697: 2016/06/07(火) 21:20:39.50 ID:6wUiCsfT0
こんばんは、>>1です。




それでは、投下していきます。
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
698: 2016/06/07(火) 21:28:16.26 ID:6wUiCsfT0
【趣味】

 ―11時過ぎ、司令長官室―

提督「司令長官、この書類に目を通しておいてください」

司令長官「ああ、ありがとうね。ところで黎明君」

提督「はい?」

司令長官「君の趣味って、なんだっけ?」

提督「そうですね。最近はどこかの無能のせいで休日がほとんど潰れて趣味をする暇もありませんので、趣味が無くなりつつあります」

司令長官「そう言う切実な話じゃなくてね……」

提督「大体その原因は貴方がろくに仕事をしないせいだからなんですけど」

司令長官「あ、あはは……善処します」

提督「まあ冗談はさておき、趣味は読書ですかね」

司令長官「ああ、読書ね……ふーん……」

提督「何か?」

司令長官「いやね、さっき雑誌で読んだんだけど、『趣味が‶読書‶というものは‶本を読む事しか能がない‶って悪い印象を植え付けがち』って載ってたんだよ」

提督「また仕事もせずくだらない雑誌など読んで挙句に鵜呑みにするとは……」

司令長官「いやぁ、でもこの意見ももっともだと思うよ。読書って、聞こえは知的なイメージがあるけど、実際にその場面を想像すると、暗いな~って感じるね」

提督「そんなものでしょうか」

司令長官「だから黎明君も、新しい趣味を何か見つけた方がいいかもしれないよ?」

提督「別にいいですよ私は…」

司令長官「いやいや、君は普段から暗いイメージがあるんだから、せめて趣味ぐらいは明るいものを見つけなよ」

699: 2016/06/07(火) 21:36:19.71 ID:6wUiCsfT0
 ―12時過ぎ、食堂―

金剛「Oh,趣味デスカー?」

提督「はい。何かありませんかね?」

金剛「Hm……そうですネー……ワタシの趣味はお茶会デース!後は……言えないデース…」

提督「そうですか…しかし、お茶会ですか…」

金剛「よろしければ、今度金剛型でティーパーティをする時、テートクも参加しマスカー?」

提督「時間が合えば、是非」

金剛「Promiseネ!」

比叡(………お姉様の趣味って、お茶会と司令の監視なんですよね……)

霧島(そんな事、言えるはずが無いですよね…ほとんどストーカーですもん……)


 ―14時過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫裏手―

鳳翔「はあ……趣味ですか……」

提督「ええ。司令長官から、『読書が趣味なのは暗いイメージがある』と指摘されて…」

鳳翔「あら……私も趣味は読書なんですよね……」

提督「そうでしたか……」

鳳翔「あ、後はお花の世話とか……ここに植えてある花も、私が手入れしているんです」

提督「ほう……」

鳳翔(でも……お花を愛でる提督………ちょっとアンバランスですけど、見ていて楽しそうですね♪)クスッ

提督「?」


 ―15時過ぎ、戦艦寮・休憩室―

長門「ほう、趣味か」

提督「ええ」

長門「……済まない。私の趣味と言ったら筋トレや戦術論の勉強等なんだ。提督が求める趣味とは少し違うと思う」

提督「確かに………そうですね」

700: 2016/06/07(火) 21:42:25.81 ID:6wUiCsfT0
日向「菓子作りかな。後は瑞雲と散歩だ」

提督「勝手に装備を持ち出さないでください」


赤城「食べ歩きです!」

提督「出禁とかにはなってませんよね?」


足柄「砲雷撃戦よ!」

提督「それ、普通の人間がやったら逮捕ですね」


飛龍「蒼龍と一緒に出掛けて遊ぶ!」

蒼龍「飛龍と一緒に出掛けて遊ぶ!」

提督「仲の良い艦だからできる事ですねぇ」


 ―18時過ぎ、廊下―

提督「……なかなか、見つかりませんねぇ」

熊野「あら、提督。ごきげんよう」

提督「熊野さんですか…………あ」

熊野「?」

提督「そう言えば、熊野さんの趣味って温泉に行く事でしたよね」

熊野「ええ、そうですわ。本格的な温泉でも、スーパー銭湯でも、普通の銭湯でも」

提督「月どれくらいのペースで行きますか?」

熊野「そうですね……場合にもよりますけど、大体月2~3回ですわね」

701: 2016/06/07(火) 21:45:57.32 ID:6wUiCsfT0
 ―19時過ぎ、食堂―

提督「ふむ…………」

司令長官「皆に聞いてみて、どうだった?」

提督「一番よさそうだったのは、熊野さんの言っていた‶温泉‶ですかね」

司令長官「へぇ~。まあ、いいんじゃないの?」

提督「しかし、温泉へ行くとなると交通費と利用費がかさみますし……」

司令長官「君は働いているんだもの。その労働の対価として払うといいよ。そんなケチケチしないでさ」

提督「……そうですね」

司令長官(これで、少し黎明君が明るくなればいいかな)

提督「あ、そう言えば……」

司令長官「?」

提督「司令長官の趣味って何ですか?」

司令長官「へ、儂?儂はね~…」



司令長官「読書と昼寝だよ」



提督「人の事言えるような趣味じゃねーじゃねぇか!!!」バキィ

司令長官「ギャース!!」


【終わり】

713: 2016/06/09(木) 20:50:11.21 ID:PffPi2Lc0
【新しい傘】

 ―16時過ぎ、執務室―

コン、コン

提督「どうぞ」

ガチャ

早霜「失礼します、司令官。外出より戻りました」

提督「はい、お帰りなさい」

早霜「ふふっ…今日はいい買い物ができたわ…」

提督「何を買いに行ったんですか?外出届には‶買物‶と書いてありましたが」

早霜「傘を買いに行ったんです」

提督「傘?」

早霜「ええ。前まで持っていた傘は、少し使っていなかったせいで錆びちゃってて……。梅雨入りしたのでいい機会だし買いに行こうかと」

提督「なるほど……それで、気に入った傘が見つかったんですか?」

早霜「ええ、それはもう」ニコッ

提督(こう、普段から普通に笑っていればいいものを……)

