500: 2016/02/05(金) 21:08:35.38 ID:nRpFnimT0
こんばんは、>>1です。



それでは、投下していきます。

501: 2016/02/05(金) 21:16:02.02 ID:nRpFnimT0
【深海提督の憂鬱】

 ―10時過ぎ、執務室―

提督「……………ううむ」

榛名「提督?どうなさったのですか?」

提督「いえ、皆さんからの遠征や出撃の報告書を見ると、どうも深海棲艦の動きが変わってきていると思いまして」

榛名「変わっている…とは?」

提督「前までは、深海棲艦は力任せに敵を打倒しているような感じがしたのですが、今はどこか動きが戦術的に…つまり戦略を持つようになっていると…」

榛名「………気のせいでは?」

提督「…取り越し苦労であれば幸いなのですが」


 ―同時刻、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「……………」カリカリカリ

ガチャ

北方棲姫「てーとく!帰ってきた!」

深海提督「お、ほっぽちゃん。お帰り」

北方棲姫「ただいま!」ビシッ

深海提督「北の方は寒くなかったかな?」

北方棲姫「寒かった!けど、おねーちゃんが作ってくれたマフラーのおかげで暖かかった!」

深海提督「そうかそうか。港湾棲姫さんは妹思いだからな~。あ、そのおねーちゃんだけど、今台所でお菓子を作ってるはずだから、手伝っといで」

北方棲姫「うん!分かった!」テテテテテ

パタン
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
502: 2016/02/05(金) 21:26:00.18 ID:nRpFnimT0
深海提督「……………はぁ」

護衛要塞「?提督、どしたんですか?」

深海提督「いや、ちょっとな…」

護衛要塞「あ、うちのほっぽさんの態度が気に入らなかったんだったら、部下である俺から謝ります…すみません」

深海提督「いや、そういう事じゃなくてだな…」

護衛要塞「何か悩みでもあるんですか?」

深海提督「ああ…そうだ、な」

護衛要塞「俺で良かったら、聞きますけど?まあ、俺はほとんど北方AL海域にいるから本拠地の事は分からないんですが」

深海提督「悪いな……。実は―」


 ―数日前・15時過ぎ、食堂―

深海提督「ううむ……少し小腹がすいたな……菓子とかないかねぇ…」

アーダーコーダー、ギャイギャイ

深海提督「ん?何の騒ぎだ?」

戦艦タ級「あ、提督!ちょうどいいところに!」

重巡リ級「え、提督?」

深海提督「タ級にリ級?何かあったのか?」

戦艦タ級「実は私、さっきクッキーを焼いていたんですよ。それで、自分で味見したら結構いい出来だと思ったんです」

深海提督「そうか。じゃあ後で1つおくれ」

戦艦タ級「そしたらですね!そこにリ級さんが来て、クッキーを1つ食べてもらったんです。そしたら…………」


重巡リ級『まあ、タ級にしてはいい出来なんじゃないの?』


戦艦タ級「なーんてことを宣ったんですよ!」

重巡リ級「タ級が料理って、そんなイメージじゃないもん。どうせ不味いんだろうなーと思ったから」

503: 2016/02/05(金) 21:35:44.64 ID:nRpFnimT0
戦艦タ級「それでリ級さんがクッキーを作るって言ったんですよ。それでできたヤツを食べてみたら、大して美味しくも無くてっ!」

深海提督「要するに、上手くもないのに自分のクッキーをからかわれたのが気に食わない、と」

重巡リ級「私はそんなクッキーなんて何度も作った事が無いんだもの!一回作って形になっただけでも私の技量をほめてほしいモンね!」

戦艦タ級「なんですってぇぇぇぇぇぇ?」

深海提督「どうでもいいが、小腹がすいてるんだ。そのクッキー余ってるのなら1つくれないかね」

重巡リ級「………そうだわ。それなら、どっちのクッキーが美味しいか提督に見極めてもらおうじゃない」

深海提督「へ?」

戦艦タ級「いいですね、それ。提督が美味しいと言った方が勝ちという事で」

重巡リ級「望むところよ!」

深海提督「え、あのー…………」


深海提督「で、その後クッキーをたらふく食べさせられてしばらくの間トイレから出られなくなった」

護衛要塞「…んで、どっちのクッキーが美味しかったんですか?」

深海提督「タ級だった。ただ、途中から食べる事が苦痛になっていったから味が分かんなくなった」

護衛要塞「…さいですか」

深海提督「他にはなぁ…」


 ―数日前20時前、提督用浴場―

深海提督「ぶあー……やっぱり風呂は疲れが取れるね~……」

深海提督「しっかし、皆の相手をするのは別に嫌じゃないんだが、疲れるねぇ……」

ガラガラガラッ

深海提督「ん?」クルッ

504: 2016/02/05(金) 21:43:53.52 ID:nRpFnimT0


空母棲姫「失礼するわね」←すっぽんぽん

戦艦レ級「よーっす!邪魔するぜー!」←すっぽんぽん


深海提督「んなああああっ!!?」

空母棲姫「あら?どうしたのかしら?」

深海提督「どうしたもこうしたもあるか!何でお前らが男湯にいる!そして何で前を隠さない!」

戦艦レ級「なんだよ硬い事言うなよな~。俺とお前の仲なんだぜ?別に裸何てどうってことないだろ?」チャプ

空母棲姫「レ級の言う通りよ。私達は仲間なんだから、これぐらい普通でしょ?『裸の付き合い』って言葉もあるくらいだし」チャプ

深海提督「その言葉は同性の間のみ有効な言葉だ!後さりげなく一緒の湯船に入るな!」

戦艦レ級「あー、戦いの疲れが抜けていくぜー…」

空母棲姫「そうねぇ…はー、癒されるわ~」

深海提督「風呂入りたいんなら女湯行け!」

戦艦レ級「なー、もうちっと提督そっち寄ってくれよ。狭くてしょうがない」グイグイ

深海提督「ちょっ…お前…っ」

空母棲姫「そうねぇ、悪いけどちょっと寄らせてもらうわよ」ギュムッ

深海提督「あの、空母棲姫さん…色々当たって」

空母棲姫「別にいいじゃない。減るもんじゃないんだし。それに普段頑張ってる貴方へのサービスって事で」

深海提督「だからだなぁ…………」

空母棲姫「それとも何?私のボディじゃ興奮しない?」

深海提督「そりゃ興奮するけども……じゃなくて!」

戦艦レ級「ひゅーひゅー」

深海提督「あーもー!先に上がる!」ザバァ

ビシャン

空母棲姫「あらら…残念ね」

戦艦レ級「ちぇー、つまんないのー」


深海提督「まともに風呂にも入れん」

護衛要塞「………大変ですねー」

深海提督「これまでも、港湾棲姫や港湾水鬼、離島棲鬼とかも入ってきたし……はぁ」

護衛要塞(何だろう、だんだん腹が立ってきたぞ)

深海提督「それにな…」

506: 2016/02/05(金) 21:52:53.76 ID:nRpFnimT0
 ―22時過ぎ、深海提督の私室―

深海提督「…思いのほか仕事が早く終わったし、もう寝るとしようかな」パチン

深海提督「おやすみ………」


 ―数時間後―

モゾモゾモゾ

深海提督「……………………んぁ?なんだ?」

ゴソゴソゴソ

深海提督(な、なんだなんだ?何の感触だこれ…!?)ガバッ

泊地水鬼「んむ~………」

深海提督(なんでだよ…)

