4: 2024/07/28(日) 21:41:30.25 ID:NAN0wsYz0.net
いつもの部室

栞子「こんにちは…ん?」

かすみ「ん〜……困ったなぁ」

栞子「かすみさん?」

かすみ「わっ、しお子!!?びっくりするじゃん。急に声かけないでよ」

栞子「かすみさん、お一人ですか?」

かすみ「うん。まだ、誰も来てないよ」

栞子「そうですか。珍しいですね」

かすみ「そんな事ないよ。しお子達が入部する前はいっつも、かすみんが一番乗りだったんだから。エマ先輩は3年だし、しず子は部活掛け持ちだからね〜。せつ菜先輩は神出鬼没だったしさ〜」

栞子「そうなんですね。で、何か困ってたんですか?」

かすみ「え?なんで?」

5: 2024/07/28(日) 21:45:46.66 ID:NAN0wsYz0.net
栞子「困ったな〜って言ってたので」

かすみ「え?言ってた?」

栞子「はい。はっきりと」

かすみ「そ、そっか」

栞子「それで…困り事は…」

かすみ「う〜ん」

栞子「言い辛い事ですか?」

かすみ「うん」

栞子「そうですか。話したくないので、あれば無理には聞きませんが。何か力になれるのであれば言ってください」

かすみ「……怒らない?」

栞子「怒られる様事なんですか…」

7: 2024/07/28(日) 21:48:41.12 ID:NAN0wsYz0.net
かすみ「いや…やっぱり、やめとく」

栞子「待ってください。それを聞いて、はいそうですかとはいきませんよ」

かすみ「え〜……じゃあ…怒らないって約束して」

栞子「怒りません」

かすみ「じゃあ、言うよ」

栞子「はい」

10: 2024/07/28(日) 21:54:00.91 ID:NAN0wsYz0.net
かすみ「これ、使って来たの。新作」

ドサッ

栞子「パン…ですか…上手に出来てますね」

かすみ「でしょ?凄く上手に出来たんだよ」
 
栞子「はい。で、これが?」

かすみ「中身さ、生クリームとかカスタードとか入れたんだけど……一つ、イタズラでカラシを入れたのね」

栞子「…なんで、そんな事するんですか?」

かすみ「食べた人、どんな顔するかなと思って」

栞子「はあ…まあ、それは一旦置いときますが……まさかと思いますが…どれがカラシ入りか分からなくなったとか?」

かすみ「正解!」

栞子「えぇ…」

13: 2024/07/28(日) 22:00:34.04 ID:NAN0wsYz0.net
かすみ「困るでしょ?」

栞子「いや、でも注入口を見れば」

かすみ「ふふっ。ちゃんとバレない様にクリームとクリームの間にカラシがいくように考えてやってるから」

栞子「そんな所ばかりに気を遣って…」

かすみ「ふふっ。せっかく美味しそうに出来てさ、ちぎって中身確認するのも嫌だし…」

栞子「なんと言っていいのか…」

かすみ「と言う事でさ、しお子食べる?」

栞子「いや…」

かすみ「誰かがカラシ入りを食べてくれないと、私も食べれなの。大丈夫、確率は1/13だから!」

栞子「じゃあ、かすみさんが食べればいいじゃないですか」

15: 2024/07/28(日) 22:05:32.43 ID:NAN0wsYz0.net
かすみ「え?嫌だよ。カラシ入り食べてくないもん。かすみんは誰かがカラシ入りを食べてからにするよ」

栞子「よく平然とそんな事いいますね。凄いです」

かすみ「そうかな?」

栞子「はい。凄いと思います。その発言の後に私が食べると思いますか?」

かすみ「だよね〜」

18: 2024/07/28(日) 22:09:20.48 ID:NAN0wsYz0.net
栞子「はい。言ってる事無茶苦茶ですよ」

かすみ「そんなの分かってるよ」

栞子「分かってて言ってるのであれば尚のこと凄いです」

かすみ「あ〜侑先輩とかエマ先輩とか悪意に鈍感な人来ないかなぁ」

栞子「酷い…」

かすみ「いや、だってさ果林先輩とかミア子とか変に鋭いじゃん?」

栞子「そう言う事を言ってるのではなくてですね」

20: 2024/07/28(日) 22:19:44.59 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「ボクがどうしたって?」

かすみ「わっ、ミア子!!!?だから、なんで、いきなり現れるのさ」

ミア「何が?」

栞子「…実は」

かすみ「しお子ストップ!!!

