598: 2016/05/28(土) 21:04:09.94 ID:WUSnOV9A0
こんばんは、>>1です。




それでは、投下していきます。
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
599: 2016/05/28(土) 21:09:36.25 ID:WUSnOV9A0
【暑いのと、寒いのと】

 ―9時過ぎ、執務室―

提督「では響さん、今日は秘書艦のお仕事、よろしくお願いします」

響「任せて、頑張るから」

提督「では早速ですが、この書類の方を…」


 ―数時間後―

提督「………………」カリカリカリカリ

響「………………」カリカリカリ

ジリジリ

響「………………」カリ、カリ、カリ

提督「………響さん?」

響「…っ、どうかしたのかい?」

提督「どうかしましたか?先ほどから、ペースが乱れているようですが…」

響「へ?あ、ごめんよ。ちょっと、暑いなぁと思って」

提督「…そう言えば、今日は暑いですねぇ」

響「北海道でも真夏日らしいからね」

提督「しかし、暑いのならそうと言ってくださいよ?熱中症や脱水症状で倒れてしまわれては困りますし」

響「…そうだね、ごめんよ。次からは気を付ける」

提督「では、換気も兼ねて窓を開けますか」カララッ

ヒュゥゥゥゥゥ

響「ふぅ………風が気持ちいいね」

提督「そうですねぇ……」

600: 2016/05/28(土) 21:20:06.05 ID:WUSnOV9A0
響「……もう、すっかり夏なんだね」

提督「ついこの間までは春だったのに、ですね」

響「これからもっと暑くなっていくのかな……」

提督「そうなるでしょうね。どうやら、今年の夏は今以上に暑くなるようですから」

響「………ねえ、司令官」

提督「はい?」

響「暑いのと寒いの、司令官はどっちが好きかな?」

提督「……また、難しい質問ですねぇ。ですが私は、寒い方が好きですね」

響「そうなんだ。司令官のイメージ通りだね」

提督「私の普段のイメージはどんなのですか」

響「でも、私も同じだ。私は暑いより寒い方が好きだね」

提督「その理由は?」

響「‶絶対零度‶って、言葉があるよね?確か-273.15℃だったっけ。それが、最低の温度とされている。けど、暑さには限界が無い」

提督「……確かにそうですが、それが一体…」

響「私は、限界が決まっている方がなんだいいと思うんだ。よく、『自分の限界を超えろ』って誰かが言うけど、限界を超えちゃったら、今度からその限界に

  向けて全力を出すようにしなくちゃいけない。そうして何度も限界を超えていると、いずれは身を滅ぼしちゃうと思うんだ。だから、限界は最初から決まって

  いる方がいい、と思ってね。それで、限界が決まっている‶寒い‶方が私は好きなんだ」

提督「………貴女の話って、いつも見えない事が多いですが、何やら的を射ているような意見でもありますね」

響「そうでしょ」フフン

提督「…まあ確かに、限界はそう何度も高い方に変えてはいけませんよね。自分の限界を超えたせいで身を滅ぼす、なんて話もよくありますから。‶火事場の馬鹿

   力‶がいい例です」

響「私たち艦娘は、燃料や弾薬の最低限界を超えちゃだめだよね」

提督「それが無くなったら何もできなくなるでしょう」


【終わり】

601: 2016/05/28(土) 21:25:55.09 ID:WUSnOV9A0
【キャラクター紹介】

≪響≫

暁型駆逐艦二番艦。艦娘No.72(改二=ВерныйはNo.147)。長い銀髪と蒼い瞳、碇のマークが描かれた帽子が特徴の、不思議な感じの女の子。第六駆逐隊の

中で最も寡黙で、そのためかつかみどころが無い。かつて賠償艦としてソ連に引き渡された事から、たまにロシア語を喋ったり、ロシア料理を振る舞ったりする。

あまり多くは語らないが、本当は仲間思いで心は熱い。それでいて、たまに自由奔放な行動をみせる事もある。‶不氏鳥‶の通り名を持つが、あまり呼ばれていない。

好きな言葉は『三寒四温』。

608: 2016/05/29(日) 21:29:24.78 ID:JTgJi4a00
【嗜好品】

 ―19時半過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―

ガラガラガラッ

千歳「鳳翔さん、こんばんは~」

千代田「こんばんは」

鳳翔「あら、千歳さんに千代田さん……お2人だけですか?珍しいですね…」

千歳「あー…那智と足柄と隼鷹は遠征で~…」

千代田「龍驤は大破しちゃって入渠中…」

鳳翔「あら…ではお久しぶりに姉妹水入らず、という事ですね」フフッ

千歳「水入らずって、ちょっと大げさですよ~」

司令長官「ちょっとちょっと、儂がいるのに2人ともスルーか」

千代田「わっ、司令長官…いたんだ」

司令長官「傷つくよ?流石に」

千歳「こら、失礼でしょ。すみません、司令長官…。お隣、よろしいですか?」

司令長官「もちろんさ」

千歳「では失礼します」ガタッ

千代田「失礼しま~す」ガタッ

千歳「とりあえず鳳翔さん、熱燗と、後はお任せでお願い」

鳳翔「はい、千代田さんお飲み物は?」

千代田「私は~…オレンジジュースで」

千歳「何よ何よ~、千代田も飲まないの~?」

千代田「私が酔ったら誰がお姉を連れて帰るのよ」

千歳「司令長官がいるじゃない」

司令長官「君ね、仮にもトップをパシるんじゃないよ」

609: 2016/05/29(日) 21:37:44.54 ID:JTgJi4a00
 ―1時間後―

千歳「あぁうぅ~い……なんか酒が回ってきたかも~…」

千代田「ああんもう……」

千歳「鳳翔さ~ん、もう1本熱燗で~」

鳳翔「はいはい、明日は大丈夫なんですか?」

千歳「明日は別に遠征も出撃もないから大丈夫ですよ~……」

千代田「急な出撃とかあったらどうするの…」

千歳「そん時はあれよ~…提督に色目を使って~…」

千代田「だめに決まってるでしょ!?」

司令長官「それに黎明君、色目なんかで動じないよ」

鳳翔「はい、熱燗ですよ」コトッ

千歳「ちぇーっ…」グビッ

千歳「っかーっ!やっぱり、この一杯の為に日々頑張ってるって感じよね~!生き返るわ~…」

千代田「そのセリフ、さっきも聞いたよ……」

司令長官「…………しかし、豊かになったものだねぇ」

千歳「ふぇぇ?」

千代田「急にどうしたの?」

鳳翔「司令長官は、かつての大戦の世代じゃありませんよね?それなのに、どうしてそのような事を…」

司令長官「いや、ちょっと……ね」

千歳&千代田「?」

司令長官「……黎明君から聞いたかもしれないけど、君たち艦娘と妖精さんの存在が確認されたのは、今から約7年前…そして深海棲艦が人類に対して初めて

     攻撃したのが、8年前…。深海棲艦が現れてから艦娘が確認されるまで1年間の空白がある」

鳳翔「………………」

司令長官「その1年の間、世界はどうなっていたと思う?」

千歳&千代田「え?」

610: 2016/05/29(日) 21:52:23.77 ID:JTgJi4a00
司令長官「あの頃はひどかったよ……。何せ、空路・海路が全て深海棲艦に制圧されていたせいで、人の流れも、物流も、全て閉鎖されていたんだ」

