94: 2018/04/21(土) 23:07:36.19 ID:E5Jf5X4O0

最初から:【艦これ】暁が如く【極道】
前回:第六話「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」

  第七話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」



―――陽炎組・本部


陽炎「――はぁ……まったく、白露組は余計な事をしてくれたもんだわ……」


不知火「………………」


黒潮「そやなぁ……。まさか、睦月組・秋月組に続いて吹雪組まで……。暁組、たかが四人と見くびってたわぁ」


陽炎「まぁ、まだ同盟を組んでいると決まったわけじゃないけどね。大きい動きは見られないけど、油断はできないわ」


磯風「ふむ…………」


浦風「それで、組長……。ウチらはどうするんですか?」


陽炎「出来ることなら、白露組と同盟を結べればいいんだけど……。あの白露組が相手じゃ、望みは薄いわね。むしろ、何処でこちらを狙ってるのかわからないわ」


初風「朝潮組を抜いて、シマが近いのは初春組とかかしら。……でも、初春組もいい噂聞きませんね」


陽炎「……そうね。あとは親潮の結果次第ってところだわ……。――とりあえず、いつも以上に見回りは強化しときなさい」

ハイッ‼

陽炎「……さぁ、神風組はどう動くかしら――」


――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――それで……。この度はいったい何の用かしら? ……陽炎組の親潮さん?」


親潮「まずは、私たちの話を聞いていただける場を用意していただき――」


神風「前口上はどうでもいいわ。用件をいいなさい」


秋雲「ちょ、ちょっとその言い方は――!」グッ‼


スラッ


秋雲「――うっ……」


旗風「お座りください。ここは私たちの本部ということをお忘れなきよう」


親潮「……秋雲、ここは大人しくしていて。……ありがとう」


秋雲「うぅ……」シブシブ


春風「旗風も……、その物騒なものはしまっておきなさい」


旗風「はい……」スッ

艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 水雷戦隊クロニクル(1) (角川コミックス・エース)
95: 2018/04/21(土) 23:08:13.74 ID:E5Jf5X4O0


親潮「――最近、睦月組や吹雪組に動きがあったことをご存知でしょうか」


朝風「あぁあれね。噂程度には聞いてるわ」


親潮「その中心にいるとされるのが暁組です。近頃動きが活発になりまして、今や私たち陽炎組にも匹敵するほどの勢力となっています」


親潮「朝潮組とはほぼ同盟関係にあるのですが、なにしろ近くにはあの白露組がシマを持っていることもありまして、陽炎組としてはとても動きづらい状況です」


松風「……なるほど。それで僕たちに協力を求めに来た……と。そういうことかな?」


親潮「話が早くて助かります。……神風さん、どうか陽炎組に力を貸してはいただけないでしょうか?」


神風「そう。まぁ、言いたいことはわかったわ。……どう思う、春風?」


春風「……そうは言いましても。その暁組と私たちのシマは離れていることもありますし、直接は関係ないように思えますけど……」


神風「そうなのよねぇ。それ、私たちになにか得なことってあるのかしら?」


親潮「……これはあくまで推測にもなりますし、私個人の考えでもありますが――」


親潮「あの白露組の事は、神風組の皆様もよくご存じかと思います。今回、いよいよ白露組はシマの拡大のため吹雪組に仕掛けました」


親潮「……しかし、吹雪組がそれをいち早く察知し回避しました。……それでは、その白露組の次の矛先はどこへ向くと思いますか?」


神風「へぇ、なるほどね。たしかに、無い話じゃないわ」


親潮「陽炎組に協力していただけるのであれば、もしもの時には共に戦うこともできますし、もしかしたら白露組も避けるかもしれません」


神風「……そうね。――みんなはどう思う?」


朝風「心外だわね。私たちが白露組に後れを取るって、そういいたいの?」


親潮「い、いえっ! そういうことでは……」


春風「私は、なるべくであれば争いは避けたいところではありますが……。組長の選択に従います」


松風「ボクも、組長が戦えというなら戦うし、協力しろというなら協力してもいいかな」


旗風「私も、春風姉さんと同意見です」


神風「そう……」


親潮「……神風さん、悪い話ではないと思うのですが」


神風「――……決めたわ」パンッ


親潮「……っ! それで、お答えは……?」


神風「えぇ、私たち神風組は――」


――――――

――――

――



96: 2018/04/21(土) 23:09:00.34 ID:E5Jf5X4O0


―――陽炎組・本部


陽炎「――断られた? それは本当なの、親潮?」


親潮「大変申し訳ありません。私の力不足で……」


秋雲「く、組長っ! 親潮の姉貴は悪くなんてありませんでした! ただ、神風組にその意思なかったってだけで――っ」


陽炎「あー、大丈夫よ秋雲。別に怒ってるわけじゃないし、なんかそんな感じしたのよね」


秋雲「へっ?」


親潮「そ、そんな感じというと……?」


陽炎「神風組は……なんていうか保守的なの。この段階じゃ、まだ動かないのもしょうがないと思うわ」


親潮「なるほど……」


陽炎「とにかく、二人ともご苦労だったわね。ゆっくり休みなさい」


親潮「わかりました。失礼します……」


黒潮「――せやかて、これはちぃ~とばかしマズいんやないか?」


陽炎「そうね……。ただ、暁組の近くには夕雲組と綾波組がシマを持っているわ。まだ接触してる話は聞かないし、この二つの組に注意しておきましょう」


初風「……じゃあ、神風組のほうはどうしますか?」


陽炎「まぁ、白露組の動き次第ね。神風組の方から仕掛けてくることは無いでしょうし」


陽炎「……もし、白露組が神風組を狙うような動きを見せたら、私たちも動きましょう。恩を売っておいて悪い事は無いわ」


初風「わかりました。そう手配します」


陽炎「……なにもないのが一番だけど、難しいものね」


不知火「そうですね」


黒潮「――まぁ、お二人さんはこの陽炎組の柱や。だから堂々としててもらわんと困るでぇ。……めんどうなことは、うちらにまかしとき」


陽炎「……えぇ、わかってるわ。優秀な組員ばかりだもの」フフッ…



陽炎「……だからせめて、追い風が吹いてくれるように祈りましょうか――」



――――――

――――

――



―――『けんもほろろ、神風組』おわり。CMへ



97: 2018/04/21(土) 23:09:40.53 ID:E5Jf5X4O0

―――CM⑦


・ナレーション:香取


鹿島「――ふぅ……」


彼女の名前は「鹿島」。

とある鎮守府を支える練習巡洋艦であります。

今日も彼女は練習遠洋航海の準備に追われていました。


鹿島「はい、それではみなさん、準備は出来ましたか?」


多忙なはずの鹿島さんですが、毎日笑顔を欠かすことはありません。

そんな彼女の笑顔のお陰で、鎮守府の皆はつらいことにも耐えられるのかもしれませんね。


鹿島「――うっ……」


しかし、いくら艦娘とはいえ彼女にも疲労が溜まっていきます。

最初はだましだまし働いていた彼女も、ついには体を壊して寝込んでしまいました。


鹿島「はぁ……、模範となるべき私がこんなんじゃ……」


それほどまでに一生懸命であった彼女。

もしかしたらこれも仕方のない事だったのかも知れません。

鹿島さん自身もそう思い込もうとしますが……――。


鹿島「普段からもっとしっかりしておけば……」ウゥ…


こうして寝込んでいる最中も、鎮守府や提督にかけた迷惑の事を考えてしまうたびに、彼女は自責の念に押しつぶされそうになっていました。


鹿島「……よしっ!」


しばらくして、復活した鹿島さん。

寝込んでしまった分を取り戻そうと、必氏になって働きます……が――。


鹿島「…………っ」


また倒れてしまったらどうしよう……。

彼女の頭の中にはそんな考えが常に付きまとうようになってしまったのです……。




鹿島「――ぷはぁ!」


――そんな時に出会ったのが、この青汁でした!


鹿島「はい、常に持ち歩くようにしてますね! 栄養も取れますし、なによりマズいってイメージがあったんですけど、これはおいしいんですよ!」


青汁を飲み、前よりも笑顔を見せるようになった鹿島さん。これからも、元気でいてほしいですね!

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『健康青汁 ~鹿島さんver~』

99: 2018/04/22(日) 01:02:48.33 ID:4/iWZq3F0

『陽炎組の収入源』


―――モブ上組・某所


ジジー…


ドゥンドゥン♪
ガチャガチャ…‼

モブ上A「――ヒマだなぁ……」


モブ上B「いやいやー、ヒマなのはいいことじゃないっすか先輩!」


モブ上A「まぁそうなんだけどよ。毎日毎日、こうやってパチOコスロットに金を突っ込むやつらを、監視カメラで見てるだけってのは飽きるぜ」


モブ上B「まぁまぁ……。――そんなことより先輩。この後イイ所行きましょうよ~」


モブ上A「あぁ? ったくお前は……」


ジジー‼


――あの、すいません! ちょっと、三番通路のほう見てもらえますかっ?


モブ上A「え? あいよ……――」カチャカチャ…


モブ上A「――なっ!!? あ、あいつはまさか……!!」





ジャラジャラ…‼
ザワザワ…
スゲー‼
アレ、コドモジャナイノカ…?



雪風「打ちますっ! 打ちますっ!」ジャラジャラ…


天津風「……別にそんな掛け声はいらないのよ。ひねってればいいの」


雪風「でも、それじゃつまんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「つまんないって言ったって……。雪風、理解してるの?」


雪風「わかんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「そう……。まぁいいわ」





モブ上A「――あ、あれはッ!! 最近このあたりのパチ屋を荒らしまわってるっていう……!!」


モブ上B「た、たしか陽炎組っていうところのやつなんでしたっけ?」


モブ上A「……なんていう勢いだ……! おい、あの台の確率さげろっ!」


モブ上B「りょ、了解っす!」カチャカチャ…




100: 2018/04/22(日) 01:03:30.91 ID:4/iWZq3F0


雪風「これ、壊れてます! 7しか揃わないです!」ジャラジャラ…


天津風「そう。でも、それはいい壊れ方だから安心していいわ」




モブ上A「ど、どうなってるっ!?」


モブ上B「そ、そんな……!? なんで……」カチャカチャ


モブ上A「……クソッ!!」ダッ‼


モブ上B「先輩っ!」




モブ上A「――お、おいっ!」


雪風「へっ?」


天津風「――あぁ、大丈夫よ。雪風はそのままで」


天津風「この店の人かしら? 何のよう?」


モブ上A「お、お前たち、噂は聞いてるぞ……!」


天津風「へぇ……。だからどうしようって?」


モブ上A「こ、こんなのイカサマだ!」


天津風「やだ、言いがかりもいいところね。じゃあ、他の台に移ればいいのかしら?」


モブ上A「ふ、ふざけるなっ!! テメェら――」


ガチャリ…


天津風「ふざけてるのはどっち? ……その頭、風通し良くしてあげましょうか?」

ワァ…‼
ザワザワ…
ナンダナンダ?

モブ上A「うっ……」


天津風「黙ってみてなさい。あんたにできるのはそれだけよ」


モブ上A「く、クソォ……!」



――――――

――――

――



雪風「お菓子がおいしいです!」モグモグ…


天津風「なんかいっぱい貰えてよかったわね」



101: 2018/04/22(日) 01:04:05.12 ID:4/iWZq3F0


天津風「……さて、それじゃ次はあの店に行こうかしら」


雪風「でも、雪風は遊んでていいのでしょうか……」


天津風「いいじゃない。これでいいって組長に――」


オウッ‼


天津風「――言われて……るんだし……」


雪風「あれ? この声って……」


天津風「……マズいわね」


「見ーーーつーーーけたっ!!!」


ズサァアアアア‼


天津風「……島風……!」チッ…


島風「やっと見つけたよ、天津風! 情報通りだったね」


天津風(情報……?)


天津風「――何度も言ってるけど、あんたと勝負する気はないわよ」


島風「なんて言って! 島風からは逃げられないよ!」


天津風「……雪風、行くわよ」ボソッ


雪風「……えっ――」グンッ


天津風「逃げるわ!」ダッシュ


雪風「わわっ!」


島風「…………ッ!!」ビュンッ‼


天津風「……なんとか、逃げきれたり――」


島風「――おっそーい!」


天津風「って、そりゃそうよねっ!」グッ


天津風「雪風! A作戦よ!」


雪風「A作戦っ? えーっと、A作戦は……」


天津風「――あぁもう、息止めてなさい!」ブンッ‼


ボワッ‼


島風「――っ!! ゲホッ……ゲホッ……!」




102: 2018/04/22(日) 01:04:57.17 ID:4/iWZq3F0


島風「――ふ、二人はっ!?」


ガラーン…


島風「あーっ、逃げられたー!」



――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


天津風「――っていうことがありまして」


時津風「わぁーっ、雪風だー!」


雪風「時津風、お菓子食べましょう!」

ワーイワーイ‼

陽炎「そう……それは災難だったわね」


天津風「島風は確かに『情報通りだった』と……」


陽炎「あの島風を人間が捕まえられるとは思えないわね」


黒潮「ってすると……」


陽炎「えぇ、どこかの組が天津風たちの情報を流したってことね。……でも、問題はどこの組が流したかじゃなくて、何処から漏れたのか……よ」


不知火「……まさか――」


陽炎「なるべくなら考えたくはないけど……。一つの可能性としては――」


天津風「陽炎組の中に……?」


黒潮「はぁ……」


陽炎「明日、陽炎組を全員集めましょう」


黒潮「……流したのは暁組やろか?」


陽炎「情報を聞く限りそんなことするようには思えなかったけど……。白露組もこんな小細工はしないでしょうし。困ったわね……――」


――――――


コソコソ…


秋雲「いやぁ、これはちょっとマズいかもなぁ……――」



 第七話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」

お わ り

103: 2018/04/22(日) 01:06:18.80 ID:4/iWZq3F0

【次回予告】

デデンデデン♪


萩風「陽炎組若中、萩風です」


萩風「実は私、陽炎組のご飯を作ったりしているんですよ」


萩風「そんな意味では、みなさんの健康を任されているような気がして責任重大です」


萩風「…………ですが、最近陽炎組はピリピリしてます」


萩風「はぁ……、陽炎組はどうなってしまうのでしょうか……」


萩風「次回『暁が如く』」


萩風「『私計か、それとも……。秋雲の苦悩』」


萩風「任侠桜に仁義の嵐!」


萩風「……秋雲? あなたは陽炎組……なのよね?」



デデデン♪



104: 2018/04/22(日) 01:37:37.10 ID:4uCL5eJs0
おつ
島風はどーいう立位置なんやろ?

第八話「私計か、それとも……。秋雲の苦悩」

引用: 【艦これ】暁が如く【極道】