424: 2017/09/01(金) 14:49:49.20 ID:DZXP+bNOo


最初から:モバP「アイドルたちが異能力者になったからなんとかしろって!?」
前回:モバP「片桐早苗、能力名『Can't Stop!!』」

P「はあ……っ、勝つにはかったが、冗談抜きで一番ダメージを負った戦いだった……」ガタッ

晶葉「それに人としても終わったな」

P「し、仕方ないだろ!? 勝たなきゃいけないんだから」

晶葉「まあ私は責めないが、早苗……さんが起きたあとどうなるかは知らないぞ」

P「うわぁ、今から嫌になってきた……」

晶葉「……さっきの話の続きだ。ウサちゃんロボはそのお団子に反応していた」

P「これか」スッ

晶葉「うむ。それが意味するのは……」

P「意味するのは?」

晶葉「この団子を作った人物が[ピーーー]、ということだ」

P「え……!? 嘘だろ、おい……!」

晶葉「私も信じられない。まさか、彼女が……」

ウィーン!

P「ウサちゃんロボが動いた!?」

晶葉「そんなはず、まだ修理は済んでないぞ!」

ガシャーン、ガシャーン

P「と、とにかくついていくぞ!」

晶葉「……ああ」
池袋晶葉 スリーブ
425: 2017/09/01(金) 17:03:53.39 ID:DZXP+bNOo
PM11:52 屋上

ガチャ、キィーッ……ヒュウウッ……

P(夜風が涼しい……ってそんな場合じゃない)スタスタ

ガシャーン、ガシャーン……プシューッ……

P「止まった……?」

晶葉「動力が切れたんだ。しかし、どうして勝手に……」スタスタ

P「…………」

晶葉「……助手?」クルッ

P「満月って、あんなに近かったか……?」

パッ!

P・晶葉「!?」

「そのとき空から、不思議な光が降りてきたのです……」ピカァァァ

晶葉「あ、あれは……」

P「誰だ、誰だー、誰なんだー!」

安部菜々(以下、菜々)「それは……ナナでーっす☆」スタッ

P・晶葉「…………」

菜々「ああっ、ちょっと引かないでくさい! ……って、いつまでやらせるんですかーっ!」

P「いや、そっちが振ってきたんでしょうが……」

426: 2017/09/01(金) 17:04:38.49 ID:DZXP+bNOo
菜々「そんなことより! ……よくぞここまでたどり着きましたねプロデューサーさん、晶葉ちゃん」

P「まあ、ロボに案内されたんだけどな」

菜々「私がしたんですよ! ブイッ☆」

晶葉「……ウサミン、本当に君がやったのか? 今回のこと、全て」

菜々「はい。このお団子……『USAMIN錠』を食べさせてみなさんを異能力者にしたのは、私です」スッ

晶葉「どうしてだ! それに、どこからそんなものを……」

菜々「……聞きたいですか?」

P「当たり前だッ! こんなことをした目的はたっぷり喋ってもらうぞ!」

菜々「そうですか、じゃあ、驚かないでくださいね。……ナナは、カシオペア座の第28惑星系『ウサミン星』から来た宇宙人なんです」

P「……は?」

菜々「この『安部菜々』という体も、本当は借り物でしかないんです。……ナナはウサミン星から、地球を征服するためにやって来たんですよ」

晶葉「な……そんな、そんなことが……」

P「信じられるかッ! ウサミン星ってのは、電車で向かえば一時間の場所にあるんだろう!」

菜々「そ、それはただの歌の歌詞ですよ……」

P「だからって、いきなり『宇宙人です』なんて言われて『はいそうですか』なんて納得出来るわけない!」

427: 2017/09/01(金) 17:06:29.57 ID:DZXP+bNOo
菜々「プロデューサーさんは見てきましたよね、数々の異能を、事務所の外にあった透明な壁を……それは全部、ウサミン星のテクノロジーなんです」

