1: 2013/08/27(火) 21:28:00 ID:a8/NkYvg
それぞれスレ立てるのが憚られた為、一気に纏めて載せます


○エレン「敵さんって、仲間になった途端戦力落ちるよなぁ」
○ライナー「ありゃどうみても、俺に気があるよな?」
○ベルトルト「あぁ、皆で巨人を倒そう」


将来的に無理だろうが、こんな展開があって欲しいと言う願望の一遍
読み間違いから生まれた一遍
シリアスな気分で一気に描いた一遍

せめてジャンルを纏めろよ、と言うツッコミは既に己で入れ
二十四時間体制かつ、サシャ風のスライディング土下座をしながら、絶賛謝罪中です

2: 2013/08/27(火) 21:31:56 ID:a8/NkYvg
●エレン「敵さんって、仲間になった途端戦力落ちるよなぁ」



これは、なんやかんやで山奥組が仲間になり

これで「進撃の巨人」と言うタイトル通り、巨人を駆逐しまくる巨人軍団が出来る事に……
……なんて、ならなかったお話です




「お前らこれ……、酷いわ」


そう呟いたのは、エレン・イェーガー
言わずと知れた主人公で、趣味は巨人を駆逐する為の技術を磨く事……と言う、巨人化の能力の保持者である

調査兵団と言う場所に、巨人の力を持ってして様々な功績を上げた
その功績が認められ、エレンは最年少での分隊長となっている

そんな彼の表情は、今現在酷く歪んでおり――視線はナイフの様に鋭い
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)
3: 2013/08/27(火) 21:35:33 ID:a8/NkYvg

そして彼の視線を、一心に受けている者たちがいる
元壁を壊す為の戦士、だが今は兵団の兵士として共に闘う事となった三人組

ライナー、ベルトルト、アニ
彼らは今まで散り散りとなり、人類と協力をしてきたが――この度分隊長に就任したエレンの元で、彼直属の部下として働く事となった三人だ

そして三人は今現在
その身を縮めるようにしながら、自らの直属の上司――エレンの次の言葉に怯えている

4: 2013/08/27(火) 21:38:12 ID:a8/NkYvg

「まず、ベルトルト」
「はい」

運が悪く一番最初に呼ばれたのは、黒髪の青年
元々気の弱さを宿していた彼の表情は――エレンの不機嫌を理解している為に、一層弱々しくなっていた


「お前さ、最初の登場からして凄かったよな?……人類を守る壁を壊しながらの登場は、さながら人類VS巨人の縮図的で」
「そう、だったね」

嘘は言われていない為、否定のしようがない
二度に渡り、壁を崩した事……その直接的な原因はベルトルト自身であり、彼もそれは自覚している

なのに――と、エレンの口が呆れた様に動く


「何なんだよ、お前さ……殆ど動けない、動きが滅茶苦茶に鈍いって言うこの設定」

上司の言葉に、指摘された者は視線が泳ぐ
そのまま泳いで、大河にでも行っちまえ――なんて無意味で無責任な言葉が、エレンの脳裏によぎって行った

5: 2013/08/27(火) 21:43:30 ID:a8/NkYvg

「でっでも――これでも一番の破壊力がある…」

その言葉は、エレンの睨みつけによって遮られた
ベルトルトの喉はひくりと痙攣をし、こめかみの辺りから冷や汗が流れてきている


「破壊力なんて、無駄だろうが」

この声は地を這う様な声、とでも言うのだろうか
それとも怒りを宿した、と言うべきか?

場違いな考えがふとよぎる……が
そんな考えを掻き消す様に、エレンは拳と共に声を張り上げた


「動き回るんだよ、敵はっ!」

どん!とお茶を乗せたテーブルが揺れ
苛立ちがそのまま出て来たとでも言う様な、大きな音が三人の鼓膜を揺らす

破壊力があったって、自身が動けないと言うのなら意味が無いだろ!
と言う反論の勢いを保ったまま――苛立ちと共に、エレンは言葉を続けた

6: 2013/08/27(火) 21:46:05 ID:a8/NkYvg

「しかも、高さを生かして避難所にしようとしても!お前ってば体温高すぎて人が近づけないし!
唯一の、人を安全に保管でき場所が口の中って……口の中って!」

戦力期待していたのに使えない、と言う
そんな行き場の無い焦燥感は、吐きだされた言葉の中でもしっかりと存在感を現していた

その勢いに負けて、ベルトルトも思わずエレンを気遣って言葉を口にせざるを得ない


「う、あ……なんか、その……ごめん」

正直、それは体質なので仕方のない物ではないか――とも思える部分はある物の
素直な謝罪に、気遣われたその人は少しだけ冷静さを取り戻す

まぁ本当に――ほんの少しの、冷静さではあったが

7: 2013/08/27(火) 21:48:53 ID:a8/NkYvg

でも


「今じゃお前の巨人ってさ、役に立っている事って……平地で手先を動かす事だけだもんな」
「…………うん」

多少の冷静さを取り戻しても、彼の心の中にある焦燥感までは拭えなかったらしい
責めたてられている言葉は、依然口から漏れ続けている

そして立体機動がし難い平地で、アンカーを刺される仕事なんて……そう誇りに思う事など出来ないのだろう
ベルトルトの眉は八の字になり、目尻には若干ながら水分が見え始めていた


「おい、待てよエレン」

ベルトルトの隣に立っていた、青年――ライナーが擁護するように口を開く
同情や憐みは無い、ただ真摯な表情で言葉を発する

8: 2013/08/27(火) 21:50:28 ID:a8/NkYvg

「ベルトルトは巨人の力は扱い慣れているし――腕を部分的に巨大化させて、攻撃なんて事も出来るんだぞ」

役立たずなはず無いだろう、と言う意を込められた反論

その言葉に、ベルトルトは反射的に顔を上げ
上げられた顔を横目で確認したライナーは、励ましの意を込めて背中をぽんっと叩いた


「ライナー……ありが…」

ありがとう、そう告げようと紡がれていた言葉は
他人の声によって、遮られた


「いつやったんだ」
「――――え」

ライナーに対するお礼に、言葉がかぶせられた
それに驚いた声を漏らすと、エレンの口からもう一度同じ言葉が放たれた

9: 2013/08/27(火) 21:54:28 ID:a8/NkYvg

「だから、お前確か――腕のみの巨人化は以前やっていたよなぁ。それはいつだったかって聞いているんだよ」
「え、えぇっと……一ヶ月くらい前に平地での交戦時、かな」

その時は、複数の巨人と遭遇していたと思う
正確に告げられた言葉に、同期であり上司である黒髪の男は言葉を紡いだ


「資料には……お前の巨人化自体、建物のある地域や森の中では使えない……それに加えて人が入り乱れる地域では使えないと書いてある
ついでに前回の、その平地での使用時は――腕の巨人化後に、全身の巨人化が遅れていた。と書かれているんだが」

