1: 2010/03/23(火) 20:04:59.63 ID:OAd1qBkK0
弥子「ねぇネウロ……ここが今回の現場なの?」
ネウロ「そうだ。謎の気配がありありと感じ取れる……楽しみだ」
弥子「……部外者が学校に入るのって、ちょっと面倒かもしれないよ」
ネウロ「今更そんな事を気にしてどうする。このハエめ」
弥子「う……確かに」
ネウロ「貴様の知名度と顔を使って『謎』へと近付く……何処であろうが同じ事だ」
弥子「……」
ネウロと私はとある高校に来ている。何処の町にでもありそうな、ありふれた公立高校だ。
生徒の飛び降り自殺があったと聞いているけど……
ネウロが『謎』の気配を感じているという事は、本当は他殺なのだろう。
2: 2010/03/23(火) 20:08:23.66 ID:OAd1qBkK0
弥子「笹塚さん!」
笹塚「……弥子ちゃんか」
ネウロ「こんにちは笹塚刑事! 今回もお邪魔させて頂きますが……」
笹塚「全く……しょうがねえな」
ネウロ「ありがとうございます! 先生も喜びの余り頬の筋肉がはち切れんばかりに笑っておられます!」
弥子「え……えへ、へ(痛い痛い痛い!!)」ギリギリギリ
5: 2010/03/23(火) 20:10:38.27 ID:OAd1qBkK0
石垣「今回はお前らの出る幕は無さそうだぞ。ただの自殺だ」
弥子「そう……ですか」
笹塚「早くから決めつけるなっての」
ネウロ「詳しく聞かせてくれませんか? さあ先生もお願いして!」
弥子「お……教えて下さい……」
笹塚「……しゃーねーな」
6: 2010/03/23(火) 20:15:08.57 ID:OAd1qBkK0
遺体となって発見されたのは1年5組、涼宮ハルヒ。
屋上のフェンスを乗り越えて飛び降り自殺を図ったものと思われる。
頭から落下し、即氏。頭部は原形を留めていないという。
石垣「氏亡推定時刻は昨日の正午から午後一時……昼休みってとこですかね」
笹塚「昨日、この学校午前授業だったってよ。正確に言うなら放課後だな」
ネウロ「……」
弥子「彼女と親しかった生徒にも話を聞きたいんですが……今日は学校お休みなのかな?」
笹塚「体育館で全校集会してる最中……それで、そのまま解散だって」
8: 2010/03/23(火) 20:21:00.08 ID:OAd1qBkK0
石垣「自殺とかあっちゃ、そりゃ授業どころじゃないですからね~」
弥子「……あの、涼宮さんって何か部活とか入ってたんですか?」
石垣「えーっと所属は……『SOS団』って書いてありますけど……センパイ、なんすかこれ?」
弥子「SOS団……?」
笹塚「俺もよく分からねえんだが……少人数の意味不明な同好会だと聞いている」
ネウロ「……」
11: 2010/03/23(火) 20:25:52.54 ID:OAd1qBkK0
生徒の全校集会が終わったあと、涼宮さんと親しかった人たち数名を呼び出し、聞きこみを開始した。
始めに聞きこみをしたのは、その『SOS団』という同好会のメンバーたちだ。
キョン「…………」
古泉「……どうして……こんなことに」
長門「……」
みくる「ぐすっ……うっ……ぇえっ……」
弥子「……」
ネウロ「早速ですが、涼宮さんは自殺されるような精神状態にあったのですか?」
13: 2010/03/23(火) 20:29:17.21 ID:OAd1qBkK0
弥子「ちょっと……いきなり」
古泉「いえ……そんな様子は全くありませんでした」
キョン「……だな」
ネウロ「そうですか」
古泉「涼宮さんは……その……非常にエキセントリックな方でして、自殺なんて無縁と言っていい程の……」
ネウロ「昨日も普段通りで特に変わりなかったと」
古泉「はい……」
ネウロ「あなた方は昨日の放課後、何をしていたのですか? 昨日は午前中で授業が終了していたと聞きましたが」
古泉「昨日は……パーティの買い出しを皆で……」
15: 2010/03/23(火) 20:34:35.95 ID:OAd1qBkK0
彼の説明をざっとまとめると――
午前の授業が終わり放課後になると、SOS団のメンバーは部室に集合した。
そこで涼宮さんが突然、部室で鍋パーティをしようと全員に持ちかけてきた。
突然の企画だったが、涼宮さんが突拍子も無く計画を立てるのはいつものことで、全員快諾に至った。
