225: 2015/05/25(月) 21:42:49.19 ID:O7V0Nrk2o



前回:提督「まるゆに死亡ドッキリ」
最初から:提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」


――モニター室――

提督「明石……心が痛い。直してくれ」

明石「傷ついた心はちょっと私には無理ですねー……。というか、中破以上でしょう?」

提督「ああ、大破だよ……。まるゆにトラウマを残さずにすんだのが不幸中の幸いだが。……青葉、まだ続けるのか?」

青葉「大丈夫!もう折り返し点は過ぎてます!」

提督「そうか……」

ピコーン!カンムスガセッキンチュウ

明石「提督の心が轟沈しないような子だといいですね……」




↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 今回は複数人もありでいきます

229: 2015/05/25(月) 21:43:01.19 ID:H8zeeHrAO
長門 放射線による白血病

256: 2015/05/26(火) 18:06:02.45 ID:i84l/ul1o

提督「長門か……」ホッ

青葉「露骨にほっとしてますね司令官」

提督「そりゃそうさ!だって長門だぞ?日向パターンだろこれは!」

青葉「そうかも知れませんね。とはいえあんまりそのまんまだとちょっとつまらな……あいえ、変化に欠けてしまいます」

提督「今絶対なんか聞こえたぞ」

青葉「ということで、ちょっとシチュエーションを変えてみましょうか!」

提督「嫌な予感が止まらないんだが」

青葉「問題無いですよ!ちょっとコレを飲んでもらうだけです」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
257: 2015/05/26(火) 18:06:58.15 ID:i84l/ul1o

提督「これ……例の仮氏薬じゃねえか!割とマジで苦しいんだぞ!」

青葉「でもぉ……仕方ないんですよぉ。提督人形、さっきので首に跡ついちゃったんで修復中ですし」

明石「これ直すのって、なにげに面倒なんですよね……」バシバシ

提督「……くそ、仕方ないな」

青葉「それでこそ司令官!ささ、ぐいっと!」

提督「お、おう(ゴクン)……ぐっ!?」

青葉「あ、言い忘れてましたが、今回のは即効性ですのであしからず!」

提督「青葉……、お前……!」バタリ

青葉「さてさて!今回は青葉も出ますよぉ……くくく」ニヤァ

明石(うわぁ……悪そうな顔)

青葉「それで大淀さん、今回の筋書きなんですが――――」


258: 2015/05/26(火) 18:10:08.60 ID:i84l/ul1o
――鎮守府・廊下――

……今日は、提督を見ていない。

普段は、何かと理由をつけて艦娘たちの様子を見に来る男だ。それが、今日に限って全く出てこない。

他の皆にも聞いたが、やはり見かけていないという。……提督の身に何かあったのだろうか?

長門「いや、まさかな……」

もし提督に何かあれば、大淀から知らせがあるはずだ。つまり、なんともないはず。

そう思いつつも、私の足は執務室へと向かっていた。

――廊下・執務室前――

執務室に辿り着いた。ノックをする。

コンコン

長門「提督、長門だ」

返事がない。

長門「……提督?」

悪い予感が胸をよぎる。焦燥感にかられ、強くドアを叩く。

ゴンゴン

長門「提督!提督!居ないのか!?」

……やはり、返事はない。

長門「……入るぞ!」ガチャ

強引に執務室へと入る。

長門「誰も、いない……?」

259: 2015/05/26(火) 18:11:47.33 ID:i84l/ul1o

<ピーーーーーーーーーーーーーー

<提督!起きてください!

仮眠室からアラームのような音と、大淀の声が。……起きろ、か。

長門「なんだ、寝ていただけか。疲れが溜まっていたんだろうな」ホッ

杞憂だったことに安心し、胸をなでおろす。

長門「まあ、せっかく来たんだ。一言くらい挨拶しておくか」

仮眠室に向かう。

<提督!……提督!

