1: 2018/04/03(火) 20:34:03.21 ID:O3FvFc3V0
時は2XXX年。
日本は極道の嵐に包まれた……――。
街は派手なスーツ姿のパンチパーマの男で溢れかえり、怒声が聞こえない日はない……。
大人の男たちは少しでもいい組に入るのがステータスとなり、妻がそれを自慢する。
子供たちは口をそろえて言う。「将来は、あの組に入るんだ」……と。
そんな中でも必氏に商売をする者たちもいる。
しかし、彼らの多くはショバ代やみかじめ料の支払いに苦しめられていた……――。
―――とある商店街
ドンガラガッシャーン‼
団子屋の娘「――きゃあっ!!」ドサッ
団子屋の店主「お、おいっ、大丈夫かっ!」
モブ田組A「おうおうおうおう……。まーだこんな店やってるんか……」
店主「あ、あんたっ! 急に何してくれるんだ!」
モブ田B「あぁんっ!? おうおう、アニキにどんな口きいてやがるんだテメー」ガシッ
店主「ひ、ひぃっ!」
モブ田A「まぁまぁ。――俺たちはモブ田組のもんだ。おう、旦那さん。みかじめ料払ってくれや」
店主「ま、待ってくれっ! 私たちはモブ林組に払ってるんだ! 話ならそっちと付けてくれないか!」
モブ田A「あぁ? そんなの知らねぇわ、両方に払えばいいじゃねぇか。月五万でいいからよ……。なぁ、旦那さん」
店主「そんな……無茶苦茶だ!」
モブ田B「あぁんっ!? アニキっ! やっちまいますか」
モブ田A「まぁ落ち着けや。……娘さん、えらい美人さんだなぁ?」ジュルリ
娘「ひぃっ」
店主「――ッ! む、娘には手を出さないでください!」
モブ田A「じゃあ払えよ。そんぐらいあんだろ?」
店主「ちょ、ちょっと待ってください……」
2: 2018/04/03(火) 20:34:41.88 ID:O3FvFc3V0
団子屋の妻「あ、あんた……!」
店主「しょうがないだろ……! 店を荒らされたら商売どころじゃない……。みかじめ料を払ってるモブ林組も役立たずだっ」
妻「うっ……!」ヨヨヨ…
店主「――これでいいんだろうっ!? お願いだから帰ってくれっ!」
モブ田A「……なんだ、やっぱりあるじゃねぇか。最初っから素直に払えばいいのによ」
モブ田B「さっすが兄貴ですぜっ!」
モブ田A「おう、旦那さん。また来月来るからよ、ちゃーんと用意しておけよ」
店主「くっ……!!」
娘「お父さんっ……」
もう、まともに商売なんてできないのかもしれない。
逃げようにも、どこで誰が見ているかわからない。
住民たちは、この終わりのない地獄を耐えるしかない。そう、思われていた……――。
――しかしっ!!
「………………ッ!」ブンッ‼
モブ田B「へっ? ――ごふぅっ!?」ドンガラガッシャーン‼
モブ田A「なっ……!! 誰だテメェはっ!?」
不知火「不知火です。……初めまして」
モブ田A「し、不知火……?」
「いいのよ、そんな馬鹿正直に名乗んなくたって」
不知火「そうでしたか……組長」
モブ田A「く、組長……だと?」
3: 2018/04/03(火) 20:35:30.46 ID:O3FvFc3V0
陽炎「まぁでも、あんた達には名乗っておいた方が良いのかもしれないわね。……私は陽炎よ。覚えなくていいけど」
モブ田A「ど、どういうことだっ!」
陽炎「だってこのシマ……。今日から私たち陽炎組のシマにするから」シレッ
モブ田A「なっ……! く、クソガキが調子乗ってんじゃ――」
不知火「…………」ブンッ
ゴッ‼
モブ田A「ぐふっ……」ガクッ
モブ田A(な、なんだこの力……。こいつらはいったい……)
不知火「………………」ガシッ
モブ田A「お……おい、どっから来たのか知らねぇが……。お、俺たちを……甘く見るんじゃねぇぞ……」
陽炎「……続けなさい」
モブ田A「す、すぐに本部から援軍が来る……! お、お前たちなんて……――」
陽炎「たぶん来ないと思うわよ」
