650: 2012/08/06(月) 23:25:24.35 ID:gu+H2r6AO



【銀魂】銀時「……ヒロインNo.1決定戦?」【中編】

神楽「はっ……はっ……」

神威「…………」

神楽「あ、兄貴が馬鹿なのは頭だけじゃなかったアルな……あれだけ動いて平然としてるとかどんな体力馬鹿アルか?」

神威「……馬鹿なのは一体どっちだか分からないね」

神楽「…………?」

神威「どうしてお前はこんな頃し合いを仕掛けてくるような男を未だに『兄』と呼ぶのか……」

神威「俺には理解に苦しむね」

神楽「…………」

神楽「……お前、そんなことも分からないほど馬鹿だったアルか」

神威「?」

星海坊主「ダメダメ神楽ちゃん……もうこの馬鹿息子、一発ぶっ叩いてやらなきゃ分からないから」

神威「…………」

星海坊主「先に言っとくが、お父さんの拳骨はだな……超痛いぞ」
てめーらァァァ!!それでも銀魂ついてんのかァァァ!(前編)
651: 2012/08/06(月) 23:37:00.74 ID:gu+H2r6AO
神威「次の一撃で俺を沈めるつもりかい……面白いね、いや本当に愉しい戦いだったよ」

神楽「…………」

星海坊主「…………」

神威「ああ、でも氏ぬんならさっきの俺の疑問に答えてから氏んでよね?」

その言葉に相対する二人は何の反応も示さなかった。

静寂の中、親子はただひたすらに……最後の一撃に向けて力を蓄える。

そして、数刻後

神威「はあああぁぁっ!!」

息子は親娘に対して真っ直ぐに全力の拳を打ち放った。

652: 2012/08/06(月) 23:42:49.42 ID:gu+H2r6AO
自らに向けられたその拳に対して

神楽「なんでお前を兄貴って呼ぶかって……」

親娘は

星海坊主「そんなの……」

同じく全力の拳を持って応えた。


神楽・星海坊主「血の繋がった家族だからに決まってんだろコノヤロー!!」

神威「っ!!」

653: 2012/08/07(火) 00:22:41.35 ID:U374yhJAO
神威「まさか……この俺に膝をつかせるなんてね……!」

星海坊主「…………」

神威「さすが、天下の星海坊主とその娘か。二人を相手にしちゃ、俺でも分が……」

神楽「……何言ってるアルか」

神威「…………」

神楽「あんだけ真っ直ぐな打ち込みしといて……馬鹿なこと言ってんじゃねーヨ」

星海坊主「…………」

神威「人のことを言えた義理じゃないね……俺に膝をつかせた今の攻撃……」

神威「『相手を頃す一撃』だったなら……膝をつくなんてレベルで済むはずがない」

神楽「…………」

神楽「……それでいいアル」

神威「?」

神楽「私とパピーはお前のことを頃すためにぶん殴ったんじゃないネ……ただ……」

神楽「家族として、お前を『護る』ためにぶん殴ったアル」

655: 2012/08/07(火) 22:53:44.03 ID:U374yhJAO
神威「…………あれ」

ふと、体から力が抜けて地面へと倒れ込む。

おかしい、いくら夜兎の攻撃とは言え……二人程度なら耐えられないはずが……

神楽「二人じゃないアル……」

神威「…………」

神楽「ここに来るまで色んなモン背負い込んだネ」

神楽「新八、姉御、ヅラにかぶき町の馬鹿連中……それに銀ちゃんの分も……正直もう私の中は満員電車状態アル」

星海坊主「…………」

神楽「けど……自分の背負ってる思いが重いほど力を出すおかしな連中がこの地球にはいるんだヨ」


神楽「『サムライ』って名前のおかしな連中が」

656: 2012/08/07(火) 23:06:37.09 ID:U374yhJAO
神威「なるほど……それだけたくさんの輩の力が込められてたんじゃ俺も立てやしないね」

星海坊主「…………」

神威「少しだけ分かったよ……どうして戦闘経験の浅い神楽がこれだけの力を発揮出来たのか」

神楽「…………」

神威「俺は今まで一人で戦ってきた……結局は、そこの差だったってわけだね」

神楽「……一人じゃねーヨ馬鹿兄貴」

神威「?」

神楽「お前どんだけ鳥頭アルか、私はお前をぶっ倒すために殴ったんじゃないネ!」


---「家族として、お前を『護る』ためにぶん殴ったアル」


神威「…………」

---そうか……この妹は

---家族の絆を失わないために、兄としての俺を護るために

神威「……本当に、『よく出来た』妹だよ。お前は」

657: 2012/08/07(火) 23:21:09.52 ID:U374yhJAO
星海坊主「……この馬鹿息子め、てんで素直になりやしねーな」

神威「…………」

星海坊主「ホントはまだ立てるくせに……わざわざ立てねェ振りなんぞしやがって」

神威「妙な勘ぐりは不要だと思うけどね、事実として俺はこうやって地に伏してるんだ」

神威「まあ……今まで戦いしかして来なかった体だ、少しは無理もあったのかな」

星海坊主「…………」

神威「とりあえず……この勝負については俺の負けでいいよ、『お父さん』」

星海坊主「…………」

658: 2012/08/07(火) 23:27:01.53 ID:U374yhJAO
星海坊主「う……うおおおっ!止めろこの馬鹿息子!!お父さんのことをお父さんと呼ぶなぁぁぁ!!」

神楽「いきなり何をわけわかめなこと言ってるアルかこのハゲ」

星海坊主「何か不気味だもの!神楽ちゃんはお父さん呼びでも全然オッケーってか寧ろお願いしますだけど!」

星海坊主「コイツのお父さん呼びは何か違うからね!もうポイズンのないGTOくらいなんか違うからね!」

神威「そんなこと言わないでほしいなぁ、お父さん」

星海坊主「あれェ!?なにこれ、むしろ悪意と言う名のポイズンに満ち溢れてるこの感じ!?」

神楽「…………」

神楽(ただ……ぶっちゃけもう私も体ガタガタで使い物にならないアル……)

新八……ヅラ……それに銀ちゃん……

あとは任せたネ


神楽・星海坊主……勝利

659: 2012/08/08(水) 00:35:04.96 ID:JdXwSDXAO
---

また子「……予想以上にしぶといっスね」

新八「はっ……はっ……」

武市「はっ……はっ……」

また子「てか……」

また子「なんで戦ってない先輩がはぁはぁ言ってるんスかァァァ!」

武市「いやこれがね、凄いんですよ。矢吹大先生の書く妹キャラとこの金髪の子がですね、もう凄いんです」

武市「これ見たらもう戦うしかないですよね、大江戸青少年健全育成条例改正案と」

また子「目の前の敵と戦わないで何と戦ってるんスかこの変Oは!!」

武市「私が出て行ったって邪魔になるだけでしょう、元々私は参謀担当なんで」

武市「そこの少年もずいぶんと強くなったようですからね」

新八「…………」

660: 2012/08/08(水) 00:54:30.77 ID:JdXwSDXAO
新八(戦えてはいる……けど、このままじゃ……)

成長した自覚はある。

毎日の道場訓練を怠ったことは一度もない。

それに加えて、万事屋で坂田銀時たちと時を共にしてきたことで積み重ねた実戦経験。

既に一人前の侍と呼ばれるに相応しい力量を志村新八は備えていた。

が……今回の相手は飛び道具で二丁拳銃、それも早撃ちの達人。

剣を交える戦いとは間合いも戦術も全てが異なってくる。

それに加えた数の上での不利。現在、敵の一人は戦線に加わっていないが……

油断をして背後を見せれば一刀両断にされることも十分に考えられる。

一瞬の油断さえままならない状況下での戦いを強いられていた。

664: 2012/08/08(水) 22:05:31.60 ID:JdXwSDXAO
新八「なんで……」

また子「?」

新八「なんでそれだけの腕を持っててアンタらは高杉なんかつくんですか!」

また子「…………」

新八「国を滅ぼそうとするような奴にどうして……!」

発砲音と同時、弾が新八の顔をかすめるように飛んでいく。

そして

また子「……腕は立つようになってもまだ所詮はガキっスね」

新八「…………!」

また子「自分がやってることが、本当に間違いのない正義だとでも思ってるんスか?」

665: 2012/08/08(水) 22:18:23.41 ID:JdXwSDXAO
新八「どういう意味ですか……まさか、高杉がやろうとしてる全てを壊すって事が正義だとでも言うんですか?」

また子「天人の操り人形になって、一部の人間が利権を貪り喰らうこの世界を守る事が正義だとでも言うんスか?」

新八「!」

また子「あたしらからしてみれば、晋助様の大願を阻もうとする白夜叉や桂のほうがよっぽと悪っスよ」

新八「けど……その大願ってのはあまりに極端すぎます!もっと他に色々な方法が……」

また子「方法?どんな?今の幕府政権のやり方について陳情でもすればいいんスか?」

新八「…………」

また子「もう手緩いやり方じゃ手遅れだってことは誰もが分かってるはずっス、けど日和った輩は誰も動こうとしない」

また子「だから晋助様は動いてるんスよ!この腐った世界のすべてを壊すために!」

666: 2012/08/08(水) 22:30:18.00 ID:JdXwSDXAO
新八「…………!」

ダメだ、迷うな!自分がやってることが間違いなはずがない!

今は戦いに集中を……

武市「……戦いに集中しようと考えた時点で、それは集中しているとは言えないんですよ」

新八「!」

しまった…………!

ふいに我に帰ったその瞬間には、新八の左肩は一発の弾丸によって貫かれていた。

新八「ぐっ……!!」

また子「……終わりっスね、侍が腕一本しか使えないんじゃもう勝負は見えたっス」

また子「白夜叉や桂が掲げるお前たちの正義とあたしたち鬼兵隊の正義じゃ、こっちのが上だったってことっスね」

667: 2012/08/08(水) 22:42:44.13 ID:JdXwSDXAO
新八「…………」

新八(違う……まだ僕は負けてない)

撃たれたのは幸いにも左肩、利き腕の右はまだ自由に刀を振るえる。

足も動く、痛みで思考が鈍りはするがまだ集中力が完全に切れたわけでもない。

新八(なのに……勝てる気がしない……!)

自分の正義、守ろうとしているものが揺らいだ。それはつまり、自らの戦いに迷いが生まれたのと同義……

新八(僕は……僕は一体なんのために……!)


なんのために戦ってるんですか

銀さん

668: 2012/08/08(水) 23:00:10.01 ID:JdXwSDXAO
---そして、完全に足の止まった新八に対して無慈悲な弾丸が放たれる。

669: 2012/08/08(水) 23:05:29.34 ID:JdXwSDXAO
新八「…………」

新八(撃たれた……けど、妙に飛んでくる弾が遅い……)

そうか、これは……氏の直前に人が体感するって言われてる……走馬灯みたいな……あの……なんかアレだと思う。

新八「…………」

新八(戦う理由に迷った僕は……ここで…………)

『俺ァ安い国なんぞのために戦った事は一度たりともねェ』

新八「…………!」

今のは確か……真選組動乱のときに……

『国が滅ぼうが、侍が滅ぼうが、どうでもいいんだよ俺ァ』

銀さんが言っていた……

『昔っから、今も昔も俺の護るもんは何一つ……変わっちゃいねェェ!!』

新八「…………!」

670: 2012/08/08(水) 23:10:07.70 ID:JdXwSDXAO
…………そうだ。あの時、確かに銀さんは言ってた。

銀さんが……あの天然パーマが護ろうとしてたのは、あいつらが言う腐った世界なんかじゃない。
戦う理由で迷ったなんて……僕は何を言ってるんだ!

---僕は!


新八「仲間(みんな)を護るために戦う!!」

671: 2012/08/08(水) 23:23:47.19 ID:JdXwSDXAO
また子「なっ……!」

有り得ないことが起きた、完全に隙だらけの状態で撃たれた敵が一瞬でその弾を刀で防ぎ

尚且つ一気に距離を詰め、反撃へと打って出てきた。

また子「チッ!」

やられた、不意をつかれたのは自分だった。

このまま何もしなければ討たれる……!

が……とっさに何発かの弾を犠牲にして迫り来る敵への威嚇及び自由に刀を振れないよう行動を制限する。

戦いに慣れたまた子だからこそ出来る最善手によってどうにか最悪の事態は避けられた。

また子「……何なんスか、あのガキは」

今の一瞬で自分を落としに来たその動き、それはまるで

また子「そのまんま、鬼の子じゃないっスか……」

675: 2012/08/09(木) 23:44:53.24 ID:jpiODbyAO
武市「マズいですねこれは……どうやらあの少年、色々と腹をくくったようです」

武市「あれじゃもうさっきのように言葉で惑わし、虚を突くなんてことも出来ないでしょう」

また子「……なんにしても、次の勝負で全てが決まるっス」

武市「……しかし、不可解ですね」

また子「?」

武市「あなたのような猪おん……勇猛な女性とここまで戦い」

また子「テメ、猪女って言おうとしたろ」

武市「……それでいて左肩を撃ち抜かれている、痛みだって相当でしょう」

武市「なのに……何なんでしょうね、あの表情は」

676: 2012/08/10(金) 00:14:46.87 ID:3mvtVUuAO
新八(左肩の痛みは引かない……二丁拳銃を相手に動き続けたことで疲労も溜まってる……)

正直な話……しんどい、辛い、苦しい……けど

だからこそ

新八「だからこそ……僕は笑うんだ」

それが、天堂無心マカダミアン流のただ一つの教えだから。

……ふと、声が聞こえた気がする。


---大丈夫じゃ、儂がついとる。儂から一本取ったときのように思い切り行けい!

---新坊


その声に対し

新八「はいィ!!」

少年は自らの出来る最高の笑顔を持って応えた。

677: 2012/08/10(金) 00:48:55.07 ID:3mvtVUuAO
新八「おおおおおぉぉぉ!」

また子「!」

来た……距離を詰められる前にまずは数発撃ち込んでおく……!

当然、それで今の新八を倒せるなどとは思ってはいない。

放たれた弾を回避、あるいは防御すればそれだけ攻撃を仕掛けられるタイミングが遅れることになる。

万が一、防ぎきれずに傷を負わせられたのならばそれはそれで都合がいい。

そう思い、また子は両手に持った銃の引き金を引く。

しかし、そこから弾が出ることはなかった。

「…………!」

彼女の弾は既に尽きていたのだ。

678: 2012/08/10(金) 01:01:39.39 ID:3mvtVUuAO
また子「弾切れ……先輩!弾取ってください!」

武市「わ、私に女になれと……いいでしょう、それで大江戸青年健全育成条例改正案を倒せるなら本望……」

また子「誰がそんな汚い股の玉取れって言ったっスかァァァ!弾ッスよ!銃の弾ァァァ!!」

武市「ああ、それでしたらとりあえずはこれを!」

また子「さすがッス先輩!」

武市から一発の弾を受け取ると同時にそれを銃に込めた。

まずはこの一発を確実に当てて牽制してから、弾が十分に装填されたマガジンを先輩から受け取る。

また子「撃つのは……今!」

だが

放たれた白い弾は新八に届く前に砕け散った。

679: 2012/08/10(金) 01:07:25.48 ID:3mvtVUuAO
また子「は……?」

弾が砕け……え?ちょ、え?