早霜「早く、雨が降らないかしら……」

提督「ああ、いますよね。傘を使いたいがために雨を望む人」

早霜「別にいいじゃないですか…早く使ってみたいんだもの」


 ―19時過ぎ、食堂―

TV『数日の間は雨の恐れもなく、晴れや曇りの天気が続きそうです』

早霜「」

提督「そしてそういう時に限って雨は降らない、と」

714: 2016/06/09(木) 21:00:27.41 ID:PffPi2Lc0
 ―数日後15時過ぎ、執務室(天気:曇り)―

扶桑「それでは、扶桑率いる第一艦隊、カレー洋へ深海棲艦の残存勢力の討伐へ向かいます」

提督「はい」チラッ


早霜「傘を使いたいのに雨が降らないなんて……ふ……ふふふふっ……」

夕立「は、早霜ちゃん…ちょっと怖いっぽい」


提督「………あー、それと1つ……」

全員『?』

提督「この天気ですと、雨が降るかもしれませんので、必要だと思う方は傘もしくはレインコートを持って行くなり羽織るなりしても構いません」

早霜「!」パァァァァァァ

飛鷹「え?でも天気予報は今日一日曇りって……」

扶桑「いいえ、そうとは限らないわよ」

飛鷹「え?」

扶桑「ほら、私って運が無いから……」

飛鷹「あ、あははは。そんな事言ってるから雨が降るんで―」

大鳳「…………ふっ」

飛鷹「あっ」

提督「まあ、そういう事です」

夕立「じゃあー、夕立、レインコート着て行くっぽい!」

早霜「私は傘を……」

比叡「え?傘を持って戦うって、煩わしくないですか?」

早霜「ううん、大丈夫ですよ。それに私、この傘を差したくて仕方がなかったんですから…」

比叡「はぁ……ま、私は別に大丈夫かな」

715: 2016/06/09(木) 21:09:08.66 ID:PffPi2Lc0
 ―数時間後、カレー洋・Hマス(敵空母機動部隊)付近(天気:雨)―

ザァァァァァァァァァァ

扶桑「ほら、ね…」

大鳳「ね……」

飛鷹「いや、ごめんなさい…」

早霜「~♪」

夕立「あんなに生き生きしてる早霜ちゃん、初めて見たっぽい」

比叡「そうですねー。普段はいつもくらいですからねー」

鳥海「!電探に感あり!空母3、軽巡1、駆逐2です!」

扶桑「全艦、単縦陣!飛鷹さんと大鳳さんは艦載機発艦準備!」

早霜「ふふっ。今なら頑張れそう…」

夕立「おー、頼りにしているよ!」

空母ヲ級elite「!!」バシュシュシュッ

キイイイイン

大鳳「雨で…狙いが定めにくい……!」バシュッ

比叡「あっ、早霜さん危ない!」

早霜「へっ?」

鳥海「敵艦載機、接近!」

早霜「!」

ボゴオォォォォォン

早霜「っ……しくじってしまったわね……」中破

夕立「あ、傘が……」

早霜「えっ…………」チラッ

傘「ボロッ」

早霜「……………………………」

716: 2016/06/09(木) 21:17:23.81 ID:PffPi2Lc0
 ―翌日13時過ぎ、休憩室(天気:雨)―

早霜「………………はぁ」

提督「……………早霜さん?」

早霜「あ、司令官……」

提督「………傘、残念でしたね」

早霜「いえ……あの時、機動性とかを無視してただ傘を使いたかった、って理由だけで持ち出した私が悪いんですもの……」

提督「いいえ…、私も貴女に傘を使わせてあげたかった、と言う理由であの時『傘を持って行ってもいい』と言ってしまったんですから、私にも非はあります」

早霜「そんな………」

提督「ですから……これを」ガサッ

早霜「………これって……」

提督「貴女が買った傘と同じものですよ。どうぞ」

早霜「…………あ」

提督「?」

早霜「……模様がちょっと違う…」

提督「えっ」

早霜「でも、このデザインも好きです。ありがとうございます」ニコ

提督「…それは良かったです」

早霜(それに、司令官からのプレゼントですもの。嬉しくないわけがないわ♪)


【終わり】

717: 2016/06/09(木) 21:24:15.32 ID:PffPi2Lc0
【キャラクター紹介】

≪早霜≫

夕雲型駆逐艦十七番艦。艦娘No.209。顔の右半分を隠すほど長いダークグレーの髪と、オレンジがかった瞳が特徴の、少し根暗な感じの女の子。軍艦だった頃の

史実・武勲ゆえか少々自虐的な発言をしているが、本当は心優しい性格をしている。鎮守府内の隠れたバーにて、バーテンダーを務めている。那智のことを尊敬

しており、水偵を積みたいと思っているが多分無理。その性格と言動から、早霜のことをよく知らない娘からは少々敬遠されがちだが、とてもフランク。

好きな言葉は『四面楚歌』。

726: 2016/06/10(金) 21:16:56.04 ID:N4dbRYgU0
【嫌いな雨】

 ―17時過ぎ、執務室―

時雨「最近雨が多くなってきたね」

提督「そうですねぇ」

時雨「もう、梅雨入りしたのかな」

提督「いえ、まだみたいですよ」

時雨「そっか……」

提督「でも、時雨さんは雨が好きなんですよね。それでしたら、梅雨もまたもってこいなのでは?」

時雨「うーん…雨が好きと言うか…僕は、雨の雰囲気が好きだな」

提督「?」

時雨「雨の降る音を聞くと心が落ち着くし、雨が降った後のアスファルトの匂いも独特の趣がある。そして、雨が降った後、雲の間から差す光がまた神秘的な

   感じがして、いいね」

提督「ああ、あの光は私も好きです。確か、‶薄明光線‶って名前じゃありませんでしたっけ?」

時雨「へ~、そんな名前なんだ。知らなかったよ」


 ―19時過ぎ、食堂―

TV『明日から数日の間は雨の日が続くでしょう。折り畳み傘を持っておくと、安心かもしれません』

提督「ほう」

時雨「提督、明日少し出かけてもいいかな?」

提督「また、どうしてですか?」

時雨「買いたいものがあるのと、雨の日に出掛けてみたいからだよ」

提督「雨の日に?」

時雨「さっき言ったような、雨の独特の雰囲気を味わいながら歩いてみたいんだ」

提督「はぁ……分かりました。では後で、外出届を出してもらいますよ」

時雨「分かったよ」

727: 2016/06/10(金) 21:27:22.90 ID:N4dbRYgU0
 ―翌日17時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

時雨「………ただいま。外出から帰ってきたよ」

提督「…どうしました?好きな雨の中を歩いてきた割にはあまり嬉しそうではありませんでが」

時雨「提督、僕は雨の雰囲気が好きだって言ったよね」

提督「ええ」

時雨「ただ、何事にも例外はつきものだって事だよ」

提督「?」

時雨「今日の雨は細かい雨だったんだ。霧雨、って言った方がいいのかな」

提督「……ああ、そんな感じですね」クルッ

時雨「それで、雨の音もあんまりしなくて、空の薄ら明るい感じで、あんまり僕の好きな感じの雨じゃなかったんだ。おまけに少し風が吹いていたせいで、

   服も微妙に濡れちゃったから」

提督「ああ、風雨ですか。私もそれは嫌いです」

時雨「つまり、雨は好きでも、嫌いな雨もあるって事さ」

提督「……分かるような、分からないような」


【終わり】

728: 2016/06/10(金) 21:34:43.45 ID:N4dbRYgU0
【キャラクター紹介】

≪時雨≫

白露型駆逐艦二番艦。艦娘No.80(改二はNo.145)。三つ編みの黒髪おさげと、赤いリボンが特徴の、物静かな僕っ子女の子。普段は謙虚な姿勢を見せていて、

いつも柔らかい口調で話している。しかし、たまにどぎつい発言をする事もある。白露型の姉妹艦皆と仲が良いが、西村艦隊で一緒の艦隊だった扶桑型姉妹、満潮、

最上、山雲とも仲がいい。その名にちなんで雨が好き。だが、嫌いな雨もある。幸運艦と言う事もあり、大規模作戦の最終局面ではよく出撃している。

好きな言葉は『晴耕雨読』。

734: 2016/06/11(土) 21:32:04.43 ID:Dnd3ye9z0
【性別:女性、性格:男性】

 ―15時過ぎ、執務室―

ザー、ザー

摩耶「なんか最近、雨の日が増えたな~」

提督「もう梅雨の季節ですからね」

摩耶「あたしは梅雨って嫌いなんだよな~」

提督「?」

摩耶「雨でじめじめした感じが嫌だし、皆が梅雨で気分が落ち込んでいるのを見るのも嫌なんだよ」

提督「…この前、時雨さんが貴女と真逆の事を言ってましたよ」

摩耶「時雨が?まあ、アイツの言ってる事はなんか掴めねぇからなぁ…もっとストレートに物言えってんだ」

提督「……………」

摩耶「なんだよ?」

提督「いえ、前々から思ってたんですが……貴女って本当に男らしいというかなんというか…」

摩耶「ちっ、またその話かよ……」

提督「?」

摩耶「あ、悪ぃ。前に高雄姉や愛宕姉に同じことを言われてよ…『もっと女性らしく』って」

提督「よく言われるほどなんですか」

摩耶「でもよー…あたしがそんな、『ウフフ、お茶が美味しいですわね』とかいうキャラじゃねぇだろ」

提督「………」

摩耶「今、笑おうとしたよな」

提督「気のせいですよ」

735: 2016/06/11(土) 21:52:01.02 ID:Dnd3ye9z0
摩耶「いや、さっきの口調もそうだし、女はなんかしずしずとした動きが魅力的、みたいな感じの風潮があるだろ?」

