1: 2013/08/23(金) 00:50:27 ID:GggGGaYs
※イアン×リコ
イアン「聞こえなかったか?おーい」
リコ「酔ってるだろ」
イアン「何、こんなの飲んでる内に入らん」
リコ「どうだか。しかし勿体無いな」
リコ「せっかくの良い酒なのに、もう半分もないじゃないか。味わって飲まないと」
イアン「そうは言ってもな・・・・・・、こんなに美味いのにちびちび飲むのはなぁ」
リコ「ミタビなんて最初の一杯で潰れたのに」
イアン「あいつと比較するな。・・・じゃなくて」
イアン「聞こえなかったか?おーい」
リコ「酔ってるだろ」
イアン「何、こんなの飲んでる内に入らん」
リコ「どうだか。しかし勿体無いな」
リコ「せっかくの良い酒なのに、もう半分もないじゃないか。味わって飲まないと」
イアン「そうは言ってもな・・・・・・、こんなに美味いのにちびちび飲むのはなぁ」
リコ「ミタビなんて最初の一杯で潰れたのに」
イアン「あいつと比較するな。・・・じゃなくて」
2: 2013/08/23(金) 00:52:09 ID:GggGGaYs
イアン「リコ、俺とけkk」
リコ「何度も言わなくていい!」
リコ「どういう風の吹き回しなんだ。
けっ・・・結婚なんて。そもそも私達は、付き合ってすらいないだろ!」
イアン「大声を出すな、ミタビが起きる」
リコ「うっ・・・」
リコ「・・・なんで急に、こんな事」
イアン「俺たちには時間がないからだ」
リコ「時間?」
イアン「俺達は氏と隣り合わせだ」
イアン「いくら駐屯兵団は安全と言っても、退官まで何事もないって保証はない」
イアン「だから、生きてる内にやれる事はやっておきたい、と思ってな」
リコ「・・・そんな事」
リコ「何度も言わなくていい!」
リコ「どういう風の吹き回しなんだ。
けっ・・・結婚なんて。そもそも私達は、付き合ってすらいないだろ!」
イアン「大声を出すな、ミタビが起きる」
リコ「うっ・・・」
リコ「・・・なんで急に、こんな事」
イアン「俺たちには時間がないからだ」
リコ「時間?」
イアン「俺達は氏と隣り合わせだ」
イアン「いくら駐屯兵団は安全と言っても、退官まで何事もないって保証はない」
イアン「だから、生きてる内にやれる事はやっておきたい、と思ってな」
リコ「・・・そんな事」
3: 2013/08/23(金) 00:53:46 ID:GggGGaYs
イアン「悲観的になってる訳じゃないさ」
イアン「ただ俺は、悔いの無いようにやりたい」
リコ「それでも急すぎるよ」
リコ「だって私は、急にそんな・・・結婚、なんて」
リコ「大体、好き・・・とか、言われた記憶もないよ」
イアン「そういえば、言った記憶もないな。
うん、言い忘れてたけど、愛してるんだ」
リコ「っ!! そんな、軽いノリで・・・っ!」
イアン「俺は本気だ」
リコ「でも、あの・・・・・・」
リコ「・・・・・・」
イアン「ただ俺は、悔いの無いようにやりたい」
リコ「それでも急すぎるよ」
リコ「だって私は、急にそんな・・・結婚、なんて」
リコ「大体、好き・・・とか、言われた記憶もないよ」
イアン「そういえば、言った記憶もないな。
うん、言い忘れてたけど、愛してるんだ」
リコ「っ!! そんな、軽いノリで・・・っ!」
イアン「俺は本気だ」
リコ「でも、あの・・・・・・」
リコ「・・・・・・」
4: 2013/08/23(金) 00:54:31 ID:GggGGaYs
リコ「・・・・・・」
リコ「・・・ちょっと、風に当たってくる」
イアン「あ、ああ」
イアン「急で悪かった」
リコ「本当だよ」
イアン「・・・今すぐ決めろとは言わない」
イアン「ゆっくり考えておいてくれ。・・・ああ、でも」
イアン「俺が氏ぬ前に返事はくれよ?」
・・・・・
リコ「・・・ちょっと、風に当たってくる」
イアン「あ、ああ」
イアン「急で悪かった」
リコ「本当だよ」
イアン「・・・今すぐ決めろとは言わない」
イアン「ゆっくり考えておいてくれ。・・・ああ、でも」
イアン「俺が氏ぬ前に返事はくれよ?」
・・・・・
5: 2013/08/23(金) 00:55:06 ID:GggGGaYs
***
・・・・・・・・・。
官舎の外に出ると、夜風が涼しい。
そこまで飲んでいた訳じゃないけれど、それでも少し、酔っていたようだ。
風が心地よい。
ただじっとしている気にもなれなくて、足の向くままに基地の中を歩き回った。
歩き回るうち、訓練場に辿り着いた。
深夜の訓練場はただ広いだけで、人っ子一人いない。
リコ「・・・・・・あれ?ここは・・・」