動揺しつつ武市のほうに目をやると足元に何か箱が落ちていた。

その箱には

『4種の成分がはたらいて、痔による痛み、出血、はれ、かゆみにすぐれた効果を発揮します』

…………

また子「これボラギノールじゃないッスかァァァァァァ!!」

武市「あ、乱戦になっていた戦場に落ちてたから拾っておいたんでした、それ」

680: 2012/08/10(金) 01:37:05.63 ID:3mvtVUuAO
武市「でしたらこれを!」

また子「!」

弾を受け取ったはいいが既に敵との距離は詰まっていた、もう狙って撃つ余裕はない。

ただ、敵の方へ銃を向けて当たることを祈り引き金を引くのみ。

また子「命に替えても、晋助様の進む道を邪魔はさせないっス!」

彼女の放った弾は

新八「っ!」

新八の腹部へと命中する。

それでも

新八「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

また子「!」

少年は立ち止まることなく駆け抜け

また子の腹部に刀を打ち込んだ。

681: 2012/08/10(金) 01:52:09.55 ID:3mvtVUuAO
また子「うっ……!」

新八(やった……)

気が緩みかけたその時、再び声が聞こえた。

---まだ終わっとらん!あと一振りじゃ、新坊!!

新八「!」

その声に従い、新八は打ち込んだその勢いを頃すことなく

武市「!」

新八「らあっ!」

全力をもって二撃目を放った。

武市「ぐっ……だからこういうのは、苦手なんだって……」

また子「…………」

武市「…………」

峰打ち、とはいえあれだけの力を込めて打ち込めばもう立つことは出来ないはずだ。

新八「か……」

勝った……確かな実感を身に刻みつつ、新八は倒れ込む。

意識が遠のく最中

---見事な一本……強ぅなったのう、新坊

新八「…………へへ」

新八「僕は……一兄と銀さんの弟だから……!」

少年は、確かにこの世を去った一人の兄と触れ合った。

685: 2012/08/28(火) 23:50:22.28 ID:jM4W/tlAO
万事屋

銀時「あぁ……やっぱこの季節は扇風機回しながらスイカ食ってんのが一番だな」

神楽「銀ちゃん、種をいちいち吐き出すのが面倒くさいネ。これ食べちゃだめアルか?」

銀時「食ったらあれだぞ、腹ん中でスイカの芽が出てにゅいーんって伸びてくんぞ」

神楽「それ本当アルか!スイカって実は恐ろしいものだったアルな!」

銀時「そうそう、危険であると知りつつもなんで俺たちはスイカを食うのか……これは人類永遠の謎だと思うね、うん」

新八「この状況が一番の謎だろォォォ!ちょっとなんなんですかこれ!なんであんたら呑気にスイカ食ってんの!?」

新八「つーか今、かぶき町総出の戦争中だよね!?スイカなんか食ってる場合じゃ……」

686: 2012/08/29(水) 00:00:46.57 ID:JFY+iUjAO
銀時「いいんだよ今日は、ぱっつぁん……日付見ろって」

新八「8月28日……ですけど……それが何か……あ」

銀時「気付いたか」

神楽「早いもんでもう一周年アルな……時の流れは早いアル」

銀時「一周年ってことはあれだ、俺らにとっちゃ今は正月みてーなもんだろ」

新八「ああ、言われてみれば確かにそうですよね……じゃあ僕もスイカを」

新八「薄ら天パに向かってスパーキィィィング!!」

銀時「へばっ!」

新八「一周年とか正月とか何をお祝いムードになってんですか!ダラダラ引っ張りすぎにも程があるでしょうが!」

銀時「……わーってるよ、じゃあとりあえず宣言すっから……ベタベタすんぞスイカで」

神楽「8月中に完結させるのは変わらないアル、明日明後日辺りでスパート掛けるネ!」

銀時「つーわけで……行くぞテメーらァァァ!」


銀時「ってもう29日じゃねェかァァァァ!!」

690: 2012/08/29(水) 22:20:49.14 ID:JFY+iUjAO
---
ターミナル屋上

高杉「クク……まさか、ここでテメーらとやり合うことになるとは思わなかったぜ」

桂「……本当に、そう思っているのか?」

坂本「…………」

桂「感じていたはずだ、いずれ……俺たちは互いに刃を向け合うことになると……」

高杉「…………」

桂「お前は前に言ったな……先生と共に過ごしたあの時から俺たちは誰一人として、同じ方向など向いていなかったと」

桂「……それは俺とて否定は出来ない」

桂「だが、進む道が違えど……それでも俺たちは共に歩むことが出来たはずだ……」

高杉「…………」

桂「何故歩めなかった……俺たちは共に」

691: 2012/08/29(水) 22:50:43.55 ID:JFY+iUjAO
高杉「ヅラ……何を勘違いしてやがる」

桂「…………?」

高杉「今の俺とテメーらの違いは……道だの進む方向だの、そんなモンじゃねーんだよ」

高杉「歩みを止めたかどうかの違いだ」

桂「何……?」

似蔵「隙だらけだね」

桂「!」

不意を付かれた……この場にいる敵は高杉だけではなかった、分かっていたはずだ……!

間に合わない……斬られる……!

人斬り似蔵の一刀に桂は動けず、

桂「……っ!」

次の瞬間、桂が耳にしたのは金属音だった。

そして目に見えたのは

坂本「人様が話しちょる時にちょっかい出すのはいかんぜよ」

銃で刀を受ける仲間の姿だった。

692: 2012/08/29(水) 23:08:47.55 ID:JFY+iUjAO
坂本「アッハッハッハッ!高杉!おまん、少しばかり部下への指導がたらんようじゃの」

高杉「…………」

桂「辰馬……!」

坂本「いやーしっかし間一髪じゃったのー、なあヅラ」

桂「ヅラじゃない桂だ……だが、礼を言う」

坂本「気ィ抜いたら最後じゃ……先方さんにゃ既に儂らと商談をする気なんぞない」

桂「……どうやら、そのようだな」

もはや、口から出す言の葉など何の意味も持たない。

坂本「儂はあの似蔵とか言うのを相手取る……ヅラ、高杉は……」

桂「ああ……奴は必ず、この俺が止めてみせる」

桂(行くぞ……銀時……!)

693: 2012/08/29(水) 23:37:08.41 ID:JFY+iUjAO
…………

どれほどの時間が経ったのか、どれだけの数を打ち合ったのかは分からない。

高杉は

高杉「弱くなったな……ヅラ、攘夷の時とは比べるまでもなく」

桂「何……!」

高杉「刀の腕じゃねェ……テメーの刀に込める魂が軟弱になったって言ってんだ」

桂「魂だと……何を言って……!」

高杉「テメーに俺は斬れねェよ……俺を斬れるだけの力量も、覚悟も、何ひとつとして持ってねェ

桂「…………!」

694: 2012/08/30(木) 00:10:31.47 ID:oHRpy1SAO
坂本「おっと……!」

似蔵「よく避けるねぇ……さすがに攘夷時代、あの人と共に最前線で戦っていただけのことはある」

坂本「それも昔の話じゃ……今の儂はただのしがない商人じゃき」

似蔵「……刀」

坂本「?」

似蔵「刀を使おうとしないのは……商人から再び侍へと戻るのが怖いからかね?」

695: 2012/09/01(土) 00:00:44.75 ID:j+OTrshAO
坂本「これはまた……ずいぶんと愉快な問いを投げつけられた」

似蔵「…………?」

坂本「一つ聞くが……侍はなんじゃ?」

似蔵「侍……どういうことかね?」

坂本「刀ぁ振り回しとりゃそれが侍になるのかと聞いとるんじゃ」

696: 2012/09/01(土) 00:05:41.64 ID:j+OTrshAO
坂本「刀を使うだけなら誰でも出来る……おんしのような輩ですら」

似蔵「おかしいね……どうも、それじゃあこの似蔵が侍じゃないと言っているように聞こえる」

坂本「聞こえたままじゃき、わしはおんしのことを侍とは思っちょらん……」

似蔵「…………」

坂本「おんしの刀で、わしを斬ることなぞ到底出来ん」

似蔵「面白い、本当に……面白いねぇ」

697: 2012/09/01(土) 00:20:19.24 ID:j+OTrshAO
高杉「ほォ……辰馬の奴、似蔵を挑発するとはな……」

桂「アイツは未だに本気を出してはいない……似蔵を乗せて一気にケリをつけるつもりだろう」

高杉「クク……ケリを『つける』、か」

桂「……何がおかしい」

高杉「なに……間違いに気付いていない馬鹿を見るのがおかしかっただけだ」

桂「何だと……?」

高杉「このままじゃ奴はケリを『つける』んじゃねェ……『つけられる』ことになるだろうな」

698: 2012/09/01(土) 00:41:32.55 ID:j+OTrshAO
坂本「っ!」

似蔵「どうしたかね、アンタはそんなモンじゃないだろう?」

坂本「…………」

坂本(なんじゃ……この違和感は)

坂本「……その刀、まさか」

似蔵「気が付いたかね、この刀の名は『紅桜』……油断すれば使い手の体すら乗っ取る、怖いねぇ」

坂本「風の噂では聞いとったが……確かその刀は確かすでに……」

似蔵「確かに一度は白夜叉に砕かれた……が、とあるきっかけから再生することに成功してね」

坂本「なるほど……その再生に手を貸したのが、鬼兵隊が手を組んでおった春雨、というわけじゃな」

似蔵「クク……これは鋭い」

699: 2012/09/01(土) 00:47:05.38 ID:j+OTrshAO
坂本(しっかし……あの刀が妖刀紅桜であったとしたら……!)

似蔵「あんたと斬り合いをすることでこの刀もドンドンと学習していく……嬉しい限りだ」

坂本「わしが使っちょるんは銃じゃき、それから一体なにを学ぶと言うんじゃ」

似蔵「ああ……あんたの立ち回りや受けの仕草、実に参考になってるよ……」

坂本「…………」

坂本(長期戦になるだけこちらが不利……なら)

坂本「突撃じゃあぁぁぁ!」

700: 2012/09/01(土) 00:59:05.51 ID:j+OTrshAO
桂「馬鹿か辰馬!真正面から突っ込んで何を……!」

高杉「フン…………」

似蔵「…………」

似蔵(ただ真っ直ぐ来るはずがない、これは何かの策が……)

