1: 2010/03/06(土) 22:02:53.58 ID:5DrQzRVT0
森「ねぇ古泉…なんかあったの?」
古泉「はい??」
森「いや…あんたが鼻歌歌っているのなんて初めて見たから…」
古泉「それは森さんが久しぶりにあんなご馳走を作ってくれたからですよ」
森「…本当にそれだけ?」
古泉「はは…実は今日彼にオセロで勝ったんですよ」
森「なんだ…そんなことなの」
古泉「僕にとっては重大なことです。彼は手を抜いてくれませんからね…フフ…皆さんが盛大に祝福してくれましたよ。彼は仏頂面でしたけどね」
森「オセロで勝って祝福されるのなんてアンタぐらいなもんね…そういえば昔はよく二人でオセロやったわね」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
2: 2010/03/06(土) 22:03:36.14 ID:5DrQzRVT0
古泉「懐かしいですね。と言っても昔というほど昔でもないですけどね。森さんは僕のゲームの師匠ですしね」
森「私が師匠ねぇ…それなら古泉はもっと強いはずなんですけどね」
古泉「はは…手厳しいですね。どうも僕はああいったゲームには弱くて…でも好きなんですよね」
森「そうね…あんたが私と暮らすようになってから…あの時の古泉はウジウジして泣き虫ですぐはぶてるし…そんなあんたとコミュニケーションをとろうとしてオセロを買ってきたのよ、最初はあんたも嫌々で私が何とか説得してオセロやったの。覚えてる?」
古泉「はは…覚えてませんね」
森「あんたに勝たせてあげようと思って手加減したのに、あんたが余りにも弱すぎて私が勝っちゃうんだもの…そしたら古泉…フフ…恥ずかしそうに『もう1回…』って言ったのよ。」
古泉「そ…そうでしたっけ」

4: 2010/03/06(土) 22:06:24.28 ID:5DrQzRVT0
森「そうよ…あのあと10回以上も付き合わされたわ。フフ…でも嬉しかったわよ。」
古泉「中学生の僕に10回以上も苦渋を飲ませたことがですか?」
森「ちがうわよ。あんたが笑ったのよ、嬉しそうにね。」
古泉「どうやら中学生の僕はマゾっ気があったようですねぇ」
森「ふふ…それからが大変よ、あんたが事あることに『森さん、オセロ』って言うものだから…私も断れなくて」
古泉「…迷惑でしたか?」
森「迷惑だったわ。私も疲れていたんだからね。子供のあんたは体力が有り余っていたでしょうけど」
古泉「す…すみません」
森「あら冗談よ。それにあんたを引き取るといったのは私なんだから」
古泉「…森さんには…その…感謝しています、親のいない僕にとって森さんは…」
森「な…なによ…急に改まって」

6: 2010/03/06(土) 22:08:29.01 ID:5DrQzRVT0
古泉「いえ…なんでもありませんよ。森さんこれからもよろしくお願いします。機関の一員として…同居人としてね。それじゃあ僕はそろそろ…おやすみなさい」

森「…おやすみ、古泉」


森「これからもよろしく…か…4年も経つのね…早いわね、あのチビッ子があんなに大きくなるなんて。あの頃のあんたは本当に不安定で…閉鎖空間でも日常生活でも目が離せなかった。最初は新川さんが引き取るはずだったのよね。なんで私はあの時古泉を引き取ったんだろう…」

森「でも…終わりなのね…まさか…こんな指令が来るなんて夢にも思ってなかった…古泉…いつも叱ってばかりでごめんね、あんたも私なんかより優しい奥さんと新川さんとの暮らしのほうが良かったよね…でも楽しかったわよ…古泉」

<指令>
未来人の組織によって古泉一樹は涼宮ハルヒを取り巻く組織に重大な損害を与える危険人物と断定、情報統合思念体のインターフェースと共に『古泉一樹の記憶の抹消、またそれに関わる者の記憶の改変』を実行せよ。

