1: 2017/08/20(日) 15:37:40.74 ID:2MxgHYZv0
PM6:50 事務所

ドンドン、ドンドンドン! ……ガチャッ

池袋晶葉(以下、晶葉)「やっと来たか助手」

モバP(以下、P)「晶葉! ……いつもの晶葉だよな?」

晶葉(以下、晶葉)「ああ、もちろん。入ってくれ、ドアを早く閉めなきゃいけない」

P「なあ、一体何があったんだ!? なんでみんなあんなことに────」

晶葉「落ち着いてくれ。今この部屋に入って来られたら終わりなんだ」

P「あ、ああ、分かった……」

バタン、カチャカチャッ

晶葉「よし、これでこの部屋を嗅ぎつけられても少しは足止め出来るだろう」

P「晶葉……教えてくれ、みんなどうししちまったんだ?」

晶葉「その前に一つ聞かせて欲しい。事務所に入ってからここに来るまで、何を見てきた?」

P「営業から戻って来て、広間で茶でも飲もうかと思ったら……アイドルが、俺の知ってるみんなが、何か物凄いエフェクト出しながら暴れてるんだよ! ズバーン、ドッカーン! って感じで!」



3: 2017/08/20(日) 19:35:12.57 ID:wyVpMPVTO
晶葉「…………」

P「それで命からがら、こんな無茶苦茶なことを引き起こしそうな元凶の所へやって来たんだ!」

晶葉「心外だな。私だって失敗はするが、その時は事務所ごと吹き飛ぶ勢いだぞ」

P「余計ヒドいじゃないか……って、今回のコレは晶葉の発明品が暴走したとか、そういうわけじゃないんだな?」

晶葉「うむ。おそらく志希の仕業だろうな」

P「もう一つの元凶の方だったか……だったら早く志希を探してみんなを止めないと」

晶葉「待つんだ、闇雲に出て行ってもケガをするだけだぞ」

P「だからって、ここに居てもどうしようもないだろ!?」

晶葉「ふっふっふ、助手が来るまで私が何の対策も考えていなかったと思うか? アレを見ろ!」

P「ん?」

緒方智絵里「…………」バタンキュー

P「ちち智絵里! どうしたんだ!?」

晶葉「彼女も『発現』していたのでな、ロボを使って捕獲し、騒動の原因を調べさせてもらった」

P「な、なるほど。それで、アイドルが変になった原因は?」

4: 2017/08/20(日) 19:39:18.30 ID:wyVpMPVTO
晶葉「どうやら何らかの薬を投与されたらしいな。その薬でアイドルは『異能力者』になってしまったんだ」

P「……なんだって?」

晶葉「『異能力者』だ。つまりその薬を飲んだ、あるいは吸った一人一人が、助手が言ったように『ズバーン、ドッカーン!』な力を『発現』したんだ」

P「そ、そうか……そういうものだと思うしかないな……」

晶葉「安心してくれ、その薬の成分分析は完了してる。その能力を打ち消す薬、つまり解毒剤もこのとおり……完成済みだ」スッ

P「すげえぜ晶葉! だったらあとはその薬をアイドルたちに飲ませればいいってことだな!」

晶葉「そうなんだが、一つ問題があってだな……智絵里との戦闘でロボが壊れて使えないんだ。解毒剤を飲ませようにも、肝心のアイドルを捕獲する手段がない」

P「だったら修理すればよかったじゃないか!」

晶葉「薬の分析で時間が無かったんだ!」

P「じゃあ、今からでも────」

トントン、ガチャガチャ、ガチャガチャガチャ……ドンドンドン!

P「!?」

晶葉「まずいな、見つかったぞ……」

P「ど、どういうことだ!?」

5: 2017/08/20(日) 19:46:10.03 ID:wyVpMPVTO
晶葉「どうやらあの薬には副作用があるようでな、服用した者は太陽が沈んでくると凶暴になり、夜になると完全に理性を失うんだ」

P「今は……もう19時、日は沈んでいる! じゃあ手当たり次第に人を襲うってことなのか!?」

晶葉「いや、おそらく────」

???「……デューサーさん? プロデューサーさーん!」ドンドンドン!

P「えっ何、俺!?」

晶葉「理性を失って、己の欲望に従って動くんだ。……あとは言わなくても分かるな?」

P「なんてこった……っていうか、薬の成分を分析しただけでそんなことまで分かったのか?」

晶葉「私を誰だと思っているんだ? 池袋晶葉だぞ!」ドヤッ

ドンドンドン! ドンドンドン! ギギギ……

P「言ってる場合かーっ! どうするんだ、もうドアが破られちまうぞ!」

晶葉「……最終手段だ。助手、これを飲んでくれるか」

6: 2017/08/20(日) 19:49:53.25 ID:wyVpMPVTO
P「おいおい、まさか例の薬か!? 解毒剤があるからって、理性を失うんじゃどうなるか分からんぞ!」

晶葉「いや、これは成分を少し変えた物だ。だからその副作用は発症しないようになっている……はずだ」

P「はず!? はずってなんだよ!」

晶葉「この一錠を作るのが限界で実験出来ていないんだ。……やはり、私が飲もうか?」

ドンドンドンドンドン! ……ガタッ!