提督「そうですねぇ…アクションが大きい女性は少し敬遠されがちですが」

摩耶「そう言う感じの認識が分からねぇんだよなぁ…。あたしはもっとダイナミックな方が性に合うっていうか」

提督「…まあ、戦闘の報告から見ても、他の皆さんは最低限の動きで敵を屠っているのに対し、摩耶さんは大きな動きで敵に回り込み、砲撃すると言った特徴が

   ありますね」

摩耶「こう、最低限っていうちまちました動きだと体がなんか合わないんだよ」

提督「……まあ、動きが大きい分、敵の攻撃が当たりやすいという欠点もあるんですが。貴女、この前も中破して帰ってきたでしょう」

摩耶「う……それは、悪かった」

提督「しかし、自分のことを『あたし』というだけまだ大丈夫でしょう」

摩耶「どういう事だよ」

提督「もし貴女が自分のことを『俺』とか呼んだら、もう天龍さんや木曾さんを超えるぐらいの、オトコンナですよ」

摩耶「あー、それはあたしも憧れたんだけどなぁ……」

提督「?」

摩耶「あの2人、駆逐艦のガキどもから『中二病』って言われてるからよ…流石にあたしもそこまで言われたくはねぇな、と思って」

提督「なるほど……」

摩耶「まあとにかく、あたしも『もっと女らしく』って言われるのは癪に障るし、一応女っぽい事はしてるぜ?最近は料理を勉強し始めたし」

提督「料理=女性と言う認識も間違ってますよ、大体。最近は料理のできる男性も増えてきてますし」

摩耶「なんだよー…じゃあどうすればいいんだよ。刺繍とか、金剛みたいにお茶でも嗜めばいいのか?」

提督「貴女の女性に対する認識って大分偏ってますよねぇ。まあ、私は今のままでもいいと思いますよ」

摩耶「?」

提督「貴女みたいな、男らしい女性に対して惹かれる男性もいらっしゃいますから」

摩耶「ふーん…よく分かんねーな」

提督「後は、貴女のことを気に入ってくれる女性を見つけるしか」

摩耶「それはやめろ!」


【終わり】

736: 2016/06/11(土) 22:01:31.28 ID:Dnd3ye9z0
【キャラクター紹介】

≪摩耶≫

高雄型重巡洋艦三番艦。艦娘No.61(改二はNo.228)。茶髪のボブカットと、アンテナのついたカチューシャが特徴の、さばさばした感じのお姉さん。男勝りな

性格で、提督に対しても真っ向からものを言う。また、戦闘ではダイナミックな動きを取って攻撃をするも、隙を突かれて攻撃を受ける事が多々ある。姉の高雄

達から『女性らしく』とよくお小言を貰うが、本人は自分のスタンスを貫いていくつもり。霧の艦隊出現時、同名の敵艦が出てきた時は微妙な気持ちになった。

好きな言葉は『切磋琢磨』。

744: 2016/06/13(月) 21:30:33.28 ID:ufBe5IK30
【久々の出撃】

 ―9時過ぎ、第壱拾参鎮守府・工廠―

禊「え…明石さん、今日出撃なんですか?」

明石「うん、そうなんだ~。凄い久々だけど」

禊「でも明石さん…失礼ですけど戦闘の方は……」

明石「そう、正直苦手……今の私の練度は49だけど、ほとんど演習で上げただけだし…出撃すると大体中破大破になって帰ってくるね……」

禊「だ、大丈夫なんですか…?」

明石「大丈夫だよ~。オリョール海に出撃するだけだし、随伴艦もみんな結構腕の立つ人ばっかりだからさ」

禊「そ、そうですか……ん?随伴艦?」

明石「あ、そうそう。私が旗艦なんだ~」

禊「!?」

明石「そもそも、私が出撃するのはね、有事の際に戦闘に慣れていないと一方的にやられてばっかりになっちゃって、艦娘の修理ができなくなっちゃうでしょ?

   そう言う時の為に備えて、演習と実践で戦闘に慣れさせておくのが今回の目的」

禊「へ、へぇ……」

明石「ただ、知っての通り私は火力も無いに等しくて装甲もペラペラ、実戦向けの艦じゃないからね。だから、簡単な海域に出撃するの。今回のオリョール海

   みたいにね」

禊「わ、分かりました……」

明石「だけど、心配しないで。すぐに帰ってくるからさ♪」

禊「無茶はしないでくださいね……」


 ―14時過ぎ、執務室―

明石「これより、明石率いる第一艦隊、東部オリョール海へ練度向上のために出撃いたします!」

瑞理「うん、了解。明石ちゃんは戦闘に慣れていないから十分に注意してね。他の皆も、明石ちゃんのカバーを最優先にしてね」

飛龍、蒼龍、ゴーヤ、衣笠、榛名『了解!』

瑞理「じゃ、行ってらっしゃい」

明石「はい!」

745: 2016/06/13(月) 21:40:02.86 ID:ufBe5IK30
禊「……心配だなぁ……」

瑞理「大丈夫だって。明石ちゃんだって今回が初めてじゃないし、他の皆もかなりの腕だから」

禊「そうは言いますけど……やっぱり心配です」

瑞理「は~、愛されてるねぇ明石ちゃん。まあ、あんまり心配しても杞憂かもしれないからね?」

禊「ん~……」


 ―1時間後、工廠―

禊(どうしよう……もし、もし轟沈なんかしたりしたら……)

禊(そんな……俺………)

工廠妖精「禊さーん」

禊(明石さんがいなくなったら…俺も……)

