118: 2018/02/11(日) 14:39:10.14 ID:uJrFqwzz0
霊感……少女な楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】ネカフェ生活満喫中な楓さん


119: 2018/02/11(日) 14:44:00.58 ID:uJrFqwzz0
私は小さいころから何かが見えていた

「何か」と例えたのは、他の言葉で例えることができなかったから

あるものは渦を巻いていたり、物体みたいなものだったり、そして、ヒトのようなものだったり

何かが見えた日は一人で眠るのが怖くて、お母さんの布団に潜りこんでいた

「大丈夫、お母さんがいれば怖くないからね」

お母さんの腕に包まれて、頭を撫でられていると、怖さがどこかへ飛んでいってしまったっけ

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
120: 2018/02/11(日) 14:55:03.13 ID:uJrFqwzz0
お母さんが言うには高垣の家はそういうお家なんだって

たまに私みたいに色々見えてしまう人が生まれるって言ってた

私の目の色が違うのもそのせいだって言ってたけど、難しくてわかんない

「でもね、悪いことばかりじゃないと思うわ」

お母さんは私を慰める言葉を探していたのかもしれない

「この綺麗な瞳、これを褒めてくれる人がいた時は、その人を大切にしてあげて」

「うん、わかった」

お母さんが褒めてくれた。うん、ちゃんと言う事を聞かなくちゃ

121: 2018/02/11(日) 15:01:05.76 ID:uJrFqwzz0
私は自分で体験したことや、見えたものことを友達に話すこともあった

それは嘘なんてない本当のことだったのに、私は皆から嘘つき呼ばわりされた

「そんなあるわけないだろ」「お母さんに聞いたら、そんなのないって言ってたぞ」

このくらいなら私も全然傷つかなかったけど

「そういや、お前の目って色が違くて気持ち悪いな」

この言葉は子供心に効いた、それはもうぐっさりと抉られた

言われた瞬間に涙が出てきて、言ってきた男の子をぽかぽかと叩いた記憶がある

122: 2018/02/11(日) 15:06:14.61 ID:uJrFqwzz0
その日は泣きすぎたせいなのか、具合が悪くなって早退した

「何かあったの?」

迎えに来てくれたお母さんが私にそう聞いてくれたけど

「ううん、何でもない……」

お母さんに心配かけたくないって思って、泣くのも我慢してそう答えた



「みんなのばか……わたし、うそついてないのに」

私は家に着くとすぐに布団にもぐりこんだ

そして掛け布団を頭まで被って、布団の中で丸まった


125: 2018/02/11(日) 15:10:56.38 ID:uJrFqwzz0
あのことがあってから、友達と何を話して良いのかわからなくなった

前まで仲良く遊んでいた友達も、何か私のことを思ってるんじゃないのかな? なんて考えちゃって距離が空いちゃう

でも、仲良くなったところで私が本当の事を話すと気持ち悪がられるし、これで良いのかも

なんて思う自分もいたりして、ちょっと複雑だったり

そんな生活が続いて、小学五年生になった時だったと思う

一人の男の子が私のクラスに転校してきた

クラスの中でも身長が一番高かった私より、もっと大きな男の子

126: 2018/02/11(日) 15:19:00.32 ID:uJrFqwzz0
転校生、それだけでクラスの皆からもてはやされる、それに体も大きいから尚更

休み時間は転校生を皆でかこんでたっけ

私はそれを遠くから眺めてるだけ。近づいたら皆が気持ち悪がっちゃうし、転校生にも迷惑かかっちゃうかもしんない

前髪伸びちゃったなぁ、けど、目がちょうど隠れるしこのままでもいっか

前髪をくるくると手で巻いて遊んでいると、誰かが机の前に立っているのに気付いた

また男子に何か言われるのかな? 嫌だな……

127: 2018/02/11(日) 15:24:18.48 ID:uJrFqwzz0
けど、私の予想ははずれることになった

「俺、○○って言うんだ。よろしく」

大きな体だけど、控えめな声

何でほっぺが赤いのかはわかんないけど、私と仲良くなりたいってことで良いのかな?

「うん、私は高垣楓。よろしくね」

私がそう答えると、○○君は笑顔になって握手してきたっけ

体も大きいと、手も大きいんだって思った

128: 2018/02/11(日) 15:30:40.52 ID:uJrFqwzz0
○○君はそれから何かと私に話しかけてくれるようになった

お家のことや兄弟のこと、飼っているわんちゃんのこと

大きな体をめいっぱい使って、面白くお話してくれるから、私は笑顔にされちゃった

私は凄く楽しいんだけど、それ以外にちょっと心配になることがあった

それは、○○君も私みたいに仲間外れになっちゃうんじゃないかってこと

「ねぇ、もう私に話しかけないほうが良いよ」

私が○○君にそう言うと、驚いた顔をして手に持っていたプリントを全部落としちゃった

129: 2018/02/11(日) 15:38:34.84 ID:uJrFqwzz0
「え、なんで?」

○○君の顔はとても悲しそうだった、逆になんで?

「私に構ってると、他の子に嫌われちゃうよ」

「……」

嫌われる。何故かは説明していないけど、なんか説明するのも嫌だった

「ふぅん、そっか」

○○君は何か分かったような顔をした後

「わかった。ライバルいたほうが燃えるし、大丈夫だよ!」

なに言ってるのこの子? 全然だいじょばない

130: 2018/02/11(日) 15:46:59.94 ID:uJrFqwzz0
ある日のこと、○○君が帰る時にいないことに気付いた

おかしいな、一緒に帰る約束してたはずだけど……

十分待ってもやってこない。お家のことで帰っちゃったのかも

私も帰ることにしよう。そう思った時にクラスの男子とすれ違った

「なぁ、本当に大丈夫かな?」「大丈夫だって、ちょっと暗いだけだろ」「けどさ、あそこは入っちゃ駄目だって……」

この単語でぴんときた。ああ、そうか……これも私のせいだもんね

私はランドセルを背負いなおして、目的地を目指して走り出した

131: 2018/02/11(日) 15:54:47.00 ID:uJrFqwzz0
暗くて、入っちゃ駄目な場所……校舎裏の開かずの教室

開かずなんて言ってるけど、ただ立て付けが悪いだけらしい

そこに○○君がいるはず、なんだけど……ちょっと嫌な予感がする

私は開かずの教室に行ったことはないんだけど、この気持ち悪い感じは久しぶり

「○○君、いるの?」

ドアの前から中にいるであろう○○君に声をかける

「楓ちゃん……?」

返事が返ってきてほっとした。待っててね、今開けてあげるから

132: 2018/02/11(日) 16:00:57.12 ID:uJrFqwzz0
えっと……昔の鍵だから、この金属の奴を捻れば開くのかな?

指で掴む部分が丸く加工されてる所を捻ってみる

ぎぃぎぃと金属が擦れる嫌な音と一緒に、少しずつ回り始めた

最後の一回りがとても重かったけど、力いっぱい回す

ばきんって音がしたけど、今はきにしないでおこう

今は○○君のほうがゆーせんだよね?