P「……いいや、俺が飲む! 理性を失っても恨まないでくれよ!」ゴクッ

晶葉「ああ。私を誰だと思ってるんだ? ……君のアイドルだぞ」

P「!」ドクンッ

晶葉「助手……?」

P「……さすが晶葉だ、なんともないぜ」

晶葉「よ、よし! さすがだな!」

P「自画自賛だな」

晶葉「べ、別にいいじゃないか!」

キイーッ……

P「ちっ、くっちゃべってる暇は無さそうだな!」

7: 2017/08/20(日) 19:53:29.93 ID:wyVpMPVTO
高森藍子(以下、藍子)「プロデューサーさん。もう、やっと見つけましたよ」

P「あ、藍子……お前、あのドアをどうやって壊したんだ……?」

藍子「……? なんのことですか? ドアならちゃんと開けましたよ」

P「いやいやいや……」

晶葉「おそらく『異能』の力だ。気を付けるんだぞ、助手がどんな能力を身につけたのかは知らないが」

P(あれ、そういえば身体は何ともないけど、俺はいったいどんな異能を発現したんだ……?)

藍子「……プロデューサーさん。ちょっと、一緒に散歩でもしませんか?」

P「さ、散歩? ……おい晶葉、どういうことだよ」

晶葉「欲望に従って動くと言っただろう。素直に従った方がいい、隙を見てこの解毒剤を飲ませるんだ」

P「よ、よし、分かった」

藍子「……何話してるんですか?」

P「えっ? ああいや、なんでもない。散歩ね、うんうん、じゃあ行こっか、散歩」

藍子「ふふっ、プロデューサーさん面白い……写真に撮ろうかな」スッ

P「……え?」

晶葉「まずい助手、それが彼女の異能だ!」

P「な、何ィーッ!?」

藍子「えいっ!」パシャリ

藍子のドアを破壊出来る(?)ほどの異能、「お散歩カメラ」の能力とは!?


↓2

9: 2017/08/20(日) 19:57:04.87 ID:AxVtSKWjO
被写体(任意)を写真に閉じ込める

11: 2017/08/20(日) 22:10:23.77 ID:2MxgHYZv0
P「!?」シュン

晶葉「き、消えた……!?」

ウィー、ヒラヒラ……

P(な、なんだ!? 目の前が真っ暗になったと思ったら今度は天井が見える……)

藍子「どれどれ……」スッ

P「あ、藍子!? 顔が近いぞ!?」

藍子「あっ、プロデューサーさんいい表情♪ いい一枚が撮れましたね」

P「は……? 何を言って……」

晶葉「ま、まさか、その写真に……」

藍子「そう。これでずうっと一緒ですね、プロデューサーさん……」

P「!!!」

P(ここは写真の中! 藍子の異能とはつまり、あのカメラで撮ったものを閉じ込める能力ッ!)

P(……って、これでどうやってドアをぶっ壊したんだ?)

12: 2017/08/20(日) 22:11:27.17 ID:2MxgHYZv0
晶葉「私の声が聞こえるか助手! 返事をすることは出来るか!?」

P(そうだ、呑気なこと考えてる場合じゃない。この状況を何とかしなくては!)

P「ああ、聞こえてるぞ晶葉! 身動きこそ取れないがな!」

藍子「無駄ですよ。プロデューサーさんの声はもう、私にしか届きませんから」

P「なっ、藍子……!」

晶葉「……なるほど。今の言葉、助手が私の呼びかけに対して何か応答したということだな」

藍子「さあ、どうなんでしょう……?」

晶葉「助手! こうなったらもう君の異能を使う他にない! どうにかして写真の中から脱出するんだ!」

P「っ、んなこと言われたって、どうすりゃ異能が使えるのか……」

藍子「……もう1枚撮ろうかな」

晶葉「!」

藍子「えいっ!」パシャリ

13: 2017/08/20(日) 22:12:55.99 ID:2MxgHYZv0
シュン……

P「晶葉!? くそっ、閉じ込める人数に制限は無いってことかよ!」

ウィー、ヒラヒラ……

藍子「この写真はどうしようかな?」

P「晶葉、晶葉!?」

藍子「ダメですっ。プロデューサーさんとお話しできるのは、私だけなんですから」

P「っ……」

藍子「……うん、しまっておこうっと」スッ

P(写真に閉じ込められた人間は藍子としかコミュニケーションを取れない! つまり藍子を説得して、外に出してもらうしかないってことか!?)