モブ田A「あぁ? 何を言ってやがる……」
陽炎「あんた達の本部とやらには、もう別の組員が行ってるわ。――あぁそうそう、あんた達の本部をそのまま使わせてもらおうと思ってたから、よろしくね」
モブ田A「な、なん……だと?」
―――モブ田組・本部
谷風「――かぁーっ。もう終わりかいっ? 骨がないねぇ」
モブ田C「ひ、ひぃっ! な、なんなんだこいつ等……!」
萩風「あと残ってるのは数人でしょうか……。おとなしく出て行ってくれるとうれしいんですけど」チラッ
モブ田D「わ、わかりましたっ! 出ていきますぅっ!!」ダッシュ‼
ワーワーギャーギャー‼
ニゲロー‼
嵐「――なーんだ、磯風の姉貴を呼ぶまでもなかったなぁ」
舞風「とりあえず踊る?」
野分「馬鹿言ってないで、組長たちがここに来るまでに掃除を済ませないと……――」
4: 2018/04/03(火) 20:36:10.52 ID:O3FvFc3V0
―――商店街・団子屋
モブ田A「う、嘘だろ……。俺たちがこんなガキに……!」
陽炎「信じる信じないは勝手にすればいいわ」
不知火「組長……。こいつはどうしますか?」グッ
モブ田A「ひぃっ!」
陽炎「この店から盗ったもの取ったら、放っときなさい」
不知火「……組長が言うなら」パッ
モブ田A「ひ、ひぃぃいい!!」ダッシュ
不知火「………………」
陽炎「不満そうね」
不知火「いえ、そういうわけでは」
陽炎「あれでいいのよ。あいつにはスピーカーの役割をやってもらわないと。ここのシマは陽炎組のものになったぞー……ってね」
不知火「……なるほど」
陽炎「――さて。ねぇ、この店の娘よね?」
娘「は、はいっ!」ビクッ
陽炎「コレ、あいつが盗ったやつ。返しとくわ」スッ
娘「えっ……。で、でも……」
陽炎「次から何かあったら、私たち陽炎組に連絡しなさい。すぐに何とかしてあげるから」
娘「は、はい……」
陽炎「……それじゃ。不知火、もう少し掃除して帰るわよ」クルッ
店主「――ま、待ってくださいっ! な、何かお礼を……」
陽炎「お礼? いいわよ、そんなの」
店主「し、しかし、それでは私たちの気が収まりませんっ」
陽炎「そう言われても……。……あ、それじゃ――」
陽炎「この団子、二本貰っていくわね。……ほら、不知火」スッ
不知火「いただきます」
陽炎「これでチャラでいいわ。……それじゃ」パクッ
アラ、オイシイワネ
ソウデスネ
店主「す、救いの神が現れたのか……――」
モブ田A「う、嘘だろ……。俺たちがこんなガキに……!」
陽炎「信じる信じないは勝手にすればいいわ」
不知火「組長……。こいつはどうしますか?」グッ
モブ田A「ひぃっ!」
陽炎「この店から盗ったもの取ったら、放っときなさい」
不知火「……組長が言うなら」パッ
モブ田A「ひ、ひぃぃいい!!」ダッシュ
不知火「………………」
陽炎「不満そうね」
不知火「いえ、そういうわけでは」
陽炎「あれでいいのよ。あいつにはスピーカーの役割をやってもらわないと。ここのシマは陽炎組のものになったぞー……ってね」
不知火「……なるほど」
陽炎「――さて。ねぇ、この店の娘よね?」
娘「は、はいっ!」ビクッ
陽炎「コレ、あいつが盗ったやつ。返しとくわ」スッ
娘「えっ……。で、でも……」
陽炎「次から何かあったら、私たち陽炎組に連絡しなさい。すぐに何とかしてあげるから」
娘「は、はい……」
陽炎「……それじゃ。不知火、もう少し掃除して帰るわよ」クルッ
店主「――ま、待ってくださいっ! な、何かお礼を……」
陽炎「お礼? いいわよ、そんなの」
店主「し、しかし、それでは私たちの気が収まりませんっ」
陽炎「そう言われても……。……あ、それじゃ――」
陽炎「この団子、二本貰っていくわね。……ほら、不知火」スッ
不知火「いただきます」
陽炎「これでチャラでいいわ。……それじゃ」パクッ
アラ、オイシイワネ
ソウデスネ
店主「す、救いの神が現れたのか……――」
5: 2018/04/03(火) 20:37:13.35 ID:O3FvFc3V0
それは突如として、各地でほぼ同時に現れた。
―――モブ間組・本部
ワーワーギャーギャー‼
ドォン‼
モブ間A「――く、組長っ! 大変ですっ!!」
モブ間組長「あぁん? なんの騒ぎだぁッ!」
モブ間A「か、カチコミです……!」
モブ間組長「カチコミだとォ? どこの組の、何人だ」
モブ間A「そ、それが――」
ドカァァン‼
モブ間A「ひっ!」
モブ間組長「……ガキが、一人だと……?」
「………………」ツカツカ
モブ間組長「――おいっ! でてこい!」
ワーワー‼
イキテカエスナッ‼
「………………」
モブ間組長「へっ、俺らの兵力があんなもんだと思ってたのか? 待ち伏せてるとも知らねぇでよ」
「………………」
モブ間組長「なんだぁ? ビビっちまったのか? 今さら後悔しても――!」
「………………」ニヤッ
モブ間組長(こ、こいつ笑っ――)
「…………さぁ――」
「……ステキなパーティしましょ」
――――――
――――
――
6: 2018/04/03(火) 20:37:50.74 ID:O3FvFc3V0
―――モブ木組・事務所
カツーン…
カツーン…
モブ木A「――あ、あいつが来るっ……。なんなんだよ……! なんなんだよォ、あのガキ共はァ!!」
カチャリ…
モブ木A「――っ!!」
「……今日は何の日?」
モブ木A「た、助け――」
バァンッ…‼
彗星のごとく現れた『艦娘』と呼ばれる極道たちは、元々シマを持っていた極道の組を潰して回り、徐々に……しかし確実に勢力を伸ばしていくのだった。
そして――。
―――モブ山組・事務所
モブ山B「――そうだ、兄貴。聞きました?」
モブ山A「あぁ? なんの話だ」
モブ山B「なんか最近、組が襲われてるらしいんですよ」
モブ山A「はっ、ガキにボコボコにされてるってやつか? おいおい、お前そんなの信じて――」
バァンッ‼
モブ山A「誰だァ? ……って、ガキ?」
暁「が、ガキって失礼ねっ! 暁よっ!」
モブ山B「こ、こいつら、もしかして……っ!」
「突然だけど、この事務所いただくわっ」
「はわわっ! 追い出しちゃうのですー!」
モブ山A「こいつ等なに言って――」
カチャリ…
モブ山A「……えっ?」
「ハラショー」
パァン…――
カツーン…
カツーン…
モブ木A「――あ、あいつが来るっ……。なんなんだよ……! なんなんだよォ、あのガキ共はァ!!」
カチャリ…
モブ木A「――っ!!」
「……今日は何の日?」
モブ木A「た、助け――」
バァンッ…‼
彗星のごとく現れた『艦娘』と呼ばれる極道たちは、元々シマを持っていた極道の組を潰して回り、徐々に……しかし確実に勢力を伸ばしていくのだった。
そして――。
―――モブ山組・事務所
モブ山B「――そうだ、兄貴。聞きました?」
モブ山A「あぁ? なんの話だ」
モブ山B「なんか最近、組が襲われてるらしいんですよ」
モブ山A「はっ、ガキにボコボコにされてるってやつか? おいおい、お前そんなの信じて――」
バァンッ‼
モブ山A「誰だァ? ……って、ガキ?」
暁「が、ガキって失礼ねっ! 暁よっ!」
モブ山B「こ、こいつら、もしかして……っ!」
「突然だけど、この事務所いただくわっ」
「はわわっ! 追い出しちゃうのですー!」
モブ山A「こいつ等なに言って――」
カチャリ…
モブ山A「……えっ?」
「ハラショー」
パァン…――
7: 2018/04/03(火) 20:39:07.86 ID:O3FvFc3V0
――そしてこれは、構成員たった四人の艦娘という組がのし上がっていく、そんな物語である。
『 暁が如く 』
第一話
「いいことっ? 私たち、暁組!」
※注意書き
・著しいキャラ崩壊や、暴力的表現があるかもしれません。
・基本的には駆逐艦以外は出ません。
・アニメのような形式で、12話(最終話1時間SP)でやろうと思います。
・キャラごとの上下関係は、進水日の事は考えず何番艦かで。ですが、基本的には書きやすいようにやります。
・書き溜めなんかありません。
それでは、よろしくお願いします。
8: 2018/04/03(火) 20:45:09.51 ID:O3FvFc3V0
『艦娘』たちが現れてから数カ月がたったある日の朝。
各地で『艦娘』たちの襲撃があった事件は、あまりにも突然で、しかしわずか数日にして大人しくなったことから、噂程度でしか知らない者たちも居た――。
―――暁組・事務所
チュンチュン…
モブ川A「――あぁんっ!? おいおい、ナメてんじゃねぇぞコラァ!」ガッシャーン
電「はわわっ。い、今すぐお茶淹れてくるのですっ」
雷「ちょっと、静かにしなさいよっ! 組長が起きちゃうじゃない」
モブ川B「はっ、まったく良いご身分だぜぇ。こんな時まで寝てるとはよぉ」
響「雷、私はちょっと出かけてくるよ……」ツカツカ…
雷「はーい、行ってらっしゃい」
雷「――それで、なんで私たちがあんた達の要求を飲まないといけないのかしら?」
モブ川A「ふざけてんじゃあねぇぞ。ここのシマはもともと俺たちとモブ山組が仕切ってたんだ」
雷「ふーん……」
モブ川A「そのモブ山組がどこに消えたのかは知らねぇが、ぽっと出のお前らが突然仕切るだと? 寝言は寝て言うもんだぜお嬢ちゃん」
雷「そう言われてもねぇ……」ウーン…
コソコソ…
モブ川B「……アニキ、なんか噂に聞いてたのとは全然違いますね……」ボソッ
モブ川A「あぁだから言ったろ、大したことないってよ。ただのガキってわけでもないみたいだが、それでも所詮はガキさ」
モブ川B「えぇ、うまい事扱えれば……」
雷「――何をボソボソ話してるのよ?」
モブ川A「あ、あぁなんでもねぇよ。……それで、話の方は理解できたか?」
雷「まぁね。……一つ確認なんだけど、元々この辺りのシマは二つの組で仕切ってたのよね?」
モブ川A「おうよ、そう言ったろ」
雷「そして、あなた達は私たち暁組を見逃す代わりに上納金を払え……ってことよね?」
モブ川A「あぁ」
雷「これがどうにも納得できないのよねぇ……」
モブ川B「あぁん? どういうことだっ」
雷「――だってコレじゃ、暁組があんた達モブ川組より下ってことになるじゃない」
9: 2018/04/03(火) 20:46:31.93 ID:O3FvFc3V0
モブ川B「おいおい、何も間違ってねぇじゃねぇか。なんだったら組員連れて潰してやってもいいんだぜぇ!」
モブ川A「おい、少し黙ってろ」
モブ川B「へ、へい。すいませんアニキ……」
モブ川A「――なぁ、雷とかいったかお嬢ちゃん」
雷「何かしら?」
モブ川A「身の程はわきまえなくちゃいけねぇよ……。これでも譲歩している方なんだぜ?」
雷「身の程? ――……ごめんなさい、もしかしたら私が意味を間違えてるのかもしれないわ。どういう意味だったかしら」
モブ川A「やっぱりガキだなぁ、お嬢ちゃんよぉ」
モブ川A「新顔は新顔らしく、黙って俺たちに媚びへつらってりゃいいんだよ。……これで理解できたか?」
雷「…………なるほど。理解できたわ」
モブ川A「はっ、そうかそうか。そりゃ――」
雷「――あんた達が、どうしようもない馬鹿ってことがね」
モブ川A「……あぁ?」
モブ川B「――ッ! アニキ、もうやっちまいましょ――!」
ガッシャーン‼
モブ川B「――ぅがっ……!?」
電「はわわっ! つ、つい勢い余って……」
電「急須で頭カチ割っちゃったのですっ」ハワワッ
モブ川A「お、おいっ! ――て、テメェら!!」
雷「あら、動いちゃダメよ」スッ
モブ川A「うっ……」
モブ川A(な、なんだこの鉄の塊は……。イカリ……?)
