1: 2009/09/22(火) 23:21:24.95 ID:kruOTNJP0
キョン「なんだ?」
ハルヒ「飴よ。知らないの?」
キョン「そりゃ飴だってことぐらいわかる。そうじゃなくて」
ハルヒ「あんまり美味しくないのよ。これ」
キョン「いらんものを擦り付けるな」

キョン「…」モゴモゴ
ハルヒ「ね?」
キョン「確かに。甘いうえになんか……スースーするな」
ハルヒ「美味しくないわよねぇ」ゴソゴソ
キョン「ちょっ、人のカバンに流し込むな!」
ハルヒ「あげるあげる。ぜーんぶあげるわ!」

5: 2009/09/22(火) 23:25:42.80 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「あーん」
キョン「今度はなんだよ」
ハルヒ「こっちは美味しいわよ? ほらあーん」
キョン「何故そんなに飴ばっかり」
ハルヒ「そりゃあ……さぁ? いいから口開けなさいよ」
キョン「いらん世話すな。自分で食える」

キョン「…」モゴンモゴン
ハルヒ「どう?」
キョン「……おばあちゃんの家で……盛ってそうな味」
ハルヒ「なにそれどういう意味?」
キョン「渋いというか、古いというか」
ハルヒ「なによ! バカにしてるの!?」ダーッ
キョン「だからカバンに流し込むなと!」

8: 2009/09/22(火) 23:29:18.74 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「それよりキョン君に、素敵なプレゼントがあります」
キョン「君付けとか……はぁ」
ハルヒ「うっわ、ダサいリアクションね」
キョン「うるさい。で、なんだよハルヒさん」
ハルヒ「ちょっ、きゅ、急にさん付けとか辞めなさいよ! 変!」
キョン「意味がわからん」

ハルヒ「あんたのことだから、アレでしょ。シャーペンの芯、買ってないでしょ」
キョン「……あっ! 忘れてた」
ハルヒ「もう今日はあげないわよ」
キョン「そう言うなよ。俺が勉強できないと、俺が困るだろ」
ハルヒ「え? え? えっと……って、それじゃ当たり前じゃない!」

11: 2009/09/22(火) 23:38:16.46 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「昨日の帰りにね、文房具屋さん寄ったの。ついでに買ってあげたわよ」
キョン「なん……だと?」
ハルヒ「はい。もちろんタダじゃないからね! キッチリ色付けて返しなさい!」
キョン「それじゃキッチリとは言わんだろ。まあ、ナイスハルヒ」
ハルヒ「ありがとうって言いなさいよ」
キョン「ありがとうハルヒ」
ハルヒ「べっ、別にあんたの為じゃ……」テレテレ
キョン「…」(じゃあ誰の為だよ)

カチカチ
キョン「……おぉ」
ハルヒ「うん」
キョン「あっ!」
ハルヒ「うん?」
キョン「お前これ……2Bじゃないか」
ハルヒ「そうね」
キョン「……濃い」
ハルヒ「文句言うな! それしかなかったもん! 氏ね!」
キョン「氏ねって。シャーペンの芯で氏ねってお前」

12: 2009/09/22(火) 23:43:22.82 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「で、あたしが何を買ったかというと」ゴソゴソ
キョン「…」(どうでもいい……)
ハルヒ「見てよこれ。どこから消しても角で消せるケシゴム」
キョン「……なっ、なんだよそれ」

ハルヒ「ほらほら。こう……立体っていうか、どっからでも角で消せる」
キョン「へぇ、こんなのあるのか」ジー
ハルヒ「なによ。興味深々ね」
キョン「そっ、そんなことないぞ?」
ハルヒ「使ってみる?」
キョン「おう」
ハルヒ「……へぇ」
キョン「! 違う違う! まあ、どんなのかなぁと、そんぐらいの興味だ」
ハルヒ「まあいいわ。ほら使ってみなさいよ」サラサラ
キョン「……何故俺の名前」
ハルヒ「いいから消しなさいよ!」

14: 2009/09/22(火) 23:46:53.74 ID:kruOTNJP0
ケシケシ
キョン「……この感触」
ハルヒ「…」
キョン「普通のケシゴムなら、二度しか味わえないこの感触」
ハルヒ「四回できるでしょ、上下で」
キョン「いいなぁこれ。凄くいいぞ」
ハルヒ「聞いてないし」

