1: 2010/03/21(日) 19:40:06.33 ID:V36HfztP0
~土曜日 駅前~


ハルヒ「今日は凄くいい天気ね」

ハルヒ「まさしく絶好の不思議探索日和だわ!」

ハルヒ「あたしには分かるわ! 今日は何かが見つかる気がする!」

ハルヒ「待ってなさいよ、この世の不思議! 絶対にあたしが見つけ出してやるわ!」

ハルヒ「さぁ今日こそSOS団の名を歴史に残してやるわよ!」


ハルヒ「…………と、思ってたのに」

ハルヒ「なんで……」




ハルヒ「なんであたし以外の全員が欠席なのよー!!」

3: 2010/03/21(日) 19:42:04.82 ID:V36HfztP0
ハルヒ「まったく! みんなSOS団の団員としての自覚があるのかしら?」

鶴屋「まあまあハルにゃん、落ち着くっさ」

ハルヒ「それで、その代理を頼まれたっていうのが……」


キョン妹「キョンくんの代理だよー」

鶴屋「あたしはみくるの代理っさ!」

国木田「長門さんの代理だよ(キョンの頼みで)」

谷口「古泉の代理だ(キョンの頼み+肉まん奢りで)」

ハルヒ「……ちなみにみんなどんな理由で欠席したの?」

キョン妹「キョンくんは風邪ひいたんだって。うつるといけないからって部屋に入れてもらえなかったよ」

鶴屋「みくるは親戚のお葬式だって言ってたよ」

国木田「長門さんは実家に帰る用事ができたんだって」

谷口「古泉はバイトだそうだ」

ハルヒ「はあ……」

4: 2010/03/21(日) 19:46:05.26 ID:V36HfztP0
ハルヒ「鶴屋さんなら納得できるわ。何たってSOS団の名誉顧問だもの」

鶴屋「にゃっはっは」

ハルヒ「妹ちゃんも将来のSOS団を背負って立つ逸材だしね」

キョン妹「うん、せおってたつー!」

鶴屋「ほう、それは初耳っさ」

ハルヒ「この2人はいいとして、何であんた達までいるわけ? 今日は別に人手不足でもないわよ」

谷口「んだとぉ! せっかく来てやったのによ!」

国木田「相変わらずきついな、涼宮さんは」

鶴屋「まあまあハルにゃん、いいじゃないか。ここまで来て帰らせるのもかわいそうだよ」

キョン妹「人数がいっぱいいる方が面白いと思うよー?」

ハルヒ「う~~ん……ま、いないよりマシと思うことにするわ。ありがたく思いなさい」

谷口「けっ」

ハルヒ「あたし、鶴屋さん、妹ちゃん、谷口国木田か……」


ハルヒ「随分と変わった不思議探索ね」

10: 2010/03/21(日) 19:52:05.25 ID:V36HfztP0
鶴屋「いやー、一度不思議探索には参加してみたかったんだよね!」

キョン妹「あたしも~! キョンくんってば連れてってくれないんだもん」

国木田「こんな休日もたまにはいいかな」

谷口(ふっふっふ、不思議探索なぞどうでもいい! 俺の目的はただ1つ……)

鶴屋「やっはっはっはっはー!」

谷口(鶴屋さんと今まで以上にお近づきになることだ! やってやる! やってやるぜー!)


ハルヒ「じゃあ2グループに分かれるわよ」

谷口「へ?」

ハルヒ「不思議探索はいつも2グループに分けて効率よくやってるのよ」

国木田「そういえばキョンもそんなこと言ってたような」

ハルヒ「あたしと鶴屋さんと妹ちゃん、あとその他のグループでいくから」

谷口「おおおおおい!!」

11: 2010/03/21(日) 19:58:05.42 ID:V36HfztP0
谷口「ちょっと待て! 何だその分け方は!」

ハルヒ「それじゃ、12時にあそこの喫茶店に集合ね」

谷口「おま、話を聞」

ハルヒ「いい? 絶対に不思議を見つけるのよ! 分かったわね!」

谷口「~~~~」

ハルヒ「ではでは、出発するわよ! レッツゴー!」

鶴屋「レッツゴー!」

キョン妹「ご~♪」


谷口「ぐ……駄目だ、俺ではとてもじゃないがツッコミきれなかった……」

谷口「はは、キョンはすげぇよなぁ……あんな涼宮の相手を毎日のようにしてるとは……」

国木田「谷口、落ち着いて」

12: 2010/03/21(日) 20:02:05.45 ID:V36HfztP0
国木田「仕方ないよ。それにキョンの話では昼にグループ替えもあるみたいだしさ」

国木田「その時に期待するしかないよ。さ、行こうか」

谷口「納得いかねえ」

国木田「谷口?」

谷口「せっかくの休みなのに、何が悲しくて男2人で街歩かなくちゃいけないんだよ!」

国木田「いや、だからさ……」

谷口「尾行するぞ」

国木田「え?」

谷口「あの3人を尾行するって言ってるんだよ。ほら行くぞ」

国木田「ちょっとちょっと! 谷口!」

谷口「見つかりもしない不思議探しより、こっちのほうがマシだ! うがー!」

国木田「おもいきりストーカーじゃないの、それ……?」

14: 2010/03/21(日) 20:06:05.07 ID:V36HfztP0
鶴屋「最初はどこに行くんだい、ハルにゃん?」

ハルヒ「ふっふっふ、実は怪しいと思うところがあるのよ!」

鶴屋「ほほう、その場所とは?」

ハルヒ「ここをずっと真っ直ぐ行ったところに、怪しい小道があるのよ!」

キョン妹「怪しい小道~?」

ハルヒ「以前の不思議探索で見つけたんだけどね。その時は集合時間が迫ってたから諦めたのよ」

ハルヒ「そこを今日、調査に行こうってわけ!」

鶴屋「怪しいというのは具体的にどのように怪しいんだい?」

ハルヒ「うーん、何というか勘ね。こう、ビビビっときたのよ!」

鶴屋「ふむ、そういう直感は大切さね!」

ハルヒ「さあ行くわよ! 怪しい小道の謎を暴いてやるわ!」

キョン妹「おー!」


国木田「何だか盛り上がってるね」

谷口「いいなあ涼宮のやつ。俺も鶴屋さんとお話がしたい……」

15: 2010/03/21(日) 20:10:05.36 ID:V36HfztP0
ハルヒ「着いたわ! ここよ!」

鶴屋「ふむふむ、一見普通の小道に見えるっさ」

ハルヒ「こういうさりげないところにこそ不思議は潜んでいるものなのよ!」

キョン妹「そうなんだ~、ハルにゃんすごーい!」

ハルヒ「よし、調査を始めるわ。何か怪しいものがないか、調べながら進むのよ!」

キョン妹「らじゃー!」

鶴屋(怪しいもの、か。後ろからこっそりついてきてる2人が怪しいと言えば怪しいけど)


谷口「何だぁ? 何やってんだ?」

国木田「どうやらあそこが目的地みたいだったね」

谷口「おっと、何か狭い道を進み始めたぞ。追わねば」

国木田「谷口、あそこは真っ直ぐな一本道みたいだから、慎重に追わないと」

谷口「お前も何気にノリノリだな……」

16: 2010/03/21(日) 20:14:05.35 ID:V36HfztP0
鶴屋「うーん、ここには何もなしと」

キョン妹「あ、10円玉見つけたー」

ハルヒ「むっ! 何か揺らめく怪しいものが! って、鶴屋さんの髪の毛だったわ……」

鶴屋「おっと、蜂が飛んでるっさ、気をつけて」

キョン妹「ドブの中にカエルさんがいるよ~」

ハルヒ「未確認物体発見! って、犬のフンだったわ……」

鶴屋「う~む、ハルにゃんハルにゃん」

キョン妹「何も怪しいもの見つからないよー?」

ハルヒ「まだよ! 絶対に見つけてみせるわ! 諦めちゃ駄目よ!」


谷口「蜂に刺された! ドブに落ちた! 犬のフン踏んだ!」

国木田「谷口うるさい」

18: 2010/03/21(日) 20:18:05.16 ID:V36HfztP0
ハルヒ「これだけ探しても見つからないなんて、さすがは不思議ね。一筋縄じゃいかないわ」

鶴屋「うーん、でも確かにこの小道、妙な感じはするっさ」

ハルヒ「妙な感じ?」

鶴屋「あたし達以外に誰もいないし、何も音が聞こえない。何か怪しい空気を感じるのさ」

キョン妹「怪しい空気?」

鶴屋「ひょっとしたらこの小道……」

ハルヒ「な、何……?」

鶴屋「振り向いたらどこか異次元に連れ去られたりとか……」

キョン妹「つ、つ、連れ去られちゃうの……?」

ハルヒ「望むところよ! その異次元とやらの謎を暴いてやるわ!」

キョン妹「ふみゅ~~……」

鶴屋「……」

ハルヒ「来なさいよ……」

キョン妹「ふぇ……」

鶴屋「……」

20: 2010/03/21(日) 20:22:04.80 ID:V36HfztP0
鶴屋「……」

ハルヒ「確かにそれっぽい雰囲気はあるわね……」

キョン妹「ねえねえ、あたし連れ去られちゃうの……?」

ハルヒ「大丈夫よ、妹ちゃんはあたしが守ってあげるから!」

鶴屋「……」

ハルヒ「……」

キョン妹「……」



鶴屋「わっ!!!!」

ハルヒ「きゃあ!!」

キョン妹「みゃ!!」


鶴屋「にゃははは! 引っかかったにょろ~!」

ハルヒ「つ、鶴屋さん!? 驚かさないでよ!」

鶴屋「ごめんごめん。沈黙に耐えられなくてつい、ね」

21: 2010/03/21(日) 20:26:04.67 ID:V36HfztP0
キョン妹「ふ、ふえ……びっくりしたぁ……」

ハルヒ「妹ちゃん、大丈夫?」

鶴屋「ごめんね妹ちゃん、悪気は少ししかなかったっさ」

キョン妹「う、ううん、大丈夫! これくらい平気だよ!」

ハルヒ「あら、妹ちゃんは強いのね。キョンとは大違いだわ」

鶴屋「それにしても、ふふ……ハルにゃんが『きゃあ!!』だってさ! 可愛いとこあるじゃない」

ハルヒ「鶴屋さん! もう!」

鶴屋「にゃはははは!!」



谷口「び、び、びっくりした……」

国木田「こんなに離れてるのに、何で君まで驚くのさ……」

22: 2010/03/21(日) 20:30:05.12 ID:V36HfztP0
谷口「ん? また移動し始めたな」

国木田「結局ここでは何も見つからなかったみたいだね」

谷口「次はどこに行くんだろうな。追うぞ!」

国木田「まだ尾行するのかい……おっと」

谷口「どうした?」

国木田「靴紐が解けちゃった。ごめん、先に行ってて」

谷口「見失っちゃ意味ないからな。早く追いつけよ」タッ


谷口(さてと、あいつらは……お、いたいた)

谷口(ん? 何か小さな建物に入っていくな。近くまで行ってみるか)


ハルヒ『~~~~』

鶴屋『~~~~』


谷口(何か喋ってるようだが聞き取れねぇ。さて、どうする?)

23: 2010/03/21(日) 20:34:07.01 ID:V36HfztP0
谷口(このまま待ってるか? いやでもせっかく尾行してるしな)

谷口(よし、入り口から少しだけ覗いてみよう。バレないように、バレないように)


国木田「遅くなっちゃった。谷口はどこまで行ったのかな? ……あれ?」


谷口(ふーむ、ドアがいくつも並んでいる。個室か?)

谷口(アイツらはあの個室の中か? これだとアイツらの様子が分からないな)

谷口(よし! 中に入ってみるか! 突撃ー!!)


国木田「ちょっと谷口! 何やってんの!?」


ハルヒ「あースッキリした」ガチャ

谷口「へい?」


国木田「そこは女子トイレ…………あーあ」

24: 2010/03/21(日) 20:38:04.66 ID:V36HfztP0
ハルヒ「……」

谷口「……」

ハルヒ「こんにちは」

谷口「コンニチハ」

ハルヒ「何でアンタがこんなところにいるわけ?」

谷口「イヤ、エト、ソノデスネ……」

キョン妹「ハルにゃん、どうかしたの?」ガチャ

鶴屋「何だか話し声が聞こえるっさ」ガチャ

谷口(うん、観念しよう)

キョン妹「あれー? ここ女子トイレだよー?」

鶴屋「……谷口くん、これはちょっと見逃せないっさ」

ハルヒ「何か言い残すことは?」

谷口「一度でいいから、おっOい揉みたかった」


国木田「南無」

25: 2010/03/21(日) 20:42:04.83 ID:V36HfztP0
ハルヒ「このアホ! いっぺん氏になさい!!」

鶴屋「天誅っさ!!」


ゴキッ!! メキョッ!!


