800: 2016/06/19(日) 21:07:50.16 ID:ITIn2Z3M0
こんばんは、>>1です。





それでは、投下していきます。
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
801: 2016/06/19(日) 21:13:40.96 ID:ITIn2Z3M0
【艤装】

 ―15時過ぎ、廊下―

山城「はぁ…疲れた……」

ザラ「山城さん、大丈夫ですか?私なんかの練度向上に付き合ってくださって……」

山城「ああ、別に気にしないでいいわよ。じゃ、私は提督に報告に行ってくるから」

ザラ「あ、はい…」


山城(しまったわね……艤装を外して来ればよかった…。でも、今さら戻るのも時間が惜しいし…このまま持って行こう)スタスタ

文月「ふわぁ、山城先輩、大丈夫ですか~?」

山城「え、何が?」

文月「ふらふらしてますし…艤装が重いんですか?」

山城「あ、違うの。オリョールでちょっと面倒な敵に当たったせいで疲れてるの…。艤装のせいじゃないわ」

文月「へぇ~、そんなに大きな艤装なのに、重くないんですか?」

山城「んー…そうね…。大して重くは感じないわね」

文月「やっぱり戦艦クラスになると、そんな大きな艤装も軽く扱えるんですね!凄いです!」

山城「………」


 ―数分後、執務室―

ガシャン

山城「ふぅ……やっと降ろせた……」

提督「お疲れ様です」

802: 2016/06/19(日) 21:23:15.26 ID:ITIn2Z3M0
提督「しかし、艤装の重さですか」

山城「言われてみれば、確かにそうなのよね。今まで気にしてなかったけど、こんだけ大きな艤装を背負ってても全然疲れたりしなかったわ」

提督「まったく、ですか?」

山城「正確に言うと、そりゃちょっとは疲れるけど、肩が凝るとか腕が疲れるとか、体に影響が出るわけじゃないって感じね。疲れたなぁ~って思うくらいで」

提督「なるほど……肉体に来るというわけではなく、精神に来る…と」

山城「そんな感じね」

提督「………確かに、艤装についての疑問はいくつかあります。例えば……」スタスタ

山城「?」

提督「私のような普通の人間ですと…」グッ

グググググググ

提督「……とこのように、背負って移動する事はおろか、持ち上げる事すらできません。駆逐艦の皆さんの艤装でも、両手で少し持ち上げるのが限界です」

山城「でも、私達艦娘なら……」スッ

ヒョイ

山城「こうやって普通に持ち上げられるわ。駆逐艦の子たちの艤装なんて、片手で持ちあげられるぐらいだもの」

提督「でもこの前、駆逐艦の子が35.6cm連装砲を持っているのを見た事がありますけど」

山城「そうねぇ…駆逐艦の子も、余裕で戦艦用のでかい装備を持ちあげられるわね」

提督「しかし、陸の上で艤装を背負っていない場合だと、そこまで重いものは持ち上げられないんですか」

山城「そうよ…。箪笥を背負う事はできないし、テーブルだって誰かと協力して持ち上げるしかないわ」

提督「となると……艦娘に関する艤装に対してだけ、質量の法則が変わっている、と言う事でしょうか」

山城「どういう意味かしら…。もっとわかりやすく言ってくれないかしら?」

803: 2016/06/19(日) 21:33:13.04 ID:ITIn2Z3M0
提督「要するに、貴女達艦娘は、艤装や装備などの艦娘にまつわる物に対しては、通常の筋肉とは異なる力で持ち上げる事ができ、艦娘とは関係のない、例えば