雷「もう、電ったら。どうせやるなら急須じゃなくて灰皿にしなさいって言ったじゃない」
電「い、電もなるべくならカチ割りたくなかったのです……」
雷「――まぁ、しょうがないわ。……さて、今更だけどようこそ暁組へ。たっぷり可愛がってあげるわね」ニコッ
モブ川A「あ……いや……――」
10: 2018/04/03(火) 20:47:58.63 ID:O3FvFc3V0
暁組の出来事とほぼ同時刻、また別の場所――。
―――陽炎組・本部
スッ…
野分「――失礼します」
浦風「ん、野分か……。急にどうしたんじゃ?」
野分「浦風の姉御にお伝えするべきが悩んだのですが、すこし表で騒いでる連中が居まして……」
浦風「騒いでる……ねぇ」
野分「はい。いまいち意思の疎通ができないのですが、若頭の名前を出していたもので……」
浦風「不知火姉さんの名前を?」
野分「追い返しますか?」
浦風「うーん……。――いや、通してええよ。ウチが対応するけん」
野分「……わかりました」
モブ藤A「――どーもどーも、アンタが陽炎とかっちゅう組長ですかぁ?」
浦風「……いえ、申し訳ないんやけど組長はいま不在ですけえ、ウチ……浦風が対応させていただきます」
モブ藤A「ほーん……。まぁ、なんでもええんやけど」
浦風「それで、今日はどのような用件でしょう?」
モブ藤A「……おい」
モブ藤B「へい。――それがなぁ浦風さん。あんたんとこの不知火ってやつが、うちの若いもんをボコボコにしてくれたんですわぁ」
浦風「不知火姉さんが……」
モブ藤B「それも無抵抗の若いもんを……。あぁーあ、若いもんの事を思うと涙がでてきますなぁ!」
浦風「それは……大変ご迷惑をおかけしました。今日はウチが頭下げるけん、どうかそれで手打ちにしてくれへんやろか」
モブ藤B「…………」ニヤッ
モブ藤B(アニキ……、やっぱり噂は噂だったみたいですなぁ)
モブ藤A(ああ……。おい、このまま畳みかけちまえ)
モブ藤B(へい)
モブ藤B「いやーいけませんなぁ浦風さん。仮にもこの世界、それだけで済んじゃ警察いらんでしょう……」
浦風「探り合いは結構ですけえ、単刀直入に言っていただけるとありがたいんやけど」
モブ藤B「じゃあ言わせてもらうわ。お宅の不知火、うちらモブ藤組に差し出してもらいましょか」
11: 2018/04/03(火) 20:49:46.39 ID:O3FvFc3V0
浦風「……不知火姉さんを?」
モブ藤B「おうよ。若いもんが随分痛い目に遭わされたんや。それぐらいしてもらわんとなぁ」
浦風「………………」
モブ藤A「悩んでおりますなぁ。――まぁ、なんでしたら浦風さん。あんたでも別に構いませんよ」
モブ藤B「あっはっはっは。それはいいですねアニキっ!」
野分「…………姉御」
浦風「何もせんでえぇ。……不知火姉さんが起こした火種なら、不知火姉さんが始末付けるのも一つの筋ってもんじゃろなぁ……」
野分「………………」
浦風「――わかりました。後日、不知火の方をそちらに向かわせます。この度は本当に、ご迷惑をおかけしました……」
モブ藤A「はっはっは、物わかりの良い方で助かりますよ」
モブ藤A「……しかし、陽炎組がどんなものかと来てみれば、こんな簡単に仲間を売る組だったとは……。拍子抜けですわ」
モブ藤B「まったくですなぁ、アニキ。これじゃ――」
モブ藤B「――組長の陽炎とかいう奴の度量もその程度なんでしょ」
浦風「――――ッ」ピキッ
浦風「おどりゃあ……。……こっちが下手に出とったら調子に乗りおって……」ゴゴゴゴ…
モブ藤B「……へっ?」ビクッ
浦風「――もうええわ。不知火の姉貴に任せよう思うてたけど、気が変わった。ウチがやったる」ゴゴゴゴ…
モブ藤A「え……あ、あの……」
浦風「流石のウチも、組長を貶されて黙ってるほどお人よしじゃあないんじゃ!」
浦風「――谷風ッ!!」
ササッ
谷風「へいっ!」
浦風「砲持ってこんかい……。こいつらのどてっぱらに穴開けて、〇〇〇〇(ピー)して〇〇〇(ピー)詰めたる!」
谷風「かぁーっ! お任せをっ!」
モブ藤A・B「あ、あぁあああぁ……」ガタガタ…
「……谷風、少し待て」ガシッ
谷風「おぉっ?」
――――CMへ
12: 2018/04/03(火) 20:50:43.17 ID:O3FvFc3V0
――――CM ①
『スクモ戦士・ナガモン』
デレッデレーデレッデレーデレッデレー♪
「きゃああぁーー!」
「わー、逃げろー!」
「う、海から悪の手先、タキュウダーがやってきたぞー!」
タキュウダー「………………」ドゥンッ‼
ドカーン‼
ワーワーギャーギャー‼
ドゴーン‼
ニゲロー‼
タキュウダー「………………」ドゥンッ‼
バゴーン‼
キャーーー‼
「く、くそ……。俺たちの街がタキュウダーなんかにやられてしまうなんて……!」
「そんな……あんまりだわ」
「――ま、待て! みんなアレを見るんだッ!」
デレッデレーデレッデレー♪
「ふははははっ! 待たせたなっ!」デデーン‼
「「「ナ、ナガモンだー!!」」」
ナガモン「私を求める声がする……。私の名を呼ぶ、駆逐艦の声がするッ!!」
駆逐艦「「「ナガモンがんばれー!」」」
ナガモン「――うぉおおおお!!」
ナガモン「ナガモン……パーンチッ!!」
タキュウダー「………………っ」ドォン‼
ザッパァン…‼
駆逐艦「「「ナガモーンっ!!」」」
ナガモン「みんなの声援のお陰で、私は強くなれたっ! これからも応援、よろしく頼むぞっ!」
『スクモ戦士・ナガモン』来シーズン放送予定! みんな、絶対見てくれよな!
13: 2018/04/03(火) 20:53:35.23 ID:O3FvFc3V0
※『スクモ戦士』となっていますが、これはただ私が宿毛湾泊地の提督だからであって、特に深い意味はありません。
あと、方言も頑張って調べているつもりですが間違ってたらごめんなさい。もしよかったら教えてくれるとうれしいです。
15: 2018/04/03(火) 21:20:46.96 ID:O3FvFc3V0
――――CM明け
谷風「おぉっ?」
浦風「なんじゃ、邪魔するんか? ……磯風よ」
磯風「いいや、浦風の姉御の邪魔なんかしませんよ」
浦風「ほう……。それじゃ、ウチの納得できる理由があるんじゃろうなぁ?」
モブ藤A・B(た、助けてくれたのか……!? い、今のうちに……)
磯風「姉御。こんなところで撃ったら、せっかくの畳が汚れてしまいます。しかし、姉御の怒りもわかります。ここは、この磯風に任せてくれませんか?」
浦風「………………」ゴゴゴゴ…
磯風「………………」
浦風「――……わかった。磯風に任せる」ハァ…
磯風「ありがとうございます。――浜風」
浜風「ここに」スッ
磯風「あの逃げようとしてる二人を捕まえて縛っておけ」
浜風「もう縛ってあります」
モブ藤A・B「んーー! んーー!!!」
浜風「――どうしましょうか?」
磯風「流石だな。……ちょうど、時津風姉さんの遊び相手が居なかっただろう。部屋に放り込んでおけ」
浜風「はい」
ンーー‼ ンーー‼
ズリズリ…
磯風「谷風」
谷風「へいっ!」
磯風「近隣の堅気の方々に迷惑を掛けなければ、手段は問わない。……モブ藤組を潰して来い」
谷風「かぁーっ! そっちの方が楽しそうだねぇっ! お任せをっ、行ってきます!」
磯風「……野分。後始末もあるだろうから、付いてってやれ。誰か連れていってもかまわん」
野分「はいっ」
磯風「……これでどうでしょうか、姉御」
浦風「ん、ええよ。……ウチもちょっと、不知火姉さんを探しに出かけてくるけえ。まったく、どこで何をやってるんじゃ……」
磯風「ははは……――」
16: 2018/04/03(火) 21:22:30.10 ID:O3FvFc3V0
―――場面は戻り、暁組事務所
ガッシャーン‼
ハワワッ‼
暁「ん……んぅ……」ガバッ
オ、オイナニシヤガル‼
ワーワー
暁「もう……なにかしら……? 騒がしいわね……」フワァ…
ガチャ
雷「――あら、組長。ほらー、騒がしくするから組長起きちゃったじゃないっ!」
電「雷ちゃんもドタバタしてたのです……」
雷「わ、私はしょうがなくよ。しょうがなくっ!」
モブ川A「た、助け……て……」ボロッ
暁「」
