676: 2017/10/30(月) 20:58:30.77 ID:VjaYw9KF0


最初:駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改
前回:第五話「合体技がほしい!」後編

第六話「ロボットがほしい!」


ショキカンジャー本拠地


吹雪「えー、それでは第六回ショキカンジャー会議を始めます」

バッチリミナー バッチリミナー

吹雪「…それ、違うよね?」

漣「うん」

吹雪「ライダーだよね?」

漣「うん」

吹雪「…」
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

677: 2017/10/30(月) 20:58:58.27 ID:VjaYw9KF0
吹雪「えっと…何を話そうとしてたか忘れちゃった」

漣「まったく、何やってんだい」

叢雲「あんたのせいでしょ」

吹雪「…ああ、そうだ。夕張さんと明石さんが話があるらしいよ」

叢雲「話?」

吹雪「うん。内容は知らないけど」

五月雨「何だろう…?」

電「ショキブレスに何か問題があったのでしょうか?」

漣「使ってても問題なかったけどねぇ」

吹雪「とにかく、今から工廠に行ってみよう」

678: 2017/10/30(月) 20:59:25.09 ID:VjaYw9KF0
工廠


夕張「あら、来たわね」

明石「いらっしゃーい」

電「こんにちは、なのです」

叢雲「どうしたの?」

夕張「うん。実は、戦隊に必要なものを作ることになってて」

五月雨「え、必要なもの?」

明石「さて、なーんだ?」

漣「放送枠」

夕張「いや、そういうのじゃなくて」

679: 2017/10/30(月) 20:59:57.73 ID:VjaYw9KF0
吹雪「戦隊と言ったら、あとは…」

電「巨大ロボットとか、でしょうか…」

明石「ピンポーン。大正解」

明石「この度、私たちは巨大ロボットを作ることになりましたー」

叢雲「え、作れるの!?」

夕張「うん。ていうか、話自体はずいぶん前に出てて、少しずつ作ってたんだけど」

明石「本格的に作り始めることになって」

五月雨「でも、お二人だけで作れるんですか?」

夕張「いやあ、さすがに無理だよ」

明石「今までだって、妖精さんに協力してもらってたし」

漣「へー、そうだったんですか」

680: 2017/10/30(月) 21:02:46.20 ID:VjaYw9KF0
吹雪「でも、どうして今になって本格的に作ることになったんですか?」

明石「えーっと……順を追って話すね」

明石「ディープマリンが現れてから、提督は大本営にそのことを報告してたんだけど」

明石「同時に、協力を要請してたんだよね」

明石「それで、最近になって資材や物資を支援してくれるようになって」

明石「今回、技術面でも協力してくれるようになったの」

五月雨「技術面……ということは」

夕張「そう。巨大ロボットの作成に協力してくれることになったってこと」

吹雪「そんなの、よく協力してくれましたね……」

明石「うん。なんか通っちゃった」

夕張「まあ、相手は深海棲艦以上に謎だし、実際危険な存在だからね」

夕張「何が起こるかわからないし、巨大ロボくらい用意しておこう、ということに」

叢雲「はぁ、なるほどねぇ」

681: 2017/10/30(月) 21:03:15.33 ID:VjaYw9KF0
明石「それで、ここからが本題なんだけど」

明石「私と夕張ちゃんは、これから一か月くらい、別の場所でロボットを作るので、鎮守府にいません」

電「え、ここで作れないのです?」

夕張「やっぱり場所をとるからねぇ……」

明石「それに、協力者として優秀な艦娘や妖精さんを呼んでくれるらしいんだけど」

明石「その人たちも集まりやすいから、という理由で別の場所に」

漣「確かにあんなバカでかいものをここで作るわけにはいきませんな」

夕張「というわけで私たちはしばらくいないから、ショキブレスのメンテとかできないの」

夕張「壊したりしないように、という注意をしたかったわけ」

五月雨「なるほど。わかりました」

明石「五月雨ちゃんが一番不安なんだけどね」

五月雨「ちょ、ちょっと!どういうことですか!」

682: 2017/10/30(月) 21:03:54.03 ID:VjaYw9KF0
電「ところで……お二人がいないのは、艦隊としては大丈夫なのでしょうか?」

明石「ああ、大丈夫だよ。多分」

叢雲「多分て……」

夕張「今は大型作戦もないし、大丈夫だって」

明石「そうそう。そんなことよりロボットだ!」

漣「どんなロボットにするんですか?」

明石「変形合体ロボットだよ。五つのメカが合体するの」

漣「おー、王道ですな」

明石「というわけで今から出かけるから、あとはよろしく」

吹雪「はい、了解です!」

683: 2017/10/30(月) 21:04:22.79 ID:VjaYw9KF0