谷口「まふぅば!!」

キョン妹「飛んでる~」


ドサッ


国木田「うわ、谷口!? 大丈夫?」

谷口「ぶひゅひゅひゅひゅ!! うひひひひひ!!」

国木田「気を確かにもって! 1+1はいくつだい!?」

谷口「じゅーいち!!」

国木田「ほっ、よかった。いつも通りの谷口だ」

26: 2010/03/21(日) 20:46:04.99 ID:V36HfztP0
ハルヒ「まったく、そのまま永眠してなさい」

鶴屋「やっぱり尾行に気づいた時点で止めとけばよかったかな?」

ハルヒ「で、国木田、何でアンタもこんなところにいるの?」

国木田「いや、僕は止めたんだけどね……」

キョン妹「女の子のこと覗き見たりしちゃ駄目なんだよ」

国木田「うん、ごめんね……」

ハルヒ「はあ、そんな奴らほっといてさっさと行きましょ」

鶴屋「ちょい待ち、ハルにゃん。やっぱりせっかくだから全員で行かないかい?」

ハルヒ「えー」

鶴屋「ね、いいにょろ?」

ハルヒ「鶴屋さんがそこまで言うなら……目を離すとまた何をするか分からないしね」

ハルヒ「分かったわよ。ここからは5人で行きましょう」

キョン妹「おお~、ハルにゃん腹黒いね!」

ハルヒ「太っ腹って言いたいの、妹ちゃん……」

27: 2010/03/21(日) 20:50:04.94 ID:V36HfztP0
キョン妹「次はどこに行くの、ハルにゃん?」

ハルヒ「そうね、すぐ近くに公園があるからそこに行きましょう」

鶴屋「了解っさ! あそこは結構広いから不思議も見つかるかもしれないね!」

国木田「ほら谷口、僕達も行くよ」

谷口「はとぽっぽぅ♪」

国木田「いい加減正気に戻ってよ。ほら、鶴屋さんが呼んでるよ」

谷口「何! どこだ!!」クワッ

国木田「おかえり。ほら、急がないと置いていかれるよ」

谷口「え? あれ? どういう状況?」

国木田「歩きながら説明するから。もう馬鹿な行動はしないでよ」


国木田(それにしても、以前の涼宮さんなら問答無用で僕らを置いていっただろうに)

国木田(変わったのかな? 涼宮さん)

28: 2010/03/21(日) 20:54:04.91 ID:V36HfztP0
~公園~


ハルヒ「着いたわよ!」

キョン妹「今度こそ不思議が見つかるといいね!」

ハルヒ「さぁみんな不思議を探すのよ! これだけ広いんだから1つや2つ、見つかるはずよ!」

ハルヒ「それぞれ最低1つは見つけてくること! 散開!」


谷口「また訳の分からないことを言うよなぁ」

国木田「さっき自分がもっと訳の分からないことをしたこと、忘れないでよ」

谷口「う……分かってるよ。しかし、探せったってなぁ」


鶴屋「見つけたっさ! ……ありゃ? ただのペットボトルだったにょろ」

キョン妹「100玉見つけた~」

ハルヒ「謎のオーパーツ発見! って何よコレ? ただの壊れた自転車じゃない」


谷口「探せども探せどもゴミしか見つからねーぞ」

30: 2010/03/21(日) 20:58:05.88 ID:V36HfztP0
ハルヒ「ツチノコ見つけた! おもちゃじゃないの!!」

鶴屋「0点の答案用紙見つけたっさ。これはひどいにょろ」

キョン妹「中身の入ったお菓子が捨てられてるー。もったいなーい」

ハルヒ「あーーもう! この公園、ゴミだらけじゃないの!」


ハルヒ「全員一旦集合!!」


谷口「何だよ? せっかくあと少しで空き缶ピラミッドが完成したのに」

国木田「どうかしたの、涼宮さん?」

ハルヒ「この公園、ゴミ多すぎよ! こんなんじゃ不思議探しに集中できないわ!」

鶴屋「確かにちょっとゴミの量がひどいさね」

キョン妹「タバコの吸殻とか、お菓子の箱とか、いっぱい落ちてたよ」

ハルヒ「でしょ! というわけで……」


ハルヒ「今からこの公園のゴミ拾いをするわよ!!」

31: 2010/03/21(日) 21:02:05.30 ID:V36HfztP0
谷口「はあ? ゴミ拾いだぁ?」

ハルヒ「まずは公園のゴミを拾って、スッキリしたところで改めて不思議探しをするのよ!」

鶴屋「ほうほう、それはなかなかいいアイデアっさ」

キョン妹「公園を綺麗にするの? あたし頑張る~!」

ハルヒ「そうと決まったら早速取り掛かるわよ! みんなちょっとここで待ってなさい!」ダダッ

キョン妹「あれ? ハルにゃんどこ行くのー?」

谷口「おいおい、ゴミ拾いって……メンドくせーな」

国木田「そう言わずに。ゴミ拾いっていいことじゃないか」

鶴屋「そうそう! 公園を綺麗にすることでみんな喜ぶっさ!」

谷口「そうですよね! みんな喜びますよね! 俺、頑張ります! うおー!!」

キョン妹「うおー♪」


国木田「鶴屋さん、これからもちょくちょく谷口に声をかけてもらえませんか?」

国木田「そうすればアイツ、人の2倍は働くと思いますので」

鶴屋「ん? そんくらいお安い御用っさ!」

32: 2010/03/21(日) 21:06:05.05 ID:V36HfztP0
ハルヒ「みんなお待たせ!」

鶴屋「ハルにゃん、どこ行ってたんだい?」

ハルヒ「これよ! 大量のゴミ袋と人数分の軍手! 調達してきたわ!」

谷口「調達って、買ってきたわけじゃないのか? どこから調達してきたんだよ」

ハルヒ「これで準備OKね! 隅から隅までピカピカにするわよ!」

谷口「うむ、清々しいスルーっぷりだ」

キョン妹「ハルにゃん、一緒にやろー?」

ハルヒ「いいわよ、一緒に行きましょう」


ハルヒ「それじゃあ散開! 拾って拾って拾いまくるのよ!」

鶴屋「任せるっさ!」

国木田「おー」

谷口「うっし」

33: 2010/03/21(日) 21:10:04.97 ID:V36HfztP0
国木田「よっと、あっという間に袋がいっぱいになっちゃった。本当にゴミ多いね」

谷口「まったく、何でゴミ箱に捨てるって簡単なことが出来ないのかね?」

国木田「あれ? ここさっき見た時は何もなかったのに、空き缶が捨てられてる……」

谷口「あーもう!! ゴミをポイ捨てする奴なんざ、みんなクズだクズ!」

鶴屋「やあやあ2人とも、頑張ってるかい?」

谷口「おわ! つ、つ、鶴屋さん!?」

国木田「鶴屋さん、どうしたんですか?」

鶴屋「いやなに、君達2人と一緒にゴミ拾いしようと思ってね」

国木田「僕達と、ですか?」

鶴屋「うん! それに、君達2人には前から聞きたいこともあったしね」

谷口「き、聞きたいこと!? 何でしょう? 喜んでお答えしますよ!」

鶴屋「キョンくんとハルにゃんのことっさ!」

35: 2010/03/21(日) 21:14:04.83 ID:V36HfztP0
国木田「え? キョンと」

谷口「涼宮のこと?」

鶴屋「確か国木田くんはキョンくんと、谷口くんはハルにゃんと同じ中学だったんだよね?」

谷口「まあ、そうですけど」

鶴屋「この2人の中学時代の話を聞かせてほしいのさ!」

国木田「構わないですよ。中学時代のキョンか、そうですね」

国木田「キョンは中学時代から友達付き合いはよかったですね。何といっても面倒見がよかった」

谷口「あの涼宮の面倒を見てるくらいだからな」

国木田「それと、よく一緒にいる女の子がいましたね。キョンはそんなんじゃないって否定してたけど」

鶴屋「ほう? 女の子と? どんな子なんだい?」

谷口「そういや『キョンは昔から変わった女の子が好きだった』とか話してたな。詳しく教えろよ」

国木田「うん。その女の子は佐々木さんと言って……」

36: 2010/03/21(日) 21:18:04.67 ID:V36HfztP0
谷口「キョンの野郎! そんな羨ましい青春を送っていたのか! 許さん! 許さんぞ!」

国木田「谷口、絶叫するのもいいけどちゃんとゴミ拾いもしながらね」

鶴屋「キョンくんもなかなかやるねぇ。ハルにゃんにみくるに有希っこにその佐々木さん」

鶴屋「いったい誰が本命なんだろうねぇ」

谷口「キョンめぇ! ちきしょー! うらやましー!!」

鶴屋「それで、中学時代のハルにゃんはどんな感じだったんだい?」

谷口「は!! え? あ、そうですね、中学時代の涼宮か……」

国木田「谷口は涼宮さんとは5年連続で同じクラスなんだよね」

鶴屋「へぇ、それは凄いね。何気にSOS団の誰よりも付き合いが長いんだね」

谷口「付き合いなんてものはないっすよ。中学時代、あいつにひどい目に合わされたんすから」

鶴屋「ひどい目に? 何かあったのかい?」

谷口「あ! いや、その、やっぱ何でもないっす!?」

鶴屋「急にどうしたんだい?」

37: 2010/03/21(日) 21:22:05.14 ID:V36HfztP0
国木田「涼宮さんにひどい目に合わされたっていうと……ああ、あれかぁ」

鶴屋「むう、あれってどれだい?」

国木田「涼宮さんって中学時代かなり告白されることが多かったらしいんですけど」

谷口「おおおい! こら国木田!!」

鶴屋「ふむふむ、ハルにゃんはかわいいからねぇ」

国木田「涼宮さんは全部断ることなくOKしてたらしいんです。でもどれもすぐにフッてたらしくて」

国木田「最長で1週間、最短で5分。そしてその最短っていうのが……」

谷口「ばばばば馬鹿を言うな!! 俺なわけなだろ!! 俺が涼宮なんかに告白するわけないだろ!!」

鶴屋「谷口くん、ドンマイっさ!!」

谷口「鶴屋さーん!!」

鶴屋「あはは、ハルにゃんは中学の頃からそんな感じだったんだね!」

38: 2010/03/21(日) 21:26:04.86 ID:V36HfztP0
谷口「ううう……そうですよ! アイツはメチャクチャでしたよ!」

谷口「教室の机を全部廊下に出したり、あちこちお札を貼りまくったり、グラウンドにでっかく落書きしたり!」

鶴屋「あ、それ当時うわさで聞いたことあったっさ。何か面白いことするなーって思ってたんだよね」

鶴屋「まさかそれがハルにゃんだったとわね! 流石はハルにゃん、やることが違うっさ!」

谷口「他にもいろいろ変なことやらかしてましたよ。そんなんだからアイツは常に1人でしたね」

谷口「むしろアイツの方から誰も寄せ付けなかったからな。ずっと1人で行動してた」

谷口「……高校でもそうなると思ってたんすけどねぇ」

鶴屋「キョンくんに会えたおかげで、SOS団という仲間ができたってことだね」

谷口「俺はやめとけって忠告したんすけどね。どうやって手懐けたんだか」

谷口「中学の頃を知ってる俺からしたら、ああやって部活仲間と騒いでいる涼宮なんて今でも信じられないすよ」

鶴屋「ふーむ、なるほどね。ハルにゃんも成長したってことっさ!」

国木田「それにしても涼宮さんのことよく見てるよね谷口。やっぱり……」

谷口「だから違うって言ってんだろーが!! うがー!!」

鶴屋「あっはっは!」

39: 2010/03/21(日) 21:30:04.67 ID:V36HfztP0
ハルヒ「ちょっとそこー! 真面目にやってんのー!」

鶴屋「おっと、そろそろゴミ拾いもちゃんとやらないとね」

鶴屋「2人とも貴重なお話をありがと! じゃね!」


谷口「はぁ、できれば俺自身のことも聞いてきてほしかったぜ……」

谷口「ちきしょう、何でキョンばっかり……」

国木田「まあまあ。ほら、ボヤいてないでゴミ拾いゴミ拾い」

谷口「おう! こうなりゃ誰よりもゴミ拾って鶴屋さんにアピールしてやる!」

国木田「そうそう、頑張れ頑張れ」


鶴屋「なかなか面白い話が聞けたっさ。やっぱりハルにゃんは面白いね!」

鶴屋「そしてキョンくんも……この2人はどうなっていくんだろうね」

40: 2010/03/21(日) 21:34:04.81 ID:V36HfztP0
鶴屋「さてと、本腰入れてゴミ拾いするっさー!」

鶴屋「ふむふむ、ここら辺が特にひどいさね」

鶴屋「よーし! 覚悟するっさゴミども! そりゃー!」シュバババ


鶴屋「ふふふ、どうっさ! 僅か5分でピッカピカにょろ!」

鶴屋「にょろ? ここにもゴミが落ちてるね。でもこの大きな石が邪魔っさ」

鶴屋「何の、こんな石ごとき! ほりゃー!」ゴットン


ウネウネウネウネウネウネウネウネ・・・・・・


鶴屋「……」

鶴屋「き、きゃー! きゃーきゃー! ナメクジが! ナメクジがいっぱい!?」

鶴屋「はっ!」

鶴屋「に、にょろ。つい取り乱してしまったっさ……」

42: 2010/03/21(日) 21:38:04.86 ID:V36HfztP0
鶴屋「危ない危ない。こんなところ誰かに見られたら、あたしのイメージが壊れる所だったっさ」

鶴屋「さて、ゴミ拾いの続き続き……」


ハルヒ「……」

キョン妹「……」

鶴屋「あ……」

ハルヒ「……」

キョン妹「……」

鶴屋「あの、飴あげるから黙っててほしいにょろ……」

ハルヒ「うふふ、鶴屋さんも可愛いところあるじゃない」

キョン妹「わーい、飴だー♪」

鶴屋「にょろ……」

ハルヒ「じゃあ鶴屋さん、あたしと妹ちゃんはあっちでゴミ拾いするから。頑張ってね」

鶴屋「あはは、了解っさー……」

43: 2010/03/21(日) 21:42:05.49 ID:V36HfztP0
キョン妹「ハルにゃん、こっちにも空き缶落ちてるよ~」

ハルヒ「全部拾うのよ妹ちゃん。む、タバコの吸殻がこんなに。汚いわね」

キョン妹「空き瓶もいっぱい落ちてる~。割れてるのもあるよ」

ハルヒ「手を切っちゃうと危ないから、それはあたしに任せて。妹ちゃんはあっちお願い」

キョン妹「分かった~」


ハルヒ「ふう、ここはこんなものかしら」

キョン妹「ねえねえハルにゃん」

ハルヒ「どうしたの?」

キョン妹「この本、裸の女の人がいっぱい載ってるよー」

ハルヒ「駄目よ妹ちゃん! 中は見ないですぐに捨てなさい!?」

キョン妹「こっちはカッコいい男の人の裸がいっぱい載ってるよー」

ハルヒ「…………妹ちゃん、それ危ないからちょっとこっち貸して」

46: 2010/03/21(日) 21:46:04.93 ID:V36HfztP0
キョン妹「ハルにゃん……ちょっとこっち来て」

ハルヒ「今度はどうしたの、妹ちゃん?」

キョン妹「この子……」

ハルヒ「あ、猫……」

キョン妹「うん、氏んじゃってる。可哀想……」

ハルヒ「妹ちゃん……」

キョン妹「……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ねえ、妹ちゃん」

キョン妹「なぁに?」

ハルヒ「お墓、つくってあげようか」

キョン妹「うん」

47: 2010/03/21(日) 21:50:04.99 ID:V36HfztP0
ハルヒ「穴はこんなものね。妹ちゃん、入れてあげて」

キョン妹「ばいばい猫ちゃん、安らかに眠ってね」

ハルヒ「土をかけてっと。成仏しなさいね」ポンポン


ボコボコボコ・・・・・・


キョン妹「え?」

ハルヒ「な、何よ? 土が動いて……」

猫「にゃ゛ー!!」ガボォ!!