坂本「どけどけェェェ!わしゃは辰馬じゃ!竜馬じゃき!おんしに福山雅治を斬れるか!?」

似蔵「なさそうだね、これは」

ズバッ

坂本「ぐっ!?……えっ、ちょ……ホントに?福山だよ?ほら、腕のあたりちょっと斬っちゃったよ?」

桂「誰が福山ァァァ!?」

701: 2012/09/01(土) 01:17:26.33 ID:j+OTrshAO
坂本「こりゃ……わしじゃあどうにもならんか……」

似蔵「侍がどうとか言っていたアンタもその程度かい……酷く興ざめだね」

坂本「まあ……わしゃあおんしが侍じゃないと言ったのは間違いと思っちょらん」

似蔵「まだ言うかい……大した肝っ玉だ」

坂本「おんしの刀には何も籠もっておらん……そんな刀の使い方をする者をわしは侍とは呼びとうない」

似蔵「クク……刀を持ってすらいないあんたがそんな言葉を口に出来るのかい?」

坂本「フ……わしゃあ」

似蔵「!」

刹那、似蔵が背後から感じた気配……殺気……彼は一瞬で理解した。

辰馬の突撃は何の考えもなしに行われたわけではない、と。

自分をここに誘き出すだめに仕組んだ罠であったことを。

702: 2012/09/01(土) 01:27:10.09 ID:j+OTrshAO
---

新八「…………っ」

しまった、意識を失っていた。一体どれだけの時間が経ったのだろう。

新八「早く……桂さんのところへ行かないと……!」

その時、新八は気が付いた。自らの傷口に布が巻かれ、血止めの処置がしてあることを。

そしてその布には見覚えがある

新八「これは……!」

それは自らの働き先、あのちゃらんぽらんの上司がいつも着ている着物とよく似ていた。

---
ターミナル屋上

似蔵「貴様……」

似蔵の背後を取った男は全力で踏み込み

「らあっ!!」

似蔵「うぐっ……!」

その片腕を斬りとばした。

坂本「言いかけじゃったな……確かに今のわしゃあ刀を持っちょらん、ただ……」

坂本「仲間(ばか)の持つ刀に魂は置いてきた……!」


銀時「誰が馬鹿だコノヤロー」

705: 2012/09/01(土) 22:45:12.53 ID:j+OTrshAO
桂「ぎ、銀時!貴様……」

銀時「あーあー、とりあえず何も言うな面倒くせーから……体なんざ問題じゃねーよ」

銀時「かぶき町を巻き込んだパーチーなんざそうはねェ、来ないわけにはいかねーだろ」

銀時「なぁ……主催者の高杉くん」

高杉「フン……しぶとく生きてやがったか、銀時」

銀時「なんだオイ、感動の再会に涙でも流してくれんのか?ん?」

高杉「ああ、テメーの馬鹿面を拝んだせいで笑い転げて涙が出るところだ」

706: 2012/09/01(土) 23:23:57.39 ID:j+OTrshAO
桂「……いつ以来だ、俺たち四人が一堂に会したのは」

坂本「…………」

桂「あの激しかった攘夷運動も……俺にはもはや遠い彼方のことのように感じる」

高杉「俺には昨日のことのように感じるぜ……ガキの頃も、テメーらと戦った攘夷も」

高杉「その果てに、打ち首にされた先生を見たことも……全てが頭から離れやしねェ」

高杉「……くだらねェ世界だ、腐りきった……ここまで腐りきった国を変えることなんざ出来やしねェ」

坂本「だから……国を破壊しよるか、高杉」

桂「貴様の怒りももっともだ……だが、それは……」

銀時「止めとけテメーら」

高杉「…………」

銀時「このウスラ馬鹿は口で何を言おうが聞きやしねェ」

銀時「あとは……刀(コイツ)で語るしかねーよ」

707: 2012/09/02(日) 00:13:12.16 ID:zhWuDGQAO
高杉「クク、馬鹿にしちゃ上出来じゃねーか……」

銀時「ターミナルの屋上で待ち構えてる時点であれだろうが……ドラクエの魔王気取りか。世界の半分くれんのか?」

高杉「世界なんざいくらでもくれてやらァ……すべてをぶっ壊した後の世界をな」

銀時「…………」

銀時「ヅラ、辰馬……あの改造刀はテメーらに任せた」

坂本「刀……紅桜のことを言っとるんか?あれはさっきおんしが腕を叩き斬ってそこに倒れちょるき……」

銀時「野郎はそれくらいでくたばるようなタマじゃねェ」

似蔵「……さすが、白夜叉だね」

716: 2012/10/21(日) 12:00:10.05 ID:Hg1wAIbJ0
謝罪ってなんだろうね?
―――

銀時「…………」

新八「…………」

新八「……ちょっと銀さん、何黙ってんですか。何か言うことがあるでしょ」

銀時「……え?何?何かあったっけ?」

新八「……八月に終わらせるとか大法螺吹いて挙句の果てに二か月近く間を空けてんですよ」

銀時「……いや、あのアレだから。俺にとってはまだ八月は終わってないから」

銀時「俺の中ではいまだに夏休みだからね、真夏の太陽がギラギラしてるからね」

新八「違うだろォォォォ!!髪だけじゃなくて頭の中まで焼け焦げてんのかアンタはァァァァァ!!」

新八「こういう時は何があろうとまず謝罪でしょうが!出来損ないの政治家でもそれくらいのことしますよ!」

717: 2012/10/21(日) 12:00:50.67 ID:Hg1wAIbJ0
銀時「……一応アレだ、聞いてくんね?」

新八「何ですか、今さら言い訳すんですか」

銀時「なんつーの……事情くらい言っとかねーとまずいだろ」

新八「……簡潔にお願いしますよ」

銀時「じゃあ、こんな感じで」

718: 2012/10/21(日) 12:01:32.95 ID:Hg1wAIbJ0
某日

銀時「…………」

新八「銀さんどうしたんですか、ぐったりしてますけど二日酔いですか?」

銀時「一杯ひっかける金も今はねーよ、近頃なーんか体調が良くなくてな」

銀時「体はだるくて動かねーし?頭はたらかねーし?天パだし?新八だし?」

新八「いや後半二つ関係ないですよね……病院行ったらどうですか?」

銀時「……ババアに金借りて行くしかねーか、ロクに仕事できねーし」

719: 2012/10/21(日) 12:02:18.53 ID:Hg1wAIbJ0
病院

医者「入院だね、これ」

銀時「あの、そういうのいいんで、大袈裟に入院とか言って病院に金落とさせようとしなくていいんで」

医者「…………」

銀時「…………」

銀時「……え、マジで?」

医者「いや別に自宅療養でもいいんだけどね、入院したほうが確実な治療が出来るって話なんだよね」

銀時「マジすか先生、俺の天パも確実に治療してくれますか」

医者「あんたのそれは心の捩れだからむしろ精神科に行ったほうがいいよ」

720: 2012/10/21(日) 12:04:02.94 ID:Hg1wAIbJ0
医者「坂田さんも運が悪いねホント、この病気って普通は子供が掛かりやすいんだけどね」

銀時「アレです、俺は毎週ジャンプ読んでるんで。心はいつまでも少年なんで」

医者「もう一度氏んで子供からやり直したらいいんじゃないかな?」

銀時「先生、命を扱う医者が[ピーーー]とか言っていいんですか」

721: 2012/10/21(日) 12:05:24.98 ID:Hg1wAIbJ0
――――

銀時「……みてーな?」

新八「……一か月半も入院してたんですかアンタ」

銀時「いやそれは十日くらいだったんだけどよ……ほら、あんだろ?色々と」

新八「なんでそこをフワッとした感じで誤魔化してんですか」

銀時「……いや、もう何かアレだ。俺もう何も言えねーわ、怖くて。」

銀時「怒ってんだろみんな絶対、ブチ切れてるだろ絶対」

新八「……だとしてもとりあえず、やらなきゃいけないことがあるでしょ」

銀時「……えー、八月に終わらせるとか大法螺吹いて、挙句に遅れた連絡もせず」

銀時・新八「ほんっとすいませんでしたァァァァァァァ!!」


マジすいません、今日の夜中から再開します。今度は嘘じゃないっす。

727: 2012/10/21(日) 23:36:38.80 ID:Hg1wAIbJ0
似蔵「腕を斬り落とすなんて酷いことするねアンタも、以前にアンタんところの坊やが俺にやったのと同じじゃないか」

銀時「腕?妖刀の間違いだろ……落とされてもまた持ち主の腕にくっつくバケモノ刀……」

似蔵「クク……アンタの相手はしばらく後だ」

辰馬「ワシのところへ来るんか!?」

似蔵「まだ、勝負の続きだったからね」

辰馬「い、一端休憩じゃ!一、二の三でワシはこの銃を置く、おまんはその刀を置く。どうじゃこの商談は?」

似蔵「生憎、俺は刀を置くことが出来なくてねぇ……この通り、刀は腕そのものだ」

辰馬「ヅ、ヅラ!銀時!高杉の相手はおんしらに任せた!」

桂「辰馬!」

辰馬「ワシはあれじゃ!コイツを引き連れて逃げるき!」

似蔵「逃げ切れると思ってるのかね、この人斬り似蔵から」

辰馬「おそ!商人の逃げ足の速さ、舐めたらいかんぜよ!」

728: 2012/10/21(日) 23:38:47.91 ID:Hg1wAIbJ0
桂「辰馬……!」

銀時「ヅラ、テメーは辰馬の援護に行ってくれや」

桂「なに?」

銀時「見た感じ、あの紅桜……俺とやったときよりも力が強くなってやがる」

桂「なんだと……?」

銀時「あれだ、亀仙人とジャッキー・チュンくらい違うわ」

桂「いやそれ同じ人物だろ、何も変わってないだろそれ」

銀時「ばっかお前、ジャッキーはアレだから。萬國驚天掌を使ってるからね」

729: 2012/10/21(日) 23:41:15.93 ID:Hg1wAIbJ0
銀時「とにかく、細かいこと言ってんじゃねーよ……ここは俺に任せてさっさと行っとけ」

桂「銀時……」

銀時「国をぶっ壊すなんて法螺吹きを叩きのめすのは祭り好きの馬鹿の仕事だ、お前の出る幕じゃねェ」

桂「…………」

桂「背負うつもりか……貴様は、また一人きりで……!」

銀時「背負う?なんで俺がこんな大馬鹿の面倒見なきゃならねーんだ」

桂「なに…………?」

銀時「背負う荷は二人分だ。ヅラ、テメー一人だけじゃ背負えねーだろ」

桂「…………!」

730: 2012/10/21(日) 23:42:31.04 ID:Hg1wAIbJ0
銀時「行け……そんで、必ず帰って来い。辰馬と二人で」

桂「…………」

桂「分かった……だが、必ず背負わせろ。俺と辰馬の二人でな」

銀時「…………」

銀時「分かった」


銀時・桂「約束だ」

731: 2012/10/21(日) 23:43:20.69 ID:Hg1wAIbJ0
―――

高杉「よォ、ずいぶんと長いご高説だったな」

銀時「その長いご高説を待っててくれるたァずいぶんと殊勝じゃねーか」

高杉「今生の別れだ……未練が残らねェようにしとかねーとな、テメーみたいな輩に祟られても迷惑だ」

銀時「どういう意味だコノヤロー。かけてやろうか、靴はいたら必ず靴擦れが起こる呪いをかけてやろうか」

高杉「……フン、牙は抜け落ちてもその馬鹿さ加減は昔と変わらずだな。銀時」

銀時「定春が来てから牙はもう間に合っててな、牙突はもう腹いっぱいなんだよ」

732: 2012/10/21(日) 23:49:56.03 ID:Hg1wAIbJ0
高杉「…………銀時」

銀時「あん?」

高杉「さっき、テメーは背負う荷が二人分とか抜かしてやがったが……どんな結果になろうが荷は一人分よ」

銀時「…………」

高杉「俺が勝とうが、兆に一つテメーが勝とうが……出る氏体は一つだけだ」

銀時「…………」

高杉「せいぜい、氏んで背負われることがねーよう神に祈りでも捧げるんだな」

銀時「なら俺の財布に取りついてる貧乏神にでも祈っとくわ、テメーの分までな」

高杉「……変わってねーのは馬鹿さ加減だけじゃねえ、その減らず口もだったか」

銀時「……だったらどうだってんだ?」

高杉「黙らせてやるだけだ、氏人に口なしとはよく言ったモンだな……この上なく分かりやすいじゃねーか」

銀時「…………」

高杉「構えな……一瞬で終わっちまうぜ」

銀時「テメーに俺の『約束』は折れやしねーよ」

733: 2012/10/21(日) 23:50:59.76 ID:Hg1wAIbJ0
―――

キィン!

辰馬「あたたたた!ちょ、ちょっと待たんかい!」

似蔵「待てと言われて待つ馬鹿がどこにいるかね?」

辰馬「おまん、刀のない丸腰相手に全力出して恥ずかしいと思わんのか!」

似蔵「思わないねぇ、敵が武器を持ってない好機なら迷わず斬るべきだ」

辰馬「アッハッハッハッハッ、いやー参った!正論過ぎて何も言えんのう」

似蔵「それにアンタ……持ってるじゃないか。片手に銃を……」

辰馬「…………」

734: 2012/10/21(日) 23:52:00.37 ID:Hg1wAIbJ0
辰馬「こんな銃、無暗に撃ったところで威嚇にもならん……撃てるとすれば」

似蔵「…………?」

辰馬の口元がわずかに上がった。と同時、似蔵は背後から一つの気配を感じ取る。

それは研ぎ澄まされた刃のごとき、一撃で命を刈り取る氏神を思わせるかのような

桂「――――!!」

狂乱の貴公子による―――明確な殺気。

735: 2012/10/21(日) 23:52:58.82 ID:Hg1wAIbJ0
似蔵「っ!」

体をそらし、振り下ろされる初撃の刃をかろうじて躱す。

が、この攻撃がそれだけで終わるはずもない。次に襲い来るは……

似蔵(斬り上げによる二撃目……)

似蔵はすべてを察知した。そしてその二撃目は到底躱しきることはできないものであることも。

ならば

似蔵「!」

桂が刃を反す一瞬により生まれた時間、わずかではあったが似蔵には十分であった。

斬り上げを受け防ぐことができる位置にまで己の紅桜を置いておくことは。

736: 2012/10/21(日) 23:53:40.97 ID:Hg1wAIbJ0
似蔵(防いだ……)

これで桂の二撃目も防ぎきれる、刹那の間に彼はそこまで思考していた。

そして、思考の最中で彼は聞いた。

辰馬「商人を相手にするときは話は最後まで聞くモンじゃき」

似蔵「!」

もう一人の敵の発した声を。

辰馬「威嚇にもならんこの銃を撃てるとすれば……信頼のおける仲間が援護に来てくれたときくらいじゃと」

己に向かって放たれた一発の銃声を。

737: 2012/10/21(日) 23:57:27.69 ID:Hg1wAIbJ0
似蔵「……参ったねこれは、酷い商売人もいたもんだ」

辰馬「おんしが最後まで説明を聞かんのが原因じゃき」

辰馬「ワシくらいのレベルになると、健康食品のCMで左下に小さく書かれてる(個人の感想です)はもちろん」

辰馬「洗剤CMで除菌ができるアピールでCGの洗浄イメージを見せるとき、必ず少しだけ汚れが残ってるのも見逃さん」

似蔵「っ…………!」

弾丸を受けた場所が腕や足、最悪は腹部であったっとしてもまだ戦えただろう。

だが、目の前の商人の放った弾丸。友を信頼して最後まで撃たなかったその弾丸は正確に似蔵の心臓を捕える。

やられた―――、それが『似蔵』の最後の思考だった。

738: 2012/10/21(日) 23:58:20.65 ID:Hg1wAIbJ0
桂「……間一髪、といったところか」

辰馬「いやー!あっはっは!さっすがヅラじゃき、礼を言うぜよ!」

桂「変わらないな辰馬、その人を馬鹿にしたかのような笑いは」

辰馬「あっはははは、実際に馬鹿にして笑っとるからな」

桂「斬り殺されたいか貴様」

辰馬「まあなんにしてもこれはワシの性分じゃ、こればかりは変えられん」

桂「……だが、それでいいのかもしれないな」

辰馬「…………?」

739: 2012/10/21(日) 23:59:53.56 ID:Hg1wAIbJ0
桂「変わることが悪いとは言わん。だが奴のように……高杉のように変わってしまうのなら……」

桂「…………」

辰馬「……変わっちょらんのうヅラ、相変わらず馬鹿じゃき」

桂「…………?」

辰馬「ヅラ、おんしにとって高杉はなんじゃ?」

桂「俺にとって……?」

辰馬「ワシゃ……アイツを友だと思っちょる、国を潰そうなんぞ馬鹿なことを考えとっても」

辰馬「だからこそ、ワシはアイツを止めなきゃならん。間違った道に友が進むのを黙って見てるわけにはいかん」

740: 2012/10/22(月) 00:03:53.85 ID:BfTRQsrl0
桂「…………」

辰馬「誰かが誤ったらそれを正す、それが昔から変わらぬ友の役目じゃき」

桂「……ああ、そうだな」

俺は何を言っていた。

変わってしまったことを嘆くばかりで、何一つとして動くことが出来なかった。

辰馬も、今まさに刃を交えているであろう銀時も、仲間を見捨てようとはしていない。

銀時『全力で、テメーをぶった斬る!』

あの時の奴の言葉、あれは高杉自身を斬るのでなく

高杉の心に打ち勝つ、その意思表示だったのか。

桂「……俺も、変わらねばな」

そう、この二人のように。

741: 2012/10/22(月) 00:06:17.14 ID:BfTRQsrl0
辰馬「なーにをカッコつけとるか、ヅラのくせに生意気じゃき」

桂「お前はどこのガキ大将だ」

辰馬「あはははー、まったくじ……」

その時、自らの体に流れる冷たい汗を辰馬は感じた。

それは恐怖にも似た警戒心、己の背後にいる何者かの存在に第六感が警鐘を告げた証。

桂「伏せろ辰馬!」

声を聞くや、辰馬は倒れこむように前転をする。自らの上を何かが通過するのを感じた。

空気を切り裂く感覚、わずかながらに聞こえた金属音。間違いなく太刀だった。

一瞬でも初動が遅れていたら間違いなく体は両断されていただろう。

辰馬「……すまん、ヅラ」

桂「謝っている場合ではないぞ、辰馬」

その、凶悪なまでの一撃を振るったのは

似蔵「…………」

似蔵ではない、『似蔵を支配した何か』だった。

756: 2012/12/24(月) 00:10:59.62 ID:930Pukab0
銀時「クリスマスってサンタさんが来るじゃん? で、何やかんやでみんなハッピーな気分になるじゃん?」