電「巨大ロボット、ですか……」

漣「うっひょー!みなぎってきましたなー!」

吹雪「一か月でできちゃうんだ……」

五月雨「本当になんなんだろうね……この謎技術」

叢雲「そんなロボットが使えたら、戦いも楽になるでしょうね」

漣「いや、巨大ロボットはホイホイ使っちゃいけないんだよねぇ」

吹雪「……そういえば、敵が巨大化したときとかにしか使わないね」

漣「本当にホイホイ使えるものじゃないだろうし」

684: 2017/10/30(月) 21:05:10.97 ID:VjaYw9KF0
五月雨「確かに……動かすのに莫大なエネルギーが必要そうだし」

電「動かした後の処理も大変そうなのです」

漣「しかも巨大ロボで通常サイズの敵狙っても攻撃当たりづらいとかなんとか」

吹雪「へぇー……」


「ねえ」

漣「んお?」

大井「あなたたち、ちょっといいかしら?」

叢雲「あら?」

五月雨「大井さん?」

685: 2017/10/30(月) 21:05:36.95 ID:VjaYw9KF0
ショキカンジャー本拠地


吹雪「えっと……どうしたんですか?」

大井「いえ……ちょっとね」

大井「以前、私が知っているディープマリンについての情報を話したけど……」

大井「今度は、あなたたちが知ってることについて教えてほしいの」

五月雨「私たちが……ですか?」

電「知ってること、と言われましても……」

漣「そんなにないよねぇ」

686: 2017/10/30(月) 21:06:04.97 ID:VjaYw9KF0
大井「とはいっても、最近の奴らの動向を知ってるのはあなたたちだけよ」

大井「以前とほとんど同じだとは思うけど……聞かせてほしいの」

叢雲「なるほどね……わかったわ」

吹雪「最近の動向か……でも、大井さんもいくらかは知ってますよね?」

大井「ええ。工具や資材がなくなったりするのは知ってたわ」

大井「それを聞いたときはまさかと思ったけどね」

五月雨「そうですね……とりあえず、順番に話していきましょうか」

大井「ええ、お願い」

687: 2017/10/30(月) 21:06:41.66 ID:VjaYw9KF0
──────────

──────

───

電「……と、こんなところなのです」

大井「……そう、わかったわ」

漣「大井さんの時と比べてどうですか?」

大井「そうね……やっぱり、ほとんど一緒ね」

大井「ただ、気になることがいくつかあるわね」

吹雪「はい?」

688: 2017/10/30(月) 21:07:07.96 ID:VjaYw9KF0
大井「あなたたちの話を聞く限りでは……奴ら、以前よりも力をつけているわね」

叢雲「そうなの?」

大井「ええ。コウワンも前より頑丈になってたわ」

大井「大きな変化ではないかもしれないけど、それでも一年前よりは強くなってるってことよ」

五月雨「それは厄介ですね……」

689: 2017/10/30(月) 21:07:40.17 ID:VjaYw9KF0
大井「あと、私が知っている中でも……まだ残っている幹部がいるわ」

吹雪「以前言ってた、隠し玉ですか?」

大井「それもあるけど、もう一人いるわね」

電「もう一人?どんな人なのです?」

大井「リトウっていう、離島棲姫そっくりな奴よ」

大井「確か……悪の科学者を自称してたわね」

漣「へー、そういやまだそういう人いなかったなぁ」

690: 2017/10/30(月) 21:08:19.72 ID:VjaYw9KF0
大井「主に怪人や兵器を作るのが仕事らしいけど・・・まあ、正直大したことなかったわ」

叢雲「あら、じゃああんまり問題ないのね」

漣「かぁーっ……浅はかですなー、叢雲ちゅわ~ん」

叢雲「は?」ギリギリ

漣「ぐえーっ!?」

吹雪「叢雲ちゃん、ストップストップ!」

691: 2017/10/30(月) 21:08:46.60 ID:VjaYw9KF0
叢雲「全く……何が浅はかなのよ」

漣「だってさー……ディープマリンって一年前より強くなってるんでしょ?」

五月雨「確かに、そのリトウさんの科学力が増しててもおかしくないよ」

大井「ええ。その可能性は高いわ」

叢雲「……言われてみれば、そうね……」

漣「これだからツンデレガールは……」

叢雲「は?」ギリギリ

漣「ぐええっ!?」

692: 2017/10/30(月) 21:09:23.04 ID:VjaYw9KF0
大井「それと、あなたたちがクウボと戦った時のことが気になるわね」

吹雪「え?何かありましたか?」

大井「……クウボが何しに来たのかってことよ」

電「……あ!そういえば……」

五月雨「何しに来たか知らないね……」

漣「なんか本人は海水浴とか花見とか言ってたけど」

693: 2017/10/30(月) 21:09:52.15 ID:VjaYw9KF0
叢雲「クウボって白雪を操って工具を盗ませてたのよね?それが関係するのかしら?」