9: 2010/03/06(土) 22:13:05.92 ID:5DrQzRVT0
その夜僕はすぐに寝床についていた。
僕は孤独だった。僕には友達がいない。
…SOS団の皆をを友達と呼ぶのはなぜか胸が痛んでしまう…
もしかしたら怖いのかもしれない…僕のことをどう思っているのか…僕には解らない。
でも僕はあの4人が好きなのだ。なぜだかは解らない、朝比奈みくるや長門有希に対してすら仲間意識を持ってしまっている。
もし彼女たちに危害を加えるものがいたなら僕は見捨てることが出来ないだろう。
涼宮ハルヒ…すべての元凶…彼女がいなければ僕は苦しまずにすんだのだ、中学の時はずっとそう思っていた。
なのに今はそんな昔の自分の憎悪が跡形もなく消えている。涼宮さんの笑顔をみると僕は嬉しくなるようになった。
機関にまかせておけばいい合宿の企画もほとんど自分から進んで関わるようになっていた。
そして彼は…恥ずかしながら初めての男友達と呼べるのかもしれない。でもおそらく彼は僕のことなど友人だとは思っていないだろう。それが少しばかり寂しい。

11: 2010/03/06(土) 22:15:06.48 ID:5DrQzRVT0
そして僕には親がいない。声も顔も覚えていない。母親と聞かれて1番に浮かぶのは…あの人の笑顔だった。僕はその人が大好きだった。
中学生の僕は恥ずかしくてつい素っ気無い態度をとっていたが、怒ると怖くて、でも優しくて綺麗で…そんな少し年上の彼女が大好きだった。
もし叶うことならSOS団とも彼女とも『機関の古泉一樹』としてじゃなく、一人間『古泉一樹』として出会いたかった。

15: 2010/03/06(土) 22:17:01.77 ID:5DrQzRVT0
起きて…古泉…

森さんの声がする…

古泉…起きなさい!

古泉「ぅっ…ここは…」
そこは見覚えのある風景だった、見慣れた校舎…大きなグラウンド。しかし光は無い。夜なのだから当たり前なのだが、少し違う。ここは閉鎖空間だった。

森「おはよう。古泉」
古泉「おはようございます。まずこの状況を説明してもらいましょうか?」
森「…」
古泉「森さん?」
森「お別れよ。古泉」
古泉「はい?」

17: 2010/03/06(土) 22:20:38.50 ID:5DrQzRVT0
森「あなたは未来で何かやらかすそうよ」
古泉「…」

森「未来人や宇宙人から危険人物として断定されてるわ。
ふふ…平和主義のあんたがねぇ…一体なにをやらかすのかしらね。」
古泉「はは…どうやら僕は夢の世界に居るようですね。閉鎖空間なのに神人もいないようですし…」

森「ちょっと訳ありでね。まぁ擬似閉鎖空間とでも呼びましょうか?」
古泉「…」
森「古泉…未来のアンタが何をするのかは解らないけど、私たち機関はそれを無視できないわ。
だからアンタには悪いけど舞台から降りてもらうわ。良かったじゃない。中学の時のあんたが望んでいた平和な日常が待っているわよ。
もう閉鎖空間と神人に恐怖することもないわ。」
古泉「森さん…どうやら夢ではないようですね」
森「ええ。夢じゃないわ古泉、現実よ。私もせいせいするわ。
あんたがいると二人分の食事を作らないといけないし、あんたはすぐに部屋を散らかすし、あんたも17だもんね。
部下と上司とはいえ年頃の男女が一緒に生活するのもどうかと思っていたのよ。