深海提督「泊地水鬼さん……起きてください」

泊地水鬼「んぅ…?てい…とく?」

深海提督「そうです。俺です。早く自分の布団に戻って―」

泊地水鬼「おやすみなさい……」グデーン

深海提督「待て!どうして眠る!」

泊地水鬼「だって……1人で寝るのは寂しいですから……」

深海提督「だったら俺じゃなくて他の人と寝ればいいじゃないですか!その~…戦艦水鬼とか、装甲空母姫とか!」

泊地水鬼「私は……提督と一緒の方がいいんですぅ……」

深海提督「意味わかんないですって!」

泊地水鬼「提督と寝ると………暖かい気持ちになれますからぁ……」

深海提督「……………………」

泊地水鬼「おやすみなさい………………」

深海提督「………今日だけですよ」

泊地水鬼「…ありがとうございますぅ………」

泊地水鬼「………すぅ……すぅ……」

507: 2016/02/05(金) 21:59:35.38 ID:nRpFnimT0
深海提督「それでも結局、何度か俺の布団に入ってくることがあって………」

護衛要塞「…………」ガブッ

深海提督「いてぇ!何で腕にかみつく!しかも無言で!」

護衛要塞「うるせぇ!何不満げに深海棲艦の女の子達とイチャコラしたエピソードなんて話してやがる!聞いててめっさ腹が立つわ!」

深海提督「俺のせいじゃねぇっての!」

護衛要塞「そんな女の子とのふれあいなんてこの体の俺からすればイラつく話題にしかならんがな!俺だって好きでこんな体になったわけじゃねーのに!」

深海提督「いてっ、いててっ!やめろっての!」ダダダ

護衛要塞「逃がすかっ!」

ガチャッ

飛行場姫「えっ」

深海提督「あっ」

ドチン

飛行場姫「きゃっ!」

深海提督「いてて……あっ、ごめ―」


ムニュッ(飛行場姫の胸をわしづかみにしている深海提督の手)


飛行場姫「あっ…………」

深海提督「………………………本当に、ごめんな―」

飛行場姫「いやあああああああああ!!!えOち!すけべっ!!」バチィ、ベチィ

深海提督「ぶべらっ」ドサッ

飛行場姫「うわああああああああんん……」タタタタタ

護衛要塞「……………けっ」


【終わり】

508: 2016/02/05(金) 22:04:27.10 ID:nRpFnimT0
【キャラクター紹介】

≪護衛要塞≫

深海棲艦の一種。艦種は護衛要塞。北方棲姫のお供の1人で、北方棲鬼からは‶たこ焼き‶と呼ばれているが、本人はそれを嫌っている。戦闘では主に、北方棲姫

のサポートに徹している。一度、とある艦娘に捕らえられて食べられそうになったことがあり、寸でのところで港湾棲姫に食べられそうになったが、それが今も

トラウマになっている。深海棲艦組の数少ない良心。性別は男(雄?)の模様。

515: 2016/02/07(日) 21:21:00.96 ID:BKoxhUtq0
【魚雷】

 ―14時過ぎ、装備倉庫―

カツ、コツ

提督「ふむ…12.7cm連装砲が5、10cm連装高角砲が2、61cm三連装魚雷が6……」カチャ、カチャ

提督「………ふむ…む?」ピクッ


 ―数十分後、執務室―

ガチャ

提督「戻りました」

北上「あ、お疲れ~」

提督「確か、午前中に装備倉庫の個数確認をしたのは北上さんでしたよね?」

北上「え?そうだけど?」

提督「61cm四連装(酸素)魚雷の数なんですが、記録は3になっていたんですが…今さっき数えてみたら10でした」

北上「あ、あれ~?そうだったけ~?いや~、ちょっと暗くてわからなかったな~…」

提督「倉庫の中はちゃんと蛍光灯が付いていましたし、誤差が1や2ならまだしも、3本と10本を間違えるっていうのは、妙と思うんですが」

北上「あ、あははは~……」

提督「今のうちに本当の事を言っておいた方が身のためですよ」

北上「……ごめんなさい、わざと書き間違えてました」

提督「なぜそのような事を…まあ、大方『酸素魚雷がもっとほしくて記録上は少なく書いて、今後開発しよう』ってところですかね」

北上「……ご明察です…」

提督「魚雷がもっとほしいんでしたら、申請書を書けばいいものを」

北上「え、出したら作ってくれたの?」

提督「数が十分にある場合…例えば今みたいに10本もあれば作る必要はありませんが」

北上「ですよね」

517: 2016/02/07(日) 21:32:39.05 ID:BKoxhUtq0
提督「しかし、大井さんに負けず劣らず北上さんも魚雷が好きですよねぇ」

北上「えー、だって魚雷カッコいいじゃん~」

提督「カッコいいですか、あれ」

北上「カッコいいよ~。男の人ってあれでしょ?ああいうメカ系のに惹かれるんでしょ?」

提督「私はあれをカッコいいとは思いませんし、思ったらおしまいだとも思っています」

北上「でもさ~、魚雷のいいところはやっぱあれよ。雷撃戦でどんな強い敵にも大ダメージを与える!戦艦でも空母でも装甲を貫き、撃沈させる!」

提督「まあ、雷撃戦で駆逐艦の方が戦艦を撃沈したって報告は何度も聞いていますが」

北上「でしょ?いや~、あれにはホントに痺れるねぇ~。ま、酸素魚雷もいいけど、あたしたち雷巡と潜水艦にしか装備できない甲標的が、最強の魚雷だと

   思うけどね」

提督「阿武隈さんが物陰で泣いてますよ。忘れないであげてください」

北上「あー、でも魚雷っていいよねぇ~。いやぁ~、外国の魚雷も実装されないかな~?」

提督「それは、装備開発の夕張さんに相談しないと無理でしょう。まあ、実現性なら回天の方が技術的にも簡単と思いますが」

北上「かっ、回天!?あ、あれはちょっと勘弁願いたいね……っていうか………中の人とか…その…」

提督「中の人はシベリア送りの予定だったブラック鎮守府の提督にしましょうか。艦娘を酷使させたり法を犯したのはあっちですし、戦場で散った方が海軍の

   軍人としても本望でしょう」

北上「あの、いや~……できれば人道的にしてほしいかなぁ~……っていうか、回天は潜水艦の子たちも嫌って言ってるからやめた方がいいし」

提督「冗談ですよ」

北上「じゃあ、代わりと言っちゃアレだけど、61cm四連装(酸素)魚雷大量開発とか―」

提督「それとこれとは別です」

北上「ちぇっ」


【終わり】

518: 2016/02/07(日) 21:40:22.12 ID:BKoxhUtq0
【一航戦の心配性な方】

 ―9時前、執務室―

提督「では、加賀さん。今日一日秘書艦をよろしくお願いいたします」

加賀「ええ、こちらこそよろしく」

提督「で、早速で申し訳ないんですけれども、マルフタサンマル(09時30分)から、赤城さん率いる第一艦隊がサーモン海域へ出撃予定なので、装備開発は

   その後としたいのですが―」

加賀「…そう、分かったわ」

提督「?」

提督(一瞬残念そうな顔をしていた気が…)


 ―9時半前―

赤城「第一艦隊旗艦赤城、以下5名。これより、サーモン海域へ出撃いたします」

提督「はい。道中は装甲空母鬼などの強敵と遭遇する可能性がございますので、十分に気を付けてください」

赤城「了解しました!」ビシィ

加賀「赤城さん、お気をつけて」

赤城「ありがとう、加賀。私は大丈夫だから、加賀も秘書艦のお仕事を頑張ってね」

加賀「…ええ。分かっています」

提督(できれば、皆さんの前で1人にだけ声をかけるというのは少々避けてもらいたいのですが、ね)


