105: 2016/01/05(火) 21:07:44.63 ID:6Sd200mY0
こんばんは、>>1です。





それでは、祥鳳の話を書いていきます。

106: 2016/01/05(火) 21:13:50.49 ID:6Sd200mY0
【正しい着方】

 ―数日前・10時過ぎ、執務室―

提督「年が明けても寒いですね」

瑞鳳「ほんとにねー。提督、ストーブつけて~」

提督「だめです。まだ耐えられる寒さでしょう。カイロでも貼っていなさい」

瑞鳳「ちぇー、ケチ、鬼軍曹~」

提督「なんとでもいいなさい…っと、そろそろ工廠へ視察の時間です。伊勢さんはどうしますか?」

瑞鳳「寒いから外出たくない~」

提督「……鳳翔さんのお店、確か卵焼き始めたとか」

瑞鳳「どこまでもご一緒します!だから夜食べさせて!」

提督「現金な……」


 ―道中―

瑞鳳「あー、寒いね~……」ハーッ

提督「まだ息が白いですもんね」

瑞鳳「提督はコートとか着ないの?」

提督「皆さんが寒がっているというのに、私だけ着るというわけにはいきませんよ」

瑞鳳「提督って優しいね~…って、あれ?」

提督「どうかしましたか?」

瑞鳳「あれって……」スッ
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
107: 2016/01/05(火) 21:24:20.69 ID:6Sd200mY0


祥鳳「あぁ、寒いなぁ~……」テクテク


提督「祥鳳さんじゃないですか?別におかしなところは―」

瑞鳳「あるじゃない、あれ!」

提督「?」


瑞鳳「祥鳳がちゃんと服を着ている!」


提督「ああ、なるほど」

祥鳳「私がいつも服着てないみたいな言い方しないで!」

提督「祥鳳さん、今日は普通に着物を着ているんですね」

祥鳳「ええ、今日は寒いから…肩を出してると寒いですし」

提督「普段からそうしていれば、祥鳳さんは大和撫子と言うイメージがあるんですけどねぇ」

祥鳳「そんな…肩を出してたら大和撫子じゃないんですか…」

提督「肩と胸を曝け出してる大和撫子がいるか。おしとやかさはどこ行った」

祥鳳「失敬な!胸は曝け出してません!ちゃんとサラシ巻いているでしょう!ほら!」バッ

提督「そーゆーのが大和撫子っぽくないって言ってんだよ」

祥鳳「もう……ひどい」

提督「ところで、祥鳳さんはどちらへ?」

祥鳳「いえ、ただ部屋で寝ているのも暇でしたので、外に出ようかと…」

提督「よろしければ、視察に行きますのでご一緒しますか?」

祥鳳「あら、いいんでしょうか?」

提督「瑞鳳さんがよろしければ」

瑞鳳「私は別に構わないけど…」

祥鳳「では、ご一緒させていただきますね」

108: 2016/01/05(火) 21:31:15.57 ID:6Sd200mY0
 ―数分後、工廠―

ガラガラガラガラ

提督「明石さん、お疲れ様です」

明石「ああ、提督。お疲れ様でーす!」

瑞鳳「はわ~、ここは暖かいな~」

明石「工廠はいつも機械とかが動いてるからその熱で暖かいからね~。ま、機械油臭くなっちゃうのが悩みだけど」

瑞鳳「うぇ~…」

祥鳳「でも、こんなに暖かいのは羨ましいですね~…」

明石「え?え、ええ…まあ冬場は暖かいというのが利点ですね~あはは~…」

祥鳳「?明石さん?どうしたんですか、そんな初対面の人と話すような話し方で…」

明石(えーっと、提督…この方誰?)ヒソヒソ

提督(この人は祥鳳さんですよ)ヒソヒソ

明石「えっ、祥鳳さん!?いつも素肌曝け出してるから全然気づかなかった!」

祥鳳「orz」

瑞鳳「ああ……」

提督「祥鳳さん、元気出してください。要するに明石さんは、祥鳳さんが可憐な女性に突然変異したことに驚きを隠せなかったというわけですよ」

明石(別にそこまで言ったつもりじゃないんだけど…流石は天然ジゴロ)

祥鳳「そ、そうだったんですか……すみません、突然跪いてしまいまして…」テレッ

瑞鳳(我が姉ながら、ちょろいな~…)

109: 2016/01/05(火) 21:41:46.00 ID:6Sd200mY0
 ―13時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―

祥鳳「ふぅ……こういう寒い日は、温かい緑茶が美味しいですね…」

提督「祥鳳さんも、こうやって着物を普通に着て緑茶でも飲んでいれば、美人な大和撫子なんですけど」

祥鳳「やはり…肩を出したりするのはいけないのでしょうか…」

瑞鳳「それは姉としてアウトかな…」

提督「それ以前に女性としてアウトです」

祥鳳「やはり提督は…はだけさせない方がいいんですか?」

提督「当たり前でしょう。目のやり場に困ります」

祥鳳「……分かりました。提督はこの格好の方が好みのようですし、しばらくはこれで行くことにします」

提督「待った、私は別にその格好が好きと言ったわけではありませんよ。後、しばらくって?」

祥鳳「でも、普通に着物を着ている方が皆さんの受けはいいですし」

間宮「そうですねぇ、確かに着物を着ている方がなんか落ち着くというか……」

伊良湖「祥鳳さん、梅雨の時期は普通に着物を着て傘をさしていたでしょう?あれ、綺麗だったな~」

祥鳳「…じゃあ、このままでいようかしらね」

瑞鳳(明らかに皆からもてはやされて調子に乗っちゃうタイプだこれ)


 ―数日後・9時過ぎ、執務室―

提督「冬だというのに、今日は少し暖かいですね」

瑞鳳「ほんとにね~…提督、アイス食べたーい」

提督「風邪ひきますよ」

ガチャ


祥鳳「提督、失礼します」←普通に着物の左側をはだけさせてる」


提督「……………普通に着るのではなかったのですか」

祥鳳「暖かくなってきましたし、耐えられないというか…」

瑞鳳「んもう…………」


【終わり】

110: 2016/01/05(火) 21:48:40.39 ID:6Sd200mY0
【キャラクター紹介】

≪祥鳳≫

祥鳳型軽空母一番艦。艦娘No.94。つややかな長い黒髪と、白と黒の着物が特徴のやや子供っぽいお姉さん。顔もスタイルも良く『美人』と言ってもいいのだが、

普段から左半身の着物をはだけさせているせいでそのイメージが台無しになっている。斑提督が最初に仲間にした空母で、提督とはかなり長い付き合い。また、

艦載機の扱いも正規空母に劣らぬほどの腕で、これまでも数多くの強敵を相手にしてきた。瑞鳳は双子の妹のような存在。他の皆の認識はほとんど『痴女』。

好きな言葉は『立つ鳥跡を濁さず』。

118: 2016/01/06(水) 21:16:32.07 ID:dS5DqoCD0
【希薄なインパクト】

 ―12時過ぎ、深海棲艦本拠地―

空母水鬼「…………フゥ……」

深海提督「ん?どうしたんだ溜息なんかついて」

空母水鬼「あ、提督…。ちょっとね…」

深海提督「なんか悩み事か?言ってくれてもいいんだぞ?」

空母水鬼「いえ、別に貴方が私の愚痴を聞く必要はないのよ?」

深海提督「俺はお前たちの司令官なんだぞ?皆の悩み事を聞くのは当然の事さ」

空母水鬼「……そうね、じゃあ聞いてもらってもいいかしら?」

深海提督「おう、どんと来い」

空母水鬼「…私の初戦の事、覚えてるかしら?」

深海提督「……悪いが、その時は俺はまだここには来ていない。装甲空母姫から、一昨年前の秋の大規模作戦だったか?」

空母水鬼「それだけわかってるなら十分よ。私はその大規模作戦の最終海域の中枢艦隊旗艦として初陣を飾ったわ」

深海提督「おお、初戦でいきなり最終海域のボスか。すごいじゃないか」

空母水鬼「…それと、私が生まれた時はすでにこの姿…。望んでこの姿になったわけじゃないのよ」

深海提督(だろうな。望んで姿を変えられるんなら、装甲空母姫なんて変Oじゃないか)

空母水鬼「結局海域を守る事は出来なかったわ…。でもあの大規模作戦の後で、私の姿が地上の海軍連中たちの間で大きな話題を呼んでる事に気づいたわ」

深海提督「話題?」


空母水鬼「……『最終海域のボスの深海棲艦がすごい可愛い』…って」


深海提督「」

空母水鬼「…あの時ときたら、『何考えてんのよ人間どもは!』って感情と、『そ、そっか…可愛いんだ…へぇ…』って感情がごちゃ混ぜになったわ」

深海提督「あの、一人二役演じるのやめてください。見ててこっちが恥ずかしくなるから」

119: 2016/01/06(水) 21:27:23.90 ID:dS5DqoCD0
空母水鬼「まあそれは置いといて、その噂を聞いたとき私は、少し…いやかなり喜んだわ」