千代田「え……空路も?」

司令長官「対空性能に特化していた深海棲艦が、旅客機も輸送機も戦闘機も、軒並み撃ち落としていたんだ」

千歳「うぅ……」

司令長官「通常兵器は、深海棲艦に対して一切の効力を持たない。どの国も、可能な限りの軍事力を尽くしても、深海棲艦を倒す事は出来ず、ただ退ける事しか

     できなかったんだよ。だから、空路も海路も深海棲艦にすべて掌握された」

3人「…………」

司令長官「物流が途絶えて増えて行く事が無くなれば、後は減っていくだけだよ。あの時のガソリンの値段は今とは比べ物にならないくらい高くて、スーパーや

     コンビニの棚から商品が消える、なんてことも珍しくなかった。オイルショックみたいにトイレットペーパーとかの買い溜めも増えて…。ある所では

     略奪とかも起きたって話を聞いた。マ●クで一番安い商品も1000円ぐらい…だったかな」

3人「………」

司令長官「そしてどの国も、政府は自分たちのことを優先して考えていたから、国民の不満は募るばかり。デモ隊と警官隊が衝突する事もあったなぁ。この国は

     まだいい方で、どこかの国だと首相が暗殺、なんてこともざらにあった」

司令長官「そんな、どの国も困窮して治安が悪化していた中で、深海棲艦に唯一対抗できる力を持つ君たち艦娘は、救世主のような存在だったよ。皆、深海棲艦

     を撃破した、という情報を聞いて、狂喜乱舞した。これでこの地獄から抜け出せる、って」

3人「……………」

司令長官「そして今、物流も戦前と同じくらいに戻った。あの時は、君たちが今飲んでいるお酒もジュースも、本当の金持ちしか飲む事ができないぐらい高い

     ものだったんだから」

鳳翔「…………そんな事が……」

司令長官「黎明君も、体験してたはずだよ。彼はその時は、社会人1年目だったんじゃないかな?彼も多分、この豊かな今に感謝していると思うよ」

千代田「………私達、普段からそれの恩恵を受けていたけど…その時は………」

千歳「……………………ごちそうさま」

千代田「あれ?どうしたの?」

千歳「……さっきの話を聞いたら…ちょっと、少し贅沢とか我がままを控えようかなって思ったの」

千代田「ふ~ん………珍しい事もあるもんだね」


【終わり】

616: 2016/05/30(月) 21:34:26.21 ID:+qbfb9f70
【天職】

 ―11時過ぎ、工廠―

ガラララッ

提督「明石さん、いますか?」

明石「あ、提督!いらっしゃい!どうかしましたか?修理ですか?」

提督「いえ、視察に」

秋津洲「あ、提督!お疲れさまかも!」

提督「秋津洲さん、調子はどうですか?」

秋津洲「順調順調かも!やっと、秋津洲の本領が発揮できるようになったんだから!」

提督「しかし、秋津洲さんが機械いじりが得意とは思いませんでしたね」

明石「そうですねぇ…勝手に二式大艇の出力を上げていたのにはびっくりしましたから…」

秋津洲「あの後提督に凄い怒られたかも…」

提督「当たり前でしょう、勝手に装備の改修をするなんて。あれでネジも消費したなんて言ってたら、拳骨を追加してましたよ」

明石(………何されたの?)

秋津洲(………正座で2時間説教…かも)

提督「それより……演習中に電さんが『艤装の調子が悪い』とおっしゃっていたので、多分そろそろ来ると思いますけど…」

電「し、失礼しまぁ~す……」

提督「噂をすれば」

秋津洲「あ、電ちゃん!どうしたの?」

電「演習をしていたら、なんだかスピードがあまり出なくなって、それにスムーズに動けなくなったのです……」

秋津洲「ほうほう……深雪ちゃんとぶつかったりしたかも?」

提督&明石(それを最初に聞くのか)

電「いえ、今回はぶつかっていないのです」

提督&明石(‶今回は‶?)

秋津洲「う~ん……ちょっと、待っててほしいかも!」

617: 2016/05/30(月) 21:46:42.23 ID:+qbfb9f70
 ―十分後―

秋津洲「よし、これで大丈夫かも!」

電「はわわ、もう直ったのですか?」

秋津洲「うん、多分これで大丈夫だと思うから…鎮守府の近くを一回りしてくると良いかも。いいでしょ、提督さん?」

提督「かまいませんよ。ですが、万が一を考えて鬼怒さんを付けます。よろしいですか?」

電「問題ないのです、では鬼怒さんを呼んでくるのです」タタタ

提督「見事な手さばきですね」

秋津洲「ふふーん。秋津洲の事、見直したかも?」

明石「でも、秋津洲ちゃんが手伝ってくれてホント助かってますよ~。夕張ちゃんはあまり手伝ってくれないし、妖精さんがいてもできない事は山ほどありますし」

提督「そのうえ力持ちと」

明石「ええ、重い荷物を私よりも多く持てるんですよ」

秋津洲「戦闘じゃあまり役に立てないから、せめてここで役に立とうと思って……」

提督「……大規模作戦中も、頑張ったそうですね」

秋津洲「うん!大破した娘の艤装の修理とか手伝ってあげたかも!あくまで明石さんがメインだから…」

提督「………実は、大規模作戦が終了したら、ささやかですが新しく仲間に加わった方々の歓迎会も兼ねてパーティを開く予定なのですが、よろしければお二方

   もいらっしゃいますか?」

秋津洲「え、いいの!?やったー!」

明石「いいんですか?私も…」

提督「まあ、貴女方は大規模作戦中と言わず、いつでも頑張ってくださっているので、元々誘う予定でしたがね」

秋津洲「なーんだ」

提督(これで戦闘も得意だったら言う事なしなんですが……)

明石(それは高望みってものですよ。ソースは私)


【終わり】

618: 2016/05/30(月) 21:52:13.21 ID:+qbfb9f70
【キャラクター紹介】

≪秋津洲≫

秋津洲型水上機母艦一番艦。艦娘No.245(改はNo.250)。灰色のロングヘアーと、緑を基調とした制服が特徴の、陽気な女の子。二式大艇のことをこよなく愛し

ており、いつも一緒にいる。戦闘能力に関しては駆逐艦にも劣るぐらい低いが、手先が器用で機械いじりが得意なため、工廠で明石の手伝いをしている事が多い。

その腕前を明石と夕張にも認められ、開発課にも所属している。‶かも‶という曖昧な口調を提督に注意されていたが、最近は提督の方も諦めた模様。

好きな言葉は『失敗は成功の基』。

624: 2016/05/31(火) 21:27:15.16 ID:9qRfhVZa0
【助長】

 ―14時過ぎ、工廠―

明石「はーい、改装終了でーす!お疲れ様~」

隼鷹「おおう、こいつはいい感じだねぇ」

提督「ほう……服装が少し変わりましたねぇ」

隼鷹「んー、そうだなぁ。前はスカートだったけど、今度は袴かぁ。こいつは動きやすいからいいけどさ」

提督「おや、飛行甲板は……」

隼鷹「ああ、こいつだよ」クイッ

フヨフヨフヨ

提督「……自立飛行タイプですか」

隼鷹「それだけじゃねぇぜ。よっと」パチン

バサッ

明石「念じるだけで、飛行甲板の展開と艦載機の配備ができるんですよ。そして、今まで通りの方法で発艦できます」

提督「それはすごい…。今まで通りの方法、というのはあの、妙な印を結ぶヤツですか」

隼鷹「なんだよー、カッコいいだろー?」

提督「まあ、多少オカルトチックなところはありますが、艦載機搭載数も大分増えましたし、装備も烈風に電探2つと噴進砲とかなり豪勢です。弾薬を1400も

   消費した甲斐がありました」

隼鷹「よーっし、これでまた隼鷹様の出番が増えるってわけだ!」

提督「では、腕試しも兼ねてオリョール海へ出撃してみますか?」

隼鷹「おっ、いいのかい?」

提督「ええ」

隼鷹「おっしゃ、やる気出てきたぞぉー!」

625: 2016/05/31(火) 21:40:00.83 ID:9qRfhVZa0
 ―数時間後、東部オリョール海―

龍驤「ええな~…改二になれるなんてなぁ~」

隼鷹「なーに言ってんのさ。龍驤もあともうちょっとで改二になれるんでしょ?ならぶーぶー言う前にまずは練度を上げなって!」

龍驤「う~ん……」

皐月「うわぁ…隼鷹先輩の服、綺麗だなぁ~」

隼鷹「おぉ~い、綺麗なのは服だけかよぉ~?」

龍驤「髪はピョンピョンはねていて、ぜんっぜん綺麗やないけどな!」

隼鷹「なんだとこの~!」グリグリ

龍驤「いでででででで!」

皐月「ははっ、やめてあげなよ~」

ポーラ「ふふっ、隼鷹さんって面白いですね~♪」


提督「隼鷹さんは、ムードメーカー的なところがありますよね。自然と、みなさんの士気を高めてくれます。それに、誰とでも仲良く気さくに話せますから、

   新人の皆さんと組ませると、相性がいいです」

飛鷹「まあ、確かにそうねぇ。これで、髪がはねてなくて、言葉遣いも丁寧で、酒も飲まなかったら完璧な美人なのに」

提督「それ、もはや別人ですよね」


 ―数十分後、東部オリョール海・Gマス(敵主力打撃群)―

戦艦ル級elite「!!」ズドォォン

バゴォォッ

龍驤「隼鷹!大丈―ぶっ!?」


隼鷹「うわぁん、こんな格好嫌だぁっ!」←例の中破絵


ポーラ「ちょ、ちょっと!ほぼ全裸じゃないですか!憲兵さんに捕まっちゃいますよ!」

伊勢「こっ、これはお茶の間にはお届けできない!」

ゴーヤ「早く奴らを倒して、帰るでち!」


 ―数十分後、執務室―

提督「おや、隼鷹さんは?」

龍驤「えーっと…今は、お見せできひん状態で……」

飛鷹(あっちゃー……)