吹雪「でもわざわざあんな鎮守府の近くまで来なくていいんでしょ?」

電「工具を運ばせるのもイーさんたちにやらせていたみたいですし……」

大井「クウボじゃないとだめなのか、クウボ以外でもいいのか……」

大井「それはわからないけど、少なくとも幹部クラスが必要なことをしていたってことよ」

五月雨「戦闘員に何か指示してたみたいですけど……」

叢雲「しかも、爆発音まで出してたわよね」

大井「だとしたら、あそこで戦闘員に何かをやらせていて……その監督をしていた可能性が高いみたいね」

大井「……というか、何でそれだけ怪しいのに調べてなかったのよ」

漣「うっ、申し訳ない……」

694: 2017/10/30(月) 21:10:43.93 ID:VjaYw9KF0
鎮守府のはずれ クウボとの戦闘跡


漣「と、大井さんに罵られて調査しに来ましたが」

五月雨「このあたりだよね、クウボさんがいたのって」

叢雲「もう少し森に入ったところじゃなかったかしら」

電「でもこんなところで本当に何をしていたのでしょう……?」

吹雪「確かに……ここまで来たんならいっそ攻めてくればいいのにねぇ」

漣「まぁ、もしかしたらその攻めるための準備だったのかもしれませんぞ」

五月雨「確かにその可能性も……」


ガサッ


五人「!!」

695: 2017/10/30(月) 21:11:35.13 ID:VjaYw9KF0
吹雪「……今の音、何?」ヒソヒソ

叢雲「動物……って感じじゃなかったわね」ヒソヒソ


カーン カーン


漣「お、解体っぽい音も聞こえてきた」ヒソヒソ

電「いえ、あれはもっと嫌な感じなのです」ヒソヒソ

五月雨「えっと……誰かが工具を使って何かしてる……っていうのは間違いないかな」ヒソヒソ

696: 2017/10/30(月) 21:12:11.94 ID:VjaYw9KF0
五人「……」ゴソゴソ

五人は息をひそめ、音のする方へと近づいていく


カーン カーン


叢雲「……誰かいるわね」

吹雪「……あれって」


リ級?「はー、だるいよー……」カーンカーン

リ級?「なんで私がこんなことを……」カチャカチャ

リ級に似た人物が、地面に向かって何かをしている


吹雪「今度は重巡リ級にそっくりな人だ……」

電「ということは……ディープマリンなのです?」

五月雨「その可能性が高いねぇ……」

697: 2017/10/30(月) 21:12:56.96 ID:VjaYw9KF0
漣「んで、あの人何やってるの?」

叢雲「工具を使って何かしてるみたいだけど……」

吹雪「ここからだとよく見えないね」

五月雨「もうちょっと近づいてみる?」スッ


ガサッ


五人「あ」

リ級?「!?だ、誰だっ!!」バッ

電「……バレちゃったのです」

漣「ちょっと~五月雨ちゅわ~ん」

五月雨「……ごめんね」

698: 2017/10/30(月) 21:13:48.11 ID:VjaYw9KF0
リ級?「艦娘……?くそっ、バレたか!」

リ級?「……まあ、こうなったら仕方ない」

リ級?「おい、お前ら!」

吹雪「はい?」

リー「私は秘密結社ディープマリンのリー様だ!」

リー「氏にたくなかったら私の言うことを聞くんだな!」

叢雲「え、何その三下感満載のセリフ」

漣「フラグでしかないね」

699: 2017/10/30(月) 21:14:22.27 ID:VjaYw9KF0
リー「とりあえず……お前たちの艤装を渡してもらおうか」

電「艤装を?どうしてなのです?」

リー「お前たちが知る必要はない!いいから渡せ!」

漣「嫌に決まってんじゃん」

リー「ふんっ……まだ自分たちの立場が分かっていないようだな……」

リー「素直に従えば、命は奪わないでやる!さあ早く持ってこい!」

吹雪「話せば話すほどダメな感じになっていくねこの人……」

700: 2017/10/30(月) 21:14:56.04 ID:VjaYw9KF0
五月雨「とりあえず変身して戦う?」

吹雪「そうだね。じゃあみんな、準備して!」

リー「何をコソコソ……」


五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


リー「!?」

リー「な、何だ!?いきなり!」

リー「何者だ、お前ら!?」

漣「何だかんだと聞かれたら」

叢雲「答えてあげるが……って、何言わせるのよ」

701: 2017/10/30(月) 21:15:24.11 ID:VjaYw9KF0
リー「ま、まさかお前らがショキカンジャー……?」

吹雪「はい、そのまさかです」

リー「なんてこった……よりにもよってこんな時に……」

五月雨「一体、ここで何をしていたんですか?」

電「教えてほしいのです」

リー「こ、答える義理はない!こうなったら、お前らをぶっ倒してやる!」

702: 2017/10/30(月) 21:16:13.40 ID:VjaYw9KF0
リー「覚悟しろぉ!」ダダッ

電「来たのです!」

吹雪「漣ちゃ……」

漣「はいはーい」ギリギリ


バシュッ!


リー「ぐはぁっ!」グサッ

漣「ふふん。いい感じに当たったね」

703: 2017/10/30(月) 21:16:45.61 ID:VjaYw9KF0
リー「くっ、まだまだぁ……!」ヨロッ

リー「まだ近づけば……!」


シュバッ

叢雲「ふん、遅いわね」

リー「え?いつの間に後ろに……」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

叢雲が槍による強烈な一撃でリーを吹っ飛ばす!