銀時「そんなちょっと浮いたような空気だったらしれっと再開しても誰も怒らないよね、うん」

銀時「何が言いたいかって言うと、二か月間も空けてマジですいません」

757: 2012/12/24(月) 00:15:04.15 ID:930Pukab0
辰馬「心臓を撃ちぬいたはずじゃ……あれで動くのなら、もはや人ではなくなっちょるな」

桂「己の心を刀に支配された男だ……そしてあれもただの刀ではない」

辰馬「噂には聞いちょったが……妖刀紅桜、まさか持ち主の体まで操るか」

桂「……この刀を使え、辰馬。あれを相手に銃だけでは命はないぞ」

辰馬「…………」

桂「……辰馬?」

758: 2012/12/24(月) 00:15:36.06 ID:930Pukab0
辰馬「いや、少しばかり懐かしくなっての……あの頃が」

辰馬「戦争中、おまんが一人で敵に突っ込んだときは頭がおかしくなったかと心配じゃったき」

桂「お前に言われたくない」

辰馬「あはははー、全くじゃ!」

桂「……それに、今回はあの時とは違う」

辰馬「ああ、今は一人じゃなか……」

桂「……行くぞ!」

辰馬「突撃じゃあぁぁ!」

759: 2012/12/24(月) 00:16:32.21 ID:930Pukab0
狂乱の貴公子と呼ばれ、最前線で戦い続けた桂小太郎。

免許皆伝の腕を誇り、戦場でも常に味方の士気を上げる存在であった坂本辰馬。

その二人を持ってしても

辰馬「くっ……ワシゃあ化物でも相手にしとるんか!? これで商談なんぞ出来るかい!」

桂「下がるな辰馬!一気に押し込まれるぞ!」

以前より強化され、さらに暴走した紅桜は一筋縄ではいかなかった。

桂「ちっ……!」

桂は懐から何かを取り出し、それを地に向かって投げつける。炸裂したと同時、あたり一帯に粉塵が舞い上がった。

煙幕だ。

760: 2012/12/24(月) 00:17:05.92 ID:930Pukab0
似蔵「っ!」

紅桜に支配されている状態でほとんど意識のない相手にこんな手が通じるか、一抹の不安はあった。

が、やはり視界を奪うことは有効だったらしく、似蔵の動きが一瞬止まる。

男はその機を逃さない。

辰馬「ハアアアアッ!」

勝負を決するために踏み込んだ一歩、風を共に敵を両断せんとする一撃を

似蔵「…………」

似蔵の体を操る紅桜は受け流していた。そして

反撃。

761: 2012/12/24(月) 00:18:14.79 ID:930Pukab0
辰馬「しまっ……」

それは、単なる真っ直ぐな突き。単純ゆえ、最速の攻撃。

攻撃に意識を向けていた辰馬には、防ぐことは愚か躱すことさえ不可能である、直突き。

体が貫かれるのは当然のことだった。

762: 2012/12/24(月) 00:20:49.13 ID:930Pukab0
辰馬「ぐっ……」

鮮血が辺りを赤く染める、誰もが勝負は決したと確信するであろう場景。

だが

辰馬「商談……成立じゃき……」

男は、自らの体を貫く刀を両手で握りしめ

辰馬「おまんの化物じみた動きを止められるなら……儂の体を一突き程度、安いやすい……」

そして

桂「オオオオオオオッ!」

友を信じた男は刃を振るう。

763: 2012/12/24(月) 00:23:52.76 ID:930Pukab0
似蔵「…………!」

紅桜が今までに収集したデータには入っていなかった、その戦い方に

互いに命を預け合う勇気を持った二人の攘夷志士の戦いにより

決闘に、幕が下ろされる。

残されたのは、粉々に打ち砕かれた妖刀の残骸と

その刀の呪縛から解放され倒れ伏す、似蔵の体のみだった。

764: 2012/12/24(月) 00:26:06.24 ID:930Pukab0
桂「無事か、辰馬!」

辰馬「あたた……も、もう少し左に刺さっちょったら本当に仏さんになるところじゃ」

桂「……急所は逸れたか、だが動くなよ。体を貫かれていることに変わりはない」

桂「だが……あの一瞬でよく急所を外したな、商人ばかりして腕が鈍っているかと思ったが」

辰馬「いや、儂は何もしちょらん……あの突きはどうしようもなかったきに」

桂「なに……?」

辰馬が躱しも防ぎもしなかったのに、紅桜が急所を外した……?

人体を斬り、敵を両断し、すべてを破壊しつくすことに特化したあの紅桜が?

765: 2012/12/24(月) 00:40:17.69 ID:930Pukab0
不審な顔をする桂に、辰馬は一つの答えを胸元から取り出した。

それは、紅桜の突きによって半分が斬り裂かれている古びた名簿。

桂「これは……お前……!」

載っている名前には見覚えがあった、かつて共に攘夷戦争を走り抜けた

そして志半ばにして命を落とした仲間たちの名。

辰馬「何で儂ぁ……今日に限ってこんなものを持っとったんじゃ」

桂「…………」

辰馬「……守ってくれたのかもしれん、逝った連中が……儂らのことを」

774: 2013/01/19(土) 17:55:39.51 ID:ZSJ34TfG0
銀時「まあ年も変わったし、改めてヒロインナンバーワン決定戦でもやるか」
桂「改めてスペシャルゲストを何名か呼んできたぞ」
アスカ「式波・アスカ・ラングレーよ」
レイ「…綾波レイ」
新八「あれ?ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qでは綾波レイはアヤナミレイ(仮称)のはずでは」
銀時「そんなことはどうでもいい。で、こいつらを呼んだお前の狙いは何だ」
桂「ヒロインのベンチマークとして呼んだ」

776: 2013/01/20(日) 08:04:03.57 ID:cf0VeoJo0
アスカ「だいたい何でこのあたしたちがこんな場に呼ばれなきゃいけないわけ」

レイ「早く帰って碇君とぽかぽかしたい」

月詠「ぬしら、わがままもほどほどにせい」

アスカ「あんたバカぁ? わがままも何もあたしらは銀魂キャラじゃないでしょうが」

778: 2013/01/20(日) 12:08:07.47 ID:cf0VeoJo0
新八「彼女たちを呼ぶこと自体が失敗なんじゃないですか」

桂「そういうものか、新八君」

新八「少年ジャンプとヤングエースではファン層があまり重ならないじゃないですか。いくら銀魂がエヴァをパロってる箇所があるとはいえ、元ネタを知らない人もいるだろうし」

銀時「確かにぱっつあんの言う通りだな。じゃあ、アイツらには帰ってもらうか」

アスカ「言われなくても帰ってやるわよ」

レイ「そうね」

785: 2013/02/24(日) 23:41:31.45 ID:5Fju0N6k0
桂、坂本が似蔵を討ち取ったのと時を同じくして、もう一つの激しい戦いが繰り広げられていた。

銀時「ぐっ……!」

それは戦いと呼ぶべきではないのかもしれない。

高杉「…………」

休むことなく放たれ続ける暴力的な攻撃を、必氏に受け止めているその様は

とても『戦い』と言い表すことができるものではなかった。

786: 2013/02/24(日) 23:51:12.63 ID:5Fju0N6k0
高杉「銀時……テメェ、本当に弱くなったな」

銀時「テメーこそ、腹に穴が空いてる怪我人相手にずいぶんと手こずってるじゃねーか」

高杉「フン……その減らず口だけは変わっちゃいねェらしい」

銀時「変わらねーのはテメーも一緒だろうが」

高杉「…………」

銀時「ガキの頃から何も成長してねぇ、どんだけ腕が上がろうが体がでかくなろうが中二病こじらせようが」

銀時「テメーは結局、あの時のまま……ガキだって言ってんだよ」

787: 2013/02/24(日) 23:59:56.07 ID:5Fju0N6k0
高杉「フン……なら、テメェは何だ銀時」

銀時「?」

高杉「過去から目ェ逸らして、この腐った世界を享受してのうのうと生きるのがテメーの言う大人か?」

銀時「…………」

高杉「俺ァ……実際にそういう生き方をしてやがるテメーが何よりも許せねェんだよ」

高杉「刀握って天人とやり合ってた昔のテメーのほうが幾分かマシだったぜ」

788: 2013/02/25(月) 00:07:30.93 ID:hmd6RYmJ0
銀時「忘れちゃいねーよ」

高杉「なに?」

銀時「俺ァ忘れちゃいねーよ……先生のことも、学んだことも、失ったことも」

銀時「なにも、忘れちゃいねーよ」

高杉「…………」

銀時「何のために俺がこんなめんどくせーところまで体引きずってきたと思ってやがる」

高杉「…………?」


桂「分からないか、高杉」

辰馬「友を護るためじゃろう、銀時」

789: 2013/02/25(月) 00:24:49.22 ID:hmd6RYmJ0
銀時「テメーら……」

高杉「ほォ……似蔵を退けやがったか」

桂「高杉……もう貴様に勝ちの目はない」

辰馬「おんしの連れ込んだ夜兎はもう戦える状態にはない、鬼兵隊も同じじゃき」

桂「戦えるのはもはや貴様一人だけだ……お前だけで覆せるほど、この世界は甘くはないぞ」

高杉「…………」

790: 2013/02/25(月) 00:35:43.66 ID:hmd6RYmJ0
銀時「テメーら、下がってろ」

桂「何をするつもりだ銀時、これ以上の戦いに意味は……」

銀時「意味なんざ知ったこっちゃねーよ……俺ァただ、この寝ぼけた馬鹿を一発ぶん殴ってやるだけだ」

高杉「…………」

銀時「テメーのことだ、一人になろうがなんだろうが戦いは止めねーだろ」

銀時「世界だのなんだの大法螺吹く前に、目の前の馬鹿を潰してみな」

高杉「……クク、すべてを壊そうとする馬鹿に守ろうとする馬鹿か」

銀時「何をすることが正しいのか、そんなモンを今さら言い合うつもりはねーよ」

高杉「元々テメェは話し合う頭なんざ持ち合わせちゃいねェだろう」

銀時「俺とテメー、どっちが上手く法螺を吹くことができるか……」

高杉「白黒はっきりつけようじゃねーか」

791: 2013/02/25(月) 01:05:41.24 ID:hmd6RYmJ0
辰馬「止めんのかヅラ、こんな勝負にはもう意味は……」

桂「ヅラじゃない桂だ、そういうお前こそなぜ何もしようとしない?」

辰馬「…………」

桂「……邪魔をしてやるな、ああでもしなければ話をすることも出来ない不器用な馬鹿たちの会話を」

辰馬「それを呑気に眺めちょる儂らはなんじゃろうな」

桂「……フッ、俺たちも奴らと何ら変わらんさ」

792: 2013/02/25(月) 01:26:09.66 ID:hmd6RYmJ0
銀時「…………」

最後の時に備え、銀時は全ての神経を刀へと集中させていた。

鞘なき居合と表現すべき、数々の相対者を両断してきた特有の構え。彼らには見慣れた光景だった。

高杉「…………」

間合いを取る二人はもう口を開くことはなかった。

一瞬も集中を切らさないためか、あるいはこれ以上の言葉は必要のないものであると理解したからか。

決闘と呼ぶにふさわしい、張りつめた空気が辺りを覆っていた。

だが、彼らの浮かべていた表情は

とても穏やかな、友への親愛に満ちているかのごとき

微笑みだった。

793: 2013/02/25(月) 01:46:37.44 ID:hmd6RYmJ0
銀時「ウオオオオオオオオッ!」

高杉「!」

雄叫びと共に銀時は地面を蹴りだす。十分あったはずの間合いは、すでに刀の射程圏へと変化していた。

高杉(……あの時と変わらねェ速さだな、銀時)

素人ならば風が通り抜けたと錯覚を起こしかねない、見事なまでの加速。

だが、それは高杉にとっては見慣れた速さでもある。

高杉(一撃を受け止めてからの反撃……それでシメーだ……)

加速し直線的に向かってくる相手にはそれが最も効果的であるのは経験から理解していた。

数ある天人の中にはより速い動きをする者もいた、剣術の力量だけを比較すれば引けを取らない自信もある。

相手が坂田銀時であろうと、それは変わらない……

銀時「――――!」

高杉(いや……違う)

侮っていた、目の前の男を天人や並みの剣客と比較するのは間違っている。

戦場において最強と呼ばれ、白い悪魔……白夜叉とまで呼ばれた男を相手に

一歩でも退けば、確実に命を刈り取られる。

高杉「!!」

直前で高杉は選択を変えた、敵の初撃を防ぐのではない。

こちらの初撃を相手に与える……!

795: 2013/02/25(月) 01:57:13.41 ID:hmd6RYmJ0
高杉「オオオオオッ!」

振り上げた刀を真っ直ぐに振り下ろす、動きだけで見ればこの上なく単純である。

単純であるが故……最も速い。

――殺った、銀時の刃の位置を見て彼は確信した。

銀時の刃が自らの体に触れる前に、自らの振り下ろした刀を防ぐ前に、間違いなくこちらの攻撃が届く。

やはり退かないという選択肢は正しかった、銀時も初撃は受け止めてくると予測していたはずだった。

だからこそ、刃が抜き切れていない。

防ぐことも、躱すことも不可能だった。

796: 2013/02/25(月) 01:59:58.99 ID:hmd6RYmJ0
だが、高杉の腕へと返ってきたのは

肉を切った感覚でも、刃で攻撃を受けられた衝撃でもない

高杉「!?」

まるで、予想だにしない感触であった。

797: 2013/02/25(月) 02:10:52.15 ID:hmd6RYmJ0
柄。

それは刀を握る個所であるというのが意味合いとしては正しいし、実際の使用法もそうであろう。

そこを攻撃として使用するなどあまり考えられることではない。

よほどの実力差がある場合において、峰打ちの要領で敵へ攻撃することはあり得るだろう。

だが、同じ程度の力量を持った相手に対して峰を攻防に使用することなど常識では考えられない。

高杉「…………」

抜き切れていない、下を向いている刀身を振り上げて間に合わないのならば柄を使って防ぎやがる、か。

……そういや、テメェの強さは馬鹿みてーな身体能力だけじゃなかったな。

流れる雲のごとき我流の太刀筋……そんなことを高杉は頭に思い描いていた。

798: 2013/02/25(月) 02:20:38.33 ID:hmd6RYmJ0
高杉(俺の見立てが間違ってたらしいな……銀時よ、結局のところテメェは変わっちゃいなかった)

ガキの頃からそうだった……何もかもが違っていたはずの俺たちだったが、それでも戦場では最後まで共にいた。

どれだけ自分が間合いを取ろうが、距離を置こうが

この男は、それを一瞬で飛び越えて自らの隣へ並び立つ。

互いに数えきれないほどの悪態をつこうが、どれだけそりが合わなかろうが、見えている景色が違っていようが

所詮は小さな問題にすぎなかったのかもしれない。

高杉(……その甘さも、何もかもな)

彼には見えたのだ。

自らの体に刀が触れる直前に、刃を峰へと反したその動きが。


――勝負は、決した。

800: 2013/02/25(月) 02:57:22.70 ID:hmd6RYmJ0
銀時「はっ……はっ……」

桂「銀時……お前……!」

辰馬「そのボロボロの体でよう動いたの、おんしはまったく体力馬鹿じゃき」

銀時「天然馬鹿のテメーに言われたかねーよ」

高杉「…………」

高杉「銀時、テメェ……何で斬らなかった」

銀時「血が出てなきゃ斬られたことにならねェとでも思ってんのかテメーは」

高杉「…………」

桂「言っただろう高杉、銀時がここに来た理由を」

高杉「そいつはもう聞き飽きた……俺を討って、テメェの仲間共を護れてよかったな」

辰馬「まーだそんなことを言っちょるんか」

高杉「なに?」

桂「銀時は仲間を護るためにここへと来た、それはお前の言う通りだ……だが高杉」

桂「お前も、俺たちの仲間だろう」

辰馬「おんしがどれだけ否定しようが、儂らはそう思っちょる」

801: 2013/02/25(月) 03:18:50.82 ID:hmd6RYmJ0
新八「銀さん!」

神楽「銀ちゃん!」

銀時「……ようテメーら、元気そうで何よりだ」

新八「銀さん……やったんですか」

銀時「さあな、元凶のアイツはまだ生きてるしな」

新八「けど……勝ったんですよね」

銀時「……何泣きそうなツラしてんだお前、ようやくめでたしめでたしになるところだろうが」

新八「だって……結局は銀さんじゃないですか」

銀時「あん?」

神楽「私たちが護るって言ってたネ、かぶき町も住人も……怪我してた銀ちゃんのことも」

神楽「それなのに結局は、銀ちゃんが……」

802: 2013/02/25(月) 03:27:55.62 ID:hmd6RYmJ0
銀時「ガキのくせに担げもしねー荷物を背負ってんじゃねーよ」

銀時「そんなことしてる暇があるんなら笑っとけ笑っとけ」

銀時「テメーら万事屋だろうが、そんなツラで客の相手なんざできねーだろ」

新八「……はい」

神楽「普段はマダオのくせに、こういうときだけカッコつけるから立ち悪いアルな」

銀時「見栄を切ってるときにそういうこと言うの止めてくんね?」

803: 2013/02/25(月) 03:33:26.97 ID:hmd6RYmJ0
高杉「……残念だが、まだ終わりには一足ばかり早いらしいな」

高杉「いや……本当に終わりが来ちまったのかもしれねェ」

桂「何……?」

高杉「上を見てみな……もう、すぐそこまで来てやがる」

辰馬「あの戦艦……まさか……!」

銀時「…………」

高杉「天導衆共ののお出ましだ」

807: 2013/02/26(火) 23:13:39.25 ID:VGONKjvd0
銀時「……テメーが仕組んだことか」

高杉「確かに俺ァ一部の春雨と手は組んじゃいるがな、奴らとはかかわりを持っちゃいねェ」

辰馬「……奴さん、美味しい所を全部持っていきよるつもりじゃな」

桂「地球を手中におさめ、加えて目障りな存在であった高杉一派をもまとめて始末をするつもりか」

新八「ど、どうするんですか銀さん」

銀時「……これでようやく甘いモンでも食えるかと思ってたところで混ぜっ返されたんだ、やることは一つだろ」

新八「…………!」

銀時「残っちまった食べかす、爪楊枝でほじくり出してくる」

808: 2013/02/26(火) 23:21:17.13 ID:VGONKjvd0
高杉「馬鹿は馬鹿でも救いようのねェ馬鹿だな銀時よ……今のテメェじゃ奴らと勝負にすらならねェ」

桂「腹に穴が開いているのだぞ、それにお前にはもう戦える体力など残ってはいないはずだ……ここは俺が……」

銀時「人間、ケツにだって穴が空いてるんだ。今さら一つや二つ増えたところで変わりゃしねーよ」

桂「だが銀時……!」

辰馬「無駄じゃきヅラ、銀時はこう言い出しよったらもう意地でも動かん」

桂「…………」

辰馬「ここまで来れば戦うだけじゃ……あの時のように」

810: 2013/02/26(火) 23:27:01.54 ID:VGONKjvd0
銀時「そういうわけだ……新八、神楽、お前らは早くここから離れろ」

新八「嫌ですよ! 僕だって侍なんです、ここまで来て逃げるなんて……」

銀時「…………」

神楽「私たちだって万事屋の仲間アル! 銀ちゃんが戦おうとしてて私たちだけ……」

銀時「……じゃあ依頼だ」

新八「え?」

銀時「万事屋のテメーらに依頼するって言ってんだ」

新八「依頼……?」

銀時「……下にいるかぶき町の連中を、アイツらを護ってやってくれ」

811: 2013/02/26(火) 23:33:12.57 ID:VGONKjvd0
新八「……ずるいですよ銀さん、ワンピースのウソップ海賊団じゃないですか」

銀時「…………」

新八「言い方はどうであれ……結局はみんなと一緒に逃げろってことじゃないですか」

桂「新八くん……」

新八「……けど、いいです。分かりました」

新八「僕たちは万事屋です、依頼されればどんなことでも引き受ける……それが『万事屋銀ちゃん』ですから」

神楽「…………」

新八「ただし……」

神楽「私たちからも、銀ちゃんに依頼があるネ」

銀時「…………?」

新八「僕たちの依頼は――――」

812: 2013/02/26(火) 23:48:34.99 ID:VGONKjvd0
――――

桂「さて……奴らがどう動いてくるか、だな」

銀時「どうなんだ高杉」

高杉「馴れ馴れしく聞いてくるんじゃねーよ、俺ァお前らと共闘するつもりなんざ……」

銀時「いつまで『孤高の俺かっこいい』やってるんだテメーは、奴ら叩き潰してーのは一緒だろうが」

高杉「……元老は姑息な連中だ、いきなり地上に降りてくることはねェだろうよ」

高杉「少なくとも、自分の首の狙ってるような輩が生きている間は船から降りてこねェ」

辰馬「なら……ワシらを黙らせる連中を先に送り込んでから、じゃな」

桂「……来るぞ」

813: 2013/02/27(水) 00:16:30.10 ID:8jcJJxCy0
ターミナルのはるか上に浮かぶ元老の乗った戦艦からはエンジンの音が響くのみ。

驚くほど静かだった船。そこから一集団が姿を現し、ターミナルへと降り立った。


朧「……見知った顔が並んでいるな」

高杉「……フン、いきなりテメェからか」

辰馬「な、なんちゅうことじゃ……アイツは……誰じゃったか、ヅラ」

桂「お前、少し黙っていろ」

朧「久しいな……まだ生きていたか、白夜叉よ」

銀時「しぶとさにゃ俺も自信があるけどよ、テメーも大概じゃねーか?」

814: 2013/02/27(水) 00:35:30.27 ID:8jcJJxCy0
桂「四人だけで出てくるとは……待ち構える俺たちに数を合わせたつもりか?」

朧「この人数で十分と判断したのだ……お前たちとこの町の人間どもを黄泉へ送るにはな」

辰馬「あっはっはっ、やーれやれ。ずいぶんと腕に自信があるようじゃな!」

高杉「……銀時。テメェ、少しばかり前にコイツとやり合ったらしいな」

銀時「……下手すりゃ氏ぬってレベルじゃねーな」

桂「…………」

銀時「コイツら相手にしたら、下手しなくても氏ぬぞ」

815: 2013/02/27(水) 00:44:14.16 ID:8jcJJxCy0
桂「一人一殺だ……誰か一人でも奴らに負ければ」

辰馬「とたんに二対一じゃな……さすがにそれじゃ勝ち目がなか」

高杉「フン……」

銀時「……行くぜテメーら」


「背中は、預けた」

816: 2013/02/27(水) 01:15:05.43 ID:8jcJJxCy0
――――

月詠「て、天導衆じゃと……!」

九兵衛「そんな……まさか、奴らが直接地球へ乗り込んでくるなんて……!」

新八「信じられないかもしれませんけど本当です! 一刻も早くここから離れてください!」

あやめ「ぎ、銀さんは! 銀さんはどうなったの!?」

新八「無事です……でも、きっと今頃……」

月詠「……戦っているんじゃな、わっちらのために」

817: 2013/02/27(水) 01:40:18.03 ID:8jcJJxCy0
妙「……逃げちゃダメよ、みんな」

神楽「あ、姉御……?」

妙「このままこっちが負ければ結局地球はお終いです……どこへ逃げたって一緒」

妙「だったらせめてここから、ターミナルの下からでも……上で戦っている銀さんたちと共にいなきゃ……」

新八「で、ですけど姉上……銀さんはみんなに逃げてほしいって……」

妙「氏ぬ気で戦ってる主人公を置いたまま何もしないで逃げるなんて、ヒロインのすることじゃないわ!」

818: 2013/02/27(水) 01:48:50.51 ID:8jcJJxCy0
あやめ「ちょっとお妙さん、何一人でヒロイン気取っちゃってるのよ」

妙「猿飛さん、あなたはもう逃げていいのよ。だってあなたはヒロイン候補じゃない……あっ、ごめんなさい」

あやめ「ヒロインは私に決まってるでしょ! いい加減にしないとぶっ飛ばすわよ!」

妙「やってみろやコルァ」

新八「世界の危機になにやってんだアンタらはァァァァァ!」

九兵衛「フ……そういえば、始まりはそんなことをしていたな」

月詠「まったく……騒がしい連中じゃ」

九兵衛「君はいいのか、ヒロインなんてやりたくはないと言っていたと思ったが?」

月詠「……自分たちのために戦ってくれている男に声を掛け続けることができるのなら」

月詠「ヒロインになるのも悪くはない……そう思ってきたところじゃ」

820: 2013/02/27(水) 02:13:55.81 ID:8jcJJxCy0
――――

銀時「…………」

朧「……終わったか、想定していたより早く終わったな」

桂「どうした銀時! お前が最初に根を上げてどうする!」

銀時「……っ!」

朧「まだ生きていたか……だが、もはや立ち上がることもままならないはずだ」

銀時「くっ……!」

朧「白夜叉、お前の体が動かないのは当然……気力や精神論の話ではない」

朧「傷に傷を重ね、拾うまでもが極限にまで蓄積された状態……よく今まで無茶を出来ていたものだ」

銀時「無茶なんざしちゃいねーよ……今までに何度面倒事に首突っ込んできたと思ってんだコノヤロー」

銀時「その潜り抜けてきた修羅場が何よりも問題なのだ」

822: 2013/02/27(水) 02:21:22.28 ID:8jcJJxCy0
――――

銀時「…………」

朧「……終わったか、想定していたより早く終わったな」

桂「どうした銀時! お前が最初に根を上げてどうする!」

銀時「……っ!」

朧「まだ生きていたか……だが、もはや立ち上がることもままならないはずだ」

銀時「くっ……!」

朧「白夜叉、お前の体が動かないのは当然……気力や精神論の話ではない」

朧「傷に傷を重ね、拾うまでもが極限にまで蓄積された状態……よく今まで無茶を出来ていたものだ」

銀時「無茶なんざしちゃいねーよ……今までに何度面倒事に首突っ込んできたと思ってんだコノヤロー」

朧「その潜り抜けてきた修羅場が何よりも問題なのだ」

824: 2013/02/27(水) 02:37:25.49 ID:8jcJJxCy0
銀時「…………?」

朧「白夜叉……どうやらお前は攘夷戦争が終わった後、腕が鈍っていたものの戦いは続けていたようだな」

朧「確かにその程度の傷、これまでに幾度も経験してきたことだろう」

銀時「…………」

朧「分からないか、その度重なる酷使によってお前の体が悲鳴を上げていることに」

銀時「!」

朧「……妙な仕事をしていたらしいな、どんな依頼でも引き受ける……万事屋と言ったか」

銀時「……人の生活観察して楽しいかコノヤロー。ストーカーはあの雌豚だけで十分だ」

825: 2013/02/27(水) 02:47:34.32 ID:8jcJJxCy0
朧「もうお前に守れるものなど何もない……仲間も街も、国もすべて我らが破壊しつくす」

朧「先に逝かせておいてやる……冥土で師に挨拶でもしておくがいい」

朧「お前が氏ぬのは……苦しむ仲間を助けたいと長きに渡ってくだらぬことをし続け、傷を負った結果だ」

銀時「…………」

朧「……最後に言うことはあるか」

銀時「ああ……テメー、鼻毛出てんぞ」

朧「…………」

次の瞬間、命を奪い去る一撃が銀時の体に加えられる。

それは、誰もが一目でわかるほど

即氏に値する一撃だった。

826: 2013/02/27(水) 02:55:00.33 ID:8jcJJxCy0
…………

知らない天井だ。

じゃねーよ、どこだここ。来た覚えねーんだけどこんなところ。

待て待て、うん。一回落ち着こうか、うん。俺ァさっきまでなにやってた?