【終わり】

626: 2016/05/31(火) 21:45:48.97 ID:9qRfhVZa0
【キャラクター紹介】

≪隼鷹≫

飛鷹型軽空母二番艦。艦娘No.66(改二はNo.208)。ピョンピョンはねた薄い紫の髪と、金の装飾が施された上着が特徴の、気さくなお姉さん。酒を飲む事が好き

で、何かあるたびに宴会を開こうとする。普段の行いは結構ルーズだが、元々貨客船として設計されていた事のゆかりか、日々の所作にどこかお嬢様らしい所が

見られる。艦載機の発艦方法は姉の飛鷹、戦友の龍驤と同様にオカルトチック。もっと直すところを直せば美人になれる。那智、千歳は酒飲み仲間。

好きな言葉は『意気投合』。

638: 2016/06/02(木) 21:19:23.10 ID:5n2aLTVv0
【ファミレスにて】

 ―11時過ぎ、執務室―

衣笠「提督!ファミレス連れてって!」

提督「…………急に何ですか」

衣笠「だってぇ、さっき提督言ってたじゃない!」


 ―8時過ぎ、食堂―

提督「今回の作戦は、衣笠さんにも助けられたところがいくつかありますし…休暇とは別に何かご褒美を差し上げたいですねぇ…」ボソッ


提督「………あれ、聞こえてたんですか」

衣笠「伊達に青葉の妹はやってはいないよ」

提督「…………別にファミレスに行く事自体はいいのですが、本当にご褒美がそれでいいんですか?」

衣笠「いいじゃん別に。ファミレスって言ったことないんだよねぇ~。食事何て大体食堂か鳳翔さんのお店で済んじゃうし。それに………」

提督「?」

衣笠「提督と一緒に行きたいなーって」

提督「………………はぁ、分かりました」

衣笠「やたっ!じゃあ、12時前に鎮守府前ね。あ、それと」

提督「?」

衣笠「軍服は止めてね。ファミレスには合わないから」

提督「…………注文の多い事で」

639: 2016/06/02(木) 21:25:24.40 ID:5n2aLTVv0
 ―12時過ぎ、鎮守府近くのファミレス―

バイト「今日何だかお客さん少ないですね~」

店長「そうだねぇ。平日なのもあるけど、今日はあまり入ってこないね」

バイト「まあ、それだと楽ですけど~」

ピロリロリーン

店長「あ、お客さん入ったよ。対応して」

バイト「は~い」

バイト「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」

提督「2名です」

バイト(おっ、男女のペアか~。2人とも私服…みたいだし、デートかも?でも今日は平日だし…大学生か何かかな?)

バイト「かしこまりました。それでは、窓際の席へどうぞ~」

衣笠「おぉ………おぉぉ………」キラキラキラ

提督「あまりキョロキョロしないでください。目立ってますよ」

バイト(この女の子…こういうトコに来たことが無いのかな…?)

バイト「こちらのお席でよろしいでしょうか?」

提督「構いませんよ」

バイト「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びくださいませ~」

バイト(今日はお客さんも少ないし、このカップルでも観察してようかな~?カップルの痴情の縺れって、結構見てて面白いし…)ニヒッ

バイト「4卓に2名様ご来店で~す」

キッチン「はーい」

640: 2016/06/02(木) 21:35:59.62 ID:5n2aLTVv0
 ―数分後―

衣笠「ほうほう……ふむふむ……」

提督「……………」

バイト(ふむ……男性の方は見るからに20代後半…くらいかな。女の子の方は…10代後半か20代前半ってトコか……。こう見ると結構歳の差があるなぁ……。

    でも最近は、歳の差結婚ってよくあることだしなぁ……男の方は社会人で、女の子の方は高校生もしくは大学生か……?)

バイト(しかし、あの女の子結構可愛いなぁ。よくあんなこ見つけられたな男の方)

衣笠「へー…!メニューってこうなってるんだぁ~!」

提督「本当に来たことないんですね…そこまで珍しい物でしょうか?」

衣笠「だって初めてなんだも~ん」

バイト(ふ~ん……あの子、こういうトコは初めてなのか…。もしかして、お転婆に見えるけどどこかのお嬢様だったりするのかな…?)

提督「でも、青葉さんは良く来てるらしいですよ?」

衣笠「青葉はあれでしょ?ネタ探しとかで外に出る事が多いからでしょ?」

バイト(青葉………青葉っていう兄弟もしくは姉妹がいるの?しかしネタ探しって…もしかして新聞記者でもやってるのかな…)

衣笠「あ、でも隼鷹さんや那智さんは『居酒屋には行った事はあるけどファミレスは無い』って言ってたよ!」

提督「それはそれでどうなんでしょうか」

バイト(ある種問題じゃないの?そっちの方が…)

バイト(というかちょっと待って…。知り合いに、居酒屋に行ける…つまり酒を飲める年齢の人がいるって事は………あの女の子の方は大学生の可能性が高い…

    そして‶さん‶付けって事はその‶隼鷹さん‶や‶那智さん‶は、あの女の子の先輩か何かなのかな……)

提督「それより、何か注文しましょう」

衣笠「あ、じゃあドリンクバーっていうのやってみたい!」

提督「じゃあ、先にドリンクバーで、後で料理を頼みますか」

衣笠「うん、それでいいよー」

提督「では……」ピンポーン

店長「バイトちゃん、行って~」

バイト「はいさ~」

641: 2016/06/02(木) 21:45:01.40 ID:5n2aLTVv0
 ―数分後―

提督「しかし……今回は本当に苦戦しましたねぇ…」

衣笠「あー、そうだね……前と比べてはるかに難しかったよね……」チュー

バイト(苦戦……難しい……?何かのスポーツか何か?)

衣笠「ひどかったのはさ~、大鳳さんがボロボロになって戻ってくると、お尻が丸見えになっててねぇ~」

バイト「!?」

バイト(お、お尻丸見え!?そんなにまでなるスポーツって何なの!?)

提督「ああ、あれはひどかったですねぇ」

バイト(お前も見たのかよ!?っていうか、何その薄い反応は!)

提督「あの人、毎回あんな感じですよね」

衣笠「ホントホント、今回みたいなイベントではいつもね~」

バイト(何回もあったのか…と言うより、そのイベント…?の内容が知りたい……服が破れるスポーツのイベントって、倫理的にマズくない?)

提督「あ、そう言えば服の破れ方にも個人差がありますよね。吹雪さんとか赤城さんとかはあまり服が破れませんけど、瑞鶴さんとか陸奥さんとかは結構色々

   きわどい感じですけど」

バイト(冷静に分析すんじゃねぇよキメェ!)

衣笠「あー、どうなんだろうね…。私にもよくわからないなぁ……うーん…でも、何が関係してるんだろう…」

バイト(お前もお前で真面目に考えるんじゃねぇ!)

提督「まあ、それは追々分かっていく事でしょうし……」

バイト(いいよそんな謎追究しなくても……)

衣笠「まあ、妖精さんの考えている事なんてわからないよね」

バイト(よ、妖精!?)

