295: 2015/05/27(水) 22:28:15.97 ID:koCI+wfVo
――モニター室――
前回:提督「五月雨に死亡ドッキリ」
最初から:提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」
カンムスガセッキンチュウ
明石「ほらほら二人とも腐ってないで。また誰か来ましたよ?」
↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで
前回:提督「五月雨に死亡ドッキリ」
最初から:提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」
カンムスガセッキンチュウ
明石「ほらほら二人とも腐ってないで。また誰か来ましたよ?」
↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで
298: 2015/05/27(水) 22:28:33.59 ID:TIjRm2gR0
初春
深海棲艦に暗殺された
深海棲艦に暗殺された
312: 2015/05/28(木) 22:16:42.96 ID:kQQBiKXbo
提督「初春、か……大人びてはいるが、駆逐艦だしなぁ。どうなることか」
青葉「お悩みのようですねぇ、司令官……ドッキリの前にお水でもどうぞ」
提督「おう、すまんな――――」
・
・
・
青葉「お悩みのようですねぇ、司令官……ドッキリの前にお水でもどうぞ」
提督「おう、すまんな――――」
・
・
・
313: 2015/05/28(木) 22:19:15.94 ID:kQQBiKXbo
ここは鎮守府内、廊下。執務室に向かって歩いているのは、初春型駆逐艦のネームシップである初春だ。
今日は出撃や遠征の任務もなく、彼女には別に提督に会うための明確な理由があったわけではない。
だが、彼女は胸のどこかに引っかかるものを感じていた。
初春(今日は、一度も提督を見ておらぬ……一体、何をしておるのじゃ?)
そう。提督は艦娘思い……悪く言えば過保護であり、艦娘が出撃や遠征から帰って来た時は殆どの場合迎えに来る。
それなのに、今日は全く提督を見ぬ。そのため不審に思う艦娘も多い。
そして確認のため執務室に向かい、まんまと騙されるのだ。
当然これも青葉による狡猾な作戦である。だが、そのことに気付く艦娘はいない。この時点での初春もそうであった。
314: 2015/05/28(木) 22:20:27.50 ID:kQQBiKXbo
執務室のドアの前に辿り着いた初春は、ドアをノックした。……だが、提督からの応答はない。
初春「おい、提督……?」
不審に思い、再びノックをする。……応答はない。
初春「……すまぬな。入るぞ」
無断で執務室に踏み入る初春。……その時、彼女の目に飛び込んできたのは信じがたい光景であった。
初春「――――なっ!?」
提督が、血だまりの中で倒れている。
助け起こすため近寄ろうとして、初春は気付いた。血が固まっている。……流れてから相当時間が経っているようだ。
提督はピクリとも動かない。最悪の予感が初春の頭をよぎる。
あえてそれを考えないようにしながら、初春は提督の身体に触れる。
――そして、初春は最悪の未来が現実となったことを知った。
初春「……!」
体温がない。当然呼吸もしておらず、脈も止まっている。
提督は氏んでいた。
初春「おい、提督……?」
不審に思い、再びノックをする。……応答はない。
初春「……すまぬな。入るぞ」
無断で執務室に踏み入る初春。……その時、彼女の目に飛び込んできたのは信じがたい光景であった。
初春「――――なっ!?」
提督が、血だまりの中で倒れている。
助け起こすため近寄ろうとして、初春は気付いた。血が固まっている。……流れてから相当時間が経っているようだ。
提督はピクリとも動かない。最悪の予感が初春の頭をよぎる。
あえてそれを考えないようにしながら、初春は提督の身体に触れる。
――そして、初春は最悪の未来が現実となったことを知った。
初春「……!」
体温がない。当然呼吸もしておらず、脈も止まっている。
提督は氏んでいた。
315: 2015/05/28(木) 22:22:26.27 ID:kQQBiKXbo
初春「……深海棲艦が、提督を……」
己の心が砂で作られた城であるかのように、初春は感じる。
初春(……許さぬ)
砂の城の外面は吹きすさぶ風によって削り取られてゆく。風とは彼女自身の怒りであり、外面は感受性などの人間的要素であった。
そして、最後に残ったのは……深海棲艦への殺意。
初春(あやつら……生かしておくものか。最後の一匹まで追い詰め、縊り頃してやろうぞ)
殺意に満ちた決意をした初春は、背後で気配を感じて振り向く。
初春「なんじゃ……大淀か」
無感情につぶやく初春に、大淀は何か良からぬものを感じた。ドッキリは失敗したのか? 反応を見るために話しかける。
大淀「は、初春ちゃん……見て、しまったのね」
揺さぶりをかける大淀だったが、初春はマグロめいた無表情で佇むだけだ。いつもの超然とした態度はそこには無い。
大淀(こ、これは……一体?)