リー「ぐああああああああ!!?」ビューン

リー「う、嘘だああああああああああ!!」


キラーン

704: 2017/10/30(月) 21:17:17.92 ID:VjaYw9KF0
叢雲「ふん、口ほどにもない」

電「見事に場外ホームランなのです」

叢雲「適当に小突いただけで吹っ飛んでったわ」

五月雨「すごいよ叢雲ちゃん!」

漣「ちょっとー、漣はー?」

吹雪「うんうん。漣ちゃんも反応が早くて良かったよ」ナデナデ

漣「……なんでなでられてるの?」

705: 2017/10/30(月) 21:18:01.75 ID:VjaYw9KF0
五月雨「それで……あの人何してたの?」

吹雪「ああ、そうだ!その辺に何か……」キョロキョロ

漣「……なんぞこれ?」


リーがいた場所には、半壊した何らかの機械が地面に埋まっていた


叢雲「何かの機械……っていうのはわかるけど」

電「何の機械なのかはわからないのです」

五月雨「しかも壊れてる……あの人はこれを修理してたってことなのかな?」

706: 2017/10/30(月) 21:18:27.57 ID:VjaYw9KF0
吹雪「うーん、これは詳しい人に見てもらうしかないけど……」

漣「じゃあ明石さんたちを……って」

五月雨「……もう、ロボット作りに行っちゃったよね?」

叢雲「それで……一か月いないのよね?」

五人「……」

電「……とりあえず、掘り起こして工廠まで運びましょうか」

吹雪「そうだね……二人が帰ってくるまで待とう」

707: 2017/10/30(月) 21:19:07.86 ID:VjaYw9KF0
翌日
五人は、昨日リーと戦った場所まで来ていた


吹雪「で、また来たわけだけど」

叢雲「昨日ああやってここに来てたってことは、今日も来るかもしれないからね」

五月雨「あのまま機械も放っておかないだろうしね」

漣「うむ、解説ご苦労」

電「……何言ってるのです?」

708: 2017/10/30(月) 21:19:59.44 ID:VjaYw9KF0
漣「んで、どうすんの?」

五月雨「隠れてたほうがいいかな?」

吹雪「……五月雨ちゃんが音立てちゃうから駄目だね」

五月雨「うっ……ごめん」


ガサガサッ


電「……?」

五月雨「何の音?」

叢雲「まさか……」

ガサガサッ


リー「よしっ、ここまで来たぞ」ガサガサッ

五人「……」

709: 2017/10/30(月) 21:20:26.90 ID:VjaYw9KF0
リー「昨日はなんか途中で見つかっちゃったけど……」

リー「今日こそはシュシュっと修理を……ん?」

五人「……」

リー「……」


五人「抜錨!」

リー「う、うわああああ!!」

710: 2017/10/30(月) 21:20:52.98 ID:VjaYw9KF0
数分後


リー「な、何故だ……どうしてこんなことに……」ボロッ

叢雲「さーて、色々しゃべってもらおうかしら」

リー「!?な、何をする気だ!」

吹雪「とりあえず、あなたには捕虜になってもらいます」

リー「くっ、拷問でもする気か……!」

漣「しますよ。えっぐいの」

リー「ど、どんな……?」

漣「そうですねぇ。例えば……」

漣「あなたが、中学生の時に書いた日記やポエムを音読しつつネットにさらす……とか?」

リー「うわああああああああああ!!やめろおおおおおおおおおお!!」

電「あなた、中学時代とかあったのです?」

リー「……はっ、そういえばなかった」

五月雨「えぇ……」

711: 2017/10/30(月) 21:21:19.07 ID:VjaYw9KF0
吹雪「とにかく、まずは司令官の所へ……」

リー「くっ……」


ガサガサッ


叢雲「……ん?また……?」


シュバッ!

五人「!?」


ガッ

リー「う、うわっ!?」

シュバッ ガサガサッ


何者かが突如現れ、リーを奪って去って行った!