   家具などの重い物に対しては、我々と同じく通常の筋力がはたらくと言う事でしょう」

山城「ふ~ん……なるほどね……」

提督「…この法則に則れば、駆逐艦の皆さんでも戦艦の皆さんも持ちあげられるのでは?」

山城「それは無いと思うわね。前に、清霜が扶桑姉さまのことをおんぶしようとしたら潰されてましたし」

提督「何してるんですか」

山城「反対に、睦月型の子たちが長門に後ろから抱き付いても、長門がちょっとガクッて来たし…艦娘同士だとその法則は無いんじゃない?」

提督「なるほど……」

山城「不思議なものね……」

提督「まあ、おそらく妖精さんの何らかの力が働いているのではないかと思いますがね」

山城「その妖精さんってワード、すっごい便利よね……」

提督「……まあ、そのことについてはまたいつか解明するとして、そろそろ出撃の報告の方をお願いします」

山城「ああ、そうだったわね…。忘れてたわ…。えーっとね……」


 ―17時過ぎ、装備保管庫―

清霜「ほら!私でも46cm三連装砲、持ち上げられたよ!これでもう、戦艦になれるでしょ?ね?」

山城「そろそろ止めとかないと、提督に怒られるわよ…」


【終わり】

804: 2016/06/19(日) 21:37:36.98 ID:ITIn2Z3M0
【キャラクター紹介】

≪山城≫

扶桑型戦艦及び航空戦艦二番艦。艦娘No.27(改二はNo.212)。黒髪ボブカットと、赤と白の巫女風の服が特徴の、ダウナー系のお姉さん。運が低いせいで日々

不幸に見舞われており、普段からダークな雰囲気をまとっている。扶桑のことを心酔しており、扶桑と離れる事などあり得ないと思っている。しかし、出撃では

別の艦隊に編成されても問題無い。扶桑以外の人には不愛想な態度を取っているように見えるが、そんな事は無く、西村艦隊のメンバーとは仲が良い。

好きな言葉は『渡る世間に鬼はない』。

815: 2016/06/20(月) 21:42:06.17 ID:cN7xtRho0
【本能】

 ―17時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室付近―

軽巡ツ級「いやぁ……疲れた疲れた……」大破

軽巡ツ級「早く提督に報告して風呂入ろう……あれ?」


リコリス&駆逐古鬼&中枢棲姫『…………………』


軽巡ツ級「どうしたの3人とも?」

中枢棲姫「あ、ツ級先輩…何ですその恰好!?」

軽巡ツ級「嫌だなぁ、先輩なんて…。艦種的には貴女達の方が上でしょ?それより、執務室の前でどうしたの?」

駆逐古鬼「司令に用があって来たんだけど……」

リコリス「お取込み中のようなので、外で待っているんだ」

軽巡ツ級「お取込み中?」キィ


『ギャー!』

『ヴェアアアア!!』

『アイゴアアアアアアア!!!』


軽巡ツ級「…………一体何でこんなことになってるの…?」

リコリス「それが、あの提督が空母棲姫とケッコンカッコカリ…?したようなんだが……」

駆逐古鬼「それに納得がいかない娘たちが、司令と空母棲姫に詰め寄ってるってわけ」

中枢棲姫「特に、港湾棲姫と泊地水鬼、北方棲姫はかなりエキサイトしてたわ……。レ級は面白がって便乗しているだけだし、装甲空母姫さんなんて部屋の隅で

     『どうせ私はネームド深海棲艦(笑)ですよ…』なんてぶつくさ言ってたし」

軽巡ツ級「港湾さんと泊地さんはともかく、ほっぽちゃんはちょっとケッコン相手にはマズいかな~。倫理的に」

816: 2016/06/20(月) 21:53:28.58 ID:cN7xtRho0
軽巡ツ級「っていうか、提督ケッコンしたんだ。やるねぇ~」

リコリス「ツ級は知らなかったのか?」

軽巡ツ級「まぁ、私は基本北方海域に居を構えていて此処に戻ってくるのは月に2~3回だったからね~。それも、ほっぽちゃんに連れられて1泊したり、

     1カ月の報告をするくらいだったもん。提督の細かい情報は知らないから」

駆逐古鬼「……悔しくないの?他の娘に司令を取られて」

軽巡ツ級「そりゃ、ちょっとは悔しいけど……。まあ、繋がりは空母棲姫さんや装甲空母姫さんより薄かったもの。勝ち目はないかな~、って薄々感づいてた。

     だから、ショックはあまりないよ。というか、あなたたち3人も悔しくないの?」

リコリス「私達はここにきて日が浅い。だから、提督と言う人となりをほとんど知らないからな。好意なんぞ持ちようもない」

軽巡ツ級「まあ、そりゃそっか。ところで、提督に何の用?」

中枢棲姫「この前の新人研修のレポートを提出に……」

軽巡ツ級「あ、それぐらいなら私が後でまとめて提督に出しとくよ。だから、あなたたちはもう休んで大丈夫だよ~」

駆逐古鬼「いや、それはこっちのセリフよ。そんなボロッボロで…ツ級さんの書類も私達が出しておくから、ツ級さんこそ先に入居して来た方がいいわ」

リコリス「というか、どうしてそんなボロボロなんだ?」

軽巡ツ級「いやぁ~…戦艦の本気の集中砲火を浴びてねえ…」

中枢棲姫「本気の集中砲火……?」

軽巡ツ級「……私の対空性能がずば抜けている、っていうのは知ってるよね?」

リコリス「ああ。ツ級の対空能力は、敵味方問わず有名だ」

軽巡ツ級「でね~……その弊害か何なのか、私って人工物が飛んでいるのを見ると、無性に撃ち落としたくなる衝動に駆られるんだ…。飛行機でも、紙飛行機

     でも」

駆逐古鬼「はた迷惑な衝動ね……」

817: 2016/06/20(月) 22:01:56.83 ID:cN7xtRho0
軽巡ツ級「それでね…。北方AL海域からここ行こうと準備をしてたら、艦娘達が来たの。仕方ないから、さっさと片づけて提督に報告に行こうとするでしょ?