栞子「え?」

かすみ「ミア子、これ食べる?」

ミア「どう見ても怪しいんだけど」

かすみ「そんな事ないよ」

ミア「ボクの事をバカだと思ってるのか?そんなんで納得する訳ないだろ」

かすみ「ほらね?変に鋭い」

栞子「至って普通の反応だと思いますよ」

23: 2024/07/28(日) 22:25:41.08 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「どう言う事なんだよ?」

栞子「え〜…かくかくしかじかで」

ミア「…へ〜」

かすみ「なんで言っちゃうの!!」

栞子「もう半分バレてるようなものでしょう」

かすみ「ミア子…」

ミア「バカじゃないの?」

かすみ「バカじゃないよ」 

ミア「バカだろ。いや、バカじゃ表現しきれないな。なんかもっと…とにかく酷いな」

かすみ「そこまで言わなくてもいいじゃん」

ミア「言っておくけど、ボクは食べないからな」

かすみ「え〜上手に出来たのに?どうするのさ?」

ミア「自分の撒いた種だろ。自分でなんとかしなよ」

25: 2024/07/28(日) 22:30:31.73 ID:NAN0wsYz0.net
栞子「そうですね。諦めて…」

ミア「いや、待てよ」

栞子「え?」

ミア「ランジュに食べさせよう」

栞子「ランジュに?」

ミア「うん。カラシ入りが当たるまで、ランジュに食べさせるんだ。ランジュなら疑わずに手に取るだろ?ランジュは自分が騙されるなんて、考える様な人間じゃないからね」

かすみ「なるほど!それは名案だね!」

栞子「待って下さい。いくら、相手がランジュでもそんな酷い事…」

27: 2024/07/28(日) 22:38:01.72 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「思い返してみなよ。栞子だって沢山ランジュに振り回されて来たろ?」

栞子「いや…ですけど…」

ミア「よ〜く思い返すんだ」

栞子「うっ…確かに…あの時も、あっ、あの時も…この間も…」

ミア「だろ?」

栞子「そうですね。たまには良いかもしれません」 

30: 2024/07/28(日) 22:47:11.35 ID:NAN0wsYz0.net
歩夢「いや、ダメだよ」

栞子「え?」

ミア「へ?」

かすみ「だから、急に現れないでください」

歩夢「そんな事言われても…ちょっと前から居たんだけど」

かすみ「ちょっと前って?」

歩夢「本当にちょっと前だよ。栞子ちゃんがミアちゃんに全部説明してた辺り」

かすみ「それ結構前から居たって事ですよね?存在感消してたって事ですか?そんな事出来るんですか?忍者かなんかなんですか?」

歩夢「忍者じゃないよ」

かすみ「知ってますよ」

栞子「歩夢さん…その…」

歩夢「いくら、ランジュちゃんでもそんな事されたら悲しむと思うよ」

栞子「そうですけど」

ミア「少しくらい泣かせた方がいいよ」

かすみ「全くです」

歩夢「かすみちゃんはどの立場でそれを言えるの?」

33: 2024/07/28(日) 22:52:36.23 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「まあ、かすみが酷いのは確かだけど」

かすみ「そんな事ないよ」

ミア「ランジュはかすみと違ってただのバカではないからさ。仕返しが出来る時にやっておかないと」

かすみ「ちょっと待って。かすみん、バカじゃない」

ミア「バカだからこんな事になってるんだろ」 

かすみ「うっ…」

歩夢「まあまあ。落ち着いて」

34: 2024/07/28(日) 22:54:52.73 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「とにかく、止められてもボクは復讐するよ」

栞子「復讐って…話が壮大に…歩夢さん、違いますよ。私はそこまでは」

歩夢「うん」

ミア「歩夢が来たって事はそろそろ、ランジュも来るだろう?」

35: 2024/07/28(日) 22:59:08.19 ID:NAN0wsYz0.net
ガチャ

愛「オッツー」 

ランジュ「もう皆んな揃ってるかしら?」

ミア「ほら、来た」
 
愛「え?何?」  

ミア「いや、愛じゃなくて、ランジュの方なんだ」

ランジュ「私?何かしら?」

36: 2024/07/28(日) 23:06:25.21 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「あのさ、実は…かすみがパンを作って来て。ね?」

かすみ「そうですよ」

愛「お〜美味しそう」

ランジュ「上手に焼けてるわね」

ミア「せっかくだから、貰いなよ」

愛「そうだね。頂こうかな〜」

ミア「いや、ストップ!」

愛「へ?」

ミア「ランジュにだから」 

ランジュ「わたしに?」

愛「そうなの?」

かすみ「いえ、かすみんは別にランジュ先輩には拘りませんけど」

愛「どう言う事?」

38: 2024/07/28(日) 23:09:19.56 ID:NAN0wsYz0.net
ミア「いや…」

栞子「実は…かくかくしかじかで」

ミア「ちょっ…なんで言うんだよ」

栞子「やっぱり間違ってると」

歩夢「そうだよ」

ランジュ「面白そうね!」

栞子「そうでしょう?…え?」

ランジュ「ひとつハズレが入ってるのね!よ〜し、どれにしようかしら」

ミア「あっ、自分から進んで」

かすみ「やっぱり、変わってますね、ランジュ先輩って」

46: 2024/07/29(月) 12:29:33.04 ID:G1drXyjc0.net
ランジュ「どれにしようかな〜」

栞子「本当に食べるんですか?」

ランジュ「え?どうして?」

栞子「どうしてって」

ミア「いいから。早く食べなよ」

49: 2024/07/29(月) 18:43:00.89 ID:kp0LEgse0.net
歩夢「ランジュちゃん」

ランジュ「なに?」

歩夢「食べるのはいいの。でも、私はミアちゃんやかすみちゃんが友達を騙す所を見たくないの」

ランジュ「って言ってるけど?」

ミア「いいから早く食べなよ」

歩夢「えぇ…」

栞子「大丈夫です。歩夢さんの優しさは私には伝わってますから」

50: 2024/07/29(月) 18:46:27.23 ID:kp0LEgse0.net
ランジュ「頂きます!」

歩夢「あっ」

かすみ「どうですか?」

ランジュ「美味しいわよ」

ミア「ちっ、ハズレか」

栞子「いや、あたりでは?」

ランジュ「凄く美味しいわ。かすみ、才能あるんじゃない?」

かすみ「え?そうですか?」

ミア「そんなのどうでもいいから、もう一個食べなよ」

ランジュ「え?もう食べないわよ」

52: 2024/07/29(月) 19:48:51.77 ID:qgH1XUzX0.net
ミア「な、なんで?」

かすみ「お腹いっぱいなんですか?」

ミア「バカな。ランジュはよく食べる方なんだ。そうか、かすみの作ったパンがイマイチだったんだな」

かすみ「なんでよ!さっき、美味しいって食べてたじゃん」

54: 2024/07/29(月) 19:55:34.97 ID:qgH1XUzX0.net
ランジュ「私一人で食べたら意味ないじゃない」

ミア「なっ、ランジュからそんな言葉が出るなんて。いつから人に分け与えるなんて事が出来るようなったんだ」

ランジュ「ねえ?流石にバカにされてるわよね?」

栞子「まあ…」

ランジュ「あのね、ロシアンルーレットは一人でやるものじゃないでしょ?」

ミア「は?」

ランジュ「私は食べたんだから、次は他の人の番じゃない」

56: 2024/07/29(月) 20:33:25.98 ID:qgH1XUzX0.net
ミア「いや、これはロシアンルーレットじゃなくて」

ランジュ「一人で食べたら絶対にランジュがハズレを引くじゃない」

ミア「そうだよ。ランジュに食べさせたいんだよ」

ランジュ「なんで?」

ミア「ランジュがハズレを引いて悶絶してる所をみたいからだよ」

ランジュ「性格歪んでるわね〜」

ミア「ランジュにだけは言われたくないよ」

栞子「ランジュは真っ直ぐに自分勝手なんです」

59: 2024/07/29(月) 20:46:38.02 ID:qgH1XUzX0.net
ランジュ「そうよ!」

歩夢「そんな肯定する事じゃないよ」

かすみ「まーいいですよ。で、愛先輩は食べませんか?」

愛「う〜ん。今のやり取り見てるとなぁ」

かすみ「先に食べた方がいいですよ。辺りが多いうちに食べた方がハズレ引く可能性低いんですから」

ミア「は?」

かすみ「え?」

63: 2024/07/29(月) 20:53:45.80 ID:qgH1XUzX0.net
ミア「先に食べようが後から食べようがハズレを引く確率は変わらないだろ」

かすみ「変わるでしょ。だって、最初は当たりが12個もあるんだよ?絶対に最初に引いた方がいいじゃん」

ミア「こんな事言ってるけど」

愛「あはは。ま〜気持ちは分かるよ。なんか、最初に引いた方が安心感があるよね」

かすみ「気持ちの話をしてるんじゃなくて確率の話をしてるんですけどね」 

65: 2024/07/29(月) 21:08:03.38 ID:qgH1XUzX0.net
ランジュ「かすみは直感で生きてるのね」

かすみ「は?なんですか?」

栞子「ランジュもですけどね」

ランジュ「そりゃそうよ」

歩夢「ランジュちゃんって迷いがなさそうで、なんかいいよね」

かすみ「あっ!良い事考えました!」

愛「良い事?」

ミア「絶対良い事じゃないよ。かすみみたいなタイプが思い付く良い事は絶対にくだらない事だよ」

かすみ「なんでそんな事言うの。そうやって噛みついてばかりいると周りが敵だらけになるよ」

ミア「こんなイタズラする奴に言われたくないけどね」

66: 2024/07/29(月) 21:13:14.47 ID:qgH1XUzX0.net
かすみ「かすみんの提案聞いたらそんな事言えないよ」

栞子「では、その提案とは?」

かすみ「動画配信しましょう」

歩夢「動画配信?」

かすみ「そうです。こう言うのバラエティの企画とかでよくあるじゃないですか。それを可愛いかすみん達がやれば、バズりますよ!」

歩夢「そうかなぁ」

ミア「ボクはむしろ逆だと思うな」

かすみ「なんで?」

ミア「今のジャパンでこんな事やったりしたら、食べ物を粗末にするなとか言って炎上するんじゃないか?で、問題になって、かすみは退学。グッバイだね」

68: 2024/07/29(月) 21:42:47.23 ID:qgH1XUzX0.net
かすみ「そうかな?」

愛「確かに。ちょっとした事で炎上するからな〜」

かすみ「じゃあ、コメント欄封鎖しちゃえばいいんだ。そしたら、炎上しないですよ」

歩夢「コメント欄を封鎖するって…炎上対策って視聴者の人も分かると思うよ」

ミア「むしろ、ネットニュースとかで記事にされて、そこのコメント欄で炎上だね。スクールアイドルが動画配信で食べ物をおもちゃにして炎上とかね」

かすみ「え、絶対に嫌だ」

69: 2024/07/29(月) 22:10:49.59 ID:qgH1XUzX0.net
歩夢「……どうするの?このパン」

栞子「そうですね」

ミア「よくよく考えたら、かすみが勝手に作って持って来たんだから、ボク達がどうにかする必要はないんじゃない?」

かすみ「うわっ、酷い。仲間が困ってるのに」

ミア「ふっ、知ったこっちゃないね」

ランジュ「も〜普通に皆んなで食べればいいじゃない」

ミア「嫌だよ。なんでそうなるんだよ」

ランジュ「別にハズレを引いたって氏ぬわけじゃないんだから良いじゃない」

かすみ「そうですよ!ランジュ先輩良い事を言いますね」

70: 2024/07/29(月) 22:15:57.68 ID:qgH1XUzX0.net
ランジュ「それとも何かしら?スクールアイドルでテッペン取ろうって人間がたかだかこんな事でビビっちゃってるのかしら?」

栞子「ランジュ…流石にそんな挑発に」

ミア「このボクがビビってるだって?」

栞子「ミアさん…」

歩夢「ミアちゃんってこんなに挑発に弱いんだ」

かすみ「いいぞ!いいぞ!ランジュ先輩もっと言ってやって下さい!」

77: 2024/07/30(火) 19:34:18.50 ID:2rNQOWYp0.net
ランジュ「こんな所で逃げる人間に、鐘嵐珠の相手は務まらないわ」

ミア「くっ」

ランジュ「歩夢も」

歩夢「え」

ランジュ「愛も栞子もかすみも」

愛「なっ」

栞子「……」

かすみ「言いますね」

78: 2024/07/30(火) 19:42:14.24 ID:2rNQOWYp0.net
栞子「ランジュ。そんな、あからさまな挑発に私が乗ると思いますか?」

ランジュ「乗るわよ。私はあなたの事を誰よりも理解してるわ」

栞子「いいでしょう。あなたの挑発にまんまと乗ってあげますよ」

ランジュ「素直じゃないわね。で?あなた達はどうするの?」

歩夢「私は」

愛「いいよ。愛さんもやるよ」

歩夢「じゃあ…私も…」

79: 2024/07/30(火) 19:44:21.91 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「では、どうぞ」

愛「じゃあ、これ」

ミア「ボクはこれにするよ」

歩夢「…これかな」

栞子「……」

かすみ「では、召し上がれ」

ミア「…………かすみは食べないの?!!」

80: 2024/07/30(火) 19:48:37.35 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「誰かがハズレを引いたら食べるよ」

ミア「はあ?何言ってるの」

かすみ「だから、誰がカラシ入りを食べたら、そしたらかすみんも食べるよ」

歩夢「それって自分はカラシ入りを絶対に食べたくないって事だよね」

かすみ「そうですよ。最初からそう言ってるじゃないですか」

ミア「良い性格してるよ。かすみも」

かすみ「うん。性格良いねってよく言われるよ」

82: 2024/07/30(火) 20:25:57.69 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「皆さんはもう手に触れたので、ちゃんと食べて下さいよ。マナーですからね」

歩夢「う、うん」

ミア「マナーの前にモラルを身に付けた方がいいよ」

かすみ「では、せーの」

しおぽむ愛ミア「はむっ」

ランジュ「もっと、勢いよく食べればいいのに」

84: 2024/07/30(火) 20:28:37.69 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「どうですか?」

栞子「私はセーフです」

愛「同じく」

ミア「ボクもセーフだね」

歩夢「私も」

かすみ「そうですか。全員セーフですか」

ランジュ「良かったわね」

85: 2024/07/30(火) 20:34:50.09 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「さて、残りは…」

ミア「ちょっと待ちなよ」

かすみ「ん?なに?」

ミア「何事も無かったかの様に。ボクをチキン野郎だって言った事、謝って貰おうじゃないか」

かすみ「……そんな事一言も言ってないよ」

ランジュ「被害妄想激しいわね」

ミア「言っただろ、その口で。いいから謝れよ」

かすみ「え〜」

ミア「かすみじゃないよ…ランジュだよ」

かすみ「ですって」

ランジュ「なんでよぉ」

ミア「かすみはかすみで謝らせるけど、とにかくランジュ。ボクをバカにした事を謝れ」

ランジュ「分かったわよ。謝謝」

86: 2024/07/30(火) 20:36:42.91 ID:2rNQOWYp0.net
ミア「それは、ありがとうだろ!それくらい、分かるぞ」

かすみ「そうなんですか?」

ランジュ「分かったわよ。ごめんごめん」

87: 2024/07/30(火) 20:54:24.92 ID:2rNQOWYp0.net
ガチャ

果林「なんだか賑やかね」

エマ「ん〜なんか良い匂いがする」

かすみ「あっ、良い所に来ました。これ、食べて下さい」

エマ「え?これ、かすみちゃんが焼いたの?美味しそ〜」

かすみ「でしょう?ささ、食べてください」

栞子「かすみさん」

エマ「じゃあ、遠慮なく」

果林「待って、エマ」

エマ「え?」

かすみ「むっ」

果林「なんか引っかかるわ」

エマ「引っかかる?」

かすみ「な、何がですか?」

果林「分からないけど、私の勘が何か怪しいと言ってるの」

89: 2024/07/30(火) 20:58:54.55 ID:2rNQOWYp0.net
愛「お〜カリン、鋭い!」

かすみ「くっ、さすが勘で生きて来た女…手強いですね」

果林「誰が勘で生きて来た女よ。で?何なの?」

栞子「あのですね…かくかくしかじかで」

果林「ふ〜ん。かすみちゃんらしいわね、ほんと」

かすみ「なんか、思いっきりバカにされてる気がします」

果林「あら?勘がいいじゃない」

91: 2024/07/30(火) 21:10:23.34 ID:2rNQOWYp0.net
栞子「と言う事ですので、無理に食べる必要は」

ミア「ボク等も食べたんだ。もちろん、二人も食べるよね?」

エマ「私は別にいいけど」

かすみ「さすが、エマ先輩!」

果林「ちょっとズルいわよね」

ミア「ズルい?」

果林「だって、あなた達は当たりが多い中で一つ選んだんでしょう?私やエマは当たりの数が少ないのよ。
平等じゃないわ」

ミア「はあ?それじゃあ、かすみと同じ事言ってるじゃないか」

92: 2024/07/30(火) 21:25:40.53 ID:2rNQOWYp0.net
果林「どう言う事よ?」

ミア「だって、13個の中にハズレが一つ。どの順番で取ったってハズレを引く確率は13分の1なんだよ」

かすみ「そんな事ないよ。だって、今は5個減って残り8個じゃん。果林先輩がハズレを引く確率は8分の1だよ」

栞子「それはこの中から引く確率じゃないですか」

ミア「ボク達だって、ハズレを引く可能性はあったんだ。結果として引かなかっただけでさ」

かすみ「言ってる意味が…果林先輩分かります?」

果林「え?まあ…そうね」

ミア「まさか、日本の学校じゃ確率論も教わらないの?」

歩夢「えっと」

愛「習うけど」

せつ菜「一概にかすみさんの言ってる事が間違ってるとは言えませんね」

ミア「は?何言ってんだよ。って、いつの間に」

かすみ「なんで、皆んな気が付いたらいるんですか?」

96: 2024/07/30(火) 22:28:41.18 ID:2rNQOWYp0.net
せつ菜「このパン。元々は13個だったんですよね?」

かすみ「はい」

せつ菜「その中に一つだけワサビ入りの物があると」

かすみ「カラシですよ」

せつ菜「ん…そうですか。まあ、そのカラシ入りの物を歩夢、愛さん、ランジュさん、栞子さん、ミアさんの5人が食べたんですよね。その時点ではそれぞれがハズレを引く確率は確かに13分の1です」

ミア「正確にはランジュが先に食べたけどね」

99: 2024/07/30(火) 22:39:01.59 ID:2rNQOWYp0.net
せつ菜「そこで皆さんは当たりを引いたと申告してるじゃないですか。そうなると、確かに残りは8個でうち一つがハズレ。この中から果林さんとエマさんがハズレを引く確率は8分の1じゃないですか」