大淀の声が止まらない。音も鳴り続けている。

長門「まだ寝ているのか。仕方の無いやつだな」

提督の寝起きの悪さに苦笑する。そうだ、私が起こしてやろうか。

ガチャ

260: 2015/05/26(火) 18:13:49.79 ID:i84l/ul1o
長門「全く……いつまで寝ているん、だ……?」

仮眠室で見た光景に、私は目を疑った。

そこには、眠っている提督。そして……

提督の身体につながる医療機器と、提督の手を掴んで「起きて、起きて」と泣く大淀が。

心電図のモニターは平坦を示し、アラームのような単調な音はそこから出ているようだ。

その音が、提督の心臓は止まっていることを示している。

長門「な、に……?」

事態が飲み込めない。一体、何が……?

大淀「長門さん……来て、しまったのですね……」グス

長門「これは……どういう、ことだ……?」

声が震える。視界も歪んで、まるで幻覚でも見ているかのようだ。

大淀「提督は……たった今、亡くなりました」

長門「な……!?何故だ!何故……!?」ガッ

261: 2015/05/26(火) 18:16:25.67 ID:i84l/ul1o
大淀の肩を掴む。

大淀「白血病らしいです。……放射線によるものだ、とか」

大淀の様子が少しおかしい。何かを、隠している……?

長門「放射線……?この周辺には原因となるものなど……」

そう。放射線に関する施設などは、この鎮守府の周辺には無いはずだ。

タッタッタッタッ……

ガチャ

青葉「大淀さん!艤装の検査結果が――――、あ」

青葉が入ってきた。

青葉「……長門、さん……」ジロ

やはり様子がおかしい。私の顔を見ると、一瞬だけ怒り……敵意のような感情を向けてきた。……私が何をしたというんだ?

長門「艤装の検査結果だと?誰の―――」

大淀「長門さんの艤装です」

大淀が割りこむようにして答える。

長門「……何だと?」


262: 2015/05/26(火) 18:17:36.67 ID:i84l/ul1o

嫌な予感がする。

大淀「長門さんがおっしゃっていたように、この付近に強い放射線を受けるような施設は存在しません」

青葉「なのに、司令官は白血病になってしまった。なんでだと思います?」

大淀と青葉がこちらを睨みつつ問いかけてきた。もはや、敵意を隠そうともしていない。

長門「どうして、だと……?何を言っているんだ?」

……わからない。だが、知ってはいけないことのような―――

青葉「ほんとうに、鈍い人ですねぇ……わからないんですか?」ギロ

大淀「……教えてあげましょう。原因は、この鎮守府に”あった”んです」ギロ

二人がこちらを睨む。……私を?この鎮守府に、原因があると?

長門「……!」

……頭のなかを稲妻が走ったようだった。

放射線。白血病。クロスロード。艤装……。

幾つかのピースが集まり、答えが見えてくる。

長門「……まさか。まさか、私が……?」ガクガク

大淀と青葉が、侮蔑するように私を見た。

青葉「はっ。ようやく気付いたんですか……」

大淀「そうです。あなたが――――」


263: 2015/05/26(火) 18:18:32.79 ID:i84l/ul1o


大淀「――――あなたが、提督を頃したんですよ。長門さん」




265: 2015/05/26(火) 18:20:58.51 ID:i84l/ul1o
長門「……そんな。バカな……嘘だ」

青葉「『嘘だ』?寝言は寝て言ってくださいよ」

青葉が私に言う。

青葉「あなたは、鎮守府にいる間ずっと、放射線をまき散らしていたんです」

青葉の声が遠い。何を言っているのかさっぱりわからない。

青葉「艦娘なら大丈夫でしょうけど、近くにいる人間、提督は……被曝してしまうでしょうね」

大淀「提督は、『俺は大丈夫だから、心配するな』なんて言ってましたよ。多分誰が犯人か、わかってたんでしょうね」

大淀が口をパクパクうごかしている。何を言っているのか聞こえない。わからない。

長門「嘘だ、嘘だ……こんなの」ブツブツ

青葉「あーあ、現実逃避ですか……ほら。司令官を見て下さいよ」グイッ

青葉は、私の顔を提督に向けさせる。提督は動かない。……二度と。

これを、私がやったのか。私が。

長門「……あ、ああ……あああ……」ガクガク



……ぶつんと、何かが切れる音がした。

266: 2015/05/26(火) 18:23:11.64 ID:i84l/ul1o
青葉(やば……長門さん、動かなくなっちゃいました)