工廠妖精「禊さん!」

禊「は、はいっ!?」

工廠妖精「どうしたんですか?さっきから考え事してて~…」

禊「あ、あはは……」

工廠妖精「どうせ、明石さんのことを考えていたんでしょう~?」

禊「う、あ、はい……」

工廠妖精「明石さんのことが心配なのはわかりますが~、まずは目先の仕事を片付けましょうよ~。あ、この書類提督から頼まれたものですから~、執務室へ

     持って行ってくださ~い」

禊「あ、分かりました……」


 ―数分後、執務室―

コンコン

禊「失礼しまーす、頼まれた書類、持ってきましたー」ガチャ、パタン

瑞理「あ、ご苦労様~」

バァン

禊&瑞理「!?」ビクッ

746: 2016/06/13(月) 21:56:33.50 ID:ufBe5IK30



大淀「提督!出撃中の第一艦隊・飛龍さんより入電!敵巡洋艦隊と交戦し、旗艦の明石さんが大破、轟沈寸前との報告です!」



禊「!!!」

瑞理「それで、今はどうなってるの?」

大淀「妖精さんの強制介入によって撤退。現在は鎮守府へ向けて帰還中、衣笠さんが明石さんを曳航…。追撃艦複数とのことです。追撃艦種は重巡リ級elite1、

   駆逐イ級後期型1、そして別の海域から応援に来ていた空母ヲ級1…。追撃艦は今の所榛名さんと蒼龍さん、ゴーヤさんが何とかしているそうですが…」

瑞理「ここに戻ってこられる時間はどのくらい?」

大淀「概算で、ヒトロクサンキュー(16時39分)を見込んでいるそうです」

瑞理「よし。第一艦隊に、鎮守府近海に差しかかったらこっちに電文を送るようにして。そこで追撃艦を振り切れていなかったら、応援艦隊を派遣させよう。

   第二艦隊に応援艦隊を編成。旗艦は神通ちゃん、随伴艦は飛鷹ちゃんと大鳳ちゃん、青葉ちゃんに吹雪ちゃんと綾波ちゃん。この6人に準備をさせよう。

   出撃時刻は、追撃艦が振り切れていない場合はヒトロクヒトゴー(16時15分)に出撃。航路は第一艦隊のものと同じに」

大淀「了解しました」

瑞理「それと禊君、君は―」

シーン

瑞理「あれ?」

747: 2016/06/13(月) 22:06:17.19 ID:ufBe5IK30
 ―16時半過ぎ、波止場―

明石「あたた……ちょっと無理しちゃったかも……」大破

衣笠「大丈夫?あとちょっとで轟沈するところだったんだよ?」

飛龍「ホントに、なんなのあいつら……明石さんばっかり攻撃するなんて…」小破

蒼龍「ね…。まるで、明石さんが一番弱いって知っているみたいに……」

ゴーヤ「駆逐艦や軽巡洋艦の攻撃を誘導しても、重巡2隻が集中的に狙ってきたでち…」

榛名「それに、飛龍さんと蒼龍さんの攻撃を全て避けた上に、他の場所から応援を呼んでくるとは……」

蒼龍「でも、鎮守府近海に来る前に追撃艦を倒せてよかった…。なんだか、応援艦隊も編成してくれてたみたいだけど…何とかなったね…」

明石「いや~…みんな、ありがとうね…。皆がいなかったら、私本当に沈んじゃうかと……」


「明石さーん!!」


明石「?」

榛名「あれは、禊さん…?」

禊「明石さん…!大丈夫ですか!?」タタタ

明石「あ、禊君……。私は大丈夫……」

禊「明石さん!」ダキッ

明石「ちょ、ちょっと…みんないるし……」

禊「よかった……!本当によかった……!沈まないで、本当に……」グスッ

明石「ちょ、ちょっと大げさだなぁ……。現に私は大丈夫だし…」

禊「うっ……本当に……無事でよかった…です……。明石さんがいなくなったら……俺……俺ェ……!!」

明石「……心配してくれて、ありがとうね。でも、私はいなくならないから、大丈夫だよ」

禊「う、うああああ…………」

明石「よしよし……大丈夫、大丈夫」ナデナデ


衣笠、ゴーヤ、飛龍、蒼龍、榛名「ごちそうさまです」ニヤニヤニヤ


明石「はっ!」

748: 2016/06/13(月) 22:15:53.00 ID:ufBe5IK30
 ―21時過ぎ、明石の部屋(もはや明石&禊の部屋)―

明石「もう、ホントに恥ずかしかったよ……帰投するなり私に抱き付いて大泣きするなんて……」

禊「あの時は…本当に心配だったんですよ…。大淀さんから、明石さんが轟沈寸前何て報告を聞いたから……」

明石「あれは榛名さんも大げさだったんだよね~。確かに大破したけど、そんな沈んだりしない程度の損傷だったし…」

禊「そうだったんですか……」

明石「それより、あの後大変だったんだよ?ゴーヤちゃんや衣笠ちゃんからは『お熱いですね~♪』ってからかわれたり、入渠ドックで飛龍さんに『挙式はいつ

   の予定なんですか?』とか聞かれたり、提督は終始にやにやしながら見ていたし……」

禊「あはは……」

明石「……それで、禊君」

禊「はい?」

明石「………いつまで抱き付いているの?」

禊「………俺、今日は本当に明石さんのこと心配して、万が一明石さんがいなくなったらどうしようって、ずーっと思ってたんです……」

明石「………」

禊「それで………今、明石さんは沈んでいない、ちゃんとここにいるって事を実感したいから……」

明石「もう………君って案外依存癖があるのかな」

禊「………そうかもしれません」

明石「でも、君にそこまで心配されるって、それだけ君に愛されてるってことだよね」

禊「…………俺は、明石さんのことを本当に愛してます。だから、今日みたいに………」

明石「……ありがとうね」ギュッ


【終わり】

757: 2016/06/14(火) 21:30:44.87 ID:SxyOVQuv0
【改二要求】

 ―18時過ぎ、空母寮・飛鷹&隼鷹の部屋―

隼鷹「たでーまー!」ガチャッ

飛鷹「お帰りなさい~。戦果はどうだった?」

隼鷹「上々だよ~。サーモン海域も慣れてきたからねぇ~」

飛鷹「はぁ……それにしても改二かぁ」

隼鷹「何急に」

飛鷹「隼鷹ッてば、改二になってから深部の海域に出撃する事が多くなったじゃない?私なんて、せいぜい珊瑚諸島沖がいっぱいいっぱい…」