かすみ「そうですよ。さっきからそう言ってるのにミア子がケチつけるんです」

せつ菜「ふふっ。そして、私が一つ頂きます」

かすみ「あっ、食べた」

せつ菜「なるほど。でも、答えは言いません」 

かすみ「なんでですか?」

せつ菜「私は食べましたが、当たりかハズレかは言いません。この状況でエマさんと果林さんがハズレを引く確率は8分の1のままでしょう?」

かすみ「……なんでですか?」

せつ菜「え?いや、だって、私が食べた物が当たりかハズレか分からないじゃないですか」

かすみ「当たりでしょ?ハズレを食べてそんな平然としていられる訳ないじゃないですか」

愛「確かに」

102: 2024/07/30(火) 22:45:40.25 ID:2rNQOWYp0.net
ミア「どちらにせよ納得いかないな」

かすみ「ミア子…自分の間違いを認めるのも大事だよ」

ミア「うるさいな、バカは黙ってなよ」

かすみ「バカ?それかすみんに言ってる?」

ミア「せつ菜が言ってるのは結果論じゃないか。ボク等がハズレを引くのを前提とした話だろ?元々は前提条件は一緒。みんな正解が分からない状況で選ぶんだから、確率は13分の1だよ」

せつ菜「いや、ですから。あくまで一概にはと言う事で」

ミア「数学に一概になんて事はないだろ」

104: 2024/07/30(火) 23:15:23.80 ID:2rNQOWYp0.net
かすみ「も〜いいよ。とにかく果林先輩とエマ先輩。どうぞ、食べて下さい」

エマ「じゃあ、頂きます。はむっ」

果林「え?食べるの?」

エマ「ん〜美味しい」

かすみ「自信作ですから」

107: 2024/07/31(水) 20:06:53.81 ID:FvVTRJvS0.net
ミア「美味しいと言う事は」

愛「当たりを引いたんだね」

かすみ「さあ、果林先輩。どうぞ」

果林「私は…」

ガチャ

しずく「ほら、彼方さん。しっかり歩いて下さい」

彼方「う〜ん」

かすみ「来ましたね〜残りのメンバーが。着々と」

しずく「え?何?」

かすみ「さっ、しず子。この中から一つ選んで」

しずく「へ?あっ、じゃあ…」

かすみ「はい。彼方先輩も」

108: 2024/07/31(水) 20:10:34.72 ID:FvVTRJvS0.net
彼方「かすみちゃんの手作り?」

かすみ「そうですよ」

せつ菜「一つだけ中にカラシが入っているんです!」

しずく「え?」

彼方「カラシ?」

ミア「一つだけイタズラで入れたのに、自分でもどれがカラシ入りか分からなくなったんだってさ」

かすみ「そこまで説明しなくていいよ」

しずく「なんでそんな事を…」

110: 2024/07/31(水) 20:15:26.56 ID:FvVTRJvS0.net
かすみ「ほんのちょっとしたイタズラだよ。まあ、ゲームだと思ってさ。食べてよ」

しずく「カラシ入りなんでしょ?」

かすみ「大丈夫だよ。しず子、激辛ラーメンとかチャレンジするじゃん」

しずく「あれはまた違うでしょ」

かすみ「一緒だよ」

111: 2024/07/31(水) 20:23:34.53 ID:FvVTRJvS0.net
彼方「イタズラしようとしてるのに、自分でもどれがカラシ入りか分からなくなっちゃうあたり、やっぱりかすみちゃんだね〜」

しずく「そう…ですね…」

ミア「ある意味天才だよ」

果南「まったくね」

かすみ「も〜そんな事言ってないで早く食べてよ」

彼方「じゃあ、チャレンジしてみようか」

しずく「まあ…皆さんが食べたのであれば…」

彼方「じゃあ、いただきます。はむっ」

しずく「いただきます。パクっ」

112: 2024/07/31(水) 20:27:31.07 ID:FvVTRJvS0.net
かすみ「どう?」

彼方「セーフ」

しずく「私も」

かすみ「二人とも運が良いですね」

ランジュ「となると残りは、かすみ、果林、璃奈、侑の四人ね」

しずく「え?まって、かすみさん食べてないの?」

かすみ「うん。かすみんは最後にするよ」

114: 2024/07/31(水) 20:29:57.02 ID:FvVTRJvS0.net
しすく「最後に…最後までハズレが残ったら食べないつもりでしょ?」

かすみ「え?そんな事ないよ」

ミア「さっきと言ってる事が違うじゃないか」

かすみ「食べるよちゃんと」

しずく「ほんとうに?」

かすみ「本当だよ」

115: 2024/07/31(水) 20:34:03.58 ID:FvVTRJvS0.net
〜10分後〜

かすみ「と言う事でお待ちしてましたよ。侑先輩!りな子!」

侑「いや〜面白そうな事やってるね」

璃奈「りなちゃんボード、ワクワク」

ミア「思いのほか乗り気だった!!!?」

栞子「まさか、ランジュと同じ反応をする人がいるとは」

かすみ「ぶっちゃけ、かすみんもビックリです」

ランジュ「さすが、侑と璃奈だわ」

116: 2024/07/31(水) 20:43:33.81 ID:FvVTRJvS0.net
かすみ「で、果林先輩。まさか、一人だけ食べないなんて言わないですよね?」

