」シュン…
ジュン「まあ、最初から上手くやろうなんて無理さ。少しずつ慣れていくしかないよ」
翠星石「そうですね。もう一回やってみるです」
36:2009/06/21(日) 21:08:58.48 ID:wREbfYCuO
ジュン「とりあえず、一分間に何個の豆を移せる様になるか目標を決めてやってみたらどうだ」
翠星石「よし!それじゃあ、一分間に10個のお豆を移せるようになるのを目指すです!」
ジュン(志し低いな)
翠星石「よーし、ガンバるですよー!」
こうして、翠星石の辛い特訓の日々は始まった……
37:2009/06/21(日) 21:15:12.27 ID:wREbfYCuO
次の日、リビングにて
翠星石「よっ……ほっ」コロン
翠星石「よっ……あぁっ」ポロ
ジュン「お、やってるな翠星石。調子はどうだ?」
翠星石「あ、ジュン。ダメですぅ、全部移しきるのに5分以上かかっちまう上、三個に二個は落としちまうですよ」
ジュン(三個に二個って……落とす方が多いじゃないか)
翠星石「でも、まだまだ始めたばっかりです。どんどんチャレンジして必ず上手くお箸が使える様になって見せるですよ!」
ジュン「ああ、頑張れよ」
40:2009/06/21(日) 21:21:49.01 ID:wREbfYCuO
三日後
翠星石「よっ……ほっ」コロン
翠星石「よっ……ほっ」コロン
翠星石「! やったです!遂に二個、連続で移すことに成功したですよ!」
ジュン「お、今日もやってるな翠星石」
翠星石「あ、ジュン!聞いてくれです!翠星石は遂に二個連続でお豆を移動させる事に成功したですよ!」
ジュン「おお、やったじゃないか」
翠星石「目標タイムをクリアする日も遠くないです。ちび苺より上手にお箸が使える様になるのも時間の問題ですよ!」
ジュン「そうだな。頑張れよ」
翠星石「ハイです」
43:2009/06/21(日) 21:27:10.60 ID:wREbfYCuO
数日後
翠星石「よっ……ほっ」コロン
翠星石「よっ……ほっ」コロン
ジュン(翠星石の奴……今日も頑張ってるな)
翠星石「よっ……ほっ」コロン
ジュン(僕も負けてられないな。早く復学出来る様に、もっと勉強頑張らないとな)
翠星石「よっ……ほっ」コロン
46:2009/06/21(日) 21:32:03.73 ID:wREbfYCuO
ガチャ
ジュン「あれ、真紅。部屋の隅っこで何やってるんだ?」
真紅「ジジジジュン!?なっ何でもないのだわ!」カチャカチャ
ジュン「ん?なんだ今の音。今、何か隠さなかったか?」
真紅「何も隠してないし、何の音もしなかったわよ?気のせいじゃなくて?あ、そうだわもうすぐ、くんくんの始まる時間だから下に行かなくっちゃ!それじゃあ、失礼するわねジュン。オホホホホ……」
ジュン「……何だアイツ?くんくんの時間まではまだ十分あるのにあんなに慌てて」
ジュン「痛てっ!なんか踏んだぞ!?……これは豆?なんでこの部屋に豆があるんだ?」
その頃キッチンでは
のり「あらぁ?真紅ちゃんのお箸とお皿が二枚足りないわ。どこいっちゃったんだろう?」
50:2009/06/21(日) 21:39:48.83 ID:wREbfYCuO
更に数日後
翠星石「よっ……ほっ」コロン
ジュン「翠星石、紅茶を淹れたからちょっと休憩しないか?」
翠星石「ありがとうです。戴くですよ」
ジュン「調子はどうだ?」
翠星石「ダメですぅ。10個のお豆を落とさず全部、違うお皿に移す事は出来る様になったんですけど、60秒の壁がどうしてもやぶれないです。速くやろうとすると、お豆が落っこっちまうです。どうしたらいいんでしょうかねぇ」
ジュン「うーん、箸の持ち方が悪いんじゃないかな。ちょっと持ってみろよ」
翠星石「はい」
52:2009/06/21(日) 21:45:46.96 ID:wREbfYCuO
ジュン「やっぱりちょっと変だな。こうやって持ってみろよ」
翠星石「こうですか?」
ジュン「違うちがう。そうじゃなくて、もっとこう……」ギュ
翠星石「え!?あ、あの……ジュン?////」
ジュン「え?あっ!……ゴ、ゴメ…ッ…手にぎっちゃって」
翠星石「い、いえ。良いんですよ」
ジ・翠「……////」ドキドキ
55:2009/06/21(日) 21:50:35.61 ID:wREbfYCuO
ジュン「あ……僕、もう行くな。僕も部屋で勉強しないと。頑張れよ、翠星石」
翠星石「あ、はい……ありがとうです。ジュンも頑張るですよ」
その後もしばらく翠星石の特訓は続いた。
ジュンもその姿を優しく見守り続けていた。
血のにじむ様な努力の甲斐あって、翠星石は少しずつ、だが確実にお箸の腕を上げて行った。
そして、特訓開始から約一ヶ月の時がたち、遂にこの日が来た。
57:2009/06/21(日) 21:56:05.32 ID:wREbfYCuO
翠星石「やったです!遂に翠星石は一分で10個のお豆を移すことに成功したです!」
ジュン「凄いじゃないか翠星石!おめでとう!」
翠星石「ジュン、ありがとうです!」だきっ
ジュン「うわっ翠星石!?」
翠星石「あっごめんなさいです……その……嬉しくてつい////」
ジュン「いや、良いんだよ別に////」
ジ・翠「……////」ドキドキ
59:2009/06/21(日) 22:01:45.43 ID:wREbfYCuO
