1: ◆9A08jC1.oE 2013/09/07(土) 04:00:27.51 ID:+Z6nejFDO
「ありがとうございましたー」
ガサ
忍「しょっと」
P「おお。手際がいいな」
忍「へ?」
P「袋に詰めるの苦手なんだ。大抵もたもたやってると、横に来たおばちゃんにものすごい剣幕で睨まれる」
忍「こ、このくらいで大げさだなぁ…」
忍「でもそれ想像つくや。ふふ。プロデューサーさんって、いつもは鈍臭いよね」
P「すいません…」
忍「へへっ。ほらーしょんぼりしてる暇があったら袋を持ちなさいっ」
P「あ、はい」
忍「ちゃんとそっちに飲み物とか、重いもの、入れてあるんだよ♪」
P(…手際がいいな)ガサ
2: 2013/09/07(土) 04:01:49.09 ID:xZrQgoT/o
P「それにしても」
忍「なに?」
P「俺、忍の家に林檎を食いに来たんだったような」
忍「合ってる合ってる。大正解だよ」
忍「ぱぱーん。見事正解したプロデューサーさんにはチャンスタイムです」ゴソゴソ
P「なんだそれ」
忍「はい。これ」パッ
P「なんだこれ」
忍「お昼に買ったジュースのおまけ。不思議なお人形と名付けました」
P(そのネーミングセンスはどうだろうか…)
忍「いらないからあげる」
P(いらないのかよ)
P「どうもありがとう」
忍「礼には及ばないよ!ふふーそれ、ケータイにつけておくときっと、」
P「災いを招きそうだな」
忍「いいことあるよ。選んでくれたの茄子さんだし」
P「よしいますぐつけよう」ゴソ
忍「……」バシ
P「いたい」
3: 2013/09/07(土) 04:03:30.67 ID:+Z6nejFDO
P「な、なんだよ」
忍「なんでもないけどー」フン
P「なんだよー」
P「…ん、どうするかな…」
忍「??どうかした?」
P「スマホだから付けられないかもしれない」
忍「あーそっか…」
忍「じゃあ…これ」ハイ
P「これは?」
忍「べつのおまけの、……えい。はい、イヤホンジャックのとこだけ、使っちゃおう」
P「あ、なるほど…」カチ
P「おお。忍はかしこいな」
忍「その褒められ方はあんま嬉しくない……ま、まあいいけど」テレ
5: 2013/09/07(土) 04:05:55.44 ID:xZrQgoT/o
プラン
P「……茄子さんの御利益はともかく、魔除けにでもなりそうだ。ありがとう」
忍「どういたしまして。あ、近いうちにプロデューサーさんになにか不幸があっても、当工藤は一切責任を負いかねますから!」
P「当工藤ってなんだ。というか洒落にならん」
忍(魔除けなんかじゃなくて…赤い糸になってくれると嬉しいなっ…なんて…)ゴソ
P「忍も同じように、スマホになにか付けたりしてるのか?」
忍「ふふっ」バシッ
P「いて」
忍「付けてないよ♪」
P「??そ、そうか。…機嫌よさそうなのに叩かれたのはなんでかな…」
忍「♪」フフー
7: 2013/09/07(土) 04:06:35.63 ID:+Z6nejFDO
P「しかしこうするとおまけもばかにしたもんじゃないな」プラン
忍「だよね。プロデューサーさんも一緒にどうかなーおまけ集め。楽しいよ」
P「……いやでも…ほら、だいぶ前にさ…」
忍「へ?…ああ、そっか、そうだったね…」
P「二人してチョコ菓子のおまけ集めるのにはまってな」
忍「あんまおいしくないのにね。買ってはだれかにあげてたっけ」
P「俺の机は食玩まみれ」
忍「うちの事務所はちょこまみれ」
P「……ぷ」
忍「あはは」
P「なにやってんだろうな、俺たち」
忍「ばかやってるねー」
8: 2013/09/07(土) 04:07:55.43 ID:xZrQgoT/o
忍「あのとき集めたのって、まだとってあるの?」
P「ああ。家の押し入れに仕舞ってあるよ。今度見に来るか?」
忍「へへ、そうしよーかな。またそのうちね」
P「おう」
忍「……」ヘヘー
P「…」
P「?」
P(そういえばなにか話を逸らされたんだったような?)