18: 2010/03/06(土) 22:23:53.26 ID:5DrQzRVT0
古泉「森さん…」

森「私はあんたが嫌いだったのよ。正直迷惑だったわ。ずっと後悔していたの古泉を引き取ったことを、
あんただって新川の方が良かったでしょ。」
古泉「僕は…」

森「もういいわ。準備は終わったみたいだし。さよなら古泉。」

その時、どこに隠れていたのか隠れる場所の無いグラウンドにあの人が現れた。

森「よろしく頼むわ」
喜緑「はい。承知しています」

喜緑さんはニコッと笑って僕に手をかざしていた。

古泉「何を…なさるつもりですか?」
森「記憶の改変よ。あなたのこの4年間の記憶をね…」
古泉「…そうですか」

19: 2010/03/06(土) 22:26:39.19 ID:5DrQzRVT0
森「あら…案外普通ね。最近のあんたは彼女たちに随分と入れ込んでいたようだからちょっとは悲しむかと思っていたけど。安心しなさい。
彼女たちもあんたの存在を忘れるわ。便利なものよね。記憶の改変ができるなんて」

古泉「…ふふ…そうですね。まぁ…もともと僕は居ても居なくてもいいような存在でしたからね。彼とのオセロの再戦を約束されていたのですが、
まぁ…勝ち逃げさせてもらいますよ」

森「ふん…喜緑さん…まだなの?随分時間を掛けるわね」
喜緑「ふふ…やっぱり」
森「どうしたの」
喜緑「攻撃を受けています。私自身にもこの空間にも…ふふ…こんなこと出来るのは…」

20: 2010/03/06(土) 22:29:41.90 ID:5DrQzRVT0
森「攻撃?そんな今回の作戦にケチをつける様な組織は居ないはずよ」
古泉「(まさか…いや…)」
喜緑「ひとつだけ…あるようですね…」
森「一体…どこの…」

喜緑「SOS団」


―その瞬間空間の歪みから3人の人影が現れた。
正直今一番会いたくて、会いたくない人達だった。

23: 2010/03/06(土) 22:32:32.88 ID:5DrQzRVT0
長門「空間の侵入に成功」
みくる「ふぇ~…酔っちゃいました」
キョン「大丈夫ですか朝比奈さん?」
長門「空間に協力なプロテクトが仕掛けられていたので予定していた時間より1分47秒ほど遅れをとった。」

森「な…なんで…なんであなた達が!」

彼たちはゆっくりこちらに歩み寄った。

古泉「やぁ…散歩ですか?」
キョン「まぁ…そんな所だ…」
古泉「こんな夜遅くに?」
キョン「たまたま長門と朝比奈さんと学校で会ってな、そしたら偶然長門が急に異空間を見つけてよ。
まぁ…SOS団としてそういう不思議現象は見逃せないからな。
それに…副団長のピンチに駆けつけるのはSOS団員として当然だろ?」

24: 2010/03/06(土) 22:36:12.55 ID:5DrQzRVT0
みくる「古泉くん~よかったぁ…無事で…」
長門「…」

森「どういう事…喜緑さん?」
喜緑「ふふ…どういうことなのですか?長門さん?」

長門「ここ数日、古泉一樹には監視がついていた。涼宮ハルヒや私たちにならおかしくはないが、古泉一樹に監視がついていたのは初めてだった。」

長門「そして情報統合思念体の不穏な動きも感知していた。そこで他のインターフェースに接触して強引に情報を得た。
その結果古泉一樹の記憶の改変を企てているということが判明した。それを彼に相談した」

キョン「まさかここまで重大なことだとは思ってなかったけどな」

喜緑「さすが長門さんね。今回はあんたに情報が伝わらないようになっていたはずなのに」
長門「なぜ?」
喜緑「ふふ…最近のあなたはどうもエラーが起きている様子ですからね。今回みたいに計画の実行を邪魔する可能性がありましたので」
長門「…私は正常」

25: 2010/03/06(土) 22:38:21.36 ID:5DrQzRVT0
喜緑「ふふ…まさか私が保険で作っていたこの空間を侵入されるとは思いませんでしたけどね。
情報操作では長門さんには敵いませんね」

キョン「ってことだ古泉…まぁ…勝ち逃げされたら堪らんからな…助けに来てやったぞ」

古泉「ふふ…そうですか…助けに来てくれたわけですか。ですが迷惑ですよ」
キョン「なっ!?」
古泉「僕はずっと平凡な日常を望んでいたんです。
それをやっと叶えることができるんですよ。やっと閉鎖空間や神人、涼宮ハルヒ、SOS団から開放されるんです」
森「古泉…」
キョン「てめぇ…古泉!」
古泉「喜緑さん…お願いします。早く記憶を改変してください。」
喜緑「しかし…長門さんからプロテクトされますよ」
古泉「長門さん…迷惑です。プロテクトをやめてくれますか?」
長門「…」

27: 2010/03/06(土) 22:41:15.12 ID:5DrQzRVT0
僕は彼らに背を向け森さんと喜緑さんのほうを向く。
胸が痛い。痛い。なんで…望んでいたんじゃないのか?ずっと…

キョン「待てよ!古泉!!」

喜緑さん「では…はじめますね?」
古泉「はい…よろしくお願いします」

キョン「やめろ!!」
みくる「古泉くん!!」
彼らがこちらに走ってくるのが解る…

森「止まりなさい」
キョン「森さん!!どいて下さい、このままじゃ古泉が…!!」
森「わからないの?古泉も言っているでしょう?これが彼の幸せなのよ」
そう…これでいいんだ。

28: 2010/03/06(土) 22:44:09.86 ID:5DrQzRVT0
キョン「うるせぇ!!古泉とあんた達は仲間なんじゃないのかよ!?俺達は仲間を見捨てたりしないぞ!もしここでノコノコ帰っちまったら…ハルヒにぶっ飛ばされる!!」

ふふ…大丈夫ですよ。あなたも忘れてしまうんです。

キョン「古泉!本当にこれが幸せなのか?確かに俺は今自分勝手なことを言っているかもしれない…閉鎖空間やハルヒや俺達が重荷だって言うのも事実なのかもしれない!
でも…今日お前が俺にオセロで勝って…
ハルヒたちと一緒に笑っていた…あの時の笑顔は本物だったんじゃないのか!?少なくとも…
今のお前の笑顔よりはな…そんな悲しそうな顔で笑ってんじゃねぇよ!」

悲しい笑顔…僕はさっき笑っていたのか?なぜ彼は僕のために必氏で叫んでいるんだ?僕なんかのために…

29: 2010/03/06(土) 22:47:25.07 ID:5DrQzRVT0
みくる「古泉くん!この前買ったお茶ね…皆さんのお口に合わなくて…でも古泉君は美味しいって言ってくれて…私嬉しかったんですよぅ!
だからたくさん買っちゃったんですっ!古泉君が居ないと…無駄になっちゃいますょぉ…」

ふふ…本当に涙もろい人だなぁ…そういえばあのお茶は美味しかったなぁ。でも彼ですら本当に口に合わなかったようだ。彼なら少々不味くても美味しいと言うでしょうしね。

森「くっ…喜緑さん…まだなの!?」

喜緑「ふふ…長門さん?止めたのではなかったのですか?」
長門「気が変わった」

長門さん?ふふ…随分時間がかかると思っていたらあなたでしたか。

32: 2010/03/06(土) 22:51:48.73 ID:5DrQzRVT0
キョン「古泉!多分お前は未来で…俺との約束を守ってくれたんだよ」

約束…あぁ…雪山の…




キョン「だから、俺も約束は守るぜ!覚えてるか?お前が言ったんだぜ?お前が記憶喪失になったら俺が思い出させてくれるんでしょうってな。
だから…もしお前がこのまま俺達との記憶を失くしても…俺がお前の記憶をなくしても…絶対に…氏んでも思い出してやるよ!
そしてハルヒとみんなでお前を探し出してやる!そして思い出させてやるよ…俺達の…ハルヒに馬鹿みたいに振り回されて、
宇宙人と未来人と超能力者がいる馬鹿みたいな団体を…馬鹿みたいに楽しかった日を…!」