642: 2016/06/02(木) 21:51:53.07 ID:5n2aLTVv0
 ―10分後―

提督「……以上でお願いします」

バイト「はい、かしこまりました~」

バイト(びっくりした……急に‶妖精さん‶なんて電波なワードが聞こえてくるから……)

衣笠「ね、ところでさ」

提督「?」

衣笠「雲龍さんとはどうなの?」

バイト(‶雲龍さん‶…?あの男、その雲龍って人と付き合っているって事なのかな……)

衣笠「ケッコンしたんでしょ?」

バイト「!?」ガチャン

店長「ちょっとバイトちゃん、大丈夫!?」

バイト「だ、だいじょぶです……」

バイト(妻帯者かよあの男!……じゃあなんだ、あの女の子は、友達か……いやいや、歳の差結構あるし……援助交際?ダメじゃない!)

提督「仮ですけど?」

バイト(か、仮!?結婚で仮ってどういう事……それって、恋人段階って事?同棲しているとか…そんな感じかな……)

衣笠「仮とはいえ夫婦でしょ?どこまで行ったの?キスとか、デートとか……もしくは、キャー!」

提督「何一人で盛り上がってるんですか…。ノーコメントで」

衣笠「ちぇっ、つまんないなぁ」

バイト(聞きたくない……そんな、ただれた生活なんて聞きたくない……)

キッチン「えーっと……バイトちゃん?大丈夫?」

バイト「え、ええ……何とか…」

キッチン「じゃあ、これ…10卓のお客様のトコに……」

バイト「あ、はい……」

643: 2016/06/02(木) 22:02:31.27 ID:5n2aLTVv0
 ―十数分後―

衣笠「んっ!美味しい~♪」モグモグ

バイト(さっきまでの会話は置いといて、ああやって笑顔で『美味しい』って言われると、なんだか嬉しいな♪まあ私は運んでいるだけだけど)

衣笠「でも、鳳翔さんや間宮さんの料理の方が美味しいかも」

バイト(そしてそういう事を言われるとなんだかムカッと来るんだよな~。まあ私は運んでいるだけだけど)

提督「こら、そういう事を言うんじゃありません」

バイト(よかった……あの男ある程度の良識は持っていたんだ…)

提督「そういう事は思ってても言わないか、小声でいう物ですよ」

バイト(あんたも大概だよ!)

衣笠「あ、そう言えば鳳翔さんや間宮さん言ってたよ?『最近来てくれなくて退屈だ』って」

バイト(ん?んん?その‶鳳翔さん‶や‶間宮さん‶って、料理も作れる……小料理店の人か何かかな……)

提督「私も仕事が忙しくて、行く暇があまりないんですよねぇ……」

バイト(やっぱりあの男は社会人か……しかしあの人ホントになんなんだろう…。どこかの会社に勤めていて、なんか苦戦になるたびに服が破れていくスポーツ

    をやっているチームのメンバーで、‶雲龍さん‶って人と仮の夫婦生活を送っている……結構な変人だなあ)

衣笠「あー、そう言えばこの前、秘書やってた足柄さん言ってたよ?『書類ばっかりで退屈!』って」

バイト(秘書!?っていう事はあの男、どっかの企業の社長か何かか!?あんな奇妙な経歴で社長やってられるのか……凄いなぁ…というより、何であの子その

    その‶足柄さん‶が秘書やってるって知ってるんだ?)

提督「私の仕事何て大体机の上で紙と向き合うものですよ」

衣笠「でも、視察とか行くんじゃなかったっけ?」

バイト(なんだか社会人的な会話になってきたなぁ~……私もバイト代貯めて、就活用の費用を溜めないとな……)

提督「まあ、工廠とかには行きますねぇ……ああ、寮にもたまに行きます」

バイト(全寮制の企業か…?今時珍しいなぁ)

衣笠「でも寮は女の子ばっかりでしょ?そんな気軽に視察行けるような場所じゃないと思うけど」

バイト(女の子ばっかり!?いや、ホントどういう会社だ!?)

提督「そこはあれです。恥ずかしいという感情を殺せば何とかなります」

バイト(お前はもっと恥じらいとか羞恥心を知れ!)

キッチン「あの…店長……バイトちゃん、なんだか様子がおかしいです……」

店長「疲れてるのかなぁ……」

644: 2016/06/02(木) 22:07:07.55 ID:5n2aLTVv0
 ―十数分後―

衣笠「もう6月だねぇ~。皆で海にでも行きたいなぁ~」

バイト(この流れで旅行の話するとか、あの子結構肝座ってるなぁ……)

提督「貴女達いつも海にいるでしょう」

バイト(え?いつもいるの?じゃああれか?皆海運業者とかそんな感じの企業なのかな?)

衣笠「仕事の海と、オフの日の海は違うの!あー、それにしても、行くとしたら水着買わなきゃな~」

提督「水着、ですか」

バイト(ほう…やっぱり男はそこに注目するのか)

衣笠「どんな水着着てほしい?ビキニとか?ハイレグとか?スク水とか?」

バイト(何で最後にスク水を持ってきた!?イメクラかよ!)

提督「いえ、スクール水着はいつも見ていますから」

バイト「」


 ―数分後―

衣笠「あ~、楽しかったね~」

バイト「ありがとうございました~……」

店長「ば、バイトちゃん…大丈夫?どうかしたの?」

バイト「……いやぁ……」

店長「?」

バイト「最近のカップルって、すごいですねぇ………」


【終わり】

651: 2016/06/03(金) 21:19:42.37 ID:gRzDvGiX0
【訓練の内容】

 ―20時過ぎ、脱衣場―

神通(……ふぅ、今日も疲れました……)ヌギヌギ

龍田「あらぁ、神通ちゃんじゃな~い」

神通「あ、龍田さん…どうも」

龍田「こんなところで会うなんて珍しい事よねぇ~」

神通「そうですね……あ、そう言えば天龍さんは?いつもお2人はご一緒のはずでしたが……」

龍田「それがねぇ~、天龍ちゃんと木曾ちゃんが~、トランプでポーカーをしてて中々勝負がつかないから~、先に私だけお風呂に入る事にしたの~」

神通「へ、へぇ……」

龍田「でも~、神通ちゃんと2人きりになるのって、なんだか珍しい気もするわね~」

神通「ええ…確かに……」ヌギヌギ

龍田「……神通ちゃん…1人の女として忠告させてもらうけど~…」

神通「はい?」

龍田「この見た目と外見年齢で~、胸にサラシってどうかと思うわよ~?」

神通「!!///」


 ―数分後、浴場―

カポーン

龍田「そう言えば神通ちゃ~ん」

神通「はい?」

龍田「さっき駆逐艦の子たちがね~、神通先輩の訓練今日もつらかった~、って言ってたわよ~」

神通「……そうですか」

龍田「神通ちゃんの訓練は厳しいって噂はよく聞くけど~、普段どんな訓練をしているのかしら~?」

神通「ええと…今日の訓練のメニューは……」

652: 2016/06/03(金) 21:31:33.68 ID:gRzDvGiX0
神通「………………って感じです」

龍田「それは確かに厳しいわね~…」

神通「そうでしょうか………私は、これぐらいやらなくては戦場で生き抜けないと……」

龍田「神通ちゃん、神通ちゃんがかつての大戦で沈んだことを参考にして訓練のメニューを考えた事に関しては私も賛成だけど~…」

神通「?」

龍田「限度っていう物があるわよ~?」

神通「……」

龍田「神通ちゃんの考えたメニューは、駆逐艦の子たちからしたら少しキツイぐらいの物ね~。もう少し薄めてもいいんじゃないかしら~?」

神通「……そう、でしょうか」

龍田「そうよぉ~。それに、もうすぐ夏になるんだし~、体調のことも考えないとね~」

神通「……そうですね」


 ―数日後10時過ぎ・運動場―

神通「…………以上が、今日のメニューです」

駆逐艦ズ『はぁ~い……』

初風(…………今日もキッツいわね~……)

霞(あ~…暑いのにやってらんないわ……)

