363: 2010/11/01(月) 23:28:23.98 ID:8Y429yKl0

367: 2010/11/02(火) 00:04:36.12 ID:8Y429yKl0
澪ちゃんが何も言わずに部室を出ようとする

それ自体はこの数週間何度もあったこと

でも今日は、顔つきがなんだか少し違う

だから、今日は思い切って声をかけてみた

唯「・・・帰るの?」

澪「・・・・・」

ガラっと扉を開けて澪ちゃんは出て行った

おかしい、いくらこんな雰囲気でも普段の澪ちゃんなら「あぁ」くらいは言う

何も言わなかったという事は・・・それすら答える心の余裕がないってこと

唯「・・・・・」

少し考えて私は後を追うことにした

ムギちゃんはテーブルに突っ伏している

寝ているのかどうかは分からないけど、声はかけずに行く事にした

と、その前に・・・

私はケータイを取り出した
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
370: 2010/11/02(火) 00:13:36.91 ID:znRHIlCs0
―――少し早足で階段を下りていく

いた。痛んで枝毛だらけになった長くて黒い髪。澪ちゃんだ

なにかをぶつぶつと呟きながらトボトボと階段を下りている

踊り場で方向転換するときにチラっとその横顔が見えた

僅かに見えた澪ちゃんの目は黒く濁っていて、だけどどこか力強い炎が灯っているように感じた

一階まで降り、廊下を進む

私はもう自分の存在を隠そうとせず、堂々と足音を立てて澪ちゃんの背中に近づいた

澪ちゃんは立ち止まり、呟く

澪「・・まを・・るなよ・・・」

澪「邪魔を・・・・するなよ・・・・・」

そして、振り向く

澪「唯」

唯「・・・・・・」

正面から見たそれは、もう私の知っている

優しくて厳しくて怖がりで寂しがりな澪ちゃんの顔じゃなかった

371: 2010/11/02(火) 00:21:19.25 ID:znRHIlCs0
唯「どこ行くの?澪ちゃん」

澪「・・・律に会いに行く」

唯「そっかー、会ってどうするの?」

澪「・・・唯には関係ないだろ」

唯「そうかな?どうかな?」

澪「・・・・」

唯「私の子供を頃すつもりなんだよね?」

澪「・・・・」

唯「駄目だよ~」

澪「・・・うるさい」

唯「そんなことをしてもりっちゃんは澪ちゃんと一緒にいてくれないんだよ~」

澪「うるさい」

唯「私たちは放課後ティータイムだよ?部長のりっちゃんを悲しませちゃ駄目だよ」

澪「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいッ!!!!!」

澪ちゃんは長い髪を振り乱して叫ぶ

373: 2010/11/02(火) 00:28:25.77 ID:znRHIlCs0
澪「じゃあどうしろっていうんだ!!?このままじゃ律が氏ぬかもしれないんだぞ!!」

唯「それはりっちゃんが決めた事だよ」

澪「はァ?じゃあお前は律が氏んでもいいっていうのかよ!!」

唯「りっちゃんは氏なないよ」

澪「・・・は?はぁ・・・?なんだそりゃ・・・何を根拠に・・・・」

唯「だってりっちゃん言ってたもん、この子達を産むって」

澪「・・・だから?」

唯「だから氏なないよ」

澪「意味わかんねぇこと言ってんなよっ!!!」

唯「なんでりっちゃんを信じてあげないの?」

澪「――――!!」

唯「どっちかを選ぶって事はりっちゃんを信じないってことだよね。澪ちゃんはりっちゃんを信じてないんだね」

澪「ぎ・・・こ、この・・・・!!」

唯「私はりっちゃんもあずにゃんも信じてるよ」

唯「澪ちゃんも怖がらないでりっちゃんを信じてあげようよ」

379: 2010/11/02(火) 00:40:18.08 ID:znRHIlCs0
澪「じゃ、じゃあ梓も律も無事に産んだとして、唯はどうするつもりなんだよ!!」

唯「私はあずにゃんと一緒にムギちゃんの子供を育てるよ」

澪「はッ!!やっぱり律のことは見捨てるつもりか!それでよくそんなえらそうな事を・・・」

唯「見捨てないよ。りっちゃんが私の子供を産んだら、私はりっちゃんにお願いして、あずにゃんと一緒にその子も育てる」

澪「・・・は?はぁ?なんだよそれ・・・、律や梓はそれでいいって言ったのかよ!!」

唯「ううん、だから産んでからお願いするつもり。りっちゃんとあずにゃんに頭を下げてね」

澪「な、んだよ・・・そんな自分勝手な・・・・!!」

唯「そうかもね。でも私は二人が無事に子供を産んでくれることを信じてその先のことを考えて決めたんだよ」

唯「澪ちゃんは今が怖いから、今から逃げる手段として動こうとしてるよね」

澪「っ・・・ぅっ・・・・・何・・を・・・」

唯「それはりっちゃんに対する裏切りだし、私の決意を踏みにじることだよ」

澪「はっ・・・・ははっ・・・なんだそれ・・・私が自分のことしか考えてないとでも言いたいのかよ」

唯「そうだよ」

澪「・・・・・」

唯「澪ちゃんは少なくともりっちゃんの覚悟からは逃げちゃ駄目なはずだよ」

381: 2010/11/02(火) 00:51:36.34 ID:znRHIlCs0
澪「じゃぁ・・・、じゃあ私の決意は、蔑ろにされていいっていうのかよ・・・・!」ガンッ

唯「澪ちゃんの逃げたいっていう安い気持ちが決意って呼べるのかどうか怪しいもんだね」

澪「!!こ・・・いつ・・・・、ふ・・・ふふ・・・もういい、わかった」

唯「・・・・・」

澪「あーぁ、そうだよな。普段から何言ってるか分からない脳内万年春女の言う事なんかに耳を貸した私が馬鹿だった」

唯「・・・・・」

澪「あの唯がここまでそれらしい事言えるとは思わなかったよ。はいはい面白かった。・・・・もう邪魔だから消えてくれよ」

唯「そうはいかないよ」

澪「・・・あっそう、じゃあ寝てて」スッ・・・

バシュッ! バシュッ!

唯「!?」

ズコココォッ!!!!

唯「・・・・」

澪「・・・へー、今のを避けるなんて・・・唯は本当になんでも出来ちゃうなァ・・・そういうとこ・・・ムカツクなァ・・・」

横目で私がさっきまで立っていた場所を見る。・・・黄金の粒と共に廊下のタイルが砕け散っていた

386: 2010/11/02(火) 01:00:39.52 ID:znRHIlCs0
唯「これは・・・・」

澪「超数子砲(ヘディング・ロウ)。律と一緒に作り上げた私の能力」

唯「・・・・・すごいねぇ澪ちゃんは」

澪「ははっ・・・唯にそう言われても皮肉にしか聞こえないんだ・・・・よッ!!!」

バシュッ!! バシュッバシュッ!!

唯「ッ!!」

澪ちゃんが左手を少し動かしたかと思うと次の瞬間には超高速の数の子が飛んでくる

私はそれを紙一重で避ける

数の子廊下や壁を抉り取っていく

澪「それに当たったらいくら唯でも起き上がれないよ」

唯「・・・・そうだろうね」

バシュバシュッ!! バシュッ!

ズココッ!! ズノコココッ!!!

跳ねる しゃがむ 回る 伏せる 

私はあらゆる動きを駆使して光線の様な魚卵をかわしていく

387: 2010/11/02(火) 01:10:16.94 ID:znRHIlCs0
バシュバシュバシュッ!!!

唯「ふっ!ほぉっ!・・・はっ・・・はっ・・・」

バシュバシュッ バシュッ!!!

唯「んっ!ほぁっ!」

澪「ほらほら、息が上がってきたんじゃないのか?当たっちゃうぞ?」

避ける、見る、避ける、観る、避ける、視る、避ける

観察する、計算する、分析する、解析する、見極める、攻撃方法を、法則性を――

唯「見えた・・・ッ!!」

澪ちゃんはカバンの中から左手で数の子を3本ずつ抜き取り

それを上に放り投げて、額で弾き飛ばしている――――

そのどれもが最小限の動き!遠目には何をしたのかが分からないほどの!