キョン「…」ジー
ハルヒ「あげないわよ」
キョン「半分」キチキチッ
ハルヒ「! ちょっ、だめだめ! なにカッター出してるのよ! 叩くわよ」バシバシ
キョン「痛い痛いっ! 言う前に叩いてるじゃないか!」
ハルヒ「欲しかったら買ってきなさいよ」
キョン「なあ、またついでに俺の分も」
ハルヒ「やだー。もう文房具屋さんに寄る用がないもーん」
キョン「……ハルにゃん」
ハルヒ「そっ、そんな呼び方してもだめっ! だめったらダメッ!」

22: 2009/09/22(火) 23:55:33.60 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「あれ? カッターの刃、錆びてるじゃない」
キョン「ん? おう、ほんとだ」
ハルヒ「切れ味が悪いと怪我するわよ」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「あれー? 切れないわねー、もっと力いれて……シャッ!」
キョン「うおおっ」
ハルヒ「とまあ、そんな感じに」
キョン「……ゾッとするな」

ハルヒ「変えなさいよ」
キョン「まだ残ってる。折るよ」チキチキッ
ハルヒ「あっ、まってまって!」
キョン「?」
ハルヒ「あんたどんくさいから、絶対刃どっかに飛ばしちゃうでしょ」
キョン「いやお前、それぐらい俺でも」
ハルヒ「いいから貸しなさいよ……それっ」
カチッ               ポーン
ハルヒ「あっ!」
キョン「……飛んでったな」
ハルヒ「…」
キョン「早く拾って来い。国木田が怯えてる」
ハルヒ「ごめん! っとにごめん!」スタスタ

27: 2009/09/23(水) 00:02:01.00 ID:kruOTNJP0
ハルヒ「ノートも買ったのよ。ほら可愛いでしょ」
キョン「そうかぁ?」
ハルヒ「可愛いじゃない。この端っこに描いてるキャラがなんかエグくって」
キョン「……どういうセンスしてるんだお前」

キョン「別にいいじゃないか。普通のノートで」
ハルヒ「教科ごとに変えておけば、探しやすいでしょ?」
キョン「どうだかなぁ」
ハルヒ「あんたのノートなんて、どれがどれかわかったもんじゃないわ」
キョン「書いてるじゃないか。これが数学で、こっちが国語」
ハルヒ「……字が汚い」
キョン「心が綺麗な人は字が汚いんだよ」
ハルヒ「はぁ? あたしの字はこんなに綺麗じゃない!」
キョン「ほらみろ」
ハルヒ「あー」カキカキ
キョン「! 変なイラストを描くな、こらハルヒ!」

29: 2009/09/23(水) 00:07:14.57 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「あんたがずらすから、擦れちゃったじゃない」
キョン「お前……マジックで」
ハルヒ「あっ。ここを塗りつぶして……ほら、パンダみたい!」
キョン「なんだよこれ……グレムリンにしか見えねぇ」

ハルヒ「まあいいじゃい。まだあんまり使ってなかったんでしょ」
キョン「尚更ダメだろ!」
ハルヒ「いいのいいの。だってあたしが……」ゴソゴソ
キョン「?」
ハルヒ「これをあげるからー♪」スッ
キョン「うわっ、なんだそれ……グロい」
ハルヒ「文句言うな! 二冊買ったら安かったの! このデザインしかなかったの!」
キョン「でもお前……嫌がらせとしか」
ハルヒ「もー、ブツブツ言うならあげないわよ!?」
キョン「別にいらな」
ハルヒ「いいから貰っときなさい!」グィー     ポロポロ
キョン「カバンに押し込むなと! 飴がこぼれてるだろ!」

35: 2009/09/23(水) 00:32:04.77 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「あーもー。なんでそうなのよぉ」
キョン「え?」
ハルヒ「だからー、なんで使いもしないのにそんないっぱい芯いれるのよ」
キョン「なんでって……」
ハルヒ「使ってるときかしゃかしゃ音して気になるでしょ?」
キョン「別に」
ハルヒ「なるの。二、三本でいいじゃない。ほらほら」スッ
キョン「あぁっ」

カチカチ
ハルヒ「……調子いいわね、このシャーペン」
キョン「いいだろ」
ハルヒ「あたしのこれと交換しましょうよ。これなんか使いにくい」
キョン「最初から使いにくいってわかってるのと何故変えなければ」
ハルヒ「いいじゃん。あっ、じゃあ次の授業だけ!」
キョン「まあそれぐらいなら」
ハルヒ「じゃあ借りるわね! ふんふーん♪」カキカキ
キョン「あいよ……って、だから変な絵を描くな! 自分のノートに描け!」

