24: 2018/04/04(水) 18:07:09.32 ID:fHUcux/D0
前回:【艦これ】暁が如く【極道】
第二話
「いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組」
―――暁組・事務所
ニュースヲオツタエシマス…
暁「――へー、この近くでなにかあったみたいね。ニュースになってるわ」
電「あっ、電も知ってるのです。モブ藤組が襲撃されたとか……。なんでも屋敷ごと潰されたみたいなのです」
暁「ふーん、大変ねぇ……」
雷「って、そんな人事じゃダメよ組長っ」
暁「えっ、どうしてよ?」
響「――この件には陽炎組が関わっているから……。だろう、雷」
雷「えぇ、流石ね響」
暁「むっ……。あ、暁だってわかってたし……」
雷「とにかく、何があったのか知らないけど、陽炎組が動いたんだったら気をつけないといけないわ」
電「い、電も聞いたことあるのです……。艦娘の極道で最大勢力を誇る陽炎組……」
雷「今はまだ大丈夫そうだけど、いずれお互い無視できなくなってくるわ」
暁「……艦娘同士なんだから、仲良くできないかしら」
雷「それは難しいわね、組長。……とりあえず、まず私たちはこの辺りのことをどうにかしないとね」
暁「この辺り? ――あっ、そういえば遊園地が近くにあるって聞いたわっ」
電「わーっ、遊園地行ったことないのですっ」キラキラ
雷「……でも、その遊園地は睦月組のシマだわ」
暁「えっ」
雷「睦月組は、陽炎組に次ぐ勢力を持っている組よ。……まぁ、比較的おとなしいらしいけど」
響「でも、私たちのシマの隣に位置してるから、気をつけなければいけないね」
暁「ま、まぁ、別に遊園地なんていいけど……。子供じゃないし……」
電「えぇー……。残念なのです……」
雷「ほかにも、私たちとシマが近いのは夕雲組。夕雲組も陽炎組や睦月組に肩を並べる勢力よ。ただ、おとなしい睦月組と比べると活発に動いているみたいね」
響「あとは綾波組かな。組長の綾波を一回だけ見たことがあるけど、とてもすごいオーラを放っていたよ」
暁「へぇー、おーら……」ボー…
25: 2018/04/04(水) 18:10:49.71 ID:fHUcux/D0
暁「わ、私はっ? 私のおーらはどうなのよ」
響「………………」
響「――組長も負けず劣らずのオーラさ」フッ
暁「や、やっぱり? ふふん、一人前のレディなら当然よね」
電「組長すごいのですー」
響「……ほかにも、綾波組には『血霧姉妹』と呼ばれる二人の若頭補佐がいると聞くよ」
雷「あとはまぁ、吹雪組かしら。……でも、あまりパッとした話を聞いたこと無いのよね」
雷「――それで、わかったかしら組長? ひとまず、私たちの近くにシマを持ってる組はこれだけあるって事」
暁「わ、わかってるわよ。もう……」
雷「本当はまだまだ居るのよっ。ほかは私たちのシマとは離れるけど、戦闘力は一番と噂もある白露組とか、まるで軍隊とも謳われる朝潮組とか――っ」
暁「わかったって言ってるでしょっ! もう、雷はおせっかいがすぎるのよ」プンプン
雷「はぁ……、大丈夫かしら」
響「――組長」
暁「なによ、響もまだあるのっ?」プンプンッ
響「いや、組長なら当たり前のようにわかってるとは思うけど……。もし私たちのシマを取られたら――」
響「もう、商店街の人からみかじめ料をもらえなくなってしまうな。と思ってね」
暁「」
暁「――それだけは避けなければならないわ……っ!!」ゴゴゴゴ…
響「同感だ」
暁「みんなっ! みかじめ料を渡すわけにはいかないわっ。このシマだけは何があっても絶対に守り抜くわよっ!」
電「おーっ! なのです!」
雷「ふふっ、さすが響ね。私もがんばるわ、おーっ!」
「――ハァ……ハァ……」
「ハァ……こ、ここが暁組か……ッ!」
「恨みはねぇが……。俺はやらなきゃならねぇんだ……ッ!」グッ
26: 2018/04/04(水) 18:13:02.35 ID:fHUcux/D0
暁「……でも、シマを守るって具体的に何すればいいのかしら」
電「パトロールとかです?」
暁「うーん、そんなに何かあるかしら……」
響「………………っ」ピクッ
響「――組長」
暁「なぁに、いい案があるの?」
響「来客みたいだ」
暁「えっ?」
響「それも、望まないほうの――」
バァンッ!!
暁「だ、誰っ?」ビクッ
「暁組組長、暁ッ! その首もらっ――」
響「…………」スッ
「――ったァ!??」クルンッ
ドザァァ!!
「……ッ!? い、いま何が……」
響「どこの誰だか知らないけど、狙う相手を間違えたね。……とりあえず、腕一本もらうよ」ググッ
「ぐっ……!? がぁあああ――ッ!」ミシミシ…
暁「ちょ、ちょっと待ちなさい響っ! ストップよ!」
響「………………」スッ
「クソッ……! クソォ……!!」ボロボロ
暁「え、な、なんで泣いてるのよっ!? 響、痛いようにしてないっ?」
響「いや、もう押さえつけてるだけだよ」
雷「――ちょっとっ? ……って、私がお風呂入ってるときに何があったの?」
電「何がというか、急にこの人が入ってきたのです」
暁「もう……、なんなのよ……」
――――CMへ
28: 2018/04/04(水) 18:14:57.79 ID:fHUcux/D0
――――CM②
『MyOUKO-TANMEN・アシガラ 激辛ラーメンリポート編』
羽黒「……ふぅ……。な、なんだか緊張しますね」エヘヘ
羽黒「――へっ? も、もうカメラ回ってるんですかっ!?」
羽黒「あ、あの、えっと! り、リポーターの羽黒ですっ!!」
羽黒「き、今日は、鎮守府内に昨日オープンしました『MyOUKO-TANMEN・アシガラ』に行ってみたいと思いますっ!」
羽黒「――お邪魔しまーす。……わぁ、とても良いにおいがしますねっ」
羽黒「ちょっと、お客さんに話を聞いてみましょう!」
羽黒「お、お食事中すいません。お味のほうはどうですか?」
M高「す、すこし辛い……。いや、すごい辛いですけど……、と、とても――ゴホッゴホッ!」
羽黒「…………べ、別の方にも聞いてみましょう!」
羽黒「すいません、お味はどうですか?」
N智「あ、あぁ! 辛さの中にも美味しさがあって、と、とてもクセになる味だなっ!」ダラダラ…
羽黒「わ、わぁー、そうなんですかー」
羽黒「――そ、それでは、リポーターの私も一口いただきたいと思いますっ」
羽黒「……すー……はー……」
羽黒「い、いただきますっ!」
ズルルッ
羽黒「……あっ、おいし――」
羽黒「――――――――!!!???」
~~ただいま、映像をお見せできません~~
羽黒「――……ゴホッゴホッ。い、いやー、とても美味しかったですね…………」
羽黒「そ、それでは皆さんも、一度行ってみてくだひゃい……。リポーターの羽黒でした…………」ズーン…
辛さの中に辛さをっ!
しかし、それがクセになるとの声が殺到っ!
辛党の方は是非『MyOUKO-TANMEN・アシガラ』へっ!!
足柄「みんなっ! 待ってるわよっ!」
29: 2018/04/04(水) 20:32:42.52 ID:aqn6hBb30
――――CM明け
暁「――で、説明してもらおうかしら?」
モブ橋組長「今回はウチの若いもんが、本当に申し訳ありませんでしたっ」ドゲザッ
モブ橋A「す、すまねぇ。すまねぇ……オヤジっ!」
暁「べ、別に謝らなくてもいいわよっ! どうしてその若いもんがこんなところに来たのかを、私は聞きたいのよ」
モブ橋組長「……いや、非礼に非礼を重ねる気はねぇんですけど、こればかりは身内の話ですんでどうか……」
電「人の事務所襲撃しといて、それはないのですっ!」
雷「そうよっ! どうでもいいけど、扉直してってよねっ!」
モブ橋組長「そ、それはわかってはいるんですけど……」
響「……言わないというのなら、それでもいいさ。でも、その若いもんはウチの組長の命を狙ったんだ。ただで返すわけにはいかない」
モブ橋A「…………お、オヤジ。俺……――」
モブ橋組長「……わかりました、お話ししましょう」
モブ橋A「オヤジ……!!」
モブ橋組長「実は、情けねぇ話……ウチらは命令されてるんです。暁組を潰して来いって」
雷「なんだ、もともとその気はあったってことね」
モブ橋組長「ち、違うんだっ! 俺たちは、暁組に手を出す気はなかったんだ……」
電「どういうことなのです?」
モブ橋組長「俺だってバカじゃねぇ。このあたりのシマを少し歩けばわかる。このシマの人は幸せそうだ……。それを壊すなんて、俺にはできねぇ」
モブ橋組長「ですが、俺たちモブ橋組は小さい組です。どっか、でかい組にくっついてないとすぐに潰されちまう」
暁「その組って?」
モブ橋組長「モブ中組です……。モブ中組に命令されたんじゃ、俺たちは逆らうことができません……」
雷「……でも、手を出す気はないって」
モブ橋組長「あぁ、それでも今回ばかりは従うつもりはなかったッ! しかし……しかし……ッ!」ウゥ…
電「はわわっ。な、泣かないでほしいのです」
モブ橋A「モブ中組のやつらがッ! あいつらがオヤジの息子さんを人質に取ったんだッ! だから……、だから俺は……ッ!!」
モブ橋組長「馬鹿野郎ッ!! そんなみっともねぇ言い訳をするんじゃねぇよッ!」
暁「そんな奴らが……」
雷「これは酷いわ……」
30: 2018/04/04(水) 20:33:55.09 ID:aqn6hBb30