     で、敵が空母と航空戦艦の混合編成で………」

リコリス&駆逐古鬼「?」

軽巡ツ級「んで、私達の艦隊に空母はいないから、必氏で艦載機を撃ち落とそうとするじゃない?」

中枢棲姫「まあ、当然ね……」

軽巡ツ級「それで、私の本能もあってか、敵艦載機を全部撃ち落としたの。まあ、制空権はとられちゃったけどね」

リコリス「それが……」

軽巡ツ級「そしたらさ…敵の艦娘の1人がね……」



??『貴ッ様ァー!!よくも瑞雲をォォォォォォォ!!!』



軽巡ツ級「その後は私に雨あられのように敵の砲撃が降り注いでね……」

リコリス「うわぁ……」

軽巡ツ級「危うく沈む所だったよ……。いやー…こっちは本能で撃ったっていうのに、ひどいよね……」

中枢棲姫「まあ、私も自分の艦載機を全滅させられたらキレるし……」

リコリス「私も同感だな。我が子のような艦載機を撃ち落とされては、怒るのは当然だろう」

軽巡ツ級「あっれー?同情してくれないのー?」


【終わり】

818: 2016/06/20(月) 22:07:39.27 ID:cN7xtRho0
【キャラクター紹介】

≪軽巡ツ級≫

深海棲艦の一種。艦種は軽巡洋艦。黒いバイザーのようなもので覆われた顔と、とても大きい両手のグローブが特徴。姫級・鬼級以外の軽巡洋艦としては唯一、

完全な人型。対空性能が深海棲艦の中でもずば抜けており、その性能を持って艦娘側の艦載機をドッカンドッカン撃ち落とし熟練度を剥げさせるせいで、海軍側

からは多大なるヘイトを集めている。その本当の性格はさばさばとした気のいいお姉さんで、後輩にも気さくに接する。深海提督とのつながりは本拠地にいる他の

深海棲艦と比べて薄いため、深海提督が空母棲姫とケッコンカッコカリしたことに対してもあまりショックは受けなかった。対空性能が高いのは本能でもある為に、

飛行している人工物を見ると無性に撃ち落としたくなるらしい。

826: 2016/06/21(火) 21:33:19.96 ID:0K44/NSM0
【ありのままで】

 ―19時過ぎ、廊下―

龍驤「んあー……疲れた疲れたぁ……」

提督「こんな時間まで付き合ってくださって、ありがとうございます」

龍驤「いやぁ…ペン持ち続けたり書類ばっかり見とったら…手は疲れるし肩も凝るし、目は疲れるわ~…いやぁ、こんな日には甘~いもんでも食べて、リフレッシュ

   したいわ~」チラッ、チラッ

提督「……今夜、デザート奢ります」

龍驤「ありがと~♪」


 ―数分後、食堂―

龍驤「いやぁ~、すまんなぁ~。デザートだけじゃなくって定食まで奢ってくれるなんてなぁ~」

提督「あからさまに奢ってほしそうな目を向けられると、無視しきれませんよ」

龍驤「にひひ~」

TV『今週のテーマは、‶新しいグルメ‶です!」

龍驤「?」

TV『こちらのたこ焼、なんと中にイカが入っているじゃないですか!』 

龍驤「………くっ」

提督「どうかしたんですか?」

827: 2016/06/21(火) 21:48:06.26 ID:0K44/NSM0
龍驤「あ、いやな…この~、たこ焼き(?)なんやけど…」

提督「………やっぱり、気に入りませんか」

龍驤「当たり前や!たこ焼言うたら、中にたこ焼が入っとるもんやろ!なのに、なんやイカ入りって!そんなんたこ焼やのーて、イカ焼きや!」

提督「確かに……一昔前に、たこ焼きに色々入れるのが流行りましたよね。チーズとか、キムチとか、餅とか」

龍驤「けしからん!たこ焼にはタコを入れるべきや!タコが入っていないたこ焼なんて認めへん!」

提督「私も、チーズ入りたこ焼なるものを食べてみましたが…最初は美味しいと思っていましたが、徐々に食べるのが苦痛になっていきました。やはり、普通の

   たこ焼が一番いいですよね」

龍驤「せや、何事も普通が一番ええんや。トッポはチョコ入りが一番美味しいし、ラーメンも普通のスープ…味噌、塩、とんこつがええ。唐辛子とかで無理に

   辛くしたりニンニクをぎょーさん入れて臭くせんでもええ。今の時代、混沌としとるやろ。食べ物」

提督「まあ………寿司に色々変なもの乗せたりするのも流行ってますよね。ナタデココとか」

龍驤「寿司は魚をネタにしてこそや!あ、でも鴨とかカルパッチョは美味しかったけど…」

龍驤「ともかくや!今の時代、普通に食べてもお美味しい食品に、無駄なアレンジを加えてカオスなっとる料理が増えとる!あかんやろ!」

提督「…………食にこだわるところは、大阪人らしいですねぇ」

龍驤「ふふーん!」

提督「…………でも確か、龍驤さんって横須賀生まれ…」

龍驤「細かい事は気にせんといてーな!」

提督「龍驤さんは、何事もありのままの姿の方がいいという事ですか」

龍驤「まー、時代の流れに乗るのも大切やけど、そのままの姿の方も取っといたほうがええ、っちゅーことや」

提督「………そのままの姿の方がいいというのでしたら、改二の改造は見送って…」

龍驤「ああ、それはやめてほしいわ!改造したってーな!」


【終わり】

828: 2016/06/21(火) 21:56:46.92 ID:0K44/NSM0
【キャラクター紹介】

≪龍驤≫

龍驤型軽空母一番艦。艦娘No.30(改二はNo.157)。こげ茶色のツインテールと、軍艦・龍驤を模したサンバイザーが特徴の、少し幼げな女の子。横須賀生まれの

はずなのに関西弁を喋るのはちょっと謎。空母の中でも特に小柄なので、他の艦娘からからかわれている。しかし、普段の少女的な振る舞いや関西弁からは全く

想像もつかないが、元一航戦所属であった所以、鳳翔、赤城、加賀に対してタメ口を利ける貴重な人物。その胸は平坦であった。

好きな言葉は『明鏡止水』。

834: 2016/06/23(木) 21:28:54.00 ID:2Dbla8x30
【もっと頼って】

 ―15時過ぎ、休憩室―

雷「…………はぁ」

暁「雷、どうかしたの?」

響「溜息なんて、珍しいね。悩み事かい?」

雷「あ……まあ、悩み事と言ったら悩み事だけど……」

電「一人で悩み事を抱え込んじゃいけないのです。話してみれば、悩みも解消できるかもしれないのです」

雷「………聞いてくれるかしら」

暁&響&電「もちろん(なのです)」

雷「実はね………」


雷「司令官が……なかなか頼ってくれないなー…って」


暁「………へ?」

響「なんというか、雷らしい悩み事だね」

雷「司令官って、基本何でもできちゃう人でしょ?」

電「そうですね…。デスクワークはもちろんのこと、力仕事もそれなりにできますし、料理だってこの前鎮守府の皆にクッキーを焼いたくらいだし…」

雷「私、誰かに頼られてこそ、自分の力を発揮できるって感じがするのよね…」

暁「ああ、確かにそうかも。他の鎮守府の雷なんて、司令官の仕事を代わりに全部やっちゃうくらいだし…」

響「一部の提督の間じゃ、‶ダメ提督製造機‶何て呼ばれてるし」

雷「確かに、鎮守府の皆からは頼みごとが多いけど、司令官からの頼み事って全くと言っていいほどないの……はぁ……」

電「雷ちゃんは司令官さんから頼みごとをされないと氏んじゃう病気にでも罹っているのでしょうか……」

835: 2016/06/23(木) 21:44:15.25 ID:2Dbla8x30
司令長官「なんだかおもしろそうな話をしているじゃない」

暁「あ、司令長官……」

響「聞いていたのかい?」

司令長官「うん、そこを通りかかったところでね」

雷「それで、司令長官はどう思ってるの?」

司令長官「うーん…儂からも頼みごとをしたいんだけど……雷君はそれじゃ満足できないんでしょ?」

雷「うん………できれば、司令官から頼ってほしくて……」

電「何でそこまで、司令官さんに固執するのですか?」

雷「私も……司令官の役に立ちたいからよ…。私って、改二もないから基本的に、遠征か新しく入った子の付き添いでカレー洋とかに出撃するぐらいじゃない…

  だから、司令官の役に立っている実感が無いなーって。司令官は『十分私の役に立っていますよ』って言ってるけど…なんか素直に喜べなくて…」

司令長官「なるほどねぇ………あ、そう言えば」

雷「?」

司令長官「昨日の秘書艦は確か、響君だったよね?」

響「そうだよ」

司令長官「それで、夕食の時間になった時に黎明君、仕事に集中してた?」

響「うん………していたね」

司令長官「黎明君は、大体仕事に集中していて、夕食の時間が近くなっても、鐘が鳴るまで気づかない事が多い。そして、夕食の時間になっても仕事を止めないか、

     仕事を打ち切って夕食に向かう事がある。と言う事は…」

雷「………そっか!私が司令官に夕食を持って行けば…司令官も喜んでくれる!」

司令長官「そういう事」

雷「じゃあ早速、準備してくるわ!」ダダダ


司令長官「これで、雷君の悩みが解消すると良いね」

暁「そうね…」

響「でもやっぱり、悩み事が『人から頼られない』っていうのが、また雷らしいよね」

電「………あ」

司令長官「?どうかしたの?」

電「今日の秘書艦って………」

836: 2016/06/23(木) 21:54:52.22 ID:2Dbla8x30
 ―19時前、廊下―

雷(料理のメニューに悩んじゃったけど…やっぱりおにぎりが一番よね!仕事をしながら片手で食べられるし、書類にこぼれるなんてことも無いし!)

雷(おにぎりの具は明太子と鮭……間宮さん分けてくれたCセットのおにぎりの具の余り……それを具にして私の手で握った特製おにぎり!)

雷(このおにぎりで、司令官の胃袋を掴んで、私に頼りきりにさせちゃうんだから!)

