58: 2017/06/19(月) 21:00:17.33 ID:HYIVVTZ00

前回:駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改

第二話「変身したい!」


吹雪「えー、それでは…」

吹雪「第二回、ショキカンジャー会議を始めます」

ワーワー ドンドン パフパフ


吹雪「……漣ちゃん、それやめようか」

漣「おっと失敬」

叢雲「で、何を話し合うの?」

吹雪「うん。とりあえず、今後どうするか、具体的なことを決めようと思って」

電「具体的なこと……ですか」

五月雨「戦隊に必要な物をそろえるとか?」

吹雪「そうそう、そういうの」

吹雪「で、何が必要かっていうので……何か案はない?」
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

59: 2017/06/19(月) 21:01:08.99 ID:HYIVVTZ00
叢雲「案、ねぇ……」

五月雨「戦隊って言ったら……基地があるよね」

電「そうなのです。拠点が必要なのです」

吹雪「ああ、それに関しては、司令官が用意してくれたよ」

五月雨「え、本当!?」

電「はわわ……何だかすごそうな予感なのです」

叢雲「どこにあるのよ、それ」

吹雪「ここだよ」

四人「えっ」

吹雪「ここ」

漣「……えーっと、ここっていうのは……」

吹雪「うん。この六畳の、ちゃぶ台、座布団、ホワイトボード備え付きの部屋」

四人「…」

60: 2017/06/19(月) 21:01:35.72 ID:HYIVVTZ00
叢雲「……まぁ、仕方ないと言えば仕方ないわね」

五月雨「うん、鎮守府内じゃ使えるところも限られるし」

漣「あ~、なんか変なコンピュータがいっぱい並んでたりする近未来的なの想像してたんだけどな~」

電「でも急なことですし、そんな大きな拠点である必要もないでしょうから、ここで十分なのです」

吹雪「そういうことだね。用意してくれるだけありがたいからね」

漣「ロマンがないよロマンがー!!」ジタバタ

五月雨「でもこういうののほうが落ち着くんじゃないかな」

叢雲「そうね。漣はもうちょっと落ち着きなさい」

漣「うぅ……」

漣「ま、いっか。最近はこういうのも多いし」ケロッ

四人(いいのかよ……)

61: 2017/06/19(月) 21:02:05.59 ID:HYIVVTZ00
吹雪「というわけで、これから話し合いをしたり、必要なものを置くのはここにします」

吹雪「じゃあ次は……」

五月雨「あ、ちょっといい?」

吹雪「どうしたの?五月雨ちゃん」

五月雨「昨日の敵との戦いについて考えたことがあるんだ」

叢雲「戦い?戦隊らしいことをすればいいんでしょ?」

五月雨「そう。戦隊のノリで戦えば倒せるっていうのが、昨日の結論」

五月雨「それで、昨日は技名を叫びながら攻撃したよね」

漣「しましたねぇ」

五月雨「でも、昨日は敵が一人だったからよかったけど、敵が大勢だったら……」

電「……いちいちそんなことしてたら隙だらけなのです」

62: 2017/06/19(月) 21:02:32.35 ID:HYIVVTZ00
吹雪「んー、でもどうしたら……」

五月雨「で、さらに考えたことがあります」

漣「ほほう」

五月雨「『戦隊らしさ』、これが戦いのキーになるんだけど……」

漣「はい!はい!」

五月雨「ん?どうしたの?」

漣「その『戦隊らしさ』を『戦隊パワー』と名付けることを提案します!」

電「え?せ、戦隊パワー?」

叢雲「心底どうでもいいけど……」

五月雨「あはは……わかったよ」

63: 2017/06/19(月) 21:02:58.07 ID:HYIVVTZ00
五月雨「戦隊パワーが戦いのキーになるけど、ここで昨日の私たちの姿を思い出してほしいの」

