1: 2010/01/12(火) 23:16:52.24 ID:S8bLJE6w0
 今日の部活は何をするんだろうか?
またハルヒがめんどくさいことを思いつかなければいいが・・・
なんてことを考えながらいつものようにつらい坂を上っていた
「よ~う、キョン」
こんな朝っぱらから話しかけてくる奴と言えば・・・
なんだよ谷口
俺昨日あんまり寝てないんだほっといてくれよ
谷口「まぁまぁそう言うなよ!」
相変わらずチャックが開いているぜ?谷口
谷口「おわっ・・・と、そんなことより涼宮のやつどうしたんだ?」
ハルヒ?
なんかあったのか?
谷口「いやぁ昨日はなぜか俺に『今日は部活に行かないから誰かに伝えといて』
とか言ってきたんだよ」
・・・確かに昨日ハルヒは部活に来なかったな
俺は古泉から聞いたのでなんの疑問も持たなかったが
谷口が古泉に伝えたってことか?
谷口「そうそう!」
・・・何故谷口に?
俺でいいじゃないか
俺がめずらしくハルヒに行こうぜと声をかけた時には
先に行っといて
と言っていたのに・・・
ま、ハルヒのことだ
部室に来る途中に岡部にでも呼ばれて
たまたまそこにいた谷口にでも頼んだのだろう
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
2: 2010/01/12(火) 23:18:48.08 ID:S8bLJE6w0
 教室につくとハルヒはすでに席に着いていた
「よう、ハルヒ」
・・・無視
おいハルヒ、昨日はどうしたんだ?
・・・また無視
「なんだよハルヒ?人が心配してや「うるっさいわねっ!ほっといてよ!」」
へいへい
そう言うと俺は前を向いた
妙に機嫌が悪いな
まぁ放課後にでもなると元に戻っているだろう
そう考えていた俺が甘かった
結局その後ハルヒの機嫌がよくなることもなく
昼休みになると足早に教室を出て行ってしまった
食堂にでも行ったのだろうか
俺はいつものように谷口と国木田と弁当を食べ
なんでもない話をしていた
しかし授業が始まってもハルヒが教室に帰ってくることはなかった
残りは午後の授業だけだったので教室での一日はあっさり終わった
古泉の野郎なら何か知っているかもしれないな・・・
そう思いながら俺は部室へと足を運んだ
コンコンッ
音がしない・・・
ガチャッ
そこにいたのは長門だけだった

4: 2010/01/12(火) 23:20:08.70 ID:S8bLJE6w0
よう、長門
長門「・・・」
長門は少しこちらを見たかと思うとすぐに読んでいる本に目線を戻した
なあ、長門
長門「・・・何?」
ハルヒの様子がなんだかおかしいんだが
何か知らないか?
長門「・・・知らない」
そうか・・・と、その時
ガチャッ!
そこにいたのは朝比奈さんだった
みくる「キョンくん、こんにちは!」
こんにちは
何やら朝比奈さんが見つめてくる
どうしたんですか?
みくる「あのぉ~・・・」
あ、そうか着替えか
すぐに理解した俺は部室を出た

5: 2010/01/12(火) 23:21:19.02 ID:S8bLJE6w0
しかしハルヒのやつなんだってんだ
何かあったのか?
今日も谷口の奴には事情を伝えてあるのか?
いや、ハルヒが居なくなったのは昼休みだ
それまでに谷口と話していた様子はない
ってことは無断欠席か?
ったく、何考えてやがる
「どうぞ~」
部室の中から聞こえてきた朝比奈さんの声を合図に俺は中へ戻った
そういえば古泉は?
みくる「あ、古泉くんはアルバイトで来られないそうですぅ」
閉鎖空間・・・?
ま、ハルヒがあの様子じゃ仕方ないか
みくる「涼宮さんも今日は来ないんですか?」
えぇ、あいつは昼休みに急に居なくなってしまって・・・
今日はもう解散にしますか?
みくる「そうですねぇ、することもないですし・・・」
長門もそれでいいか?
長門「・・・パタン」
長門は無言で本を閉じた
そしてその日はそれで解散となった
今思えば着替えただけの朝比奈さんに悪いことしたな

