102: 2009/01/19(月) 19:40:38 ID:3nItBcnZ
「眠い…」
今日も無事、夜通しの任務を終えて基地に戻る。
昨晩、任務のためにハンガーへ向かうとエイラが待っていた。
エイラはたまに、任務外で私の哨戒任務に付き合ってくれることがある。
103: 2009/01/19(月) 19:40:59 ID:3nItBcnZ
彼女がストライカーの無断使用を咎められているのを私は見たことがないし、
きちんと使用許可は取っているんだろう。
『今日は私も行くよ』
笑いながら、彼女はそう言った。
『……ダメ』
そんなエイラを、私は拒んだ。
そのときは気付かなかったけど、随分冷たい声で言ってしまった気がする。
『んなっ!?なんで!?』
『…今日は、新月だから』
まさか拒まれるとは思っていなかったのだろう。エイラは捨てられた仔犬のような目で私を見つめてきた。
『…新月の空は、危ないから』
私のように、目で見なくとも遠くまで見通せる能力があれば、新月も満月もさほど問題ではない。
しかし、そのような能力を持たないものにとって、新月の空は危険だ。
目を閉じていても飛行できるような熟練したウィッチであれば、話は別だろうけど。
『…わかった。じゃあ、気をつけていくんだぞ』
エイラは淋しそうに笑って、ハンガーを後にした。
私が一人で夜間哨戒任務にでかけるのとき、エイラは私が離陸するのを見守ってからハンガーを出ていくのに。
やっぱり、怒らせてしまったんだろうか。
『……エイラ?』
返事は、ない。
『…ごめんなさい』
こんな小さな声では聞こえるはずがないのに。
私は夜空へ飛び立った。
きちんと使用許可は取っているんだろう。
『今日は私も行くよ』
笑いながら、彼女はそう言った。
『……ダメ』
そんなエイラを、私は拒んだ。
そのときは気付かなかったけど、随分冷たい声で言ってしまった気がする。
『んなっ!?なんで!?』
『…今日は、新月だから』
まさか拒まれるとは思っていなかったのだろう。エイラは捨てられた仔犬のような目で私を見つめてきた。
『…新月の空は、危ないから』
私のように、目で見なくとも遠くまで見通せる能力があれば、新月も満月もさほど問題ではない。
しかし、そのような能力を持たないものにとって、新月の空は危険だ。
目を閉じていても飛行できるような熟練したウィッチであれば、話は別だろうけど。
『…わかった。じゃあ、気をつけていくんだぞ』
エイラは淋しそうに笑って、ハンガーを後にした。
私が一人で夜間哨戒任務にでかけるのとき、エイラは私が離陸するのを見守ってからハンガーを出ていくのに。
やっぱり、怒らせてしまったんだろうか。
『……エイラ?』
返事は、ない。
『…ごめんなさい』
こんな小さな声では聞こえるはずがないのに。
私は夜空へ飛び立った。
105: 2009/01/19(月) 19:50:57 ID:3nItBcnZ
回想に浸っている間に、基地へ到着した。
エイラの出迎えを、ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ期待していたけれど。
「…ただいま」
だけどハンガーに、エイラの姿は無く。
やはり昨晩のことを怒っているんだろうか。
「お、サーニャ。今帰ったのか?」
ストライカーを脱ぎ、フリーガーハマーをしまっていると、背後から声をかけられた。
振り返ると、坂本少佐がいた。
私は坂本少佐のことが少し苦手だ。第一印象で抱いた『怖そう』というイメージがいまだに拭い去れない。
「…はい。…坂本少佐はどうしたんですか?」
「私か?もちろん訓練さ。サーニャも付き合うか?」
「…上官命令ですか?」
私がそう返事をすると、少佐は目を丸くした。
「はっはっは。冗談だよ。まさかサーニャに冗談で返されるとは思わなかったがな!」
いつものように快活に笑いながら、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
…私としては、冗談のつもりはなかったんだけど。
106: 2009/01/19(月) 19:51:36 ID:3nItBcnZ
「哨戒任務から帰ったばかりの部下を私の訓練に付き合わせたらミーナに怒られてしまうよ。
…おっと、疲れているのに長話に付き合わせて悪かった。
ゆっくり休め。…そうだな、これは上官命令ってことにしておこうか」
はっはっは、と笑いながら、まだ薄暗い滑走路に少佐は駆けて行った。
私は坂本少佐のことが苦手だ。でも、同時に憧れてもいる。
もし私があの人のように明瞭に話せたら、きっとエイラを傷つけたりしなかっただろう。
「…がんばってください、少佐!」
ちょっとだけがんばって、大きな声を出してみた。それでも小さな声だったけど。
「ああ!」
意識しないと聞こえなかったであろうその声に、少佐は手をあげて応えてくれた。
…おっと、疲れているのに長話に付き合わせて悪かった。
ゆっくり休め。…そうだな、これは上官命令ってことにしておこうか」
はっはっは、と笑いながら、まだ薄暗い滑走路に少佐は駆けて行った。
私は坂本少佐のことが苦手だ。でも、同時に憧れてもいる。
もし私があの人のように明瞭に話せたら、きっとエイラを傷つけたりしなかっただろう。
「…がんばってください、少佐!」
ちょっとだけがんばって、大きな声を出してみた。それでも小さな声だったけど。
「ああ!」
意識しないと聞こえなかったであろうその声に、少佐は手をあげて応えてくれた。
107: 2009/01/19(月) 19:52:26 ID:3nItBcnZ
ハンガーを後にして、宿舎へ戻った。
「……」
エイラの部屋に入っていいものか、考える。
きっとエイラはいつものように、『今日だけだかんな!』なんて言って私を受け入れてくれるだろう。
でも、エイラの優しさに付け込むようで気が進まなかった。
私がエイラを傷つけたなら、私から謝るべきだと思った。
だってエイラは、私の一番大切な親友だから。
だから今日だけは、一人で眠ることにした。
目を覚ましたら、エイラときちんと仲直りしたいな。
おやすみ、エイラ。
「……」
エイラの部屋に入っていいものか、考える。
きっとエイラはいつものように、『今日だけだかんな!』なんて言って私を受け入れてくれるだろう。
でも、エイラの優しさに付け込むようで気が進まなかった。
私がエイラを傷つけたなら、私から謝るべきだと思った。
だってエイラは、私の一番大切な親友だから。
だから今日だけは、一人で眠ることにした。
目を覚ましたら、エイラときちんと仲直りしたいな。
おやすみ、エイラ。
108: 2009/01/19(月) 19:56:27 ID:3nItBcnZ
以上です。
タイトルは例によって考えてないっていうか、前回のタイトルに共通性を持たせようとしたら思いつかないorz
三日月?朝だっつーの!
タイトルは例によって考えてないっていうか、前回のタイトルに共通性を持たせようとしたら思いつかないorz
三日月?朝だっつーの!
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