アレだろ、ターミナルで高杉の馬鹿とやり合って……最後の最後でめんどくせー連中が出てきてだ……

……ああ、思い出したわ。

で、これはアレか。

銀時「……くたばったらしいね、俺も」

天国だか地獄だか知らねーが……まあ、そういうことなんだろうな。

827: 2013/02/27(水) 03:14:19.19 ID:8jcJJxCy0
「君らしくないですね、ここで投げ出すつもりですか?」

…………

懐かしい声が聞こえた気がした。

銀時にとって、遠く、懐かしく、深く、そして誰よりも温かみを感じさせる声。

振り返った先にあった光景、それは

銀時「せ……」

幼き自分に教えを与えてくれた、昔と変わらぬ姿をした

銀時「先生!」

師の姿だった。

828: 2013/02/27(水) 03:24:57.22 ID:8jcJJxCy0
松陽「久しいですね、ずいぶんと大きくなったものです」

銀時「先生と会ってるってことは、俺は……」

松陽「君は氏んではいませんよ。とはいっても、非常に危険な状態ではありますが」

銀時「…………」

松陽「どうしました? 君の仲間たちはまだ刀を取って戦っている……もう、君は諦めるのですか?」

銀時「体がもう動かねーんだ……先生」

銀時「……俺ァ、先生みてーにはなれなかった」

松陽「?」

銀時「あんだけ仲間失って、もう誰も傷つけさせたくねぇと思っても」

銀時「結局は、その俺が一番にくたばりかけてる……」

松陽「……なるほど、私のようにはなれなかった……ですか」

松陽「それで、いいじゃありませんか」

829: 2013/02/27(水) 03:37:42.66 ID:8jcJJxCy0
銀時「…………?」

松陽「君は私ではありません、どうして私と同じである必要があるんですか?」

松陽「君は君らしく、君のやり方で、君自身の手で……大切なものを護ればいいんです」

銀時「せ、先生……」

松陽「銀時、あなたに私が初めて会ったときに何を言ったかまだ覚えていますか?」

銀時「…………」

松陽「大丈夫、君なら戦えます……私とは違う君ならば……」

松陽「君との約束を違え、先に逝った私とは違う君ならば……きっと彼らを救えます」

松陽「護っておやりなさい、仲間も、町も……そして、約束も」

830: 2013/02/27(水) 03:45:10.49 ID:8jcJJxCy0
銀時「……ワリーな、先生」

松陽「?」

銀時「土産を持って先生の所へ行くのはまださきになりそうだ」

松陽「……その時が来るまで、またしばしの別れです」

銀時「……ここから俺ァ、誰一人として取りこぼさねェ……剣の届く範囲の全員を護りぬく」

銀時「『約束』だ」

松陽「ええ……『約束』ですよ」

銀時「じゃ……何十年後かに氏んだときにはまたよろしくな、先生」

831: 2013/02/27(水) 03:47:57.85 ID:8jcJJxCy0
――――

松陽「強くなった……剣の技ではない、その心が……」

私は、あなたたちの師であれたことを誇りに思う。

さあ

白銀に輝く、魂と云う名の刃を手に

行きなさい、そして

生きなさい

832: 2013/02/27(水) 04:03:58.06 ID:8jcJJxCy0
――――

朧「…………!」

不可思議なことが起こった。

自分は間違いなく全力でこの人間に攻撃をした、手ごたえはあった、骨を打ち砕く感覚もはっきりと捉えた。

ただでさえ体を引きずっているような状態であった男、それも貧弱な人間の男だ。

どう考えても、氏んでいないはずがない。

なのに

朧「なぜお前は立ち上がっている!」

銀時「…………」

833: 2013/02/27(水) 04:13:45.25 ID:8jcJJxCy0
――――

新八「銀さん……!」

妙「大丈夫……信じましょう。あの人ってちゃらんぽらんでもやるときはやるって新ちゃんが一番よく知ってるでしょ?」

神楽「頑張ってよ銀ちゃん! 負けたら承知しないアル!」

九兵衛「しかし……こちらも手痛い被害を受けたな、数えきれない負傷者を出した」

月詠「……この状態ではもう戦うこともままならぬな」


天人「そうか……お前たちはもう、まともに戦うこともできないか」

834: 2013/02/27(水) 04:19:13.85 ID:8jcJJxCy0
あやめ「増援……こ、こいつら……まだこんなに……!」

月詠「マズイ、離れろ!」

天人「天下の春雨にここまで大暴れしてくれたんだ……相応の代償は払ってもらわないとなぁ」

九兵衛(くっ……疲弊した僕たちだけではこの人数は……!)


「そこまでだ」

835: 2013/02/27(水) 04:22:32.12 ID:8jcJJxCy0
天人「何だお前は……囲め! コイツを囲むんだ!」

「天人よ……余の顔を見忘れたか」

天人「…………!」

天人「まさかお前は……確か侍の国の……!」

将軍「…………」

新八「…………」

新八(将軍かよォォォォォ!!)

836: 2013/02/27(水) 04:34:42.90 ID:8jcJJxCy0
将軍「天人よ……奇襲により我らが国へと攻め込み、余の民を傷つけるとは言語道断……」

将軍「氏人を出していない今ならばまだ猶予を与えよう……大人しく宇宙へと帰るのだ」

天人「帰るのはお前だ徳川茂茂……ただし、還るのは宇宙ではなく土だがな」

将軍「何……?」

天人「将軍だろうと今となっては関係がない、こいつもまとめて斬り捨てろ!」

将軍「余の命は天下の命……そして国を支える民たちのためにある命……」

将軍「天人のような悪党に、世の命を渡すわけにはいかぬのだ」

天人「構うな! 斬れ! 斬れぇ!!」

将軍「…………」チャキッ


暴れん坊将軍テーマ『デーンデーンデーン! デデデデデデ! デーンデーンデーン!』

837: 2013/02/27(水) 04:40:46.45 ID:8jcJJxCy0
すいません、今日の夜にまた来ます

843: 2013/02/28(木) 02:19:50.85 ID:KuG8LxN70
BGM『暴れん坊将軍、殺陣のテーマ』


天人「ラアアッ!!」

将軍「!」

民のため、国のため、将軍は刀を振るった。

太刀筋は凄まじい迫力で襲いかかる敵を圧倒し、さらには優雅さをも感じさせる……

そして

将軍「…………」

天人「っ……!」

立ち回りの最中で放たれる将軍の睨みに、天人たちはただ圧倒されるのみ。

まさしく、一騎当千と呼ぶにふさわしい強さだった。

844: 2013/02/28(木) 02:28:55.86 ID:KuG8LxN70
…………

天人「…………」

将軍「成敗」

新八「…………」

将軍「皆の者、無事であったか?」

新八「え……ちょ、エェェェェェ!? ちょっと待ってくださいよコレェェェェ!?」

将軍「む、何か問題があったか?」

新八「あっちもこっちも問題だらけでしょうが! あれだけいた天人が全員斬り捨てられてるんですよ!?」

将軍「心配はするな、峰で撃ってる……氏んではいないだろう」

新八「いやそういう問題じゃなくてですね! 何なんですか将軍! アンタそんなに強かったんですか!?」

将軍「あまり刀を握りたくはないのだが……民を護るためならば致し方あるまい」

将軍「アッチのほうは足軽であろうと、剣の腕は将軍だ」

新八「ちょっとォォォ! 何でアンタ、上様のくせに公共の場でアッチは足軽とか言っちゃってるんですか!?」

845: 2013/02/28(木) 02:43:27.90 ID:KuG8LxN70
将軍「それより……皆はすでに理解しているだろうが、事態は一刻の猶予も許されない」

将軍「このままでは国そのものが天人に乗っ取られる危険性もある……」

妙「ターミナルの屋上で銀さんたち……私たちの仲間が戦っているんです!」

将軍「仲間が……?」

信女「それはきっと天照院奈落……元老たちが邪魔な人間を先に排除させるために送り込んだ精鋭部隊……」

沖田「なんかそういうことらしいですぜ」

新八「沖田さん! 無事だったんで…………」

沖田「俺ァこの通り無事だ……おう、もっと早く歩かねーかい」

信女「はい……申し訳ありません」

新八「色々と無事じゃないですけどね、敵だったはずの女の子を馬代わりにしてる時点で色々と壊れてますけどね」

沖田「斬りあいしてる最中にホップステップジャンプの三段階を挟むとな、自然とこうなっちまうんだよ」

846: 2013/02/28(木) 03:04:42.60 ID:KuG8LxN70
近藤「う、上様! ご、ご無事で何よりです!」

将軍「心配をかけたな、だが余は大丈夫だ……傷を負っている者たちの手当てをしてやってくれ」

近藤「承知しました! 聞いたかお前ら! 負傷者の手当ては俺たちの仕事だ!」

真選組『はっ!』

土方「話は戻るが……つまるところ、奴らを束ねる元老一派ってのははまだあの船の中にいるってことだな」

妙「ど、どうにか出来ないんですか!? 空を飛んでる船を攻撃できる武器とか、真選組は持ってないんですか!?」

土方「悪いがそんな都合のいいモンは持ち合わせちゃいねェ……総悟、お前はどうだ」

沖田「さすがに桂にぶっ放してるバズーカじゃあ厳しいでしょう……撃ち落とす云々の前に届きもしないでさァ」

新八「だったらどうすれば……!」

将軍「…………」

将軍「使いたくはなかったが、ここまで来ればやむを得ない」

847: 2013/02/28(木) 03:08:49.72 ID:KuG8LxN70
新八「え……?」

将軍「私に、考えがある」

新八「将軍んんんん! 何か最後の最後まで頼りになりすぎんですけど将軍んんんんん!!」

土方「……失礼ながら上様、そのお考えとは」

沖田「あーあ汚ねーや土方さん、いっつも『将軍のお守りかよ』とか言っといてこういうときだけ『上様』たァ」

土方「斬り頃すぞテメー!!」

近藤「そ、それで……そのお考えとは?」

将軍「うむ……では、私についてきてくれるか?」

848: 2013/02/28(木) 03:26:16.15 ID:KuG8LxN70
――――
某所

新八「ここは……?」

将軍「この江戸にはいくつかの隠された施設がある……ここはその一つだ」

近藤「トシ……お前、この場所知ってたか」

土方「トップのアンタが知らねーのに俺が知ってるはずがねーだろ」

将軍「ここにはとある武器が収められている……江戸の開国を機に使用を禁じられたものだ」

新八「えっ……ま、まさかあの戦艦を撃ち落とせるようなすごい武器があるんですか!?」

将軍「うむ……我らの国も一度これを受け、大打撃を負うこととなった」

新八「そ、そんなものが……!」

将軍「ああ、名を……」


将軍「『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』と言う」

新八「ちょっと待てェェェェェ!!」

849: 2013/02/28(木) 03:39:05.22 ID:KuG8LxN70
新八「えっ! ちょ……えっ!? ネオアームストロングって……あの卑猥な大砲って本当にあったんですか?」

近藤「新八君は確か雪まつりで作っていなかったか?」

新八「いや、だってあれはそういうシリアスな感じじゃなかったじゃないですか!?」

新八「思わないもの普通は! あんな悪ふざけにしか見えない大砲、存在するなんて思わないもの!」

土方「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲……この世からもう消えたはずの兵器じゃねェのか?」

沖田「そういう武器ってのは往々にして残ってるモンでさァ」

新八「エェェェェェ!? やっぱり僕だけ知らない感じなんですか!?」

将軍「江戸城の天守閣を吹き飛ばし、江戸を開国させるきっかけとなった最終兵器だ」

新八「本当に僕たちの国ってこんなしょうもない形をした大砲に大打撃を食らったんですか!?」

851: 2013/02/28(木) 04:13:55.71 ID:KuG8LxN70
土方「しかし……なるほど、これなら奴らの戦艦をも吹き飛ばせるかもしれねェ」

将軍「うむ……砲台を両脇にある球体にエネルギーを限界まで蓄えさせ、一気に放出する。おそらくは行けるだろう」

近藤「分かります、毎日シコシコやるよりかは何日か溜めて一気にスプラッシュさせたほうが気持ち良いですからな」

新八「近藤さん、割と本気で言いますけど一度でいいから氏んでください」

沖田「で……コイツのエネルギーってのはどれぐらいで溜まるんですかい?」

将軍「……そのエネルギーの問題も、この武器を封じた要因の一つでもあるのだ」

852: 2013/02/28(木) 04:33:02.06 ID:KuG8LxN70
新八「どういうことですか?」

将軍「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲のエネルギーは通常のそれではない」

将軍「一言で言い表すのなら……生命力、と言うのが正しいか」

沖田「何ですかいそりゃ、ドラゴンボールの元気玉か何かですかい?」

将軍「限りなくそれと近いだろう、おそらくあの漫画はこの兵器の設定を参考にしたのだろうな」

新八「何いきなり天下のドラゴンボールに訳の分からないパクリ疑惑を擦り付けてんのォォォ!?」

将軍「威力も計り知れないが……それに伴うだけのデメリットも大きい」

将軍「力を抜かれすぎてしまった人間は……氏に至ってもおかしくはない」

土方「…………」

将軍「……この兵器を何とか改良し、代用のエネルギーで使用することは不可能だろうか?」

新八「源外さんならもしかして……いや、そんなことをしてる時間はもう……!」

853: 2013/02/28(木) 04:44:12.34 ID:KuG8LxN70
妙「エネルギーだったらありますよ」

新八「あ、姉上! どうしてここに!?」

月詠「…………」

九兵衛「…………」

あやめ「…………」

妙「私たちが……かぶき町のみんなが、ここにいるじゃないですか」

854: 2013/02/28(木) 04:55:36.06 ID:KuG8LxN70
神楽「新八ィ! 何お前一人だけでこんな面白そうなモンいじってるアルか!」

鉄子「私たちにも、力を貸せるんだろう?」

辰巳「かぶき町の底力ってのを見せてやらないとな!」

新八「神楽ちゃん……それに鉄子さんたちも……!」

クリステル「私も、頑張っちゃいますよー!」

清明「皆の者聞いたか! クリステルの頑張っている姿、早くカメラで録画だ!」

道満「甘いな清明! こちらのキャメラのほうが高画質だ!」

新八「何やってんですかアンタたちは」

近藤「……こんな時にまで出張ってくるのかいお巡りさん、わざわざあの世から来るとは驚いた」

佐々木「エリートですからね……それに、あなたも私を頃すつもりでは斬らなかったでしょう」

土方「…………」

855: 2013/02/28(木) 05:04:10.17 ID:KuG8LxN70
妙「他にもたくさん……数えきれないくらいたくさんの人が……ここにいるんです」