深海提督「まあ、分かる」

空母水鬼「でもねぇ……問題はその後なのよ」

深海提督「?」

空母水鬼「次の、冬季大規模作戦で、軽巡棲鬼って子が生まれたわ」

深海提督「ああ、あいつ結構生まれたの遅いんだな」

空母水鬼「それはどうでもいいわ。で、その軽巡棲鬼が、なんだか地上の奴ら曰く『那珂ちゃんと阿賀野を足して二で割ったような感じ』って印象で、

     結構印象に残ってたみたい」

深海提督「んまぁ……自分の艦娘と似たような敵が現れたら、印象に残るよな」

空母水鬼「で、その軽巡棲鬼が現れた次の海域では空母棲姫…海軍から『空母オバサン』と恨まれているあの人が海域中枢艦隊旗艦だったわ。その後は、

     大体理解できるでしょ?」

深海提督「ああ、空母棲姫絶対許さねぇ、ってやつらがたくさん出てきてまた印象に残るわな」

空母水鬼「その後で、新たな深海棲艦・戦艦水鬼が現れたわ…私と同じ水鬼よ」

深海提督「?」

空母水鬼「さらにその次の春季大規模作戦で、港湾水鬼と泊地水鬼がまた生まれて……」

深海提督「…………………ん?」

空母水鬼「それからさらに水母棲姫、防空棲姫、潜水棲姫と増えていき…そしてこの前の大規模作戦では駆逐水鬼なんて子まで生まれたわ」

深海提督「…………………んー?」

空母水鬼「それで、この前海軍の奴らのこんな会話を耳にしたの」


『そう言えばなんか、翔鶴に似た深海棲艦居なかったっけ?』

『あー、そう言えばいたな~。何て名前だったっけ?』

『いや~…どうだったっけ…。忘れちった』

『ま、可愛かったのと、後胸が大きいのだけは覚えてるわ』

120: 2016/01/06(水) 21:36:28.98 ID:dS5DqoCD0
空母水鬼「何であんたらはそこしか覚えてないっていうのよ!っつーか、私が生まれてきたときは皆私の事ちやほやしたくせに、飽きちゃったら飽きたで、

     忘れ去るなんて!残酷ってもんよ!いくら他の深海棲艦のインパクト強いからって、忘れるなんてひどくないと思わないかしら!?」

深海提督「あー…要するに、『登場した当初は人気だったのに、ちょっと他の子が増えたら忘れられるのが気に食わない』と」

空母水鬼「…そういう事よ。はぁ、ごめんなさいね。当たっちゃって」

深海提督「や、気持ちは何となくだけどわかるよ」

空母水鬼「ちくしょう……人間どもめ……飽きちゃったらすぐ忘れるとか…ひどいわよ…うぅ…」

深海提督(こいつらのこういう感情が、深海棲艦が強くなっていく理由なんだろうなぁ…)

空母水鬼「覚えてる場所が顔と胸ってどういう事よ!デリカシーのかけらもないじゃない!!」

深海提督「いやそもそも地上の海軍の連中が深海棲艦に対してデリカシーとかを気にするかどうかって話だし…」

空母水鬼「そんなこたぁ百も承知よ!それは分ってるんだけどそのうえで私は怒ってんの!お分かり!?」

深海提督「はいはい、分かった分かった。だから、今後の作戦でお前が出撃できる機会を作れればいいかな」

空母水鬼「…頼みますわよ」

深海提督「了解」

空母水鬼「………さっきの話なんだけど、続きがあるのよ」

深海提督「?何?」

空母水鬼「その、私の後に生まれた水鬼系の子がね…やっぱりインパクトが強くて人気もあるんだけど…」


港湾水鬼『この私が可愛いだと?地上の連中の目は腐っていると見える』

泊地水鬼『私が可愛いなんて……恐れ多くて、悲しいです』

駆逐水鬼『あの…憲兵呼んでいいですか?』


空母水鬼「……皆、浮かれてないのが、ね」

深海提督「自分と違ってて気に食わないってか?それは逆恨みってやつだぞ」

空母水鬼「」ガクッ


【終わり】

121: 2016/01/06(水) 21:43:04.72 ID:dS5DqoCD0
【キャラクター紹介】

≪深海提督≫

深海棲艦たちの本拠地で指揮をする司令官。本名は不明。年齢は27歳ほど。過去に両親が無理心中をし、自分は『無理心中をした夫婦の息子』と言うレッテルを

貼られて今までの人生を歩み、人々から敬遠され見捨てられた。そのことに強い怒りを覚え、その感情が装甲空母姫の目に留まり、港湾棲姫によって深海棲艦達

の下へ連れてこられた。そして、自分を見捨てた人類への復讐のために、最終的な目的が合致している深海棲艦と手を組むことを決意する。提督となった今は、

すっかり深海棲艦達の軽いノリに馴染んでおり、深海棲艦全員から慕われている。特に港湾棲姫、北方棲姫、泊地水鬼は彼に対して恋をしている模様。

好きな言葉は『深謀遠慮』。

122: 2016/01/06(水) 21:51:38.21 ID:dS5DqoCD0
≪空母水鬼≫

深海棲艦の一種。艦種は正規空母。白く長い髪、黒いカチューシャとタートルネックが特徴の、ミステリアスな感じのお姉さん。『発動!渾作戦』の最終海域の

海域中枢艦隊旗艦として初陣を飾り、その可憐な容姿で提督達を虜にする。だが、他にインパクトの強い深海棲艦が何人も出現したことにより徐々にイメージが

薄れていき、最終的にはほとんどの提督から忘れられてしまった。そのことに対して多大なる不満を抱えている。普段は大人しく物静かな雰囲気を醸し出して

いるが、愚痴を語り出すと止まら無くなる。空母棲姫とは比較的仲が良い。家事全般は得意な方。本人はその理由がわからないが、運が悪い。

好きな言葉は『千差万別』。

128: 2016/01/07(木) 21:02:56.07 ID:eoKdMo620
 ―23時過ぎ、いすみ第壱拾鎮守府・執務室―

扶桑「…………」カリカリカリ

??『おや、もうこんな時間ですか』

 扶桑は、横から聞こえた機械室な声に反応し、部屋の壁にかけてある時計を見る。書類を片付ける事に没頭していたせいか、仕事始めたから大分時間が

経っていた。

 そして、声の聞こえた方に顔を向ける。

 そこにいるのは、扶桑にとっては見慣れているが、他の誰かが見たら異様に思うであろう出で立ちの男性。顔には青を基調としたフルフェイスのヘルメット。

首には白を基調とした、マフラーのように首を覆っている機械。その声は、この首の機械のスピーカー部分から聞こえている。

いすみ第壱拾鎮守府提督(以下臨憧)『扶桑さん、貴女はもう休んで構いませんよ』

 彼が、この鎮守府の提督だった。

扶桑「いえ、ですがまだ書類はかなりありますし…」

 扶桑は、臨憧の横に積まれている書類をちらと見る。確かに、まだかなりの量があった。

 だが、

臨憧『構いません。ここで貴女に倒れられても迷惑なだけです』

 臨憧はそう冷たく突き放した。

 こう言われては扶桑も、口答えができない。だから、潔く提督の指示に従うことにした。

扶桑「……はい、では失礼いたします。おやすみなさい」

臨憧『はい、おやすみなさい』

 臨憧が扶桑の言葉に答えた後、扶桑は静かに執務室の扉をぱたりと扉を閉めた。

129: 2016/01/07(木) 21:10:51.27 ID:eoKdMo620
【信じて】

 ―翌日8時過ぎ、食堂―

扶桑「……………はぁ」

山城「姉さま?どうしたんですか?」

扶桑「あぁ、山城…。実はね…昨日夜遅くまで提督のお手伝いをしたのだけれど―」

カクカクシカジカ

山城「そんなっ…なんてひどい言葉を……!」

扶桑「でも、提督の言っている事はある意味間違ってはいないし…」

山城「いえ、あの提督の言い方はひどすぎます!もっと他に良い言い方があったはずでしょう!」

扶桑「うーん……」

山城「そうよ…あの人はいつもそう…!私が開発に失敗した時も、『やはりこうなりましたか』って!」

扶桑(実際問題、私達姉妹って開発に成功した事ほとんどないんだけどね…)

山城「いいえ、私だけではありませんわ…他の皆さんも、提督の心無い一言で傷ついています…。まったく、あれでよく提督が務まる…」

扶桑「山城、それはいくらなんでも言い過ぎよ…」

山城「でも、誰もが思っているはずです」

榛名「お2人とも、どうかしたんですか?」

扶桑「榛名さん…」

山城「聞いてください榛名さん!実はお姉さまが昨日―」

コレコレウマウマ

130: 2016/01/07(木) 21:16:35.29 ID:eoKdMo620
榛名「まあ、そんな事が…」

山城「ねっ!?ひどい話でしょ?」

扶桑「山城、別にいいのよ…私はそんなに気にしていないし…」

榛名「ええっと…榛名も前に、似たような事を言われたことがあるんです…」

扶桑「え、榛名さんも?」

榛名「はい…」


 ―数日前9時過ぎ、廊下―

ドシッ

榛名「きゃっ!」

臨憧『あっと』

バサバサバサッ

榛名「す、すみません!大丈夫ですか!?」

臨憧『いえ、私は別に大丈夫です』

榛名「ああっ、書類が…手伝います!」

臨憧『お気になさらず。私だけで大丈夫です』

榛名「でもっ…」

臨憧『いいですから。本当に、余計な手間を掛けさせないでください』

榛名「……はい」


山城「信じられない…榛名さんみたいな献身的な方にまでそんな事を言うなんて…」

榛名「献身的って、そんな……」

扶桑「……………………」

山城「本当に、こんないい人に対して…って、姉さま?どうかなさったのですか?」

扶桑「ちょっと、気になって……」

131: 2016/01/07(木) 21:24:51.12 ID:eoKdMo620
扶桑「それにしても、提督も提督なりの事情があるとはいえ、どうしてそんな言い草を…」