39: 2009/09/23(水) 00:51:24.36 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「いいわねー、使いやすいわ!」
キョン「そうか、返せこのやろう」
ハルヒ「えー、くれるって言ったじゃない」
キョン「一言も言っとらんぞ」

ハルヒ「交換。こ・う・か・ん!」
キョン「俺も気に入ってるんだっての。それ」
ハルヒ「あたしも気に入ったわ!」
キョン「知るかっての」
ハルヒ「むー」
キョン「……わかったよ。じゃあこっち貰うからな」ヒョイッ
ハルヒ「あ! そっちはだめ! それはお気に入りなのよ!」
キョン「だったら尚更だ。俺もそれ気に入ってるって言ってるだろ?」
ハルヒ「ふんっ、キョンのけちー。まあいいわ、じゃあ交換ね」
キョン「はいはい……ん? なんだこれ、このキャップのとこ……また変なキャラが」
ハルヒ「可愛いじゃない!」

47: 2009/09/23(水) 01:29:10.38 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「カバンの奥から変なお菓子出てきた」
キョン「なんだよ変なお菓子って……なんだそれは」
ハルヒ「さぁ? なんだっけ……あ、そうだ」
キョン「英語で書いてるな。外国のお菓子か」

ハルヒ「みくるちゃんに貰ったのよ」
キョン「朝比奈さんに?」
ハルヒ「なんか、知り合いが外国行ったときのおみやげだって」
キョン「へぇ。美味いのか」
ハルヒ「さぁ? 食べてみなさいよ」
キョン「俺かよ」
ハルヒ「毒見、どくみー」
キョン「いやお前……でも美味そうだな」
ハルヒ「やっぱり半分こ!」パキッ
キョン「あっ」

50: 2009/09/23(水) 01:32:25.84 ID:LYc/v6sP0
キョン「…」モグモグ
ハルヒ「へっほうほいひーはへ」モッシモッシ
キョン「ふっへはらひゃへろ」モギッモギッ
ハルヒ「はひおー」

ハルヒ「結構美味しいわね」
キョン「なんだろう、そんなに重くない……スニッ○ーズ」
ハルヒ「あー」
キョン「腹持ちは良さそうだよな」
ハルヒ「確かに。も一個あるわよ」
キョン「食っちまおう」
ハルヒ「でもあげないー」
キョン「くれないのかよ」
ハルヒ「ほしい? ねぇほしい?」
キョン「別に。食いたきゃ食えばいい」
ハルヒ「じゃあ食べるわ!」
キョン「……やっぱり半分くれ」
ハルヒ「ふふっ、最初からそう言いなさいよぉ」パキッ

51: 2009/09/23(水) 01:40:33.60 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「ふはー……美味しかった」
キョン「なんというか、学校にお菓子持ってきすぎだろ。お前」
ハルヒ「そうかしら? あとチョコとガムもあるわよ」ゴソゴソ
キョン「ほらな」
ハルヒ「ちょこちょこ買ってると、こうやって数が増えちゃうのよねぇ」

キョン「食い切ってから買えよ」
ハルヒ「嫌よ。色んな味を楽しみたいの」
キョン「なんて贅沢な……」モグモグ
ハルヒ「そう言いながら食べてるじゃない」
キョン「据え膳食わぬは男のなんとかってな」
ハルヒ「違うわよ。据え膳喰わぬは武士の恥よ、この工口キョン」
キョン「そうか……って、何故に工口って言われんといかん」
ハルヒ「いやだって……ねぇ?」
キョン「?」
ハルヒ「あれ、わかってないの? へぇ……知ったかぶりね!」
キョン「なに、なんだよおい」
ハルヒ「ちゃ、ちゃんと食べなさいよね! 恥かかせるんじゃないわよ工口キョン!」
キョン「なにがなんなんだよ……なんで顔真っ赤なんだよお前」
ハルヒ「なんでもないわよ!」ベシベシッ
キョン「痛いって」

55: 2009/09/23(水) 02:08:09.77 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「甘いもの食べすぎて、歯が溶けちゃいそうね」
キョン「それもそうだな」
ハルヒ「そんなわけで塩っ辛いものを」ゴソゴソ
キョン「あるのかよ」
ハルヒ「……なかった」
キョン「ないのかよ」