ガチャ

雷「司令官!仕事大丈夫?差し入れにおにぎり持ってき―」


提督「雲龍さんのおにぎり、とても美味しいです」モグモグ

雲龍「ありがとうございます…。昔は質素な食生活だったせいか、こういうおにぎりや漬物を作るのが得意で…」

提督「そうだったんですか……あ、本当です。漬物も美味しいですね」パリポリ

雲龍「ふふっ、提督にそう言ってもらえると、作った甲斐があります///」


雷「」ズコー

提督&雲龍「?」


 ―数分後、食堂―

雷「嫁には勝てなかったわ」ムシャムシャ

暁「そ、そう……どんまい」

電(これは、日が悪かったのです……)ヒソヒソ

司令長官(まさか、今日に限って雲龍君が夕食を作ってきてくれるなんてねぇ……多分、今後も雲龍君が作ってきてくれるんだろうね。そうなったら本当に、

     雷君の出番は無いね……)ヒソヒソ

響「雷、そのおにぎり貰っていいかな?」


【終わり】

837: 2016/06/23(木) 22:01:41.46 ID:2Dbla8x30
【キャラクター紹介】

≪雷≫

暁型駆逐艦三番艦。艦娘No.73。茶髪のボブヘアーと、同色の瞳が特徴の、正義感の強い女の子。人から頼られることに得も言われぬ幸福感を感じており、人から

頼られないと逆に不満が溜まってしまう。改二が実装されていないため、最近は遠征や新人の付き添いと、前線での出番は減ってきている。しかし、それに対して

文句はない。司令官から頼られたことが無いので、いつかは頼ってもらえるように日々鍛錬中。家事全般はお手の物で、鳳翔も認めるほど。

好きな言葉は『柯会之盟』。

848: 2016/06/25(土) 21:04:51.09 ID:kTDELjEQ0
【謁見】

 ―11時過ぎ、執務室―

提督「………………」カリカリカリカリ

コンコン

榛名『榛名です、提督にお届け物が来ました』

提督「どうぞ」

ガチャ

榛名「失礼します」

提督「お届け物とは?宅急便か何かでしょうか?」

榛名「いえ…封筒のようですけど……」スッ

提督「消印は…………………ロンドン?」

榛名「ロ……ッ!?」

提督「………ランスロットさんからですが……」ビリッ

ペラッ

提督「……………………………………」

榛名「?」

提督「……………また、少々厄介な……」

榛名「なんと書いてあったのですか?」

提督「要約すると……………」



提督「女王陛下が、私にお会いしたいそうで、イギリスに来てほしいとのことです」


榛名「」

提督「……やれやれ」

榛名「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」

849: 2016/06/25(土) 21:19:49.32 ID:kTDELjEQ0
 ―14時過ぎ―

ランスロット『突然で申し訳ない。だが、時間もないものでな』

提督「いえ、それは構いませんが…なぜ、陛下が私と会う事を望んでいるのです?……まあ、大体の予想は付きますが」

ランスロット『この前、我が国に鎮守府を建てる事が正式に決定しただろう?俺は国に帰った後で、そのことを司令長官に報告した。そして、その事は陛下に

       報告すべきだという事で、司令長官の口から報告したんだ……。そしたら陛下は、今の世界の海を脅かす深海棲艦を唯一倒す事ができる、艦娘と

       その技術を無償で提供してくれるお前に直に会って礼が言いたい…と、こんなところか』

提督「なるほど…………」

ランスロット『無論、こちらまでの旅費と滞在先は我々で用意する。そこは安心してくれ」

提督「それは別に心配してはいないのですが……私は、謁見など初めてなのですが、マナーとかはどうすればよいのでしょうか?」

ランスロット『それは……あれだ。新卒の社会人が会社の社長と直に会う時のノリで頼む』

提督「かえって分かりづらいです」

ランスロット『まあそれは冗談で、謁見の際は大礼服で来るべきだな。あれは確か、宮中儀式や拝謁の際に着るものだろう?』

提督「あれですか……あれはあまり着慣れていないのですが…ね」

ランスロット『まあ、大体こういう時ぐらいしか着ないんだろ?』

提督「………どれぐらいの滞在になりますかね?」

ランスロット『飛行機の中で往復1泊、こちらで2泊ぐらいする…だろうな』

提督「分かりました」


 ―15時過ぎ、司令長官執務室―

司令長官「しかし、イギリスにねぇ……」

提督「それも、女王陛下直々の招待………」

長門「大丈夫なのか?」

提督「何がですか?」

850: 2016/06/25(土) 21:31:14.25 ID:kTDELjEQ0
長門「女王陛下と直に会うなど、初めてだろう?」

提督「まあ、緊張はしますね。ただその反面、楽しみです。どのような方なのか」

長門「……まあ、そのくらいのノリで行った方がいいのかもしれないが……」

司令長官「儂も、イギリスなんて行くのは初めてだからねぇ…。観光とかできればいいんだけど」

提督「さあ、どうでしょうね…」

長門「しかし、1週間弱の間提督と司令長官が鎮守府を離れるとなると…私と加賀だけではさばききれんぞ」

提督「実際にイギリスに発つのはまだ1カ月弱あります。その間に仕事を調整して…仕事が無い状態に、とまではいきませんがなるべく皆さんの負担が無いように

   頑張ります。それと、私がいる間の出撃と遠征は最低限だけにして、お休み状態にしましょう」

長門「済まない…助かる」

提督「いえ、それが私の仕事ですから……さて、先に大礼服を見つけないとですね……」

司令長官「あれ、もう久しく着ていないから…カビでも生えてたらどうしよう」

提督「自分で何とかしなさい。まあ、洗濯は鳳翔さんに頼めばやってもらえるでしょうか……あの人の腕は、そこらのクリーニング屋よりも良いですし」


 ―試着タイム―

鳳翔「どんな感じでしょうか?」

提督「やはり、着た回数が少ないせいか、生地がまだ硬いですね。正直言ってきついです」

鳳翔「あら……司令長官は?」

司令長官「儂も、大体同じ感じだねぇ……」

雲龍「それにしても…大礼服の提督…とても凛々しいです」

提督「……ありがとうございます」


司令長官「……鳳翔さん、儂の大礼服はどう?似合ってる?」

鳳翔「そうですね……少し、不釣り合いですね」クスッ

司令長官「ちょっと」


【終わり】

856: 2016/06/26(日) 20:55:27.64 ID:2mKZyRNY0
【むっすり】

 ―13時過ぎ、総司令部内―

神風「総司令部って…やっぱり広いわね……」キョロキョロ

神風「どこに何があるのかまだ全然わからないし……第一ここもどこかわからない……」キョロキョロ

神風「執務室って…ここからどうやって行けばいいのかしら……あら?」


??『………』テクテク


神風(あの人に聞けばわかるかしら……)