問題をしっかりと把握された報告書に、ベルトルトの体から再び水分が出て来た
今回は涙はなく、冷や汗のみと言う形で

そんな彼の心情を汲んだのだろうか
エレンはその資料を机の上に置くと、ジッと青年を見つめた

10: 2013/08/27(火) 21:59:02 ID:a8/NkYvg

「勝手な事はもうやるな、あと腕のみの巨人化は禁止だな」
「うぅ――返す言葉もありません」

溜息と共に吐きだされた言葉は、正にその通りで
前回は元々指示をされていた事柄の前に、無理な攻撃を行った……その反動により巨人化が遅れていたのは事実

其処を指摘されると、反論なんて出来ない
しゅんと項垂れてしまったベルトルトを見て、慌てたライナーが自分達の責任者へと声を上げた


「お――おい、エレン!やめろよ、仕方ないだろう。こいつだって頑張って…」

擁護の甲斐があったのか、エレンの冷たい視線はベルトルトを庇った者へと向かった
そう、擁護の甲斐はあったのだ……が

これから言われる事柄を考えると、な
ライナーの背筋に、冷たい物が流れていった

12: 2013/08/27(火) 23:07:41 ID:a8/NkYvg

「うるせぇゴリラ、大体お前だって使い辛すぎる」
「――――すまん」

結果
ベルトルトと同じく、ライナーも素直に謝るしか出来なかった

そして、おそらく次に来る言葉も理解できる
しかしライナーは、その言葉を止める術を持ち合わせていない


「なぁ……未だに兵士側と戦士側に分かれているとか、何なのお前」
「…………」

予想と、寸分違わぬ言葉が発せられる
その告白には、ライナーの両隣りにいた二人も驚いた表情をした

仲間になってからは裏切り防止の為に、それぞれ別々の任務を命じられていた為
知らなくても当然、なのだが

二人の表情を一瞥した後
エレンは少しだけ、意地の悪い口調で続きを話し出した

13: 2013/08/27(火) 23:15:56 ID:a8/NkYvg

「しかも今、それを治す為に病院に通っているんだろ?」
「あぁ、きたるべき戦いの為…」

言葉の途中だが、エレンはピクリとこめかみを揺らした
そして得た感情を吐き捨てる様に、大きい声でライナーを妨げる


「その戦いが今だろ!その戦いの真っ最中に療養中とか、どうしてくれるんだ!」
「…………ぐ」

再び凄い剣幕で怒鳴られ、さすがのライナーも二の句が継げない
確かに来るべき戦いの真っ最中に、戦に備えて療養――なんて、あまりの自堕落ぶりだ


「しかも何だ、医者になんて言われたか……言ってみろよ」

容赦のない追い打ちが、再び放たれる
そんな厳しい対応で、言い訳を挟む雰囲気すら認めないエレンに


「――ストレスを感じない生活を心掛けろ、と」

ライナーは、通院以上に……他の二人には知られたくなかった情報を


「そう、言われました」

口にするしかなかった

14: 2013/08/27(火) 23:20:00 ID:a8/NkYvg

その時、ライナーの心にのみだったが
ボキッと何かが折られる様な音が聞こえた

完全に折られた心、自尊心
それは隣にいる二人を守る、と堅く心に誓っていた彼にとって羞恥としか言い表せない感情だった


「戦場でストレスの感じない場所ってあるのか?」
「…………」

「何処にあるんだよ!!」
「…………ありません」

効果音が付きそうな位に、ライナーが項垂れる

先程励まされたベルトルトも、同じく隣に立っていたアニも
普段見る、兄貴肌な幼馴染の傷ついた姿に……どう反応していいのか分からなかった

16: 2013/08/27(火) 23:23:22 ID:a8/NkYvg

「お陰で筋肉隆々の頼れる兄貴キャラのお前は、後方で本部との連絡のやり取りばっかりだなんてな」
「そうだな」

ベルトルトは「やめて、もうライナーのライフはゼロ!」と思いっきり顔に書かれている様子で、オロオロしつつも
でもその様子を眺めている事しか出来ない、と言った様にしている

アニも表情には出ていないが、ライナーの様子をひたすら伺っているので心配しているのだろう
だがそんなに心配したからと言って


「キャラじゃねぇだろ、役立たず」

この鋭利なセリフを止める事なんて、出来ないのだけれど


そして、先程の雰囲気とは少し変わり
幾分柔らかい表情を浮かべて、エレンは最後の一人へと目線を向けた

17: 2013/08/27(火) 23:27:45 ID:a8/NkYvg

「それに比べて、アニは流石だな」

その視線には、訓練兵時代にあった尊敬のまなざしがまだ幾分か残っている様に見え
キツイ事を言われると予想していたアニは、少しだけ肩すかしをくらった


「そ、そうかな」

だが、しかし……油断はならない
次に何が来るかは分からない為、少しだけ強張った返答


「そうそう、戦闘でも役立つし、巨人たちを引き連れて逃げてくれた事もあるんだろ?」

お前が巨人達を引きつけてくれたお陰で、危機を脱した
そんな明確な評価を提示してくれたエレンに、アニはどう対応していいか分からない

結果、無言のまま少しだけ頬を染めて口角を少しだけ緩める
それが彼女の照れている時の表情である事は、今はベルトルトだけが理解した


(よかった、アニはキツイ事を言われずにすんで)

未だに放心してしまっているライナーの横で申し訳ないが、想い人の傷つく表情を見ずにすんだ事に安堵し
タイミング良く、少し交わった視線で彼女にその事を伝えた

アニもようやく肩の力を抜いて、安心した様に視線だけで笑む

18: 2013/08/27(火) 23:32:30 ID:a8/NkYvg

「でもまぁーー結晶体から出てくるのが遅すぎて、もう能力的には特筆される程でも無いって言うのがな」

だが世界は残酷だった
そして評価と言う物は、とてもシビアだった

警戒心を解いた所に突き出された鋭利な刃物に、アニの表情がビシリと固まる
だがそんな顔なんて歯牙にも掛けず、エレンは溜息と共に思いを馳せる様に呟いた


「俺の頭をふっとばしていたあの蹴りが懐かしいよ」
「…………」

ぐうの音も出ない

正にそんな様子の少女に対して、エレンの表情は「考慮する必要は無い」とでも言う様に素っ気ないままだ
そんなエレンの……まるで値踏みをする様な視線に固まる少女に、小さな声が彼女の鼓膜を揺らす