将軍「……良いのか、私には皆の無事を保証することができない」

将軍「余の勧めた兵器によって民を危険にさらすことになっては……」

月詠「覚悟は出来ておる……ここにいる全員が」

あやめ「あのふざけた船を撃ち落とせるんでしょ、だったらいくらだってやってやるわよ」

九兵衛「僕たちで役立てることがあるのなら……屋上で戦っている侍たちと共に戦うことができるのなら……」


『これくらいのこと、いくらでもやってやろう』


将軍「…………」

将軍「……余は、皆の将軍であれたことを誇りに思う」

863: 2013/03/02(土) 01:17:51.85 ID:Hhlsa+CA0
――――

朧「何故だ白夜叉……貴様の体はとうに限界を超えているはずだ! どんな小細工をした!」

銀時「地獄行きの電車にゃ乗ったんだけどよ……乗車券買ってねーから追い返された」

朧「どこまでも戯言を……!」

銀時「戯言、結構じゃねーか……男が口にすることの七割は戯言だって昔の偉いなんとかっておっさんが言ってる気がする」

銀時「……ついでだ、もう一個だけ言っといてやらァ」

朧「何……?」

銀時「さっきテメーが言ったろうが……なんだ、俺が今までくだらねーことやってたから命を落とすだのなんだのと……」

864: 2013/03/02(土) 01:25:05.29 ID:Hhlsa+CA0
銀時「てめーで言うことじゃねーが……一つだけ言っといてやらァ」

朧「…………?」

銀時「俺にとっちゃ、俺がやってきたことはくだらなくなんかねーよ」

銀時「かぶき町で大勢の馬鹿と馬鹿騒ぎしたことも」

銀時「鬼隠しとかいう事件を止めたことも……話を聞かねェわがまま女の団でドタバタしてたのも……」

銀時「超能力者だの魔術師だのとやり合ったのも……魔法少女だかと無限残機を潰してたのも……」

銀時「その全部が、俺にとっちゃ大切な繋がりだ」

朧「何を……言っている……?」

銀時「……俺ァ一度テメーらに負けてすべてを失った、師も仲間も国も」

銀時「残ったのは、刀振る以外に何もできねえようなこの体だけだ……」

銀時「そんな馬鹿な俺にもう一度繋がったこの腐れ縁の糸……てめーで切っちまうわけにはいかねーんだよ」

865: 2013/03/02(土) 01:31:26.82 ID:Hhlsa+CA0
朧「……それで、その腐れ縁の糸とやらを護るのに必氏なお前に何が出来る?」

銀時「大したことは出来やしねェ、が……これでも万事屋の看板を背負ってんだ、ちょっとした依頼くらいこなさねーとな」

朧「依頼?」

・・・

新八『……これが僕たちからの依頼です、銀さん』

神楽『絶対成功させろよコルァ』

・・・


銀時「テメーをしめて万事屋(ウチ)に帰る、たったそれだけの簡単な依頼だ」

866: 2013/03/02(土) 02:04:19.93 ID:Hhlsa+CA0
桂「銀時……生きていたか……!」

辰馬「あの馬鹿がそう簡単に氏ぬるはずがなか」

高杉「…………」

桂「奴が俺たちの背中を護っているんだ……ならば、奴の背中を護る俺たちもここでやられるわけにはいかんな」

高杉「…………」

高杉「……フン」

桂「なんだ……高杉」

高杉「存外……難しいモンだな、護るってのは」

桂「…………」

高杉「ぶっ壊すだけなら一瞬だ……なのに、同じ戦いでこうも違ってくるとは思わなかったぜ」

辰馬「だからこそじゃ」

桂「だからこそ……俺たちはこうして戦える、そうだろう?」

高杉「……馬鹿には敵わねェな」

867: 2013/03/02(土) 02:22:45.85 ID:Hhlsa+CA0
銀時「ウオオオオオッッ!!」

朧「…………!」

朧(馬鹿な……何故ここで速さが増す? 一撃が重くなる?)

銀時「へっ、テメー程度じゃ俺をあの世へ連れてくことは出来ねーよ!」

朧「!」

銀時「氏にぞこないを体を思いっきりぶん殴っても頃しきれねーような奴じゃ、話にもならねーな」

朧「これが……地獄への片道切符だ! 白夜叉ァ!!」

先に全力で叩いたのは胴体……それすら生きてこの世に舞い戻る鬼ならば

頭を打ち砕くのみ。

肉を、骨を、ひとつ残らずすべてを吹き飛ばすであろう一撃を……!

868: 2013/03/02(土) 02:30:08.93 ID:Hhlsa+CA0
銀時「……ワリ、地獄行きの切符だけどよ。何か買い間違えちまったみてーでな、俺ァもう持ってんだよ」

朧「!」

刹那、彼は思考した。

……なぜだ、なぜ自分は頭を狙って拳を放った?

驚異的な体力を気力で持たせてはいるものの、目の前の人間は明らかに限界だ。

わざわざ頭を狙わずとも、この一撃が入りさえすれば勝負は決するはずだった。

なのに、なぜ!

朧「…………!」

『氏にぞこないの「体」を思いっきりぶん殴っても頃しきれねーような奴じゃ、話にもならねーな』

あの時か! 直前に白夜叉の言葉を耳にしていなければ……体を殴っても殺せぬと思いこまなければ……!

『戯言、結構じゃねーか……男が口にすることの七割は戯言だって昔の偉いなんとかっておっさんが言ってる気がする』

あの戯言さえ……

あの戯言さえ聞いていなければ!!


銀時「テメーの名前が入った指定席だ……大事に持って行きやがれェェェ!」

869: 2013/03/02(土) 02:37:25.38 ID:Hhlsa+CA0
――――

たま「皆さま……準備はよろしいですか?」

妙「ええ……いつでも」

たま「すみません……からくりの私ではエネルギーを供給することが出来ず……!」

新八「いいんですよ……そんなたまさんだから、発射スイッチを押すことができるんですから」

将軍「……民に命令などしたくはないが、将軍の名を持って一つ勅を出そう」

新八「?」

将軍「誰一人として取りこぼすことなく……全員、生きて明日を迎えよ!」

近藤「将軍……!」

土方「……ま、上の命令にゃ逆らえねーからな」

沖田「氏んでくれー土方ー、命令違反して汚名を背負った挙句に氏んでくれ土方ー」

土方「生きて明日テメーを叩き斬ってやらァ!」

870: 2013/03/02(土) 02:47:18.64 ID:Hhlsa+CA0
たま「行きます!」

全員がエネルギー供給装置に手を触れた状態。

たまによって発射スイッチが押された瞬間、両脇のエネルギータンクが満ちていく。

新八「お、思ったより大分キツイですねこれ……あぐっ……!!」

神楽「へたれるなヨ新八ィ! これぐらい……どうってことないアル……!!」

長谷川「無理無理ィ! もう無理ィ! 氏んじゃうってこれぇェェェ!」

神楽「マダオお前いい加減にしろやコルァ! 最後くらい地球の役に立って散るアル!」

長谷川「散るって何!? 俺の命が!? 遠まわしに氏ねって言ってるよね!?」

長谷川「……ダメだ、ツッコんだらマジで氏にそうになってきた」

将軍「皆、気を確かに持て……この一撃は……我ら、サムライの国が一撃ぞ!」

新八「銀さんたちだって戦ってるんだ……と……と……」

その時、全員の一丸の思いが言葉となる。


『届けェェェェェェェェェェ!!!』

871: 2013/03/02(土) 02:53:09.61 ID:Hhlsa+CA0
上と下……二つで行われていた二つの戦い。

銀時「ウオォォォォォォォォォォ!」

朧「…………!」

攘夷志士四名が奈落一派を撃破したのとほぼ同時


『届けェェェェェェェェェェ!』

思いを乗せて放たれた『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』は

元老院の乗る船を、跡形もなく吹き飛ばした。



――――戦いは、終わった。

872: 2013/03/02(土) 03:00:53.70 ID:Hhlsa+CA0
…………

銀時「…………で、何だったんだあのビーム。天人の乗ってる馬鹿でかい戦艦、一発で吹き飛ばしたぞ」

桂「ウルトラマンに決まっているだろう、あれは間違いなくスペシウム光線だ」

銀時「三分以内にここから飛び降りろ、お前が正しけりゃきっと光の巨人が助けれくれるから」

高杉「……辰馬、あれは」

辰馬「以前、宇宙で見たことがある……『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』じゃな」

桂「な、何……だと……?」

銀時「じゃねーよ! あるわけねーだろあんな悪ふざけで作った大砲!」

桂「銀時、貴様ァ! なぜ俺を蹴った!? 攻撃をするならむしろ辰馬だろう!」

873: 2013/03/02(土) 03:15:10.59 ID:Hhlsa+CA0
新八「良かった……みんな、生きていてくれて……!」

銀時「!」

銀時の目に映ったのは見知った顔、かぶき町の住人達。

だが奇妙だったのは、その誰もが疲労困憊していることだった。

銀時「……テメーら、何だってそんな……!」

新八「……ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲です」

銀時「…………」

銀時(え? いやいやいや、え? ネオアームスト……あ、あの悪ふざけで作った大砲マジであったのかァァァァ!?)

新八「……終わったんですよね、今度こそ」

神楽「銀ちゃん……!」

銀時「…………」

銀時「終わってなんかいねーよ」


銀時「明日っからまた万事屋の仕事、始めなきゃならねーだろ」

874: 2013/03/02(土) 03:21:10.22 ID:Hhlsa+CA0
桂「何を終わらせようとしているんだ銀時、これではさっきの俺は蹴られ損ではないか!」

銀時「お前のよく分かってなかったろうが、辰馬のこと蹴らせようとしてただろ」

桂「それ以前にだ……貴様、よくも似蔵などという怪物を俺たちに押し付けてくれたな」

辰馬「あーそれについては全くじゃ金時、儂とヅラのどっちかが氏んでてもおかしゅうなかったぞ」

銀時「俺一人でも何とかなったんだ……しぶといテメーら二人掛かりでそう簡単にくたばるわけねーだろうが」

辰馬「いや金時、あの強さは洒落にならん。スポーツマンNO.1決定戦の室伏広治じゃき」

新八「何の話してるんですか辰馬さん」

875: 2013/03/02(土) 03:24:24.43 ID:Hhlsa+CA0
桂「うむ……俺たちはせいぜい池谷直樹と照英だ、一人ではとてもじゃないが太刀打ちできなかったな」

銀時「どっちも優勝経験者じゃねーか、それならケインを入れろコノヤロー」

銀時「好記録を出した時に雄たけびを上げるケインとか子供時代のヒーローだったからね、みんなの憧れだったからね」

桂「池谷とケインの一騎打ちは心が躍ったな、あれこそ正月の風物詩だな」

銀時「池谷もヒール役でいい味出してたわ、あのキャラ立ては漫画家も見習わなきゃいけねーよ」

辰馬「その二人に対抗しちょったのが照英じゃき、『小指が僕を救ってくれました』は名言じゃの」

銀時「そういや、ケインがいなくなったらヒール役だった池谷を応援しだすっていう謎の現象が起こっ……」

新八「大決戦のあとで何言ってんだアンタらはァァァ! スポーツマンの話はもういいんだよ!」

876: 2013/03/02(土) 03:35:39.43 ID:Hhlsa+CA0
妙「そうですよ銀さん……まだ終わらせるわけにはいかないじゃないですか」

銀時「あん?」

妙「それで……結局、この漫画のヒロインは誰なんですか?」

銀時「…………」

あやめ「私ってことで決まったでしょ! 何を今さら蒸し返してるのお妙さん!」

妙「ごめんなさい、正直猿飛さんは眼中にないの」

月詠「まだ続けておったのか……まったく……」

九兵衛「どうかな、君もさっきは『ヒロインになるのも悪くはない』と口にしていたじゃないか」

月詠「あ、あれはその場の流れでじゃな……その、あの……」

神楽「ヒロインは私でしょ! ね、銀ちゃん!」

平子「どうなんですか、兄貴ー!」

銀時「…………」

877: 2013/03/02(土) 03:42:10.57 ID:Hhlsa+CA0
銀時「分かった、じゃー俺が決めてやる」

妙「え?」

銀時「まったく……逃げなきゃいつ氏んでもおかしくなかったってのにテメーら女どもは揃いも揃って残りやがって……」

銀時「天人どもとかち合って平然としてるなんざ、野郎でもそうはいるもんじゃねーよ」

銀時「ここには肝っ玉の据わった……そんで、澄んだ魂持ってる女しかいねェ……」

妙「それって…………」

銀時「…………」


銀時「テメーら全員、銀魂の付いた……月と桜の映える、綺麗なヒロインだ」



878: 2013/03/02(土) 03:44:38.27 ID:JlZPXbXSo
…え?

え?

879: 2013/03/02(土) 03:52:04.61 ID:AzxlYOcgo

880: 2013/03/02(土) 03:52:07.24 ID:Hhlsa+CA0
妙「『完』って何ですか、銀さん」

銀時「えっ、ちょ……あれ? すげー綺麗にまとめなかった? いつでもED行ける感じの流れじゃなかった?」

妙「そんなフワッとした感じの答え、誰も求めてないんですよ。何ですか、ハーレムルートにでも行くつもりですか」

銀時「つーかなんでお前そんな元気なの? 生命力だか何だかを使って大砲撃ったんじゃなかった?」

妙「……そうですね、銀さんが決められないのなら……もう一回『最初から』やり直さないといけないですよね?」

沖田「土方さん……コイツァ……この流れって……」

土方「ああ……」

妙「ヒロインNO.1決定戦を……ねェ?」

桂「逃げるぞ銀時!! 新八君!!」ダッ!

新八「えっ!?」ダッ!

土方「冗談じゃねえ! また拘束されてくだらねェ審査員なんぞやってたまるかァァァァァ!!」ダッ!

妙「逃がすなァァァァ!」

九兵衛「お妙ちゃんの頼みなら!」


銀時「銀魂体操第一ィィィィィ! 息を大きく吸い込んで大声出す運動ォォォォォ! 行くぞテメーらァァァ!!」


『なんでだァァァァァァァ!?』


第?訓『女って基本めんどくさい』 (蜜柑)

885: 2013/03/02(土) 13:13:15.34 ID:sh6ZZbXAO
乙っ!!