神風「すみませーん!」


弥生「………え、何?」ジロッ


神風「」

弥生「………どうか、したの?」ムッスー

神風「えと……あの……、執務室は、どこかなって………」

弥生「………執務室…?ああ、司令官の執務室なら、ここを戻って、突き当りを左に行くと、あるよ」ムッスー

神風「あ、ありがとう…ございます」

弥生「………?新人、だよね?よければ、案内しようか?」ムッスー

神風「い、いえいえ!大丈夫です!それではっ!」ダーッシュ

弥生「………あ」

857: 2016/06/26(日) 21:08:59.00 ID:2mKZyRNY0
 ―14時過ぎ、執務室―

提督「何かと思えば、弥生さんのことでしたか」

弥生「………何が?」

提督「先ほど、神風さんが泣きながらここにきて『なんだかおっかない子にガン付けられた』とおっしゃってたので…」

卯月「え、なになに?弥生ちゃん、神風ちゃんにカツアゲでもしたの?」

弥生「………え、弥生そんな事してないし……執務室の場所を聞かれて、それで答えただけ……」

提督「ああ、そういう事でしたか」

卯月「あー、よかったぴょん……。てっきり、弥生ちゃんがホントに艦娘に手を出したんだとしたら、ちょっと真剣にお話ししなくちゃならなかったぴょん…」

提督「しかし、カツアゲとかに見えるのはやはり…弥生さんのむっすりとした顔と喋り方でしょうか」

弥生「………うぅ。弥生は、これが普通で……」

卯月「そうぴょん!弥生ちゃんも、これを機に明るくなってみるぴょん!」

弥生「………明るくって…どうやって?」

卯月「まずはうーちゃんを手本にしてみるぴょん!ほら、一緒に~、ぷっぷくぷぅ~♪」

弥生「……………………」チラッ

提督「あれは真似しなくていいですよ。あれと同じになったら私にはもうどうしようもなくなります」

卯月「ぴょん!?」

提督「まあ、弥生さんはいつも不愛想な感じですよねぇ……ちょっと、笑ってみてくれませんか?」

弥生「………笑ったりしない?」

提督「しませんよ」


弥生「………………」ニコォ


提督「………あぁ、なるほど…」

卯月「ぷぷぷ、ぷひゃひゃひゃっ!そ、その顔……!変顔ぴょん!笑顔じゃないぴょん!ぴゃはははははははははっ!」

弥生「……………………」チラッ

提督「…………」コクッ

858: 2016/06/26(日) 21:23:55.38 ID:2mKZyRNY0
 ―数分後―

卯月「」チーン

提督「まあ、笑うのが苦手と言う人は結構いますね。ウチの艦隊で言えば、加賀さんや若葉さんもそうですし…」

弥生「………でも、加賀さんとか若葉ちゃんはたまに笑ったりするし……。でも、弥生は……」

提督「…まあ、滅茶苦茶笑顔の弥生さんと言うのも、あまり見たくはありませんが」

弥生「!?」ガーン

提督「…誤解を招くような言い方をしてしまいましたが、私や他の皆さんは普段からその表情の弥生さんを見慣れていますから、逆に満面の笑顔の弥生さんを

   見ると、別人に見えなくもないんですよね。あるいは、何があったのかと問い詰める人もいるでしょう」

弥生「…………そっか…」

提督「でも、別に不愛想な弥生さんが嫌いと言うわけではありませんし、むしろ私はその表情の方が気に入ってます」

弥生「…………」

卯月「………でも、不愛想だと逆にこの先不便じゃないぴょん?就活とか」ムクッ

弥生「………あ、復活した」

提督「………まあ、社会に出るとその表情だと苦労するでしょうねぇ。しかし、いつかも分からない先のことを心配するのは杞憂という物です。ですが、今は

   弥生さんのおかげで色々助かっているところもありますし…」

卯月「助かってる?」

コンコン

夕張「あのー…提督……すみません…」

提督「?」

夕張「これから私、鎮守府近海に対潜哨戒に行くんですけど……」


 ―数分後、休憩室―

望月「働きたくないでござる」

初雪「明日から本気出す。だから今日は休む」

夕張「………このような事に」

提督「…………しくじりました。昨日徹夜で編成案を組んでいたので……」

夕張「もうこの調子で……動こうとしないんですよね…。もうすぐ出撃時刻になるというのに…」

859: 2016/06/26(日) 21:29:32.59 ID:2mKZyRNY0
提督「………この2人は、私が言ってもあまり聞かないんですよねぇ…」

提督「ですので……」チラッ

弥生「…………」コクッ

弥生「………あの、2人とも」

望月&初雪「?」



弥生「………司令官、困ってるから……働こう?」ムッスーーーーーーーーーー



望月&初雪「!!」ビクゥ

弥生「………ね?」

望月&初雪「イエス、マム!」

夕張「じゃあ、装備保管庫に行くよ~」

望月&初雪「はい!」


提督「と、こんな感じで弥生さんの不愛想な顔も、役に立っているんですよ」

卯月「ほぇ~…なるほどねぇ~…」

提督「それに先ほども言いましたが、私は弥生さんの不愛想な顔の方が、どちらかと言うと好みですから」

卯月「なるへそ~……じゃあ、弥生ちゃんは現状維持でオッケーぴょん?」

提督「ええ」


弥生「…………」ニコッ


【終わり】

867: 2016/06/29(水) 22:00:37.98 ID:TF8Ip9Hh0
【艦種は違えど】

≪「第二十七駆逐隊」出撃せよ!≫

 ―15時過ぎ、オリョール海―

白露「いっちばん♪いっちばん♪い・ち・ばーん♪」

時雨「ごめんね、扶桑。僕たちの任務に付き合わせちゃって」

扶桑「ううん、気にしないで時雨。オリョールには何度も出撃した事があるし、ちょうど体が鈍っていたところだったから…」

五月雨「でも扶桑先輩がいると心強いですね!扶桑先輩、瑞雲を飛ばす事ができるんですから。加賀さんとの連携で、敵艦なんて一網打尽です!」

扶桑「ふふ。そう言われると、やる気が出てくるわね」

加賀「皆、そろそろ会敵区域に入るわよ。気を引き締めて」

加賀以外「はい!」

春雨「それにしても、扶桑先輩と一緒に出撃なんて…はじめてな気がします」

扶桑「ああ、確かにそうねぇ。それじゃ、この機会に私の戦い方を見せてあげるわね」

春雨「はい!」

時雨「扶桑の戦い方は、改二になってから目を見張るものになったよ。搭載機数も増えて、装備もより強力なものになったんだから」

白露「おーい!敵艦発見だよー!」


 ―数分後、Cマス(敵巡洋艦隊)―

重巡リ級elite「ッ!!」ズッドオオオン

ドゴォォン

扶桑「ああっ!?………やっぱり不幸だわ……」大破

春雨「」

時雨「………見せるまでもなく終わったね……」

五月雨「あはは………」

白露「んもー!」

868: 2016/06/29(水) 22:07:52.89 ID:TF8Ip9Hh0
≪精鋭「第二航空戦隊」抜錨せよ!≫

 ―16時過ぎ、リランカ島―

飛龍「よーし、頑張ろうね蒼龍!」

蒼龍「うん、改二になった私達の力、見せてあげなきゃ!」

吹雪「二航戦の先輩方と出撃できるなんて、なんだか珍しいかも~」

叢雲「ま、そうねぇ…」

榛名「お2人もやる気満々の要ですし、これは期待してもいいかもですね!」

叢雲「……でも、あの2人と出撃すると…ちょっと厄介な事があるのよね…」

吹雪「え、何?トンボ釣り?」

叢雲「そうじゃなくて………」


飛龍「あっ、蒼龍の鉢巻き、ずれてるよ?」

蒼龍「え?」

飛龍「あ、動かないで。直してあげる」グイッ

蒼龍「ひ、飛龍……顔が近い……///」

飛龍「仕方ないじゃない」クイクイ

蒼龍「い、息が……かかる///」

飛龍「正面にいるんだもの、仕方ないでしょ?」


叢雲「あの2人のイチャつきっぷりを見せつけられるのが厄介なのよ」

吹雪&榛名「……あー…」

青葉「あのー……そろそろ前進しません?」


 ―18時過ぎ、執務室―

飛龍「羅針盤逸れちゃったー!」

提督「結果的にお2人がイチャつくだけで終わったという事ですか」

蒼龍「イ、イチャついてなんかいません!」


【終わり】

874: 2016/07/02(土) 21:21:59.23 ID:Ysnia/wl0
【夜のひと悶着】

 ―12時過ぎ、食堂―

加古「古鷹が夜戦で豹変した、ねぇ……」

夕張「いやぁ…嘘っぽい話だけど、本当に見たのよ…。私だけじゃなくて大井さん、比叡さんも」(>>534-535参照)

加古「んー……まあ、古鷹は夜戦になるとちょっとテンション上がるっぽいけど」

夕張「ちょっとどころじゃないんだって!もう、別人みたいになって!」

加古「えー?あたし前に古鷹と一緒に夜戦した事あるけど、別にそこまでテンションハイになってはいないよ」

夕張(……確かに、最近の古鷹さんは夜戦でもあんまり豹変する事は無くなったらしいし……)