山城「本当です。私達にまで当たる事は無いでしょうに」

榛名「で、でも提督の過去の事は私達も知っていますし…あんな経験をしたら、榛名達を遠ざけようとするのも当然と言えるかと……」

扶桑「!」ピクッ

山城「姉さま?」

扶桑「…………分かったわ、大体理由が」

山城「え?」

榛名「本当ですか?」

扶桑「ええ、つまり提督は―」


扶桑「―と言うわけよ」

山城「…………にわかには信じがたいわね」

榛名「でも、それなら合点が付きます……」

扶桑「そして提督は…私の事を……」ボソボソ

山城「姉さま?なんですって?」

扶桑「あ、いいえ。なんでもないわよ」

榛名「ところで、扶桑さんのいう事が本当でしたら…榛名達は今まで提督に対して…ひどい言い草を…」

扶桑「……今夜、私は提督とそのことについて話をします」

山城&榛名「えっ!?」

扶桑「…それで、提督の真意を聞き出します」

132: 2016/01/07(木) 21:34:10.43 ID:eoKdMo620
 ―21時過ぎ、執務室―

コンコン

臨憧『どうぞ』

ガチャ

扶桑「失礼いたします、提督」パタン

臨憧『珍しいですね、このような時間に訪れるとは…それで、何か御用でしょうか?』

扶桑「…提督と、少しお話がございます」

臨憧『話?何か相談事ですか?それでしたら、他を当たってください。私には貴女たちの抱える悩みと言うものが理解できませんし、理解したくもありません』

扶桑「……………………」

臨憧『それに、貴女には山城さんと言う自慢の妹さんがいらっしゃるじゃないですか。山城さんに相談した方がよほど―』

扶桑「………提督」

臨憧『はい?』


扶桑「…強がりは、もう終わりにしてはどうですか?」


 ヘルメットの奥にある臨憧の目が、ピクッと震えた、ように見えた。そして、ヘルメットの下側のアクリル板の奥に見える臨憧の口から笑みが消える。

臨憧『…………強がり、とは何のことですか?』

 口を動かさず臨憧が問いかける。ちなみに、‶口を動かさず‶とは比喩ではなく、本当に口を動かしていないのだ。喉に自ら付けた傷のせいで声帯を傷つけ、

そのせいで言葉を発する事ができなくなったのだ。だから、首のマフラー型の装置で脳の信号を読み取り、その信号を音声に変えて話しているだけだからだ。

扶桑「私達に対する態度が、強がりと言っているんです」

 扶桑は臨憧の明らかな動揺に対して、気づかないふりをして話を続ける。

133: 2016/01/07(木) 21:43:33.72 ID:eoKdMo620
臨憧『態度?』

扶桑「はい。これまで提督は、私達艦娘や他の鎮守府の提督に対して、突き放すような言葉と態度を向けてきました」

 臨憧は何も言わない。扶桑は話を続ける。

扶桑「それは、提督の過去を鑑みれば当然ともいえるものです。親友に裏切られ、恋人に騙され、信頼していた上司に陥れられる…。そんな人生を送ってきて、

   人をそう簡単に信じる事ができなくなるのも当然でしょう」

臨憧『………………………』

 臨憧が机の上で組んでいる手が、震えている。今度は錯覚ではなかった。

扶桑「簡単に人を信じては、またかつてのような事が起きるだろう。だから海軍に入ってからは最初から親友、恋人と言った関係を築かないようにすればよい。

   それが提督の、考えだったのでしょう?」

臨憧『……………………』

扶桑「でも、提督は同時にこうも思った…」カツ

 扶桑はそこで、臨憧の座っている執務机に向けて一歩踏み出す。

扶桑「『本当は、もっと艦娘達と親しくなりたい』」コツ

 また一歩踏み出す。

扶桑「『もっと、他の提督達と仲良くなりたい』」カツ

 また一歩。

扶桑「『だけどまた前のような事になるのは嫌だ』」コツ

扶桑「『だから、皆との関係を拒絶する』」カツ

扶桑「『しかし、やはり親しくなりたい』」コツ

134: 2016/01/07(木) 21:51:29.65 ID:eoKdMo620
 気づけば、扶桑は提督の目の前に迫っていた。

扶桑「そうして考え抜いた結果、私達には本音を隠して、遠ざけるような言葉を向け、しかし私達には積極的に接してきたのでしょう?」

臨憧『……………………」

扶桑「でも、提督は不器用です。あんな、遠ざけるような言葉を向けられたら、誰だって不愉快になるものですよ」

臨憧『………そうかもしれませんね』

 臨憧は冗談交じりに呟く。しかし、扶桑の目は真剣だ。

扶桑「昨夜私に対していった言葉だって、裏を返せば『倒れてほしくないから休んでほしい』…。榛名さんに向けた言葉も、『自分の手伝いなんかをしていて、

   手を煩わせたくない』…。そしてさっきの私への言葉は、『不器用な自分なんかに話さないで、山城に悩みを打ち明けた方がよほど扶桑の為になる』…。

   そう取れます」

臨憧『…………………』

 臨憧はまた、黙り込んでしまった。そこで扶桑が、一言告げる。


扶桑「提督は、本当は優しいお方です」


 臨憧の肩がビクッと震える。

扶桑「少なくとも私は、それに気づいています」

臨憧『……………………』

扶桑「皆さんは、提督の真意に気づけなかった。気づいていれば、提督に対する印象も、変わるでしょう」

臨憧『………………さい』

扶桑「これからは、私が傍に立ちます。提督の本音を分かっている私が貴方のそばにいますから」

臨憧『…………めてください』

扶桑「私は、提督の事が―」

 その続きは言えなかった。なぜなら…

136: 2016/01/07(木) 22:01:44.69 ID:eoKdMo620


臨憧『やめてください!!』


 臨憧が、扶桑が聞いた事も無いような声の大きさで叫んだからだ。

扶桑「提…督…?」

臨憧『そうやって私の心を理解していると偽って、私に近づいて私を懐柔し、最終的には私をだますつもりでしょう!分かっている!私には分かっています!!

   人の弱った心に漬け込み騙すとは……最低です……!』

 臨憧のいわれのない疑いに、扶桑は言葉を失う。

臨憧『私は騙されません…‶二度と‶騙されません!』

 臨憧の『二度と』と言う単語を聞いて、扶桑は全てを察した。

 つまりは、臨憧と恋人の関係になった女性も、扶桑と同じような言葉を言ったのだろう。そして、臨憧はその言葉を信じてしまい、その彼女に心を許した。

結果、騙された。

 そんなことを経験していれば、扶桑の言う事が信じられないのも当然と言える。

臨憧『やはり、そうでしたか……貴女も、私が信頼した貴女も、やはりそう言う人だったと!』

 扶桑は息をのんだ。

扶桑(私が…提督から信頼されていた…)

臨憧『この際だから言ってしまいます…』

 扶桑の衝撃にも気づかず、臨憧はさらに続ける。


臨憧『私は、貴女の事が女性として好きでした…!』


 扶桑は、さっきから驚きの連続だった。

臨憧『私は鎮守府の皆さんから敬遠されていました。まあ、私のせいと言ってしまえばそれまでですが…』

 臨憧の冗談に、扶桑は笑わない。

137: 2016/01/07(木) 22:12:41.53 ID:eoKdMo620
臨憧『ですが…貴女はそれでも皆さんより優しく、私に接してきてくれていた…。そして、人を信じられないという自分が言ってしまうのは勝手な話ですが、