やっぱりすごいね澪ちゃんは・・・!こんなに技を使いこなしてるなんて!

でも・・・パターンさえ掴めば・・・割り込む隙はある!!

そう、数の子は3本ずつ左手で取る・・・さっきから飛んできている数の子も、タイミングを少しずつずらしてはいるけど

3本ずつのパターンの組み合わせに過ぎない!3本目が飛んだ後の間さえ狙えば――!!

388: 2010/11/02(火) 01:14:31.40 ID:znRHIlCs0
バシュッ!!

一本目・・・

バシュッ!!

二本目・・・

・・・・・バシュッッ!!

三本目!!今だッ!!

澪「おーおー、やっぱ気付いちゃうんだねぇ、唯は」

唯「!?」

澪「誰も三本しか左手に持てないなんて言ってないよな?」

そうか・・・指の間に一本ずつ挟んで持っていたのなら・・・・・

四本まで持つことが出来る・・・!!読み違えた・・・・・!!!

バシュッ!!

唯「―――――」

澪「ははっ!!吹き飛べよ唯イイイィイィ!!!!」

ズノコココォォォオォォンッ!!!!

393: 2010/11/02(火) 01:25:26.37 ID:znRHIlCs0
澪「・・・・悪いな唯。私は・・・律に生きていてもらわないと・・・駄目なんだ・・・。だから・・ここは譲れない」

噴煙と共に黄金の粒がキラキラと宙を舞った

あぁ、初めて律にこの技を使ったときみたいだ・・・

すごく幻想的で・・・・綺麗だな・・・・

この光景を歌詞にしたら・・・・良い詞が書けそうだ

秋山澪はそう思った

そして、薄れていく噴煙の中に、その姿を認めたとき

秋山澪はこうも思った

あぁ・・・やっぱり私の歌詞はこいつに歌ってもらうのがとても、しっくりくる・・・


唯「・・・・これは、賭けだったよ・・・・」

澪「・・・・・・・・」

唯「 明 太 殺 し (メンタイブレイカー) 」

唯「右手に触れた明太子、及びそれに順ずるものを瞬時に弾けさせる能力だよ」

唯「これが・・・数の子に通用しなかったら、今私はやられてたね・・・」

澪「・・・・・・・ははっ、いいねぇいいねぇ・・・。最高だよ・・・・唯!!」

397: 2010/11/02(火) 01:39:51.22 ID:znRHIlCs0
澪「うぅうううあああぁぁあああ!!!」

バシュバシュバシュッ!!!

唯「1,2,3!!」

バシュッ!!!

唯「4!!打ち止め!!いくよ澪ちゃん!!!」

澪「――ッ!!」

ムギちゃんの明太子を冷凍して保存しておいて良かったよ・・・

それにこの明太頃し、最初はなんでこんな迷惑な能力を・・・って思ったけど

ここで澪ちゃんと戦うのが運命だったとして・・・この能力はきっと

あずにゃんがくれた、運命に立ち向かうための能力・・・・!!

唯「おおぉぉおおおッ!!!アイズ・オン・ミー!!ほいほいっ!!」

シュンッ シュンシュンッ

メタッ メタタタッ!!

澪「ォギャッ!! 目ッ!!目がッ!!」

402: 2010/11/02(火) 01:53:23.24 ID:znRHIlCs0
いける・・・・いけるっ!!

これでトドメ!!

唯「平沢流奥義!!ダイブ・トゥ・ブルー!!!」

シュンッ!!

澪ちゃんが次の数の子を装てんする前に放つ!!これで・・・もらった!!

唯「はーっばーたくーのーっ・・・・っ!?」

バチィッ!!!!

い、今のは・・・・?明太子が・・・数の子に弾き落とされた・・・?