加古「でも夕張にだってあるでしょ?夜戦になると気分がアゲアゲになる事さ」

夕張「んー…まあ、あるっちゃあるけど…」

加古「あれってさ、昼とはまた違う夜の神秘的な雰囲気につられるからなんじゃないかな」

夕張「うーん……」

加古「あたしもね、すこーしだけあるんだよ。夜の雰囲気に飲まれてテンション上がる事」

夕張「………」

加古「夜戦になると、みんな攻撃力とかが上がるじゃん?それって、そういう事だと思うな」


川内「何?夜戦の話!?」


加古&夕張「うるさいぞ!」

875: 2016/07/02(土) 21:35:17.24 ID:Ysnia/wl0
 ―数日後18時過ぎ、サーモン海域・Оマス(敵補給部隊本隊)―

榛名「昼戦で、倒しきれませんでしたね………」

加古「敵はワ級Flagshipと空母ヲ級Flagship、そして戦艦タ級Flagshipが1隻か」

木曾「こっちは夕張が大破し、葛城も大破…このままだと戦術的敗北になっちまうな」

加古「そんじゃ…夜戦にするかぁ」


≪我、夜戦に突入す!≫

榛名「まずは私が!試製35.6cm三連装砲一斉射!はぁっ!」ズドオォォォン

ボゴォォォン

空母ヲ級Flagship「クッ……!」撃沈

夕張「榛名さんナイス!」大破

木曾「あ、おい!お前が前に出たら―」

補給ワ級Flagship「!!」ドゥン

夕張「はうぅっ!?」

木曾「ああ、言わんこっちゃない!加古!タ級を潰して―」


加古「ぐおおおおおおお……………ごおおおおおおお」


深海棲艦含むそこにいる全員「」

木曾「寝るんじゃねえええええええええええ!!!!」


 ―帰投後―

加古「いやぁ、暗くなったら眠くなっちゃって……たはは」

提督「笑って許されるとお思いですか?」

加古「ですよねー…」


【終わり】

881: 2016/07/03(日) 16:52:05.42 ID:ox1yJXFK0
【心遣い】

 ―8時半過ぎ、掲示板前―

木曾「ん…今日は演習か……」

木曾「メンバーはイタリア、赤城、神通、俺、まるゆ、龍驤か……」

まるゆ「木曾先ぱ~い」テテテ

木曾「ん、まるゆか。どうかしたのか?」

まるゆ「いえ、今日は木曾先輩と一緒の艦隊で演習ですから、その、お願いします、と言いたくて」

木曾「ああ、そんな事か。別に気を遣う必要はねーよ。俺とお前の仲なんだから、な?」

まるゆ「は、はい!」

ゴーヤ「あー、まるゆちゃん、今日は演習でち!」

イク「あ、ホントなの!」

ゴーヤ「演習中に自沈するとか、しちゃだめでちよ?」

まるゆ「……あはは、嫌ですよぉ~。もうそんな事しませんて~」シュン

イク「冗談なの~」

木曾「……………」


木曾「まるゆ、さっきのゴーヤの話、あんまり傷ついたんなら、俺が話を…」

まるゆ「あ、大丈夫ですよ。だって、まるゆはへっぽこで弱いし、進水式で沈んじゃったのも本当だし…むしろ、皆の足を引っ張ってるんじゃないかな…って」

木曾「………それは気にし過ぎだ。まるゆはちゃんと遠征とかで頑張ってるだろ?」

まるゆ「それでも、前線じゃあまり役には立ちませんし……」

882: 2016/07/03(日) 16:59:52.32 ID:ox1yJXFK0
 ―数分後、執務室―

提督「まるゆさんがそんな事を…」

木曾「ああ。あいつのダメな所ってのは、そうやってすぐ卑屈になるところなんだよなぁ…。何とかならないかな」

提督「……まるゆさんに自信をつけさせれば、良いんですか?」

木曾「お、おう…。なんかアイデアでもあるのか?」

提督「それには貴女の協力が必要ですが」

木曾「あいつの為なら、なんだってしてやるさ」


 ―13時過ぎ、執務室―

提督「………で、赤城さんの装備は烈風、Ju87C改、天山(六○一空)、彩雲…」

提督「………木曾さんは15.5cm三連装砲、OTO152mm三連装速射砲と甲標的……」

提督「まるゆさんは、甲標的です」

提督「相手の艦隊は金剛、飛龍、鳥海、叢雲、阿武隈、蒼龍です。航空戦と阿武隈の開幕魚雷に注意してください」

演習艦隊『はい!』

提督「では、演習海域へ向かってください」

演習艦隊『了解!』



 ―十数分後、演習海域―

イタリア「では、赤城さんと龍驤は、航空戦で相手空母の艦載機をなるべく撃ち落としつつ、脅威になるであろう阿武隈と金剛にそれなりのダメージを与えるよう、

   何とかしてください」

赤城「分かりました」

龍驤「了解や!」

木曾「それじゃ、俺とまるゆは雷撃でそれなりに強い鳥海と残った艦に攻撃すればいいんだな?」

イタリア「はい」

883: 2016/07/03(日) 17:05:03.12 ID:ox1yJXFK0
木曾「よーし、じゃあまるゆ。お前は鳥海を狙え。俺は相手の空母連中や、航空戦でうち漏らした艦を狙うから」

まるゆ「は、はい!」

木曾「甲標的は他の魚雷と違って特殊な魚雷だ。この前教えた事は覚えてるな?」

まるゆ「だ、大丈夫です!」

木曾「よし、じゃあ行くぞ。お前は強いんだから」

まるゆ「が、頑張ります!」


≪演習開始!≫

赤城「第一次航空隊、発艦開始!」バルルルルル

龍驤「ウチも行くでー!」シュシュシュン

ボゴッ、バゴォ

龍驤「あちゃー!制空権はとれんかったか…!」

赤城「でも航空優勢。これならまだ大丈夫よ」

ズドオオオオオン

飛龍:中破

蒼龍:小破

神通「飛龍さんの無力化に成功!蒼龍さんは小破です!」

木曾「よし、じゃあまるゆ。お前は作戦通り鳥海を狙え!俺は蒼龍を狙う!」

まるゆ「は、はい!」

木曾「甲標的、発射!」ダシュン

まるゆ「え、えーいっ!」ドシューン

884: 2016/07/03(日) 17:10:40.41 ID:ox1yJXFK0
木曾(よし!行け、まるゆ!)

