496: 2014/08/23(土) 12:48:07.75 ID:QzdDVvMi0


ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第1話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第2話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第3話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第4話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第5話】

――博麗神社――


ヒュォォォォォォ


貧乏神「どうだあ? 全てを失った気分は」

霊夢「全て? 何言ってんのよ。たとえ、建物が焼失したところで、神社の肝心要は私自身なんだから」

霊夢「私が無事ならどうとだってやり直せるわよ」

貧乏神「……」


霊夢(と、言ってはみたものの――)



針妙丸「ふうー、焼け落ちた材木を片付けるだけでも一苦労だわ……」

天子「ねー、本当に私、篝火を持っているだけでいいの?」

天子「人出が足りないんでしょ? 私も建て直すのを手伝ってもいいわよ?」

針妙丸「そうよ霊夢さん。早く復興しないと大変なんでしょ? ここはいっそ手伝ってもらった方が……」


霊夢「絶対ダメよ、そこの不良には前科があるから」


霊夢(やっぱり、文が山に向かう時に河童連中にでも応援を頼むよう依頼を出しておくべきだった)

霊夢(あれから結構時間が経つけれど……文は戻って来ないし。山の方も異変の余波を受けているようね)

霊夢(一方で人里の方でも火事やら何やらで慌ただしくなっているみたいで……)

霊夢(地底の連中を呼んだりしたらかえって事態が混乱すると思って、黒猫にも地底に状況を伝えるだけでいいって言っちゃったし)
地獄先生ぬ~べ~ 30周年記念傑作選 1 ガチホラー編 (ジャンプコミックスDIGITAL)
497: 2014/08/23(土) 12:51:10.94 ID:QzdDVvMi0
霊夢(もう、いつもなら魔理沙とか萃香とか、いろんな連中が入れ替わり立ち替わり屯しているってのに)

霊夢(今日に限っては、妖怪も含めて閑散とした状況)

霊夢(私がひとっ飛びで暇そうで使えそうなのを掻き集めるって手もあるけれど……ちょっとでも留守にしたらあいつが何を仕出かすか知れたもんじゃないし)


針妙丸「ええっと、この辺りが神社の真ん中かな」

天子「そうよ、この奥に要石が埋まっているのよ」

針妙丸「あれって確か、天人である貴女にしか扱えないのでしたっけ?」

天子「天人であることが要諦ではないの。とりあえず基本的に私の一族にしか扱えないってこと」

天子「綺麗に焼け跡と化したお陰で、引っ張り出しやすくなったわ」

針妙丸「え、でも……もしこれが地下から引き抜かれたら……」


霊夢「これまでに蓄積されていた大地の歪み(エネルギー)が一気に噴出して大地震が発生するわ」

霊夢「もし引き抜こうってんなら、冗談抜きで血祭りに上げるわよ?」


天子「うふふ、冗談よー」

針妙丸「そうよね、冗談よね」


貧乏神「フェフェフェ……」

霊夢(まさか、閑散としてるのも貧乏神のチカラに依るものってわけじゃないでしょうね?)

霊夢(たかだか貧乏神だと思って……ちょっとなめてたわ)

霊夢(『うちの神社に祀ってあげる』だなんて安易なことを口にするんじゃなかった。言霊って怖いわね)

498: 2014/08/23(土) 12:53:47.75 ID:QzdDVvMi0




(玉藻とゆきめが幻想入りした少し前の出来事。>>91以降の内容)




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


――博麗神社――


霊夢(私の大切な壺預金が……ようやく一杯になるまで溜まったのにィっ!!)


穣子「ひ、ひどい……私達の服が……全部焼けちゃった」

静葉「神に向かってこんなことをするなんて……呪ってやる」

霊夢「八百万の神の一柱が呪うとか安易に口にするのもどうかと思うけれど」

霊夢「その辺の落ち葉でも纏って帰ったら? 蓑虫みたいに」

静葉「なるほど……その手があったわ」

霊夢(ってあんた葉っぱに色塗って物理的に落とすだけでしょうが)

穣子「え……私は落ち葉なんて操れない」

霊夢「じゃ、そのまま帰ってその辺の農民にでも食べられたら? 婉曲的な意味で」

穣子「この鬼! 悪魔! 貧乏巫女!!」

499: 2014/08/23(土) 12:55:19.84 ID:QzdDVvMi0
霊夢「やれやれ」

霊夢「でも燃えたのが紙幣だけで、建物(神社)にまで燃え広がらなくてよかったわ」

霊夢「何しろこれまでにも地震(人災)とかで二度倒壊して……そのたびに再建」

霊夢(……でもその時は、そんなに私の懐は痛まなかったけど)

霊夢(もし本殿が焼損でもしたら、ちょっと話が違ってくるのよね)

霊夢(――結界)

貧乏神「ふぉふぉふぉ」

霊夢「あんた――いい加減にしないともう本気で怒るわよ?」


ゴトンゴトン


お燐「霊夢のお姉さーん」


霊夢「……」


霊夢「何しに来たの、用件を言いなさい」

霊夢「事と次第によっては、あんたもお色気担当になってもらうけど……?」

お燐「お、お姉さん。どうしてそんなに怖い顔してるんだい……」

500: 2014/08/23(土) 12:58:38.00 ID:QzdDVvMi0
お燐「あたいは地底で熟成させた度数が高くて旨い地酒を運んできたのさ」

お燐「ついでに人里でウォッカや焼酎も買ってきたよ」

お燐「お姉さんにはよくお世話になってるからね。神饌にでも使ってくださいな」

霊夢「お世話って、あんたが勝手に地の底から上がってきてうちの周りでうろちょろしてるだけでしょ?」

霊夢「……でも折角だから頂いておくわ。たぶんすぐに宴会で使っちゃうだろうけれどね」

お燐「それじゃあ、倉庫の方にしまっておくよ」

霊夢「どーも、鍵は開いてるから」


霊夢「ほれ見なさいな。あんたが居ようが居まいが、うちにはいろいろと萃(あつ)まってくるのよ」

霊夢「だからお金が無くても生活には困っていない。本職はどちらかというと妖怪退治の方だしね」

貧乏神「……」


\ガシャーン パリーン ドボドボドボドボドボ/

501: 2014/08/23(土) 13:00:38.50 ID:QzdDVvMi0

――

霊夢「ちょっと、今の不穏な音は……って」


お燐「はは……ごめんごめん、ちょっとつまずいちゃって」

針妙丸「ごめんね、ちょっとつまずかせちゃったよ」


霊夢「何やってんのよ! お酒が全部こぼれて倉庫が水浸しじゃない!」

霊夢「あと小人はおとなしく虫かごにでも入ってなさい!」


\ヒュルルルルルルルル ズボッ ドサッ/


お燐「ぎゃん!?」

天子「やっほー。いやー、相も変わらず天界は退屈だから地上まで降りて来たわよ」

天子「うふふ、また異変でも起こしちゃおうかな? やっぱり神社を乗っ取っちゃおうかな」


霊夢「屋根に開いた穴の修理代……」


針妙丸「あのう、貴女……化け猫を踏んづけちゃってますよ」

天子「あら、私の下で何寝そべっているの?」

天子「でも天界に住む私が地底の猫を地上で踏みつけているなんて……滑稽な光景ね」

お燐「……天人のお姉さん、そこまで挑発されるとあたいも黙ってないよ?」

天子「ほう闘りますか? 一瞬で決着がつくでしょうけど」


ガラッ


文「霊夢さーん、毎度お馴染みの射命丸です。倉庫(ここ)にいるんですか? 何だかやたら騒々しいようで……」




お燐「妖怪――『火焔の車輪』」

天子「天気――『緋想天促』」




ビュオオオオオオオオオオオオオオ

ド―――――――――――――ン

ゴオオオオオオオオオオオオオ

502: 2014/08/23(土) 13:03:20.99 ID:QzdDVvMi0

――


お燐「あらら……もうじき神社が燃え尽きそうだね。隣にあった(守矢の)分社も含めて」

針妙丸「お酒が倉庫の一面にこぼれていたから、火の回りが早かったのかー……」

天子「――ふふふ、緋色の空は地異を起こす天の奇跡」

文「まだ状況は完全には飲み込めませんが……もしかして私の気質のせいとかにになるんです?」

文「なぜか風雨じゃなくて強風だけでしたけど……それに煽られて本殿が……。腑に落ちませんねぇ」

天子「え? 貴女が咄嗟に団扇で煽いで火を消そうとしたせいで、逆にかえって火の勢いが増したんでしょ?」

文「はい? 違いますよ、そもそもお燐さんがムダに火力出したりするから」

お燐「あたいが何だって? もともと境内中に落ち葉が敷き詰められていたから燃え広がりやすかったんだよ」

針妙丸「私が勝手に虫かごから出たばっかりに……でも、ふと気づいたら閉ざされた扉が開放されていたの!」

天子「だから出た? 今度からこの小人、ちゃんと首輪でも付けておいた方がいいんじゃないの」

針妙丸「ええっ!?」

文「確かに、ペットはちゃんとしつけないといけません」

針妙丸「私ペットじゃないよ!」

お燐「あれ、違ったの?」

文「それにしても――これは久々の特ダネ記事ですね」

文「タイトルは『博麗神社が焼失!全財産を失った巫女、涙ながらの心境告白』ってところで……少し捻りが足りないかな」


文「……でも霊夢さん。この状況、少々のっぴきならない事態なのでは――」


霊夢「ええ、ここまで来ると――ちょっと笑えないわね」

貧乏神「ニタニタ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

503: 2014/08/23(土) 13:06:06.56 ID:QzdDVvMi0

――博麗神社――


霊夢(こうなってしまった以上は仕方がない。自力で何とかしないとね)

霊夢(結構ヤバい状況になっているってのに、珍しくあの子煩悩(ゆかり)は現れない)

霊夢(ここまで結界のあちらこちらに穴が開いてしまうと……私ひとりでは手に余る)

霊夢(侵入してきた妖怪どもをすべて相手にしていても手が回らないし)

霊夢(強引に外界へ転送するには、紫の力を借りないわけには……)


霊夢「――まあ、あいつがいようといまいと、私がやることははっきりとしている」

霊夢(この異変の引き金になった根本原因を断ちきること)

霊夢「博麗の巫女として、やるべきことをやるだけ――何しろ私にまで災禍が降りかかってるんだから、捨て置けないもの」


霊夢「そういうわけで、徹夜になりそうだけれど、しっかり働いてもらうわよ。あんたたちにも」


天子「任せなさいな。強そうな外来妖怪がここに現れたら私が相手をしてあげるわ!」

天子「異変を解決する側ってことでね。ちょっと物足りない気もするけれど、まあ手を打ってあげるとしましょう」

天子「その間に、そっちはそっちでやるべきことをやっておればよい」

504: 2014/08/23(土) 13:07:19.11 ID:QzdDVvMi0
霊夢(バカと天人も使いよう――こいつは性格に問題大アリだけれど、実力は確かだもの)

霊夢(でも、こいつはこんな風に見えて頭は切れるほうだから――安易に信用できないわ)


霊夢(それに比べたら、針妙丸の方は騙されやすいってところはあるけれど)

霊夢(素直な上に、小人ながら私に立ち向かってくるほどの勇気を兼ね備えている)

霊夢(いざというときは、むしろこっちの方が頼りになるかもね)

針妙丸「ええ、私も出来る限り頑張るけれど……ふたりで修復を施すのにはやっぱり時間が」

霊夢「そうね――だから、ここは応急処置に出ようと思う」


針妙丸「応急処置?」


霊夢(形だけの一夜城では、亡羊補牢になってしまうかも知れない。だったら)


キッ


貧乏神「怖い顔をするのう。けんど、オラはここの神社に祀られとるがな」

霊夢(こいつがうちにのさばっている限り、何をやっても同じことの繰り返し、事態がさらに悪化してしまう可能性だってある)


霊夢(貧乏神は神の端くれといえども、今でも外界で力を発揮しているのは事実――ならば)

霊夢(それに対抗できるような神の力を借りる)

霊夢(――神おろしといきますか)

505: 2014/08/23(土) 13:10:53.12 ID:QzdDVvMi0
針妙丸「ねぇ、一体どうするつもりなの……霊夢さん」


霊夢「そうね。本職らしい巫(かんなぎ)の仕事をやってのけるわ。今でいうならむしろ神主の仕事に属するものと言えるけれど」

霊夢「ま、修行はあんまり足りてないかも知れないけれどね。私はやればできるタイプだし」


霊夢(さて、本格的に異変解決に向けて動くとしますか)

霊夢(もともと誰の手を借りるつもりもないし、全部私だけで片付けるつもりではあるけれど)

霊夢(……今回ばかりは、猫の手でも何でも借りたい状況だわ。もうひと山もふた山もありそうだしね)


針妙丸「分かったわ。私も出来る限りのことをお手伝いするから!」


天子(むー、退屈……早く幻想郷の常識を覆すような型破りな輩が現れないかな)


ウズウズウズウズ


                                        (つづく)

509: 2014/08/23(土) 23:05:38.88 ID:QzdDVvMi0

――妖怪の山(地獄谷・地底世界への入り口付近)――


玉藻「あまりあせらず時間をかけてでも探し出す。そう予定変更をした途端に有力な情報が得られるとは」

玉藻「急がば回れとはこのことだ」

ぬえ「今日は変わった外来種によく出くわすな。お前は……妖怪狐の類か?」

玉藻「いかにも――そして、今の状況を説明するとかくかくしかじか……ということになります」

ぬえ「私はぬえだ、正真正銘のな」

ぬえ「そして、お前が探している霊能力教師と子ども3人はここの穴から先に続く深道を進み」

ぬえ「更に旧地獄街道を越えた向こう側のまち――旧都(旧地獄)――にいるわ」

玉藻「今度は旧い地獄ときたか――それで、彼らの安否は?」

ぬえ「かくかくしかじか」

玉藻「フフ、そうですか。ならば安心だ」


正邪「あんな人間のどこにお前を惹きつける魅力があるんだ?」

正邪「あの鬼の手の力に胡坐をかいているだけの愚鈍な人間風情にな」

正邪「『魅せる』という字は『未』だに『鬼』にならぬ者というふうに分解できる」

正邪「完全には鬼になり切れていない、過渡期にある人間だからこそ、その後々の変容に興味を惹かれているのか?」


玉藻「そしてこれが天邪鬼だと? 典型的なへそ曲がりのようで」

ぬえ「そうよね。こういう小物のながらも、つい最近異変を起こしたのよ」

玉藻「つい最近、小物……ああ、下剋上がどうという話のことか。確かにこの小物ぶりでは、たいしたことはできなくて当然」

ぬえ「良く知っているわね。でも天邪鬼というだけあって、幻想郷の秩序を崩そうとした純然たる反逆者なのよ」

玉藻「根っからの天邪鬼、妥協したくても妥協できないということですね。――それにしても、ここの住人は皆言葉遊びが趣味なんです?」

ぬえ「趣味というか……煽り文句だね」

510: 2014/08/23(土) 23:10:27.11 ID:QzdDVvMi0
正邪「ぐぬぬ……正面にいる私を無視するなよ」

正邪「好き勝手なことを言ってくれるな。私の辞書に妥協なんて言葉は存在しない!」

正邪「まだ、『打ち出の小槌』から得られた“鬼の魔力”にも残りがあるんだ!!」

正邪「もう一度異変を起こして、今度こそ……!!」


ぬえ「やめておきなさい」

ぬえ「残りわずかな魔力を振りかざしても、できることはタカが知れている」

ぬえ「だから“今”は、素直になって――博麗の巫女に許しを請うことだ」

ぬえ「本当に殺されてしまったら、もう二度と反逆する機会は失われてしまうのだから」

玉藻「……」


正邪「ぐ……五月蠅いな」

正邪「……今は? 次に異変を起こして事を成し遂げてしまえば――」


ぬえ「そうは問屋が卸さないわよ――幻想郷はひっくり返しても誰かさんの手の中にあるのだから」

ぬえ「また異変を起こすというのなら、その時は私も手伝ってあげてもいい――あくまでお遊びの範疇でね」

511: 2014/08/23(土) 23:20:02.92 ID:QzdDVvMi0
正邪「私は遊びがやりたいんじゃない。根っからの本気なんだ! 私の手足として利用できないようなヤツと誰が組むものか!!」


アッカンベー! ダッ


ぬえ「……やれやれ」

玉藻「詳しい事情は判らないが――種々雑多な魑魅魍魎を内包しながらも、この世界は上手く運営されてきたわけだ」

ぬえ「……お前は、おおよその事情を把握できているような顔をしている」

ぬえ「あのスキマ妖怪と面識があるのか」

玉藻「いいえ。でも、その大妖怪のことをよく理解しておられる方とは、話をしてね」

ぬえ「そう」


ザッ


早苗「あっ、ぬえさん発見!」

ゆきめ「えー、あれが鵺なの? ちんちくりん過ぎじゃない?」

諏訪子「うん、でもあれが鵺の正体だよ」


ぬえ「……」

512: 2014/08/23(土) 23:23:01.62 ID:QzdDVvMi0
早苗「良かったですね。ぬえさんなら、何か知っているかもしれない! 名前が被っているわけですし」

ゆきめ「そんな都合よくいくわけないでしょ」

玉藻「それが、案外都合よく事が運んでいる」

ゆきめ「って妖狐の! いつからそこにいたの?」

玉藻「さきほどからずっとね」


諏訪子「何、貴方も外来妖怪? 幻想郷にようこそ。うちの山の神社に参拝するなら案内してもいいよ?」

玉藻「いえ、それは又の機会ということで(山の神社というと、東縁の神社とは別のものなのか?)」

早苗「ということは、貴方も鵺野さんって人を探しに来たんですね」

玉藻「ええ、まあそういうことですよ――あなたがたとも、また後で話す機会があるかもしれませんね」

ぬえ「ともかくも――さっさとあの4人を迎えに行ってあげたらいいわ。行き違いになったら面倒でしょ?」


ゆきめ「!! まさか鵺野先生達の居場所が!?」


ぬえ「ええ、あっちに――」


ビューン!!!


諏訪子「早いね、元気な雪女だよ。早苗、一応案内してあげたら」

513: 2014/08/23(土) 23:25:56.53 ID:QzdDVvMi0
早苗「判りました! では、そちらの方も行きましょうか? ――外の妖怪さんなら、ゆきめさんと同じで話が通じやすそうです」

玉藻「外……と言っても、私はそう長く人間界にいたわけでは」

早苗「守矢神社って聞いたことがありますかー? 私達一同は、少し前に外から幻想郷にお引っ越してきたんですよ」

玉藻「……。神社ごと引っ越しした……ということで? これはまた込み入った話のようだ」

早苗「道中で説明してさしあげようかしら。では、ゆきめさんを追いかけましょう!」


タッ


諏訪子「行ってしまったか。私は先に帰ろうかな?」

諏訪子「でも山の麓まで下りて来たんだから、(間欠泉)地下センターの温泉にでも浸かって行こっか」

諏訪子「一緒に行く?」

ぬえ「……どうしてわざわざ……私を誘うのよ」

諏訪子「貴女も折角、山に来たんだから。たまには山の神の恩恵に浴してみたらどう?」

514: 2014/08/23(土) 23:34:07.94 ID:QzdDVvMi0

――地底(某所)――


ザッザッザッ


お燐「少し前に博麗神社の手前に沸き出した間欠泉――その穴には今でも怨霊がウヨウヨしているけれど」

お燐「あたいは怨霊の扱い関してはプロだからね、心配しないでいいよ」

お燐「もっとも、貴方ならば自力でも対処できるんじゃないかとは思うけれどね」


ぬ~べ~「ある程度はできるだろうが、ひとりひとりの心象を読み取って納得させた上で成仏させるとなると」


お燐「時間がかかるよね。だからこそ、私の働きがいがあるってものさ」

お燐「んまあ、そもそも外来人の先生さんが幻想郷(ここ)で起きている異変に干渉するのは……」


ぬ~べ~「筋違いだ――と言いたいだろうが、まったくの無縁というわけではないぞ」

ぬ~べ~「粗暴な外来妖怪が跳梁跋扈しているというのならば、俺の知識や経験が役に立つ場面もあるかも知れない」

ぬ~べ~「何より、子ども達の安全を守りつつ無事に元の世界に戻るには、この世界を維持する上で重要な結界を管理する――」

ぬ~べ~「――巫女さんとやらを守らないとな」


お燐「うーん、あのひとに限っては守られる必要なんてない気もするけれどね」

515: 2014/08/23(土) 23:38:50.13 ID:QzdDVvMi0
お燐「けれども、貴方のような戦力になりそうなひとを確保できて良かったよ」

お燐(霊夢のお姉さんには援助無用って言われたけれどね)

お燐(何となく、猫の手を貸すべきときなんじゃないかと思う。おまけに鬼の手にも加わってもらえるとはね)


ぬ~べ~(広達のことは勇儀さんに任せてきたが、あの鬼(ひと)になら大丈夫だ)

ぬ~べ~(3人が大人しく眠っている間にごたごたが終わってしまえばいいんだが――)


ガタガタガタガタ


ぬ~べ~「む? どうした」


シュポッ!!


くだ狐「クゥゥゥゥン!」


お燐「わっ! 何だいこの大きな動物は……いや、妖怪かな」


ぬ~べ~「こいつはくだ狐と言って――っておい待て!」


ビュゥゥゥン!!


お燐「あらら、逃げて行くよ。懐いてないの?」


ぬ~べ~「いや、そんなはずはない」

ぬ~べ~(何かに引き寄せられているのか? あいつが俺の命令を無視して勝手に動くとは――)


ダッ!!


お燐「あっ……ちょっと待ちなよ鬼の手のお兄さん!」

516: 2014/08/23(土) 23:47:34.49 ID:QzdDVvMi0

――


キョロキョロ


ぬ~べ~(お燐くんには悪いが、まずはあいつを連れ戻さなければ)

ぬ~べ~(しかし、何だこの妖気は? ――近くにいるはずだ。手強い……何者かが)




「クゥゥゥゥゥン(はあと)」




ぬ~べ~「! あっちか」


ダッ


ぬ~べ~「!」


ザッ


龍「……キッ」


ぬ~べ~(! あれはさっき見た龍の子供?)




華扇「この子はね、私の言うことは何でも聞いてくれるんです」

華扇「今回も危険を顧みずに、貴方の動きを偵察しにいってくれました」




ぬ~べ~「あなたは……」

517: 2014/08/23(土) 23:51:12.33 ID:QzdDVvMi0
スッ


華扇「なるほどね」

くだ狐「クーン!」


ぬ~べ~(俺のくだ狐をいとも容易く懐かせ……そして、思考に触れている? 俺が鬼の手を使ってそうするように)


華扇「管狐は術者となった人間に富をもたらすよう働くけれども」

華扇「飼育には良質な餌が必要で、しかも絶え間なく繁殖して餌の量は日に日に増えていき」

華扇「最終的には術者の富と気力を全て食いつぶして去っていく性質を持つ妖怪」

華扇「その管狐を、己の霊力のみによって育てて、ここまで強力なモノノケに変化させながら」

華扇「なお、自らの意のままに使役できる。貴方は相当の霊能力を持っている人間と言って差し支えないわ」


ぬ~べ~「あ……ああ、それはどーも」

ぬ~べ~「まあ、富(サイフの中身)はいつも食いつぶされてますけどね。生徒に奢らされたりとかして……ははは」

518: 2014/08/23(土) 23:58:48.14 ID:QzdDVvMi0
華扇「――そして、この子の思考のみによっては読み取れなかったのだけれど」

華扇「貴方はその力を利用して、この幻想郷で一体何をしようとしているのかしらね」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




ぬ~べ~(うーむ、また美人さんに会えたんだからなるべく和やかムードでいけたらって思ったんだが)

ぬ~べ~(気難しいひとのようだ。いや、人では……ないな)

ぬ~べ~(彼女の放つ強い妖気、包帯に包まれた右腕、左腕に嵌められた鎖、牡丹の胸飾から伸びる花模様……あれはもしや)


ぬ~べ~「どうやら、穏便には済ませられないようで」


ぬ~べ~(幸いこの場には生徒達はいない。弾幕ごっこの場数も踏んでいるから、要領は得ている)


グッ


華扇「あまり粗暴なことはやりたくはないのだけれど。幻想郷の秩序を乱す恐れのあるモノを見過ごすわけにはいかないし」

華扇「――それだけでは、ないのよ」

華扇「貴方が本当に“鬼の手”を持っているとするならば」




ぬ~べ~「!」




華扇「そしてそれを、恰も自分の腕のごとく利用できるとするならば」

華扇「勝負するという形に持ち込めば――いち早く、拝見できるでしょうからね」

519: 2014/08/24(日) 00:04:57.18 ID:YOzhpOy50
ぬ~べ~(鬼の手のことをよく理解している。いや、推定できている?)

ぬ~べ~(確かに龍やくだ狐の思考を読み取れるといえども……)

ぬ~べ~(これは、本格的に素通りさせてもらえそうな雰囲気では……ないな)


スッ


ぬ~べ~「南無大慈悲救苦救難広大霊感白衣観世音菩薩――」

ぬ~べ~「怛只他奄(とーじーとーおん)

伽羅伐多伽羅伐多(からはた からはた)

伽訶伐多羅伽伐多(かこはた らかはた)

羅伽伐多娑婆訶(らかはた そわか)

天羅神 地羅神(てんらじん ちらじん)

人離難 難離身(じんりなん なんりしん)

一切災殃化為塵(いっさいさいおうかいじん)

南無魔訶般若波羅蜜(なむまか はんにゃ はらみつ)」


ぬ~べ~「はッ!!」


ギュルルルルルルルッ!!!!!


華扇「今唱えたのは白衣観音経ね――経文の力で私の動きを封じ込めようという策のようだけど」

華扇「簡単にはいかないわ」

520: 2014/08/24(日) 00:15:09.99 ID:YOzhpOy50
ビリバリバリ……バサァッ


ぬ~べ~「!?」

ぬ~べ~(経典が破れた――相手に触れるまでもなく?)

ぬ~べ~(そんなことはない。確かに触れられていた……彼女の右腕だけが瞬間移動することによって!)

ぬ~べ~(そもそも、あの右腕は“義手”か! ――それも実体を持っていない、普通の状態ではない)


ヒュン!


華扇「さて、次の手はもう考えておられますか?」


ぬ~べ~「!? 俺の手元にあった霊水晶が――」


ブワアアアアアッ!  ゴトッ! コロコロコロ……


華扇「――私の手元に渡ったあなたの霊水晶(こどうぐ)は、私の右腕に強い影響を与えました」

華扇「あの陰陽玉と同じくらい妖怪退治によく使われていたようね。迂闊には触らない方がよさそう」




ぬ~べ~「……確かにこの霊水晶は、様々な場面で使われ、俺がこれまで目の当たりにしてきた妖怪達の存在を記憶に留めるほどに至っている」

ぬ~べ~「あまり安易に触れることは推奨しない――だから俺の手元に戻そう」


ヒョイッ


ぬ~べ~(相手は既に消し飛んだ“義手”を再生している――しかも、妖気を包帯で包むといった形で、まるで霧のような変幻自在の右腕)

521: 2014/08/24(日) 00:25:59.15 ID:YOzhpOy50
華扇「このまま霊能力を駆使してあらゆる術を講じようとも」

華扇「おそらく埒は開かないだろう。そう思い始めているでしょ?」

華扇「そろそろ見せてもらえませんか。貴方の“鬼の手”を」


ぬ~べ~(さっき経典を破ったときに使った“義手”の遠隔操作と)

ぬ~べ~(長い詠唱を以て威力を最大限に高めたにもかかわらず、あっさりと封印を破った右腕の力)

ぬ~べ~(霊水晶を奪う時に使った瞬間移動と思われる身体能力)

ぬ~べ~(そして、自己の体を損傷してもすぐさま再生する高い治癒力)


ぬ~べ~(これほど多彩な力を操る相手だ)

ぬ~べ~(欠損している片腕と、俺の鬼の手に執心してしまうその理由は)

ぬ~べ~(彼女の正体を暴く上で、大きな根拠になるな)


ぬ~べ~(そして、明らかに“弾幕ごっこ”の枠に入る戦いではない。――真剣な勝負)


ぬ~べ~「だったらお望み通り見せてやるしかないな」


スッ


ぬ~べ~「我が左手に封ぜられし鬼の力を!」

522: 2014/08/24(日) 00:30:42.87 ID:YOzhpOy50
ダッ


華扇「!!」

華扇(あの手首から先の部分が、あの人の持つという鬼の手……!)

華扇(でも、あのグロテスクさを残した表皮……あれは私が失くしたそれとはちょっとかけ離れているかも)

華扇(第一、彼の鬼の手は――“左腕”に宿っているようだしね)




ガシィ!! グググググググ




ぬ~べ~「――何ッ!?」

華扇「ええっ!?」


グニュニュニュニュニュニュニュニュ


ぬ~べ~(お、俺の鬼の手(左腕)が……!!)

華扇(私の……義手(右腕)の中へ……!!)




((――……侵蝕していく……!!?))




ズォォォォォォォォォォォォォォォォォ




524: 2014/08/24(日) 00:36:11.45 ID:YOzhpOy50

――地底(旧都の酒場)――


勇儀「――というわけでね。先生さんは地霊殿の飼い猫と一緒に地上に向かったよ」

勇儀「向かった方向? 地霊殿のある方面になるかな。間欠泉ができて穴が開いた原因は」

勇儀「あの建物の中庭の奥にある灼熱地獄跡で起きた異変がきっかけになったわけだし」

勇儀「でも、正確な穴の位置は良く分からないな。何せ私は地霊殿に出かけることなんてほとんどないのよね」

勇儀「少なくとも、穴の出口は博麗の巫女が棲む神社の近辺にあることは確かなんだが」


ヤマメ「丁寧な解説をしてくれて、ありがとうね姐さん」

ヤマメ「知らない間に地上で異変が起きつつあるとは……神社が焼け落ちたとなると、結構な一大事じゃないか」


広「話の内容はわかんねーけど……とにかく地霊殿っていう建物のある方に行けば」

美樹「ぬ~べ~がいるってわけね!」

郷子「――お願い、ヤマメさん、勇儀さん!」

広「ぬ~べ~先生の居る所まで案内してくれ!」

美樹「ぬ~べ~のことだもの! またその辺の女妖怪に手を出してトラブルを起こしてるかもしれないし心配だわ!」


ヤマメ「どうしてこの話を子どもらにまで伝えたんだい……」

勇儀「いやぁ、先生達が行ってしまってからそう間もなく起きて来てさ。先生が何処に行ったのか教えてくれって聞かれて」

ヤマメ「嘘はつけなかったってわけなのね」

勇儀「すまんすまん」

525: 2014/08/24(日) 00:43:12.85 ID:YOzhpOy50
郷子「お願いします! その……ここの上のほうでは危ないことが起きているんでしょう?」

美樹「ぬ~べ~1人でそんなところに向かうなんて……。私達にだって、できることはあるんだから!」

広「そうだ! このまま安全なところで先生の帰りを待ってろだなんて……納得いかねえ!!」


ヤマメ「といってもねぇ……」

勇儀「仕方がないだろう、ヤマメ。お前さんが先導してやりな」

ヤマメ「ええ!?」


郷子「本当ですか!!」

広「っしゃあ! ありがとう勇儀姐さん!」

美樹「実は一緒に行った火車の猫娘ってのに誘惑されてないか気になってたのよ!」


ヤマメ「ちょっと……そんなことをしたら」


ヒソヒソ


勇儀「だって、地上の異変が地底にも波及してきたら、どこが危険も安全もないじゃない」

勇儀「案外、ここに残っている方がかえって危険かも知れないよ」

勇儀「妖怪の山側の風穴の方が、上から敵が攻めてきやすいだろう? 何せ通りやすいからね」

勇儀「逆に怨霊が残留している間欠泉の穴側は、敵としては侵入しづらいはずだ――妖怪にとっても怨霊は天敵だからね」

ヤマメ「……なるほど確かに言われてみれば」

勇儀「それに、場合によっては地霊殿の中に子どもらを避難させてもらえばいいじゃないか」

勇儀「火車も主には話を通していると言っていた。事情を説明すれば向こうも無碍には断らないだろう」

ヤマメ「それもそうだね。私は地霊殿にもちょくちょく顔を出しているし……何とかなりそうだ」


ヒソヒソ

526: 2014/08/24(日) 00:46:59.01 ID:YOzhpOy50
郷子「あのー……」

広「何をヒソヒソ喋って……」

美樹「ん?」


ツンツン


こいし「ねぇねぇ、さっきのせんせーは何処に行ったの?」

美樹「って、あんたまだいたの!?」

こいし「今来たのよ? ほら、山の麓に核融合の研究施設(間欠泉地下センター)があるじゃない?」

美樹「かくゆーごー? ……って知ってるわけないでしょそんな場所」

こいし「そこからね、私のペットを連れてきたのよ――せんせーに見せてあげようと思って」

美樹「え……ペットって……まさかそこの?」




??「どうも、こいし様の専属ペットの者です。……あれ、私はさとり様のペットじゃなかったかしら」

527: 2014/08/24(日) 00:53:53.49 ID:YOzhpOy50
郷子「だ、誰!?」

広「お、おい! 片腕がスゲー物騒だぞ!」


勇儀「おお、丁度いいじゃないか。そこのふたりがついて行ってくれたら尚更安全だろう」

ヤマメ「あー。うん、まあ……そうだね」

勇儀「私は旧都の市街に残って、パルスィと共に妖しい侵入者がないか見て回ることにしよう」

ヤマメ「お願いするよ」


美樹「んーと……要するにあんたたちもぬ~べ~探しに付き合ってくれるってこと?」

こいし「いいわよ。折角お空を連れて来たんだから見せて自慢しなきゃ」


お空「うにゅ? つまりこいし様、私はこの子達を」


こいし「んーと、そうね。守ってあげたらいいんだわ。みんな私の友達なんだもん」

郷子「……こいしちゃん」


お空「こいし様のお友達なのね。分かったわ、貴方達の安全は私が守るから」


広「あ、ああ。サンキュ――何だか……とても頼りになりそうだ」

528: 2014/08/24(日) 00:57:36.03 ID:YOzhpOy50
スタスタ


ヤマメ「さあさあ、私に続いた続いた――地底旅行の旅も大詰め、忘れ去られた都の中央に屹立する地霊殿巡りに出発だよ!」

美樹「地霊殿って格がありそうな名前からして金銀財宝でも隠されていそうね! 何処にあるの?」

こいし「旧都の中心の方よ――おっきいからすぐに見えてくるわ」

郷子「ちょっと……美樹。私達はぬ~べ~を追うのよ? その建物に遊びに行くわけじゃないんだから」


広「その建物に、皆で住んでんの?」

お空「こいし様はいろんなところに行かれているし、私達もいつもいるわけじゃないわ」

お空「ほとんどの時間、さとり様――こいし様の姉様――がひとりで暮らしているのよ」

広「……ふーん」

529: 2014/08/24(日) 01:02:10.44 ID:YOzhpOy50

――地底(旧地獄街道の手前)――


キスメ「ひいいい!」

キスメ「わ、悪かったよ! まさか4人も連れ込めるなんて思わなくて!」


ジリ……


ゆきめ「人数の問題じゃないわよ! この極悪釣瓶落とし!」

玉藻「井戸が異界に繋がる扉になっていたのもこれで合点がいきました――あなたは常習犯ということなんでしょう?」

玉藻「さて、どうしますか。こちらもこの妖怪のせいで随分と貴重な時間を割かれてしまったのでね」

早苗「ああ、構いませんよ。軽く制裁を加えちゃっても」


キスメ「ま、待ってよ……あんたは幻想郷の住人なんだから分かるでしょ?」

キスメ「人間は妖怪の食糧なんだよ? けれども、人里の人間は喰うことができない」

キスメ「共倒れになってしまうから。だから、迷い込んだ人間や、外から連れ込んだ人間を代用しているんじゃないの」




キスメ「そのことは――あのスキマ妖怪だって、認めていることじゃない!」




早苗「えっ、そうでしたっけ?」

玉藻「……」

530: 2014/08/24(日) 01:06:58.01 ID:YOzhpOy50
ゆきめ「その気持ちは、少しはわかる。私だって、由緒正しい雪女(ようかい)なんだもの」

ゆきめ「けれどね――鵺野先生や、鵺野先生が大切に想う人達に手を出したっていうなら、話は別よ」

玉藻「そう。お前が私達の関知しないどこぞの見知らぬ人間を“神隠し”にしていたならば、こんなことにはなっていなかったに相違ない」

早苗「要するに、貴女は運が悪かったということ――これも運命ってことで諦めた方がいいですね」


キスメ「そ……、そんな……」


早苗「さてと、私も妖怪退治が仕事(シュミ)ですからここは加勢しちゃいましょ!」

ゆきめ「桶ごとカッチOコッチンにしてやるわ!」


キスメ「や、やめて……誰か……誰か助けてっ……」


玉藻「氷漬けにされた後で、私の焔(ほむら)で溶かして助けるから安心しなさい」

玉藻「――私は仮にも医者だからね」

531: 2014/08/24(日) 01:14:42.94 ID:YOzhpOy50

――地底(旧都の手前・旧地獄街道の橋)――




ぎゃああああああああああああああああああああああああああッ




パルスィ「……、この声は確か」


パルスィ(また、新たな侵入者?)

パルスィ(最近は本当に往来が多いね)

パルスィ(今日なんてあの鵺に始まってお尋ね者の天邪鬼、ヤマメのやつが連れてきた得体の知れない外来人たち)

パルスィ(それから、姿は目視できなかったけれど、大きな生物に乗って奥に向かった何者か)

パルスィ(もしかしたら、ってあたりは付けられるけれど……余程慌ててたのか。何故?)


パルスィ「はー、まあいいわ。私は橋姫。地上と地下を結ぶ縦穴の守護者」

パルスィ「さっき鵺から聞いたところによると、今日は姐さん、私をお酒の席に誘ってくれなかったみたいじゃない……」

パルスィ「いつもはちゃんと誘ってくれるのに今日は……! 私より地上に行った鵺と呑むほうがいいってこと……?」


パルスィ「くぅぅ妬まし妬ましい……」


ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる


パルスィ「嫉妬心を糧とする封じられた恐怖の妖怪の力……次に橋を渡り来る者に思い知らせてやる!!」




                         (第3話:片腕の仙人と鬼の手を持つ男の巻<前編>・終)

538: 2014/08/24(日) 23:49:33.84 ID:YOzhpOy50

――地底(旧地獄街道の橋)――




パルスィ「恨符『丑の刻参り』」


シュパパパパパパパパパパパパパパ




ゆきめ「氷符『スノーフェアリー』」


シュキラ―――――――――――――――ン


玉藻「狐火『弓削道鏡』」


ボォゥ ボォゥ ボォゥ ボォゥ ボォゥ


早苗「奇跡『ミラクルフルーツ』」


キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

539: 2014/08/24(日) 23:51:53.32 ID:YOzhpOy50

――


パルスィ「ぐ……やるじゃないの。でも3対1だなんて……」


早苗「おふたりとも、弾幕ごっこの真髄を会得するのが早いですね」

ゆきめ「だって、要は相手に避けられるような余裕を与えて、氷のつぶてを放てばいいんでしょ?」

玉藻「本来なら命を掛けて闘うところを、あえてゲーム化して擬似的に戦闘を再現する」

玉藻「よくできたシステムなんじゃないですか? この箱庭を維持するための方法としてね」

早苗「でしょう。ちなみに、弾幕ごっこは少女の遊びとして定着しているので、男性がやっているとちょっと……」

玉藻「ちょっと、何なんです?」

早苗「成人男性がおジャ魔女どれみのおんぷちゃんにうつつを抜かす程度にイタく見えますよ」

玉藻「意味不明だが……少々気恥かしくなってきた……」

540: 2014/08/24(日) 23:56:27.79 ID:YOzhpOy50
パルスィ「うう……酒宴にも呼ばれなかった上に弾幕初心者に敗北を喫するなんて……」


早苗「妬ましい! けど感じちゃうんですね?」


パルスィ「あんたみたいな気軽な性格に生れなかった自分の生い立ちが妬ましい!」

パルスィ「ブツブツブツ……」


ゆきめ「うわー、嫉妬深い妖怪ねぇ。結婚してからもああいう悪霊にだけは取り憑かれないように鵺野先生を守らなきゃ」

玉藻「彼女は他人の嫉妬心を煽るよりも、自分の嫉妬心を増幅させて力に変えるのが得意のようですね」

早苗「どうしましょう? 次の宴会に誘っておきましょうか?」

ゆきめ「えー、こういうタイプってお酒飲んだら泣き上戸になっちゃうんじゃない? 第一、子どもなのにお酒なんて」

玉藻「この世界では、普通の人間のような見た目と年齢との相関はアテにならないようなのでね」

玉藻「年齢といえば、あなたがたは――」

早苗「そういう女性のプライバシーに関わる個人情報を安易に聞き出そうとしてはいけません!」

早苗「ね~、ゆきめさん」

ゆきめ「そうよそうよ。年寄りくさい古狐のくせに失礼しちゃうわ!」

玉藻「……」


玉藻「さて、不毛なお喋りは終わりだ」

玉藻「こちらが勝った場合の約束通り、この先の旧都――4人が滞在している場所――へ案内してくれますね?」

パルスィ「ブツブツ……わかっているわ」

542: 2014/08/24(日) 23:58:57.52 ID:YOzhpOy50

――妖怪の山(上空)――




シュ――――――――――――――――――――――――――――




岩天狗「うわーはっはっはっ!!!」

岩天狗「口ほどにもないヤワな女天狗共め!!」

岩天狗「姿形も見えなくなったな――木っ端微塵に砕け散ったか!」


岩天狗「さーて……この後どうする?」

岩天狗「まだまだ儂の怒り……留まるところを知らんぞ!!」


チラリ


岩天狗「眼下の山の頂上に見える湖と……その畔に立つは神社か?」

543: 2014/08/25(月) 00:02:22.67 ID:KQkJtZqx0
岩天狗「そういえばあの女天狗、まるでこの山にも他の山神が存在するかのような口ぶりだったな」

岩天狗「あの程度の実力しかない天狗が守る山の神など、取るに足らず!」

岩天狗「いっそのこと……この山を手に入れて我らが山の神の統括下に組み込んではどうだろうか?」

岩天狗「よし、そうしよう!」


岩天狗「クク……まずはあの神社を破壊し、こちらの世界の山の神とやらに宣戦布告してくれるわ!」

岩天狗「すべては……儂の悲願の達成を阻んだ女天狗達(キサマラ)のせいよ! ――覚悟ッ」




サラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラ




ガシリ!!


岩天狗「……え」

萃香「ほら、手を握ってやったぞ」

545: 2014/08/25(月) 00:06:26.43 ID:KQkJtZqx0
グニィ!!


岩天狗「……ぐあああッ!?(な、何だ……この腕力の強さはっ……!!)」

萃香「何だい。ようやく女の子に初めて手を握ってもらえたんだ。もっと喜びな」


ギ口リ


岩天狗「ひっ……!(こいつは確かに……女の子……だが違う……)」

岩天狗(喜べない……手から冷や汗が……! 岩肌から流れる湧水のように……ぐああッ)

萃香「まあ、確かに天狗となら手ぐらい握ってやってもいいってものよ」


萃香「何せ、鬼と天狗は古来からの盟友だもんねぇ」

岩天狗「!!?」


岩天狗「お前は……ま……さか……」

萃香「去れ――今すぐこの山から立ち去れ」

萃香「さもなくば」




萃香「 な ぶ り こ ろ す ぞ 」

546: 2014/08/25(月) 00:11:31.06 ID:KQkJtZqx0
岩天狗「――」


スゥ――――――――


萃香「あれ、これくらいの脅し文句だけでお帰りか」

萃香「まったく、天狗の逃げ足が速いのはこっちも向こうも同じってわけだ」


萃香(鴉天狗も私が来たのを察知したか、逃げたっきり戻って来ないし。天狗の組織としてのメンツはどうしたのよ?)

萃香(でもまあ、ここに長居するつもりは毛頭ないし)


萃香(もうじき大きな山場が来る――それも断崖絶壁だ)

萃香(これはもしかすると、異変解決のために手を貸すことになるかもねぇ)


萃香(もう夜更け、日付も変わる。後片付けも含めたら明日は日中忙しくなりそうだから)


萃香「次の酒宴は、明日の晩あたりだね――今度のうたげは、大勢萃まってさぞにぎやかになるだろう」

萃香「良いわねぇ。にぎやかなのは大好きだ」




サラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラサラ




548: 2014/08/25(月) 00:16:08.95 ID:KQkJtZqx0

――妖怪の山(山麓・間欠泉地下センターの温泉)――




カポーン




ぬえ「……」

諏訪子「……」

ぬえ「……ゆで蛙になったら困るんじゃないの?」

諏訪子「洩矢神はミシャグジと同視されているの。ミシャグジはどちらかというと蛇神なのよね」

ぬえ「でも貴女は蛇に睨まれた蛙でしょう?」

諏訪子「毒のある蛙はいくら蛇でも容易く飲み下せないんだよ。だから」

ぬえ「行きつく先は共存……ね」

549: 2014/08/25(月) 00:21:18.52 ID:KQkJtZqx0
バシャバシャ


文「まったく、私が葉団扇の扱いに長けていて、もともと風を操る能力を持っていたからこそ」

文「相手の攻撃による風圧を利用してジェット噴射のように後退し、致命傷を回避できたのよ?」


はたて「……」


文「着地地点は……まあ温泉にドボンということになっちゃたけれど」


はたて「うん、ごめんね文。――助けてくれて……その……ありがとう」


文「おや、今回はやけに素直ね?」


はたて「挑発も煽りも、お互いに限度ってものを認識しているならともかく」

はたて「ああいう、何を考えているか判らない相手を漫然と煽るのはリスクが大きかったってことね」


文「ええ。得体の知れない敵と対峙したときは、もっと真剣かつ的確に対応しなくてはいけない」


文(まあ、あの岩天狗さんは私達の盟友さんが押し返してくれたようですね)

文(本来あのかたに山に来られるのもよろしくないというのに……おまけに私達の侵入者(てき)を代わりに倒してもらったとなると)

文(職場放棄と言われても過言ではないなあ)


はたて「そうね。他にも外界の敵が現れるかも知れないし、夜通し警備を厳しくしましょう!」


文「ええ、そうね。今度はキッチリ職責を果たすわよ! 勿論、取材も兼ねてね!」


ザバッ!!    バサバサバサバサバサ

551: 2014/08/25(月) 00:25:41.33 ID:KQkJtZqx0
ぬえ「着の身着のままで入って出て、まさにカラスの行水ってところかしら」


諏訪子「そうね。けれども、あの天狗達の話を聞く限り、幻想郷は外から襲撃を受けているみたい」

諏訪子「さっきの雪女と妖怪狐……懇切丁寧に対応しちゃったけど……」


ぬえ「……あの2人は、幻想郷を故意に荒らしたりはしないと思うわ」


諏訪子「根拠はあるの?」


ぬえ「あの半人半鬼の仲間なら――きっとそんなことはしないだろうと思っただけよ」


カポーン

553: 2014/08/25(月) 00:46:30.07 ID:KQkJtZqx0

――霧の湖(廃洋館側)――




パチパチパチパチパチパチ





ルナサ「――♪」

メルラン「――♪」

リリカ「――♪」


わかさぎ姫&速魚「「 教えてよまだ知らないメロディ~♪ 」」

わかさぎ姫&速魚「「 ドキドキするような~♪ 」」




美鈴「さながら野外ライブって雰囲気ですね」

大妖精「そうですね」

チルノ「おや、どうしたんだい? そんなに浮かないツラをして」

ミスティア「……うちの店がぁ」

リグル「私の……大切な物……」


ルーミア「あんた、館での仕事は? ほら、門の前で寝る仕事しないでいいの?」

美鈴「いやいや、これはちょっとしたブレイクタイムですよ」

ルーミア「そーなのかー」

美鈴(人里の事件も大方静まりましたし……まさかうちが異変の余波を受けることなんてないでしょ!)


                                    (つづく)


564: 2014/08/25(月) 23:15:10.52 ID:KQkJtZqx0

――妖怪の山(山麓)――


文「ちょっと椛……今の山の状況は目も鼻も利く貴女ならよく理解できていたハズでしょう?」

文「なぜ、何もせずに傍観に徹して? 考えて行動ってものができないんですか?」


椛「いえ、大天狗様に指示を仰いだところ、今は事態を静観せよとのお達しでしたので」


文「だから私達が外敵と交戦していてもスルーしたと? 臨機応変の対応ってものがあるでしょう?」


椛「文様がたが、もっと穏便にことを済ませていれば、そもそもかつての支配者(おに)に介入されることもなかったはずでは?」


文「ぐ……」

はたて「ごめんなさいね……それは文のせいじゃなくて私の責任なのよ」

はたて「ともかく、今は言い争っている場合じゃないわ」

はたて「玄武の沢の河童や山童たち、八百万の神々にも状況を知らせて――山の妖怪皆での防衛作戦を展開しましょう」


椛「判りました、はたて様。もともと、白狼天狗側としてもそのつもりで臨戦態勢を整えています」

椛「――では」


タッ

565: 2014/08/25(月) 23:19:59.82 ID:KQkJtZqx0
文「……まったく、どうして椛は私に対してだけつっけんどんな態度をとるのよ?」

はたて「うーん、文に対する苦手意識があったりするんじゃない? それかツンデレとか」

文「むしろこっちが苦手意識を持っちゃうわよ」

はたて「それにしてもあの岩天狗、山の神の使いだとか言ってたんでしょ。ってことはもしかしたら山の神も――」

文「いいこと、はたて。そういうのは口に出さない方がいいわ」

文(流石に、万一外界で健在な神が降臨したりすれば……タダゴトでは済まされない)

文(特にその神が……邪神だったりしたら尚更ね)


タッ


文「あら、椛?」

はたて「状況を伝えに行ったんじゃ?」

椛「いえ、その前に」

椛「おふたりとも服が濡れっていらっしゃるので――」





はたて「わざわざ拭くものを持ってきてくれたのね」

文「……。……ありがとね、椛」


椛「ではまた――逐次報告に参ります」


シュタッ

566: 2014/08/25(月) 23:23:33.14 ID:KQkJtZqx0

――博麗神社――


ブーン ブーン


霊夢「qあwせdrftgyふじこlp;@:」

霊夢「あzsxdcfvgbhんjmk、l。;・:¥」


針妙丸(……霊夢さん、何やら呪文みたいなのを唱えながら御祓い棒を振り回してる)

針妙丸(でも大丈夫なのかな……)


天子「ねえ、ちょっと喉渇いたんだけどー?」

天子「何かないの?」

霊夢「うっさい! 詠唱のジャマをしないでよ」

貧乏神「おらも腹減っただなあ」

霊夢「お黙り! どうせ焼き味噌を出してもあんたは出て行くつもりないでしょ」

貧乏神「フェフェフェ」

567: 2014/08/25(月) 23:29:31.83 ID:KQkJtZqx0
天子「誰と話しているのー。私には見えないよー(棒)」

針妙丸「もしかして、早くも神のお告げが?」

霊夢「いや、別に……ひとりごとよ」


霊夢(神格が低いからか、今のところ私以外には貧乏神が認識されていないのよね)

霊夢(いや、判ってるやつは判ってると思うけれど)

霊夢(まったく……ある意味最弱ながら最強なんじゃないの……コイツ)

霊夢(おまけにあの厄神が溜め込んでいた災厄を引き受けて増長しているときた)

霊夢(あの厄神、溜めた厄を神々に渡しているって前に言ってたけれど)

霊夢(実際のところ、本当にこれまでどっかの神にどれだけ厄を提供していたのかは判らない)

霊夢(一体全体どれほどの厄が、今うちの神社に溜め込まれているのか……考えたらゾッとするわね)


霊夢「――とにかく、これ以上はジャマしないでよ。私は真剣に」


天子「……」

針妙丸「……」


霊夢「ん、二人ともどうし――はっ!」




ピシピシピシピシピシピシピシピシ




霊夢(神社の境内の一角……空中に裂け目が)

霊夢(方角的には……艮……って鬼門じゃないの!)

568: 2014/08/25(月) 23:38:46.36 ID:KQkJtZqx0
バキィ!!!!!!!!


絶鬼「フフ……ありがとう、感謝するよ」

絶鬼「君達が、このぼくを地獄の底から救い出してくれたんだね?」

絶鬼「ここが人間界なのか、はたまた別の異界なのかは知らないけれど。どうせ滅ぼしてしまうんだから同じことか」


絶鬼(入り込んでみて、改めて確信した――覇鬼兄さんは確かにここにいる)

絶鬼(しかも、そう遠くはない場所にいるとみて間違いないな)

絶鬼(ならば、まずはここで暴れ回って――兄さんに呼応してもらうとするか)




絶鬼「それじゃあ早速、殺戮の前奏曲(プレリュード)といこうかな――」








ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ








霊夢「あ、あんたは……」

針妙丸「す、す、すごく……おおきいよ……」


ガクガク




天子「あれ? 小人ちゃん震えているの?」

天子「確かに大きいけれど、図体だけの木偶の坊かも知れないよ?」

569: 2014/08/25(月) 23:42:48.60 ID:KQkJtZqx0
絶鬼「おや? 鬼を目の前にして、恐れを抱かない人間がいるとは」

絶鬼「いや、人間……なのか? 人間のようでもあるし、かけ離れているようでもあるね」




天子「細かいことは気にしないの。私は貴方のようなつわものが来るのをずっと待っていたんだから」

針妙丸「……え」


天子「わざわざ貧乏神を神社に祀るという愚行に出た博麗の巫女の所業に便乗し、見事に大結界に風穴を開けることに成功した!」

天子「――計画通りよ」


針妙丸「ちょっと……霊夢さん、まさかこの異変の黒幕は……」

霊夢「あんたが今思った通りでしょうね」


霊夢(やっぱコイツだったのね――文たちは兎も角、流石にあのタイミングでこいつまで降ってくるのは不自然だと思ったもの)

霊夢(それにしても……地獄って……まあ当然うちのじゃないわよね)

霊夢(外界にある地獄から這い出てきた……ホンモノの鬼……)

570: 2014/08/25(月) 23:47:54.24 ID:KQkJtZqx0
絶鬼「ようするに、そこの君のお陰で再び日の目を見ることが出来たというわけか」

絶鬼「――今は月が見えるだけだが」

絶鬼「感謝するよ――感謝の気持ちを示して、君を第一の犠牲者にしてあげよう」


天子「その前に、そのおどろおどろしい格好をどうにかしなさいな」


絶鬼「……何だって?」


天子「私達のような“か弱い少女達”を相手に、そんな図体で全力を出していいのかってこと」

天子「一閃で殲滅しちゃったら、断末魔も聞けないよ? それってつまらなくないの?」

天子「氏よりも恐ろしい恐怖を与え戦慄させ、最後に圧倒的な力をもってゴミのように踏みにじる」

天子「そういうやり方の方が、面白いとは思わない? 貴方が血も涙もない鬼ならば」


絶鬼「……」

572: 2014/08/25(月) 23:51:55.01 ID:KQkJtZqx0
シュォォォォォォォォォォォォォォォォォ


霊夢・針妙丸「「!」」



絶鬼「確かにね。一捻りで潰すだけじゃあ頃し(アート)として美しくはない」

絶鬼「もっとも、人化を使ったところで――きみ達との実力差は変わらないだろうけれど」


天子「あらら、私結構な実力者よ? オーラで判らないの?」


絶鬼「オーラ? まったくと言っていいほど感じないね」


天子「そぉ? 心外ね」


絶鬼「予告しよう、指一本だ――ぼくのシャープな鬼の指で、きみのフラットな胸(しんぞう)を貫くとしよう」

絶鬼「いい断末魔をあげてくれよ」


天子「無駄無駄、私の胸は鉄壁だ――貫けるものなら貫いてみなさいよ」

天子「小鬼の、ぼく」

573: 2014/08/25(月) 23:59:05.85 ID:KQkJtZqx0

――人間の里(中心部)――


ジリジリ……


怪人A「ハァ……ハァ……」


魔理沙「追い込んだぜ。袋小路にな――そして上空には私がいる。さっきみたいにはいかないぜ」


怪人A「ッ!」


ギュン!!


聖白蓮「魔理沙(あなた)に目掛けてカマを放り投げてきましたよ。その至近距離ならすでに首が飛んでいたでしょう――が」


ギュワアアア


怪人A「!?」


パシィッ!!


魔理沙「ふっ、返してもらったぜ――小町(しにがみ)のカマをな。ほいよ」

小町「放られたカマとあんたの距離を少し遠ざけることで、受け止められるくらいの猶予を与えたのさ」

小町「ほら、三途の川を渡るときにかかる時間は人それぞれっていうだろう?」

小町「その川の長さを操る力を応用したってこと!」

574: 2014/08/26(火) 00:03:03.78 ID:7WGsLKr50
怪人A「……!」


グギィッ!!


怪人A「!? ぎゃああッ!!」

聖白蓮「一瞬、呆気に取られましたね――その隙が貴方の命取りとなるでしょう」


バッ!!


聖白蓮「これが、人間を辞めた者の身体能力ですわ」

怪人A「~~~!!?」


ミシミシミシミシ


聖白蓮「今のままでは、貴方の心の奥底に溜まった澱を掬い取ることはできない。ならば」

聖白蓮「いっぺん氏になさい――そして、貴方が本当の救いを享受したいと望むならば」

聖白蓮「その哀しい仮面を打ち捨てて――罪人たる己の姿を顧みなさい」

聖白蓮「貴方のような罪深い人間でさえ、幻想郷は受け皿となってくれるのです」

怪人A「……」


ミシミシミシミシ

575: 2014/08/26(火) 00:06:15.19 ID:7WGsLKr50

――


一輪「さすがは聖の姐様! 私達には真似できないような力技(説法)をやってのけている!」

雲山「……」

マミゾウ「さて、あの怪人Xは坊主が背後から羽交い絞めにしており動けぬのう」

マミゾウ「誰が、トドメを刺すのじゃ?」

小町「あたいは大事なカマを取り返すことに成功したから、これ以上干渉するつもりはないよ」

小町「さ、引導を渡してやりな――あんたが自機(しゅじんこう)だ」


チラリ


魔理沙「……」

576: 2014/08/26(火) 00:09:30.38 ID:7WGsLKr50
ヒュォォォォォォ


聖白蓮「私に構わず打ちなさい。なんて、言う必要はないわね」


ガッチリ


怪人A「……」




魔理沙「――ああ」

魔理沙「お前にとっちゃこの程度の攻撃は屁でもないって、私はよーく知っている!」




魔理沙「食らえッ! ――魔砲『ファイナルマスタースパーク』」




ギラッ




ヒュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル


ど~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん




577: 2014/08/26(火) 00:13:26.85 ID:7WGsLKr50

――人間の里(上空・雲上の宝船)――


まこと「うわぁー! 空の上に、綺麗な花火が上がって!」

村紗「いえ、あまり綺麗な花火でもなさそうですよ……。ふう、余波を受け流せてよかった」

小傘「あとで、聖水でお清めしたほうがよさそうだわ」

慧音「ふー、心配していたけれど……ようやく終わったみたい」

克也「つまり、敵は皆倒されたってことか!」

響子「 こ れ で 異 変 も 解 決 ね ー 」








――


マミゾウ「まったく、山彦ときたら……真夜中にあんまり大声を出しては近所迷惑よのう、若造よ」

雲山「……」

一輪「でも、ちゃんと危難が去ったことを里人たちに伝えるのも大事なことよ。って雲山が」

578: 2014/08/26(火) 00:16:00.39 ID:7WGsLKr50
魔理沙「ヤツは……一体何者だったんだ?」

聖白蓮「少なくとも……人間を辞めていたのでしょう。私達と同じように」

魔理沙「いや、私はまだ人間やめてないぜ」


小町「まあ、いいじゃないかい。これでお仕事もあがりってことで、さ」

聖白蓮「まだ、予断を許さないとは思いますが……ちょっとイヤな予感が」

小町「でも、一段落はついたはずだよ。なあ、普通な方の魔法使いさんよ?」

魔理沙「ああ」


魔理沙「――勝ったぜ! 第3話完ッ!!」

579: 2014/08/26(火) 00:20:35.10 ID:7WGsLKr50

――紅魔館(図書館)――


パラ……


パチェ「……」

赤い怪少女「……」


パラ……


パチェ「……」

赤い怪少女「……」


パタン……スタッ


パチェ「……あら、その本、もう読み終わったの」

赤い怪少女「……」


コクッ


パチェ「ここ紅魔館の大図書館にはね、古今東西に書かれたありとあらゆる書物が収蔵されているの」

パチェ「だから貴女が今後、探しているのに見つからなくて困っている本があったら、ここに来るといいわ」

パチェ「貴女も私と同じで、本を読むことが大好きなようだからね」


ニコリ


赤い怪少女「さよなら」


スゥ――――――――――

580: 2014/08/26(火) 00:24:03.66 ID:7WGsLKr50
パチェ(さてと、次はこの本に目を通しましょう――何度か読んでいるけれど、興味深い内容なのよね)

小悪魔「パチュリー様! あの浮遊霊、やっと帰ってくれました?」

パチェ「ええ。でも、あの子は本好きなだけ、そんなに邪険にしなくても……」

小悪魔「だって……ず~っと俯いたまま本を読みっぱなしで根暗っぽいですし」

小悪魔「司書(わたし)から館内の配置を聞いていたときも、床を滑るように高速で移動してきて」

小悪魔「とにかく薄気味悪かったんですッ!!」

パチェ「……」

パチェ「うん、そう……」

パチェ「とりあえず、あの子は帰ってしまったから、こぁは本棚の整理をしていて頂戴」

小悪魔「はい、承知しました」


タタッ


パチェ(……小悪魔はよく頑張って仕事に勤しんでくれているけれど)

パチェ(もう少し、静かにして欲しいわ)


??「ちょっと、パチュリーさん」

581: 2014/08/26(火) 00:28:28.19 ID:7WGsLKr50
パチェ「あら、ベベ。何か用?」

ベベルブブ「いやぁー、その……文通友達に送る手紙を書いたんだが……その」

ベベルブブ「こういう文章でいいかどうか……添削してもらえたら……」


パッ


小悪魔「え~、何て書いたの? なになに……『僕を召喚してくれて本当にあーだこーだ」

ベベルブブ「わー!? イヤ、ダメ、読むなああっ」

小悪魔「回りくどいことをしないで、もう契りを交わしちゃえばいいんじゃない?」

ベベルブブ「お、俺はその……じ、順序ってものを大事にするんだ……」


パチェ(騒々しい……)

パチェ(騒々しいと言えば、今日は魔理沙、いつものように本を永久に借りに来なかった)


パラリ


パチェ(まあ、その方が読書の邪魔をされないで済むからいいのだけれど)

パチェ(――『謎のフィラデルフィア実験』)


               (第3話:片腕の仙人と鬼の手を持つ男の巻<後編>・終)

583: 2014/08/26(火) 00:36:41.03 ID:7WGsLKr50
●近未来に粉砕される運命にあるの紅魔館。その悲劇の少し前に起きていた静かな異変についての話です。


【ちなみに赤い怪少女とは】(以下WIKI引用)

○ぬ~べ~のアニメ版オリジナルキャラ(第32話「そして誰もいなくなる!図書室の赤い怪少女!!」で登場)

○赤いカーディガンがシンボル。小学生のころに交通事故で亡くなった本好きの女の子の浮遊霊で、普段はおとなしく無害。

○しかし、大好きだったおとぎ話の本の人魚姫のページを金田が破ってしまい、捨てられることになったため、途中からのストーリーを思い出そうと、

「人魚姫は、浜辺で見かけた男の子に恋をしました。その歌声は…」と呟きながら、その本を借りた児童たちを次々と本の中の異次元空間に閉じ込めた(この空間では鬼の手が使用できない)。

○その本が燃やされる寸前で、同じく本好きな法子(のろちゃん)が人魚姫のストーリーを思い出させたことで元のおとなしい霊に戻る。終盤までは目元が陰で隠れていたが、大人しくなった以後は笑顔を見せていた。




<次回>

第3.5話「 そして誰もいなくなるか?――七曜の魔女VS異次元の魔物 の巻」




588: 2014/08/27(水) 23:42:29.86 ID:r21KEIQx0
第3.5話投下します。


ぶっちゃけベベルブブと紅魔組の絡みを書いてみたいと思っただけで、話の構成再現度が微妙

また本編の進行にあまり影響はないので読み飛ばしてもらってもいいです

(最後の4レスだけ目を通していただければ問題ないです)

589: 2014/08/27(水) 23:44:41.85 ID:r21KEIQx0

――紅魔館(レミリアの寝室)――


パラパラ


レミリア「……」

咲夜「あら、何を読んでいらっしゃるんですか。お嬢様」

レミリア「美鈴から借りた漫画よ。普段は難しい魔道書ばかり読んでるパチェもね、目を通したんだって」

咲夜「へえ、あのパチュリー様も漫画を……」

レミリア「ほら、前にあの黒いのがスペカを研究して纏めた本があるでしょ?」


パラパラ


レミリア「あれの執筆に際して参考にした文献らしいのよ」

咲夜「……それで、面白いんですか?」

レミリア「結末が気に入らないわ」


ポイッ


咲夜「投げ捨てるだなんて、本を粗末にしてはパチュリー様に怒られますよ」

レミリア「捨ててはいない、軽く放っただけ。はぁー、退屈よねぇ……今日この頃」

レミリア「ちょっと異変でも起こそうかしら」

咲夜「またまた、心にもないことを」

590: 2014/08/27(水) 23:50:01.09 ID:r21KEIQx0
咲夜「もうそろそろお休みになったらどう? 私も少しは休みたいので」

レミリア「何を言っているの? 闇夜こそが我々吸血鬼の本領を発揮する時間帯――」

咲夜「私は人間ですよ、一応は」

レミリア「うー、何かやりたーい!」

咲夜「では、外を徘徊でも? お供しますよ」

レミリア「――いいわ、面倒くさい。そういえば今日は美鈴(もんばん)、ちゃんと働いてた?」

レミリア「夕刻、日傘を差して門のあたりをふらついたときには見当たらなかったようだけれど」

咲夜「美鈴なら花畑の手入れをしてくるといってましたが、帰ってくるのが遅いですね。もう日付も変わったというのに」

咲夜「どこかで油でも売っているのかも」

レミリア「そうね、私もそう思うわ。でもこう平和だといてもいてもいなくても差し支えないわね」

レミリア「いっそ解雇しようかしら」

咲夜「解雇するならむしろ先に妖精メイド達でしょ? あんまり役に立たない上に、むしろ私の仕事が増えるんだから」

レミリア「いいじゃないの。そのぶん咲夜が先読みをして動けばいいだけのこと、時間を有効に使いなさい」

咲夜「はあ……。まあ、言われなくとも使ってはいますが」

レミリア「ともかく秩序だった日常に埋没してはいけない。たまには、こうスパッと寝首でもかかれてみたいものだわ」

咲夜「寝首をかかれたくらいでは、お嬢様は氏なないじゃないですか」

レミリア「物のたとえよ。氏を経験するくらいの未知の体験をしてみたいってこと」

591: 2014/08/27(水) 23:54:11.31 ID:r21KEIQx0
レミリア「――ねえ咲夜、本気で次の異変を起こそうとは思わない?」

レミリア「パチェも交えて計画を練り上げましょう。最近の異変はあまりにも低次元な余興に失し過ぎだわ」

咲夜「――すでに具体的な構想が?」

レミリア「例えば、裏で糸を引いて妖怪大戦争が勃発させるとか。このまま妖怪全体の無気力化が広がってしまえば、強い外敵(月人とかね)と戦う力を失ってしまうわ」

レミリア「これはゆゆしき事態じゃないの?」

咲夜「確かにそれは歴史が証明しているのかもしれませんが……今になってどうこう言ってもしようがないのでは」

咲夜「それに起こすのならば、今度は妹様のことも最初から頭数に……」

レミリア「……いいのよ、フランのことは。今まで通りのほうが、あの子にとっては……」

咲夜「……」


咲夜「少し喉が渇きませんか?」

レミリア「……そうね。じゃ、紅茶でも入れて頂戴――珍しくないものでいいから」

咲夜「はい、ただいま――トリカブトの根をそのまま摩り下ろして隠し味にしておきますね」


ガチャリ


レミリア「根でも種を暴いたら、隠し味ですらないじゃないの。まったく」

592: 2014/08/27(水) 23:58:35.81 ID:r21KEIQx0

――(図書館)――


パラパラパラ


パチェ(――『フィラデルフィア計画』)

パチェ(その内容は、アメリカ海軍のステルス実験――正式名称は『レインボープロジェクト』)

パチェ(いわゆる都市伝説のひとつである――)

パチェ(一九四三年一〇月二八日、米ペンシルベニア州フィラデルフィアの海上にて、駆逐艦に船員を乗せて実行された当該実験――)

パチェ(当初の目的は、テスラコイルを使い船体をレーダーに対して不可視化する軍事利用目的であったが)


パチェ「その実験の結果――」


パチェ(おかしいわ……)

パチェ(……ここから先の頁が欠落しているのよね。破られた、燃やされた、いや……抉り取られた?)


ジー


パチェ(抉られてから……そう時間は経っていない。ほんの数刻前……いや、ほんの一瞬だけ……前に?)

パチェ(一体いつの間に……他の本を読むのに没頭していたとしても、目の前の本棚に並んでいたのよ)

パチェ(両隣を別の本に挟まれ、天地(上側と下側)と小口(背の裏側)は棚板に接する状態)

パチェ(この状態で一部のページだけを、音もなく手品もなく抉り取る方法となると……)

593: 2014/08/28(木) 00:10:02.82 ID:Zj6GXCga0
タッ


小悪魔「パチュリー様、これ、見てください!」

パチェ「あら、どうしたの?」

小悪魔「外のゴミ置き場に不用品を運んで行った帰りに……」

小悪魔「拾ったものなんですが……」


スッ


パチェ「!」

小悪魔「誰が……こんなイタズラをしたんでしょう?」

パチェ「これって……」

パチェ(今私の手元にある本の抉り取られた部分が……レミィのお気に入りのティーカップと融合している?)

594: 2014/08/28(木) 00:14:58.67 ID:Zj6GXCga0

――(レミリアの寝室)――


コンコン


レミリア「あら、咲夜。わざわざノック?」

レミリア「入っていいわよー。どうぞー」


シ――――――ン


レミリア「? どうしたの、早く入りなさいよ」


ズズズズズ……


レミリア(後ろに気配が?)

レミリア「何してるの、いないないばあ? ノックしておいてわざわざ能力なんて使わ――」


クルッ


ォオオオオオオオオオオオ


レミリア「な」


ズズズズズ……


レミリア「――ち、ちょっ――とあん――ただ――――――――れ」


……ズズズズズ

595: 2014/08/28(木) 00:16:41.74 ID:Zj6GXCga0
シ―――――――――――――――――――ン




ガラッ


咲夜「申し訳ありません、お嬢様。いつも使っていらっしゃるカップが見当たらないので今回は別のものを――」

咲夜「……あら。お嬢様、どちらに?」

咲夜(ああ、本当に夜のお散歩にでも行かれたのかしら)

咲夜(だったら、一言声を掛けてくれれば――あ、わざわざ付き添わなくてもいいっていう心遣いなのね)


トサッ


咲夜(ふう、今日もよく働いた。少しの間、ベッドの上で休ませてもらうわ)


スヤァ……

596: 2014/08/28(木) 00:20:24.89 ID:Zj6GXCga0

――(図書館)――


\コォォォォォォォォォォォォォォォォ/


ベベルブブ「おお! トイレから戻ってきたら、パチュリーさんが何やら本のページを壁に映してる!」

ベベルブブ「まるで魔法のようだ!」

パチェ「魔法使いだもの」

小悪魔「これはさっき見つけた、ティーカップとくっついちゃってる続きの頁にあたる部分ですか?」

パチェ「そうよ。無秩序に裁断・混同されたページを復元するよりも、こうやって投影した方が判りやすいでしょう?」

ベベルブブ「んーと、何なに?」

パチェ「要約すると、こうなるわ」




パチェ「――その実験の結果」

パチェ「駆逐艦はレーダーから消失するに飽き足らず」

パチェ「完全に『実体そのもの』を消失、数千キロメートルも離れているノーフォークに瞬間移動してしまった」

パチェ「それから数分後、奇妙な発光体に包まれた駆逐艦は再び元の場所へと瞬間移動していた」

パチェ「実験は無事に終了した。乗船した者のうち氏者は十六名、そのうち半数は精神に異常を来した」

パチェ「実験の継続は断念され、『フィラデルフィア実験』の全内容は軍事機密として封印されることとなった――」




小悪魔「こぁー、瞬間移動……ですか」

ベベルブブ「こんな超常現象が起きるなんて……信じられんな」

パチェ「……」

597: 2014/08/28(木) 00:26:41.81 ID:Zj6GXCga0
パチェ「ねぇ、こぁ。この本にイタズラをした者は、一体どんな意図があったんだと思う?」

小悪魔「意図ですか……うーん、イタズラ目的ですかね?」

パチェ「う、うん、そうね。それはそうかも知れないわ」

小悪魔「さきほど消えた、あの本好きな幽霊の仕業では?」

ベベルブブ「幽霊ってのは……さっきまでいたあの赤いのか。話したことはないが」

パチェ「本好きな子なら本にこんなイタズラをしないでしょう?」

小悪魔「あ、まあ確かに」

小悪魔「ではまた、あの泥棒さんの仕業でしょうか?」

ベベルブブ「泥棒?」

パチェ「それは違うと思う」


パチェ(魔理沙(ドロボウねずみ)なら……こんな陰気臭い嫌がらせなんてしないわ。堂々と正面から不法侵入して本を持ち去るだけ)

パチェ(わざわざ、回りくどく手の込んだことをするなんて……)


パチェ「あ。そういえば、――このティーカップと本の融合体、外で拾ったと言ってたけれど」

パチェ「正確にはどこで見つけたの?」

小悪魔「えっと、何故か門の手前に……無造作に置かれていたというか」

小悪魔「ちなみに、門番さんはいらっしゃいませんでした」

ベベルブブ「門番?」

パチェ「この際それは気にしないことにしましょう」


小悪魔「って、ああ。そういえばベベさんは少し前にパチュリー様が戯れで描いた魔法陣から出現したのよね」

ベベルブブ「ああ、まあ……」

パチェ「だから詳しい内情は知らなくて当然ね。馴染んでたから気にせずに話を進めていたわ」

ベベルブブ「いやーお構いなく」

小悪魔「ベベさんも、何か気付いたことがあったら何でも言ってよ」

598: 2014/08/28(木) 00:33:04.08 ID:Zj6GXCga0
ベベルブブ「何でも――あっ、そういえばコレ」

小悪魔「コレ……ってその手に持っているのは?」

パチェ「見せて頂戴」


スッ


パチェ(これは、レミィの靴だわ。 ……あれ?)

パチェ「これ、裏返っている」

ベベルブブ「……?」

小悪魔「裏返って? え、それはどういう意味で?」

パチェ「よく見て。靴の内側と外側が――」

小悪魔「ああ! 確かに“裏返って”います……まるで、初めからそうであったかのように」

ベベルブブ「ほ、本当だ!」

小悪魔「こんなイタズラをするなんて、お館様はさぞお怒りになって……!」


小悪魔「何でこんなことをしたの!?」

ベベルブブ「お、俺!? 違う! ただ拾っただけだ、本当に!」


パチェ「レミィに、美鈴。まさか……ね」

小悪魔「……パチュリー様?」

パチェ「それで、ベベは何処でこの靴を見つけたの?」

ベベルブブ「えーと、トイレの場所が判らなくて迷って……そこの『地下牢行き』っていう階段の途中で……」

パチェ(――地下牢(最深部)へ続く階段への入り口は、同じく地下にある大図書館の内部にある)

パチェ(だから、レミィが地下牢に行ったとしたら、私か小悪魔、あるいはあの浮遊霊の子やベベの誰かひとりくらいは気づいたはずよ)

パチェ(いくらここが広いと言えども、彼女が現れたらあの気質で気がつくわ)

パチェ(それ以前に、レミィがあえて地下牢に足を運ぶなら……私に声を掛けるに違いない)


小悪魔「それで、一番奥の牢屋(へや)にいる妹様には会えたの?」

ベベルブブ「妹様? ……いや、階段があまりに長いし……何だか怖くなって引き返してきたんだが」

599: 2014/08/28(木) 00:38:35.87 ID:Zj6GXCga0
パチェ「ふたりとも、咲夜を呼んで来てくれない?」

パチェ「私は大図書館(ここ)で待っているから……なるべく急いでね」

小悪魔「わ、判りました!」

ベベルブブ「ラジャ! ……誰のことだろ」


タッ


パチェ(門の前で見つかったティーカップと本の頁との融合体、地下牢へ続く階段の中途で見つかったレミィの靴)

パチェ(咲夜なら、能力を使って出来ないことはないだろうけれど……そんなことをする理由が見当たらないわ)


パチェ(もしや)

パチェ(靴の内側と外側がひっくり返されたという現象――これが内側と外側の“境界”を操った所為だとすれば)


パチェ「……」


パチェ(けれども、あの大妖怪がこんな低次元なイタズラをするとは思えない)

パチェ(あ、でも第二次月面戦争での一件もあるし……全くないとは、言い切れないかな)


パチェ「少なくとも今、この紅魔館で――何らかの変調が生じていることは確か……よね?」




ズズズズズ……

600: 2014/08/28(木) 00:47:26.49 ID:Zj6GXCga0

――(レミリアの寝室)――


ギィィ


小悪魔「この時間帯なら、メイド長様はおそらくこの部屋にいるはず」

ベベルブブ「えーと、ここって……お館様とかいうのの部屋なんじゃあ?」

小悪魔「深く考えないで、お守のようなものなの。あら? どうしたの、早くベベさんも入ったら」

ベベルブブ「いや……だ、だって……女性の寝室に……勝手に」


グイ


小悪魔「いいから」

ベベルブブ「お、邪魔しますっ」


小悪魔「……ああっ!」

ベベルブブ「!?」


バァァァァァァン!!


小悪魔「壁の掛け時計にナイフが突き刺さっているわ!」

ベベルブブ「時計が壊れている! 止まっている時計の針が刺す時間は……ほんのついさっきだ」

ベベルブブ「! その掛け時計の下には……割れて中身の零れたカップがあるようだが」


チラリ


小悪魔「見て。このベッド……触れてみるとまだ温もりが残ってる」

ベベルブブ「え? だから?」

小悪魔「ついさっきまでここでメイド長様が横になっていたってこと」

ベベルブブ「おお! だが、でも、ここはもともとその人の部屋じゃないのになんで断言――」

小悪魔「ベッドのへこみ具合で分かるわよ!」

601: 2014/08/28(木) 00:50:28.91 ID:Zj6GXCga0
小悪魔(メイド長はいったいどこに? あのお方はおおよそ完璧瀟洒なお方)

小悪魔(無意味にこんなことをするはずはないよね……?)

小悪魔(でも、それでいてちょっぴり天然で抜けているところもあったり!)


ベベルブブ「カップは何かの拍子にテーブルから落ちたとして、あの壊された時計にはどーいう意味が」

小悪魔「メイド長様には時間を操る程度の能力があるの」

小悪魔「そのメイド長様が、敢えて自分で時計を破壊した? そしていなくなった……?」

ベベルブブ「時間を操る? そんなことできるのか!?」

小悪魔「ええ、まあ」

ベベルブブ「……」

ベベルブブ「……もしかして、そのひと。時間を操ったのにどうにもならずどこかに瞬間移動しちゃったとか?」

小悪魔「え?」

ベベルブブ「さっきの本の内容みたいに……で、あの壊れた掛け時計はダイイングメッセージみたいな……ってそんなことはないか! ははは」




\持ってかないでー!!!/




ベベルブブ「! 今の声は」

小悪魔「パチュリー様の……あ、しまった!」

小悪魔「パチュリー様は、魔力は膨大だけれど身体は人間よりも弱いのよ!」

小悪魔「貧血のせいで詠唱もままならないときもあるわ……もし、いきなり身に危険が及ぶようなことがあったら」


シュタッ!!

602: 2014/08/28(木) 00:55:25.51 ID:Zj6GXCga0

――(図書館)――


タッ


小悪魔「パチュリー様!」




シ―――――――――ン




ベベルブブ「! ここに……この帽子は」

小悪魔「……パチュリー様の……もの」

ベベルブブ「どこかに……行った? いや、持ってかれてしまったってこと? どこかにさらわれた?」


小悪魔(……ちゃんと考えて動けばよかった。よく分からないことが起きているってのに、パチュリー様をひとり残して)


小悪魔(えっと……最初に姿が見えなくなったのは……たぶん靴を裏返されたお館様?)

小悪魔(次に消えてしまったのは……メイド長様?)

小悪魔(そしてたった今……パチュリー様まで)


ベベルブブ「と、とにかくまだ近くにいるかも知れん! 探すんだ!」


クルッ タッ




小悪魔(また、誰かがいなくなってしまう? 妹様は? 門番さんは?)

小悪魔(もしかして……残っているのはもう……私とベベさんだけ!?)


ズズズズズ……

603: 2014/08/28(木) 01:01:52.46 ID:Zj6GXCga0
小悪魔「!? ひゃああ!」


ォオオオオオオオオ


小悪魔(空間に亀裂が!? 攻撃――ダメ間にあわない!)

小悪魔(引きずり込まれる!)


バッ


ベベルブブ「ふんぬぅ!!!!」


グォォォォォ!!


小悪魔「! ベベさん」


ベベルブブ「おおおお開けぇ!!」


グニィィィィィィ!!




魔物「ォオオオ!?」




小悪魔「わぁぁ何かが中に!!?」


グイ! ――ドサリッ


ベベルブブ「――痛つつ、大丈夫か」

小悪魔「どうも……」




魔物「――」


ズズズズズ……


小悪魔「――あ、裂け目が! 裂け目が閉じちゃうよ!」

ベベルブブ「ま、待ちやが――」




ヒュン! ――ガシッ


魔物「ォオオオ!?」

美鈴「あんたが、不法侵入者ね!!」

605: 2014/08/28(木) 01:09:11.93 ID:Zj6GXCga0
小悪魔・ベベルブブ「「!!」」


美鈴「招かれざる客は、速やかにお帰りください――ただし、お嬢様達を返してもらってから」


ドシューン!!

魔物「ァ”ア” ア” ア” ア”!!」




ギュォォオオオオオオオオォォォォォォン!!!!




――ドサッ! ――ドサッ!



ベベルブブ「ふがっ!?」

咲夜「あら、早くも無事に帰還できたようですね。お嬢様」

レミリア「えー!? もうちょっとあの異次元空間に漂ってた無数の者たちと意見交換したかったっていうのに」

咲夜「しかし、短い間でもよかったでしょ、お嬢様。いい余興になったじゃありませんか」

レミリア「そうね、多少はね――って誰あんた? 私の下で伸びてんじゃないわよ」

ベベルブブ「すみません……」

小悪魔「メイド長様! お館様!」

小悪魔「あれ、……パチュリー様は……?」


パチェ「こっちよ」

赤い怪少女「……」




ズズズ……シ―――――――――――――――――――――ン

606: 2014/08/28(木) 01:15:58.87 ID:Zj6GXCga0
パチェ(異空間への扉が閉じた。これで無事撃退できたのかは……判断のしようがないけれど)




小悪魔「え? あれ? パチュリー様もあの化物に引きずり込まれたんじゃ?」

パチェ「ええ、引きずり込まれそうになったわ。本まで持っていかれそうになったからつい大声で叫んじゃった」

ベベルブブ「あー、そっちの意味で『持っていかないで』だったのか……」


ヒョイ


パチェ「ほら、脱げちゃった帽子だって裏返ってはないでしょう?」

小悪魔「あ、そういえば……」




レミリア「ちょっと咲夜、何か悪魔の着ぐるみみたいなのがいるわよ?」

咲夜「悪魔ならお嬢様もおおよそ該当しますよ」




パチェ「でも、取り込まれそうになる一歩手前のところでね――この子が助けてくれたの」

パチェ「この子自身が作り出した本の中の異空間に私を招き入れるって形で」

赤い怪少女「……」

小悪魔「この浮遊霊さんが、パチュリー様を助けてくれたので?」

美鈴「そして、その本の中の異空間に私も呼びこまれたんですよ――廃洋館前の野外コンサート会場から、唐突に」

美鈴「で、その後再びお嬢様の寝室に放置された本の中から出してもらって――図書館(ここ)に駆け付けたってわけなんです」

ベベルブブ「何でそんなに都合よく事が運んで……? ってお前が門番とやらか!」


レミリア「咲夜ー、話についていけないわ」

咲夜「仕方ないでしょう、私たちは異空間にいたのだから」

607: 2014/08/28(木) 01:20:30.12 ID:Zj6GXCga0
スッ


レミリア「えっ」

赤い怪少女「これ」

咲夜「あら、これは」

レミリア「……私が寝室(へや)に放りだしていた」


パチェ「この子はどうもね、ある特定の本を読んだことがある人に限って、その本の中の異空間に取り込めるらしいの」

美鈴「だから、その本を読んだことのあったパチュリー様と、私が続けざまに取り込まれて、本の中で館の状況を確認し」

ベベルブブ「さっき言った通り再び中から出してもらい、あの化物を潰したってことか!」




赤い怪少女「……」


ヒョイ


レミリア「ふふ、変な所で繋がってしまうものなのね。本はちゃんと大事に扱うわ――たとえ漫画であってもね」

608: 2014/08/28(木) 01:29:48.48 ID:Zj6GXCga0
小悪魔「浮遊霊さん、……どうも、ご苦労さまです」


ペコリ


赤い怪少女「……」

パチェ「今度こそ、またね」


赤い怪少女「――」




ス――――――――




パチェ(『フィラデルフィア実験』の数項が、あの裂け目によって欠損してしまったことに怒って、また舞い戻って来てくれたのか)

パチェ(それとも……?)

パチェ(あ、そもそも最初の融合体は、犯人があの裂け目だとは断定できないわね。レミィや咲夜の場合と違って)




パチェ(結局のところ――あれは一体何だったのか。スキマ妖怪は唯一無二の存在だというのに……他の何者か……)

パチェ(同じような種族が……この世界のどこかに潜んでいたということ?)




小悪魔「メイド長様のダイイングメッセージ――ちょっぴりですが読み取ることができましたよ!」

咲夜「メッセージ? そんなもの残したっけ? ……転寝をして醒めたらもう異空間にいたから。それと氏んでないわよ」

小悪魔「え、じゃあ……あの寝室の掛け時計に刺さったナイフは何処から飛んで……」

咲夜「掛け時計に……寝ぼけて投げちゃったのかな、後で片付けないと」

609: 2014/08/28(木) 01:35:01.07 ID:Zj6GXCga0
ベベルブブ「まあ、あれだ。みんな無事で良かったな」

美鈴「そうですねぇ、見知らぬデーモンさん。いえ、リアルバイキンマンさんですかね?」


パチェ「それにしてもね、本当によかったわ」

レミリア「何が?」

パチェ「美鈴があの化物にダメージを与えたところで……無事に貴女たちが還って来れるなんて確証はなかったというのに」


レミリア「これが運命ってものよ。紅魔館(わたしたち)はね――見えない糸で結ばれているの」

パチェ「……」


レミリア「その糸を手繰っていけば、自ずと貴女(パチェ)たちのもとに還れると思っていた」

レミリア「その糸の名前は――運命の紅い糸。私たちはそんな見えない絆(つながり)によって結ばれているってことなのよ。ね?」

パチェ「――ええ、そういうことなのかもね」

610: 2014/08/28(木) 01:40:31.14 ID:Zj6GXCga0

――(地下牢)――




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




フラン「もうこの遊び道具も飽きちゃった。いらない」


\BOMB/ 


フラン「……」

フラン「また聞こえるわ」

フラン「レミリアお姉様達の、楽しそうな笑い声」

フラン「でも、私はそこに加えてもらえないのよね。いつだって私は仲間外れ」


フラン「……」


フラン「霊夢さん……魔理沙さん……あのふたりと弾幕ごっこをした時」

フラン「あの時が、生れてこの方……一番楽しかったひとときかもしれない」

フラン「また、お姉様たち(あいつら)が異変を起こしてくれたら――」

フラン「ううん、それじゃ前と同じだわ。だったら、私が自分で異変を起こしたら――」

フラン「今度こそ、外に出られるかもしれない。空を自由に飛べるのかもしれない。ジュース以外の人間を、他にも見られるかも知れないの」

フラン「でも、でられない。あいつがだしてくれないからよ。あいつの本の虫(ともだち)がジャマをするからよ」

フラン「私はこれからも永遠に籠の鳥なのかしら?」


フラン「……誰か」

フラン「この牢獄(こうまかん)を壊して、私の知らない世界を見せて欲しい」


フラン「そして――いつまでも私と一緒に遊んでくれる、壊れない玩具(なかま)が欲しいな」

611: 2014/08/28(木) 01:45:20.10 ID:Zj6GXCga0

――霧の湖(廃洋館側)――


雷鼓「それっ!」


ドンドコドンドン ドンドコドンドン


ルナサ・メルラン・リリカ「「「――♪」」」




速魚&わかさぎ姫「「 あのね Q太郎はね~♪ 頭に毛が三本しかないんだよ~♪ 」」




大妖精「あれ、さっき誰か消えなかった?」

チルノ「ん? あんた誰だっけ」

八橋「わーお、やってるねぇ」

弁々「この程度の手ぬるい音楽じゃだめだ。私も混ぜてー」


グツグツグツ


ミスティア(門番はとうとう連れ戻されちゃったか、あの人間離れした人間(メイド)に)

ミスティア「ほらほらー、屋根はないけどおでん屋の開店だよー」


ルーミア「大将ー、人肉団子ひとつー」

影狼「公魚と人魚のつみれをくださいな」

リグル「あれほど落ち込んでいたのに……現金なものね」


ミスティア「店も道具も形あるものはいつかは壊れるものよ――でも、壊れたらまた直せばいいの」


ドンドコドンドン ドンドコドンドン

612: 2014/08/28(木) 01:51:00.38 ID:Zj6GXCga0

――妖怪の山(山麓・間欠泉地下センターの温泉)――




カポーン ビュゥ~~




つらら「岩天狗が触(や)られたと聞いてやってきたけど、……長閑な山の神もいたものだわ」

諏訪子「まあ、こっちもあんまり面倒な争いごとを起こしたくはないもの」

ぬえ「念のために聞いておくけど、お前はぬらりひょんの孫の知り合い?」

つらら「? 私はゆきめの幼馴染さ。まさか、ゆきめもこの山に来てたなんて……不思議な縁」

諏訪子「あの雪女に会いたいならこの先の地底にいるよ。エレベーターで下まで降りられるから」

つらら「――いいや、もう会わないよ。会わない方がいいんだ」

諏訪子「どうしてだよ。山の掟を破った裏切り者だから? おたくの山の神様は随分と頭がお固いのか」

つらら「……」

諏訪子「まあ、口には出せないだろうけど。外界を諦めた神(わたし)が口を挟むようなことでもないね」


コトリ


ぬえ「目で見たものを氷の彫刻で模写する程度の能力といったところか。よくできた氷の盥だわ」

つらら「あはは、そりゃどーも」

613: 2014/08/28(木) 01:53:46.26 ID:Zj6GXCga0
……ザバァァ


つらら「……じゃ、私は帰るね。それで神様は蛙ね」

諏訪子「あーうん」


コォォォォォォォ


諏訪氷「ゲコゲコ」

つらら「置き土産に氷の彫刻(フィギュア)を差し上げる――偶像崇拝にでも使って頂戴」

諏訪子「ちょっと馬鹿にされた気がするけどまあ許す。貴女まだいとけない子どものようだし」

つらら「ゆきめに一言伝えておいて。自分の運命は自分で切り開けって」


つつら「そして――せいぜい幸せになりなよ。ってね」


ぬえ「……」

諏訪子「判ったよ。ちゃんと、伝えておくわ」




ヒュォォォォォォォォォォォ ――スゥ  




      (第3.5話:そして誰もいなくなるか?――七曜の魔女VS異次元の魔物の巻・終)

614: 2014/08/28(木) 02:07:24.75 ID:Zj6GXCga0
4話は次の日曜で

ネタ使いすぎな気もしてきたんで今後は気をつけます

残りはほぼバトル展開、2話の始めの方で放置している伏線は上手く回収できそうなら間に4.5話を挟むかもしれませんが

上手くまとまらなかったら粉飾するかも知れません

617: 2014/08/28(木) 07:18:53.51 ID:3vbUPyCDO

ぬ~べ~はフランを宥めるのだろうか?

626: 2014/08/31(日) 19:16:25.52 ID:Lug88hJQ0
□□―主要な登場人物などの現在の居場所―□ □




<幻想郷における時間帯:未明(午前1時前後)>




【地底】


○旧都(妖怪の山側の縦穴に近いほう)
→玉藻・ゆきめ・早苗、勇儀・パルスィ




○地霊殿周辺(博麗神社の裏山にある、間欠泉噴出で沸いた穴側のほうへ移動中)
→ぬ~べ~&華扇(茨華仙)
→お燐
→広・郷子・美樹・ヤマメ・こいし・お空




○地霊殿
→さとり

627: 2014/08/31(日) 19:19:08.54 ID:Lug88hJQ0
【地上】


●博麗神社 (東縁の神社)
→霊夢・貧乏神・針妙丸、天子&絶鬼




●妖怪の山 (山と言えばだいたいこの山のこと)
→守矢神社…神奈子、ケサランパサラン
→(全域警戒中)…文ら天狗たち
→山麓の温泉…諏訪子・ぬえ
→玄武の沢…にとり、弥々子河童




●紅魔館(妖怪の山の麓、霧の湖の湖畔にある洋館)
→パチュリー・ベベルブブ、フランドールら




●廃洋館(霧の湖の湖畔、紅魔館からは離れた方角)
→早魚・わかさぎ姫・楽器の付喪神ら




●魔法の森(森と言えばだいたいこの森)
→アリス




●人間の里 (警戒継続中)
→魔理沙、小町、慧音・克也&まこと、聖ら命蓮寺組




●命蓮寺(待機中)
→星・ナズーリン




●迷いの竹林(どこかに永遠亭あり)
→紅妹・輝夜




【幻想郷のどこか】
→萃香
→藍・橙
→正邪

ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第6話】

引用: ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」