6: 2010/01/12(火) 23:23:17.74 ID:S8bLJE6w0
 家に帰ると俺は自分の部屋のベッドに倒れこんだ
ハルヒのやつ、どうしたんだろう・・・
そんなことを考えていると急に携帯が鳴った
着信あり:古泉一樹
どうした?
古泉「お邪魔でしたか?」
いや、いいんだ
それより用件はなんだ?
古泉「涼宮さんのことです」
やはりか・・・何があったんだ?
古泉「ハッキリとはわかりません。しかし涼宮さんが
精神的に不安定な状態にあるのは確かです。」
そんなことは分かっている
俺が知りたいのはその理由だ
古泉「おや、あなたでもわかりませんか?残念です。」
・・・結局古泉との電話では期待していたようなことは聞けなかった
しかし古泉にハルヒが谷口に用件を伝えたこと、昼休みに居なくなったことを
伝えると興味深そうに
「わかりました。調べてみます。また明日、放課後に」
と言っていた
今は古泉に任せるしかないのか?

7: 2010/01/12(火) 23:24:04.81 ID:S8bLJE6w0
そんなとき、ふと思いついた
ハルヒに電話してみよう
そして俺は携帯を開きアドレス帳の中から名前を探していた
見つけた
・・・プ、プルルルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・ガチャッ!
ハルヒか?
「おかけになった電話番号は・・・」
っち、留守かよ
俺は留守電に暇になったら折り返しかけてくるようにメッセージを残しておいた
しかしその日、ハルヒから電話がかかってくることはなかった

8: 2010/01/12(火) 23:24:56.92 ID:S8bLJE6w0
 次の日
教室に着くとハルヒはいた
てっきり俺は今日も休むものだと思っていたので驚いた
しかしハルヒにいつもの元気な表情はなく
それどころか机に突っ伏していた
いつものように声をかける
よう、ハルヒ
・・・やはり無視か
なぁハルヒ、何か悩みがあるんだったらいつでも言えよな
俺じゃ力になれないかもしれないけど話だけならいくらでも聞いてやる
そういってみたがハルヒからは何も反応がなかった
やれやれ・・・
俺は大きく溜息をついて前を向いた
その瞬間ハルヒが少しだけ顔を上げた気がした
その目が潤んでいたことはきっと気のせいだろう

10: 2010/01/12(火) 23:26:27.58 ID:S8bLJE6w0
 結局その日も一言も会話することなく放課後になった
今日のハルヒは昼休みも朝と変わらず机に突っ伏したまま教室に残っていた
飯食べないのか?
と聞いてみたが案の定反応はなかった

コンコンッ
みくる「はぁ~い」
ガチャッ!
扉をあけるとそこには既に3人そろっていた
ハルヒはいない・・・
今日は放課後になるやいなや勢いよく教室を飛び出していった
古泉「やっと来られましたか」
なんだ?何かわかったのか?
古泉「涼宮さんはこれ以上にない不安に襲われているようです」
不安だと?
古泉「はい、不安です。それも我々に対する不安です」
どうしたって言うんだ?
古泉「そればっかりは涼宮さん本人に聞いてみないと分かりませんね」
そこで俺の出番って訳か
古泉「おや、今回は物わかりがいいですね」
失礼なやつだ
いくらなんでもこう何度も同じ経験をしてきたら
ここで俺の出番ってことくらいは分かる
俺がハルヒに理由を聞けばいいんだな?