困惑する大淀に、初春が話しかける。砂漠の風のように乾いた声。
初春「出撃の許可をくれぬか。提督不在の時、秘書艦が代理でその任につくはず」
大淀「出撃……?どうして?」
己の心が砂で作られた城であるかのように、初春は感じる。
初春(……許さぬ)
砂の城の外面は吹きすさぶ風によって削り取られてゆく。風とは彼女自身の怒りであり、外面は感受性などの人間的要素であった。
そして、最後に残ったのは……深海棲艦への殺意。
初春(あやつら……生かしておくものか。最後の一匹まで追い詰め、縊り頃してやろうぞ)
殺意に満ちた決意をした初春は、背後で気配を感じて振り向く。
初春「なんじゃ……大淀か」
無感情につぶやく初春に、大淀は何か良からぬものを感じた。ドッキリは失敗したのか? 反応を見るために話しかける。
大淀「は、初春ちゃん……見て、しまったのね」
揺さぶりをかける大淀だったが、初春はマグロめいた無表情で佇むだけだ。いつもの超然とした態度はそこには無い。
大淀(こ、これは……一体?)
困惑する大淀に、初春が話しかける。砂漠の風のように乾いた声。
初春「出撃の許可をくれぬか。提督不在の時、秘書艦が代理でその任につくはず」
大淀「出撃……?どうして?」
316: 2015/05/28(木) 22:26:42.69 ID:kQQBiKXbo
戦闘で提督が氏んだ悲しみを紛らわせたいのか?大淀はそう思った。だが、違った。
初春「知れたこと……。頃すのよ。深海棲艦を、全て」
淡々と、初春が宣言する。
大淀「えっ?」
大淀は聞き返す。初春は提督の氏体、次に転がる機体を指さして言う。
初春「見れば分かるであろう。奴らは提督を頃した。ゆえに頃す。一匹残らずな」
大淀は、別の意味でドッキリが失敗したことを悟った。それも、最悪の形で。
彼女を止めるには提督自身に説得して貰うほかない。だが、まだそれは出来ない。倒れて居るのは提督その人で、蘇生には時間がかかるからだ。
相次ぐドッキリで提督人形は全滅してしまい、修繕にはまだ時間がかかる。水に薬を混ぜて飲ませた後に、青葉は倒れる提督にそう言った。
一度氏ぬたびに生き返るまでの時間は延びている。この分だとまだ待たねばなるまい。
317: 2015/05/28(木) 22:30:23.98 ID:kQQBiKXbo
大淀(それまで……時間を稼がないと)
大淀「そんな、ダメよ!」
大淀は制止しようとする。しかし初春は意に介さない。
初春「ほう、駄目か。ならばわらわは勝手に行く」
大淀「そんなこと。許されるわけが――――」
説得しようとして、大淀は初春の目を……見てしまった。
その中には、あまりにも強い憎悪と怒り……そして殺意。
318: 2015/05/28(木) 22:34:23.05 ID:kQQBiKXbo
大淀「――――ひっ!」
あまりにも強い殺気に大淀は後ずさる。初春の目はもはや駆逐艦のそれではない。彼女は復讐者となったのだ。
初春「『許されるわけが』……?許されるわけがない、と?深海棲艦に侵入されまんまと提督を殺されたこの状況以上に、何が許されないと?」
詰問する初春に答えるべき言葉が見つからず、大淀は絡め手を使う。
大淀「で、でも……復讐のために戦うなんて……!提督だって喜ぶわけがないわ!」
故人の遺志を持ち出す……いささか卑怯ではあるが、実際効果的だ。しかし、初春はすげなく答える。
初春「ふん。提督を喜ばせるために戦うとでも?氏者は何も感じない。喜びも、悲しみも」
大淀は困惑した。提督のためにではない……それでは、何のために?
初春「これはわらわが、わらわのためにすることなのでな。文句があるならば除籍にでも何でもすればよかろう」
大淀は、止められないところまで初春が行き着いてしまったことを悟った。
大淀(ダメ、止められない。これは、どうしようも……)
打ちひしがれる大淀。もう駄目なのか?初春は容赦無い復讐者へと変貌してしまうのか?……その時!
あまりにも強い殺気に大淀は後ずさる。初春の目はもはや駆逐艦のそれではない。彼女は復讐者となったのだ。
初春「『許されるわけが』……?許されるわけがない、と?深海棲艦に侵入されまんまと提督を殺されたこの状況以上に、何が許されないと?」
詰問する初春に答えるべき言葉が見つからず、大淀は絡め手を使う。
大淀「で、でも……復讐のために戦うなんて……!提督だって喜ぶわけがないわ!」
故人の遺志を持ち出す……いささか卑怯ではあるが、実際効果的だ。しかし、初春はすげなく答える。
初春「ふん。提督を喜ばせるために戦うとでも?氏者は何も感じない。喜びも、悲しみも」
大淀は困惑した。提督のためにではない……それでは、何のために?
初春「これはわらわが、わらわのためにすることなのでな。文句があるならば除籍にでも何でもすればよかろう」
大淀は、止められないところまで初春が行き着いてしまったことを悟った。
大淀(ダメ、止められない。これは、どうしようも……)
打ちひしがれる大淀。もう駄目なのか?初春は容赦無い復讐者へと変貌してしまうのか?……その時!