「アニ……」

19: 2013/08/27(火) 23:36:05 ID:a8/NkYvg

エレンはその言葉を発した青年へ、軽く目をやる

発言権は無いのに、それを承知で少女を心配する青年は
自分の親の氏に、直接的な原因を作った――親の仇とも呼べる奴だ

その存在を軽く注視した後に、そしてその隣へと視線を移す


「…………」

未だに項垂れたままの青年は、顔を上げる気力さえも失ってしまった
その姿からは訓練兵時代に見た、あの頼りになる雰囲気は見てとれない

そして……


「…………ぅ」

悔しそうに、唇を噛みしめる少女
小さな体に合う小さな手のひらを、ギュッと握りしめながら言葉に耐えている

エレンは各々三人の姿を認めた後
ゆっくりと、視線を伏せて――そして何かを決心したように、瞳を開けた

20: 2013/08/27(火) 23:39:16 ID:a8/NkYvg

「なんてな…………嘘だよ」

場違いな言葉が、三人の耳に届いた
その言葉を認識した瞬間、三人ははじかれた様に顔を上げる

そこには少しだけ辛そうに眉を顰めながらも、笑顔を湛えた……自分達のよく見知っている少年
彼の成長した姿があった


「がっかりなんてするもんか、お前たちが仲間になってくれて……実は嬉しかったりするんだ」

嘘ではない、と付け足された言葉に
三人の脳はゆっくりとその事実を染み込ませていく

でも、しかし


「エレン」

辛そうに、でも嬉しそうに
希望と絶望と言う相反する心情を、相手の名前に込めたのはベルトルトだった

仲間と認められて嬉しい、でもそんな事はあり得ない
おそらくその感情が一番強い彼の言葉を、真っ直ぐなエレンの声が遮った

21: 2013/08/27(火) 23:46:12 ID:a8/NkYvg

「あ、でも許した訳じゃないからな。この戦いが終わったら……お前たちをもう一度、ボコボコにするつもりはあるんだぜ」

エレンの瞳にも、二つの相反する感情があった

一方の感情はなりを潜め、とても小さい
そして、大きいほうの感情――共に闘えて嬉しいと言う心情が、希望と言う形でその表情に宿っている

それは訓練兵の時に彼がしていた眼差しと、とてもよく似ている瞳
成長し、様々な真実を知って来た為に、全く同じ瞳とは言えないが……それでも

ただひたすらに、前だけを見ている瞳だ


その瞳を見た瞬間に、三人は

――帰ってきたんだ、と思った

22: 2013/08/27(火) 23:49:22 ID:a8/NkYvg

罪深い自分達に、もう向けられる事は無いと思っていた感情
自分達の姿をしっかりと見つめて、言われた言葉

それが自分達を恨んでいる、彼の口から……


「ふん、どこかで聞いた様なセリフだね、また返り討ちにしてやろうか?」
「……引きこもって鈍りまくった奴が、何を言うんだ」

噛みしめられていた唇を、アニは開き
ライナーは頼りがいのあるその大きな手を、アニとベルトルトの背中に力強く押しつける

まるで背中を守る様な、そして押してくれている様な感触に
力強さを与えられた二人は、じんわりと涙腺から涙が染み出してくるのを感じた


「この戦いが終わるまでに、私は必ず本調子を取り戻してみせるよ」
「俺も、必ず……体調を取り戻ず!」

涙を堪えて言いきったセリフの後に、最後の最後に涙声を含んでしまった声
アニが視線をチラリと向けてみると……其処には二つの瞳から、豪快に涙を流しているライナーの姿があった

本当に思いにも寄らず見てしまったその顔に、アニは口と鼻から息が吹き出しそうになり慌てて手を添えた
が……笑いを押し頃した自分とは対照的な楽しそうな声が、四人の間に響く