リコ「・・・ああ、そうだ」
リコ「イアンとミタビに会った場所だ」
6: 2013/08/23(金) 00:56:16 ID:GggGGaYs
リコ「ここに配属されてきた時に、初めて話した・・・」
リコ「・・・・・・」
リコ「あの時は楽しかった」
リコ「上官に・・・司令にまで期待されて、訓練を積んで」
リコ「精鋭として扱われた時は嬉しかった」
リコ「そう。あんなに・・・あんなに、訓練したのに」
リコ「皆、食われてしまった」
リコ「・・・食われた?」
リコ「・・・・・・・・・」
リコ「ああ、そうか」
リコ「二人はもう、いないのか」
リコ「私は、一人になってしまった・・・」
リコ「・・・・・・」
リコ「あの時は楽しかった」
リコ「上官に・・・司令にまで期待されて、訓練を積んで」
リコ「精鋭として扱われた時は嬉しかった」
リコ「そう。あんなに・・・あんなに、訓練したのに」
リコ「皆、食われてしまった」
リコ「・・・食われた?」
リコ「・・・・・・・・・」
リコ「ああ、そうか」
リコ「二人はもう、いないのか」
リコ「私は、一人になってしまった・・・」
7: 2013/08/23(金) 00:57:09 ID:GggGGaYs
***
イアン「おい、リコ」
リコ「・・・・・・」
イアン「どうしたんだ、凄い汗だぞ」
リコ「・・・イアン」
イアン「?」
リコ「生きてるのか?」
イアン「へ?いや、この通りだが」
リコ「・・・・・・」
イアン「寝惚けてるのか?」
リコ「・・・そうかも」
イアン「朝までまだ結構あるぞ。寝ろ、寝ろ」
リコ「・・・・・・」
8: 2013/08/23(金) 00:57:45 ID:GggGGaYs
リコ「夢を見たんだ」
イアン「夢か」
リコ「酒を飲んでてね」
イアン「お前、そんなに酒好きだったか?」
リコ「違うよ、イアンと飲んでて。
ほら、あの時だよ、あんたがいきなりプロポーズしてきた時」
イアン「あ、ああ。あの時の」
リコ「それで夜風に当たろうと思って、外に出たんだ」
リコ「そうしたら、イアンが氏んでる事を思い出すんだ」
イアン「俺が?」
リコ「そう」
リコ「夢の中では、皆氏んでるんだ」
リコ「イアンも、ミタビも、私の部下も、皆いなくて」
リコ「一人で、訓練場の真ん中で膝を抱える。そんな夢」
イアン「・・・怖いな」
リコ「怖かったよ」
イアン「夢か」
リコ「酒を飲んでてね」
イアン「お前、そんなに酒好きだったか?」
リコ「違うよ、イアンと飲んでて。
ほら、あの時だよ、あんたがいきなりプロポーズしてきた時」
イアン「あ、ああ。あの時の」
リコ「それで夜風に当たろうと思って、外に出たんだ」
リコ「そうしたら、イアンが氏んでる事を思い出すんだ」
イアン「俺が?」
リコ「そう」
リコ「夢の中では、皆氏んでるんだ」
リコ「イアンも、ミタビも、私の部下も、皆いなくて」
リコ「一人で、訓練場の真ん中で膝を抱える。そんな夢」
イアン「・・・怖いな」
リコ「怖かったよ」
9: 2013/08/23(金) 00:58:40 ID:GggGGaYs
イアン「でも、俺は生きてる」
リコ「うん」
イアン「ちゃんとここにいるからな」
リコ「・・・うん」
イアン「・・・・・・あと」
リコ「?」
イアン「あー、その、なんだ」
イアン「リコが待っててくれる内は、悲しませるような事はしない」
イアン「・・・・・・だから、その」
イアン「リコ。君が好きだ」
リコ「・・・・・・」
リコ「・・・うん」
リコ「私も――」
10: 2013/08/23(金) 00:59:20 ID:GggGGaYs
***
・・・・・・・・・。
目を開けると、刺すような朝日が目を焼いた。
カーテンを閉め忘れたのか、誰かが既に開けてしまったのか。
窓から外を見ると、日はもう高い。
寝過ごしたか、と思ってから、今日は非番だと気付く。
・・・・・・さて、何をしよう。
リコ「何も、思い浮かばないな」
リコ「かといって、官舎にずっといても仕方ないし」
リコ「・・・とりあえず、外に出よう」
食堂には人はまばらだ。
時間が遅いのを差し引いても、少なすぎる。
先日の一件で、兵士自体がかなり減ったからだ。
かなり味気ない食事を済ませて、外出届を出して街へ出る。
11: 2013/08/23(金) 01:00:45 ID:GggGGaYs
リコ「まだ直っていない建物もあるんだな」
リコ「避難したきり、住民の戻ってこない家もあるらしい」
リコ「・・・仕方ないかもな」
リコ「五年前はシガンシナ、今度はトロスト区」
