254: 2015/06/17(水) 22:08:27.40 ID:h1Ua8T3B0


【Fate】言峰「聖壺戦争」【前編】

士郎「おい何でキャスターがアーチャーにダメージ与えてるんだよチートは犯罪だぞ!チート使う奴は国家戦力を舐めすぎお前の家の住所ぐらいはすぐにばれる」

セイバー「士郎、キャスターの宝具は、サーヴァント自身が防ぐことはできないのですよ。例え黄金の鉄の塊で出来ているナイトであっても、です」

桜「防ぐことができない…けど回避はできるんですよね?」

凛「…この際だからバラしちゃうけど、キャスターの宝具はどんな手段を用いても『防御』は無意味なの。ダメージを軽減することはできない。その代わり一発で致命傷になることもないけどね」

凛「桜の言うとおり、回避に専念しておけば問題は無いわ。ただ…」

セイバー「この状況で…アーチャーが攻撃を回避し続ける事は難しいでしょうね」


壺セイバー「オイイイイイイイイ…!」ヨロッ

壺ランサー「…アアアアアア…アア…」ムクッ


壺アーチャー「…ちっ。もう少し寝ていてくれ…」

壺ライダー「オオオオオオオオオオオオオン!」バシュッ

壺アーチャー「よっ…!」サッ

壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアア!」シュン

壺アーチャー「…!」スッ
#01 冬の日、運命の夜
255: 2015/06/17(水) 22:10:06.10 ID:h1Ua8T3B0
セイバー「掠った…!アーチャーの動きをよく観察している…?」

凛「…やっぱりただの狂化じゃないわ、アレ。だんだん動きが精錬されてるもの」

士郎「狂化なら宝具使えないという時点でアレが狂化でないのは証明されたな。俺が思うにただ気がひゅんひゅん行ってるだけではないか?」

桜「このまま連携を組んでアーチャーを襲ってきたら…さすがに厳しいんじゃないでしょうか?」



壺セイバー「オイイイイイイイイ!」バッ

壺ランサー「アアアアアアアアアアアアアアア!」ガッ

壺アーチャー「おっと…!」ガシッ


セイバーとランサーは二人同時にアーチャーに斬りかかった

アーチャーは2体の攻撃を同時に、それぞれ片手で武器の持ち手を抑えこむことによって対応した

256: 2015/06/17(水) 22:10:57.41 ID:h1Ua8T3B0
壺セイバー「オイイイイイイイイ…!」ググッ

壺ランサー「アアアアアアアアアア…!」ガッガッ

壺アーチャー「流石に…近接特化の2クラス相手に力比べは…ちょっとしんどいね」グググッ


壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアア!」シュッ

壺アーチャー「おっと…後ろにもちゃんと気を配ってるよ」サッ


セイバー「――!?違う!本命は前です!」


背後からのキャスターの攻撃を危なげなく躱したアーチャーであったが

その隙を付き、ライダーとセイバーは手を振りほどいた

2体のサーヴァントはそのままアーチャーに攻撃を仕掛けるわけでもなく、左右に散らばった


その間から姿を表したのは、ワゴンカートに乗り猛スピードで突進してくるライダーであった

257: 2015/06/17(水) 22:11:49.76 ID:h1Ua8T3B0
壺アーチャー「…!」


先ほどまで2体の騎士を抑えこんでいたこともあり、さすがのアーチャーも反応しきれず

ライダーの攻撃によって宙に大きく跳ね飛ばされた


壺アーチャー「やるね…並大抵のキャッチャーでは吹き飛ばされてしまうだろう」


しかし、その攻撃ですらアーチャーに深傷を負わせることはできなかった

アーチャーは冷静に空中で体勢を立て直し、着地に備えた


壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアアアア!」


壺アーチャー「何…っ!?」


――しかし、その落下予想地点に向けて、既にキャスターの宝具が数発放たれていた


壺アーチャー「…っ」シュウウウ

258: 2015/06/17(水) 22:12:48.74 ID:h1Ua8T3B0
桜「攻撃が…当たっちゃいました…」

凛「なんてえげつない連携してるのあいつら…チームワーク抜群じゃない」

桜「このままだと…アーチャーまで…」

士郎「ネガはやめておけといっているサル。あまりストレス貯めると病院で栄養食を食べる事になるぞ」

桜「…なんで先輩はそんなに呑気なんですか!今の状況わかってるんですか!?リアルで痛い目見たいんですか!?」

セイバー「桜、落ち着いて。…彼のクラスを思い出してみてください」

桜「クラス…?アーチャーはアーチャーじゃ… あっ」

セイバー「そう。彼は『弓兵』、つまり弓矢ではないにしても、飛び道具を駆使して戦うクラスです」

セイバー「彼は今、敵の力量を見極めるために、自分の能力が制限されるのを承知の上であえて相手の得意な間合いで勝負を挑んでいるのでしょう」

セイバー「…本領を発揮した彼の実力は、まだまだこの程度では無い筈です」

259: 2015/06/17(水) 22:13:57.93 ID:h1Ua8T3B0
以上です

263: 2015/06/20(土) 02:26:17.75 ID:xITDW4nS0
壺セイバー「オイイイイイイ…!」

壺ランサー「アアアアアアアアア…!」


セイバーとランサーは傷を負い動きを止めたアーチャーに対し同時攻撃を仕掛けた

2体の攻撃がアーチャーに命中しようかというその瞬間

2体のサーヴァントは遥か後方に吹き飛ばされた


桜「え…?何が…?」

セイバー「あれは…鉄球…いえ、ただの…革の球、ですか?」


アーチャーは2体に対してボールを放ち迎撃していた

その速度、威力は凄まじく、攻撃を喰らった2体のサーヴァントが吹き飛ぶ様は

傍から見ているだけでは球を視認できず

まるでサイコキネシスでも起こしたかのように錯覚するであろう

264: 2015/06/20(土) 02:27:00.44 ID:xITDW4nS0
壺アーチャー「君たちの実力は…予想以上だったよ」

壺アーチャー「実に楽しい戦いだった。だからこそ…とても惜しい」


壺アーチャー「万全の状態の君たちと対戦できないのは、ね」


アーチャーの全身は溢れんばかりの闘気を纏っており

大気は震え、球を握る右手には力と魔力が込められている


壺アーチャー「だから、君たちには少し眠っていてもらう。目が覚めた時には正気に戻っていると思うよ」

壺アーチャー「まぁ、ショック療法みたいなものだと思えばいいさ。多少荒療治になるけど、しょうがないだろ?」


壺アーチャー「かなり威力は抑えるつもりだけど…この一撃で沈まないでくれよ」

265: 2015/06/20(土) 02:27:48.14 ID:xITDW4nS0
セイバー「あの魔力…おそらく宝具を使うつもりですね」

凛「え?ここで?…マズイんじゃない?私達巻き込まれない?」

セイバー「闘技場のフィールド効果があるので私達は大丈夫でしょう。…問題はサーヴァントの方です」


壺アーチャー「――行くぞ。メジャーリーガーの真髄、篤と味わうがいい」


アーチャーはそう言うと、遥か上空へと跳躍した

その高度は、ランサーのそれをも凌いでいた

アーチャーは上空で大きく腕を振りかぶり、地上へ向けて投球した

放たれた硬球は激しく発光し、轟音は軌道の後から付いてきた

それはさながら彗星の顕現だった


――メジャーリーガーとして、その強肩で何人もの走者を仕留めた逸話から生まれた

アーチャーの代名詞とも言える宝具

そのあまりの早さと精密さにより、授けられた名は『レーザービーム』


アーチャーが絶対の信頼を置く宝具が、闘技場を焼き尽くそうとしていた

271: 2015/06/20(土) 20:20:29.56 ID:xITDW4nS0
~~~~

言峰「これは…想像以上だな」

壺アサシン「アーチャーのことでちゅか?」スッ

言峰「戻ってきたか、アサシン。…その通りだ。まさか向こうから乱闘に参加しに来るとは。流石に予想外だった」

壺アサシン「案外普通に誘ったら素直に付いてきてくれたかもしれまちぇんね。しかしちょっと目を話した隙に面白いことになってまちゅ」

言峰「バーサーカーの存在は我々にとっては僥倖だったな。心置きなくサーヴァントに暴れてもらうことができる」

壺アサシン「けど今はアーチャー対他のサーヴァント全員になってまちゅわ。一方的な戦いになるんではないかちら?」

言峰「そうでもないぞ。よく見てみろ」

壺アサシン「…うわぁ、こいつはとんだチートキャラでちゅね」

言峰「ある程度は想定していた結果ではあるが…ここまで実力に差があっては困るな。調整が必要だ」

言峰「とは言え、キャスターの意外な活躍もあり…この勝負は拮抗状態と言った感じだな」

壺アサシン「…どこが拮抗状態でちゅか。アーチャー、宝具を使おうとしてまちゅよ」

272: 2015/06/20(土) 20:23:31.25 ID:xITDW4nS0
言峰「…!?サーバーへの負荷が異常な数値まで跳ね上がっている。これは…アーチャーの影響か?このままではサーバーが吹き飛びかねん」

壺アサシン「早いところ対策しておいたほうがいいんじゃないでちゅか?テストプレイの段階まで来てデータロストなんて笑えまちぇんよ」

言峰「くっ…。仕方あるまい、緊急メンテナンスだ。一時的に闘技場以外の全てのフィールドギミックを解除。それらを構成していた魔力を闘技場周辺に集結」カタカタ

言峰「魔力全てを使い闘技場周辺に結界を同心円状に設置。アーチャーの宝具の威力と範囲を出来るだけ抑えこむ」

壺アサシン「あ、アーチャーが宝具を使いそうでちゅわ」

言峰「…さて、どうなる」

273: 2015/06/20(土) 20:24:07.40 ID:xITDW4nS0
~~~~

アーチャーの宝具による激しい発光によって

マスターたちは一時的に視界を奪われていた

轟音と衝撃が辺りを包み、やがて静寂に包まれた時

彼らは視力を取り戻した


凛「は、はははは…」

桜「そんな…!」

セイバー「確かに、闘技場のフィールド効果により私達は無事のようです。ですが…」

士郎「…闘技場がそこにいたのにいなかったという表情になる」


先ほどまで自分たちが見ていた風景はそこにはなかった

アーチャーの宝具は全てを吹き飛ばし

見渡す限り一面、闘技場の跡地は荒れ果てた広野と化していた

274: 2015/06/20(土) 20:25:51.75 ID:xITDW4nS0
桜「…!?ライダー!ライダーは無事!?」

壺アーチャー「心配はいらないさ」

セイバー「…!アーチャー!」

壺アーチャー「自分たちのサーヴァントを信じてあげなよ。彼らはそんなにやわじゃない。戦ってみてそれは確信できた」

壺アーチャー「ただ…しばらくは安静にしたほうがいいだろうね」

凛「…!?」


壺セイバー「……ォ…ォィィ…」

壺ランサー「ぅ………」

壺ライダー「オ………ン…」

壺キャスター「………」グッタリ


セイバー「ランサー!くっ…ひどい傷だ」

士郎「セイバー!お前マスターの許可も取らず倒れるとかまじぶっころしょ?早く目を覚ましテ!」

凛「…よかった、致命傷ではないみたい。意識を失ってるだけのようね」

桜「助かった、終わったかと思いましたよ」

275: 2015/06/20(土) 20:29:35.71 ID:xITDW4nS0
壺アーチャー「言ったとおりだろう?彼らはやわじゃないって。まぁ威力も抑えたし、直撃もさせなかったからね」

壺アーチャー「尤も、バーサーカーくらいは仕留められたと思ったんだけどな」

アーチャー「…」

壺バーサーカー「…」


そう言うとアーチャーは、バーサーカーの方に視線を向けた

その目には明確な敵意が宿っていた


壺アーチャー「成程、マスターの影に隠れていたのか。ここではマスターは攻撃の影響を受けないらしいからね」

壺アーチャー「…ここから東にしばらく行ったところに、癒しの湖と呼ばれるフィールドがある。おそらくそこのギミックは治癒能力の向上だ。君たちはそこでサーヴァント達をゆっくり休めてやるといい」


セイバー「…私達を見逃すというのですか」

壺アーチャー「当然さ。君たちとはもっとちゃんとした形で決着を付けたい。傷が完治するまで決着はお預けだ」

壺アーチャー「――バーサーカー、君達以外はな」


アーチャー「…ほう」


壺アーチャー「君達の実力の底は知れた。結局は自分で戦う力を持たない寄生虫のようなサーヴァントだ。君達に期待することはもう何もない」

壺アーチャー「ここで終わらせてもらうよ、バーサーカー」

276: 2015/06/20(土) 20:30:44.98 ID:xITDW4nS0
桜「…セイバーさん、行きましょう。私達がここにいてもしょうがないです」

セイバー「…そのようですね。ランサーの回復に専念しなくては」

士郎「…じゃあな、カス猿」

凛「アーチャー…助けてあげられないけど、悪く思わないでよね。先に仕掛けてきたのはあなたなんだから」



凛達マスター4人は、闘技場の跡地を離れた

口には出さなかったが、全員が同じことを確信していた

『――バーサーカー陣営は、今日ここで確実に脱落する』と

282: 2015/06/21(日) 02:50:37.45 ID:lCy0Wg980
~~~~

言峰「…マズイな、これは」

壺アサシン「とんでもないサーヴァントでちゅね、こいつは…」

言峰「何とかサーバーへの負荷は最小限の被害に留めたが…宝具を使うたびにこれではやってられん」

壺アサシン「それに、単純に強すぎまちゅね。相手するには、サーヴァント同士が手を組まないと戦闘にすらなりまちぇんわ」

言峰「…いまさら弱体化するわけにもいかん。かと言って素直にアーチャーを戦わせてはゲームが成立しない。ここは特殊ルールを追加するとしよう」

壺アサシン「どうするつもりなのでちゅ?」

言峰「まず1つ。アーチャーが最後まで勝ち残った場合、アーチャー陣営以外のマスターは賞金が発生しない」

壺アサシン「うわ~…報酬で釣っておきながら今更破棄とか…最悪でちゅね、それ」

言峰「これで奴らに『アーチャーを優先的に倒さなければいけない』という意識を植え付ける。そして2つ目だ」

言峰「アーチャーを倒した場合…令呪を合計で4画…いや、6画支給することとする」

283: 2015/06/21(日) 02:51:20.62 ID:lCy0Wg980
壺アサシン「ほほう…さっきと打って変わって大盤振る舞いでちゅわね。けど、アーチャー相手に勝つのは不可能だと思いまちゅけど」

言峰「単独では、な。当然、アーチャーの実力を考えれば…お前の言うとおり複数体のサーヴァントでかからなければ相手にはならない」

言峰「いや、よくよく考えれば…残った4体のサーヴァント全員が手を組まなければ、勝利の可能性すらないだろう」

壺アサシン「なるほど、それでまとまった数の令呪を報酬にするわけでちゅね。分配しやすいように。それにしても残った4体って…まるでバーサーカーの敗北が確定しているみたいでちゅわね」

言峰「ほぼ確定と言って良いだろう。そんなレアケースを追っている状況でもあるまい」

壺アサシン「まぁ、たしかにそうでちゅけど。しかし、4体で6画っていう割り切れない数にする辺り悪意を感じまちゅわ…」

言峰「兎も角。これだけお膳立てをしてやれば、残ったマスターは嫌でも同盟を組む気になる筈だ。端末の情報を更新しておいた。明日以降の動向に注目といったところだな」

286: 2015/06/21(日) 20:48:43.32 ID:lCy0Wg980
~~~~

桜「…これからどうすればいいんでしょうか」トボトボ

士郎「下手にアーチャーに手を出さないほうがいいだろうなあいつパンチングマシンで100とか出すし。君子危うきに近寄らずという名セリフを知らないのかよ」

セイバー「私も同じ考えでしたが…そうはいかないようです。端末を確認してみてください」

凛「ん?情報が更新されたの?…!?何よこれ!」

士郎「ちょとsYレならんしょこれは・・?詐欺は犯罪だぞ紀伊店のか」

桜「アーチャーを倒さないと…報酬0、ですか…!?」

セイバー「神父はどうあっても我々をアーチャーと戦わせたいようですね。報酬の令呪の数を見る限り…同盟を組めということでしょうか」

凛「…ふぅん」

セイバー「…凛、厚かましい願いだということは十分承知しています。ですが」

凛「そりゃ、そう来るわよね。さっきの戦いを見る限り、アーチャーに効果的なダメージを与えることができたのはキャスターの攻撃だけ」

凛「かといってキャスターだけじゃアーチャーの攻撃を凌ぐことはできない。…いいわ、同盟を組んであげる」

287: 2015/06/21(日) 20:50:06.37 ID:lCy0Wg980
士郎「流石に遠坂は格が違った。同じ時代を生きただけのことはあるなー」

凛「ただし!もし勝てたら、報酬の令呪は私が3つ貰うわ!」

セイバー「…!」

凛「文句無いでしょ?アーチャーを倒したら、まず私達が狙われるんだから」

士郎「お、おい遠坂!謙虚じゃないナイトに未来はにいぞ!」

桜「…姉さん、何調子に乗ってるんですか?本気出しますよ?」

凛「そう。だったらあなた達のサーヴァント3体だけでアーチャーをどうにかすることね」

セイバー「…いえ、要求を呑みましょう、凛。令呪の分配はあなたが3つ、私達がそれぞれ1つずつ。それで構いませんね?」

桜「な…!セイバーさん!」

288: 2015/06/21(日) 20:50:58.47 ID:lCy0Wg980
セイバー「凛の言うとおり、我々は同盟を組んで凛を積極的に排除しようと画策していました」

セイバー「…今更になってこの主張はあまりにも都合が良すぎる。凛の要求は当然の権利でしょう」

凛「あら、わかってるじゃない」

セイバー「しかし…これで貸し借りはなしです。アーチャーを討伐した後は、改めて同盟を組んであなたと敵対するかも知れません」

凛「文句はないわ。それでいきましょう。こっちだって、アーチャーを倒さないと報酬がもらえないんだから」

セイバー「では、決まりですね。同盟の最優先事項はアーチャーの討伐。それまでは協力関係です。二人もそのようにお願いします」

士郎「普通だったら報酬のことで文句言う奴がぜいいんだろうが俺はいさぎよい武の心でながすことにした」

桜「…勝ったと思わないでくださいね」

凛「もう勝負ついてるから」

289: 2015/06/21(日) 20:52:06.81 ID:lCy0Wg980
~~~~

壺アーチャー「さて…彼らの姿も見えなくなった。これで周りに配慮する必要も無くなったな」

壺アーチャー「覚悟は決まったかい?バーサーカーとそのマスターよ」

壺バーサーカー「…」

アーチャー「随分自信ありげだが…どんな確証を持ってバーサーカーを倒せると主張しているのだ、君は」

アーチャー「君にとっては未知のサーヴァントであることは変わりないだろう。まさか真名を看破したとでも言うつもりか?」

壺アーチャー「そんなハッタリをかませるとは落ち着いてるね。だけど、真名を看破する必要などはない」

壺アーチャー「いや、むしろ…そのサーヴァントに真名など存在しない、といったほうが正しいかな?」

アーチャー「…!」

290: 2015/06/21(日) 20:56:26.53 ID:lCy0Wg980
壺アーチャー「僕の考えを言おうか。そのサーヴァントは、複数の逸話の集合体…つまり、逸話によって模られた、中身の無い英霊だ」

壺アーチャー「ある『共通項』を持った逸話が集結し…容器だけが形成され、内容物が空っぽの虚無の存在…それがバーサーカーだ」

壺アーチャー「狂化により理性を失っているわけではなく、そもそも人格というものが存在しないのだろう」

壺アーチャー「その容姿も逸話の中から適当に選出されただけだ。所詮は寄せ集めってことだな」

アーチャー「…そこまで見極めていたとはな。私がバーサーカーというサーヴァントを理解するのに、どれだけ時間と手間をかけたことか…やれやれ」

壺アーチャー「そして、その『共通項』というのが…彼らを狂わせたものと何か関係があるんじゃないか?」

壺アーチャー「残念ながらバーサーカーの攻撃は僕には通じていないから、それが何かは分からない。まぁ分かる必要も無いか」

壺アーチャー「謎解きタイムはここでお終いだ」グッ


アーチャー「…君の言うとおり、バーサーカーは、他のサーヴァントと違い特定の形を持った英霊ではない」

アーチャー「『2ちゃんねる』上に存在するある種類の逸話(コピペ)が一処に集まり顕現した、無形の存在」

アーチャー「数は多いが、その一つ一つに英雄を作り出す程の特別な信仰があったわけでもなく…他の多くの逸話(コピペ)の一つとして語られるのが関の山と言ったところだ」

アーチャー「だが…こういう考えはどうだろうか。バーサーカーを構成する逸話の中から…」


アーチャー「君をも倒し得る逸話を探し出し、それを以って戦いに挑むというのは」

291: 2015/06/21(日) 20:58:11.75 ID:lCy0Wg980
壺アーチャー「…へぇ。面白い考えだね。だけど、そんなことは不可能だろう?」

アーチャー「普通の手段であれば、な。もともとそのような戦い方を想定しているサーヴァントでもないだろう」

アーチャー「ただ…バックアップがあればどうだ?小規模の奇跡を自発的に引き起こせるような、そんな都合の良いものが存在していたとしたら?」

壺アーチャー「…令呪、か」


アーチャー「そうだ。令呪の力を使い、バーサーカーに内包された逸話を引き出す。…勿論、成功するという確証はどこにもない。これは賭けになるな」

アーチャー「尤も…それさえも妨害されたら、その時点で敗北は確定だがね」チラッ


文字通り、それは大きな賭けだった

アーチャーが令呪の使用すら許さず、攻撃を仕掛けて来れば敗北は必至

アーチャーの自尊心と好奇心を刺激することが、この場での唯一の希望だった

292: 2015/06/21(日) 21:01:29.72 ID:lCy0Wg980
壺アーチャー「――いいだろう。その挑発、受けて立つよ」

壺アーチャー「ただし、君には乗り越えなければいけない、2つの大きな試練がある」

壺アーチャー「まず1つ目は逸話の内容を問題なく引き出すこと。当然だな。これができなければお話にならない」

壺アーチャー「そしてもう1つは、その逸話を駆使して…僕を倒すこと」

壺アーチャー「僕自身、興味が湧いたよ。たかがネット上の、1つの書き込みに過ぎないモノでどうやって僕を倒そうとしているのか」

壺アーチャー「少しは期待しているんだ。あんまりがっかりさせないでくれよ?」

アーチャー「…善処しよう」

壺バーサーカー「……」


アーチャー「令呪を以って命じる。…重ねて令呪を以って命じる。――駄目押しだ。重ねて令呪を持って命じる」

壺アーチャー「一気に3画を消費か。思い切りがいいね」


アーチャー(もとより、これくらいでなければ引き出せる力ではあるまい。ただでさえバーサーカーというクラスは不安定なのだ)

アーチャー(呼び出すのは、唯一つ。――この最強のサーヴァントに、確実な氏を与える逸話…!)

アーチャー「――バーサーカーよ……」

293: 2015/06/21(日) 21:02:47.69 ID:lCy0Wg980
~~~~

桜「セイバーさん!姉さんはどこですか!?」

セイバー「どうしたのですか?桜。凛なら、先程キャスターの様子を見に行くと行って湖の方に向かって行きましたが」

桜「…!…運がいいですね。このタイミングで情報が更新されるなんて…」

セイバー「…もしや、端末に新しい情報が?」

桜「ええ。…アーチャーが、脱落しました」

セイバー「アーチャーが?…そうですか。ですが仕方のない事です。あの圧倒的な戦闘能力の前では…」

桜「違います!そっちのアーチャーさんじゃないんです!」

セイバー「え…?……!?まさか、そんな事が…!?」


桜「脱落したのは、サーヴァントのアーチャー。倒したのは…バーサーカーです!」

305: 2015/06/22(月) 23:15:06.61 ID:L2RTVEiI0
~~~~

ライダー「…あれ?」シュウウ

ライダー「ここは…教会?」

ライダー「あれ、もしかして…アーチャーがやられたのですか!?」

ライダー「…私、まだ何もしてないのですが…」

ライダー「…ひとりきりは寂しいですね。誰か早くこっちに来てください…」

~~~~

言峰「…やってくれたな」

壺アサシン「ひえええ。アーチャーを単独で倒ちゅなんて…。しかも最弱候補のバーサーカーが。これはとんだ番狂わせでちゅわね」

言峰「同盟を組ませるための小細工も全て水の泡だ。全く面倒なことをしてくれる」

壺アサシン「…その割には嬉しそうでちゅね」

言峰「…ふっ。結果のわかりきった試合ほどつまらないものはない。バーサーカーのお陰で、聖壺戦争の行末が全く予想できないものになったのは事実だ」

言峰「素直に彼らの健闘を讃えようではないか。それに…」

言峰「令呪を3画消費することで、あのアーチャーですら仕留めることができるサーヴァントに…令呪が新たに6画支給される」

言峰「これの意味するところがどういうものか。――今後の動向が楽しみではないか」

306: 2015/06/22(月) 23:17:14.04 ID:L2RTVEiI0
~~~~

シュウウウ…

アーチャー「…アーチャー、君は間違いなく最強のサーヴァントだった」

アーチャー「いや、それだけではなく…最高峰の判断力、分析力を持ち合わせた…最高のサーヴァントであった」

アーチャー「だが、君は一つだけ大きな思い違いをしていた。それが君の敗北に繋がったのだ」

壺バーサーカー「……」

アーチャー「私が乗り越えるべき試練は2つなどではなく…1つだけだった」


アーチャー「アレを再現出来た時点で……私の勝利は確定するのだから、な」


アーチャー「…くっ…令呪を3画消費した上に、魔力も根こそぎ持って行かれた…正真正銘最後の切り札であったのだから当然だが」

アーチャー「アーチャーを仕留められただけも十分過ぎる成果ではあるが…これからどうすべきか…ん?」ピカア

アーチャー「…!?令呪が…復活している…!?」

アーチャー「いや、復活どころではない…!一気に6画も宿っている。これは一体…」ピッ

アーチャー「…成程。アーチャーを仕留めた報酬、というわけか」

アーチャー「流れは確実に私に向いている。この状況をうまく活かすためには…」


アーチャー「…フッ。私が出向くまでもなく、向こうから接触を試みるであろう人物に一人心当たりがあるな」

307: 2015/06/22(月) 23:18:38.92 ID:L2RTVEiI0
~~~~

壺キャスター「マスター、俺の傷もまだ完全に癒えてはいないんだ。もうちょっとゆっくりできないのか?」

凛「そんな場合じゃないのよ!あなた、狂っている時のこと何も覚えていないの?」ダッダッタ

壺キャスター「…いや、かすかになら。あのアーチャーの凄まじさは言うまでもなく、な」

凛「だったら話が早いわ。心して聞いてちょうだい。…やられたのよ、アーチャーが。それもバーサーカーに!」

壺キャスター「…冗談だろ?アーチャー以外のサーヴァント全員でかかったって勝てるかどうか怪しいのに…それをあのバーサーカーが倒しただと?」

凛「ええ。私だって今でも信じられないわよ。…けど、私達にとって大事なのはここからよ」

凛「アーチャーが倒された、ってことは…もう同盟を組む必要もなくなったのよ。つまり私達はお払い箱って訳」

凛「あのままあそこに留まっていたら、間違いなく次の標的になってるわ!桜達が追いかけてこないうちに、なるべく遠くに逃げないと」

壺キャスター「宛もなく逃げまわっても体力を消費するだけだぜ。相手の意表を付くために、あえて近くに留まっておくっていうのはどうだ?」

凛「それはダメ。セイバーには感付かれちゃう。それに…一応宛はあるのよ」

壺キャスター「ほう…聞かせてくれ」


凛「…バーサーカー陣営との同盟を試みるわ。数的な優位差を覆すには、これしか無い…!」


壺キャスター「…ははは。あっちへ行ったりこっちへ行ったり忙しいな。俺達はコウモリか」

凛「五月蝿い!」

317: 2015/06/24(水) 21:50:28.97 ID:vHOwxXAZ0
~~~~

桜「…駄目です。姉さんはどこにも見当たりません」

壺ライダー「アーチャー脱落の情報を見て即座に逃亡を決めたのだろう。状況判断の早さは見事だな」

壺セイバー「遠くにいたと思ったら近かったということは稀によくあるらしいぞ?」

セイバー「…今回はそれはないでしょうね。先日凛は同じことを試みました。以前看破された物と同じ策を繰り返すような真似はしないはずです」

セイバー「彼女は優秀ですが、同時に素直な思考の持ち主だ。私の裏をかいて…というような発想には至らないでしょうね」

士郎「それは単純と言うのではないか?まあ一般論でね」

318: 2015/06/24(水) 21:52:05.49 ID:vHOwxXAZ0

壺ランサー「やはり、バーサーカー陣営と接触しようとしてると見るべきか」

セイバー「その可能性は非常に大きいと見ています。ああ見えてマスター同士気の置けない仲でもありますし…アーチャーの方も素直に同盟に応じるのではないでしょうか」

壺ランサー「ただでさえバーサーカーの能力の底が知れないというのに、戦力が増えるのはやっかいだな…」

壺ライダー「私はそう危惧することもないと思っているぞ?アーチャーを倒した方法が何かはわからんが、そもそも気軽に使えるものならまず我々が犠牲になっていただろう」

壺ライダー「バーサーカー陣営も何か犠牲を払って決氏の覚悟でアーチャーを倒したはずだ。付け入る隙はきっとある」

壺セイバー「…バーサーカーといえば、あれについて貧弱一般マスターたちに知らせておいた方がいいと思った(この辺の心配りが人気の秘訣)」

壺ランサー「むっ…ブロントさんの言うとおりだな。我々を狂わせたものについて、マスター達も注意しておいたほうがいいだろう」

セイバー「そういえば、そこは大切なところですね。バーサーカーは一体あなた達に何をしたのですか?」

壺ランサー「アイツがやったことは…こっちを見ただけさ」

士郎「お前頭わりぃなそれだけで」

桜「先輩黙っててもらえますか?」


壺ランサー「…バーサーカーの『眼』に、気をつけろ」

319: 2015/06/24(水) 21:55:09.49 ID:vHOwxXAZ0
~~~~

アーチャー「…やはり来たか、凛」

凛「アンタもまだここに残ってたってことは…目的は同じみたいね」

凛「同盟を組んでるあの3人を相手にするつもりでしょう?…手を貸してあげるわ」

アーチャー「手を借りたい、の間違いじゃないのか?まぁ、こちらとしても手駒が多いほうが助かるがね」

凛「相変わらず口の減らない奴…。で、どうなの?手を組むの組まないの?ハッキリさせてちょうだい」

アーチャー「そう睨むな。言っただろう、手駒が多いほうが助かると。君と手を組むのはこちらとしても願ったりかなったりだ」

凛「だったら…」

アーチャー「ただし…凛、私はまだ君を信用しきれないのだ。もしかしたら君が未だに衛宮士郎たちと協力関係にあり、スパイとして我々の情報を入手しようとしているのでないか、とね」

凛「はぁ!?そんな訳無いでしょ!そんなことしたって賞金の大半は向こうに持って行かれちゃうじゃない!」

アーチャー「理由など、提示された条件次第でどうにでもなる。だからこそ、凛。君に潔白を証明して欲しいのだ」

320: 2015/06/24(水) 21:55:43.38 ID:vHOwxXAZ0
アーチャー「自分が立ち位置をふらふらと変えていることは自覚しているだろう?」

凛「…どうすればいいっていうのよ」

アーチャー「簡単な話だ。ここで令呪を一画消費して貰おう。そうすれば私も君を信じられる」

凛「…!そんなことに令呪を使えっていうの……?」

壺キャスター「…」

アーチャー「おっと、そんなに睨まないでくれ、キャスター。…嫌だというのなら、仕方があるまい。この話はここで終わりだ」

凛「…令呪を以って命じるわ。キャスター…アイツをおもいっきり睨みつけてやりなさい」

壺キャスター「…」

凛「…どう!これで文句無いでしょ!?」

アーチャー「上出来だ。では、今後の方針について話し合うとしよう」

321: 2015/06/24(水) 21:58:14.88 ID:vHOwxXAZ0
~~~~

セイバー「眼、ですか…」

壺ランサー「アイツの眼を見た瞬間…とても嫌な幻覚を見せられてね」

セイバー「幻覚?…それがあの狂化に繋がったということですか。具体的にはどのような?」

壺ランサー「思い出したくもない過去…いや、過去ということになっている映像、というべきかな。我々壺のサーヴァントには過去など無いからな」

壺ランサー「サーヴァントとして現界されるにあたって、『そういう風なもの』として設定されたトラウマ。それを奴は見せてきた」

セイバー「…精神干渉系の能力でしょうか。いずれにせよこちらの数的優位性を覆しかねない厄介なものですが…」


壺ライダー「…優位性、か」

桜「…?どうしたの、ライダー」


壺ライダー「少し思うところがあってな。聞いてくれるか?マスター」

322: 2015/06/24(水) 21:59:28.37 ID:vHOwxXAZ0
~~~~

アーチャー「ブロントにリューサン、そしてやるオプーナ、か…」

壺キャスター「まず間違いないぜ。どいつもこいつも特徴的な奴ばかりだ」

壺キャスター「ま、こっちの真名もとっくにバレてるだろうけどな」

アーチャー「奴らとの戦いでは君の宝具をどれだけ当てられるかいうのが鍵となりそうだ。フィールドはやはり森を選ぶべきか」

凛「…それよりも、アーチャー。私達は手持ちのカードを切ったのよ?自分だけ何も情報を提示しないで済ませるつもり?」

アーチャー「切り札についてはまだ情報を伏せさせてくれ。君の動向次第で戦いの最中敵に悟られる危険性がある」

凛「だったら、せめてバーサーカーの真名くらい教えなさいよ。どんな実力のサーヴァントかわからなければ、共闘しようがないわ」

アーチャー「うーむ…。その考えは理解できるが、実際そう言われても困るのだ。バーサーカーには真名など存在しないのだからな」

凛「は?何よそれ」

アーチャー「バーサーカーはある特定の逸話の集合体だ。個を形成するサーヴァントではない」

アーチャー「敢えて真名を付けるとしたら…そうだな、それらの象徴とも言える逸話を基にして…」


アーチャー「――『邪気眼使い』、といったところか」

326: 2015/06/26(金) 21:17:20.82 ID:jpd5HN4J0
~~~~

言峰「…そもそも、バーサーカーは実験体として作ったサーヴァントだった」

壺アサシン「実験、でちゅか」

言峰「他のサーヴァントは、複数の逸話や信仰に大勢の人間が関わり、個を形成している」

言峰「セイバーを例に挙げると、奴の人格を作り上げているのは…ある特定の人物の物とされる複数の書き込み」

言峰「またそれらの書き込みに感化された者達による、それを真似た書き込み…俗にいう『ブロント語』というやつだな」

言峰「書き込みの内容、そして書き込んだ人物がバラバラであっても、それらは一体感を生み出し…ひとつの『キャラクター』を形成した。それが壺のセイバー、ブロントだ」

言峰「このように、基本的にサーヴァントとして呼ばれるのは、『複数の逸話や大きな信仰により、一つの人物像が形成された存在』なのだ」

言峰「だが、このバーサーカーは違う。奴を構成しているのは、2ちゃんねる上で書き込まれた…主にファンタジー系統に重きを置いた痛い妄想」

言峰「つまり、『邪気眼』と呼ばれるコピペ群であり…そこには個を形成するだけの信仰はない」

言峰「当然だな。それらに共通しているのは…聞いているだけで恥ずかしくなるような痛い妄想、という点だけで、所詮は個人個人が好き勝手に妄想しているだけに過ぎないのだから」

言峰「言ってみれば…邪気眼という『ジャンル』そのものをサーヴァントにしたものがバーサーカーというわけだ」

327: 2015/06/26(金) 21:19:20.74 ID:jpd5HN4J0
壺アサシン「なるほど。ホラーやラブコメ、みたいな分類の一つとして…『邪気眼』というジャンルを一纏めにして呼び出したんでちゅね」

壺アサシン「でも、何でわざわざそんなことを?」

言峰「言っただろう。実験だと。もしそのようなことが可能であれば、呼び出せるサーヴァントの幅が広がるからな」

言峰「最初は失敗だと思ったがね。辛うじて肉体が存在するだけで、攻撃さえまともに出来ないサーヴァントだと」

壺アサシン「だけどここに来て思わぬ大躍進でちゅわね」

言峰「マスターに恵まれたな。ここまでやってくれるとは思わなかった」

言峰「だが、依然として不安定なサーヴァントであることには変わりない。誰が勝ち残るかは今後の展開次第と言ったところか」

言峰「テストプレイもこれで五回目。今回こそはうまくいってくれるといいのだが」


言峰「――『アヴェンジャー』を呼び出すために、な」

328: 2015/06/26(金) 21:21:51.54 ID:jpd5HN4J0
サーヴァント紹介②

【CLASS】アーチャー
【マスター】ライダー(メドゥーサ)
【真名】全盛期のイチロー
【出典】ニュー速VIP
【触媒】折れたバット
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具A++
【クラス別スキル】
対魔力:A
 Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。

単独行動:A+
 マスター不在でも行動できる能力。

【保有スキル】
心眼(真):A
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

メジャーリーガー:A+++
 己の精神と肉体を駆使し、世界最高の舞台で戦う偉大なる挑戦者に与えられるスキル。
 A+++までいくと精神攻撃は100%シャットアウトし、物理攻撃も7割ほどダメージを低減できる。
 また、言語が堪能になる、戦いの気配を敏感に察する等の副次的効果もある。

【宝具】
『投げ穿つ氏翔の球(レーザービーム)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人 
 本塁への送球の凄まじさからその呼び名がついた全盛期のイチローを象徴する宝具。
球を投擲するだけのシンプルな攻撃方法だが、威力は絶大。
 それだけでも強力な宝具だが、本領を発揮するのは『自分で放ったレーザービームを自分で打ち返した時』であり
 その場合は対軍宝具から対城宝具へと種別が変化し、速度、範囲、威力全てが大幅に上昇する。

333: 2015/06/28(日) 21:03:38.41 ID:WKLQStvF0
~~~~
セイバー「バーサーカー対策としては…単純ですが眼を見ずに戦う以外無いでしょうね。セイバーやランサーにも効いていたところを見ると対魔力では防げないようですし」

士郎「キャスターの宝具もくすり力を貫通するらしいぞ 同時に攻撃されたら守るのがやっとという風になるのではないか?」

セイバー「その分、サーヴァントとしての地力はこちらが上です。3体でかかれば突破は可能でしょう」

桜「…その事についてなんですけど…少し、話を聞いてもらえませんか?」

セイバー「?どうしました、桜」

桜「えっと…その…」

壺ライダー「いや、いいんだ、マスター。私の我侭だ。私の口から伝えよう」

壺ライダー「このまま3対2でバーサーカーたちと戦うのは…気が進まない」

セイバー「…!?」

壺ランサー「…どういうつもりだ、ライダー?」

壺ライダー「いや、済まない。これも正確ではないな」


壺ライダー「…私は、先にセイバーと決着を付けたいのだ。互いに万全な状態のうちに、な」


壺セイバー「…ほう」

334: 2015/06/28(日) 21:04:38.55 ID:WKLQStvF0
セイバー「そんな…!?バーサーカー達を倒してから、改めて戦いを挑めば良いではないですか!」

壺ライダー「相手はあのアーチャーを倒したサーヴァントだ。互いに無事生き残るとは限らない」

壺ライダー「仮に生き残ったとしても…満身創痍では意味が無い」

壺ライダー「今、この場においては…お互いに宝具も令呪も万全な状態だ」

壺ライダー「あの時の戦いの決着を今、ここで付けたい」


セイバー「…桜。あなたはどう思っているのです」

桜「…私は、ライダーの望みを叶えてあげたいと思っています」

桜「セイバーさん。私達にとっては、聖壺戦争はただのゲームです。ここで勝っても負けても、私達の生活に変化があるわけではありません。また元の日常に戻ります」

桜「だけど、ライダーにとっては…いえ、ここで召喚されたサーヴァント達にとっては…この戦いの間だけが全てなんです!聖壺戦争のためだけに呼び出されて、戦いが終わればまたデータの一部に戻ってしまう」

桜「…だから、ライダーには後悔してほしくないんです。例え短い間しか存在できない自我だとしても…」

セイバー「…」

335: 2015/06/28(日) 21:06:09.16 ID:WKLQStvF0
壺ランサー「――マスター、私からも頼む。ライダーの望みを聞き入れてやってくれ」

壺ランサー「実を言うと、私も3対2で戦うのはちょっと気が引けててね…せっかく騎士クラスとして呼び出されたんだから、正々堂々戦ってみたいんだ」

壺ランサー「こっちのほうが有利な状況じゃ、己の力全てを振り絞って戦う、ってことがなかなかできないかもしれないしね…」

壺ランサー「僕も、ライダーの話を聞いて覚悟を決めたよ。バーサーカー達との戦いでは、私の全てを出しきると」

セイバー「…そうですね。いえ、私が愚かでした。命も懸けていない私が、戦士の覚悟に水を差すなど…」

セイバー「――心置きなく決着を付けてください、ライダー。あなたとセイバー程の勇士であれば、どちらが生き残ったとしてもバーサーカーには負けない筈です」

桜「セイバーさん…!」

336: 2015/06/28(日) 21:06:45.34 ID:WKLQStvF0
壺セイバー「おいィ?何当事者抜きで話あってるわけ?」

壺ライダー「不満か?セイバー」

壺セイバー「――ナイトであればバーサーカーごときチョロいもん。例え2対2であったところでこちらの勝利は確定的に明らか」

壺ライダー「そんなナイトに対し喧嘩を打ってきた命知らずの騎兵がいた!もう結構ウデとか血管血走ってるから騒ぐと危険 ここで思い知らせてやる必要があると思った」

壺ライダー「…すまないな。感謝する」

壺セイバー「感謝するくらいならおれは牙をむくだろうな かかってこいよ雑魚」

壺ライダー「…ああ!行くぞ、セイバー」

士郎「セイバー…無理はしないふぇ下さい(約束)」


壺ライダー「オプーナとFF11…どちらがより素晴らしいゲームか、思い知らせてやろう!」

342: 2015/06/30(火) 01:11:27.77 ID:FP/LnN400
ライダーとセイバーは対峙し、しばらくにらみ合いを続けた

お互い、最初に繰り出す一手を探っているようだった


壺ランサー「…マスター、この戦いをどうみる」

セイバー「闘技場での戦いを見た限りでは…セイバーの方が有利かと」

壺ランサー「へぇ…それはどうしてだい?」

セイバー「ライダーというクラスの肝は宝具となる乗物です」

セイバー「しかし、このライダーの場合…肝心の乗物が、宝具としては力不足に感じます。あの時、攻撃が直撃したアーチャーはほぼ無傷でした」

セイバー「宝具による機動力と突破力を駆使して戦うのがライダーの常道でしょうが…生半可な攻撃ではこのセイバーには通じない」

壺ランサー「それでライダーが不利、と。だけど、マスター。彼らは一度戦っているそうじゃないか。もし力の差に開きがあったのなら、そこで決着がついていてもおかしくないぞ?」

セイバー「…その通りですね。お互いどう攻めこむのか、見せてもらいましょう」

343: 2015/06/30(火) 01:12:56.33 ID:FP/LnN400
先に仕掛けたのはライダーの方であった

ライダーはワゴンカートを呼び出し、それに乗り込んだ


壺セイバー「…」グッ


そしてそのまま――大きく後ろにバックした


壺セイバー「は?」

壺ライダー「距離を詰めるわけ無いだろ!バーカ!」


そのままライダーはセイバーとの距離を保ちながら

セイバーを中心に円を描くように高速で周回し始めた

344: 2015/06/30(火) 01:14:22.81 ID:FP/LnN400
壺セイバー「!おい馬鹿やめろ!」ダッ

壺ライダー「もう遅い!オラァ!」ヒュン

壺セイバー「ウボァ!」ドガ


ライダーは高速で移動しながら、頭部にある球体

『エナジーボンボン』を投擲しセイバーに攻撃を仕掛けた


セイバー「飛び道具……!そうか、ライダーの主な攻撃手段は頭の球体の投擲。あれなら、接近しなくても攻撃できる」

壺ランサー「加えて、あの変な乗物による機動力のお陰で、攻撃のタイミングが掴めない」

壺ランサー「全方位から繰り出される予測の付かない一撃。さすがのブロントさんも手を焼くだろうさ」

セイバー「…ですが、あの球体の射程はそれほど長くないようです。だからこそライダーもあの距離を保っているのでしょう」

345: 2015/06/30(火) 01:16:11.23 ID:FP/LnN400
桜「その調子よ!頑張って、ライダー!」

壺ライダー「シャオラアアアアアアアアア!」ブン

壺セイバー「ちい!ウザイなお前!」キン


セイバーは、ライダーの攻撃を腕に、足に、背中に

全身の至る所に喰らい続けた

ライダーとしても一撃の重さよりも数を優先しているのか

攻撃の一つ一つのダメージはさほど大きくはなかった

しかし、一度手を合わせたことでライダーは確信していた

このセイバー相手には、『一撃』を当てようとするのは滑稽だと

耐久の高いセイバー相手に、こちらの渾身の一撃を放っても致命傷を与えられる保証はない

逆に、その一撃を凌がれ、攻撃後の隙に致命的なカウンターを喰らってしまう危険性の方が高い

ならば、数を稼ぐ。蓄積を重視する。一のダメージを数百と積み上げる。

この『メイン盾』に、微細なヒビが入るまで――

349: 2015/07/01(水) 22:36:53.62 ID:YBKyfFTU0
壺セイバー「いやこれハメでしょ?俺のシマじゃノーカンだから」

壺ライダー「私のシマでは立派な戦術だ!」ブゥン

壺セイバー「何か粘着がいつまで立っても鬼の首みたいに粘着してるが時代は進んでる」

壺セイバー「オラァ!」カン

壺ライダー「手で弾いたか。少しは目が慣れてきたのか?」

壺セイバー「その早さでは俺のところに投げるのがやっとといったところか。軌道を謎みたいに変えていないのがその証拠」

壺ライダー「だからどうした?貴様も弾くのがやっとではないか」ヒュン

壺セイバー「…」カン

壺ライダー「さっきまでの威勢はどうした!」ビュン

壺セイバー「…」キィン

350: 2015/07/01(水) 22:37:44.15 ID:YBKyfFTU0
壺ランサー「…妙だな」

セイバー「あなたも気づきましたか、ランサー。彼は何故か、剣を持たぬ左手でライダーの攻撃を弾いています。あれではいずれ左手が使い物にならなく…」

壺ランサー「それもそうだが…先程からライダーの動きがおかしい」


壺セイバー「そんなに馬鹿みたいに回ってるとお前はそのままバターになる」カァン

壺ライダー「ライダーのクラスは伊達ではない。この程度の速度、なんということは…」

壺セイバー「無理を隠そうと必氏なのかバレてる証拠に笑顔が出てしまう」

壺セイバー「――俺の『攻撃』をくらい続けていたことにいい加減気づけよ」

壺ライダー「何…!?」

351: 2015/07/01(水) 22:38:25.77 ID:YBKyfFTU0
桜「…!?ライダー!接近しすぎよ!」

壺ライダー「ばっ…!?何だと!?」

壺セイバー「ナイトはライダーよりも高みにいるからお前らのイタズラにも笑顔だったがいい加減にしろよ」ダッ

壺ライダー「しまっ…」

壺セイバー「グランドヴァイパ!」ブンッ

壺ライダー「ちっ!」バッ

ズサアアアアア


セイバーの攻撃を躱すために、ライダーは自らカートから脱出した

主を失ったカートはセイバーの元へ突進し、グラットンソードの餌食となった


壺ライダー「ハァ…ハァ…。そうか、その左手…電撃を帯びていたのだな」ヨロッ

壺セイバー「前も喰らっていたのだからもっと早く気づくべきだったな?お前調子ぶっこきすぎてた結果だよ?」


士郎「せ、セイバー…宝具の乱発はやめふぇ下さい(瀕氏)」

352: 2015/07/01(水) 22:40:37.16 ID:YBKyfFTU0
壺ランサー「成程。ライダーのあの頭部の武器は…毎回生成しているわけではなく、持ち主の元へ戻るのだな。ブロントさんは前回の手合わせでそのことに気づいた」

セイバー「だからそれに宝具による電撃を蓄積させることで、ライダーの体に影響を与えた…というわけですか。意外と繊細な戦い方をしますね」

壺ランサー「それだけ油断ならない相手ということさ。だが…遂にライダーを引きずり下ろしたぞ」


壺ライダー「だがこの状況は…あの時と同じだな、セイバー!」ブゥン

壺セイバー「…」チャキッ


ライダーはエナジーボンボンをセイバーに目掛けて放った

セイバーは、本来片手剣であるグラットンソードを両手で構え、迎撃の体勢をとった

ボンボンがセイバーの間合いに入った瞬間、それを思い切り振り下ろした


壺ライダー「甘い!」


セイバーが攻撃を仕掛けると同時に、ボンボンは軌道を変えた

剣を躱し、そのまま高速でセイバーの頭部めがけて突撃していった


壺セイバー「――『グラットンスウィフト』!!」

353: 2015/07/01(水) 22:41:32.72 ID:YBKyfFTU0
その瞬間、セイバーの前方から大きな爆発を起こった

いや、正確には爆発ではなく、セイバーの渾身の一振りによって

空気がバラバラに引き裂かれた事によって生じた空気の断層だった

剣の軌跡は真空状態を作り出し、辺りの空気を吸い寄せ、同時に猛烈な突風を発生させた

それはかまいたち、といった生易しいものではなく

小規模なブラックホールのようなものだった


範囲は剣の届くところまで、という狭さではあるが

その分比類無き威力を誇る、セイバーの最も得意とする『対人宝具』

ボンボンはアワレにもその一撃に吸い寄せられ、バラバラどころか欠片も残さずこの世から消滅した



シュウウウウ…

壺ライダー「…私の宝具が」

壺セイバー「優秀なクラス→宝具が充実→心が豊かなので性格も良い→彼女ができる」

壺セイバー「せこいクラス→宝具が雑魚→心が狭く顔にまででてくる→いくえ不明」


壺セイバー「――完 全 論 破」

354: 2015/07/01(水) 22:42:43.40 ID:YBKyfFTU0
壺ランサー「…決まったな。ブロントさんの勝ちだ」

セイバー「攻撃手段を全て奪われたとあっては…どうしようもありませんね」


壺ライダー「参ったな。私のチャームポイントだったのだが…」

壺セイバー「時既に時間切れ。俺はこのままタイムアップでいいんだが?」

壺ライダー「それはどうかな?セイバー、貴様それでいいのか?マスターを放っておいて」

壺セイバー「hai?…うおっ!?」

士郎「」

壺ライダー「宝具を使いすぎたな。このままではマスターが病院で栄養食を食べるハメになるぞ?」

355: 2015/07/01(水) 22:43:19.26 ID:YBKyfFTU0
桜「先輩!大丈夫ですか!?」

壺ライダー「いや、マスター。今はこっちの方を心配してくれると嬉しかなーって…」

壺ライダー「…コホン。コレで、貴様はしばらく宝具を使えない」

壺セイバー「…宝具がないお前ごとき素手で充分すぐる 不良だから喧嘩も強いしバイクもヘルメットかぶらないで乗る」

壺ライダー「宝具がない、か。本当にそうだったらよかったのだが」

壺セイバー「…?」


壺ライダー「我々の存在は、我々の意思とは関係なく多くの人間の信仰によって形作られたもの。セイバーよ、お前は想像したことがあるか」

壺ライダー「…自分の心象風景すら、第三者によって作られたものであるという苦しみが」


セイバー「心象風景…まさか…!?」


壺ライダー「――体は在庫で出来ている」

364: 2015/07/02(木) 20:45:31.84 ID:ykGl11i+0
~~~~

言峰「全く…彼らは本当に私を飽きさせないな」

壺アサシン「面白い展開になってまちゅね。まさかこのタイミングでライダーとセイバーが対決するなんて。これはバーサーカーたちにとっては都合のいい展開でちょうか?」

言峰「数で劣る分、バーサーカー・キャスター陣営は戦略を煉る必要がある。この段階での想定外の事態が吉と出るか凶と出るか。それは定かではないがな」

言峰「傍から見ている我々にとっては、楽しくて仕方がないといったところだ」

壺アサシン「…ところで、あたちはいつまでここで黒幕ごっこやってればいいんでちゅかね?そろそろ覗き見にも飽きてきまちた」

言峰「必要数のサーヴァントの魂(データ)が集まれば、もう戦いを続ける必要はない。その時に残ったサーヴァントを始末するため、お前には働いてもらう」

壺アサシン「……ひどい男でちゅね、マスターは」

言峰「不満はあるまい、お前たちはもともとそういうものとして生み出された存在だ。――さて、そろそろこの戦いにも決着がつきそうだ」

言峰「順当にセイバーの勝利、か。もともとライダーは敗北者として用意したサーヴァントだ。展開こそ楽しめたが、結末は陳腐だったな」

365: 2015/07/02(木) 20:46:38.08 ID:ykGl11i+0
壺アサシン「…その敗北者が、何かやらかそうとしてまちゅよ」

言峰「…奴に設定された攻撃パターンは全て出尽くした筈だが…?」

言峰「…!?――またか。サーバーに異常な負荷が…いや、違う。データ容量が不自然に増減している…!」

言峰「心象風景…固有結界を使おうとでもいうのか、ライダーは。それは何としてでも妨害せねばならんな」

壺アサシン「えっ。どうしてでちゅか?」

言峰「この世界そのものがネットワーク上に形成された固有結界のようなものなのだ。そこで別の固有結界を発動したらどうなることか」

言峰「…固有結界が同時に発動された例はかつて存在しない。最悪の場合、この世界が上書きされ、データが全て消失してしまう恐れもある」

言峰「やれやれ、また緊急処置だ。ライダーの魔力供給のパスを切断する」カタカタ

壺アサシン「前のアーチャーの場合は兎も角、GMが戦いの勝敗に関わる介入までするのはどうなんでちゅかね…」

言峰「たかが1サーヴァントの宝具ごときで、世界そのものが消されては敵わん。当然の行動だ」

言峰「観客を楽しませるのは結構だが…そのために劇場を吹き飛ばそうとするのは本末転倒だ。思い上がった役者にはここで退場してもらおう」

366: 2015/07/02(木) 20:47:25.06 ID:ykGl11i+0
~~~~

壺ライダー「…むっ。これはどういうことだ…!?」シュウウ

桜「ライダー!?体が…消えかかってる…!?」

壺ライダー「…マスターからの魔力供給が途絶えたようだ」

桜「えっ!?そんな筈は…」

壺ライダー「わかっているさ、マスター。魔力供給のパスをマスターが一方的に切ることなど不可能だ。令呪でも使わない限りはな」

壺ライダー「こんなことが可能なのは…システムそのものに介入する事ができるやつだけだ」

士郎「……言…峰…」ヨロッ

壺セイバー「おい馬鹿やめろ!マスターはもう少し休むべきそうすべき」

367: 2015/07/02(木) 20:48:26.00 ID:ykGl11i+0
壺ライダー「…ははは。偉そうなことを言っておきながら最後はこれか。迷惑をかけたな、マスター…」シュウウウ

桜「そんな…!そんなこと言わないで、ライダー!戦いに決着も付けずに終わりなんて…!」


桜「…そうだ。令呪なら…令呪は魔力の塊の筈」

桜「令呪を全部使うわ。令呪の魔力を、全てライダーに!」ポワアア


壺ライダー「…ありがとう、マスター。この魔力、大切に使わせてもらうぞ」

壺ライダー「さて、仕切りなおしだ、セイバー」

壺セイバー「…」グッ


壺ライダー「正真正銘最後の切り札だ。おそらく、勝っても負けてもな」

368: 2015/07/02(木) 20:48:57.64 ID:ykGl11i+0
――体は在庫で出来ている


血潮は権利で 心はミリオン


幾たびのクソゲーを越えて不買


ただの一人も客はなく


ただの一度も購入されない


彼の者は常に独り 在庫の丘で売り上げに酔う


故に、値段に意味はなく。


その体はきっと在庫で出来ていた。

377: 2015/07/03(金) 23:18:40.02 ID:26V5X3xw0
ライダーが詠唱を終えると、世界は真っ白な光に包まれた

いや、正しく描写するなら、世界そのものが白く染まった、というべきだろう

先ほどまでライダー達が存在していた世界とは別の世界

ライダーの心象風景を具現化した世界

『固有結界』の中に、セイバー達は引き込まれた

----

セイバー「やはり…固有結界でしたか」

壺ランサー「これが固有結界…たしか、術者の心象風景を形にしたものだったな?」

壺ランサー「…その割には殺風景だな。何も無いじゃないか」

セイバー「展開型の固有結界も存在すると聞いたことがあります。…いえ、そもそもこの『聖壺戦争』内での固有結界が、外の世界のものと同じとは限りませんね」

士郎「おい…ライダー…勝手に人の詠sYうパクんなよ訴えられたいのか…!」ゼェゼェ

378: 2015/07/03(金) 23:20:25.18 ID:26V5X3xw0
桜「この世界がライダーの心象風景…?…なんだか、寂しい場所ね…」


壺セイバー「「訳わからんね」「笑う坪どこ?」こんなのがお前の切り札かよ」

壺ライダー「その通りだ、セイバー。ここに引きずり込まれた以上、お前の勝利は」


ライダーが言葉を言い終える前に、セイバーは距離を詰めた

これがとてつもない大魔術であることを、セイバーは充分に理解していた

時間を掛ければ、相手の術中に嵌ってしまう

ならば、狙いはひとつ。相手のやりたいことをやらせずに、速攻で決着を付けてしまうこと

ライダーの気を引いたほんの一瞬、その一瞬でセイバーはライダーの目前に迫った

そして、その勢いのままにグラットンソードを



テキストがまだない

379: 2015/07/03(金) 23:21:12.18 ID:26V5X3xw0
壺セイバー「…!?」

士郎「お、おいセイバー!何敵の目の前で仁王立ちしてるんだよ前歯へし折られたいのか!?」


壺セイバー「ま…マジでふざけンなよ!?」バッ


セイバーは再びグラットンソードを振りかぶり

テキストがまだない

テキストがまだない

テキストがまだない


壺セイバー「お、おいィ…これは…!?」


壺ランサー「…ブロントさんの様子がおかしい」

セイバー「絶好の好機なのに…何故敵の前で棒立ちになっているのですか…?」

380: 2015/07/03(金) 23:21:58.11 ID:26V5X3xw0
壺ライダー「最後まで人の話を聞いておくんだな、セイバー。ここに引きずり込まれた以上、お前の勝ちはない」

壺ライダー「たとえ、お前が黄金の鉄の塊で出来たナイトだとしても…」グッ

壺セイバー「…!?バックステッ…!」ユラァ

壺セイバー「…!おいやめろ馬鹿!!」


壺ランサー「処理落ち、だと…!?このタイミングでか!?」

セイバー「そういえば、先程までと違い妙に体の動きが鈍いですね…」ギュッ


壺ライダー「ふんっ!」ブン

壺セイバー「ウボォ!」グシャ


ズシャアアアアアアア


壺ライダー「…物理の前では無力だ」シュウウウ

381: 2015/07/03(金) 23:23:09.42 ID:26V5X3xw0
士郎「お、黄金の鉄の塊で出来たセイバーが、素手装備のライダーのパンチごときで吹き飛ぶはずがない!」

壺ランサー「…彼の言うとおりだ。耐久の高いブロントさんが、ライダー程度のパンチでダメージを受けるはずがない…!」

セイバー「この世界は、法則(ルール)を改変してしまうような効果があるのでしょうか…?」


壺ライダー「ルールを改変…?――違うな、それは間違っているぞ」

壺ライダー「法則?技術?世界観?詳細(ディティール)?バランス?」


壺ライダー「――そんなもの、『未実装』だ」

382: 2015/07/03(金) 23:24:52.66 ID:26V5X3xw0
壺セイバー「ハァ…ハァ…粋がるなよ雑魚が」

壺セイバー「こっちが礼儀正しい大人の対応してればつけあがりやがってよ!」ダッ

桜「…!?ライダー!避けて!」


壺セイバー「ハイスラァ!」ブンッ

ザシュ

壺ライダー「――ハズレだ、セイバー」

壺セイバー「ちょ、ちょとsYレならんしょこれは……?」


セイバーは確実にライダーを両断できる一撃を繰り出したが

その攻撃はライダーから外れ、代わりにすぐ側の地面にヒビが入った

383: 2015/07/03(金) 23:26:26.87 ID:26V5X3xw0
壺セイバー「このっ!このっ!」ブンッブンッ

壺ライダー「…気が済むまで続けるといい」


セイバーの剣は確実にライダーを捉えているが

攻撃は一つも命中しない

代わりに地面にヒビが増えるのみであった


セイバー「何故アレが当たらないのですか!?真正面じゃないですか!」

壺ランサー「…当たり判定がおかしい、というべきか。ブロントさんの攻撃は、先程から決まった数カ所にしか命中していない」

384: 2015/07/03(金) 23:27:32.49 ID:26V5X3xw0
壺ライダー「気は済んだか?」
壺ライダー「ではそろそろ」


壺セイバー「…!?」


壺ライダー「「この戦いに決着を付けるとするか、セイバー」」


突如、ライダーが脈絡も無く2体に分裂し

2体同時に拳を繰り出してきた


壺ライダー「「ゆゆうじょうパパワー!」」


壺セイバー「ぬわーーーー!」


ライダーの攻撃により、セイバーは大きく吹き飛ばされた

セイバーは先程ライダーのパンチによって吹き飛ばされた時と同じ場所に落下した

どうやら、この結界内では、攻撃、移動共に判定箇所は数パターンしか用意されていないようだった

385: 2015/07/03(金) 23:28:53.65 ID:26V5X3xw0
壺ランサー「…なんなんだ!?この世界は…!」

セイバー「これが、ライダーの心象風景…。心に刻み込まれた情景、だというのですか…?」


壺ライダー「諸君、楽しんでいただけたかな?――いや、楽しめるわけもないか。こんなひどい世界では」

壺ライダー「そうだ、コレが…こんなものが、私の心象風景だ。そして、私を私たらしめるシンボルでもある」


壺ライダー「私の最大にして最悪の宝具――固有結界、『クソゲーオブザイヤー』」


壺ライダー「心ゆくまで…堪能してもらおうか」

400: 2015/07/05(日) 18:28:37.75 ID:cmYTEz8W0
壺ランサー「…『クソゲーオブザイヤー』、か。成程、それならばこの世界も一応は納得できるな」

セイバー「どういうことですか?ランサー」

壺ランサー「――『2ちゃんねる』に存在する『家庭用ゲーム板』内のとあるスレでは…その年一番のゲームを決定するために日々議論が行われている」

セイバー「一番のゲーム…それならば名誉なことでは?この世界と一体何の関係があるというのですか?」

壺ランサー「一番と言っても…一番の『クソゲー』、だがな。そしてライダーは、そのスレのマスコットキャラクターだ」

セイバー「……」

壺ランサー「その知名度は、もはや『2ちゃんねる』のみに留まらない。多くのサイトを通じて宣伝され、ネットユーザーの間では毎年の風物詩のようになっている」

セイバー「…それらによって多くの人からの信仰を得て、イメージが形成された存在がライダーであり…あの宝具である、ということですか」

壺ランサー「勿論、ライダーがサーヴァントとして呼び出されるほどの信仰を得たのは、もともと『2ちゃんねる』上でイメージが形成されていたからこそだ」

壺ランサー「だが、固有結界としてこの世界を作り上げるまでになってしまったのは、間違いなくそれらが原因だろう」

401: 2015/07/05(日) 18:29:13.64 ID:cmYTEz8W0
セイバー「ライダーが言っていた最悪の宝具、と言うのはそういうことですか…。自身の意志とは関係なく身につけてしまった、呪いのような力であると」

壺ランサー「この世界は、言ってみればクソゲーをクソゲーたらしめている要素の体現。全く、恐ろしい宝具だ」

壺ランサー「…だが、今ライダーは魔力供給を受けていない状態。この固有結界を…いや、ライダーの肉体を維持できるのも、令呪によるブーストが尽きるまでの間だけだ」

壺ランサー「言い換えれば、もうライダーの消滅は決定している。この状況でセイバーが倒されたら…こちらとしてはあまり好ましくない状況になるな」

セイバー「…ですが」

壺ランサー「わかってるさ、マスター。それでも私達は、この戦いに干渉しない」

壺ランサー「二人の氏力を尽くした戦い。どんな結末を迎えようと、最後まで見届けるつもりだ」

402: 2015/07/05(日) 18:30:08.44 ID:cmYTEz8W0
壺セイバー「…」ムクッ

壺ライダー「流石に頑丈だな。だが、いつまで持つかな」

壺セイバー「…お前、それでいいのか?」

壺ライダー「…どういう意味だ?」

壺セイバー「このまま俺が何もしなければ、お前が消えるのは火を煮るより明らか。つまり俺はこのままタイムアップでいいんだが?」

壺ライダー「…」

壺セイバー「俺は体力もかなり高い。このまま攻撃を耐え続けるくらいチョロいもん。お前が自分から仕掛けてこない限り時既に時間切れ」

壺セイバー「俺が思うに、このクソゲー世界はお前にも制御できていないのではないか?暗黒っぽい力は自分でも制御できない系の話は稀によくあるらしいぞ?」

壺ライダー「…その通りだ。先程も言ったように、この世界に法則など未実装だからな」

壺ライダー「この世界に引きずり込まれた者は、皆、プレイヤーだ。…攻略に挑むプレイヤーに理不尽を突きつけ、破滅させる。それがこの宝具というわけだ」

403: 2015/07/05(日) 18:31:33.95 ID:cmYTEz8W0
壺セイバー「やはりナイトの洞察力は鬼の力といったところか」

壺ライダー「真のクソゲーというものは、実際にプレイしてみなければわからないものだ。ただの傍観者であれば、この宝具の効力は及ばない場合もある」

壺ライダー「…まぁ、それが正しいクソゲーへの対応なのかもしれないがな」

壺セイバー「…お前は何もわかってないな そのネガ丸出しな考えが雑魚の証」

壺ライダー「…何だと?貴様…!」

壺セイバー「お前には心を広くすることが必要不可欠。…マスター!俺にも令呪を使わせろ」

士郎「な、何ィ?」

壺セイバー「このままではマスターの寿命は魔力切れでマッハ。ライダーみたいに令呪の魔力を使わせろと言っているサル!」

士郎「や、やるます!」パァァ

壺ライダー「な…!?この宝具の特性を理解しているというのに、何をするつもりだ…?」


壺セイバー「『生半可なナイトでは使えないホーリ』!」カッ

404: 2015/07/05(日) 18:33:04.41 ID:cmYTEz8W0
ササッ

壺ランサー「ぐあああああああ!」バシュッ

セイバー「ラ、ランサー!?」

壺セイバー「ちい、外れたか…」


セイバーは、今回の聖壺戦争の中で最も多彩な宝具の使い手であった

その場その場の状況、戦いを挑む相手によって宝具を使い分ける事が可能であり、それが最大の強みとなっている

セイバーの有する宝具の中で、最も射程の長い『生半可なナイトでは使えないホーリ』をライダーに対して発動したが

何故か射線上にランサーが割り込み、攻撃が遮られた


セイバー「ランサー、大丈夫ですか!?」

壺ランサー「あ、ああ…対魔力のお陰で、痛い程度で済んだよ…」


壺ライダー「何の真似だ、セイバー!?貴様は自分で言っていたではないか、そのまま時間切れを狙えば済む話だと…」

壺セイバー「…お前は馬鹿すぐる。クソゲーオブザイヤーの意義を忘れたのかよ」

壺ライダー「…意…義……」

409: 2015/07/09(木) 00:37:22.17 ID:8+YIuXtp0
壺セイバー「本当にクソゲーをスルーすることが正解ならよ、そもそもクソゲーオブザイヤーなんていらないんですわ?お?」

壺ライダー「……」

壺セイバー「どれが1番のクソゲーか決めるってことはよ、それを実際にプレイしたプレイヤーが居るってことだろ 英語で言えばサクリファイス」

壺セイバー「つまり、クソゲーだとわかってても逃げずに立ち向かった挑戦者たちだ 見事な仕事だと感心はするがどこもおかしくはないな」

壺セイバー「それなのにお前はネガってばっかりでよ 決着を付けるとかいいながら突っ立ってるだけの亀頭頭の雑魚」

壺セイバー「――俺が思うに、『クソゲーに絶望する』ではなく『クソゲーを笑い飛ばす』ってのがこの世界の正しい姿なのではないか?」

壺ライダー「…クソゲーを、笑い飛ばす…か」

410: 2015/07/09(木) 00:37:58.46 ID:8+YIuXtp0
壺ランサー「…クソゲーオブザイヤーの根底にある考えは、ブロントさんの言ったとおりだ」

壺ランサー「クソゲーを掴まされた怒り、悲しみ、悔しさ…そして、製作者への憎しみ。それらを全て大げさにして笑い飛ばしてやろう、というわけだ」

セイバー「成程…単に怒りに任せて当たり散らそう、というわけではないのですね」

壺ランサー「ああ。スレ住民が苦しみを堪えながら必氏にクソゲーをプレイするのも…『絶対にこれを笑い飛ばしてやる』という強い意思によるものだ」

壺ランサー「…勿論、容易なことではない。クリアまで辿りつけずに、無念のまま散った者も多くいる」

セイバー(ちょっと大げさじゃないでしょうか…?)

壺ランサー「いわばクソゲーオブザイヤーとは…そういった挑戦者達への鎮魂歌でもあるんだ」

セイバー「…ええ……?」

411: 2015/07/09(木) 00:39:53.63 ID:8+YIuXtp0
壺ライダー「貴様は私に、この世界から目を背けず挑戦しろ…と言いたいわけか」

壺セイバー「口で説明するくらいならおれは牙をむくだろうな おれパンチングマシンで100とか普通に出すし」

壺ライダー「…ふっ。たまにはプレイヤーの立場になるのも悪くはない」



壺ライダー「――行くぞ、セイバー!この世界をも攻略して、私が真の勝者になる!」ダッ


壺セイバー「――封印が解けられた!うおおおおおおおおおおおお」ダッ



壺ライダー「…」ダッダッダ

壺セイバー「…」ダッダッダ


壺ライダー「…」

壺セイバー「…」


壺ライダー「…」ダッダッダ

壺セイバー「…」ダッダッダ


セイバー「…あの二人、全然距離が縮まりませんね」

壺ランサー「おそらく、移動距離の判定が常に最低値になってるんだろうな…」

412: 2015/07/09(木) 00:40:34.51 ID:8+YIuXtp0
桜「きゃあ!?わ、私の下半身が…消えた!?」

士郎「もしかしてこっちでなんか生えてるコレのことですかねぇ…?」

桜「ちょっ!?ジロジロ見ないで下さい先輩!目を後ろから破壊しますよ!?」

士郎「マジ震えてきやがった・・怖いです;;」


壺ランサー「ははは、ライダーの奴が覚悟を決めてから、この世界も更に活発に活動し始めたな」ゴオオオ

壺ランサー「傍観してれば安全なんて、嘘っぱちじゃないか」ゴオオオ

セイバー「笑ってる場合ですか!?ランサー!気を抜いたら後ろの何かに吸い込まれますよ!?」ゴオオオ

壺ランサー「ああ、絶対に体勢を崩しちゃ駄目だ、マスター。下手したら2度と出てこれなくなる」ゴオオ

セイバー「はぁ!?」ゴオオ

413: 2015/07/09(木) 00:42:10.32 ID:8+YIuXtp0
壺セイバー「何だコイツら!一歩歩く毎に湧いてくるなよたいがいにしろよカスが!!」ザシュ

壺セイバー「おいィ!?先制で麻痺はやめふぇ下さい!経験値ロストが怖いんです!」


壺ライダー「ええい!前に進むだけなのに変なイベントを発生させるな!それはもう5回は見た!」

壺ライダー「何ィ!?ここより先に進むためには…課金(魔力供給)が必要だと!?」シュウウ

壺ライダー「や、やめろ!タダでさえ私の体に残された魔力は残り僅かなのに…うわああああ!」シュウウ


壺セイバー「まただよ(泣)スタート地点に戻され想像を絶する悲しみがブロントを襲った」


壺ライダー「ひいい!首が…首が反対に!」


壺ランサー「あの二人、まだ直接やりあってないのに…どっちも既にボロボロだな」ゴオオオ

セイバー「最初にライダーが物理を喰らわしていましたが、確かにそれだけですね。…それよりもランサー。そろそろ限界が近いのですが」プルプル

壺ランサー「…我々が消えるのが先か、二人の決着が付くのが先か、だな…」ゴオオオ

セイバー「……」ゴオオ

414: 2015/07/09(木) 00:43:45.56 ID:8+YIuXtp0
壺セイバー「ハァ…ハァ…たいがいにしろよカスが…」

壺ライダー「ふぅ…遂にここまで辿りついたか…」


セイバーとライダーは、数多くの苦難を乗り越え

遂に至近距離で対峙した

お互い、既に心身ともに疲労のピークを迎えてはいたが

闘志の減衰は全く感じられなかった


壺セイバー「…俺は俺は武器なんか持たなくても素手で怪力だから強い 多分奥歯が揺れるくらいの威力はあるはずだしね」ググッ

壺ライダー「グラットンソードを置いてきたか。懸命な判断だな。この世界では、余計な処理を引き起こすような要素はなるべく排除しておいた方がいい」

壺ライダー「結局、最後は拳(物理)での決着か。…面白い」グッ

415: 2015/07/09(木) 00:44:31.82 ID:8+YIuXtp0
二人は拳を固め、ゆっくりと近づいた

そして、相手の体が自分の攻撃の射程圏内に入った瞬間――


壺セイバー「――!!」ブンッ

壺ライダー「――!!」ブンッ


互いの顔面目掛け、渾身の一撃を繰り出した




――しかし、その一撃が届くことはなかった


壺セイバー「…おいィ……」


壺ライダー「…スマンな、セイバー。時間切れのようだ」シュウウウ


ライダーの拳は、もはや形をとどめていなかった

428: 2015/07/11(土) 00:13:12.73 ID:6mLuV8Ti0
桜「ライダー!?」

壺ランサー「…ライダーの体が、消えていく。…スッキリしないが、コレで決着のようだな」

セイバー「もはや、ライダーに肉体を維持するだけの魔力が残っていない…ということですね。ということは、この世界も…」


シュウウウ…


ライダーの生み出した世界は、徐々に崩壊し始めた

ライダーの体が消え去るのを待たずに、固有結界は完全に消え去り

セイバー達は、元の世界に再び足を付けた

429: 2015/07/11(土) 00:14:14.95 ID:6mLuV8Ti0
桜「そんな…ライダーが唯一望んだ、戦いの決着…それすらも叶わないなんて」

桜「そんなの、悲しすぎるよ…」シュウウ

ライダー「…そうか。私の敗北によってマスターも消え去る運命なのだったな」

ライダー「不甲斐ないサーヴァントで済まなかった。最後まで付き合ってくれて…」

壺セイバー「…マスター、令呪を全部使うべき」

士郎「…!?おい馬鹿やめろ 流石にそれは頭がおかしくな」

壺セイバー「はやくしテ!!」

士郎「hai!!!」ピカアア

430: 2015/07/11(土) 00:15:05.82 ID:6mLuV8Ti0
壺ライダー「…何の真似だ?セイバー」

壺セイバー「俺には令呪が2個も残っていた もうここまででも十分に俺の勝ちは圧勝に決まっていたのだが更に攻撃は続く」

壺セイバー「それを全部使ってればよ、リアル世界よりも充実したクソゲー生活が認可されていただろうな」

壺セイバー「…この戦いの決着は付いた。お前安心して消えていいぞ」

壺ライダー「…要するに令呪を全部使い切って、全てを出し尽くした戦いならば…自分が勝っている、と言いたいのだろう」

壺ライダー「んなこと認めるか!私だって令呪全部温存してたらまだまだ戦えていたわ!」

壺ライダー「……だが…感謝する、セイバー」

壺ライダー「その令呪、手向けとして受け取っておこう」シュウウウ

431: 2015/07/11(土) 00:16:56.58 ID:6mLuV8Ti0
桜「…ライダー……」シュウウ

壺ライダー「…泣いてくれているのか、マスター。こんな私のために…」

壺ライダー「悲しむことはない。例えもう二度と会えなくなったとしても…思い出は消えない筈だ」

壺ライダー「そうだ、是非『オプーナ』を購入して遊んでみてくれ!それをプレイすれば、いつでも私のことを思い出せるさ」

桜「ううん…必要ないわ、ライダー。あなたの言うとおり、そんなものが無くたって…思い出は消えないもの」

壺ライダー「あ、うん。そうだな…」シュウウウ

桜「…先輩、セイバーさん。私は一足早く脱落しちゃいますけど…姉さんにだけは負けないでくださいね?」シュウウ

桜「負けたら私…怒りますよ?」シュウウウウウウウ

壺ライダー「では、さらばだ諸君!君達に神ゲーの加護があらんことを!」シュウウウウウウウウウウ


残った者たちへ真情を吐露し

ライダーと桜は、完全に世界から消滅した

そこには遺恨も後悔も残ってはいなかった

432: 2015/07/11(土) 00:19:01.37 ID:6mLuV8Ti0
士郎「…実際俺は時計塔でも結構有名でケンカとかでもたいしてビビる事はまず無かったが生まれて初めてほんの少しビビった」

壺ランサー「…お疲れ様だ、ブロントさん。今は少しでも傷を癒やすんだ。すぐにバーサーカー達との戦いも控えている」

セイバー「前回の戦いを踏まえると、凛達の取る戦法がおおよそ推測できます。あまり時間を与えたくはないですね」

壺セイバー「休憩は9分でいい。ナイトがあの程度でダメージを受けると思う浅はかさは愚かしい」

セイバー「…幸い、ここは癒しの湖の畔です。本当に9分だけだとしても、体力の回復ぐらいは…」

士郎「…湖がいくえ不明なんだが?」

セイバー「え?…そんな!?」


先ほどまで湖があった場所には

大きな穴のような暗闇が広がっていた

吸い込まれそうな感覚を覚える程暗く、底すらも見えなかった

433: 2015/07/11(土) 00:20:52.82 ID:6mLuV8Ti0
~~~~

壺アサシン「うひょおおお。色んな所に大穴が開いてまちゅ!大事でちゅよ!」

言峰「…データに破損が見られる。この世界の20%程度の面積が消失したようだ」

壺アサシン「うわぁ…固有結界一つで大惨事でちゅわね。ま、もともとが大きすぎたからちょうどいいくらいでちょ」

言峰「これではサービス開始はまた数ヶ月は先送りになるな。全く、笑えない冗談だ」

言峰「…お前を除けば、残るサーヴァントは4体。そして、2陣営別れての2対2での戦いがもうすぐ始まる。――結末が見えてきたか」

壺アサシン「思ったんでちゅけど、魔力のパスの切断とかGM権限でできるなら、あたち必要ないんじゃないでちゅか?」

言峰「魔力供給はサーヴァントとマスターを繋ぐ、『聖壺戦争』の根幹とも言えるシステムだ。いくらGMとはいえ、容易に介入できるわけがなかろう」

言峰「パスの切断には、そのサーヴァントを構成している魔力…つまり、そのサーヴァントの魂とほぼ同じ容量の魔力が必要となる」

言峰「サーヴァントの魂を収集するためにこの『聖壺戦争』のシステムを作ったというのに、それでは本末転倒だ」

言峰「…加えて、固有結界の影響により発生したバグによって、システムにも異常が出ている。端末に情報を発信することもできなくなった。ましてやパスの切断などもっての外だろうな」

壺アサシン「うーん…とりあえずは準備しておいたほうがよさそうでちゅね」

言峰「そういうことだ。――この先の戦い、本当に何が起こるかわからんぞ」

439: 2015/07/14(火) 23:32:29.50 ID:JsILzHuM0
~~~~

凛「…駄目。端末にアクセス出来ない」

壺キャスター「やっぱり、さっきの地震となんか関係あるのか?」

凛「それを確認しようと思ったんだけど…綺礼のやつ何してるのよ」

アーチャー「いつまでそうしているつもりだ、凛。我々には時間がない。セイバーはこの場所を知っているのだろう?」

凛「…ええ。そして、私達が今ここにいることもお見通しでしょうね」

アーチャー「だからこそ、奴らに攻めてこられる前に準備を整えねばならんのだ。確かに、先程の大きな揺れは気になるところだが…遊んでいる暇はない」

凛「…フン。わかってますよーだ。で、そっちは何してるわけ?私達が工房を作ってる間に、アンタはせっせと野良稼ぎ?」

アーチャー「森の中での戦いとなれば、取れる手段は他にもある。準備は必要だ」

アーチャー「この薄暗い森の中は、私にとっても好都合だ。何、君らにとっても悪い様にはならないさ」

凛「だったらいいけど。ついでに、『切り札』ってやつにも期待していいのよね?」

アーチャー「無論だ。…尤も、それを使うと私の魔力も底をつく。使うタイミングは見極める必要があるな」

凛「…ふぅん」

キャスター「……」

440: 2015/07/14(火) 23:33:03.64 ID:JsILzHuM0
~~~~

セイバー「…言峰綺礼に問い合わせをしようと思ったのですが…支給された端末が全く反応しなくなってしまいました」

士郎「俺の投影でも直せない直しにくい!この端末作ったの絶対忍者だろ…」

壺セイバー「通話も出来ないスマほに未来はにい。このまま埋め立てゴミとしてひっそりと幕を閉じる」

壺ランサー「…そうなると、バーサーカーのマスター達も端末を確認できない可能性が高いな。彼らはまだ、ライダーが脱落したことも知らないのかもしれない」

セイバー「…情報の優位性はこちらにあり、ですか。おそらくこの世界に起きている崩壊の原因は、ライダーの固有結界の影響と見て間違いなさそうですね」

壺セイバー「…そういえばお前敵の居場所に心当たりがありそうなおかしな事言ってたな どういうことなのか説明すべき」

セイバー「…先日、凛とキャスターは、我々を迎え撃つために森に陣地を構えていました。その森の中ではキャスタークラスのスキルに上方修正がかかるようです」

セイバー「陣地内での戦いでは、ランサーの攻撃も通じませんでした。あそこで陣地形成に時間を懸けられてしまうと、非常に厳しい戦いになるでしょうね」

壺ランサー「彼らにあまり時間を与えたくはない、と言うのはそういうことだ。相手がキャスターだからといって、侮らない方がいい」

壺ランサー「あの時と違いこちらにはブロントさんがいるが、あっちにもバーサーカーがいる。素直に正面突破もさせてくれないだろうさ」

441: 2015/07/14(火) 23:33:43.80 ID:JsILzHuM0
壺セイバー「…なら、今すぐにでも出発した方がいいと思った」ググッ

壺ランサー「……ブロントさん、無理はしない方がいい。君もかなりダメージを受けているだろう」

壺セイバー「ナイトならこの程度チョロいもん。…休憩時間は9秒でいい。謙虚なナイトは人気者でLSでも引っ張りだこ…」

壺ランサー「…休憩したまえ^^」

壺セイバー「休憩した^^」

士郎「すごく休憩したい^^」

壺ランサー「やれやれ…休息を取るのは君だけではなく、君のマスターのためでもあるんだよ。令呪は0、魔力も空っぽじゃとても戦えないだろ?」

壺セイバー「「」確かにな だがそれではキャスターの奴が調子ぶっこくのではないか?」

442: 2015/07/14(火) 23:39:28.76 ID:JsILzHuM0
セイバー「…凛達は我々がすぐにでも攻め込んでくると思っているはず。もう森に着いているとしたら、今こうしている間にも陣地の作成を進めているでしょうね」

セイバー「ならば、彼女たちにはこのまま作業を進めてもらいましょう。そして、我々は夜明けまで休憩した後出発します」

セイバー「彼女たちは工房を一晩中作り続けることでフィールドのアドバンテージを得ますが、代わりに夜通し作業を続けることで疲労がピークを迎えるはずです。少なくとも、マスターである凛やアーチャーは」

壺ランサー「逆に我々は、不利なフィールドでの戦闘を強いられるが、体力的なアドバンテージを得る…ってことかな?」

壺ランサー「さらに言えば、我々は攻めこむ側、キャスター達は攻め込まれる側だ。あちらは一瞬たりとも油断ができない状況に追い込まれている。精神的な疲労も大きいってわけだ」

セイバー「その通りです。ライダーが健在で我々の状態も万全であればすぐさま攻め込んでも良かったのですが…現状ではコレが最良でしょう」

壺セイバー「…」

セイバー「夜明けまでゆっくり休んでいて下さい。士郎、セイバー。――決戦は明日です」

443: 2015/07/14(火) 23:40:01.20 ID:JsILzHuM0
少ないですが以上です

445: 2015/07/15(水) 23:17:31.83 ID:qz2+E3wm0
~~~~

凛「ハァ…何とか形になったわね。疲れた…」

壺キャスター「全くだ。いつセイバー達が攻めてくるか気が気じゃなかったぜ」

凛「けど、充分に戦えるだけの陣地は出来たわ。これでいつ桜達が攻めてきても…」

壺ライダー「そんなヘトヘトな状態で戦えるのか?少し休んだ方がいいんじゃないか、マスター」

凛「…そうね。あっちも急いで攻めてくるつもりも無いみたいだし、少しくらい…」


アーチャー「――そうも言っていられないようだぞ、凛」


アーチャーは、木の上から森の外を見渡し、そう呟いた

森に貼られた結界の効果により、アーチャーの姿は森の外からは視認できない

しかし、アーチャーもこの世界では弓兵としての視力は失われているので

近づいてくる敵に対して、遥か遠くからその姿を確認することは出来なかった


凛「…!?まさか、このタイミングで…」

アーチャー「…ライダーの姿が見えない。まさか…」ボソッ

壺キャスター「いきなり結界を破壊される訳にはいかない。俺達は迎撃に向かうぞ」

アーチャー「私も行こう。…少し計画に修正が必要かも知れないな」

446: 2015/07/15(水) 23:18:39.75 ID:qz2+E3wm0
~~~~

セイバー「やはり…結界が貼られているようですね」

壺ランサー「体が重いな…だが、逆に考えれば、ここにキャスターがいることの証明でもある」

壺セイバー「この程度の結界、鬼の破壊活動で破壊してしまおうという意見」

壺ランサー「しかし、よくよく考えて見れば…本当にバーサーカーとキャスターが組んでいるのか、まだ確証は…」

「いいや、その考えは間違っていないぞ、ランサー」

士郎「…!この声は…」

アーチャー「随分とのんびりしているじゃないか、セイバー。お陰でここら一帯は我々の陣地となったわけだが」

壺キャスター「オイオイ、まるで自分が作ったみたいに言うじゃねぇか。…久しぶりだな、ランサー」

セイバー「アーチャー…!やはり、凛と…!」

アーチャー「勘違いするなよ、先に手を組んでほしいと懇願してきたのは彼女の方だ」

凛「余計なこと言わなくていい!…まったく、いっつもセイバーは変なタイミングで攻めてくるんだから…」

447: 2015/07/15(水) 23:19:41.48 ID:qz2+E3wm0
アーチャー「それより…ライダーの姿が見当たらないようだが?」

壺セイバー「…」

アーチャー「まさか、仲間割れでも起こしたのか?ふっ…大方、報酬の取り分のことで揉めでもしたのだろう」

士郎「…!おいお前マジ」

壺セイバー「その程度の挑発に乗ると思ってるならお前の頭は必要ないな後ろから破壊してやろうか?お前らにライダーの何がわかるっていうんだよ」

壺ランサー「…ライダーはブロントさんとの一騎打ちを望み、そして…消滅した。つまり、この戦いは2対2のイーブンな状態ってわけさ。嬉しいだろ?」

壺キャスター「…!?」

凛「へ、マジで!?」

アーチャー「…ほう。それは我々にとっては僥倖だ。無論、3対2でも勝算はあったがね」

凛(…いけしゃあしゃあとよく言うわコイツ!)

448: 2015/07/15(水) 23:21:53.67 ID:qz2+E3wm0
----

凛『…ライダーを利用する?』

アーチャー『ああ。3対2での戦いになれば、どうあがいたところで我々の勝ちは薄い』

アーチャー『だが、フィールドを森で固定すれば、ある程度持ちこたえることはできる。…そうだろう、キャスター?』

壺キャスター『ああ。あの森の中なら、俺のお守りも親父のお守りと同等の力を宿せる』

アーチャー『それが聞ければ充分だ。――筋書きを説明するぞ』

アーチャー『森に着いたら、キャスターと凛には協力して工房を作成してもらう。これは前回、君達がランサーと戦った時と同じ事をしてくれればいい』

アーチャー『そして、戦闘が始まったら…奴らはまず結界を破壊しようとするだろう。そこでキャスターは全力でセイバー、ランサーの2体を抑えこんでくれ』

壺キャスター『…それだけでもかなり無理難題ではあるんだが…宝具も併用すれば出来ないことも無いだろう。だけど、2体だけでいいのか?ライダーはどうするんだ?』

アーチャー『ここからが重要だ。ライダーには敢えて隙を見せる。我々に取って一番厄介なのは、あの機動力で好き勝手暴れられてしまうことだ』

アーチャー『そこで、敢えて結界内に手薄な箇所を作り…ライダーを侵入させる。そうなれば当然、ライダーは術者のキャスターを狙うだろう』

アーチャー『ライダーが突撃してきたら、凛は令呪を使いキャスターを転移させてくれ。そして、キャスターの後方で控えさせたバーサーカーの力を使い、ライダーを狂化させ…』

449: 2015/07/15(水) 23:22:52.29 ID:qz2+E3wm0
凛『ちょ,ちょっと待ちなさいよ!アンタ、私に令呪を1画無駄遣いさせておきながら、また令呪を使わせる気!?いくらなんでもそんなこと…』

アーチャー『いいか、凛。これは君への嫌がらせで言っているわけじゃない。令呪を使って転移をさせる理由はある』

アーチャー『バーサーカーの力についてはある程度知っているだろう。こいつの力の影響を受けたものは、狂化していない相手を優先して狙う』

アーチャー『つまり、せっかくライダーを狂化させても、キャスターに狙いを定められては意味が無いんだ』

凛『…』

アーチャー『逆に、キャスターがその場から離脱してしまえば…奴は狂化されていないセイバーとランサーを標的にする』

アーチャー『そうなれば、あとは簡単だ。奴らは力の制限される結界の中で、激しく動きまわるライダーを相手にしなければならない』

アーチャー『それなりに傷を負わせて退場してくれれば上出来だ。手負いのサーヴァント相手ならば、キャスターの宝具でも十分仕留められるだろう』

アーチャー『理想としては、ライダーが2体のうちどちらかと相打ちになってくれるのがベストだ。そうなれば、残った1体に心置きなく『切り札』を使用できる』

450: 2015/07/15(水) 23:23:48.06 ID:qz2+E3wm0
壺キャスター『…一応、こっちにも令呪は1画余るわけだな。いいんじゃないか、それで。なぁ、マスター?』

凛『…ハァ。ま、私達ももともと厳しい戦いになることは覚悟してたし、少しでも勝機がつかめるなら文句はないわ』

アーチャー『…決まりだな。勿論、うまく計画通り事が進むとは限らない。常に最悪のケースを想定し行動してくれ』


----

凛(あんなこと言ってたくせに、いきなり予定変更じゃない!)


アーチャー(やれやれ…どうもここでは格好がつかないな)

アーチャー(しかし…面白くなってきた)

453: 2015/07/22(水) 23:53:15.90 ID:og3Fn3G10
壺ランサー「ライダーの損失は私の働きで補おう」チャキッ

壺ランサー「マスター、指示を」

セイバー「…ランサー、宝具の使用をお願いします!」

壺ランサー「心得た!」ググッ

凛「ちょ!?いきなり!?キャスター、障壁を展開して!」

壺キャスター「応っ!」


壺ランサー「紫電の槍(ライトニングスピア)!!」


ランサーの槍から放たれた一閃は

雷撃となって激しく発光し、轟音をあげながらキャスター達に向かって放たれた

いや、正確に言えばそれはキャスターや凛を狙ったものでなく

その場そのものを吹き飛ばそうという一撃であった

しかし――

シュウウ

壺キャスター「…無謀なやつだな。結界内で宝具を使おうとするなんて。入り口なら効果が薄いとでも思ったのか?」



その雷光は本来の威力を発揮することができず

キャスターの展開した障壁によって完全に防がれた

454: 2015/07/22(水) 23:54:45.94 ID:og3Fn3G10
壺ランサー「無謀?いや、違うな。前回の戦いがあったからこそ、この戦いでは氏力を尽くすと決めたのさ」

壺ランサー「君のその障壁…そのお守りのような魔術礼装によって瞬時に展開しているのだろう?当然、数に限りはあるはずだ」

壺ランサー「いくら威力と範囲が削がれているからといって、僕の宝具の一撃を一個や二個消費した程度で防ぎ切れるとは思えない」

壺ランサー「だったら、障壁を展開できなくなるまで攻撃を叩き込むまでだ。そして丸裸になった君ごと、ここの結界を破壊すればいい」


壺キャスター「…それを、俺が黙って見てると思うのか?ここでなら、お前とも互角にやりあえるぞ」ググッ

壺ランサー「自分に有利なフィールドだからって、ずいぶん強気だなキャスター」

壺キャスター「キャスターってのは、そもそもそういうクラスだ。マスター、念のため奥に引っ込んでてくれ。体力も限界だろ?」

凛「…ごめんね。ここは頼んだわ、キャスター」タタタッ

455: 2015/07/22(水) 23:56:03.04 ID:og3Fn3G10
壺セイバー「俺にも一撃を使わせろ。こういう時は出し惜しみしないのが人気の秘訣」

壺ランサー「いいや、ブロントさんはまだ下がっていてくれ。…下手に視線を動かして、バーサーカーにやられるのが怖い」

壺バーサーカー「……」

壺キャスター「それでこっちを禄に見もせずに宝具をぶっ放したのか。まぁ、そのほうがこっちにとっても好都合だが」


アーチャー「…キャスター。その礼装を全て使い…ここで奴らを足止めしてくれ」

壺キャスター「…!?」


壺ランサー「なんだと…!?」

セイバー「虎の子の防御手段を、ここで全て使い切る、と…!?」


キャスター「お前、何言って――」

アーチャー「『アレ』を使うには少々時間が必要だ。しかし、そいつらを完全に仕留めるには『アレ』を使う以外にはない」

キャスター「……?」


アーチャー「だから、そいつらの動きを封じている間に…我々は『予定通り』森の奥でアレを起動させる」

456: 2015/07/22(水) 23:57:04.62 ID:og3Fn3G10
壺キャスター「…!チッ…そういうことかよ」


その場の誰もが、アーチャーの発言に耳を疑った

その僅かな不意を突き、キャスターは空中にお守りをばら撒いた


壺ランサー「しまっ…!」

セイバー「ランサー!全部吹き飛ばして――!」


壺キャスター「『破ぁ!!』」


キャスターの叫びとともに、お守りから光の障壁が展開された

空中に散らばった複数のお守り一つ一つから展開された障壁は連鎖的に結合していき

一つの強固なドーム状の障壁となってランサーたちを包み込んだ

457: 2015/07/22(水) 23:58:28.51 ID:og3Fn3G10
アーチャー「上出来だ。行くぞ、キャスター」

壺キャスター「…しばらくそこでじっとしててくれ。じゃあな」


相手の動きを一方的に封じた有利な状況にもかかわらず、敵の方へは目もくれず

キャスターたちは、そのまま森の奥へと消えていった


壺セイバー「は、恥知らずなキャスターがいた!ガード固めるのは結構だが他人にガード強制するのは犯罪だろ・・・。こんなことしなくてもナイトは既にガードがかなり硬い 早く出せよ切り裂かれたいのか!?」ガンガン

壺ランサー「この!クソッ、かなり強固なバリアだ。生半可な攻撃じゃびくともしないぞ!」

セイバー「くっ…こんな狭い空間内に閉じ込められてしまったのでは、ランサーの宝具は使えませんね…」

士郎「やはり頼りになるのはソロ装備の貧弱一般ジョブではなく黄金の鉄の塊で出来たセイバーであるということが証明されたな セイバーお前全力出してもいいぞ」

壺セイバー「どちかというと大賛成だが…マスターはそれでいいのか?たしかに俺の一撃は破壊力ばつ牛ンだが使う魔力の量もえごいぞ?バーサーカーでもないのに魔力切れをおこして氏ぬことはまれによくあるらしい」

士郎「俺の身を案じるくらいなら令呪を無駄に使わせていないという時点で俺の勝率は100%だった。今更gdgdいってないで早く始めろといっているサル!」

壺セイバー「…俺がこの程度でビビると思う浅はかさは愚かしい。――グラットンスイフトでバラバラに切り裂いてやろうか!」

458: 2015/07/23(木) 00:00:19.71 ID:++pwKHfB0
~~~~

壺キャスター「…なぁ、さっきのって…」タッタッタ

アーチャー「無論、フェイクだ。このままあの場所で奴らの攻撃を受け続けていてはジリ貧なのでな。どうしても奴らには森の奥にまで入ってきてもらう必要があった」タッタッタ

アーチャー「あそこまですれば、奴らも『急いで森の奥に向かって、我々を止めなければ』と考えてくれるだろうさ。その結果、一番留意すべき『敵の本拠地に乗り込む』ということへの警戒心が薄れるというわけだ」

壺キャスター「やっぱりな。しかし、発言に説得力を持たせるためとはいえ…貴重なお守りをアレだけ消費するのは痛いぜ」

アーチャー「それに見合う成果は得られる筈だ。ライダーの脱落は予想外の出来事ではあったが…念の為に準備しておいた別の方法に切り替える」

壺キャスター「そんなのまで用意してたのか。用意周到なことだ」

アーチャー「バーサーカーがまっとうな戦いができるサーヴァントではないのでな。その分頭を使わねばならんのだ」

アーチャー「まぁ、どちらかと言えばこういう戦い方のほうが私の性に合う。――例え騎士クラス相手だろうと、沈めてみせよう」

462: 2015/07/26(日) 17:58:23.94 ID:inr+3Jng0
~~~~

壺セイバー「うおおおおおおおおおお」ザシュッ

壺セイバー「ついげきのグランドヴァイパ!」ガキィ


壺ランサー「よし!障壁が消滅した」

士郎「まぁわかってた(予知夢) ナイトの剣を三度までという名セリフを知らないのかよ」

セイバー「キャスター達が何を企んでいるのかはわかりませんが…このまま放置してはまずいことになるのは確定的に明らかです。急いで追いかけましょう!」

壺セイバー「おい、待…うっ…」ガクッ

壺ランサー「ブロントさん!?…やはり、まだライダー戦のダメージが回復しきっていないようだな」

士郎「!?おい、しっかりすろセイ…バー…」フラッ

セイバー「士郎!…障壁を破壊するのにも、かなりの魔力を使ったようですね」

463: 2015/07/26(日) 17:59:01.41 ID:inr+3Jng0
セイバー「2人共、しばらくここで待っていてください。我々が先行して彼らを止めます。行きましょう、ランサー!」ダッ

壺ランサー「ああ!待ってるぞ、ブロントさん!」ダッ

壺セイバー「お、おいィ!待て…」

士郎「…ナイトの必氏の制止を振りきって先行する恥知らずな槍使いがいた!ナイトがいないPTに未来はにい…」

壺セイバー「…あのくっころ騎士は気持ちが先走ってて結構危険 これが罠ならあいつ氏んでるぞ」

士郎「こっちの世界ではマスターになったことで何か策士気取ってるがリアルでは猪タイプだからな。人間そうそう生き方は変えられないと思った」

壺セイバー「…これはモタモタしていられない感。時既に時間切れになる前に動くべき」

464: 2015/07/26(日) 18:00:19.09 ID:inr+3Jng0
~~~~

壺ランサー「何個か結界の起点らしきものを潰したが…まだ結界が完全に消える気配はないな。この森中に起点を分散させているのだろう」タッタッ

セイバー「…起点潰しなら私一人でも可能ですね。ランサー、あなた一人の方が早くキャスター達に追いつけるはずだ。私のことは気にせず先に行ってください」タッタッ

壺ランサー「…いいのか?俺が離れた瞬間に奴らに襲われたら…」タッタッ

セイバー「キャスターもバーサーカーも、攻撃に秀でたサーヴァントではありません。キャスターの宝具も数発なら耐えられます」

セイバー「それでももし襲われたら…令呪を使ってあなたを呼び戻します。だから、今は一刻も早く彼らに追いついてください!」

壺ランサー「…わかった!気をつけろよ、マスター!」ビュン


そういうとランサーは一気にスピードを上げ、大地を蹴り大きく前方に跳躍した

その滞空時間の長さと移動距離の長さは、まるで空中を闊歩しているかのようだった

数秒後には、完全にランサーの姿は完全にセイバーの視界から消えた

465: 2015/07/26(日) 18:01:02.78 ID:inr+3Jng0
セイバー(これで問題ない筈です。キャスター達は、この陣地の奥で何かを企んでいる。おそらくはアーチャーを倒したバーサーカーの力と何か関わりが…?)

セイバー(…しかし、何故こうも胸騒ぎがするのでしょうか。何か、大きな間違いを犯してしまったような…)


そこまで考えた時、突然世界が大きく揺れた

いや、正確に言えば…変化を起こしたのはセイバー自身だった

突如地面を踏みしめる感覚が消滅し、そのまま下へと引きずり降ろされた

急激な視界の変化に気が動転したセイバーであったが、次の瞬間には何が起きたかを完全に理解した


セイバー(お、落とし穴…!?こんな、こんなものに…私が引っかかってしまうとは…!)


騎士王として円卓の騎士を率いて、多くの戦場で戦果を上げ

自身も多くの怪物、豪傑たちと氏闘を繰り広げ、勝利してきたセイバーにとって

このような幼稚な手に不覚を取るなど、全く予測しかねる事であった

当然、本来のセイバーであればこの程度の罠にかかることはありえない

466: 2015/07/26(日) 18:01:33.90 ID:inr+3Jng0
セイバー(油断した…!今の私は、士郎たちと同じくただのマスターでしかないというのに…!)

セイバー(しかし…中に何かが仕掛けられているわけでもない。ただの時間稼ぎの足止め用の罠ということでしょうか?)

セイバー(…それにしても妙だ。この程度、サーヴァントであれば回避など容易でしょうに)

セイバー(とにかく、今はここから脱出することを考えなければ…)クイッ

セイバー「…え?」


上を見上げたセイバーの視界に入ったのは

穴からセイバーを見下ろすバーサーカーの姿だった

その『眼』は、確実にセイバーの目を見据えていた

467: 2015/07/26(日) 18:03:41.77 ID:inr+3Jng0
~~~~
壺キャスター「おい!もうランサーがそこまで来てるぞ!」ダッダ

アーチャー「さすがに早いな…。二手に別れるぞ。私は右、お前は左だ」ダッダ

壺キャスター「おうよ。まだ、氏ぬなよ!」ダッダッダ


壺ランサー「見つけたぞ!キャスター、バーサーカーのマスター!」

壺ランサー(どっちを狙う?キャスターを倒せれば結界も消滅するだろう。だが…結界が貼られた状態でキャスター相手に勝つのは容易じゃない)

壺ランサー(バーサーカーは得体の知れないサーヴァントだ。だが、マスターだけならば容易に倒せる)


壺ランサー「悪く思うなよ、バーサーカーのマスター!」ダッ

アーチャー「やはり、こちらに来たか…!」

壺ランサー「うおおおおおおおおお!」バッ


ランサーは距離を詰め、アーチャーめがけ槍を突き出した

ガキン

壺ランサー「…やはり、まだ持ってたな」シュウウ

アーチャー「随分冷静じゃないか、ランサー。経験から学んでいたというわけか」


ランサーの槍は、キャスターが作成したお守りから発生した障壁によって防がれた

しかし、これはランサーの予測していた通りであり、動揺は一切無かった

468: 2015/07/26(日) 18:05:33.25 ID:inr+3Jng0
壺ランサー「今のは確認のためさ。あわよくばこれで仕留めようと思っていたのは事実だけどね」

壺ランサー「そして、今の私に躊躇はない」グッ

アーチャー「…!宝具を、使うつもりか。マスターもいないのに勝手な真似をしていいのか?」

壺ランサー「私のマスターはやわな人じゃない。宝具の1つや2つ、発動したところで十分補える魔力量と回復力がある」

壺ランサー「もう礼装も尽きかけているだろう?マスター相手だろうと容赦はしない。ここで終わりにする」

アーチャー「…やってみろ」

壺ランサー「紫電の(ライトニング)…!」


壺ランサー「…!?宝具が、発動できない…!?」


アーチャー「やれやれ…一か八か、不確定要素の大きい策だったが…なんとかうまく行ったようだな」

壺ランサー(どういうことだ?宝具を発動するほどの魔力量が、マスターから供給されていない…?)

壺ランサー「…!?バーサーカーは、どこだ!?――マスター!」

469: 2015/07/26(日) 18:09:43.22 ID:inr+3Jng0
アーチャー「さて、どうする、ランサー。我々が二手に別れた理由を考えることだな」

アーチャー「ここで宝具を使わずに私を倒すのが先か、君のマスターがバーサーカーとキャスターによって倒されるのが先か…試してみるか?」


壺ランサー「…!」

壺ランサー(キャスターはマスターの元に向かっている…!?例えここでバーサーカーのマスターを倒しても、私のマスターがやられてしまったら…)

壺ランサー「…クソッ!待ってろ、マスター!」ダッ


アーチャー「…行った、か。全く、肝が冷えたよ。もう少しランサーが冷静だったら危なかった」

壺キャスター「そう言う割には、アンタはなかなか肝が座ってるな。この状況でハッタリかませるなんてな」スゥ

アーチャー「何、あのアーチャーもそれで倒したようなものだ。…そろそろ穴の中で休息を取っている凛を引きずり出してくれ」


アーチャー「今度はハッタリなどではなく…本当にセイバーのもとに向かうぞ」



470: 2015/07/26(日) 18:10:29.97 ID:inr+3Jng0
以上です。
色々ガバガバですが許してください

471: 2015/07/30(木) 22:16:43.11 ID:CwYGBb/10
~~~~

壺ランサー「マスター!大丈夫か!?」

壺ランサー(おかしい…この近くに確実にマスターがいるはずなのに…姿がどこにも見えない)

壺ランサー「…!あの穴…まさか!?」

壺ランサー「マスター!くっ!こんな罠を仕掛けていたとは…怪我はないか、マスター!?」

セイバー「あ…あアァ…グアあああ…アアア…!」

壺ランサー「落ち着きたまえ!落ち着きたまえー!!」カッ


セイバー「ア…ラン…サー…?」

壺ランサー「よかった…自分を取り戻したか、マスター」

セイバー「え…ええ…すごく…落ち着きました…。です、が…気を抜くとまた、狂気に飲まれてしまい…そうです…」

壺ランサー「気にするな、マスター。マスターはここでおとなしくしていてくれ。キャスター達の相手は、私が…」


壺キャスター「誰の相手をするって?ランサー」

壺ランサー「…キャスター」

472: 2015/07/30(木) 22:18:26.61 ID:CwYGBb/10
凛「アーチャー…あんなもの仕掛けてたなら教えなさいよ…お陰で穴の中で休憩するハメになったじゃない…」

アーチャー「すまないな、凛。まさか自分の結界内で罠を察知できないマスターがいるとは思わなくてな」

凛「私はものすごく疲れてたのよ!今にも倒れそうなくらいフラフラだったの!」

アーチャー「それだけ喋れれば十分だろう。それに、疲れていたのは私とて同じことだ」

アーチャー「なにせこの森に、万が一のことを考え罠を張り巡らせていたのだからな。質よりは数を重視したがね」

壺キャスター「いくら相手に深手を追わせられるような罠を作ったところで、相手が引っかからなければ意味が無い。なら簡素でも数多く仕掛けて、敵がかかる確率をあげとこうってわけだな」

壺キャスター「それは正解だったみたいだぜ。今のこの状況を見る限りな」

壺ランサー「…」


アーチャー「バーサーカーは特別なサーヴァントでな。戦う力をほとんど持たない分、サーヴァント特有の気配も何も感じさせないのだ」

アーチャー「現に、バーサーカーを入口付近で待機させ、セイバーの後を付けさせていたのだが…全く気づかなかっただろう?」

アーチャー「我々を急いで止めようと思ったら、君たちはサーヴァントに先行させると読んだのだ。いや、うまく事が運びすぎて怖いくらいだよ」

アーチャー「…衛宮士郎とセイバーの2人が別行動だったのは予想外だったがな」

473: 2015/07/30(木) 22:20:35.28 ID:CwYGBb/10
セイバー「汚い、な…さすが切嗣の息子きたない…。私はこれで士郎のこと嫌いになった、な…あ…あもりにも…ひきょうすぎる、でしょう…?」

壺ランサー「…まんまとお前たちの策に嵌ってしまったというわけか」

壺キャスター「今まで散々お前に付きまとわれて迷惑してたんだ。俺達の因縁もここで終わらせようぜ、ランサー」

壺ランサー「…」


セイバー「ラン…サー…!私に構わず…宝具を…!」

壺ランサー「…それはできない、マスター。今のマスターからでは、十分な魔力供給が受けられないのだ」

セイバー「…!そん…な…」

壺ランサー「仮に魔力が十分でも…『紫電の槍(ライトニングスピア)』は使えない」

壺ランサー「今のマスターは、辛うじて正気を保っている状況なんだ。アレだけの発光と轟音による刺激を受けたら、今度こそ完全に狂化してしまうかもしれない」

セイバー「……」



壺キャスター「…それで?諦めたわけじゃないんだろ?見せてみろよ。前話してた、『最後の宝具』ってやつを」

474: 2015/07/30(木) 22:23:16.58 ID:CwYGBb/10
アーチャー「…!その話は初耳だぞ、キャスター」

壺キャスター「お前も俺たちに全てを話したわけじゃないだろうが。ま、ここで油断したら負けもありえるってことだ」


壺ランサー「マスター。申し訳ないがしばらくその穴の中でじっとしておいてくれ。そこが一番安全だ。今からここは戦場に変わる」

セイバー「…ならば…せめて…私の、残りの令呪を…魔力として使ってください…。桜がしたように…私も、あなたに…託します…」ピカアア

壺ランサー「ありがとう、マスター。そして…さようなら」

壺ランサー「これを使ったら…勝っても負けても、私はもう元には戻れない」スッ


ランサーが宙に手をかざすと、魔力の発生とともに『それ』は出現した

ランサーは事もあろうに槍を投げ捨て、『それ』を両手で掴んだ


凛「何、あれ…?武器…じゃないわよね…?」

アーチャー「冠…いや、兜か…?」


壺ランサー(エースの力よ…私とマスターに…勝利の栄光を…!)


ランサーは装着していた兜を脱ぎ捨て、『それ』を頭に装備した

『それ』の正体は、かつて限られた栄誉ある戦士にのみ与えられた装備品であり

ランサーの最後の宝具、『エースヘルム』であった

475: 2015/07/30(木) 22:24:30.13 ID:CwYGBb/10
アーチャー「…それを被ったからどうだというのだ。様子見はもういいだろう、キャスター。ランサーに攻撃を…」

壺キャスター「…!ランサーの様子がおかしい…!」


『エースヘルム』を被ったランサーの容姿は、みるみるうちに変容していった

腕と足は大きく肥大化し、もはや以前の肉体の原型を留めていなかった

あまりに巨大で、あまりにアンバランスなその体型を見て

かつてのランサーの姿を想像できるものはいないだろう


アーチャー「…馬鹿な…!」

凛「嘘…でしょ…!?」

壺キャスター「…想像以上だったぜ、ランサー」



パンパンに膨れ上がった顔に張り付くのは、寒気すら感じる邪悪な笑顔

その口元をいびつに歪めながら、かつてランサーだった『もの』は静かにつぶやいた



no title

482: 2015/08/05(水) 01:04:09.03 ID:ZVyYL49S0
凛「な、何よあれ!?」

アーチャー「信じられないが…あれがランサーの切り札というわけか。やれやれ、とても槍兵を名乗れる姿ではないな」

壺キャスター「言ってる場合か。でかくなったのなら逆に好都合だ。喰らえ!『破ぁ!!』」ビュン

壺ランサー「^ ^」シュン


凛「嘘!?消えた!?」

壺キャスター「…!違う!あの時と同じだ!今すぐここから離れろマスター!!」ダッ

凛「えっ…!!」

壺ランサー「^ ^」ゴオオオ

アーチャー「…!?上か!?こっちだ、凛!」バッ

凛「ちょ!?」グイッ


ドゴオオオオオ


壺キャスター「…マジかよ」



ランサーはその巨体からは想像もつかない程の速度で跳躍し

その両足で大地を踏み抜くかのような勢いで着地した

足元に発生した大きなクレーターが

着地の際の衝撃の威力を物語っていた

483: 2015/08/05(水) 01:05:04.80 ID:ZVyYL49S0
アーチャー「あの巨体であの速度…まるでどこぞの神話の英雄のようだな」

壺キャスター「油断すんな!2撃目が来るぞ!」


ランサー「^^」ブンッ


ゴオオオ

凛「きゃあ!?」

アーチャー「チィ!」

ベキベキ


ランサーは間髪入れずに攻撃を仕掛けたいた

攻撃、と言っても…ランサーはただ腕を横に振り回しただけに過ぎなかった

だが、その振りによって周りの木々はなぎ倒され、突風が発生した

直接攻撃を食らったわけでもないのに、凛はランサーの後ろへ吹き飛ばされた

484: 2015/08/05(水) 01:05:30.76 ID:ZVyYL49S0
壺キャスター「マスター!…かなり男前になったじゃないか、ランサー。化け物と呼ぶのすら烏滸がましい、立派な怪物だ」

壺キャスター「だがな…そっちの姿のほうがやり甲斐があるってもんだ。俺の専門である怪異の類にだいぶ近づいてるぜ」

アーチャー「…身体能力の向上…いや、もはや変容というべきか。確かに著しい変化だ」

アーチャー「だが同時に、かなり大雑把な動きしかできなくなっているようだ。狂化とはかくあるべき、という理想の姿とも言える。バーサーカーにも見習ってほしいものだな」


2人は、努めて冷静に目の前の怪物を観察しようと試みた

身長は5メートルに届こうかという程の巨体であり

顔は不気味な笑顔を絶やさない

かと言ってそれを嫌って目を背けようものなら

丸太と形容するのすら躊躇われるほどの太く長い手足からいつ攻撃が飛んでくるかわからない

これ程の肉体から繰り出される攻撃に、もはや防御は意味を成さないだろう

485: 2015/08/05(水) 01:06:13.28 ID:ZVyYL49S0
壺キャスター「…おい、バーサーカーのマスター。あの怪物の動きを封じることができたら…バーサーカーの『切り札』とやらで仕留めることはできるか?」

アーチャー「無論だ。発動さえできれば、あいつがどれだけ頑丈だろうが関係ない。あのアーチャーですら仕留めたのだからな」

壺キャスター「…俺が何とかしてアイツの動きを止める。それまでバーサーカーは引っ込めておけ」

アーチャー「…できるのか?君に」

壺キャスター「できなきゃきゃどっちにしろ負けだろうが。…絶対に、しくじるなよ」

アーチャー「…ふっ。それは私のセリフだと思うが?」


壺ランサー「^ ^」ズウウウウウン


壺キャスター「…ってそんなに甘いわけないよな!しばらく逃げまわって時間を稼ぐぞ!『破ぁ!!』」ダッ

アーチャー「言われなくともそうするつもりだ!攻撃手段を持っているのは君だけなんだ、しっかりとヘイトコントロールを頼むぞ!」ダッダッダ


489: 2015/08/06(木) 23:39:29.05 ID:/+ms5KYJ0
~~~~

壺セイバー「何やら森が騒がしい感じを出してきたんだがマスターの魔力が心もとないらしく先に進みにくいというある様 ああナイトはいつも理不尽な目に合わされると実感するな」

士郎「自分の負傷を棚に上げてマスターを批判する恥知らずなエルヴァーンがいた!けど「」確かに少し様子が変だな」

壺セイバー「ここでリューサンがやられたら俺達にも未来はにい 多少無理してでも援護に向かうべきだと思った」

士郎「どちかというと大賛成だな 普段は頼りなく貧弱なランサーのクラスでも黄金の鉄の塊であるセイバーと組めば鬼の力を発揮できるのは確定的に明らか」

壺セイバー「というわけで戦場にのりこめー^^」

士郎「わぁい^^」

490: 2015/08/06(木) 23:40:11.29 ID:/+ms5KYJ0
~~~~

壺キャスター「『破ぁ!!』『破ぁ!!』」ビュン

壺ランサー「^^」シュン

壺キャスター「チッ。まるで当たりやしねぇ。…それにしても妙だな。さっきから暴れてはいるが、こっちを深追いしようとしない。ただの環境破壊野郎じゃないか」

アーチャー「気をつけろ!敵の攻撃が来るぞ!」

壺ランサー「^^」バッ

壺キャスター「また上か!行動は相変わらずワンパターンだな!」サッ

壺ランサー「^^」ズドオオオオオオオオオン


壺キャスター「…?明後日の方向に飛んでいきやがった。何がしたいんだ?」


壺ランサー「^^」ズンッ ブンブンブンッ

バキッグシャッ


アーチャー「我々と距離を取ってくれるのはありがたいな。やはり理性を失っているのか?」

壺キャスター「…まさか!」

491: 2015/08/06(木) 23:41:41.82 ID:/+ms5KYJ0
壺ランサー「^^」バッ


アーチャー「また我々のいる方向とは逆に向かっていったな。肉体の強化と引き換えの精神の狂化、か。恐れる必要はなさそうだな」

壺キャスター「クソッ!おい、ランサーを追うぞ!」ダッ

アーチャー「何だと…!わざわざ危険を犯しに行くというのか!?」

壺キャスター「アイツはいきなり俺たちを倒すつもりなんてなかったんだ!アイツの目的はこの森の結界を消すことだ!」

アーチャー「…!?そういうことか…!」

壺キャスター「アイツは理性を失ってなんかいない!確かに精細な動きはできなくなったんだろうが…代わりに得たリーチとパワーで大暴れするつもりだ!」

アーチャー「辺り一帯を目茶目茶にして、結界の起点を潰そうという訳か…」

壺キャスター「完全に陣地を破壊される前に、アイツを倒すぞ!結界が消えてしまったら、もう奴らを止められない!」

アーチャー「くっ…まさかあんな怪物に対して、我々が追う立場になるとはな…!」ダッ

492: 2015/08/06(木) 23:42:55.60 ID:/+ms5KYJ0
~~~~

壺セイバー「確かに戦場とはいったが…それなりの出迎え方があるでしょう?」

士郎「…森かと思ったら荒野だったという顔になる 誰か説明しテ!」


森の奥にしばらく進むと、暗く生い茂った木々の中で不自然に明るい木漏れ日が見えた

そこまで進んだ士郎たちの目に入ったのは、大きく開けた空間であった

そこに存在するはずの木々はなぎ倒され、地面には大きなクレーターが複数点在していた

その様子はまるで爆心地を思わせるものであり、そこで激しい戦闘があったことを推測させた


壺セイバー「肉体が貧弱なバーサーカーや魔術がそれほどでもないキャスターにこんなことができるはずがにい これはリューサンの仕業でFA!」

士郎「俺は古代より視力の高さには定評のある正義の味方志望なのだが…あそこら辺に穴が空いているように見えた」

壺セイバー「ほう、経験が生きたな 中に何が入っているか教えるべき」

士郎「何あれ…?人…?外人…?…!セイバー!!」

壺セイバー「おいおい(笑)冗談は魔力の少なさだけにしておけよ」

士郎「うるさい気が散る!セイバー!セイバーどうしたんだ!」

セイバー「…士郎…?来て、くれたのですか…ですが…すみません…あまり大きな声を出すのはやめてください…。今にも理性が飛んでしまいそうなのです…」

壺セイバー「いやらしい……」

セイバー「黙っててください…前歯へし折られたいんですか…!…失礼。ですが…私のことは気にせず…彼を助けてあげてください」

セイバー「彼は今…たった一人で戦いに挑んでいます…」

士郎「…ランサー…!」

493: 2015/08/06(木) 23:43:42.60 ID:/+ms5KYJ0
~~~~

アーチャー「キャスター!今結界はどの程度維持できている!」

壺キャスター「もう4割ほど拠点が破壊された!徐々に結界の効力が弱まっている!」

アーチャー「これ以上の破壊は絶対阻止せねば。だがしかし…ヤツにまるで追いつけていない」


壺ランサー「^^」ビュン


ランサーはその巨体を駆使し、触れる木々は全てなぎ倒し、大地を抉っていた

破壊の限りを尽くしながら猛スピードで森中を蹂躙するその様は

もはや怪物ではなく、天災に例えるのが妥当といったところだろう



壺キャスター「あのスピードで迫られるのはゴメンだが…逃げられるのはもっと厄介だ」

壺キャスター「アイツを止める、か…。多少無理する必要があるな」

アーチャー「…何か策があるようだな」

壺キャスター「策といえるかどうかも怪しいがな。…お前、確か投影とやらを使えるんだったな」

壺キャスター「『釣り竿』の投影は可能か?」

494: 2015/08/06(木) 23:46:11.46 ID:/+ms5KYJ0
アーチャー「…可能だ。かつて投影した経験もある」

アーチャー「だが、今の私に投影できるのは何の力を持たない、本当にただの釣り竿だ。一体何に使おうというのだ?」

壺キャスター「なら、今すぐ投影して俺に貸してくれ。時間が惜しい。早めに頼む」

アーチャー「…トレース・オン」シュウウ

アーチャー「これでいいか?」サッ

壺キャスター「ありがとよ。充分だ。力は俺が与えられる」

アーチャー「…一体何をするつもりだ?」

壺キャスター「俺の宝具は色々応用が効くのさ。今まではあえて使おうとも思わなかったが…」シュウウウウ

壺キャスター「『破ぁ!!』」ピカアアアアアア

アーチャー「…これは…!」

壺キャスター「いつまでも暴れてんじゃねぇぞ、ランサー!『破ぁ!!』」バシュッ


キャスターが詠唱をすると、釣り竿は光に包まれた

糸は眩しく輝き、光の剣を思わせる形状へと姿を変えていた

キャスターが釣り竿を思い切り振り回すと、糸はまっすぐランサーの元へと向かっていった

背後から迫る一筋の閃光をランサーは躱せず、光の剣はランサーの胴体を貫いた

495: 2015/08/06(木) 23:47:12.50 ID:/+ms5KYJ0
壺ランサー「^^;」グハッ

壺キャスター「どうだ?少しは効いただろ」

アーチャー「…!何をしている!今すぐ釣り竿を手放せ!」


一瞬動きを止めたランサーであったが

すぐさま自分に起きたことを理解した

そして、自分の体を貫いた糸を掴み

思い切り引っ張った


グン

壺キャスター「…!くっ…!」ズオオ

アーチャー「キャスター!!」


キャスターは釣り竿ごとランサーの元へ手繰り寄せられ

その巨大な手によって胴をワシ掴みにされた

496: 2015/08/06(木) 23:48:37.43 ID:/+ms5KYJ0
壺キャスター「グハッ!ぐ…あ…」

壺ランサー「^^」ギリギリ


ランサーは徐々に手に力を込めていき、そのままキャスターを握りつぶそうとしていた

そして、今まさに渾身の力を込めてキャスターを葬らんと――


壺キャスター「…へ、へへっ…どう、だ…動きを、止めてやった…ぜ…」

壺ランサー「^^!?」ギチギチ


キャスターは、ランサーによって釣り竿を引き寄せられていた時

更に、ランサーによって体を締め上げられていた時

宝具の魔力によって糸を巧みに操り、逆にランサーの体を縛り上げていた

激しく動いている相手を、遠距離から止めるのは難しい

あえて危険を承知で敵の懐に潜り込み、察知されないように動きを封じる

最初からそれがキャスターの狙いであった



アーチャー「上出来だ、キャスター。…来い、バーサーカー」

壺バーサーカー「……」ブゥン

497: 2015/08/06(木) 23:49:52.62 ID:/+ms5KYJ0
壺ランサー「^^#」ギリギリ

壺キャスター「けど…まずったな…このままじゃ…俺も共倒れだ…ガハッ!」


「――令呪を持って命じるわ。…私のもとに戻りなさい、キャスター!」

ビュン

壺ランサー「^^!?」スカッ



壺キャスター「ヒュウ…ゼェ…ハァ…ハァ…来てくれる、って…信じてたぜ、マス、ター…」

凛「嘘付きなさい。どう見ても後先考えなしの行動でしょ!」

壺キャスター「まぁ…な…。だけど…値千金の働き…だと思うぜ」

壺キャスター「あとは…バーサーカーの『切り札』とやらを…じっくり拝ませてもらうじゃ…ないか」

498: 2015/08/06(木) 23:54:17.87 ID:/+ms5KYJ0
アーチャー「令呪を持って命じる。重ねて令呪を持って命じる。更に重ねて令呪を持って命じる」


アーチャー「バーサーカーよ――魔力の贄を喰らい、汝の逸話に眠りし秘法を解放せよ」


それは、令呪を用いた命令というよりは、魔術の詠唱に近いものであった

アーチャーが『詠唱』を始めると、バーサーカーにも変化が現れた

虚ろで濁った目は赤く染まり、顔は初めてバーサーカーらしく狂気を映し出していた

腕に巻かれた包帯はまるで拘束が解かれたかのように激しく棚引きはじめ

対照的に周辺の空気は、まるで真冬のように冷たく静かになっていった


アーチャー「森羅万象、生あるもの全てに確実な氏をもたらす凍れる禁術。その名は――」



壺バーサーカー「――エターナル…フォース……ブリザード!!」

499: 2015/08/06(木) 23:55:00.49 ID:/+ms5KYJ0
以上です

500: 2015/08/07(金) 00:07:08.71 ID:cDzLMGiQO
これは相手は氏ぬな

501: 2015/08/07(金) 08:42:12.21 ID:f3V3o1GbO
効果・相手は氏ぬ
…反則ってレベルじゃねーぞ!実質兄貴の槍や破産の腕の上位互換じゃねーか!


【Fate】言峰「聖壺戦争」【後編】

引用: 言峰「聖壺戦争」