893: 2013/03/10(日) 13:15:17.39 ID:b+TIhYDAO
・・・

銀時「スカウター?」

源外「違う、コイツぁ『スキャウター』だ。早く装着しろ」

銀時「どっちでも同じだろうが。どう見てもこれアレだろ、サイヤ人が持ってるアレだろ」

源外「馬鹿言っちゃいけねえ、コイツは今のおめぇにとっちゃ喉から手が出るほど欲しいモンだろうよ」

銀時「なんで戦闘力計らなきゃならねーんだよ、そんなモン計るなら女のスリーサイズ計るわ」

源外「当たらずとも遠からずだな」

895: 2013/03/10(日) 13:39:12.81 ID:b+TIhYDAO
銀時「あん?」

源外「銀時……愛ってのはなんだ?」

銀時「いきなり何言ってんだこのジジイ、んなことは丸坊主にしたアイドルにでも聞いとけよ」

源外「愛ってのはあれよ、あのーあれだ。あれがあれすることだろ」

銀時「あれしか言ってねーよ、フワッとした言い方ってレベルじゃねーぞそれ」

源外「まあつまりだ、愛ってのは一言じゃ言い表せねェ面倒なモンってことよ」

源外「この『スキャウター』はその愛を数値化してくれる絡繰りだ」

銀時「いや意味わかんねーけど」

源外「スキャウターの『キャ』は『キャッキャウフフ』のキャだ、そのレベルを計れるってことよ」

銀時「説明聞いても意味分からねェんだけど?」

897: 2013/03/10(日) 13:45:26.58 ID:b+TIhYDAO
銀時「とにかくアレだ、俺ァ今めんどくせー女どもに追っかけられてんだから……」

「追いかけられてるんだから?」

銀時「いや、だからほとぼりが冷めるまでここで大人しく……」

源外「銀時、オメー誰と話してんだ?」

銀時「は?」

妙「…………」

銀時「…………」

銀時「光る雲を突き抜けFLY AWAYYYYYY!!」

妙「逃がしませんよ」ガシッ

898: 2013/03/10(日) 13:55:46.28 ID:b+TIhYDAO
銀時「いや、あの、マジで勘弁してくんね? 腹に穴空いてんだけど? かぶき町のために相当頑張って戦ってたんだけど?」

妙「すごいですね、じゃあ今度は私たちヒロイン候補のプライドを守るために戦ってくださいね」

銀時「すいません、ボロボロの主人公引きずってくのをヒロインって言うんですか」

妙「最近は主人公に物怖じせずに行動できるヒロインが増えてるんですよ?」

銀時「程度を考えろォォォォ! 綾波レイがゲンドウをマダオって呼ぶレベルだよこれは!」

源外「ははは、もう諦めろ銀の字! もう腹くくったほうが楽だぞ」

妙「あら、あなたも来るんですよ?」

源外「……あん?」

妙「とっても面白そうな絡繰りをお持ちなようで」

899: 2013/03/10(日) 14:00:43.54 ID:b+TIhYDAO
・・・

妙「それで源外さん、これはどうやって使うんですか?」

源外「そいつァ簡単だ、装着して愛を計りたい相手をセンターに入れてスイッチを押すだけよ」

あやめ「性能は? 性能はどうなの?」

源外「馬鹿なこと聞くんじゃねえや、俺を誰だと思ってる?」

銀時「指名手配犯」

源外「オメー人の古傷を抉って楽しいか?」

900: 2013/03/10(日) 14:06:53.67 ID:b+TIhYDAO
妙「実験してみることとか、出来ますか?」

銀時「ねえ、なんでコイツらこんな必氏なの? 自信ないの? 余裕ないの?」

源外「おう、だったらそうだな……誰か適当に……」

銀時「適当っつってもそんな都合よく……」

妙「ちょうど、ここに拘束されている三匹の野郎共がいます」

新八・土方・沖田「…………」

銀時「…………」

901: 2013/03/10(日) 14:11:10.65 ID:b+TIhYDAO
銀時「万事屋の新八くん……あのゴリラ女たちを何とかしてほしいんだけど」

新八「……無理です、まず動けないんですよ」

銀時「どんな依頼でもこなすのが万事屋なんじゃないんですか、それ以前にあれは君の姉上なんじゃないんですか」

新八「……なんて謝ればいいか分からないんですけどとりあえずすいません」

土方「さっさとこれを解け万事屋ァ! なんで無関係の俺まで巻き込まれんだ!」

銀時「女どもに聞けェェェェ! 俺ァなにも悪くねーぞ!」

902: 2013/03/10(日) 14:16:22.78 ID:b+TIhYDAO
沖田「じゃあ旦那、土方さんはこのままでいいんで俺だけでも助けちゃくれませんかね」

銀時「つーかなんでテメーら捕まった? 真選組の屯所まで行けばあいつらも追ってこれねーだろ」

沖田「土方さんの馬鹿が捕まる直前に俺を道連れにしやがりましてね、ホント屑でさァ」

土方「ふざけるな! テメーが先に俺を犠牲にして逃げようとしたんだろうが!!」

沖田「この言いぐさですよ旦那、土方さんが馬鹿だってよーく分かるでしょ?」

銀時「テメーらが同じレベルの馬鹿だってことはよく分かった」

903: 2013/03/10(日) 14:18:24.66 ID:b+TIhYDAO
妙「じゃあ銀さん、さっそくあの三人の数値を計ってください」

銀時「何で野郎の好感度なんざ計らなきゃならねーんだ、気色ワリー。俺ァ絶対やらねーぞ」

妙「そんなこと言わないで、ちゃちゃっとやるだけですから」

銀時「ふざけんな、だったら最初からヒロイン候補とやらの数値計ったほうが手っ取り早いだろうが」

妙「やってください」

銀時「いや、だからやら」

妙「やれ」

銀時「はい」

904: 2013/03/10(日) 14:23:41.26 ID:b+TIhYDAO
尺が余ったからなんか適当にやってるだけです、長くはなりません、おまけ以下の何かみたいな
食い終わったスナック菓子の袋に残ってるカスみたいなヤツです
けど、あれが一番上手いってコロコロコミックの『星のカービィ』で言ってた

912: 2013/05/05(日) 21:45:49.38 ID:bFzFU6wf0
銀時「何だっけかジーさん……目標をセンターに入れてスイッチだっけ?」

源外「おう、それだけで相手の好感度が図れるんだ。どうだ、すげえ絡繰りだろう?」

銀時「ああすげーすげー、さすが江戸一番の絡繰り師の源外さんだわ。こんなもんより女を静かにする絡繰りでも作りやがれコノヤロー」

源外「馬鹿言っちゃいけねえ、女を静かにさせるにゃ耳元でいかした口説き文句を囁くのが一番よ」

銀時「じゃああの馬鹿どもを黙らせてくんね? その、何だっけ? すかした口説き文句を使って」

源外「俺はうるせえ女は好みじゃねえ」

913: 2013/05/05(日) 21:55:45.05 ID:bFzFU6wf0
妙「どうしたんですか銀さん、ごちゃごちゃやってないで早く進めてください」

銀時「……じゃあアレだ、とりあえず計るぞ新八」

新八「……今さらですけどマジなんですか、これ」

銀時「俺だってやりたかねーよ、何だって野郎の好感度なんざ計らなきゃならねーんだ」

銀時「つーか何だコレ、どうやってつけんだよ」ガチャガチャ

源外「オイオイ手荒に扱うんじゃねえや、ソイツぁデリケートな絡繰りなんだ」

銀時「……ぱっつぁん、準備はいいか」

新八「……もう、どうでもいいです」

銀時「…………」

銀時「はい、チー……」

クルッ

妙「ちょ、何でこっち向いて……」

銀時「ズ」ピピピッ!

914: 2013/05/05(日) 22:10:59.51 ID:bFzFU6wf0
妙「あああああっ!? 今計りました!? 計りましたよね今!!」

銀時「いやーワリーワリー、ちょっと足がもつれてステップしたらターンしちまったわ」

妙「謀りやがったなこのクソ天パー!!」

新八『ちょ、銀さん!? 何考えてるんですか!?』

銀時『このまま行ってもグダグダになるのは目に見えてんだろ、こういうイベントはスパッと終わらせんのが一番なんだよ』

土方『テメーにしちゃ良い判断だな、あの女どもの行き当たりばったりにはうんざりしてたところだ』

沖田『けど旦那、姐御の好感度数値? でしたっけ、ソイツの数字によっちゃまた面倒なことになるんじゃねーですか?』

銀時『どうせアレだ、ヒロインなんざには到底なれねー微妙な好感度とやらの数値が出て……』


ピピピッ

『530000』

915: 2013/05/05(日) 22:24:13.75 ID:bFzFU6wf0
銀時「…………」

妙「…………」

銀時「……え、何これ。フリーザ様の戦闘力か何かか?」

源外「ご、530000……コイツァまたすげぇ数字が出たもんだ」

あやめ「何!? あの数字、どれぐらい凄いのよ! ガッツ石松のバナナに対する好感度より高いの!? 低いの!?」

源外「一般的な恋人同士の愛情度が1000、板東英二のゆで卵に対する愛情度が大体10000だ」

新八「いや、それってゆで卵と結婚するレベルだよね!? 最近テレビ出てないのってそういう事情もあったんですか!?」

沖田「ははあ、なるほど。隠してたのは所得だけじゃなく、ゆで卵との不倫関係だったってわけですかい」

土方「なんでテメーはそう一言多いんだ! そういう危ない発言は控えろ!」

新八「……あれ、ていうか待ってください。一般的な恋人の数値が『1000』だとしたら姉上の『530000』って……」

源外「単純計算で53倍だな」

917: 2013/05/05(日) 22:35:38.55 ID:bFzFU6wf0
九兵衛「うがあああああああっ!!」

銀時「うおおおおおおっ!?」

九兵衛「頃す……こいつは殺さなきゃ駄目だ!!」

銀時「何でだァァァァァ!?」

あやめ「お妙さん……あなた普段はあれだけ乱暴してるくせに心の奥底ではそんなにまで……!」

妙「んなわけないでしょ! 何で私がこんなうだつの上がらない天パー侍のことを……」

あやめ「そういうのはもういいって言ってるでしょ! 出てるのよちゃんと数字が! フリーザ様の戦闘力が!」

妙「…………」

妙(う、嘘よ……そんなのあるわけないじゃない……でも、実際に数字には……!)

妙「…………」

妙(何、この胸のドキドキは……もしかして私、本当に……!)

918: 2013/05/05(日) 22:43:57.40 ID:bFzFU6wf0
銀時「落ち着けって! アレだ! 恋人の好感度なんざアレだから! もうほんと、欲望に満ち溢れた下衆なレベルだから!」

九兵衛「何……?」

銀時「今度はあのバッグを貢がせてやろうだの、恋人がいることがステータスだの、そういうレベルだからね!」

銀時「そんな低レベルな好感度の『53倍』くらいで暴れてんじゃねーよ! せめて『100倍』以上の数値が出てからだな……」

源外「あ、いけねえ間違えたな。『530000』は『1000』の『530倍』だったか」

九兵衛「うがあああああああっ!!」

銀時「何でだァァァァァァァッ!?」

919: 2013/05/05(日) 22:49:00.59 ID:bFzFU6wf0
銀時「オイイイィィィィィ! 止めて! 誰かコイツ止めて!!」

妙「九ちゃん! ちょっと待って!」

九兵衛「しかしお妙ちゃん! こんな結果、僕は受け止めることが出来ない!」

妙「もう一度だけ……計り直しておきたい、一度目は何かの間違いだったかもしれないから」

妙「いいでしょう……銀さん、もう一度だけ……気持ちを確かめてほしいの」

銀時「…………」

銀時(あれ、何このフワッフワした空気? 何か背景がお花畑になってんだけど? 何これラブコメ?)

920: 2013/05/05(日) 22:53:57.13 ID:bFzFU6wf0
銀時「……じゃ、じゃあアレだ……一応やってみるか」

妙「はい……」

銀時「えーっと……目標をセンターに入れてスイッチ……と」ピピピッ

あやめ「もう言い逃れは出来ないわよお妙さん、今度の数字があなたの銀さんに対する気持ちの全てよ」

新八「……ぎ、銀さん。いくつでしたか?」

銀時「ちょっと待て、もうちょいで……」

ピピピッ

『1250000』

銀時「…………」

新八「…………」

921: 2013/05/05(日) 23:03:27.33 ID:bFzFU6wf0
銀時「……あー、これあれか。懐かしいねこの数字、うん。最初にこの数字を見たときは絶望したよね」

銀時「『1250000』って言ったらあれしかないよね、うん。シャーマンキング読んでたら誰でもピンと来るよねこれは」

新八「銀さん、現実逃避しないでください」

銀時「いやおかしいだろォォォォォ!? なんで十分もしない間に0が一個増えてるんだオイ!」

新八「銀さん、0の数は変わってません」

銀時「そういう意味じゃねーよ、桁が一個増えてることがおかしいって言って……はっ」

九兵衛「滅壊氏解傷潰毒砕斬叩殺裂ザキザキザキザキザラキザラキ……」ダッ

銀時「うおおおおおおおっっ!?」ダッ

922: 2013/05/05(日) 23:11:11.46 ID:bFzFU6wf0
月詠「……そうか、そんなにまで銀時のことを好いていたのか」

あやめ「ツッキーだってアレでしょ、どうせ軽く1000000は超えてくるんでしょ」

月詠「誰がじゃ! 妙な推測で物を言うな!」

あやめ「だってツッキーあれだもんね、お妙さんみたいに隠してなかったもんね。露骨に照れたりしてたからねツッキー」

月詠「っ…………」

あやめ「一人だけおいしいポジションにいないで、正直にヒロインになりたいって言いなさいよ!」

月詠「な……何を言っとるんじゃあぁぁぁ!!」ダッ

あやめ「やるっていうの!? 上等じゃない! くノ一キャラで被ってたけどここでどっちが上かはっきりさせてあげるわ!」ダッ

妙「銀さん…………」

新八「…………」

923: 2013/05/05(日) 23:17:22.82 ID:bFzFU6wf0
新八「あっちでは主人公を抹頃しようとしてて……こっちじゃヒロイン候補同士で潰しあってて……一人は完全にポーッとしてるし」

土方「めちゃくちゃもいいところだな……コイツら、色気も何もあったもんじゃねェ」

沖田「こんなハーレム、真っ平御免だ。旦那も苦労が尽きねーでしょうね」

九兵衛「ザラキ―マザラキーマザラキーマ……」ダッ

銀時「いい加減にしろテメー! その氏の呪文、マジで効きそうでこえーんだよ!」ダッ

近藤「アバダケダブラアバダケダブラアバダケダブラ……」ダッ

土方「何でアンタも追いかけっこに加わってんだァァァァァ!?」

924: 2013/05/05(日) 23:25:35.34 ID:bFzFU6wf0
源外「…………」

新八「源外さん? さっきからずっと黙ってますけど、どうかしたんですか」

源外「……とんでもないモンが落ちてるのを見つけちまってな」

新八「?」

源外「……このネジだ」

新八「ネジがどうかしたんですか?」

源外「このネジは『スキャウザー』の部品の一つに使われてる特別なネジでな……」

源外「言ったと思うが『スキャウザー』はデリケートな絡繰りだ、少しでも不具合がありゃすぐに故障する」

新八「…………」

新八「……………………」

新八「…………じゃあ、さっきの姉上の出した数字って」

源外「新の字……世の中には知らなくてもいい真実もあるってこった」

源外「ただ……一個だけ知っておいたほうがいいこともある」

新八「……何ですか?」

源外「…………」


『女って基本めんどくさい』 終

925: 2013/05/05(日) 23:26:57.77 ID:bFzFU6wf0
グダグダ長いこと続けてすいません、とりあえずこんな感じで終わっときます
また何か機会があったら暇つぶしに付き合ってください

932: 2013/05/06(月) 08:06:04.92 ID:ALkdlIS8O
お通
いや、乙

933: 2013/05/07(火) 04:19:14.85 ID:jnkaI5nQo
乙んこ
原作の再現率が凄かった…
おまけの完結まで楽しませてもらってありがとう

引用: 銀時「……ヒロインNo.1決定戦?」