…なんで…なんで…

33: 2010/03/06(土) 22:56:00.55 ID:5DrQzRVT0


キョン「第一こんなのハルヒが許さねぇよ!
あいつ言ってたじゃねぇか!SOS団は一人でもかけちゃ駄目なんだよ!それに…俺も嫌なんだよ!
これから先あの部室で何すりゃいいんだ?
お前とのゲーム勝負はどうする?
勝ち逃げは許さねぇぞ…また部室で完膚なきまで叩きのめしてやるよ!」

どうして…どうして…

キョン「古泉!」
みくる「古泉君!」
長門「…」

34: 2010/03/06(土) 22:57:47.06 ID:5DrQzRVT0
そうか…胸が痛いのは…僕は…

喜緑「ふふ…どうやら…プロテクトするのが少々遅かったようね…長門さん。」
長門「うかつ…」

森「古泉…お別れね…あんた…友達はいないとかいっていたけど…ちゃんと居るじゃない…
こんな事を言ってくれる友達なんてそうは居ないわよ。良かったわね。でも…さよ」





古泉「いやだ…」

35: 2010/03/06(土) 23:01:30.58 ID:5DrQzRVT0
森「え?」

僕は…僕は…

古泉「僕は……僕はここに居たい…!忘れたくない…!」

キョン「古泉…!」
森「こ…古泉…」

喜緑「人の感情とやらは良くわかりませんね?これが『涙』と言うものですか?ですがそろそろ完了です。長門さんもそろそろ諦めたらどうですか?これ以上は思念体に報告しないといけませんよ?長門有希が任務を妨害したと。
そうなれば一度廃棄が検討されているあなたは…」

長門「かまわない。」

喜緑「ふふ…頑固ですね。」

36: 2010/03/06(土) 23:03:41.43 ID:5DrQzRVT0
キョン「くそっ!!」
喜緑「ふふ…」
キョン「なっ…体が!くっ…動かねぇ!」

喜緑「ふふ…森さん?困りますよ?ちゃんと動きを止めて頂かないと」
森「…」

キョン「長門!!頼む!古泉を…!」
長門「…やっている」

古泉「くっ…頭が…嫌だ…嫌だ!忘れたくなぃ…!!」

喜緑「だいぶ手こずりましたね。ふふ…これで…終わ…!?」

森・キョン・みくる「!?」

森「馬鹿なっ!?なんで…なんでここに…!?」
キョン「こ…こいつは…」

38: 2010/03/06(土) 23:05:31.70 ID:5DrQzRVT0
古泉「神…人」




喜緑「くっ!」
神人は怒り狂ったように暴れだした。しかしいつもと違うのは、怒りの対象が建物ではなく、
人に向けられていること。

長門「解除に成功。」

キョン「うぉっ!体が動く…サンキュ長門、あの神人もお前が出したのか?」

長門「ちがう。あの巨人を出せるのは一人しか存在しない」
みくる「じゃぁ…もしかして」

キョン「ははっ!そうさ…あいつしかいねぇ!あの傍若無人で唯我独尊で…わがままで…団員思いの…俺達の団長様だ…
そうさ…あいつが古泉を見捨てるわけねぇじゃねぇか…」

39: 2010/03/06(土) 23:06:53.74 ID:5DrQzRVT0
キョン「大丈夫か古泉!?」
古泉「えぇ…」
キョン「とりあえず非難しよう」
長門「問題ない。あの巨人の敵意は私達には向いていない。あの巨人の敵意は喜緑エミリ、森園生に向けられている」
古泉「も…森さん…」
キョン「動くな…古泉…フラフラじゃねぇか」
みくる「そうですよぉ…」