そして、スーパーへ材料を買い出しに行く係と、部室でパーティの準備をする係に分かれる事になった。
古泉「涼宮さんが、一人で留守番しながら準備するって事になったんですね」
弥子「一人で、ですか?」
古泉「ええ。自分からそう言い出して」
みくる「やっぱり……何か思い悩んでいた事があったのかも……」
長門「……」
キョン「どうだかな……」
17: 2010/03/23(火) 20:42:48.17 ID:OAd1qBkK0
ネウロ「あなた方4人が買い出しに行っている間に、涼宮さんは屋上へ移動し……飛び降りたと」
古泉「そういう事になりますね」
長門「……」
みくる「……」
弥子「あの、ちょっと質問なんですけど……『SOS団』って一体何をする部活なんですか?」
キョン「……うーん」
長門「……」
古泉「それは僕から説明しましょうか……」
18: 2010/03/23(火) 20:51:12.16 ID:OAd1qBkK0
その男子生徒……古泉一樹くんが説明してくれた所によると、
涼宮さんは宇宙人や未来人など、そういった超常的なものへの憧れを普段から抱いていたらしく、
この部活も「宇宙人や超能力者たちと遊ぶ」事を目的として、彼女を中心に立てられたものだという。
古泉「実際は……皆で遊びに行ったり、だべったりするだけの集まりでしたけどね……」
みくる「うっ……ふええ……ぇ……」
キョン「朝比奈さん……」
みくる「ごめんなさい……いろいろ……思い出しちゃって……」
長門「……」
弥子「……」
ネウロ「それで? もっと他に何か言う事は無いのですか?」
21: 2010/03/23(火) 20:57:42.07 ID:OAd1qBkK0
キョン「え?」
みくる「どういう……意味ですかぁ……?」
ネウロ「そこの男子生徒以外の、貴方達3人……」
長門「……」
ネウロ「ただの人間ではありませんね?」
弥子「えっ?」
古泉「……」
みくる「!!」
キョン「……!?」
ネウロ「先生の洞察眼を舐めてはいけません……見た目だけごまかしても意味がありませんよ」
24: 2010/03/23(火) 21:03:33.71 ID:OAd1qBkK0
ただの人間ではない……?
ネウロの言葉の真意が分からない。どういう意味で言っているのだろう……?
ネウロ「特にそこの貴女……恐ろしく人間離れしていますね? 非常に興味深い……」
長門「…………」
キョン「おい……どうすんだ」
古泉「……ばれてしまっては仕方ありませんか」
弥子「……?」
古泉「いかにも、そこにいる彼以外の3人は……普通の人間ではありません」
25: 2010/03/23(火) 21:09:15.89 ID:OAd1qBkK0
古泉くんはそう言うと、今までに起きた非現実的な事件のあらましを丁寧に語り出した。
不思議な話だった。キョンくんと涼宮さんの出会い、SOS団の設立、3年前の七夕……
宇宙人の長門さん、未来人の朝比奈さん、超能力者の古泉くん……荒唐無稽な話だけど、彼の言葉には奇妙な説得力があった。
ネウロ「ほう……」
みくる「信じてもらえないかもしれないけど……本当の話なんです」
ネウロ「しかし妙ですねぇ。彼女は神に等しき能力を持っていたにも関わらず、氏んでしまった」
キョン「……」
ネウロ「彼女の自殺願望が積もり積もった結果だったという事でしょうか」
キョン「……あり得ない」
ネウロ「はい?」
26: 2010/03/23(火) 21:15:09.02 ID:OAd1qBkK0
キョン「ハルヒは……自殺とか、氏にたいとか……そんなネガティブな事なんて、これっぽっちも持ち合わせてないんだ」
長門「……」
キョン「憂鬱になる時もたまにあるけど……自殺なんてっ……」
弥子「落ち着いて……」
ネウロ「あなた達は涼宮さんに願われた存在なのでしょう? 彼女が氏んでしまったら……」
古泉「ええ……涼宮さん亡き今、僕たちに存在価値などありませんよ」
弥子「……」
古泉「この世界は神を失ったも同義です……これからどうしたらいいのか……僕には分かりませんよ」
ネウロ「……」
古泉「そもそも今こうして、何事も無かったかのように世界が存在している事さえ僕には信用できません」
28: 2010/03/23(火) 21:23:51.23 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