長門「……」

青葉「……な、長門さん?」

青葉が私に話しかける。一瞬意識が飛んでいたようだ。私は答えた。

長門「……なんだ?そんな顔をして」

青葉「!?……長門さん……?」

青葉が驚いたような顔をして私を見る。一体どうしたというのか。

提督『どうしたんだ、青葉?長門がどうかしたのか?』

提督も、青葉を気にしているようだ。

長門「そんな顔をするな。提督も心配しているぞ」

268: 2015/05/26(火) 18:26:10.95 ID:i84l/ul1o
青葉「!?……何を、言っているんですか、長門さん……?」

青葉は顔を蒼白にしている。

提督『本当に大丈夫か青葉?ちょっと休んだほうがいいんじゃないのか……』

長門「ほら、提督もこう言っている。少し休んだほうがいいぞ」

大淀「長門さん……?提督なら、あそこに……」

……大淀は何を言っているんだ?大淀が指差したベッドは普段通りで、『誰もいない』。

長門「何を言う。提督なら、ここにいるだろう?」

『私の右に立つ提督』を見る。

提督『おいおい、大淀までか……こりゃあちょっと大事かもしれないぞ』

提督が言う。心配そうな声音だ。

長門「そうだな。二人とも少し休め。お前たちは疲れているんだ」

青葉は最初呆気にとられていたようだったが、私を見て、そしてこう言った。

青葉「現実を受け止めてください長門さん!提督は、もう亡くなったんです!」

さっぱり分からない。……何だ。何を言っているんだ、こいつらは?提督なら、ここにいるというのに。

あまりにおかしなことを言うので、だんだん腹が立ってきた。

長門「ふざけたことを抜かすなっ!!」カッ

青葉「……ひっ!」ビク

269: 2015/05/26(火) 18:28:23.05 ID:i84l/ul1o
つい怒鳴りつけてしまった。……いや、当然だ。提督が氏んだなどと馬鹿なことをいうからだ。

提督『長門、ちょっと厳しいんじゃないのか?俺ならホラ。大丈夫だって』

提督はこう言われても青葉を許すつもりでいるようで、それに甘えるこいつらがなおのこと腹立たしい。

長門「だがな、提督。こういったことを許しては鎮守府全体の規律に関わる」

提督『まあ、そうか……。でも、今回のはそれで許してやってくれ。すっかり怯えてしまっているぞ』

長門「全く……甘いやつだな」

大淀「目を、覚ましてください。長門さん……提督は、もう……!」

大淀が悲しげな目で私を見る。……気に入らない目。

長門「……何を言っている?目を覚ますのはお前らだ」

長門「提督が氏んだなどと、冗談にしても許されるものではないぞ」

提督『長門。だから俺はいいって……』

長門「よくないっ!提督が氏んだ?提督が氏ぬわけがない。そうだろう!?」

私は叫んだ。

270: 2015/05/26(火) 18:32:15.86 ID:i84l/ul1o
長門「提督は、私達を置いて先に逝ったりはしないっ!」

何故かは分からない。だが、絶対に二人の言い分を認めるわけにはいかない。私は叫んだ。

提督『おいおい、どうしたんだ?一体』

横の提督が私を見て、驚いたように言う。

長門「ほら、提督ならここにいるだろう!いつも通りだ!なぁ!!」

足元がおぼつかない。世界が全て崩れ落ちそうに感じる。それを振り払うように、私は叫んだ。

そう。提督はここにいる。……なのに、なぜ。何故私はこんなに不安なんだ?

「――――と」

……何だ?何かが聞こえる。だが、誰の声で、何を言っているのかは分からない。

「―――がと」

どこかで、聞いた、ような……これは……?