   いつしか私は貴女の真摯さに惹かれていました…。それが恋愛感情だという事に気づくのは、時間がかかりませんでしたが』

臨憧『貴女なら信じられる、私はそう思い始めていました。しかし…今日の事で分かりました』

 そこで、臨憧は言葉を切る。

臨憧『貴女は結局、私を騙したあの女と同類だと!人の純粋な恋心を弄び、私の絶望に満ちた表情を見て愉悦に浸っているアイツと!同じだと!』

 臨憧は勢いに任せて立ち上がり、扶桑をにらみつける(ように見えた)。

臨憧『失望しました……貴女がそんな人だったとは…!私は―』

 扶桑はそれ以上言わせなかった。

 臨憧を抱きしめて、言葉を止めさせた。

臨憧『……何のつもりですか。これも私を騙すための手段ですか』

 臨憧は、もがいて扶桑を引き離そうとする。だが、扶桑は揺るがない。

扶桑「…これでも、私が貴方を騙そうとしていると、言えますか?」

臨憧『…思えます』

扶桑「そうですか………残念です」

 扶桑が、いつの間にか涙を流している。臨憧は、それに気づいた。

扶桑「私は、提督の事を愛していたというのに……」

臨憧『!』

 臨憧は、また体を震わせる。

扶桑「私が、本当に、貴方を騙した方と違って純粋に貴方に恋していたというのに…貴方はそれを突っぱねてしまうというのですか…?」

臨憧『……そう言うセリフは、男を騙そうとしている女性が言う言葉ですよ』

扶桑「…恥ずかしながら、このようなセリフしか思いつきませんでした」

 ふふっ、と扶桑は笑う。

138: 2016/01/07(木) 22:21:03.49 ID:eoKdMo620
扶桑「私は、貴方に何と言われようと、貴方を愛し続けます」

臨憧『……………………………』

扶桑「たとえ、私が沈むことになろうとも、他の皆さんが提督の敵になろうとも、どんなことがあろうとも、貴方を愛しております」

臨憧『……………………………』

扶桑「貴方が私の事をどう思おうと、それでも貴方をずっと好きでいますから」

臨憧『……………………………』

 臨憧は何も答えない。ただ、押し頃したような泣き声がかすかに聞こえてくるだけだった。


臨憧『…………先ほどはすみませんでした。貴女を疑うような言い方をしてしまい』

扶桑「…では、しんじていただけたのですか?」

臨憧『ええ。貴女なら、信じられます』

扶桑「私ならって……他の皆を信じてはいただけないのですか?」

臨憧『……貴女たち艦娘は、私を裏切るような外道ではないと…今ならなぜか信じられます』

扶桑「なら、これまでの態度と言動を、謝るところから始めないといけませんね」

臨憧『はは……ですね』

扶桑「…………提督」

臨憧『はい?』

扶桑「…………そのヘルメット、外してみては?」

臨憧『………………』

扶桑「……そのヘルメットは、提督の対人恐怖症…親しくない者の顔を見たら意識が途切れるという症状を緩和させるものです。今、提督が私の事を信じ、

   愛してくれているのなら、提督の対人恐怖症は発症しないと思うんですが…」

臨憧『………………では、外してみますが、倒れてしまったらその後はよろしくお願いします』

扶桑「はい」

139: 2016/01/07(木) 22:28:45.00 ID:eoKdMo620
 扶桑が答えると、提督はヘルメットをゆっくりと外す。

 ヘルメットの下にあったのは、漆黒の短髪と、決して整っているとは言えないが、普通の顔の男だった。

 この顔を見るのは、扶桑は初めてだった。だが、顔など扶桑は別に気にしない。

扶桑「…いかがですか?」

臨憧『…………大丈夫なようです。別に眩暈がするとかもありませんし』

扶桑「よかった……」

臨憧『ですが……貴女の前だけでしょう。他の人の顔を見たら、おそらく倒れてしまいます。信頼関係を築けたら、外していくことにしましょう』

扶桑「……そうですね。そうした方がいいです」

 扶桑がそう言う傍ら、臨憧はヘルメットを被りなおそうとする。それを、扶桑が止める。

扶桑「あ、提督ちょっと待ってください」

臨憧『はい?』

 臨憧が扶桑の方に顔を向けた直後、

 扶桑の唇と臨憧の唇が触れ合った。


 ―数日後、東京第壱鎮守府・執務室―

提督「おや、なるほど…」

羽黒「司令官さん?どうかしたのですか?」

提督「この前羽黒さんが会った、人間不信の提督…。どうやら自力で問題を解決したようです」

羽黒「え、本当ですか?」

提督「これで、厄介な提督問題がまた一つ解決した…」

羽黒(うわ…)


【終わり】

140: 2016/01/07(木) 22:34:48.61 ID:eoKdMo620
【キャラクター紹介】

≪臨憧 夕(りんどう ゆう)≫

関東・いすみ第拾鎮守府提督。性別は男性で、年齢は21歳。過去に親友、恋人、信頼していた上司に裏切られたことがあり、それが原因で人間不信となる。また

それが原因で、対人恐怖症(自分と親しくない者の顔を肉眼で見ると意識が途切れる)にかかっており、症状解消用のヘルメットと会話サポート用のマフラー型

装置を常に身に着けていたが、扶桑と和解したことによって対人恐怖症は回復しつつある。海軍着任後は、艦娘や他の提督達と仲良くなりたかったが、過去の

経験から簡単に人を信じられず、他者を敬遠する結果になった。しかし、扶桑の説得と話によってそうする事は無くなった。嫁艦は扶桑。趣味は読書。

好きな言葉は『晴耕雨読』。

148: 2016/01/08(金) 21:20:48.72 ID:JS9orBvc0
【とにかく明るい葛城】

 ―約1年前、執務室―

葛城「雲龍型航空母艦三番艦、葛城よ!よろしくね!」

提督「よろしくお願いします」キーン

吹雪「よ、よろしく…お願いします…」キーン

葛城「早速だけどここって、予備の艦載機とかあるかしら?」

提督「あ、はい。流星とか烈風とかはそんなに在庫はありませんし、持っていない艦載機もありますが、一応各艦載機は2機以上あります」

葛城「ホント?じゃあ、早速装備させてくれないかしら?」

吹雪「あぅ……」キーン

提督「そうですねぇ…って、貴女は自前の艦載機を持っていないのですか?」

葛城「あ、そうなのよ…。なぜか目覚めたら持っていた装備がこれだけで…」シュン

つ25mm連装機銃&25mm三連装機銃

提督「……水上防空砲台…」ボソッ

葛城「あ、あなた何言ってんのよ!!」

提督&吹雪「」キーン

149: 2016/01/08(金) 21:28:34.59 ID:JS9orBvc0
 ―現在10時過ぎ、執務室―

提督「…なんてことがありましたよねぇ」

吹雪「そうですねぇ…。あの時は、最初のインパクトと声の大きさに、腰を抜かしそうになりましたから…」

提督「ま、あれが彼女の持ち味と言いますか…」

吹雪「ただ…」チラリ


葛城「よーっし!初めての旗艦よ!オリョール海、頑張っていきましょ!!」

足柄「その意気よ葛城!戦場はノリで何とかなるわ!ノリノリで行きましょう!」

葛城「足柄…貴女良い事言うじゃない!」バシバシ


提督「…ここはライブハウスか」

吹雪「あのー、お二方それくらいにした方が…」

瑞鶴&鹿島&古鷹&比叡「」チーン

提督「声の高さに四人がダウンしましたか…」

葛城「あら、どうしたのよ皆、床に寝そべって……そんなんじゃ出撃なんてできないわよ!」カッ

提督「その声が原因なんですけど。とりあえず声を小さくしなさい」

葛城「あら、私の声ってそんなに通る?」

提督「通ります。貴女の予想以上に」

葛城「ふーん、そんなものなのね」

提督「とにかく、このメンバーで出撃は難しいでしょう。吹雪さん、至急翔鶴さん、鹿島さん、加古さん、霧島さんを呼んでください」

吹雪「あ、はい!」

150: 2016/01/08(金) 21:40:01.62 ID:JS9orBvc0
提督「とにかく、ただでさえ声が大きく通りやすい貴女が足柄さんと一緒になってエキサイトしたら、誰だって耳鳴りがしますよ」

葛城「耳鳴りって、そういう言い方しなくても…」

足柄「何よ…提督ったら私の声が嫌いなの?」キュン

提督「そういう事言ってんじゃねぇよ。私はただ貴女たちの声が大きすぎると言ってるだけなんだっつの」

葛城「だから何度も言ってるけど、これがデフォルトなんだって」

提督「大体、何で雲龍型三姉妹の長女はぽやぽや、次女はのんびり、それでどうして三女がこうなったのか」

足柄「反動じゃない?」

提督「ああ、それなら納得がいきます」

葛城「勝手に私の性格が反動だって決めつけないで!あと雲龍姉と天城姉はのんびりしすぎなの!」

提督「…葛城さん、天真爛漫で元気がいいのは良い事ですが、あまり声を大きくされますと、私達の耳が疲れてしまいます。イヤホンで大音量の音楽を

   何時間も聞いていたら耳がおかしくなるのと同じです」

葛城「うーん…私はそんなに声が大きいって感じはしないけど…」

提督「自分の声ほどわかりにくいものですから」

葛城「でもねぇ…大声を発するのってストレス発散につながってるって聞いたわよ?つまり!いつも声が大きい私はストレスが全くないっていう事!どう?

   メリットもあるでしょ?」

足柄「ストレス発散!?いいじゃないそれ、やろうじゃないの!」

葛城「よーっし!じゃあ今日も元気に、出撃していきましょう!!」

足柄「イエーイ!」

提督「うるさいっつーの!!」


 ―ドアの外―

ギャイギャイギャースカギャースカ

吹雪(………執務室の中がカオスに…)


【終わり】

151: 2016/01/08(金) 21:45:33.67 ID:JS9orBvc0
【三水戦】

 ―15時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―

吹雪「間宮さーん、こんにちは~」

間宮「あら、いらっしゃい吹雪ちゃん。今日は1人?」

吹雪「あー、はい。そんなところで…」

睦月「おりょ?吹雪ちゃん?」

吹雪「睦月ちゃん!」

夕立「あ、吹雪ちゃんだ。やっほー」

吹雪「夕立ちゃんも…どうしたの?」

睦月「いやぁ、睦月はちょっとふらっと散歩してて…」

夕立「夕立もそんな感じっぽい」

吹雪「実は私も…」

睦月「………ふふっ」

夕立「…………3人同じって、少し可笑しいっぽい」クス

吹雪「そうだね、あはは…」

間宮「3人一緒のテーブルにする?」

吹雪「あ、はい。それでお願いします」

睦月「わーい、久々にパフェ食べようかな~?」

152: 2016/01/08(金) 21:55:48.37 ID:JS9orBvc0
 ―テーブル―

吹雪「私はこのいちごパフェにしようかな~」

睦月「睦月、この小倉パフェ小豆マシマシで!」

夕立「夕立、この羊羹でいいっぽい」

吹雪&睦月「えっ」

夕立「?どうしたの?」

吹雪「えっと、本当に羊羹だけでいいの?」

夕立「うん」

睦月「あれ、夕立ちゃんってこんなキャラだっけ…」

夕立「逆に夕立の前のキャラって何だったの…?」

吹雪「えーっと、首輪を掛けられて、司令官から『ご飯ですよ』って呼ばれたら、四つん這いでご飯を食べてる―」

夕立「…………………………………………………………………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

