1: ◆aKZmxL4TCc 2015/08/08(土) 20:13:07.52 ID:4YQQ1f9B0
※注意
・SS初投稿です。

・艦これのSSで、もし海軍総司令部がこんなところだったらという感じで書いていきます。
・人名とか地名とかも出てきます。


3: 2015/08/08(土) 20:18:08.57 ID:4YQQ1f9B0
 近代の海に突如出現した、人類の敵・深海棲艦。

 はじめの内、人類は謎の深海棲艦に対して有効な手段も取れず、圧倒されていた。しかし、妖精と艦娘という存在が生まれてからは、深海棲艦を相手に、

互角かそれ以上に戦う事ができるようになった。

 その艦娘と妖精を率いて、深海棲艦と戦う提督は、今この国に100人以上いる。

 では、その100人を総べる海軍の総司令部はどのようなところなのだろうか。

4: 2015/08/08(土) 20:28:34.35 ID:4YQQ1f9B0
 ―10時、総司令部・司令長官室―

司令長官「………ふむ…」カリカリ

コンコン

司令長官「どうぞ~」

大淀「司令長官、失礼します」ガチャ

司令長官「どうかしたの?」

大淀「近日発令する大規模作戦の大方の要領が完成しました」

司令長官「ああ、ご苦労様。じゃあ確認するから…」

コンコン

司令長官「ん?」

川内「失礼するよ、司令長官。各地方の鎮守府の戦況データが送られてきたよ」

コンコン

名取「あの、大型建造に関する意見文が送られてきました…」ガチャ

コンコン

古鷹「鎮守府から資金援助の要求が…」

ザワザワザワザワ

司令長官「ええと…大規模作戦の要領はそこに置いといて、後で読むから。戦況データは、あー…大淀君と相談してよ。大型建造の意見文?それは~…

     えーっと…そうだ、黎明君に頼んでよ!」

名取「あ、そういえば…提督は?」

司令長官「ああ、彼は今別の場所に視察に言ってるはずだけど…多分今は工廠あたりにでもいるんじゃないのかな?」

名取「わ、分かりました。では、行ってきます!」タタタ
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
5: 2015/08/08(土) 20:42:25.13 ID:4YQQ1f9B0
 ―工廠付近―

提督「工廠は特に問題無し、と」

長門「ああ」

提督「次は、入渠ドックですか。すみませんが長門さん。入渠ドック内部の視察はお願いできますか?」

長門「任せておけ」

名取「提督~!」タタタ

提督「おや、どうしました、名取さん?」

名取「あの、大型建造についての意見文が…本部に…」

提督「そういう意見文を読むのは、司令長官の仕事のはずでしょう」

名取「ですが、あの…司令長官が『黎明君にでも頼んでよ』とおっしゃっていたので…」

提督「…チッ。あの木偶の坊が…。私に余計な仕事を押し付けてきて…」

名取「ひっ…」

提督「確かに私は司令長官の補佐官ではありますが、一鎮守府の提督でもあるのですよ?無論、提督としての仕事もあるというのに…あの人は私に、

   いつも仕事を押し付けてくる。まったく…」

名取「あ、あの…」

提督「…ああ、失礼しました。つい本音が…さて、意見文には何が…」カサ

長門&名取「………」

提督「……大型建造で貴重な艦娘が出てこないから何とかしろ、ですか」

名取「ええ、そういう意見がたまに来るんです…」

提督「…そもそも、大型建造は秘書である艦娘の運と、提督自身の運、それと妖精さんの気分が関わってきます。秘書艦娘の運は秘書艦を変えれば、

   どうにかできますが、妖精さんの気分やその提督の運はどうする事もできません」

長門「ふむ…まあ、確かにな」

提督「それに、大型建造は大量に資材を消費する事で貴重な艦娘を建造できるというものですが、その確率はかなり低いものです。しかも、

   大型建造で建造できる艦娘の半分ほどは通常の建造で出会う事ができます。消費する資材の割に、貴重な艦娘を建造できる確率が低い大型建造に、

   私は反対なんですよ」

名取「…………」

提督「まあ、私が司令長官の補佐官になる前には、既に大型建造というシステムは出来てしまっていたので、私が作ったものではありません。つまり、

   私に言われても困るという事ですよ」

6: 2015/08/08(土) 20:51:22.78 ID:4YQQ1f9B0
名取「…ご、ごめんなさい…」

提督「いえ、貴女が謝る必要はありません。しかし、この意見文の回答はどうするべきか…」

長門「提督がさっき言った事を書けばいいだけではないのか?」

提督「それで納得するとは思えませんので…もっと具体的に書かなければならないんですよね…」

皐月「司令官~!」タタタタ

提督「おや、皐月さん。どうなさったんですか?」

皐月「それが…大変な事になって…」

提督「?」

皐月「その、さっき…キス島沖に出撃したんですけど…あ、結局白露ちゃんが大破して撤退したんだけど…」

提督「そうでしたか…白露さんはもうドックへ?」

皐月「はい。それで、キス島沖から帰るときに、新しい艦娘の人を1人見つけてきてウチに連れてきたんですけど、その人がなんか怒っちゃって…」

提督「怒った?」

皐月「と、とにかく早く来てください!」

提督「…分かりました。すみませんが長門さん。この後の視察を済ましておいてもらえますか?」

長門「了解した」

名取「あの、私は……」

提督「では、倉庫の整理をお願いできますか?」

名取「は、はいっ」

提督「では、よろしくお願いします」タタタ

7: 2015/08/08(土) 21:00:30.72 ID:4YQQ1f9B0
 ―数分後、波止場―

??「だーっ、いつまで待たせるんだよもー!!」

吹雪「で、ですから…ここの提督がいらっしゃるまで待っていただければ…」

??「んな事言ってるけどもう10分以上過ぎてんだぞ!まったく、ここの提督はどんだけ弛んでんだよ!」

提督「怒った人って、あの人ですか?」

皐月「あの人です…一応、波止場に着いてからは待たせてもらってましたけど…」

??「おっ、てめーがここの提督かぁ?」

提督「?」


天龍「ったく、10分以上も遅れやがって!それでも提督かよ」


提督(……剣、眼帯、獣みたいな耳……)

提督「ああ、中二病の方ですか」

天龍「誰が中二病だ!誰が!俺は軽巡洋艦の天龍だぞ!」

提督「あ、それは大変失礼いたしました。いえ、貴女は大変個性的で趣のある独特な格好をしておられましたので…」

天龍「遠回しに俺を変って言ってんじゃねぇ!っつーか、お前も提督なら、自分の部下の事を馬鹿にするのはやめろよ、しかも本人の前で」

提督「…それを言うのでしたら、貴女は先ほど私の事を‶テメー‶と呼びましたよね?それも、上官に対する言葉づかいではないと思うのですが?」

天龍「うっ…それに関してはすまねぇ…」

提督「それにしても、貴女の口調はかなり男性的な感じですね…キャラ付けか何かですか?」

天龍「キャラじゃねぇよ…なんか、気づいたらこんな口調になっていたんだ…」

提督(その辺は、艦娘特有の事ですね…)

8: 2015/08/08(土) 21:16:06.12 ID:4YQQ1f9B0
天龍「なあ、少しいいか?俺はここに来てから実に10分以上待たされてた。それでついさっき、このちっこいの(皐月)がお前を迎えに行ったらしいけど、

   普通自分の艦隊が帰投したらすぐに迎えに行くのが道理じゃねぇのか?」

提督「…実は、この鎮守府は少し特殊でしてね」

天龍「特殊?」

提督「ここ、東京第壱鎮守府は、海軍総司令部と併設されているんです。そして私は、第壱鎮守府の提督でもあり、海軍司令長官の補佐官でもあるのです」

天龍「そ、総司令部!?それに、司令長官補佐官!?」

提督「つまり、単純に考えれば、私には第壱鎮守府の提督としての仕事と、司令長官補佐官としての仕事が積み重なっているんです。すぐ来れなかったのは、

   第壱鎮守府の提督として、敷地内の視察をしていたからです。それに、この鎮守府はさっき言ったように海軍総司令部に併設されているため、

   敷地面積が広いのです。だから、この皐月さんが私を探すのにも、私がここに来るのも遅くなったのです」

天龍「そ、そうだったのか…済まなかった。何も考えないで、お前の方が悪いように言っちまって…」

提督「いえ、分かってくださればそれでよろしいのです。それと、貴女の男性的な話し方についてはとやかく言う事はありませんが…」

天龍「?」

提督「……もし、日常的に私の事を馬鹿にするような発言をしたら、躊躇なくあなたを解体もしくは沈める所存ですので、覚悟してください」ボソッ

天龍「こっ、心得ました!」ビシッ

提督「良い心得です。では、天龍さんの部屋やこの鎮守府の決まり事などを、教える事にしますかね。吹雪さん、キス島沖の戦闘の報告書をお願いします」

吹雪「は、はいっ」

提督「皐月さんは、書庫に行って艦娘目録を執務室に持ってきて下さい」

皐月「了解っ!」

提督「では、天龍さん。執務室へ行きましょう。ここのルールなどを教えますので」

天龍「は、はいっ!」

9: 2015/08/08(土) 21:21:03.03 ID:4YQQ1f9B0
【キャラクター紹介】

~提督~

本名は斑 黎明(まだら れいめい)。東京にある第壱鎮守府の提督であり、海軍司令長官の補佐官。真面目な仕事人間で、冷静に正論を叩きつけるタイプ。

司令長官がポンコツなせいで、よく余計な仕事を任されてしまう。艦娘の事は信頼しているし艦娘もこの提督の事を信頼している。司令長官の補佐官、

という立場上気苦労が絶えない。

18: 2015/08/09(日) 21:17:38.23 ID:gbhd8M9G0
【空母のあれやこれ】

 ―13時、提督執務室―

提督「………………」カリカリ

コンコン

提督「はい、どうぞ」

司令長官「黎明君、失礼するよ~」ガチャ

提督「司令長官、私の執務室を訪ねるのは別に構いませんが、ご自分の仕事は片づけたのですか?」

司令長官「そんな儂がいつもサボっているような言い草はしないでくれよ…ちゃんと仕事は片づけたよ…」

提督「この前執務中にジャ○プ読んでいたというのにどの口が言ってるんですか。で、何のご用です?」

司令長官「ああ、ちょっと君の様子を見に来たんだよ。ほら、明日から大規模作戦が始まるじゃない?だから、君はどんな感じなのかなーって」

提督「私ですか?まあ、私は皆さんの編成や練度、装備を考えて、誰を前線に出すかを考えるくらいです。それと、補佐官としての仕事もありますので、

   それも片づけています」

司令長官「なんだ、いつも通りじゃないか。つまらないなぁ」

提督「何を期待していたんですか」

コンコン

司令長官「あ、来客みたいだよ」

提督「失礼。どうぞ」

蒼龍「提督、失礼しますね」ガチャ

司令長官「やあ、蒼龍君」

蒼龍「あ、司令長官。お疲れ様です」

司令長官「うん、お疲れ様」

提督「…貴女が来たという事は…」

蒼龍「そう、装備開発の報告書、書いてきましたよ」

提督「ご苦労様です、では確認させてください」

蒼龍「はい、どうぞ」スッ

提督「では…」ペラッ

蒼龍「…………」

提督「………はい、大丈夫です。お疲れ様です」

蒼龍「ありがとう、では、失礼しますね」

提督「はい」

パタン

19: 2015/08/09(日) 21:28:24.04 ID:gbhd8M9G0
提督「紫電改二が1つ、流星改が1つ、彩雲が1つですか…随分と良い出来ですね」

司令長官「そうだねぇ。大淀君の大規模作戦要領も見たけど、どうやらこの作戦は空母が重要になるらしいし、丁度よかったんじゃないのかな?」

提督「確かに、そうですね…」

コンコン

司令長官「おや、また来客かな?」

提督「はいっていいですよ」

飛龍「失礼するね、提督。蒼龍、ここに来なかった?」

提督「ああ、それならさっき開発の報告書を出してきて、ついさっき出たばかりですよ」

飛龍「ありゃー…タッチの差か~…。まあいいや、提督、ありがとうね」パタン

司令長官(儂はスルーか…)

司令長官「蒼龍君と飛龍君は、本当に仲良しだねぇ」

提督「ええ、あの2人は寝食を共にしていますし、同じ二航戦として、仲が良いのでしょう」

司令長官「そういえば、飛龍君が君にタメ口を聞いてたけど、よかったのかい?」

提督「?何がでしょうか?」

司令長官「何がって、昨日、天龍君だっけ?が着任した時、タメ口を聞いたら注意したそうじゃないか。それなのに、さっきみたいな飛龍君の言葉遣いは、

     注意しなくてもいいのかって」

提督「ああ、私は別に皆さんに、私に対しては敬語を徹底しろ、とは言ってません。昨日の天龍さんの言葉遣いは、つい感情を荒げてしまったせい、

   らしいですし、元々がああいう口調なのでしたら、無理に敬語に直せ、とも言いません。上司と部下の良好な関係を築くには、まず言葉の壁、

   まあ敬語とタメ口という壁を壊すことが大事だと私は考えています。タメ口で話す事で、私と気軽に、緊張感無く話す事ができますしね。まあ、

   元から敬語の艦娘もいますし、さすがに外部の方と接する時は口調を丁寧にするように言いますが」

司令長官「でも君のトコには、君のことを『クソ提督』とか、『クズ』とか呼ぶ子もいるみたいじゃないか?」

提督「…あの方たちは、もうどうしようもありませんでしたので、あのままにしておきました」

司令長官「あー……」

20: 2015/08/09(日) 21:31:38.01 ID:gbhd8M9G0
 ―19時、食堂―

提督「チキンカツ定食で、お願いします」

間宮「分かりましたー」

司令長官「儂は、かつ丼大盛りで!」

間宮「分かりましたー、伊良湖ちゃん、手伝ってー!」

提督「司令長官、この前の健康診断でメタボ判定が出たと聞きましたが?」

司令長官「それはそれ、これはこれだよ」

提督「…まあ、別に構いませんが。もし太り続けて業務に支障が出るようになったら、最悪その脂肪を切り出す事になりかねますが」

司令長官「君が言うとリアルにやりそうで怖いね…まあ、善処するよ」


 ―数分後―

提督&司令長官「いただきます」

司令長官「ん~、やっぱり間宮さんの料理は美味いねぇ」

提督「さすが、元補給艦ですね」

司令長官「あ…あの2人が来たか…」

提督「

21: 2015/08/09(日) 21:34:35.11 ID:gbhd8M9G0
※誤投下してしまいました、申し訳ございません。書き直します。

 ―19時、食堂―

提督「チキンカツ定食で、お願いします」

間宮「分かりましたー」

司令長官「儂は、かつ丼大盛りで!」

間宮「分かりましたー、伊良湖ちゃん、手伝ってー!」

提督「司令長官、この前の健康診断でメタボ判定が出たと聞きましたが?」

司令長官「それはそれ、これはこれだよ」

提督「…まあ、別に構いませんが。もし太り続けて業務に支障が出るようになったら、最悪その脂肪を切り出す事になりかねますが」

司令長官「君が言うとリアルにやりそうで怖いね…まあ、善処するよ」


 ―数分後―

提督&司令長官「いただきます」

司令長官「ん~、やっぱり間宮さんの料理は美味いねぇ」

提督「さすが、元補給艦ですね」

司令長官「あ…あの2人が来たか…」

提督「あの2人?」


赤城「かつ丼、特盛で!」

加賀「赤城さん、食べすぎです…。あ、私はチキンカツ定食、ごはん大盛りで」


提督「……あの2人は、加減というものを知らないのでしょうか」

司令長官「ま、まあ。世の中には、‶いっぱい食べる君が好き‶っていう言葉があるらしいじゃないか…」

22: 2015/08/09(日) 21:40:05.78 ID:gbhd8M9G0
赤城「あ、提督、司令長官、こんばんは。ご一緒してもよろしいでしょうか?」カチャリ

司令長官「ああ、儂は別に良いよ。黎明君は?」

提督「私も別に、構いません」

加賀「では、失礼します」カチャリ

赤城「いただきます!」

加賀「いただきます」

赤城「………………」モクモクモクモク

加賀「………………」パクパクパクパク

司令長官(食べ始めると無言になるタイプなのか、この二人は…)

提督「…その様子でしたら、損傷ももう完全に回復した、と見てよろしいんでしょうか」

赤城「むぐっ、はい!もうばっちりです!」

提督「まあ、その食いっぷりを見れば、誰も8時間入渠を終えたばかり、とも思えませんね」

加賀「まったく、赤城さんにけがをさせるなんて…」

提督「それについては申し訳ございません。敵艦隊を少し甘く見てしまっていたようですし…」

司令長官「どこに出撃させていたんだい?」

提督「カレー洋です。皆さんの練度向上も兼ねて、行かせたのですよ」

司令長官「あー、あそこは確かに、会うと面倒な敵が稀にいるからねぇ」

キャイキャイ

提督「?」

23: 2015/08/09(日) 21:48:05.04 ID:gbhd8M9G0
翔鶴「あら、瑞鶴はチキンカツ定食にしたのかしら?」

瑞鶴「うん、翔鶴姉はかつ丼?なら、分け合いっこしてもいい?」

翔鶴「もう…構わないけど…」

瑞鶴「やたっ!」


加賀「…………っ」

瑞鶴「げ」

司令長官(翔鶴君……君は小食な方だと思ったが…君も大盛りか…)

提督「…翔鶴さん、瑞鶴さん」

翔鶴「あ、提督、司令長官。お疲れ様です」

瑞鶴「お疲れ様でーす」

司令長官「うん、お疲れ様ー」

提督「お疲れ様です、翔鶴さん、瑞鶴さん。よろしければ、ご一緒しますか?」

加賀「なっ…提督、あなた何を」

赤城「!そうですね、たまにはそういうのもよろしいでしょうね」

提督(赤城さんは、やはり察しのいい)

加賀「赤城さん…?」

翔鶴「ええ、では、ご一緒させてもらいましょうか。瑞鶴、いいわよね?」

瑞鶴「…まあ、翔鶴姉がそういうのなら…」

翔鶴「では、赤城さん。お隣失礼しますね」

瑞鶴(げー…加賀さんの隣かー…)

加賀「………………」モクモクモクモク

司令長官(黎明君…少し、強引だったんじゃないのかな…?)ヒソヒソ

提督(鎮守府内で、艦娘同士が敬遠しあっていると、それがほかの艦娘にも伝播して、鎮守府内の雰囲気が悪くなってしまいます。そうなってしまうと、

   艦娘同士の連携が悪くなってしまいますから)ヒソヒソ

司令長官(ううむ…確かにそうは思うけど…)ヒソヒソ

提督(それに、加賀さんも瑞鶴さんも、まんざらではなさそうですし)ヒソヒソ

司令長官「へ?」チラッ

24: 2015/08/09(日) 21:54:52.49 ID:gbhd8M9G0
瑞鶴「…………」チラッ、チラッ

加賀「…………」チラッ、チラッ


司令長官(まあ、少しずつ仲良くなってくれればいいんだけど…)

提督「それにしても…皆さん揃いも揃ってご飯大盛り以上ですか」

赤城「え、だっておなかが空いてしまって…」

翔鶴「そうですね…出撃や演習の後だとなおさら…」

提督「この鎮守府の食料は無尽蔵にあるというわけではありません。少しは遠慮というものも覚えてほしいものですね」

瑞鶴「うう……」

加賀「…………」

提督「それに、飛龍さんと蒼龍さんは、同じ正規空母だというのに、食べる量は常人並みですよ?彼女たちを見習ってください」

赤城「………はい」

翔鶴「………分かりました」

司令長官「そういえば、さっきから正規空母の皆の名前が挙がっていたけど、雲龍型の3姉妹は?食堂にはいないみたいだけど…」

提督「ああ、彼女たちは今浴場にいるかと思います。彼女たちは、風呂上がりに食事をとるタイプだそうですので」

司令長官「あ、そうなの?っていうか、彼女たちは食べる量がすごく少ないし、君たち一航戦や五航戦の皆には彼女たちの方を見習ってほしいね」

提督「彼女たちはむしろもっと食べるべきです」

25: 2015/08/09(日) 22:00:09.98 ID:gbhd8M9G0
提督「とにかく、明日からは大規模作戦も始まります。資材や食料も少し節約しなければなりませんので、まずは食事の量を減らしてもらいたいところです」

空母勢「はい……」

司令長官「まあ、この大規模作戦は君たちの力が必要になってくるだろうから、ぜひ頑張ってくれ。期待しているよ」

空母勢「……はい!」

赤城「あの、ところで…提督」

提督「はい?」

赤城「難しい話を聞いていたら、少しおなかが空いちゃって、おかわりに行ってきてもよろしいでしょうか?」

提督「……ダメです」

赤城「えー…」

加賀「……はぁ…」


【終わり】

26: 2015/08/09(日) 22:05:08.39 ID:gbhd8M9G0
【キャラクター紹介】

~司令長官~

本名は軍乃 盾間(いくさの じゅんま)。海軍の司令長官。少し太り気味。仕事はやればできる方だが、仕事が多すぎると黎明提督に押し付ける事もある。

勤務中に漫画を読むなど司令長官にあるまじき態度をとっているが、そのおおらかさと、仕事はやればできる事から、人望は厚い。しかし度が過ぎると、

黎明補佐官から折檻を受けて矯正される。

42: 2015/08/11(火) 21:05:05.12 ID:6laxxW2M0
【大規模作戦】

 ―10時、波止場―

五十鈴「じゃあ、五十鈴率いる第一艦隊、ショートランド沖へ出撃します!」

提督「ご武運をお祈りしております。ですが、決して無理はなさらないようにしてください」

五十鈴「了解!じゃあ皆、出発よ!」

ザザザザザ

司令長官「いやぁ、始まったねぇ。大規模作戦」

提督「ええ。大規模作戦が始まると、普段は弛んでいる艦娘の皆さんも活発になりますので、いい刺激になります」

司令長官「大規模作戦を何だと思ってるの、君…。それより、この作戦でも難易度が3段階選べるけど、君は甲作戦にしたのかな?」

提督「いえ、私はこの大規模作戦では丙作戦を見込んでおりますけど」

司令長官「…へ?君が?」

提督「はい。下手に難易度の高い作戦にして、危ない橋を渡る真似はしたくないですし」

司令長官「君みたいな優秀な提督が丙作戦ねぇ…ちょっとゆるすぎるんじゃないの?」

提督「別に、艦隊の練度が高いから難易度の高い作戦にする必要はありません。私は元々、甲作戦で海域を突破できるかが不安でしたので、

   丙作戦にしようと思ったのです」

司令長官「ああ、確かにそうだねぇ。別に自分はレベルが高いから、レベルの高い作戦しか選べない、なんて決まりもないからね」

提督「それに、難易度を高くしてしまうと、出撃回数が多くなってしまい、各資材の減りも早くなってしまいます。大規模作戦後に資材がすっからかん、

   なんて事態は御免です。それに、艦娘の皆さんの負担も増えますし」

司令長官「君って、結構艦娘思いなんだねぇ」

提督「当たり前ではないですか。艦娘の方々は、私の部下であり、大切な仲間でもあります。その仲間を大切にしないでどうするんですか」

司令長官「君の口から‶大切な仲間‶なんて言葉を聞く事になろうとはね…」

43: 2015/08/11(火) 21:15:22.03 ID:6laxxW2M0
提督「ただここで問題になるのは、自分艦隊の強さを過信してしまい、難易度の高い作戦を選んでしまう提督がいる、という事です」

司令長官「ああ、確かにそういう事になる鎮守府は大規模作戦になると、いくつもあるからねぇ。それで、こっちに八つ当たりで謝罪を要求してくるの、

     あれもやめてほしいものだね」

提督「ええ。あれは流石に、呆れて物も言えません」

秋月「提督ー!」

提督「おや、秋月さん」

秋月「あ、司令長官!お疲れ様です!」ビシッ

司令長官「ああ、そんなにかしこまらなくていいから。それで、秋月君は黎明君に用があるんじゃないのかな?」

秋月「あ、そうでした。提督」

提督「どうかなさったのですか?」

秋月「先日、大規模作戦時に、この秋月を使ってほしいと具申しましたよね?」

提督「…ああ、確かにしてきましたね」

秋月「ですが、ショートランド沖への出撃艦隊に、秋月が含まれていなかったのはなぜでしょうか…」

提督「ああ、それはですね、ショートランド沖には、空母が出現しないんです。秋月さんの特性は、高い対空性能です。その性能が生かせないので、

   第一海域出撃部隊には、配属しませんでした」

秋月「あ、そうでしたか…」

提督「それにこの作戦では、出撃制限がかかってしまいます」

司令長官「ああ、あれ?一度出撃させると、それ以降の作戦に参加できなくなるってやつ」

提督「ええ。ですからここで秋月さんを出撃させてしまうと、今後の作戦で空母が出てきた際に、秋月さんを出撃させる事ができないのでは、

   作戦を完遂できる可能性が低くなってしまいます」

秋月「そのような理由が…わかりました。すみません」

提督「…まあ、秋月さんのように、艦娘それぞれに特性があるというのは良い事なのですが、あまり1つの事を極められても、運用が難しくなるのです」

秋月「…と、言いますと?」

44: 2015/08/11(火) 21:28:48.28 ID:6laxxW2M0
提督「先ほど出撃させた艦隊の皆さんは、火力・対空・雷装・装甲の数値が全て平均的な方です。これは、第一海域で敵艦隊に空母はおらず、

   さらに敵艦隊の火力・装甲もさほど脅威ではない艦が多くいるからです。ですから、先ほど述べたように対空性能が高い秋月さんや、

   破壊的な火力が自慢の戦艦は配属しませんでした」

秋月「ふむ…ふむ……」

提督「しかし、全員が全員、火力や雷装のどれか1種類だけに特化してしまうと、どの艦娘をどのように編成するかを考えるのが面倒になるのです。

   要するに、全ての性能のバランスが良い艦娘が、運用しやすいという事になるのです。性能の多少の差は、装備を変えればどうにでもなりますし」

秋月「あ、そういう事でしたか…。確かに、秋月の性能も、対空はずば抜けてよいですが、装甲は少し…」

提督「でしょう?ですから、空母の出てくる今後の作戦に、秋月さんは温存しておきます」

秋月「分かりました」

司令長官「だけど、火力・対空・雷装・装甲が全部優秀って子は少ないよねぇ」

提督「確かに…空母や戦艦の方は雷装が無いに等しいですし、駆逐艦や軽巡洋艦の方は装甲が少々薄め…そう考えると、重巡洋艦が一番バランスが良い、

   とは言えますが…」

司令長官「重巡洋艦は…あー、まあ確かにバランスが良いけど…対潜攻撃できないからねぇ…」

提督「それはまた別の問題なのですが…ああ、そういえば全ての才能に秀でている艦娘が1人いましたね」

秋月「え?そのような方、いましたっけ?」

司令長官「儂も知らないよ?いったい誰なの」


提督「戦艦レ級です」


司令長官「だっ、ダメダメダメだよ!?あれ深海棲艦で敵の1人じゃないか!」

秋月「そっ、そうです!まさか提督、レ級を仲間にしようとか考えているのでは…」

提督「いえ、さすがにそこまでするつもりはございませんが…」

司令長官「よかった…。君の事だから多分レ級のところまで行って力技で仲間にするもんかと思ったよ…」

提督「…本当にあなたは私の事を何だと思っているんですか」


【終わり】

61: 2015/08/12(水) 21:28:32.08 ID:ecOLCWL10
【駆逐棲姫】

 ―15時、執務室―

提督「また、駆逐棲姫が現れたんですか?」

春雨「はい……渾作戦の時に会って以来…」

司令長官「駆逐棲姫って、あの春雨君によく似た深海棲艦?」

提督「はい。深海棲艦の中には、駆逐棲姫のように、艦娘とよく似た艦種がいるらしいのです」

春雨「はぁ………」

司令長官「で、自分を攻撃するのが怖くて、攻撃するのを拒んだの?」

春雨「……申し訳ございません…私って、昔からこう…臆病なところもあって…肝心なところで力を発揮できなくて…」

司令長官「ううん、儂には分かるよその気持ち。だって、自分で自分を気付つけるような感じじゃない」

提督「いえ、私はむしろ腹が立って仕方ないですね」

司令長官「え?またどうして」

提督「それは―あ、そうだ。春雨さん」

春雨「はい?」

提督「もし次、駆逐棲姫に会う事があったら…」


 ―翌日、ショートランド沖・Zマス(警戒艦隊旗艦)―

春雨「私はっ、あなたのっ、臆病なところがっ、大嫌いなんですっ!!」ドドドドドォォン

駆逐棲姫「ガフッ!?」中破

五十鈴「春雨ちゃん…昨日とは打って変わってどうしたの…?」

那智「何やら、敵艦に文句のようなものも言ってるし…」

春雨「そうやって、言い訳して、本気を出せないあなたが、嫌いなんです!!」ドッドドドドドン

駆逐棲姫「グ…フ…」撃沈


 ―同時刻、執務室―

提督「容姿が同じ人物がいるのであれば、自分自身が嫌いという感情を、その相手にぶつければいいだけの話です。よく、昔の黒歴史を思い出した人が、

   『あの時の自分を殴ってやりたい』と思う事があるでしょう?それと同じ事を、春雨さんにさせただけです」

司令長官「まあ、分からなくはないね…。それで本人の憂さが晴れるのならいいけれど…」


【終わり】

62: 2015/08/12(水) 21:38:18.63 ID:ecOLCWL10
【休暇】

 ―19時、食堂前―

[食堂は本日から数日の間、都合により休みます。 間宮]

司令長官「あれ~…?」

提督「おや、司令長官。どうなさいましたか?」

司令長官「今日って、食堂休みだったっけ?」

提督「この前言っていたでしょう。少しの間休むと」

司令長官「そうだったっけ?」

提督「はぁ…これだから、このアホ長官は…」

司令長官「本人を目の前にしてアホって言わないでくれるかな…地味に傷つくんだよ?」

提督「…普段から間宮さんや伊良湖さんは、朝から晩まで食堂で艦娘の皆さんや私たちの食事を用意してくれているでしょう?それに加えて今は、

   大規模作戦中。疲労を回復するために間宮さん達に頼る人も増えてきています。そこで、さすがに間宮さん達は働きすぎてると思い、私が少しの間、

   彼女たちに休みを与えたんです」

司令長官「そうだったのか。いや~…うっかり忘れてたよ。じゃあ、夕食はどうしようかな……」

提督「では、私はこれで」

司令長官「ねえ、君は夕食はどうする気なの?」

提督「私は自分で作るつもりですが…。一応料理はできる方ですし」

司令長官「じゃあ儂の分も作ってよ!」

提督「絶対嫌です」

司令長官「即答!?どこまで君は儂の事が嫌いなんだ!このままじゃ儂、今日の夕飯がカップラーメンになっちゃうよ!」

提督「それもまた一興では?」

司令長官「この…他人事だと思って無下にしおってからに…」

提督「……そうですね…そこまで人の料理が食べたいというのであれば…1人心当たりがあります」

司令長官「え、本当?」

63: 2015/08/12(水) 21:52:35.88 ID:ecOLCWL10
 ―数十分後、艦娘用寮・キッチン―

間宮&伊良湖「ごちそうさまでした」

伊良湖「では私は、食器を洗ってきますね」

間宮「あら、いいのよ伊良湖ちゃん?私が洗うから…」

伊良湖「いえ、間宮さんは休んでいてください。いつも頑張っていらっしゃいますから…」

間宮「そう…じゃあ、お願いしちゃおうかしら?」

伊良湖「はい、お願いされました!」タタタ

間宮「ふぅ…」

間宮(普段なら、今はまだ食堂で皆の食事の準備をしている最中だけど…提督からお暇をいただいて少しは楽になったかしら…?皆も、

   私にゆっくりしてほしいからか、私に食事を頼んだりはしないし…)

間宮(でも…なんか少し物足りないかも…)

間宮(いつもは忙しすぎて休みたいって事も思ってたけど…いざ休んでみると、物足りないと感じるなんて…ワーカホリックってやつかしら…)

間宮(でも、休暇を取り消して何て要望、提督に失礼でしょうし…明日は少し出かけようかしら…)

間宮(……また、皆に料理を作ってあげたい…な…)

トントン

間宮「はい?」

明石「間宮さん、ちょっと困った事態に…」ガチャ

間宮「?」


 ―数分後、食堂―

司令長官「やめてっ!やめてったらっ!!」

比叡「さあ司令長官!遠慮なさらず、比叡特性カレー・間宮風をどうぞ召し上がりください!」

司令長官「遠慮するってば!」

提督「さあ司令長官、諦めて比叡さんのカレーを食べたらどうです?部下の気遣いは無下にしない方がいいですよ」

司令長官「上司の頼みを断った君が言うか!助けてったら!しかも自分で作った料理食べといて自分は無関係気取りとは!」


間宮「……どうしてこんな事に…?」

明石「…司令長官が夕食をどうしようかと悩んでいたら、提督が比叡さんを呼んで、『司令長官があなたの作ったカレーを食べたくてしょうがない』、

   って言いふらしたそうです…」

間宮「それは…まあ…」

明石「ですので、間宮さん…。休暇中で申し訳ございませんが、あの2人の騒動を止めたうえで、司令長官というか他の皆さんにも料理を…」

間宮「構いませんよ」

明石「えっ、いいんですか?そんなあっさりと…」

間宮「私も丁度、みなさんに料理を作ってあげたいと思っていたところですから」


【終わり】

64: 2015/08/12(水) 22:01:24.44 ID:ecOLCWL10
【出撃制限】

 ―10時、執務室―

提督「第一海域解放ですか。ご苦労様です。では、すぐにこちらへ帰還してくださいね」プツッ

提督「さて…次は第二海域の編成をどうするか…」

コンコン

提督「はい」

司令長官「ねえ、黎明君。少し気づいたことがあるんだけど」

提督「なんですか。下らない用事でしたら五秒であなたの事を殴ります」

司令長官「出合い頭にひどいね…。まあそれは置いといて、君、昨日出撃制限の事について言ってたよね?」

提督「ええ、確かに。前段階海域で出撃した艦娘は、それ以降の海域で出撃できないと」

司令長官「それなんだけどさあ、その出撃制限、どうやら乙作戦と甲作戦だけらしいんだよ」

提督「………えっ」

司令長官「君は確か、今回の作戦丙作戦でクリアするつもりなんだよね?けど、さっき言ったように出撃制限って、丙作戦には適用されないらしいよ」

提督「……………」ペラペラペラ

提督「……あ、本当だ」

司令長官「でしょ?いやぁ、それにしても意外だねぇ」

提督「…何がですか」

司令長官「だって、君みたいに頭の切れる賢しい提督が、そんな事を見落とすなんて、ねぇ?なんか久々に、君の抜けてる一面を見た気がするよ。

     はははは」

提督「」プチッ

司令長官「あはははははははは―痛っ!?」ガスッ

提督「……………」ガスッ、ゲスッ、ガシッ

司令長官「ちょっと、何無言で脛蹴ってんの!?痛いよ!怖いよ!」

提督「……………」ゴスッ、ガスッ

司令長官「何とか言ってよ!何でそんなに怒ってんの!」

提督「ご自分で考えてください」ガスッ

司令長官「痛いっての!!」


【終わり】

79: 2015/08/13(木) 21:24:07.18 ID:b+po48+m0
【かも】

 ―13時、執務室―

提督「ふむ…一度も水母棲姫を撃沈できませんね…何か打開策をとらねば…」

コンコン

提督「はい、どうぞ」

ガチャ

秋津洲「提督、失礼するかも!」

提督「…何か、ご用ですか?」

秋津洲「昨日の演習の報告書が書けたかも!提出しに来たかも!」

提督「…………」ガタッ

秋津洲「?提督、どうかしたの?おなかが痛いのかも?」

提督「…………」ガシッ

秋津洲「ちょっ…何も言わないであたしの顎をつかまないでほしいかも…」

提督「…私は基本、人の口調に関してとやかく文句は言わない主義なのですが…」グググググ

秋津洲「何でその話を今するの……」

提督「あなたの語尾に‶かも‶とつけるのは少々看過できません。それでは、報告書が出来たのか出来てないのかがハッキリしません。確か、

   ポ○モンにも、語尾に‶かも‶とつけて人を怒らせたキャラクター、いませんでしたっけ?」

秋津洲「いや、あたしはダイヤモンド・パール派…」

提督「とにかく、その口調は控えてください。そのような曖昧な表現は、時に生氏を分けるような場面では命取りとなります。今後、控えるように」

秋津洲「わ、分かったかも…」

提督「あ?」ググッ

秋津洲「分かりましたっ!」


【終わり】

80: 2015/08/13(木) 21:37:04.56 ID:b+po48+m0
【横須賀】

 ―12時過ぎ、食堂―

提督「鈴谷さんは、横須賀の工廠生まれだったんでしたね」

鈴谷「え?そうだけど、急にどうしたの」

提督「いえ、でしたら、納得するなぁ、と思いまして」

鈴谷「?」

提督「横須賀と言えば、若者の集う街ですし、それでしたら、貴女のその明るい性格も納得できるという事です」

鈴谷「いや~、鈴谷ってそんなに明るい性格かなぁ?」

提督「明るいですよ。そのフランクな口調に、戦闘中でも物怖じせずポジティブに敵に立ち向かう…まさに、艦隊のムードメーカーのような存在です」

鈴谷「そ、そうかなぁ~…そんなに褒めても、何にも出ないよ?」

提督「別に見返りは求めていません。……まあ、出撃後や暇なときに私を誘惑するの、あれはやめていただきたいです」

鈴谷「え?もしかして提督もコーフンしちゃうのかな?」

提督「そんなに青臭いわけないでしょう。ただ、他の皆さんが貴女の真似をすれば、艦隊の風紀が乱れる、という事です」

鈴谷「はいはい、善処しまーす」

提督「それは絶対何もしない人の言うセリフですよね…」


龍驤「間宮はーん、海老フライ定食1つで頼むで!」


提督&鈴谷「……………」

龍驤「おお~…ホンマ、間宮はんの料理は美味そうやな~…」

提督「…確か、龍驤さんも横須賀生まれでしたよね」

鈴谷「うん…確かそうだね…」

提督「…まあ、深くは詮索しない事にしましょう」

鈴谷「…世の中には、深く疑っちゃいけない事もあるよね」

龍驤「なんなん!?」


【終わり】

86: 2015/08/14(金) 21:28:31.65 ID:KytrhMBq0
【世話好き】

 ―10時、演習場―

天龍「おーっし、チビども!今日は、空母との効率的な戦い方について、教えてくぞー!」

駆逐艦たち「はーい!」

伊勢「……………」ジー


 ―11時、執務室―

伊勢「なんか不満だよ!」バァン

提督「開口一番にそれですか。で、何が不満なのです?」

伊勢「この前まではあたしが駆逐艦の世話役だったじゃない?」

提督「…そうですね。確かに最初は、貴女の世話好きな性格を買って、私は貴女に駆逐艦の子たちの世話役を任せましたね。それが何か?」

伊勢「最近、この前来た天龍とかいう中二臭い子に、駆逐艦たちの人気を奪われてるんだよ!」

提督「ああ、要するに嫉妬ですか」

伊勢「うーん、まあそうなんだけど…」

提督(この手の質問は、よくあるのですが…)

提督「ああ、そういえば…」

伊勢「何?」

提督「さっき、日向さんが倉庫整理の人手が足りないと言ってきましたが―」

伊勢「ちょっと日向のトコ行ってくる!」バタン


 ―12時過ぎ、食堂―

提督「……要は、彼女は誰かの世話をしたいだけ、という事です。日向さんにはすみませんが、伊勢さんの餌食になってもらいましょう」

司令長官「君ねぇ…妹を餌にするなよ…」


【終わり】

87: 2015/08/14(金) 21:40:59.97 ID:KytrhMBq0
【暴言】

 ―14時過ぎ、執務室―

司令長官「でねー、聞いてよ黎明君」

提督「話を聞く代わりに仕事をしなさい」

司令長官「仕事は終わらせたって~、それでね~」

コンコン

提督「あ、失礼。どうぞ」

ガチャ

霞「手紙よ!このクズ!」

提督「おや、ありがとうございます」スッ

司令長官「君、霞君の暴言によく耐えられるねぇ」

提督「いえ、私は別に気にしませんし、むしろこれでいいと思っております」

司令長官「え、何?君もしかしてМなの?」

提督「失敬な。私がいつMに興じたというのですか」ググググ

司令長官「そうだよね。君、どっちかっていうとSだよね。とりあえず鼻を引っ張るのはやめてくれまいか」

提督「はい。話を戻して、この霞さんのように、上司に強くものが言える方というのは、貴重なものです」

霞「ふん、どういう意味かしら?」

提督「このような人がいなければ、例え上司がどれだけ馬鹿な言動をしようが阿呆な発案をしようが、否定しにくいものです。ですが、このように、

   上司に対しても強くものが言えれば、どれだけ上司の無能な言動も矯正できる、というわけです」

霞「あら、それだけの事?」

司令長官「ああ、なるほどねぇ。そう思うと、確かにこの子や曙君、満潮君と摩耶君も貴重かもね」

提督「ですから、私も貴方に対してきつい言動をするんですよ。だからさっさと仕事しろ肩書きだけの無能長官」

霞「そうね。大規模作戦中っていうのに、執務室で雑談って、何様のつもりよ、このクズ長官」

司令長官「君たちねぇ…儂でも流石に泣くよ?」

提督「お好きにどうぞ。泣いて一回反省すればいい」

霞「もっとも、あんたの泣く姿なんて見る価値もないけどね」

司令長官(今思うんだけど、霞君とか口の悪い子って、黎明君の教育でも受けたのかなぁ…)


【終わり】

94: 2015/08/16(日) 21:14:29.50 ID:BP0oL5VT0
【ドジっ子】

 ―10時過ぎ・執務室―

五月雨「えっほえっほ…」パタパタ

司令長官「今日の秘書艦は、五月雨君か」

提督「ええ。なるべく皆さんに、秘書艦としての仕事を覚えてもらいたいので、駆逐艦の子たちにも秘書艦をしていただいております」

五月雨「わわっ!?」ドドッ

バサバサッ

司令長官「あっ」

五月雨「うぅ…やっちゃいました…」

提督「大丈夫ですか?」

五月雨「はい…何とか…よいしょっと」ムクッ

提督「今日これで何回目ですかね?五月雨さんが書類を落としたの」

五月雨「ええと…すみません…。私って、ドジを踏むことが多くて…」

司令長官「ああ、ドジっ子ってやつかな?あれ、萌え要素として抜群だよねぇ」

提督「別に司令長官の趣味には興味ありません。それより…」チラッ

五月雨「?」

提督「…私はむしろ、自分の失敗をドジっ子という理由だけで片付けてしまおうという輩が大嫌いでしてね」

五月雨「!!」ビクッ

提督「ドジっ子というキャラが一部の方に需要があるのは知っておりますが、私からすればドジっ子なんて、ただムカつくだけです」

五月雨「…………」ビクビク

提督「五月雨さんに限ってそのような事はないと思いますが、ドジっ子という理由で、失敗しないための努力を怠っている、なんて事はありませんよね?」

五月雨「は、はいっ!そのような事は、一切ございません!!」

提督「…では、よしとしましょう」

五月雨「…ホッ」

司令長官(黎明君の前じゃ、萌え要素なんて何の価値もないんだね…)


 ―13時過ぎ―

五月雨「きゃっ!?」バッシャーン

五月雨「うう……服が濡れちゃった…」

提督(むしろ、あれは体質って感じですかね…)


【終わり】

95: 2015/08/16(日) 21:24:11.64 ID:BP0oL5VT0
【ガールズトーク】

 ―14時、執務室―

瑞鳳「もー、提督聞いてる~?」

提督「聞いてますから、貴女も自分のノルマをこなしてください」

瑞鳳「手は動かしてるってば。それで、九九艦爆は足が雫みたいで可愛くってね~」

提督「その話は前に聞きました」

瑞鳳「えー?それじゃあ、天山は妖精さんも可愛いのよ~。いつもラーメン食べててね~」

提督「その妖精さんのカ口リーが心配ですが…」

瑞鳳「それでね、烈風は翼がしゃきーん、ってしてるのがカッコよくてね~」

提督「……………………」

瑞鳳「それからそれから、彗星もいいなぁ~。一二型甲はまだ見た事がないけど。あ、提督今度開発してくれるかな~?」

提督「」バキッ

瑞鳳「提督?」

提督「……あの、よろしいでしょうか」

瑞鳳「へ?」

提督「1人の人間である私にとって、貴女たち艦娘の運用している艦載機など、どこが可愛いと言われても全く理解する事ができません」

瑞鳳「」

提督「別に、貴女と話すのが嫌というわけではないのですが、先ほどから貴女は話してばかりで筆が進んでおりません。そういう話をするのならば、

   まずは自分のノルマをこなしてからにしてください」

瑞鳳「……………」

提督(……少し、言いすぎましたかね)

瑞鳳「分かった!」

提督「?」

瑞鳳「私、仕事がんばる!そして、もっと艦載機のいいところを提督に知ってもらう!」

提督「」

瑞鳳「よーっし、頑張っちゃうぞー!」バリバリバリバリ

提督(……………墓穴を掘ってしまった)


【終わり】

96: 2015/08/16(日) 21:37:24.45 ID:BP0oL5VT0
【お盆】

 ―19時過ぎ、食堂―

TV『各地でお盆を過ごした人たちのUターンラッシュがピークを迎え―』

提督「…ああ、そういえばお盆でしたね。この3日間」パクッ

司令長官「そういえばそうだねぇ。いやぁ、儂らは仕事柄、あまり職場を離れられないからねぇ~」モグモグ

提督「ですが、一応お盆には実家に帰るという他の提督も、いらっしゃいますし…」ズズズッ

雲龍「へ?大規模作戦中ですけど、提督が帰省してもよろしいのですか?」

提督「ええ、別に休みを取る事自体は構いません」

司令長官「うんうん。けど、最近はお盆に実家に帰ったり墓参りしたり、って事しないよねぇ。儂らに限らず」

提督「確かに…。最近はただテーマパークや観光地に遊びに行くだけ、という家庭も多いですしね。お盆と言ったら墓参り、

   これは基本だと思うのですが」

雲龍「そういえば、提督は墓参りはなさらないのですか?」

司令長官(あ、それは…)

提督「…私は、みなしごでしたので、両親や祖母、祖父を知らないのです」

雲龍「あ…すみませんでした…」

提督「いえ、お気になさらず」

雲龍(もしかして提督、家族がいなくて寂しいのかしら…でしたら…)スクッ

提督「雲龍さん?どうなさったのですか?」

雲龍「………」ギュッ

提督「…なぜ、私を抱きしめてるのでしょうか?」

雲龍「提督が、寂しそうな顔をしていましたので…」

提督「…ご心配をおかけして、申し訳ございません。もう大丈夫ですから」

雲龍「ええ、こちらこそすみませんね」パッ

司令長官(黎明君がデレた!?これは衝撃的過ぎる!!よーし、このネタで少しの間いじってやろうかな)

提督(…とでも、思ってるのでしょう。こいつ後で締めましょうか)

雲龍(…ふふ)


【終わり】

98: 2015/08/16(日) 21:48:59.57 ID:BP0oL5VT0
【行方】

 ―13時過ぎ、アイアンボトムサウンド・Hマス(深海任務部隊主隊)―

榛名「申し訳ございません、提督…。隼鷹さんが大破してしまったので…撤退します」

提督『わかりました。では、お気をつけてお戻りください』

榛名「本当に、申し訳ございません…。支援艦隊の方々には、こちらから連絡を入れておきます」

提督『よろしくお願いします』


 ―数時間後、執務室―

榛名「…報告は以上です」

提督「はい、ご苦労様でした。では、入渠時間が1時間以上の方には高速修復剤を使用してください。申し訳ございませんが、

   こちらも少々余裕が無くなってきてしまいましたので」

榛名「はい…では、失礼します」パタン

提督「…それと、伊勢さん」

伊勢「な、何?」

提督「確か、決戦支援任務部隊の旗艦は貴女でしたよね?」

伊勢「う、うん。そうだけど…」

提督「榛名さんからの連絡を受けて、貴女たちの艦隊も帰還しましたよね?」

伊勢「そ、そうだよ。榛名から連絡を受けて、ボス海域手前で引き返したんだよ」

提督「……一応確認しますが、貴女たち支援艦隊が通る航路は敵と会敵しにくい航路を指示したはずですが…」

伊勢「………………」ダラダラ

提督「…なぜ、支援攻撃をしてもいないのに、弾薬を消費しているのでしょうか?」ゴゴゴゴゴゴ

伊勢「い、いや…その……」

提督「…今のうちに白状した方が身のためです。もし、嘘をつくようでしたら、権力と腕力を持って貴女を追い詰めますが、よろしいですか?」ゴゴゴゴゴゴ

伊勢「白状します。すみません。ちょっと途中で帰還するのに腹が立って憂さ晴らしに撃ってしまいました」

提督「正座」

伊勢「はい」スッ


【終わり】

101: 2015/08/16(日) 21:54:24.01 ID:BP0oL5VT0
今日はここまでにします。

>>97
  ご指摘ありがとうございます。


明日は>>1の都合上投下する事ができません。次の投下は明後日の8月18日、午後9時以降を予定しております。



次回:【艦これ】総司令部の日々【その2】


引用: 【艦これ】総司令部の日々