ハルヒ「えええ!! ゾンビ!?」

猫「ふにゃー」シュタタタタ

ハルヒ「あれ? 普通に走り去ってった……ひょっとしてただ寝てただけ?」

キョン妹「そういえば、氏んでる割には柔らかくて暖かかったかも~」

ハルヒ「妹ちゃん……」

48: 2010/03/21(日) 21:54:04.77 ID:V36HfztP0
ハルヒ「あと少しで終わりそうね。妹ちゃん、頑張ろうね」

キョン妹「うん!」

DQN1「おいおいおい、何か変なことしてるのがいるぞー?」

DQN2「ぷっ、まさかゴミ拾いってやつか?」

ハルヒ「何、こいつら……」

DQN1「ぎゃははは、だっせぇ! マジでゴミ拾ってるよ!」

DQN2「ゴミのポイ捨てはいけませーん、きちんとゴミ箱に捨てましょーう、ってかぁ!」

キョン妹「ハルにゃん、この人達……」

ハルヒ「ほっときなさい、ただの馬鹿よ」

DQN1「はあああ? 馬鹿だあ? ねえ俺らのことナメてんの?」

DQN2「さすが、ゴミ拾いをするようなマジメちゃんは言うことが違うねえ!」

ハルヒ「うっざ……」

49: 2010/03/21(日) 21:58:05.04 ID:V36HfztP0
DQN1「よぉよぉお前ら、そんなにゴミ拾いが大好きならよぉ」

DQN1「おや? こんなところにさっき飲み終わったばかりの空き缶があるぞー?」

DQN1「これを、ポーイっと」ヒョイ


カンッ カランカラン・・・・・・


DQN1「拾えよ」

ハルヒ「はあ? 何言ってんの」

DQN2「ゴミ拾いだーいすきなんだろ? なら拾えよ、ぎゃははは!」

キョン妹「こらー、空き缶ポイ捨てしたら駄目なんだよー!」

DQN2「そーだよ、いけないことなんだよ? だからさっさと拾えよ、うひゃひゃひゃ!」

キョン妹「むううう……」

DQN1「何だよ、その目は? 生意気なんだよ! ぺっ!!」

キョン妹「ひゃ! 唾! きたなーい!」

ハルヒ「……」ピキッ

50: 2010/03/21(日) 22:02:05.23 ID:V36HfztP0
ハルヒ「ああもう! うざったいわね!」ドンッ! ドンッ!

DQN1「うわっ!」

DQN2「いてぇな! いきなり何しやがる!」

ハルヒ「何って、ただ押しただけじゃない。大げさねぇ」

ハルヒ「ほらほらほらほら、邪魔邪魔邪魔邪魔」ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!

DQN1「ちょ、おい、こら、やめろ!?」

DQN2「どこまで押す気だ! このアマ!!」

ハルヒ「はいはいはいはい、聞こえない聞こえない」

DQN1「やめろって言ってんだろ! ちょ、この先は池が!!」

DQN2「うわああああああああ!!」


ドポーーン!! ザッパーーン!!


ハルヒ「まったく、妹ちゃんになんてことするのよ」

キョン妹「ハルにゃん、池にゴミを捨てたらいけないんだよー」

51: 2010/03/21(日) 22:06:06.45 ID:V36HfztP0
鶴屋「へえ、そんなことがあったのかい」

ハルヒ「まったく! 腹の立つ2人組だったわ!」

鶴屋「妹ちゃんは大丈夫だったの?」

キョン妹「うん! あれくらい平気だよ!」

ハルヒ「ホント、妹ちゃんは強いわね。キョンにも見習わせたいわ」

鶴屋「まあまあハルにゃん、それよりもさ……」

ハルヒ「あ、うん」


谷口「ふはははは! 公園のゴミ掃除、見事に終わらせてやったぜ!」

ハルヒ「あたしのセリフをとってんじゃないわよ!」ゴン

谷口「あだっ!」

国木田「けど、思ってたより早く終わったね」

鶴屋「まあね。途中から『手伝わせてほしい』って一緒にゴミ拾いしてくれた人達もいたしね!」

52: 2010/03/21(日) 22:10:05.21 ID:V36HfztP0
鶴屋「あれは嬉しかったね! おかげでこっちもますますやる気が出たっさ!」

国木田「最初ゴミだらけの公園を見た時は、ひどいことする人達がいるんだなぁって思ったけど」

鶴屋「でも、まだまだ世の中は捨てたもんじゃないってことさ!」

ハルヒ「みんなよく頑張ってくれたわね! ご苦労様!」

ハルヒ「これでますますSOS団の評価が上がるってものよ!」

谷口「おい!」

国木田「まあいいじゃない。公園が綺麗になったのは事実なんだしさ」

谷口「う、ま、まあそうだな」

ハルヒ「よし! もうお昼だし、お腹も空いたわね!」

ハルヒ「みんな! いったん喫茶店に戻ってお昼ごはん食べましょ!」

鶴屋「賛成っさー!」

キョン妹「わーい! ごはんごはん~」


谷口「あれ? あいつ、この公園に来た当初の目的忘れてねぇか?」

国木田「ふふ、いいんじゃないの? 本人は満足そうだし」

53: 2010/03/21(日) 22:14:05.05 ID:V36HfztP0
ハルヒ「あるー晴れーた日ーのことー♪」

キョン妹「まほーいじょーのゆーかいがー♪」

鶴屋「限りーなくー降りそーそぐー♪」

3人「ふかのーじゃなーいーわー♪」


国木田「楽しそうだね」

谷口「あの元気はどこから湧いてくるんだろうな?」


ハルヒ「あ、そうそう。谷口、言い忘れてたけど」

谷口「ん? 何だ?」

ハルヒ「お昼ごはん、全部アンタの奢りだから」

谷口「はぁ! 何でだよ!?」

ハルヒ「今日の朝、アンタ一番最後に来たでしょ。SOS団では最後に来た人が奢る決まりなの」

ハルヒ「それに、女子トイレに進入した罰よ。文句言わない」

谷口「ぐ……くそ、やっぱり涼宮は涼宮か……」

55: 2010/03/21(日) 22:18:05.19 ID:V36HfztP0
???「待てやコラァ!!」

谷口「ん?」

国木田「何だろ?」

DQN1「さっきはよくもやってくれたなぁ!!」

DQN2「マジぶっ頃してやる!!」

ハルヒ「はぁ……またアンタら」

キョン妹「あー、さっきの!」

鶴屋「どちらさんだい?」

ハルヒ「さっき話した馬鹿2人組」

DQN1「はああ? 馬鹿だぁ? お前マジむかつくなぁ!!」

DQN2「ぶっ頃す! ぶっ頃す! 絶対ぶっ頃す!」

谷口「何だこいつら、何か怖ぇ……」

国木田「危ない雰囲気だね」

56: 2010/03/21(日) 22:22:05.26 ID:V36HfztP0
鶴屋「まぁまぁお二人さん、少し落ち着くにょろ」

DQN1「ああん? てめぇもこの馬鹿女の仲間か?」

鶴屋「そうだよ。まぁ池に落としたのはアレだったけどさ、そっちも」

DQN1「うっせぇんだよ! てめぇもぶっ飛ばしてやる!」ブンッ!

ハルヒ「あ!!」

谷口「危ない!?」

鶴屋「おっとぉ」サッ

DQN1「ちっ、外したか」

鶴屋「いきなり殴りかかるなんてひどいなぁ」

DQN1「うっせぇ! 次は外さねぇよ!!」

鶴屋「外したんじゃなくて、あたしが避けたんだけどな」

谷口「てめぇら! 何しやがる!!」

57: 2010/03/21(日) 22:26:05.70 ID:V36HfztP0
鶴屋「おりょ?」

国木田「た、谷口!?」

谷口「女の子に手を上げるなんて何考えてんだ! 許せねぇ!」

DQN1「はあ? 何だコイツ」

DQN2「女の子に手を上げるなーだってよ! ぷぷっ、カッコいいねぇ!」

DQN1「ぎゃはは! 正義の味方気取りかよ! だっせぇ!」

谷口「何とでも言えよ。ゴミクズに何言われようが痛くも痒くもねぇよ」

DQN1「んだとぉ?」

DQN2「そうか、お前も殺されてぇか」

谷口「やってみろよ、クズが」


キョン妹「ちょっと待ってぇ! 喧嘩は駄目! 駄目なんだよ~!」

58: 2010/03/21(日) 22:30:06.63 ID:V36HfztP0
ハルヒ「妹ちゃん!? そんな奴らに近づいたら危ないわよ!」

キョン妹「喧嘩はいけないんだよ! キョンくんもそう言ってたもん!」

DQN1「はあ? キョンくんだぁ?」

DQN2「なんだそりゃ?」

キョン妹「キョンくんはキョンくんだもん!」

谷口「お、おい、危ないから引っ込んでろって」

DQN1「けっ、キョンくんだかジョンくんだか知らねぇがよ……」

DQN1「お前みたいなクズの知り合いってことは、そいつも同じようなクズ野郎なんだろ?」


ハルヒ「……」ブチッ!


キョン妹「そんなことないもん! キョンくんはクズなんかじゃないもん!」

DQN1「あー、うっぜ……」

59: 2010/03/21(日) 22:34:06.42 ID:V36HfztP0
DQN1「ガキは……すっこんでろ!!」ブンッ!

谷口「あ!! やめろー!!」

キョン妹「ひっ!」

パシッ!!