319: 2015/05/28(木) 22:36:37.46 ID:kQQBiKXbo
提督「ゴ……ゴホッ!」
息を吹き返す提督。
初春「な……なっ!?」
初春は、初めに提督の遺体を見つけたときよりも大きな驚愕を顔に浮かべる。
提督「あー……何なんだよ、一体……」
のっそりと起き上がる提督を、初春は困惑の表情で見る。
初春「提督……貴様、氏んだのでは?体温も、呼吸も止まっておったのに……」
初春と大淀の表情から提督は全てを悟る。……図られた!
青葉への怒りを表に出さないようにしつつ、提督は初春に向きなおって謝罪する。
提督「その顔、ずいぶん心配をかけたようだな……本当にすまん」
初春「い、いや。生きておったのは良いのじゃが……これは一体、何なのじゃ?」
急転し続ける状況に、初春は理解が追いついていない。曖昧に問う。
大淀「ごめんね、初春ちゃん。実は――――」
・
・
・
320: 2015/05/28(木) 22:38:58.69 ID:kQQBiKXbo
~ネタばらし~
初春「そうか。ドッキリであったのだな」
どこかスッキリとした表情で初春が言う。
提督「しかし、どうしてさっさとネタばらししなかったんだ?相当ヤバい状況だったみたいだが」
初春「それもそうじゃな。あそこで提督が起き上がっていなかったらどうするつもりだったんじゃ?」
大淀「そのときは言うつもりだったわ。でも、提督が生きているのをあなた自身で見ないと信じてくれないと思って……」
少し前の初春の様子を思い浮かべて大淀が言う。実際、あの時点の初春に真実を伝えたとしても
初春『何を言っておるか、うつけめが』
などと一蹴されていたことだろう。
初春「それにしても……貴様何をやっているのじゃ。このバカ!」ポカポカ
提督「痛い!痛いって!」
初春「青葉にまんまと騙されおって!わらわがどれほど……」ポカポカ
目をうるませつつ初春は提督を殴る。
初春「このバカ、バカめ……」ポカ
ついに泣きだしてしまう。そこに、先ほどまでの容赦なき復讐者の面影はない。
泣きながら提督を殴る初春と、それを優しく抱きとめる提督を見つつ、大淀は思った。
大淀(やっぱり、艦娘たちの心を『人間』として繋ぎとめているのはあなたなんですね、提督……)
そう。提督こそが彼女たち艦娘の帰る場所であり、人間性の楔であった。
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初春「そうか。ドッキリであったのだな」
どこかスッキリとした表情で初春が言う。
提督「しかし、どうしてさっさとネタばらししなかったんだ?相当ヤバい状況だったみたいだが」
初春「それもそうじゃな。あそこで提督が起き上がっていなかったらどうするつもりだったんじゃ?」
大淀「そのときは言うつもりだったわ。でも、提督が生きているのをあなた自身で見ないと信じてくれないと思って……」
少し前の初春の様子を思い浮かべて大淀が言う。実際、あの時点の初春に真実を伝えたとしても
初春『何を言っておるか、うつけめが』
などと一蹴されていたことだろう。
初春「それにしても……貴様何をやっているのじゃ。このバカ!」ポカポカ
提督「痛い!痛いって!」
初春「青葉にまんまと騙されおって!わらわがどれほど……」ポカポカ
目をうるませつつ初春は提督を殴る。
初春「このバカ、バカめ……」ポカ
ついに泣きだしてしまう。そこに、先ほどまでの容赦なき復讐者の面影はない。
泣きながら提督を殴る初春と、それを優しく抱きとめる提督を見つつ、大淀は思った。
大淀(やっぱり、艦娘たちの心を『人間』として繋ぎとめているのはあなたなんですね、提督……)
そう。提督こそが彼女たち艦娘の帰る場所であり、人間性の楔であった。
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321: 2015/05/28(木) 22:41:01.02 ID:kQQBiKXbo
初春「……もう、よいぞ」
初春が提督から離れる。
提督「すまなかったな、初春」
再度謝る提督。
初春「よい、よい」
初春は扇子を口元で広げ、優美に笑う。
提督「だが、このままでは――――」
気が済まないと見える提督に、初春から持ちかける。
初春「無論……埋め合わせ、楽しみにしておるぞ?」
提督「……ああ。任せとけ!」
322: 2015/05/28(木) 22:42:44.46 ID:kQQBiKXbo
――モニター室――
青葉「あっ、おかえりなさい司令官!今回の初春ちゃんはなかなかのものでしたね!青葉ハラハラしちゃいましたよ!」
提督「勝手に薬を飲ませた事に関する申し開きは無いのか……?」
青葉「あ。申し訳ありませんでした!もうしません!」
提督「……。というか、やるにしても一言言え」
青葉「言ったじゃないですか。飲んだあとに」
提督「全く悪びれないなお前……もういい。怒る気も失せた」ハァ
カンムスガセッキンチュウ
青葉「まあまあそう怒らないでくださいよ。また別の子が来ましたよ?」
提督「足柄に死亡ドッキリ」
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