ネウロ「フン……神だか何だか知らんが、自頃する神などいてたまるものか」
弥子「ねぇネウロ……」
ネウロ「なんだゴミムシ」
弥子「あたしまだ半信半疑なんだけど……古泉くんが言ってた話、本当なの?」
ネウロ「信じられないか」
29: 2010/03/23(火) 21:27:32.25 ID:OAd1qBkK0
弥子「うーん……やっぱり、現実味が無さ過ぎて」
ネウロ「魔人と共に探偵をしている貴様の言うセリフではないな」
弥子「……確かに」
ネウロ「あの3人が普通の人間ではない事は確かだ、見て分かる。特にあの無口な女……」
弥子「長門さん……だっけ」
ネウロ「古泉とやらの話が正しいなら……時間の凍結、空間の制御……これは面白い」
32: 2010/03/23(火) 21:31:25.61 ID:OAd1qBkK0
弥子「とてもそんなことできるようには見えないけど……」
ネウロ「人は見かけによらないものだ。多くの犯罪者を見てきた貴様が一番知っている事だろう?」
弥子「うん……そうだけど」
ネウロ「……」
弥子「色んな出来事を共にしてきた仲間を、頃しちゃうなんて……」
ネウロ「悪意は目の届かない場所に根を張って育つのだ。誰だってそうだ」
弥子「……」
ネウロ「さぁもっと情報を集めに行くぞ。ぐずぐずしていたら生徒が帰ってしまう」
弥子「痛い痛い痛い!!」ズルズルズル
36: 2010/03/23(火) 21:37:44.58 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
鶴屋「昨日はちょうど帰る時みくるたちと会って、途中まで一緒に帰ってたんだよっ」
弥子「会ってたんですか?」
鶴屋「そう。ちょうど昇降口で出くわして……パーティの買い出しに行くとか言ってたね」
ネウロ「……」
鶴屋「はるにゃん以外は全員いたと思うよ」
弥子(涼宮さんを除いたSOS団の4人と一緒に、鶴屋さんは帰路を共にしていた……)
39: 2010/03/23(火) 21:43:23.52 ID:OAd1qBkK0
鶴屋「まさかねぇ……はるにゃんが自殺なんて、ショックだよ……」
弥子「すみません……傷を掘り返すような事して」
鶴屋「いいっていいって! だって探偵さんでしょ? 聞きこみは大切だもんねっ」
ネウロ「間違いありませんね? 涼宮さん以外の4人と、あなたは放課後会っていた」
鶴屋「う、うん……間違いないっさ」
弥子「……?」
ネウロ「……フム」
44: 2010/03/23(火) 21:49:10.32 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
谷口「昨日の放課後? どこにいたっけなぁ……確か教室でだべってたと思うけど」
弥子「何か変わった事はありませんでしたか?」
谷口「うーん……変わった事ねぇ……」
ネウロ「……」
谷口「なんかあったか?」
国木田「うーん……あ、そう言えば」
45: 2010/03/23(火) 21:54:35.89 ID:OAd1qBkK0
国木田「昨日のお昼頃かな……キョンに借してたプリント返してもらおうと思って、文芸部の部室まで行ったんだよ」
ネウロ「ほう」
国木田「行ってみたらね、部室に誰もいないんだ。がらんとしちゃっててさ」
弥子「誰もいなかった……?」
国木田「一瞬とまどって、仕方ないから帰ったって……まあ、そんだけの話だけど」
ネウロ「いえ、些細な事でも情報に変わりありません」
谷口「誰もいなかった? んじゃ涼宮はそん時すでに……」
国木田「……」
谷口「……」
弥子「……気を落とさないで下さい」
47: 2010/03/23(火) 22:01:32.82 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
弥子「ちょっと、立ち入り禁止って……」
ネウロ「吾輩たちなら後から何とでも言い訳が利くだろう」
弥子「もう……」
ネウロ「ここが屋上か……」
弥子「フェンスはそんなに高くない方だね」
ネウロ「フム……」
48: 2010/03/23(火) 22:06:36.49 ID:OAd1qBkK0
弥子「……ねぇネウロ。これって一人でフェンス乗り越えられるかな?」