712: 2017/10/30(月) 21:21:46.52 ID:VjaYw9KF0
五月雨「な、何?今の!」

電「わからないのです……」

吹雪「多分、あの人の味方……ディープマリンの一員だとは思うんだけど」

叢雲「……今の奴、動きからしてなかなかの手練れね」

叢雲「あのリーとかいう奴より、かなり強いと思うわ」

漣「確かに……顔がフードで見えなかった」

五月雨「え、それ関係あるの?」

漣「強キャラでそんな感じのがよくいるんだよ」

713: 2017/10/30(月) 21:22:22.20 ID:VjaYw9KF0
吹雪「でも……これはまずいね」

電「え?」

吹雪「敵がここで何かしようとしてるってことだよ」

叢雲「そうね……目的はよくわからないけど、あの機械で何かしようとしてるみたいね」

五月雨「機械は一応工廠に持って行ったけど、また作られる可能性高いし……」

漣「まあ普通に来られるだけでも危ないしねぇ」

電「なるほど……ではどうしましょう?」

吹雪「とりあえず、司令官に報告してここに他の人を近寄らせないようにしてもらおう」

五月雨「そうだね。一応敷地外だし、ただでさえ人はほとんど来ないけど」

叢雲「警戒するに越したことはないわ」

714: 2017/10/30(月) 21:22:49.12 ID:VjaYw9KF0
漣「それで、来たときはどうするん?」

電「少なくともいいことをしてるとは思えないですし、やっぱり戦うしかないと思うのです」

吹雪「そうだねぇ……」

叢雲「でも奴らが来た時、どうやってそのことを知るのよ」

五月雨「シンプルに、カメラやセンサーを設置したらどうかな」

五月雨「そのうち壊されちゃうかもしれないけど……」

漣「大丈夫っしょ。あいつら馬鹿だし。壊すにも全くバレずにやるってのも難しいだろうし」

叢雲「まあ……それがよさそうね。下手な小細工よりはいいと思うわ」

電「そうですね。とりあえず、司令官さんに報告するのです」

715: 2017/10/30(月) 21:23:24.18 ID:VjaYw9KF0
執務室


提督「うーむ、鎮守府近くで敵が何かしようとしている、か……」

吹雪「それで、どうですか?」

提督「ああ。あそこには近寄らないよう、全員に通達しておくよ」

提督「あと、カメラとかなら簡単に設置できるはずだ。今日中には終わるだろう」

提督「異常があった時はお前たちに知らせるようにする……が」

漣「が?」

提督「できれば、昼の間だけでもその近くにいてくれないか?」

提督「近くにいたら、すぐ対応出来るだろう」

提督「それに、何が起こるかわからん。いつの間にか、カメラが壊されてるかもしれんからな」

五月雨「はい、了解です」

提督「頼んだぞ」

716: 2017/10/30(月) 21:23:51.09 ID:VjaYw9KF0
叢雲「うーん……しばらく、あのあたりにいることが多くなりそうね」

電「どのくらい続くのでしょうか?」

吹雪「わからない……どうにか目的がわかればいいんだけど」

漣「えー?めんどいー」

五月雨「でも本当にあそこにしか来ないのかな?」

吹雪「どうかな……そうだといいんだけど」

叢雲「今考えても仕方ないわ。とにかく、私たちはあそこで様子を見ましょ」

717: 2017/10/30(月) 21:24:17.02 ID:VjaYw9KF0
電「でも……強い敵が来たらどうするのです?」

叢雲「どうするって言っても、戦うしかないじゃない」

吹雪「うーん、まあ訓練して戦力増強するしか……」

漣「……戦力ということに関して、問題があると思うんですけど」

五月雨「え?」

718: 2017/10/30(月) 21:24:57.59 ID:VjaYw9KF0
電「あっ、確かに……そうなのです」

吹雪「え?え?」

叢雲「そうよね……漣の言う通り、問題あるわね」

五月雨「な、何……?」

漣「……だって、吹雪ちゃんと五月雨ちゃんさぁ……」

漣「……まだ、必殺技使えないじゃん」

吹雪・五月雨「うっ……」

719: 2017/10/30(月) 21:25:58.40 ID:VjaYw9KF0
吹雪「そ、それはその……ごめん」

叢雲「二人とも、どうしてちゃんと訓練してるのにまだ使えないのよ?」

五月雨「わ、わからないよ……」

電「まだ武器を使いこなせてないのでしょうか……」

漣「武器になんか問題があるんじゃない?」

吹雪「いや、前に明石さんたちに見てもらったけど、問題ないはずだって……」

五月雨「電ちゃんが使えるようになったのも、ついこの間でしょ?」

五月雨「だから、武器の扱い以外で何か原因があるんじゃないかって……」

漣「うーん……原因がわからない以上は仕方ないか」

吹雪・五月雨「すみません……」

720: 2017/10/30(月) 21:26:25.29 ID:VjaYw9KF0
翌日

五人は、例の場所の近くで訓練をしていた


漣「そこで漣は言ってやったんですよ」バシュッ

叢雲「ほうほう」ブンッ

漣「『てめぇの敗因はたった一つ……たった一つのシンプルな答えだ』」

漣「『鎮守府近海を一人でうろついてるからだ』と」バシュバシュッ

叢雲「そりゃあイ級も納得せざるを得ないわね」ブンブンッ

漣「でしょ?そしたら大人しく帰って行ったけど、また一人で来たんだよねー」

叢雲「迷子じゃないの?それで偶然ここまで来たとか」

漣「まあそうかなー」

叢雲「っていうか、言葉通じたのね」

漣「うん。何か通じた」

721: 2017/10/30(月) 21:26:52.87 ID:VjaYw9KF0
吹雪「こらー、二人ともー。真面目に訓練しなさーい」

叢雲「してるわよ。雑談しながらやってるだけよ」ブンブンッ

漣「そうだよ。ほら、全部的に当たってるし」バシュバシュッ

吹雪「いや、的に一回穴空いたら当たったかどうかなんてわかんないよ……」

漣「あっ、そっか」バシュバシュッ

722: 2017/10/30(月) 21:27:20.78 ID:VjaYw9KF0
五月雨「今日も来るのかな?」

電「来ないのが一番なのですが……」

吹雪「でも、また一人で来るってことはないよね」

五月雨「そうだねぇ……一人だとまずいってことはわかっただろうし」

電「イーさんたちを引き連れてくるのでしょうか?」

吹雪「それくらいならまだいいんだけど……」


ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!


五人「!!」

叢雲「これって、昨日設置したセンサーの警報……よね」

五月雨「ていうことは、誰かが……?」

吹雪「みんな、行こう!」

723: 2017/10/30(月) 21:27:46.40 ID:VjaYw9KF0
漣「……来てみたけど」

電「あれは……」


ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!