P「そりゃあ、アレは宇宙人の技術って言われたら納得する代物だけど……菜々が宇宙人なんて!」

菜々「……本当ですよね、私も信じたくないです」

P「え……」

晶葉「どういうことだ?」

菜々「ナナは元々、地球人の文明や軍事レベルを調べるための、いわゆるスパイだったんです。母星から一人でこの地球に来ました」

P「それで永遠の17歳として地球を探ってたと?」

菜々「……いいえ、ナナは地球に降りてこの体になった時、記憶を失ってしまったんです」

晶葉「なんだって……!?」

菜々「宇宙船の呼び出し方も母星との通信方法も、自分のやって来た目的も全部忘れて……地球に来る時に作った『安部菜々』の記憶だけが残ったんです」

P「その安部菜々は、ウサミン星人であることを自称していたじゃないか!」

菜々「そうですよ。そして安部菜々は歌って踊れる声優アイドルを目指していました……『ウサミン星』という単語を地球人に刷り込んでおくためとは知らずに」

P「……そういうことかよ、くっ」

晶葉「ずいぶんと小規模な刷り込み活動だな……」

菜々「ナナはあくまでスパイですから。地球人のことを報告すれば、それで任務は終わりのはずでした」

P「……しかし、記憶を失ってその任務は長い間遂行出来なかった」

428: 2017/09/01(金) 17:08:47.72 ID:DZXP+bNOo
菜々「はい。……ナナが記憶を取り戻したのはほんの1ヶ月前のことです。満月に向かって『ウサミン星のバカヤロー!』と叫んだら、それが宇宙船を呼び出す合図でした」

P「お、おう……」

菜々「何が起きたのか分からなくて、でもそれに入らなきゃいけないような気がして、ああでもやっぱり────」

P「分かった、もう分かった! 宇宙人であることは信じる! でもどうしてこんんなことをしたんだ!」

菜々「言ったじゃないですか、地球を征服しに来たって。ウサミン星は悪い星だったんですよ」

P「征服ったって、菜々はただのスパイだったんだろう!?」

菜々「そうですよ。でもナナが急いでみなさんを異能力者にしないと、ウサミン星から大艦隊がやって地球は終わりですから」

晶葉「なんだと……!?」

菜々「ナナが記憶を失っている間に母星は別のスパイを送り込んで……その人が『地球人の文明はとても危険』とかなんとか報告しちゃったみたいで……」

P「巨大な戦力を投入して征服することにしたっていうのかよ!?」

菜々「はい。大艦隊が来たら、多分なすすべ無く人類は滅ぼされちゃいます」

P「嘘だろ、おい……」

菜々「征服は避けられないにしても
……ナナは助けたいんです、プロデューサーさんを、晶葉ちゃんを……。この事務所のみんなだけは、なんとしても」

晶葉「だから異能力者にしてウサミン星人の手先にしたと、そう言いたいのか……!?」

菜々「はい。USAMIN錠が足りなくて全員とはいきませんでしたけど、アレは地球にあるものでも複製できるので、大艦隊が来るまでには、なんとか」

429: 2017/09/01(金) 17:10:10.64 ID:DZXP+bNOo
P「なんつースケールのデカい話だ……」

晶葉「……大艦隊自体をどうにかすることは出来ないのか?」

菜々「無理ですね。アニメに出てくるスーパーロボット、分かりますか? ああいうのがウサミン星には本当にありますから」

晶葉「…………」

菜々「プロデューサーさん、晶葉ちゃん、投降してください。きっと……きっとみんなウサミン星で幸せに暮らせます! アイドルって文化はないですけど……」

P「……それは無理だな。本当は分かってるんだろ?」

菜々「え……」

P「わざわざアイドルを異能力者にしたのは、そうでもしないとウサミン星には行けないからだ」

菜々「ち、違います! 事情を話しても誰も信じてくれないと思って────」

P「いいや、今みたいに真摯に話して透明な壁でも見せれば誰かは信じたはずだぜ、少なくとも俺は信じる」

菜々「…………」

P「そうしなかったのは……異能力者という兵隊にしなければ、俺たちみたいな一般市民は捕虜にもならない……ってところだろ?」

晶葉「……やはり、異能力者にしたアイドルは侵略者の手先というわけか」

菜々「分かってくださいっ……ただ殺されてしまうよりはずっとマシなはずです! ウサミン星と地球の軍事レベルに差がある以上は、戦争を生き残ることだって難しくはないんです!」

P「……だが、それを話すことはしなかった。志希だけには教えたのかもしれないが、他のみんなに事情を話して、異能力者にするかどうか尋ねることはしなかった!」

菜々「っ……」

430: 2017/09/01(金) 17:12:25.92 ID:DZXP+bNOo
菜々「それは……仕方のないことだったんです」

P「あるいはそれは正しい選択なのかもしれない。間違っていたとしても、菜々は本当に俺たちのことを考えてこうしたことは分かった」

菜々「はい、だからお願いします。私と────」

P「だが、プロデューサーとして言わせてもらえば……俺のアイドルを兵隊にして戦わせようって奴を、見過ごすわけにはいかないんだよ!」スッ

P(その先で、みんな氏んでしまうとしても……)

菜々「そんなっ……戦うしかないんですか!?」

晶葉「…………」

菜々「晶葉ちゃん……!」

P「……晶葉、多分俺がやろうとしてるのは間違ったことだ。ここまできて最後はバッドエンドさ。それでもいいか?」

晶葉「私には……もう、どうすればいいか分からない……」

P「……そっか。全部終わったら、どっか旅行でも行くか」

晶葉「……それなら月に行きたいな、あの大きな月に」

P「じゃあ、ロケット作れよ? いっそ人類全員乗れるぐらいのスペースシャトルをさ……」

晶葉「ははは、無茶を言うな、本当に……」

菜々「プロデューサーさん、ナナは、ナナはっ……!」

P「23時57分。時間がないから、速攻でケリを着けるぞ……!」


ラストバトル! 菜々の異能、「メルヘンデビュー」の能力とは!?