暁「ちょ、ちょっとっ! ダメじゃないこんなことしちゃ!」アタフタ
雷「く、組長……」
電「ご、ごめんなさいなのです……」
モブ川A(よ、よかった……! こいつはまとも――)
暁「――レディは、相手を不必要に痛めつけないものよ。……だから、ね」ニコッ
モブ川A「えっ」
雷「……わかったわ、組長」キュッ
電「なのです」ポキポキ
モブ川A「えっ――」
イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……――
17: 2018/04/03(火) 21:23:23.96 ID:O3FvFc3V0
暁「――あれ? そういえば響は?」
雷「あぁ、響なら早々にモブ川組を潰しに行ってたわ」
電「さすが、響ちゃんは行動が早いのです」
暁「……響だけで大丈夫かしら?」
雷「大丈夫よ。響の事だもの、きっとスマートにしてるに違いないわ――」
――モブ川組・事務所
響「Ураааааааааааааааа!!!!」ドンガラガッシャーン‼
モブ川C「うわぁーっ! な、なんだこいつはっ!」
モブ川D「か、敵わねぇ! 逃げろぉーッ!!」
ワーワーギャーギャー‼
ニゲロー‼
――――――
――――
――
グゥー…
暁「――……お腹すいたわね……」
電「なのです……」グゥー
雷「……それにしても、よかったの? 組長」
暁「えっ? なにがよ」
雷「さっきのやつ、逃がしちゃって」
暁「あぁ、いいのよ。もうこの事務所に来ることもないでしょうし、レディは無駄な労力は使わないものよ」
雷「ふーん、ならいいんだけど」
グゥー…
電「……響ちゃん、遅いのです」
暁「本当ね……。なにかあったのかしら……」
18: 2018/04/03(火) 21:24:18.15 ID:O3FvFc3V0
ガチャ‼
響「――遅くなってすまない。いま帰ったよ」
暁「響っ! 遅かったじゃない、どこで何を……――」ハッ‼
ドササッ‼
雷「こ、これは……!」
電「お、おいしそうなのです……!」
響「帰ってくる途中で、商店街の人たちからみかじめ料をもらってきてたんだ――」
――――――
「――あっ、響ちゃんじゃないかい? ほら、これみかじめ料だよ。持ってきな」オニギリ
響「ハラショー」
「おぉ、響ちゃんじゃねぇか。ほら、みかじめ料のコロッケ、持っていきな」コロッケ
響「ハラショー」
「響ちゃーん。これ、リンゴでよかったら持ってって」リンゴ
響「ハラショー」
「おーい、響ちゃん。これ――」
――――――
グゥー…
電「――わーっ。みかじめ料なのですー!」
暁「もうお腹ペコペコよ。ま、まあ、まだ我慢できたけどっ」
雷「それじゃあ私は食器を用意するわね」
響「ふふっ。さぁ、ありがたくいただこうか――」
アハハハ…‼
ワーイワーイ…
たった四人の弱小事務所・暁組。
しかし、そんな彼女たちがいずれ極道の頂点に立つということは、まだ誰も知らない……――。
第一話
「いいことっ? 私たち、暁組!」
お わ り
19: 2018/04/03(火) 21:26:46.33 ID:O3FvFc3V0
【次回予告】
デデンデデン♪
初風「――陽炎組、若頭補佐……初風よ」
初風「はぁ……、どうして私たちの組ってこう血の気の多いやつばっかりなのかしらね」
初風「まったく、少しは陽炎の組長や私を見習ってほしいものだわ」
初風「みんなもそう思うでしょ?」
初風「――さて、次回『暁が如く』」
初風「『いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組!』」
初風「……任侠桜に仁義の嵐!」
初風「――えっ、ツチノコ? ……さぁ、なんのことかしら」
デデデンッ♪
20: 2018/04/03(火) 23:45:30.52 ID:xP8ETLj8O
ちくしょう面白ぇじゃねぇか……乙
21: 2018/04/04(水) 09:45:05.96 ID:PudPZRVr0
引用: 【艦これ】暁が如く【極道】
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