澪「ギリギリだったけど・・・・威力を気にしなければ、速射は可能だ」

唯「・・・・っ」

澪「左腕で投げているから、あまり威力が出ないんだろ?」

澪「それくらいなら、弾き落とすのは簡単だ」

唯「・・・・目は、どうしたの」

澪「ははっ、考えてみてくれよ。私は数の子を毎回ヘディングしてるんだぞ?」

澪「多少の汁が目に入っても大丈夫なように、特殊なコンタクトレンズをしてるんだよ」

406: 2010/11/02(火) 02:02:32.01 ID:znRHIlCs0
唯「・・・・あの怖がりの澪ちゃんがコンタクトレンズ?」

澪「頑張ったさ。これも愛の成せる業かな」

唯「ふふっ・・・やっぱり、澪ちゃんは凄いよ。すごく頑張りやさん。だから強い」

澪「唯もな・・・・正直、私は今少し楽しんでいるかもしれない」

唯「不謹慎だねぇ澪ちゃん・・・・でも私もちょっと楽しいかな」

澪「ははっ・・・・じゃあ、名残惜しいけど、終わりにするか」

唯「終わりにできるかな?どうかな?」

澪「さぁてねっ!!行くぞッ!!」

唯「おぉぉっ!!ほいほいっ!!」

バシュバシュッ!! シュンッ!! シュンシュンッ!! バチィッ!!! バシュッ!!!

メタッ メタタタッ!!! ズコッ ズノココオッ!! バシュッ シュンッ!!

――――飛び交う魚卵

――――真紅と黄金の攻防

――――弾け、混じり、降り注ぐ粒

二人の戦いは、戦いと呼ぶにはあまりにも美しすぎた

409: 2010/11/02(火) 02:15:38.59 ID:znRHIlCs0
澪「はっ・・はっ・・・!!どうしたどうした唯!!押されてるんじゃないかァッ!?」

唯「ふぅっ・・・ふぅっ・・!!澪ちゃんが威力より速度重視にしてきたから・・・避けるのが、つらいんだよッ!!」

澪「ははっ!ざまーみやがれってんだァ!!」

唯「ふふっ!その言い方!りっちゃんみたいだね!!」

澪「あぁっそりゃ嬉しいね!!私はずっとあいつみたいになりたかった!!明るくて、社交的で、強くて!!」

澪「人見知りで!うじうじして!弱虫な私をいつも引っ張って行ってくれたんだ!!私は!!あいつみたいに!!」

澪「ずっと、・・・なりたかったんだぁーーーッ!!!!!!」

ズノココッ!!!

唯「ウグッ!?」

唯は澪の気迫で押しまくる一撃を腹部に受けてしまう

威力は落ちているとはいえ、強烈な一撃

唯は昇降口の下駄箱を巻き込んで吹き飛んで行く

唯「ウ・・・グゥ・・・・」

埃や砂煙が巻き起こり、唯の姿は一時的に倒れた下駄箱に紛れて隠れる形になった

澪「はっ・・・はっ・・・どこだよぉー唯・・・。さっさとトドメを刺させろよぉ・・・・」

410: 2010/11/02(火) 02:26:40.73 ID:znRHIlCs0
唯「・・・・ふぅ・・・ふっ・・・・、駄目・・・・駄目なんだよ・・・澪ちゃん・・・・」

澪「・・はっ・・・はっ・・・・あぁ?」

唯「もう、澪ちゃんは、りっちゃんについていくだけの人じゃないよ・・・」

唯「ん、ぐ・・・りっちゃんのために・・・ここまで頑張って・・・・強くなったんじゃない・・・」

澪「・・・はっ・・ はっ・・・・・だから・・・何だよ」

唯「もう、澪ちゃんは!・・・りっちゃんに依存してちゃ駄目なの!りっちゃんが自分の道を自分で選んだように!!」

唯「澪ちゃんも!!りっちゃんに頼らずに!自分で決めて進まないと駄目なんだよ!!澪ちゃんにはもうそれができるはずだよ!!」

澪「・・・・・!!!」

唯「だから、りっちゃんに、依存しているんじゃなく!!りっちゃんのことが本当に好きなら!!信じてあげなきゃ駄目なんだよッ!!」

澪「・・・・・・ふっ・・・ははっ・・・・。私が・・・・律に依存してるだけ・・・・?」

澪「・・・・違う、・・・違う違うチガウちがうぅう!!」

澪「わ、私は律を愛しているんだぁあああぁぁああッ!!!!」

唯「だったら」サッ

唯「それを証明してみせてよ」サッ

唯「私に勝って」ササッ

411: 2010/11/02(火) 02:31:20.16 ID:znRHIlCs0
澪「!?後ろ・・・いや、右!?」

唯「ほらほら、どうしたの澪ちゃん」ササッ

唯「こっちだよ」サッ

澪「そんな・・・・こんなに速く動けるはずが・・・!!」

唯「ホラ、こっち」ササッ

澪「くっ・・・・くそぉっ!!!そこだぁっ!!」

バシュッバシュバシュバシュッ!!!

唯「ハズレだね。こっちだよ」サッ

澪「ううおぉぉおおおお!!!!」

バシュバシュッ!!!

唯「平沢流奥義――――」

澪「!!そこか!!!」

唯「ダイブ」

澪「そんな技ッ!!何度やったって弾き飛ばしてやる・・・!!」

唯「トゥ」

413: 2010/11/02(火) 02:36:58.30 ID:znRHIlCs0
澪「もらったぁああああ!!!!」

唯「「ブルー」」

澪「!?」

澪「・・・・は?み、右腕???」

シュンシュンッ!!!

唯「「はーばーたくっのーさっすーぐにーっ♪」」

メタタタタタタタタタァッ!!!!!!!!!

澪「ウゲブラッ!!!!???」

澪「は・・・・・ハァッ?前後から・・・同時に・・・・?ていうか・・・・右腕・・・・」

唯「澪ちゃん、よく見なよ」

澪「え!?う、後ろにも唯が・・・・・い、いや・・・・」

澪「前の唯は・・・・リボンの色が・・・・・」

唯「そういうこと」

澪「憂ちゃん・・・・・か・・・・・」

憂「こんにちは、澪さん」

416: 2010/11/02(火) 02:46:50.65 ID:znRHIlCs0
唯「う~い~!!よく来てくれたねぇ~!!!」スリスリスリ

憂「も、もーお姉ちゃん!急に変装して来てくれなんて電話、びっくりしたよ・・・・」

唯「いやー、憂が来てくれなかったらあぶなかったよ~」

澪「せ・・・せこいなぁ・・・・唯」

唯「一人で立ち向かえない敵は仲間と一緒に叩く!これ基本アルネ!!」

憂「まぁたしかにちょっと卑怯ですけどね」

唯「う~い~!!どっちの味方なのさぁ~!!」

澪「はは・・・じゃあ私は、仲間がいないから負けた・・・ってことか」

唯「それは違いますよ澪ちゃん隊員!!」

澪「は?はぁ・・・」

唯「そもそも!私たちは放課後ティータイムという仲間なのです!!その仲間に戦いを仕掛けた澪ちゃんはその時点で間違っているのです!」

澪「・・・・・・」

唯「私たちは、一緒にりっちゃんとあずにゃんの帰りを信じて待つ、仲間なのですっ」

唯「わかりましたかな!」

澪「・・・・・・・・・はい・・・」

425: 2010/11/02(火) 03:35:31.69 ID:znRHIlCs0
パチパチパチパチ

唯「?」

澪「!」

「すごいわぁ~唯ちゃん!本当に澪ちゃんを倒しちゃうなんて!」

唯「・・・」

憂「あなたは・・・・」

「私、この結果を見るのが夢だったの~!」

澪「何を、言ってるんだよ・・・・」

唯「・・・・」

「私!いますごく感激してるのよー!!」

澪「何が・・・」

「唯ちゃんがここで澪ちゃんを止めてくれるまでに、1688回もこの展開を繰り返したんだもの!」

唯「ど、どういうこと?・・・・・・・・・・ムギちゃん」

紬「・・・・・今から説明するわ」

~ 第三部 完 ~

426: 2010/11/02(火) 03:38:10.28 ID:9rFYAwCO0
なん・・・・だと・・・・?

428: 2010/11/02(火) 03:41:22.80 ID:JsDT49DbO
俺の家の冷凍庫には婆ちゃんが送ってくれた大量の辛子明太子が…
あとはわかるな?