ズドオオオオオオン


鳥海:撃沈判定


龍驤「おお!鳥海が撃沈判定や!」

赤城「すごいわ、まるゆちゃん!」

まるゆ「へ、へぇっ!?」

木曾「くっそー…おれは蒼龍に当てられなかったけど…すごいじゃねぇか!」

イタリア「鳥海改二を一撃で沈めるなんて、まるゆちゃんって案外すごいんですね!」

神通「感心してる場合じゃありません!まだ演習は始まったばかりですよ!!」

木曾「っと、そうだったな!」

イタリア「砲撃戦、開始です!」


イタリア「S勝利達成です!」

龍驤「いやぁ、それにしてもまるゆが開幕雷撃で改二の鳥海を一撃で倒したのがすごかったなぁ~!」

まるゆ「い、いえ。まるゆはそんな……」

赤城「謙遜する事は無いわ。他の潜水艦でも、改二になって強化された艦を一撃で沈めるなんてことはめったにないもの」

神通「ええ、すごかったですね」

木曾「まるゆ」

まるゆ「は、はい?」

木曾「お前は強いんだ。だから今日みたいな事ができた。もっと自信をもっていいんだぞ?」

まるゆ「………は、はい!」

885: 2016/07/03(日) 17:19:20.49 ID:ox1yJXFK0
 ―20時半過ぎ、軽巡洋艦寮・休憩室―

木曾「あー疲れた疲れた……」

神通「………木曾さん」

木曾「ん?神通か、どうした?」

神通「昼の演習のことなんですけど………」

木曾「?」

神通「木曾さん、蒼龍さんじゃなくて鳥海さんを狙ってましたよね?」

木曾「……さあてな、何の事かな」

神通「とぼけてもダメですよ。あの先生雷撃の時の木曾さんの魚雷航走跡、蒼龍さんじゃなくて鳥海さんの方に向かってました。それも、まるゆさんの撃った

   甲標的と自分の甲標的が、鳥海さんに同時に当たるように撃って、まるゆさんが沈めたように見せたんですよね?」

木曾「……………」

神通「……………」

木曾「………流石、鬼教官、花の二水戦旗艦だな」

神通「何でそんな事を………」

木曾「……まるゆは、自分のことを過小評価しすぎてる。そりゃ、他の潜水艦と比べたらへっぽこだけど、まるゆにだってちゃんといいところはある。こつこつ

   努力するところとか、基本に忠実だとか…これらのことは普通かもしれねーが、当たり前のことを当たり前にやるのがあいつのいいところだ」

木曾「けどアイツ、それに気づかず自分を『弱い、弱い』って自虐する。そんないじいじしているまるゆを変えたいと思って、今日アレをやったんだ」

神通「………でも、まるゆさんは今回のことで自分にうぬぼれたりしたら…」

木曾「あいつは自分にうぬぼれたりしないさ。今回のことで、少し自信がつくだろう。俺が保証する」

神通「……木曾さんは、まるゆさんの事をよくわかっているんですね。まるで、親みたい」

木曾「………ほっとけ」


【終わり】

886: 2016/07/03(日) 17:29:08.58 ID:ox1yJXFK0
【瑞雲先輩】

 ―>>817の鎮守府サイド―

翔鶴「第一次航空隊、発艦始め!」ビシュシュシュッ

日向「航空戦艦の瑞雲の力、思い知るがいい!」ブーーーーーン

北上「でも敵旗艦はツ級だから……」

古鷹「あ………艦載機が落とされちゃうね………」

北上「まーたボーキが飛んでくよ……」

ボボボボボボボボン

翔鶴「ああっ!?流星改が!」

日向「くそっ!瑞雲までも撃ち落とされた!」

翔鶴「一応制空権は取れましたが……」

日向「仕方ない…残った瑞雲で弾着観測射撃を―」カパッ

スロット:0

日向「………………」

翔鶴「ひ、日向さん?」


日向「貴ッ様ァー!!よくも瑞雲をォォォォォォォ!!!」


全員「」

軽巡ツ級「!?」ビクッ

日向「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドドドドドドドドドドドドン

軽巡ツ級「グアアアアアアア……」撃沈

887: 2016/07/03(日) 17:38:23.36 ID:ox1yJXFK0
 ―帰路―

瑞雲妖精「う~ん…ツ級…ツ級…」

日向「妖精は帰ってきたが……瑞雲が…すべて撃ち落とされた……」

北上「そんな自分の艦載機を落とされたぐらいで大げさな……またボーキサイトを補充して、明石さんに造ってもらればいいじゃない」

日向「……北上、君は瑞雲を使った事が無いからわからないと思うが、瑞雲の整備や運用には多大な負荷がかかるんだぞ?」

北上「え、そうなの?」

日向「そうとも。瑞雲の機体を掃除したり、妖精さんの健康管理は常にチェックしたり……」

北上「そんなトレーナーみたいな事言われても…」

日向「それに、瑞雲の試運転をするためにたまに散歩に連れてったり…」

北上「それ提督の許可得てる?」

日向「それに、熟練度が剥げるとまた新しい機体に慣れさせるのにまた時間がかかる。瑞雲の搭載数は少ないから、あまり落とされるとすぐに無くなる。

   潜水艦や弱い艦を相手にひたすら機体に体をなじませるしかないんだ」

北上「へー…なんか色々大変なんだねぇ~…」

日向「大変なんてもんじゃないぞ。いいか、そもそも瑞雲というのはな…」

日向「くどくどくどくどくどくどくどくど」


古鷹「日向さん、スイッチ入っちゃったね……」

翔鶴「日向さんは本当に瑞雲のことを気に入ってるんですね」


 ―20時過ぎ、浴場―

伊勢「日向ぁ、別に瑞雲を愛でるのは構わないけど、あんまり他人に押し付けちゃだめだよ?」

日向「押し付けているわけじゃないさ。ただ他の皆にも、瑞雲の良さを分かってもらいたいだけだ」

伊勢「それを押し付けてるって言うんだよ」


【終わり】

888: 2016/07/03(日) 17:42:29.42 ID:ox1yJXFK0
【キャラクター紹介】

≪木曾≫

球磨型軽巡洋艦及び重雷装巡洋艦五番艦。艦娘No.41(改二はNo.146)。緑がかった黒髪と、右目の眼帯が特徴の、勇ましい女の子。初めて着任した時から勝利を

与えるなど豪語しており、その言葉にふさわしい活躍ぶりを見せてくる。改二になると、黒い外套と刀を持ち、中二病臭くなったが、本人は気にしていない模様。

見た目や言動にそぐわず料理が得意。まるゆの事を大切な相棒と思っている。個性的過ぎる球磨型の姉たちにツッコミを入れては疲れる日々を送っている。

好きな言葉は『不撓不屈』。

889: 2016/07/03(日) 17:44:07.04 ID:ox1yJXFK0
一度ここで切ります。


感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。

それではまた。

【艦これ】総司令部日誌【その10】

890: 2016/07/03(日) 18:35:39.42 ID:/G3CldAbo
乙です

引用: 【艦これ】総司令部日誌