720: 2015/11/30(月) 21:09:40.77 ID:4IRznxTj0
こんばんは、>>1です。



 

それでは、投下します。

721: 2015/11/30(月) 21:13:10.76 ID:4IRznxTj0
 ―6時過ぎ、空母寮・祥鳳&瑞鳳の部屋―

ピピピピピ

祥鳳「う………あさ…?」ピッ

祥鳳「秘書艦の当番になると、朝早く起きなきゃならないから、少し大変ね……」

瑞鳳「す~……す~……」

祥鳳「もう…瑞鳳ったらまた遅くまでプラモデルを作ってたのね?夜更かしは体に悪いって何度も言ってるのに…」シュルッ、パサッ

瑞鳳「むにゅ……卵焼き……」

祥鳳「……ま、今日は休みだからいいか」

瑞鳳「く~……食べたい……」

祥鳳「じゃあ、私はお先に、ね」

パタン
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
722: 2015/11/30(月) 21:21:44.47 ID:4IRznxTj0
【小柄な空母】

 ―9時過ぎ、執務室―

提督「祥鳳さん、この書類なんですけど…」

祥鳳「ああ、その書類でしたらこちらに…」

瑞鳳「なーんか、祥鳳って秘書艦の期間長い気がするな~…」

祥鳳「あら、そうかしら?」

瑞鳳「絶対そうだって。私は提督の初期艦を務めてる期間って大体2~3日だけど、祥鳳とか吹雪ちゃんとかは、大体1週間くらいしてるじゃない。なんで?」

   提督のひいき?」

提督「贔屓などではありませんよ。あ~いや、贔屓…なのか?」

瑞鳳「?何よ、まどろっこしいわね…」

提督「祥鳳さんは、私が提督として着任してから間もないころに着任した方ですので、それなりに付き合いが長いんです。そういう方は、他の方たちと比べて、

   少々長い期間秘書艦を任せております」

祥鳳「吹雪ちゃんは、初期艦だから?」

提督「ええ。また、着任後最初に建造したのが五月雨さんだったため、彼女もまた秘書艦としての期間が長いです。さらに、初期着任の方ほどではないけれど、

   それなりに長い付き合いをしている方は他の皆さんより少し秘書艦の期間が長いです」

瑞鳳「じゃあ、最近来た私はまだまだって事?」

提督「まあ、そうなりますね」

723: 2015/11/30(月) 21:32:54.04 ID:4IRznxTj0
祥鳳「そう言えば、提督と初めてお会いしてから、もう4年も経ったんですね…」

提督「そうでしたねぇ……あの時は、製油所地帯沿岸で少々苦戦していましたからねぇ…」

瑞鳳「ああ、必然的に祥鳳が初めての空母なんだ。赤城さんかと思った」

提督「ええ。赤城さんは、敵艦隊の空母を撃沈する事で、邂逅する事ができますから。ですが、敵編成に空母が組み込まれるのは、南西諸島防衛線付近ですし」

祥鳳「でも、あの時は苦戦しましたね…」

提督「ですが、あの時は祥鳳さんが来てくれたおかげで、戦況が一気に優勢になりましたから……」


 ―4年前・16時過ぎ、執務室―

吹雪「申し訳ございません、司令官……。敵の中枢艦隊と思しき艦隊と交戦しましたが、勝利できませんでした……」中破

提督「いえ、皆さんが無事に帰ってきてくれただけで何よりです。それにしても、何度戦っても勝てませんねぇ……」ウーン

神通「雷撃戦でも、夜戦に持ち込んでも、倒しきる事ができません……」

提督「それはやはり、装備がまだ不十分だという事でしょう」

吹雪「そんなっ、それは私達が力不足なだけで…!」

提督「いえ、自分を卑下するような事はしないでください。貴女たちは装備に頼らずとも十分に強いですから」

吹雪「……………」

提督「しかし……いつまでもこんなところで足踏みしてるようではだめです。そろそろ、戦力増強のために、空母または戦艦を建造しましょう」

神通「戦艦ですか?」

提督「幸いにも、資材に余裕はありますから」

724: 2015/11/30(月) 21:40:12.16 ID:4IRznxTj0
 ―数分後、工廠―

工廠妖精「建造ですかー?」

提督「はい。それも、戦艦もしくは空母を」

工廠妖精「そうなりますとー、消費する資材が少々多めになりますけどー、いいんですかー?」

提督「構いません」

工廠妖精「分かりましたー。では、資材の配分はこのリストから選んでくださーい。オリジナルでも構いませーん」ペラッ

提督「…では、この燃料:400、弾薬:30、鋼材:600、ボーキサイト:30のレシピでお願いします」

工廠妖精「了解でーす」

ゴゴゴゴゴゴン

工廠妖精「ではではー、建造開始ー!!」

ガシャン


[1号建造ドック…建造時間残り02:40:00]


工廠妖精「あー、提督さん、ごめんなさーい…」

提督「?何か?」

工廠妖精「建造時間2時間40分ってー、戦艦じゃなくて空母なんですよねー」

提督「」

工廠妖精「まー、建造ではよくあることですって、どんまいどんま―げぶぅ!?」

提督「……………」ギギギギギ

吹雪「し、司令官落ち着いて!!」

神通「製油所地帯沿岸をクリアできなくてストレスがマッハ状態なんです!静まってくださーい!!」

725: 2015/11/30(月) 21:46:34.88 ID:4IRznxTj0
 ―約2時間半後―

提督「先ほどは失礼しました」

工廠妖精「い、いえいえ……あ、それより建造した方、そちらで待っていますよー」

提督「分かりました、では、呼んでいただけますか?」

工廠妖精「分かりましたー。おーい!」

ガラッ


祥鳳「初めまして、軽空母・祥鳳です。ちょっと小柄ですけど、ぜひ提督の機動部隊に加えてくださいね」ニコッ


提督&吹雪&神通「……………………」

祥鳳「?あの、何か?」

提督&吹雪&神通「……………………………」ジー

祥鳳「?」

(左半身の着物がはだけてそれなりに大きい胸がサラシだけで隠されてる)


提督&吹雪&神通「………………痴女?」

祥鳳「違いますっ!!」


瑞鳳「初対面の印象が痴女ってたまったもんじゃないわね…」

祥鳳「ホントですよ!それも、吹雪ちゃんはともかく神通ちゃんにまで痴女って言われて……」

提督(吹雪さんが‶痴女‶と言う事に違和感は感じないのか)

726: 2015/11/30(月) 22:00:37.08 ID:4IRznxTj0
提督「それで、祥鳳さんのおかげで敵艦隊を発見する事も容易になり、敵の攻撃を回避する事と敵へ攻撃を命中させることも容易になりました。いわば、

   祥鳳さんのおかげで私の艦隊はまた一歩強くなる事ができたという事です」

瑞鳳「それで結果的に、製油所沿岸地帯は攻略できたんでしょ?」

提督「当たり前ですよ。でなければ今、私達は珊瑚諸島沖まで来れていません。まあ、祥鳳さんに加えて、攻略途中で仲間に加えた青葉さんも含めてようやく、

   製油所沿岸地帯を攻略する事ができました」

瑞鳳「へ~…」

提督「あの時、祥鳳さんが弓を放って何をするのかと思ったら敵を殲滅……圧巻でした」

祥鳳「ええ……正直、私は自分が何をやっているのかは、本当の意味では理解できていませんでした。ただ、あの時こうするべきであると、脳が勝手に判断し…

   体が勝手に動いたんです。これが、空母である私の動きなのだと、あの時初めて知りました」

提督「まあ、着任当初は痴女と言うイメージが濃すぎて…」

祥鳳「そういう話はやめてくださいって!というか、今は普通に着物を着てるでしょう!?」

瑞鳳「あー、祥鳳?ちょっと悪いんだけど…」

祥鳳「あ、ごめんなさい。どうかしたの?」

瑞鳳「祥鳳って、新しく着任した子の教育係も務めてるわよね?吹雪ちゃんとかと一緒に…。今は、鹿島さんとか、酒匂さんとか、嵐ちゃんとか…」

祥鳳「ええ、そうね」

瑞鳳「その子たち、実戦訓練の後、口々に祥鳳の事『痴女っぽい人だったね~』って言ってたわよ」

祥鳳「………………」

提督「実戦訓練でも着物をはだけさせていたんですか?」

祥鳳「…………はぁ…」

提督「まあ、痴女っぽい空母っていうのも、乙だと思いますよ」

祥鳳「どこがですかぁ!?」


【終わり】

732: 2015/12/01(火) 21:09:23.56 ID:3PF3ZhiL0
 ―9時前、鎮守府付近―

ザザザザ…

天龍「ふ~…やっと鎮守府の近くまで帰ってきたぜ…」

初雪「眠い……もう無理……」

深雪「ほらほら、あと少しで鎮守府だからさ!寝るなっての!」

初雪「寝ながら航行……はっ、もしかして凄い事かも」

天龍「全然すごくねーって…あふぁ…」

深雪「天龍先輩も眠そうですね~」

天龍「ったりめーだろ…何せ大体12時間ぐらい寝ずで海に出てたんだから……」

天龍「にしても…俺も敵とボカボカやり合いたいってのに…アイツときたら俺を演習か潜水艦哨戒にしか出さねーから…」

深雪「ふわ~…ねむてー…」

733: 2015/12/01(火) 21:16:04.27 ID:3PF3ZhiL0
【遠征軍】

 ―数時間前、講堂―

提督「えー、本日夜間出発の遠征部隊は、艦隊決戦援護作戦、囮機動部隊支援作戦、資源輸送任務へと向かってもらいます。後ほど編成表を張り出しますので、

   確認をお願いします」

皆『はーい』

龍田「あーあ…私はまた艦隊決戦援護作戦だろうな~」

磯風「ん?なぜだ?」

龍田「昨日は天龍ちゃんが夜出発したから~、今日は天龍ちゃんの妹の私が遠征なんだと思ってね~」

磯風「ここの鎮守府には、俗にいう遠征組と言うのは存在しないのか?」

龍田「ウチの提督はね~、大体重巡洋艦と軽巡洋艦、それと駆逐艦を遠征に起用してるんだけど~、ローテーションがちゃんと組まれてるのよ~。だから、

   出撃せず遠征にしか出さない、なんてことはないのよ~」

磯風「なるほど……アイツは、艦娘思いなのだな」

龍田「そうね~、私もそう思う。でも、やっぱり私や天龍ちゃんみたいな旧式の軽巡洋艦って、難関海域とかには出してもらえないから~、大体遠征か、

   鎮守府近海の潜水艦哨戒任務しか出してくれないの~」

734: 2015/12/01(火) 21:23:01.74 ID:3PF3ZhiL0
 ―9時半過ぎ、執務室―

天龍「遠征が終わったぜ~……」

提督「お疲れ様です。して、遠征の方は?」

天龍「ん。何とか成功したぜ。支援砲撃しかなかったけど、敵は全滅だ」

提督「素晴らしい、上出来です」

天龍「ところで、だ。提督よ」

提督「はい?」

天龍「たまには俺も出撃させてくれよ」

提督「出撃ならさせてるじゃないですか」

天龍「出撃っつったって、キス島の1戦撤退か、鎮守府近海の潜水艦哨戒しかねーじゃねーか!俺が言いたいのはそう言うのじゃなくて、敵を全滅させる、

   硝煙の匂い漂う戦闘が好きなんだよ!」

提督「キス島でも潜水艦哨戒でも硝煙漂ってるじゃないですか」

天龍「だーかーらー、そういうんじゃなくて!」

提督「じゃあ、どういう事ですか」

天龍「俺が戦いたいのは、軽巡とか駆逐イ級とかちゃちなのじゃねぇ。戦艦ル級とか、空母ヲ級とか、そういう強い奴なんだよ!」

提督「まったく……本当に貴女って戦闘が好きですよね。色気より覇気ですか」

735: 2015/12/01(火) 21:25:54.53 ID:3PF3ZhiL0
 ―同時刻、廊下―

龍田「あーあ、やっぱり私が旗艦で艦隊決戦援護作戦か~」

睦月「あ、龍田さん!」

龍田「あら~、睦月ちゃんに如月ちゃんに皐月ちゃん。貴女たちも私と同じ遠征よね~?」

睦月「はい!睦月、頑張っちゃうから!」

如月「夜更かしはお肌に悪いのよね~」

龍田「私も同意見ね~。まったく~、あの提督ったら女の子の事情も少しは知ってほしいわ~」

皐月「あはは……逆に、僕たち女の子が遠征に出なかったら、誰が遠征に行くのかな……」

龍田「………………提督が

736: 2015/12/01(火) 21:31:26.98 ID:3PF3ZhiL0
皐月「無理だって!」

龍田「あら~、まだ言い終わってないのにひどいわね~。誰も提督が直接遠征に出るなんてまだ言ってないじゃない」

睦月「あ、あははそうだよね~」

龍田「提督が直接遠征に行けばいいじゃない」

皐月「言っちゃったよ!」

龍田「‶まだ‶言ってないって言ったじゃない~。まあそれは置いといて、私達や艦遠征組は日中の出撃は免除されてて仮眠も許可されてるけど~、貴女たちは、

   どうする?」

睦月「睦月、演習したいにゃし!」

皐月「演習で、遠征に向けて気合を入れたいんだ!」

龍田「あら、じゃあ私もご一緒しようかしら~?」

如月「演習もお肌が痛んじゃうのに~」

皐月「如月…お肌の事を心配してちゃ、艦娘の役割が何もできないと思うよ…」

龍田「じゃあ~、一緒に遠征に行く古鷹先輩と加古先輩も誘いましょうか~」


隼鷹「まさか…今日遠征とは、な…」

飛鷹「どうかしたの?」

隼鷹「今夜は那智と千歳と一緒に飲む予定だったんだよ~!!」

長月「いいんじゃないか?禁酒をするのにちょうどいい」

隼鷹「この駆逐艦め!はっ、そうだ!今から飲んじゃえば―」

菊月「いいわけないだろうが!!」

737: 2015/12/01(火) 21:49:26.70 ID:3PF3ZhiL0
 ―執務室―

提督「前も言いましたけれど、出撃で深海棲艦を倒す事も重要ですが、遠征で資源を運び、自他国の船団を護衛する事もとても重要なんですよ?」

天龍「そりゃ前に聞いた。それでも、艦娘の本分は深海棲艦をぶっ倒す事だ。それを全うできないんじゃ、俺の機嫌は収まらねぇよ」

提督「…そもそも、天龍さんや龍田さんは自前の業物…その剣や薙刀で敵と戦う、いわゆる近接戦が得意でしたよね?」

天龍「ああ。一応、連装砲とかも使えるが、こっちの方が手になじむ」

提督「ですが、近接戦は敵に隙を突かれるとすぐにけがを負ってしまうでしょう。さらに、戦艦相手では、そこまで近づくまでに被弾してしまう可能性も、

   無きにしも非ずでしょう」

天龍「む………」

提督「貴女たちと同じように業物の刀を使う木曾さんは、近接戦闘と魚雷による雷撃を得意としています。ですから、木曾さんの方が強力な敵との戦闘に

   向いていると言えます。しかし、天龍さんも龍田さんも性能の問題ですが、火力も雷装も特筆して強いというわけではございませんし……。ですから、

   貴女たち2人は難しい戦闘には出しづらいと言えます」

天龍「それは分かってる。百も承知だ。けど、やっぱり敵と戦うのが艦娘の存在意義!それを果たしてぇんだ!」

提督「…………………」

天龍「…………………」

提督「……分かりました。では、ヒトヨンマルマル(14時00分)に、第一艦隊がオリョール海へ出撃予定です。その編成の大井さんを天龍さんに変更します。

   これでよろしいですか?」

天龍「おう!それで十分だぜ!オリョール海なら、空母も戦艦もいる!申し分ねーぜ」

提督「では、出撃するまでに、仮眠や風呂を済ませておいてください」

天龍「了解だ!」

738: 2015/12/01(火) 21:54:41.12 ID:3PF3ZhiL0
 ―16時過ぎ―

皐月「やったね、大勝利だ!」

睦月「睦月、やる気が滾ってきたにゃしぃ!!」

如月「私も…今なら頑張れそうだわ…!」

龍田「私もよ~。じゃあ、夕飯までお昼寝しましょうか~。仮眠もかねて、ね」

加古「あー…演習終わったら無性に眠くなってきた…寝る。ぐおー」

古鷹「ここで寝ちゃだめでしょ!起きて~!!」


隼鷹「酒…ビール……焼酎……」

長月「あー、隼鷹先輩……甘酒、飲むか?」

隼鷹「の、飲むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

菊月「どこの卵焼き軽空母だ」


望月「遠征なんて休みて~…」

卯月「卯月、演習楽しみだぴょん!」

弥生「うーちゃん…遠征前にはしゃいだら、疲れちゃうよ…」

三日月(私…胃薬持って行った方がいいかしら…)



 ―同時刻、執務室―

天龍「」大破

提督「それがこのザマである」

天龍「泣きてぇ…」


【終わり】

739: 2015/12/01(火) 21:59:56.70 ID:3PF3ZhiL0
【キャラクター紹介】

≪天龍≫

天龍型軽巡洋艦一番艦。艦娘No.28。ショートヘアと左目の眼帯が特徴の、オラオラ系のお姉さん。見た目は怖いが性格は優しくて、駆逐艦の世話が大好き。

他の軽巡洋艦に比べて性能が劣っており、それが原因であまり難関海域に出撃気ないことが悩み。戦闘では自前の刀を使った近接戦闘と奇襲を得意とする。

妹の龍田にはいつもいじられている。かっこつけた発言を自分で言ったら自分から恥ずかしくなる。『フフ、怖いか?』はもはや自虐ネタ。

好きな言葉は『孤軍奮闘』。

746: 2015/12/02(水) 21:33:25.62 ID:/FY0bUHt0
 ―16時過ぎ、鎮守府付近―

ザザザザザ

伊勢「はーい、皆~!遠征お疲れさま~」

皆『お疲れ様でーす!』

伊勢「今日はみんな頑張ったし、資源もたくさん持って帰れたから、お姉さん間宮さんのスイーツ奢っちゃうぞ~!」

皆『いえーい!!』

秋月「あ、あの……」

伊勢「ん?どったの?」

秋月「あ、秋月は、その、遠慮しておきます」

伊勢「え…?」

照月「………」

747: 2015/12/02(水) 21:38:20.48 ID:/FY0bUHt0
【質素で貧乏で】

 ―16時半過ぎ、執務室―

伊勢「って感じで、遠征は大成功したよ~」

提督「お疲れ様です。では、伊勢さんは補給をして、その後で報告書の方を…」

伊勢「あー、それなんだけどいいかな?」

提督「?」

伊勢「補給した後で、大成功したご褒美に駆逐艦の皆に間宮さんのスイーツを奢る事にしてるんだ。だから、報告書は、ちょっと遅れてもいい?」

提督「……まあ、そのような理由があるのでしたら構いませんが。期限は明日の夕方までですよ」

伊勢「了解!じゃ、失礼するねー」

ガチャ

照月「失礼します、提督」

提督「おや、照月さん」

伊勢「ああ、照月。私は先に間宮さんのところに行ってるからね~」バタン

照月「あ、はい」

提督「何か御用ですか?」

照月「秋月姉さんの事なんですけど……」

提督「?秋月さんが何か?」

748: 2015/12/02(水) 21:46:01.20 ID:/FY0bUHt0
照月「秋月姉さんが、ちょっと…」

提督「……秋月さんの戦果は、特に問題はなくむしろいい方ですけど…」

照月「あ、いえ!戦果とかそういうのじゃないんです……」

提督「?」

照月「その、さっきの伊勢さんの『間宮さんのスイーツ奢る』って話、知ってますか?」

提督「ええ、私もさっき聞きました」

照月「それで、他の駆逐艦の皆が喜んだのに対し、秋月は伊勢さんの奢りを断ったんです…」

提督「…………雲龍さんと同じく戦時急造艦であるから、自分が知っている艦娘がほとんどおらず、打ち解けにくい…という事ですか」

照月「いえいえ!そんな重たい話じゃないんです!!」

提督「?ではどういう?」

照月「その……秋月は何というか……」

提督「?」

照月「……凄い質素な生活を心がけているというか、なんというか…」

提督「は?」

照月「さっきの話で、秋月が伊勢さんの奢りを断った理由が…」


秋月『す、スイーツ!?そんな高価なものを……。伊勢さんの奢り何てなおさら無理です!』


提督「ああ、先輩のおごりを素直に受け取れないとか…そういうヤツですか」

照月「それと、やはり戦時急造艦であるためか、スイーツとか高価なものを、嫌うというか、あまり嗜まないんです」

749: 2015/12/02(水) 21:53:17.31 ID:/FY0bUHt0
提督「ああ…そう言えばこの前、私が徹夜してる時に秘書艦の秋月さんが料理を作ってくれたんです……」

照月「秋月姉さん、結構気を使ってくれますよね?」

提督「その提案に私は甘んじる事にしたんですが……秋月さんが『奮発しました』と言って出してきたメニューが……」


提督「麦飯と高菜と豆腐の味噌汁と牛缶だったんですよ」


照月「」

提督「私その時、心の中で『貴女の奮発は日本の最低限の食事レベルです』ってツッコミました」

照月「あ、それと秋月姉さんの質素な生活は他に……」


 ―19時過ぎ、食堂―

A定食『瑞鳳の卵焼き定食』

B定食『チキン南蛮定食』

C定食『おにぎり三種(焼きたらこ、鮭、ツナマヨ)』

秋月「間宮さん、C定食で」

間宮「またおにぎり?食べ盛りなんだからもっと食べた方がいいわよ?」

秋月「いえ、秋月には、1食おにぎり3つと言うのが十分贅沢ですから…」

間宮「そ、そう……」

750: 2015/12/02(水) 22:02:02.86 ID:/FY0bUHt0
 ―翌日11時過ぎ、中庭―

秋月「日向先輩から間宮さんのスイーツタダ券をもらった……」

照月「ねえ、一緒に間宮さんのところに行こう?」

秋月「そうね………そうしましょう」

照月(よし!)

秋月「照月はどうする?秋月は饅頭1つにしようかと」

照月(タダ券で饅頭1つだけ!?)


 ―15時過ぎ、駆逐艦寮・秋月&照月の部屋―

秋月「ただいま」ガチャ

照月「お帰り~。何かって来たの?」

秋月「ボールペンの赤いインク」

照月「インクを変えられるのは魅力的だけど、万年筆とか買えば?」

秋月「あ、あんな高価なもの買えるわけないでしょ!?」

照月「だったら、普通の黒ボールペンとか赤ボールペンとか…」

秋月「このボールペンの方が、本体価格は安いし、インクのカードリッジは100円そこらなのよ?インクが切れたら新しいボールペンを買う羽目になるより、

   インクが切れたらカードリッジを買うだけのこっちの方が安く済むのよ」

照月「あ、うん……」

751: 2015/12/02(水) 22:09:42.48 ID:/FY0bUHt0
照月「とまあ、こんな感じに」

提督「発想が貧乏性と言うより、倹約家のおばーちゃんに近いと思うのは私だけでしょうか」

照月「しかし、これでは栄養とか気になりますし…まだ発育途中だというのに、あまり食べないというのはどうも……」

提督「……これに関しては、ただ地道に慣らしていくしかないとしか、言えませんが」

照月「地道に?」

提督「正確には、だんだんとグレードアップさせていく、と言った感じです。雲龍型三姉妹も当初、おにぎりとか質素な食事しか食べていませんでしたが、

   私や飛龍さん、瑞鶴さんのサポートで何とか普通の食事が摂れるようになったんです。まあ雲龍さんは、おにぎりが好きで今も食べていますが」

照月「???」

提督「話が逸れました。詳しく説明しますと、あまり贅沢なものを食べなれていない人に、いきなりステーキなどの豪華なものを食べさせてしまうと、逆に

   胃がそれを受け付けずに吐き出してしまうという事です」

照月「ああ……確かにそうですね」

提督「試しにまずは、おにぎりから麦飯→カレー→シチューと言った感じにどんどんランクアップさせていくんです」

照月「…なるほど、分かりました!やってみます!」

提督「そう言えば、照月さんは普通に食事が摂れてますね」

照月「照月、一応順応性だけはありますから」

提督「とりあえず、秋月さんにはもっと食事を摂っていただきたいですね。食べ盛りの女の子ですし」

照月「はい!最終的には、マーマイトも食べられるようになればと!」

提督「マーマイトはやめなさい」


【終わり】

752: 2015/12/02(水) 22:13:49.47 ID:/FY0bUHt0
【キャラクター紹介】

≪秋月≫

秋月型駆逐艦一番艦。艦娘No.221。凛々しい口調と黒い髪が特徴の、しっかり者の女の子。対空性能がずば抜けており、敵の艦載機を情け容赦なく落とす様

から、空母勢のつけたあだ名は‶艦載機絶対頃すウーマン‶。戦時急造艦であるためか贅沢な食事や嗜好品に慣れておらず、質素な生活を心がけている。だが、

それが仇となって現代の平均レベルの食事を摂る事が困難な状態に。相棒の長10cm砲くんが、島風の12.7cm連装砲ちゃんにケンカを売っているのが悩み。

好きな言葉は『竹馬の友』。

758: 2015/12/04(金) 21:06:52.72 ID:uh+jM9RN0
 戦艦の目玉の装備とされている46cm三連装砲。

 索敵で重要な電探。

 潜水艦哨戒にも必要になるソナーと爆雷。

 これらがあるという事は、これらを作っている人もいる事になる。

 さらに、これらの設計をしている人もいるというわけで。

759: 2015/12/04(金) 21:12:29.03 ID:uh+jM9RN0
【ドクター・メロン】

 ―10時過ぎ、第一資料室―

Libeccio(以下リベッチオ)「えーっと……」

イタリア「リベッチオ、書類は見つかった?」

リベッチオ「見つかったけど……高い場所にあって……」

イタリア「取りにくかったら、先輩の私を頼ってもいいのよ?」

リベッチオ「す、すみません……」

イタリア「いいのよ。で、どこにあるのかしら?」

リベッチオ「あれです」スッ

イタリア「あら…結構高いところにあるわね……私でも脚立が無くっちゃ…」

リベッチオ「あ、脚立ならここに!」

イタリア「ありがとう。それじゃ…よいしょ」ガタガタ

リベッチオ「気を付けてくださいね」

イタリア「大丈夫よ、ありがとうね。よ…いしょっと……少し重い……」


ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!

ギャガガガガガガガガガガガガ!!!


イタリア&リベッチオ「ひょあっ!?」ビクッ

グラッ

イタリア「きゃあああああっ!?」

ドッシャーン

760: 2015/12/04(金) 21:22:51.52 ID:uh+jM9RN0
 ―数十分後、執務室―

リベッチオ「と言うわけで、頼まれた書類は持ってきたけど……」

イタリア「うぅ……たんこぶが……」

提督「大丈夫ですか?あとで、明石さんに見てもらうと良いでしょう」

イタリア「そうします……ところで、先ほどの大きな音は一体……?」

提督「……開発課と言いましてね、新しい装備の提案や開発を担当している部署です」

リベッチオ「そんな部署あったんだ~…知らなかった」

提督「まあ、新装備の開発自体、担当の方しかできませんからねぇ。開発課の方が作った装備は、大体が大規模作戦の報酬として全鎮守府に配布されます」

イタリア「と言いますと……試製甲板カタパルトとか?」

提督「ええ。他にも、試製51cm三連装砲とか、四式水中聴音機などの、各種報酬装備を提案・開発しています」

イタリア「へー…すごいですね~」

提督「……ですが、開発課にはちゃんとした作業室を用意しているのに、資料がある部屋でそのまま作業を始めてしまい、その騒音の苦情が来てるんです」

イタリア「じゃあ…さっきの音も開発課の人が?」

提督「ええ」

リベッチオ「でも、全部提案してそれを実現してるんでしょ?すごいね~。一体どんな人なんだろ」

提督「リベッチオさんもイタリアさんも知っている人ですよ」

リベッチオ「?」

イタリア「私も、ですか?」

提督「ま、元の軍艦が軍艦だから、新装備への好奇心と探求心がすごいんでしょうね」

761: 2015/12/04(金) 21:28:54.89 ID:uh+jM9RN0
 ―数分後、第二資料室―

バチバチバチバチバチバチバチバチッ

??「えへ…えへへへへへ………」

ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン

??「うぇへへへへへ…ふふふふへへへへへ……」

ガガガガガガガガガ

??「うぇふははははははは……ひははははははふふふふふふ……」

ペシン

??「イタッ!?」

提督「機械をいじりながら気持ち悪い笑い声を上げないでください。聞いているこちらが不気味ですし、女性としてもアブナイです」


リベッチオ&イタリア「夕張さん……」


夕張「あっ、提督!前から言ってるんですけど、作業中に話しかけたり頭を叩いたりしないでください!危ないじゃないですか!」

提督「こちらも前から言ってるんですが、作業をするんでしたら作業室でしてください。資料室は他の皆さんも使うんです。皆さんから苦情が来てますよ」

夕張「だから何度も言ってますけど、作業室と資料室が遠すぎるんですよ!」

提督「だったら資料を作業室へ持って行けばいいでしょうが!」

762: 2015/12/04(金) 21:38:39.39 ID:uh+jM9RN0
イタリア「なんというか…以外というか……予想通りと言うか……」

リベッチオ「へー、夕張さんが装備開発担当だったんだ。知らなかったな~」

提督「元々の軍艦‶夕張‶が兵装実験艦であった事もあり、彼女は新しい装備が手に入るとすぐにデータを取って新たにコピー開発しようとするんです」

夕張「そうよ~。新装備のデータ採取は私の十八番なんだから!」

提督「その手先の器用さも手伝い、明石さんの手伝いもたまにしてもらっています。さらに、先ほどの新装備への好奇心と探求心から、新しい装備の提案・

   開発も任せています」

夕張「そうそう。私は装備の関しちゃ日本一詳しいと言っても過言じゃないよ~」

提督「しかし、装備の開発に積極的なのはいいのですが、たまに関係ないものも開発しようとするんですよ」

夕張「関係ないって何ですか!関係ないって!」

提督「大体、さっきも何を作っていたんですか?これ、明らかに通常の艦娘の装備よりも大きいですよね?これは―」

ガツッ

提督「?」チラッ


『蒼き鋼のアル○ジオ』


夕張「超重力砲が作れないかと思って」

提督「何で作ろうと思った」

夕張「だって、あれ一度見たら私達でも使えるようになりたいと思いません!?あれ、私のハートにどストライクだったんですよ!!提督もでしょ!?」

提督「あれは確かに私の心にも強く響きましたが、装備の原理とかが複雑でしょうが」

763: 2015/12/04(金) 21:48:23.71 ID:uh+jM9RN0
夕張「一応、装備の原理はレポートにまとめてあります。これ」スッ

提督「こういう創作上の装備をクソ真面目に分析するその根気は嫌いじゃありませんが……この装備はだめです。開発は認めません」

夕張「何故ですか!?」

提督「確かに超重力砲は一撃ですさまじい威力の攻撃を放ちますが、その装備の強さゆえに装備した艦娘が驕り高ぶってしまう事があるかもしれません。

   そしてそれが原因で慢心してしまい、沈んでしまう事もあるかもしれません。それを避けるために、この装備は開発してはいけません」

夕張「ちぇー…」

イタリア「あ、あの…超重力砲って…?」

提督「ああ、経緯は省きますが、一時期私達の艦隊の仲間となっていた艦娘(?)が使用していた装備です。その一撃で、敵艦隊全艦を殲滅する事も可能です」

リベッチオ「す、すごいじゃん!」

提督「ですが、先ほども言った通りこの装備は実現させません。と言うより、夕張さんは結構軍艦と関係のない装備も開発しようとするんです。たとえば…

   ポジトロンスナイパーライフルとか」


[ポジトロンスナイパーライフル]

漫画『新世紀エヴァ○ゲリオン』に登場する兵器。陽電子が物質中の電子に衝突・分解する力を利用した武器。作中では、最初に対ラミエル戦で使用され、

日本全国の電力をエネルギーとして使用された。また、後の対アラエル戦で改良型の『ポジトロンライフル20X』も登場した。


夕張「えー?使えたら凄い爽快感が得られると思いません?」

提督「コストが高すぎるんですよ。というかそれ以前に庵野○明さんに怒られます」

764: 2015/12/04(金) 21:56:33.03 ID:uh+jM9RN0
夕張「この提督ったらホントに堅物なんだよね~。私がデス・スターとかライトセーバーとかマクロスとか作るっていたらどれも却下って言ってくるし」

イタリア「それは当然なのでは……」

リベッチオ「というか、もはや装備じゃないのがほとんどでしょ…」

提督「ちゃんと真面目に仕事してください」

夕張「してますって。例えば…」ガサゴソ

夕張「これ、イタリアさんの初期装備の381mm/50 三連装砲改の設計図。これで量産が可能になりますよ」

イタリア「え、いつの間に…!?」

夕張「この前イタリアさんが大破して入渠してる最中に、直った三連装砲改を解析して」

リベッチオ「す、すごい!すでに完成してる装備から設計図を造れるなんて!」

夕張「ふふーん。すごいでしょー?」

提督「確かに仕事をすると優秀なんですが、先ほどのように資料室でそのまま作業を始めてしまい、騒音の問題で皆さんから文句を言われることが多いんです」

イタリア「そんなに言われるんでしたら、資料室の壁に防音対策をしては?」

提督「一応、防音対策はしてあるんですけど、作業の音はそれよりも大きいんです」

リベッチオ「じゃあ、もっと防音対策を施せば」

夕張「あー…そういうのはちょっと無理かな~私にはできないよ……」

イタリア「何でデス・スターとか作れるのにそういうのはできないんですか……」

提督「もう鎮守府の皆さんに耳栓でも作って配りなさい」


【終わり】

765: 2015/12/04(金) 22:01:58.11 ID:uh+jM9RN0
【キャラクター紹介】

≪夕張≫

夕張型軽巡洋艦一番艦。艦娘No.111。ポニーテールとスレンダーなスタイルが特徴の、明るいお姉さん。新しい装備が大好きで、積極的にデータを採る。

その新装備への好奇心と探求心から、明石の手伝いと、新装備の提案・開発を任されている。大規模作戦の報酬装備は基本彼女が提案・設計・開発するが、

たまにライトセーバーや超重力砲など関係のない装備を作っては提督に怒られる。胸が無いことを少し気にしている。尊敬する人物は平賀源内。

好きな言葉は『失敗は成功の基』。

771: 2015/12/05(土) 21:06:06.41 ID:eCv1I82j0
 ―10時過ぎ、深海棲艦本拠地―

戦艦棲姫「あー……やられちゃった……しばらくは無理っぽい……」

深海提督「大丈夫か?もう何度目かもわからんぞ」

戦艦棲姫「うーん……少し休ませてもらっていいかしら?」

深海提督「分かった。じゃあ、戦艦棲姫の代わりに空母ヲ級改flagshipを登用しよう。ステビア海の潜水棲姫のいる艦隊だよな?」

戦艦棲姫「ええ、その通りよ」

深海提督「聞いた通りだ、ヲ級。頼むぞ」

空母ヲ級改flagship「ヲッ、頼まれた」ビシッ


装甲空母姫「…彼、やっぱり優秀ね」

港湾棲姫「ええ、そうですね」

772: 2015/12/05(土) 21:14:22.00 ID:eCv1I82j0
【敵の司令官】

深海提督「今の指示のどこで、俺が優秀だってわかるんだよ」

装甲空母姫「分かるわよ、それだけで」

深海提督「?」

装甲空母姫「あなたは戦艦棲姫の代わりに、強力だけど姫級・鬼級には匹敵しない強さの空母ヲ級改flagshipを登用した。それは、この本拠地の資源の残りが、

      少し足りなくなってきているから、燃料・弾薬を大幅に消費するより、余裕のあるボーキサイトを消費するヲ級を選んだ。違う?」

深海提督「………………………」

港湾棲姫「そして、ヲ級さんはまだ出撃した回数も少なく、疲労度もたまっていない。それもまた、ヲ級投入に踏んだ理由ですよね?もし提督がいなければ、

     私達は無理を詰めてでも戦艦棲姫を投入するか、同じ姫級・鬼級の深海棲艦を使って、資材を無駄に消費していた…。しかし提督は、本拠地の

     残り資源と疲労度を鑑みて、指示をしたんでしょう?それが、優秀だというんです」

深海提督「……確かにその通りだよ。でも、これくらいの指示なんて、大したものじゃない」

装甲空母姫「謙遜してるのね。いいわよ、それ。でも、私達にとって今の指示は、とても学ぶところの多いものだったわ」

深海提督「……そうか。話は終わりか?」

港湾棲姫「ええ、終わりです。留めてしまって申し訳ございませんでした」

深海提督「いや、いいさ。それじゃ、俺は執務室に戻ってる。何かあったら連絡をくれ」

装甲空母姫「ええ、分かったわ。提督」

773: 2015/12/05(土) 21:19:59.20 ID:eCv1I82j0
 ―12時過ぎ、食処(食堂に当たるところ)―

戦艦タ級「………装甲空母姫さん」

装甲空母姫「何かしら?」

戦艦タ級「おかしいとは思いません?」

装甲空母姫「何が?」

戦艦タ級「提督の事です」

装甲空母姫「提督が?どうして?」

戦艦タ級「確かに先ほど装甲空母姫さんの仰っていた通り、提督は私達に、私達の事をを考えておりなおかつ的確な指示を与えてくれています」

装甲空母姫「ええ、そうね」

戦艦タ級「そして…」チラッ

装甲空母姫「?」


重巡リ級「ねー、提督ぅ~。あっちで一緒に食べようよ~」

提督「ええい、腕に絡みつくな!動きにくい!!」

駆逐棲姫「……司令官、目がにやけてる。不潔」ケッ

提督「駆逐棲姫!お前は何か今凄い勘違いをしているぞ!」


戦艦タ級「ああ言った感じに、他の皆さんと親しく接しています」

装甲空母姫「そうねぇ。ほっぽちゃんや泊地水鬼ちゃんも、彼を気に入ってるわ。というか、ほとんどの深海棲艦が彼の事を気に入ってるわね」

戦艦タ級「なら、何かおかしいと思いません?」

774: 2015/12/05(土) 21:31:16.07 ID:eCv1I82j0
装甲空母姫「だから、何をよ」


戦艦タ級「……あそこまで冷静な判断を下せる頭脳を持ち、皆さんから慕われるような性格と言動……。それなのになぜ彼は、人類の敵である深海棲艦たちの

     提督として今ここにいるのでしょうか」


装甲空母姫「…………………」

戦艦タ級「私たち深海棲艦は、人類にとって有益ではない行動をとっている事は自覚しています。そして、私達が人類から畏怖され、恨まれているのも。

     そんな、地球の人類のほぼ全員から恨まれている私達と同じ立場に、なぜ彼は立っているのでしょうか。あの提督の人柄でしたら人類の側でも、

     皆さんから頼りにされ慕われている事でしょうに」

装甲空母姫「そうね……私も考えた事はなかったわ」

戦艦タ級「?」

装甲空母姫「まあ、あの提督の目の奥に、恨みや痛みなどの負の感情が渦巻いているのが見えて、私は彼を深海棲艦勢に引き込もうと考えたわ。でもね、

      それら負の感情の原因が何なのか、私はわかっていない。いいや、私達はわかっていないわ」

戦艦タ級「そんな理由で…ですか」

装甲空母姫「具体的に彼がどんな経験をしたのかは当初知らなかったし、知る気もなかったけど…貴女の発言で少し気が変わったわ」

戦艦タ級「じゃあ…」

装甲空母姫「彼の過去を、探ってみましょう」


 ―13時過ぎ、休憩室―

港湾棲姫「提督の過去、ですか」

装甲空母姫「タ級の話を聞いて、少し彼に興味を持って」

戦艦タ級「実際に彼をここに連れてきたのは、港湾棲姫さんですよね?」

港湾棲姫「ええ、そうだけれど……」

775: 2015/12/05(土) 21:40:59.41 ID:eCv1I82j0
戦艦タ級「何か、知りませんか?何か」

港湾棲姫「……ごめんなさい、私は何も知らないわ……」

装甲空母姫「そう……残念ね」

港湾棲姫「ところで装甲空母姫さん、さっき‶彼に興味を持った‶って…?

装甲空母姫「ええ」

港湾棲姫「だっ、だったら知ってても教えられません!!」

装甲空母姫「そ、そう……分かったわ。うん」


装甲空母姫「どうしたのかしら、あの子」

戦艦タ級「さあ……」

装甲空母姫「……地上で提督の監視を任せていた子なら、何か知ってるかも」

戦艦タ級「提督の監視?」

装甲空母姫「人間界に潜んでいる深海棲艦の子がいてね、提督に目を付けた後で彼に監視をつけていたのよ。その子なら、知ってるかもしれないわ」

戦艦タ級「へぇ……知らなかった……」


 ―数分後、雷巡チ級の部屋―

雷巡チ級「提督の事?」

装甲空母姫「提督の監視をしてたわよね?何か知ってると思って」

雷巡チ級「あー……実は提督から『何も言うな』と口止めされてまして」

戦艦タ級「えっ、何で?」

雷巡チ級「えーっと、提督が着任した時、守秘義務もないかと思って提督に、私が監視してましたってバラしたら、提督が『俺の過去の事も知ってるなら、

     何も話すな』って」

776: 2015/12/05(土) 21:48:56.82 ID:eCv1I82j0
装甲空母姫「何勝手にバラしてんのよ!守秘義務守んなさいよ!この劣化雷巡!!」

雷巡チ級「げっ…す、すみませんでした…ギブ…ギブ…」

戦艦タ級「やめて装甲空母姫さん!チ級の顔が握りつぶされる!!」


装甲空母姫「……直接聞いた方が早いかしら」

戦艦タ級「それが一番手っ取り早いかもしれませんが、教えてくれるでしょうか?」

装甲空母姫「案外教えてくれるかもしれないわよ?」

戦艦タ級「そうでしょうか……」


 ―数分後、執務室―

装甲空母姫「ってなわけ、教えてくれるかしら?」

深海提督「…………………」

戦艦タ級(やはり、だんまりですか)

装甲空母姫「いえ、私もおかしいと思ったのよ?何でこの人はここに留まったままに何だろうって。逃げるためのチャンスもいくつも用意したっていうのに、

      あなたはそのチャンスに気づいていながらもチャンスに乗らなかった。あなたには、ここにいる理由がある。違うかしら?」

深海提督「言ってなかったか?ここは水深2000メートルにあるって」

装甲空母姫「そのルールも打ち破るための手段も用意していた。それでも、あなたは乗らなかったわ」

深海提督「……………………」

戦艦タ級「む、無理に話さなくてもいいんですよ?話しづらいのでしたら、話さなくても結構ですし」

深海提督「………………いや」

装甲空母姫&戦艦タ級「?」

777: 2015/12/05(土) 21:59:13.97 ID:eCv1I82j0
深海提督「お前たちになら、話せるかもしれない」

装甲空母姫「あら……私達を信じてくれるっていうの?」カチッ

深海提督「信じられる。地上の奴らよりもずっと」

戦艦タ級「………提督…」

深海提督「…最初に確認しておく。俺の過去を話して、お前たちは俺の事を非難したり、軽蔑したりしないか?」

装甲空母姫「そんな事はしないわよ。あなたは私達の頼れる提督なんだから、あなたを責めるなんてことはしないわ」

戦艦タ級「私も、装甲空母姫さんと同じです」

深海提督「………ありがとう」

装甲空母姫「…………」ニコッ

戦艦タ級「…………///」

深海提督「そもそもの始まりは、小学校の中学年当たりだったか」

装甲空母姫「……えっ、そんなに早くから?」

戦艦タ級「提督って、確か27歳でしたよね?結構長いブランクが…」

深海提督「だが、その日から今まで、俺が非難される人生は続いている」

戦艦タ級「………………」

深海提督「結論から言うと、俺の父親と母親はその時に氏んだ」

装甲空母姫「それは……お気の毒ね……」

戦艦タ級「……提督が幼い頃ですから……親御さんも若いころだったのでしょう?」

深海提督「ああ」

戦艦タ級「差支えなければ……ご両親は病気で…?」

深海提督「いや、違う」

装甲空母姫「え?」

戦艦タ級(今から大体十数年前という事は、私達はまだ生まれてもいない…)

778: 2015/12/05(土) 22:11:57.39 ID:eCv1I82j0


深海提督「俺の父親が起こした無理心中で、父親と母親は氏んだ」


装甲空母姫&戦艦タ級「!?」

深海提督「元の原因は、父親が不倫をして、母親はそれを強く咎めた。だが、頑なな父親は母親に反論したが、何を言っても悪いのは父親の方だった。で、

     最終的に父親がイカれて、無理心中に至った」

装甲空母姫「…………………」

深海提督「俺が巻き込まれなかった理由は、分からない。だが、その時俺も巻き込まれて氏ねたら楽だと思った」

戦艦タ級「……どうしてですか?」

深海提督「その無理心中は、多くのマスコミからの取材を受けた。そして、テレビ・新聞によってそのことは世間に知らされ、俺の小学校の生徒の親にも、

     知られた」

装甲空母姫「…………………」

深海提督「その時あることないこと子供に吹き込んだのか、俺の周りから人は離れていった。無理心中を起こした夫婦の子供、としてな」

戦艦タ級「…そんな、提督は何も悪くないはずじゃないですか!」

深海提督「俺もそう思った。だから、おかしいと、俺は言った。だが誰も彼もが、俺に耳を貸そうとしなかった」

装甲空母姫「…………………」

深海提督「…そう言った、無関係の非難を受けて、俺は今日今の日まで生きてきた。自頃しても、やはり‶無理心中を起こした夫婦の子供が自頃した‶として、

     世間からは忌み嫌われるような目で処理されるんだろうと思ってな。それじゃ、何も変わらない。だったら、生きている今の方がまだマシと思い、

     氏ななかった」

装甲空母姫「…………………」

深海提督「…………その過程で、俺に友達はいなくなり、恋愛感情を抱く事も忘れ、10年以上経った今でも就職した会社では敬遠されてきた。いつしか、

     俺以外の全ての人間は‶知り合い以下‶レベルになった」

779: 2015/12/05(土) 22:21:40.98 ID:eCv1I82j0
戦艦タ級「そんな………あんまりです」

深海提督「だが……ここは、お前たち深海棲艦は違った」

装甲空母姫「……え?」

深海提督「お前たちは、俺が‶無理心中を起こした夫婦の子供‶という事も知らず、俺と一緒にいてくれている。それが、俺にはとても嬉しかった。泣くほどに」

戦艦タ級「泣いたんですか」

深海提督「ああ、本当に泣いたさ。だけど、お前たちはこうして俺の過去を知った。そうなったら、お前たちもいずれ俺から離れていくんだろう。分かるよ」

戦艦タ級「………………そんな事、無いです」

深海提督「嘘でもそう言ってくれるのなら、ありがたいが」

戦艦タ級「嘘じゃありません!!」

深海提督「!」

戦艦タ級「今の話を全て知った今だから言えます…。提督は、何も悪くないんです!提督が、気に病む事なんてないんです!皆さんから非難されることなんて、

     無いんです!」

深海提督「……………」

戦艦タ級「それでも、提督は誰にもそれを訴えられず、1人で孤独に生きてきたのでしょう…?そんな提督の全てを知って、離れるわけないじゃないですか!」

深海提督「………タ級」

戦艦タ級「だから………」ツカツカ

ダキッ

深海提督「!!」

戦艦タ級「……私達は、提督の悲しみを知っています。提督の事を全て知っています。ですから、私達はこれからも提督と共に、離れることなく一緒です」

深海提督「……タ級」

装甲空母姫「……」ニコッ

深海提督「装甲空母姫……」

深海提督「………………ありがとう」グズッ

780: 2015/12/05(土) 22:27:16.93 ID:eCv1I82j0
深海提督「…………ん?ちょっとまて、私『達』?」

戦艦タ級「はい…そう言いましたけど」


装甲空母姫「ああ、ごめん。今の会話、全部本拠地に放送でダダ漏れよ」


深海提督「」

コンコン

港湾棲姫「……提督、そんな事があったんですか」ガチャ

泊地水鬼「でも大丈夫です……私達はずっと司令官の味方ですから……」ヒョコッ

北方棲姫「ほっぽ、提督の味方!」ヒョコッ

南方棲戦鬼「お前も壮絶な過去を味わっていたんだな。だが、安心しろ。私達は、お前と共にあるさ」ヒョコッ

深海提督「………………………どっから、聞いてた?」

空母棲姫「えーっと、『信じられる、地上の奴らよりもずっと』から」

深海提督「ほとんど全部じゃねええええええええかあああああああ!!!!」

装甲空母姫「あら、すごいオーラ。flagship並みね」

深海提督「なぁにを当事者がいけしゃあしゃあとほざいてんだあああああ!!!」

装甲空母姫「いやぁ、提督の事をみんなに知ってもらうためには、こうするのが手っ取り早いと思って。てへぺろ♪」

深海提督「うおおおおおおおんんんんん!!!


戦艦タ級(もしかしたら提督は、こうやって気兼ねなくバカ騒ぎをできる事も、ここに居たい理由なのでしょうか)


【終わり】

787: 2015/12/06(日) 21:14:06.28 ID:nE7ZVcsi0
 ―9時過ぎ、掲示板前―

ざわざわ…

北上「おっ、私は一日遠征か~」

木曾「そうだな…提督、大規模作戦で多くの資源を消費しちまったから、大分焦ってるぜ」

北上「まー、第5海域で大分使っちゃったもんね~」

木曾「第3、第4海域でもかなり投げちまったからな…」

北上「って、遠征の時間30分後だ。じゃあね、木曾っち~」

木曾「その呼び方はやめてくれ…。じゃあな」


木曾「で、何でお前はそんな世界の終わりみたいな顔してんだ?」

大井「……北上さんがいない鎮守府なんて……鎮守府じゃないっ!」

木曾「お前の鎮守府の定義は相当いかれてるようだ」

788: 2015/12/06(日) 21:22:12.67 ID:nE7ZVcsi0
【大井っち-北上成分】

 ―9時半過ぎ、波止場―

北上「じゃーまー、北方航路海上護衛行ってきますね~」

提督「お願いします。遠征の過程で度々北方棲姫を見かける事があるようですから、十分に気を付けてください」

北上「まー、その時は何とかなるっしょ。じゃ、行ってきまーす」

鬼怒「ちょっと、一応旗艦は鬼怒なんだけど!」

北上「あ、ゴメンゴメン~」


提督「ふぅ……あとは、10時出撃予定の北方鼠輸送作戦組か」

大井「提督」

提督「大井さん、何か御用ですか?」

大井「北上さん、約8時間の北方航路海上護衛の編成に組み込みましたよね」

提督「ええ」

大井「…なぜですか?」

提督「ああ、あの遠征の要員が、軽巡1隻と駆逐艦4隻は確保できたんですが、残り1人が確保できず、急遽北上さんに遠征に出てもらいました」

大井「……そう、ですか」

提督「それが何か?」

大井「いえ、別になんでもありません。ただ、昨日の出撃で大破して入渠4時間コースだった北上さんを無理やりに出撃させたという理由でしたら、

   提督には酸素魚雷の餌食になってもらうところでした」

提督「私は別にブラック提督じゃありませんから、そんな酷な事はしませんよ。現に、遠征の申し出も、北上さん自ら志願したんですし」

789: 2015/12/06(日) 21:30:02.66 ID:nE7ZVcsi0
大井「知ってますよ、そんな事は。ですが、やはり北上さんは優しい方ですね」

提督「そうですねぇ。普段は駆逐艦の事を煙たがっていたのに、駆逐艦が多く編成されているこの遠征を自ら志願するとか…」

大井「昨日は大けがをして帰ってきたというのに、翌日には1日遠征に自ら進んで参加するというのも、優しいです」

提督「…流石は大井さん。北上さんの事をよく見ていらっしゃる」

大井「提督こそ」

提督「私はこの鎮守府の提督として、艦娘も個性を把握する義務がありますが、大井さんのそれはまた別の感情でしょう」

大井「ええ。私は、北上さんの事が好きです」

提督(百合方面の話だったらNGですが)

大井「ですが、この『好き』と言うのは、世に言う『友達以上恋人未満』という意味と同じです。ただ私は北上さんの事が、姉妹艦として、親友と言う意味で、

   好きなんです」

提督「……同型艦と言うのに親友とは…まあ、貴女たちの普段の絡みを鑑みるに、絡み方が親友に近いですが」

大井「ええ、女の子はそう言ったものですよ」ニコッ

提督(それっぽくはぐらかされた気がするな)


 ―数十分後―

阿武隈「では、北方鼠輸送作戦へ、行ってまいります!」

提督「お気をつけてください。それから―」

大井「あ、北方海域では最近北方棲姫が目撃されているようですから、そちらにも十分気をつけなさいね」

阿武隈「…………は、はいっ!では、出撃いたします」

提督「…頑張ってください」


提督「私の言いたかったことを先回りして言うとは…」

大井「さっきの北上さんが遠征に行く時の連絡事項を聞いていたから……で、当たりだったんでしょう?」

提督「ええ」

790: 2015/12/06(日) 21:35:34.42 ID:nE7ZVcsi0
 ―同時刻、鎮守府近海―

ザザザザザザ……

阿武隈「まさか、大井さんが提督と一緒にいるなんて……」

暁「驚いたわ…普段は北上さんと一緒にいたから…。でも、2人仲よさそうだったわよね」

雷「それにさっき、提督の言いたいことを大井さんが先に言ってたみたいだし…」

電「えっ……もしかして、お2人はそこまでの関係に…!?はわわわわ…///」

響「だとすれば実にハラショーな展開だけどね」

阿武隈「あー…早く遠征終わらせて2人の関係を確かめてみたいな~」

響「そのためには、このドラム缶を何とかしないとね…重い」


 ―10時半過ぎ、執務室―

提督「……………………」カリカリカリカリ

大井「……………………」ジーッ

提督「……………………」カリカリカリカリ

大井「……………………」ジーッ

提督「…………あの」

大井「はい?」

提督「あまりこちらをジッと見られると、少々むず痒いと言いますか」

大井「あら、ごめんなさいね」

提督「なぜ、こちらをジッと見ていたんですか?」

大井「いえ、普段の提督の仕事してる姿って、あんまり見たことありませんでしたから…」

791: 2015/12/06(日) 21:45:59.67 ID:nE7ZVcsi0
提督「確かに私も、貴女が1人でいる姿を見た事はあまり…というかほとんど見たことがありませんでしたね。ほとんど北上さんと一緒にいますから」

大井「当たり前ですよ!私と北上さんは、2人で1つ、一心同体!二人三脚!簡単には切り離せない絆で結ばれているんですから!」

提督「そうですか」スルー

大井「あ、でも北上さんが嫌がるような事は流石にしませんよ?」

提督「そこで節度を持ってもらわないと困ります」

大井「でも、なんだか新鮮ですね」

提督「何がですか?」

大井「普段は見た事のない人の普段の姿を見る事ができるっていうのは」

提督「まあ、そうですね……って、ところで大井さんはなぜずっとここに?秘書艦ではないでしょう?」

大井「私は今日は休日で特に予定もなかったから……ダメかしら?」

提督「いえ、それは別に構いませんが……」

大井「……って、そう言えば今日の秘書艦は?まだ見てないけど…」

提督「ああ、実は今日秘書艦のはずだった飛龍さんが、風邪で寝込んでしまいまして。かといって、他の休みの方や予定の入っている方に任せるのもまた、

   迷惑かと思いまして、今日は秘書艦無しで過ごそうかと」

大井「………先に言っておきますけど、私が代わりに秘書艦になろうとは思いませんよ?」

提督「貴女は本当に意地の悪い性格をしている…」

大井「ですが、仕事は少しなら手伝ってあげますよ。この書類、ファイリングすればいいんですか?」

提督「おや、よろしいんですか?せっかくの休日を」

大井「私も特に予定はありませんでしたから、暇つぶしにはなるかと」

提督「では、少しで構いませんのでお願いします」

大井「了解です」

792: 2015/12/06(日) 21:54:17.29 ID:nE7ZVcsi0
 ―12時過ぎ、執務室―

提督「おや、気づいたらもう12時過ぎですね。休憩にしましょうか」

大井「ええ、そうです…ねっ」ノビー

提督「結局、きっちり手伝ってくれましたね。必要のない書類確認にまで付き合ってくれるとは」

大井「あくまで暇つぶしですよ」

提督「さて、昼食にしたいところですが、間もなく阿武隈さんの艦隊が北方鼠輸送作戦から帰ってきますし、大井さんは先に昼食をどうぞ」

大井「いえ、せっかくですし私も出迎えます」

提督「…別に付き合う義務は無いんですよ?」

大井「私がしたいだけですよ」


 ―数分後―

阿武隈「えーっと…北方鼠輸送作戦、無事終了いたしましたぁ…」

提督「お疲れ様です」

大井「お疲れ様ね」

阿武隈「それで、資源の輸送は無事成功し……燃料を320、弾薬を270持ち帰りまして…さらに家具箱を1つ発見しました」

提督「ありがとうございます。それでは、阿武隈さんと駆逐艦の皆さんは補給を済ませたらそののち休憩を取ってらって構いません」

阿武隈「わ、分かりました…それで、1つ質問がありまして…」

提督「何か?」

阿武隈「えっと…大井さんは私達が遠征に出発する時も一緒に居ましたけど、今日って大井さんが秘書艦でしたっけ?」

大井「いいえ、違うわよ」ニコッ

阿武隈「じゃあ、どうして…」

大井「そうね……気まぐれ、かしら」チラッ

暁型「!!」

793: 2015/12/06(日) 22:00:23.01 ID:nE7ZVcsi0
 ―廊下―

阿武隈「どういう事かしら…大井さんのあのセリフ…」

暁「き、気まぐれって事だし、本当に気まぐれなんじゃないのかな…」

雷「で、でも世には『女心と秋の空』ってことわざがあって…」


[女心と秋の空]

変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だという事。


電「そ、それって大井さんが司令官さんのことを好きになるっていう可能性も……!?」

響「0ではないね」


青葉「おっ、なんだか美味しいネタの予感!」ピクッ


 ―12時半過ぎ、食堂―

提督「失礼します、間宮さん」

大井「間宮さん、こんにちは」

間宮「あら、提督に…大井さん?また珍しい組み合わせね」

提督「よく言われます」

大井「そうね」

間宮「それで、提督は何になさいますか?」

提督「A定食で」

間宮「大井さんは?」

大井「あ、私も提督と一緒で」


ざわっ!?


提督&大井「?」クルッ

794: 2015/12/06(日) 22:05:43.64 ID:nE7ZVcsi0
ざわ……ざわざわ……

摩耶「あの大井が……提督と一緒、だと…?」

鳥海「あり得ない…あり得ないわ…こんな事…」

比叡「ひえーっ…今日は世界の終わりでしょうか」

金剛「馬鹿な……大井…寝返ったカ…ッ!」

ざわ…ざわ…ざわ…


提督「なんだこのカイジばりのざわざわ感」

大井「さあ?」

間宮「あ、あはは~2人ともA定食ね~。ちょっと待ってて~」


間宮「…伊良湖ちゃん、お赤飯今すぐできる?」

伊良湖「えっ、何でですか」


 ―数分後―

間宮「お待たせしました~」ガチャリ

提督「どうも」

大井「ありがとうございます」

提督「では、どこに座りましょうか」

大井「では、あちらへ」

ガタッ

提督「では、いただきます」

大井「いただきます」


全員(向かい合わせに座る……だと…ッ!?あの大井が………ッ!!?)


796: 2015/12/06(日) 22:14:18.46 ID:nE7ZVcsi0
 ―13時過ぎ、執務室―

提督「なんだか、妙に視線を感じましたね…」

大井「ええ…いったい何だったのかしら……ふわぁ」

提督「……眠いんでしたら、眠っても構いませんけど?」

大井「いえ、別に眠くは……ふわぁ…」

提督「…食事を摂った後で暖かい陽光……間違いなく眠くなりますね。私は眠くはありませんが…。よろしければ、そちらのソファをお使いになりますか?」

大井「……ご厚意に甘えさせていただきますが、寝込みを襲ったらタダじゃ済ましませんからね」ポスッ

提督「そこまで私は節操無しではありません」

大井「……………………………」

提督「……………」チラッ

大井「…………すぅ……すぅ……」

提督「ふむ……意地を張っていますが、やはり年頃の女の子、という事ですか」カリカリカリカリ


 ―15時過ぎ―

提督「…………む…」カクッ

提督(少し、眠くなってしまいましたか……。思えば、昨日はほぼ徹夜同然の仕事をしてましたからね…それに、今日は普段より少々暖かい……。これは、

   眠くなってしまうというものですね…)

提督(ですが、勤務中に寝るなど提督としていかがなものか)クワッ

大井「…………むにゃ……」

提督「?」チラッ

大井「……無理は……いけませにょ…」

提督「……………………………………………………………………………………」

提督「……………………仕事もひと段落したところですし、30分だけ仮眠をとりましょう」

提督「…………ソファで横になるだけでも、疲れはとれるはずですし」ゴロン

797: 2015/12/06(日) 22:21:11.47 ID:nE7ZVcsi0
 ―17時半、執務室―

ガチャ

北上「おーい、提督~。艦隊が帰ってきましたよ~」

北上「ありゃ?」


提督「……………す…………………す………………」

大井「すぅ………すぅ………すぅ……………………」

↑なぜか2人が添い寝してる


北上「ありゃ、どうやらお2人はお忙しいようですんで、またにしよう」

鬼怒「えー?」


 ―18時半過ぎ―

提督「何で貴女が隣で寝てるんですか」

大井「そっちこそ」

提督「私は最初、貴女とは反対側のソファで仮眠をとっていたんですけど、なぜ貴女が私と同じソファで寝てるんですか」

大井「先に聞かせてもらいますけど、提督は執務時間中に寝ていらしたんで?」

提督「…それに関してはすみません。昨夜は徹夜で仕事を片付けていました上に、今日は少し暖かかったので、仕事がひと段落着いたタイミングで、

   仮眠程度に眠ろうと思っていたんですが…。少し眠り過ぎてしまったようです」

大井「……そう、ですか。まあ…この件については忘れてしまいましょう」

提督「そうですね。では…夕食の時間まで後少しありますから、残りの仕事を片付けてしまいましょう」

大井「そうですね」

798: 2015/12/06(日) 22:27:47.52 ID:nE7ZVcsi0
 ―19時過ぎ―

提督「ふぅ……貴女が手伝ってくれたおかげで、何とか仕事が片付きました。ありがとうございます」

大井「いえ、私も提督の新鮮な姿を見る事ができて、結構面白かったですし」

提督「今度、間宮さんのスイーツでも奢ってあげましょう」

大井「期待していますね」

提督「では、食事へ行きましょうか」

大井「はい」ニコッ


 ―数分後、掲示板前―

[スクープ!!昼下がりの執務室で淫らな事が……?添い寝する提督と大井]

[2人が添い寝してる写真]

提督&大井「」


ざわ……ざわ……

司令長官「あー…うん、こういうのは…その…駆逐艦の子たちへの教育面の影響も考えて、夜にやってくれるかなぁ…と」

北上「おー…大井っちってやっぱり何だかんだ言って提督のこと好きだったんだねー。いやー、北上さんびっくりだよー」

阿武隈「やっぱりお2人って……ふぇぇぇ…///」


提督&大井「」グルッ

青葉「ピュル~♪」

提督「私が、このようなゴシップ記事を見過ごすような甘い性格だと思いますか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

大井「私が、こんな事実無根な記事を見過ごすような優しい性格だと思いますか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

青葉「お2人ってその辺が結構お似合いですよね三十六計逃げるに如かず~~!!」ダッ

提督&大井「アオバワルェェェェェェェェェェェェェ!!!」ダダッ


【終わり】

799: 2015/12/06(日) 22:36:18.00 ID:nE7ZVcsi0
【おまけ】

※どうして2人は添い寝していたのか。


 ―16時過ぎ、執務室―

青葉「青葉の突撃取材~ッ!」バーン

青葉「って、あれ?」


提督「……………す…………………す………………」

大井「すぅ………すぅ………すぅ……………………」


青葉「なんだ、お2人ともお休みでしたか。それにしても添い寝しないとは、色気の‶い‶の字もない…」

青葉「……起きませんねぇ…」

青葉「………本来なら、普段は真面目な司令官が、珍しく執務中に居眠りしているというのもスクープなんですが……阿武隈さんのつぶやいていた『提督と…

   大井さんが…』の意味もまた美味しそうですし」

青葉「よいしょっと………」ガシッ

大井「んぅ………すぅ………」

青葉「よく眠っていらっしゃいますね……それにしても、やっぱり艤装つけてないと……やっぱり人一人を抱えるのは難しい…です」ムムム

青葉「こうやって提督の横に寝かせてと…」ポスッ

提督「………すぅ………………す……………」

大井「んん………………………………………」ギュッ

青葉「おおっと、大井さんが司令官に抱き付いた!これは絶好のシャッターチャンス!!」パシャッ

青葉「ぐふふ……これで既成事実成立…っと♪」


【結論:青葉のせい】

805: 2015/12/07(月) 21:03:59.25 ID:KB0p2JvU0
 ―17時過ぎ、執務室―

提督「では、貴女たち当直組は、今から休んでもらって構いません。時刻フタサンマルマル(23時00分)に、再度ここへ集合するように」

隼鷹「りょうかーい」

提督「集合時刻までの間は、仮眠をとっていただいても、食事を摂っていただいても構いません」

那智「分かっているとも」

提督「なお、本日の当直長は神通さん、お願いします」

神通「分かりました」

提督「では皆さん、よろしくお願いいたします」

隼鷹&那智&神通「はい!」

806: 2015/12/07(月) 21:11:06.22 ID:KB0p2JvU0
【夜遊び神通】

 ―19時過ぎ、食堂―

川内「そっか。神通は今日当直だったっけ」パクパク

神通「ええ、那智さんと隼鷹さんと一緒に」モグモグ

那珂「うーん…厳しそうな那智さんと、大雑把な隼鷹さんか~。神通ちゃんには負担のかかりそうな2人だね~」

川内「いやいや、神通も結構厳しいからね。特に訓練が」

神通「そこまで厳しいものでしょうか…」

川内「…それよりも、那智さんと隼鷹さんって、お酒好きじゃん?」

神通「あっ」

那珂「あ~……もしかしたら、酒盛りとかしちゃうかも…」

神通「どうしましょう…」

提督「2人が酒盛りをする、それが狙いですよ」

川内「あっ、提督」

神通「て、提督!?」ビクゥ

那珂「狙いって?」

提督「あの2人が今回の当直で酒など嗜もうものなら、勤務中に酒を飲んだ罰と言う名分で、当面の間この鎮守府に禁酒令が敷けます。絡み酒のせいで、

   結構ひどい目に遭っている艦娘の方も多いですし。少しは頭を冷やせというわけです」

川内「うわー…提督ってば相変わらず黒い…」

提督「飲まなければいい話ですよ」

神通「うーん…大丈夫でしょうか……」

807: 2015/12/07(月) 21:22:25.40 ID:KB0p2JvU0
 ―23時、執務室―

提督「流石に飲んでは来ませんでしたか」

隼鷹「失礼だな~。あたしでもそこまでガバガバ飲んだりはしないって」

那智「右に同じだな」

神通「こほん。ええと、神通、隼鷹、那智。以上当直組、準備が整いました」

提督「はい。では、現時刻から明朝6時まで、鎮守府内の警備をお願いいたします」

神通「はい!」


 ―数分後、当直室―

隼鷹「さーってと、セオリー通りに行けば時間ごとにローテーションで鎮守府の見回りだな」

那智「うむ。1人あたり大体2時間ぐらいの計算だな」

神通「順番はどうしましょうか。やはり、私が当直長ですから、私が一番最初に…」

隼鷹「いや、悪いがアタシは最後の方にさせてくれないか?」

那智「む?」

神通「なぜですか?」

隼鷹「いやぁ、3人目って見回りの時間が大体4時から6時だろ?そのころには空も白み始めてくるからさ。あたしら空母は夜戦に慣れていないせいもあって、

   真夜中の真っ暗な鎮守府の中じゃ目が利かないんだよ」

那智「……なるほど、確かにな」

神通「そういう事でしたら…仕方ありませんね」

隼鷹(っし!これで後回しにできた!)

那智「そうなると私と神通、どちらが1番目か2番目か…と言うわけか」

神通「そうですね。ここは、那智さんが先に選んで構いませんよ」

808: 2015/12/07(月) 21:30:04.73 ID:KB0p2JvU0
那智「では、私は1番目に巡視をさせてもらおう。イヤな事は先にやっておきたい主義でね」

神通「あはは…では、私が2番目ですね。それで、巡回の時間は2時から4時…」

隼鷹「アタシが4時から6時だね」

那智「では、2人は自分の巡回時間が来るまで寝ていて構わんぞ」

神通「へっ、いいんですか?私、当直長なのに…」

那智「構わんよ。当直長と言えど、私の後輩であることに変わりはないさ」

神通(着任したのは私が先のはずなんだけどなぁ…)

隼鷹「っしゃー!今からなら大体4時間寝れるぜ!」

神通(あっ、それが狙いでしたか)

那智「寝るんなら、仮眠室を使えよ」

神通「了解です。ありがとうございます」

隼鷹「おおーう、さすがは飲み仲間!分かってる~」


 ―2時前―

神通「ふわぁあ………」

神通(仮眠も…中途半端にとると逆に眠気が増してしまいますね………)

神通(けれど、私は今日の当直長。こんな弱いところを見せてはなりません!)

那智「戻ったぞ」ガチャ

神通「お疲れ様です。それで、いかがでしたか?」

那智「軽巡寮で、川内が騒いでいたので手刀で気絶させた。それ以外については特に問題が無かったな」

神通(川内姉さん……ナムサン)

810: 2015/12/07(月) 21:38:30.88 ID:KB0p2JvU0
神通「では、行ってまいります!那智さんはゆっくり休んでいてくださいね」

那智「ああ、ありがたい。では、頑張ってくれ」

神通「はい!」


 ―数分後、食堂―

シーン

神通「…………」カツ、コツ

神通(普段は、皆が談笑しながら食事をしている場所……でも今は、物音ひとつ聞こえない)

神通(不思議だなぁ……)

神通(普段なら匂ってくる食事の匂いも、今はかすかに感じる程度……)

ぐぅ~

神通(……………………////)

神通(ば、場所を移そう……)


 ―数分後、駆逐艦寮・廊下―

シーン

神通「…………」カツ、コツ

神通(この時間なら流石に、起きてる子もいないか……)

神通(普段は駆逐艦の子たちがわいわいはしゃぎながら駆け回ってる廊下も…この時間は誰もいないし、月明かりが優しく照らしてるだけ…)

『……し………ません……………けには……せ………』

神通「?」

神通(誰の声かしら………)


『雪風は……沈みません……!沈むわけには……いきません!』←寝言


神通「」

神通(初風ちゃん、別の部屋にしてあげた方がいいわね)

811: 2015/12/07(月) 21:45:32.98 ID:KB0p2JvU0
 ―数十分後、軽巡洋艦寮―

カツコツ

神通(……私が普段暮らしてる寮も、昼間とは全然雰囲気が違う―)

ガタッ

神通「曲者!!」シャキーン

川内「あ、神通。やっほ」

神通「……川内姉さん!?姉さんがなぜここに……まさか、自力で復活を……!?」

川内「ふっ。あの程度の手刀で、私がやられる?とんだロマンチストね!」

神通「くっ……」

川内「神通!私と夜戦を―」

神通「(無言の手刀)」ビシュッ

トン

川内「うっ」

ドサッ

神通(はいはい曳航曳航~)ズルズル

川内「」


 ―数十分後、工廠付近―

コツ、コツ

神通(川内姉さん、自分でやっておいてなんだけど、一晩に二回も首に手刀食らって大丈夫かしら…)

神通(はぁ……川内姉さん、夜戦夜戦って騒いでいなければ美人なのに……)

神通(そしたら………提督も川内姉さんに気を取られて………って、私は一体何を!)ブンブン


工廠妖精(…神通さん、何してるんだろ……)

812: 2015/12/07(月) 21:53:21.56 ID:KB0p2JvU0
 ―3時半過ぎ、本館―

神通(日中なら、皆が書類を抱えて忙しく走り回っていたり、司令長官が提督からどつきまわされているけど…今そんな雰囲気が嘘のようにひっそり……)

神通(やっぱり、夜は昼とはまた違った味わい深い雰囲気がありますね……)


神通(そして……私はこの、夜の静かな雰囲気の鎮守府が好き……)


神通(さてと……結構いい具合の時間になりましたね……)

神通(………………)


 ―数分後、提督の私室前―

神通「つい……立ち寄ってしまった………」

神通(べっ、別に提督の寝顔が見たくて来たわけじゃないんだからねっ。たまたま当直室まで戻る道程に提督の部屋があっただけなんだからっ)

神通(………………はぁ。軽く自己嫌悪……)

神通(………でも、ちょっとのぞくくらいなら……いいですよね…)

カチャ

神通(失礼しま―)


ヒュンヒュン←刀を振り舞わす音


神通「!?」

提督「何奴!!!」

神通「わっ、私です!神通ですっ!!」

提督「なんだ…神通さんでしたか。失礼いたしました」

神通「いえ、私もこんな時間に提督の部屋を開けるなんて無礼な事をしてしまって…」

提督「…どうして私の部屋に?何かトラブルでも起きましたか?」

813: 2015/12/07(月) 22:01:30.68 ID:KB0p2JvU0
神通「いえ……興味本位と言うか…。それにしても、よく私の気配が分かりましたね……」

提督「実は、先ほどまでここで残りの仕事を片付けていまして、やっと片付いたので眠ろうとしていたんです」

神通「もう……提督は最近頑張り過ぎです。頑張り過ぎて倒れてしまったらどうするんですか」

提督「…努力はしているのですが、どうしても仕事が片付かなくて…」

神通「提督が倒れてしまったら私………」

提督「……神通さん?」

神通「なっ、何でもありません!で、では巡回に戻ります!おやすみなさいっ!!」ダダダッ

提督「あっ」


 ―4時、当直室―

隼鷹「おー、神通。時間きっかりだね」

神通「ど、どうも……異常は特にありませんでした…」

隼鷹「……その割には顔が真っ赤だけど」

神通「こっ、これは何でもないんです!!では、頑張ってください私は休ませていただきます!!」バタン

隼鷹「あっ、おい!?」


 ―仮眠室―

神通(よく考えたら夜中にす……好きな人の部屋に入ろうとするなんて……そして、あわよくば夜這いしようとしてたなんて……)

神通(なっ、何て破廉恥な………!!///)バタバタ

那智「んぅ……うるさいぞ……神通ぅ……」


 ―翌朝8時、食堂―

川内「うう~~~……なんだか首が異様に痛い……なんでだろ……昨夜の記憶が全くないし…」コキコキ

那珂「寝違えたんじゃないの?神通ちゃんはどう思う?」

神通「…………………………………………」ポケー

那珂「へんじがない。ただのしかばねのようだ」


【終わり】

814: 2015/12/07(月) 22:06:53.59 ID:KB0p2JvU0
今日はここまでにします。

>>742
  神通の話、いかがでしたか?お気に召さないようでしたら申し訳ございません。


明日は>>1の都合上、投下できません。次回の投下は明後日の12月9日、午後9時以降に‶北方の姫‶の話を書いていきます。

>>1の都合で投下できず、申し訳ございません。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた明日。




艦これ2015秋イベント、お疲れ様でした。

>>1が今回のイベントで新しく仲間に加えた艦娘は鹿島、皐月、嵐、萩風の4人でした。

今回のイベントは、若干史実にとらわれ過ぎているところがあったと>>1的には思います。後、E-4のドロップがおかしい(悪い意味で)。

ま、まあ今回のイベントは中規模って言ってたし、次回の冬イベントに期待する事にします。

ドイツから来た未成艦空母なんていなかったんや。

815: 2015/12/07(月) 22:30:43.89 ID:fjTqTKzM0
乙乙
提督だけの話ってできるかな?


次回:【艦これ】総司令部の日常【その10】


引用: 【艦これ】総司令部の日常