吹雪「昨日の私たち?」

叢雲「普通に艤装つけてただけね」

五月雨「そう。どう考えても戦隊、もといヒーローじゃないよね」

五月雨「艤装で戦ってた時の私たちの戦隊パワーは0」

五月雨「でも、技名を叫んで戦ったことで戦隊パワーが生まれた」

五月雨「つまり、普通の格好じゃ、そのくらいしないと戦隊パワーは生まれないってことだと思う」

電「ということは、つまり……」

吹雪「戦隊らしい格好だったら、常に戦隊パワーが生まれて、技名をいちいち叫ばなくてもいいんじゃないかってことだね」

64: 2017/06/19(月) 21:03:24.15 ID:HYIVVTZ00
叢雲「なるほどねぇ……」

叢雲「でも、正直まだ戦隊らしさ……」

漣「戦隊パワー」

叢雲「……戦隊パワーが本当にかかわってるかわからないのよね」

五月雨「うん。問題はそこなんだよね」

電「でも、他に手がかりもないですし……」

吹雪「次に敵と遭遇した時、いろいろ試してみようよ。いざとなったら昨日みたいに戦えばいいし」

叢雲「そうね。他にどうしようもないし」

漣「ということは五月雨ちゃん。あれですか?」

五月雨「ん?」

漣「『変身したい』ってことですか?」

五月雨「…まあ、そういうこと、かな?」

漣「ヨッシャー!燃えてキター!」ボォォォォ

五月雨「え!?ええ!?」

65: 2017/06/19(月) 21:03:53.28 ID:HYIVVTZ00
吹雪「まあ、戦隊らしいよね、変身」

電「確かに、今の話の流れからするとそうなりますが……」

叢雲「テンション上がりすぎなのよ、漣」

漣「おっと失敬失敬」

漣「いやー、漣も変身がしたかったんですよー」

漣「変身しなくても戦える戦隊はいるけど、全く変身しない戦隊なんていないからね!」

漣「さすが五月雨ちゃん!よくわかっていらっしゃる!」

五月雨「あ、あはは……」

吹雪「それにしても、変身か……」

電「本当に変身しなくても、スーツは必要ですよね」

叢雲「じゃあ誰かに頼んで……」

漣「あ、そこで漣から提案です」

吹雪「何?」

漣「戦隊モノの、博士ポジの人を提案したいと思います!」

吹雪「は、博士?」

漣「協力者として、博士ポジの人が出たりするんですよ」

叢雲「はぁ……」

66: 2017/06/19(月) 21:04:37.62 ID:HYIVVTZ00
電「では、それは誰なのです?」

漣「無難なとこで、夕張さんと明石さんかなーと」

叢雲「まあ、その二人くらいしか思いつかないわね」

吹雪「じゃあ、その変身の話を持って、二人に頼みに行こうか」

電「引き受けてくれるでしょうか……」

漣「大丈夫っしょ。特に夕張さんは五月雨ちゃんが頼めば一発!」

五月雨「え!?何で私!?」

吹雪「あー、夕張さん五月雨ちゃんに甘いもんねぇ」

叢雲「明石さんも電がいれば大丈夫でしょ」

電「な、なんで電なのです!?」

叢雲「あんたに頼まれたら断りづらいのよ……」

三人(確かに……)

電「?」

67: 2017/06/19(月) 21:05:05.76 ID:HYIVVTZ00
工廠


夕張「何!?」キラキラ

明石「戦隊ですって!?」キラキラ

夕張「それで変身アイテムがほしい!?」

明石「ほうほう!!」

夕張・明石「よーし!お姉さんたちに、まっかせなさーい!!」グッ

五人「……」

吹雪「まあ、思った以上にスムーズに話が通ってよかったね」

電「あ、あの、本当に変身しなくても、スーツだけでもいいので……」

夕張「えー!?やだやだー!」

明石「つーくーりーたーいー!!」

叢雲「子供か」

68: 2017/06/19(月) 21:05:35.32 ID:HYIVVTZ00
夕張「そもそもスーツだけあったって、いつどこで着替えるのよ?」

明石「急に敵が来たときとかどうするのー?」

叢雲「まあ、そうねぇ……」

五月雨「ほ、本当にできるんですか?変身アイテムなんて……」

明石「当たり前よ!私たちを誰だと思ってるの?」

漣「おー、頼もしい限りですな」

夕張「じゃあ二、三日後くらいでいい?」

吹雪「はい。では、お願いします」

69: 2017/06/19(月) 21:06:14.56 ID:HYIVVTZ00
電「二、三日後ですか……それまでどうするのです?」

吹雪「うーん、そうだねぇ……何もしないでいるのもどうかと思うし」

叢雲「だったら、鎮守府の異常現象を調べてみましょう」

漣「おー、そんなものもありましたなぁ」

五月雨「ていうか、最初の目的それだったよね」

吹雪「えーっと確か……」


・工具がなくなる

・屋根裏や床下から変な音

・地響きが聞こえる

・資材がなくなる(提督のせい?)

70: 2017/06/19(月) 21:07:32.37 ID:HYIVVTZ00
吹雪「こんなところだったね」

漣「……ん?工具がなくなる……?」

五人「……」


工廠のほうからの声「ぎにゃーーーーーーーーー!!!」


五人「!!」

71: 2017/06/19(月) 21:07:58.84 ID:HYIVVTZ00
工廠


吹雪「どうしたんですか!?二人とも!!」ダダッ

夕張「もうだめだ、おしまいだぁ……!」

明石「こんな、こんなこと……!残酷すぎる……!」

叢雲「……工具がなくなったの?」

夕張「うん……」グスン

明石「これじゃ、変身アイテムが作れないよぅ……」

電「それは困ったのです」

夕張「今回が最後の予備だったんだよね……」

72: 2017/06/19(月) 21:08:24.91 ID:HYIVVTZ00
五月雨「ずっとここに置いてたんですか?」

明石「うん。ここに……」

叢雲「……ちゃんと工具箱とかにしまって、鍵かけた?」

夕張・明石「」ギクッ

五人「……」

夕張「わ、わかってはいるんだけど……最近盗まれること多いし」

明石「作業してると、ついしまうのが面倒になっちゃって……」

漣「うわぁ……これは言い逃れできないですね」

夕張・明石「うう、申し訳ない……」

73: 2017/06/19(月) 21:08:50.53 ID:HYIVVTZ00
吹雪「えっと……最後に見たのはいつですか?」

夕張「ついさっきよ。あなたたちが来る、ほんの数分前」

吹雪「じゃあ、犯人はそう遠くまで行っていないはずです。探してみます!」

明石「うう、ありがとう……」

電「次からはちゃんと工具は管理するのです」

夕張・明石「本当に申し訳ない……」

74: 2017/06/19(月) 21:09:22.40 ID:HYIVVTZ00
工廠裏


漣「いやー、何だかRPGみたいになってまいりましたなー」

叢雲「あー、何か面倒くさいお使いクエストね」

五月雨「でもどうするの?」

電「遠くに行ってないとは言っても、犯人が誰かわからないのです……」

叢雲「え?昨日のアレみたいなやつじゃないの?」

漣「いやいや、あんなのいたら目立つっしょ」

叢雲「そういえばそうね……確かに、鎮守府内には現れないか……」

吹雪「そうだね。見るからに不審者がいたら騒ぎになるもん」

吹雪「……つまり、『その辺にいても怪しくない人』が犯人ってことだと思う」

五月雨「……それって」

吹雪「うん……」

吹雪「艦娘の中に、犯人がいる」

75: 2017/06/19(月) 21:09:49.99 ID:HYIVVTZ00
漣「ご主人様は除外すんの?」

吹雪「司令官が犯人だったら、わざわざ私たちにこのことを調査しろ、なんて言わないと思うよ」

五月雨「……でも誰が、どうしてそんなことを?」

叢雲「……盗むくらいだから、まともな理由じゃないでしょうね」

吹雪「考えても仕方ないよ。とりあえず……」


???「おや、皆さんどうかしたんですか?」


吹雪「あれ、青葉さん」

青葉「どもー!恐縮です!青葉ですー!」

76: 2017/06/19(月) 21:10:16.23 ID:HYIVVTZ00
叢雲「何やってるのよ、こんなところで」

青葉「いやー、古鷹さんから逃げてきまして……とりあえずこの工廠裏に」

五月雨「また何かやったんですか……」

電「あの、このあたりで、怪しい人を見ませんでしたか?」

青葉「怪しい人、ですか?」

吹雪「はい。挙動不審だったり、何か運んでたり……」

青葉「……何かを運んでそうな人なら見ましたよ」

吹雪「!?だ、誰ですか!?」

青葉「白雪ちゃんが鞄を持ってました」

叢雲「白雪が……?」

77: 2017/06/19(月) 21:10:43.56 ID:HYIVVTZ00
青葉「ここはあんまり人が来ないので、他には見てませんねー」

青葉「その白雪ちゃんも、最近鞄を持ってるのをよく見るので、別段怪しいと思ってませんでしたが。鞄もあまり大きくないですし」

吹雪「最近、ですか……」

古鷹「あー、いたいた!青葉ー!!」ダダッ

青葉「げっ!見つかりました!では皆さん、これでー!」シュバッ

漣「……行っちゃいましたな」

電「吹雪さん……」

吹雪「……探してみよう、白雪ちゃんを」

78: 2017/06/19(月) 21:11:11.04 ID:HYIVVTZ00
叢雲「それにしても、白雪が鞄、ねぇ」

吹雪「そんなの持ってるの見たことないよね」

漣「でも最近持ってるのを見るって言ってたよ?」

電「誰も気づかないなんて……おかしいのです」

五月雨「……いや、おかしくないと思う」

吹雪「え?」

五月雨「さっきの工廠裏……人があんまり来ないって言ってたよね」

叢雲「そういえばそうね」

五月雨「隠密行動するなら、人通りが少ないところを通るのは当たり前だよね」

79: 2017/06/19(月) 21:11:38.39 ID:HYIVVTZ00
五月雨「きっと青葉さんはよくあそこに逃げてるから、鞄を持った白雪ちゃんをよく見かけたんだと思う」