ハルヒ「あれ? そういえば英語の教科書……」ゴソゴソ
キョン「おぉ、ハルヒ? もしかして忘れ物か?」
ハルヒ「そんなこと……」ゴソゴソ
キョン「はっ、先に言っておくが貸せないからな」
ハルヒ「別に頼りになんか……あった」
キョン「ちっ」
ハルヒ「そんで、あんたはちゃんと持ってきてるの?」
キョン「そりゃもちろん。昨日の宿題もあったから……あれ?」ゴソゴソ
ハルヒ「…」
キョン「……あの、涼宮さん」
ハルヒ「貸さないっ!」

56: 2009/09/23(水) 02:11:58.30 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「そもそも貸す、貸さないじゃなくて。席が縦だからどうしようもないじゃない」
キョン「それもそうだなぁ……誰かに借りてくるか」ガタッ
ハルヒ「行ってらっしゃーい」フリフリ

ハルヒ「……キョンの筆箱」スッ
ハルヒ「うわぁ、なんにも入ってないわね。シンプルねぇ」
ハルヒ「飴の包み紙でも詰めときましょ」ゴソゴソ

キョン「っと、まだ授業始まってないな」
ハルヒ「ギリギリじゃない」
キョン「古泉のところまで行ったんだけど、あいつも次英語の授業だったからさ」
ハルヒ「誰に借りてきたの?」
キョン「長門だ。っておい! なんだこれ、筆箱パンパンじゃないか!」
ハルヒ「あー……なんか谷口が」
キョン「お前か!? って、めっちゃ首を横に振ってるぞ。絶対ハルヒだろ」
ハルヒ「知らないわよ」
キョン「ほら! 入ってるの全部お前が持ってきた飴の包み紙じゃないか!」
ハルヒ「しーらないっ」
キョン「お前なぁ……」ゴソゴソ
ハルヒ「! 人のカバンになにすんのよっ、こらっ!」

57: 2009/09/23(水) 02:16:17.74 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「有希の教科書、貸して?」
キョン「らくがきすんなよ」スッ
ハルヒ「しっ、しないわよ!」
キョン「する気だっただろ」

ハルヒ「これでよし」パタン
キョン「なにをしたんだよ……いたずらはやめろと」
ハルヒ「違うわよ。手紙挟んだの。バカなキョンに教科書かしてくれてありがとーって」
キョン「どれどれ」ペラッ
ハルヒ「! み、見るなバカ! 見ちゃだめっ!」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「なんでもなの。黙って開かずに返してきなさい!」
キョン「わかったよ」スッ
ハルヒ「いってらっしゃーい」フリフリ

ハルヒ「…」
ハルヒ「って、一人にしたら絶対見るでしょあいつ!?」ダッ

60: 2009/09/23(水) 02:25:46.82 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「! やっぱり!」
キョン「!?」
ハルヒ「開くなって言ってるでしょ! この鳥頭っ!」
キョン「失礼な」
ハルヒ「三歩歩いてすぐ忘れる……まったく!」グイッ
キョン「あっ」

ハルヒ「なんで開くなって言ってるのに開こうとするのよ」
キョン「押すなって言われれば押したくなるだろ?」
ハルヒ「……あんたみたいなのがいるから、定期的に火災報知器が鳴り出すのよ」
キョン「それは……まあ……押したいよな」
ハルヒ「あたしも有希のとこに行くわ」
キョン「いいって。ちゃんと返してくる。もー読もうとしませんとも」
ハルヒ「一切信用できないわね!」
キョン「なんだよ、そんなに恥ずかしい内容なのか……工口ハルヒ」
ハルヒ「べっ、別にそんなんじゃないわよ! っていうか、有希に書いたんだからあんたは読まなくていいの!」
キョン「余計気になるなぁ」
ハルヒ「いいからさっさと返しにいくわよ!」グイッ
キョン「やめろ。腕が伸びる」
ハルヒ「伸びればいいのに」グィー

62: 2009/09/23(水) 02:40:38.16 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「ゆっきぃー」
長門「?」
ハルヒ「はいこれ、キョンに貸してた教科書」
長門「…」コク
ハルヒ「あとお礼の飴あげる。あーん」
長門「あーん」パク
ハルヒ「それじゃ。また放課後ね?」
長門「…」モゴモゴ

