1: 2015/11/10(火) 09:11:36.92 ID:n+f1nIOt0
ただ、寒いということだけが伝わってきた。





プロ----サー!!----ゃ!!いやぁ!!!



なんとしてでも----けえるわ!!----必ず!!



---歩!!見ちゃ---だ!!!


兄----!!!!!-----ちゃん!!!!!






ピ-



ピ---




ピ----



3: 2015/11/10(火) 09:17:19.12 ID:n+f1nIOt0
P「・・・・」


P「ここは・・?」





P「病院・・?」


P「それにしては随分と、機械じみた場所だな」



白い、真っ白い空間に棺のようなカプセル。俺はそこで眠っていたらしい。
そのカプセルには幾つもの管がつながっていて、なんというか、近未来的な装置であった。

4: 2015/11/10(火) 09:21:13.20 ID:n+f1nIOt0
「信じられない・・まさか・・こんな」


しばらくすると一人の男性が入ってきて俺に色々と質問をした。


そして最後にこう述べたんだ



「君は、そうだな。なんといえばいいか・・眠っていたんだ」


P「はあ」


「事故だったそうだ。そう、伝えられている」


「診断では、目覚めるはずがなかったんだがね」



P「そんなにひどい事故だったんですか?」


「そうらしい」


P「そうらしいって・・・曖昧ですね」



「曖昧にもなるさ」





「君は、80年間眠っていたんだ」

5: 2015/11/10(火) 09:24:24.98 ID:n+f1nIOt0
何を言っているのか理解できなかった


P「80年間って、なんですか?」



そんな馬鹿みたいな質問を普通にしてしまっていた



医師によるとこうだ。


俺は80年前に事故に遭い、とある人物により目覚めるまで冷凍保存されていた。


そして今日、つまり80年後に目覚めた、と。



6: 2015/11/10(火) 09:28:35.41 ID:n+f1nIOt0
P「馬鹿らしい・・何かのドッキリなんですか?」


医師は何も言わない。おい、どうしてそんな顔をする。やめろ。そんな目で俺を見るな。



P「申し訳ないが、外に出ても?」


「ああ。でもきっと、覚悟がいる」

7: 2015/11/10(火) 09:33:50.96 ID:n+f1nIOt0
P「なんだよこれ」



そこはもう現実ではなかった。少なくとも俺の知る。


車は空を飛び、人々は機械のレールの上をただ滑るのみ。


昔みた何かのアニメの、未来光景そのままだった。



「80年で世界は大きく変わったんじゃないかね」


医師がそう言う


P「早く冷めてほしいですよ・・」

9: 2015/11/10(火) 09:35:58.82 ID:n+f1nIOt0
それから俺は数日、ただ意味もなくすごしていた。


不思議と空腹は訪れなかった。腕に付けられている点滴おかげらしい。



それからしばらくして医師が小さな小包を盛ってやってきた。

10: 2015/11/10(火) 09:39:31.91 ID:n+f1nIOt0
P「・・・俺に?」


「ああ、君が目覚めたら渡して欲しいと。そういわれている」


P「誰から?」


医師は告げる


「水瀬グループだ」




水瀬----水瀬


やっとなんだか頭に馴染みのある言葉が溶け込んでいく


俺は小包を開けた。中にはビデオテープが入っていた。

11: 2015/11/10(火) 09:49:26.21 ID:n+f1nIOt0
『-------あー、あー


 ちょっとぉ!これであってるわけ?


亜美も話すー!!ハロー!兄ちゃん!!

           ちょっと!!待ちなさいよ!!』ジ------ジジ


『こんにちわ。でいいのかしら?ま、なんだっていいわ。


 これをもし見れてるって事は、あんたは無事ってことよね?


私がわかる?水瀬伊織、あんたの担当するスーパーアイドルよ!


説明はきっと医師から聴いてると思うけど、あんたは交通事故で意識不明ってわけ。

本当、情けないわ!!なにしてんのよ!!あんたは!!みんなが、私が、どれだけ心配したと・・!』


伊織・・・すまない。そうだったのか。頼む、泣かないでくれ。


『はぁーい!兄ちゃん!!亜美だよー!兄ちゃんが起きないから亜美、退屈だよ・・もちろんみんなもね!

早くぱぱっと起きちゃって、亜美たちをまたプロデュースしてね!!』


亜美、目が真っ赤だな。もしかして、寝てないんじゃないのか?

12: 2015/11/10(火) 09:56:01.64 ID:n+f1nIOt0

『プロデューサーさん、三浦あずさです。体調は、その、大丈夫ですか?


 私たちも色々と大変ではありますが元気でやってますよ。あ!そうそう!