ル級?「ちょっと!何よこれ!」

リー「あれ?昨日までこんなのなかったんですけど……」

ル級?「あー、もう!これどうやったら止まるのよ!」

イー「うるさくてかなわんですイー」

724: 2017/10/30(月) 21:28:13.13 ID:VjaYw9KF0
漣「そこのボタン押したら止まりますよー」

ル級?「え、これ?」

漣「そうそう。それ」

ポチッ

ル級?「あっ、止まった」

漣「おー、よかったよかった」

漣「イエーイ」スッ

ル級?「イエーイ」スッ


パシッ

ピシガシグッグ

漣・ル級?「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

725: 2017/10/30(月) 21:28:42.37 ID:VjaYw9KF0
ル級?「ふぅ……」

ル級?「……」

ル級?「……うわぁ!誰よあんた!」

五月雨「え、遅すぎない?」

叢雲「やっぱディープマリンってバカしかいないのかしら」

リー「あー!お前たち……!」

リー「ルーさん!こいつらがショキカンジャーです!」

ルー「え!?こいつらがショキカンジャー!?」

電「今度は戦艦ル級にそっくりなのです」

吹雪「空母ヲ級もそのうち出てきそうだね」

726: 2017/10/30(月) 21:29:08.73 ID:VjaYw9KF0
ルー「ふむ……まあいいわ」

ルー「私の名前はルー!今からこいつらと一緒にあなたたちを打ち倒してくれるわ!」

漣「大柴さんですか?」

ルー「え!?藪からスティックに何を言うのよ!」

叢雲「ノリノリね」

五月雨「あれ?これ、今から戦うんだよね?」

吹雪「そうだけど」

電「そんな空気じゃないのです」

727: 2017/10/30(月) 21:29:52.56 ID:VjaYw9KF0
ルー「あーもう!とにかく、邪魔する気ならやるわよ!お前たち!」

イーたち「イー!!」ダダッ

五月雨「うわ、いっぱい来たよ!」

叢雲「あーもう……さっさと倒すわよ」

電「このくらいの数なら、大丈夫なのです!」

吹雪「みんな、準備はいい!?」

漣「いいともー!」


五人「抜錨!」

728: 2017/10/30(月) 21:30:19.80 ID:VjaYw9KF0
イーたち「イー!!」ダダダ

電「そーっ、れ!」ブンッ


ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!

電がハンマーを振り回し、イーたちを打ち倒していく!


イーたち「イーーーーーーッ!!!」

リー「なっ、一撃であんな大勢を!?」

ルー「噂通り、ただ者じゃないわね……!」

イーたち「ま、前に戦った時よりも格段に強くなってるイー……!」

電「訓練の賜物なのです」

729: 2017/10/30(月) 21:30:48.58 ID:VjaYw9KF0
ルー「ひ、ひるむんじゃない!お前たち、行きなさい!」

ルー「あと、リーも行きなさい!」

リー「え、私もですか!?」

ルー「いいから、ほら!」

リー「うぅ……仕方ない!」ダダッ

リー「おらぁ!喰らえぇ!」ブンッ

吹雪「よっと」シュバッ

リー(!避けられ……)

吹雪「はぁっ!」ズバッ

リー「ぐあああああああ!!」

730: 2017/10/30(月) 21:31:19.07 ID:VjaYw9KF0
ルー「り、リー!!大丈夫!?」

リー「くっ……大丈夫、です……が……」

リー(心配するならむやみに突っ込ませるなよ……)ガクッ

ルー「リーーーーーーーー!!」

ルー「くそう、よくもリーを……!」

ルー「こうなったら、私が直々に戦ってやるわ!覚悟なさい!」ダダッ

五月雨「……え!?私!?」


ルー「とうっ!」ブンッ

五月雨「くっ!」バシッ


ルーの拳を、五月雨は刀で防いだ!

731: 2017/10/30(月) 21:31:47.56 ID:VjaYw9KF0
ルー「ほらほらほらぁ!」バシバシッ

五月雨「は、速い……!」バシバシッ

五月雨(イーたちよりも強い……一筋縄じゃいかない)

五月雨「……そこっ!」


ザパァァァァァァ!!!

五月雨はルーの足元めがけて水を放出した!


五月雨(これでバランスを崩せば……!)

ルー「おっと!」シュバッ

五月雨(!?避けられた……!)

ルー「甘い甘い!」ドガッ!

五月雨「うぁっ……!」ヨロッ

ルー「このままボコボコにしてやるわ!」ブンッ

五月雨「……!」

732: 2017/10/30(月) 21:32:31.71 ID:VjaYw9KF0



吹雪「せいっ!」ドガッ

ルー「ウワラバッ!?」ズザッ

ルーが五月雨に拳を振り上げた瞬間、吹雪が背後から一撃を加える!


五月雨「ふ、吹雪ちゃん!?」

吹雪「五月雨ちゃん、大丈夫?」

五月雨「う、うん……」

ルー「くっ……いつの間に後ろに……」

吹雪「お仲間はもういませんよ」

ルー「何っ!?」バッ


イーたち「イー……」ピクピク

リー「うーん……私のポエム……読まないで……」ピクピク


ルー「なっ、全滅なんて……!」

叢雲「ふん、あっけなかったわね」

電「束になっても、電たちには勝てないのです!」

733: 2017/10/30(月) 21:33:12.37 ID:VjaYw9KF0
吹雪「さあ、残るはあなただけです」チャキッ

ルー「くっ……」

ルー「こうなっては仕方ない……やってやるわ!」ダダッ

吹雪「……!」

ルー「うおおおおおお!!」ダダダダ




ズルッ

ルー「あれ?」コケッ

ルー(あ、さっきの水で足元が)

吹雪「とりゃあ!!」

ズバァァァァァァァァッ!

ルー「ぎゃあああああああああ!!」

734: 2017/10/30(月) 21:33:45.29 ID:VjaYw9KF0
ルー「ぐはぁ……強い……!」

吹雪「さて、あなたたちを捕虜に……」

ルー「!!て、撤退よ!あんたら!」

イーたち「イ、イー!!」ダダッ

リー「……え!?あれ!?ちょっ、置いてかないでー!!」ダダッ

叢雲「あ、待ちなさい!」

電「行っちゃったのです……」

漣「逃げ足速いなー」

735: 2017/10/30(月) 21:34:17.65 ID:VjaYw9KF0
吹雪「……五月雨ちゃん、大丈夫?」

五月雨「……」

吹雪「五月雨ちゃん?」

五月雨「……うん、大丈夫。ありがとう」

叢雲「じゃ、帰りましょ」

漣「何だかんだ疲れたー」スタスタ

電「お茶でも飲むのです」スタスタ

五月雨「……」スタスタ

五月雨「……はぁ……」

漣「あ、五月雨ちゃん、気を付けてー」

五月雨「え?」


ズルッ

五月雨「あ」

736: 2017/10/30(月) 21:34:44.48 ID:VjaYw9KF0
そして、それから────


ルー「ふはははは!!また来たわよ!」

リー「今度は作戦がある!行くぞ!フォーメーションZだ!」

「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」

叢雲「しつこい!」ドカッ!