神通「………それと」

駆逐艦ズ『?』

神通「…………本日はとても暑いので、訓練の後には間宮さんのお店で、皆さんにアイスをごちそういたします」

駆逐艦ズ『おお~っ!』

神通「それでは今日も、頑張りましょう」

駆逐艦ズ『はーいっ!』


龍田「アメとムチね~」

提督「いい指導方法を見つけましたねぇ」


【終わり】

653: 2016/06/03(金) 21:41:13.50 ID:gRzDvGiX0
【水雷戦隊のアイドル】

 ―15時過ぎ、訓練場―

阿武隈「みなさ~ん!ちょっと聞いてくださ~い!」

谷風「かーっ!暑いぜ!こういう日にゃキューッと冷たいラムネが飲みたいぜ~!」

浦風「ほんまね…。暑ぅて溶けてしまいそうだわ」

暁「さあ、訓練でもレディらしさを見せてあげるわ!」

響「訓練とレディは全く関係が無いんじゃないかな」

白露「ねえ時雨!訓練が終わったら間宮さんの所にアイスを食べに行かない?」

時雨「それはいいね。あ、でも間宮さんかき氷を始めたらしいから、そっちも食べてみたいかな」

子日「えっ、かき氷?子日も食べに行く~!」

若葉「うむ、訓練の後のかき氷はまた格別だろうな……」

阿武隈「うぅ~……聞いてくださいよぉ~!」


 ―19時過ぎ、食堂―

阿武隈「はぁ~……」

那珂「あっれぇ?阿武隈ちゃん、どうしたの~?」

阿武隈「ああ…那珂ちゃん……」

那珂「溜息なんかついてぇ~。ダメだよ?アイドルはぁ~、笑顔が一番っ♪」

阿武隈「いや、あたしは別にアイドルじゃないし……。ちょっと、聞いてくれるかな……」

那珂「なぁに?」

阿武隈「実はねぇ………」

………………

阿武隈「ってわけなの……」

那珂「ふむふむ……なるほどねぇ~」

阿武隈「どうすればいいのかなぁ……」

654: 2016/06/03(金) 21:47:27.21 ID:gRzDvGiX0
那珂「それは簡単だよ、笑顔を振りまく!これだね!」

阿武隈「へ?」

那珂「阿武隈ちゃんは~、いつも何だか不安げな表情をしているよね~。それが皆から信頼してもらえないんだよ~」

阿武隈「………………」

那珂「旗艦が笑顔でいれば~、皆も笑顔になれるし~、安心もできるよね?そうすれば皆阿武隈ちゃんのいう事を聞いてくれるよ!」

阿武隈「……そうなのかな…」

那珂「そうだって!だから~阿武隈ちゃんはね~…」

阿武隈「?」


 ―数日後13時過ぎ、訓練場―

阿武隈「やっほ~!皆ぁ、元気~?」

駆逐艦ズ『』

阿武隈「水雷戦隊のアイドル、阿武隈ちゃんだよ~♪きゃは☆」

駆逐艦ズ『』

阿武隈「今日はぁ~、みんな頑張って訓練しようね~!みんなが頑張る姿を見ると~、あたしも阿武隈ちゃんも心が温まるから~、ね☆」

駆逐艦ズ『』

阿武隈「……………」

暁「あ、あの…阿武隈先輩………」

阿武隈「な、なぁに?」

暁「えっと、暁たちが阿武隈さんの指示に従わなかった事は謝るわ……だから…その……」

阿武隈「?」

響「その、あんまり1人でストレスを溜め込まない方がいいよ?」

阿武隈「う、うわぁぁぁぁぁぁあああああああああん!!!」


【終わり】

662: 2016/06/04(土) 21:33:11.56 ID:96sODZ0Z0
【一歩前へ】

 ―10時過ぎ、執務室―

夕張「お呼びでしょうか、提督」

提督「実はですね、練度がまだ不十分な駆逐艦の方たちを連れて、鎮守府近海の潜水艦哨戒をお願いしたいのです」

夕張「え、潜水艦哨戒ですか?」

提督「ええ。よろしいでしょうか?」

夕張「あ、はい!夕張、任務を全ういたします!」ビシィ

提督「お願いします。連れて行ってもらいたい駆逐艦の方は、風雲さん、初月さん、嵐さん、萩風さん、そして神風さんです。各員の装備はこちらです」スッ

夕張「はい」

夕張(私の装備は九三式水中聴音機と三式水中探針儀、九四式爆雷投射機と三式爆雷投射機でフルスロットか。駆逐艦の子たちは三式水中探針儀と九四式爆雷

   投射機ね。よしよし)

夕張(ここは、水雷戦隊旗艦、そして四スロット軽巡の力を見せていきましょうかね!)


 ―11時過ぎ、鎮守府近海・Aマス(敵偵察潜水艦)付近―

夕張「皆ー、爆雷とソナーの使い方はもうマスターできたー?」

嵐「おう!もうバッチリだぜ!」ビシッ

神風「私は少し心配かも……」

夕張「いいよいいよ?分からないなら聞けばいいんだから。まずは私がお手本見せるからね~?使い方がまだよくわからないって子はよーく見ておくのよ?」

神風「はい!」

萩風「お願いします」

ポーン、ポーン

風雲「ソナーに感あり!感1、潜水カ級eliteです!」

夕張「よーし、ナイス風雲ちゃん!それじゃ、ソナーよぉし、爆雷よぉし。それじゃ、早速―」

嵐「魚雷航走音!まずいぞ夕張センパイ!」

夕張「へ?」

ドゴオオオオオオオオオオオオオンン

夕張「ああああああっ!?」大破

全員「あ」

663: 2016/06/04(土) 21:50:43.29 ID:96sODZ0Z0
 ―数十分後、1号入渠ドック―

夕張「あー……やっちゃったか……」

夕張「結局、あの潜水カ級eliteは嵐ちゃんが倒しちゃったし……神風ちゃんや萩風ちゃんも嵐ちゃんに聞いてたし……」

夕張「……これじゃ、旗艦の名が泣くわね……」


 ―14時過ぎ、軽巡洋艦寮・休憩室―

夕張「はぁ……」

川内「お、夕張お疲れ~」

夕張「あぁ、川内」

川内「聞いたよ~?潜水艦哨戒に行ってお手本見せようと思ったら、eliteにやられちゃって大破したんだって?」

夕張「うっ」

川内「いやぁ、恥ずかしいよね~?お手本見せてやるーって張り切って言ったら逆にお手本見させる側に助けられるなんてさー」

夕張「……情けないよね…。水雷戦隊旗艦の面目丸つぶれで……」

川内「そう落ち込む事もないって、私も何度かそういう事があったし。夕張は変なところで真面目なんだから~」

夕張「はぁ……」

川内「よーし、そんな夕張に1つアドバイスをして進ぜよう」

夕張「?」

川内「会敵したら前に進め!まずは一歩前に進んで、敵と向き合う!その後のことはその時に考えればいい事!」

夕張「……は?」

川内「夕張はさ、戦う前にちょっと躊躇するところがあるんだよね。その形は、装備の確認だったり、計算のし直しだったり。それが、隙を生んでいるんだ」

夕張「……確かに、そんな感じかも」

川内「次は、そういう躊躇を振り切って、まずは一歩前に踏み出すといいよ!」

夕張「………そう、だね。そうしてみる」

大淀「あ、夕張さん」

夕張「はーい?」

大淀「提督から、明後日の出撃に関する書類です。駆逐艦の皆さんを連れて、キス島で練度向上を目的として出撃してほしいとのことです」

川内「おっ、丁度いいじゃん。じゃあ夕張、私の言った事を踏まえてやってみるといいよ?」

夕張「川内………ありがとうね」


 ―翌々日13時過ぎ―

夕張「川内ィィ……」大破

川内「………てへっ☆」


【終わり】

664: 2016/06/04(土) 22:07:05.64 ID:96sODZ0Z0
【最新鋭】※>>602に能代を書き忘れてしまいました。申し訳ございません。

 ―15時過ぎ、訓練場―

阿賀野「えーいっ!」

能代「やああっ!」

ドゴォォォォォォン

駆逐艦ズ『おおお~』

阿賀野「っていう感じに敵を撃つんだよ?分かったかな?」

能代「私達は15.2cm連装砲を使ったけど、これは私達にフィットしている主砲がこれなだけで、砲撃のフォームは基本的に同じだから、皆も同じようにやって

   みてね」

駆逐艦ズ『はーい!』

朝潮「阿賀野さんと能代さん、装備も最新なのもあってカッコイイです!」

阿賀野「え、ホント?ありがとね~」

大潮「あ~、大潮たちも最新の装備が使えたら、気分もアゲアゲで行けるのにな~」

能代「ふふっ、そんなに焦る事はありませんよ。駆逐艦の貴女達には、私達軽巡洋艦よりも速い足とそれを生かした俊敏さがあるわ。その俊敏さは、私達軽巡も

   見習いたいもの。貴女達には、貴女達の戦い方があるわ」

黒潮「は~、やっぱりさすがは最新鋭の阿賀野型…。憧れるで~」


名取「………はぁ」


 ―17時過ぎ、軽巡洋艦寮・休憩室―

阿賀野「あ~、疲れたね~」ゴクゴク

能代「そうね……って阿賀野姉ぇ!歩きながらラムネ飲まないで!こぼしたらどうするの!」

阿賀野「大丈夫だって~、そんなこぼしたりはしないよ~。能代は心配性だね……」

バシャッ

阿賀野「あっ」

能代「ああんもう!ほら、拭いてあげるから動かないで!」

阿賀野「うわぁん、くすぐったいよぉ~」

665: 2016/06/04(土) 22:19:59.80 ID:96sODZ0Z0
名取「………はぁ」

能代「……おや、名取さん?」

名取「へっ!?あ、どうも………」

阿賀野「どうしたのぉ?溜息なんかついて……女の子は笑顔だよ?名取ちゃんは可愛いんだから!」

名取「可愛い………ですか」

阿賀野&能代「?」

名取「お2人は、可愛い上に最新鋭何て………私なんて可愛いけど古いだけで……」

能代「え、ええと………どうしたんですか?」

名取「………お2人は、最新鋭と言われている阿賀野型の軽巡洋艦…。方や私は、高性能な長良型の中でも特にとりえのない型落ちの軽巡……」

阿賀野「なーに言ってるの!」

名取「………ふぇ?」

阿賀野「名取ちゃんはあれでしょ?古鷹さんや加古さんや改二軽巡洋艦と同じくらいの火力と雷装を持っているんでしょ?それだけで十分じゃない!」

名取「………でも…私は古いですし………」

能代「古くてもいいじゃないですか」

名取「え?」

能代「古いという事は、今まで幾多の作戦や戦略を見てきたという事でしょう?それだけ私達よりも経験があるという事です。最新鋭の装備よりも、その長い

   時の中で蓄積してきた経験の方が、ずっと価値ある物ですよ」

名取「………」

阿賀野「だから名取ちゃん、そんなに自分を過小評価しなくていいんだよ。名取ちゃんは、その経験や力を誇っていいんだよ。ね?」

名取「………そうですね。ごめんなさい、なんだか自分で落ち込んじゃって、阿賀野さんや能城さんにも心配をおかけして…」

能代「元気になられたなら、それで何よりです!」



 ―翌日15時過ぎ、入渠ドック―

名取「やられちゃった……やられちゃったよぉ………ふぇぇぇぇぇぇぇ……」大破

阿賀野(それに名取ちゃんは、最新鋭の私達よりスタイル全然いいんだから!)

能代(誇っていい事ですよ、それも)


【終わり】

666: 2016/06/04(土) 22:27:04.28 ID:96sODZ0Z0
【キャラクター紹介】

≪名取≫

長良型軽巡洋艦三番艦。艦娘No.44。ショートボブの茶髪と、白いカチューシャが特徴の、引っ込み思案な女の子。いつも何かにびくびくと怯えており、こちらの

保護欲を掻き立ててくる。自分は古いと自虐的な発言をしているが、火力と雷装は改二軽巡洋艦に並ぶほど高く、戦闘に関する経験も豊富。こう見えて由良や鬼怒

の姉だが、性格的な面で由良の妹と勘違いされることもあり、本人すら間違える始末。胸部装甲は長良型でも一二を争うほど大きい。少し天然。

好きな言葉は『水心あれば魚心』。

672: 2016/06/05(日) 21:12:38.11 ID:iZknE1Kb0
【クレーム】

 ―14時過ぎ、応接室付近―

暁「はぁ……由良さん、大丈夫かなぁ…」

電「鎮守府に戻る直前でイ級の不意打ちに遭うなんて…可哀そうなのです」

響「でも、かすり傷だったらしいし、すぐに入渠は終わると思うよ」

雷「って、あら?」


提督「………………」イライライラ


響「………なんだか、イライラしている感じだね」

雷「司令官、どうしたの?」

提督「…ああ、雷さん。皆さんも……北方海域から戻ってきたんですね?」

暁「あ、そうなんだけど……由良さんが鎮守府の近くでイ級の急襲に遭っちゃって今入渠してるの」

提督「そうですか……」

電「あっ、ごめんなさい!司令官さんの許可も得ずに入渠させちゃって、ごめんなさい!なのです!」

提督「いえ、それは気にしていませんが…」

雷「それより、こんなトコで司令官は何してるの?」

響「ここは…応接室だね」

電「誰か来てるのですか?」

提督「ええ……まあ」

暁「誰が来てるの?」

提督「………あー……」

4人『?』


提督「クレームです」


673: 2016/06/05(日) 21:22:16.08 ID:iZknE1Kb0
4人『クレーム?』

暁「クレームってあれ?クレープの仲間みたいな、食べ物?」

提督「違いますよ。要は、苦情や文句みたいなもんです」

響「でも珍しいね。総司令部にクレームが来るなんて」

提督「いえ、珍しい事でもありませんよ。大体総司令部へのクレームは書類などで司令長官と私の下に届きます。今回のように直接言いに来るというのは、

   稀ですがね」

雷「クレームだって分かってるなら招き入れなければいいのに」

提督「いえ、最初は別にクレームを言いに来たとかそんなんじゃなくて、ただ取材に来たと言ったんです。しかしアポなしで」

電「アポ無しなら、門前払いしてもいいのでは?」

提督「最初はそう思ったんですが、どうも相手がしつこくて、いい加減対応が面倒になって入れたんですよ」

暁「……で、いざ取材を始めたらクレームを言ってきたと」

提督「大体そんな感じです。最初は1時間ぐらいで終わるから、とか言っておきながらもう3時間…」

響「追い出せばいいじゃないか」

提督「追い出そうと何度もしたんですが、そうする度に『総司令部は記者への扱いもぞんざいだと記事に書く』とわめき散らして、やむを得ず……」

暁「でも珍しいじゃない、司令官が奥手に出るなんて」

雷「そうね、司令官らしくないじゃない」

提督「本当なら私も鳩尾に2、3発入れて外に放り出しておきたいところだったんですが、先ほどの要に脅されてまして」

響「やっぱりいつもの司令官だね」

提督「それと……どうもあの記者、見覚えがあるような気がしまして」

4人『?』

提督「しかし、いくら何でも長すぎるので、そろそろ介入しようと思います」

コンコン

提督「失礼します」ガチャ

674: 2016/06/05(日) 21:32:19.60 ID:iZknE1Kb0
司令長官「おや、黎明君。どうかしたのかい?」

提督「いえ、流石にもう長すぎますので……」

司令長官「そうだねぇ……じゃあそろそろ……」

記者「ちょっと、こっちの話はまだ終わってないんですよ!」

司令長官「いやぁ、終わってないって…大体君の話って総司令部…というか海軍に対しての文句ばかりじゃないか」

記者「その文句や意見に応えるのが海軍の上に立つ貴方でしょう!先ほどから私の話をはぐらかして…」

暁「………見るからに面倒くさそうね」ボソボソ

響「そうだね…記者って大体こんな感じだし」ボソボソ

提督「はぁ……仕方ないですね…司令長官では受け答えには不向きでしょう。私が代わりに答えます」

記者「あんたは」

提督「私はこの総司令部に併設されている鎮守府の司令官であり、司令長官の補佐官です」

記者「ほう………少しは話の分かりそうなやつだな」

提督「それで、海軍にどのような不満があるというのですか?」

記者「不満もあるに決まっているだろうが!あんたら海軍はこの国の海を守っている対価のように贅沢をしている!今のご時世、どこも節約の時代だと言う

   のに!」

提督「具体的にはどのような贅沢を?」

記者「この総司令部にある、≪甘味処・間宮≫とかいう店や、≪居酒屋・鳳翔≫とか、≪万屋・明石≫って店だ!節約の時代にそんな店、海軍には必要ないだろうが!」

提督「どうやら、勉強不足のようですね」

記者「なんだと?」

提督「過去の軍隊にも、‶酒保‶と呼ばれる、士官兵向けの嗜好品・日用品を販売する店があったんですよ?先ほど述べた3つの店はその酒保と同じような役割を

   持っています。その店の経営者も、艦娘です。酒保が、酒保委員と呼ばれる経理部主計将兵で構成されていたように」

記者「ちっ………だがなぁ!」

提督「?」

675: 2016/06/05(日) 21:41:02.07 ID:iZknE1Kb0
記者「聞けばここの艦娘の寮には、1人1つベッドがあるそうじゃないか。昔の船員はハンモックで寝ていたってのに、これも贅沢だろうが!」

提督「……それは…あー………あれですよ。そういう時代になったんですよ」

記者「そんな曖昧な答えで納得できるか!」

提督「兵は、十分な休息があれば体力や気力を回復できるものです。その休息をとるのに最も有効な手段が睡眠、そして良質な睡眠をとるためにはゆっくり

   休む事ができるベッドが一番いいんです。後……」

記者「?」

提督「ハンモックで寝ていたのはあくまで軍艦です。陸の上の寮などでは、多分煎餅布団もしくは硬いベッドで寝ていたんでしょう。やはり勉強不足ですね」

記者「…………」

司令長官「いやぁ、黎明君がこんな感じの交渉ごとに出ると、負ける事がほとんどないね~」ボソボソ

雷「司令長官は、交渉事とか苦手なの?」ボソボソ

司令長官「ああ、儂はこういった事には慣れてなくてねぇ」ボソボソ

記者「………分かった、贅沢については分かった」

提督「そうですか」

記者「しかし、しかしだ!」ガタッ



記者「何で全員女なんだ!何故女を戦場に出す!?そこにいる子供まで戦わせるなんて、過去の大戦でもなかったというのに!」



記者以外「」

記者「女性を戦地に出すなんてことは過去の大戦でも無かった。しかしお前たちは、女性を深海棲艦と戦わせている!女性蔑視に値するぞ!」

提督「それを男の貴方が言いますか」

司令長官「でもなぁ~、どうして女性しかいないのか、っていうのは疑問なんだよなぁ……」

提督「妖精さん曰く、『公的な書類だと船舶のことを女性名詞で表しているからかもしれない』とおっしゃっていますが」

記者「なんだ妖精さんって!そんな子供だましみたいな事で騙されるか!」

676: 2016/06/05(日) 21:45:47.49 ID:iZknE1Kb0
雷「………なんだか、まともに相手するのも面倒くさいわね…」

電「司令長官さんは、こんなのを相手に3時間も…?」

司令長官「そうなんだよ…もう疲れた疲れた……でも何だか見た事があるような顔だから無下にもできなかったし…」

響「え?司令長官も?」

司令長官「‶も‶って?」

暁「司令官も、あの人に会った事があるような…って言ってたわよ」

提督「え、司令長官も会ったような気がするんですか?」

司令長官「へ、黎明君も?」

記者「おい、話を逸らすんじゃない!」

提督「黙りなさい。司令長官、この方の名刺は貰っていますか?」

司令長官「え、ああ。はい」スッ

提督「………………」ジーッ

提督「……雷さん。書庫へ行って、1~2年前の海軍学校の生徒リストを取ってきてください」

雷「わ、分かったわ!」


 ―数分後―

雷「持ってきたわ!」

提督「ありがとうございます」スッ

記者「おい、何やってんだ!こっちの話はまだ終わってないぞ!」

提督「………あ、やっぱり」

司令長官「え?」

677: 2016/06/05(日) 21:58:16.54 ID:iZknE1Kb0



提督「貴方、1年前に提督登用試験を受けて落ちた方じゃないですか」



記者「」

第六駆逐隊『え?』

司令長官「え?あ、ああ!そういえばいたねぇ!こんな子!」

提督「確か、人の揚げ足を取る事に関しては人一倍強く、ちょっとしたことですぐに腹を立ててトラブルを起こす方でしたねぇ。そして、登用試験の結果発表の

   時に落ちたと聞いて、総司令部に散々罵詈雑言を飛ばした挙句海軍を辞めたと聞きましたが……まさか、記者になっているとは」

記者「………………」プルプルプル

提督「大方、自分を提督にさせなかった海軍への逆恨みで、海軍の粗探しのような事でもしていたのでしょう」

司令長官「そんなすさんだ性格だから、提督にはなれなかったんだよなぁ」

記者「黙れ!と言うか、そこの子供も艦娘だろ?そいつらも、どう思ってるかは分からんぞ?本当は戦いたくないとか思っているはずだ!そうだとしたら、

   児童虐待になるだろうなぁ!」

提督&司令長官(児童虐待とか、何言ってんだこいつ)