キョン「なんだって?」
ハルヒ「忘れ物しないでちゃんと勉強しろゴミムシって」
キョン「嘘つけ! いつから長門がそんなキャラになったんだ」
ハルヒ「ほらほら、教室帰るわよー」グィグィ
キョン「だからひっぱるなと」
ハルヒ「じゃあ押すわ!」ググッ
キョン「意味がわからん。痛いって」

65: 2009/09/23(水) 02:56:02.02 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「あれ? 雨降りそうね」
キョン「雨?」
ハルヒ「ほら、外。雲が」
キョン「あぁ。天気予報でも言ってたな。午後は降るかもって」
ハルヒ「うぇー。傘持ってきてないのにぃ」
キョン「濡れちまえばいい」
ハルヒ「あんた傘持ってきてるの?」
キョン「もちろん。というか、置き傘がある」
ハルヒ「……部室にあるかな。あったような気が」
キョン「それが俺のだ」
ハルヒ「ならいっか。それで帰ろっと」
キョン「人の話聞いてたか? おーい」

71: 2009/09/23(水) 03:22:54.32 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「ほっ、ほっと!」
キョン「楽しそうに階段を上るな、お前」
ハルヒ「早く帰らないと授業始まっちゃうでしょ?」
キョン「でも次自習だろ?」
ハルヒ「えーと、あぁ。そうだっけ」
キョン「だから遅れても遅れずとも、どっちでもいいんじゃないか」

ハルヒ「珍しいわよね。自習なんて」
キョン「珍しいから自習なんだよ。急に先生休んだし、代わりに入る人もいないなんて」
ハルヒ「あー、そうだ! さぼっちゃいましょ!」
キョン「……いやそれは」
ハルヒ「ちょっと傾きかけてるでしょ」
キョン「いやいや、全然」
ハルヒ「よし、そうしましょ! そりゃっ!」ダッ
キョン「! っと! 飛び降りるなよ。危ないな」
ハルヒ「ナイシュキャーチ!」
キョン「噛んでるぞ。ほら、重いから退け」

72: 2009/09/23(水) 03:29:25.19 ID:LYc/v6sP0
キョン「でもどこに行くんだよ。ウロウロしてても見つかっちまうだろ」
ハルヒ「部室?」
キョン「鍵は」
ハルヒ「ここ?」チャリ
キョン「何故持ってる」

ハルヒ「もう授業始まってるわね」
キョン「どうすんだよ。部室まで遠いぞ」
ハルヒ「だーっと走っていけばわからないんじゃない?」
キョン「モロバレだろ」
ハルヒ「まあいいわ。ゴキブリみたいにカサカサ行くわよ」
キョン「コソコソいけよ……じゃあこっちから行くか」

ハルヒ「っと、どこかのクラスが体育やってるわね」
キョン「……おぉ。古泉のクラスだな」
ハルヒ「あー、ほんとだ」
キョン「いいなぁ……女子の視線が集まってる……あの子可愛いなぁ」
ハルヒ「見るなっ!」ゴキッ
キョン「!? 痛っ、おまっ、首がっ!」

75: 2009/09/23(水) 03:39:14.50 ID:LYc/v6sP0
ハルヒ「はい到着!」
キョン「ほら、早く鍵開けろって。外から丸見えだぞココ」
ハルヒ「なによ。わかってるわよ……キョンの小心者ー」
キョン「なっ」

ハルヒ「うーん……なんか爽快ねぇ」
キョン「そうか? で、なにをするんだよ」
ハルヒ「オセロでもする?」
キョン「授業をさぼった価値があるのか、それは」
ハルヒ「どうせ教室に居ても同じよ。はい、キョンは白ね」パチ
キョン「あっ、勝手に……よし」パチ

ハルヒ「弱いわねぇ! いつも古泉君と何を競ってるのよ!?」
キョン「……もう一回だ。今度は俺からな」パチ
ハルヒ「何度でもやってやるわよ!」パチッ

82: 2009/09/23(水) 04:39:31.46 ID:LYc/v6sP0
キョン「…」
ハルヒ「いやいや、どう考えてもムリでしょ?」
キョン「黙ってろ」
ハルヒ「ムリだってば。四つ角全部取ってるんだし」
キョン「…」