漣「なるほど。つまり、白雪ちゃんは鞄を持ってるときは、人通りが少ないところを通る、と」

電「では、人通りが少ないところをたどって行けば……!」

叢雲「……まだ、白雪が犯人って決まったわけじゃないのよ」

五月雨「……ごめんね」

叢雲「……いえ、そういうつもりじゃなかったの、ごめんなさい」

吹雪「……急ごう、みんな」

80: 2017/06/19(月) 21:12:17.94 ID:HYIVVTZ00
──────────

──────

───

漣「く~みつからね~!!」

叢雲「どこに行ったのよ、あの子……!」

電「つ、疲れたのです……」

五月雨「このままじゃ……」

吹雪「!みんな、あれ!」

四人「!!」


白雪「……」

白雪は、人がほとんど通らない道を隠れるようにして歩いている


吹雪「……鞄を、持ってる」

叢雲「こんなところで……何やってるのかしら」

電「隠れて様子を見るのです」

81: 2017/06/19(月) 21:12:45.10 ID:HYIVVTZ00
白雪「……」スッ

白雪は途中で立ち止まり、鞄を道のわきに置いた

白雪「……」スタスタ


五月雨「……行った?」

漣「行ったね」

吹雪「……鞄、見てみようか」

バッ

五人「……!」

鞄の中には、いくつかの工具が入っていた

82: 2017/06/19(月) 21:13:14.26 ID:HYIVVTZ00
吹雪「……」

叢雲「……吹雪」

吹雪「……とりあえず、持って帰ろう」

漣「あー、待って待って」

吹雪「?」

漣「中身だけ持って帰って」

電「え?鞄は置いていくのです?」

漣「うん。で、中に石を詰めて置く」ヒョイヒョイ

漣「よーし、これでオッケー!」

四人「……?」

83: 2017/06/19(月) 21:13:42.00 ID:HYIVVTZ00
工廠


夕張「ヒャッハー!新鮮な工具だー!」

明石「ありがとう、みんな!」

吹雪「いえ……」

叢雲「……」

電「あの、では、よろしくお願いします」

夕張「うん!任せといて!」

吹雪「……」

叢雲「……吹雪」

叢雲「何か理由があるはずよ」

吹雪「……そうだよね」

叢雲「信じるのよ、白雪を」

吹雪「……ありがとう、叢雲ちゃん」

84: 2017/06/19(月) 21:14:09.58 ID:HYIVVTZ00
電「それにしても、何故わざわざ工具をあんなところに……?」

五月雨「鎮守府のはずれ……昨日のあの黒い人と戦ったあたりまで行ってたよね」

漣「ふふっ、それは明日探りましょう」

四人「……?」

漣「あ、吹雪ちゃん、白雪ちゃんと同じ部屋だったよね?」

吹雪「?うん、そうだけど」

漣「悪いけど、部屋に戻ったら見張っといてくれない?」

漣「今日はもう大丈夫だとは思うけど……」

吹雪「……いいよ、わかった」

85: 2017/06/19(月) 21:14:36.83 ID:HYIVVTZ00
吹雪と白雪の部屋


吹雪「ただいま……」ガチャッ

白雪「あっ、吹雪ちゃん。お帰りなさい」

吹雪「……」

白雪「?」

吹雪「白雪ちゃん、今日何してた?」

白雪「……」

吹雪「……?」

白雪「……今日は、ずっと訓練してたよ」

吹雪「……そっか、お疲れさま」

吹雪(……どうして、そんな嘘を)

吹雪(人に言えない理由ってこと……だよね)