23: 2013/08/27(火) 23:53:15 ID:a8/NkYvg

「ふはっ、ライナーは先に精神面だろ!……ったく、最終的にはアニよりお前の方が、鈍っていそうだな」
「はぁ!?」

急にツッコミを入れられた所為か、ライナーが素で素っ頓狂な声を上げる
それは今のライナーが兵士だと言う証明の様な物で、そんな彼がエレンと共に笑いあっていて……


「ふ、あはは」

その二人のやり取りで、笑い声を上げたのはベルトルトだった
つられてしまい、ついにアニも笑う

笑い声と共に、大量の涙を引き連れて


共に過ごしてこれなかった、時間の長さを埋める様に
笑い声と涙は、三人の体から溢れ続けた

24: 2013/08/27(火) 23:56:34 ID:a8/NkYvg

「なにはともあれ、おかえり。よく帰って来てくれたな……ライナー、ベルトルト、アニ」

「ただいま、エレン」

「エレン、待たせちまったな」

「ありがとう。ただいま、エレン」


それぞれの口から、それぞれの言葉が流れる
エレンは一つ一つの言葉に、あぁと相槌を打ちながら笑顔で答えた





その時――古びた扉の開く音が、唐突に響く
そして音と共に、扉を開けた者の姿が部屋中に歩を進めてきた

――その姿には全員、見覚えがあった

部屋の中に居た全ての人物の視線を受けた者は、気だるそうに全員の姿を確認すると
特に驚いた様子もみせず――何故かじろりと、その鋭い視線のまま四人を睨みつけて来た

25: 2013/08/27(火) 23:58:41 ID:a8/NkYvg

「よぉ、お前ら――こんな所で油売ってんのか?クソ、こんな扱き使っているのにお前らは談笑かよ」

ひょろりとした体系に、鋭い三白眼
そのストレートすぎる言い回しは、間違えようがなかった


「え……ユミル?」
「ハァー、疲れた」

唐突に入ってきた元同期はその言葉と共に体の力を抜いて、入り口付近に置いてあったソファーに座りこんだ
髪には埃っぽさがついており、用事から帰ってきた事が窺える

そんなユミルに文句も言わず、エレンはさも当然と言う様に口を開いた


「おかえりユミル、戦果はどうだった?」
「南側の方は潰してきた、エルヴィンが腕のいい奴らを貸してくれたお陰でな」

さらり、と団長の名前を呼び捨てにしながらユミルは報告をする
そしてチラリと、この部屋の主である分隊長以外の者たちに視線を向けた

26: 2013/08/28(水) 00:03:55 ID:2wFJAnPE

「ついでにエル……団長殿は。そいつらがエレンの部下になる事も教えてくれていたんだが、本当なんだな」
「なんだ、せっかく驚かせようと思っていたのに」

知ってんのかよ、残念だと笑いながら話すエレンに
ユミルもまた、残念だったなと意地悪く笑う

目の前で交わされる会話に、つい先ほどまで感極まっていた三人は思わず呆けた


(え、なに……この信頼されている感)
(それに戦果、だと?)

つい今しがたまで
自分達がどれだけ使えないかを突き付けられていた三人に、その会話は眩しすぎ


「ついでに、散っていたユミルの民を三人程見つけて来た。まぁ私が巨人のまま出たんで、移動がスムーズに出来たのがよかった――て
おいおい、どうしたんだお前ら!そんな俯いて……なんか肩も震えているぞ!?」

その気遣いもまた、三人の「嫉妬」と言う炎には十分すぎる油であった為

27: 2013/08/28(水) 00:06:15 ID:2wFJAnPE


「ゆ……」

「ユミルの……」

「アホー!」


「――――はぁ!?」


なんて……三人組がそんな言葉を、つい叫ぶには
十分すぎる理由になったのだった





【敵さんって、仲間になった途端戦力落ちるよなぁ...end】

28: 2013/08/28(水) 00:12:05 ID:2wFJAnPE

漫画では、仲間になった途端パッとしなくなるの法則で三人組を考えてみた
意外にしっくりときた!ので突発的に書いた短編でした

個人的反省は、ライナーを苛めすぎた事……でも、ライナーならいいかと思ってしまう自分を否定しきれない事
――が反省点です

29: 2013/08/28(水) 00:32:01 ID:c2WFUp82
乙でした!!面白かったです。
ライナーとか仲間になったら敵の攻撃力を際立たせるためのかませにされそうww
エレンは幾つくらいなんです。アニが出てくるのが遅すぎたって言うくらいだから25歳くらい?

引用: エレン「短編を」ライナー「三編」ベルトルト「纏めて載せるよ」