忍「…んしょ」ガサ
P「そっちも持つよ」
忍「あ…ありがと。助かったかも…ふふ」
P「それはよかった」
忍「…へへ」ニコ
P「…」
P(まあ…いいか)
9: 2013/09/07(土) 04:08:53.18 ID:+Z6nejFDO
ハー…
忍「うう…ビニール袋を持つと、この季節は手がいたくなっちゃうよね」
P「重いと尚更な。手袋はどうしたんだ?」
忍「な、失くしちゃった」
P「そうだったのか。また買っておくんだぞ。手だって大切な忍の一部だ」
忍「はーい」
10: 2013/09/07(土) 04:09:41.08 ID:xZrQgoT/o
忍「でも…プロデューサーさんこそ」
P「ん?」
忍「手袋してないね。手、いたくない?大丈夫?」
P「こんなに冷えるとは思ってなかったからなー」
忍「えい」パシ
P「っと」
忍「えへ…これでちょっとくらい、暖かくなる、かな」
忍「ほ、ほら。アタシも…手袋ないし…そ、それに手先は器用なんだ!」
P「手を繋ぐのに手先の器用さは関係ないと思うが」
忍「……あ、あはは…。そ、そーだね」
11: 2013/09/07(土) 04:10:38.62 ID:+Z6nejFDO
P「でも、たしかに暖かいな」
忍「……ね」
P「うん」
P「…まあさっさと屋内に入った方が暖かいだろうけどな。ちょっと急ぐか」
忍「……」バシバシ
P「さっきから無言で叩くのはやめてくれ」
忍「ばーか」バシ
P「…、やっぱ無言でいいです…」
忍「……」ゲシゲシ
P「ちょ、足は、いた、ちょ」
12: 2013/09/07(土) 04:11:58.38 ID:xZrQgoT/o
忍「……」
忍「手袋さ」
P「?」イテテ…
忍「ま、まだこっちで、買い物するの慣れてないから。今度一緒に買いに行ってくれる?」
P「おう。いいぞ。ついでに俺も新しいのにしようかな」
忍「!」パアア
忍「ありがと!じゃあアタシがプロデューサーさんの、選んであげるね」ゲシゲシ
P「お、おう。じゃあもう蹴らなくてもいいんじゃないかな…ってっ…」イデデデ
13: 2013/09/07(土) 04:12:47.16 ID:+Z6nejFDO
・
・
・
P「着いた」ゼェ
忍「お疲れさま。重かったよね。ごめんね、全部持たせちゃって」
P「気にしないでくれ」
P(それよりもローキックのダメージの方が大きかったからな)
忍「??」
P「なんでもない」
14: 2013/09/07(土) 04:13:52.06 ID:xZrQgoT/o
カン カン
忍「早くお鍋で暖まろー」
P「そうだな」
P「……、そうだ思い出した」
忍「うん?」
P「うん」ガサ
P「林檎を食いに来たはずが、なぜか鍋の材料を買って忍の家へ来ていた――なんでだろ」
P「……って…思ったんだった。さっき」
忍「ふむふむ」
15: 2013/09/07(土) 04:14:30.14 ID:+Z6nejFDO
忍「ま、いつものことだし、いいんじゃないかなっ」
P「まあそうだけどな」
忍「一人暮らしだからって、心配していつもお節介を焼くのはプロデューサーさんだもんねー」
P「う、……悪いな。いつもじゃまして」
忍「あ……えと…ううん。べつにそんなつもりじゃ…」フルフル
忍「……、でも…気にはなってたんだよね…」
P「なにが?」
忍「うん」
16: 2013/09/07(土) 04:15:05.57 ID:xZrQgoT/o
ズイ
P「っ…お、おい。顔が近い」
忍「ふふ、近づけてるから」
忍「…プロデューサーさんって、どーしていつも…こんな風にアタシにやさしくしてくれるのかなって」
P「…………」
忍「……これって…あ、アタシの、自意識過剰とかじゃ、ないよね?」
P「……う、うん。ええと」
P「め、面と向かって言うのは、その…照れ臭いんだが」
忍「う、うん」ドキ
17: 2013/09/07(土) 04:15:34.51 ID:+Z6nejFDO