↓2

432: 2017/09/01(金) 17:16:15.80 ID:8eyz952ZO
敵が発動した能力を自分が発動したことにする

433: 2017/09/01(金) 18:00:04.82 ID:DZXP+bNOo
P「『Angel Breeze』ッ! 吹き飛ばせ────」

ヒュウウウウッ!

P「なに……ッ!?」ドサッ

菜々「やめてください! どんな異能力者でも……ナナの『メルヘンデビュー』に勝つことは出来ないんです」

P「はは、こいつめ……戦うつもりは無いとか言っておきながら、異能を使ってるじゃないか」

菜々「プロデューサーさん! もうやめてください!」

P「勝てないとか言われると張り合いたくなるんだよッ! 『恋のHamburg♪』、ハンバーグを弾丸にして────」

バァン!

P「ぐ、はっ……」ドサッ

晶葉「助手!」タッタッタッ

P「くっ……そうか、分かったぞ……俺の能力を跳ね返しているんだな! そいつは、強力だ……!」スタッ

菜々「……『跳ね返す』なんて弱い能力じゃありませんよ」

P「なに……?」

434: 2017/09/01(金) 18:03:39.12 ID:DZXP+bNOo
菜々「『メルヘンデビュー』の前で異能はまったくの無意味です。なぜなら、『私が発動した』ことになるんですから」

P「だったら、俺が異能を使った瞬間菜々がそれを使ったことになり、俺が異能を使った事実は消えるということか……!?」

菜々「すべての異能力者はナナの前では等しく無能力。この力さえあれば、みなさんを異能力者にしてもナナは反逆されたり、裏切られたりはしないんです」

P「そうかな! だったら異能を使わず倒せばいいだけだッ!」タッタッタッ

菜々「……もう、やめてください」スッ

ゴチーン!

P「ぐうっ、透明な壁……!?」

菜々「プロデューサーさんは異能のパワー無しにこの壁を壊せません。ですが、菜々がいる限り異能は発動出来ないのと同じ。……詰みですよ」

P「くっ!」

晶葉「……この絶対防御は完璧だ。投降しよう、助手……私たちでは、勝てない」

P「晶葉……!」

菜々「晶葉ちゃんの言うとおりです。さあ、プロデューサーさん」

P「あ、諦めないぞッ! 志希との戦いで分かったんだ、諦めなければ、最後まで戦えば勝機はある!」

菜々「無理なんですよ……プロデューサーさんがナナに勝つことも、地球がウサミン星との戦争で勝つことも……絶対にあり得ないんです」

P「どうしてそんなことが分かる! 宇宙人だからって神様じゃないだろうに!」

菜々「…………」

435: 2017/09/01(金) 19:50:06.31 ID:DZXP+bNOo
P「その防御が本当に絶対どうか、試してみようじゃねえかッ!」スッ

菜々「……いいですよ、満足するまでいくらでも」

P「『恋のHamburg♪』ッ!」

P(こいつを「メルヘンデビュー」が代わりに発動するその瞬間に!)

P「『Angel Breeze』、うわあっ!?」ヒュウウンッ、ドサッ

菜々「…………」

P「ちっ、ダメか……だったら二つ同時だ! 『Angel Breeze』、『恋のHamburg♪』ッ!」

ヒュウウウウッ!

P「ぐうっ……!?」ヒューン

ドサッ、ベチャァッ

P「はあっ、これも、ダメかよ……」

菜々「『お願い! シンデレラ』でコピーした異能をいくら同時に発動させても、無駄です。『メルヘンデビュー』は敵とみなした相手に対して自動で発動します」

P「『自動』と言ったな……! ならば、自分で自分を攻撃しようとすればどうなるかなッ!」

……カチッ!

P「!! くっ、おい、このっ、どうした! 『Angel Breeze』ッ!」

晶葉「……時間切れだ、助手。たった今、日付が変わった」

P「クソッ!」

436: 2017/09/01(金) 19:51:05.39 ID:DZXP+bNOo
菜々「もう終わりにしましょう……お願いですからっ……」

P「まだだッ! まだ終わりじゃない!」タッタッタッ

ゴンッ! ドカッ!

P「こんなッ、壁ぐらいッ! 殴ってぶっ壊す!」ゴンッゴンッ

菜々「…………」

P「はあっ、ちくしょう、ちくしょう! 壊れろよッ! この────」

晶葉「もうやめてくれっ!」ダキッ

P「っ、晶葉……!」

ポタ、ポタ……

晶葉「拳から血が出ている……これは殴る蹴るで壊せる代物じゃない。もう、何も出来ないんだ……」

P「……ッ!」ドンッ!

コロッ、コロコロ……

P「……?」

P(夕美が食べたのを戻した団子……ハッ!)

菜々「それはUSAMIN錠!? いったいどこから……」

P「ほらみな……戦い続ければ勝機は必ずやってくるのさ!」ヒョイッ

菜々「!」

晶葉「助手、それは私が作ったものではないんだぞ! 食べれば理性を失って────」

P「欲望のまま動く、そうだろ! だったら俺の望みはたった一つ、菜々を倒すことだッ!」

パクッ

菜々「そうまでして、ナナを……」

P「行くぞ……! 『イリュージョニスタ!』ッ!」


「メルヘンデビュー」を倒せるのか(!?)P第二の異能、「イリュージョニスタ!」の能力とは!?

↓2

438: 2017/09/01(金) 19:52:53.73 ID:Ji4Ewj8z0
プチデレラを召喚

440: 2017/09/01(金) 20:29:50.08 ID:DZXP+bNOo
ポヨンッ

ぷち菜々「ウサー」ピョコン

P「…………」

菜々「か、可愛い何かが……」

P「……な、なんじゃこの能力はッ! これだけかいッ!?」

晶葉「自分の能力だろうに……」

P「だってさ、だってさ……こういうときはスゲー強い能力で逆転する流れだろッ!?」

晶葉「確かにこの能力、強くはないかもしれない……しかし、『壁の内側』に干渉することには成功したぞ」

P「ハッ! そ、そうだな! よし、いけぷちデレラッ! 菜々を攻撃しろ!」

ぷち菜々「ウサー」

P「……あれっ?」

菜々「『私が発動した』んですよ、だから私の側にこの子は居る、コントロール出来るのは当然ナナだけです!」

ぷち菜々「ナナー!」キャピ

P「だ、ダメじゃねーか晶葉……」チラッ

晶葉「……投降しよう」

P「おいッ!」

441: 2017/09/01(金) 20:31:01.88 ID:DZXP+bNOo
P(まだだ、何かこの能力を活用する方法を考えろ……!)

P「もう一体召喚すれば────」

ぷち菜々2「ウサー」ピョコン

P「だ、ダメだ……『メルヘンデビュー』を攻略するにはこの異能、まるで役に立たん……」

菜々「その異能が悪いわけじゃありませんよ。どんな強力な異能でも『メルヘンデビュー』には決して敵わないんですから」

ぷち菜々たち「ウサー!」ピョン

菜々「それにしても……可愛いっ」ナデナデ

P「クソっ、無理なのか……倒せないのか……!?」

菜々「……どうしても、菜々を倒すつもりですか?」

P「ああ、絶対にだ! そんで、ウサミン星の大艦隊とやらも何とかして止める、地球は征服させない!」

菜々「羨ましいですね、諦めない心を持っていられるのは……ナナはもう、ハッピーエンドを諦めちゃってますから」

P「どうしてだ! どうして可能性を模索しない! みんなが助かる道だって────」

菜々「どんなものか知らないからそんなことが言えるんです! 実際大艦隊を目の当たりにすれば、そんなことは決して言えません」

P「っ……」

菜々「だから、どうしてもナナを倒すというなら……ナナがプロデューサーさんを倒して、終わらせます」

P「! まさか、第二の異能を────」

菜々「『メルヘン∞メタモルフォーゼ!』」


「メルヘンデビュー!」だけでも攻略不可能なのに(!?)菜々第二の異能、「メルヘン∞メタモルフォーゼ!」の能力とは!?


↓2

443: 2017/09/01(金) 20:33:38.37 ID:qfkvS5D6O
一分間限定で身体能力が倍になる
その後一時間動けなくなる

444: 2017/09/01(金) 22:22:28.21 ID:DZXP+bNOo
ピシュンッ!

P「! 消え────」

菜々「こっちですよ」ガシッ

P「!?」

ドガァッ!

P「っ、がはっ……!?」

菜々「一分間です。一分間でプロデューサーさんを倒してあげますよ」

P「なんだ、って……?」

バキイッ!

P「ず、うっ!?」

P(なんだこの身体能力は……ウサミン星人本来のパワーなのかッ……!?)

菜々「メルヘ~ン、ラリアットーッ!」タタタッ

P「!!!」ドガァーン!

晶葉「助手ーっ!」

菜々「どのみち一分ですから、教えてあげます。『メルヘン∞メタモルフォーゼ!』は一分間だけ私の身体能力を倍にする異能!」

P「ば、倍だって……? 17歳の倍ってことは、34歳か……?」

菜々「違いますっ!」ボゴォッ

P「うぐぁっ!」ドサッ

445: 2017/09/01(金) 22:24:15.64 ID:DZXP+bNOo
P(と、とても倍とは思えん、そもそも身体能力の倍とはなんだ、何を基準にしているんだ……!?)

菜々「……100メートル走、ナナのタイム何秒か知ってます?」ボコッ

P「ぐうっ、じゅ、17秒……」

菜々「あははは、そうだったら良かったんですけど……20秒なんです」 バキッボコッ

P「があっ!? そ、それで、どうしたと……」

菜々「でも今のナナなら10秒で走れます……それでも世界最速じゃないんですから、地球人も凄いですよね」ガシッ

P「!?」

菜々「それと、握力。ナナは両手とも25キロぐらいですから、今は50キロほどということになります。成人男性程度ですね」ググググ

P「ぁ、ぐ、うっ……」

P(首を絞めて確実に気絶させるつもりか……!)

晶葉「助手!」

菜々「大丈夫です、晶葉ちゃん。絶対に頃しはしませんから」グググ

P「ず、ぁ……『イリュージョニスタ』……!」

ぷち菜々「ウサー!」ピョン

菜々「無駄です。『メルヘンデビュー!』はこの戦いが終わるまで解除しません」

P「く、そ……」

446: 2017/09/01(金) 22:25:42.71 ID:DZXP+bNOo
菜々「能力が続くのはあと20秒ほど、その半分の10秒もあればプロデューサーさんは気絶します」ギュウッ

P「ぁ、な、な……やめ……」

菜々「やめません。倒す以外では、プロデューサーさんを止められそうにないですから」ググググ

晶葉「助手……っ」

菜々「あと5秒。4、3……」

P(意識が薄れていく……結局、このまま負けちまうのか……)

P(あーあ……こんなことなら、最初から戦わなくてもよかったじゃないか……)

P(これまでの戦いなんて……全部、無駄だったんじゃないか……)

(……無駄じゃありません)

P「!」

(Pさんのこれまでは、決して無駄なんかじゃありません……!)

菜々「……ゼロっ!」ギュウッ

ガシッ

菜々「!」

P「握力、俺は60キロもあるんだぜ……!」ググググ

菜々「そ、んな……!」

P「さっきの団子がよく効いちゃってさ……お前を倒すまでは、氏んでも氏にきれないんだよッ!」バシッ!

菜々「くうっ……!」

P「はあっ、はあっ、つっても、氏にかけたがな……っ」ドサッ

P(しかし、今の声はもしや……)

……カチッ

菜々「!」パタッ

447: 2017/09/01(金) 22:27:27.14 ID:DZXP+bNO0
P「ど、どうした!?」

菜々「あははは……体力持つのは一時間どころか、一分間なんですよ……」

P「身体能力が倍になる一分を過ぎれば、その反動が来るってことか……!」

ピシュン!

P・晶葉「!?」

裕子「もう完っ璧ですね! テレポーテーション完全マスターです!」

志希「やっほーっ、志希ちゃん再び登場~」

P「志希! それにみんなも、あの部屋で眠っちまったはずじゃ……」

幸子「フフーン、寝ても覚めてもボクはかわいいんです!」

P「答えになってねえ……」

志希「朝までぐっすりするクスリだったはずなんだけどねー、まゆちゃんに叩き起こされちゃった」

まゆ「聞こえたんです、戦ってるPさんの声が。そんな時に寝てられません!」ガシッ

P「そっか、じゃあやっぱりさっきのはまゆが……ありがとな!」

まゆ「うふふっ♪」ギュッ

幸子「晶葉さん? ボクの代わりにしっかりプロデューサーさんをサポートしてくれたんでしょうね~?」

晶葉「……ほどほどにな」

P「投降しようつったのはどこのどいつだ……」

448: 2017/09/01(金) 22:29:52.64 ID:DZXP+bNO0
ガヤガヤ……

菜々「はあ~っ、もう負けですね。菜々の企みも終わりです……」グターッ

志希「にゃはは、あたし以上にちょー強いの持ってる菜々ちゃんも負けちゃったかー」

菜々「……最後まで諦めない人に、勝利の女神が微笑んだんですよ」

志希「ねね、『お前を倒すッ!』って言われなかった?」

菜々「あっ、言われましたね~。続けて氏んでも氏にきれないとも。凄い剣幕でした」

志希「自分のアイドルを『お前』呼ばわりして、本気で倒そうとするなんてさ……あの人だけだよ、きっとね」

菜々「……はい」

……スタッ

菜々「プロデューサー、さん……」

P「信じているから、解毒剤は飲ませない……だから諦めないで、大艦隊をなんとかする方法を考えよう、菜々」

菜々「…………」

P「……安部菜々、もしくはウサミン! プロデュース方針に従えないならクビだぞ、クビ!」

菜々「もう、プロデューサーさん……そういうのってズルいですよっ。涙腺、緩いんですから」ウルッ

P「ほら、俺の手を掴んで。自分で立つことも出来ないんでしょ?」スッ

菜々「分かりました、っしょっ……菜々もまだ、諦めないで夢を追いかけてみます」ギュッ

P「よし! じゃあとりあえずめちゃくちゃになった事務所を元に────」

ヴィヴィヴィヴィヴィヴィ……ゴゴゴゴゴ

450: 2017/09/01(金) 22:34:51.06 ID:DZXP+bNO0
P「なんだ!?」

菜々「そ、そんな……早すぎます!」

志希「まさか、例の大艦隊が来ちゃったの!?」

菜々「……はい」

P「嘘だろ……!?」

幸子「だ、大艦隊?」

裕子「それってどんな拍手です?」

まゆ「それは大喝采です。大艦隊、大きな艦隊のことですよ」

裕子「なるほど……(かんたい……寒帯?)」

「AB77、帰還せよ。繰り返す、AB77、帰還せよ」

P「おい、言葉が分かるぞ!?」

晶葉「そんなことを気にしている場合か! どうするんだ、私たちはまだ何も策を練ってないぞ……!」

菜々「菜々が戻って、何とか時間稼ぎを……っ」フラッ

志希「無理しないの。といっても、これは本気でヤバいかもしれないけどね……」

P(考えろッ! 何か、何か方法があるはずだ! アレをどうにかする、とっておきのアイデアが……!)

P「……晶葉、幸子、まゆ、裕子、志希。一か八か、5人にやってもらいたいことがある」

晶葉「私たち5人で何をすると……!?」

P「それは────」

452: 2017/09/02(土) 00:41:21.59 ID:n6tc0l7N0
二週間後

P「ふああっ、おはようございます……」

千川ちひろ(以下、ちひろ)「おはようございます。お疲れさまです、プロデューサーさん」

幸子「プロデューサーさんっ! ちょっと見てくださいよこれ!」タッタッタッ

P「んん? なんだよ藪から棒に……」

ガシャーンガシャーン

晶葉「新開発のカワイイボクロボだ! 喋るんだぞ!」

ロボ「カワイイ、ボク、カワイイ」ガシャーン

幸子「これのどこがカワイイボクなんですか! 1パーセントもボクが再現されてないじゃないですか!」

晶葉「なんだと!?」

幸子「なんですか!?」

P「あーはいはい。仲良いね二人とも……」スタスタ

幸子「ちょっと、プロデューサーさん!」

晶葉「幸子、そこまで言うならカワイイボクロボの改良に付き合ってもらうぞ!」ガシッ

幸子「なっ、ボクだって暇じゃないんですよ? ……そこまで言うなら付き合ってあげないこともないですけど!」

P(雨降って地固まるだな、仲良きことは美しきかな……)スタスタ

453: 2017/09/02(土) 00:42:01.82 ID:n6tc0l7N0
P「えっと……ああ、エレベーターに乗ってこう」スタッ

ピンポーン、ウィーン

裕子「あっ、プロデューサーさん! おはようございます!」

P「おっ、裕子。エレベーターなんか乗っちゃって、テレポーテーション使わないのか?」

裕子「……実は昨日、学校から事務所へテレポーテーションしようとしたら何故か職員室に飛んでしまって……しばらく封印することにします」

P「そうか。というか、あんまり人の見てる前では使うなよ?」

裕子「はいっ。それでは!」タッタッタッ

P「廊下は走らないんだぞー」スタスタ

「そのエレベーター、ちょっと待ったにゃー!」タッタッタッ

P「うわっ! おいみく、危ないだろ?」ポチッ

みく「ご、ごめんにゃ、はあっ……」

P「そんなに急いで、どこに行くつもりだ?」

みく「と、とにかく上だにゃ。晶葉チャンの部屋を荒らしたのまだ恨まれてて……」

P「ああ、ロボで追いかけられてたのね。あれカワイイと思う?」

みく「え? 全然」

P「じゃあ晶葉に言っとこ」

みく「ああっ、ちょっと、これ以上恨みを買ったらどうなるか分からないにゃ!」

ピンポーン、ウィーン

P「ははは、頑張れよ」スタスタ

454: 2017/09/02(土) 00:47:53.20 ID:n6tc0l7N0
P「んー、渡り廊下から見える景色が元に戻るのはまだまだ時間がかかりそうだな」スタスタ

P(でも夕美と藍子が毎日頑張ってるし、中庭にはきっとまた綺麗な花が咲くだろう)

P「というか、咲いてくれなきゃあのとてつもない量のハンバーグを処理した俺が報われない……」

「Pさんっ」トントン

P「うわっ! まゆ、驚かすなよ」

まゆ「ごめんなさい。一緒に歩きましょうか」スタスタ

P「なんだよ、いつの間に俺の居場所が分かるようになったんだ?」

まゆ「分かりますよ? だって────」

P「『結婚』は解除しただろ? もう誰も異能は持ってないんだから」

まゆ「でも分かるんです。Pさんのまゆですから♪」

P「なんだそりゃ」

まゆ「……志希さんの部屋に行くんですか?」

P「ああ、そこに菜々も居るだろうから」

455: 2017/09/02(土) 00:48:59.84 ID:n6tc0l7N0
トントン

志希「あ、来た来た。どうぞ~」ガチャ

P「よっ。AB77さんも」

まゆ「こんにちは」ペコリ

菜々「べ、別にその名前で呼ばなくてもいいじゃないですか……」

P「それでどうだ、薬はできそうか?」

志希「う~ん、まだ難しいかも。っていうかぶっちゃけかなり難航中」

P「そうか……こいつとももう少し付き合わなきゃいけないな」ピョコン

菜々「……本当にごめんなさい、『USAMIN錠を飲んでしばらくするとウサミミが生える』なんて……菜々はウサミン星人だから分からなくて」

P「まあ俺に関して言えば自分から飲んだからいいんだけど……ウサミン星人ってみんなこうなのか?」

菜々「ナナも本当の姿に戻れば生えてるんですよ。見ます?」

P「いや、いいです」

菜々「きっぱり!?」

まゆ「それにしても、能力を無くす薬はすぐできて、このウサミミを無くす薬が中々できないっていうのも変な話ですよね」ピョコン

志希「そうだね~、志希ちゃん頑張ってるんだけどな」ピョコン

P「…………」

P(ワザとできないフリをしてるんじゃないかと少し思うが、詳しいことはよく分からんしな……)

ピピピピピ!

菜々「あ、定時報告の時間です。みなさん、少し静かにお願いしますね」スッ

志希「りょーかい」

まゆ「お願いしますね、菜々さん」

P「地球を守れ、ウサミン!」

菜々「茶化さないでくださいっ! あーテス、テステス。こほん。……ナナでーすっ、ブイっ☆」


P(あのとき────)

456: 2017/09/02(土) 00:50:11.37 ID:n6tc0l7N0
幸子「う、歌を歌う!?」

P「そうだ。ウサミン星にアイドルの文化は無いんだったよな!」

菜々「は、はい。そうですけど……」

晶葉「だからってどうしてそんな発想になる!?」

P「はっきり言って戦って勝てる相手ではない! しかし、土下座して白旗を上げても相手は聞き入れてくれないだろう!」

志希「だろうねー」

P「だから地球の、ひいては日本の文化を見せる! 歌で戦争を終わらせるんだ!」

菜々「な、何かどこかで聞いたような作戦ですね……」

P「もうこれしかない! っていうかこれしか思いつかなかった! ヤックデカルチャー!」

「どうしたAB77、応答しろ。応答がなければ、そこに居る地球人たちに攻撃を受けたと判断する」

菜々「ああっ! ち、違います! この人たちは……そう! みなさんを歓迎しているんです!」

「歓迎だと? どういうことだ。状況を説明しろ、AB77」

菜々「そ、それは、ええと……」

P「とにかく歌うんだッ! ミュージック、オーケー!?」

幸子「どこに音源があるんですか!? マイクは、衣装はどうするんです?」

裕子「ムムム、サイキックで呼び寄せましょうか~?」

志希「にゃはは、地球の危機なのに恐ろしいほど平和だね~」

P「言っとる場合かっ! くそっ、やっぱりダメなのか……!」

457: 2017/09/02(土) 00:52:35.69 ID:n6tc0l7N0
晶葉「……ウサちゃんロボのカラオケモードを作動させれば音源マイクはなんとかなる。やるだけやってみよう」

P「晶葉! さすが~ッ!」

志希「まあここまで来たらやるしかないよね。衣装なんて要らないよ、このままで全然おっけー。だって相手は宇宙人だもん」

幸子「そうですね、ジャージでもボクはカワイイ! 宇宙にまでボクのかわいさを轟かせます!」

まゆ「これが最後になったとしても、プロデューサーさんのため、地球のために歌えたなら……まゆは本望です」

P「志希、幸子、まゆっ……!」

晶葉「しかし、あんな遠くに居る艦隊に声が届くか……」

菜々「音質最悪ですけど、菜々の通信機で────」

裕子「ムムムム、私は今あなたの脳内に直接語りかけています……」

「なんだこれは! 誰の声だ!?」「地球人か」「地球人が話しかけてきたぞ!」

P「でかした裕子ぉっ!」

裕子「はいっ! サイキックは宇宙人相手でも通用すると証明されました!」

P「よし、宇宙人相手に野外ライブだ! 曲名は『イリュージョニスタ!』、スイッチオン!」

晶葉「そんな曲は無い! 入っているのは『お願い! シンデレラ』だけだ!」

P「なにっ!? まあいい、頼むぞシンデレラたち!」ポチッ


……『お~ねがい、シーンデレラ♪ ゆめはゆーめでおーわれないっ! 動き始めてる、輝く日のために────』

458: 2017/09/02(土) 00:58:47.78 ID:n6tc0l7N0
P(その歌がウサミン星人たちのカルチャーショックを引き起こし、地球は侵略を免れた……なんて言っても、きっと誰も信じないな)

菜々「ウサミンパワーでメルヘンチェーンジ! ……とまあ、こういう具合で元気にやってます」

「オオ……!」「早く新しい曲を送ってくれ!」

菜々「分かりました、今夜にでもまた送ります。それでは!」プツッ

志希「おっつー、さすが~♪」

菜々「いやぁ、最近は誰かアイドルを出して生歌披露させろとか、写真集寄こせとか要求がキツくなってきてて……」

まゆ「私でよければいつでも手伝いますから、言ってください」

菜々「はい、ありがとうございますっ」

P(菜々は地球とウサミン星とを繋ぐ大使のような役割で地球に残ることとなり、今日も元気にアイドルをやっている)

P(そしてそれは他のみんなも変わらない。俺も元気でプロデューサーをやっている)

P(こんなご都合主義で最低なハッピーエンド、この「世界」を見ている誰かは気に入らないかもしれないけど、こんな結末で良かったと俺は思う)

P(……しかしあの事件が終わってから、頭のウサミミとは別に一つ大きな悩みのタネが出来てしまったのだ)

459: 2017/09/02(土) 00:59:57.54 ID:n6tc0l7N0
志希「あ、失敗した」

P「え?」

プシューッ! ペチャ、ペチャペチャッ!

P「うわっ、大分飛び散ったぞ……って!」

ジワワワ……

まゆ「ふ、服が溶けていきますっ!?」

志希「あちゃー、ウサミミを消すクスリのつもりが服を消すクスリになっちゃった♪」

P「なっちゃったじゃなーい! どうすんだよこれ、め、目のやり場に困るぞ!」

P(そう、ラッキースOベ体質が未だに治らず一日一回はこういう目にあってしまうのだ……)

菜々「手で隠せばいいじゃないですかっ!」

P「あっ、そ、そうだな」スッ

P(と言いつつ指の間から見たり? この体質をけっこう気に入っていたり?)

バターン!

早苗「プロデューサーくん居る? って、な……」

志希「あ、また出る」

ブシューッ! ベチャッベチャッ

P「さ、早苗さん!?」

早苗「また……また、こんな……プロデューサーくん、逮捕よーーーーっ!」タッタッタッ

P「ひえええっ! 志希っ、早くラッキースOベを治す薬も作ってくれえええっ!」タッタッタッ

志希「ん~、それは多分ムリかな」

P「うわああっ、もう異能バトルはこりごりだぁ~っ!」

460: 2017/09/02(土) 01:01:51.30 ID:n6tc0l7N0
おわりです
読んでくれた人、安価に参加してくれたみさんありがとうございました
いやぁ、メルヘンデビューは強敵でしたね……

461: 2017/09/02(土) 01:15:36.53 ID:mILTo+wHo
おつ面白かった
智絵里と城ケ崎姉妹の能力はどんなだったんだろうか

引用: モバP「アイドルたちが異能力者になったから安価でなんとかしろって!?」