434: 2010/11/02(火) 04:02:46.26 ID:znRHIlCs0
~ epilogue ~

紬「今から52年後に第三次世界大戦が起こるの」

紬「事の発端は特殊な性癖を持った一人の日本人女性だった」

紬「その女性は顔面に数の子をぶつけられる事に性的興奮を覚えたの」

紬「女性と付き合っていた男性は、女性の欲求のために、日々、数の子をぶつけたわ」

紬「そして運命の日、男性は気まぐれでヘディングで女性に数の子をぶつけた。そしてある力に目覚めてしまったの」

紬「そう、澪ちゃんが超数子砲(ヘディング・ロウ)と呼んでいる・・・それよ」

紬「男性は能力に目覚めたことによって力に溺れて悪意ある行為に走るようになった」

紬「そして同じ能力を持たせた仲間を集めギャンググループを作り始めたの」

紬「グループ名は"ヘリング・ロウ"日本語訳すると"数の子"・・・そのままね」

紬「ギャングは着々と規模を拡大し、勢力を伸ばしていったわ」

紬「そこで政府は対ヘリング・ロウ部隊"CODS"を組織したの」

紬「CODSは数の子に対抗資源として明太子を選んだわ。そして明太子を独自に研究して・・・」

紬「明太子を人の顔面にぶつけ続けると能力が開花することを発見したの」

紬「そう、これが唯ちゃんの能力、明太頃し(メンタイブレイカー)よ」

438: 2010/11/02(火) 04:23:37.97 ID:znRHIlCs0
紬「明太頃しが数の子にも有効であることが発覚するとさっそく実戦に投入されたわ」