11: 2010/01/12(火) 23:27:43.10 ID:S8bLJE6w0
古泉「それは難しいでしょう」
は?
古泉「今涼宮さんは我々を拒絶している状態にあります」
確かに・・・しかしそれならどうすればいいんだ?
俺達に話さないことを他の誰かに話すようなことはしないと思うのだが?
古泉「正直言ってどうすればいいのか分かりませんね。」
何を言ってるんだ?
それじゃずっとこのままハルヒをほっとけって言うのか?
古泉「もちろんそんなことするはずもありません」
何か策はないのか?
古泉「しかしとりあえず今は涼宮さんの方から話しかけてくることを待つしか・・・」
くそっ・・・どうしちまったんだハルヒ
何を悩んでいるんだ?
何故俺達に不安を抱いている?
もしかして俺達に嫌われてるんじゃないかとか
そんなくだらないことを考えているんじゃないだろうな?

13: 2010/01/12(火) 23:28:33.15 ID:S8bLJE6w0
古泉「とりあえず今日はここで解散としておきましょうか」
その古泉の一言で解散となった
これで3日連続でハルヒは部活に来なかったことになる
明らかに避けているな・・・
そして俺は帰宅しようと下駄箱に向かった
・・・ん?
ガサッ
手紙が入っている
これは・・・?朝比奈さん(大)?
『今から誰にも言わずに部室に来てください』

14: 2010/01/12(火) 23:29:28.83 ID:S8bLJE6w0
俺は部室へと急いだ
ガチャッ!!
朝比奈(大)「ふふっ、お久しぶりです、キョンくん」
朝比奈さんからの手紙ということはまた過去に飛ぶんですね?
朝比奈(大)「そういうことになりますね」
しかし一体どうして?
朝比奈(大)「それは行けばわかりますよ・・・では早速行きましょうか」
そして俺が目をあけるとそこは誰もいない部室だった
今はいつなんですか?
朝比奈(大)「3日前の授業中ですよ」
ニコリと微笑ましい笑顔でそう言った
3日前・・・?
ということはハルヒが谷口に用件を伝えて帰ってしまった日ですか?
朝比奈(大)「そういうことです」
朝比奈(大)「そうですね、それでは今からこの部室に隠れてください」
は?・・・何を言ってるんです?

16: 2010/01/12(火) 23:31:00.68 ID:S8bLJE6w0
朝比奈(大)「いいからいいから!ほら!」
おわっ!
ガコンッ!
そうして俺は朝比奈さん(大)によって
掃除道具箱の中に無理やり詰め込まれた
朝比奈(大)「それでは私はまた迎えに来ます!」
・・・え?
朝比奈(大)「それでは!がんばってくださいね」
え!?ちょっ!!待ってください!!
しかしそこにはもう朝比奈さん(大)の姿はなかった
無茶苦茶だ・・・
それに一体いつまでこの中に隠れていろと言うんだ?
まさか部活が終わるまでなんてことはないよな?
しかし3日前の俺に俺を見たという記憶は残っていない・・・
あの日は確かハルヒが来なかったので
俺は古泉とチェスをしながらハルヒへのサプライズを考えていたのだ
なんせ俺がさっきまでいた日は(今の時間平面上で言うと3日後ということか)七夕だからな

17: 2010/01/12(火) 23:31:46.66 ID:S8bLJE6w0
七夕はハルヒにとって毎年特別な日であってほしいという
俺の想いからでた提案だ
皆はあっさりと承諾してくれた
しかし今の状態では到底叶いそうにもない・・・
短冊に『ハルヒが戻ってきますように』なんて書くのは避けたい
だから今過去に飛んでいる訳だが一体何をすれば?
ただ隠れていればいいのだろうか?
掃除道具箱の少しの隙間から外を見るに今は朝ではないようだ
この日の傾き具合からすると6時間目だろう
俺は授業中、外をぼーっと眺めていることが多いからな
分かるのだよ
そんなこんなで色々と考えているうちに時間は過ぎていたようだ

18: 2010/01/12(火) 23:33:33.73 ID:S8bLJE6w0
ガチャッ
誰かきた・・・
「・・・ストッ」
長門か
長門って一人のときも本当に静かなんだな
ん?
長門がこっちを見ている
・・・まぁ長門なら気付いてもおかしくないだろう
あの日長門の口からそんなことは聞いていないので黙っててくれたんだな
ありがとよ、長門
ガチャッ!・・・すると今度は朝比奈さんがやってきた
みくる「あ、こんにちは!早いですね」
長門「・・・」
みくる「・・・え~と、あ、私着替えますね!」
長門「・・・」
みくる「す、すいません!」
二人のときはいつもこんな感じなのか・・・気まずいな
・・・ってうわ!朝比奈さんが着替え始めてしまった!
ガタンッ!
みくる「ん?・・・なんか今音がしませんでしたかぁ?」
長門「・・・気のせい」
みくる「・・・?」
・・・・・・ふぅ~
危なかった、動揺しすぎて肘が当たっちまった
長門のフォローがなけりゃ大変なことになっていたな
俺は目を閉じておこう
そりゃ、俺はいたって普通の男子高校生だ
朝比奈さんの着替えに興味がないと言えば嘘になる
しかし俺にはそんなことはできない
なんせ俺は臆病なんでな

20: 2010/01/12(火) 23:34:47.91 ID:S8bLJE6w0
 コポコポコポコポッ・・・
みくる「どうぞ」
コトッ
朝比奈さんが着替えをすませ、長門にお茶を淹れていた
「・・・・・・・・・」
なんだこの空気は
俺まで息が詰まっちまう
頼むから何か話してくれ朝比奈さん!
とその時
ガチャッ!
・・・俺だ
助かった
みくる「あ、キョンくんこんにちは!」
過去キョン「朝比奈さん、どうも」
静寂を破ってくれた俺に感謝だな
しかしいい加減疲れてきた・・・
やはりこのままだとこの掃除道具箱には部活が終わるまで隠れることになるな・・・
やれやれ・・・

21: 2010/01/12(火) 23:35:44.47 ID:S8bLJE6w0
ガチャッ
「おや、みなさんお揃いで」
古泉だ
古泉「今日は涼宮さんは?」
過去キョン「あ~俺が誘ったんだが先に行ってくれと言われた」
古泉「おや、そうですか・・・。では今のうちに話しておきますか?」
過去キョン「何をだ?」
古泉「あなたが提案したのでは?忘れたのですか?」
過去キョン「あぁ、いやもちろん覚えてる」
古泉「涼宮さんには言ってませんよね?」
過去キョン「当たり前だろ。あいつにだけは言わないようにしないと、『めんどくさいのはごめんだからな』」
七夕のことだな・・・
しかしハルヒはこの日ここにこないんだよな
なのに俺はどうしてここにいるんだろうか?
ふと、その時扉に何かがうつった
人がいる・・・
この影は、ハルヒ・・・?

22: 2010/01/12(火) 23:36:58.64 ID:S8bLJE6w0
誰も気づいていないのか?
しかしどうして入ってこない
まさか今の会話を聞いて・・・そうか!
その時
バンッ!
扉に何かがぶつけられたような音がした
それと同時にハルヒの影も消えていた
過去キョン「なんだ?」
古泉「ちょっと見てみますね」
古泉が部室からでる
みくる「なんでしょう?悪戯か何かでしょうか?」
朝比奈さんは震えている
すると古泉が戻ってきた
過去キョン「どうだ?」
古泉「何も・・・あ、涼宮さんは今日お休みのようです」
そうか、この時にハルヒは偶然通りかかった谷口に・・・
そして谷口は古泉に伝えたのか
過去キョン「ハルヒが?」
古泉「ええ」
過去キョン「どうしてだ?」
古泉「さぁ、わかりかねますね」

23: 2010/01/12(火) 23:37:52.80 ID:S8bLJE6w0
バカ野郎・・・何してんだよ俺は
早くハルヒを追いかけろ
今すぐに誤解を解いてやれ
俺がめんどくさいのはごめんだなんて言っちまったせいで・・・
でも俺はここから出られないし真実を伝えることもできない
なんせあの時俺は俺に伝えられた記憶がないし、急に掃除道具箱から俺が
現れたらそれこそ「めんどくさいこと」になりかねない
過去キョン「しかしどうしような七夕は・・・ハルヒはどうしたら喜ぶだろうか」
何を呑気にチェスなどやっているのだろう
俺は早く追いかけろと叫びたい衝動に駆られたが
やっとの思いで堪えた
古泉「あなたが提案したものならなんでも喜ぶでしょう」
なんだその笑顔は・・・
今ハルヒはきっと泣いているな
やっぱりあの時目が潤んでいたのは気のせいではなかったみたいだな
俺は最悪だ
なんで気付いてやれなかったんだろう
なんで俺は・・・
くそっ!