 ―数分後、波止場―

赤城「では第一艦隊、出撃いたします!」ビシィ

提督「お願いします」ビシィ

加賀「………………」ペコリ

519: 2016/02/07(日) 21:49:09.18 ID:BKoxhUtq0
 ―10時前、工廠―

加賀「では、このレシピで開発をお願い」

工廠妖精さん「ん~?加賀さん、このレシピでいいんですか~?」

加賀「?何か、問題でもありましたか?」

工廠妖精さん「このレシピ、三式水中聴音機のレシピですよ~?確か今日の開発予定装備って、電探じゃありませんでしたっけ~?」

加賀「…っ、そ、そうだったわ。ごめんなさい、じゃあ電探のレシピでお願い」

工廠妖精さん「ほいさっさ~」

加賀「…………はぁ」


 ―13時過ぎ、執務室―

加賀「…………………」カリカリカリ

提督「………加賀さん」

加賀「……何かしら?」クルッ

提督「この書類なんですが、数値のミスが何か所かあるんですが…」

加賀「そ、そう………。ごめんなさいね、すぐに書き直すわ」

提督「…先ほど、工廠の開発でも誤った開発をしようとしていたみたいですし…何かあったんですか?」

加賀「それは………」

520: 2016/02/07(日) 21:52:21.50 ID:BKoxhUtq0
提督「やはり、赤城さんの事が心配ですか」

加賀「………ええ、やはり心配だわ」

提督「大丈夫だと思いますよ。赤城さんには紫電改二、彗星、九七艦攻(村田隊)、さらに彩雲を持たせておりますし、彼女の僚艦もそれなりの手練れです。

   それに赤城さん自身も今は慢心したりはしていませんし、轟沈するなんてことは無いでしょう」

加賀「…貴方はそう言うけれど、やはり心配だわ」

提督「………それでしたら、波止場まで迎えに行かれては?もうそろそろ戻ってくる時間ですし」

加賀「で、でも秘書艦としての仕事が…」

提督「赤城さんの事が気にかかってこちらの作業がおろそかになりミスを犯しかけてしまうようであれば、無理に仕事をさせたりはしませんよ。今加賀さんは、

   赤城さんが心配で仕事にも手が付けられない…。ならば、その不安の素である赤城さんに会いに行けば解決するでしょう」

加賀「………ありがとうございます。今夜、仕事を途中で投げてしまったお詫びとして奢らせていただいてもいいですか?」

提督「できれば、赤城さんも誘ってあげてください」

加賀「無論、そうします」

パタン

提督「まったく、加賀さんも心配所なんですねぇ」


【終わり】

521: 2016/02/07(日) 22:02:25.64 ID:BKoxhUtq0
【キャラクター紹介】

≪加賀≫

加賀型正規空母一番艦。艦娘No.7。青い袴にサイドテールの、落ち着いた雰囲気が特徴的なお姉さん。ぶっきらぼうで感情を表に出す事がほとんどないが、

心はとても熱い。同じ一航戦の赤城ととても仲が良く、赤城に対しては深い信頼を抱いている。艦載機運用能力は鎮守府でもトップで、デスクワークも難なく

こなし、長門と同じく提督代理業を行う事ができる。赤城ほどではないが食欲旺盛。提督に好意を抱いているような言動をするが、真意は定かではない。

好きな言葉は『鎧袖一触』。

530: 2016/02/09(火) 22:01:11.70 ID:Ofs8PLOB0
【戦いの前】

 ―21時過ぎ、戦艦寮・金剛&比叡の部屋―

金剛「いよいよ、明日からは大規模作戦デスネ…」

比叡「そうですね、お姉様…なんだか緊張します…」

霧島「ですが、司令の話では、今回の敵勢力は比較的小規模なため作戦機関もそれほど長くはないという話です」

榛名「そ、そうですか……ちょっと安心しました」

比叡「そうですねぇ。そこまで大規模でないのであれば、資源が枯渇するという心配もなさそうですし」

金剛「ですが、油断はできまセン。そうやって慢心しているト、取り返しのつかないコトになりそうな気がするのデース」

榛名「ええ、金剛お姉様の言う通りですね。油断は禁物です」

金剛「………それよりも、重要な事がありマース…」

比叡「重要な事…ですか?」

榛名「大規模作戦よりも…ですか?」

金剛「Yes.この戦いは、勝つか負けるか、ただそれだけしか残らないのデース…」

霧島「イ、一体……それは………?」

金剛「それハ……」

比叡&榛名&霧島「……………………」ゴクリ

531: 2016/02/09(火) 22:09:45.83 ID:Ofs8PLOB0

金剛「2月14日、Valentine Dayデース!!」


榛名「!」

霧島「……あれ?」

比叡「なーんだ、そんな事ですか」

金剛「ヒエー、何が‶そんな事‶デスカっ!!」

比叡「ひえっ!?」

金剛「この日ばかりは、鎮守府は戦場と化しマース……。艦娘達による血みどろの戦いの火ぶたが切って落とされ……テートクのHeartを射抜くのは誰か…

   そしてテートクと添い遂げられるのが誰になるのかが……決められるのデース!!」カッ

比叡「へ、へー……」

榛名(そうでした……失念しておりました…!大規模作戦に気を取られ……バレンタインデーの準備を一切しておりませんでした…っ!!どうしましょう…。

   明日階に行くのは…いえいえ、明日からは大規模作戦!外にのんきに買い出しに行けるような雰囲気にはならないはず…ああ、どうしましょう…)

霧島「あ、あのー……」

金剛「2月14日!その日、テートクの…そして、私たちの運命が決まるのデース!!大規模作戦なんて目じゃネーのデス!!」

霧島「ちょっと、金剛お姉さま?」

金剛「What?なんデスカ、キリシマ?」

霧島「その…2月14日なんですけど……」

金剛&比叡&榛名「?」


霧島「司令は、2月14日に提督大会議を開く予定だと、仰っておりましたが…」


金剛&榛名「」

比叡「なーんだ。じゃあ司令は一日中会議室にいるって事ですよね?それじゃ、チョコも渡せないですよね~…」

金剛「……そ、そうデスネ………」

榛名「え、ええ………」

金剛(オーマイゴッド!!)

榛名(嬉しいような…悲しいような……)


【終わり】

541: 2016/02/10(水) 22:57:30.93 ID:vz32bcK40
【大規模作戦発令前夜】

 ―22時過ぎ、執務室―

提督「…………………」カリカリカリカリ

鳳翔「提督、お茶でございます」カチャ

提督「ああ、すみません。ありがとうございます」

鳳翔「…あまり、無理はなさらないでくださいね?」

提督「もう明日からは大規模作戦ですから、少しの無理でもしないと書類が片付かないんですよ…」

鳳翔「…大規模作戦、ですか」

提督「はい。作戦名は、『出撃!礼号作戦』…。妖精さんも、考えたものです」

鳳翔「………私達は、いつまでこんな戦いを続けなければならないのでしょうか……」

提督「……いつかは分かりませんねぇ」

鳳翔「………………」

提督「深海棲艦を根絶するか、深海棲艦側と和平条約を結んで共存の道を選ぶか…どちらかでしょうね」

鳳翔「……どちらも、望み薄そうですね…」

提督「………少なくとも私は、後者の意見を推奨したいのですが…世間の目もありますから公にこの意見は言いづらいです……」

鳳翔「提督は、深海棲艦と共存したいと…?」

提督「ええ、そう思っております」

鳳翔「そうですか……」

542: 2016/02/10(水) 23:02:54.40 ID:vz32bcK40
鳳翔「……少し、私の話を聞いてもらってもよいですか?」

提督「構いませんよ」

鳳翔「……私、深海棲艦との戦いが終わったら、小料理店とか居酒屋とか、開いてみたいんです」

提督「………」

鳳翔「ただ、その夢が多くの犠牲の果てに叶うというのであれば、叶ってほしくないとも思うのですが…ね」

提督「…………」

鳳翔「でもこの夢は、簡単には諦めたくないんです」

提督「…………」

鳳翔「…犠牲があるのなら叶えたくない…でも叶えたい…この矛盾、どうすればいいのでしょうか…………」

提督「………それは、私からは何とも答えがたいものです…」

鳳翔「………そうですか」

提督「あと、それ氏亡フラグにしか聞こえませんよ?」

鳳翔「し、氏にませんよ私はっ!」

提督「冗談ですよ」

鳳翔「でも、ありがとうございます…。ほんのわずかですが、気分が落ち着きました」

提督「それは何よりです」

鳳翔「私の夢がかなうよう、頑張ります」

提督「…頑張ってください」

鳳翔「はい」

鳳翔(そして…提督の妻にもなって……ふふっ、いやー//)

鳳翔「あん……だめです……こんな…昼間から…」クネクネ

提督(情緒不安定でしょうか?明石さんを呼んだ方がいいですかねぇ…)


【終わり】

543: 2016/02/10(水) 23:06:31.15 ID:vz32bcK40
【キャラクター紹介】

≪鳳翔≫

鳳翔型軽空母一番艦。艦娘No.25。長い黒髪をポニーテールに纏めた、和服姿が奥ゆかしいお姉さん(?)。大和撫子を地で行くように静かで、温和な性格。

その言動がまさに‶お母さん‶のようであることから、皆からは‶お艦‶と呼ばれている。得意料理も唐揚げ、ハンバーグとまさにお母さん。ただし‶おばあちゃん‶

は禁句。鎮守府内で≪居酒屋・鳳翔≫と言う店を開いており、戦艦・重巡・空母艦娘の行きつけの店となっている。夢は料理店を開く事。

好きな言葉は『温厚篤実』。

549: 2016/02/11(木) 21:11:15.56 ID:JVchAcWT0
【ショッピング】

 ―10時過ぎ、鎮守府外・歩道―

加賀「…大規模作戦中に、外出をするというのは少し気まずいものだけれど」

瑞鶴「大丈夫だって。提督さん、第一次作戦と第二次作戦は戦艦と空母の出番はないからって、言ってたし」

加賀「…それは、出撃に関する出番はないと言っても、鎮守府での仕事が無いというのとは別。提督も気を遣ってくださったのでしょう」

瑞鶴「あ、そっか……提督さんには、少し悪いことしちゃったかな…」

加賀「…貴女が理解できれば、それで十分だと、あの人は言うでしょうね」

瑞鶴「そっか…そうだよね……」

加賀「…話を変えてしまうけど、今日は無理を言ってしまってごめんなさいね」

瑞鶴「ううん、私もショッピングモールに用があったんだし。それにしても、赤城さんにプレゼントって、急にどうしたの?」

加賀「…別に、赤城さんは日々頑張って皆を率いて深海棲艦と戦っているというのに、特に感謝を込めてプレゼントとかしていなかったから…ね」

瑞鶴「あ、それじゃあ私と同じだ。私も、翔鶴姉に日頃のお礼を、って事で買い物しようとしていたから…」

加賀「…そ」

瑞鶴(あ、ちょっと言いすぎちゃったかな…)

加賀「…私達、意外と似た者同士なのかもね」

瑞鶴「うぇっ!?う、うん…」


 ―同時刻、第壱鎮守府・執務室―

伊勢「提督……第一次作戦からいきなり潜水棲姫が出てきたんだけど…」

提督「はぁ……いきなりアイツですか」

550: 2016/02/11(木) 21:19:57.49 ID:JVchAcWT0
 ―数十分後、ショッピングモール―

瑞鶴「で、加賀さんは何を赤城さんにプレゼントするの?」

加賀「…そうね、食べ物のほうがあの人は喜ぶかもしれないけど…」

瑞鶴「ふふっ、多分ね」

加賀「…でも、今日は洋服とかにしようかしら」

瑞鶴「あ、そうだね。赤城さん、鎮守府の外に出る事が結構多いし、この前私服が少ないってぼやいていたし」

加賀「…ええ。だから、洋服屋に行くことにするわ」

瑞鶴「そうだね。翔鶴姉にも洋服とかアクセサリーとかをあげようと思ったし……」

加賀「………ところで、瑞鶴」

瑞鶴「?何?」

加賀「…………ショッピングモールの中で、どの服屋がいいのかしら」

瑞鶴「えっ、もしかして加賀さんってショッピングモールに来たことないの!?」

加賀「…そ、そんな事は無いわ。ただ、ここで洋服を買った事が無いってだけで……」

瑞鶴「そっか…じゃあ、この店とかがいいんじゃないかな?」

加賀「…では、貴女を信じるわね」

瑞鶴「こういうところで言われると、ちょっと重いかな~……」


 ―同時刻、オートロ島マーマレード湾沖・Fマス(陸上爆撃機隊 第2飛行中隊)―

飛行場姫「飛ベェ!」ビシュシュ

ズドドドドン

最上「ああっ、瑞雲が落とされたッ!日向先輩に怒られるっ…!」

吹雪「痛い!何ここぉ~…!」

551: 2016/02/11(木) 21:31:10.49 ID:JVchAcWT0
 ―数十分後、洋服店―

加賀「…どれがいいのかしら………」カチャカチャ

瑞鶴「そうだねぇ~……ちょっと難しいね~。赤城さんって大人っぽいしスタイルもいいからどんな服でも似合いそうだし…」

加賀「…確かに…でも、やっぱり選びにくい…」

瑞鶴「あ、これなんてどう?」スッ

加賀「?その色…赤城さんのイメージには少しくらい気がするけれど…」

瑞鶴「え?あっ……ほんとだ。加賀さん見ながら選んでたから、加賀さんに似合いそうなの選んじゃってたかも…」

加賀「………///」カァ

瑞鶴「あれ?加賀さんどうしたの?顔紅いけど…」

加賀「な、なんでもないわ。ちょっと、外が寒かったから…」

瑞鶴「えー?大規模作戦中なんだから気を付けた方がいいよ~?」

加賀「え、ええ…」

瑞鶴「う~ん……先に翔鶴姉にあげるの選んでいい?」

加賀「…構わないわ。で、貴女はどれにするの?」

瑞鶴「それなんだよね~…翔鶴姉って、どこかしら赤城さんと雰囲気が似ているから……。選びにくいんだよね~」

加賀「……これならどうかしら?」カチャリ

瑞鶴「え~?それってなんかきっちりしていて、ほんわかした感じの翔鶴姉には合わない気がするけど…」

加賀「…ああ、ごめんなさいね。貴女に似合うものを間違って選んでたわ」

瑞鶴「えっ、ええっ?」

加賀「さっきの、これであいこよ?」

瑞鶴「むー………」


 ―同時刻、オートロ島マーマレード湾沖・Oマス(戦略補給物資集積地)―

PT小鬼群「ケケケッ!」

陽炎「なんなのよアイツ!雷撃戦強いし、無駄に回避の値が高いし!面倒くさいったらありゃしない!」中破

大淀「うう…あんなのにやられるなんて…」中破

集積地棲姫「ア、アノ……」

足柄「あんたは黙ってなさいよ、っと!!」ドドドドドドン

集積地棲姫「アヒィ!?」破壊

552: 2016/02/11(木) 21:39:29.88 ID:JVchAcWT0
 ―13時過ぎ、ロビー―

加賀「…とりあえず、目当てのモノは買う事ができたわね。アドバイス、ありがとう」

瑞鶴「う、うん。そうだね…。こちらこそ、どうも…」

瑞鶴&加賀「………………………」

瑞鶴「あ、あの…加賀さん。ちょっと、買いたいものがあるから、少しいい?」

加賀「…構わないわ。私も、少しほしいものがあるから」

瑞鶴「じゃ、じゃあ30分後にまたここにね」

加賀「…ええ」


 ―30分後―

瑞鶴「はい、これ」スッ

加賀「?これは?」

瑞鶴「赤城さんだけじゃなくって、加賀さんもいつも頑張ってるし…赤城さんと違って提督代理業もこなしているから、その日々のお礼もかねて、どうぞ」

加賀「…………」スッ

加賀「…ネックレス?」

瑞鶴「加賀さんに似合うかな~って」

加賀「…ありがとう。大切にさせてもらうわね」

瑞鶴「う、うん。失くしたら承知しないからね!」

加賀「…じゃあ、私からもこれ」スッ

瑞鶴「……え?」

加賀「貴女は私達みたいに仕事は器用ではないし、少し至らないところもあるけれど、貴女が頑張っているのはちゃんと見ていたから、そのご褒美よ」

瑞鶴「……なんだか若干バカにされている感じがあったんだけど…ありがとうね」スッ

瑞鶴「あ……リボン」

加賀「貴女に似合うと思って」

553: 2016/02/11(木) 21:47:18.83 ID:JVchAcWT0
瑞鶴「ね、ねえ!加賀さん、結んでくれない?」

加賀「えっ?」

瑞鶴「ねっ?ね?」

加賀「………甘えん坊ね。少しジッとしていなさい」

瑞鶴「……………」ドキドキドキ

加賀「………」シュル、シュル

加賀「…できたわ、どう?」

瑞鶴「ありがとうね」ニコッ

加賀「…じゃあ、このネックレスを首にかけてくれないかしら?」スッ

瑞鶴「お安い御用」チャリ

加賀「んっ………」

瑞鶴「はい、オッケー!どう?」

加賀「…綺麗ね、ありがとう」

瑞鶴「どういたしまして」

加賀「…では、帰りましょう」

瑞鶴「はーいっ♪」


 ―数十分後、第壱鎮守府・執務室―

加賀&瑞鶴「」

提督「またテメェらかPT小鬼群共!お前らのせいで攻略がしちめんどくさい事になってんだよぉオおおおお!!体力がたったの9しかないくせに生意気な!