737: 2017/10/30(月) 21:35:12.08 ID:VjaYw9KF0
ディープマリンは何度も攻め込み────


ルー「今日は助っ人を連れてきたわ!」

ター「ドーモ、ショキカンジャー=サン。ターです」ペコッ

漣「ドーモ、ター=サン。ショキカンジャーです」ペコッ

電「……何やってるのです?」

ター・漣「アイサツ」


漣「イヤーッ!」バシュッ!

ター「グワーッ!」グサッ!

漣「サヨナラ!」

738: 2017/10/30(月) 21:35:52.91 ID:VjaYw9KF0
ショキカンジャーと戦い────


リー「今日は私の相方を連れてきた!」

ネー「……」

リー「……ネー?どうした?」

ネー「……帰っていい?」

リー「え!?」


リー「ちょっ、ネー!助けて!」

ネー「……ごめん……こっちも、いっぱいいっぱい……」

リー「ええ!?」

ネー「……本当に申し訳ない……」

リー「そ、そんなぁ!」

電「えいっ!」ブンッ

リー「えっ」

739: 2017/10/30(月) 21:36:44.83 ID:VjaYw9KF0
その度に敗走し────


ヲー「……」

吹雪(本当に来た、ヲ級そっくりな人……)

ルー「……ヲー?どうしたの?」

ヲー「……ヲッ」

ヲー「ヲッヲッヲー」

ルー「……ふむふむ、そうなの」

吹雪「え、言ってることわかるんですか?」

ルー「いや、全然わかんない」

吹雪「えぇ……」


吹雪「はぁっ!」ズバッ

ヲー「……」

吹雪「……!?効いてない!?」

ヲー「……」プルプル

ルー「……いや、これは痛いのを我慢してるわ」

吹雪「えぇ……」


そしてなんやかんやで最初の襲撃からニ週間が経過した

740: 2017/10/30(月) 21:37:31.06 ID:VjaYw9KF0
ショキカンジャー本拠地


叢雲「あー、もう!何なのよあいつら!毎日のようにあそこに来て!」

電「流石に疲れるのです……」

漣「マジでたまにセンサーとか壊すし……やってらんねーぜ!」

吹雪「妖精さんたちに直してもらってるとはいえね……」

吹雪「しかし、相変わらず目的が分からない……」

叢雲「すぐに出ていかずに、ちょっと様子見したこともあったけど……」

漣「結局ほとんど何もしないんだもんよー。わからん!」

電「でも、正直……ただ単に来て戦ってるようにしか見えないのです」

吹雪「どうなんだろうね……」

741: 2017/10/30(月) 21:38:16.27 ID:VjaYw9KF0
五月雨「……」ボー

叢雲「……五月雨?」

五月雨「……ふぇ!?な、何!?」

叢雲「いや、何でもないけど……」

電「どうしたのです?最近ボーっとすることが多いのです」

漣「顔色も少し悪いし、疲れてるんじゃ?」

五月雨「だ、大丈夫!何でもないよ!」

叢雲「ドジることも多いし」

電「この間はジュースと間違えてタバスコ飲みそうになったのです」

漣「五月雨ちゃんがドジなのは元からだから問題ない」

五月雨「ちょ、ちょっと!漣ちゃん!」

742: 2017/10/30(月) 21:39:05.90 ID:VjaYw9KF0
五月雨「とにかく、何でもないから心配しないで」

叢雲「そう?ならいいけど」

漣「じゃあドミニオンでもしようか」

電「あ、帝国入れてほしいのです」

叢雲「そもそもあれ四人までのゲームじゃない……」

五月雨「……」

吹雪「……」

743: 2017/10/30(月) 21:39:52.93 ID:VjaYw9KF0
その夜


吹雪「……」

吹雪は、いつも五人が訓練している場所の近くに来ていた


涼風『ん?五月雨?』

吹雪『うん。最近ちょっと様子がおかしくて』

涼風『あー、確かにボーっとしてるねぇ』

吹雪『同室の涼風ちゃんなら何か知ってると思って』

涼風『うーん、そうだねぇ……』

涼風『……最近、夜に部屋をこっそり出ることが多くなったね』

744: 2017/10/30(月) 21:41:15.10 ID:VjaYw9KF0
吹雪『夜に?』

涼風『うん。消灯してしばらくすると、どっか行っちまうんだよ』

涼風『最初はトイレで行ってんのかと思ったけど、それにしては長い間戻ってこないみたいなんだよ』

涼風『あたいはその間に寝ちまうからそのあとは知らないけど、朝起きたら普通に戻ってるよ』

涼風『そのことについて聞こうかと思ったこともあるけど、なんだか聞きづらくてねぇ』

吹雪『……そっか』

吹雪『わかった、ありがとう』

涼風『おう!』

745: 2017/10/30(月) 21:41:47.30 ID:VjaYw9KF0
吹雪(私の予想だと、このあたりで……)