24: 2010/01/12(火) 23:38:43.29 ID:S8bLJE6w0
パタン・・・
長門が本を閉じた
それと同時に全員が帰る準備を始めた
今日はここで終わりらしい
俺はまだハルヒの存在に気付いてやれなかったことを悔やんでいた
そうこうしている内に部室からは誰もいなくなった

朝比奈(大)「お疲れ様です。それでは戻りましょうか」
そこには朝比奈さん(大)がいた
時間になったので戻ってきたのだろう
そして俺は元の時間へ戻ってきた
自分の不甲斐なさにふつふつと怒りがこみ上げる
今すぐにでもハルヒに会って誤解をとかないと・・・
という思いに駆られていた
「朝比奈さん(大)・・・すいません。俺用事ができたみたいです」
朝比奈(大)「ええ、わかってます。がんばってくださいね!」
そうして俺は駈け出した
ハルヒに拒絶されるだろうか
俺はうまく誤解をとくことができるだろうか
しかし今はそんなことは言っていられない
今年の七夕は今日しかないのだ
俺はハルヒが居ない3日間で気付いたことを
どうしてもハルヒに伝えたかった
伝えなければいけないような気がした

25: 2010/01/12(火) 23:40:08.28 ID:S8bLJE6w0
 ハルヒは家にいるだろうと思い、俺はそこに向かっていた
しかしそこにハルヒは居なかった
どこだ?どこにいるんだ?
学校か?
教室はまだ見ていない
本日2度目になるあの坂を全速力で走る
キツい・・・
息はとうに切れていた
それでも足は緩めない
ガラガラガラッ!
教室の扉を勢いよく開けた
そこにハルヒは・・・いない
ちくしょう一体どこに居るってんだ?
部室にはさっきまで俺がいたから可能性が低い
くそ・・・どこだ・・・一体お前はどこにいるんだハルヒ!!
学校にもいないなんて!!

26: 2010/01/12(火) 23:41:17.74 ID:S8bLJE6w0
そこで俺はハッとした
どうして気付かなかったのだろう
今日は何の日だって?
俺はすぐに古泉、長門、朝比奈さんに電話を掛けた

あたりはとうに暗くなっていた
あたりに人影はなく俺の足音だけが静寂を切り裂いた
ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・
校庭の砂を踏みしめる音が響いている
そこには何かが描かれている
俺にはそれが何か分かっていた
ハルヒが中学生だったあの日
俺がジョン・スミスになったあの日
その模様は今と同じ校庭に描かれていた
その先にある石の階段にハルヒはいた

27: 2010/01/12(火) 23:42:06.90 ID:S8bLJE6w0
いつもの迫力は消え失せ
寂しそうに小さくなっている
事実、とても寂しかっただろう
ハルヒはこの3日間ずっと一人だったのだ
しかも今日は七夕・・・
ハルヒの頭の中にもずいぶんと楽しく温かい計画が練られていただろう
なのに俺は裏切ってしまった
ハルヒを傷つけてしまった
本当に俺はバカだ