DQN1「な!! あ!!」

鶴屋「ちょーっと、おいたが過ぎるんじゃないかな?」グググッ

ハルヒ「あんた……今、本気で妹ちゃんを殴ろうとしたわね……?」

DQN1「それがどうしたってんだよ! くそ! 離せ!!」

DQN2「このクソアマ! そんなに殺されてぇか!!」

ハルヒ「はあ? やれるもんならやってみなさいよ?」

鶴屋「ちょっと今は手加減できそうにないかな?」

DQN1「ひ……」ゾクゥ


キョン妹「ねえ、何で目隠しするのー?」

国木田「見るとトラウマになっちゃうから……」

60: 2010/03/21(日) 22:38:05.23 ID:V36HfztP0
谷口「とても描写できない、物凄いことになってしまいました……」

国木田「あ、あはは、2人とも凄かったね……」

ハルヒ「あースッキリしたー♪」

鶴屋「ちょっとやりすぎちゃったにょろ」

ハルヒ「いいのよ、あんなゴミ人間。それより妹ちゃん、大丈夫?」

キョン妹「あたしは全然平気だよー。助けてくれてありがとー」

鶴屋「いいんだよ、あっはっは」

ハルヒ「妹ちゃんが無事でよかったわ。でも、もうあんなゴミみたいな奴らに近づいたら駄目よ」

キョン妹「はーい」


谷口「俺、結局何の役にも立たなかったな……男として情けねぇ……」

国木田「そんなことないさ、谷口だってカッコよかったよ。動くことすらできなかった僕よりよっぽどね」

谷口「いや、勇んで出て行ったはいいが、正直チビりそうだった……」

国木田「あはは、谷口らしいね」

61: 2010/03/21(日) 22:42:05.19 ID:V36HfztP0
谷口「それにしてもあの2人、凄いよな」

国木田「まあね。強かったね」

谷口「涼宮が何でもこなせる万能超人だってことは知ってたが、腕っ節も強かったとはな」

国木田「鶴屋さんも、まるで武道みたいな動きしてたね。何かやってるのかな?」

鶴屋「いやー、恥ずかしいにょろ」

谷口「うわっと! つ、鶴屋さん!?」

鶴屋「本当は喧嘩で使うのは禁止されてるんだけどね。あたしもまだまだっさ!」

鶴屋「それよりも! さっきはありがとね」

谷口「え? お、俺っすか?」

鶴屋「あたしが殴られかけたとき、相手に怒ってくれたじゃないか。カッコよかったよ!」

谷口「あ、いや、あれは咄嗟に動いてしまったと言うか」

谷口「い、いやー、そっすか! カッコよかったっすか! あはははは!!」

ハルヒ「何をデレデレしてんのよ、気色悪い」

谷口「おわ!」

63: 2010/03/21(日) 22:46:05.51 ID:V36HfztP0
谷口「す、涼宮!? いきなり割り込んでくるなよ」

ハルヒ「あーはいはい。それで鶴屋さん、さっき馬鹿2人組にかけてた技について教えてほしいんだけど」

鶴屋「うん、いいよ! でもむやみに使わないでね!」

谷口「あーあ、せっかく鶴屋さんといい雰囲気になりかけてたのに」

国木田「チャンスはまだあるさ。せいぜい頑張りなよ」

谷口「そだな。おっしゃ、見てろよ!」

キョン妹「何を頑張るの?」

谷口「うおっと。ああいや、お前にはまだ早い話さ」

キョン妹「むー、何だよー」

谷口「そうだな」ジー

キョン妹「なぁに?」

谷口「あと6~7年ってところだな。それまで我慢しろ」

キョン妹「???」

国木田「口リコン」

谷口「誰がだ!?」

64: 2010/03/21(日) 22:50:05.09 ID:V36HfztP0
ハルヒ「あら、電話。んん? キョンから?」

ハルヒ「もしもし、どうかしたの?」

鶴屋「おや、キョンくんからの電話?」

ハルヒ「何よキョン、アンタ寝てなくていいの?」

キョン妹「キョンくん、何か用事かなー?」

ハルヒ「用? 何よ」

鶴屋「そうみたいだね」

ハルヒ「何? さっさと言いなさいよ」

鶴屋「むむっ、キョンくん何をもったいぶっているのかな?」

谷口「何だ何だ?」

国木田「どうかしたの?」

キョン妹「キョンくんから電話だってー」

ハルヒ「ん? 誰かと一緒にいるの?」

鶴屋「誰かと一緒に? まさか女の子かな?」

国木田「あはは、どうだろう?」

65: 2010/03/21(日) 22:54:05.11 ID:V36HfztP0
谷口「もしそうだとしたら許さん! キョンの野郎!」

ハルヒ「ねぇさっさとしてくれない? こっちだって暇じゃないのよ」

鶴屋「おやおや、何やら様子がおかしいねぇ」

キョン妹「キョンくん本当にどうしたんだろう? 風邪で寝てるはずなのに」

国木田「1人で寝てるのは寂しかったから、電話してきたとか?」

鶴屋「そうだったら、かわいいんだけどね!」

キョン妹「キョンくん、かわいー」

ハルヒ「何よ?」

谷口「おっ、何か展開あったか?」

ハルヒ「!!!!」

鶴屋「あれ? 今ビクッてなったね」

国木田「何か言われたのかな?」

ハルヒ「……」

キョン妹「ハルにゃん、黙り込んじゃったよー?」

66: 2010/03/21(日) 22:58:05.06 ID:V36HfztP0
ハルヒ「ねぇキョン」

鶴屋「おお、返事をするみたいさね」

ハルヒ「あんた馬鹿じゃないの?」

谷口「ん?」

ハルヒ「脳みそ膿んでんの? いっぺん病院行ったほうがいいわよ」

国木田「急に罵り始めたね……」

ハルヒ「用事はそれだけ? じゃあね」ピッ

キョン妹「あっ、電話切っちゃったよー?」


ハルヒ「まったくもう! あの馬鹿は!」

鶴屋「ハルにゃん、何の電話だったんだい?」

ハルヒ「何でもないわ! さっさと行きましょう!」

キョン妹「あれー? ハルにゃん、何だか顔が赤いよー?」

ハルヒ「気のせいよ、気のせい!!」

67: 2010/03/21(日) 23:02:04.93 ID:V36HfztP0
鶴屋「うむむ、あからさまに怪しいねぇ」

キョン妹「キョンくんに何言われたんだろう?」

谷口「どうせいつもの痴話喧嘩だろ。まったく、あいつらは仲が……」

国木田「谷口……涼宮さんが呪い頃しそうな眼で睨んでるよ」

ハルヒ「……」オオオオオオオ・・・・・・

谷口「ヒィィィ!」

ハルヒ「ふん!」

鶴屋「ありゃりゃ、電話の話はもうやめたほうがいいかな」

鶴屋「でもハルにゃん、怖い顔してるのにどことなく嬉しそうなのは何でかな?」

ハルヒ「気のせいだってば!」

鶴屋「にょろろ、まぁそういうことにしとくっさ!」

69: 2010/03/21(日) 23:06:05.07 ID:V36HfztP0
ハルヒ「む、またキョンから電話……」

鶴屋「おお、続きかい?」

ハルヒ「もしもし、何よ、しつこいわね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……」

谷口「な、何か黙りこくっちゃったぞ?」

国木田「キョンがずっと何か話してるみたいだね」

ハルヒ「……はぁ、もういいわよ。でも2度とこんなアホな電話、しないでよね」

谷口「アホな電話? って、あれ? さっさと電話切っちまった」

ハルヒ「ほらみんな、さっさと喫茶店に行きましょう」

国木田「結局何だったんだろうね?」

キョン妹「分かんなーい。でもさ、ハルにゃん何だか……」

鶴屋「うん、さっきとは一転して物凄く不機嫌そうに見えるっさ」

70: 2010/03/21(日) 23:10:04.83 ID:V36HfztP0
~喫茶店~


ハルヒ「さぁ! じゃんじゃん食べまくるわよ!」

鶴屋(……ヤケ食い?)

谷口「なあ涼宮、本当に全部俺の奢りなのか?」

ハルヒ「当たり前でしょ! 何度も言わせない!」

谷口「うげぇ……」

鶴屋「あたしは何にしようかなっと」

キョン妹「あたしハンバーグー」

谷口「あの皆さん、なるべく安いやつで……」

ハルヒ「あたしはカツ丼超特盛りスペシャルにするわ!」

谷口「うげ! く、国木田、頼むからお前も少し金払ってくれ!」

国木田「うん、分かった。僕は明太子スパね」

谷口「聞けよ!」

72: 2010/03/21(日) 23:14:06.45 ID:V36HfztP0
谷口「はああ、キョンの奴はいつもこうやって奢らされていたのか……」

谷口「話を聞いたときには笑っちまったが、こんなにきついとはな。あいつも苦労してんだな」

鶴屋「ねぇねぇ、ちょいと」

谷口「あ、はい、何ですか鶴屋さん?」

鶴屋「随分と思いつめた顔をしてるけど、あたしもお金払おうかい?」

谷口「いえいえ、とんでもないです! 女の子に払わせるなんてそんな!」

ハルヒ「ほほーう、さすがね。じゃあもっと遠慮なく頼もうかしら」

谷口「あ」

ハルヒ「すいませーん! デザートにパフェとケーキ追加で!」

鶴屋「ありゃ、何かごめんね」

谷口「い、いいいえいいんですよ! 男らしく払ってみせます!」

国木田「僕もデザートにプリンお願いしまーす」

谷口「お前は遠慮しろ!」

73: 2010/03/21(日) 23:18:04.83 ID:V36HfztP0
ハルヒ「それじゃあ今から、午後の計画について説明するわね」

鶴屋「午後も5人一緒に行くのかい?」

ハルヒ「まあね、仕方なくよ。目を離したらまた何をするか分からないし」

谷口「ううう……」

ハルヒ「午後は目的地をみんなに決めてもらうわ!」

キョン妹「目的地を? どういうこと?」

ハルヒ「つまり、みんなに『あそこには不思議があるかも!』て思う場所を発表してもらって……」

鶴屋「なるほど、その発表した場所へみんなで調査に行くというわけだね」

ハルヒ「その通り! 本当はSOS団でやりたかったけど、予行演習と思えばいいわよね」

キョン妹「面白そう! やるやる!」

国木田「僕達にも行き先を決める権利はあるのかな?」

谷口「さあな。涼宮が決めたことだし、怪しいもんだ」

74: 2010/03/21(日) 23:22:05.01 ID:V36HfztP0
鶴屋「ハルにゃんハルにゃん、1つ提案があるんだけど」

ハルヒ「何、鶴屋さん?」

鶴屋「その行き先を決めるってやつ、1番最初は谷口くんにしてくれないかな?」

ハルヒ「え?」

谷口「へ?」

鶴屋「さっきは助けてもらったし、ご飯も奢ってくれたし、そのお礼ということで」

ハルヒ「助けたというより勝手にしゃしゃり出てきただけだし、奢りも罰ゲームだから当然なんだけど」

鶴屋「ね、お願いっさ!」

ハルヒ「うーん、鶴屋さんがそこまで言うなら」

鶴屋「ありがと、ハルにゃん! というわけで、1番手は任せたよ!」

谷口「つ、鶴屋さん、俺なんかのために……ありがとうございます!」


谷口(よ、よーし、これは責任重大だぞ! 何としても不思議とやらがある場所へ案内しなければ!)

75: 2010/03/21(日) 23:26:05.03 ID:V36HfztP0
ハルヒ「じゃあ谷口、さっさと行き先を教えなさい」

谷口「ま、待て! 今考えてるからよ!」

谷口(さてどうする? 不思議がありそうな場所と言われても、すぐに思いつけるはずがない)

谷口(いや! 鶴屋さんの期待を裏切るわけにはいかねえだろ! 考えろ考えろ!)

谷口(ん? 待てよ? そうだ!)

谷口「心当たりがあるぞ、不思議がありそうな場所」

ハルヒ「どこよ?」

谷口「以前1人で街に来たときよ、近道しようとしていつもと違う道通った時、妙な店を見つけたんだよ」

国木田「妙な店?」

谷口「やけに人目につかない場所にあってよ、雰囲気も何ていうか不気味だったんだ」

谷口「『営業中』の札があったから何かの店であることは間違いないんだが、何の店か分からねえ」

谷口「どうだ! 不思議の匂いがしないか?」

ハルヒ「妙な店、ね。まあ、一応調べてみましょうか。案内しなさい谷口」

谷口「おうよ!」

77: 2010/03/21(日) 23:30:05.08 ID:V36HfztP0
谷口「着いたぜ! ここだ!」

鶴屋「ほうほう、確かに不思議な感じのするお店だね」

国木田「看板の文字、汚れてて読めないね。何の店なんだろう?」

キョン妹「お化け屋敷ー?」

ハルヒ「とにかく入ってみましょう」


ギィィィ・・・・・・


店主「いらっしゃい……」

谷口「何か薄暗いな」

国木田「何か空気と言うか、雰囲気が怪しいね」

ハルヒ「よーし、調べるわよ!」

キョン妹「探検♪ 探検♪」

78: 2010/03/21(日) 23:34:05.14 ID:V36HfztP0
鶴屋「さてさて、ここは何のお店かな?」

キョン妹「あれ? 本みたいなのがいっぱい並んでるよ?」

鶴屋「んっと、あれは本じゃなくてDVDみたいだね」

キョン妹「じゃあここはビデオ屋さん?」

ハルヒ「呪いのDVDか何かかしら? 詳しく調べるわよ!」


国木田「ねえ谷口、ここって……」

谷口「あ、ああ」


ハルヒ「う……これは……」

鶴屋「わっはは、裸の女の人がいっぱいさ」

キョン妹「わあ……」


谷口「あ、アダルトショップ……」

82: 2010/03/21(日) 23:38:04.72 ID:V36HfztP0
キョン妹「あ、テレビが映ってるよー。裸の女の人が何か咥えt」

ハルヒ「妹ちゃん! 見ちゃ駄目よ!」

キョン妹「あれ、こっちにはおもちゃがいっぱいある。何だろこれ?」ブインブイン

ハルヒ「妹ちゃん! 触っちゃ駄目よ!」

鶴屋「こういうお店は初めてだけど、何だか凄いね。わっはっは」

ハルヒ「妹ちゃん、何にも見ちゃ駄目よ! 奥に行かないの!」


国木田「谷口、これまずくないかい?」

谷口「だよな……」


キョン妹「こっちには男の人の裸のDVDがあるよ~」

鶴屋「わお、イケメンがいっぱいっさー」

ハルヒ「え、本当? じゃなくて駄目ー!!」

84: 2010/03/22(月) 00:00:07.05 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「みんな! 撤収するわよ撤収!」

キョン妹「え~、まだ全部探検してないのに」

ハルヒ「しなくていいの! ほら急いで急いで!」

鶴屋「そうだね。妹ちゃんの教育上、長居は無用だね」


ハルヒ「谷口、あんた覚えてなさいよ」

谷口「ヒィ!!」

国木田「南無」


店主「ありがとうございました。フヒッ!」

ハルヒ「あんたもあんな小さい娘が店に入ってきたら、注意するなりしなさいよ!」

店主「そいつぁすいませんねぇ。フヒッ!」

85: 2010/03/22(月) 00:04:05.47 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「さて、どういうことか説明してもらおうかしら」

谷口「おお俺だって知らなかったんだ! つうか知らなかったからこそ調査に来たんだろ!」

ハルヒ「……」ジト~

谷口「その蔑みの目をやめてくれ! 心が! 心が痛い!?」

キョン妹「ねーねー、結局あのお店なんだったのー?」

谷口「こっちは逆に純粋無垢な視線が痛い!?」

鶴屋「あはは、1発目は空振りだったね。まあドンマイっさ」

谷口(ううう、鶴屋さんの期待を裏切ってしまった)


ハルヒ「まったく。ま、谷口になんて最初から期待してなかったわよ。アンタはどこかアテはあるの?」

国木田「僕? いや、僕は遠慮しとくよ。特に思いつかないや」

ハルヒ「あっそう。じゃあみんな、気を取り直して探索を続けるわよ!」

86: 2010/03/22(月) 00:08:06.11 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「次はそうね、妹ちゃん! お願いするわ」