ハルヒ「だめだめねー。何度やっても勝てないってどういうことよ?」
キョン「わざと負けてやってるんだ」
ハルヒ「へぇ? じゃあこうする? 負けたほうが勝ったほうの言うことを聞く!」
キョン「それは……しなくてもいいんじゃないか」
ハルヒ「わざと負けてるなら楽勝でしょ? ほらいくわよ」パチッ
キョン「くっ」パチ

103: 2009/09/23(水) 12:48:24.83 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「……あれ?」
キョン「だから言っただろう。俺はわざと負けてたって」

ハルヒ「なっ、嘘! だってあんた」
キョン「勝っても得るものがなければ、勝ち負けなんてどちらにも価値がないだろう?」
ハルヒ「絶対偶然! もっかい!」
キョン「おいおい、その前にすることがあるだろ? 俺の命令がまだだ」
ハルヒ「……なによ」
キョン「そうだな……じゃあ」
ハルヒ「?」
キョン「えーと」
ハルヒ「考えてないってことは、やっぱり偶然じゃなんじゃないの」
キョン「…」

104: 2009/09/23(水) 12:57:12.68 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「えぇ……やだぁ」
キョン「勝ったのは俺だ。肩もみしやがれ」
ハルヒ「もー、わかったわよ。こっち座りなさい」

モミモミ
ハルヒ「なによあんた、ゴリゴリじゃない。どういう肩してんのよ」
キョン「あー……痛っ」
ハルヒ「我慢しなさいよ……それそれ」ゴリッ
キョン「痛っ! ちょっ、もっと優しく」
ハルヒ「痛いってことは和らげないといけないってこと! 我慢我慢!」
キョン「あぎゃっ! おまっ、これじゃどっちが勝ったのか、いたたっ!」
ハルヒ「あはは、黙ってろー!」モミンモミン

キョン「……肩、軽っ」
ハルヒ「でしょ?」
キョン「なんだ、ハルヒうまいな。肩もみ師範か」
ハルヒ「なによそれ」

105: 2009/09/23(水) 13:07:17.37 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「そうだ、あんたちょっとそこに寝てみなさいよ」
キョン「はぁ?」
ハルヒ「ついでにマッサージしてあげる。ほら、寝た寝た!」ペシペシ
キョン「寝ろって、床にか……最近掃除したかこの部屋?」
ハルヒ「気にしない気にしない!」ペシペシッ

ハルヒ「よっと!」ポフ
キョン「重い……」
ハルヒ「なっ、重くないわよ!」ドゴォ
キョン「あがっ! 背中を殴るな!」
ハルヒ「まあいいからじっとしてなさいよ。動いたら叩くからね」モムンモムン
キョン「何故に……んん」
ハルヒ「気持ちいいでしょー」モニュンモニュン
キョン「あー……どーだかなぁー……」

108: 2009/09/23(水) 13:40:53.05 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「よっと、よっと」ポンポン
キョン「……眠くなってきた」
ハルヒ「起きろー」ドゴォ
キョン「オフッ!」
ハルヒ「はい終わり! はー、つかれた」

キョン「体が軽くなったような」
ハルヒ「でしょー」
キョン「なってないような」
ハルヒ「なってるの!」
キョン「まあなんだ、ありがとう」
ハルヒ「おかえしは?」
キョン「おかえし? いやいや、オセロで勝ったんだし」
ハルヒ「それは肩もみよ。あとのマッサージは有料よ!」
キョン「なん……だと」

110: 2009/09/23(水) 13:49:38.93 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「ひともみ500円ってところね。あたしを使ったわけだし」
キョン「何を言う。お前が勝手にだな」
ハルヒ「あー、疲れたわねー。誰の所為かしら?」
キョン「くっ……なんという」
ハルヒ「ふふっ。仕方ないから、おかえしはキョンの肩もみで許してあげるわよ」

キョン「そりゃまあ、いいけど。とりあえず椅子に座ろう」
ハルヒ「嫌よ。いいじゃない、たまには床に座りっぱ!」
キョン「床汚いぞ? 行儀悪いなぁ」
ハルヒ「いいのいいの。なんか、こうしてると……楽しいじゃない!」
キョン「よくわからんな」
ハルヒ「いいから肩もめー」ペター
キョン「あぁもう。わかったわかった、そっち向いて座れ。重いって」