睦月「ゆ、夕立ちゃん!ストップストップ!!吹雪ちゃんもそれは言っちゃダメだってば!」

夕立「ふ・ぶ・き・ちゃーん?悪夢、見せてあげよっか~?」

吹雪「いやああはは…ゴメンゴメン。夕立ちゃんって改二になってから、髪の毛が犬っぽくなったから、そんなイメージが…」

夕立「これ癖毛!それにしても……よく皆から犬っぽいって言われてるけど、そんなに犬に見える?」

睦月「うーん……見えるってわけじゃないけど、犬に似てるかな~…」

夕立「似てるってだけで犬っぽいって…ひどい」

吹雪「まあ、それを言っちゃあ時雨ちゃんも同じだからね~」


時雨「へくしっ………むぅ…誰かが僕の噂をしているのか…それとも風邪かな…?」

153: 2016/01/08(金) 22:05:24.20 ID:JS9orBvc0
吹雪「それにしても、このメンバーで会うのって、久々な気がするね」

睦月「三水戦のこと?確かにねぇ~」

夕立「初めて夕立たち三人が会った時、なんか惹かれ合ったよね」

吹雪「睦月ちゃんと夕立ちゃんは、楽しそうな子だなって思ったよ」

夕立「夕立は吹雪ちゃんの事、なんか普通だなぁって思ったよ」

吹雪「普通って言うなぁ!」

夕立「ふふーん、さっきの仕返しっぽい」

睦月「もう、喧嘩はやめようよ~…せっかくのスイーツが美味しくなくなっちゃう…」

吹雪&夕立「あ、ごめん…」


 ―店のそば―

深雪&白露&皐月「…………………………」


吹雪『そう言えば、夕立ちゃんが一番早く改二になったよね~』

夕立『まあ提督さんは、夕立の火力が魅力的だったのかなぁ…』

睦月『でも改二は憧れるなぁ。あー、睦月も早く練度を上げて改二にならないとなぁ~』

吹雪『私ももう少しで改二になれるし、頑張らないと!』

夕立『頑張ってね、2人とも。夕立も応援するっぽい!』

吹雪『そこはぽいじゃだめでしょ!?』

睦月『あはは、こんなとこまで夕立ちゃんだね~』


深雪&白露&皐月(改二実装艦どもめ!!)


【終わり】

154: 2016/01/08(金) 22:10:58.63 ID:JS9orBvc0
【キャラクター紹介】

≪吹雪≫

吹雪型駆逐艦一番艦。艦娘No.11(改二はNo.226)。至って真面目で、何でもてきぱきこなすしっかり者の女の子。斑提督の初期艦で、鎮守府最古参の艦娘。

また、提督とも鎮守府設立以来の付き合いであり、提督の心の闇を知っている数少ない人。他の艦娘達に比べて個性が薄い事が悩みで、それを明言されると

それなりに怒る。炊事洗濯、料理裁縫と家事全般ができる。また駆逐艦娘達のリーダー的な立ち位置にもいる。提督の事が好き。

好きな言葉は『一意専心』。

155: 2016/01/08(金) 22:16:16.46 ID:JS9orBvc0
≪葛城≫

雲龍型正規空母三番艦。艦娘No.203(改はNo.230)。着崩した着物と、元気はつらつとした性格が特徴の明るいお姉さん。声がとても大きくよく通るため、

テンションが高くなると彼女の声は耳をつんざく音となる。ただし彼女にその自覚は無い。艦載機を持っていないことが少し悩みで、出撃のたびに艦載機を

借りている事が少し恥ずかしい。姉二人と対照的な性格になったのは反動かも。姉2人に比べて胸が小さいのがコンプレックス。瑞鶴は頼もしい先輩。

好きな言葉は『浮き沈み七度』。

161: 2016/01/09(土) 21:00:37.47 ID:M5EP9RFE0
【温泉鎮守府でのひと騒ぎ】

 ―10時過ぎ、執務室―

提督「うーん……」

熊野「提督、どうなさったんですか?そんな悩んで…」

提督「熊野さん…いや、演習の申込書がございまして」

熊野「演習?受ければよろしいのでは?」

提督「それが、その申し込んできた鎮守府の提督が少々…ね」

熊野「?」

提督「申し込んできたのは、舘山寺第壱拾伍鎮守府。そこの鎮守府は近くに温泉地がありまして、あそこの浴場は本当の温泉で露天風呂です」

熊野「温泉!?露天風呂!?」キラキラキラ

提督「しかもオーシャンビュー」

熊野「提督!受けましょう!早く!さあ!!」←温泉好き

提督「…それだけ聞けば魅力的なんですが、そこの提督は少々厄介なんですよ」

熊野「厄介…とは?」

提督「あそこの提督は、私と司令長官が今の海軍ツートップであることに不満を抱き、私達を失脚させようと企んでいるいわば‶タカ派‶の人なんです」

熊野「司令長官と提督が気に入らないって…どこがですの?」

提督「さあ?私には理解できませんよ。まあ大方、総司令部の運営に艦娘を使っているのが気に食わないという事でしょう」

熊野「…どうやって提督達を失脚させようと?」

提督「手順は至って子供っぽいものです。同じく私達に対して不満を抱いている各地の提督を懐柔して協力、私達が発案した海軍体制は穴だらけだと主張し、

   責任を取らせて辞めさせようと」

熊野「そんな……」

162: 2016/01/09(土) 21:09:42.83 ID:M5EP9RFE0
提督「タカ派の人々は、大体元司令長官がクビにした海軍の方と知り合いです。おそらくは、その元海軍の方々にあることないことを吹き込まれて、

   私達に反感を抱かせて、司令長官が変わったら体制を変更させて自分たちを海軍に戻させようと企んでいると、私は思いますが」

熊野「そんな…なんて勝手な事を!」

提督「その舘山寺鎮守府の提督は、そのタカ派の人々のリーダーです。そいつを黙らせれば、タカ派の人々もいなくなるでしょう。この際ですから、タカ派は

   解散させましょう」

熊野「どうやって…?」

提督「まずは色々と、情報収集と根回しをしようかと」ジーコジーコ


 ―伊豆第壱拾参鎮守府・執務室―

リリリリリン、リリリリリン

瑞理「はい、こちら第壱拾参鎮守府提督……」ガチャ

瑞理「なんだお前かよ。何の用だ」

瑞理「…え?舘山寺鎮守府?何度か行った事はあるけど…」

瑞理「構造?何でそんなことを?」

瑞理「待て待て待て、教えるから。確か~……」

カクカクシカジカ

瑞理「って感じだな。ああ、ああ。それじゃ」ガチャリ

整備員(以下禊)「斑さんからですか?」

瑞理「それが、『舘山寺鎮守府の温泉の構造を教えろ』って」

禊「?}

瑞理「まったく、なんでそんなことを聞くのか…」


提督「続いて……」ジーコジーコ

163: 2016/01/09(土) 21:19:05.58 ID:M5EP9RFE0
 ―憲兵本部―

ガチャ

憲兵「失礼します、司令官」

憲兵司令官(以下城)「ん?何かな?」←女性です

憲兵「海軍総司令部の斑補佐官からお電話が」

城「黎明君から?何かな何かな?」ガチャリ

城「はいはーい、憲兵司令官の城さんだけど?」

城「……え?犯罪を犯す可能性のある提督?」


提督「これでよしと」ガチャリ

熊野「…なぜ、第壱拾参鎮守府の提督と憲兵司令官にお電話を?」

提督「……第壱拾伍鎮守府の演習は受けます」

熊野「あら、受けるんですの?先ほどの話を理解してるというのに」

提督「ええ。演習を行うこちらの編成は、熊野さん、加賀さん、日向さん、不知火さん、神通さん、瑞鶴さんとします」

熊野「わたくしも、ですか?」

提督「熊野さんは温泉が好きでしょう?ですから」

熊野「それは…ありがとうございます」

提督「それと、皆さんに少し協力していただきたいことが…」


 ―数分後―

提督「―――――というプランで行きます」

加賀「……なるほど、そういう事ね」

日向「まあ、このメンバーを選んだ理由も分かる気がするな」

提督「…もちろん、貴女たちが嫌だというのであれば、拒否していただいて構いません。これは、深海棲艦との戦いではなく、我々海軍内部でのいざこざです。

   貴女たちが付き合う必要は……」

164: 2016/01/09(土) 21:29:06.41 ID:M5EP9RFE0
神通「私はやります」

提督「…神通さん?」

神通「海軍内部の争いとはいえ、提督が巻き込まれるというのはいささか理不尽と言うものです」

不知火「その通りです。タカ派だか何だか知りませんが、そのような些末な争いに、提督が巻き込まれる必要は皆無です」

加賀「それに、私達の居場所がなくなるという話も、聞き捨てならないわ」

瑞鶴「任せて!私達ならそんなの朝飯前なんだから!」

熊野「提督、わたくしたちは、貴女と戦う覚悟をもってここに来ました。たとえそれが深海棲艦との戦いだろうと、海軍内部の争いだろうと」

提督「………つくづく私は、良い方たちに恵まれたと言いますか…。では、よろしくお願いいたします」

6人「はい!」ビシィ

提督「差し当たって、これを持って行っていただきたいのですが…」ガタン

熊野「?これは?」


 ―数日後、舘山寺第壱拾伍鎮守府・会議室―

舘山寺第第壱拾鎮守府提督(以下泉)「お久しぶりです、斑補佐官殿」

提督「ええ、お久しぶりです。今日は、よろしくお願いいたします」

泉「ええ、こちらこそ。お手柔らかに」

提督「今回は、‶演習前の編成が潜水艦艦隊だったのに演習開始時にはガチガチの脳筋艦隊に変わっていたにも関わらずそれをこちらに言わなかった‶なんて

   事にはなりませんよね?」

泉「ははは、そのような事にはなりませんよ」

提督(演習で私の艦隊が負ければ支持率が下がるなんて、考えが浅はかにもほどがある…)