キョン妹「あたし? 分かったー」

ハルヒ「さぁ妹ちゃん! どこに不思議があると思う?」

キョン妹「うーんとね、えーとね、こっち!」タタッ

鶴屋「妹ちゃん、どこに行くんだい?」

キョン妹「何となくこっちの方に不思議がある気がするのー」

ハルヒ「どうやら目的地を決めてるわけじゃなく、直感のようね」

谷口「そんなんで大丈夫か?」

ハルヒ「こういうのも面白そうね! 新しい発想だわ!」

ハルヒ「みんな! 妹ちゃんの後を追うのよ!」

鶴屋「おー!」

谷口「はあ、気が滅入る……」

国木田「ほら谷口、いつまでも落ち込んでないで」

87: 2010/03/22(月) 00:12:04.96 ID:uqICfTdh0
キョン妹「えっとね、次はこっち!」

キョン妹「今度はここ曲がるの!」

鶴屋「何だかどんどん見たことない場所に進んでいくっさ」

ハルヒ「いいわね! 不思議の匂いがしてきたわ!」


谷口「は、は、速い!? あいつら走るの速い!」

国木田「涼宮さんや鶴屋さんはともかく、妹ちゃんもなかなか運動神経いいね」

谷口「それにしても、このまま進んで大丈夫か? マジでここらへん知らないところだぞ」

国木田「迷子にならないよう、道を覚えておかないとね」


キョン妹「この狭い道、入るよー!」

ハルヒ「妹ちゃんに続けー!」

鶴屋「おうっさー!」

88: 2010/03/22(月) 00:16:06.46 ID:uqICfTdh0
谷口「おいおいおい、あいつら裏路地に入っていったぞ」

国木田「急がないと見失っちゃうよ、谷口」

谷口「あ、ああ」


鶴屋「こりゃまた随分狭いね」

ハルヒ「そりゃあ裏路地だもの。でもこういう人目につかないところにこそ!」

鶴屋「不思議がある、というわけだね」

キョン妹「ちょっとストップ」キキィ

ハルヒ「うあっと! どうしたの妹ちゃん?」

キョン妹「別れ道~」

鶴屋「確かに2つに別れてるね。どっちに行く?」


国木田「あ、3人とも止まってるよ。どうしたんだろ?」

谷口「ぜえ、はあ、やっと追いついた……」

90: 2010/03/22(月) 00:20:05.44 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「目の前には2つの道があるわ。今までと変わらない道、今までよりもさらに狭く暗い道」

ハルヒ「妹ちゃんの判断に任せるわ。どっちを選ぶ?」

キョン妹「う~ん、暗い道はちょっと怖いし……」

鶴屋「じゃあ明るいほうの道にするかい?」

キョン妹「ううん、暗い方の道にする!」

ハルヒ「それでこそSOS団の準団員よ! 追い求めるモノは困難の先にこそあるものなのよ!」


谷口「なあ、キョンの妹、どんどん涼宮に毒されていってないか?」

国木田「確かに影響は凄く受けているようだね」


ハルヒ「そこの2人! グズグズしてないで、さっさと行くわよ!」


国木田「今行くよー」

谷口「まさかキョンの妹も、成長したら涼宮みたいになるんじゃないだろうな?」

国木田「どうだろうね。キョンはどう思ってるんだろ?」

91: 2010/03/22(月) 00:24:05.07 ID:uqICfTdh0
谷口「お、おおい! 待ってくれ!」

国木田「遅いよ、谷口。置いていくよ」

谷口「そんなこと言われても、薄暗くて走りにくいんだっての」

国木田「そう? 確かに薄暗いけど、そこまで言われるほどじゃないと思うけど」

谷口「馬鹿言え、こんな足元もろくに見えない……ん?」

谷口「確かに妙だな。いくら裏路地とはいえ、夕方でもないのにこの暗さは……」


キョン妹「こっちこっち~」タタタッ

ハルヒ「どんどん行くわよ!」


国木田「おっと、急がないと」タタッ

谷口「あ! おい、待てって! って、ホントに置いていきやがった!」

谷口「ああくそ! 何でこんな目に! あれ? 国木田? お~い!」


谷口「まいったな。はぐれちまった」

92: 2010/03/22(月) 00:28:05.06 ID:uqICfTdh0
谷口「はあ、どーこ行っちまったんだ、あいつら?」

谷口「それにしても、気のせいか? 何かさっきより空気が生暖かくなったような……?」

谷口「それに周りの景色が見えにくいような? 見えにくいじゃねえ! 真っ暗じゃねえか!」

谷口「どうなってんだ? さっきまではこんなに暗くはなかったのに!」

谷口「ん? げ、追い討ちをかけるように別れ道かよ。あいつらどっちに行ったんだ?」

谷口「おーーーい!! みんなどこだーー!!」


シーーン・・・・・・


谷口「返事はなしか……どっちに行こうかな……?」

鶴屋「谷口くん」

谷口「うわっびっくりしたぁ!? 鶴屋さん、いつの間に!?」

鶴屋「こっちだよ」

谷口「俺がはぐれたのに気づいて迎えに来てくれたんすか? いやー、ありがとうございます!」

94: 2010/03/22(月) 00:32:04.90 ID:uqICfTdh0
鶴屋「こっちこっち」スタスタ

谷口「ととっ、待ってくださいよ!」

鶴屋「ここだよ」

谷口「え? ここって、誰もいないじゃないですか?」

鶴屋「ねぇ谷口くん、いーことしないかい?」

谷口「え? い、いいことって……?」

鶴屋「うふふふふ……」

谷口「ゴクリ……ああああの! よよ喜んで!!」

鶴屋「うふふふ……クケケケケ」

谷口「へ?」

鶴屋「クケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!!!!!!!!!」

谷口「つつつ鶴屋さん!?」

鶴屋「クケケケ、オマエモコッチニコイ……」ユラリ

谷口「ひ、ひいいい!!」ダダッ

95: 2010/03/22(月) 00:36:05.16 ID:uqICfTdh0
谷口「何だ何だ!? 何だアレ!? 鶴屋さんじゃねえのか!?」

鶴屋「クケケケケェェェェ!!!!」ギュオオオ

谷口「間違いなく鶴屋さんじゃない!! 飛んでるもん!?」

谷口(くそ! 追いつかれたらやばい!! てか怖えぇぇ!!)


ザザザザザ・・・・・・ ザザザザザ・・・・・・


谷口(ま、周りに何か気配が!? 暗くて見えねぇけど何かがいる!?)


ザザザザザーー!!!!

鶴屋「クケーーーーーー!!!!」


谷口「うわああああ!! もう駄目だ氏んだぁぁぁぁ!!」



ハルヒ「あんた、何やってんのよ?」

谷口「ぁぁぁぁぁ……あ? え? す、涼宮?」

96: 2010/03/22(月) 00:40:06.35 ID:uqICfTdh0
国木田「どうしたのさ、谷口?」

キョン妹「顔中汗びっしょりだよー?」

谷口「あ、あれ? みんな、なぜここに?」

鶴屋「なぜここにって、君がなかなか来ないから迎えにきたのさ」

谷口「うわぁ!? つつ、鶴屋さん!?」

ハルヒ「何よ、お化けでも見たような顔して」

谷口「お化け? そうだ! みんな聞いてくれ! 実は……」


国木田「谷口、それ本当かい?」

谷口「本当なんだって! マジで殺されるかと思ったんだよ!」

鶴屋「あはは、あたしを勝手にお化けにしないでほしいなぁ」

谷口「あ、いや、それはですね……」

ハルヒ「あたし達はあんたの言う怪奇現象になんて、一切遭遇しなかったわよ」

国木田「それに僕達が迎えに来た時、君はここでボーっと突っ立ってたよ。話しかけるまで全然気づかないでさ」

谷口「え? そんなはずは……俺は走って逃げてたはず……」

99: 2010/03/22(月) 01:02:05.51 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「まったく、あまり手間かけさせないでよね。どうせ夢でも見てたんでしょ」

谷口「あれは夢じゃねえ! 本当にあったんだよ!」

国木田「でも僕達は何もみてないしなぁ」

キョン妹「結局何もなかったね。こっちの方に不思議があると思ったのにぃ」

ハルヒ「ドンマイよ、妹ちゃん。不思議はそう簡単に見つからないものなのよ」

谷口「だからその不思議に俺が遭遇したんだって!!」

ハルヒ「アンタが言うと、いまいち信憑性に欠けるのよ」

ハルヒ「夢じゃないっていうんならそうね、今日のアンタは散々だから……」

ハルヒ「大方、天罰でも下ったんじゃないの?」

谷口「て、天罰って……」

ハルヒ「いつまでもチンタラしてられないわ。みんな、次に行くわよ!」


谷口「天罰……化け物になった鶴屋さん……得体の知れない気配……真っ暗闇……」

谷口「うん忘れちまおう! あんなの覚えてたってしょうがない! 忘れよう忘れよう! あははは!!」

101: 2010/03/22(月) 01:06:05.61 ID:uqICfTdh0
国木田「た、谷口、どうしたんだい? 急に笑い出したりして」

谷口「何がだ? 俺はいつも明るく笑ってるぜ」

国木田「さっき言ってた怪奇現象のせいかな……?」

谷口「怪奇現象? ナンノコトダイ?」

国木田「記憶から消去してる……」


ハルヒ「訳わかんないこと言ってる谷口はほっといて、次行きましょ」

ハルヒ「次は鶴屋さん、お願いね」

鶴屋「あいよ! 実はもう決めてあるんだ!」

ハルヒ「さすがは鶴屋さんね、それでその場所は?」

鶴屋「ふっふっふ、それは……」


鶴屋「北高っさ!」

105: 2010/03/22(月) 01:10:05.28 ID:uqICfTdh0
キョン妹「北高って、ハルにゃん達の学校だよね?」

鶴屋「そうだよ!」

谷口「鶴屋さん、これって確か『市内』不思議探索じゃあ?」

国木田「ここからだと結構遠いね」

ハルヒ「いいじゃない、北高!」

谷口「ええ!?」

ハルヒ「そうよね。『灯台下暗し』とも言うし、身近な所にこそ不思議は潜んでるかもしれないわ!」

谷口「しかしよぉ、休みの日にわざわざ学校に行くのは」

ハルヒ「不思議も今日は休みだからって油断してるかもしれないわ! 今がチャンスよ!」

谷口「ははは、やっぱり聞いてねえし」

鶴屋「いやあ、気に入ってくれてよかったよ」

ハルヒ「さすが鶴屋さんね! みんな早速出発するわよ!」

106: 2010/03/22(月) 01:14:05.13 ID:uqICfTdh0
国木田「ここからだと遠いよね、北高」

谷口「まあな。しかし、涼宮じゃなく鶴屋さんの意見だから反対はできん!」

谷口「そもそも反対したところで、却下される以前に声が届きすらしないしな」

国木田「あの3人は相変わらずテンション高いね」

谷口「いったいどうやって保ってるんだろうな?」


ハルヒ「モグモグ。このたいやき、なかなかおいしいわ!」

キョン妹「あむあむ。こっちのソフトクリームもおいしいよ~!」

鶴屋「2人とも、口に物を入れたまま喋るのはよくないよ」

ハルヒ「ムグムグゴックン! 鶴屋さん、そんな大きなパフェよく歩きながら食べられるわね」


国木田「エネルギー補給も万全みたいだね」

谷口「そして、俺のサイフのエネルギーは尽きた……」

107: 2010/03/22(月) 01:18:05.20 ID:uqICfTdh0
~北高 校門~


ハルヒ「到着!」

鶴屋「しっかしハルにゃん、あたし達よく考えたら私服だよ?」

ハルヒ「見つからなければ大丈夫よ」

国木田「いくら休みとはいえ、クラブ活動に来てる人もいるし先生もいると思うんだけど」

ハルヒ「よその学校ならともかく、自分の学校なんだから大丈夫よ!」

谷口「頼むから捕まっても怒られるのは涼宮だけでありますよーに。俺は巻き込まれただけだからな」

キョン妹「わーい、探検探検」

鶴屋「妹ちゃんは北高は初めてだったかな?」

キョン妹「文化祭の時に来たことあるよー」


ハルヒ「むむっ! 何だか不思議の匂いがする……」

ハルヒ「絶対に校舎内に何かいるわ! 行くわよ!」

108: 2010/03/22(月) 01:22:05.29 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「休みの日の校舎内って何となく雰囲気が違うわね。あたし達も私服だし」

キョン妹「まずはどこから行くのー?」

ハルヒ「とりあえず部室に行くわ」

鶴屋「了解っさ。それじゃあ職員室に鍵を取りに行かないとね」

ハルヒ「ううん、その必要はないわ」

鶴屋「どうしてだい?」

ハルヒ「日頃からいちいち鍵を取りに行くの面倒くさいと思ってたから、密かに合鍵を作っておいたのよ」

谷口「いいのかよ、それ……」

キョン妹「ねーねー、あたし上履き持ってきてないよー?」

ハルヒ「あ、そっか。確かこっちに……あったわ、来客用のスリッパ」

キョン妹「ぶかぶか~」

ハルヒ「これで準備OKね。部室に向かうわよ」

109: 2010/03/22(月) 01:26:05.95 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「ちょっと待って」

キョン妹「ハルにゃん、どうしたの?」

ハルヒ「う~~ん……」

ハルヒ「やっぱりこっち! こっちに進路を変更するわ!」

谷口「おいおい、部室とは全然方角が違うじゃねえか」

鶴屋「部室には行かないのかい? どうして急にこっちに?」

ハルヒ「言うなれば勘よ! なぜか知らないけど、こっちに不思議がある気がするのよ!」

谷口「また適当だなぁおい」

ハルヒ「勘というのは大事よ! さっきの妹ちゃんみたいに勘に従って進むわよ!」

国木田「さっきはそれで何も見つからなかったような……?」

ハルヒ「ほらほら、行くわよ!」


『ふぎゅっ!』


ハルヒ「あれ? 今、誰かの声が聞こえたような?」

110: 2010/03/22(月) 01:30:05.48 ID:uqICfTdh0
キョン妹「あたしには聞こえなかったよ~?」

ハルヒ「ううん、確かに聞こえたわ」

谷口「気のせいじゃねえのか?」

鶴屋(う~ん、あの声、聞き覚えがあるような気がするっさ)

ハルヒ「あそこの物陰の辺りからよ、声が聞こえたのは」

ハルヒ「何かがいるのかしら? ちょっとこの山積みになってる来客用のスリッパを拝借してっと」

ハルヒ「せ~の、うりゃ!」ブンッ


ヒュ~~~ コツン


ハルヒ「……」

キョン妹「……」

鶴屋「特に何も反応はないみたいだね」

ハルヒ「絶対何かいるわ! よーし、見てなさい!」

111: 2010/03/22(月) 01:34:05.28 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「喰らいなさい! スリッパの乱れ投げ!」ブンブンブンブンブンッ!!