紬「でも、結果は惨敗。奴らの超数子砲の面制圧力は尋常じゃなかったの」

紬「対して明太頃しは凄い能力とはいえ、守ることしか出来ない。奴らの数を減らすことは出来なかった」

紬「そこでCODSは明太子を能力開発の道具としてだけではなく対人兵器として使用する戦術を使い始めたの」

紬「一人の老指導者が隊員たちに位置から明太子を使った格闘術を叩き込んだわ」

紬「そうしてCODSとヘリング・ロウの戦闘は激化。それはすなわちスケトウダラとニシンの乱獲が始まることを意味していた」

紬「戦いは5年も続いたわ。度重なる戦闘でスケトウダラとニシンの数は激減。日本は海外に数の子と明太子を輸出できなくなった」

紬「運の悪いことにそのとき世界では超絶日本食ブーム真っ只中でね。おせちに欠かせない数の子、白米に欠かせない明太子、被害は大きかった」

紬「それでキレた諸国が日本に核を打ち込んで戦争が始まったの」

澪「なにそれこわい」

紬「我が琴吹財閥もCODSを全面的にバックアップしていたんだけれど、最悪な結果に終わってしまったわ」

紬「あのときヘリング・ロウが小規模だった時点で何とか壊滅させられていれば・・・そう思わない日はなかった」

紬「そして琴吹財閥は戦争の中10年の歳月をかけてタイムリープ装置を開発したのよ」

紬「そして私は戦争を起こさないために、この時代にタイムリープしてきたの」

唯「なんと」

442: 2010/11/02(火) 04:32:59.73 ID:znRHIlCs0
憂「ということは・・・今、紬さんの中身は・・・・」

紬「そう、85歳くらいのおばあちゃんということね。ふふふ」

澪「で、でも!なんで私たちを戦わせることが戦争を起こさないことにつながるんだ!!」

紬「CODSのメンバーには皆、海産物のコードネームがついていたわ」

澪「?」

紬「そしてCODSに明太子格闘術を叩き込んだ老指導者のコードネームは・・・・"ウニ"」

唯「ウニ?」

紬「そう・・・ふふ、ウニって色んな漢字があるんだけど、どう書くか知ってる?」

紬「ひとつは海栗、ひとつは海胆、そして・・・・雲丹」

唯「雲丹?」

紬「そのまま読んでみて?」

唯「雲丹・・・うん・・・たん・・・・、う・・・・うんたん・・・!!うんたん!うんたん!!」

紬「そう!つまりその老指導者とは唯ちゃん!あなたなのよ!!」

唯「うんたん!うんたん!!」

澪「・・・・・」

448: 2010/11/02(火) 04:50:46.98 ID:znRHIlCs0
紬「明太子流格闘術の流派は"平沢流"よ。私も唯ちゃんに叩き込まれたわ」

唯「あ!それであのときあずにゃんにダイブ・トゥ・ブルーを使えたんだ!」

紬「現在の時点で唯ちゃんの平沢流の技がもし、既に超数子砲との戦闘を想定した形に整えられたものだったら・・・」

紬「つまり、唯ちゃんが超数子砲使用者を倒すという経験を積ませる事で!将来CODSがヘリング・ロウを殲滅する可能性が激増するの」

澪「な、何故対戦相手が私だったんだ・・・・?」

紬「・・・・戦いが相手を倒すだけじゃなく、相手と分かり合えるものだということを証明したかったの」

紬「あなた達ならどんなに分け隔てられてもきっと分かり合えると信じてたわ」

澪「・・・・・」

紬「1688回かかったけどね」

紬「もちろん、本当に危なくなった時には二人にも事情を説明して止めてたんだけどね」

紬「正直何度も諦めそうになったわ。やり直すたびに協力者に説明しなきゃいけなかったんだもの」

憂「協力者?」

紬「そう、この計画には協力者が不可欠なの。唯ちゃんと澪ちゃんに能力を使わせるためにはね」

澪「ま・・・・・まさか・・・・・・」

紬「そう、もう分かるわよね」

453: 2010/11/02(火) 04:59:30.97 ID:znRHIlCs0
律「よ、よぉー澪!元気だったかー!!」

梓「先輩・・・・ごめんなさい・・・・・」

医師「やぁどうも」

さわ子「二人ともお疲れ様」

和「ごめんね二人とも」

澪「・・・・・・・」

唯「ほえー・・・・・」

紬「そちらのお医者さんは琴吹傘下の病院の先生なのよ」

紬「あとは学校でこんなことをするには先生の協力が必要だったし・・・」

紬「あなたたちの関係の調整役としても頭のいい和ちゃんの協力も仰いだ」

紬「そして能力を使えるようになってもらうには、二人が特別な愛情を注ぐ人物の協力が必要」

律「は・・・はは・・・・」

梓「////」

澪「・・・・・・・」

唯「アア゛アア゛アアッァァア゛アア!!とか叫んでた私ってなんだったのかなー」

456: 2010/11/02(火) 05:13:01.58 ID:znRHIlCs0
澪「・・・・・・」

律「はははは・・・・いやー、澪・・・・私が宿題出来ないとかいう理由で夜の学校にノート取りに帰ると思うか?」

澪「・・・・・・」

バシュッバシュッ!!!!

律「ウホァッwwwwやめてwww数の子ぶつけちゃ嫌wwwwww」

紬「りっちゃんをめちゃくちゃにするところはゾクゾクしちゃったわー」

澪「・・・・・・」

律「はははは・・・いやー、澪・・・・・デコが妊娠するわけないだろ・・・・常識的に考えて」

バシュッバシュッ!!!!

律「ウホァッwwwwやめてwww生臭いホホァアwwwwww」

紬「梓ちゃんは唯ちゃんの平沢流の技を鍛えるのにも大きく貢献してくれたわねー」

紬「でもまさか唯ちゃんが頑張りすぎちゃって肩を壊したのは予定外だったけど」

紬「あのときの梓ちゃんはマジ泣きだったわね」

梓「//////」

唯「あずにゃん・・・・」

461: 2010/11/02(火) 05:25:36.18 ID:znRHIlCs0
紬「あ、ちなみにあのときりっちゃんが飛び出してきたのは予定外だったのよねー」