28: 2010/01/12(火) 23:42:57.69 ID:S8bLJE6w0
キョン「ハルヒ・・・」
ハルヒ「・・・キョン!?な、なんであんたがここn・・・」
ハルヒは途中で会話をやめて押し黙ってしまった
キョン「ハルヒ、すまなかった」
ハルヒ「・・・」
キョン「俺はお前を一人にしてしまった。お前がどうして傷ついているのかも気付けずに」
ハルヒは何もしゃべらない
キョン「本当にs「帰って」
ハルヒ「帰って!!」
キョン「俺は帰らない」
ハルヒ「帰ってっていってるじゃない!!」
キョン「俺はお前のことが好きだ」
ハルヒ「な、何言ってるのよ!!訳のわからないことは「本当なんだ、嘘じゃない」
ハルヒ「・・・え?だ、だって!あの時キョンは・・・」
そう言うとハルヒの頬が光った
キョン「ハルヒ、あれはお前の誤解だ」
ハルヒ「嘘よ!私はめんどくさいやつなの!わかってる・・・」
キョン「聞いてくれ。あれはな、ハルヒ。お前のためなんだ」
ずっと俯いていた顔がようやく上がった

29: 2010/01/12(火) 23:44:05.12 ID:S8bLJE6w0
ハルヒ「どういうこと?」
キョン「七夕はお前にとって特別な日であって欲しい。
だから俺はその、なんだ、お前を驚かせてやろうと思ってな。
その計画をたてていたんだ」
キョン「めんどくさいなんて言葉を使って悪かった。でもバレたら面白くないだろ?」
ハルヒ「・・・本当なの?」
古泉「ええ。彼の言っていることは間違いなく事実ですよ」
そこにはいつものスマイルの古泉がいた
ハルヒ「古泉君・・・それに有希、みくるちゃん?」
みくる「こんばんは、涼宮さん」
長門「・・・心配していた」
2人が声をかけると同時にハルヒの目から大粒の涙がこぼれていた
ハルヒ「私・・・皆に嫌われたと思って・・・それで・・・」
古泉「わかっていますよ、大丈夫です」
飛びきりの笑顔だ
作り笑顔じゃない
本物の笑顔がそこにあった
それを見たハルヒは本当に安心したようで涙を手で拭うと
「ごめんね皆、ありがとう」
と言っていた

30: 2010/01/12(火) 23:44:48.68 ID:S8bLJE6w0
キョン「謝らなければいけないのは俺だ、すまなかった」
ハルヒ「あんたは今度の不思議探索でいつもの倍額罰金を支払いなさい!」
ここでそれを拒否するほど俺はバカではない
今回は仕方ないかと潔く了承することにした
「へいへい、わかったよ」
ハルヒ「決まりね!!」
そこには嬉しそうないつもの笑顔があった
この笑顔を取り戻すことができたんだ
いつもの倍の罰金なんて安いものである
いやそれにしてもようやく誤解をとくことができた
ハルヒ「ところでキョン!!」
ん?なんだ?どうした?
ハルヒ「サプライズってのはなんなの?!早く団長の私に披露しなさい!」
キョン「あ・・・」
まずい
内容を考えるのをすっかり忘れていた・・・

31: 2010/01/12(火) 23:45:39.56 ID:S8bLJE6w0
すまん、ハルヒ
なんせこの3日間お前がいなくなるんじゃないかと気が気でなかったのでな・・・
それを聞いたハルヒは
「はぁ?やっぱりあんたはバカね!バカキョン!」
と言っていたがその顔があまりに嬉しそうだったので俺も思わず笑ってしまった
ハルヒ「何笑ってんのよあんた気持ち悪い・・・」
気持ち悪くて悪かったな
ハルヒ「気持ち悪くても私はキョンのことが・・・」
キョン「ん?なんだって?」
ハルヒ「な、なんでもないわよ!!」
実は聞こえていたが今はよしとしよう
このサプライズが終わったら俺はハルヒに気持ちを伝えるんだ
飛びきりのプレゼントと一緒に・・・
ん?
サプライズの内容忘れてたんじゃないかだと?
おいおい
バレたら面白くないだろ?

終わり

33: 2010/01/12(火) 23:51:41.76 ID:S8bLJE6w0
ID変わるまでに投下できてよかった
ただの自己満SSです
ありがとうございました

引用: キョン「どうしちまったんだハルヒ・・・」