560: 2009/01/27(火) 18:24:12 ID:1qZsl8Fb

赤く大きな太陽が、西の海に沈みかけている。
「すう、すう」
真っ赤に染まって人気のないミーティングルームに静かな寝息だけがきこえる。
そこへ、昼寝をしていたのか、お気に入りの毛布を引きずりながらルッキーニがミーティングルームに入ってきた。
ここで寝なおすつもりなのだろう。まっさきに一番大きなソファアにむかい、そこに先客がいるのを発見する。
「う、わぁ。めずらしぃ」
静かに寝息を立てていたのはペリーヌだった。ひじ掛けを枕にして大きなソファアの上でわざわざ小さくなって眠っている。
いつもは自分がミーティングルームで気持ちよく寝ていると起こしてくるペリーヌ。おもしろくなかった。
「むぅ~どんな顔でねて、ぃ・・・」
間抜けずらを拝んでやろうと思ってペリーヌの顔にかかっていた髪をどけかけたところでルッキーニの手が止まる。
ペリーヌの目もとには涙がたまっていて、頬に涙が走った跡があった。
「なんで」
突然のことに戸惑っているとペリーヌがもぞもぞと動いた。ルッキーニの肩がはねる。
「んん、お母、さま・・・」
「あ、」
小さな声だった。けれど、ほかに誰もいないミーティングルームでははっきりと聞こえた。
(強がってても子供なんじゃんか・・・)
ルッキーニでも、彼女の国の事情は知っている。その寝言から、涙の理由にも見当はつく。
それでも、すぐに何かをしてやることはできないのだ。彼女も子供だから、何をしてやればいいかもわからない。
(特別だかんな)
そう心の中で呟きながら、自分のお気に入りの毛布をペリーヌにかけてやる。そして、シャーリーがいつも自分にしてくれるように、ペリーヌの頭を優しく撫でた。
「ん、あれ?わたくし・・・」
「んきゅぁっ!」
「ひゃっ、なんだ、ルッキーニさん?」
思わぬタイミングで起きたペリーヌに驚いたルッキーニが声を上げる。その声に驚いて声を上げたペリーヌがきょとんとした顔でルッキーニを見た。
そこで初めてルッキーニはペリーヌが眼鏡をかけていないことにきづく。おそらく眠るために取ったのだろう。眼鏡越しではない、きれいな黄金色の瞳はきらきらと
涙と夕日でひかっていた。

561: 2009/01/27(火) 18:24:48 ID:1qZsl8Fb
きれ~)
そんなペリーヌの瞳にすっかり見とれてルッキーニはペリーヌを見つめて何も言わないので、ペリーヌのほうはだんだん不安になってくる。
「あれ?ルッキーニさんですわよね?この毛布も・・・」
「・・・」
「あの、ルッキーニさん?」
「え、はにゃにゃ、そうだよ!」
ペリーヌが目の前で手を振ったことによりやっとルッキーニはかえってくる。
そんなルッキーニをみてペリーヌは一安心したあとため息をつく。
「わたくしったらこんなところで寝てしまって、はしたないですわ・・・。ああ、しかも眼鏡まではずして」
そういいながら目もとに手を当てようとする。
「ああっ、だ、ダメ!」
「へ?」
ルッキーニは、ただ一つしか考えていなかった。
この強がりのお嬢様は自分が家族の夢を見ながら泣いていたことを、しかもその泣き顔を他人に見られたと知ったら自分を恥じるだろう。
もちろん、ルッキーニはそんなことは恥だなんて思わないが、ペリーヌはそう思うだろう。そういう性格だと理解するぐらいには長く二人は一緒にいる。
「ちょ、ちょっと!」
だから、ペリーヌの手を押さえて、涙を舌ですくい取る。頬に走った跡まで。しっかりと。
「な、なななな」
みるみるペリーヌの顔が赤くなっていく。ペリーヌが流した涙の跡がわからなくなるぐらいのころには、普段は白い肌が真っ赤な湯でだこのようになっていた。
「なにをするんですの!!」
しばらく口を開け閉めしたあと、やっとのことで声を出す。
「ん~、お昼のミートソースついてたから~」
ルッキーニはいつもの調子で返す。すると、ペリーヌは下を向いてプルプルと震えだす。
「そ、そんなわけないでしょう!!」
次の瞬間勢いよく立ちあがった。
「うきゅぁ~。本当だもん~」
それを見てルッキーニは急いで出口にかける。
「あ、こら!おまちなさい!」
それを慌てて眼鏡をかけて追いかける。
「ミートソースおいしかったよ~」
ルッキーニは全力疾走で逃げる。脱兎のごとく逃げる。
「きー!!嘘をつくのはおよしなさい!止まりなさい~」
それをペリーヌが追いかける。
「嘘じゃないも~ん」
ペリーヌに追いかけられながらルッキーニはそう叫んで、そのあとに心の中で付け加える。
(ミートソースじゃぁなかったけど)
そんなルッキーニはちょっとだけ嬉しそうなのでした。

 おわり


562: 2009/01/27(火) 18:27:45 ID:1qZsl8Fb
あ、ごめんなさい!石は投げないで!

研究不足ですみません。でも、どうしても書きたかったんだ。
ペリーヌは時々家族を思って泣いてるのではないかと、でも強いのがペリーヌ。
ペリーヌは好きなキャラだっ!

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart18