601: 2016/02/15(月) 21:12:27.04 ID:AVlOTEsL0
こんばんは、>>1です。




それでは、投下していきます。

602: 2016/02/15(月) 21:18:33.61 ID:AVlOTEsL0
【自覚】

 ―2月13日、第壱拾参鎮守府・執務室―

禊「え、瑞理さん、明後日留守なんですか?」

瑞理「あれ、言わなかったっけ?明後日は総司令部で大提督会談なんだよ」

禊「総司令部……斑さんのところですか」

瑞理「バレンタインデーっていうめでたい日に、あんなヤローのところに行くのは癪だけど仕方ないからね」

禊「ああ…そうか、明後日はバレンタインデーでしたね」

瑞理「ま、僕が留守の間は赤城ちゃんに任せてあるし、出撃も演習もお休みって事で、禊君もゆっくりするといいよ」

禊「はあ……」

瑞理「それにしても、バレンタインデーに女の子からチョコが貰えないって、残念だね~…」

禊「まあ、それは分らなくもないですが…」

瑞理「で、禊君も明石ちゃんからチョコ貰いたいって思ってるんでしょ?」

禊「なっ、何をそんな事をぉ!?」

瑞理「欲しくないの?」

禊「…………欲しいです」

瑞理「ま、明後日は僕はいないし、ゆっくりしてなよ」

禊「はい……」


 ―数分後、工廠―

禊「ところで明石さん、明後日瑞理さんがいないのって聞いてますか?」

明石「へぇっ!?」

禊「うわっ…どうしたんですか?」

明石「ななな、何でもないよ!提督が明後日いないって、それは知ってるよぉ!?」

禊「あ、えっと…そうですか。すみません」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
603: 2016/02/15(月) 21:27:26.13 ID:AVlOTEsL0
※すみません。>>602レスの会話は、2月12日の事でした。


 ―22時過ぎ、工廠・明石の部屋―

明石(最近……私の調子がおかしい…)

明石(………時々、胸の鼓動が速くなったり、顔が熱くなったり……)

明石(その原因は分からない…。それに…この症状は痛いとかそういうのじゃなくて……)

明石(何と言うか……心地の良いものだ…)

明石(でも、どうしてだろう…?こんな気持ちになるのは……)

明石(っていうか…いつからだろう…あれは確か…)

明石(……………禊君と…この部屋で一緒にご飯を食べた時……かな)

明石(…それで、あの時確か………)


禊『いやぁ~、明石さんの婿になれる人は幸せだろうな~』


明石「……………///////////」カァ

明石(いやいやいや、絶対違う!!)

明石(この感情は…‶それ‶じゃない。違う)

明石(そうじゃない……と思う)

明石(っていうか……………なんなのよも~…!!)ジタバタジタバタ

明石(こんなもやもやに一喜一憂するなんてさ~…!!私の柄じゃないってば~!!)ゴロゴロゴロロゴロ

コンコン

明石「ひゃいっ!?」

禊『あ、明石さん?大丈夫ですか?なんかドタバタ音が聞こえてきますけど……』

明石「な、何でもないよぉ!大丈夫大丈夫!」

禊『そうですか……それじゃあ、おやすみなさい」

明石「う、うん、おやすみ~…」

604: 2016/02/15(月) 21:35:44.85 ID:AVlOTEsL0
 ―2月13日8時過ぎ、食堂―

TV『明日は女の子が主役の日、バレンタインデー!今日は、デパ地下の最新チョコ事情を直撃!』

明石「………………」

大淀「明日はバレンタインデー、ですか…。私達には縁のない話ですが…」

明石「へ、へー…。大淀は、提督にチョコレートとか渡さないんだ…」

大淀「ええ…私自身、チョコが苦手ですし…。それに、義理チョコなんてもらった側からすれば失礼極まりないと思うでしょうし、好きとかそういう想いは、

   チョコではなく自分の口で伝える方が大事だと思いますし」

明石「大淀ってホントに真面目だね~」

大淀「明石さんは?提督に渡すんですか?」

明石「いやぁ、私は―」


禊『明石さん!お疲れ様です!』


明石「っ」

大淀「?明石さん?」

明石「あ、あははは…なんでもないよ~。そうだね…提督には渡そうかな…?」

大淀「整備員の禊さんには渡さないのですか?」

明石「わ、渡すに決まってるじゃん!」ガタッ

大淀「あ、はい……」

明石(な、何で今………提督より先に禊君の顔が思い浮かんだんだろう…)

大淀(これは……確実に………)

提督(ほの字だねぇ)

大淀(提督…いつの間に…!?)

605: 2016/02/15(月) 21:45:57.82 ID:AVlOTEsL0
 ―21時過ぎ、明石の部屋―

明石(私は……どうしてこんなことをしてるんだろう……)グールグール

明石(提督の分のチョコは用意している……市販のだけど……)グツグツ

明石(ほかにも、大淀とかの分のチョコは用意してある……市販のだけど)

明石(……じゃあどうして……手作りのチョコなんて作ってるんだろう……)

明石(言うまでもなく……彼の為のモノだ…)

明石(………その…………ただ、日頃手伝ってくれているお礼の気持ちを表すためにチョコを渡すのに…義理なのに……)

明石(義理なのに、手作りでチョコを作るだろうか………?)

明石(………やっぱり………私は……)


 ―2月14日7時、運動場―

赤城「本日は提督は外出しておりますので、私が提督代理として仕事をいたします」

禊(やっぱり瑞理さんは、もう出ちゃったか…。ま、6時前ぐらいに出なくちゃ東京に9時前にはつかないだろうし)

禊(それにしても、皆………)

金剛「……………ハァ…」

雷「……………はぁ…」

禊(見るからに残念そうだなぁ…。ま、あの辺の子たちは皆『提督大好き~♡』な子たちだからな…)

禊(……何であんなスケコマシなのに、あんな可愛い子たちから慕われてるのかわからん…………)

禊(いや、多分人がいいからだろうなぁ………)

606: 2016/02/15(月) 21:50:48.03 ID:AVlOTEsL0
 ―14時過ぎ、工廠―

明石(結局、渡せずにいる………)

禊「いやぁ~、演習も出撃もないから、暇ですねぇ」

明石「そ、そうだね……」

禊「あー…もっと平和になったら、いつもこんな日を過ごせるんでしょうね~……」

明石「そ、そうだね……」

禊「あの、明石さん?」

明石「な、なに?」

禊「どうかしたんですか?先ほどから調子が悪そうですけど……」

明石「べ、別に大丈夫だよ!?あははははははは」

禊「いえ、それ空元気にしか見えませんけど…」

明石(今、渡した方がいいよね………)

明石「あ、あの……禊君?」

禊「はい?」

明石「えっと…その………」モジモジ

禊「?」


赤城「禊さん、いらっしゃいます?」ガラガラ


明石「!」ビクッ

禊「あ、はい!」

赤城「ごめんなさい、今お時間大丈夫ですか?」

禊「ええ、大丈夫ですけど…」

赤城「ちょっと、力仕事を頼みたいのだけれど…いいかしら?」

禊「俺で良ければ、構いませんよ!」

607: 2016/02/15(月) 21:55:42.66 ID:AVlOTEsL0
赤城「じゃあ、来てくれないかしら?」

禊「はい!じゃ明石さん、ちょっと失礼します」

明石「あ、うん…いってらっしゃい」

禊「はい、行ってきます!」タタタ

明石「……………はぁ」


 ―十分後、本館―

禊「……ふっ…ぬぅ………」

禊(重い………いったい何が入っているんだこれ………)

禊(それにしても………………チョコ、もらえないなぁ…)

禊(いや、別に期待してるわけじゃないけどね、別に。仮にも、俺はここで雇わせてもらってるんだし、そんなのを望むなんておこがましいって)

禊「どっこいしょっと…………」ドスン

禊「あー、重かった………」

摩耶「あー、禊?」

禊「あ、摩耶さん…どうかしたんですか?」

摩耶「ちょっと手伝ってほしい事があるんだが、いいか?」

禊「?構いませんよ?」

摩耶「ありがてぇ、じゃあ来てくれ!」タタッ

禊「あ、はい!」タタッ


飛龍「あ、ごめーん、ちょっと手伝ってほしいんだけど…」


霧島「少々、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」


赤城「すみません…もう一度頼みごとをしたいのですが…」

608: 2016/02/15(月) 21:59:33.87 ID:AVlOTEsL0
 ―20時過ぎ、執務室―

赤城「お疲れさまでした、私だけじゃなくて他の皆さんの手伝いまでしていただいて…」

禊「いえいえ、これしきのこと…」

禊(と言いつつ…疲れた)

赤城「今日はもう休んでいただいて構いませんよ、明石さんにも言っておいてください」

禊「え、いいんですか?」

赤城「ええ。明石さんと貴方には普段から働いてもらっていますから、ね」

禊「あ、ありがとうございます」


 ―数分後、工廠―

明石「…………………はぁ」

明石(何だろう……このもやもやは………)

明石(どうして、こんなに気持ちがもやもやするんだろう………)

明石(このチョコをあげられないっていう……もどかしさ………)

明石(早くこのチョコをあげたいっていう……焦燥感………)

明石(このチョコを食べてもらいたいっていう……願望………)

明石「やっぱり………私は………」


禊「明石さーん!」ガラガラガラッ


明石「!」ビクッ

609: 2016/02/15(月) 22:06:43.21 ID:AVlOTEsL0
禊「いやぁ……すみません……」ハァ、ハァ

明石「どうしたの…?こんなに遅くなっちゃって………」

禊「いやぁ、赤城さんからの頼まれごとはすぐに終わったんですが、その後皆さんからいろいろ頼まれちゃって……気づいたらこんなに遅くなっちゃって…」

明石「そうだったんだ……」

禊「それで、赤城さんが『普段の感謝も込めて』って事で、今日はもう上がっていいそうです」

明石「そ、そう………」

禊「じゃあ、俺食事まだでしたんで…これで」

明石「ちょ、ちょっとまって!」

禊「はい?」

明石「えっと……その……」


明石(ああ……やっぱり………)


禊「どうかしたんですか?」


明石(禊君が来てくれて、どこかほっとして……)


明石「え、えっとね…」


明石(それと同時に、心が安心して……)


明石「その………ね」


明石(いままでのもやもやが無くなって……)


禊「どうかしたんですか?」


明石(やっぱり私は………)


明石「………これ………」スッ

禊「え、これって………」

明石「うん………作ったの……」


明石(……………………………そうなんだ)

610: 2016/02/15(月) 22:07:51.23 ID:AVlOTEsL0




明石「……バレンタインチョコ、どうぞ♪///」ニコッ




明石(禊君に……………恋してるんだ……………)




611: 2016/02/15(月) 22:11:58.41 ID:AVlOTEsL0
禊「え、あ………ありがとうございます!」

明石「初めて作ったから……美味しいかはわからないけど…」

禊「そんなことないですって!明石さんの作ったのなら何でも美味しいですから!」

明石「ふえっ!?そ、そっか………///」

禊「あ、すみません。じゃ、失礼します!お疲れさまでした!」

明石「あ、うん。お疲れ…………///」


 ―数分後、中庭―

禊「……………」

禊(明石さんの手作りチョコ…………)バサッ

禊「……………いただきます」パクッ

禊「……………………………………美味しい」



 ―同時刻、明石の部屋―

明石「………………………」

明石(禊君、喜んでくれるかな……………」

明石「…………えへへ♪」


【終わり】

618: 2016/02/16(火) 21:21:35.88 ID:c8BYRUCB0
【錯覚】

 ―2月13日17時過ぎ、駆逐艦寮・簡易キッチン―

春雨「よいしょ……とっと………」

漣「あっ、春雨」

春雨「ひゃうっ!?って…漣ちゃん?」

漣「ちょっとちょっと、話しかけただけでそんな驚くなんてやめてくだせぇ…」

春雨「ごめん…びっくりしちゃって」

漣「そいで、何してるの?」

春雨「えっと…その、チョコを……」

漣「ご主人様宛?」

春雨「う…………うん」

漣「なるほどなるほど…。それにしても春雨って、エプロン姿が似合ってるね~」

春雨「えっ、そ、そうかな…………」

漣「馬子にも衣裳、って感じで」

春雨「それは褒めてるのかな……?」

漣「あ、そうだ!」

春雨「?」

漣「ご主人様のハートを射抜いちゃう言葉、教えてあげようかね?」

春雨「!」ピクッ

619: 2016/02/16(火) 21:29:05.23 ID:c8BYRUCB0
 ―2月15日10時過ぎ、執務室―

提督「さて、昨日の会談の内容をまとめないと…」ガタッ

コンコン

提督「はい」

春雨『は、春雨です…』

提督「どうぞ」

ガチャ


春雨「失礼しまーす…」←エプロン姿


提督「おや、エプロンをつけたままですか?」

春雨「えっとその……バレンタインのチョコを…一日遅れですが……」

提督「ああ、ありがとうございます」

春雨「ところでその、司令官………その………」

提督「はい?」

春雨「これ………メイド服に見えませんか?」

提督「はい?………まあ、そうだと言われれば、そうと見えなくもないですが………」

春雨「そ、そうですか…。め、メイド服の私からチョコをもらえて、嬉しいですか?」

提督「は?」

春雨「漣ちゃんが、『男の人はメイド服が好きだから、メイド服っぽい服で迫ればご主人様もイチコロですっ!』って―」

提督「ちょっと漣さん探してきます」ガタッ

春雨「あっ…」

バタン

『ドーモ、漣=サン。テイトクです』

『アイエエエ!?テイトク!?テイトクナンデ!?』

春雨「???」


【終わり】

621: 2016/02/16(火) 21:37:39.50 ID:c8BYRUCB0
【人間怖い】

 ―13時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

空母棲姫「うわー、怖いわねー」

深海提督「ん?どうかしたのか?」

空母棲姫「海軍のある鎮守府で、艦娘が別の艦娘を騙し陥れて解体に追いやる、だって~」

深海提督「ちょっと待て、どこからお前はその情報仕入れたんだ?

空母棲姫「陸上偵察部隊。それで理由は『その艦娘が提督と仲良くしてたのが気に食わなくて』だって」

深海提督「はー、要するに嫉妬か」

空母棲姫「それで、その鎮守府は解体だって。怖い怖い」

深海提督「浅ましいなぁ」

空母棲姫「他にも、その提督は皆から好かれていて、たびたび提督を巡って論争とか喧嘩が怒ってたんだって」

深海提督「モテる男も大変だな」

空母棲姫「ま、貴方はそんなにモテてないし、そんな事にはならないだろうから安心して」

深海提督「なんだとゴラ」

空母棲姫「冗談よ冗談」

深海提督「どの部分がだよ」

空母棲姫「でも…まあ、そうね………」ジーッ

深海提督「な、何だよ」


空母棲姫「私は結構、貴方の事好きかな」


深海提督「!!そっ、ばっ、バカな事を言うな!」

空母棲姫「照れてるのかしら?可愛い~」

深海提督「やかましい!」

622: 2016/02/16(火) 21:46:52.27 ID:c8BYRUCB0
深海提督「ところで…さっき、怖いって言ったよな?あれ、どういう意味だ?」

空母棲姫「ああ、あれ?そんな、自分の醜い感情に左右されて人を騙して陥れて挙句に自分自身の居場所を失くすっていう人間の愚かさが、怖いって事」

深海提督「そうか…………」

空母棲姫「それがどうかしたの?」

深海提督「いや………お前がある意味で人間が怖いっていう理由は分かった。だとすれば、だよ」

空母棲姫「?」

深海提督「人間の俺は、怖くないのか?」

空母棲姫「………真面目に考え過ぎよ。私の言ったのはただの比喩みたいなもんで、人間そのものが怖いって言ってるんじゃないわ」

深海提督「………そうだよな」

空母棲姫「でもまあ、確かに人間は怖いわね」

深海提督「?」

空母棲姫「友情を誓った者同士でも、どちらかが約束を破ったりすればいきなり絶縁する事だって結構あるし、永遠の愛を誓っても浮気する奴はするし、

     つまり、何て言うの…?そう、友情とか親友とかの固い絆が築いてもすぐに崩れる事とか、悪い事だと分かっていてもやっちゃう罪悪感の無さ…

     そういう面を持っている事が怖いって言えるかしら」

深海提督「……そうか」

空母棲姫「でも、貴方は別よ」

深海提督「?」

空母棲姫「貴方は、さっき私が言ったような事を平気でするような人間には見えない…。まっとうに生きている人間に見えるわ。そんな貴方を怖がるなんて、

     無いじゃない。だから、他の皆も貴方に付いて行ってるんだから」

深海提督「そう…か」

空母棲姫「だから、安心なさい。私…私達が貴方を嫌ったり、反旗を翻したりするなんてことは、無いから」

深海提督「……ああ。ありがとう」

空母棲姫「どういたしまして、とここは答えるべきよね」


【終わり】

623: 2016/02/16(火) 21:53:20.28 ID:c8BYRUCB0
【不気味】

 ―15時過ぎ、執務室―

提督「…………」カリカリカリ

コン、コン

提督「はい」

早霜『…私、です。早霜です』

提督「どうぞ、お入りください」

ガチャ

早霜「…失礼します……。第3艦隊、東京急行より戻りました…。ふっ、ふふふふ……」

提督「不気味な笑い声をあげるのはやめなさい。僚艦の駆逐艦の子たちが泣きそうですよ」

早霜「…あら、ごめんなさいね…。怖がらせてしまったのなら、謝るわ…」

提督「まあそれは置いといて、報告を」

早霜「…分かりました。じゃあ、報告を始めるわね……。あっ」

提督「どうかしましたか?」

早霜「…いえ、さっき遠征を‶終えて‶戻ってきたのに、報告を‶始める‶……。ふふふふふふ…」

提督「いえ、まったく面白くないですから。早く報告してください。那珂さんが泣きそうですよ」

早霜「…アイドルは、涙を流しちゃダメでしょう…?ねぇ、那珂さん…?」

提督「その声のボリュームで諭すように言うな」


 ―19時過ぎ、食堂―

提督「早霜さんも、もっと明るくしたらどうですか?」

早霜「…私はこれでも、十分明るいつもりなんですが…」

624: 2016/02/16(火) 22:03:55.72 ID:c8BYRUCB0
提督「本人の『明るいつもり』は、まったく説得力が無いのが常なんですがね」

早霜「…私は、司令官が思っているほど暗くはありませんわ…。ちゃんと、笑う時は笑いますし…」

提督「笑い方が問題なんだよ。その見た目で魔女みたいな笑い方したら誰だって怖がるでしょうが」

早霜「…司令官は、あの笑い方が好きではないのかしら?」

提督「見た目相応の笑い方をしてください。たとえば…卯月さんとか睦月さんみたいな」

早霜「…睦月さんみたいに笑うのはできなくはないけど…卯月さんと同じ笑い方はちょっとハードルが高いわねぇ……」

早霜「…ぷっぷくぷぅ~………ふふっ…ふふふふふふふふふふ…………」

提督「自分でやって自分で笑うな」

早霜「…でも、お風呂では清霜の背中を流して上げたり、昼寝している巻雲姉さんのに毛布を掛けてあげたり…明るくないなんてことはないと思うけど…」

提督「いえ、夕雲型のほのぼのとしたエピソードはどうでもいいんです。問題は、貴女自身にあるんですって」

早霜「…はぁ………」

提督「貴女はかいがいしく妹や姉の世話をしているのは知っていますが、貴女自身は不気味な笑い方をして皆さんを怖がらせているじゃないですか。そこが、

   問題なんですよ」

早霜「…………」

提督「別に、貴女の不気味な雰囲気を全否定するというわけじゃありません。ただ、もう少し明るく振る舞ってほしいのであって…」

早霜「……ちょっと、思ったんですけど…」

提督「はい?」


早霜「…いつも真面目で暗い雰囲気の司令官も、人の事は言えないと思うのだけれど………」


提督「…………………」

早霜「…………………」

提督「……この話は、無かったことにしましょう」

早霜「…あっ…逃げた…。ふっ、ふふふふふふふふふふ…………」


【終わり】

625: 2016/02/16(火) 22:08:08.78 ID:c8BYRUCB0
【キャラクター紹介】

≪空母棲姫≫

深海棲艦の一種。艦種は空母。深海棲艦共通の白い髪と、サイドテールが特徴の大人な女性。深海棲艦の航空戦力の中枢を務めており、搭載している艦載機は

常に最新鋭のもの。戦場では艦娘達を無慈悲に大破に追いやるなど、多くの悪夢を見せつけている。しかし大規模作戦以外では戦場に出る機会が無いため、

普段は深海棲艦本拠地で家事全般をしている。そのため、料理が得意。よく深海提督の相談相手となることもある。深海提督に対する恋愛感情は???

好きな言葉は『栄枯盛衰』。

631: 2016/02/17(水) 21:10:22.66 ID:KnIFS5K/0
【束の間の休息】

 ―14時過ぎ、執務室―

隼鷹「それじゃあこれより第一、第二艦隊、北海道北東沖へ出撃するぜ!」

提督「はい、お願いします。ご武運を」

隼鷹「ひゃっはー!出撃だぜー!」


 ―同時刻、休憩室―

Z1(以下レーベ)「このイベントでも、僕たちは待機か…」

Z3(以下マックス)「仕方がないわ。私達には特に秀でた性能とかがあるわけでもないし…」

レーベ「でも、ビスマルクまで待機っていうのは意外だね」

ビスマルク「そうでもないわ。私って、あまり大規模作戦には参加しないのよ」

マックス「あら、意外ね」

ビスマルク「いえ、参加させてもらえない…っていう方が正しいのかしら」

レーベ「?どういう意味?」

ビスマルク「なかなかね、こういう大規模作戦には出撃したくてもさせてもらえないのよ。よほどのことが無い限りはね」

レーベ「どうして?」

ビスマルク「提督が言うには、『大規模作戦なんて危険な海域に、貴重な海外の艦を参加させるのはリスクが高い』って」

レーベ「…あー」

ビスマルク「まったくもう…。私だって未知の深海棲艦と戦ってみたいっていうのに…。あの提督ったらSっぽい性格でチキンなんだから」

マックス「あの、ビスマルク?いいかしら?」

ビスマルク「何?」

レーベ「実は、ビスマルクを建造するためにね…資源を大分使っちゃったんだ…」

ビスマルク「どれくらい?せいぜい1万とかそこらでしょう?」

632: 2016/02/17(水) 21:22:45.26 ID:KnIFS5K/0



レーベ「…12万……」



ビスマルク「…………………嘘でしょ?」

マックス「残念ながら、本当の話よ。マックスを秘書艦にして10回以上失敗し、私が秘書官を務めても5回失敗した…。それでようやく手に入れたのよ」

ビスマルク「……………」

レーベ「それだからまあ、そんな多大な資源と引き換えに仲間にしたビスマルクを、万一沈めちゃったら嫌だから…って事だよ」

ビスマルク「…………そ、そういう事だったのね………」

マックス「ところで…その理由を聞いたのって、いつの話?」

ビスマルク「え?えーっと…確か、一昨年の秋季大規模作戦の時…だったかしら…」

レーベ「……それって、ビスマルクが着任したばっかりの時じゃないか」

マックス「じゃあ、提督も心配になるでしょうね。そんな、着任したばかりで練度も低い時に大規模作戦に参加したいなんて言ったら…」

ビスマルク「あ、そういう事だったの!?じゃ、今私ツヴァイだから十分参加できるじゃない!」

マックス「確かに…まあ」

レーベ「あり、だと思う」

ビスマルク「よーっし、そうときたら早速提督に意見具申よ!」



 ―数分後、執務室―

提督「却下です」

ビスマルク「ど、どうして…?」

提督「今、掘りをしているE-3はそれなりに練度の高い艦娘を起用しなければならない海域です。ビスマルクさんの練度は、他の金剛さんや榛名さんより、

   若干低いので、起用するにはまだ至りません」

ビスマルク「」

レーベ(ああ……)

マックス(ドンマイね)


【終わり】

633: 2016/02/17(水) 21:30:06.64 ID:KnIFS5K/0
【旧習復古】

 ―16時過ぎ、空母寮・飛鷹&隼鷹の部屋(隼鷹は出撃中)―

飛鷹「…………」サラサラ

コンコン

飛鷹「はーい?」

提督『提督です。よろしいでしょうか?』

飛鷹「ちょっと待ってて~」バサリ

ガチャ

飛鷹「どうかしたの?」

提督「少々相談したいことがありまして、よろしいでしょうか?」

飛鷹「構わないわよ。それで、何?」

提督「それが、E-3での掘りなんですが、千歳さんが少々疲れ気味でして、明日から千歳さんに代わって出撃してもらえませんか?」

飛鷹「ああ、そんな事?別にいいわよ。っていうか、隼鷹が千代田の代わりに出撃してるんだし、それぐらいはね?」

提督「ありがとうございます」

飛鷹「ま、千歳の場合酒の禁断症状とかだったりして」

提督「あり得ますね」

飛鷹「ふふっ」

提督「では、明日からはよろしくお願いいたします」

飛鷹「分かったわ」

提督「……それで、1つ気になるのですが」

飛鷹「?何かしら?」

提督「貴女の机に乗っているの…巻物ですか?」

634: 2016/02/17(水) 21:43:31.73 ID:KnIFS5K/0
飛鷹「え?ああ、あれ?あれは日記よ」

提督「日記ですか。今時、毛筆に巻物で日記をつけてるんですか?」

飛鷹「ええ…出撃する時、巻物から艦載機を発艦するじゃない?それでなんか、巻物じゃなくっちゃ落ち着かなくて…」

提督「なるほど…それにしても、不便じゃないですか?毛筆」

飛鷹「そうでもないわよ。慣れると使いやすいもんだし、逆にシャーペンとかは落ち着かないのよね~。あなたにもない?鉛筆を使い慣れていたせいで、

   シャーペンを使い始めた時にこれじゃない感があったでしょ?」

提督「まあ、ありますけど…」

飛鷹「あと、隼鷹も毛筆・鉛筆派よ」

提督「それは意外ですね」

飛鷹「まあ、私と隼鷹の部屋は皆からは少し古臭いと思われちゃうかもね」

提督「?」

飛鷹「さっきの毛筆しかり、他の部屋みたいなベッドじゃなくて煎餅布団だし…」

提督「まあ、昔のモノを尊重するっていうのは、いいと思いますけど」

飛鷹「昔はベッドなんてなかったから、なかなか慣れないのよ~」

提督「でも、客船にはベッドぐらい常設されていたのでは?」

飛鷹「私はあくまで‶計画‶だし、本当はどうなっていたのかはわからないわね。ま、今時の客船みたいにベッドだったのかもしれないけどね」

提督「夢は広がりますねぇ………って、確か寮はベッドが常設されていたはずですが、それはどこへやったんですか?」

飛鷹「捨てたわよ」

提督「おい」


【終わり】

635: 2016/02/17(水) 21:51:49.36 ID:KnIFS5K/0
【データにうずもれて】

 ―7時過ぎ、重巡洋艦寮・摩耶&鳥海の部屋―

鳥海「……………」ムクッ

鳥海「ふわぁ…………」

鳥海「7時か…そろそろ起きないと……」


 ―前日21時過ぎ、データ課―

提督「鳥海さん」

鳥海「はい?」

提督「明日は休んで構いませんよ」

鳥海「へ?どうしてですか?」

提督「連日の戦果集計と、各鎮守府からの情報整理で疲れているでしょう?明日は夕張さんに仕事を代わっていただくので、休んで構いませんよ」

鳥海「で、でも…」

提督「霧島さんにも休んでもらっていますし、何より霧島さんも貴女が休むことを望んでいます。ですからここは、大人しく先輩の顔を立てて、休みなさい」

鳥海「………はい」


鳥海「お休みかぁ…どうしようかなぁ……」

鳥海「読書でもしようかしら………」


 ―10時前―

鳥海「じゃあ、この本でも……」ペラッ

鳥海「………………………」

鳥海(……休みの日に部屋に引きこもってるって……なんだか調子が良くない…)

鳥海「外に出ようかしら…」

636: 2016/02/17(水) 22:01:16.44 ID:KnIFS5K/0
 ―数分後、中庭―

鳥海「なんだか、久々に外に出た気がするかも……」スタスタ

提督「おや、鳥海さん」

鳥海「あ、司令官さん…。ごきげんよう」

提督「良く休む事ができましたか?」

鳥海「ええ。ちゃんと、7時間眠る事ができただけで十分回復しました」

提督「重ね重ね言いますが、働き過ぎですよ」

鳥海「ところで司令官は、こちらで何を?」

提督「いえ、これまでの出撃による消費資源とドロップの比率を見直してまして……」

鳥海「どんな感じですか?」

提督「…正直言って、よくありませんね。作戦難易度が丙だからかもしれませんが、消費する資源の割に、中枢海域でドロップする艦娘がそれほど貴重でも

   ないという…」

鳥海「でも司令官さん、この前風雲さんを迎えたって…」

提督「あれは多分偶然ですね」

鳥海「…お言葉ですが司令官さん。この編成なんですが、日向さんを霧島さんとか比叡さんとかに代えれば、燃料の消費を抑える事ができますよ」

提督「?ああ、これですか」

鳥海「はい。後は装備も見直して、フィット砲を装備させれば無駄に資源を消費する事もなくなりますし…」

提督「なるほど……」

鳥海「それで、こちらはああでこうでこうでああでうんたらかんたらうんたらかんたら…」

提督「…………なるほど、ありがとうございます」

鳥海「…はっ!せっかくのお休みなのに…私ッたら…ごめんなさい!」

提督「いえ、とても参考になりましたし…」

鳥海「なんだかいつもデータ課にいるからか……こういう統計とかを見たら何だか口を出さずにはいられなくて…」

提督「これも一種のワーカホリックでしょうか…」


【終わり】

643: 2016/02/18(木) 21:15:52.35 ID:N0CkjOpk0
【新たなる姫】

 ―12時過ぎ、オートロ島マーマレード湾沖・Оマス(戦略補給物資集積地)―

集積地棲姫「アツメタ…ブッシ…ハ……ヤラセハ……シナイ………ッ!」

夕立「…なんだか、見たことない深海棲艦がいるっぽい」

大淀「そうですね…。あれは、新しい深海棲艦の一種ですね……」

足柄「関係ないわ!要は、勝てばいいだけよ!」ドオォォン

ズッドゴゴン

集積地棲姫「ヤメロヨ…!セッカクアツメタノニ、モエテシマウ…ヤメロォ!」混乱

霞「な、何なのこいつ……」

集積地棲姫「ヤメロッテ…イッテルダロォ!!」


 ―17時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

装甲空母姫「と言うわけで、新しく私達の仲間に加わった、集積地棲姫よ」

集積地棲姫「初めましてだな。よろしく、司令官」

深海提督「あ、ああ。よろしく…」

深海提督(眼鏡かけてる深海棲艦か……初めて見たな)

集積地棲姫「何をじろじろ見ている?」

深海提督「あっ、いや!別にっ……」

集積地棲姫「?」

深海提督「そっ、それより‶集積地‶ってことは、陸上型の深海棲艦って事か?」

集積地棲姫「ああ、その通りだ。私の使命は、補給物資を集積地に保管し、それを守る事にある。陸上型の私なら私がいるからには、安心してくれ」

深海提督&装甲空母姫「お、おう」

深海提督&装甲空母姫(どうしよう…。飛行場姫とか泊地水鬼とかの例があるから、あまり信用できない」

644: 2016/02/18(木) 21:30:06.38 ID:N0CkjOpk0
 ―数日後15時過ぎ、オートロ島マーマレード湾沖・Оマス(戦略補給物資集積地)―

霞「●ねばいいのに!」ズドドオン

ドゴゴゴオン

集積地棲姫「ヤメロ…モエテシマウ…!」混乱

足柄「ふははははははー!」ドドドドッ

ボゴォ

集積地棲姫「ヤメロヨ…!セッカクアツメタノニ、モエテシマウ…ヤメロォ!」損害

大淀「てーっ!」ドゴゴゴン

グシャッ

集積地棲姫「モヤスノハ、ヤメテ…」


 ―18時過ぎ、深海棲艦本拠地・休憩室―

集積地棲姫「なんなんだよぉ~…私陸上型なのに、何で艦娘共の攻撃もろに受けるんだよぉ~…」

深海提督「あー、そりゃ三式弾とWG42だろうな。あれで陸上型深海棲艦への貫通攻撃が可能になるんだ」

集積地棲姫「それは先に言ってほしかったよぉ……ああ、せっかくの補給物資がパアに……」

深海提督「いや、補給物資は別にいいよ…、そんなに気にしなくても…」

集積地棲姫「私はちゃんと大丈夫、安心してくれって言ったのに…マモレナカッタ…」

深海提督(なあ、どうしてこの人こんなに気にしてるんだ?)ヒソヒソ

装甲空母姫(この子は、ちょっと真面目過ぎる上に正義感が強すぎて、自分の言った事は絶対守らなくちゃならないって縛りがあるようなの…)ヒソヒソ

集積地棲姫「無念…」

深海提督「そんなに気にしなくても…」

集積地棲姫「私は気にするんだっ!」クワッ

深海提督&装甲空母姫(めんどくせー)


【終わり】

645: 2016/02/18(木) 21:42:56.30 ID:N0CkjOpk0
【礼号】

 ―15時過ぎ、休憩室―

足柄「零号作戦っていうから身構えてたけど、ふたを開けたら大したことはなかったわね」

大淀「そうでしたね…。私達が攻略の鍵になる…と思っていたのですが、出番は第2海域でしかも、そろっていなくても別に攻略は可能だったってオチですし…

   拍子抜けと言ったところですね」

霞「ホント、やってらんないわ!」

足柄「と言う割に、霞ちゃんって張り切って出撃してたわよね?『改二になって初めての出撃ね…腕がなるわ!』って」

霞「ちょっ、何言ってんのよ!」

大淀「あの時の霞さんは、普段の刺々しさが抜けていて、可愛らしかったですね」

霞「大淀先輩までぇ!」

清霜「へ~、なんだか私が着任する前は楽しそうだったんだなぁ」

足柄「あら、嫌ねぇ。その言い方じゃ、清霜が着任してからは楽しくないなんて言い方じゃない」

大淀「そんな事はありませんよ。清霜さんが来てくれてからもっと楽しくなりましたから」

清霜「ホント?よかった~。でも、私も一緒に出撃したかったな~」

霞「馬鹿言ってんじゃないわよ。清霜がここに来たのは今の大規模作戦で、第2海域の敵艦隊の手前の会敵区域だったのよ?そんな、練度が一ケタの、

  新米のぺーぺーを大規模作戦に参加させるなんて、うちのク―司令官が許すはずないじゃない!」

清霜「ク?」

足柄「知らない方がいいわよ」

清霜「ふーん…。それよりも、あれだね」

霞「なっ、何よ」

清霜「霞って、ここの司令官の事をよく知ってるんだね!」

霞「は、はーっ!?はぁーっ!?な、何言ってんのよこの子ったら!」

足柄「確かにねぇ~…」

大淀「ええ、確かに何だかんだで提督には素直になっていますし…もしかしたら…」

646: 2016/02/18(木) 21:54:02.57 ID:N0CkjOpk0
霞「うっさい!この年増と腹黒黒幕!」


足柄「あぁん?(孤高の狼のような鋭い目)」ギロッ

大淀「あ、そう言えば今日は不要な艦を2隻解体する任務がまだでしたねぇ(黒い笑顔)」ニコォ


霞「ごめんなさい、調子こきました」

清霜「自然と下僕に成り下がった…」

足柄「でもま、ウチの提督はちょっと鉄面皮でぶっきらぼうだけど、いい男よねぇ」

大淀「足柄さんの言い方は少々……ですが、提督は優しいお方ですよ。清霜さんも、この大規模作戦が終わったら正式な挨拶をするでしょうけど……。でも、

   安心してくださいね」

清霜「うん、分かった!」

霞「はっ、あんな奴が優しいなんて……。どこ見たらそんな事言えるのかしら?」

足柄「ホントこの子ったら愛想の‶あ‶の字も無いわね~」

霞「艦娘に愛想っているかしら?」

足柄「ま、それは置いといて、大淀も大変じゃない?普段の書類整理とか各鎮守府への電文とかに加えて、今回は大規模作戦参加なんて」

大淀「ええ…でも、いい気分転換になりました。普段はデスクワークばかりやっていますから…」

霞「大規模作戦で気分転換って…」

清霜「は~……」

足柄「うん?どうかしたの?」

清霜「なんだかみんな、楽しそうだね!」

霞「え?今までのどこを見て?」

清霜「皆、気の置けない仲って感じで皮肉とかを言い合ったりしたりするし、大淀さんとか霞ちゃんとか疲れたような感じで言ってるけど楽しそうだし…。

   それに、足柄さんは毎日が楽しそう!」

足柄(何だろう…言い方が色々アレなんだけど…)

清霜「早くみんなと一緒に遊んだりしたいな~」

霞「…はぁ。ホントに無邪気ね。そんな子供っぽくちゃ、戦艦になんてなれないわよ?」

清霜「なっ、なれるよ!絶対!」

足柄&大淀「…ふふっ」


【終わり】※朝霜はまだ着任していません。

647: 2016/02/18(木) 21:59:44.04 ID:N0CkjOpk0
【キャラクター紹介】

≪集積地棲姫≫

深海棲艦の一種。艦種は集積地。眼鏡にヘッドホンと、これまでに例を見ないような容姿が特徴。オートロ島マーマレード湾沖の島にある補給物資集積地の

護衛を任されていた。正義感が強く少々真面目過ぎるためか、自分の言った事は絶対に守らなければならないという、変なこだわりを持っている。それゆえに、

言った事を守れなかった時は結構落ち込む。見た目がオタクっぽいとよく言われるが、本人からすれば不愉快以外の何物でもない。

好きな言葉は『有言実行』。

648: 2016/02/18(木) 22:05:47.76 ID:N0CkjOpk0
≪足柄≫

妙高型重巡洋艦三番艦。艦娘No.57(改二はNo.193)。白いカチューシャとストレートの黒みがかった髪が特徴の、頼もしい姉さん。砲雷撃戦が大好きな典型的

バトルジャンキーで、戦いとは‶自分の価値を示すもの‶と思っている。しかし別にただの戦闘バカと言うわけではなく、お洒落や家事などにも力を入れている。

妙高と那智の姉2人の事を尊敬し、妹の羽黒の事を可愛がっている。普段からやかましいせいか、‶黙っていれば美人‶とよく言われる。‶年増‶はNGワード。

好きな言葉は『先んずれば人を制す』。

658: 2016/02/19(金) 21:08:11.46 ID:mqMWt/dx0
【居酒屋の一時】

 ―19時半過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―

鳳翔「~♪」カチャカチャ

ガラララッ

隼鷹「ばんは~」

鳳翔「いらっしゃい、隼鷹さん―あら」

提督「お疲れ様です」

司令長官「こんばんは、鳳翔さん」

鳳翔「提督…司令長官も…珍しいですね。どうかなさったのですか?」

隼鷹「いやぁ~、提督がここ数日執務室にカンヅメだからちょっと気分転換がてら飲もうと誘って」

司令長官「大規模作戦でなかなかいい艦がドロップしないのは分かるけど、あんまり根を詰めてると体壊しちゃうからねぇ」

提督「いえ、貴方がポンコツで私に仕事を押し付けてこなければ、私はもう少しゆとりある生活を送る事ができたはずなんですが」

鳳翔「まあまあ、隼鷹さんも司令長官も、提督の事を考えて誘ってくださったのですから…。さ、お席にどうぞ」

隼鷹「ありがとね~。どっこらせっと」ストン

司令長官「よっこらせ」ドスン

提督「まったく2人とも…おっさんくさい」

司令長官「ははは。ま、これでも50目前のおやじだからねぇ」

隼鷹「なんだよなんだよー、このセクシーな私がおっさんだって~!?」

提督「どの口が言えるんですか」

鳳翔「はい、お通しどうぞ」コトッ

提督「しらすおろしですか」

隼鷹「いっただっきまーす!」

司令長官「ん~、美味しいねぇ」

提督「…美味しいですね」

鳳翔「ありがとうございます。あ、お飲み物はどうしますか?」

659: 2016/02/19(金) 21:18:53.34 ID:mqMWt/dx0
隼鷹「黒ビール!」

司令長官「あ、熱燗で」

提督「私は………ジンジャーエール」

隼鷹「なんだよー、酒飲まないのか?」

鳳翔「提督って、お酒に弱いんですか?

司令長官「いやいや、彼は結構飲む方だよ。って言うか、飲んでも全然酔わないんだ」

提督「ですが、明日もまた仕事ですからあまり飲んでもいられませんし、私はコールドドリンクでも我慢できる人ですので」

鳳翔「ふふっ。分かりました、黒ビールと、熱燗と、ジンジャーエールですね」

隼鷹「あー、それとなんかテキトーに出してー」

鳳翔「はーい」

提督「それでいいんですか」

司令長官「大丈夫だよ。隼鷹君はこの店に何度も来てるから、あれで大体通じちゃうんだ」


 ―数分後―

鳳翔「はい、黒ビールと、熱燗と、ジンジャーエールです」ゴトッ、ゴトッ、ゴトッ

鳳翔「それと今日のおすすめ、手羽先の甘辛煮です」ゴトッ

隼鷹「おほっ、美味しそうだね~」

司令長官「うーん、この鼻を刺激する匂いがたまらないねぇ~」

提督「ふむ…美味しそうです」

鳳翔「それと、キュウリと白菜の浅漬けです」コトッ

司令長官「儂、この浅漬け好きなんだ~」

提督「ますますオヤジ臭い…」

司令長官「ほっといてよ」

660: 2016/02/19(金) 21:27:40.47 ID:mqMWt/dx0
隼鷹「はむっ」パクッ

モグモグ

隼鷹「あー、美味いねぇ。この手羽先のピリ辛具合が、あたし好みだな~」

司令長官「うん、確かにね~」

提督「…………」パリポリ

提督「浅漬けもおいしいです」

ガララッ

那智「む、司令官。貴様も来ていたのか」

妙高「こんばんは、皆さん」

司令長官「那智君に妙高君。君たちも?」

那智「うむ、演習で大勝利を挙げたからな」

妙高「私はその付き添い。那智がべろんべろんになっちゃってから呼ばれるのもあれだし、最初から飲もうかと」

提督「酔いやすい姉を持つのも、大変ですねぇ」

那智「ところで、司令官よ。貴様は酒は飲まないのか?」

提督「明日もまた仕事ですから」

那智「それは残念だ。ぜひ、飲み比べをしてみたかったものだからな」

司令長官「あ、じゃあ代わりに儂が―」

ゴスッ

提督「お前も明日仕事だろうが」

司令長官「あの、黎明君…ビールジョッキで殴るのはやめてくれないかな…シャレにならないくらい痛い…」

隼鷹「ところで足柄は?」

妙高「足柄なら、『ダイエット始めるわ!』とか言って飲むのを止めちゃって…」

661: 2016/02/19(金) 21:38:18.48 ID:mqMWt/dx0
提督「毎回思うのですが、女性はなぜそこまでダイエットに専念するのか、まったくわからないんですが…」

鳳翔「提督、それは男性には分かりませんよ。女性には、色々あるものですから」カチャカチャ

提督「まあ、私としては、ありのままの姿の方がいいのですが」

妙高&鳳翔「!」ピクッ

隼鷹「ぷはー。まあ確かに、ダイエットした方が健康にいいって話はよく聞くけど、ダイエットしすぎて拒食症になるって話もいくつかあるし~。あたしは、

   ダイエットとかはしないなぁ」

提督「貴女の場合、ダイエットしないんじゃなくて、ダイエットする気が無いんでしょう」

隼鷹「ありゃ、ばれた?」

鳳翔「…カツオのたたきです」ゴトッ

提督「あ、どうも」

隼鷹「おー、ええ感じだな~」パクッ

隼鷹「うん、美味い!」

提督「そうやって、ご飯を食べておいしいと言って笑う姿を見る方が、ダイエットで苦しんでいる姿を見るよりもはるかに気持ちのいいものです」

那智「ま、確かにな。人の苦しんでいる姿を見て愉悦に浸るなど、深海棲艦かドSのやる事だしな。あ、鳳翔さん。日本酒で」

鳳翔「はーい」

妙高「そうね…。やっぱり、好きなものをちゃんと食べられる今に感謝しないとね。あ、私はコーラで」

鳳翔「分かりました」

那智「なんだ、姉さん。飲まないのか」

妙高「私が酔ったら誰が貴女を寮に連れて帰るのよ」

那智「司令官がいるじゃないか」

提督「さらっと私をこき使おうとするんじゃありません」


 ―22時過ぎ―

足柄「えっ、ありのままの姿!?じゃあ、ダイエット止めるわ!」

妙高「そうやってあっさり止めちゃうのもまたどうかと…」


【終わり】

662: 2016/02/19(金) 21:47:14.28 ID:mqMWt/dx0
【キャラクター紹介】

≪妙高≫

妙高型重巡洋艦一番艦。艦娘No.55(改二はNo.191)。短い黒髪と温和な雰囲気が特徴の、おしとやかなお姉さん。どこかズレている妙高型姉妹を束ねる長女で、

仕事にもお休みにも真面目に取り組む。提督業代理を任せてるには至らないが、事務処理能力はとても優れている。戦闘でも上位クラスの腕前を持っている。

少しお茶目な一面もあり、クリスマスや豆まきなどのイベントは無邪気に楽しんでいる。初風は可愛い後輩。妙高型共通なのか、酒には強い。

好きな言葉は『誠心誠意』。

668: 2016/02/20(土) 20:59:54.08 ID:06R92Gpm0
こんばんは、>>1です。

今日は、キリ番安価にありました連装砲ちゃんの話を書いていきます。

それでは、投下していきます。

669: 2016/02/20(土) 21:06:32.33 ID:06R92Gpm0
【相棒】

 ―10時過ぎ、執務室―

島風「ただいまー!」バァン

提督「ノックはしなさい」

島風「海上護衛任務から帰ってきたよー!大成功で弾薬と燃料をたくさん持ち帰ってきたよー!はい、報告終わり!」

提督「待てコラ」

島風「何さ~」

由良「島風ちゃん、先に戻っちゃだめだよ…」

提督「本来、遠征の結果報告は旗艦がするものです。島風さんは僚艦でしょう」

島風「ぶー…だって由良先輩遅いんだもん」

連装砲ちゃん「キュイ~…」ペコペコ

提督「連装砲ちゃんは礼儀正しいですね。どこかのスピードバカと違って」

島風「むっ!バカとは心外だよ!」

由良「はいはい、喧嘩は後後。それより提督さん、報告を…」

提督「あ、すみませんでした。お願いします」

島風「むぇ~……」

連装砲ちゃん「キュ~……」


由良「―――――――――――」

提督「―――――――?」


島風「報告おっそーい!」

提督「黙らっしゃい」

670: 2016/02/20(土) 21:13:23.52 ID:06R92Gpm0
 ―13時過ぎ、装備倉庫―

連装砲ちゃん(は~…疲れた…)

連装砲くん(おう、お疲れ。どうだった?)

連装砲ちゃん(遠征自体は疲れなかったんだけど…島風さんが暴走しちゃって…)

連装砲くん(はー、お前も大変なんだなぁ)

連装砲ちゃん(連装砲くんは楽しそうだね…。天津風さんは何だかんだで面倒見のいい人だし…)

連装砲くん(いんや、そうでもないさ。あの人、存外寂しがり屋だし…)

連装砲ちゃん(へ、意外!)


島風「連装砲ちゃんは、人間の言葉はしゃべれないけど、連装砲くんとか二式大艇ちゃんとかと話す事ができるんだって」

提督「はあ……」

島風「すごいでしょ!」

提督「いや、私から見ればただ動く艤装が手をわちゃわちゃしながら向かい合っているだけにしか見えないんですけど」

島風「おーい、連装砲ちゃん!出撃だよ!」

連装砲ちゃん(あ、出撃の時間だ…。ゴメン、またあとでね)

連装砲くん(おう、頑張ってな)

島風「で、どこに出撃するの?」

提督「鎮守府近海の潜水艦哨戒に…」

島風「えっ、じゃあ……」

提督「ええ、連装砲ちゃんに爆雷を装備してください」

連装砲ちゃん「キュイ!?」

島風「ぶぇー……あれ面倒くさいんだよね~……」

671: 2016/02/20(土) 21:26:40.99 ID:06R92Gpm0
 ―14時過ぎ、鎮守府近海・Cマス(敵潜水艦隊C群)―

島風「連装砲ちゃん!あいつに爆雷攻撃だよ!」

連装砲ちゃん「キューイ!」バシュシュッ

ズドゴォン

潜水カ級elite「グブェ!!」撃沈

島風「やったー!」

五十鈴「島風、調子に乗ってると―」

潜水ヨ級elite「シズメ!」バシュッ

ドゴム

島風「おぅっ!?」大破

連装砲ちゃん「キュ~イ!?」

五十鈴「ああん、もう言わんこっちゃない!」


 ―14時半過ぎ、執務室―

提督「…分かりました。では、すぐに島風さんは入渠ドックへ向かってください」

島風「うぅ~…1時間もお風呂かぁ~…」

提督「言っておきますが、無断で高速修復剤を使ったら、拳で尻を100回叩きますからね」

島風「せめてパーにしてっ!」

連装砲ちゃん「キュイキュイ~!」パタパタ

島風「ほっ、ほら!連装砲ちゃんも『やめて』って言ってるし!」

連装砲ちゃん(尻を叩いたら‶セクハラ‶って言われちゃいます!だから、尻はやめた方がいいですよ~!)パタパタ

五十鈴「そうでもないように見えるんだけど…」

672: 2016/02/20(土) 21:41:51.74 ID:06R92Gpm0
 ―15時前、装備倉庫―

連装砲ちゃん(はぁ………)

二式大艇ちゃん(どうしたの?連装砲ちゃん。何か悩み事かも?)

連装砲ちゃん(いや、悩みってわけじゃないんだけど…。ちょっと疲れる事がね…)

長10cm砲ちゃん(何でもいいですよ、話してみてくださいな)

連装砲ちゃん(実はね……)

カクカクシカジカ

二式大艇ちゃん(…大体事情は分かったかも)

連装砲ちゃん(島風さんってば、暴走機関車並みに破天荒だから…)

長10cm砲ちゃん(でも、連装砲ちゃんは島風さんの事を嫌っているわけではないのでしょう?)

連装砲ちゃん(へっ?う、うん。そりゃそうだよ……)

二式大艇ちゃん(連装砲ちゃん、島風さんの事を話している時とても生き生きしているかも。だから、連装砲ちゃんも島風さんの事が好きなのかも!)

連装砲ちゃん(……………)

長10cm砲ちゃん(羨ましいですわね。ご主人とそんなに仲が良いなんて。二式大艇ちゃんもそうと言えばそうだけど…)

二式大艇ちゃん(秋津洲さんは、家族みたいなものかも!でも、連装砲ちゃんは島風さんといつも一緒にいるから、親友みたいなものなのかも!)

連装砲ちゃん(そう…だね。親友……なのかな)

連装砲ちゃん(…うん、いいね)


 ―同時刻、入渠ドック―

天津風「えーっ?潜水ヨ級eliteにやられて大破?だっさいわね~」

島風「なっ、何よ!そう言う天津風はどうしてこんなトコにいるの?」

天津風「そっ。それは、あれよ。駆逐イ級flagshipの雷撃を食らって…」

島風「駆逐イ級にやられるなんて、だっさー」プー

天津風「だっ…!駆逐イ級flagshipの雷装なめんじゃないわよ!下手すりゃ戦艦も一撃で中破にされるくらいなんだから!それに比べてあんたは対潜装備も

    ガン積みのくせに潜水艦にやられるなんて、なっさけないわね~」

島風「なんだと~!」

連装砲くん(…………あー…連装砲ちゃん、助けてくれ~…………)


【終わり】

673: 2016/02/20(土) 21:50:36.73 ID:06R92Gpm0
【キャラクター紹介】

≪島風≫

島風型駆逐艦一番艦。艦娘No.10。うさ耳、色の抜けた金髪、過度な露出の服装と、色々アブナイ要素満載の女の子。最速の駆逐艦であることを誇りにしており、

とにかくせっかち。遅いのは大嫌いで、周囲からは‶スピードバカ‶と呼ばれる始末。同型艦がいないためにボッチと思われがちだが、陽炎型の天津風や雪風とは

つながりがある。戦闘でも1人突っ走るところが目立っており、そこが少し問題となっている。連装砲ちゃんは相棒。

好きな言葉は『疾風迅雷』。


≪連装砲ちゃん≫

島風がいつも連れている自立行動式の艤装。手足が動き、表情もわずかながら変わる。普段は『キュイ』としか話す事ができないが、同じく自立行動式の艤装の

連装砲くん、長10cm砲ちゃん、二式大艇ちゃんとは会話を交わす事ができる。また爆雷等の対潜装備を装備する際は砲塔を取り外す必要があるが、連装砲ちゃん

自身はあまり好きではない模様。島風の暴走ぶりに頭を悩ませているが、それでも島風を嫌っているというわけではない。

674: 2016/02/20(土) 21:52:41.24 ID:06R92Gpm0
今日はここまでにします。

>>652
  連装砲ちゃんの話、いかがでしたか?


明日は投下できるかどうかが少し分かりません。

投下できる場合は、キリ番安価の妖精さんの話を書いていきます。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた。



山雲3隻目ゲット。だからさ………

秋津洲も欲しくなってきました。使い道が無い?知ら管

680: 2016/02/21(日) 21:20:35.18 ID:4JKBRbOv0
【謎】

 ―11時過ぎ、サーモン海域・Оマス(敵補給部隊本隊)―

加賀「鎧袖一触よ」ビシュッ

キィィィィン

流星妖精「鎧袖一触だよー!皆、ガンバロー!」

紫電改二妖精「合点!」

烈風妖精「………」コクッ


 ―16時過ぎ、カンパン湾沖・Jマス(先遣哨戒潜水艦隊 旗艦艦隊)―

五十鈴「潜水艦発見!爆雷、投下!」

三式水中聴音機妖精「あそこだよー!」ピピピ

三式爆雷投射機妖精「りょうかーい!」ポイッ

ズドオン

潜水棲姫「イタイ…!ヤメテヨォ…!」


 ―19時過ぎ、北海道北東沖・Tマス(侵攻部隊 旗艦艦隊)―

綾波「この海域は…譲れません!」

敷波「探照灯照射!」ガシャン

探照灯妖精「シャイニーング!」ペカー

重巡棲姫「ウォッ、マブシッ」

綾波「照明弾、てー!」

照明弾妖精「ほいさっさー!」バシュッ

戦艦棲姫「メガ!メガアアアア!!」

681: 2016/02/21(日) 21:28:34.77 ID:4JKBRbOv0
 ―翌日10時過ぎ、中庭―

九六式艦戦妖精「ちょうちょさん~、待って~」

天山妖精「ラーメンうまうま」ズゾゾゾゾ

彗星妖精「はっけよーい、のこった!」


龍驤「………なあ、キミ」

提督「はい?」

龍驤「あの妖精さん達って………なんなん?」

提督「なんなん、とは?」

龍驤「いや、ウチら普段からフツーに妖精さん達と話したりご飯食べたりしてるけど、改めて思うとあれ…なんなん?」

提督「そう言われましても……私にも妖精さんの生態については詳しく分かりません」

龍驤「もうこの世界の住人として…なんかこう…鳥なんかと同じ動物か何かと認識した方がええんとちゃうか…」

提督「動物はひどいでしょう。動物は」

龍驤「けどな?妖精さんがホンマに‶妖精さん‶やとして、それを世間で吹聴してみぃや?イタイ人やと思われるで~…」

提督「確かに………私達普段から妖精さん妖精さんって言ってますが、傍から見れば電波ですよね」

龍驤「せやろ…?にしても、ホンマに妖精さんってなんやろか…」

提督「そうですねぇ……。まあ、いくつか推測されてはいますし、他の提督の中でも妖精さんの正体について探っている方も何人かいますし…」

龍驤「他の提督達も、やっぱり不思議に思うとるんか…」

提督「まあその中でも、私が特に興味をひかれたものがありますけど…」

龍驤「おっ、話してくれへん?」

682: 2016/02/21(日) 21:45:33.37 ID:4JKBRbOv0
提督「妖精さんと言うのは、まず艦娘が装備する艤装、装備に必ず付属しております」

龍驤「そんなオマケみたい扱わんでも…」

提督「またそのほかに、工廠にいる妖精さん、入渠ドックにいる妖精さん、家具を作ってくれる妖精さん、羅針盤を回してしまう妖精さん、そして鎮守府を

   監視している妖精さんがおります。まあ、鎮守府を監視している妖精さんは司令長官と司令長官の補佐官である私にしか見えません」

龍驤「あー、そう言えばそんな話を聞いたな~」

提督「そして妖精さんの中には、艦娘とよく似た容姿の者もおります。たとえば、20.3cm(2号)連装砲の妖精さんは妙高さん、羽黒さんによく似ており、

   25mm三連装機銃 集中配備の妖精さんは、摩耶さんに似ております」

龍驤「確かに…似とるとは何度か思ったけども…」

提督「そこで、ある仮説が立てられました」

龍驤「仮説?」


提督「妖精さんの正体は、艦娘の成り損ない、と」


龍驤「………なっ」

提督「艦娘と同じく、艤装を用いて深海棲艦と戦う事ができる存在、過去の軍艦の装備を使役する事ができる…。それはまるで、艦娘の劣化版だと、提督の

   誰かが推測しました」

龍驤「……ありえへん話でもない…か」

提督「その仮説が正しいという賛同者も大勢いましたが…結局その推測は、世に知れ渡る事はありませんでした。そんな夢物語を、誰が信じるのかと…」

龍驤「まあ確かに、妖精さんなんてわからん存在を、そないな根拠のない仮説で説明しようなんて、信じられへんもん」

提督「しかし今でも、妖精さんの正体を突き止めようとしている研究は続いておりますが―」


艦隊司令部施設妖精「私達がどうかしたんですかー?」ヒョコッ


龍驤「ひょっ!?」

提督「いえ、龍驤さんが、貴女たち妖精さんとは何なのかが気になっていたらしくて…」

艦隊司令部施設妖精「あははは、なんだそんな事ですか~。龍驤さん~」

龍驤「な、なんや?」

683: 2016/02/21(日) 21:51:47.23 ID:4JKBRbOv0



艦隊司令部施設妖精「……世の中には知っていい事と、よくないことがあるんですよ?」ニコッ



龍驤「!?」ゾクッ

艦隊司令部施設妖精「あはは~。それではまた~」トテトテ

龍驤「な、何や今のは……!?」

提督「…そのままの意味でしょう。妖精さんの正体を詮索するのは、これ以上はやめた方がいいという事です」

龍驤「せ、せやな…。なんや、ろくなことにならへん気がするし……」

提督「ビビりましたか?」

龍驤「…こわいわ…」


 ―19時過ぎ、妖精さん達の寮―

艦隊司令部妖精「―って言ったら、龍驤さん本気で怖がってたよ~!」

艦艇修理施設妖精「えー、本当に~?」

大発動艇妖精「だったら自分も今度、龍驤先輩に『うふふ、いつも見てるわ…』とささやいてみるのであります!」

洋上補給妖精「えー、それはちょっと悪戯が過ぎるよ~?」

ドラム缶妖精「あんまりばかにすると、しっぺ返しを食らっちゃうよ~?」


【終わり】

684: 2016/02/21(日) 21:56:49.32 ID:4JKBRbOv0
【キャラクター紹介】

≪妖精さん≫

装備にくっついている妖精さん、施設内にいる妖精さん、鎮守府を監視している妖精さんなど、何種類も存在している謎の生命物体。甘いものが大好きで、

敵を倒したご褒美にねだる事が何度もある。居住地は工廠や艦娘の寮の屋根裏など。性格は食いしん坊、高所恐怖症など多種多様。その正体はまったく不明で、

一部の提督の間では『艦娘の成り損ない説』が流れている(が、根拠はない)。装備の持ち主の艦娘とよく似た容姿の妖精さんもいる。

好きな言葉は『縁の下の力持ち』。

691: 2016/02/22(月) 21:15:46.19 ID:/ZPPoovU0
【恐怖のぬこ】

 ―8時過ぎ、食堂―

TV『今日は2月22日、にゃん・にゃん・にゃんの日!という事で今日は、猫ちゃん特集~!』

名取「はわ~……猫ちゃん可愛いな~…」

由良「ホント……可愛いわねぇ…」

名取「は~…鎮守府にも猫がいたらいいのに…」

由良「そうね……こんだけ広い敷地なのに…野良猫すらいないなんて…」

名取「提督さん、野良猫対策には凄い力を入れていたらしいし…。迷い込む事なんてないのかも…」

由良「うーん……」


 ―9時過ぎ、執務室―

提督「だめです」

由良「何で?」

提督「アレルギーのある方もいるかもしれませんし…。飼育費等の確保も難しい状態ですので…何より、艦娘の方たちが猫にかまけてしまったりしたら…。

   という事です」

由良「まあ、確かにそうね…。ペットの餌槍の順番でもめるなんてこともありそうだし…」

提督「一時期、ペットを飼おうとした人がいたんですが、他の鎮守府の方から…」


『総司令部がペットを飼うなんて、弛んでる』

『このご時世、前線で戦わなきゃいけない海軍が何してるんだ』


提督「と、非難を受けましたので」

由良「ホント他の人たちも、お互いさまって感じだね…」

692: 2016/02/22(月) 21:24:40.18 ID:/ZPPoovU0
 ―15時過ぎ、中庭―

由良「はー…。お休みの日にこうしてのんびり過ごすのも、いいね…」

由良「それにしても…。ペットが飼えないなんて…演習先の鎮守府は犬とか猫とかを飼っていたのに……」

由良「…なんだか、不公平って感じ…」

ニャー

由良「?」キョロキョロ

由良「今の…猫の鳴き声?」

ニャー

由良「???」キョロキョロ

由良「……ね、猫ちゃ~ん?どこでちゅか~?」

ガサガサ

猫「にゃ~」ヒョコッ

由良「あっ、そこにいたんだ…。可愛い~」ナデナデ

猫「にゃ」

由良「白い猫~……あ、お腹の毛が丸く抜けてる…可愛い~♪」サワサワ

猫「にゃにゃ~…」モゾモゾ

由良「可愛いな~…。この猫、ここで飼えないかな…」

由良「ビスマルクさんも猫飼いたいって言ってたし……」

由良「よし、提督さんに直談判しよう」スクッ

由良「一緒に来てね~♪」ダキッ

猫「にゃ~?」

693: 2016/02/22(月) 21:33:01.20 ID:/ZPPoovU0
 ―同時刻、工廠―

ビーッ、ビーッ

明石「何が起きてるの!?」

工廠妖精さん「建造ドックで異常発生!タイマーが動いてません!」

夕張「装備開発炉も止まってしまってます!」

明石「いったいどうして…」


 ―同時刻、鎮守府付近海上―

ザザザザザピタッ

天龍「おっ、おおっ!?」

電「はわわっ!?動かなくなっちゃったのです!?」

響「おかしいな…さっきまで順調に航行できたはずなのに…」

暁「もう、どうなっちゃってんのよ!」プンスカ

雷「なんで、もう鎮守府はすぐそこだっていうのに!」


 ―同時刻、入渠ドック―

赤城「るんるんるん♪」

ピ――――――――――――――――――――――――――――――ッ

赤城「あらっ?」

[残り入渠時間・99:99:99]

赤城「ちょっ、あれっ!?タイマーが壊れてる!?」ペチペチ

五十鈴「だめよ!こっちも故障しちゃってるわ!!」

飛龍「あっれー?動かなくなっちゃってるな……」

694: 2016/02/22(月) 21:43:53.11 ID:/ZPPoovU0
 ―数分後、執務室―

由良「提督さん?ちょっと相談事が……」


明石「どうしたことか、機能が停止しちゃったんです!」

龍田「今、鎮守府近くまで来てる天龍ちゃんが、艤装が動かなくなって戻ってこれないって~…」

加賀「入渠ドックの赤城さんから、ドックの修復タイマーが止まってしまい、入渠ドックとしての機能が停止していると」

提督「まったく、どうしてこのような事に……」

霧島「各鎮守府からのデータが送られてくるはずなのに、来ていません!」

大淀「各鎮守府への電文、送る事ができません!」


由良「あの~、何かあったんですか?」

提督「由良さん。実はですね―」


猫「にゃ?」


提督&明石&龍田&加賀&霧島&大淀「!!!」ピクッ

由良「な、何?どうしたの?」

提督「その猫を放せえええええええええええええええええええええええええ!!!」

由良「えっ、ええっ!?」

明石&龍田&加賀&霧島&大淀「鎮守府存亡の危機なの!!お願いだからっ!!」

由良「ふえっ!?」ビクッ、バッ

猫「にゃーっ!」ダダダダダ

由良「あっ……」

提督「鎮守府内の艦娘に告げます。今現在、鎮守府内を彷徨っている猫はそのまま鎮守府の敷地外へ出してください!とどまっているのを見つけた場合は、

   敷地外へ追い出すように!!」

由良「ちょっと、提督さん!いくらなんでもそれはひどすぎ―」

695: 2016/02/22(月) 21:52:42.72 ID:/ZPPoovU0
ピロロロロロ、ピリリリリリリ、プルルルルルルル

明石「あ、もしもし夕張ちゃん?え、動いた?建造タイマーは?開発炉は?ばっちり?よかった~…」

霧島「あ、鳥海さん?データは届いた?そう、は~よかったわ…」

加賀「もしもし、赤城さん?そう、良かったわ。大丈夫なのね」

大淀「あっ、送信できました…!直ったんですね…」

龍田「天龍ちゃん、艤装が復旧したからすぐ戻るって~」

提督「ふぅ……よかった」

由良「え、え?」


 ―閑話休題―

提督「先ほどは理由を述べずに命令してしまい、申し訳ございません」

由良「あ、ううん…別にいいんだよ…」

提督「由良さんが連れていた猫は、エラー猫と呼ばれる猫です」

由良「エラー猫…?」

提督「エラー猫は地上・海上問わずにどこからともなく現れて、その猫が艦娘と接触した場合、その艦娘が所属している鎮守府の全ての機能が停止すると

   言われております…。実際、そうなりましたが」

由良「じゃ、じゃあ…工廠も入渠ドックもデータ関係も、艦娘の艤装が止まったのも…」

提督「……そういう事です。ここは総司令部に併設されているため、機能が停止してしまっては運営に支障が出てしまいますので…。早急に事態を回復する

   必要があったんです。これまで私の鎮守府には現れなかったのですが…現れてしまいましたか…」

由良「そんな……」シュン

提督「…………そんなに猫が飼いたかったんですか…」

由良「ええ………」

提督「本物の猫は飼えませんが、代わりに多摩さんを連れて来ましょうか?」

由良「あ、それはいいです」


【終わり】

696: 2016/02/22(月) 22:00:07.65 ID:/ZPPoovU0
【キャラクター紹介】

≪由良≫

長良型軽巡洋艦四番艦。艦娘No.45。薄いピンクの長いポニーテールと両手に構える単装砲が特徴の、物静かなお姉さん。名取のお姉さんとよく勘違いされるが、

艦の番号的には名取の妹に当たる。あまり目立つことをするのは嫌いで、裏方に徹するタイプ。戦闘でも基本的には皆のサポートに回る事が多いが、別段弱いと

言うわけではない。髪の手入れには相当気を使っている。心の底では戦争を嫌っており、戦いたくないとも思っている。動物が好き。

好きな言葉は『小春日和』。

697: 2016/02/22(月) 22:06:06.53 ID:/ZPPoovU0
今日はここまでにします。

>>613及び>>654
由良の話、いかがでしたか?お気に召さないようでしたら申し訳ございません。


明日は、リクエストにありました夕立、衣笠の話を書いていきます。

また、投下終了後に小範囲のキリ番安価を取る予定ですので、よろしければどうぞ。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

【艦これ】総司令部日和【その8】

698: 2016/02/22(月) 22:18:55.63 ID:lG9jJUBE0

引用: 【艦これ】総司令部日和