69: 2015/05/22(金) 21:27:09.47 ID:WsIp4AUdo



前回:提督「朝潮に死亡ドッキリ」
最初から:提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」

~~ネタばらしタイム~~

朝潮「なるほど……。大本営からの指令、ですか」

提督「心配させてすまなかった!俺にできる詫びならなんでもする!」

秋月「!?」

朝潮「かまいませんよ。指令が指令ですし、司令官を責めるつもりはありません」

秋月「……」ホッ

提督「でも朝潮、お前本当にそれでいいのか?遠慮なんてしなくていいんだぞ。というか、お咎め無しだと逆に俺が辛いんだ」

朝潮「ふふっ、司令官らしいですね……でしたら、また何か辛いことがあった時司令官に甘えてもいいですか?」

提督「ああ、もちろんだとも!いつだって来い!」

朝潮「はい。では朝潮、これで失礼致します!」ケイレイビシッ





提督「ええ子やぁ……」シミジミ

明石「ですねー」

青葉「いやあよかったよかった!今回は実に平和でしたね!」

提督「お前の行動で俺はハラハラしっぱなしだったんだが」

秋月「朝潮さんにとどめを刺したのは青葉さんでしたしね」

青葉「気にしない気にしない!……おっと、新しい艦娘が来たみたいですよ!誰でしょうね?」

↓2の艦娘 (氏因とかなんかもあったらどうぞ)


71: 2015/05/22(金) 21:27:16.31 ID:9FARuFgNO
伊168 溺氏
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
82: 2015/05/23(土) 00:11:22.79 ID:8yg6RwBSo
提督「イムヤか……」

青葉「潜水艦ですね!ワクワクしますね!」

提督「しない」

――廊下・執務室前――

伊168「ふんふーん♪」

ガチャ

伊168「司令官、おはよう!」

シーン……

伊168「……あれ?司令官?」

<グスッ、グスッ……

伊168「だ、誰?」

大淀「あ、イムヤさん……」グス

伊168「大淀さんじゃない!なんで泣いてるの?一体どうしたの!?司令官は!?」

大淀「提督……いえ、なんでもないんです……」グス

伊168「全然なんでもなさそうじゃないわ!何があったのか話して!」

大淀「すみません……今は、まだ……」

伊168「……もしかして、司令官に何かあったの?」

大淀「……!」ビクッ

伊168「……図星、みたいね。話してくれる?」

83: 2015/05/23(土) 00:12:54.95 ID:8yg6RwBSo

大淀「聞かないほうがいいかもしれないですよ?知ったらきっと……いえ、絶対後悔します」

伊168「どうせ後で聞くことになるんでしょ?だったら先に聞いておきたいわ」

大淀「本当にいいんですね?」

伊168「だからいいって言ってるでしょ?話してよ」

どうせ大したことじゃないだろう。私はそう高をくくっていた。

大淀「提督が……亡くなりました」

伊168「……は?」

頭を、ガツンとハンマーで叩かれたみたいな衝撃。

何かあったと言っても、どうせちょっとした怪我だとか。それくらいだと思っていた。

会いに行けば、「大淀は大げさなんだよ」と苦笑して頭をなでてくれる。今まではずっとそうだった。

伊168「氏んだ?……どうして?」

頭のなかがグルグルしてわからないことだらけの中、唯一浮かんだ明確な疑問を言葉にする。どうして?

大淀「溺氏、です」

溺氏?海で?そもそも司令官が自力で海に出ることなんて、ほとんど無いはずなのに……まさか。

伊168「……深海棲艦のせいなの?」

原因なんてそれくらいしか思いつかない。……もしそうだとしたら、絶対許さない。あいつら、一匹残らず海に沈めてやる。

大淀「違います。……提督が亡くなったのは川で、ですから」

84: 2015/05/23(土) 00:13:50.98 ID:8yg6RwBSo

伊168「川?……あっ!」

ハッとして外を見る。窓枠が濡れている。今は晴れているが、朝はかなりの大雨だった。

大淀「そうです。増水した川で……提督は」

伊168「そんな……ありえないわ!司令官は、水の怖さを知らないような人じゃないのに!」

大淀「ええ、提督は雨の日の川で遊泳するような方ではありません」

伊168「じゃあ……なんで司令官は!?」

大淀「……提督は、溺れている子供を放っておけるような方でもありません」

……大淀さんの一言で、全てがわかった。司令官は見つけてしまったんだ。川で溺れている子供を。

当然、自力で助けるなんて自殺行為。それこそプロに任せるべきだ。でも、後先考えず飛び込んでしまったんだろう。司令官はそういう人だって、わかってる。

だけど、信じたくなかった。ほんの僅かの可能性に希望を託して大淀さんに問いかける。

伊168「て、訂正の余地はないの?ホラ!他人の空似とか……」

大淀「……」フルフル

大淀さんは悲しそうにかぶりを振る。その表情から、彼女も同じような事を考えていたとわかった。……そして、裏切られたと。

伊168「……」ヘタリ

私はへたり込んで涙を流していた。涙と一緒に何か別のものが胸から流れ落ちていく。





85: 2015/05/23(土) 00:15:32.98 ID:8yg6RwBSo
気が付くと、悲しみはもう無くて、涙も止まっていた。代わりに胸の中に大きな穴が空いているようだった。