これもまた開けにくい扉を開けて中に入ると、大きな体を小さくしている○○君を見つけた

133: 2018/02/11(日) 16:10:14.63 ID:uJrFqwzz0
「大丈夫? どっか痛いとこない?」

私がそう言うと、○○君は

「へいき……でも、俺暗いとこ苦手でさ」

あはは、と笑う○○君を見て、私は思わず吹き出しちゃった

「私よりおっきいのに、変なの!」

「う、うるさいな! 苦手なもんは苦手なの」

○○君も元気が出てきたみたいだし、もう帰ろう

外も暗くなってきたし、お母さんが心配しちゃう

134: 2018/02/11(日) 16:16:19.81 ID:uJrFqwzz0
ちょっと気を許した時だった

ぞわって体中に鳥肌が立つ、そして気持ち悪くなって立っていられなくなった

「楓ちゃん!」

○○君が私を抱えてくれた

「ここ、出よう……」

吐いちゃいそうなのを我慢して、○○君の肩を借りて扉まで歩く

もう少し、もう少しでお外に出られる

ようやく扉に手が届いて、扉を開け……られなかった

135: 2018/02/11(日) 16:22:00.25 ID:uJrFqwzz0
接着剤で止められたみたいにびくともしない

「なんだよこれ! くそっ、開けよ!!」

○○君が開けようと必氏になってるけど、これは力じゃ無理な奴だ

私たちが扉を開けようとしてるなか、後ろのほうから「何か」の気配がした

どす黒くて、とっても怖くて、私たちを憎んでいる。そう思わせる「何か」

それがどんどんと大きくなって、それが私たちに近づいてくる

「ごめんね」

私は○○君を突き飛ばした

136: 2018/02/11(日) 16:26:50.23 ID:uJrFqwzz0
私は「何か」と一緒に扉に叩きつけられた

……とっても痛い、お母さんに叩かれた時よりもずっと

すごい重いものに乗っかられてるような感じがして、体がぺちゃんこになっちゃいそう

○○君は大丈夫かな? ものすごく痛いはずなのに、なんでこんなに余裕があるんだろ

視線を移すと、○○君は座り込んで体がぷるぷるって震えてた

怖いもんね、仕方ないよ。私だっておんなじだもん

137: 2018/02/11(日) 16:33:57.28 ID:uJrFqwzz0
今日のお夕飯は何だろ? ハンバーグとかだと嬉しいな

お母さんの顔が浮かんできて、そんなことを思った

ずっと痛いのも嫌だから、いっそのこと……

私が諦めムードに入ろうとした時、○○君が立ち上がった

そして私の手を握ると、私を「何か」から守るように自分の体を盾にした

「いてえ……母さんにぶたれるより痛いね」

顔に汗を浮かべながらも笑顔を作る○○君

あはは、私と同じこと思い浮かべてる。はぁ……そろそろ帰らないとお互い叱られちゃうね?

138: 2018/02/11(日) 16:42:10.18 ID:uJrFqwzz0
「○○君、跳ね返さなくていいから、これをずらしたいの」

首を動かして、右側とジェスチャーする

「わかった、じゃあいくよ。いっせーのー……せっ!」

○○君の合図で体に力を入れながら「何か」をずらす

するりと体に感触を残していきながら、「何か」が通り過ぎて、それから壁へすごい音と一緒にぶつかるのがわかった

「いくよ、手ぇ掴んで」

私は頷いて、○○君の手を掴んだ

扉は……さっきの衝撃で簡単に開けることができた

私たちは校門まで走った、後ろを決して振り向かないで

139: 2018/02/11(日) 16:49:11.05 ID:uJrFqwzz0
苦しい、心臓がばくばくして氏んじゃいそう

「はぁ……ふぅ、楓ちゃん大丈夫?」

○○君はもう平気みたい。男の子って凄いな

私はまだ呼吸が酷くて、手を挙げて待ってってした

「うん、平気になったら言って」

よいしょっと○○君が地べたに座って、お行儀悪いけど私もそれも真似することにした

すぅ、はぁ……すぅ、はぁ

うん、もうそろそろ平気かな

140: 2018/02/11(日) 16:54:37.21 ID:uJrFqwzz0
「さっきはありがとう」

私は○○君と向かい合ってお礼を言う

「ううん、俺のほうこそありがとう」

手をぶんふんと振りながら、○○君もお礼を返す

「さっきの何だったのかな?」

「私もよくわかんない」

それからお互い無言になって、○○君が口を開いた

141: 2018/02/11(日) 17:01:39.62 ID:uJrFqwzz0
「とにかく楓ちゃんに怪我がなくて良かったよ」

うん……もとはと言えば私が助けに行ったような気がするけど

んー、あ……そうだ

「いたた、足が痛い」

わざとらしく足を抑えてかがむ

「だ、大丈夫? 肩貸すよ」

私はこの時、男の子の扱いがわかったような気がしました

142: 2018/02/11(日) 17:11:30.62 ID:uJrFqwzz0
ほんとは全然痛くないので、手を引っ張ってもらうことにした

太陽が少しずつ落ちていく坂道を二人で歩く

「ねぇ、何で私に話しかけてきたの?」

「え? それ言わないと駄目?」

私が言った途端、急に顔を赤くした○○君。うん、これは夕日のせいじゃない

「あー……ええとさ、目が綺麗だなって思ったんだ」

「私の目が?」

「そ、ながーい前髪から見えた時、綺麗だってね」

面と向かって、恥ずかしがることもなく、○○君は私にそう伝えた

そんなにストレートなの、ずるい……


143: 2018/02/11(日) 17:16:32.62 ID:uJrFqwzz0
けど、そっか

お母さんにも褒められた目を、同じように褒めてくれる人がいるんだ……

ほんのちょっぴり……ううん、結構嬉しいかも

「顔が赤いけど、どうしたの?」

○○君が私の顔を覗き込んで、そう言った

「夕日のせいだと思うよ、それに近いから」

ふいっと顔を背けて、私の顔を見られないようにした

もう少しだけ、前髪切ってみようかな

そんな事を思いながら、私たちは歩く



おしまい

144: 2018/02/11(日) 17:18:08.62 ID:uJrFqwzz0
読んでくれた方に感謝を
楓さんの小さい時ってどんな感じだったんだろ?
私的には目を気にして前髪が長かったんじゃないかなーと

誰か書いてくださいお願いします!

引用: 【モバマス】楓さんで安価 二軒目