雷「そんな事は無いわ!」

記者「何?」

雷「確かに私達は戦場で深海棲艦と戦っていて、怖いと思う事も、辛いと思う事はあったわ。でも、それ以上にこの鎮守府での暮らしは楽しいもの!」

記者「………………」

電「間宮さんの作るスイーツは美味しくて、鳳翔さんの作るご飯も暖かくておいしくて、皆と楽しくおしゃべりもできて…」

暁「それに、寮でちゃんと休むこともできるし、司令官が私達のことを考えて出撃スケジュールとかを考えてくれているし、全然苦じゃないわね」

響「むしろ、艦娘に生まれたからこそ、新しい発見ができたから、艦娘に生まれた事に感謝しているくらいだよ」

記者「………………」

提督「………これでもなお、貴方は詮索しますか?」

記者「………………くそっ!」ガタッ

バタン

678: 2016/06/05(日) 22:02:40.57 ID:iZknE1Kb0
雷「行っちゃった…」

電「大丈夫でしょうか?今回の事を書かれたりしたら……」

提督「その時はあの人の素性と皆さんの発言を全てバラしてあっちの立場を悪くします」

司令長官「しかし……彼も随分落ちたもんだねぇ」

提督「………ところで」

響「なんだい?」

提督「先ほどの貴女達の発言、本当ですか?」

暁「もちろん、本当よ!」

響「艦娘に生まれたから、かつて軍艦だった頃にできなかった事はできるようになったんだから」

雷「それに、皆と楽しく話もできるし!」

電「ご飯も美味しいのです」

暁「そして司令官も優しいから、言う事ないわ!」

提督「………………そうですか。よかったです」

司令長官「さて、じゃあ戻ろうか」

提督「そうですね。後、司令長官はもっとこのような交渉事や質疑応答に慣れるように」

司令長官「むぅ……」


【終わり】

684: 2016/06/06(月) 21:11:17.74 ID:WE4mMO880
【溝】

 ―8時過ぎ、食堂―

アイオワ「Good morning!ナガト!」

長門「!」ビクッ

アイオワ「?どうかしたの?」

長門「あ、いや………何でもない」

アイオワ「Hm……あ、となり座ってもいいかしら?」

長門「あ、ああ…構わんぞ」

アイオワ「じゃあ失礼するわね」ガタッ

コンモリ

長門「……朝結構食べるんだな」

アイオワ「Yes!朝はいっぱい食べないと、1日どころか午前も切り抜けられないわ!」

長門「ふふっ、なんだそれ」


 ―少し離れた席―

陸奥「……ふ~ん、結構いい感じじゃない」

提督「思ったより険悪な雰囲気になるかと思ったんですが……少しずつ打ち解けられているようですね」

陸奥「これも、アイオワさんと長門の間を取り持った私のおかげね」フンス

提督「ま、そのアイデアを発案したのは私なんですが」

陸奥「むー」ブー

685: 2016/06/06(月) 21:24:01.17 ID:WE4mMO880
 ―>>449と同時刻、執務室の外―

アイオワ『Meは……私は、例えどれだけ時間がかかろうと、どれだけ皆に忌避されようと、あの時の事をちゃんと謝って、罪を償って、皆と一緒に肩を並べて

     共に生きていきたいと思ってるわ」

陸奥「………………そういう事、ね」


 ―数分後―

ガチャ

アイオワ「あら………さっきの………」

陸奥「長門型戦艦二番艦の陸奥よ。さっきはウチの姉がごめんなさいね」

アイオワ「姉って……あのWoman?」

陸奥「そうよ。彼女が長門」

アイオワ「ナガト……………なるほど、ね」

陸奥「?」

アイオワ「いえ、彼女がナガトだと知って、どうして私のことを見てあんなに震えていたのか、その理由が分かったわ」

陸奥「………そっか」

アイオワ「でも、これだけは知っておいてほしいの。たとえ私がナガトに嫌われようとも、私は過去の過ちを謝り、赦してもらうまで何度でも皆とぶつかり

     合っていく覚悟があるわ」

陸奥「……………そう。それなら、私も協力するわ」

アイオワ「Cooperation?」

陸奥「そんな、過去の過ちのせいで皆と衝突する覚悟を持ってでもみんなと付き合っていく、何て本気で言っているあなたを、その話を聞いたうえで放って

   おけるわけがないでしょ?それに、ここには来たばかりで右も左も分からないでしょうし」

アイオワ「………言われればそうね」

陸奥「だから、私がここを案内してあげるわ。それと、皆がどんな感じの性格なのかも」

アイオワ「Thank you.助かるわ」

陸奥「じゃあ、行きましょうか」

686: 2016/06/06(月) 21:37:01.26 ID:WE4mMO880
 ―数日後10時過ぎ、執務室―

提督「まずは、長門さんとアイオワさんの仲を良くさせるのが良いでしょう」

陸奥「無論そのつもりよ」

提督「いえ、陸奥さんは『長門さんがアメリカを憎んでいるけれど、皆と敵対する覚悟を持ってでも皆と仲良くしたいアイオワさんのことは好きになってほしい』

   と考えているんでしょう?」

陸奥「ご明察」

提督「私もその意見には同意しますが………長門さんは、この鎮守府のリーダー的な存在です。大和さんや武蔵さんよりも任期は長く、経験も豊富です。そんな

   長門さんがアイオワさんのことを忌み嫌っていては、他の皆さんも敬遠してしまうでしょう」

陸奥「…………あ」

提督「ですから、長門さんがアイオワさんと仲良くなれば、おのずと他の皆さんもアイオワさんと打ち解けていくでしょう。そうするために、私も陸奥さんと一緒

   に、長門さんとアイオワさんの仲を取り持ちましょう」

陸奥「………そうね。お願いするわ」


 ―17時過ぎ、戦艦寮・長門&陸奥の部屋―

陸奥「長門、大丈夫?」

長門「………ああ、大丈夫だ」

陸奥「さっきのことは………まあ、仕方ないと思うわ」

長門「いや……私もこの大規模作戦で、アメリカの戦艦が着任すると聞いたときから、おそらくそういう事になるだろうと覚悟はしていたんだが、いざその

   場面になるとな……」

陸奥「………ねえ、長門。ちょっと聞いてほしいんだけど……」

長門「?」

陸奥「さっきのアイオワさん…ね」

長門「!」ビクッ

687: 2016/06/06(月) 21:46:13.00 ID:WE4mMO880
陸奥「皆とぶつかり合う事も覚悟しているけど、それでも過去の過ちを謝罪して、皆とこの鎮守府で仲良くしていきたいって言ってたの」

長門「……………」

陸奥「それでね、長門が怖がってちゃ、他の皆もアイオワさんの事、恐がっちゃうでしょ?だから、長門がアイオワさんと仲良くなれば、皆もアイオワさんと

   仲良くなれると思うの」

長門「……………」

陸奥「………だから、ちょっとずつでいいからアイオワさんと仲良くなってほしいの」

長門「………………うむ」


 ―翌日19時前、廊下―

陸奥「アイオワさーん!一緒にご飯でもどう?」

アイオワ「Oh!いいのかしら?」

長門「あ、ああ。構わんぞ」


 ―さらに翌日20時過ぎ、浴場―

カポーン

陸奥「ねえ長門。背中流してあげる」

長門「おお、久々にやってみようか」

陸奥「じゃあ、アイオワさん。あなたは長門に背中を洗ってもらって?私は長門の背中を洗うから」

アイオワ「Oh!これが噂に聞く‶背中ナガシー‶というヤツね!いいわ、やったげる!」

長門「あ、ああ…じゃあ行くぞ」

アイオワ「ドーンと来てOKよ!」

688: 2016/06/06(月) 21:54:49.58 ID:WE4mMO880
 ―現在―

アイオワ「ん~!やっぱりマミヤのご飯はDeliciousね!」

長門「そうだろう?私もここに来て間もなく、この料理に胃袋を掴まれた」

アイオワ「ス、StomachをCatch!?」

長門「ん?あ、違う違う。それは言葉のアヤでだな……」


陸奥「仲良くなれたようで、何よりだわ」

提督「そうですね」

陸奥「おかげで……」チラッ


暁「ア、アイオワさん……おはよう」

響&雷&電「おはようございます」

アイオワ「Oh,アカツキ!他のNo.6Destroyerも、Good morning!」

暁「と、となりいいかしら?」

アイオワ「Oh course!もちろんよ」

暁「じゃあ、失礼します」

雷「失礼するわね!」



提督「少しずつですが、他の皆さんとも仲良くなれてますね。大和さんなんか、この前アイオワさんにテルテル坊主の作り方を教えてたくらいですし」

陸奥「……これなら、もう長門の心配いらないわね……」

提督「?」

陸奥「………長門のしょんぼりした顔なんて、見たくなかったもの」

提督「………私もです」


暁「ああんもう!スープがこぼれちゃったわ!」

アイオワ「Oh,それじゃまだまだ、Ladyにはなれないわねぇ。HAHAHAHAHAHA!」

長門「ははは、まったくだな」ニコッ


【終わり】

689: 2016/06/06(月) 21:59:37.12 ID:WE4mMO880
【キャラクター紹介】

≪長門≫

長門型戦艦一番艦。艦娘No.1。ロングストレートの黒髪と紅い瞳、角のような信号旗が特徴の、勇ましいお姉さん。鎮守府の中でも皆にとても頼りにされており

戦闘の腕もトップクラス。さらにデスクワークにも長けているため、提督代理業を務める事もできる。過去の軍艦・長門の最後がアメリカにまつわる事から、ア

メリカのことを毛嫌いしていたが、アイオワと打ち解けた事により、その面も見られなくなってきた。戦闘に関しての腕は確かだが、家事についてはポンコツ。

好きな言葉は『天衣無縫』。

690: 2016/06/06(月) 22:03:14.05 ID:WE4mMO880
≪陸奥≫

長門型戦艦二番艦。艦娘No.2。茶髪のボブカットと黄緑色の瞳、長門と同じ信号旗が特徴の、妖艶なお姉さん。あの長門の妹と言う事もあり、同じく皆から頼り

にされている。その魅力的な振る舞いと容貌は駆逐艦の子たちの憧れ。しかし、三番砲塔の謎の爆発がトラウマとなっているため、火気の取り扱いについては特に

細心の注意を払っている。長門と同じく戦闘でも腕は立つが、長門とは違い家事やオシャレにも精通している。提督のことを誘惑していたが、今はもう諦めた。

好きな言葉は『油断大敵』。

691: 2016/06/06(月) 22:05:05.18 ID:WE4mMO880
今日はここまでにします。

>>658
  長門とアイオワの話、いかがでしたか?なんだか、陸奥の話になった気がしなくもないですが、お気に召さないようでしたら申し訳ございません。


明日は、リクエストにありました提督の趣味についての話を書いていきます。また、キリ番安価も取る予定です。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた明日。


【艦これ】総司令部日誌【その8】

引用: 【艦これ】総司令部日誌