P「俺も一人暮らしだからさ」
忍「はい」
P「ほ、ほら。ご飯は…一人よりも、だれかと一緒に食べた方がおいしいだろ?」
忍「…………」
忍「それだけ?」
P「も、もちろん!なにかやましい気持ちなんてちっとも――」
忍「えいやぁ!」ガツッ
P「いってぇ!?」
18: 2013/09/07(土) 04:16:42.12 ID:xZrQgoT/o
P「……ぉぉ……。ず、頭突きで来るとは……」シュウウ…
忍「はあー…はー…。そうだよねー…プロデューサーさんだもんねー…はー…」
P「な、なんだよ」
忍「なんだよはこっちの台詞だよ!」ガゴ
P「お、おう。すいません」
忍「もー…なんだよー……」
忍「はあ…まあいいや。うん」
P「いいですか」
忍「いいです。そうだね。ご飯は二人で食べた方がおいしいよね」
P「そ、そうだよな。よかった……」ホッ
19: 2013/09/07(土) 04:17:14.90 ID:+Z6nejFDO
P「その方が忍が楽しいかと思ってたんだ。俺の思い込みじゃなくてよかった」
忍「……、?」
忍「あ、そういう」コクン
P「ん?」
忍「あ、ううん。なんでもないけど」
20: 2013/09/07(土) 04:17:50.85 ID:xZrQgoT/o
忍(ふ、不意打ちか。油断してた。もうこの人、いっそ暗殺者にでもなった方がいいんじゃないかなっ)ドキドキ
忍(ま、まったく…いつもは鈍臭いくせにいざってときだけこんなだし…ずるいぞー…もー)
P「??」
P「どうかしたかー」
忍「ど、どうもしないよ。忍は今日も元気です」ハイ
P(お母さんへ送る手紙みたいだな)
21: 2013/09/07(土) 04:18:28.97 ID:+Z6nejFDO
忍「はー…もう。これだからプロデューサーさんは…」
P「さ、さっきも言ってたな…それ。なあ、それってどういう――」
コツン
P「ん」
忍「大好きだよ。大好きですよ」
P「…………」
P「……ああ…う、うん。ありがとう。…どういたしまして…?」
忍「なにそれ」アハハ
P「……なんだろう…」ハハ…
22: 2013/09/07(土) 04:19:05.54 ID:xZrQgoT/o
忍「うー。冷えて来たね…早く部屋に入ろ」
P「そうだな。階段でなにやってんだか」カン カン
忍「……あっ…ねえ、プロデューサーさん。あれ」クイ
P「ん?…ああ」
忍「雪だね」
P「雪だな」
23: 2013/09/07(土) 04:19:39.01 ID:+Z6nejFDO
忍「……ほわー…」
P「…………」
忍「…あれだね」
忍「初雪もだれかと見るとお得感がある感じだね」
P「お得感て」
忍「ちょっと幸せかも」
P「……、そっか」
忍「うんっ。これきっと、不思議なお人形さんのおかげだよ!」
P「それはない」
24: 2013/09/07(土) 04:20:17.42 ID:xZrQgoT/o
忍「…えへへ」
忍「それじゃあーお鍋にしよっか!」
P「そうだな」
・・・・おしまい
25: 2013/09/07(土) 04:21:48.04 ID:+Z6nejFDO
めでたく>>1の画像で忍ちゃんの足の裏がよく見えるようになりまして
これはその記念SSです。べつに足裏の話してないけど
深夜にお疲れさまでした。楽しかったです。ありがとうございました
これはその記念SSです。べつに足裏の話してないけど
深夜にお疲れさまでした。楽しかったです。ありがとうございました
26: 2013/09/07(土) 04:25:58.53 ID:y9jWjCE6o
忍ちゃんのSSとは中々貴重でありがたし
いい雰囲気の話で大変よろしかったわ
乙
いい雰囲気の話で大変よろしかったわ
乙
引用: 工藤忍「雪だね」モバP「雪だな」
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