私の中は、きっと空っぽになってしまったんだろう。それを埋めてくれる司令官は、もういない。

大淀「イムヤ、さん……?」

大淀さんが恐る恐る私に話しかける。無理もない。私は機械のような無表情をしているんだろう。

伊168「大丈夫だよ、大淀さん」ニコ

空っぽの私は、空っぽの笑顔で、空っぽな言葉を返す。

伊168「わたしは元気だよ?今すぐオリョールだっていけちゃうんだから!」グッ

嘘ではなかった。今の私は何処にだって行ける。オリョールにだって、サーモン海にだって。

それで沈んでしまっても、別にいい。

86: 2015/05/23(土) 00:16:39.94 ID:8yg6RwBSo
――モニター室――

提督「これはヤバいな」

青葉「イムヤさん、氏んだマグロみたいな目をしてますね……」

明石「これはネタばらししたら逆に危ないのでは?」

提督「だからといってこのままにして置けるか!青葉!ネタばらし!」

青葉「りょーかいです!」

青葉『大淀さん!ネタばらしお願いします!』

――執務室――

大淀(まさか、こんなことになってしまうとは……かなり危険ですが、真実を伝えないと)

大淀「……イムヤさん」

伊168「なあに?」

大淀「少し、付いて来てください」

伊168「いいわよ」

大淀さんの表情がさっきまでと違う。覚悟を決めたような顔だ。

彼女はきっと、私がもう空っぽだって気付いているんだろう。解体されてしまうのかな。それとも深部海域の囮かな。まあそれも、どうでもいいか。

大淀さんについていくと、見慣れない部屋に辿り着いた。

87: 2015/05/23(土) 00:18:04.03 ID:8yg6RwBSo
――モニター室――

伊168「ここは?」

大淀「モニター室です。イムヤさん、すみません……。全て、嘘だったんです」

大淀さんが、部屋の片隅を指さす。そこには。

伊168「しれいかん……?」

提督「イムヤ、すまない……」

司令官の顔を見た瞬間、あんなに大きかった胸の穴は一瞬で埋まっていた。代わりに涙が溢れてくる。

伊168「しれ、しれいかん……大丈夫だったの?オバケじゃない?本物?」ポロポロ

提督「ああ、この通りだ……ごめん。ごめんな」

司令官が、泣きそうな顔で私を見る……変なの。泣いているのは私の方なのに。

そう思うと、なんだか可笑しくなってきて。私は涙を流しながら大笑いしていた。

伊168「な、なんで司令官が泣きそうなのよ……!あはは……!」ポロポロ

泣きながら笑う私の肩に手が置かれた。振り返ると、『ドッキリ大成功!』のプラカードを持った青葉さんが。

青葉「じゃじゃーん!ドッキリでした、すみません!」

伊168「……は?」

今日の私はまるで百面相だ。

88: 2015/05/23(土) 00:19:16.19 ID:8yg6RwBSo

~~と、ここでネタばらし~~

伊168「何してんのよ!許せない!私、ほんとに司令官が氏んじゃったかと思ったんだからね!」プンスコ

提督「すまない、本当にすまない……」

あんまりにバカらしい真相に腹を立てる私に、司令官が必氏に謝る。

両手足が拘束されていなかったら、絶対に土下座しているわね。

司令官が利用されているだけだっていうのはわかる。怒りの半分は演技だ。でも、こんな会話ができるのが嬉しくて。つい憎まれ口を叩いてしまう。

伊168「何よ、イメージ戦略って!石なら私が投げたいわ!大本営に!」プンプン

これは本心だ。私達の心をこんなにかき乱して!発案者に会ったら本当に石を投げてしまいそうだ。

提督「すまん、俺にできることだったらなんでもするから!」

伊168「……え?」

秋月「司令ったら、また……」ハァ

明石「まあ、いい加減に言ってるんじゃなさそうですけど」

思わぬ発言に、怒りの演技はすっかり中断させられてしまった。

伊168「何でも?ふーん、そう……」ニヤニヤ

顔がにやけてしまっているのが自分でも分かった。でも止められない。

その顔のまま、どうしたものかと考える。

提督「あ、あの……イムヤさん?」

司令官が、ビクビクしながら私に声をかける。私があまりニヤけているので、どんなひどいめにあわされるかと不安なんだろう。心外だ。





89: 2015/05/23(土) 00:20:51.22 ID:8yg6RwBSo
怯える司令官を横目にたっぷり10分ほど考えたあと、私は結論を出した。

伊168「……決めた!今度の休日、司令官は私の買い物に付き合うこと!いいわね?」

提督「お、おう。そんなことでいいのか?」

露骨にホッとした表情を浮かべる司令官。それがちょっと気に入らなかったので、条件を1つ追加した。

伊168「もちろん、代金は全部司令官持ちでね!」ニコ

提督「は、はい……」

提督(こんなことで許してもらえて良かったが、破産するかもな……)

私はニコニコしながら部屋を出る。もう騙されたことなんてどうでも良くなっていた。

鼻歌を歌いながら廊下を歩く。今から次の休日が待ちきれない。

伊168「早く休みにならないかな~♪」




90: 2015/05/23(土) 00:21:37.13 ID:8yg6RwBSo
青葉「今回はかなりまずかったですね司令官!青葉、もうだめかと思いました!」


提督「イムヤには本当に悪いことをしたな……。なあ青葉、もう十分撮れただろ?そろそろ……」

青葉「いいえ、まだノルマ達成してませんから!」

提督「えぇ……」ズーン

提督(もうそろそろ俺の胃と心が限界だ……責任者に会ったら一発ぶん殴ってやる)

提督「できれば、もう誰も来ないでくれぇ……」

青葉「あ!ドッキリが終わったそばからまた艦娘が来ましたよ!入れ食いですね司令官!」

提督「叢雲に死亡ドッキリ」

引用: 【艦これ】提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」【安価】