ブンッ ブンッ

吹雪「……!」


五月雨「はぁ……はぁ……」


ブンッ ブンッ

五月雨は、一人で刀の練習をしていた


五月雨「はっ!はっ!」

ブンッ ブンッ


吹雪「……」

吹雪(やっぱりね……)

746: 2017/10/30(月) 21:42:44.07 ID:VjaYw9KF0
五月雨「はぁ……はぁ……」

吹雪「……こんな時間に、何やってるの?」

五月雨「!!」

五月雨「……吹雪ちゃん」

吹雪「……訓練なら、二人でやったほうが良いんじゃない?」

五月雨「……」

吹雪「相手になるよ」

五月雨「……うん、じゃあ、お願いしようかな……」

747: 2017/10/30(月) 21:43:13.91 ID:VjaYw9KF0
しばらく後


吹雪「はぁ……はぁ……」

五月雨「こ、ここまでにしよう……」

吹雪「そ、そうだね……」

五月雨「ふぅー……」

吹雪「……」

吹雪「……どうして、夜中に訓練してるの?」

五月雨「……今日、なんとなく眠れなくて」

吹雪「でも、最近夜に出てることが多いって、涼風ちゃんが」

五月雨「あれ……涼風にバレてたんだ……」

五月雨「起こさないようにしてたつもりなんだけどな……」

五月雨「あはは……ダメだなぁ、私……」

吹雪「……」

748: 2017/10/30(月) 21:43:49.10 ID:VjaYw9KF0
五月雨「……最近、みんな強くなったよね」

吹雪「え、そう?」

五月雨「うん。強くなった」

吹雪「そうかな……五月雨ちゃんも同じくらいだと思うよ」

五月雨「いや、そういう単純なことじゃなくて……」

吹雪「?」

五月雨「……何て言ったらわからないけど……もっと、根本的で、大切なもの……」

五月雨「そういった強さが、最近みんなの中で芽生えてる気がするんだ」

吹雪「……」

749: 2017/10/30(月) 21:44:22.55 ID:VjaYw9KF0
五月雨「……この間だって、吹雪ちゃんに助けられたし」

五月雨「このままだと……みんなの足を引っ張って、迷惑かけちゃうと思って……」

五月雨「みんなと同じ強さは手に入らないと思ったから……少しでもみんなに近づけるよう、こうやって夜に訓練してたんだ」

吹雪「……そうだったんだ」

五月雨「……でも、全然追いつけない」

五月雨「みんな、本当に強いから」

五月雨「私なんかじゃ……ダメなのかな」

吹雪「……」

750: 2017/10/30(月) 21:44:49.41 ID:VjaYw9KF0
吹雪「……そんなことないと思うよ」

五月雨「……え?」

吹雪「私からしたら、五月雨ちゃんは強いよ」

五月雨「吹雪ちゃん……?」

吹雪「だって……」



ドガッ

二人「!?」

何かが破壊される音が、二人の耳に入ってきた!

751: 2017/10/30(月) 21:45:16.59 ID:VjaYw9KF0
吹雪「何今の!?」

五月雨「今の音……森の方からだね」

五月雨「しかも、木なんかが折られた音じゃなくて、機械が壊されたような音だったよ」

吹雪「……もしかして、カメラやセンサーが壊された!?」

五月雨「行ってみよう!」

752: 2017/10/30(月) 21:45:54.53 ID:VjaYw9KF0
ダダッ

五月雨「!!誰かいる!」

吹雪「あれって……!」


フード「……」

フードをかぶった何者かが、破壊されたセンサーとカメラを前にして立っていた


吹雪「この人……」

五月雨「この間、リーさんを連れて去って行った人……だね」

753: 2017/10/30(月) 21:46:34.81 ID:VjaYw9KF0
吹雪「……まさか、夜にセンサーを壊しに来るなんてね」

五月雨「しかも、センサーに全く引っかからずに……」

五月雨「どうする?みんなを呼んでくる?」

吹雪「その間に逃げちゃうと思うよ……」

フード「……」

五月雨「じゃあ、二人で戦うしか……?」

吹雪「それしかなさそうだね」

吹雪「……大丈夫?訓練の後だけど」

五月雨「大丈夫……戦える」

吹雪「じゃあ……行くよ!」スッ

二人「抜錨!!」

754: 2017/10/30(月) 21:47:22.19 ID:VjaYw9KF0
吹雪「はぁっ!」ブンッ

フード「……」バシッ

吹雪(!素手で、弾かれた……)

吹雪(でも、まだ!)

吹雪「はあああ!!」シュバババッ

フード「……」バシバシバシッ

吹雪「くっ……」

755: 2017/10/30(月) 21:48:04.43 ID:VjaYw9KF0
五月雨「やぁー!!」ブンッ

フード「!」ガッ


グググ……

五月雨(!……刀を素手でつかむなんて……でも!)


ザパァ!!

フード「……!」

バシィッ!!

五月雨は刀に水をまとわせ、フードの腕を弾いた!


五月雨「そこぉ!!」ブンッ

フード「!!」

756: 2017/10/30(月) 21:48:42.81 ID:VjaYw9KF0
シュバッ!

五月雨「!!」

五月雨の攻撃を、フードは宙返りでかわした!


五月雨「っ……」


スタッ

フワッ

宙返りした時、フードがめくれ、敵の素顔が現れた


二人「……!」

レ級?「……」