 音無さん、新しく入ったプロデューサーさんとうまくいきそうなんです!ふふ、応援してあげてくださいね』



あずささん・・髪、また伸びたんですね。懐かしいな。音無さんもいい出会いが合ったみたいだな


『プロデューサー殿!!いつまで寝てるんですか!!!こっちは大変なんですよ!!


早く起きてプロデュース活動に戻ってください!「でないと、私、私が、いつまでたってもアイドルに戻れないじゃないですか!


私のプロデュースする人は、もう決まってるんですからね!!』


律子・・・すまない・・・

13: 2015/11/10(火) 10:01:18.06 ID:n+f1nIOt0
『あ!プロデューサーですか!!!僕です!!真です!!


どうですか!髪、伸ばしてみたんです!最近ではもう王子も卒業かなんて騒がれちゃってて、


それもそれで寂しい気がするんですけどね・・・えへへ



早く起きてくださいね。僕の、王子様』



真・・・すっかり大人な女性になったな。見違えるほど綺麗になった。



『はいさい!・・っていうのも久しぶりな気がするんだけど、こんにちわ!響だよ!


自分、沖縄に帰ろうと思うんだ!家族のことも心配だしそれに、それに・・


プロデューサーじゃないと、やっぱり自分だめみたいなんだ!だから、早く起きて沖縄までまた見つけに来て!待ってるから!』



響・・・髪の毛きったんだな。迎えにいってやれなくてごめんな

14: 2015/11/10(火) 10:12:57.96 ID:n+f1nIOt0
『はろー!兄ちゃん!・・・なんてノリ、今じゃちょっと恥ずかしいね


双海真美です。姉のほうだよ。覚えてくれてるかな?


真美ね。アイドルやめようと思うんだ。そんでね!お医者になろうと思うんだ!


いおりんやひびきんはからかってくるんだけど、兄ちゃんなら、応援してくれるよね?


待っててね。』


真美・・・すっかりお姉さんじゃないか、高校生、くらいか?プロデュースしてやれなくてごめんな



『雪歩です。なかなか決心がつかないで、ごめんなさい。なんだか、ビデオに出ちゃうと本当にさよならになっちゃう気がして


でも、今日はどうしても言わなきゃいけないことがあって、だから私も勇気を出しました!!


わ、私、結婚することになったんです!!!あの私がですよ!?信じれませんよね!!!


プロデューサーがいなくなって、どうしようもなくなった私を支えてくれた人で、どことなく、プロデューサーに似てるんです


今まで言わなかったんですけど、私、プロデューサーのこと好きだったんですよ?えへへ


今まで、ありがとうございました。大好きです』



雪歩・・・ありがとうな。そして心からおめでとう。


『やよいです!こんにちわ!私、今日で30歳になるんですよ!えへへ、プロデューサーより年上になっちゃいましたね


どうかな・・変じゃないかな?うぅー・・少し怖い気もします。それで、今日で私もアイドルは引退です!


プロデューサーと、最後までトップアイドル目指したかったですけど、私ちょっと疲れちゃったみたいです!


・・・ごめんなさい。高槻やよいは、ここでリタイアです!


プロデューサー、私毎日ここに通って手、握ったりハイタッチしたりしてたんですよ!伝わってたら、嬉しいな』



すまない、やよい。まだ、すごく冷たいよ。でも心は温かくなった。今までお疲れ様。




15: 2015/11/10(火) 10:22:37.34 ID:n+f1nIOt0
『ハニー・・・もう、起きないの?


美希、もうおばさんになっちゃったよ??いいの?人気、なくなっちゃうよ?


ダンスもね、だんだんできなくなってきたんだ。初めてもう無理かもって思っちゃってる。


ハニーが頑張れって言ってくれたら、美希。。。美希・・!!


美希もハニーみたいにずっと寝てられたら良かったのに。今はもう、すぐ起きちゃうの。


いつも寝るなー!って怒ってたくせに、寝すぎじゃないかな?もう、美希待ってあげないよ?いいの?