86: 2017/06/19(月) 21:15:22.16 ID:HYIVVTZ00
翌日


五人は朝から、昨日白雪が鞄を置いた地点で張っていた

漣「お~予想通り、鞄がありますな」

叢雲「そら昨日、白雪が置きっぱなしにしたからじゃないの?」

漣「のんのん、甘いですな~叢雲ちゃん」

漣「鞄をよく見てください」

叢雲「……?」

漣「え~まだわかんないの?」

叢雲「うるさいわね……」

電「……あっなるほどなのです」

五月雨「そういうことだったんだ」

叢雲「え?二人ともわかったの?」

吹雪「あ、私もわかった」

叢雲「え!?」

漣「叢雲ちゅわ~ん……ちょっといけてないんじゃな~い?」

叢雲「あーもう、うっさいわね!」

87: 2017/06/19(月) 21:15:51.75 ID:HYIVVTZ00
漣「昨日、漣はあの鞄に何をしましたか?」

叢雲「えーと、石を入れて……」

叢雲「!!」

漣「気づいたようですね~」

漣「そう、石を入れた分のふくらみがなくなってるんですよ!」

漣「んで、白雪ちゃんは昨日吹雪ちゃんが見張ってたでしょ?」

吹雪「うん。夜中にも出て行かなかったよ」

漣「つまり、白雪ちゃん以外の誰かがあの鞄の中身を取り出したってことなんだよ」

叢雲「なるほど……」

吹雪「ということは……」

吹雪「誰かが、白雪ちゃんと工具のやり取りをしてる……?」

88: 2017/06/19(月) 21:16:19.35 ID:HYIVVTZ00
五月雨「っ!!来たよ!」


白雪「……」スッ

白雪は鞄を手に取って去って行った


漣「さー、尾行しますよー!」

叢雲「あんた、楽しんでるでしょ」

漣「もち!」グッ

叢雲「……」

89: 2017/06/19(月) 21:16:58.78 ID:HYIVVTZ00
工廠裏


白雪「……」ピタッ


吹雪「止まった?」

電「入らないのでしょうか……?」

叢雲「そりゃあ入れないわよ……」

五月雨「え?何で?」

叢雲「だって……」


夕張「うおー!!燃えてキター!!」トンテンカン

明石「明石ックストーム!!」トンテンカン


五人「……」

叢雲「……昨日から、こんな感じらしいから」

90: 2017/06/19(月) 21:18:12.86 ID:HYIVVTZ00
漣「困りましたな……今回は工具を盗んでいただかないと」

五月雨「やり取りの相手を見つけるためだね?」

漣「その通りデス。何でもいいから、鞄に入れてくれればいいんだけどね……」

五人「う~ん……」

漣「……奥の手を使うか」

吹雪「え?」

漣「電ちゃん、五月雨ちゃん、二人に頼んできて」

五月雨「え!?」

叢雲「もう、それしかないかもね……」

吹雪「二人を生贄に捧げるしか……」

電「ど、どういうことなのです!?」

漣「ほーら、行った行ったー」

五月雨「うう……」

電「どうしてこんなことに……」

91: 2017/06/19(月) 21:18:40.37 ID:HYIVVTZ00
工廠


五月雨「あのー……」

夕張「ん!?あ、五月雨ちゃん!?」トンテンカン

電「あの、その……」

明石「電ちゃんも来たの!?ごめん、後にして!!」トンテンカン

五月雨「……どうしよう、電ちゃん」

電「ここは思い切っていうしかないのです」

五月雨「それしかないか……」

五月雨「あの!!二人とも!!」

電「工具を!!貸してほしいのです!!」

夕張・明石「」ピタッ

92: 2017/06/19(月) 21:19:11.93 ID:HYIVVTZ00
夕張「……何ですって?」ゴゴゴ

明石「私たちから、この楽しみを奪おうっていうの……?」ゴゴゴ