隼鷹「いいじゃんか別に。艦載機搭載数の少ない瑞鳳祥鳳なんて、カレー洋止まりだぞ?艦載機の多さも軽空母の中じゃ上でしょ」

飛鷹「ちとちよがいるじゃない……」

隼鷹「あの2人は……まぁ、ね?」

飛鷹「もう!私にも改二来ないのかしら!隼鷹みたいに新しい服着てみたいの!」

隼鷹「でも飛鷹って1回目の改造で服が変わったじゃん。あたしなんて、1回目の改造じゃ何も変わらなかったよ?」

飛鷹「いや、上を見ると、さらにその上を目指そうと思っちゃうっていうか……」

隼鷹「分かるようなわからないような」

飛鷹「こうなったら、提督に直訴してくる!」

隼鷹「……珍しいなぁ。飛鷹がそこまで積極的になるのって」

758: 2016/06/14(火) 21:42:51.62 ID:SxyOVQuv0
 ―数分後、執務室―

飛鷹「というわけなのよ!」

提督「やはりみなさん、思う事は同じなんですねぇ」

飛鷹「どういう事?」

提督「そう、改二になりたいって言ってくる人は結構いるんですよ。吹雪型の3人、高雄さんに愛宕さん、その他大勢……」

飛鷹「へぇ……」

提督「しかし、皆さんにも仰っているんですが、改二の実装は妖精さんの気分で決まるんです。私にどうこう言われても仕方ありません」

飛鷹「じゃあ妖精さんに言えば…!」

提督「逆に妖精さんに言うと遅れる可能性があるそうですよ。現に、深雪さんは改二にしてくれと懇願した結果、未だに改二になれてません」

飛鷹「あー……」

提督「後は…そうですねぇ…妖精さんのお眼鏡にかなうような奇抜さでもあればいいんじゃないですか?」

飛鷹「でも、私は元商船って魅力的な経歴があるじゃない」

提督「それだけじゃ足りないのでは…?例えば、口調を変えるとか、髪型を奇抜にするとか……それこそ、隼鷹さんみたいに」

飛鷹「ああはなりたくないわね……」

提督「貴女、一応隼鷹さんの姉でしょうが」

飛鷹「……まあ、正直今の子の恰好も気に入ってるし、改二は焦らなくてもいいかなって、改めて思ったわ。そんな、奇抜な容姿にならなきゃお眼鏡にかなう

   ことは無いなんて……」

提督「…正直、容姿を変えてでも改二になりたい、と言ったら打つ手がありませんでしたがね」


【終わり】

768: 2016/06/16(木) 21:21:55.04 ID:Bu17oTqb0
【紫陽花】

 ―14時過ぎ、執務室―

ガチャッ

提督「はぁ……今日はまた暑いですねぇ……」

龍田「あらぁ、提督~。視察、お疲れ様です~」

提督「ありがとうございます、龍田さん。そちらの仕事の方は如何でしょうか?」

龍田「問題ないわ~。順調よ~」

提督「そうですか。それは良かったです」

提督「………ところで、この紫陽花は?」

龍田「ああ、それ?それはねぇ~、さっき外に出たら~、綺麗に咲いてたのがあって~、執務室に飾ったら華があるなぁ~、と思ったから摘んできたの~」

提督「なるほど………確かにきれいですね。それに、涼しくなれます」

龍田「そうね~。淡い水色、なんだか涼しくなれるわぁ~」

提督「青系の色は、涼しい気持ちになれますよね」

龍田「……あ、そう言えば提督~。知ってますか~?」

提督「はい?」

龍田「紫陽花には~、毒があるらしいんですよぉ?」

提督「…………」

龍田「致氏量は0.3~0.5mg/kgで~、嘔吐や眩暈、顔面紅潮とかそんな症状を引き起こすんですって~」

提督「…何でそんなうんちくをこのタイミングで話すんですか。まさかそれ知ってて此処に飾ったんですか」

龍田「さぁ~?何の事かしらねぇ~?」

769: 2016/06/16(木) 21:32:27.77 ID:Bu17oTqb0
龍田「でもねぇ、提督?紫陽花の花言葉には~、とてもいい言葉があるのよ~」

提督「?」

龍田「それはねぇ、‶一家団欒‶、‶家族の結びつき‶って言葉よ~」

提督「…」

龍田「ほらぁ、鎮守府の皆って、家族みたいにつながっているじゃない?だから、ぴったしかなぁ、って思ったの~」

提督「……そうですね」

龍田「でもぉ、紫陽花には‶移り気‶、‶変節‶、‶無情‶って花言葉もあるのよねぇ~」

提督「だから何で、そういうネガティブなうんちくをこのタイミングでひけらかすんです?」

龍田「いやねぇ~。面白いと思ったから話したのに~」

提督「それにしても、龍田さんは花に関して詳しいようですが、造詣があるんですか?」

龍田「そう言うわけでもないんだけど~、花言葉とかを覚えるのとか面白いなぁ~って」

提督「………よくわからないですねぇ」

龍田「そうだぁ~!提督にぴったりの花言葉がありますよぉ」

提督「ほう」

龍田「それはぁ~、アザミ、オトギリソウ、フクジュソウ、ヤドリギよぉ~」

提督「どんな花言葉なんですか?」

龍田「順番に~、‶復讐‶、‶恨み‶、‶悲しい思い出‶、‶征服‶よ~」

提督「貴女は私に何か恨みでもあるんですか」

龍田「冗談よ冗談~」

提督「まったく冗談には聞こえないんですが」

龍田「本当におすすめなのはね~、グ口リオサの‶栄光‶、‶勇敢‶よ~」

提督「……なんか、前の花言葉を聞いただけに、どうにも手放しに喜べません」

龍田「深読みしすぎねぇ~」


【終わり】

770: 2016/06/16(木) 21:37:47.61 ID:Bu17oTqb0
【キャラクター紹介】

≪龍田≫

天龍型軽巡洋艦二番艦。艦娘No.29。紫がかった黒のセミロングヘアーと、起伏に富んだスタイルが特徴の、ふわふわした感じのお姉さん。普段はいつもほんわか

とした感じで優し気な感じだが、ナチュラルに怖い発言や行動をしてくる。天龍同様、性能面で他の軽巡洋艦より劣っていることを少し気にしている。姉の天龍の

事をよくいじっては満足げに笑う。しかし、天龍の事が大好き。ぶっちゃけ天龍よりよっぽど怖い。駆逐艦の子たちも龍田には逆らえない。

好きな言葉は『鏡花水月』。

777: 2016/06/17(金) 21:20:07.17 ID:IVghrlwO0
【飛べない妖精さん】

 ―数週間前17時過ぎ、執務室―