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンッ!! コツン! カツン! ポスン! トスン! パコン!



ハルヒ「どうよ!」


シーン・・・・・・


鶴屋「やっぱり何も反応ないねぇ」

谷口「やっぱり気のせいだったんだろ」

国木田「というかクラブ活動に来てただけの人だったらどうするの?」

鶴屋「それだったら出てくると思うっさ」

ハルヒ「はあ、本当に何でもなかったみたいね。ガッカリだわ。行きましょ行きましょ」スタスタ

谷口「スリッパ散乱したままなんだが」

鶴屋「直接確認しなくていいのかな? ま、いっか」

鶴屋(だいたい予想はつくし、ね) 

112: 2010/03/22(月) 01:38:05.39 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「う~~んと、次は……こっちよ!」

谷口「また勘かよ」

鶴屋「ハルにゃんのことだから、学校全部調べるのかもよ? あ、職員室周辺は気をつけてね」

ハルヒ「分かってるわ。行くわよ!」


国木田「休みだからほとんどの教室が開いてないと思うんだけど」

ハルヒ「蹴破るわよ」

谷口「そうか。その時は言えよ、逃げるから」

ハルヒ「冗談に決まってるでしょ」

谷口「お前が言うと冗談に聞こえねえよ!」

キョン妹「ハルにゃん、ドア蹴破れるの~?」

ハルヒ「できるわよ。こうやってね……」

谷口「俺で実演しようとするなよ!」

138: 2010/03/22(月) 10:20:05.90 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「こっちよ!」

鶴屋「ほいさ!」

ハルヒ「次はこっち!」

キョン妹「おー!」

ハルヒ「こっち、と見せかけてあっち!」

国木田「分かった、と見せかけて了解」

ハルヒ「Uターンしてそっち!」

谷口「へーい」


ハルヒ「見つかんないわねー。おかしいわ」

鶴屋「もうほとんどの場所を探したよ」

ハルヒ「諦めないわよ! こうなったら根競べよ!」


谷口「俺、せっかくの休みになにしてるのかな?」

国木田「今さらそんなことを深く考えたら駄目だよ」

139: 2010/03/22(月) 10:24:07.39 ID:uqICfTdh0
鶴屋「ハルにゃん、そろそろ切り上げないかい?」

ハルヒ「うーん、もうちょっと調査したいんだけど」

鶴屋「あまり長くいると、最後のハルにゃんが『不思議があると思う場所』に行く時間がなくなるよ?」

ハルヒ「う……」

鶴屋「学校ならいつでも調べられるしね。そうしないかい?」

ハルヒ「……そうね、分かったわ。外に出るわよ」

谷口「やっとか。まったく無駄足だったな」

国木田「最後はどこ行くんだろうね?」

谷口「またろくでもない場所を言いそうだな。勘弁してくれよ」

鶴屋「そんなこと言わないで。最後までみんなで楽しもうじゃないか!」

谷口「そうっすよね! 盛り上がっていきましょう!」

国木田「お手軽だね」

140: 2010/03/22(月) 10:28:05.93 ID:uqICfTdh0
~下駄箱~


ハルヒ「あっ」

鶴屋「どうかしたのかい、ハルにゃん」

ハルヒ「部室に行くのをすっかり忘れてたわ……」

国木田「そういえば一番最初に行こうとして、進路変更したんだっけね」

谷口「もういいじゃねえかよ。いちいち戻るのもメンドくせえしよ」

ハルヒ「そうもいかないわよ! これで部室に不思議があったら悔しいじゃない。ほら行くわよ」ズンズン

谷口「マジかよ、はあ」

鶴屋「まあ部室ぐらいならいいかな。残り物に福があるかもしれないしね」

キョン妹「あたし、ハルにゃん達の部室って初めて~」

鶴屋「おおそうかい、何か面白い物があるかもね」

キョン妹「楽しみー!」

142: 2010/03/22(月) 10:32:05.71 ID:uqICfTdh0
~部室~


ハルヒ「開けるわね。そりゃ!」バーン

キョン妹「へ~、ここが部室なんだぁ」

谷口「特に何もねえぞ」

ハルヒ「それを今から探すんでしょう! みんな手分けして捜索開始よ!」

鶴屋「了解っさ。えとえと、お、これは七夕の笹かい?」

国木田「うわー、本がたくさんあるね」

谷口「おおおお! これは朝比奈さんのメメメメメイド! バニー! チア! ナース!」

鶴屋「こらこら。手出ししちゃいけないよ」ギリギリギリ

谷口「手ぇ! いだだだだ! すんませんすんません!!」

キョン妹「あ、ここ写真が飾ってある! あたしも何枚か写ってるよ」


ハルヒ「うーんと、本棚、長テーブル、団長机……」

ハルヒ「特に何もないわね……いつも通りの部室だわ」

143: 2010/03/22(月) 10:36:05.81 ID:uqICfTdh0
鶴屋「特に怪しいものはないみたいだよ、ハルにゃん」

ハルヒ「もっとも身近な部室にこそ、不思議が潜んでると思ったんだけど」

谷口「ほぼ毎日いるんだから、あればとっくに気づいてるだろ」

ハルヒ「あとはこのロッカーだけね。開けたらツチノコでも出てこないかしら?」

国木田「本当にいたらびっくりだよね」

谷口「びっくりどころか怖いっつうの」

ハルヒ「じゃあ開けるわよ。せ~~の!!」ガチャ


鶴屋「……」

国木田「……」

谷口「……」

キョン妹「何だかホウキみたいな形のツチノコだね~」

ハルヒ「ホウキよ、妹ちゃん……」

鶴屋「残念、何にもいなかったね」

ハルヒ「はあ、結局ここもはずれみたいね」

144: 2010/03/22(月) 10:40:05.93 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「いつまでもいてもしょうがないわね。出るわよみんな」

ハルヒ「あ、ちゃんと後片付けは忘れないように」

谷口「他のところはそのまま放置してたくせに」


ガチャ バタン


ハルヒ「あーあ、北高まで来たのに収穫なしとはね」

鶴屋「面目ないっさハルにゃん。北高なんて提案、しない方がよかったかな?」

ハルヒ「ううん、鶴屋さんは悪くないわよ。気を利かさない不思議の方が悪いのよ」

国木田「でも結構楽しかったよ。私服姿を先生に見つからないか、スリルもあったしね」

谷口「国木田、お前まで涼宮に毒されてんじゃねえよ」

キョン妹「あたしも楽しかったー! また来たいなー」

ハルヒ「そうね。今度は夜に忍び込もうかしら?」

谷口「そういうことは、本家SOS団でやってくれ」

国木田「だいぶツッコミが板についてきたね、谷口」

145: 2010/03/22(月) 10:44:06.00 ID:uqICfTdh0
~下駄箱~


谷口「ん? あ、あれ?」ゴソゴソ

国木田「どうしたの谷口?」

谷口「ポケットに入れておいた家の鍵がないんだよ。おかしいな、さっきまであったのに」

鶴屋「さっき部室で落としたんじゃないかな?」

谷口「あー、そうかもしれないすね。ちょっと探してきます」

鶴屋「いってらっしゃい! あたし達は校門の前で待ってるよ!」

ハルヒ「ああ谷口、戻るんならついでに部室の鍵閉めてきなさい。さっきうっかり忘れてたわ」ヒョイッ

谷口「おう、分かった」パシッ

谷口「んじゃ、ちゃちゃっと行ってくるぜ」タタッ


国木田「まったく、相変わらず谷口は忘れ物が多いなぁ。あれ、この場合は落し物かな?」

146: 2010/03/22(月) 10:48:06.58 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「谷口を待つというのも癪ね。やっぱ置いていこうかしら?」

キョン妹「置いていったら可哀想だよー」


先生「お前ら、そこでなにしてるんだ?」


ハルヒ「あら」

鶴屋「あちゃー、最後の最後に見つかっちゃったね」

先生「私服だがここの生徒か? 休みの日だろうが学校では制服着用が義務付けられてるのを知らんのか?」

先生「それともまさか、部外者じゃないだろうな?」

国木田「その、僕達はですね……」

先生「何か怪しいな。お前ら、ちょっと職員室まで来い!」

ハルヒ「メンドくさいわね。張り倒してやろうかしら?」

鶴屋「ハルにゃん、さすがにそれはまずいにょろ……」

147: 2010/03/22(月) 10:52:05.92 ID:uqICfTdh0
キョン妹「ねーねー」

先生「ん? お前は明らかに部外者だな。まったく、小学生なんか連れ込んで」

キョン妹「あたし、お金拾ったのー」

先生「お、お金?」

キョン妹「ほら、10円玉と100円玉!」

先生「ああ、確かにな」

キョン妹「拾ったお金をネコババしたらいけないんだよ! だからあたしお巡りさんに届けるの」

先生「そうか、お嬢ちゃんは偉いんだな」

キョン妹「うん、あたし偉いー」ニパッ

先生「おおそうだ、わざわざ警察に届けるのも面倒だろうから、そのお金は先生が預かっておくよ」

キョン妹「ありがとー」チャリン

先生「ポケットに入れてと。ところでお嬢ちゃん……あれ? お嬢ちゃん?」キョロキョロ

先生「いない!? しかもあいつらまで全員いない!?」


先生「くそー! 逃げられた!!」

149: 2010/03/22(月) 11:12:06.48 ID:uqICfTdh0
~校門前~


ハルヒ「凄いじゃない妹ちゃん! 見事な頭脳プレーだわ!」

キョン妹「やったー! 大成功!」

鶴屋「にゃははは、愉快だったね!」

国木田「あれ素じゃなくて計算だったの……?」

キョン妹「ああやってあたしが引き付けておけば、ハルにゃん達が逃げられるかなーって」

国木田「はは……キョンが聞いたらどんな顔をするんだろう?」

ハルヒ「さすがはあたしが認めた逸材ね! キョンもあれぐらい機転が利けばいいのに」

鶴屋(あの機転の良さは、キョンくん譲りな気もするけどね!)

国木田「あ、そういえば谷口、さっきの先生に見つかってなければいいけど」

ハルヒ「その時は置いていけばいいわよ。鍵は後日回収すればいいんだし」

国木田「あはは、ひどいなぁ」

150: 2010/03/22(月) 11:16:06.09 ID:uqICfTdh0
谷口「お~い!」


国木田「あ、谷口来たよ」

鶴屋「どうやら先生には見つからなかったみたいだね! よかったよかった!」

谷口「お待たせ! 家の鍵は無事に見つけたぜ!」

ハルヒ「そう。部室の鍵返しなさい」

谷口「お? ああそうだったな、そらよ」チャリン

ハルヒ「最後はあたしね。あたしの行きたいところは……」

谷口「おう! どこまででも着いていってやるぜ!」

ハルヒ「うっさいわね!」

国木田「谷口、何か上機嫌だね。いい事でもあったの?」

谷口「ああ、あさひ……いや! 何でもないさ、はははは!」

国木田「何だろ?」

ハルヒ「いつもの2倍ウザいわね」

151: 2010/03/22(月) 11:20:05.98 ID:uqICfTdh0
先生「こらー! そこのお前! 待て!」

谷口「うお! な、何だ!?」


鶴屋「ありゃ、さっきの先生」

国木田「どうやらバッチリ見つかってたみたいだね」


先生「あ! お前らは! さっきはよくも! そこを動くなよ!」


ハルヒ「あたし達も見つかったわ。みんな逃げるわよ!」

鶴屋「はいはーい!」


谷口「ちょ! 待ってくれ! 置いていかないでくれ!」


ハルヒ「うっさい! アンタみんなのために犠牲になりなさい!」

ハルヒ「というか、あたし達を巻き込むんじゃないわよ! 2年5組の谷口!」


谷口「大声でクラスと名前を叫ぶんじゃねえ!!」

152: 2010/03/22(月) 11:24:06.22 ID:uqICfTdh0
キョン妹「みんな待ってー」


ハルヒ「あっと、妹ちゃんが遅れちゃってる!?」


先生「捕まえたぞ!」ガシッ

キョン妹「捕まっちゃったー」


鶴屋「ありゃりゃ、妹ちゃん捕まっちゃったにょろ」

谷口「あ、危ねぇ! 逃げ切ったぜ!」

ハルヒ「アンタが犠牲にならなくてどうすんのよ! このアホ!」

谷口「んなこと言われたって!?」


先生「さあ、お前らもさっさとこっちに来い!」

キョン妹「ごめんねーハルにゃん」


鶴屋「どうするハルにゃん?」

153: 2010/03/22(月) 11:28:05.91 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「谷口なら見捨てたのに。妹ちゃんが捕まっちゃったから仕方ないわね」