泉(ちっ……こんな若造が海軍司令長官の補佐官など認められるか。それに、あんな怠け者が司令長官だという事も気に食わん…。今日はこの冷血若造を、

  社会的に抹頃してやる…)

165: 2016/01/09(土) 21:37:04.46 ID:M5EP9RFE0
 ―演習終了時―

大淀「勝利は、第壱鎮守府側の艦隊です。勝利判定は、Sです」

泉「いやはや、本当に貴方の艦隊は強いですねぇ。私達の艦隊が苦戦を強いられるとは…」

提督「私達も、成長するというものですよ」

泉(何をやっているんだ私の艦隊の奴らは!あんな編成を相手にして昼戦の内に負けてしまうとは…嘆かわしい!)

泉(……まあ、そんな事はもうどうでもいい。どうせこいつは今日、補佐官の立場から失脚する事になるのだからな。演習の勝敗など取るに足らん)

泉「…さて、貴方も貴方の艦隊の艦娘達も、演習とここまでの道程でお疲れでしょう。どうです?わが鎮守府自慢の展望露天風呂に入ってみては?」

提督「おや、よろしいんですか?ご迷惑では?」

泉「迷惑なんてとんでもない!私は貴方たちの身を案じているのですよ?迷惑なんて思うはずがないでしょう」

提督「…では、お言葉に甘えて、入らせていただきます」

泉「どうぞ、ごゆっくり」

提督(陰謀が見え見えなんですが、乗らなければ私の作戦が上手くいきませんし、仕方ありません)

泉(ふん。本来ならば貴様なんかに入らせはしないが、私の作戦のためだ。目をつむらねば)


 ―数十分後―

熊野「では提督、早く温泉に入りましょう」ウキウキ

提督「そうですね。では泉さん、お先に入らせていただきますよ」

泉「どうぞどうぞ。わが鎮守府自慢の温泉を、存分にご堪能ください」

不知火「温泉ですか、楽しみです」

日向「確かに、どれぶりだろうか……」


泉(ふふふ…覚悟しろよ若造。今日が貴様が補佐官最後の日だ!!)

166: 2016/01/09(土) 21:46:10.60 ID:M5EP9RFE0
 ―昨日―

のれん『←‶男湯‶   ‶女湯‶→』

泉「くくく……」

泉(作戦はこうだ。まずあの提督を引き留めて、先にあいつの艦隊の艦娘達を温泉に入らせる)

泉(そして、提督との話を一度切ってここへきて、のれんを逆にする)

泉(その後であいつが、のれんが逆になった状態の温泉に入れば、全裸で女湯に入った事になり、奴は白昼堂々女湯に全裸で入った犯罪を犯したこととなる!

  そして奴は社会的に抹殺!今の海軍総司令部体制も崩壊するだろう…)

泉(それこそが、私の作戦だ!)


 ―今―

泉「あー、斑補佐官殿。少々よろしいかな?」

提督「あ、すみません。少々応接室に忘れ物をしてしまいましたので、取ってきてもよろしいでしょうか?」

泉「構いませんよ。どうぞ」


 ―数分後、温泉前―

のれん『←‶男湯‶  ‶女湯‶→』

熊野「では、私達はお先に入らせていただきますわ」

提督「ええ。あ、皆さん。例のモノは持ちましたか?」

神通「大丈夫です」

日向「問題ないさ」

提督「では、それの着用を決して忘れないように」

瑞鶴「忘れるなと言う方が難しいんだけど…」

加賀「失敗したら、承知しませんから」

提督「大丈夫ですよ。お願いします」

168: 2016/01/09(土) 21:51:05.67 ID:M5EP9RFE0
 ―数分後、休憩室―

提督「お待たせしました」

泉「いえいえ、大丈夫です」

提督「ところで、話とは?」

泉「それはですね―」


泉「――という事なんです」

提督「なるほど…その話ですが…」

ム"-ッ、ム"-ッ

泉「っと、すみません。私の携帯です。ちょっと外に出ますね」

提督「はい」


 ―温泉前―

のれん『←‶女湯‶  ‶男湯‶→』

泉「くくく…ここでのれんを入れ替えればっと…」ガタン

のれん『←‶男湯‶  ‶女湯‶→』

泉「これで完璧だ。さて、戻るか」


 ―休憩室―

提督「……つまり、こういう方針で行きましょう」

泉「なるほど、分かりました。ありがとうございます」

提督「では、私も温泉へ入らせていただきましょうか」

泉「ええ、どうぞ。私は少ししてから行くことにします」

提督「貴方も入るんですか?」

泉「お恥ずかしながら、日々の執務で少し疲れが溜まってしまいましてね…」

169: 2016/01/09(土) 21:58:51.18 ID:M5EP9RFE0
 ―温泉前―

泉「やつは…もう入ったか。最後にこののれんを元に戻せば、完璧だ」ガコン

のれん『←‶女湯‶  ‶男湯‶→』

泉「これで奴はもう言い逃れをできまい。では、私は普通に男湯に入るとするか」


 ―脱衣所―

泉「うー寒い寒い…早く温泉に入って温まろう」

ガラッ


『きゃあああああああああああああああああああああああああああああっ!!?』


泉「………え?」

熊野「な、なんで!?」

神通「な、なぜ女湯に泉提督が!?」バッ

泉「えっ!?あれ!?す、すまない!!」バッ

泉(何故だ!?どうして男湯に奴の艦隊の艦娘共が入っているんだ!っていうか…今彼女たちは全裸で…)チラッ

瑞鶴「す、すけべへんたいのぞきまこっちみんなばかー!!」←ウェットスーツ着用

泉「あれー!?何で温泉でウェットスーツ!?」

不知火「貴様…女湯に全裸で入ってくるとは…やはり変Oか…」ゴゴゴ

加賀「これは……気分が怒りで高揚します…」ゴゴッ

泉(ひぃ!この2人は素で怖い!!)

日向「貴様……どういう了見だ…?」ズズズズ

神通「制裁…焼き土下座……」ズズズズ

泉「こっちも尋常じゃなーい!?」

170: 2016/01/09(土) 22:08:58.20 ID:M5EP9RFE0
バァーン!!