早く、起きてよぉ・・・はにぃー・・・』



美希・・・ごめん・・ごめんな・・・ずっと、待っててくれたんだな・・・



『プロデューサー。千早です。ご無沙汰しています


何を話せばいよいのかわからず、気づいたらこんなに時間が立ってしまいました。


プロデューサーは、夢を見てますか?私はいつも見ています


あのころの765プロがいつか、帰ってくるんじゃないかと。


ですが、もう夢も見えそうにないです。のど、痛めてしまって。厳しいだろうって。


私、歌姫なんていわれるくらいになったんですよ!・・・プロデューサーに、見てもらいたかったな。


なのでこれが最後です。聞いてください。如月千早で、眠り姫』



千早・・・本当にお姫様みたいだ。傍で支えてやれなくてごめんな。歌、一生忘れないぞ。

16: 2015/11/10(火) 10:29:28.76 ID:n+f1nIOt0
『あなた様、貴音です。

今日はご報告があり、私がこうして姿を見せることとなりました。


三浦あずさと、萩原雪歩、それに、如月千早がこの世を去りました。


みな、幸せそうな顔をして眠ってましたので、安心してください。


人とは皆、最後が平等にくるものです。アイドルも例外ではございません。


・・・そろそろ私もいくとします。またあなた様にめぐり合えると、確信していますよ。


今まで私を導いてくださり、真、ありがとうございました。貴音』



貴音、みためが変わってないじゃないか・・・そうか、みんな、幸せだったんだ、なぁ・・・


『最後に、言い忘れたことが、きっと彼女はあなた様をまだ待ってることでしょう。』



彼女・・?、まさか・・・

17: 2015/11/10(火) 10:32:55.42 ID:n+f1nIOt0
「あの、どうしたんですか?」



P「え?」


「あ、あの!いえ、泣いている様子だったので・・・」


P「ああ、ちょっと昔を思い出してね・・・かっこ悪いとこみせちゃった・・・ね」




P「春香?」

18: 2015/11/10(火) 10:39:52.23 ID:n+f1nIOt0
「あ、はい!私、はるかですけど、どうして・・?」


P「は、春香なのか!?本当に!?天海春香なのか!!俺のアイドルの!!」


「・・・・いいえ。違います」


P「・・・え?」


「私は天海晴香、きっとあなたのアイドルは私のあばあちゃんの、天海春香ですよね」


P「・・・そ、う だよな。すまない。あはは、まさか、春香のやつも結婚してただなんて」


P「君は俺を見て驚いたり、頭のおかしなやつだとか、思わないのかい?」


晴香「思いませんよ。だって、おばあちゃんが話してくれていた人、そのものなんですもの。」


晴香「じゃあ、行きましょうか」


P「・・・いくってどこへ?」


晴香「天海春香のところです」

19: 2015/11/10(火) 10:44:05.35 ID:n+f1nIOt0
晴香「ここです」


P「ここに、春香が?」


晴香「今年で97歳になります」


P「97歳、昨日のように思えるな。80年だもんな」


晴香「あって上げて下さい」


P「ああ」


俺はノックをする。ノックの音が静かな空間に響いた。



「はい。どうぞ」


その声をきき間違えるはずはない。どんなに時間が経とうと、それは間違いなく、天海春香だった

20: 2015/11/10(火) 10:51:31.98 ID:n+f1nIOt0
P「春香」


春香「・・・プロデューサー?」


P「ああ」


春香「・・・・プロデューサーさん、なの?」


P「、ああ」ギュ


春香「あぁ。本当だ。プロデューサーだ」


P「待たせたな ありがとう。本当に」


春香「私、トップアイドルになったんです。みんなも、一緒に、付いてきてくれて」


P「ああ」


春香「プロデューサーさんに、見せたかった、なあ」


P「大丈夫。今、見てるよ」


春香「・・・・えへへ。おかえりなさい」


P「ああ、ただいま」


春香「みんなにも、教えてあげなくちゃ。きっと。喜び、ます」


P「すぐに会いに行くってみんなに伝えてくれ。今度はもう離れないからな。ずっと一緒だ」


春香「・・・。。。うん」



P「春香」


春香「・・・」


21: 2015/11/10(火) 10:52:59.69 ID:n+f1nIOt0
晴香「・・・・」


P「・・・」


春香「・・・」




晴香「二人とも、とっても幸せそう。どんな夢を見てるの?」

22: 2015/11/10(火) 11:14:55.39 ID:n+f1nIOt0
そこは、少しだけ薄掛かった、夜だった。


足元には優しく柔らかいヒカリの塊がたくさん満ちていて、私は裸足のまま夜の草原を歩く。


どこからか、懐かしい歌が聞こえてくる。


始まってゆく
果てなく続くひとつの道を
駆け出してゆく
まっさらな名もない希望を抱いて

どんな行き先でも
喜びと悲しみは廻る
辛くても進んでゆけるのは
大切な夢があるから







「春香!」

「遅いよ!」

「待ってたんだから!」

「これでみんな集合だね!」

「だね!」

「遅いですよー!」

「そうせかしちゃだめよ」

「春香らしいっちゃらしいわね」

「もう待ちくたびれちゃったの」

「急いで転ばないようにねー!」

「思いは、伝えられたようですね」

「おかえりなさい。春香」


「うん!ただいま!」





終わらない My Song...







23: 2015/11/10(火) 11:17:15.80 ID:n+f1nIOt0
そして終わらないアイドルマスター


本当の最後がどういう結末なのか、必ずこの目で確かめるぜ。


その日がくるまでプロデュースあるのみだ!!


ありがとうございました!!!!

26: 2015/11/10(火) 12:47:12.43 ID:EjydmcaZO

いい夢みたね。

引用: P「目覚めた80年後の世界で」