谷口「おい」


先生「何をグズグズしてる! 早くせんか!」

キョン妹「助けてハルにゃーん!」

先生「お前は黙ってろ!」


警官「あー君君、その子に何をしてるんだね?」

先生「え? あ、お、お巡りさん?」

警官「そんな小さな女の子を羽交い絞めにして。何の真似だね?」

先生「いやいや、これには理由がありまして!」

キョン妹「お巡りさん、助けてー!」

先生「えー!!」


鶴屋「おお、急展開」

154: 2010/03/22(月) 11:32:06.31 ID:uqICfTdh0
警官「君、ちょっと一緒に来てもらおうか」グイグイ

先生「待ってください! 俺は教師で!?」

警官「教師が生徒に手を出したのか。許せんな」

先生「違ーう!」


鶴屋「連れてかれちゃったね」

キョン妹「助かったよー」

ハルヒ「よかったわね妹ちゃん。怪我はない?」

国木田「ねえ、あの先生気の毒すぎないかな?」

鶴屋「確かにね。ハルにゃん、誤解を解いてあげないと」

ハルヒ「面倒ね。でも、逆恨みでもされたらたまんないから仕方ないわね」

谷口「しかしよう、あの先生の誤解を解いたら今度は俺達が危なくないか?」

ハルヒ「平気よ。さっきの一連の出来事、全部デジカメで撮ってたから。これで脅せばいいわ」

国木田「いつの間に……」

谷口「悪魔だ、悪魔がここにいるぞ」

155: 2010/03/22(月) 11:36:06.00 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「はぁ、これであの先生のことはOKね。面倒事、無事解決っと」

鶴屋(ハルにゃんも以前と比べて変わったと思ってたけど、相変わらずな部分もあるんだね)


キョン妹「ハルにゃん、最後はどこ行くの?」

ハルヒ「では改めて。実は鶴屋さんと少しカブッちゃったんだけどね」

鶴屋「あたしとカブッちゃった?」

ハルヒ「あたしが行きたいのはズバリ! 東中よ!」

キョン妹「ひがしちゅー? ひがシチューってどんなシチューなの?」

ハルヒ「シチューじゃないのよ、妹ちゃん」

鶴屋「東中というと、ハルにゃんの出身中学だね」

谷口「俺の出身でもありますよー」

ハルヒ「そうよ、今からそこへ行くわ!」

国木田「東中か。ここからだとまた遠いね」

鶴屋「でもハルにゃんの母校には興味あるし、行ってみるっさ!」

谷口「そうっすよね! 行きましょう!」

156: 2010/03/22(月) 11:40:05.81 ID:uqICfTdh0
~移動中~


鶴屋「ハルにゃんの母校かー、何だかいろいろやっていたみたいじゃないかい」

谷口「そーそー、こいつの奇人変人ぶりは校内で知らない者がいないほどの……」

国木田「谷口」

谷口「うおっと! つい本人の前で」

ハルヒ「……」

谷口「あれ? 反応なしか?」

キョン妹「ハルにゃんどうしたの? ボーッとしちゃって」

ハルヒ「え? 何?」

鶴屋「何やら考え込んでいた様子だね」

ハルヒ「うん、ちょっとね。ねえ鶴屋さん」

鶴屋「何だい?」

ハルヒ「本当はあたし、もっと別の場所に行くと決めていたのよ」

ハルヒ「なのに急に東中に行きたくなって。どうしたんだろう、あたし」

157: 2010/03/22(月) 11:44:05.89 ID:uqICfTdh0
鶴屋「急に行きたくなったかぁ。どうしてだろうね」

ハルヒ「分からないわ。東中はもう散々隅から隅まで探しつくして、不思議はないと思っていたのに」

鶴屋「その時は1人で探してたにょろ? 今度はこんなにいるんだから見つかるかもしれないよ?」

ハルヒ「そうね、だから行きたくなったのかしら?」

ハルヒ「それにしても東中ね……うーん」

鶴屋「よくない思い出でもあるのかい?」

ハルヒ「よくないどころか、いい思い出が何一つないわ。周りも馬鹿ばっかだったし」

鶴屋「ありゃ、そうなのかい」

ハルヒ「……」

ハルヒ(でも、一つだけいいことがあったっけ。アイツは今どこで、何をしてるんだろう?)

鶴屋「また何かを思い出しているようだね」

ハルヒ「あ、うん」

鶴屋「初恋の人かな?」

ハルヒ「違うわよ!」

158: 2010/03/22(月) 11:48:06.03 ID:uqICfTdh0
~東中 校門前~


ハルヒ「着いたわね」

谷口「おおっ、懐かしの我が母校よ!」

キョン妹「ここがシチュー屋さん?」

ハルヒ「そうよ~、おいしいわよ~」

鶴屋「ハルにゃん、負けたら駄目っさ」

国木田「それでどうするの? 中に入るの?」

ハルヒ「当たり前でしょ。何のために来たと思ってるのよ」

谷口「いや、けどよう。さっきの北高でもそうだったが、俺達私服だぜ?」

谷口「いや、今回は問題はそこじゃない。俺達が部外者だってことだ」

鶴屋「確かに、見つかると面倒なことになりそうっさ」

国木田「結構クラブ活動で来てる生徒も多いし、危ないんじゃないかな」

谷口「北高だったらまだそこの生徒だからいいが、ここで捕まったらやばいだろ」

ハルヒ「みんな心配性ね。でもあたしは部外者じゃないわ。ここの卒業生なんだから」

160: 2010/03/22(月) 12:10:39.15 ID:uqICfTdh0
谷口「いやいや、卒業生だからって大丈夫なのか!?」

国木田「せめて許可を貰ってくるとか。こっそり進入するのは……」

ハルヒ「メンドくさいもの。ほら、行くわよ」スタスタ

谷口「待てっつの! 正面から校舎に侵入する気か!」

ハルヒ「邪魔」

谷口「ああくそ! キョーン! 助けてくれ!」

鶴屋「待った待ったハルにゃん」

ハルヒ「何?」

鶴屋「無断で入るのはさすがにまずいにょろ。それに……」

鶴屋「ハルにゃんの探し物は、校舎内にあるのかい?」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……分かったわよ。校舎には入らないわ」

キョン妹「ねえどうするのー?」

162: 2010/03/22(月) 12:15:35.89 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「じゃああっちのグラウンドの隅っこ、あそこならいいでしょう」

鶴屋「うん、全然目立たないし、見つかる心配はなさそうだね」

ハルヒ「移動するわよ。ついてきて」スタスタ

谷口「ほっ、助かった」

国木田「そもそも谷口、東中に行くと聞いた時点でこうなること予想できたんじゃない?」

谷口「確かにな。北高をあんなにくまなく探索したんだから、東中でも同じことをしようとするよな」

鶴屋「それを言うならあたし達気づかなきゃいけなかったんだけどね! あっはっは!」


ハルヒ「うん、ここなら誰にも見つからない上に、校舎もグラウンドも全部見渡せるわね」

鶴屋「ここが東中、SOS団の原点とも言える場所だね!」

ハルヒ「そうね。ここでアイツと会ったから……」

鶴屋「アイツ?」

ハルヒ「……」

163: 2010/03/22(月) 12:20:35.91 ID:uqICfTdh0
ハルヒ(そう。あの日、あの変な高校生に出会って……思えばそれが始まりだったのかしら?)

ハルヒ(アイツ、あたしのことを手伝っただけじゃなく、あたしの考え方を肯定してくれたのよね)

ハルヒ(誰もがあたしを変な目で見る中で、アイツだけがあたしを……)


谷口「何だ涼宮の奴、またボーッとしちまって」

キョン妹「ハルにゃん、ハルにゃんってば」

鶴屋「し~」

キョン妹「なぁに?」

鶴屋「しばらくそっとしといてあげるっさ」

谷口「何だか知らないが、アイツが大人しくしていてくれればこっちもありがたい」

国木田「でも、こんな隅っこに来たはいいけど、何をするの?」

鶴屋「そうだね~。不思議を探すにも範囲が狭いしね~」

165: 2010/03/22(月) 12:25:35.77 ID:uqICfTdh0
国木田「そういえば、涼宮さんってこのグラウンドに大きく図形みたいなの描いたんだっけ?」

谷口「そうそう。結構な騒ぎになったぜ」

鶴屋「当時から凄い行動力だったんだねぇハルにゃん」


ハルヒ(アイツに会ったのがきっかけで、北高に行くことを決めたのよね)

ハルヒ(アイツを捜すため、そしてアイツのいた北高でなら不思議が絶対に見つかると信じて)

ハルヒ(でも、1年以上経った今も、不思議は見つかっていない)

ハルヒ(宇宙人、未来人、異世界人、超能力者……そんなに簡単に見つかるとは思っていなかったけど)


キョン妹「何? ハルにゃんお絵かきしたの?」

鶴屋「お絵かきか。ふむふむ」


ハルヒ(確かに不思議はまだ見つからない。でもあたしはもっと大切な……)

ハルヒ(……うん、そうだ!)


ハルヒ「みんな! 聞きなさい!」

167: 2010/03/22(月) 12:30:35.89 ID:uqICfTdh0
谷口「わっ! びっくりした!」

鶴屋「どったの、ハルにゃん?」

ハルヒ「今からみんなでメッセージ描くわよ!」

キョン妹「メッセージ?」

谷口「何だよメッセージって? 誰に対してだよ?」

ハルヒ「あの宇宙のどこかにいる、宇宙人に対してよ!」

国木田「宇宙人?」

鶴屋「おや、すると4年前にハルにゃんがグラウンドに描いたのって」

ハルヒ「そ! 宇宙に向けてのメッセージ! それを今度はみんなで描くのよ!」

キョン妹「わ~い! 面白そう!」

谷口「おいおいおい、まさかまたグラウンドにでっかく描くつもりか? 確実に捕まるぞ」

ハルヒ「そこまでじゃなくていいわよ。ここに描くんだから」

鶴屋「ここにかい?」

ハルヒ「一つのメッセージをみんなで描くんじゃなくて、各自で好きなように描いてもらうわ!」

168: 2010/03/22(月) 12:35:36.38 ID:uqICfTdh0
鶴屋「各自で描くんだね。了解っさ」

キョン妹「何だかお絵かきコンテストみたーい」

ハルヒ「コンテストか。いいわね、一番独創的なメッセージを描いた人はあたしが褒めてあげるわ」

谷口「いらねー」

国木田「まあまあ」

ハルヒ「じゃあそこら辺の地面に描くのよ。何か適当な小枝か石を拾って」

鶴屋「メッセージと言っても、具体的にどういう風に描けばいいにょろ?」

ハルヒ「各自の感性に任せるわ。ただし、字は禁止だからね。日本語が分からない可能性もあるから」

鶴屋「分かったっさ。腕が鳴るねぇ」

谷口「まあこんぐらいならいっか」

国木田「うーん、どう描こうかな?」

キョン妹「お絵かきお絵かき~♪」

ハルヒ「さぁみんな! 描きなさい!」

169: 2010/03/22(月) 12:40:36.44 ID:uqICfTdh0
鶴屋「ふっふっふ、ここはあたしの腕の見せ所だね!」

キョン妹「何の絵を描こうかな~?」

谷口「感性に任せると言われてもなぁ。ここは無心で」

国木田「何か参考になるものってあったかな?」


ハルヒ「うんうん、みんな熱心に描いてるわね!」

ハルヒ「さて、あたしも描かないと。そうね……」

ハルヒ「あの時は織姫と彦星宛てのメッセージだったけど、今回は誰に送ろうかしら?」

ハルヒ「まぁ今回はこんなに小さいし、よっぽど目のいい宇宙人に見つけてもらうしかないわね」


鶴屋「そりゃあ! ほい! ほい! ほいさ!」

キョン妹「う~んと~♪ えっと~♪」

谷口「心を無に……心を無に……グゥ」

国木田「寝るなよ」ゲシッ

谷口「はっ! 今、国木田に蹴り入れられたような!?」

国木田「気のせいだよ」

170: 2010/03/22(月) 12:45:36.05 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「あたしはこんなところかしら。みんなはどう?」

鶴屋「できたよん! さぁさぁ見てくれたまえ!」

ハルヒ「わっ、凄いわねこれ。細かいところまでビッシリ図形が書き込まれてて」

鶴屋「入魂の一作っさ!」

ハルヒ「さすが鶴屋さん、何でもできるのね」

キョン妹「ハルにゃん、あたしも描けたよー」

ハルヒ「どれどれ……これは?」

キョン妹「お花~。こっちがチューリップでこっちがひまわり!」

ハルヒ「よく描けてるわね。よく描けてるけど……でも、これはこれでいいかもしれないわね」

ハルヒ「さすが妹ちゃん! 凡人とはやることが違うわ!」

キョン妹「わーい! 次はラフレシアを描いてみる~」

ハルヒ「チャレンジャーね、妹ちゃん」

172: 2010/03/22(月) 12:50:36.51 ID:uqICfTdh0
国木田「一応僕もできたけど……」

ハルヒ「何これ?」

国木田「以前テレビの番組で見たのを思い出しながら描いたんだけど……」

国木田「あはは、ごめん。僕にはちょっと難しいや」

ハルヒ「ふーん。で、アンタは?」

谷口「俺か? 俺はこれだ!」バッ


『彼女よこせ!』


ハルヒ「字で描くなって言ったでしょうが!」ザッザッザッ

谷口「ああ!? せっかく描いたのに!?」

国木田「せっかくって、描くのには10秒もかかっていないじゃないか」

ハルヒ「まったくこのアホは。何を考えてるのよ」

谷口「心を無にして、一番最初に浮かんできたのがソレだったんだよ」

国木田「谷口らしいといえば谷口らしいけどね」

174: 2010/03/22(月) 12:55:37.36 ID:uqICfTdh0
鶴屋「ハルにゃんはどんなのを描いたんだい?」

ハルヒ「あたしのはこれよ」

鶴屋「ほほう、これはまた面白い図形だね」

谷口「4年前のグラウンドの落書きとよく似てんな」

鶴屋「宇宙へのメッセージか。そういえば、それぞれのメッセージの意味、まだ聞いてないね」

ハルヒ「それはいいわ。意味は各自胸にしまっておいて」

鶴屋「そうかい、了解っさ」

谷口「俺はバッチリ公開してしまったがな」

キョン妹「意味~?」


ハルヒ(本当は今年の七夕に、SOS団のみんなで本格的に描く予定だったんだけど)

ハルヒ(ま、予行演習だと思えばいいわよね。本番はもっとでっかく描くわよ!)