長門「一体何事か!」

金剛「悲鳴が聞こえたのデース!?」

泉「あっ」

長門「……貴様…他人の鎮守府の艦娘に欲情するとは…失望したぞ」

金剛「テートク……私よりも他人の鎮守府の艦娘が好きだったなんて…しかも全裸で女湯に突入するなんて……」

泉「誤解だ!!私のせいじゃない!!」

ダダダダダダダ

女性憲兵「こちらは憲兵団だ!貴様を公然わいせつ罪で逮捕する!」

泉「憲兵!?待て誤解だ!のれんはこちらが男湯だと書いてあったはずだぞ!」

提督「こっちが女湯となっていましたよ」ヌッ

泉「斑補佐官!!貴様、貴様の方が女湯に入ったはずでは……!?」


 ―十数分前―

熊野「ではお先に入りますわね~」

提督「ええ、ごゆっくり」

のれん『←‶男湯‶  ‶女湯‶→』

提督「……………」ガコン

のれん『←‶女湯‶  ‶男湯‶→』

提督「よし」


女憲兵「斑補佐官殿、情報を提供していただき、感謝いたします」ビシィ

提督「いえいえ。いつもながら迅速な対応、感心いたします」

泉「貴様ァー!!憲兵とつるんで私を陥れてくれたなァー!!」

提督「それより憲兵さん。彼は今現在進行形で女湯で下半身をあらわにしています。私の艦隊の皆さんがウェットスーツを着てはいますが、あからさまに

   私の艦娘達は嫌がっています。犯罪行為でさっさと逮捕しましょう」

憲兵「ええ、その通りですね。さあ泉提督、一緒に来ていただこう!」

泉「てんめぇぇえぇぇぇぇぇ!斑ァァァァァァァァァ!!!」

171: 2016/01/09(土) 22:18:15.89 ID:M5EP9RFE0
 ―こういう事―

のれん『←‶男湯‶  ‶女湯‶→』

熊野「では、私達はお先に入らせていただきますわね~」



提督「ここで入れ替えると」ガコン

のれん『←‶女湯(男湯)‶  ‶男湯(女湯)‶→』



泉「くくく…」ガコン

のれん『←‶男湯(男湯)‶  ‶女湯(女湯)‶→』



提督「お先に入らせていただきます(普通に男湯に入る)」

泉「では私は普通に男湯に入るとするか(女湯ののれんがかかっているがは本当は男湯だと思い込んで女湯に入る)」


 ―数日後―

提督「自分の温泉のローテーションを覚えていれば、今回のように自分の策に溺れる事もなかったわけです」

熊野「結局あの提督、どうなったのですか?」

提督「普通に犯罪を犯しているので、海軍をクビにしたうえで刑務所行です。これで、タカ派が勢いを減らしてくれればいいのですが。それよりも、

   男性に入浴しているところを見られるなどと言う不快な思いをさせてしまって申し訳ございません」

熊野「いえいえ、提督にいただいたウェットスーツを着ていましたから大丈夫でしたわ。むしろ、他人を騙す事ができて、楽しかったんですの」

提督「…それで、今回のお詫びと言っては何ですが…」スッ

熊野「?これは?」

提督「温泉のクーポン券です。ほぼ無料で、お好きな温泉に入る事ができる奴ですよ。今回の件で協力していただいた方たちの人数分用意していますので、

   熊野さんもどうぞ」

熊野「よろしいんですか?」

提督「ええ。今度は、ごゆっくりと温泉をお楽しみ下さい」

熊野「……ありがとうございます」ニコッ


【終わり】

172: 2016/01/09(土) 22:23:42.50 ID:M5EP9RFE0
【キャラクター紹介】

≪熊野≫

最上型重巡洋艦及び航空巡洋艦四番艦。艦娘No.125(改はNo.130)。栗色のロングヘアーと、おしとやかな雰囲気が特徴のマイペースなお姉さん。日常的に

お嬢様のような口調で喋り、振る舞いもお嬢様のようだが、戦闘時の掛け声はお嬢様と言うよりアマゾネス。戦い方は‶蝶のように舞い、鉢のように刺す‶。

実は温泉が大好きで、休日はよく温泉に行く。また、出先の温泉で港湾棲姫、北方棲姫と出会い、意気投合して仲良くなった。よく迷子になる。

好きな言葉は『思い立ったが吉日』。

173: 2016/01/09(土) 22:28:28.57 ID:M5EP9RFE0
≪泉 温気(いずみ おんき)≫

東海・舘山寺第壱拾伍鎮守府提督。性別は男性で、年齢は34歳。野心家で、いつかは自分が新日本海軍司令長官の座に就こうと狙っていた。海軍ツートップが

軍乃盾間司令長官と斑黎明補佐官である今の体制に不満を抱いており、同じく今の海軍体制に不満を抱いている他の提督を仲間に入れてタカ派を結成し、海軍

ツートップを失脚させようと企むが、最終的には失敗し憲兵に逮捕される。現在は刑務所の中だが、出所してもシベリア送りになる予定。未来はない。

好きな言葉は『蒔かぬ種は生えぬ』。

180: 2016/01/10(日) 21:03:04.88 ID:cB2W+f1t0
【いっぱい食べる君が見たい】

 ―20時前、食堂―

提督「間宮さん、大丈夫ですか?」

間宮「ギリギリセーフですよ~。それで、どれになさいます?」

提督「A定食で」

間宮「ハーイ少々お待ちくださいね~」


間宮「お待たせしました~」コトッ

提督「ありがとうございます。さて…」


葛城&照月「………………はぁ~…」


提督「?葛城さん、照月さんどうしたんですか?」

葛城「あら、提督…こんばんは」

照月「こんばんは、提督…はぁ」

提督「溜息なんてついて、何かあったんですか?」

葛城「実はね、雲龍姉があんまりご飯を食べてくれないの…」

提督「…照月さんの悩みは?」

照月「秋月姉さんがご飯を食べなくて…」

提督「またその話題ですか…。その話は確か、食べるものをこつこつランクアップさせていく、と言う話で済んだ話ですが?」

181: 2016/01/10(日) 21:10:05.93 ID:cB2W+f1t0
葛城「え?何その話」

提督「照月さんが前に、葛城さんと同じような理由で私のところに相談に来たんです。それで私は解決策として、食べるもののグレードを徐々に上げていく、

   と言う提案をしたんですが…」

照月「やってみたんですけど、秋月姉さんが『やっぱり、おにぎりが一番おいしいわね』って言って、元に戻っちゃいました」

葛城「へぇ~…雲龍姉にも実践してもらおうかしら…」

提督「雲龍さんは多分ダメだと思いますよ」

葛城「何で?」

提督「前に一度、朝食でフレンチトーストが出てきたことがありましたよね?」

葛城「あー、あったわね。確かに」

照月「あれ、美味しかったですよねぇ~」

提督「それで雲龍さんがそのフレンチトーストをとても気に入り、私の分まで食べるくらい食べたんです」

葛城「す、すごい!普段の雲龍姉からは想像もつかない!」

照月(葛城さんの雲龍さんのイメージって…)

提督「ですが、その後オリョール海に出撃中、腹痛になってしまい帰投するや否やトイレに駆け込んだそうですよ」

葛城「」

提督「それ以来、彼女は輪を掛けて現代の食べ物を食べなくなったそうです」

葛城「そんな……」

182: 2016/01/10(日) 21:20:03.23 ID:cB2W+f1t0
提督「まあ私としては、現代の食べ物に慣れてしまうのもどうかと思いますが」

葛城&照月「え、何で(ですか)?」

提督「雲龍さんも秋月さんも、はっきり言って粗食です。しかし、それで栄養状態に異変が起きているわけではありませんし、むしろ食べさせてしまった方が、

   体調に支障をきたしていますから。さらに、現代の食事に慣れず今の食事のままなら食費がかさまず鎮守府の運営に余裕ができる事になります」

葛城「うーん…一理あるんだけど……」

照月「それはまあ、そうですけど…」

提督「かといって、このままでいいとも思いにくいです。これまでの食生活のままでこの先暮らしていくとなると、周りの方々と同調する事が困難になり、

   孤立して行ってしまうでしょう。そうなると、やはりちゃんと食べた方がいいんですが、先の理由もありますし…。どうしたらいいんですかね?」

葛城「それはこっちが聞きたいわよ!」

照月「ホント、どうしたらいいのかしらね…」

葛城「っていうか、あれなのよ!私は普通の食事が食べられるけど―」


 ―数日前、食堂―

葛城「間宮さん!ハンバーグ定食、ご飯大盛りで!」

間宮「はーい、分かりました。雲龍さんは?」

雲龍「おにぎり3種セットで」

葛城「えっ」

間宮「分かりました~」


葛城「……………………」

雲龍「もぐもぐ……。うん、やっぱりおにぎりは美味しいわね」

葛城「……………………」

雲龍「?葛城?どうしたの?早く食べないと冷めちゃうわよ」

葛城「あ、うん……」

183: 2016/01/10(日) 21:29:16.35 ID:cB2W+f1t0
葛城「正面で貧しい料理食べられてちゃ、私だけ豪勢な料理を食べにくいのよ!」