大淀「連合艦隊旗艦・扶桑さんより電文が入りました。先刻ヒトロクゴーナナ(16時57分)、敵中枢艦隊旗艦・重巡棲姫を撃破、第四海域の攻略に成功したとの

   ことです!」

提督「そうですか…それは良かった。では、ただちに連合艦隊には帰投するように電文を送ってください」

大淀「了解しました。それと、今海域の攻略報酬である一式陸攻が翌日に届く予定です」

提督「分かりました」


 ―翌日10時過ぎ、執務室―

一式陸攻妖精さん「一式陸攻です!よろしくお願いします!」

提督「ふむ……資料によると、基地航空隊にしか配備できない航空機ですか…なるほど」

一式陸攻妖精さん「提督さん!自分の出撃はいつでしょうか!」

提督「……性能面では、とても優秀と言えます。これなら、実戦に投入しても大丈夫だと思いますが……」

一式陸攻妖精さん「?」

提督「拡張作戦は後回しにして、第六海域に出撃しましょう。次の基地航空隊の出番は第七海域ですので、しばしの間はこの鎮守府に慣れてもらう事にしましょう」

一式陸攻妖精さん「そ、それって……つまり出撃は無いという事でしょうか?」

提督「そうなりますね」

一式陸攻妖精さん「…………………」ガックリ


 ―数日後14時過ぎ、執務室―

提督「やっと………やっと第六海域攻略成功……!」

一式陸攻妖精さん「ついにですか!ついに基地航空隊の出番ですか!」

提督「ええ……」

一式陸攻妖精さん「よーし、私の実力、見せて差し上げましょう!」

778: 2016/06/17(金) 21:33:42.01 ID:IVghrlwO0
一式陸攻妖精さん「みなさーん!私についてきてくださーい!」バルルル

流星改妖精さん「へぇ~。私達とはまた飛び方が違うねぇ~」

天山(六○一空)妖精さん「流石、特別な航空機だね」

一式陸攻妖精さん「目標、中枢棲姫!撃てー!」


 ―2日後―

一式陸攻妖精さん「攻略、早すぎませんか…?」

提督「いえ、第七海域は正直第六海域よりはるかに簡単な敵編成でしたので…」

一式陸攻妖精さん「もう、私の出番も終わりですか…?」

提督「あ、拡張作戦でも基地航空隊を運用しますので、そこでも出番はありますよ」

一式陸攻妖精さん「本当ですか!やった!また戦えるんですね!」


 ―数日後18時過ぎ―

飛燕妖精さん「三式戦 飛燕、着任しました!」

提督「この妖精さんも基地航空隊にしか配備できないのですか」

一式陸攻妖精さん「私が一式陸攻!私も基地航空隊にしか配備できないんだけど、分からない事があったら何でも聞いてね!」

飛燕妖精さん「はい!よろしくお願いします、先輩!」

提督「いや、貴女一週間ぐらい前に着任したばっかりでしょう」

一式陸攻妖精さん「これからは一緒に、鎮守府を守っていきましょう!」

飛燕妖精さん「おー!」

提督「あー…それなんですけど……」

一式陸攻妖精さん&飛燕妖精さん「?」



提督「……基地航空隊は、今現在はこの大規模作戦でのみ運用できるものですので…今後通常海域で出番はないと………」



一式陸攻妖精さん&飛燕妖精さん「…………………」


紫電改二妖精さん「あの………あの2人、何であんなにがっかりしてるんでしょうか?」

烈風妖精さん「そりゃ落ち込むでしょ。せっかく仲間になれてガンガン出撃しようと思ったら基地航空隊を運用する時しか配備できない上に、飛燕妖精さん

       なんか一回も出撃する事なく大規模作戦が終わっちゃったんだから」

流星妖精さん「基地航空隊って、少し憧れるなぁ、と思ってたけど………案外悲しいもんだね……」


【終わり】

787: 2016/06/18(土) 21:25:06.35 ID:KaS8dGSC0
【献身的】

 ―23時過ぎ、執務室―

提督「……………………………」

コンコン

提督「?」

ガチャ

鹿島「失礼します、提督さん」

提督「鹿島さん…」

鹿島「すみません、少し夜風に当たっていたら執務室の明かりがついていたので…。もしかしてまだお仕事をなさっているのでは…と思って」

提督「……ええ、その通りです」

鹿島「ココア、淹れて来ました。よろしければどうぞ」

提督「ああ、これはすみません……」

鹿島「よろしければ、お手伝いいたしましょうか?」

提督「いえ、それは大丈夫ですよ。貴女も休んでいただいて結構です。明日もあるんですから」

鹿島「それは提督さんも一緒です。その仕事の量ですと、明日の明け方までかかってしまいます。私が少しでも手伝えば、仕事も早く片付いて休むことが、

   できますよ」

提督「………」

鹿島「ね?」

提督「………では、すみませんがお願いします。無理はなさらないでください」

鹿島「はい♪」

788: 2016/06/18(土) 21:30:28.09 ID:KaS8dGSC0
 ―数日後10時過ぎ、応接室―

提督「遠い所、ようこそおいで下さいました」

ランスロット「なぁに。別に構わんさ」

提督「本当なら空港までお迎えに向かいたいところでしたが、何分多忙な身でして……」

ランスロット「お互いに、な」

提督「では、早速ですが例の件について……」

コンコン

提督「どうぞ」

鹿島「失礼します、お茶をお持ちしました」ガチャ

提督「あ、どうも」

ランスロット「?斑補佐官、この方は……」

鹿島「あ、初めまして。私、練習巡洋艦・鹿島と申します。よろしくお願いします」ペコリ

ランスロット「あ、ああ。俺は、イギリス海軍の司令長官補佐官のランスロットだ。よろしく」

鹿島「お茶は紅茶でよろしかったでしょうか?」

ランスロット「ああ、大丈夫だ。ありがとう」

鹿島「では、お茶菓子を持って参りますね。少々お待ちください」ペコリ

パタン

ランスロット「……………」

提督「ランスロットさん?」

ランスロット「あ、済まない」

提督「…ええと、先ほどおっしゃった件ですが…」

789: 2016/06/18(土) 21:37:15.75 ID:KaS8dGSC0
ランスロット「ああ。ウチの国に鎮守府を建てる件のことだろう?ウチの司令官が司令官が承認したよ」