リコ「突出地域になんて、住みたくないに決まってる」
リコ「氏にたくないに決まってるし」
リコ「家族や・・・大切な人を失ったりも、したくない」
リコ「・・・・・・」
リコ「・・・あ」
リコ「そういえば、墓参りに行っていないな」
12: 2013/08/23(金) 01:01:47 ID:GggGGaYs
兵士の墓地は、見晴らしの良い丘の上にあった。
墓地と言っても、大勢が一つところにまとめられる共同墓地だ。
巨人が吐いた氏体からは、個人の判別どころか、遺骨を分けることすら出来ないから、
こうなるのも当たり前なんだろう。
それでも、ちゃんとここに骨があるだけ運が良いのかもしれない。
調査兵団のように壁の外で食われてしまった人には、墓すら建たないんだから。
墓の前に立って、そんな事を考えていた。
リコ「・・・会いに来たよ。皆」
リコ「遅くなって、悪かった」
リコ「こっちは少し大変でね。兵法会議にも出たよ」
リコ「あの訓練兵は調査兵団に入った。
これからは・・・どうなるか解らないけれど、何とかなるだろう」
リコ「私は、何とかやっているよ」
リコ「部下もほとんど失ってしまったけど、もうすぐ新兵も配属されて来る筈だし」
リコ「・・・・・・」
13: 2013/08/23(金) 01:02:19 ID:GggGGaYs
リコ「・・・・・・イアン」
まだもっと、話したい事があった。
こんなに早く別れが来ると解っていれば、もっと素直になれたのに。
リコ「あの返事も、まだしていなかったな・・・」
もしかしたらイアンには、何か予感めいたものがあったのかもしれない。
虫の知らせ、というのか。
あれはまだ、作戦が始まるどころか、壁に穴さえ空いてない時だったけれど。
リコ「はぁ。ミタビ達の前で返事をするのも気が引けるけど・・・・・・」
リコ「・・・私で良ければ」
リコ「嫁に貰ってください」
リコ「・・・・・・」
リコ「言い忘れていたけど、私もイアンを――」
まだもっと、話したい事があった。
こんなに早く別れが来ると解っていれば、もっと素直になれたのに。
リコ「あの返事も、まだしていなかったな・・・」
もしかしたらイアンには、何か予感めいたものがあったのかもしれない。
虫の知らせ、というのか。
あれはまだ、作戦が始まるどころか、壁に穴さえ空いてない時だったけれど。
リコ「はぁ。ミタビ達の前で返事をするのも気が引けるけど・・・・・・」
リコ「・・・私で良ければ」
リコ「嫁に貰ってください」
リコ「・・・・・・」
リコ「言い忘れていたけど、私もイアンを――」
14: 2013/08/23(金) 01:03:28 ID:GggGGaYs
***
イアン「おかえり、リコ」
リコ「ただいま」
リコ「・・・一緒に住むなんて、なんだか変な感じだ」
イアン「結婚したからな」
リコ「そうなんだけど、実感が沸かないよ」
イアン「ミタビや部下の目の前で返事をしておいて、何を今更・・・」
リコ「・・・仕方ないだろ、勢いで、つい」
イアン「それに式も挙げたし、あんな事もしたし」
リコ「あんな事って・・・っ、けど、あれはイアンが」
イアン「それで結婚した実感が無いって。少し落ち込むぞ」
イアン「しかも一晩中、あんなに何度も」
リコ「~~~~っ!」
15: 2013/08/23(金) 01:04:55 ID:GggGGaYs
イアン「うわっ、悪い、悪かったって!殴るな、痛いから」
イアン「そ、それにだ!今日は良い物があるんだ。実感も沸くさ、必ずだ」
リコ「は?いい物・・・?」
イアン「そう、手を出してくれ。・・・そっちじゃない、左手」
リコ「え?」
イアン「・・・・・・」
16: 2013/08/23(金) 01:05:51 ID:GggGGaYs
リコ「・・・これって、指輪?結婚指輪って事?」
イアン「そうだ。後先になったけどな」
イアン「実感沸いたか?」
リコ「・・・・・・うん、かなり」
イアン「それは良かった」
リコ「その、イアン」
リコ「ありがとう・・・これ、大切にする」
イアン「どういたしまして」
リコ「・・・その、イアン」
リコ「愛してるよ」
17: 2013/08/23(金) 01:09:01 ID:GggGGaYs
おわりです、リコさん幸せになってほしかった
短くてごめんね
短くてごめんね
20: 2013/08/23(金) 09:41:51 ID:y0vE37mg
乙……こんな未来があっても良かった
引用: イアン「結婚しないか」
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