   後第三次作戦がまた輸送連合部隊だとぉ!?ふざけやがって!!どォしてこォも面倒くさいシステムに住んだ深海棲艦どもぉおおおおおおおおお!!」

司令長官「あっ、加賀君!瑞鶴君!ちょうどいいところに!手伝って!!」

足柄「第二次作戦でPT小鬼群が出てきたのと、第三次作戦が秋季大規模作戦で面倒極まりない輸送連合艦隊だったのと、日頃の徹夜でストレスが爆発して…」

大淀「て、提督!冷静になってください!」

間宮「提督、特製アイスです!これでも食べて落ち着いて!」

瑞鶴「……さっきまでの雰囲気が嘘みたいだね」

加賀「…そうね」


【終わり】

554: 2016/02/11(木) 21:55:00.13 ID:JVchAcWT0
【キャラクター紹介】

≪瑞鶴≫

翔鶴型正規空母二番艦。艦娘No.107(改はNo.108、改二はNo.262、改二甲はNo.267)。迷彩を施した弓道着とツインテールが特徴の、ポジティブなお姉さん。

竹を割ったような性格をしており、五航戦を毛嫌いする加賀とは仲が悪かったがとある一件で和解する。艦載機の扱いは上級者クラスだが、加賀に言わせれば

まだまだらしい。翔鶴との姉妹仲は上々。胸部装甲が薄い事から、大鳳、龍驤、瑞鳳、夕張とは接点がある。葛城は良い後輩。

好きな言葉は『剛毅果断』。

564: 2016/02/12(金) 21:27:17.94 ID:1uQFCsRz0
【どこへ行こうというのかね】

 ―10時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「どうぞ」

名取「し、失礼しまぁす…。夜間遠征より帰還しましたので、報告に来ましたぁ…」

提督「お疲れ様です。では、報告をお願いします」

名取「は、はい。ええと…遠征には成功して、資源は燃料と弾薬を500、鋼材とボーキサイトは200ずつ持ち帰りました…」

提督(名取さんは、羽黒さんと似たように、常に何かに怯えているような仕草をしていて、正直前線に出すのには不安を感じていましたが…)

名取「それで、ですね…。その、鎮守府へ帰還する途中で、深海棲艦の集団と遭遇しました…。ただ、艦種は軽巡や駆逐など、さほど脅威ではなく―」

提督(こうしてちゃんと遠征の詳細を説明できているのを見るに、ちゃんと旗艦としての務めを果たせたようですね…よかったです)

提督(ただ……)

名取「それで、報告は大体そんな感じです…」

提督「分かりました。では、詳細な報告書は後日提出をお願いします」

名取「りょ、了解しました!では、私はこれで…」ソソクサ

提督「はい」

パタン

提督(…『ではこれで…』の後、どこに行っているのか…)

565: 2016/02/12(金) 21:34:18.45 ID:1uQFCsRz0
 ―数日後・11時前、執務室―

提督「青葉さんに一つお願いがあるのですが」

青葉「はいはい、なんでしょうか?」

提督「名取さんが『では、私はこれで…』と言った後でどこに向かうのかを探ってほしいのです」

青葉「……えっと、ストーキングですか?青葉、犯罪の片棒を担ぐのは御免で―」

提督「そのカメラ粉砕してやろうか」

青葉「止めてください青葉の商売道具なんですからマジで勘弁してください」

提督「ハァ……。名取さんは誰かと話した後でよく、どこかへそそくさと向かう仕草を見せている…。もし、1人で泣いていたりでもしたら、

   何か悩みでも抱えているのかもしれませんし…」

青葉「なるほどなるほど……事情は分かりました。それにしても、なぜ青葉に?」

提督「青葉さんは隠密行動や尾行に長けていますから、適材適所というヤツです」

青葉「…地味に青葉のことけなしてません?」

コンコン

青葉「っと、名取さんみたいですね。じゃ、青葉は引っ込んでまーす」

提督「お願いします。どうぞー」

ガチャ

名取「失礼しまぁす…。夜間遠征から帰還しましたので、報告をしに来ましたぁ…」

566: 2016/02/12(金) 21:41:03.15 ID:1uQFCsRz0
 ―数分後―

名取「では、私はこれで…」ソソクサ

提督「はい、お疲れさまでした」

パタン

青葉「では、行ってきます!」サササッ

提督「お願いします」


 ―中庭―

名取「……………はぁ」

青葉(どこかと思えば、中庭?)

名取「………………また、びくびく話しちゃったぁ……」

名取「なんでだろう…皆の前だと、緊張しちゃって話しにくくなっちゃって……」

青葉(それは多分、しれーかんが威圧的だからなんじゃ…)

名取「ううん……皆と話す時だと、胸がドキドキしちゃって…口の中が乾いちゃって……顔が熱くなっちゃって…」

名取「上手くしゃべれないよぉ……」

青葉(………………可愛らしい悩みですが、これは自分で直した方がいいでしょうねぇ)


 ―17時過ぎ、執務室―

提督「いかがでしたか?」

青葉「あー…確かに悩みはありましたけど…聞かない方がいいですよ」

提督「?」


【終わり】

567: 2016/02/12(金) 21:49:36.66 ID:1uQFCsRz0
【衝撃】

 ―14時過ぎ、執務室―

提督「やはりまだ、電探が足りてませんねぇ…」

長門「電探か?」

提督「対空電探は余るほどあるのですが…水上電探が足りてなくて…。ぶっちゃけてしまえば、今回の大規模作戦ではどちらかと言えば水上電探の方が、

   重宝されるんですよ」

長門「まあ、確かにな。今回の作戦では、敵航空戦力がほとんどと言っていいほどいないからな」

提督「今は、他の方が持っている水上電探を使っていますが、今後の事も考えてストックは作っておいた方がいいでしょう」

長門「…それを私に説明するとは、もしや?」

提督「ええ。貴女に、電探を開発していただきたいのです。それも、水上電探を」

長門「また、急な話で無茶な話をしてくるな。提督は」

提督「だめでしょうか?」

長門「いや、任せておけ。私はビッグセブンだぞ?その程度の事、容易いものだ」

提督「では、お願いします。レシピは―」


 ―数十分後、工廠―

長門「というわけで、電探を作っていただきたい」

工廠妖精さん「長門さん直々にですか~?珍しいですねー」

長門「うむ。今は作戦期間中で、皆疲弊しているからな」

工廠妖精さん「分かりましたー。それでー、レシピはどうしますかー?」

長門「では、これで頼む」スッ

工廠妖精さん「はいはーい、了解しましたー」

568: 2016/02/12(金) 21:58:39.43 ID:1uQFCsRz0
 ―1時間後―

長門「ちがう、私が欲しいのは水上観測機じゃないんだ!」

工廠妖精さん「えー、でも観測機も索敵値が上がりますよ?」

長門「しかしだな、水上電探の方が索敵値と命中値が上がるのであってだな…!」

工廠妖精さん「しかしですねー…電探は出てきたは出てきましたけど、14号対空電探が2つに中型艦バルジが1つ…後は機銃とかペンギンとか……。正直、

       開発率は結構悪いですよ?」

長門「それでも、それでもだ!今は大規模作戦中…戦場では皆血と汗と涙を流して敵と戦っている…。そんな彼女たちの負担が少しでも減ればと思い、

   提督は電探開発に踏み切ったのだ…!」

工廠妖精さん「……………」

長門「その提督の期待と願いにこたえるために……水上電探を開発したいんだ!」

工廠妖精さん「……………分かりました。やってみましょう!」

長門「…すまない!」


 ―数十分後―

33号水上電探×3、22号水上電探×4

長門「やった……やったぞ!」

工廠妖精さん「これで皆さんの負担も減りますし、提督も喜びますね!」

長門「ああ、早速伝えてくる!」

長門(これで……皆の負担も減る…!)


 ―数分後、執務室―

長門「………何?作戦完遂?」

提督「丙作戦だと、どうも難易度が緩すぎてしまったようで……」

長門「……なんのために私はここまで電探を開発したのだろうか……」


【終わり】

569: 2016/02/12(金) 22:04:10.03 ID:1uQFCsRz0
【キャラクター紹介】

≪長門≫

長門型戦艦一番艦。艦娘No.1。長いストレートの黒髪とすらっとしたスタイルが特徴の、きっちりとしたお姉さん。世界に誇れるビッグセブンの1人で、

その名に恥じぬ戦闘能力と仕事処理能力を兼ね合わせている。鎮守府では、提督代理業を務める事ができる数少ない艦娘でもあり、提督も信頼を置いている。

ただし、戦闘以外の事には少々疎く、陸奥からの話で少し学んでいる程度。決して総司令部の長門は‶ながもん‶ではない。トラウマスイッチは‶アメリカ‶。

好きな言葉は『初志貫徹』。

570: 2016/02/12(金) 22:11:18.07 ID:1uQFCsRz0
今日はここまでにします。

>>450,>>469
  名取、装備開発の話、いかがでしたか?お気に召さないようでしたら申し訳ございません。


明日はリクエストにありました吹雪、古鷹&加賀の話を書いていきます。

明石&禊の話は、バレンタインの翌日に書く事としますので、ご了承ください。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた明日。



全海域丙作戦で礼号作戦全海域クリアしました。

E-3ラスダンまでに入手した新艦娘は春雨、清霜、初月、風雲……駆逐艦ばっかかい。



これからはE-3で掘りでもしようと思うんですけど、ゲージが表示されていなければ掘りって上手く行かないんでしたっけ?

(狙いはプリンツ、大鯨、グラーフ、長門)

576: 2016/02/13(土) 21:35:14.80 ID:ftyuShBH0
【バレンタインに向けて】

 ―昨日9時過ぎ、駆逐艦寮・吹雪&白雪の部屋―

吹雪「はぁ…」

白雪「吹雪ちゃん、どうしたの?」

吹雪「明後日、バレンタインでしょ?」

白雪「そうだね。今年も吹雪ちゃんは、司令官に渡すんでしょ?」

吹雪「司令官…2月14日は提督会談だって言ってたから…」

白雪「あぁ…忙しくて渡せないかも、って事?」

吹雪「そう……」

白雪「…うーん…でも、明後日は吹雪ちゃんが秘書艦でしょ?」

吹雪「……………………はっ!?」

白雪「じゃあ、私はちょっと出かけてくるね」パタン

吹雪「……………」


 ―数十分後、厨房―

吹雪(そうだった……明後日の秘書艦は私だった…。それだったら、司令官に渡せるチャンスはあるはず…!)

提督「吹雪さん?」

吹雪「ふぁいっ!?」

提督「いや、そんな驚かなくても」

吹雪「し、司令官…どうなさったのですか?」

提督「いえ、私はちょっと間宮さんに用があったのですが…いないみたいですね」

吹雪「あ、はい。この時間でしたら、間宮さんはお店の方に行って仕込みをしてるんじゃないかと…」

提督「そうでしたか……。ありがとうございます。あ、ところで吹雪さん」

吹雪「はい?」

577: 2016/02/13(土) 21:42:53.51 ID:ftyuShBH0
提督「明後日の事なんですが…」

吹雪「な、なんでしょうか!?」


提督「私は会議場へ行ってしまいますが、秘書艦の吹雪さんは、会議中は鎮守府で待機していて下さい。会議へは長門さんを連れていきますので」


吹雪「」

提督「?吹雪さん?」

吹雪「あ、はい。分かりました」

提督「では、よろしくお願いします」スタスタ

吹雪「……………」

吹雪(まっ、まだだよ!まだ夜にも渡せるチャンスはあるはず!)

吹雪(頑張らなきゃ!)セカセカ

578: 2016/02/13(土) 21:43:19.76 ID:ftyuShBH0
―15時過ぎ―

吹雪「とりあえず、吹雪型の皆の分と、お世話になった先輩の方への分と、間宮さんと伊良湖さんと……」

吹雪「し、司令官の分………」

吹雪(……ハート形の包装って、ベタベタかなぁ…。いやでも、これぐらいしないとあの司令官は気付かないし……)

吹雪(うん……後は、当日渡すだけ!)

司令長官「ん?チョコレートかな?」

吹雪「しっ、司令長官!?」

司令長官「いや、儂は別にいちゃもんつけたりしないから、安心してね」

吹雪「は、はい…」

司令長官(黎明君も、罪な男だねぇ)

吹雪「あ………」

司令長官「どうしたの?」

吹雪「…司令長官の分のチョコ、作るの忘れてた………」

司令長官「………………いや、儂はこの年だから甘いものは控えようかとね」

吹雪「………なんか、すみません」


【終わり】

579: 2016/02/13(土) 21:52:48.41 ID:ftyuShBH0
【ある休日】

 ―6時半過ぎ、重巡洋艦寮・古鷹&加古の部屋―

ピピピピピピ

古鷹「………ん…」パチッ

ピッ

古鷹「ん~んっ……はぁ」ノビー

加古「んがー……くおー…」

古鷹「ほら、加古?起きなよ」

加古「うん……あー…後、1光年…………」

古鷹「寝ぼけてないで、起きないと朝礼に遅れちゃうよ?」

加古「いいじゃ~ん……あたし今日休みなんだし…古鷹も休みでしょぉ~?休みの艦娘って朝礼に参加しなくてもいいんじゃなかったっけ…?」

古鷹「そうだけど、あまり寝過ぎるのも体に悪いんだよ?眠れなかったらどうするの?」

加古「ふぇ~い…起きますよ~…」ムクッ


 ―7時過ぎ、講堂―

提督「えー、本日も遅刻者はおらず病気による欠員もいなくて何よりです。本日は―」

青葉「…珍しいですね、加古がオフなのに朝礼に参加するのって」ヒソヒソ

古鷹「放っておくと、1日中寝てそうだし…体に悪いと思ったから…」ヒソヒソ

青葉「はー…やはりお2人は仲がよろしいですねぇ…」ヒソヒソ

加古「んがー………」

衣笠「…ま、当の本人は古鷹の善意を完全スルーしてるみたいだけど」ヒソヒソ

古鷹「ちょっ…加古起きて!ほら、提督が木曾さんから刀を借りてこっちへ―」

580: 2016/02/13(土) 22:01:27.63 ID:ftyuShBH0
 ―8時過ぎ、食堂―

加古「あー……ひどい目に遭った…」←提督に木曾の刀の鞘で思いっきり殴られた

古鷹「何でそんなに加古って眠たがりなの?」

加古「いいじゃん別に~。‶寝る子は育つ‶ってことわざがあってだね…」

古鷹「…‶寝る子は育つ‶って言うけど、あんまり寝過ぎると夜眠くなっちゃって、生活リズムが崩れちゃうよ?私はそれが心配なんだから…」

加古「むぅ………」

古鷹「別に眠るのが良くないって言ってるんじゃないよ?ただ、自分で眠気をコントロールできるようにならなきゃダメっていうわけであって―」

加古「あーはいはい。分かったって、もー、古鷹はあたしのお母さんかって」

古鷹「お母さんじゃないよー!」

青葉(いやいや、古鷹の発言って保護欲溢れるというか、鳳翔さんと違ったような感じがまた…)