ハルヒ(織姫と彦星、そして宇宙のどこかにいる宇宙人達に向けたメッセージ。その意味は……)


ハルヒ(『私たちは、ここにいる』)

180: 2010/03/22(月) 13:15:36.31 ID:uqICfTdh0
鶴屋「そろそろ暗くなってきたね」

ハルヒ「そうね。じゃあ帰るわよ、みんな」

谷口「何だよ、結局ここにはただ落書きをしに来ただけかよ」

国木田「いいじゃない、久々に母校に来れたんだから」

谷口「それはそうだが。うーん、まあそれでよしとしとくか」



~帰り道~


キョン妹「今日はとっても楽しかったよ! また一緒に不思議探索しよーね!」

ハルヒ「うん、そうね。あたしも楽しみにしてるわ」

谷口「ま、ちょうどいい暇つぶしにはなったかな」

国木田「またそういうこと言って」

鶴屋「わっはは! みくるには悪いけど、また代理で来ようかな?」

181: 2010/03/22(月) 13:20:36.68 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「そう、ね。またこのメンバーで探索するのもいいかもね」

鶴屋「……」

ハルヒ「……」

鶴屋「ふっふーん、ハルにゃん!」ガバッ

ハルヒ「わっ! ちょ、ちょっと何、鶴屋さん!」

鶴屋「ハルにゃん、本当は今日の不思議探索もいつものSOS団のメンバーでしたかったにょろ?」

ハルヒ「え? そりゃあ、そうだけど……」

鶴屋「今日のハルにゃん、笑ってることが多かったけどホントはこう思ってたでしょ?」

鶴屋「『いつものメンバーだったら、もっと楽しいのになぁ』って」

ハルヒ「……まあね」

鶴屋「正直だね。ハルにゃんのそういうところ、嫌いじゃないよ!」

ハルヒ「鶴屋さんはどうだったの?」

183: 2010/03/22(月) 13:25:35.80 ID:uqICfTdh0
鶴屋「もちろん楽しかったっさ! ハルにゃん達といると飽きないからね!」

鶴屋「でもね、ハルにゃん達と遊ぶのは大好きなんだけどね……」


鶴屋「ハルにゃん達SOS団の5人が楽しそうにしてるところを見るのは、もっと大好きなのさ!」

ハルヒ「鶴屋さん……」

鶴屋「やっぱりさ、団長のハルにゃんがいて、無口な有希っこがいて、可愛いみくるがいて、爽やか笑顔の古泉くんがいて」

鶴屋「そして、どんな時も一番近くにキョンくんがいて」

ハルヒ「キョンだけ余計よ」

鶴屋「まあまあ。それで、やっぱりこの5人が揃ってこそSOS団であり、ハルにゃんがもっとも輝いていると思うのさ!」

ハルヒ「……うん、そうよね。SOS団こそがあたしの居場所なんだと思うわ」

ハルヒ「でも、だからと言って今日の不思議探索がつまらなかったわけじゃないわよ」

鶴屋「ふふ、分かってるっさ」

184: 2010/03/22(月) 13:30:36.05 ID:uqICfTdh0
鶴屋「だったらハルにゃん、ちょびっとだけでいいから素直になってみたらどうかな?」

ハルヒ「う……」

鶴屋「今日はみんなのおかげで楽しかったんだからさ。お姉さんの言うことは聞いとくものだよ!」

ハルヒ「……分かったわ。じゃあ鶴屋さんから」

鶴屋「およ?」

ハルヒ「鶴屋さん、今日は本当にありがとう。いろいろ盛り上げてくれて」

鶴屋「いいってことさ!」

ハルヒ「妹ちゃん妹ちゃん」

キョン妹「なぁにハルにゃん?」

ハルヒ「今日はありがとね。妹ちゃんのおかげでとっても賑やかで楽しかったわ」

キョン妹「こっちこそありがとー!」

185: 2010/03/22(月) 13:35:36.21 ID:uqICfTdh0
谷口「おいおい、涼宮が人に礼を言ってるぞ。珍しいな」

国木田「そんなに驚かなくてもいいじゃない」

谷口「ま、つってもやっぱり俺らは眼中にないみたいだが」

ハルヒ「アンタ達も」

谷口「へ?」

ハルヒ「アンタ達も今日はありがとね。いないよりはマシだったわ」

谷口「はい? え? それ俺と国木田に言ってるのか?」

ハルヒ「あたしが今向いてる方向には、アンタと国木田しかいないわよ」

谷口「……」

国木田「僕の方こそ、今日は楽しかったよ。ありがとう、涼宮さん」

国木田「何だろう。何か嬉しいな。ほら谷口、何を黙り込んでいるのさ?」

谷口「お……」

国木田「お?」

谷口「お前誰だ!!」

ハルヒ「はあ?」

188: 2010/03/22(月) 13:40:36.38 ID:uqICfTdh0
谷口「涼宮が礼を言うなんて、天地がひっくり返るほどのことなんだぞ!」

谷口「それがさらに、涼宮が! 俺に! 礼を言うだとぉ!!」

谷口「ありえねぇ! 絶対にありえねぇんだよ!」

谷口「はっ! さてはお前、涼宮の偽者だな!!」

谷口「偽者め! 正体を現せ!!」


ハルヒ「喰らえ!!」バシュッ!

谷口「ぐぎゃああ! ごぼぼ! 砂が! 目に! 鼻に! 口にぃ!」

ハルヒ「ふん! 殴られなかっただけありがたく思いなさい」

国木田「何で君は余計なことを言っちゃうかな」

鶴屋「ありゃりゃ。素直に受け取っておけばよかったのにね」

ハルヒ「みんな! そんな奴ほっといて、さっさと行くわよ!」ズンズン

国木田「谷口、回復したら追いつきなよ」

谷口「ま、待って……」

191: 2010/03/22(月) 13:45:36.71 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「そろそろこの辺で解散しましょっか」

キョン妹「真っ暗~」

鶴屋「そだね。あたりもだいぶ暗くなってきたね」

ハルヒ「妹ちゃんを1人で帰すわけにはいかないわね。あたしが家まで送っていくわ」

鶴屋「任せていいのかい?」

ハルヒ「団長だもの」

キョン妹「ハルにゃんと一緒~」

国木田「じゃあ僕らはこっちだから。ほら谷口、しっかりしてよ」

谷口「前が見えねぇ」

国木田「まったく。また誘ってね。それじゃ」

鶴屋「あたしも帰るね。ばいばいハルにゃん、妹ちゃん!」

キョン妹「ばいば~い」

ハルヒ「またね、鶴屋さん」

192: 2010/03/22(月) 13:50:36.30 ID:uqICfTdh0
ハルヒ「さって、行こっか妹ちゃん」

キョン妹「うん!」


キョン妹「ねぇねぇハルにゃん」

ハルヒ「なに?」

キョン妹「あたしね、高校生になったらハルにゃん達の高校に入る!」

キョン妹「そしてハルにゃん達と同じように、SOS団を作るの!」

ハルヒ「いいわね妹ちゃん。SOS団はこうやって代々受け継がれていくべきなのよ」

キョン妹「それからSOS団のみんなと、いっぱいいっぱい楽しいことして遊ぶの!」

ハルヒ「妹ちゃん、遊ぶのもいいんだけど、SOS団の本来の目的を忘れちゃ駄目よ」

キョン妹「本来の目的~?」

ハルヒ「SOS団の目的は、この世の不思議を見つけること。これを何より優先することよ」

キョン妹「はーい」

196: 2010/03/22(月) 13:55:36.42 ID:uqICfTdh0
キョン妹「ハルにゃん、でも……」

ハルヒ「どうしたの?」

キョン妹「頑張って探しても、不思議が見つからなかった場合はどうすればいいの?」

ハルヒ「妹ちゃん、見つからなかったらとかそういうのは考えなくてもいいのよ」

ハルヒ「絶対に見つけてやる。見つかるまで諦めない! これぐらいの気持ちを持たないと」

キョン妹「見つかるまで諦めない……うん! 分かった!」

キョン妹「あたし、絶対に見つけるー!」

ハルヒ「その意気よ、妹ちゃん!」



~キョン宅~


キョン妹「お家着いたー」

ハルヒ「今日はよく歩いたわねー」

キョン妹「ハルにゃん、キョンくんに会っていかない?」

ハルヒ「え?」

199: 2010/03/22(月) 14:00:36.26 ID:uqICfTdh0
キョン妹「キョンくん、風邪で寝込んでるから。お見舞い!」

ハルヒ「うーん、そうね。不思議探索を欠席したんだから、文句の一つでも」

ハルヒ「……」

キョン妹「ハルにゃん?」

ハルヒ「やっぱりいいわ。このまま帰るわね」

キョン妹「キョンくんに会っていかないの?」

ハルヒ「もう時間も遅いし、風邪うつされたら嫌だしね。お大事にって伝えといて」

キョン妹「分かったー」

ハルヒ「じゃあね。また一緒に遊ぼうね、妹ちゃん」

キョン妹「じゃあねー、約束だよ!」


ハルヒ「……さて、帰ろ」

200: 2010/03/22(月) 14:05:43.21 ID:uqICfTdh0
ハルヒ(不思議が見つからなかったら、か……考えたこともなかったわね)

ハルヒ(それとも考えないようにしてたのかしら? このあたしが?)

ハルヒ(中学までのあたしはずっと1人だったから、余計なことを考える余裕もなかった)

ハルヒ(不思議が見つからない。それはあたしにとっては全てを否定されることと同じ)

ハルヒ(そう思っていたからこそ、必氏になって探し続けていた)

ハルヒ(それがある日、あたしの考えを肯定し認めてくれる人が現れた) 

ハルヒ(その後のあたしの進路を大きく決定付けた奴……ジョン・スミス)

ハルヒ(たった1人でも、味方ができた。このことがあんなにも嬉しいなんて思いもしなかったわね)

ハルヒ(そして、もう1人……)

ハルヒ(……)


ハルヒ(あたしに居場所を作るきっかけを与えてくれた、アイツ……)

202: 2010/03/22(月) 14:10:36.49 ID:uqICfTdh0
~2日後 朝 教室~


キョン「ようハルヒ、おはよう」

ハルヒ「おはよ」

キョン「一昨日はすまなかったな。不思議探索に行けなくて」

ハルヒ「風邪なら仕方ないわよ。それよりちゃんと治ったの?」

キョン「ああ、一晩安静にしてグッスリ眠ったら、すぐ治ったよ」

ハルヒ「そう」

キョン「で、あの面子での不思議探索はどうだったよ?」

ハルヒ「結構面白かったわ。たまには違うメンバーでやるのもいいものね」

キョン「そうかい」

ハルヒ「……」

キョン「何だ? 少し上の空じゃないか?」

ハルヒ「そう? アンタこそ」

キョン「そうか?」

203: 2010/03/22(月) 14:15:36.58 ID:uqICfTdh0
キョン「……」

ハルヒ「……」


ハルヒ(不思議、ね。今はまだ不思議なものは何も見つけられないでいる)

ハルヒ(でも、今のあたしは中学時代のように孤独じゃない。居場所がある! 仲間がいる!)

ハルヒ(みんなとなら、SOS団のみんなとなら、いつか不思議を見つけられる気がする)

ハルヒ(いや、絶対に見つけてみせるのよ!)

ハルヒ(もちろん不思議抜きでも、SOS団の活動は楽しいわ。でも……)

ハルヒ(不思議探しはあたしの生き甲斐よ! とことんやり通してやるわ!)
 
ハルヒ(SOS団には有希がいる! みくるちゃんもいる! 古泉くんがいる! そして……)


キョン「……どうした? 俺の顔に何かついてるか?」

ハルヒ「何でもないわよ、間抜け面」

204: 2010/03/22(月) 14:20:36.19 ID:uqICfTdh0
キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「何よ?」

キョン「お前はこれからも、不思議を求めて突き進んでいくんだよな」

ハルヒ「当ったり前じゃない!」


ハルヒ(そうよ! 何をウジウジと考え込んでいたのよ、あたしは!)

ハルヒ(そういうのはあたしじゃない! そんなの気にせずに突っ走っていくのがあたしよ!)


キョン「そうだよな。俺もお前についていって、できる限り手伝ってやるからよ」

ハルヒ「当たり前でしょう。アンタは雑用係なんだから」


ハルヒ(待ってなさいよ不思議! あたしが、SOS団が必ず見つけ出してやるわ!)


キョン「ああ。いつかお前の願いを叶えてやるよ」

ハルヒ「はあ?」


ハルヒ「アンタに叶えてもらわなくたって、願いは掴み取ってみせるわよ!」

~おしまい~

208: 2010/03/22(月) 14:24:37.16 ID:uqICfTdh0
さるさんを喰らいまくったけど、何とか無事終了


キョン「ハルヒの願いを叶えるだと?」【ある1日のキョンサイド】

2スレ同時進行なんて、我ながらアホなことをしたと思う
でもやりたいからやった!
楽しかった!

支援してくれた人、本当にありがとう
保守してくれた人、本当にありがとう

では

212: 2010/03/22(月) 14:29:11.18 ID:M0HTux8L0
乙!

引用: ハルヒ「随分と変わった不思議探索ね」【ある1日のハルヒサイド】