P(いやしかし俺の異能……発現したっていうなら、早く使わせてくれ!)

藍子「どうしたんですか? プロデューサーさん。思いつめた顔をして」

P「……そりゃあ、担当アイドルがいきなりこんなことをしてきたらそういう顔もするさ」

藍子「そう、ですか……じゃあ、出して欲しいですか?」

P「あ、ああ! こんなことやめてくれ! お願いだから!」

藍子「……ふふっ、ダメです。出してあげません!」

P「くっ……」

P(どうすれば……いや待てよ、今の藍子は理性を失って欲望のままに動いている。それでこんなことをしているんだから────)



選択肢(一つだけハズレ)


1:藍子はずっとこうしたかったのか?
2:藍子は俺のことが嫌いだったのか?
3:そんなに写真が撮りたかったのか!


↓2

15: 2017/08/20(日) 22:14:16.03 ID:Gt4/5opSO
1

16: 2017/08/20(日) 22:35:05.07 ID:2MxgHYZvo
正解!

P「藍子はずっとこうしたかったのか?」

藍子「……はい。プロデューサーさんとこうしてずっと────」

P「ずっと、写真の俺を眺めてるだけでいいっていうのか!」

藍子「!」

P「確かにこうして俺を写真に閉じ込めればいつでもどこでも一緒に居られるし、話だって出来る」

藍子「そ、そうです! だから────」

P「でもな藍子、それはもう二度とお互い触れ合えないってことだぞ」

藍子「えっ……」

P「横に並んで一緒に散歩することも、LIVEの後によくやったと肩に手をおくことも、俺が藍子の写真を撮ってあげることも、全部出来ないんだぞ!」

藍子「…………」

P「それでも、これが……写真の俺をずっと眺めることが、藍子のやりたかったことなのか!?」

17: 2017/08/20(日) 22:45:28.64 ID:2MxgHYZvo
藍子「違う……私は……」ブルブル

P(よし、いける!)

P「分かったら早く俺と晶葉を写真から出すんだ。怒ってないからさ」

藍子「私が……本当にやりたかったことは……」

P「……藍子?」

藍子「……私が本当にやりたかったことは、こういうことだったんですよ?」スッ

P「何ッ!?」

パシャリ、シュン……

P「あ、藍子、お前……」

藍子「私とプロデューサーさんのツーショット……こうして一緒の写真に映れば、触れ合うことだって出来ますよね」

P「……ああ、そうだな。脱帽したよ、自分から写真の中に入ってくるなんてな」

藍子「ふふっ、初めからこうすればよかったんですよね」

P「負けたよ。もう、藍子に写真の外へ出してもらうのは諦める」

藍子「今度こそずうっと一緒ですね、プロデューサーさん……」

P「……それはどうかな?」

藍子「!?」

18: 2017/08/20(日) 22:57:31.84 ID:2MxgHYZvo
タッタッタッ……

藍子「な、何を────」

P「こうするんだよ!」ダキッ

藍子「!?!??!?」カァァァァ

P(不意に頭の中に浮かんできた俺の「異能」は!)

能力名:お願い!シンデレラ
能力:10秒以上抱きしめた相手の異能をコピーする。ただし、時計の長針が12時を指すと能力は消える。

P(7、8、9……10秒!)パッ

藍子「はうぅ……」パタリ

P「能力名は『お散歩カメラ』か。さて、とっとと外に────」

ピカァァァッ、バタッバタッ、バタッ

P「……って、あれ?」

晶葉「痛たたた……ん? 助手! やったんだな!」

P「え? いや、これからやろうとしたんだけども……」チラッ

藍子「」バタンキュー

P「本体が気絶したから異能も解除されたってこと、か」

晶葉「そのようだな。今のうちに解毒剤を飲ませるんだ」

P「よし。しばらくここで寝ててくれよ、藍子……」スッ

藍子「……んっ」ゴクッ



高森藍子『お散歩カメラ』────再起可能

19: 2017/08/20(日) 22:58:06.51 ID:2MxgHYZvo
続きはまた今度書きます

20: 2017/08/20(日) 22:59:20.53 ID:3Fs1rsRb0

21: 2017/08/20(日) 23:09:02.79 ID:jGU1l7yeO

個人的に異能アイドル系めっちゃ好きだから超期待。曲名が能力なら能力者は個人曲持ちだけ?

22: 2017/08/20(日) 23:12:01.16 ID:wTDpsUGk0
(藍子が初心じゃなければコピーしたところで泥試合だったのでは…?)

次回:モバP「白坂小梅、能力名『小さな恋の密室事件』」


引用: モバP「アイドルたちが異能力者になったから安価でなんとかしろって!?」