 ―10時過ぎ、休憩室―

古鷹「オフの日だし…加古と外に出かけるのもいいかな―」

加古「んがー………」

古鷹「もう……さっき寝過ぎるのはダメって言ったばっかりなのに…。起きてー」ユサユサ

加古「ずももも……」

古鷹「…はぁ、どうしようかな……」

提督「別に、古鷹さんだけでも出かけては?」

古鷹「あ、提督…」

581: 2016/02/13(土) 22:07:34.37 ID:ftyuShBH0
提督「それとも、加古さんと一緒じゃなければ済ませられない用事があるとか?」

古鷹「い、いえ…。ただ、加古と一緒じゃないとなんだか落ち着かないというか……。本当は、演習とかも一緒にしたかったんだけど、加古は見てのとおり…

   おかげで先に私が改二になっちゃったから…」

提督「……要するに古鷹さんは、加古さんと一緒じゃなければ嫌だという事ですか」

古鷹「…ありていに言えば……はい」


 ―16時過ぎ、重巡洋艦寮・古鷹&加古の部屋―

加古「ぐー…」

古鷹「もう……寝るならベッドで寝ようよ?」

加古「んあー……」

古鷹「……………………隣、失礼するね」ゴロン

加古「んお……………」ギュッ

古鷹「あっ………」

加古「……ふ…るた……かぁ…」

古鷹「………ふふっ。私はここにいるから、ね?」

加古「…………ぐおー…」

古鷹「………すー…ぴー…」


 ―24時過ぎ―

加古「んがー………」

古鷹(………昼に寝ちゃったせいで…眠れないよぉ………)


【終わり】

582: 2016/02/13(土) 22:17:08.17 ID:ftyuShBH0
【キャラクター紹介】

≪古鷹≫

古鷹型重巡洋艦一番艦。艦娘No.52(改二はNo.216)。ショートカットの髪と輝く左目が特徴の、優しいお姉さん。普段はおっとりした性格であるけれど、

結構したたかな面も持ち合わせている。右腕の艤装がすごいが、本人は全く苦にしていない。妹の加古とはとても仲が良く常に一緒に行動しており、加古に

説教をする姿はお母さんに見えるというのが一部の噂。青葉、衣笠とも仲が良い。提督の事が好きなのを本人は隠しているつもりだが、周囲にはバレバレ。

好きな言葉は『勇気凛々』。

588: 2016/02/14(日) 21:09:26.94 ID:dSK6wXzZ0
【バテレンタイン】

 ―数週間前21時過ぎ、近畿・第弐拾伍鎮守府執務室―

第弐拾伍鎮守府提督(以下、山科)「あ~…つかれた……」

鈴谷「お疲れお疲れ~」

山科「2月はほんとに疲れるんだよなぁ~…冬季大規模作戦があるし、節分で駆逐艦共の相手もしなくちゃならねーし…」

鈴谷「でも提督もノリノリで鬼役やってたじゃん」

山科「うるせー!…でも、2月には救いがあるんだ」

鈴谷「救い?」

山科「そう!それは、バレンタインデーだよ!」

鈴谷「……………あれ?」

山科「日々書類との戦いと、深海棲艦との戦いで精神的・肉体的に披露している中での一筋の希望…!ああ、提督になるまでは女の子からチョコが貰った事

   なんて皆無だったから、夢みたいだ…」

鈴谷「あー、提督?」

山科「ん?なんだ?」

鈴谷「…盛り上がってるとこ悪いんだけど、総司令部からの連絡、見てないの?」

山科「え?何かあったか?」

鈴谷「はぁ……ちっとは連絡にはちゃんと目を通した方がいいよ~?」

山科「うるさいな。で、何があるんだよ?」


鈴谷「2月14日、総司令部で大提督会談があるよ?」


山科「……………………………………………………………えぇ?」

鈴谷「いや、そんなこの世の終わりみたいな顔を鈴谷に向けられても」

589: 2016/02/14(日) 21:21:39.46 ID:dSK6wXzZ0
 ―2月13日12時過ぎ、新幹線車内―

山科「ちくしょう………なんてこった……」

鈴谷「まーまー、提督元気出してって」

山科「何でだ…何でよりにもよって2月14日にピンポイントで大提督会談なんて開くんだこんちくしょう……」

鈴谷「まー、総司令部にも事情ってのがあるんじゃない?」

山城「くそう…斑さんめ……恨むぞ…」

鈴谷「バレンタインデーが潰れたぐらいで……別にいいじゃん。結局明後日とかにチョコ貰えるんでしょ?」

山科「違うんだ鈴谷。そういう事じゃない。2月14日にチョコをもらわないと意味がないんだ」

鈴谷「?どういう事?」

山科「それはだな―」

ピンポンパンポーン

アナウンス『ご乗車お疲れさまでした。間もなく、終点東京です…』

山科「っと、そろそろだな。鈴谷、準備するぞ」

鈴谷「はいはいっと。それにしても、舞鶴からここまで6時間って……疲れるねぇ」

山科「仕方ねぇだろ…。舞鶴って交通の便と接続が悪いんだから…」

鈴谷「飛行機で来たかったな…」

山科「経費も無駄にできないからな。新幹線に乗れただけでもありがたいと思わなければな」

鈴谷「はいはいっと」

山科「しかし、会談は明日の9時から…今日の午後はどうしようかね…東京観光でもするか?」

鈴谷「おっ、いいね~」

590: 2016/02/14(日) 21:29:49.49 ID:dSK6wXzZ0
 ―2月14日8時半過ぎ、新日本海軍総司令部・会議場―

ザワザワ・・・・

山科「よっと」ストン

鈴谷「お隣失礼~」ストン

山科(しっかし……)チラッ

男提督「……………ちっ」

男提督「…………くそっ」

山科(見るからに不機嫌そうな顔の奴らが多いな……)

手稲「おや、山科さん。お隣、よろしいですか?」

山科「ああ、手稲さん…。どうぞ」

手稲「失礼します…」ストン

響「やあ、山科さん」ストン

山科「響ちゃんか…」

手稲「しかし、何と言いますかね…」

山科「何がですか?」

手稲「……皆さん、不機嫌そうです」

山科「あ、そう思いますよね?やっぱり、バレンタインデーのせいですかね?」

手稲「あー…そうですか。そう言えば、今日がそうでしたね」

山科「そんな日に総司令部へ招集命令って、そりゃ怒る奴もいるでしょうよ」

第壱拾玖鎮守府提督(以下朱鷺)「バレンタインごときで一喜一憂するなんて、私には分からないね~…」

手稲「おや、朱鷺さん。お久しぶりです」

朱鷺「お久ぶり」

山科「朱鷺は女だからわからんだろうが、男にとっては一大イベントだぜ?お前もそういう経験あんだろ?」

朱鷺「私は今までは無いな~。あそこのほんわか提督はどうだか知らないけど」

591: 2016/02/14(日) 21:34:35.26 ID:dSK6wXzZ0
山科「あ?ああ、保柄ちゃんか…あの子はそう言うのには疎そうに見えるがな……」

朱鷺「っと、そろそろ黎明君が来るね。静かにしないと」

山科「あ、ああ」

手稲「響、静かにしているんですよ」

響「私は暁ほどお子様じゃないさ」

山科「鈴谷も、気を付けろよ」

鈴谷「りょうかーい」


ガチャン


提督「……………」スタスタ

チッ

チッ

ペッ

山科(おいおい、バレンタインに呼ばれたぐらいで舌打ちとか痰捨てたりとかするかね…)

提督「えー、皆さん。大規模作戦中でお忙しい中お集まりいただき、大変申し訳ございません」ペコリ

山科(ああ、そうか。バレンタインにばかり気を取られてたが、今大規模作戦中だったな……)

提督「本日は―」

592: 2016/02/14(日) 21:41:06.14 ID:dSK6wXzZ0
 ―12時半過ぎ、廊下(休憩時間)―

山科「おい、斑さん!」

提督「ああ、山科さん。お久しぶりです」

山科「ああ、久しぶりだな」

手稲「斑さん、お久しぶりです」

朱鷺「おひさ~」

提督「手稲さん、朱鷺さんも。お久しぶりです」

臨憧『おや、皆さんお揃いで…』

提督「あ、臨憧さん。お久しぶりです」

臨憧『お久しぶりです』

提督「それで、私に何か御用ですか?」

山科「用も何もねぇよ…。見ただろ?他の連中の態度…」

提督「ああ、皆さんが痰を吐き捨てたり舌打ちをしたりのことですか」

朱鷺「気づいていたんだ?」

手稲「しかして、なぜこのようなバレンタイン…しかも大規模作戦中に全国の提督を集めて大提督会談などを…?去年は2月14日ではなかったはずですが…」

提督「ああ、そのことですか…」

臨憧『私みたいに、関東や静岡、福島の鎮守府の提督は日帰りで来ることも可能と言えば可能ですが…ほとんどの提督の皆さんは2月13日に鎮守府を離れて、

   東京のホテルで泊まり、大提督会談に参加してまた一泊し、帰るという流れが一般的です…。つまり、バレンタインの日には鎮守府にはいられない…』

山科「つまり、2月14日のバレンタインデーに艦娘の子たちからチョコが貰えないって事だ」

提督「…別に、もらえるんだったら2月15日でもいいでしょう」

593: 2016/02/14(日) 21:50:45.01 ID:dSK6wXzZ0
山科「分かってねぇな……斑さん」

提督「?」

山科「…チョコってのは、2月14日にもらってこそ意味があるもんなんだよ…。それ以外の日にもらったら、ただの‶日頃の感謝を込めたプレゼント‶って意味の

   一品にしかならねぇからだ!」クワッ

提督&朱鷺「………………」

手稲「…若いですねぇ…」

臨憧『いえ、貴方も十分若いでしょう』

提督「まあ、山科さんの力説は置いておいて、ちゃんと2月14日にした意味はありますよ?」

朱鷺「あ、そうなんだ?てっきり、『自分が書類処理で悲鳴を上げている中で、皆は艦娘の子たちからチョコもらってイチャコラしてるのが許せない』とか、

   大体そんな感じの理由かと思ったけど」

提督「それもありますが」

朱鷺「あるんだ!?」

臨憧(自分の事もあるけど、この人も大概自分勝手なんだよな…)

提督「それ以外の理由としましては、去年の2月14日の各地の鎮守府のデータを確認したところ、どうも他の日と比べて艦娘の被弾率と、提督の仕事の進捗率が

   下がっているんです。おそらく原因は、バレンタインによって提督と艦娘が浮かれているせいでしょう」

手稲「流石は総司令部の補佐官…。そのような情報は逐一リークしているのですね」

提督「それはともかく……実際にあった事例なのですが、とある鎮守府の艦娘…Fさんとしましょうか。このFさんはそこの鎮守府の提督に、潜水艦哨戒が

   終わったらチョコを渡す予定でした。しかし、そのFさんは上手く渡せるかが不安で脳内でシミュレーションを繰り返しており…戦闘の方に気が回らず

   どこか危なげでした」

山科&朱鷺&手稲&臨憧「『あ』」

提督「それで結局、Fさんは潜水艦の雷撃で大破…あと少しで轟沈するという事態に陥りました…」

手稲「なんとまぁ……」

594: 2016/02/14(日) 21:59:21.98 ID:dSK6wXzZ0
提督「同日、そこの鎮守府の提督も、『バレンタインで艦娘からチョコ貰ってウハウハだぜ~!』みたいな感じのテンションで書類処理能力がいつもの1/3と、

   ひどい状態でした」

朱鷺「やーっぱり、男ってわからんね…」

提督「そのような事例があったため、仕事に集中できず艦娘もまともに出撃ができないのであれば、鎮守府から提督を除いて出撃できないようにしようと、

   思い至ったわけです」

臨憧『結構、まともな理由なんですね。まあ、今は大規模作戦中…。そのような事態になるのも危険ですし…』

提督「ええ」

山科「でもよ、これって他の奴らは分かってんのかね?俺たちは話を聞いたからわかるが、他の連中からすれば‶楽しみを奪われた‶ってムカついてるだろうよ」

提督「でしょうね。ですが、クリスマスや大晦日、ハロウィンとかではない、日本独自でしかもお菓子業界の戦略に載せられてるだけのイベント何て、端から

   無い方がいいですし、そんなイベントが潰れたぐらいでイラつくようなら、まだまだだという事ですよ」

手稲「ふぅむ………一理ありますね」

山科「そ、そうだよな……。俺たち、曲がりなりにも軍人だからな…浮かれてた方が間違いかもしれん……」

提督「その口ぶりでは…どうやら貴方もバレンタインが潰れて凹んだようですね」

山科「はっ、はぁ!?別にちげーし!そんなんじゃねーから!ば、ばかやろー!」

朱鷺「さっき、2月15日にもらうチョコに意味はないとか言ってたやつが言ってもねー…」

山科「何を~…?」

手稲「それにしても、瑞理さんをチラッと見ましたが、彼はあまり動揺していませんでしたね」

臨憧『あの人は、日頃から酒池肉林的な生活を送っていますから、別段不満に思っていないんでしょう』

提督「あんな奴みたいな生活を送っていると、清々しいほどのクズになりそうですがね」

朱鷺「あ、そうだ黎明君。忘れてた」

提督「はい?」

595: 2016/02/14(日) 22:07:35.01 ID:dSK6wXzZ0


朱鷺「はい、バレンタインチョコ」


山科&手稲&臨憧「『!?』」

提督「おや、よろしいんですか?」

朱鷺「日頃お世話になってるし、この前色々と戦術について教えてもらったからね。そのお礼も含めて」

提督「…ありがとうございます」スッ

朱鷺「それじゃね~」

山科「……お前それ、受け取るの?」

提督「せっかく私の為に買ってくれたのですし、『ハニートラップ防止で』とか『甘いもの苦手で』とか、そんな理由で断るのも気が引けるでしょう」

山科「お、おう…」

第質拾參鎮守府提督(以下、保柄)「あ~、斑さん~」

提督「おや、保柄さん。今日は遅刻しませんでしたね」

保柄「そんな事より~、はい。ハッピー・バレンタイン~」スッ

提督「……ありがとうございます」

山科&手稲&臨憧「『…………』」

女性提督1「あ、斑さん!はい、どうぞ!」

女性提督2「(玉の輿…!)これ、よかったら…!」

女性提督3「あ、あの………受け取ってください!」


鈴谷「おっ、補佐官殿、モテモテじゃーん」

響「‶両手に花‶って、ああいうのを言うのかな」

扶桑「艦娘だけではなく、一般の女性からも慕われているとは…すごいですね…」



山科&手稲&臨憧(…………あんた………そりゃないよ…………)



【終わり】

596: 2016/02/14(日) 22:20:36.86 ID:dSK6wXzZ0
【キャラクター紹介】

≪山科 仁(やましな じん)≫

近畿・舞鶴第弐拾伍鎮守府の提督兼近畿地方の代表提督。性別は男性で、年齢は26歳。普段は口が少し悪くかっこつけてる仕草を取っているが、本当は真面目。

前は‶仁和(にんな)‶という名前だったが、女性らしくて嫌だったので改名した。いろいろ文句は言いつつも面倒を見たり厄介ごとを引き受けたりするなど、

どこかツンデレ染みている。艦娘からも‶ツンデレ‶と言われているが、やっぱりツンデレである。嫁艦は鈴谷。

好きな言葉は『弱肉強食』。

597: 2016/02/14(日) 22:22:45.30 ID:dSK6wXzZ0
今日はここまでにします。

バレンタインの話、いかがでしたか?


明日はリクエストにありました明石&禊の話を書いていきます。知ってるかと思いますが、純愛系の話です。多分長めの話になります。

キリ番安価は、やはりリクエストがさばき切れていないので無しとさせていただきます。申し訳ございません。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた明日。

【艦これ】総司令部日和【その7】

まるゆって、どうしてます?

598: 2016/02/14(日) 22:26:08.51 ID:wnRgXSf60
乙っしたー

まるゆは改にしてから近代化改修

引用: 【艦これ】総司令部日和