モブ橋組長「すいやせん、恥ずかしい所をお見せしました……。――ですが、コイツがやったことは俺を思っての事だったんです」
モブ橋組長「どうか……! どうか、見逃してくれませんでしょうかっ! もちろん今後一切、暁組に近付かないことを誓いますッ!」
電「で、でもそれじゃ、息子さんはどうするのです……?」
モブ橋組長「俺だって極道の端くれ……。この世界に入ってから、覚悟はできていやす」
モブ橋A「オヤジィ……」ウゥ…
モブ橋組長「言い訳のように聞こえるかもしれませんが、俺はもともとそんな器のある人間じゃございやせん」
モブ橋組長「俺、学がないもんで。この時代、極道に入らなければ妻や息子を食べさせてやることができなかったんです……」
モブ橋組長「それでも目指してたのは、あんた達みたいな極道だ。身内だけでも、笑顔にできるような……そんな……」
モブ橋組長「だけど、そんな都合のいい事なんてあるわけないんだ。力のない俺たちみたいな組は……」
モブ橋組長「――もし、事が終わってまだ命があったら、きっちり足を洗おうと思いやす」
モブ橋組長「だから、だからどうか……!」
モブ橋A「お願いします……っ!」
暁「………………」
雷「………………」
電「………………」
暁「――ねぇ、みんな」
雷「わかったわ」
暁「えっ。ま、まだ何も……」
雷「言わなくたってわかるわよっ。息子さんを取り返しに行こうっていうんでしょ?」グスッ…
モブ橋組長「えっ……?」
電「組長はわかりやすいのですっ」
モブ橋組長「だ、ダメだっ! これは、これは俺たちの問題で……!」
暁「もう私たちも無関係じゃないわっ。息子さんを、一緒に取り返しに行きましょう……!」
モブ橋組長「ほ、本当ですかい……! お、俺は、なんてお礼を言ったら……!!」
暁「そうと決まったら、準備を……。――ってあれ、響は??」キョロキョロ
ガチャ…
響「――ただいま」
暁「ちょ、ちょっと響っ! いったいどこに――」ハッ‼
31: 2018/04/04(水) 20:34:44.25 ID:aqn6hBb30
響「息子さんを取り戻して、ついでにモブ中組を潰してきたよ」
暁「でかしたわ響ッ」グッ‼
モブ橋息子「父ちゃぁーんっ!!」ダッ
モブ橋組長「うぉおお、息子よぉおおっ!!」ガバッ
32: 2018/04/04(水) 20:35:31.39 ID:aqn6hBb30
――
――――
――――――
モブ橋組長「本当に、本当になんてお礼を言っていいか……!」
暁「気にしなくていいのよ。……もし、また何かあったら遠慮なく暁組に来なさい」
モブ橋A「俺はこんな人たちを……! 息子さんをありがとうございましたっ!」ウゥ…
暁「ほら、もう行きなさい。まっとうに生きるのよ」
モブ橋息子「バイバイ! ありがとう、お姉ちゃんたちっ!」
暁「――極道って、いいことばかりじゃないのね。私、みかじめ料の事しか考えてなかったわ」
電「そ、それはそれでどうかと思うのです……」
雷「……って、結局扉壊れたままじゃないっ! あーもうっ!」
響「私が直しておくよ」ハラショー
暁「あの人たちみたいに、私たちにもこれから辛いことがあるのかな……」
電「うーん……、あんまり想像したくないのです」
雷「難しいわね……」
響「………………」トンカントンカン…
暁「――でも、私たち四人で居れば、きっとどんな困難も乗り越えられるに違いないわっ!」ググッ‼
電「はわわっ! そうに違いないのですーっ!」
雷「そうよ、私がいるじゃないっ!」
響「ふふっ、ハラショー」
ワーイワーイ…
トンカントンカン…
アハハハハ‼
第二話
「いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組!」
お わ り
33: 2018/04/04(水) 20:36:30.81 ID:aqn6hBb30
【次回予告】
デデンデデン♪
皐月「――睦月組、本部長。皐月だよっ」
皐月「ボク達のシマにはね、でっかい遊園地があるんだー!」
皐月「遊びに来る子供たちの笑顔……。やっぱりかわいいよねっ!」
皐月「でもね、そんな笑顔を台無しにするような事件が起こってしまったんだ……」
皐月「――次回『暁が如く』」
皐月「『かん違いの遊園地! 暁組を追い詰めろ!』」
皐月「任侠桜に仁義の嵐っ!」
皐月「……ボクは、みんなを守って見せるよ」
デデデン♪
34: 2018/04/04(水) 20:44:02.51 ID:pyvUtKBno
馬鹿馬鹿しさと勧善懲悪のバランスがとれてて面白いわ
これからどうなるか期待しときます
これからどうなるか期待しときます
35: 2018/04/05(木) 00:31:08.37 ID:6Gk+H4wVo
引用: 【艦これ】暁が如く【極道】
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