五月雨「うう……怒ってる……」

電「あ、あの……その……」

夕張「いくら二人の頼みでも、それはちょっと……」

明石「ごめんなさいね……」

五月雨「こ、このままじゃ……」

電「こうなったら……」

五月雨「か、貸してくれないなら、もう夕張さんと口きいてあげません!!」

夕張「グハッ!!」

電「もう第六駆逐隊のみんなで明石さんにマッサージもしてあげないのです!!」

明石「なんですって……」グハッ

五月雨「あ、効いた」

電「意外といけたのです」

93: 2017/06/19(月) 21:19:39.49 ID:HYIVVTZ00
夕張「仕方ない……五月雨ちゃんのほうが大事だもん……貸すよ」

明石「くっ……これが、運命……」

五月雨「あ、ありがとうございます!」

電「すぐ返すのです!!」ダダッ

夕張「……」

明石「……」

夕張「……マッサージ、してもらってるの?」

明石「……結構効くのよ」

94: 2017/06/19(月) 21:20:10.13 ID:HYIVVTZ00
五月雨「おまたせ……」

吹雪「ど、どうしたの?二人とも」

電「なんだか、とっても申し訳ないことをした気がするのです……」

叢雲「そ、そう」

漣「んで、工具はどうしたんです?」

五月雨「ああ、これだよ」

漣「おー、乙乙。さて、どうしましょうかねぇ……」

叢雲「……その辺に置いてみる?」

吹雪「いや、そんなうまくいくわけ……」


白雪「……」スッ

白雪は置いてあった工具を拾い上げ、鞄に入れた


五人「……」

吹雪「うまくいった……」

漣「さ、さあ、尾行再開だー!」

95: 2017/06/19(月) 21:21:10.81 ID:HYIVVTZ00
白雪と五人は、鞄を置いてあった場所に戻ってきた


白雪「……」スッ


電「昨日と同じで、そのまま置いて帰ったのです」

吹雪「ここまでは他に怪しい人とか見なかったね……」

漣「んじゃ、昨日と同じく、中身を出して石を詰めて……」ヒョイヒョイ

漣「ほいじゃ、電ちゃんと五月雨ちゃんは二人に返してきてー」

五月雨「うん、わかった」

漣「我々はここを見張っておきます」

電「じゃあ、お願いしますね」

96: 2017/06/19(月) 21:21:41.61 ID:HYIVVTZ00
吹雪「……いつ来るかな」

叢雲「そんなにすぐには来ないんじゃない?」

漣「そんなこと言ってるとすぐに……」

ザッ

三人「!!」

吹雪(来た……?)

叢雲(一体……)

漣(誰が……)



イ級?「……」

イ級?「イー」


三人(お前かーーー!!!)

97: 2017/06/19(月) 21:22:15.28 ID:HYIVVTZ00
吹雪「え!?あの人、この前倒したはずじゃ!?」ヒソヒソ

叢雲「わ、わからないけど、別の奴じゃないの!?」ヒソヒソ


イ級?「……」キョロキョロ


漣「な、なんかキョロキョロしてる……」ヒソヒソ

吹雪「二人とも、しっかり隠れて」ヒソヒソ


イ級?「うーん……クウボ様が、バレた可能性があるから気を付けろって言ってたけど……」

イ級?「見たところ大丈夫だイー。きっと昨日の石も何かの間違いだイー」ザッ

98: 2017/06/19(月) 21:22:42.92 ID:HYIVVTZ00
漣「あ、鞄持って行っちゃった」

三人「……」

漣「……追う?」

吹雪「いや……行った先で仲間が大勢いたら危険だよ。三人しかいないし、まだ変身できないし……」

叢雲「とにかく、これであいつらと関係していることがわかったわね」

漣「……でも、一番の問題は」

吹雪「……どうして、白雪ちゃんが?」

叢雲「……とにかく、戻りましょう」