提督「分かりました」

ランスロット「そしてこの書類が、我が国に鎮守府を建てる事を承認する書類だ」スッ

提督「確認します」

提督「…………」

ランスロット「こういう書類は、郵送で送りたいというのが本音だが…」

提督「機密とかがありますからねぇ。深海棲艦に知られないとも限りませんし、こればっかりはどうしようもありません」

ランスロット「まったくだな。早く、平和な世になってほしいものだ」

提督「そのために、我々がいます。あ、書類確認しました」

ランスロット「では、これでイギリスに鎮守府を建てる事が決定したという事だな」

提督「ええ」

ランスロット「………そう言えば、海外に鎮守府は今のところ無いと前に言ったな?」

提督「そうですね。今現在はありません」

ランスロット「となると…技術提供をしてくれたイタリアやドイツにも無いと…」

提督「…はい」

ランスロット「…俺が言うのもあれだが、多分その二国からは確実に文句が来ると思うぞ」

提督「その時は、真正面から向き合うだけです」

ランスロット「………もし、そちらの立場が悪くなるようだったら、俺たちイギリスは全面的に日本を応援するぞ」

提督「ありがとうございます」

790: 2016/06/18(土) 21:47:15.47 ID:KaS8dGSC0
ランスロット「……して、1つ思ったんだが…」

提督「?」

ランスロット「先ほど来た鹿島と言う艦娘…なかなかに気遣いのできる者のようだな」

提督「どういう事でしょうか」

ランスロット「先ほどの鹿島は、俺がイギリス人だという事を知っていたのか?」

提督「ああ、私は今朝の朝礼で、『イギリス海軍の方と会う予定がある』と告げましたので…それが何か?」

ランスロット「俺は曲がりなりにもイギリスの人間だからな。コーヒーや緑茶も悪くないんだが、やはり紅茶が一番だと思ってる。だから、さりげなく紅茶を

       出してきたあの人は、気遣いのできるものだと思っただけだ」

提督「………そう言えば、他の方と会う時、彼女はいつもコーヒーか緑茶を出す事が多かったですねぇ」

ランスロット「そうなのか?そうだとすると、やはり優しいものだな」

提督「……確かに、彼女はとても優しい方です。この前も、徹夜になるはずだった私の仕事を自分から手伝ってくださいましたし…駆逐艦の皆さんからの評判も

   良好。前の秋季大規模作戦で仲間にした提督の皆さんも、その優しさに涙を流しているようです」

ランスロット「泣くほどなのか……まあ、ああいう妻がいると良いだろうなぁ」


 ―応接室の外―

鹿島(お茶菓子、スコーンと羊羹を用意してみたけど…ランスロットさんのお口に合うかなぁ……)

鹿島「失礼しま―」


ランスロット『ああいう妻がいると良いだろうなぁ』


鹿島「」ピタッ


提督『確かに、鹿島さんのような方が伴侶になると、幸せでしょうねぇ……』

791: 2016/06/18(土) 22:02:59.91 ID:KaS8dGSC0
鹿島(……提督さん…)


 ―応接室―

ランスロット「ちなみになんだが、うちに鎮守府を建てる際に、艦娘はやはり一から建造…しなくちゃいけないのか?」

提督「いえ、それは流石に。こちらで余っている艦を6隻ほど、そちらに派遣します」

ランスロット「そうか…助かる」

ランスロット「……………ちなみに、鹿島を派遣する事は…」

提督「無理ですね。鹿島さんは秋季大規模作戦での報酬の上に、通常海域で発見する事も、建造する事も出来ないんです」

ランスロット「…そうか………」

提督「…やはり、献身なところに惹かれますか」

ランスロット「……ああ」

提督「………………………」

ランスロット「……奪ったりはしないぞ。そんな事は絶対しない」

提督「それは安心しました」

ランスロット「………そう言えば、お前は確か雲龍とやらとケッコンカッコカリしたんだよな?」

提督「ええ」

ランスロット「……こう言っては失礼だし一目見た私が言うのもあれだが、鹿島は妻としての魅力が十分にある。それなのに…」

提督「なぜ、雲龍さんを選んだか…ですか」

ランスロット「…………」コクッ

提督「………これだけは、言わせてください」

792: 2016/06/18(土) 22:18:08.91 ID:KaS8dGSC0



提督「誰が誰を好きになるかなんて言うのは、その人にしか分かりませんし、その人の自由です。私は、雲龍さんと言う女性がより魅力的に思えたから、雲龍さんと

   ケッコンカッコカリしたのです」


ランスロット「………そうか…」

提督「………………」

ランスロット「悪かったな、無粋な質問をして」

提督「……………いえ」

ランスロット「……………もしかして、今のセリフ恥ずかしかったのか?」

提督「…………はい」

ランスロット「…くくっ…………お前は、面白いヤツだな」

提督「…………………」

ガチャ

鹿島「失礼します、提督さん。ランスロットさん」

提督「ああ、鹿島さん」

鹿島「お茶菓子をお持ちしました」

ランスロット「ちょうどよかった。今、君の話をしていてな」

鹿島「あら、何の話をしていたのかしら?」

提督「いえ、よしましょう」


鹿島(なんて、本当は全部聞いていたんですよね)

鹿島(提督さん、やっぱり芯の強い人ですね……)

鹿島(これは、勝ち目がないかなぁ……)


【終わり】

793: 2016/06/18(土) 22:38:55.58 ID:KaS8dGSC0
【キャラクター紹介】

≪鹿島≫

香取型練習巡洋艦二番艦。艦娘No.265。スリーサイドアップの銀髪と正肩章付きの礼装が特徴の、心優しいお姉さん。相手の事を思いやり、気遣いのできる性格

をしており、提督や他の皆にも優しく笑顔を振る舞っている。その献身的で良妻的な性格は、一度会っただけのランスロットも『妻にしたい』と言うほど。提督

のことを隠れて慕っていたが、雲龍には勝てないと悟る。姉の香取とは仲は良好だが、『もっと厳しく』と注意されることも多々ある。

好きな言葉は『天理人情』。

794: 2016/06/18(土) 22:47:53.82 ID:KaS8dGSC0
≪ランスロット=オールポート≫

イギリス海軍司令長官の補佐官。性別は男性で、年齢は28歳。短い金髪と蒼い瞳が特徴。生真面目で仕事優先と、斑提督に似通っている点がいくつもある。前に

来日した時は、日本海軍についての情報を得るために新日本海軍総司令部を訪れたが、その時斑提督にシンパシーを感じ、親友になった。その後は、イギリスに

鎮守府を建てられるように尽力する。そして、イギリスに鎮守府ができる事が決定した。少々自国愛が高いが、基本的には友好的で優しい。

好きな言葉は『ミスを犯さない人間には、何もできない』。

795: 2016/06/18(土) 22:53:32.27 ID:KaS8dGSC0
今日はここまでにします。

>>766
  鹿島の話、いかがでしたか?お気に召さないようでしたら申し訳ございません。


明日は、リクエストにありました艤装の話を書く予定です。また、間もなく800レスを超えますので、キリ番安価も取る予定です。

感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた明日。

【艦これ】総司令部日誌【その9】

引用: 【艦これ】総司令部日誌