938: 2014/09/28(日) 09:11:08.10 ID:0Qgt10aO0

ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第1話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第2話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第3話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第4話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第5話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第6話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第7話】
ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【第8話】

――冥界(白玉楼)――


妖夢「あれ、私ってもう出番なさそうだと思ってたのですが?」

幽々子「きっと妖夢の活躍を期待している人が沢山いるからよ。貴女の春画を描いたり読んだりするような奇特な人間たちが」

妖夢「そうですよね!」

赤蛮奇「それでいいの?」

 
以津真天「いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで!」


青娥「あらあら、西行妖とやらの周りを怪鳥が飛びまわってますわねぇ」

妖夢「ちょっと!? いきなり現れて変な妖怪をけしかけないでくれる!?」

芳香「うーらーめーしーやー」

妖夢「うわ幽霊! ……ってただのキョンシーじゃないの」


以津真天「いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで! いつまで!」


赤蛮奇「何よこいつらは……『いつまで』ってどういう意味なの?」
地獄先生ぬ~べ~ 30周年記念傑作選 1 ガチホラー編 (ジャンプコミックスDIGITAL)
939: 2014/09/28(日) 09:16:27.90 ID:0Qgt10aO0
芳香「いつまでも変わることなく~部下で……いよう~」

青娥「誰かを追い求めるのもいいけれど、誰かに追われる身なのも悪くはないもの」

妖夢「幽々子様、あの怪鳥の言う『いつまで』とは一体何のことなのでしょう?」

幽々子「……。妖夢は知りたい? あの妖怪鳥が何を訴えかけているのか」

妖夢「……幽々子様」

幽々子「以津真天曰く、『いつまで氏――』」




ニュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルン!!!


シ――――ン




芳香「……」

赤蛮奇(今のは正真正銘あのスキマの仕業だね。怪鳥を全部まとめて絡め捕っちまった)

青娥「ストーカーはお帰りなのね。さ、お家に帰りましょ――私の腐って可愛い下僕(よしか)」


ニコッ


芳香「ほいよー!」


ズズーンッ!!


妖夢「こらー! うちの庭に穴開けて行かないでくれないっ!?」


赤蛮奇「今度こそ一件落着?」

幽々子「そうね。一件はまもなく落着するわ――紫が無事に還って来たようだし」

940: 2014/09/28(日) 09:19:26.39 ID:0Qgt10aO0

――永遠亭――


鈴仙「……ぁ、あぅ……あっ……」




妹紅「燃え尽きたって顔で放心状態ね、彼女。……何かあったの?」

輝夜「永琳や、鈴仙は何を落ち込んでいるの?」

永琳「ああ、ちょっとてゐの悪戯で実験動物にされちゃってね」


ウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネ


永琳「このフラスコの中の寄生虫をお腹の中で養殖しちゃったのよ」

妹紅「これはこれは……蠱毒(こどく)にでも使えそうな蟲達ねぇ」

輝夜「てゐに持たせた薬の原料はこれだったか。月の兎の腹の中でここまで成長できたの? 興味深いわ」

永琳「そんなことより、上空を元気に飛び交っている小娘たちの様子はどうなの?」

輝夜「月に届くどころか、間もなく地におちよう。あるいは地底に堕ちるか、地獄に落ちるか」

妹紅「できれば鬼兄弟は幻想郷からお帰り頂きたいわね。あの大妖怪がその気になれば何とかできるでしょうに」

輝夜「確かに何とか出来るでしょうけど。それでも、本来あれらを片付けるべき者は別にいるのだから」

永琳「やるべき者がやり果せられる程度のことなら、其の儘やらせるべきか。ふふ、どうやら私の出る幕はないようね」

永琳「月の民が持つ内なる力に作用させる能力――折角だからお披露目しようかと思ってたのに」

941: 2014/09/28(日) 09:26:50.71 ID:0Qgt10aO0

――香霖堂(魔法の森の入口付近)――


霖之助「あのねぇ、君……今何時だと思ってるの」

霖之助「表の看板を見なかったかい? 営業時間外なんだよ」


ガザゴソガザゴソ


美樹「え~!」

美樹「だって鬼の手異変が解決したら即刻人間界に送り還されちゃいそうだもの。今のうちにお土産をゲットしたりガサ入れとかしておきたいし」

霖之助「鬼の手異変?」

霖之助(送り還すって、もしや外界の人間なのか? こんな時間に1人で魔法の森の近くでうろうろしているとは)

美樹「あ、命名権は私にあるから新聞の記事とかにするから使用料払ってね」

霖之助「新聞の話なら他でもっと適任な相手にしてくれないかな。それと、いきなりガサ入れって……」


ゴソゴソゴソゴソゴソゴソ


美樹「よっこらせっと――そんじゃ、お兄さん。この秘密道具の数々、ありがたく頂戴するわ」

美樹「お代は……んーと人里の阿求さんって人にツケ回しといて。私あの人と親友だから」

霖之助(見え透いた嘘っぽいが、人里に知り合いがいるのなら放っておいても安心だな)

霖之助「いいよいいよ、そんなことは。ほとんどの商品が拾いものだし、この店も半分は趣味でやっているようなものだから」

美樹「あらそうなの? お兄サマったら太っ腹~! 美樹ちゃんサービスしちゃうわ」

霖之助「何のサービスだい……いいから早くお引き取り願おう」

美樹「それではまた今度!」


ガラガラピシャッ


霖之助「やれやれ、騒々しい客だったな」

942: 2014/09/28(日) 09:33:22.65 ID:0Qgt10aO0

――魔法の森の一歩手前――


美樹「この辺でばらかすか」


ゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソ


美樹「何か、使えそうなもんないかなー。ぬ~べ~がパワーアップできそうな魔法の道具とか」

美樹「……、……思ってたよりあんまりいいの無さそうね。ガラクタっぽいのが多いし」


シュタッ


文「こんな所で何やってんですかー、そこのろくろ首さん」

美樹「ん、今度は誰?」

文「って、ちょっとは絶叫とかしてくださいよ。こんな真っ暗闇の中、得体の知れない妖怪に見咎められてるんですよ貴女」

美樹「でも怖くないし」

文「物腰柔らかに接するっていうのが私のモットーですからね」




\WRYYYYYYYYYYYYY――――――――ッ/

\日出處天子致書日沒處天子無恙云云――――――ッ/


ドォォォォォォォォォォォォォォン!!




美樹「! 今の地響きは何よ、結構近かったけど!?」

文「何って……貴女も状況は大方理解してるでしょ?」

943: 2014/09/28(日) 09:36:52.81 ID:0Qgt10aO0
ガシッ


美樹「え、ちょっと――!」

文「しっかり掴まっていてくださいよ~。振り落とされても補償はありませんので。高度をもう少し上げます」


ギュゥゥゥゥゥゥゥン


美樹「わっ! わっ! わっ!」

文「貴女はたぶん鵺野さんの生徒の細川美樹さんとやらですね」

文「さっき風の便りで、厳戒態勢の人里の警備網を掻い潜って脱走したグラマラスな小学生の話を小耳に挟みましてね」

美樹「ぬ~べ~のこと知ってんの? じゃ、私の安全は確保されたようね、一安心だわ」

文「せっかく幻想郷にお越しいただいたのですから、戦地に赴く新聞記者の体験でもさせてあげますよ。貴女は好奇心が強そうなので」

美樹「なな、ち、ちょっとぉー!? これ高さが高過ぎよ~!」




ビュ――――ン

944: 2014/09/28(日) 09:56:15.96 ID:0Qgt10aO0

――幻想郷(上空)――


ヒュォォォォォォォォォォ


霊夢「あのブンブン飛んでるのは蚊じゃなくて文ね」

ぬ~べ~「気のせいか……俺の生徒が約一名くっついているように見えるが……気のせいじゃなさそうだ。ハァー」

早苗「むしろ文さんがついていたら安心です。私たちは心おきなく妖怪退治に勤しみましょう」

ゆきめ「一度闘ったことのある鵺野先生や私は兎も角、あなたたち大丈夫? あの鬼が本気を出した時の強さは――」

《大丈夫大丈夫。力を合わせて斃すとしようじゃないか――我々だけではない、幻想郷の住人(みんな)の力をね》

霊夢「魔法の森の上空で暴れている天子と、人里の真上で今のところ足止めされている絶鬼」

早苗「まずはそのお2人ですね。ぎったんぎったんにしてあげましょう!」


ぬ~べ~「覇鬼と、さっきのメイドさんが言ってた悪魔の妹については《現状ではそこまで急いで片付ける必要はない》」

《吸血鬼の姉や“パワーアップ”した天邪鬼と一寸法師の末裔も覇鬼側を止めに入っているようだし、しばらくは持つだろう》

ゆきめ「いっそ三途の川で溺れさせちゃえばいいのよ。妖怪の山を越えたところに誘導しているんでしょ?」

早苗「でも、川の上を普通に飛ばれたら溺れて頂けませんよ」

ゆきめ「あ、そっか」

945: 2014/09/28(日) 10:01:36.98 ID:0Qgt10aO0
ぬ~べ~「三途の川を渡れば彼岸があって、その先には新しい地獄があるそうだな?」

霊夢「フランドールは館の主が連れ戻せば済む話だけど、覇鬼とかいうのは最終的にどうするのかが問題よね」

ぬ~べ~「そりゃ、俺が再度封印する他には――」

霊夢「いっそ、新地獄に追いやって閻魔達に面倒見てもらったらいいんじゃない? 萃香、あんたも鬼なんだから是非曲直庁のお役人と掛け合ってみてよ」

ゆきめ「ぜ……えー何て?」


《うーん、それはちょっと。というかさー、このまま事態を放置しておいたら勝手に向こうから刺客が来るんじゃないの》

《お迎えを担当する地獄の鬼神長(頃し屋)さんが危険分子を始末する為に。前に水鬼鬼神長が某千人を頃しに現れたこともあったしねぇ》


ぬ~べ~「水鬼……というともしや、平安時代の豪族・藤原千方(ふじわらのちかた)が従えていたといわれる四鬼のうちの一鬼のことか?」

霊夢「鳴介さんって本当にこっち方面は詳しいわね。寺子屋の先生なんかも十分勤まると思うわ」

ぬ~べ~「はは、そうかな? まあ、並の人間に比べりゃゾウケイが深いってやつでな」


ゆきめ「あの女ぁ……初対面のクセにっ! 鵺野先生のコトを下の名前で……馴れ馴れしいったら……!」

早苗「ゆきめさんだってそう呼んだらいいじゃないですか」

ゆきめ「う、いやその……だって……」


ビューン!!


文「ちょっとそこの討伐隊の皆さん、何暢気に談笑してるんですか。早く戦闘シーンを激写したいんですけど」

美樹「そうよぬ~べ~たち、さっさと参戦しなさいよ。こっちは実況と解説役ってことでスタンバってるのに」

946: 2014/09/28(日) 10:05:44.11 ID:0Qgt10aO0
霊夢「あんたらの方がよっぽど暢気そうだけど――ま、ご要望に答えてあげるとしますか」

美樹「あ、広達は無事よ。ついでに克也とかも勝手にこっちに来てたみたいだけど、一緒に人里で大人しく保護されてるわ」

ぬ~べ~「……そうかそうか、それは魔理沙とか言う子から聞いたがな。まったくお前ら全員後でお説教だぞ。迷惑を掛けた人達にも頭を下げに行かなくちゃな」

ぬ~べ~「美樹、お前はここで何を言ってもあまり意味は成さないだろうから……とにかく天狗のお嬢さんに迷惑を掛けないようにな」


美樹「!」

文「ご心配なく」


ゆきめ「あ、見てよアレ!」

早苗「! 要石が魔法の森方面からこちら側へ接近中ですね!」

ぬ~べ~「……」

《腕がなるねぇ》

霊夢「行くわよーっ!」


ギュ――――――――――――――――――ン!!!

947: 2014/09/28(日) 10:12:58.08 ID:0Qgt10aO0

――霧の湖の上空――




要石「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨」




絶鬼「ぐっ……」

天子「もう人型を解いちゃったの? だらしないわねぇ」

絶鬼「フン、相手がそこそこの手だれだったからね。『蚊虻牛羊を走らす』とはこのことだ」

天子「これこれ、そういう発言をするのは私のお役目よ?」

絶鬼「で、そっちはどうだったの? 結構ボロボロになってるようだけど」

天子「聖人はKOしたけど、仲間の道士や命蓮寺の妖怪僧たちの急襲に遭ったりしてね」

天子「一時退避の上、周りを見回したら貴方が危なそうだったから救いの手を差し伸べてあげた次第」

絶鬼「余計なお世話だ。ぼくが全力で行けば五月蠅いハエどもなど一瞬で消し飛んでいたさ」

天子「はたして余計なことなのかしら。仲間同士、持ちつ持たれつは基本じゃないの」

絶鬼「……仲間だと。形だけだろう――お互いに利用し合ってるだけだと」


天子「守るべきものがあり、徒党を組んで挑んでくる者達は実に勇ましい。それこそ氏に物狂いって感じで面白いわ」

絶鬼「……」

天子「絶鬼も思わない? あっさりと叩き潰しちゃうよりも、こういう風に一進一退、苦戦を強いられる闘いのほうが尚更面白いと」

絶鬼「全てを破壊し阿鼻叫喚の地獄絵図を現出すること――それこそがぼくにとっての最高の面白さだ」


天子「では聞くけれど――世界を滅ぼし尽くして全てを無に帰してからは、貴方はどうするつもり?」

絶鬼「え?」

天子「幻想郷だけではない。月の裏世界も、人間界も、地獄も、はては宇宙の果てまでも破壊し尽くした後――すべてがマッサラになり畢わった世界の墓場で」

天子「絶鬼は何をするつもりなの?」

絶鬼「何を……って」

948: 2014/09/28(日) 10:19:16.97 ID:0Qgt10aO0

――命蓮寺の屋根の上――


諏訪子「あーあ、あの2人合流しちゃったよ。全盛期の頃の神力を発揮できないのがもどかしい」

幽香「巫女達がようやく駆け付けたわね。私たちはここで高みの見物でもしましょうか」

聖白蓮「物理的な高さはこちらの方が断然低いですが」

神子?「ふぉふぉふぉ、不良天人に完膚無きに倒されてしまったぞい」
 
諏訪子「道教の手先がやられたか」

幽香「あのお方は私たち四天王の中でも最阿呆」

聖白蓮「天人くずれ如きを相手に後塵を拝するとは、宗教家の面汚しですわ」


ザッ


神子「いやいや、敗れてはおらぬ。第一我々はいつから何の四天王になったのだ」

神子「それとそこの古狸、私に化けて茶化すのはやめよ」


ポンポコッ


マミゾウ「しかし、何故手を引いたのじゃ? 一気呵成で行けば何とかなったであろうに」

神子「私の仕事はもう終わりだ。後は時の流れに任せておけば良いわ」

幽香「無責任ですわねぇ」

神子「そうでもない。私は常に、相手の全てを見通した上で行動している」

949: 2014/09/28(日) 10:23:27.50 ID:0Qgt10aO0
聖白蓮「では、彼らの本質を見抜いた上で、あえて天人と青鬼を再び面と向かわせたとでも?」

神子「ああ。ほんの少しであっても構わない――あの悪鬼の残忍で冷酷な本質(せいかく)にヒビを入れるような」

神子「そういう化学反応が起きることを期待しての所為なのだよ」

聖白蓮「……」

マミゾウ「道士の考えることは判らぬ。儂にゃ無意味だと思うがのう」


諏訪子「えーと、早苗に博麗の巫女にさっきの雪女の娘に……あともうひとり人間がいるね」

幽香「特殊能力を持った人間なのかしら? それにしましても今夜は夜通し白夜のように明るいものですねぇ」

諏訪子「でも、明るさは闇に包まれているからこそ明々と映えている。闇に喰われた暁には」

幽香「いいえ、明けない夜などございませんわ」



                                       (つづく)

950: 2014/09/28(日) 10:32:11.17 ID:0Qgt10aO0

<EXボス戦・自機組(対戦相手は流動的になる可能性あり)>


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【 VS比那名居天子&絶鬼 】


――博麗霊夢

○空を飛ぶ程度の能力/博麗の巫女としての能力/霊気を操る程度の能力


――鵺野鳴介(ぬ~べ~)&伊吹萃香

○霊能力を駆使する程度の能力(仮)/密と疎を操る程度の能力/鬼としての能力


――東風谷早苗

○奇跡を起こす程度の能力/守矢の風祝としての能力


――ゆきめ

○凍気を操る程度の能力(仮)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【 VS覇鬼&フランドール 】


――レミリア・スカーレット

●運命を操る程度の能力/吸血鬼としての能力


――封獣ぬえ

●正体を判らなくする程度の能力


――少名針妙丸

●打ち出の小槌を扱う程度の能力


――鬼人正邪
●何でもひっくり返す程度の能力


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


実況・解説:射命丸文×細川美樹

957: 2014/10/01(水) 21:24:51.25 ID:cXSQUHda0

――三途の川岸(此岸側)――


ザバザバッ


UMA「ォォォォオオオオォォォォオオオ」




覇鬼「変な生き物がいるうが!」

フラン「覇鬼お兄様、あれ捕まえてみて」



――


ぬえ「思ったより簡単に誘導で来たわね」

レミリア「子どもねぇ……一風変わった物を見つけると目がないんだから」

針妙丸「うーん……」

正邪「我々は手を出すべきなのか……かえって腫れ物に触らない方がいいような気がしてきた」

ぬえ「やめておけ、氏ぬぞ」

レミリア「ギャラリーはあっちで隠れて怯えながら見てなさい」

針妙丸「わ、私たちも闘いに来たのよ! 今の私ならかの一寸法師みたいに鬼退治が出来るはずだもの!」

正邪「強大である我々には出来ることなどいくらでもあるのだ!」

ぬえ「相変わらず天邪鬼だな」

正邪「これはホントなんだぞ! ホントはウソだけどウソ妖怪にウソでなくしてもらったからホントなんだ」

レミリア「あっそ。でも、もうこっちの勝ちは確定してるから――不可避弾幕(グンニグル)の投擲によってね」

958: 2014/10/01(水) 21:27:40.72 ID:cXSQUHda0
ドッボ~~~~~~~ン!!!!


覇鬼「あれ? 捕まえられなかった」


ゴポゴポゴポゴポ……


覇鬼「!? 体が沈むうがー!」

フラン「!? お兄様、元のおっきな姿に戻ったほうがいいわ! 川底に足がつけば大丈夫よ!」


ボンッ!!! ズズズズズズ……


覇鬼「底がないうがー!!」

フラン「ええー!?」


――


ぬえ「馬鹿か……三途の川は泳いで渡ろうとしたら沈むぞ」

レミリア「氏神はどうせサボってここにいないだろうし、渡りに船は期待できないわよ。悪鬼はそのまま溺れ氏ぬがいいわ」

針妙丸(飛べばいいんじゃないの……)

正邪(今攻撃すればいいんじゃ……)




覇鬼「うがうがっ!」


ゴポポポポッ


フラン「今……助けるわ!」


バシャンッ!!


フラン「わっ!? しまった……これは流れる水! おのれバカお姉様……図ったわね」

覇鬼「うがー!」


バシャバシャバシャバシャバシャ

959: 2014/10/01(水) 21:33:08.75 ID:cXSQUHda0
レミリア「ククク……紅魔館の主に逆らったらこうなるのよ」

ぬえ「拍子抜け過ぎる展開だわ」

針妙丸「正邪……私たちは折角力を得たと言うのに何も為さずにこのまま事態は解決……」

正邪「そんな弱気になってはいけません。流石にこんな簡単に終わるはずがありませんから」


ビュ――――ンッ!! ――がしっ!!


眠鬼「こんのバカ兄貴~!! なに三途の川で溺れてんのよ!!」

覇鬼「! 眠鬼!!」

レミリア「どれだけバカな妹なのよ! 何であんたまで大バカにつられて跳び込んでるの!!」

フラン「……、お姉様……」

眠鬼「本当に……久々に会えたと思ったら。何やってるのよ全く……!」

レミリア「私に……いらぬ心配をかけるんじゃないわよ、全く」

フラン「……」

覇鬼「眠鬼~~~~!!! 会いたかったぁ~~~~~~!!!!」


ギュゥゥゥゥ!!


眠鬼「ってこらー!? 引きずり込んじゃ駄目! 私まで溺れる!!」


パシッ グイグイグイッ!


眠鬼「えっ」

針妙丸「よーし、皆で赤鬼さん達を引き揚げようぞ!」

正邪「こんな奴らを助ける義理など皆無だが……!!」

眠鬼「お前たち、誰だか知らないが……手伝ってくれるというのか」

ぬえ「全く無縁なわけでもない。私たちは、この赤鬼の“遊び仲間”だからね」

針妙丸(あの青鬼は斃すべき相手だが……この赤鬼さんは、どうも憎めない。凄く怖いけれど)

正邪(――懐柔するんだ。力任せでバカで幼稚な者ほど扱い易い相手はいない! 私の本領を発揮してくれる!!)

960: 2014/10/01(水) 21:36:25.80 ID:cXSQUHda0
覇鬼「……」

ぬえ「一寸の虫にも五分の魂がある――って言っても判りづらいか」

ぬえ「貴方にとっては私たちは小さく弱き虫けらにしか見えないだろうが、虫けらにも虫けら並の意地があるし」

ぬえ「守りたいものだってあるんだ。助けたいものだってあるんだ。貴方にだってあるだろう、大切なものが」

覇鬼「……」

ぬえ「だから、これ以上壊さないでくれないか? 私たちの幻想郷(たいせつなもの)を」

覇鬼「………………………………………………うが」




ズズズズズズズズズズズズ……




眠鬼「って沈む~!!?」

針妙丸「私が分身して引っ張り上げるわ! 『七人の一寸法師』――!」

正邪「しかし分身しても力の大きさは同じなのでは!」

針妙丸「あ、そうか!」


ギコギコギコギコ


レミリア「あんたらまだ水難ごっこしてんの? それより、私まで虫ケラの仲間みたいな表現はしないでくれる?」

フラン「……」

氏神「船を出していますからこちらにご乗船ください。通常は六文を徴収しますが、今回は特例だそうなので無料で送迎します」

961: 2014/10/01(水) 21:40:39.61 ID:cXSQUHda0

――三途の川(彼岸)――


レミリア「あの氏神、とうとう解雇されちゃったのね。あんたが新任の担当者?」

氏神「いえいえ、日雇いの者です。まだ仕事が残っていますので私はこれで」


スゥ――


レミリア(わざわざ彼岸(こっち)に渡らせたのは、閻魔の指示によるものかしら)

フラン「お姉様、ええっと……」


ギュッ


フラン「――!」

レミリア「ちょっと、過保護だったのかも知れないわね。でも、これだけは勘違いしないで欲しい」

レミリア「未だ世間を知らず手加減を知らないあんたを自由に外に出したら、本格的な駆逐対象になるんじゃないかって心配だった」

レミリア「心配だからこそ、大切な存在だからこそ、大事に大事に扱おうとしていたわけよ。箱入り娘みたいにね」

フラン「……レミリアお姉様」

レミリア「ま、確かにたまに存在自体を忘れちゃったりすることもあるし」

レミリア「相手をするのが面倒だからパチェに任せっきりにしていた部分もあるけれど」

フラン「むー、お姉様やっぱきらーい」


レミリア「血を分け合った妹のことが嫌いな姉なんて――いるわけないでしょ」


レミリア「それに、あんただって。本気で私のことがキライで頃しにかかってたら、“目”という名の急所を潰していたでしょ?」

フラン「……」

レミリア「もうじき夜も明けるわ。一緒におうちに帰りましょ――私の愛しのフランドール」

フラン「……うん」

962: 2014/10/01(水) 21:44:57.15 ID:cXSQUHda0
ぬえ(あっち側はもう大丈夫かな。となると問題は……)


覇鬼「……。助かったうが」

眠鬼「だからー……飛べば良かったのよ飛べば」

正邪「お前、先刻そちらさんを兄貴だと呼んでいたが」

眠鬼「あーうん、私は覇鬼お兄ちゃんの妹で、眠鬼って言ってさ――」


ギリギリギリギリ!!


覇鬼「眠鬼ぃぃぃいいい!!!!」

眠鬼「ぎゃーもういいからこれはー!!!」

正邪「……鬼は身内に対しても容赦ないのか」

針妙丸「ちょっと貴方たち、たぶん、もうひとりを含めてみんなきょうだい関係なのよね? あの――」


ザッ


映姫「まあ、急(せ)く気持ちも判らないことはありませんが。ここまで来たのですから少し私の話を聞いて行きなさい」


フラン「あれは誰?」

レミリア「出たわね。お説教の好きな閻魔様とやらよ。元はお地蔵さんなんだっけ」

覇鬼「あれは誰だうが?」

眠鬼「聞いてなかったの……? お説教好きな閻魔様よ……散々扱き使われたわ」


コォォォォォォォォォォ


覇鬼「!?」

正邪「何やら手鏡のようなものをかざしたぞ?」

針妙丸「鏡の中に映しだされた何かが……川面に投影されてゆく」

眠鬼「これは何なの? ……いや、何なん……で、すか……ッ」


映姫「口で何と言おうとあまり意味がないと思いましてね。浄玻璃の鏡といいます。本来は裁判用の道具のひとつなのですが」

映姫「――貴方の過去の所業が全て映し出されます。貴方は自分の行いを客観的に見る必要がある」


覇鬼「きゃっかんてき、うが?」


映姫「まあ、私も暇ではないので――ダイジェスト版になりますが」

963: 2014/10/01(水) 21:50:31.66 ID:cXSQUHda0

========================================
覇鬼「うがー」

ブチブチブチ

絶鬼「兄さーん、まだ人形(ニンゲン)で遊んでるの? ほら、こっちに新しい玩具があるよ」

覇鬼「うが?」

スタスタ――バキィグシャ!! ズシ――――ン!!

絶鬼「あははは! 落とし穴だよ、ひっかかったひっかかった~!」

ドゴォッ!!

絶鬼「ぐへぁッ!!?」

眠鬼「あははは! お兄ちゃん達大好き~!!」
========================================


フラン「わぁ。3人とも楽しそう」

針妙丸「た、沢山の人間達が……餌食に……」

覇鬼「……」

眠鬼「ちょっとー!? 何で私や絶鬼お兄ちゃんまで映ってるの!? ていうか止めてよ恥ずかしい!!」

レミリア「下手な盗撮より余程使えるわね、この手鏡」

映姫「鬼に限らず、ありとあらゆる生き物には多様な側面がある」

964: 2014/10/01(水) 21:56:12.75 ID:cXSQUHda0

========================================
覇鬼「いただきまーす」

美奈子「あああっ……!」

――

覇鬼「ニワトリうまいうが……ガツガツ」

ぬ~べ~「この子は取り憑かれている……早く除霊しないと」

――

ぬ~べ~「くっ……左手が……。ダメだ……俺の力では……この鬼を封じることなど……」

覇鬼「うっ……グアアアア!」

美奈子「私のかつての教え子で霊能力教師になった鵺野くん! 魂になった私の残留意志が内側からこの鬼の力を抑えているわ」

美奈子「私もろとも、この鬼を封印するのよ――さあ、早く!!」

ぬ~べ~「嘘だ……こんなこと……」

美奈子「あなたは教師なのよ!」

ぬ~べ~「くっ! 南無大慈大悲救苦救難!!白衣観世音の力によりて 我が左手に……鬼を……封じたまえ!!」

ぬ~べ~「美奈子先生……いつか必ず……あなたの魂を鬼から救ってみせます……

ぬ~べ~「その日まで…俺は子供達を悪霊から守ります…あなたの魂の宿った、この…鬼の手で!!」
========================================


ぬえ「なるほどね……」

正邪「あの人間は……こんな経験をしていたのか……」

フラン「?」

レミリア「何勝手に納得してるの。誰よこのゲジ眉のおっさんたちは?」

覇鬼「……」

眠鬼「……お兄ちゃんのバカ!!」


眠鬼「何で鬼がちまちまニワトリを食べてるのよ!」

映姫「突っ込みどころはそこじゃないでしょう?」

965: 2014/10/01(水) 22:04:12.98 ID:cXSQUHda0
針妙丸「何で……? 何でこんな悪いことをしたの!」

眠鬼「ちょっと、これが悪いことだって言うの? あんただって何か食べて生きてるでしょ?」

眠鬼「例えばあんたがご飯を食べるとしてよ、お椀被ってるし。あんたがご飯を食べることと、お兄ちゃんがごはん(ニンゲン)を食べるのと」

眠鬼「何か違う? 文句言えるの?」

針妙丸「そ、それは……」

映姫「違わないかもしれないわね。でももし貴女のお兄さんが万が一、何者かに食べられたとしたら、貴女はいてもたってもいられないわよね」

眠鬼「そ、そりゃ……だって」

映姫「この過去の映像に出てきた人間が、恩師を鬼に喰われたことを知って感じた怒り憎しみ悲しみ――それらの感情は、貴女にとって全く理解できないことではないでしょ」

眠鬼「……」

映姫「貴方にだって、それは同じはずよ。大事な妹さんが誰かに喰われたりしたらどう思うのか」

覇鬼「……」

映姫「大切な存在を傷つけられたときの気持ちは、鬼であっても人間であっても変わらないと思うわ」

映姫「少なくとも、貴方たちにはわかって欲しいわね。私の言いたいことが、判るかしら?」

覇鬼「……、……たぶんわかる」

966: 2014/10/01(水) 22:06:44.05 ID:cXSQUHda0
========================================
ぬ~べ~「南無大慈大悲救苦救難!!」

ぬ~べ~「我が左手に封ぜられし鬼よ! 今こそその力を――示せッ!!!」

スパァァァン!!

哀妖「こ、こしゃくな……ギャアアア!!」

――

玉藻「だが勘違いするな! これは助太刀ではない!」

ぬ~べ~「……玉藻」

ブシャアアア!!

霊霧魚「ギョォォォオオオオオ!!?」

――

ぬ~べ~「本当の仲間ってものはお互いの欠点を補いながら成長していくものさ」

ぬ~べ~「そして、克也。お前にはそういう仲間がたくさんいる」

克也「……ぬ~べ~先生」

――

ぬ~べ~「リツコ先生~これを見てくださいよ~!」

リツコ「キャ―――ッ!!?」

ボカッ!

――

ゆきめ「ふふ……あったかいのね。溶けてしまいそう」

CHU!

――

琴美「ありがとう……とても楽しかった……少しの間の命でも」

ぬ~べ~「俺は……生きるぞ」

967: 2014/10/01(水) 22:09:31.71 ID:cXSQUHda0
――

ぬ~べ~「鬼の手で精神を五十年前に戻し幽体離脱させた」

ぬ~べ~「幽体は精神の年齢だし春子ちゃんにも触れることが出来る」

座敷童子「おかあちゃん おかあちゃん 幸せだあ・・・・・・」

――

ぬ~べ~「人間、バカになって人を救え」

――

ぬ~べ~「俺の生徒に手を出すやつは許さない!」

ぬ~べ~「地獄へ――帰れッ」


絶鬼「これが……人間の力……愛する者を守る力……愛の力……、……ぼくは」

絶鬼「ぼくは……触れてはいけないものに触れて……しまったのか……」

絶鬼「何て……あったかい」


――

華扇「ッ……いやぁぁ! ダメっ……やめて……!!」

ぬ~べ~「く……ぅ……」

華扇「……はぁ……はぁ」
========================================

968: 2014/10/01(水) 22:18:09.14 ID:cXSQUHda0
覇鬼「……」

針妙丸「うぅ…………ちょっぴり感動……しちゃった……」

正邪「そうですね。最後のがなければ」

フラン「最後のピンクの淫乱な女は誰?」

レミリア「ただの淫乱女よ」

ぬえ「……このシーンはどういう基準でお選びになって?」


映姫「特段の規則性はありませんが――貴女のお兄さんがこれまでに経験してきたことに違いはありません」

映姫「封印されていた間で、果たして記憶に残っているのかは判り兼ねますが」

眠鬼「……封印なんてされたお兄ちゃんの方が」

映姫「ほうが何です? 可哀想だとでもいうのですか? 先に原因を作ったのはどちらですか? 因果応報という言葉を知っていますか?」

眠鬼「う、それは……」


レミリア(子どもが相手だとお説教もそこそこ効くわね。どちらが悪いかなんて実のところ誰の視点によるかで変わっちゃうけど)

レミリア(自分の判断基準をもってはっきりと白黒つけられると、思考がまだ未熟な相手にはそれが正しいと思い込ませることは容易い)


映姫「貴方の強大な力は、ただ破壊するためだけに使えるわけじゃないのです」

映姫「誰かを助ける為に――人間も妖怪も幽霊であっても、彼は救いの手を差し伸べてきたのです」

映姫「貴方にとっては、封印された上での扱いであり、不本意だったかも知れませんが」

映姫「人間の嘆きや哀しみ――」


覇鬼「うが」


ヒョイッ


針妙丸「ひゃ!?」

覇鬼「俺の中に、さっきの女がいる。絶鬼がそいつの力を抑え込んでいる」

覇鬼「お前が、針で絶鬼のバラを切って、女を解放するうが」

針妙丸「え、え、え!!? 私が!? 何で!? どうしてそんな――」


ごっくん!

969: 2014/10/01(水) 22:26:01.98 ID:cXSQUHda0
正邪「あ、針妙丸様ーっ!」

眠鬼「お、お兄ちゃん!? ちょっと待ってよ! 女を解放するって……まさか……!!」

覇鬼「人間を食べるのは――やめる」

覇鬼「これからは、酒をたっくさんのむんだうが―――――――っ!!!!」

眠鬼「ええー!?」

ぬえ(こいつやはり単純だったか……)

フラン「覇鬼お兄様……」

眠鬼「!? 何アンタ! うちのお兄ちゃんを気安くお兄サマなんて呼ばないでよ!!」




<ブチィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ>




スゥ――……




美奈子「あっ……あっ……、……あ。助かった、のね……」

覇鬼「ペッ」


ドサッ


針妙丸「う、あああ……切ることはできたけど……唾液とかで体中ベトベト……」

正邪「や、やりましたね針妙丸様! 微妙な形ですが貴女は鬼を退治したのです!!」

レミリア「むしろ全身体液塗れで鬼に“喰われた”みたいにみえるけどね」


コォォォォォォォ


針妙丸「へ?」

覇鬼「お前は少し傷ついている。俺が……治してやる」

針妙丸「あ、えっと……どうも」

美奈子「……」


覇鬼「お前らを全員頃したら、遊び相手が眠鬼と絶鬼だけになる」

眠鬼「別にそれでも……。んっと……ううん、お兄ちゃんが……そういうのなら……」

覇鬼「ここには面白いヤツがいっぱいだ。もっともっと遊びたい。だからこれ以上壊さない」

レミリア「そう。遊ぶだけなら大歓迎よ――あんたたち、面白いわ」

フラン「……」

ぬえ「……」

針妙丸「……」

正邪「……」

970: 2014/10/01(水) 22:29:59.08 ID:cXSQUHda0
覇鬼「俺を封じた人間よ」

美奈子「……」

覇鬼「お前たちも……特別にだ。本当に特別うが。許してやるうが」

美奈子「……覇鬼」

覇鬼「鬱陶しいお前とは――これでさよならだ」

眠鬼「お兄ちゃ~ん!!」


ギュゥッ


眠鬼「詳しいことはサッパリだけど、再会できてホントによかったっ!!」




ヒソヒソ


正邪「もしや……私たちを騙しているとか……」

ぬえ「この赤鬼がお前のような二枚舌を操れると思うの?」

針妙丸「正邪じゃあるまいし……そんなことはないと思うわ」

フラン「まったく、人騒がせな連中だわ」

レミリア「あんたが言うか」


映姫「そもそも生前の悪行というものは――」


フラン「あ、まだお説教してたんだ」

レミリア「まあ、結果的に閻魔の話も少しは効果が有ったのかもしれないわね。フフフ」


レミリア「我々の勝利だ! これにて一件落着よ」





            (最終話:百鬼夜行――そして境界線の向こう側への巻<前編>・終 )

971: 2014/10/01(水) 22:37:39.11 ID:cXSQUHda0
ちょっとあっさりし過ぎだと言われそうですか……

次は土曜か日曜になりそうです。次のスレに行きそうなんですがタイトルはそのままでいいのでしょうか?

それではまた

976: 2014/10/02(木) 00:22:28.52 ID:HuoG9zYLo
乙です

980: 2014/10/05(日) 15:38:42.68 ID:zbSeXEhb0
それでは再開します。<中編>はキリがいいので新スレを建ててから投下を始めます


とりあえず、このスレの残りの部分で寄生虫関連の補足的な話を投下していきます(10レスくらい)

981: 2014/10/05(日) 15:47:58.76 ID:zbSeXEhb0
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


>>433以後、輝夜不在の永遠亭


――永遠亭――


寄生虫「ウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネ」


永琳「なかなかの成長速度ね。いいサンプルが取れたわ」

鈴仙「うわあ……キモチワルイ。これ、何の蟲なんでしょう?」

永琳「寄生虫の一種だと思うけど。詳しく組織を調べてみるわ、いい原料になるかも」

永琳「永遠亭(ここ)にも時間が流れるようになって以来、人里からの往来も絶えないから」

鈴仙「人間がこれを持ち運んでいて、落として行ったのかも……ということで?」

永琳「あるいは他の妖怪が、かな。ほら前に毒人形が妖蟲の話をしていたでしょ?」

鈴仙「ああ、そういえば。妖蟲の飼っている蟲が何かの拍子に逃げ出してきたのかも」


寄生虫「プチップチップチップチップチップチップチップチップチップチップチップチッ」


鈴仙「お師匠様、大型フラスコの中で……大量に産卵して……孵化して……。大丈夫なんですか……早く焼き払いでもしたほうが」

永琳「ただのフラスコじゃないから中から逃げ出すことなんて不可能よ」

982: 2014/10/05(日) 15:50:33.64 ID:zbSeXEhb0
てゐ「ひぃ……ひぃ……。氏ぬかと思った……」


鈴仙「道端に落ちていた団子なんか食べるから寄生(おか)されたりするのよ。気をつけなさい」

永琳「食い意地が張っているわねぇ。ニンジンしか食べないんじゃなかったの?」


てゐ「私が鈴仙みたいに地べたに堕ちたものを拾い食いするわけないわよ、お師匠様」


鈴仙「私も食べないわよ! 食べるわけないでしょ、地上に放られたものなど汚らわしい」

永琳「てゐ、じゃあどうして腹の中まで入られたの?」


てゐ「ニンジンを仕入れて持ち帰る途中に竹林(うちのしきち)でその団子を見つけて」

てゐ「何かと思って持ち上げたらウジみたいなのが沸いていて……」

てゐ「気味悪かったから掃き溜め(地底に繋がる小さな穴)に捨てていったのよ……なのに」


鈴仙「ああ、きっとその時ニンジンに蟲の一部が付着してきたわけね。生で食べたりするからよ」

永琳「そのまま原物ごと持って帰ってくれても良かったのにね」

983: 2014/10/05(日) 15:52:55.42 ID:zbSeXEhb0
てゐ「何で私のような可愛い兎ちゃんがこんな可哀想な目に……こういうのは普通鈴仙の役目でしょ……」


鈴仙「まったく、日頃の行いが悪いからじゃないの? これをいいクスリだと思って今後は――」

永琳「でも、確かにこういう役回りは鈴仙の方が向いているかも知れないわね」


寄生虫「ウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネ」


永琳「月兎の体内でも増殖できるかどうか試してみようかな」

鈴仙「え……辞めてくださいよ、お師匠様。そんな冗談は」

永琳「ウドンゲっていうのはね、例の伝説の花のことを指すだけじゃなくて」

永琳「他の生物体に産み付けられた昆虫の卵塊のことを意味する場合もあるのよ?」


ガシィ


てゐ「さあさ、鈴仙(実験動物)を捕えましたよー」

鈴仙「もう、てゐもやめなさいよ。本当に懲りないわね。お師匠様ももっと注意して――」

984: 2014/10/05(日) 15:55:55.17 ID:zbSeXEhb0
ゴソゴソ


永琳「口から入れるのは抵抗があるでしょうから、座薬の中に幼虫を入れておくわね」

鈴仙「え」

てゐ「いやいや、ダメですよお師匠様。鈴仙にはムシカンのシュミがあるの。だからそのまま挿れてあげた方が本人も喜ぶわ」

永琳「あら、そうなの? 知らなかった。それじゃあそのまま入れるわね、下の口から」

鈴仙「え」


グルグルギチギチ……ギュッ


てゐ「念のため、お師匠様所有の拘束具で逃げられないようにしました」

鈴仙「ちょっとてゐ(アンタ)いい加減にしなさい!」

永琳「大丈夫よ。何かあったら私がちゃんと助けてあげるから」

鈴仙「……あの、これ冗談なんですよね? 本気じゃ……ないんですよね?」


寄生虫「ピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチ」

985: 2014/10/05(日) 15:57:48.85 ID:zbSeXEhb0
永琳「最近の鈴仙って少し調子に乗ってるし、元気よさそうなのにしようかな」

てゐ「一匹だけでは心許ない。二、三〇匹は挿入したほうがいいんじゃないかしら」


鈴仙「こ、こういう実験って……安易にやったら、ほらその……パンデミックの原因とかになるかも!」

鈴仙「止めた方がいいんじゃないんですかっ……!」


てゐ「心配いらないよ。だって、この部屋を完全封鎖すればいいだけのことよね、お師匠様」

永琳「そうね。ちなみに他の兎達は?」

てゐ「ご安心を、もともと外で待機するよう命令してあります。屋内には入ってきませんので」

永琳「そう、なら大丈夫ね。さてと――では早速」

てゐ「はい、脱ぎ脱ぎしましょうねー」


寄生虫「わさわさわさわさわさわさわざわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさ」


鈴仙「いやぁぁあああ――――――――――――っ!!!!」




【地底に捨てられた寄生虫入り団子の行方→>>744】

986: 2014/10/05(日) 16:01:40.22 ID:zbSeXEhb0

――(それからしばらく後)




【>>784以後、竹林の消火活動を終えて永遠亭に戻った輝夜と、ついてきた妹紅】




輝夜「永琳は生体実験中で籠ってるって?」

てゐ「ええ、そうなのよ。鈴仙はそのお手伝いで手が離せない状況でね」

妹紅「悠長なことをやってるのねぇ。人里も竹林も戦禍を被って大変だって言うのに」

てゐ「ほう、戦禍が。ということはもしや、負傷者とかも発生していたり?」

てゐ「薬の需要が急速に高まっているのね?」

妹紅「私たちはともかく、人里の人間たちの中には怪我人も出ているかも……」

987: 2014/10/05(日) 16:04:03.50 ID:zbSeXEhb0
輝夜「人里ならまだいいでしょ。町医者くらい一応いるんじゃないの?」

輝夜「あの鬼共の横暴を野放しにするほど、博麗の巫女は鈍感ではないはず」

輝夜「もしや、既に一戦交えて深手を負ったのやも知れぬ」

妹紅「確かに。他所から闖入した鬼共ならば、外界とのつながりが深い博麗神社を経由して来た可能性は高いだろうし」

輝夜「そういうわけだから、てゐよ。即効性のある良薬を携えて博麗神社へ――」


てゐ「承知しました姫様。お師匠様が先程お作りになられた良いクスリを届けてくるわ」


ぴょーんぴょーんぴょーんぴょーん

988: 2014/10/05(日) 16:14:33.68 ID:zbSeXEhb0
妹紅「何のクスリを持っていくつもりなのかしら」

輝夜「さあ。永琳が用意したのなら大丈夫でしょう。人間用と妖怪用を取り違えたりしなければ」

妹紅「ええ、そうよね。でも何だかなぁ……変な悪戯しなきゃいいけど」


\ぅううん……んっ……あっ……あっああん!/


輝夜「奥の間から何やら動物の鳴き声が洩れ聞こえてくるわね」

妹紅(いったい何がどんな生体実験を受けているのかしら)



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」【最終話】

引用: ぬ~べ~「幻想郷か……厄介なところに引きずり込まれてしまったものだ」