「――ながと」

長門「……?」

271: 2015/05/26(火) 18:34:42.66 ID:i84l/ul1o

「――――長門!」

抱きしめられる感触。正面を見る。

長門「てい、とく……?」

提督の顔を見た瞬間……頭の中のモヤが晴れ、私は全てを思い出した。

提督が氏んだと聞かされたこと。それを信じられず、幻想の提督を創りだしたこと。……だが。

長門「……なんだ、提督は居るじゃないか!ここに……!」ジワ

横に居たはずの提督は、もういない。偽物など、もういらない。

そう……これは。この感触は、暖かさは……幻想なんかじゃない。本物だ……!





提督「すまなかった、長門……本当に、すまなかった」

長門「いい……いいさ。提督……無事で、よかった」ポロポロ

ああ。提督だ。提督は、ここにいる……。



272: 2015/05/26(火) 18:36:05.43 ID:va9T2k6JO
酒匂も大ダメージ受けそうな展開……

273: 2015/05/26(火) 18:36:14.49 ID:i84l/ul1o
~~ネタばらし~~

青葉「ということで!どっきりでしたーっ!」デローン

説明が終わると、青葉がプレートを私に見せてきた。

長門「……そうか、そうか」

右手で青葉、左手で大淀の顔を掴んで力を入れる。先程まで騙してくれた分だ。

大淀「い、いたたたたた!」ミシミシ

青葉「あだだだだだっ!痛い!痛いですって!ベアークローはやめてください!」ミシミシ

長門「……ドッキリ、か……」ミシミシ

更に力を加えてやろうとすると、提督に止められた。

提督「このままでは二人の顔が潰れてしまうぞ……やるなら責任者の俺でいいだろ」

長門「……ふん」ブンッ

顔を掴んで持ち上げていた手を離してやる。

青葉・大淀「あたっ!」ビターン

長門「どうせ、今回の内容を考えたのは提督では無いんだろう?これで提督を責めても仕方がない」

提督「……まあ、そうだが」

長門「こんな悪辣な筋書きを立てるのは、大方青葉と……」ギロ

青葉「ひっ!」ビク

長門「大淀……そうだな?」ギロ

大淀「は、はひぃ!」ビク

長門「いいか、お前ら……次は無いぞ」ゴッ

青葉・大淀「は、はいっ……!」

274: 2015/05/26(火) 18:37:20.79 ID:i84l/ul1o
長門「なあ、提督」

提督「な、なんだ?」

長門「……」ギュッ

提督(急に、長門が抱きついてきた)

提督「……長門?」

長門「絶対に、先に逝ったりしないでくれよ……?」

提督「ああ、もちろん―――」

長門「もしそんなことがあれば、私はすぐに後を追うから、な……ふふ」

提督(暗い目をして長門が笑う。表向きはいつもと同じようだったが、さっきまでとは何かが違う)

提督(一度曲がってしまった針金は、伸ばしても二度と元の形には戻らない……そんな言葉を、ふと思い出した)





275: 2015/05/26(火) 18:39:11.69 ID:i84l/ul1o

――モニター室――

提督「全然大丈夫じゃないじゃないか!お前らどうしてこう他人のトラウマをほじくりだすようなことしてるんだよ!」

青葉「だってぇ……そのままじゃ日向さんコース一直線だったんですもん……つまらなかったんですもん……」

大淀「イマジナリー提督まで出すとは思いませんでしたが……」

青葉「長門さんなら大丈夫だろう、って思ったんですけどねぇ」

提督「いや、プリンツとか酒匂でも同じ事やるつもりだったろ」

青葉「ち、違いますよぉ!」ギク

提督「図星か。……あまりに酷いのは本当にやめろよ。いい加減フォローしきれないぞ」

青葉「はいっ!青葉、反省しました!」ビシッ

提督「信用出来ないなぁ……というか、それにしても広報として不適当なのばっかりじゃないかだろ。こんなの放送できるのか?」

青葉「そこのところはご心配なく!ちゃんと使えそうなところをチョイスしますから!」

提督「……心配だ」


ピコーン!カンムスガセッキンチュウデス


提督「今度は誰だ?」


提督「五月雨に死亡ドッキリ」

引用: 【艦これ】提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」【安価】