唯「え、そうなの!」

紬「ちょっとタイミングが早かったというか・・・おかげで計画の修正が必要になっちゃったのよー」

律「えっはっは、面目ない」

紬「まぁその代わりにお尻に唯ちゃんのダイブ・トゥ・ブルーを喰らったみたいだしチャラにしたけどね」

唯「あ、あれお尻に入ったんだ」

律「なっはっは!」

澪「・・・・・」

紬「まぁ、そんな感じだったのよー」

澪「なんでムギまで参加して色々と騙したんだよ・・・」

紬「え?びっくりしたでしょ?」

澪「あぁ・・・・したけど・・・・」

紬「私、皆にドッキリを仕掛けるのが夢だったの~」

澪「・・・・・・」

464: 2010/11/02(火) 05:40:59.41 ID:znRHIlCs0
紬「ま・・・・そういうわけで、私はそろそろお暇しましょうかしら」

憂「ちょっと待ってください紬さん」

紬「なにかしら憂ちゃん?」

憂「紬さんは未来の世界で戦争が起こったからこの時代にタイムリープしたんですよね?」

憂「それなら、この時代で歴史を修正して、戦争が起こらなくなったなら・・・・」

憂「未来の世界で紬さんはタイムリープ装置を作らない、この時代にも来ない、未来は変わらない・・・ってことになるんじゃないですか?」

紬「タイムパラドックスってやつね」

紬「その辺は心配しなくても大丈夫、この世界では戦争は起こらないわ」

澪「なんでわかるんだ?」

憂「・・・実は今話してる紬さんはこの平和な世界の未来から、まるで戦争がある世界であるかのように話している?」

紬「本当に戦争のあった世界の私が一度だけやってきて、その後は嘘を使ったループが完成しているって説ね」

律「それかドラゴンボールみたいに未来が沢山出来るってやつとか?」

紬「ありとあらゆる時点で世界は無数に分岐して平行して存在しているって説ね」

紬「ふふ・・・解釈は任せることにしようかしら~」

澪「未来のムギは随分意地の悪い性格のようだな」

465: 2010/11/02(火) 05:48:27.18 ID:znRHIlCs0
紬「それじゃ・・・・みんな、この時代の私とも仲良くしてあげてね」

澪「・・・ああ」

律「じゃ、世話になったな!」

梓「さよなら・・・ムギ先輩」

唯「・・・ばいばい、ムギちゃん」

紬「ばいばい、みんな、また後でね」

紬「・・・」

紬「・・・・あら?私・・・・ここで何をしてたんだったかしら?」

唯「おかえり、ムギちゃん」

紬「・・・・?」

さわ子「さてみんな!一件落着したところで・・・・!!」

さわ子「この廊下を片付けましょうか」

唯・澪・律・梓「・・・・・」

紬「きゃあ~!なぁにこれ!」

470: 2010/11/02(火) 05:55:30.16 ID:znRHIlCs0
―――――

唯「・・・・・ねえあずにゃん」

梓「・・・・・はい」

唯「あれって全部演技だったの?」

梓「・・・・・」

唯「あずにゃんは演技派だねぇ~」

梓「・・・・・いえ、先輩・・・・私は、演技が必要なところ意外は・・・・ほとんど本気でした」

唯「へ?そうなの?」

梓「は、はい・・・・」

唯「例えば?」

梓「じ、実は明太子ぶつけられるの・・・・ちょっとクセになっちゃったみたいで・・・・」

唯「へぇ~そうなんだ~、・・・他には?」

梓「え、えっと・・・・だ、大好きとか・・・・」

唯「それだけ?」

梓「あ、ぁあ、愛してる・・・・とか・・・////」

471: 2010/11/02(火) 05:58:33.89 ID:znRHIlCs0
唯「・・・・・」

梓「・・・・・」

唯「あずにゃん・・・」

梓「・・・・・はい」

唯「あずにゃん・・・・」

梓「・・・・・・・・はい」

唯「あーずっにゃん」

梓「・・・・・・・・・はい///」

唯「えいっ」

梓「ォギャッ!!」





唯「あずにゃんは明太子ぶつけられるの好きだねぇ~」




~ END ~

472: 2010/11/02(火) 06:00:34.24 ID:IH9YgAQC0

マジキチなのに思わず見入ってしまった

473: 2010/11/02(火) 06:01:01.98 ID:q0NjOuaVO
乙じゃなくてお疲れ様でした

522: 2010/11/02(火) 21:29:22.72 ID:znRHIlCs0
皆さん、ありがとうございました
ちなみに複線とかはまったく考えず全部行き当たりばったりで書いてました
第二部あたりから終盤にかけてカオス度が落ちてしまったのが反省点ですね
もっと精進いたします。ではまた、機会があればいつか

引用: 唯「あずにゃんは明太子ぶつけられるの好きだねぇ~」