111: 2009/09/23(水) 14:00:05.79 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「うーん、全然気持ちよくないわね」
キョン「やわらかいしな。全然こってないぞ」モミモミ
ハルヒ「キョンがヘタクソなのよ。もっと力入れて……もうちょい真ん中寄り」
キョン「ふむ」
ハルヒ「んー……全然だめっ!」
キョン「難しいな」

ハルヒ「キョンのへったくそー」
キョン「俺が悪いんじゃなくて、お前の肩が健康的すぎるんだよ」
ハルヒ「そうかしら?」
キョン「……肩こりしそうなアレなのに」ジー
ハルヒ「なによ? どこ見てるのよこら」ムギュー
キョン「いたたっ、手を抓るな。どこも見てないって」
ハルヒ「ほんとかしら? なんか胸の辺りに視線を感じたわ」
キョン「気のせいさ。気になるならこっち向けばいいじゃないか」
ハルヒ「もうちょいこのまま。はー、つかれた」ノペー
キョン「重いと言ってるのに……」ナデナデ

112: 2009/09/23(水) 14:10:39.87 ID:mXnYsJlo0
ヴィー
ハルヒ「? 携帯、鳴ってるわよ」モゾモゾ
キョン「こら、勝手にポケットから出すな」
ハルヒ「あ、谷口からメールきてるわ」
キョン「そして勝手に見るなよ……なんだって?」
ハルヒ「どこに居るんだーって」

カチカチ
ハルヒ「……キョンはメール打つの遅いわね」
キョン「お前が早いんだよ。返したと思ったらすぐ返ってくる」
ハルヒ「現役女子高生を舐めないでほしいわね!」モゾモゾ
キョン「もぞもぞすんな、メール打てんだろ。……っていうか、退け」
ハルヒ「貸してみなさいよ。あたしが返信してあげる」スッ
キョン「あっ、こら。変なメール打つなよ?」
ハルヒ「打たない打たない……」カチカチ
キョン「? なんだよ、見せろって」
ハルヒ「送信!」ピッ
キョン「なっ!? 何を送った!?」

114: 2009/09/23(水) 14:18:29.85 ID:mXnYsJlo0
キョン「……別に変な内容じゃないか」カチカチ
ハルヒ「人を疑うなんてサイテーね!」
キョン「疑われるような行動をする奴も問題があるぞ」
ハルヒ「そんなことないわよー」

キョン「ちょっと、退け」
ハルヒ「嫌ー」
キョン「いいからどけって。ほらほら」ペシペシ
ハルヒ「もうっ、なによ?」スッ
キョン「胡坐をだな……ほら、座っていいぞ」
ハルヒ「ふふっ、座ってほしいんでしょ?」
キョン「嫌ならいいよ。椅子に座る」
ハルヒ「素直じゃないわねー」ポフ
キョン「……どっちがなんだか」

115: 2009/09/23(水) 14:27:33.60 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「ポケットに飴入ってた」
キョン「どこにでも入ってるな」
ハルヒ「食べる?」
キョン「何飴?」
ハルヒ「黒飴」
キョン「何故に」

ハルヒ「美味しいじゃない、黒飴」
キョン「まあ嫌いじゃないけどよ」
ハルヒ「はい、あーん」
キョン「もうちょい右」
ハルヒ「この辺?」
キョン「そうそう」パクッ
ハルヒ「! ちょっと、指まで食べないでよ?」
キョン「ん」モゴモゴ
ハルヒ「されたことにはちゃんとお返ししなさいよ。はい」スッ
キョン「ほら、カバみたいに口あけろ。バカみたいでもいいぞ」
ハルヒ「はぐっ」ガリッ
キョン「噛むなっ! 痛っ!」

116: 2009/09/23(水) 14:43:38.54 ID:mXnYsJlo0
キョン「次は昼休みか……」
ハルヒ「お腹空いたわね」
キョン「あれだけお菓子食っておいてか」
ハルヒ「それはそれ、これはこれ?」
キョン「一年後には……俺よりでっかくなってるんじゃないのか?」
ハルヒ「失礼ね! あたしはお菓子食べても太らない体質なの!」
キョン「新種だなぁ」

キョン「でもあれだよな」
ハルヒ「ん?」
キョン「一緒に教室帰ったら……変なふうに思われそうだよな」
ハルヒ「そうかしら」
キョン「授業さぼって二人でなにやってたんだよってさ」
ハルヒ「別にいいじゃない。部室いたって言えば」
キョン「二人っきりでか?」
ハルヒ「恥ずかしいの? ふふっ、ちゅーがくせーじゃあるまいし」
キョン「恥ずかしいとか、そういうのじゃなくてだな……まあいいか」
ハルヒ「それに、今更あたしとあんたが一緒にいても気にする人なんていないわよ」
キョン「……それもそうかもなぁ」