提督「分かるようなわからないような」

照月「私も…似たような事が…」


 ―数日前、≪甘味処・間宮≫―

照月「うーん、どれにしようかな~。悩むなぁ~」

秋月「むむむ……」

照月「……決まった!間宮さん!チョコレートパフェ、1つ!秋月姉さんは?」

秋月「……じゃあ私は、イチゴ大福2つで」

照月「えっ」


伊良湖「お待たせしました、チョコレートパフェと、イチゴ大福でーす」コトッ、コトッ

秋月「はむっ………あぁ、美味しい♪」

照月「………………」

秋月「照月?早くしないとチョコが溶けちゃうわよ?」

照月「あ、うん…」


照月「あれじゃ、1人で今風のメニューを頼んだ私がバカみたいじゃないですかぁ!」

提督「ああ、他の皆さんが真面目なメニュー頼んでいるのに自分だけちゃらちゃらしたメニューを頼んだら気まずくなりますよね」

葛城「とにかく、明日は何としても雲龍姉に食べてもらうんだから!」

照月「私も、秋月姉さんにしっかり食べさせます!」

184: 2016/01/10(日) 21:38:10.39 ID:cB2W+f1t0
 ―翌日19時過ぎ、食堂―

雲龍「……もぐ、もぐ………」←豚の生姜焼き定食

葛城「美味しい?ねえ、美味しい?」

雲龍「美味しいんだけど……。葛城…あと食べて……もうむり…」

葛城「何言ってんの!?このぐらいの量食べなきゃ、今の時代生きていけないわよ!」

雲龍「うぅ……」


秋月「ちょっ…照月…おかわりは勘弁……」←足柄特製とんかつ定食

照月「いえ、今の時代とんかつくらいこのくらいの量は食べなくちゃダメです。私が奢りますから、安心してください」

秋月「いや、お金の問題じゃなくて……うぷっ」

照月「ほら水で流し込んで!」

秋月「ごくっ、ごくっ……ふぅ、すっきりしたわ。じゃあ、私はこれで…」

照月「足柄さーん!とんかつもう1枚追加でー!」

秋月「照月!?」


 ―翌日―

『以下の者、体調不良につき出撃は中止とする。

 ・雲龍型正規空母一番艦 雲龍

 ・秋月型駆逐艦一番艦  秋月

 なお、上記の者の代役については、提督よりおって連絡する』


提督「体が壊れるまで食べさせちゃ、本末転倒でしょうが」

葛城&照月「深く反省しております」


【終わり】

185: 2016/01/10(日) 21:46:49.52 ID:cB2W+f1t0
【編成】

 ―10時過ぎ、執務室―

時津風「ねぇ、しれー」

提督「なんですか」

時津風「なんで雪風とあたし、同じ編成で出撃も遠征も演習もさせてくれないの~?」

提督「それはあれですよ。雪風さんが着任したのは貴女よりもずっと前なんです。それと、編成は大体姉妹艦、もしくは着任順で決まっていますから」

時津風「だったらあたしも雪風も同じ陽炎型だから、同じ艦隊でいいんじゃないの~?」

提督「………………」

時津風「ね~、なしてどして~?」

提督「………時津風さんって、いつも雪風さんと一緒にいますよね」

時津風「そうだよぉ~。雪風とあたしは~、とーっても仲がいいんだから~」

提督「そこです」

時津風「え?」

提督「見るからに、時津風さんはいつも雪風さんと一緒に行動していて、他の方と一緒にいる事が少ないような気がするんですよ」

時津風「えー?そんなことないよ~。他にも一緒にいる人いっぱいいるよ?神通先輩とか、長良先輩とか、利根先輩とか、龍驤先輩とか」

提督「史実関係ではなくてですね、もっとこう、他の友達的な人ですよ」

時津風「失礼だなぁ。そう言う人ならいっぱいいるから、見ててよね?」

186: 2016/01/10(日) 21:53:29.77 ID:cB2W+f1t0
 ―12時過ぎ、食堂―

時津風「それでね~、その時雪風があたしのことをかばってくれてね~」

島風「ふ、ふーん……」

時津風「それで、その時雪風がかばった理由が『時津風が傷つくのを見たくなかった』って!もー、嬉しいなぁ~♪」

天津風「よ、よかったわね…」


 ―16時前、≪甘味処・間宮≫―

雪風「それでさ、雪風がビスケットをサクサク食べてるのを見て可愛いって言ったら『やめてよ~』って言ってさ」

間宮「そ、そうなんだ~……」

雪風「それでいたずら半分でドングリを渡したら『もうやめてよ~!!』って頭から煙が出そうな勢いで怒って、それがまた可愛くてねぇ~♡」

伊良湖「わ、わーたのしそー」


提督「」

時津風「どう?」

提督「いや、どうと言われましても」

時津風「だって、友達と話すのって大体こんな感じなんでしょ?これで時津風がボッチじゃないって事がわかったでしょ?」

提督「そうだけどそういう事じゃない」


【終わり】

187: 2016/01/10(日) 22:00:21.88 ID:cB2W+f1t0
【キャラクター紹介】

≪時津風≫

陽炎型駆逐艦十番艦。艦娘No.186。犬の耳のような髪型と、きわどいスタイルのセーラー服の小動物系な女の子。雪風とは大の仲良しで、いつも一緒にいる。

また、他人との話題もほとんど雪風の話題で、聞かされる側はかなり辟易している。だがこれは、過去の軍艦‶雪風‶の生い立ちを知っているからの行動である。

ぼっちと見られやすいが、ちゃんと他の艦娘達とも仲良くしている。ちょこまかと走り回っている印象があり、髪型も相まって犬のような印象を持たれる。

好きな言葉は『多情多感』。

193: 2016/01/11(月) 20:56:06.47 ID:+Qc0+3iO0
【長女】

 ―11時過ぎ、執務室―

初春「提督よ、この書類はもう片付いたぞ」

提督「ありがとうございます。では、早速確認させていただきます」

初春「………ふぅ」コキコキ

提督「やはり、駆逐艦の貴女には、書類整理と言う堅苦しい仕事はきついですか」

初春「いや、そういうわけではないのだ。いや、あれも確かにきついがのう…」

提督「………何か気がかりな事でも?」

初春「うむ……実はの?」

提督「はい?」

初春「妾の妹たちの事なのじゃが……」

提督「…………なんか言いたいことが何となくわかりました」

初春「……すまぬ…皆、貴様に迷惑を掛けてしもうて……」

提督「いえ、それは今に始まった事ではありませんから」

初春「………本当にすまぬ」

194: 2016/01/11(月) 21:03:30.25 ID:+Qc0+3iO0
提督「初春型長女の貴女でも大変な相手と言うと…子日さんですか?」

初春「子日はいつもちょこまかちょこまかと好きに振る舞っておるからのう…あやつの尻拭いをする妾もまた東奔西走…」

提督「お察しいたします」

初春「休日じゃと言うのに子日の起こすトラブルに丸一日付き合わされたこともあったのう…」

提督「お休み、一日追加しますか?」

初春「いや、結構じゃ。それに、深海棲艦との戦いに比べれば、子日の尻拭いなど取るに足らん」

提督「比較対象が深海棲艦と言うのもまたどうかと思いますけど…」

コンコン

提督「あ、どうぞ」

子日「初春~助けて~……」ガチャ

初春「はぁ…今度は何をしでかしたのじゃ?」

子日「それがさっき皆と遊んでたら池にはまっちゃって……」

提督「なんで風呂に直行しなかった」

初春「提督の言う通りじゃ!ほら、さっさと風呂場へ行くぞ!」

子日「は~い……」


 ―数分後―

初春「すまぬ……見苦しいものを見せてしまった…」

提督「その言葉は子日さんから聞きたかったです」

195: 2016/01/11(月) 21:08:38.49 ID:+Qc0+3iO0
提督「まあ、若葉さんはあまり苦労しなさそうですが」

初春「ところがぎっちょん、そうはいかんのじゃ」

提督「?」

初春「若葉はその…なんというか好戦的な性格じゃろう?」

提督「ええ、まあ」

初春「前の休みの日、若葉が出撃したいと言ってきかなかったことがあってのう…」


 ―数日前、駆逐艦寮・休憩室―

初春「だめじゃ!」

若葉「なぜだ!ちょっと鎮守府近海に出るだけだぞ!」

初春「提督の許可もなしに出撃してみろ!一週間の禁固生活になるぞ!」

若葉「……………」

初春(聞いたか?)

若葉「一週間の禁固より、一回の戦闘!」

初春「こやつときたら!」


初春「あの後、引き留めるのに大分時間を食ってしもうた…」

提督「そんな一幕があったんですか」

バァン

初霜「提督!若葉ちゃんが、勝手に艤装を背負って鎮守府近海へ!」

提督&初春「あのバカ!」

196: 2016/01/11(月) 21:14:54.57 ID:+Qc0+3iO0
※若葉は結局説教を受けたうえで禁固一週間となりました

初春「もう、唯一気が置けないのは初霜ぐらいじゃ…初霜は真面目じゃから、手もかからん…」

提督「果たしてそうでしょうか?」

初春「む?」

提督「彼女は確かに真面目で、あまり手がかかりません。それは私も知っています。ただ真面目過ぎるせいで……」

コンコン

提督「あ、どうぞ」

初霜「し、失礼します提督……///」

提督「………どうかしたのですか?(あの表情は…やばい)」

初霜「さっきは、若葉ちゃんが迷惑をおかけしました…」

提督「いえ、あれしきの事」

初霜「そ、それで……若葉ちゃんを止められなかったのは、同室の私にも責任があると思いまして…」モジモジ

提督「………………………」

初春「?」

初霜「そのお仕置きを―」


 ―数分後―

提督「真面目なせいでたまったストレスがドМと言う形で発散してしまったのですから、こちらが大変なんです」

初春「すまぬ……本当に済まぬ……本気で」

提督「しかし、同じ艦娘という事もありますが、初春さんは自分の妹たちの事をよく見ていますね。感心します」

初春「…………ふん」


【終わり】

197: 2016/01/11(月) 21:21:16.17 ID:+Qc0+3iO0
【キャラクター紹介】

≪初春≫

初春型駆逐艦一番艦。艦娘No.75(改二はNo.204)。古風な話し方と、恐ろしく長い髪が特徴の和風美人な女の子。個性豊かな初春型をまとめ上げる長女で、

そのタフさは結構なもの。深海棲艦と戦うのに比べたら朝飯前らしい。火力は若干他の皆より劣っているが、本人はあまり気にしていない。ポジティブな方。

その髪の毛の長さは凄まじいもので、セットにはかなり時間を掛けている。和風文化を好んでおり、洋食はあまり好きではない。

好きな言葉は『大和撫子』。

198: 2016/01/11(月) 21:24:59.75 ID:+Qc0+3iO0
今日はここまでにします。

>>115
  初春の話、いかがでしたか?

  お気に召さないようでしたら申し訳ございません。(初霜がМと言う設定はこの作品オリジナルですのであしからず)


間もなく200レスを迎えますので、キリ番安価を取ろうと思います。

現在リクエストされている艦娘は明石、羽黒ですので、この2人はなるべくリクエストしないようにお願いします。

キリ番安価範囲:>>200-201


また、感想等があればお気軽にどうぞ。

【艦これ】総司令部日和【その3】

199: 2016/01/11(月) 21:53:36.09 ID:zJsmonH20
乙ー

引用: 【艦これ】総司令部日和