喜緑「ふふ…まさか…こんな事態になるとは…涼宮ハルヒはよっぽどあなた達が大事なのね?私には理解できないわ。どうやら古泉一樹の記憶改変は失敗。
むしろ危害を与えようとしたら殺られてしまうわね。
退散します。この件は思念体に報告、そして対策をとらないと。」


40: 2010/03/06(土) 23:08:11.84 ID:5DrQzRVT0
長門「喜緑エミリの存在がこの空間から消失」

森「きゃっ!!」

古泉「森さん!?」

喜緑エミリの消失により神人の攻撃対象は一人に絞られて、彼女は劣勢に立たされていた。
まさに今に止めがさされようとしていた。グラウンドに倒れている彼女に神人が足を振り下ろそうとしていた。

キョン「古泉!!」

41: 2010/03/06(土) 23:09:30.43 ID:5DrQzRVT0
気づいたら僕は森さんに覆いかぶさっていた。神人の足は間一髪の所で足が止まっていた。

森「こ…古泉…なんで…」

古泉「よかった…間に合った…」

森「どうして…私なんかを…あんたを見捨てようとした奴よ…なんで」
古泉「なんでと言われましても…そうですね…僕は森さんが…好きなんです」

森「なっ!?」
古泉「怒ると怖くて、でも優しくて綺麗で…僕にとって…初恋で…姉であり、母親のようなあなたが…」

森「だ…黙りなさい…古泉…ぅぅ…」
森さんは僕に抱きついて泣いていた。僕が見る初めての森さんの涙だった…

42: 2010/03/06(土) 23:10:45.35 ID:5DrQzRVT0
森「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんね…古泉…私も…あなたが…」
古泉「森さん…お腹が減りました」
森「うん…」
古泉「家に帰って何か作ってくれませんか…?」
森「うん」
古泉「そして…オセロしましょう?」
森「うん…ねぇ古泉…ありがとう」
古泉「はい…森さん」
その瞬間異空間は砕け散った。僕は戻ってきた。僕の大好きな世界へ。大好きな人たちと一緒に…

44: 2010/03/06(土) 23:12:31.08 ID:5DrQzRVT0




古泉「どうしました?長考ですか?」
キョン「うるせぇ…今日の晩飯を考えていただけだ…」
古泉「ほぅ…そうですか」
キョン「古泉…」
古泉「はい?」
キョン「その…なんだ…あー…俺はお前の事は友達だと思ってるぞ…」
古泉「ふふ…僕もです。僕の数少ない男友達ですからね。これからもよろしくお願いしますよ」
キョン「ふん…」

45: 2010/03/06(土) 23:13:55.42 ID:5DrQzRVT0
長門「古泉一樹…」
古泉「はい…長門さん」

長門「情報統合思念体は今回の件は保留を決定した。おそらく未来もあなたの組織も。今回あなたの記憶が改変されなかったのは、涼宮ハルヒの能力が関わっていると思念体は推測している。
だからどの組織もしばらくは手が出せないはず」

みくる「涼宮さんが?」
長門「そう。涼宮ハルヒがあなた達と離れたくないと願っている。と私は考えている」

キョン「なるほどね。団員思いな団長様だな…まったく」
古泉「ふふ…嬉しそうですね」
キョン「そういうお前もな」
みくる「ふふ…なんだか私も嬉しいな」

ハルヒ「やっほー!みんな居る!?」

古泉「涼宮さん、あと皆さんも」
ハルヒ「どうしたの?古泉君」


古泉「ありがとう」

fin

46: 2010/03/06(土) 23:16:47.36 ID:CgtADKMcO
乙!おもしろかた

54: 2010/03/06(土) 23:26:40.44 ID:5DrQzRVT0
ありがとう。
駄文で申し訳ない。

引用: 森「ねぇ…古泉」 古泉「はい、森さん」