119: 2009/09/23(水) 15:09:04.59 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「今日、学校終わってから用事ある?」
キョン「特にないな」
ハルヒ「じゃあ、一緒に文房具屋さん行きましょうよ」
キョン「一緒に?」
ハルヒ「面白いのいっぱいあるから、ね?」
キョン「いいけど、自分のは自分で買えよ?」
ハルヒ「それはどうかしらねー」

キョン「でも雨降りそうだしなぁ」
ハルヒ「嫌?」
キョン「雨の中傘一本でウロウロするってのも」
ハルヒ「ぎゅーって引っ付いたら大丈夫でしょ」ギュー
キョン「歩きづらいだろ? だから、雨降ったらまた今度」
ハルヒ「えー」
キョン「行きたければ、雨が降らないように祈ってればいいさ」
ハルヒ「それで降らないなら苦労しないわよ」
キョン「降らない降らない。絶対に降らないって思えば、な」
ハルヒ「?」

122: 2009/09/23(水) 15:20:26.27 ID:mXnYsJlo0
キョン「そろそろ戻るか」
ハルヒ「チャイム鳴ってからでいいわよ」
キョン「そうか?」
ハルヒ「それに、別に急いで戻らなくてもいいもん」
キョン「そうかー」ワシワシ
ハルヒ「髪を触るなー! やめなさいよぉ」クィクィ

ハルヒ「よっと!」
キョン「?」
ハルヒ「あー、スカートに埃が」パンパン
キョン「だから言ったろうに」
ハルヒ「ほらほら、キョンも立って」グィー
キョン「なんだよ……っと」
ハルヒ「ついでだから、部室の掃除しましょ」
キョン「えぇっ」
ハルヒ「汚い部屋より綺麗な部屋のほうがいいでしょ、ほら箒持った!」
キョン「折角の自習の時間が……」
ハルヒ「もーじゅーぶん堪能したでしょ?」
キョン「どうだかなぁ」

124: 2009/09/23(水) 15:26:49.41 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「わー、掃いたら沢山ゴミが」
キョン「……こんな汚れてるところに寝かされたのか」
ハルヒ「ほらほら。塵取り持ちなさいよ」

キョン「そのうち水拭きもしないとな」
ハルヒ「掃除道具借りてこないとね。ワックスも掛けたいわ」
キョン「朝比奈さんが転ぶだろうなぁ」
ハルヒ「あー……絶対転ぶわね」
キョン「頭に浮かぶよ。ふえぇって言いながら転ぶ様が」
ハルヒ「自分で掃除してても転びそうよね」
キョン「うむ」

ハルヒ「はい完了。ちょっとは綺麗になったんじゃない?」
キョン「机の上も片付けるか」
ハルヒ「後は放課後にしましょうよ。お腹空いたから教室に戻るわよ」グィグィ
キョン「……本当にお前は自由だなぁ」

125: 2009/09/23(水) 15:30:20.30 ID:mXnYsJlo0
ハルヒ「ねぇねぇ。どうせ二人で戻るなら、手繋いで戻ってみる?」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「そりゃー、皆がどんな反応するかなぁって」
キョン「ちょっと困ったような顔して、すぐに目を逸らすんじゃないか?」
ハルヒ「そんであんたは後でボコボコにされるわね」
キョン「!?」

ハルヒ「あたしみたいに可愛い子と手繋いでラブラブなんて、嫉妬されるに決まってるわ!」
キョン「……自分で言うもんなぁ」
ハルヒ「まあモノは試しね! ほら行くわよー!」ギュー
キョン「ちょっ、本当にそうするのかよ!?」
ハルヒ「ダッシュで戻るわよ! ほらほらー!」グィーッ
キョン「まっ、まてこら! こらハルヒってば!」

126: 2009/09/23(水) 15:32:44.40 ID:mXnYsJlo0
オチもねー山もねー意味もねー
はい解散!

139: 2009/09/23(水) 17:10:21.77 ID:QGjfdU1bO
終わりか?
ほのぼのしてて良かったよ

引用: ハルヒ「キョン。これあげる、これ」