翠星石「ここまでやれたのもジュンがずっと応援してくれたおかげですよ」
ジュン「何言ってんだよ。僕は何もしてないさ。全てお前が努力した結果だよ」
翠星石「ジュンの応援が無かったら翠星石はここまで頑張れなかったです。だから、本当に感謝してるですよ」
ジュン「……翠星石」
翠星石「よし、それじゃあ早速ちび苺と勝負するです」
ジュン「もうやるのか?」
翠星石「ちび苺より上手にお箸を使える様になった事を見せつけてやるですよ。奴はどこです?」
61:2009/06/21(日) 22:07:45.49 ID:wREbfYCuO
ジュン「雛苺なら姉ちゃんと台所に……」
翠星石「やい、ちびいち……」
雛苺「ねぇのり~、見てみて~」ヒョイヒョイ
のり「あら、すごい。白髪ネギをお箸だけで均等に同じ量を取り分けて」
ジ・翠「!?」
ジュン「す、スゴいなあいつ」ヒソヒソ
翠星石「べ、別にたいした事ないです。今なら翠星石だってあれくらい出来るですよ……たぶん」ヒソヒソ
63:2009/06/21(日) 22:11:59.02 ID:wREbfYCuO
雛苺「重さだってみんな同じなのよ。量ってみて~」
のり「すごい……みんなピッタリ10gだわ」
雛苺「えへへ~、ヒナこれくらい目隠ししてても出来るのよ」
翠星石「(゚Д゚)」
ジュン(どこの中華料理人だよ……)
64:2009/06/21(日) 22:14:45.57 ID:gV4cw7LRO
どこの職人だよwwwww
65:2009/06/21(日) 22:16:53.49 ID:wREbfYCuO
ジュン「おい翠星石。どうするんだ」ヒソヒソ
翠星石「あ、あんな事出来ても関係ないです。お豆のつかみ方ならきっと翠星石の方が上ですよ!お豆のお皿移しで勝負するです!」ヒソヒソ
プ~~~~~ン
のり「あら、ハエが飛んでるわ」
雛苺「もう、うるさいハエなの。えいっ」
プ~~………
翠星石「( Д )゚ ゚」
ジュン(あいつ、飛んでるハエを箸で!?)
67:2009/06/21(日) 22:20:57.76 ID:wREbfYCuO
雛苺「これで邪魔なハエはいなくなったの。お料理続けましょ、のり」
のり「ええ、ありがとうヒナちゃん」
ジュン「おい、どうするんだ?あいつと勝負するのか?」
翠星石「い、今の翠星石じゃとても奴には勝てんです」
翠星石「……でも」
翠星石「もっともっと修行を積んでいつか必ず奴に一泡吹かせてやるですっ!」
完
69:2009/06/21(日) 22:22:02.28 ID:LwLef1iDP
乙
いいほのぼのだったわw
70:2009/06/21(日) 22:23:39.13 ID:wREbfYCuO
おまけ1
真紅「くっ……」
「や、やったわ!遂にお箸で豆をつかめたのだわ!」プルプル
「後はこれをこっちのお皿に……あっ」ポロ
「…………」ウルウル
「わ、私は誇り高きローゼンメイデン第5ドール真紅。こんな事では泣かないのだわ」グシグシ
74:2009/06/21(日) 22:28:09.80 ID:wREbfYCuO
おまけ2
金糸雀「みっちゃ~ん。これ見て~」
みつ「なぁに、カナ?あら、ボトルシップじゃない。どうしたのそれ」
金糸雀「みっちゃんが空けたウイスキーのボトルにカナが作ったかしら。長い竹串をこう、お箸みたいに使って部品を中で組み立てたかしら」
みつ「へぇ~すごいじゃない」
金糸雀「このハンナ号は18世紀にジョージ・ワシントンが作った海軍で使われた船かしら。明日はコロンブスがアメリカ大陸を発見した時に乗っていたサンタマリア号を作るかしら」
みつ「そう、頑張ってね」
金糸雀「かしら♪」
75:2009/06/21(日) 22:33:07.69 ID:wREbfYCuO
おまけ3
一葉「……あー、蒼星石?」
蒼星石「なんですマスター?」
一葉「その……鋏を使って食事をするのはどうにかならんのかね」
蒼星石「何を仰るんですかマスター!この鋏は僕の大切な相棒みたいな物です。これ以外の物を使って食事をするなんてあり得ません!」
一葉「そ、そうかね」
蒼星石「そうですよ……ズルズル、うーん、美味しい♪」
一葉(蕎麦を鋏で……こやつできる!)
78:2009/06/21(日) 22:38:02.28 ID:wREbfYCuO
おまけ4
めぐ「水銀燈、食事が来たわ。食べていいわよ」
水銀燈「ええ……あっ」ポロ
めぐ「水銀燈ったら相変わらずお箸使うのへたっぴねぇ」
水銀燈「うるさいわね!箸なんてナンセンスよ!なんで日本人はこんな棒っきれ二本で食事するのかしらぁ。頭おかしいわよ。スプーンやフォークの方がずっと合理的だわぁ」ブツブツ
めぐ「もう、また文句言って。スプーンもフォークも壊れちゃったんだから仕方ないじゃない。ほら、今日も私が食べさせてあげるからあーんして、あーん」
水銀燈「うぐっ……しょうがないわね。あーん」
めぐ「どう、美味しい?」
水銀燈「……不味いわよ////」
めぐ(スプーンもフォークもぶっ壊しといて良かった)
おまけ終わり
80 :2009/06/21(日) 22:46:08.11 ID:wREbfYCuO
ありがとうございました
82:2009/06/21(日) 22:51:33.30 ID:XSfaEYAi0
乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります