503: 2015/08/12(水) 18:14:54.17 ID:p8W5susV0


【Fate】言峰「聖壺戦争」【中編】

~~~~

セイバー「…あっ…」シュウウウ

士郎「…!?セイバー、体が…!?」

セイバー「今、はっきりと分かりました…ランサーが、敗れたのだと…」

壺セイバー「…リューサン」

セイバー「…申し訳ありません、ランサー。ここまで共に戦ってきたというのに」

セイバー「最後の最後に、感謝の意も…別れの言葉すら伝えられないなんて…」シュウウウウウウ


士郎「……」

壺セイバー「…だが、リューサンはどうやらかなり暴れたらしいな 体の軽さがその証拠」

士郎「結界の効力が、弱まっているのか…流石は竜騎士だと感心はするがどこもおかしくはない」

壺セイバー「…心配しなくてもリューサンはソロ専だからよ、一人で逝くのは慣れてるべ」

壺セイバー「キャスター達の弱体化も決定した 後は俺達で決着を着けるぞ」
#01 冬の日、運命の夜
504: 2015/08/12(水) 18:15:28.21 ID:p8W5susV0
~~~~
シュウウウウ

壺バーサーカー「……」

アーチャー「…くっ。やはり発動後の反動がキツイな…」ヨロッ

壺キャスター「ランサーが、一撃で…」

凛「今のは、何…?」

壺キャスター「…『エターナルフォースブリザード』か。成程、それなら納得できる」

凛「何よ、それ…」


アーチャー「――2ちゃんねるで最も名の知られた創作魔法、それが『エターナルフォースブリザード』だ」

アーチャー「一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる、という効果が設定されているが…それがもたらす結果は至ってシンプルでな」

アーチャー「――『相手は氏ぬ』。この一点のみだ」

505: 2015/08/12(水) 18:16:06.27 ID:p8W5susV0
壺キャスター「ある種の因果の逆転のようなもんだな。この魔法を発動した時点で、相手の氏は確定している。大気の氷結はそれに付随するオマケみたいなもんさ」

壺キャスター「それほどまでに、2ちゃんねる上で『発動=氏』のイメージが定着してる技だってことだ」

凛「…よくわかんないけど。要するにその技を使ったら、対象を確実に仕留められる…ってことなのよね?」

アーチャー「その通りだ。尤も、本来の担い手ではないバーサーカーにこの技を再現させるには、それなりの代償を払わねばならんがな」

壺キャスター「令呪3画か…本来ならば1度しか使えない、正真正銘最後の切り札ってわけだな」

アーチャー「ああ。幸いアーチャー討伐の褒章として、新たに6画の令呪が支給されたためこうして戦略に組み込むことができてはいるが」

アーチャー「残る令呪は後3画。つまり、もう一度だけエターナルフォースブリザードの使用が可能だ」

凛「…」

アーチャー「だが…見ての通りこれを使うと私の魔力も根こそぎ持っていかれる。当分の間戦闘は不可能だ。悪いが、残るセイバーの相手は君達が先にやってくれ。私も後から合流しよう」

アーチャー「結界はまだ完全に破壊された訳ではないのだろう?私の見立てでは、セイバーもライダーとの戦闘でかなり消耗している筈だ。君達にもまだ十分勝機はあるさ」

凛「…そうみたいね。だからこそランサーもあれだけ好きに暴れられたんでしょうね」

壺キャスター「…よし、かなりダメージも回復してきた。いつでも大丈夫だ、マスター」

凛「……わかったわ。お願い、キャスター」

506: 2015/08/12(水) 18:18:09.71 ID:p8W5susV0
短いですが以上です

510: 2015/08/16(日) 19:04:25.94 ID:CPu25fn80
~~~~

士郎「…セイバー」

壺セイバー「ああ。やっと敵と相まみえるのだという顔になる」

凛「…さっきぶりね、士郎。さっきよりは顔色良さそうじゃない」

壺キャスター「マスターもな。そういや、セイバーの戦い方って俺はあんまり覚えてないんだよな。闘技場の時は記憶が曖昧でな」

壺キャスター「まぁ、逸話には事欠かないサーヴァントだ。どんな攻撃パターンを持ってるかはある程度予想つく」

壺セイバー「勝手に人の実力を決めつけるなよ雑魚が。 …と普通ならこう返すのが全員だろうが」

士郎「ナイトは忍者とは比べ物にならないほどの懐の広さの持ち手なのでその程度の挑発も「ほう…」と受け流す」

凛「…あなた達と会話してると私の頭がおかしくなって氏にそうになるわ。お互い、もう御託はいいでしょ?」

壺キャスター「あとは決着を付けるだけだ。今更結界を貼り直す時間もないしな」

士郎「歯垢のジョブであり最高のクラスであるナイトなセイバーとタイマン貼るとかお前頭わりぃな。INTは9でいい」

壺セイバー「タイマンとか言いながらなにか企んでるのはバレバレテで バーサーカーはどこに隠してんだよ」

511: 2015/08/16(日) 19:05:17.92 ID:CPu25fn80
壺キャスター「…バーサーカーか。さぁて、どこに身を隠してることか」

凛「…いいわ、キャスター。この際だから全部話しちゃいましょ」

壺キャスター「いいのか?マスター。相手に警戒してもらってた方がこっちにとってはありがたいんじゃ」

凛「これが最後の戦いだもの。最後くらい覚悟決めて真っ向から戦いましょ」

壺キャスター「…ま、そういうマスターだってことは、短い付き合いでもなんとなくわかってたけどよ。いいぜ、好きにしな」

士郎「お前ら一体何の話をしてるのだと言って――」


凛「バーサーカーは、もういない。…これが最後の戦いよ、士郎」

512: 2015/08/16(日) 19:06:14.04 ID:CPu25fn80
~~~~
凛「……わかったわ。お願い、キャスター」

壺キャスター「おうよ。…悪く思うなよ」クルッ

アーチャー「…?一体、何を」

壺キャスター「『破ぁ!!』」バシュン


キャスターはバーサーカーに向き直り、宝具を使用した

キャスターの放った一撃は、バーサーカーの華奢な体を貫いた

513: 2015/08/16(日) 19:07:14.79 ID:CPu25fn80
壺バーサーカー「……ぁ」シュウウウウウウウ

壺キャスター「おーおー。一発食らっただけでだけで致命傷か。やっぱり、サーヴァントとしては貧弱だな」

アーチャー「…!?馬鹿な…!?凛、君は一体何を…!?」

凛「……アーチャー。私だってアンタに言われるままに内職してたわけじゃなくて、いろいろ考えてたのよ」

凛「それで、結論がでたの。――バーサーカーのその『切り札』」

凛「このまま戦いが順調に進めば…それの最後の犠牲になるのはキャスターの予定だったんじゃないの?」

アーチャー「……!」

514: 2015/08/16(日) 19:08:12.12 ID:CPu25fn80
凛「そもそも、周りくどいのよ。やってることがものすごく。罠を森中に仕掛けておきながら、セイバーとランサーを入り口で足止めしたり」

凛「キャスターを通じて森の中での戦いを見せてもらったけど…最初に足止めした時にその切り札を使っておけば、確実に敵の戦力を1騎削れたでしょ?」

アーチャー「…」

凛「でも、アンタはそれをしなかった。そこで仕留めておけば、ランサーにあそこまで大暴れされることもなかったでしょうに」

凛「…アンタの狙いは、令呪を温存したまま、セイバーとランサーを倒し、かつ、キャスターも満身創痍の状況を作ること。この森は、そのための布石ってところかしら」

凛「セイバーを罠にかけたのも、本当はキャスターにランサーを倒させるつもりだったんでしょう?それとも窮鼠の大暴れに期待して、相打ち狙い?」

壺キャスター「ま、それはランサーの宝具のせいで台無しになったけどな。…こっちも結構なダメージを負ったが」

515: 2015/08/16(日) 19:12:47.85 ID:CPu25fn80
アーチャー「…君はそこまで気づいておきながら、あえて私を泳がせておいたというわけか。目的は――」

凛「あなたと同じよ。…勝ちたいのよ、この戦いに」

凛「現実世界でのルールが適用されないこの世界で、与えられた『武器』と知略を駆使して最後まで勝ち残る…これ以上に自分の実力を試すことができる好機はそう無いでしょう?」

アーチャー「…家計の心配はしなくていいのか?」

凛「あのねぇ…。大体、あのエセ神父がちゃんと約束を守って賞金を出すかどうかだって怪しいもんじゃない!」

凛「アイツの性格の悪さは、私が一番良く知ってるわよ。あん畜生、嫌がらせのためならなんだってするんだから」

アーチャー「…ふっ。何、冗談だ。まさか、あの凛が私を出し抜くとはな」

アーチャー「柄にもなく、感激してしまったよ。…親心とは、こういう気分を言うのだろうか」

凛「…」

アーチャー「…肝心なところで重大なミスを犯し、余裕もなく優雅さも投げ捨てていくあの凛に、この私がやられるとはな……」

凛「うっさい!さっさと消えなさい!」

アーチャー「――勝て、凛。今の君なら、衛宮士郎などに負けはしない筈だ」

凛「…言われなくてもそのつもりよ。行くわよ、キャスター。――最後の決着を付けに」

526: 2015/08/21(金) 00:54:51.16 ID:gD46/M6Z0
~~~~

壺キャスター「まぁ、そういうわけで…バーサーカーは俺がきっちり仕留めておいた」

壺キャスター「お前たちがランサーの敵討をしようなんて考える必要もないってことだ。ありがたいだろ?」


士郎「……」

壺セイバー「…普段は確かに心優しく言葉使いも良いナイトでも おまえらのあまりの粘着ぶりに完全な怒りとなった」

壺セイバー「――リューサンの分も一撃を食らわせてやる 覚悟しろよカスが」


凛「何よ、結局怒ってるじゃない…」

壺キャスター「敵のペースに飲まれるな、マスター。ふざけた言葉喋っちゃいるがかなりの遣い手だ」

壺キャスター「ただ、アイツはランサーやアーチャーと違い…俊敏さを活かした『回避』ではなく、耐久を活かした『防御』を得意とするタイプのサーヴァント」

壺キャスター「つまり…俺の宝具の格好の獲物ってわけさ」グッ

凛「令呪もまだひとつ残ってるし、結界も一応まだ機能してる。充分に勝機はあるわ。もう真っ向からぶつかるしかないわよね…!」

527: 2015/08/21(金) 00:56:07.12 ID:gD46/M6Z0

士郎「セイバー、行けるか?」

壺セイバー「そんな心配ひ不要です。ナイトは回復力もかなり高い むしろマスターのほうが心配で身動きがとりにくいというある様」

士郎「俺は主人公だし腕とかも結構もげたりするけど生半可なマスターには真似できない根性で耐えたりする つまり全く問題はないな」

壺セイバー「助かった、終わったかと思ったよ。じゃああとはこいつらをぶっ飛ばすだけだな」


「「……」」

「「……」」


凛「行くわよ、キャスター!」
士郎「行くぞ、セイバー!」


壺キャスター「おう!」
壺セイバー「hai!」



「あの~…誰か忘れてないでちゅか?」

528: 2015/08/21(金) 00:57:56.73 ID:gD46/M6Z0

士郎「!?」

凛「しまった…!このタイミングで…!」


壺キャスター「やっぱり来やがったな、アサシン!『破ぁ!!』」ヒュッ

「ちょ、いきなり何するんでちゅか!」サッ

壺セイバー「俺は常人ならば対応できない程の反応速度でカカッとアサシンに斬りかかった!」バシュ

「や、やめてくだちゃい!」シュッ


動揺するマスターたちとは裏腹に

サーヴァントはこの突然の来訪者を予期していたかのように

即座に攻撃対象を変更した


壺アサシン「…いきなりひどいじゃないでちゅか」パッパッ


壺キャスター「いきなりはこっちのセリフだ。毎度毎度戦いに水を差すタイミングで現れやがって」

壺セイバー「ナイトに同じ手が通じると思って粋がるなよ雑魚が 黄金聖鉄塊に同じ技は2度通じぬという名セリフを知らないのかよ」

壺アサシン「今すぐ戦うつもりはないのでちゅ。マスターからのメッセージをあなた達に伝えるために来たのでちゅわ」

529: 2015/08/21(金) 00:59:41.10 ID:gD46/M6Z0
士郎「メッセージ…?大事な要件を伝えるなら自分から教えに来るべき 支給されたカス端末も壊れてるしよ」

壺アサシン「だから、こうしてあたちが出向いたのでちゅ。よっと…」


アサシンが懐から取り出したのは、士郎たちに支給されたものよりもサイズの大きい

タブレット型の端末であった

その画面には、言峰綺礼の顔が映し出されていた。


言峰『やぁ、盛り上がっているかね、諸君』

壺キャスター「ああ、かなりな。それをたった今お前たちに邪魔されたわけだが」

言峰『それは悪かったな。だが、一刻も早く伝えねばならぬ事があったのでな』

凛「…わざわざアンタが言い出すってことは、確実に悪い話題よね」

言峰『そうでもないぞ、凛。むしろ君らにとっては朗報となりえる話だ』

士郎「もったいぶらずに話すべき氏にたくなければな」


言峰『――おめでとう、遠坂凛。そして、衛宮士郎。君たち2人がこの『聖壺戦争』の勝者だ』


士郎「…おいィ?」

凛「…はぁ!?アンタ、何言って」

言峰『約束の報酬は、優勝者に用意されたものと同額を、君たち2人にそれぞれ支給しよう。差し当たって――』


言峰『この『聖壺戦争』を終結させる必要がある。速やかに自らのサーヴァントを自害させてくれたまえ』

534: 2015/08/22(土) 03:24:40.22 ID:JNf2x1UF0
凛「…アンタ、自分が何言ってるかわかってんの?」

凛「――ふざけないでよ!私達が今まで勝利をつかむためにどれだけ汗かいたと思ってるわけ!?」

凛「それを、勝たせてやるからサーヴァントを自害させろですって…?人を馬鹿にするのも、いい加減にしろっての!」

壺キャスター「お、おい。抑えろよマスター…腹立たしいのは俺も同じだけどな」


壺セイバー「おいィ?マスター、今の言葉聞こえたか?」

士郎「聞こえてない 何か言ったの?そもそも自害させるための令呪がないという時点で俺の勝率は最初から100%だった」


言峰『ふむ…君たちは、賞金が欲しくはないのか?こちらの提案を飲まないのであれば君たちは評価対象外だ。参加賞すら支給されない』

言峰『それでもいいかね?これが最後の問いかけだ』

535: 2015/08/22(土) 03:25:12.99 ID:JNf2x1UF0
凛「…ふん。そっちこそ素直にお願いすれば?『お金が勿体ないので、賞金出したくないんです;許してくだふぁい;;』って」

言峰『……』

凛「こっちはとっくに、賞金なんて眼中にないのよ。それに、どっちにしろあと3騎だけなんだし、ここで決着を付けても同じことでしょ?」

言峰『…ふん、交渉は決裂というわけか。仕方あるまい』

言峰『君たちが素直にサーヴァントを自害させてくれれば、こちらとしても面白…失礼、楽だったのだが』

壺キャスター「おい、サラッとコイツ本音を漏らしたぞ」

壺セイバー「…それにしても妙だな 今更急いで戦争終わらせて何になるっていうんだよ」

536: 2015/08/22(土) 03:26:30.78 ID:JNf2x1UF0
言峰『…あの『バーサーカー』は…最期まで想像以上の働きをしてくれた』

言峰『奴のお陰で、予想をはるかに上回るペースで魂の回収ができたのだ』

言峰『サービスの実装を待つ必要もなくなった。…あと2騎分もあれば充分に満たされるだだろう』


士郎「意味わかんね 笑う坪どこ?何言ってるか全然理解不能状態なんだが」

言峰『君たちがこれ以上知る必要のないことだ。――さて、決着をつけようではないか』

言峰『君たちの望んだ方法でな。アサシン、セイバーとキャスターを始末しろ』


壺アサシン「やっと出番でちゅね。――了解しまちたわ」

541: 2015/08/22(土) 23:15:51.33 ID:JNf2x1UF0
アサシンは端末をその場に置き、臨戦態勢に入った

しかし、今まさに戦いが始まろうかという時に、予期せぬ来訪者がその場に現れた



「これは一体…どういうことだ」ザッ

壺キャスター「新手か!?」バッ

凛「…って、ええ!?なんでアンタがいるのよ」


アーチャー「…それは私が教えてほしいくらいだ。バーサーカーが消滅した後も何故か私はこの世界に留まったままだ。言峰綺礼、説明を要求する」

言峰『ふむ…ライダーの宝具の影響、及びバーサーカーの消滅によりバグが発生したのかもしれん。まぁ、些細なことだ』

言峰『…サーヴァントを持たぬマスターが氏亡すると、一体どのようなことになるのだろうな。少し興味がわいた。アサシン、ついでにそいつも始末しろ』

壺アサシン「わかりまちた」

アーチャー「な…!?貴様、何を…!?」

542: 2015/08/22(土) 23:16:31.92 ID:JNf2x1UF0
壺セイバー「ハイスラァ!」ブンッ

壺アサシン「おっと」ヒュン

壺キャスター「瞬間移動…やっぱり厄介なスキルだな」

壺セイバー「お前の相手は俺達だと言っているサル!履き違えんなよカスが」

壺アサシン「やれやれでちゅわ。じゃあまずはあなた達から相手してあげまちゅ」スゥ

凛「消えた…!今度はどこに…」


スッ

バチッ!!

壺アサシン「痛っ!」シュウウウ

凛「きゃあ!コイツ、私の背後にいたの!?」

壺キャスター「俺達の相手をする、と言っておきながらマスター狙いか。わかりやすすぎるな。マスターに何個かお守りを分けておいて正解だったぜ」

壺セイバー「追撃のグランドヴァイパ!」

壺アサシン「ちっ…!」シュン

壺セイバー「ヨミヨミですよ?お前の動きは」

543: 2015/08/22(土) 23:17:24.30 ID:JNf2x1UF0
シュン

壺キャスター「『破ぁ!!』」ビュン

士郎「お、おいやめろバカ!」サッ

壺アサシン「ぶへぇ!!」ドガッ


凛「今度は士郎を狙ったのね。キャスター、ナイス!」

壺キャスター「結構効いたな。お前も、バーサーカーと同じでさほど耐久が高くないタイプと見たぜ」

壺アサシン「ふうう…多くの戦いを経験して、かなり手強くなってまちゅねえ。初期とは大違いでちゅ」

言峰『…どうした、アサシン。お前の力を駆使すれば、その程度の相手に苦労することは無いはずだが?』

壺アサシン「戦いは単純なスペック差で決まるものではないのでちゅよ。もはや彼らは歴戦の勇士でちゅわ」

壺アサシン「マスター、この際でちゅし、あたちのプロテクトを全て解除してみるのはどうでちゅか?」


凛「プロテクト…ってどういうこと?」

アーチャ「…奴の能力を制限するためのプロテクト、というのが妥当な考えだろう。どんな理由で制限されていたのかは不明だが…」

壺キャスター「それを解除するってことは…今よりも弱くなるってことは無いだろうな」

544: 2015/08/22(土) 23:18:33.24 ID:JNf2x1UF0
言峰『…ふむ。確かにこの世界ももはや修正不能な歪みもいくつか生じている。お前のプロテクトを外したところで、大きな影響もないやもしれん』

言峰『良いだろう。お前のプロテクトを全て解除する。持てる力を存分に発揮して、そいつらを仕留めるがいい』

壺アサシン「ふふふ。封印が解けられまちたわね」パアアアア


壺セイバー「…汚いアサシンごときが何をしようと無駄なこと」グッ

士郎「気をつけるべきセイバー。アサシンはひきょうな真似をするものだと決まっているからな」


壺キャスター「さて、どう出る。見た目には変化は無いが…」

凛「ランサーくらい見た目に変化があるとわかりやすいんだけどね」




壺アサシン「…ランサーは、どういうふうに姿を変えたんでちゅか?」

545: 2015/08/22(土) 23:19:53.25 ID:JNf2x1UF0
凛「え?そうね…あれはひどかったわね。体のバランスが悪すぎるというか…」

壺キャスター「おい!今は戦闘の最中だ。無駄話をするな!マスター、アサシン!」


凛「う…悪かったわよ…」

壺アサシン「ご、ごめんなちゃい…」シュン

壺アサシン「…そんなことよりキャスター」スタスタ

壺キャスター「ん?どうした」

壺アサシン「オラァ!」ブン

壺キャスター「ぐおっ!」バキッ


ズサァ

凛「!ちょっと、なにしてるのよアサシン!」

壺アサシン「そんなに大声出したら敵に気づかれちゃうでちょうが!気をつけてくだちゃい!」

壺キャスター「ゲホッ…す、すまねぇ、アサシン」ヨロッ

546: 2015/08/22(土) 23:20:53.73 ID:JNf2x1UF0
壺セイバー「おいおい(笑) 今はアサシンとの戦いの真最中なんだが?あんまり調子こいてると痛い目を見るぞ」

壺アサシン「全くでちゅ。相手を侮ってたら勝てる戦いも落としまちゅよ」

壺アサシン「…ところで、セイバーのマスター。私に武器を投影してくれまちぇんか?素手では心もとないでちゅわ」

士郎「魔力が少ないので普通なら断るのがぜいいんだろうが俺はアサシンに武器を作ってやることにした」パアア

壺アサシン「ありがとう。まぁ、素敵な棍棒でちゅ。少し試させてもらいまちゅね」ブンブン

壺アサシン「せいっ!」ビュン

壺セイバー「ウボァ!」バキッ

壺アサシン「顔面にフルスイングを食らっても平気だなんて、さすがはセイバーでちゅね!」

壺セイバー「ま、まぁな…ナイトならこのくらいチョロイ事…」プルプル


アーチャー「……」

547: 2015/08/22(土) 23:21:38.15 ID:JNf2x1UF0
――おかしい。

何かが、おかしい。

何がおかしいのかと言われると答えに困るが…

なにか普通でないことが起こっている気がする。

この場にいる全員を冷静に観察してみるとしよう。何かがわかるかもしれない。

凛とキャスター。衛宮士郎とセイバー。アサシン、そして私

…私の思い過ごしだろうか?ここにいる者達は皆、アサシンを倒すという目的で一致している。

離反者がいるわけでも…

――アサシンを倒す?

アサシン…アサシン…!?

548: 2015/08/22(土) 23:23:09.51 ID:JNf2x1UF0
アーチャー「凛!正気に戻れ!そのアサシンは敵だ!」

凛「は?何言ってんのよ。そんなのわかりきってるじゃないの。だから今こうしてアサシンを倒そうとしているんでしょ?」

アーチャー「…確かにその通りだ。私は一体何を…?」

士郎「ついに頭がおかしくなったようだな。やっぱりセイバーじゃないとダメかー。圧倒的にさすがって感じ」

壺アサシン「全く…一発くれてやるから、冷静になりなちゃい!」ブン

アーチャー「ぐはぁ!!」ズサアアアア


アーチャー「ゲホ、、ハァ・・・ハァ…今ので…完全に思い出したぞ…!お前は、一体何なんだ!?」

壺アサシン「あなたが思い出したのではないでちゅわ。あたちが退屈したからスキルを解除しただけでちゅ」

凛「え…!?嘘…なんで私達コイツを受け入れてたの…!?」

549: 2015/08/22(土) 23:24:56.17 ID:JNf2x1UF0
壺セイバー「な、ナイトはアサシンよりも高みにいるからイタズラにも笑顔だったが…いい加減にしろよ!」

士郎「オイ!人の魔力使うのは犯罪だぞ聞いてんのか!?」

壺キャスター「…!?コイツ…どこかで見たことがあると思ったら…『ぼっさん』か!!」


言峰『その通りだ。ニュー速より生まれ出た、『世界最強のフリー素材』。それが我がサーヴァント…アサシン、『ぼっさん』』

言峰『コイツはフリー素材として多くのネットユーザーの間で知名度を獲得し、数多くのコラが制作されている』

言峰『コラの種類も多種多様だ。アサシンの力もそれらの信仰を元に形成されている』

言峰『言うなれば、存在自体が『使われるもの』として、サーヴァントであり…同時に宝具でもあると言えよう』

言峰『能力を全開放したアサシンに勝てるものは存在しない。そのままケリを付けてしまえ、アサシン』


壺キャスター「くそっ…!GMがこんな隠し球を用意していやがったとはな…!」

凛「ど、どうすればいいのよこんなの…!?こっちの意識にまで介入されたら、勝ち目ないじゃない!」

550: 2015/08/22(土) 23:25:59.27 ID:JNf2x1UF0
壺アサシン「うーん…でもこのまま嬲り倒すにしても…腕が疲れそうでちゅわ」

壺アサシン「…そうだ、いいことを思いつきまちたわ」

壺アサシン「ライダーの宝具の影響で、この世界のあちこちでデータがロストして、巨大な穴が空いているのでちゅ」

壺アサシン「――その中にこの人達を全員落としてみまちょう。何が起こるかちょっと楽しみでちゅわね」


士郎「な…!?」

壺セイバー「おい馬鹿やめ――」


アサシンはスキルの発動中、闇雲に攻撃を仕掛けていたわけはなかった

アサシンの巧みな誘導により、いつの間にかセイバー達は一定の範囲内にまとめられていたのであった

そして、アサシンの発言によりセイバー達が不意を突かれたその一瞬で

アサシンは彼らの背後に回りこんでいた――

557: 2015/08/23(日) 21:57:35.80 ID:lNfslzyf0
~~~~

凛「…って、アレ?何処よ、ここ」

壺キャスター「さっきまでいた森じゃなさそうだな。アサシンの力で飛ばされたか?」

壺セイバー「じゃあここがアイツの言ってた穴の中なのかよ 穴に落とされても無傷で耐えちぇしまう超パワー!やはりナイトは格が違った」

アーチャー「…その割には、私達全員が無傷というのが気になるが。本当にここは穴の中なのか?」

士郎「じゃあお前はここが何処だって言うんだよ ほら見事なカウンターで返した。アサシンが俺たちを頃すために穴に放り込んだでFA!」


「いや、そうではないでちゅよ」

558: 2015/08/23(日) 21:59:22.20 ID:lNfslzyf0
凛「!?」バッ

壺キャスター「お前…!」

壺アサシン「おっと、ストップでちゅよ。そうでないと、またスキルを発動せざるをえまちぇん」

壺アサシン「あたちがその気になれば、ここにいる人たちみんな抵抗すらさせずに…それどころか、目の前の出来事に一切違和感すら覚えさせずに暗頃することも可能でちゅ」

壺アサシン「さっきは使わなかったけど…マスターからこんなのも渡されていたのでちゅよ」サッ

凛「…それって…!」

士郎「…見事なナイフだと関心するがどこもおかしくはないな」

アーチャー「正確にはナイフ形の概念礼装、といった感じだな。これならばサーヴァント相手にも深傷を与えることができそうだ」

壺アサシン「わかったらおとなしく話をきいてくだちゃい。できればこれは使いたくないのでちゅよ」

559: 2015/08/23(日) 22:00:20.08 ID:lNfslzyf0
壺キャスター「…ちっ」

アーチャー「やはりここはどこか別の場所…というわけか。話というのは何だ?」

壺アサシン「単純な事でちゅわ。あなた達にお願いがあるのでちゅ」

壺キャスター「お願い…?圧倒的に優位な立場にいるお前が、今更俺達に願うことがあるっていうのか?」

壺セイバー「ああやはりナイトは敵からも信頼を集めてしまうのだと実感した いいぞ話してみろ」

壺アサシン「うふふ。ありがとうございまちゅ。これは、あたちには無理なのでちゅ。あなた達にお願いするしかありまちぇん。そう――」


壺アサシン「あたちのマスターを、止めてくだちゃい」

560: 2015/08/23(日) 22:01:18.92 ID:lNfslzyf0
凛「マスターって…つまり、綺礼を止めろってこと?」

壺アサシン「その通りでちゅわ」

凛「…どうして綺礼のサーヴァントであるあなたが、綺礼を裏切るような真似をするわけ?」

凛「いや、そういうサーヴァントもいるってことはわかってるんだけど…」チラッ

アーチャー「…お前が離反を決意するほどの危険な企みを、言峰綺礼が企てているということか?」

壺アサシン「それもありまちゅ。マスターはあたちにも詳細は伝えず、この『聖壺戦争』を利用して何か良からぬことを企んでいまちゅわ」

壺アサシン「けど、一番の理由は…考えが気に食わないからでちゅ」

凛「…へ?」

壺セイバー「気に食わないとかいう理由で自分のマスターを売る恥知らずなアサシンがいた!」

壺キャスター「気に食わないって、何が…って聞くのも馬鹿らしいな。アレを気に入る奴がいるのかって話だ」

士郎「蓼食う虫も好き好きという名セリフを知らないのかよ 世界はえごいからよあんなんでも好きになるやつはいるしあれで娘もいる」

壺キャスター「マジかよ…」

561: 2015/08/23(日) 22:02:09.36 ID:lNfslzyf0
アーチャー「…気に食わない、とだけ言われてもな。君の思考が見えてこない」

壺アサシン「あたちだって、この『聖壺戦争』で戦うために生み出されたサーヴァントなんでちゅよ?それなのに戦いには参加させず、雑用ばかり…」

壺アサシン「…まぁ、ここまではよかったのでちゅよ。その代わりに、みんなの戦いを特等席から眺めることができまちたからね」

壺アサシン「自分の存在意義をかけて戦う他のサーヴァント達は羨ましいと思いまちたけど…この戦いの行く末を見届けられるのならそれでもいいとおもったのでちゅわ」

壺セイバー「……」

壺アサシン「なのにマスターったら、最後のセイバーとキャスターの決戦を見届けず、2人を消せと命じて」

壺アサシン「正直、カチンときまちたわ。目的を遂行するにしたって、2人の戦いが終わってから勝ち残った方を消したほうが効率的でちょうに」

壺キャスター「「」確かにな。そこまで急ぐ理由でもあったのか?」

凛「断言してもいいけど、それは綺礼の嫌がらせでしょうね。私達が最後に望んだ願い、つまり戦いの決着を付けさせずに『聖壺戦争』を終わらせるのが目的よ」

壺キャスター「どこまで性格が悪いんだここのGMは…」

562: 2015/08/23(日) 22:03:04.81 ID:lNfslzyf0
壺アサシン「ライダーのマスターも言ってまちたけど、あたち達サーヴァントにとってはこのゲーム内だけが全てなのでちゅ」

壺アサシン「それを全部自分の目的のために、自分が楽しむためだけに利用するマスターに愛想が尽きたのでちゅわ」

アーチャー「…成程。筋は通るな。だが、それならば君自身の手でマスターに手を下せばよいのではないか?」

アーチャー「それほどの力を持っているのなら、言峰綺礼を始末することなどたやすいだろう」

壺アサシン「…それは無理でちゅわ。だからこそあなた達にお願いしたのでちゅ」

壺アサシン「マスターは自分のサーヴァントの裏切り防止のために、自身にはあたちのスキルが通じない特別な処理(プログラム)を施してまちゅ」

壺アサシン「更にこの世界の全てを見渡せる管理人専用ルームの他に、あたちにすら侵入不可能な強固なマスター専用ルームを作っているのでちゅ」

壺アサシン「そこに逃げ込まれてしまったら、もう手も足も出まちぇん。令呪で自害を命じられておしまいでちゅわ」

壺アサシン「もしその部屋をこじ開けられるとしたら、強烈な負可によるデータのロスト。つまり…」

壺アサシン「この『聖壺戦争』内における、高威力の『物理』しか手段がないのでちゅ」

563: 2015/08/23(日) 22:04:06.69 ID:lNfslzyf0
士郎「…それなら話は簡単だな セイバーのグラットンスウィフトで部屋ごと言峰をバラバラに引き裂けばいいだけのこと」

壺セイバー「やはりアサシンよりもセイバーだな 今回のでそれがよくわかったよ>>アサシン感謝」

壺キャスター「俺もその話に乗ったぜ。そいつを始末しなければ戦いの決着もクソもなさそうだからな」

凛「けど、大丈夫なの?ここの会話も聞かれてるんじゃない?」

壺アサシン「心配しないでくだちゃい。ここはライダーの宝具の影響で発生した、コントロールルームですら把握できていない虚数空間なのでちゅ」

壺アサシン「前に散歩途中に見つけたのでちゅわ。位置情報が消滅すれば、さすがのマスターでもみんな一斉に脱落したとしか…」ピクッ

アーチャー「…どうした?アサシン」

壺アサシン「あっ…あっ…そんな…!」プルプル

壺セイバー「…!おい馬鹿やめろ!」


アサシンは絶望の表情を浮かべていた

手中の短刀を逆手に持ち換え、ゆっくりと振りかぶった

何かに抵抗するように体中小刻みに震わせていたが、それでも腕の動きが止まることはなく

その短刀を深々と自らの身体に突き立てた

570: 2015/08/24(月) 23:45:05.99 ID:stqVvnL30
凛「アサシン!」

壺キャスター「おい!クソッ!令呪か!」

壺アサシン「ハハハ…結局こうなるんでちゅね…」シュウウウウ

壺アサシン「あたちが…完全に消える前に…最後の力を振り絞って…あなた達をコントロールルームまで飛ばしまちゅ…」シュウウウウ

壺アサシン「あそこには…聖壺戦争に関わるデータが…保存して…ありま…」

士郎「…アサシン」

壺アサシン「どう…か…マスターを…」シュウウウウウ

壺セイバー「……」


シュンッ

571: 2015/08/24(月) 23:46:15.29 ID:stqVvnL30
~~~~

アーチャー「…また見覚えのない場所に付いたな。ここがGMの拠点、コントロールルームか」

壺セイバー「…アサシンはどこだよ」

凛「…消えちゃったみたいね」

壺キャスター「どう見ても致命傷だったからな。よくここまで俺たちを連れてきてくれたぜ」

士郎「…アサシンの覚悟を無駄にしないためにも早速行動に移るべきだと思った」

アーチャー「確かアサシンはここにデータが保存してあるといったな。手分けして閲覧するとしよう。言峰綺礼の目的がわかるかもしれん」

----

凛「わ、すごく大きいテレビね」

壺キャスター「いや、テレビではないだろこれは。監視用のモニタだな。ここで俺たちの戦いも全て見られてたってわけだ」

凛「映像が映ることには変わりないでしょ?テレビと何処が違うのよ」

壺キャスター「…ああ、それでいいぜ、マスター」

凛「あ、私達が最初に戦った場所も映ってるわ!」

壺キャスター「逆に、俺達が見たこともないような場所もたくさん映ってるな。よくこんな馬鹿みたいに広い世界で戦い合わせようなんて思ったぜ」

凛「ここを抑えられたのは良かったわね。綺礼のやつ、もう私達の行動を把握できないわよ」

壺キャスター「…問題はそこだ。アサシンのマスターは、今何処で何をやってんだ?何故この部屋を空にしている?」

572: 2015/08/24(月) 23:47:41.26 ID:stqVvnL30
----

壺セイバー「如何にも怪しげなスイッチがたくさん並べてあるな 普通なら押したくなる奴が全員だろうがここで一歩引くのが大人の醍醐味」

士郎「ここに遠坂がいなくてよかったな いたらアイツ片っ端から押してたぞ」

壺セイバー「地名がかいてあるところを見るとどうやらこれはフィールド効果のオんオフスイッチらしいな」

士郎「戦ってる最中にオフにもできるとかちょとsyレならんしょこれは…下手に触らないでおこう(戒め)」

凛「士郎ー。そっち何か見つかったー?」

士郎「【何もありません】【帰れ】」

凛「ちょ、何よそれ!」

アーチャー「無駄口はそこまでだ。…こっちへ来てみろ」

壺キャスター「何か、見つかったのか?」


アーチャー「ああ。――これは、『過去』の聖壺戦争の記録だ」

573: 2015/08/24(月) 23:49:21.86 ID:stqVvnL30
凛「え?どういうこと?私達以外にも、聖壺戦争を体験したプレイヤーがいるってこと?」

アーチャー「どうやら、そのようだ。このデータによれば、過去、既に4回ほどテストプレイが行われていたらしい」

アーチャー「つまり、我々が今戦っているこの舞台は…『第五次聖壺戦争』ということになるな」

凛「どれどれ。『第1回~第3回のテストプレイでは、知名度を優先してサーヴァントを選出していたため、まともな戦いにならなかった』…ですって」

凛「ようやくきちんとした戦いになったのは前回、つまり4回目のテストプレイから。なんだ、結構最近じゃない」

士郎「過去にはどんなサーヴァんトが呼ばれてたんだ?まぁ至高のナイトに及ぶものは無いのは確定的に明らかだが」

凛「えーっと…『身長2m超の女バーサーカー』に『不快な言葉で話すキャスター』とか書いてあるわ。…このセイバーと比べてどっちが不快かしらね」ボソッ

壺セイバー「おいィ?今なにか言ったか?」

凛「私のログにはなにもないわね。というか、これってGMの日記帳のようなもんよね?」

アーチャー「ああ。言峰綺礼の前任のGMの残した記録のようだな」

壺キャスター「その『女バーサーカー』ってやつは…ひょっとすると俺の知っているやつかもしれん」

壺キャスター「だが、今はどうでもいいことだ。今必要なのは――」

アーチャー「言峰綺礼本人が記した記録、だろう?…それも、発見済みだ」

574: 2015/08/24(月) 23:51:43.82 ID:stqVvnL30
凛「ちょっと!それを早く見せなさいよ!」

アーチャー「前任者の記録を先に見たほうが理解が進みやすいと思ってな。さて、これによれば前回、言峰綺礼は一マスターとして聖壺戦争に参加している」

アーチャー「こうして記録に残したのはGMに就任してからのようだがな。だが、自身が参加した『第四次聖壺戦争』に付いて幾つか記述している部分がある」

アーチャー「その中で、気になる文章を見つけた。…ここだ」


――あれは、アーチャーが宝具を使用した時の出来事だった。

音は砕け、目の前の風景にはノイズが走り

まるでこの世の終わりを想像させるようであった。

世界が崩壊しかける中、ヒビ割れた空の隙間から顔を出す『それ』を

私は確かに目に焼き付けた。

もしあれが自分の意志で自由に動き回ることができたのなら

暴れまわることができるのなら

一体私に何を見せてくれるのだろうか?

もう一度、会うことはできないだろうか?

いや、もし、自らの手で生み出すことができるのならば――



『そこまでだ、諸君』

594: 2015/08/26(水) 22:44:07.70 ID:4bB394aR0
凛「――!綺礼!?どこよ!」

壺セイバー「声は聞こえるのに姿は見えない不具合」

アーチャー「机の上に、先ほどアサシンが持ってきたものと同種の端末があるのを確認した。おそらくはそこから聞こえているのだろう」

士郎「またかよ(怒) さっさと自分の姿を見せろよ雑魚が」


言峰『人の部屋で好き勝手言ってくれる。…全く、まさかアサシンが裏切るとはな。厄介なことをしてくれたものだ』

595: 2015/08/26(水) 22:46:25.12 ID:4bB394aR0
凛「ふーん。人を散々コケにしておきながら、自分が裏切られたら即報復なんて、やることが小者臭いんじゃなくて?言峰神父」

『…ふっ。凛、お前は勘違いをしているようだ』

凛「は?何言ってんの?勘違いも何も、アンタがアサシンに裏切られてショック受けて令呪で自害を命じたのは確定的に明らかでしょ?今更コレも計算ずくだったとでも主張するのかしら?」


言峰『そうではない。確かにアサシンは見た目に似合わぬ気色の悪い口調のサーヴァントではあったが』

壺キャスター「誰もそんなこと言ってねぇだろうが…」

言峰『私はお前たちの誰よりも奴の能力を高く評価し、その働きに全幅の信頼を寄せていた。だからこそ――』


言峰『お前たちを確実に仕留めたと確信し、用済みとなったアサシンを自害させることに何の躊躇もなかった、というわけだ』

596: 2015/08/26(水) 22:47:45.64 ID:4bB394aR0
壺セイバー「…カスが」

凛「…今更確認するまでも無いけど、やっぱりアンタって性格最悪よね…!」

アーチャー「我々にわざわざ通信を寄越したということは、よほどここに見られたくない情報があるとみえる」

言峰『半分正解だ、守護者エミヤよ。そのまま君たちが記録を探れば、答えに行き着くであろう』


言峰『――ならばいっその事、私が直接答えを教えても同じことだと思ってね』


アーチャー「…ほう。それは殊勝な心がけだな」

凛「また何か企んでるんじゃないでしょうね?」

言峰『それは、私の話を聞いて君たち自身が判断するといい』

597: 2015/08/26(水) 22:51:09.30 ID:4bB394aR0
士郎「…聞いておくべき遠坂。コイツは周りくどいことは稀によく言うが嘘は滅多に付かない付きにくい」

凛「その代わり肝心なことは話さなかったりするんだけど…まぁ、いいわ。話しなさい綺礼」


言峰『では、語らせてもらおう。そもそも…君たちは『聖壺戦争』の名の由来は知っているか?』

壺キャスター「由来も何も…『2ちゃんねる』のTOP画像が壺だからって理由じゃないのか?」

言峰『そうだ。聖堂教会はそのTOP画像からインスピレーションを受け、あるシステムを構築しようと画策したのだ』

アーチャー「システム…?この『聖壺戦争』というゲームを作るのが目的ではなかったのか?」

言峰『『聖壺戦争』は副産物に過ぎん。当初、我々の真の狙いは別にあった』

言峰『世界最大のインターネット掲示板、『2ちゃんねる』。当然、利用者数も世界最大規模だ。そのユーザー一人一人から――』


言峰『微量な魔力を徴収し、擬似的な『聖杯』…いや、『聖壺』を作るという目的がな』

598: 2015/08/26(水) 22:53:12.89 ID:4bB394aR0
以上です。
ついでに設定だけ考えて今後二度と出す予定がない第四次のメンツを貼っておきます

セイバー:紳士的な元ソルジャー

アーチャー:かつて神と呼ばれた男

ランサー:甲子園に棲む悪魔

キャスター:6体の式神を使役する論者

ライダー:人間に寄生する魚類の王

バーサーカー:超長身の白い怪異

アサシン:だからお前は誰なんだよ

611: 2015/08/29(土) 02:43:57.91 ID:/+yCfzYr0
士郎「oi みうs みす おい 人の魔力かってに盗るとか犯罪だろ…証拠のログは確保したからなもう言い逃れはできない」

壺キャスター「2ちゃんねるユーザーから集めた魔力で聖杯を作るだと…!?そんなことが可能なのか!?」

凛「その聖壺、とやらも…万能の願望機ってことかしら」

アーチャー「…いや、例え仮に魔力を収集できたとしても…収集した魔力を自由に使うのはそう容易では無いはずだ」

壺セイバー「どういうことだよ?」

アーチャー「『2ちゃんねる』の運営と結託すればサイトに魔力回収用の術式を書き加えることはできるかも知れんが…その回収した魔力は何処に蓄積される?」

アーチャー「当然、ネットワーク上で管理されることになるだろう。つまり、収集の際、魔力をデータの形に変換する必要があるわけだ」

アーチャー「一度データ化されたものを、再び純粋な魔力として取り出せるとは到底思えん。そうだな、少し例は異なるが…電子マネーというものがあるだろう?」

アーチャー「あれも現金をネット上で取り扱い可能な仮想通貨に換えているわけだが、その逆は基本的には不可能だ」

凛「アンタが何を言っているのかはよくわからないけど…要するに魔力のデータ変換は不可逆の性質を持っている、ってことよね?」

アーチャー「…まぁ、そういうことだ。もしそんなことが可能であれば、ただのテキストファイルからでも魔力が生成できることになってしまうからな」

612: 2015/08/29(土) 02:45:27.78 ID:/+yCfzYr0
言峰『その通りだ。その利用者数の多さゆえに短期間で期待以上に魔力を回収することはできた』

言峰『だが、その魔力の殆どはネットワーク上のみで使用可能な魔力であった。いわば電子マネーならぬ…電子マナといったところか』


壺キャスター「金と違って、魔力なんてネットワーク上で使えたところで何の役にも立たなそうだな」


言峰『それも間違ってはいない。せいぜい、このような電子結界を創りだすのが関の山だ。ネットワーク上限定の願望機など、本来存在価値を見出すのは難しい』

言峰『しかし、計画が破綻したからといって…それまでに投入した膨大な時間と資金が帰ってくるわけではない』

言峰『そこでネットワーク上に集めた魔力をなんとか有効活用するため、私から上層部に『聖壺戦争』の構想を提案したというわけだ』


アーチャー「資金回収のための苦肉の策、というわけか。コレほどの規模の世界が副産物でしか無いというのは驚きだがな」

613: 2015/08/29(土) 02:47:39.56 ID:/+yCfzYr0
凛「…癪だけど、アンタにしてはいいアイディアだったと思うわよ。頃しあう必要のない本気の競い合いができる機会なんて、そうそうないもの」

凛「それなのに、アンタの余計な行動のせいで台無しよ!そろそろ目的をハッキリさせなさい!」

壺セイバー「そのまま素直にゲームを作っていればよかったのにな お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」


言峰『私も最初はオンラインゲームの路線を計画通りに進めていたさ。テストプレイのたびにプレイヤーとして参加し、情報収集も広く行った』

言峰『だが、前回の聖壺戦争で…私は出会ったのだ。この世界が生み出した、『ある存在』に』

言峰『あれは微小なバグの集積のようなものだったのだろう。デバックを逃れたそれらは宛もなく彷徨い、虚数空間を根城にしていたが…アーチャーの宝具の影響で一瞬露呈させられたのだ』

言峰『思えば、前回も優勝候補はアーチャーのサーヴァントだった。アーチャーの扱う宝具の威力は絶大で、この世界も一度消滅しかけた』


アーチャー「記録に書かれていた部分か…それで?肝心の『ある存在』とはなんだ?」


言峰『もはや話すまでもないとは思うが…私の目的はその存在――『アヴェンジャー』を呼び出すことだ』

614: 2015/08/29(土) 02:50:43.23 ID:/+yCfzYr0
士郎「『アヴェんジャー』…これ以上サーヴァんトを召喚しようっていうのかよ」


言峰『虚数空間に姿を隠しているアヴェンジャーをこの世界に呼びこむのは容易なことではない。しかし、よくよく考えれば、もう必要なものは手中にあったのだ」


アーチャー「…ネットワーク上限定の願望機、『聖壺』か」


言峰『ああ。ここまで言えばもう察しがつくだろう。私は聖壺を利用してアヴェンジャーを呼びだそうと考えた』

言峰『壺を満たすのに必要なモノは高濃度に圧縮された魔力…つまり、聖壺戦争に於けるサーヴァントの魂だ』

言峰『アヴェンジャーを完全なカタチで呼び出すには、まだ当分かかると踏んでいたのだが…嬉しい誤算ということにしておこう』

言峰『嬉しくない誤算も多々あったがな。――さて、そろそろ頃合いか。凛、君の質問に答えよう』


凛「へ?私?なにか言ったっけ?」


言峰『何か企んでいるのではないか?と尋ねただろう。――正解だ。勿論、私が自ら秘密を暴露したのには理由がある』

615: 2015/08/29(土) 02:52:05.11 ID:/+yCfzYr0
壺セイバー「さっさと話せよ雑魚が 氏にたいのか?」


言峰『君たちの注意を、『ある物』から逸らすのが狙いだ。そして、その目論見は無事成功した』


壺キャスター「ある物…?」

アーチャー「…!モニターか!?」


言峰『ふっ、そうだ。誕生したての不安定な状態を狙われるのが一番困ることだったのでな。さて諸君、紹介しよう。モニターで空の状況を確認して見給え』


壺キャスター「チッ。まんまとしてやられたな」

士郎「空だと…?」

凛「…あれ?曇ってる?青空が見えないわね」

アーチャー「…!?いや、違う。…何だ、アレは…!?」

616: 2015/08/29(土) 02:53:34.96 ID:/+yCfzYr0
一見曇り空のように見えたそれは

形容しようもない、本能的な恐怖を覚えさせる『何か』だった

その『何か』は空を覆い尽くすように広大に広がり

世界を灰色に染め上げていた


no title



凛「きゃあ!な、何あの気持ち悪いの…!?」

壺セイバー「…この戦争で初めてほんの少しビビった。アイツは…!」

壺キャスター「…そう来たか」


言峰『確認できたようだな。アレこそが私が呼び出した『アヴェンジャー』――『tanasinn』だ』

618: 2015/08/29(土) 03:08:31.07 ID:g/MXS169o
tanasinn

627: 2015/09/06(日) 19:58:19.30 ID:AHk03M7A0
凛「キャスター!アイツの正体は何なの!?心当たりがあるんでしょ!?」

壺キャスター「悪いがマスター…『tanasinn』という存在を知ってる奴は大勢いるだろうが…『tanasinn』が何なのか、ということを知ってる奴は一人もいないと思うぜ」

凛「ど、どういうことよ…」


アーチャー「肝心なことをまだ聞いていないぞ、言峰綺礼!お前はアレを呼び出して一体何をするつもりだ!?」

言峰『呼び出せた時点で、ほぼ私の目的は完了している。あとはアヴェンジャー自身がどう動くか、それは私にもわからん』

言峰『いや、むしろ…アヴェンジャーが自らの意志で一体何を為すのか。それを見届けるのが目的というべきか』

言峰『しかし、おおよその予想はつく。奴自身の特性を考えればな』


士郎「…!?おい、何だよアレは」

628: 2015/09/06(日) 19:59:25.07 ID:AHk03M7A0
∵∴∵∴(●)∴∵∴∵∵∴∵∴(●)∴∵∴∵



凛「風景を…侵食してる…!?」

壺セイバー「おい馬鹿やめろ データ消すとか犯罪だぞ」

壺キャスター「いや…単純にデータをデリートしてるって感じでも無いぞ」

アーチャー「この世界を構成するデータに、アヴェンジャー自身が同化、そして増殖している…といった感じだな」

アーチャー「言い換えれば、データに不純物を混ぜて自身の肉体として再構築している。どちらにしろ、データが破壊されていることには変わりがないが」

凛「…この世界のデータが破壊されたら、今ゲーム内にいる私たちはどうなっちゃうのよ」

アーチャー「…それだけでは済むまい。アレはバグやウイルスの範疇を超えている。あんなものがもし、このゲームから外部のネットワークに流出してみろ」

アーチャー「――アレは徐々に勢力を拡大しながら、世界中のネットワーク全体を蹂躙し尽くすぞ」

凛「それって、大変なことなの?」

アーチャー「…君に説明してる時間も惜しいが…まぁ、氏人の1人や2人では収まらないだろうな」

壺キャスター「大変どころの話じゃないぜ、マスター!もう元の日常を送れないと思ったほうがいい」

629: 2015/09/06(日) 20:01:11.60 ID:AHk03M7A0
言峰『くっく…では諸君、検討を祈る。尤も、もはや君たちに為す術はなにもないとは思うがね』


壺セイバー「おい何笑ってんだお前頃してやろうか?」

凛「やっぱり、自分が楽しむのが目的じゃないアンタ!」


アーチャー「…為す術なし、か。本当にそうか?言峰綺礼よ」


言峰『……!』


士郎「おいお前あまり調子にのるなよぶっ飛ばされたいのか?」

アーチャー「セイバー陣営は黙っていてくれ私の寿命がストレスでマッハだ。――お前はさっきこう言ったな、『嬉しくない誤算も多々あった』、と」

アーチャー「私にはそれの検討が付いている。…アサシンのことだろう?」


言峰『……』

630: 2015/09/06(日) 20:05:26.74 ID:AHk03M7A0
アーチャー「私は途中からしか話を聞けていないのだが…お前は凛達にこう話していたな?『あと2騎分の魂で満たされる』と」

アーチャー「今となっては、その意味がわかる。お前が言っていたのは『聖壺』のことだ。本当ならばセイバー、キャスターの魂が回収されることで、壺は完全に満たされたのであろう」

アーチャー「しかし、アサシンの裏切りにより、それは妨害された。お前はアサシンが2騎を始末したと誤解したままアサシンを自害させ、壺を起動させてしまった」

アーチャー「するとどうなる。アサシン自身の魂が捧げられたとしても、壺を満たすには必要な魂が一つ足りない」

アーチャー「つまり、あのアベンジャーは未完成の『聖壺』から生み出された、不完全な存在だ。ただのバグの集まりをあそこまでの脅威へと成長させたのは、壺のバックアップあってこそだと私は考えている」

アーチャー「誕生の瞬間を私たちに悟られたくなかったのも、おそらくはそういった理由なのだろう?アレが不完全な存在だというのならば、付け入る隙はある筈だ」


言峰『…ふむ。確かにお前の言うとおり…アヴェンジャーは本来の力を持たぬまま生まれたのかも知れん』

言峰『だから、何だというのだ。お前たちはアヴェンジャーのあの力を目の当たりにしても、止めることができると?』

言峰『それに…このままこのゲーム世界を完全に侵食し、その膨大な魔力を取り込めば…ほぼ完全体に近い状態へと成長するであろう。そうなれば、もはやいかなる手段を用いてもアヴェンジャーを止めることは不可能だ』

言峰『例えどれほど高性能なウイルスソフトを使い、どれほど優秀なハッカーが対処を試みたところで、な』

631: 2015/09/06(日) 20:08:27.99 ID:AHk03M7A0
アーチャー「ならばなおのこと、我々が止めなければならないな」

アーチャー「言峰、俺はお前が遠坂や衛宮士郎達に嫌がらせをしたい、というだけならば別に何も咎める理由もなかった」

アーチャー「サーヴァントたちには悪いが、所詮はゲーム世界の話だ。この世界での悪ふざけは、この世界だけで完結するものだと思っていたからな」

アーチャー「――しかし、そのゲームを利用して現実世界の人々に害を為そうと言うのならば、話は別だ。何としてでもお前の計画を打ち砕いてやろう」


言峰『…ふっ。やってみろ、衛宮切嗣の息子よ』プツッ

634: 2015/09/09(水) 23:53:05.77 ID:tnhVPKA30
凛「アーチャー…」

壺キャスター「…随分大きくでたな。頼もしいこった。だけどサーヴァントもいないお前がどうするつもりだ?」

アーチャー「…私としたことが柄にもなく冷静さを欠いてしまったな。まぁ、言ってしまったものは仕方があるまい」

士郎「お前の調子こいた発言のログは証拠として確保したからもうダメ 黒歴史として晒されてお前はそのまま骨ぬなる」

アーチャー「私が消し去りたい最大の黒歴史は今まさに現在進行形で目の前に存在しているのだが?」


壺セイバー「こいつらが何を言っているのかさっぱり理解不能状態なんだが」

凛「この2人の関係性はちょっと特殊だから…というか言い争ってる場合じゃないわよ、アーチャー。アレだけ大見得切ったんだから、何か考えがあるんでしょ?」

アーチャー「そうだな。少し考えをまとめるか。一刻を争う事態だからこそ、情報の整理は必須だ」

635: 2015/09/09(水) 23:54:49.86 ID:tnhVPKA30
アーチャー「サーヴァントである君たちに聞きたいこともある。今回の戦いでは、サーヴァントは敗北するとその魂は壺に回収される。だがそれは本来の仕様とは異なっているのだろう?」

壺キャスター「俺達に与えられた知識によれば…本来、敗北したサーヴァントの魂はまたこの世界を構成する魔力の一部として還元されることになっている」

壺キャスター「サーヴァントの肉体の維持、及び戦闘に必要な魔力はマスターから供給されるが、核となる魂を作り出す分の魔力は結局この世界の何処かから持ってこなくちゃあいけないからな」

壺キャスター「結界内に集められた魔力にも限りがある。サーヴァントが消えるたびに魔力も消滅していったんじゃ、いずれ結界を維持できなくなるだろうさ」

凛「魔力のリサイクル、ってところかしら。そして綺礼はその魔力を横から掠め取ってた訳ね」

壺セイバー「それがなんだって言うんだよ お前は早く説明すべき」

アーチャー「うるさい気が散る。一瞬の油断が命取りだというのがわからんのか」

636: 2015/09/09(水) 23:57:00.65 ID:tnhVPKA30
アーチャー「今の話を聞いて確信が持てた。『聖壺』は確実にこの世界のどこかに存在している」

アーチャー「虚数空間や他のサーバーにではなく、この『聖壺戦争』というゲームの内部にな」

壺キャスター「本来ゲーム内に再び放流されるものを、『聖壺』に送られるようシステムを改変すればいいだけだからな。ま、それが一番効率的だろ」

アーチャー「そして、言峰綺礼が我々の目を欺く必要があった本当の理由…それは、アヴェンジャーが生み出された位置を知られたくなかったから」

アーチャー「つまりは…『聖壺』の位置を知られたくなかったから、ではないか?」

アーチャー「おそらく、そこに言峰綺礼もいるのだろう」

凛「そっか…!もしアヴェンジャーが綺礼と契約したサーヴァント、って扱いなら…綺礼の奴をぶっ飛ばせばアヴェンジャーも消えるってことね!」

壺キャスター「アサシンの言っていた専用ルームってやつか。アヴェンジャーの発生位置なら、モニタで奴の増殖状況を観察すればある程度の目星はつくな」

637: 2015/09/09(水) 23:58:19.30 ID:tnhVPKA30
士郎「そうと分かれば早速言峰を病院送りに…」

壺セイバー「待てマスター。あまり焦りすぎると裏世界でひっそりと幕を閉じることになる そもももこの部屋からどうやって出るつもりだよ」

士郎「オイオイ(笑)お前のグラットンは飾りですか?俺なら疑問を投げかける前に牙を剥くだろうな」

壺キャスター「そういや、ここは何処なんだ?入り口が外から見えないだけで、ゲームの中に確実に存在する場所なんだろ?」

アーチャー「…成程、そういうことか。凛、端末で自分の座標情報を確認してみろ」

凛「座標?えっと…X428、Y63、Z…150000…!?」

凛「え、何…!ここ、空中なの!?」

壺キャスター「間違ってもプレイヤーが中に侵入できないよう、コントロールルームは宙に浮かせてるってわけか…」

638: 2015/09/09(水) 23:59:51.97 ID:tnhVPKA30
凛「下手に飛び降りたら、そのままゲームオーバーになっちゃったりするのかしら…?」

アーチャー「それは…試してみなければなんとも言えんな」

凛「…ん?ねぇ、アーチャー。今気づいたんだけど、何もそんなまわりくどい事しなくても」



∵∴∵∴(●)∴∵∴∵∵∴∵∴∴∵∴∵シ∴∵∴∵ア∴(●)



士郎「うお!?」

凛「きゃあ!?」

アーチャー「馬鹿な!?侵食がもうここまで進んでいるだと!?」

壺セイバー「チィ!『グラットンスウィフト』!!」バシュン

壺セイバー「急なことで普通ならあたふたするのがぜいいんだろうがナイトはすぐさま行動し突破口を開いた この亀裂からとんずらするぞ!」

壺キャスター「一か八か飛び降りるしか無いみたいだな…!方角の検討は付いた、ここから北東にアヴェンジャーの発生源がある!」

アーチャー「まずは、無事に着地できることを祈るしか無いな…行くぞ!」

642: 2015/09/11(金) 00:34:10.56 ID:3BOD+BRK0
~~~~

ヒュウウウウウ

ズドン

ムクッ

凛「…無事、みたいね」

壺キャスター「生きた心地はしなかったけどな…」

壺セイバー「玉がヒュンヒュン行く…」

士郎「下ネタはやめろと言っているサル!」

アーチャー「うむ…確かに無傷のようだな。意志の伴った攻撃でなければ、この世界ではダメージが入らないのか…?」

凛「それなら、アンタの作った落とし穴とか無意味だったわね、アーチャー」

アーチャー「な…!?凛、君は馬鹿すぐる。アレは足止めのためだと――」


∴∵∴キ∵∵∴リ∵∴∴∵∴∵エシ∴∵∴∵ア∴

643: 2015/09/11(金) 00:35:32.02 ID:3BOD+BRK0
壺キャスター「『破ぁ!!』」


バシュ

∴∵∴キ∵         エシ∴∵∴∵ア∴


壺キャスター「おい、後にしろ!空に比べりゃ地上はまだ侵食が緩やかだが、そのうちここも行き場がなくなるぞ!」

アーチャー「…済まない。しかし驚いたな、キャスター。君の宝具はアヴェンジャーにも通用するのか」

壺キャスター「効いてんのか効いてないのかよくわからんがな。命中した部分は吹き飛ばせるみたいだが、如何せん奴はデカすぎる」

壺キャスター「消しても消しても、キリがない。増殖速度のほうがはるかに早いみたいだしな」

壺セイバー「このくらい俺にだってチョロいこと 追撃の――」

壺キャスター「やめろ、セイバー!コイツは物理的にどうこうできる存在じゃない。斬りつけたところで、その剣が取り込まれるのがオチだぜ」

壺セイバー「むむむ…」

644: 2015/09/11(金) 00:36:42.40 ID:3BOD+BRK0
凛「アヴェンジャーに直接攻撃をくわえることができるのは、キャスターだけ。しかも、その攻撃でも一部を消し去るのが精一杯…」

凛「やっぱり、大本を絶たないと根本的な解決にはならないわね。早速綺礼のところに向かいましょう」

壺キャスター「先陣は俺が切る。いずれ侵食が進んで道が閉ざされることもあるだろうが、そんときゃ俺の宝具で突破口をこじ開ければいい」

壺キャスター「セイバー、お前は余計な手出しをするなよ。お前には、無傷でGMのところまでたどり着いてもらわなきゃならないんだからな」

壺セイバー「…ナイトなのに守られるというあるさま」

アーチャー「アサシンのいうことを信じるのならば、言峰綺礼の専用ルームとやらを突破するにはセイバーの力が不可欠だ。異論はない」

士郎「けどよ、防御が貧弱なキャスターではアヴェんジャーにちょっと触れられただけで一巻の終わりなのではないか?」

壺キャスター「心配無用だ。俺の持つ『対怪異』のスキルは、憑依や侵食といった肉体、精神への侵略行為に対して高い耐性を得る」

壺キャスター「同時に、こっちがメインだが…攻撃面でも怪異に対してはダメージボーナスを得る。アヴェンジャーはランサーと違って、意志を持つ怪物ですら無い。充分怪異のカテゴリーに分類していいだろ」

壺キャスター「…ま、さすがの俺でも、こんな厄災クラスの怪異と遭遇するのは初めての経験だがな」

アーチャー「方針はまとまったな。急拵えではあるが、妥当な策といえる」

アーチャー「私は…まぁ、せいぜい足手まといにならぬよう用心して付いて行くとしよう」

648: 2015/09/12(土) 03:09:25.25 ID:f6XHk1S50
~~~~

壺キャスター「『破ぁ!!』『破ぁ!!』」バシュ

凛「…」

壺キャスター「ハァ、ハァ…ちっ、元凶に近づくほど侵食がひどくなってるな。わかってたことだけどよ」



∵∴<・>∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵<・>∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵<・>∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵


士郎「tanasinnはtanasinnで在り続けるからこそtanasinnである。
またそのtanasinnがtanasinnでなくなる時、そのtanasinnは
本当のtanasinnではなくなり、tanasinnとしての存在ではなくな」

壺セイバー「ギガトンパンチ!」

士郎「ぐへぇ!」バキッ

壺セイバー「そのバカみたいにヒットした頭を冷やせ!」

アーチャー「あまりアヴェンジャーを視界に入れないほうがいいぞ。だが…このままでは四方を囲まれるのも時間の問題か」

649: 2015/09/12(土) 03:10:50.00 ID:f6XHk1S50
壺キャスター「…おい、セイバー」ピタッ

壺セイバー「おいィ?何立ち止まって」


(●)
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

ヒュンッ

壺セイバー「…!?」バッ

アーチャー「な…!?コイツ、我々に対して攻撃を加えようと…!」

壺キャスター「…どうやら、俺達が向かっていることをGMに勘付かれたらしいな。明らかに俺をピンポイントで狙ってきてやがった」ジュウウウウ

士郎「おい、お前…!腕が地獄の宴に」

壺キャスター「心配∵すんな。このtanasinn程度のtanasinn侵tanasinn食なんtanasinnてtanasinntanasinntanasinntanasinntanasinntanasinn」


壺キャスター「『破ぁ!!』」バシュウ


壺キャスター「ハァ…ハァ…流石に…そろそろしんどくなって来たな」

壺キャスター「だからセイバー。ここで交代だ」

壺セイバー「交代?」

壺キャスター「ああ。お前が先行しろ。俺とマスターは、しばらくここに留まる」

650: 2015/09/12(土) 03:11:54.66 ID:f6XHk1S50
アーチャー「…どういうつもりだ?」

壺キャスター「それが一番安全なんだ。敵も、アヴェンジャーにダメージを与えられるのは俺だけだと気づいたようだ。つまり、俺が優先的に狙われる」

壺キャスター「逆に、こっちに攻撃が集中すれば、その分お前たちから注意が離れるかもしれない。ま、コレはただの願望だがな」

壺セイバー「…わかった。先に行ってGMぶっ飛ばしてくるからよ お前も決着付けるまで消えるんじゃにいぞ」

士郎「キャスター、ここまでの先導は見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない お前全力で誇っていいぞ」

アーチャー「コイツと同じ感想なのは気に食わんが、今は素直に君に感謝するとしよう。…凛を頼んだぞ」

アーチャー「急げ!アヴェンジャーが外部に侵食を始める前に言峰を止めるぞ!」ダッ

651: 2015/09/12(土) 03:13:32.02 ID:f6XHk1S50
壺キャスター「…行ったか。まぁ、ちょうどいい機会だったな」

壺キャスター「あんなのに目付けられたんじゃ、な」



          _,. -‐''"∴∵``' ‐ .、._
         ,.‐'´∴∵∴∵∴∵∴∵ `‐.、
       ./∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵\
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凛「……」

壺キャスター「今まで消してきたやつよりも遥かに大規模な侵食だな。それでも本体からすれば末端もいいところなんだろうが」

壺キャスター「なぁ、マスター。…もう、限界なんだろ?」

凛「…やっぱり、私を気遣ってたのね」

壺キャスター「一晩かけて工房を作成し、そのままセイバーたちと戦闘。そしてアヴェンジャーに対する宝具の連続使用…」

壺キャスター「いくらマスターがタフでも、仕方がないことだ」シュウウウ

凛「…!そっか、もう、私の魔力供給が足りていないのね……。ごめんなさい、キャスター」

652: 2015/09/12(土) 03:15:41.37 ID:f6XHk1S50
壺キャスター「謝るなよ、マスター。普通に戦ってれば俺はこの『聖壺戦争』じゃ最下位を争うレベルのサーヴァントなんだ。そんな俺がここまで生き残れたのも、マスターのおかげだ」

凛「…セイバーとの決着も付けられそうにないわね」

壺キャスター「まぁな。だからせめて…セイバーに後を託したわけだ」

壺キャスター「アレにセイバー達の邪魔をさせるわけにはいかない。消える前に一仕事しなくちゃな」シュウウウ

凛「…そうね。魔力はもう空だけど…令呪が残ってる」

凛「令呪を持って命じるわ。――キャスター、アイツにどデカいのを一発かましてやりなさい!」



壺キャスター「『破 ぁ ! !』」


653: 2015/09/12(土) 03:17:37.92 ID:f6XHk1S50
----

∴∵∴ ∵∴  ∵∴∵  


∴∵ ∴∵


シュウウウ…

凛「――やれば出来るじゃない、キャスター。でも、自分の体ごと吹き飛ばすなんて…やり過ぎよ」

凛「ねぇ、キャスター。――無理してたのはあなたも同じでしょ?ランサーとの戦いで受けたダメージ…禄に休息も取ってないのに、回復なんかするはずがないもの」シュウウウ

凛「それなのに、根性見せちゃって。勝利者になれないのも覚悟の上で、体を張って私達を導いてくれて」シュウウウウウ


凛「――寺生まれって、やっぱり凄い。改めてそう思ったわ」シュウウウウウウウ

664: 2015/09/13(日) 22:13:28.55 ID:wl/pZUoA0
~~~~

士郎「ここは…」

アーチャー「――まるで台風の目の中にいるようだ。ここだけアヴェンジャーの影響をほとんど受けていない」

壺セイバー「つまりここが…」


「やはりここまでたどり着いたか。全く大したものだ」


士郎「…言峰」


言峰「わざわざ私に別れの挨拶をしに来てくれるとはな。生憎だが、『聖壺』はもう存在しない。未完成の状態で使用してしまったせいか、アヴェンジャーを生み出すと同時に消滅してしまったのでな」


アーチャー「今更『聖壺』自体をどうこうしようなどとは思っていない。用があるのは言峰綺礼、貴様の方だ」

壺セイバー「お前はどこにも逃げられないプレッシャーを背負うことになった 後ろに気をつけておくことをお進めする不意だまでお前の命は非常にまずい事になる」

言峰「こちらも今更逃げも隠れもするつもりはない。もう目的は達成された」

アーチャー「そうか。では、その首を差し出してもらおうか」

アーチャー「外部への影響が出ていない今の段階であれば、まだ酌量の余地もあるだろう」

665: 2015/09/13(日) 22:14:05.63 ID:wl/pZUoA0
士郎「リアルで国家権力の世話になりたくなかったらさっさとアヴェんジャーを引っ込めるんだな 訴えられたら色々調べられて人生がゲームオーバーになる」

言峰「…ククク」

壺セイバー「「訳わからんね」「笑う坪どこ?」」

アーチャー「…何が可笑しい?」

言峰「いや、失礼。お前たちが未だに一縷の望みに縋っているのがなかなかに愉快でな」スッ

アーチャー「それは、どういう…!?」


アーチャーの言葉はそこで遮られた

言峰が自身の右手を掲げたためである

一見、何も異常は無いように感じられた

しかし、そこには本来あるべきものが存在していなかった

厳密に言えば、『そこにあって欲しかった』ものが存在していなかった


――言峰の右手には、令呪が宿っていなかったのだ

666: 2015/09/13(日) 22:16:04.95 ID:wl/pZUoA0
言峰「アヴェンジャーは、私と契約したサーヴァントであり、私を倒せばアヴェンジャーも消滅する…そう考えていたのだろう?」

言峰「だが、見ての通りだ。アレは私の制限化に置かれたサーヴァントなどではない。自らの意思で生を謳歌する独立した存在なのだ」

言峰「つまり、私を消したところで…アヴェンジャーを止めることはできん」


アーチャー「バカな…!?ならば、キャスターを狙って攻撃してきたのはどういうことだ!?お前がアヴェンジャーに命じてそうさせたのではないのか!?」


言峰「成程、そのようなこともあったのか。しかし…お前たちは未だにアヴェンジャーを理解していないようだな」

言峰「今説明したとおりだ。アレは自らの意思を持ち本能に従って行動している。単なるバグではなく、AIに近いモノだと思えばいい」

言峰「アヴェンジャー自身がキャスターを脅威だと認識し、排除しようとしたわけだな。結果、無事キャスターは消滅している」


アーチャー「何だと…!?」

壺セイバー「…キャスター」

667: 2015/09/13(日) 22:17:26.45 ID:wl/pZUoA0
士郎「お、おい!遠坂はどうなったんだよマジでふざけんなよ!」

言峰「私が認識できるのはキャスター、凛ともに消滅したということだけだ。アヴェンジャーに取り込まれてしまった可能性も十分にある」

士郎「てめぇ…!」

言峰「私としてもキャスターに消えてもらって一安心と言ったところだ。唯一恐れていたのはキャスターの宝具でアヴェンジャーの霊核を破壊されてしまうことだった」

言峰「ここまで規模が拡大してしまえば霊核の位置を把握することなど不可能だろうが、それでもリスクは低いに越したことはない」

言峰「それだというのに…クク…お前たちはキャスターを犠牲にしてまで、その無用の長物をここまで連れてきたというわけだ」

言峰「いや、実に面白いものを見せてもらった。それだけでもここで待っていた甲斐があったというものだ」


壺セイバー「…専用ルームとやらに引きこもってなかったのはそのせいかよ 汚いなさすがGMきたない」

士郎「言峰ェ!貧弱一般神父のくせに一級廃人のセイバーに対してナメた言葉を使うことで俺の怒りが」


壺セイバー「だが、俺が思うに…霊格の位置がわからないんならアヴェんジャーの体をまるごと破壊してやればよいのではないか?」

675: 2015/09/16(水) 23:28:06.97 ID:eSQV4dPY0
アーチャー「……」

士郎「セイバー…?」


言峰「…私の聞き間違いか?今とても愉快な…妄言が聞こえたようだが」

壺セイバー「さっきのが聞こえないようならお前の耳は必要ないな後ろからそぎ落としてやろうか?」

言峰「ふっ…どうやら言葉だけではなく頭までおかしくなったようだな、セイバー。アヴェンジャーを破壊するだと?お前ごときがか」

士郎「お前何回も暴言はかれる気持ちがわかりませんか?煽りは氏ねマジ氏ね」

言峰「セイバー、私は知っているぞ?お前の最後の宝具の詳細をな」

壺セイバー「…!」

676: 2015/09/16(水) 23:30:31.40 ID:eSQV4dPY0
言峰「『光と闇が両方そなわり最強(ダークパワー)』…それがお前の切り札だろう。…ライダー消滅後、再びあのような事態が起こらぬよう全てのサーヴァントのステータスデータは閲覧済みだ」

言峰「自身のステータス、宝具の威力を大幅に上昇させる強力な宝具だが…その分魔力消費も凄まじい。確かに、最後の切り札にふさわしい性能ではある」

言峰「だが、それが本当にアベンジャーに通用すると考えているのなら、その浅はかさは…実に愚かしい。例え『グラットンスウィフト』が対軍宝具…いや、対城宝具レベルになったところで、アヴェンジャーを消滅させるのは不可能だ」


アーチャー「…今の話は、本当か?」

士郎「…そうだ。今回の聖壺戦争でも最初からダークパワー全開で戦えば、絶望的な破壊力も誇る破壊力を持つことになって 完 全 勝 利 間違いなしだったんだが」

士郎「…魔力消費がエゴすぎるから使いたくても使えない系の事情があるらしいぞ」

677: 2015/09/16(水) 23:32:10.40 ID:eSQV4dPY0
壺セイバー「本当はライダーやキャスターと決着を付けるときに使いたかったんだけどよ このままじゃ人工的に淘汰されるのが目に見えているからな」スッ

壺セイバー「――『光と闇が両方そなわり最強(ダークパワー)』」


セイバーが静かにつぶやくと、その体を中心に旋風が巻き起こった

見た目には全く変化はないが、全身からかもし出すエネルギー量はオーラとして見えそうになる程であった


壺セイバー「――『生半可なナイトでは使えないホーリ』!!」


瞬間、静寂を切り裂く轟音とともに

稲妻が直撃したかのような強烈な閃光が走った

セイバーの指先から放たれた『生半可なナイトでは使えないホーリ』は

まるで極太のレーザー光線のようになって

遥か上空を漂うアヴェンジャーの体に大きな風穴を開けた


――だが、しかし。アヴェンジャーの体ははもはや空全体を覆っており

その風穴もアヴェンジャーからすれば針で刺された程度の傷でしか無いだろう

678: 2015/09/16(水) 23:34:09.82 ID:eSQV4dPY0
ゴオオオオ

アーチャー「くっ…セイバーのくせに魔術だと…!?しかも、なんという威力だ…これが、セイバーの真の実力だというのか…!」

言峰「成程、確かに凄まじい力だ。だが…それだけだ。そうだろう?衛宮士郎よ」


士郎「ぐっ…ぐああああああ…」

壺セイバー「……マスター」

アーチャー「…宝具を一回使っただけでこの調子では、とてもアヴェンジャーを頃しきることは…!?」


再び空を見上げたアーチャーは言葉を失った

セイバーの攻撃によってアヴェンジャーに空けられた大穴が、既に塞がっていたのだ

679: 2015/09/16(水) 23:35:06.85 ID:eSQV4dPY0
言峰「ようやく、理解できたようだな。セイバーの攻撃ではアヴェンジャーを消すことなど到底不可能だと。お前たちに為す術はない」

言峰「セイバー、お前の言葉を借りるならば…『時既に時間切れ』だ」


壺セイバー「…ふっ」

言峰「…?」

壺セイバー「お前が何もわかってないのがバレてる証拠に笑顔が出てしまう アレを攻撃だと思っている時点で大したことない頭なのは証明されたな」

言峰「なんだと…?」


壺セイバー「アレは『挑発』なんだが? さっきのでアヴェんジャーも俺を敵と認識したはず。ヘイトを上げたくて上げるんじゃない上がってしまうものがナイト」

686: 2015/09/18(金) 22:40:24.28 ID:ygJQiKiS0
言峰「…そこまで言うのなら、試してみるがいい」

言峰「お前のその思い上がりがどこまで持つか、見届けてやろう」

壺セイバー「お前が見届けるのはアヴェんジャーの 完 全 敗 北 になるだろうな」


士郎「お、俺のことは気にせず戦ってくれセイバー…お前全力出していいぞ…」

アーチャー「…無謀だな。いくらお前が無理をしたところで…お前の魔力が尽きればセイバーも消えてしまうのだぞ」


壺セイバー「さっきのは挑発ではあるが俺は別に強さをアッピルなどしていない口で説明するくらいなら牙を剥くというだけのこと。…来いよ、アヴェんジャー」

687: 2015/09/18(金) 22:41:32.18 ID:ygJQiKiS0
∴∵∴∵||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴|||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴∵|||||||||||||||||||||||||||||||||
∵∴∵∴∵∴∵::|||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴∵∴∵∴||||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵(・)∴∴.(・)∴∴∵∴:::||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||



セイバーの言葉に反応したかのように

アヴェンジャーは自身のその広大な身体の一部を、セイバーへと伸ばしていった

正確に言えば、ただ身体を伸ばしているわけではなく

セイバーのいる座標に向かってバグを誘発させ、データを破壊、同時に自身の身体として取り込むという侵食活動を進めていたのであった


――それは、『攻撃』という定義にすらもう当てはめることは出来ず

如何にセイバーの身体が強固で体力が無尽蔵であろうと、何も意味を成さない

『防御力』『体力』と言ったステータスを構築している、ゲームのシステムそのものに対する侵食行為であるがゆえに

事実上、アヴェンジャーの行動に対して、『逃亡』以外の防御手段は存在しない

そんなアヴェンジャーの明確な敵意を前にして、セイバーは――


言峰「何だと…?」

アーチャー「バカな…!?」

士郎「――!?セイバー!!」


無抵抗のまま、それを受け入れた

688: 2015/09/18(金) 22:42:20.81 ID:ygJQiKiS0
壺セイバー「∵∵∵マス<・>∴ター、ダー●●クパワー∵∵∵の本質∵∵∵を忘れ∵∵∵∵●∵∵∵∵∵な」


∴∵∴∵∴
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
∵∵∵∵∵∵∵(●)∵∵
....∵∵ ∴∵∴∵∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∴∵∴∵∴



アヴェンジャーの侵食行為に飲まれたセイバーは

体全体でバグを誘発させられ

不快なノイズを発生させながらゆっくりとアヴェンジャーに溶け込んでいった

やがて、完全に原型を失い――


アヴェンジャーの一部となった



アーチャー「セイバーが、アヴェンジャーに…取り込まれてしまった…」

言峰「…余りにも呆気無い幕切れだったな。興ざめもいいところだ」

士郎「…セイ、バー……」

689: 2015/09/18(金) 22:43:44.90 ID:ygJQiKiS0
言峰「――これで、7騎のサーヴァントは皆消滅し、『聖壺戦争』は完全なる終幕を迎えた」

言峰「なかなかに楽しませてくれる演目ではあったが…アヴェンジャーが暴れるには少々手狭な舞台だったようだ」

言峰「演者のいなくなったこの舞台に用はあるまい。早々に次の舞台に移るとしよう」

アーチャー「貴様…!」

言峰「ふっ、心配するな。お前たちの始末は、この世界ごとアヴェンジャーが」

士郎「――そうか。ダークパワーの、本質…」

言峰「…この期に及んでまだありもしない希望に縋ろうと言うのか。あのアヴェンジャーの脅威を見てもなお…」


言峰「…何!?」

690: 2015/09/18(金) 22:46:19.28 ID:ygJQiKiS0
アヴェンジャーの様子に明らかに変化が見られた

先程まで隙間なく空を覆い、地上付近まで侵食の手を伸ばしていたアヴェンジャーの身体に

所々穴が空き、それらは以前のように塞がることはなく隙間から光が漏れていた

欠損は時間経過と共にはっきりと確認できるほどになり

一部では穴と穴がつながり、空を漂う雲のように身体が千切れ、散り散りになっていった

少しづつではあるが、末端部分から徐々にアヴェンジャーの崩壊が始まっていた



 ∴ :∵ ∴:
  ∴ : :∵
  ∴ ∵:
::


言峰「一体、何が起きている!?サーヴァントがいなくなった今、アヴェンジャーに対抗できる者は存在しない筈だ!」

アーチャー「…セイバーが、何かやったのか?」


士郎「――ダークパワーっぽいのは、ナイトが持つと光と闇が両方そなわり最強に見える」

士郎「暗黒が持つと、逆に…『頭がおかしくなって氏ぬ』」

695: 2015/09/21(月) 21:32:27.53 ID:iUh3VyT30
アーチャー「…私にわかるような言葉で説明してくれないか」

士郎「お前頭わりぃな もともと暗黒属性持ってる奴が更にダークパワー持つのはずるい」

アーチャー「…聞いた私が愚かだった。状況から客観的に判断するとしよう

アーチャー「――こういうことか?あの『ダークパワー』とやらは…『悪霊』や『反英霊』といった存在が持つ闇の性質をセイバーにも付与する効果を持っている」

アーチャー「成程、水をやり過ぎた花が逆に枯れてしまうように、アヴェンジャーが取り込んだセイバーの暗黒の力は…奴自身の力を異常に増幅させてしまう『毒』となっているわけか」

アーチャー「正当な英霊であるセイバーにとっては、真逆の性質を持った力は神の賜物だが――」

言峰「…正当な英霊として召喚されていない、『反英霊』としての属性を持つアヴェンジャーにとっては…地獄の宴というわけか」

アーチャー「行き過ぎた力は破滅を導く…末端から消滅し始めているところを見ると、どうやら魔力が体全体に行き渡らなくなっているようだ」

アーチャー「まるで、凍傷によって血液が行き届かなくなった指先から壊氏してしまうようにな」

言峰「なんということだ…全てを自身に取り込んでしまうアヴェンジャーの特性が…裏目に出るとは…!」

士郎「やはり、ナイトは――格が違った!」

696: 2015/09/21(月) 21:33:26.86 ID:iUh3VyT30
アヴェンジャーの崩壊は加速度的に早く、大きくなっていき

空全体を覆っていたアヴェンジャーの身体は

今や、士郎達の真上――アヴェンジャーの発生地点付近を残すのみとなった


no title

言峰「こんな、このようなことが…!?」


そして――

やがて、アヴェンジャーの肉体は…

完全に、消滅した

697: 2015/09/21(月) 21:34:27.70 ID:iUh3VyT30
アーチャー「…終わった、か」

士郎「…セイバー」

言峰「…」

アーチャー「――さて、言峰綺礼。報いを受ける時が来たようだな」

アーチャー「お前の処罰は、現実世界に戻ってからゆっくりと考えるとしよう。それまで、身柄を拘束させて…」

言峰「――くっく。どうやら…まだ終わりではないようだ」

アーチャー「何…?」

言峰「一つ、お前に問おう。――お前は、何故自分がまだ消滅していないと思う?」

アーチャー「…以前お前が言ったように、バグやエラーのせいではないのか?」

言峰「私もそう思っていたのだがね、どうやらそれは勘違いだったようだ」

言峰「プレイヤーが消滅する条件は、サーヴァントが消滅し、魔力のパスが完全に切断されること。例外として、ライダーのようにパスが切断されてもサーヴァントが残っていれば話は違ってくるが」

言峰「そして、お前も知っての通り、バーサーカーというサーヴァントは複数の逸話の集合体であり、決まった形を持たない。言い換えれば――複数の魂の集合体だ」

アーチャー「…それがどうした」

698: 2015/09/21(月) 21:36:38.77 ID:iUh3VyT30
言峰「キャスターの攻撃により、確かにバーサーカーというサーヴァントの肉体は消滅したのだろう。しかし――それはバーサーカーの氏を意味してはいなかったのだ」

アーチャー「何…!?」

言峰「ダメージを受けたことによって、魂同士を結びつけ、肉体を維持するだけの機能は失われたのだろう。しかし、辛うじて消滅を免れた魂がまだ存在していた」

言峰「その浮遊霊のごとく彷徨う魂とお前との間に未だにパスが通っているため、お前は依然この世界に存在しているというわけだ」

アーチャー「…話が見えてこないな。命乞いにしては回りくどい。それが今どういう意味を持つ?」

言峰「お前は疑問に思わないのか?――何故衛宮士郎がまだここにいるのか」

士郎「俺がここにいちゃいけないっていうのかよ マスターがいない聖壺戦争に未来はにい」

アーチャー「…!?そういう、ことか…!」


言峰「衛宮士郎が残っているということ――即ち、アヴェンジャーに取り込まれたセイバーとパスが切れていないということ」

言峰「無論、セイバーはもはや全く別の性質のデータの塊に成り果てているだろうがな。そこは問題ではない。要点は、かつて『セイバーだったデータ』はまだ存在しているという事実だ」


言峰「つまり――アヴェンジャーはまだ完全に消滅したわけではない、ということだ!」

699: 2015/09/21(月) 21:40:25.48 ID:iUh3VyT30
           ∴∵∴∵∴
              ∴∵∴∵∴∵
           ∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵
       .∵∴∵:(・)∴∵∴∵∴∵
         ∴∵rミ ,○、:(・)∴∵∴∵
        ∴∵/  / ミ 〉∴∵∵
     ∴∵∴∵|  ̄\ /∴∵∴∵
      ∴∴∵∴.、`  /∴∵∴∵∴∵
      ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
      ,∴∵∴∴tanasinn∵∴
      ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
    ∴∵∵∴∵∴∵∴
      ∴∵∴∵∴∵
       ∴∵∴∵ 


言峰がそう発するやいなや、つい先程アヴェンジャーが消滅したかに見えた場所から

再びアヴェンジャーが発生した

消滅前に比べれば遥かに小規模で

侵食速度もかなりスローなペースではあったが

もはや、対抗手段を持たぬ士郎たちにとって

氏刑宣告に等しい絶望の再臨であった



アーチャー「…ここまで、来たというのに…!」

士郎「…想像を絶する悲しみが俺を襲った……」


言峰「全て、全て無駄な足掻きであったな。さぁ、コレで終わりだ!もはやアヴェンジャーを止められる者は――」




それは、あまりにも急すぎた

突如、視界が遮られ

世界は漆黒に包まれた――

700: 2015/09/21(月) 21:43:12.74 ID:iUh3VyT30
サーヴァント紹介 完全版

【CLASS】セイバー
【マスター】衛宮士郎
【真名】ブロント
【出典】ネトゲ実況,他
【触媒】親のダイヤの結婚指輪のネックレス
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力A 耐久A+ 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A
【クラス別スキル】

対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:A
 幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

【保有スキル】

言語汚染:A++
 日本語の不自由さを表すスキル。言語汚染のランクが高いほど意思の疎通が困難となる。
 しかし極めて高いランクになると、それがひとつの言語として確立する。
 A++まで行くと逆に相手の言語を侵食するため、会話が成立する。

ナイトはジョブを選ばない:A
 クラスによる能力の制限を軽減するスキル。Aランクでは適正クラス以外で使用した宝具の威力をもほぼ100%引き出すことができる。

【宝具】
『グラットンソード』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~5 最大捕捉:1人
 暴食の名を冠する片手剣。ブロントを象徴する武器の一つ
 間隔が長いので遠くまで届き、尖っている部分で敵に致命的な致命傷を追わせることもできる
 真の力を開放することで『グラットンスウィフト』の発動条件を満たす

『雷属性の左』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 リアルではモンクタイプで喧嘩チームのリーダーでもあるブロントの左手から放たれる一撃
 電撃を帯びており、敵の防具の属性によって追加のダメージを発生させる 。
 ブロントが使用可能な宝具の中では最も魔力消費が少ない。

『生半可なナイトでは使えないホーリ』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:20~30 最大捕捉:5人
 セイバーとして召喚されたブロントが使用できる唯一の魔術系統の宝具
 複数人相手に使うこと想定した攻撃魔術ではあるが、対軍宝具に至るほどの攻撃範囲を持ちあわせてはいない
 しかし射程距離自体はブロントの持つ宝具の中で最も大きいため、主に飛び道具としての活用がメインである。
 
『グラットンスウィフト』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 ブロントが使用する最強の宝具。グラットンソードから放たれる必殺の一撃。
 グラットンソードのギザギザした部分で敵に致命的な致命傷を与える。
 全力を込めた一振りで、空気であろうがなんだろうがバラバラに引き裂いてしまう。
 同ランクまでの耐久を無力化できる。
 
『光と闇が備わり最強(ダークパワー)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:1 最大捕捉:1人
 対象に『魔力放出(暗黒)』を付与する宝具。
 『魔力放出(暗黒)』を得たサーヴァントは属性:暗黒が追加される。
 魔力放出の効果によりステータス、宝具の威力共に著しく上昇するが
 魔力消費量の激しさも増す。
 具体的には狂化Aランク相当の魔力消費が追加で必要となる。
 宝具の威力、ランクの上昇に関しては
 種別を対人→対軍へと変化させ、ランクを一段階上昇させる。
 理論上セイバーとして召喚されたブロントの最強の攻撃は
 ダークパワーを纏って放つグラットンスウィフトである。

 また、もともと暗黒属性を持つ存在がダークパワーの効果を得た場合
 暗黒属性同士の共鳴効果によって力が異常なまでに増幅してしまい、魔力の暴走を引き起こす。
 結果逆に身体を侵食され、崩壊へと至る。

701: 2015/09/21(月) 21:43:56.02 ID:iUh3VyT30
【CLASS】ランサー
【マスター】セイバー(アルトリア)
【真名】リューサン
【出典】ネトゲ実況
【触媒】ガリ
【性別】男
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷A 魔力D 幸運E 宝具B+
【クラス別スキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
孤高の騎士:A
 PTを組めず、ソロ専などと虐げられたリューサンの不遇さを象徴するスキル。
 味方のいない状況でも精神的動揺を起こさず実力を発揮することができる。
 ただし、一度でも協力関係を成立させるとランクが大きくダウンする。

鎮魂の金言:A
 精神的な動揺、感情の昂ぶりを鎮めるスキル。
 ランクAでは一時的に狂化を抑えることすらできる。
 ただし、既に完成してしまった呪いや、精神の汚染が完了している相手に対しては効果を発揮しない。
 また、自身の狂化に対してはこのスキルは使用不能となる。

【宝具】
『紫電の槍(ライトニングスピア)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:5~30 最大捕捉:30人 
 幻獣イクシオンの力を宿した一撃。雷撃を槍に纏わせて放つ
 本来竜騎士が使える技ではないが、リューサンの使う技としてイメージが定着したために発動可能となった宝具

『無毀なる孤高(エースヘルム)』
ランク:B+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:1 最大捕捉:1人 
 選ばれし勇者(トライエース)にのみ与えられる兜型の宝具。
 しかしその用途は防御ではなく、自らの肉体を強化し、怪物へと変容させる攻撃特化の宝具である。
 装備したものは他の宝具、スキルの使用を封じられる代わりに、大幅なステータスアップの恩恵を受ける。
 バーサーカークラスの狂化と異なり、肉体が変容しても理性は残っている。
 しかし一部の言葉しか発することができなくなるため、意思の疎通は困難となる。
 自らの意志でこの宝具を解除することはできない。

702: 2015/09/21(月) 21:44:33.59 ID:iUh3VyT30
【CLASS】アーチャー
【マスター】ライダー(メドゥーサ)
【真名】全盛期のイチロー
【出典】ニュー速VIP
【触媒】折れたバット
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具A++
【クラス別スキル】
対魔力:A
 Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。

単独行動:A+
 マスター不在でも行動できる能力。

【保有スキル】
心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

メジャーリーガー:A+++
 己の精神と肉体を駆使し、世界最高の舞台で戦う偉大なる挑戦者に与えられるスキル。
 A+++までいくと精神攻撃は100%シャットアウトし、物理攻撃も7割ほどダメージを低減できる。
 また、言語が堪能になる、戦いの気配を敏感に察する等の副次的効果もある。

【宝具】
『投げ穿つ氏翔の球(レーザービーム)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人 
 本塁への送球の凄まじさからその呼び名がついた全盛期のイチローを象徴する宝具。
 球を投擲するだけのシンプルな攻撃方法だが、威力は絶大。
 それだけでも強力な宝具だが、本領を発揮するのは『自分で放ったレーザービームを自分で打ち返した時』であり
 その場合は対軍宝具から対城宝具へと種別が変化し、速度、範囲、威力全てが大幅に上昇する。

703: 2015/09/21(月) 21:45:28.76 ID:iUh3VyT30
【CLASS】キャスター
【マスター】遠坂凛
【真名】寺生まれのTさん
【出典】オカルト板
【触媒】お守り
【性別】男
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具EX
【クラス別スキル】
陣地作成:B
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 “工房”の形成が可能。

道具作成:C
 魔術的な道具を作成する技能。

【保有スキル】
対怪異:A+
 現実からかけ離れた現象、もしくは怪物、妖怪、悪霊等に対する優位性を表すスキル。
 夫婦剣:干将莫邪の持つ性質のように、怪異に対する攻撃の威力が大幅に上昇する。
 逆に、怪異からスキル保有者への干渉は高確率でシャットアウトされる。
 結果として、外部から精神及び肉体へ影響を与えるスキルは極めて高ランクの物以外は無効となる。
 ランクA+ともなれば、対象が霊体であれば例え神霊クラスであってもこのスキルの影響を無効化することはできない。

寺生まれ:--
 因果を捻じ曲げてでも人を救済することに特化したTさんが持つ固有のスキル。
 寺生まれを持つサーヴァントは、覆りようのない最悪の状況でも起氏回生の一手、最良の一手、思いがけぬ幸運を呼びこむことができる。
 特に一番このスキルの効力を発揮するのは、Tさんによる『救済』が必要とされている状況である。
 寺生まれってやっぱり凄い。

【宝具】
『破戒すべき全ての恐怖体験(破ぁ!!)』
ランク:EX 種別:対霊宝具 レンジ:2~30 最大捕捉:1人 
 Tさんの代名詞とも言える宝具。基本形は手から放たれる光球である。
 『霊を頃す』ことに特化しており、相手が霊に定義できるものであればサーヴァントであろうが神であろうが問答無用で消滅させてしまう。
 また、魔力消費量も非常に少なく、並のマスターの魔力量でも数十発は連続使用が可能である。
 反面物理的な威力はさほど大きくなく、生身の人間に使った場合でも致命傷にすら至らない。
 状況に応じて様々な用途で使い分けることができ、応用の幅が大きい。
 逸話の中では釣り竿に力を宿したり、呪文のように詠唱して使用した例が存在する。

704: 2015/09/21(月) 21:46:18.18 ID:iUh3VyT30
【CLASS】ライダー
【マスター】間桐桜
【真名】やるオプーナ
【出典】ゲーム・ハード板
【触媒】オプーナの購入権利書
【性別】男
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運E 宝具D
【クラス別スキル】
騎乗:B
 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

対魔力:C
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。


【保有スキル】
遊戯審美:C
 ゲーム作品、システムに関する知識。
 ゲーム作品に関わるサーヴァントと対峙した時、低確率で真名を看破することができる。
 また、裏技や隠し要素といったゲームに関わる裏のルールを見破る事が可能となる。

【宝具】
『エナジーボンボン』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~30 最大捕捉:1人
 オプーナの頭部に装備された球体。
 ある程度遠くまで飛ばすことができ、飛び道具として運用される。
 オプーナのメインの攻撃手段である。

『ワゴンカート』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:4人
 オプーナの移動手段かつ突撃用の武器。
 クソゲーがよく並べられるワゴンを模した乗り物であるため
 オプーナ本人はこの宝具をあまり好んでおらず、戦闘以外ではなるべく使用を避けている。
 カートで高速移動しつつ『エナジーボンボン』で敵の範囲外から攻撃を仕掛けるというのが必勝パターン。

『招き蕩うクソゲー劇場(クソゲーオブザイヤー)』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
 クソゲーを司る者、としてのオプーナが持つ固有結界。
 術者の心象を具現化するのが固有結界だが、この心象というものはオプーナ自身が持っていたものというより
 サーヴァント化されるにあたって、ネットユーザーによって『オプーナといえばクソゲー』というイメージが定着していたために
 本人が望んだわけでもなく無理やり心象を押し付けられた、呪いのような宝具である。
 能力としては、クソゲーが持つクソゲーを構成する要素を空間内に再現する。
 空間内に引きずり込まれたものは『術者であるオプーナを討伐する』というゲームに挑まされる。
 勿論そのゲームはバグ、理不尽、単純につまらないといったクソゲー要素で溢れているので
 クリアすることは非常に困難である。
 術者であるオプーナ本人にも制御は不可能であり、下手に挑めば自身もクソゲーの荒波に巻き込まれる。
 
 固有結界という大魔術であるにもかかわらず宝具としてのランクが低いのは
 本人曰く「クソゲーに神秘性など無い」ためである。

705: 2015/09/21(月) 21:47:02.86 ID:iUh3VyT30
【CLASS】バーサーカー
【マスター】アーチャー(エミヤ)
【真名】無し(邪気眼使い)
【出典】2ちゃんねる全土
【触媒】黒歴史ノート
【性別】--
【属性】--
【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具--(EX)
【クラス別スキル】
狂化:--
 狂化のスキルは失われている。

【保有スキル】
邪気眼(偽):A+++
 『狂化させる者』としてバーサーカーのクラスで現界した
 『邪気眼』に関わる逸話の集合体に与えられたスキル。
 『邪気眼』自体の効果は原典でも不明だが、『邪気眼』というジャンルの逸話に共通する
 『消し去ってしまいたいほどの過去の痛い言動・黒歴史』という部分をスキルとして昇華している。
 『邪気眼』に囚われた対象は自身の負の感情、触れられたくない心の傷、過去のトラウマを増幅させられ
 理性を失い、バーサーカーのクラススキル『狂化』に近い状態となる。
 『狂化』と違い、『邪気眼』の犠牲になった者も宝具の使用は可能。
 しかし、狂化後は攻撃対象にバーサーカー自身を選ぶことは出来ず
 『少しでも多くの人を仲間に引きずり込んでやろう』という思考から
 『邪気眼』の効果が及んでいないものを優先して狙う。
 自身の内面の感情を増幅する効果であるため
 キャスターが持つ、外部からの侵略行為を抑制する『対怪異』スキルで防ぐことは困難。
 
 また、自分の心に曇るものが一切無い者(またはそう思い込んでいる者)
 高ランクの『精神汚染』を持つ者に対しては効果が無い。

【宝具】
本来、自身の宝具を持たないサーヴァントである。

『天地乖離す永久の氷結(エターナルフォースブリザード)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1人
 令呪3画を消費することによって再現することが可能となる
 2ちゃんねるの『邪気眼』系統の逸話の中で最大の知名度を持つ究極の宝具。
 この宝具を受けた対象を確実に氏に至らしめる。
 氏の概念がない相手に対しても、この宝具によって勝手に氏を定義され、その定義された氏を与える。
 つまり、どんな存在であっても絶対に逃れられない氏を与える事ができ、防ぐ手段は存在しない。
 分類的には『魔法』に属する。
 
 具体的に目に見える事象としては、一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。
 相手は氏ぬ。

706: 2015/09/21(月) 21:48:17.84 ID:iUh3VyT30
【CLASS】アサシン
【マスター】言峰綺礼
【真名】ぼっさん
【出典】ニュース速報
【触媒】シチメンソウ
【性別】男
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力C 幸運C 宝具--
【クラス別スキル】
気配遮断:--
後述のスキルが気配遮断を兼ねている。

【保有スキル】
コラ素材:EX
 日本のネット史上最大クラスに普及した『世界最強のコラ素材』たるぼっさんの持つスキル。
 コラ素材として『使われる』という特性から、ぼっさん自身が宝具のようなものとして扱われる。
 実質、このスキルが実質ぼっさんの宝具の代わりとなっている
 非常に強力なスキルであるが、『聖壺戦争』内で再現するにはシステムの整備が追いついておらず
 バグの発生を避けるためいくつかの段階に分けて封印が施されている。
 
 第一段階:世界の跳躍
 自身が認知・認識した場所へ一瞬で移動することができる。某国民的RPGのルー○のようなスキル。
 実際は本人がその場所を一度訪れたことがなければ移動はできないが、今回はGMの言峰に召喚されたため
 『聖壺戦争』の世界の地理情報が全てインプットされている。
 結果、ぼっさんは世界の何処にでも一瞬で移動することができる。
 
 第二段階:風景と同化
 自身の肉体を背景と一体化することができる。擬態能力。
 完全に同化すれば肉眼での識別は不可能。ただし、近くにぼっさんがいるとわかってしまうと無差別に攻撃をされる恐れがある。

 第三段階:認識の改変
 全ての封印を解いたぼっさんが使用可能となる最後の能力。
 コラ素材として、違和感なく『最初からそこに混じっていた』ようにすら思わせることに起因したスキル。
 敵はぼっさんという存在に対して全く違和感を覚えることが出来ず
 ぼっさんを倒すべき対象と認識している場合ですら
 その場にいるぼっさんを当然のものとして受け入れてしまう。
 『鳥が空を飛んでいる』ことや『歩くと前に進む』といった
 当たり前の事象に対して違和感を覚えるくらいの倒錯した精神の持ち主でないと
 ぼっさんのスキルを破ることは難しい。

714: 2015/09/26(土) 00:12:12.09 ID:JV8Dy78q0
~~~~

アーチャー「…うっ……一体、何が……?」

言峰「くっ…」

士郎「うう…」

アーチャー「…?言峰綺礼まで、倒れてるだと…?本当に、何が起きたんだ…?」


凛「アーチャー!よかった…やっぱり私の思った通りね!」

アーチャー「凛!?何故君が……いや、ここは…教会…?」

アーチャー「つまり…私たちの方が…戻ってきた、というわけか…」

士郎「いてて…エライ目にあったな…。って、あれ?ここって…?」

桜「あ、先輩!目が覚めたんですね!」

士郎「桜!?じゃあ、ここは…現実世界、ってことか?」

桜「良かった…口調も元に戻ったみたいですね」

士郎「何を言ってるんだ?桜。俺は何も変わってないだろう?むしろ、途中から桜の様子が変になってて心配したんだぞ」

桜「…うん、何も無いならそれでいいです…」

715: 2015/09/26(土) 00:13:25.25 ID:JV8Dy78q0
アーチャー「どうして、私たちはゲームの世界から排出されたんだ?凛、君は何か知っているのか?」

凛「知ってるも何も、私があなた達を戻してあげたのよ」

アーチャー「…?どういうことだ?」

凛「私、思ったのよ。聖壺戦争って、結局はゲームなわけじゃない?だから…」


凛「電源を切ってやれば、すぐ終わらせることができるんじゃないか、って」



アーチャー「………え?」

716: 2015/09/26(土) 00:15:28.95 ID:JV8Dy78q0
凛「こっちに戻ってきてから、すぐ行動に移ったの。いやー苦労したわよ。なんてったって」

アーチャー「ま、待て、凛!き、君は…君というやつは…!」

アーチャー「電源を、切っただと!?私達がゲーム内にいるにも関わらずに!?私達がゲームデータごと消滅してしまうとは、考えなかったのか!?」

凛「な、何よそんな血相変えて…ちゃんと、五体満足で帰ってきてるじゃない…」

アーチャー「いや、まぁ…それはそうなのだが…。…しかし!君もわかっていただろう!?アヴェンジャーの脅威を」

アーチャー「電源を切ったことで、行き場をなくしたアヴェンジャーがそのまま外部のネットワークに流出してしまう危険性だって有るんだ!いや、もしかしたらもう…!」

士郎「…いや、それは大丈夫みたいだぞ。――見てみろ」

アーチャー「…こ、これは…」

士郎「…電源ケーブルとLANケーブル、どっちも見事に切断されてる。これは、セイバーがやったのか?」

セイバー「はい。私たち脱落組はお茶を頂いていたのですが、凛が戻ってくるなり大慌てでパソコンの前に座りまして」

セイバー「しばらく何か操作しようとしていたようでしたが…その後こちらに救援を求めて来たのです」

士郎「…ちなみに、何て?」

セイバー「『どうやってもPCの電源が消せないから、線を切断して欲しい』と」

アーチャー「…うわぁ」

717: 2015/09/26(土) 00:17:32.03 ID:JV8Dy78q0
セイバー「何やら切迫した状況のようでしたので、事情は後から聞くことにして引き受けました」

セイバー「ですが…その…私もそういった知識には乏しくて…どれが電源ケーブルか瞬時に判断することが出来なくて…」

士郎「…とりあえず、出てる線全部切ってみた、と」

セイバー「はい…」

士郎「遠坂…電源を引っこ抜くって発想は無かったのか?」

凛「しょ、しょうがないじゃない…焦ってたんだから…。大体、このパソコンもおかしいのよ!何回電源切っても、アーチャーたちが帰ってこないんだもの」

アーチャー「…凛。恐らく…君が電源だと思っているのは、ディスプレイの電源だろう。そこを何回押したところで、ディスプレイが付いたり消えたりするだけだ」

凛「へっ?」

アーチャー「本体は、こっちの箱の方だ。コイツの電源を切らなければ、PCが止まることはない」

凛「どうしてよ!こっちには映像も何も映らないじゃない!」

アーチャー「……」

718: 2015/09/26(土) 00:19:40.29 ID:JV8Dy78q0
士郎「…何だかなぁ」

アーチャー「皆まで言うな。…私だっていろいろと思うところはある」

アーチャー「だが、まぁ…よくよく考えれば、我々がログインに使用したのはこのPCのみ。つまりこのPCからの流出さえ防げればよかったわけだ」

アーチャー「あの時、セイバーのおかげで一瞬だがアヴェンジャーは消滅した。おかげで奴の末端のデータが外部に漏れた可能性を危惧する必要もない」

士郎「つまり…電源が切れたのが絶妙のタイミングだったわけだな。あれより早くても遅くても、アヴェンジャーの侵食範囲がもっと広がっていた可能性があった」

アーチャー「ああ。その絶好のタイミングで電源だけでなくLANケーブルも切断されたことで、アヴェンジャーには行き場がなくなった。あとはこのPCの内部データさえ削除してしまえば、アヴェンジャーは完全に討伐完了だ」

士郎「…俺達が無事に戻ってこれたことと言い、本当に運が良かった。…これも、壺のサーヴァントたちが頑張ってくれたおかげだな」

アーチャー「…ああ」

719: 2015/09/26(土) 00:21:04.05 ID:JV8Dy78q0
凛「何かごちゃごちゃ話し込んでるけど、とにかく、私がやったことは間違いじゃなかったんでしょう?」

アーチャー「…非常に不本意だが、その通りだ」

アーチャー「凛、君は電子機器のことを何も理解していないし、今後も間違いなく理解することは出来ないだろうが…とにかくよくやった!感謝する」

凛「えっと…それ、褒めてるの?」

アーチャー「無論だ。さて、問題は…」

アーチャー「そこでコソコソと逃げおおせようとしている言峰神父に、どのような処罰を下すか…だな」

言峰「…ふっ」ガシッ

ライダー「一応、捕らえておきました。――ゲームの中ではいいところ無しでしたが、こちらではそうは行きませんとも。ええ」

凛「言っておくけど、頃すってのは無しよ。頃したところで地獄行き確定だもの。ただコイツを喜ばせるだけよ」

アーチャー「心得ている。事情は聖堂教会に伝えるとして…まずは徹底的に社会奉仕活動に取り組ませよう。起きている間は常に人の為になることだけを考えてもらう。それから――」

720: 2015/09/26(土) 00:22:07.93 ID:JV8Dy78q0
桜「なんだか、盛り上がってますね、姉さんたち。楽しそうです」

士郎「それを聞いてる言峰の顔は心なしか青ざめてる気がするけどな。これにて一件落着って感じか」

桜「…『聖壺戦争』は、どうなっちゃうんでしょうか?」

士郎「…残念だけど、管理者の言峰があんなことをやらかしちゃった以上、お蔵入りになるだろうな。そもそも、データ自体がアヴェンジャーのせいでもうほとんど壊滅状態だ」

桜「そう、ですか…」


桜「……ライダー」

ライダー「どうかしましたか?桜」

桜「あ、ううん…何でもないの」

ライダー「?ならば良いのですが…」

730: 2015/09/26(土) 21:33:13.03 ID:JV8Dy78q0
~数日後~

桜「お邪魔します。…あら?姉さんたちも来てるみたい」


――あれから数日が過ぎ、私たちはすっかり元の生活に戻りました。

言峰神父の暴走に関しては、混乱を避けるため参加者である私達を含めごく一部の人にしか知らされていないようです。

世界中のネットワーク全体に危機が及ぶ恐れがあった、という事態を重く見た聖堂教会は

『聖壺戦争』の計画を永久に凍結することを決定しました。

データが保存されていたPCは回収され、現在解析中とのことです。

もしかしたら、彼らはまだPC内に保管されている膨大な魔力に未練が有るのかもしれませんね。

731: 2015/09/26(土) 21:34:52.62 ID:JV8Dy78q0
そして、首謀者である言峰神父ですが…

なんと、彼は今ハワイにいるそうです。

ハワイで幸せな結婚式を挙げる新婚夫婦達と間近で接し

祝福を捧げるという仕事を通じて、更生をはかるようです。

1人だけだとまた何をするかわからない、ということで

サポートとしてもう一人、シスターさんが派遣されているみたいです。

なんでもかなり若い女性らしくて、言峰神父とは親子ほども歳が離れているんだとか。

――何だか、普通の人にとってはむしろご褒美みたいな環境の気がしますけど

姉さん曰く、『アイツが更生なんてするわけ無いから、できるだけアイツが嫌がる状況に追い込んでやる』…だそうです。

姉さんもだんだん神父さんに性格が似てきたんじゃないでしょうか?

732: 2015/09/26(土) 21:36:06.08 ID:JV8Dy78q0
ドタドタ

ライダー「さ、桜!よく来てくれました…!」

大河「桜ちゃーん!た、大変なのよう…!お願い、何とかしてぇ!!」

大河「桜ちゃんも聞いてるでしょう!?士郎と遠坂さんの話。学校でちょっと問題になってるんだから!」

桜「ああ…ええ、まぁ。というか、普通に学校で会ってますしね」

ライダー「桜の言うことならば、士郎たちも聞いてくれると思います!だから、お願いします桜!」

桜「……」

733: 2015/09/26(土) 21:38:07.07 ID:JV8Dy78q0
――『聖壺戦争』は計画が凍結されたため

もう二度と、あの世界で出会った個性豊かなサーヴァント達が陽の目を見ることはないでしょう。

『聖壺戦争』というゲームを成立させるためだけに生み出され、自我を与えられ

そして…用が済めばまたただの魔力の塊として世界に還元される。


自分の望みをかなえられるわけでもなく

本来、私達マスターに力を貸す義理は全く無いのに

彼らは、氏力を尽くして戦ってくれました。

私達マスターのため、自分自身の存在する意義を確かめるため――


ほんの短い間だったけど、心を通わせ共に戦った壺のサーヴァント達

そんな彼らと二度と会うことが出来ないというのは、やっぱりちょっと寂しいですね。

734: 2015/09/26(土) 21:38:39.50 ID:JV8Dy78q0
――でもね、ライダー。

私、あなたの事…

あなた達の事、きっと忘れない。


何故なら、ここには

あなた達と共に過ごした確かな『証』が有るんだから――

735: 2015/09/26(土) 21:39:53.51 ID:JV8Dy78q0
士郎「人の家で勝手に料理し始める恥知らずな弓兵がいた!ここを自分の家だと勘違いしているのならお前の頭は意味ないな後ろから破壊してやろうか?」

アーチャー「生前は私の家だったという理由で最初から私の勝率は100%だった 見ろ見事なカウンターで返した調子に乗ってるからこうやって痛い目に遭う 」

セイバー「私の胃袋が空腹でマッハなんですが…士郎!アーチャー!くだらない喧嘩は今すぐやめるべきこのままでは私は骨になる」

凛「藤村先生に迷惑かけるとかちょとsYレならんしょこれは・・?アーチャー、はやくあやまっテ!それくらいも出来ない卑怯者はマジでかなぐり捨てンぞ?」

アーチャー「お前頭わりぃな 私の手料理を食わせてやれば藤ねぇの機嫌も有頂天になるのは確定的に明らか」

凛「…アタシの言うこと聞かない気?そうならあんたもう氏ね!」

士郎「やっぱりアーチャーよりセイバーだな…今回のでそれがよくわかったよ>>遠坂感謝 アーチャーは前門の虎前門のライオン状態でなす術なしだしな」

セイバー「想像を絶する空腹がアルトリアを襲った…あまり待たされると病院で栄養食を食べる事になります」


桜「……」

741: 2015/09/26(土) 21:51:10.40 ID:JV8Dy78q0
大河「ここ最近、ずっとこんな感じなのよう!それでいて本人たちは全く自覚がないみたいだし…」

ライダー「原因も皆目検討が付きません…呪いの類でしょうか…。いずれにせよ、このままでは聞いている私達のほうがおかしくなってしまいそうです!」

ライダー「お願いです、桜!元に戻るよう、彼らを説得してください!」

桜「……」


桜「――ふふっ。楽しそうで、いいんじゃないかしら?」

大河「!?」

ライダー「そ、そんな!?」


桜「姉さーん!何抜け駆けして先輩の家に来てるんですか?あまり調子に乗ってると裏世界でひっそり幕を閉じる事になりますよ?」

凛「げ、桜!?ど、どうやって私が抜け駆けしたって証拠よ!居候の多い衛宮家を気遣って家事の手伝いに来ていただけであって抜け駆けとは無関係。我ながら見事な仕事だと感心はするがどこもおかしくはないわね」

桜「動揺を隠そうと必氏なのがバレてる証拠に笑顔が出ちゃいます。姉さんはどこにも逃げられないプレシャーを背負う事になった後ろに気をつけておくことをお進めします」



ライダー「さ、桜まで…!?そんな…わ、私は一体どうしたら…!?」オロオロ


大河「うわーん!!もうやだー!元のみんなを返してよ~!!」



END

737: 2015/09/26(土) 21:44:57.16 ID:JV8Dy78q0
これにて完結です。
本当に長い間お付き合いいただきありがとうございました。

ダラダラ長引かせたせいで序盤と後半で矛盾してるところもいくつかあるけど許してください。

746: 2015/09/27(日) 01:09:59.78 ID:8NTiI56To
乙乙

747: 2015/09/27(日) 01:16:53.40 ID:LWTVv0rMo
完結乙!

最初は頭おかしい扱いしてたのに、すっかり染まって終わったww

引用: 言峰「聖壺戦争」