果林「……分かったわよ。食べればいいんでしょ?食べれば」

かすみ「そうです。早く食べて…」

果林「パクっ」

かすみ「あっ」

愛「わぁ、勢いがいいなぁ」

果林「うっ」

エマ「か、果林ちゃん?」

ミア「まさか、ハズレを引いたの?」

果林「う…うぅ…」

侑「だ、大丈夫ですか?水を…」

果林「う…うぅ」  

エマ「と、取り敢えず。えっと…トイレ?トイレかどこかいく?」

果林「…」コクコク
 

118: 2024/07/31(水) 20:46:14.50 ID:FvVTRJvS0.net
エマ「じゃあ、私。付き添ってくるね。大丈夫?」

果林「うっ…」

ガチャ バタン

かすみ「なんか、思ってたリアクションと違いました」

ミア「どんなリアクションを期待してたんだよ」

栞子「私には十分苦しそうに見えましたけど」

歩夢「うん。私も」

120: 2024/07/31(水) 20:50:31.74 ID:FvVTRJvS0.net
かすみ「と言う事で、残りの三つは普通のパンです。美味しく召し上がってください」

侑「うん。なんだか、果林さんに申し訳なくなって来たな」

璃奈「うん」

かすみ「何言ってるんですか。正々堂々やったんですから。我々は勝負に勝ったんです!」

愛「正々堂々だったかなぁ」

かすみ「じゃあ、勝利の証として美味しく頂きましょう。はむっ」

侑りな「はむっ」

侑「美味しい!」

璃奈「うん。美味しい」

かすみ「んーーーーーーーーー」

侑「え?」

しずく「かすみさん?」

123: 2024/07/31(水) 20:55:16.27 ID:FvVTRJvS0.net
かすみ「ゴホッ…ゲホッ…辛っ…どうして」

歩夢「カラシ入ってたの?」

かすみ「うっ…はいぃ」

栞子「カラシ入りは一つのはずですよね?果林さんが先に…あっ」

ミア「そうか。果林はカラシ入りを食べてないだ」

ランジュ「なるほど。そう言う事ね。かすみを騙す為に一芝居うったって訳ね」

せつ菜「なるほど。果林さんの方が一枚上手だったと言う事ですか」

126: 2024/07/31(水) 21:00:11.95 ID:FvVTRJvS0.net
ミア「やるな、果林。やっぱり勘が鋭いな。地図が読めなくても、これまで問題なく生きて来れただけの事はある」

しずく「とんだ女優でしたね。果林さん」

かすみ「くっ…やられたぁ」

栞子「かすみさん。これで分かったでしょう?イタズラなんてしても良い事なんて何もないんですよ。全て自分に返ってくるんです」

かすみ「くっ…分かったよ」

栞子「分かって貰えれば結構です」

127: 2024/07/31(水) 21:04:02.34 ID:FvVTRJvS0.net
数日後

かすみ「パン作って来ました!」

しずく「また?」

栞子「今度は前と同じではないですよね?」

かすみ「もちろん。今度は一個以外残り全部にカラシ入れて来た!他の皆んなもかすみんと同じ苦しみを味合わせてやるんだ」

栞子「全然反省してない?!!!」

愛「これぞ、かすかすだねぇ」

128: 2024/07/31(水) 21:04:20.29 ID:FvVTRJvS0.net
おわり

130: 2024/07/31(水) 21:07:36.64 ID:OVwdHzS90.net
おもしろかった乙

引用: かすみ「ドッキリ」