ネウロ「吾輩もそれを考えていた所だ。ためしにヤコ、やってみろ」
弥子「ええっ!? ちょっ……」
ネウロ「さっさとよじ登れ、このイモムシが」
弥子「もうっ……なんでよぉ」ガシャガシャッ
ネウロ「……」
弥子「うっ……ギリギリ、行けそうでっ……行けない……」ガシャンガシャン
ネウロ「吾輩が手伝ってやろう。そうら押し上げるぞ」グイッ
弥子「ギャーッ!! 落ちる落ちる!!」
49: 2010/03/23(火) 22:14:58.62 ID:OAd1qBkK0
ネウロ「……思った通りだな」
弥子「え?」
ネウロ「このフェンス、一人でよじ登って乗り越えようとするのはとても困難だが……後ろから押してやれば容易く越えられる」
弥子「そっか……」
ネウロ「あとは……後ろから押し上げたのは誰なのか……が問題だ」
弥子「あれ? まだ分かってなかったの?」
ネウロ「トリックの見当は付いている……が、誰が実行犯なのか……悪意の本元は誰なのか、確認しておく必要がある」
弥子「確認?」
ネウロ「実は吾輩、トリックは分かっても、誰が犯人なのかはまだ確定と呼べる段階ではない」
弥子「本当!?」
52: 2010/03/23(火) 22:21:16.23 ID:OAd1qBkK0
ネウロ「まあ目星は付いているのだが……今は幸い腹も膨れている。確信を深めておくとするか……」ズズズズズズ
弥子「……!」
どうぐ イビルセンティピード
ネウロ「魔界777ッ能力……『足音の化石』……!!」
弥子(これは……池谷さんの時の、家具事件の時に使った能力……?)
ネウロ「過去にこの場を多く踏み歩いた者を示す能力だが……今回は時間と対象を絞り込んで使用する」
ネウロ「昨日、この場を一番多く歩いていた者を、容疑者の4人から特定するのだ……」
ネウロ「……」
弥子「……どう?」
ネウロ「ほう、これは……やはりな」
54: 2010/03/23(火) 22:27:51.41 ID:OAd1qBkK0
弥子「やはり?」
ネウロ「一人だけ、昨日の昼頃に屋上を歩いていた者がいる……予想通りだったな」
弥子「……誰なの?」
ネウロ「フン、なぜ貴様に今言わなければならない」
弥子「教えてよ気になるじゃない」
ネウロ「後でのお楽しみにしておけ、このミジンコが」
55: 2010/03/23(火) 22:31:25.62 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
みくる「あのぉ……何が始まるんですかぁ?」
キョン「聞きこみなら、さっき終わったでしょう?」
古泉「まだ何かあるのですか?」
長門「……」
ネウロ「みなさん、涼宮さんの痛ましい事故……いや、事件は……この中の者によって引き起こされたのです」
62: 2010/03/23(火) 22:40:40.47 ID:OAd1qBkK0
みくる「ふぇっ……?」
古泉「……!?」
キョン「なっ……なに……!?」
長門「…………」
弥子「ネウロ……刑事さん来てないけど、始めちゃっていいの?」ボソボソ
ネウロ「なぁに……来ても意味が無い。今回のトリックは常識で計れない……法律にも引っかかる事は無いだろうからな」
弥子「……?」
68: 2010/03/23(火) 22:46:32.37 ID:OAd1qBkK0
キョン「どういう事だよっ……それじゃあ、俺たちの誰かがハルヒを……頃したって言うのか!?」
みくる「そんなっ……そんなことするわけありませぇん!!」
古泉「……どういう考えでもって、そのような結論に至ったのか……説明して頂けますか?」
ネウロ「はい。言われなくとも……先生に代わって、僕から説明したします」
弥子「……」
ネウロ「買い出し係の4人、つまりあなた方は、確かに学校の外へ出てスーパーまで行った……
これは鶴屋さんの証言からも伺えるように、まぎれも無い事実です」
ネウロ「しかしですね……奇妙な目撃者がいるのです」
弥子「どうぞ、入ってきていいですよ」
75: 2010/03/23(火) 22:51:35.59 ID:OAd1qBkK0
ガチャッ……
古泉「?」
キョン「阪中……?」
阪中「……」
ネウロ「阪中さんと言いましたっけ? あなたが昨日の昼頃、見たというのは……」
阪中「はい……確かに見たんです。廊下の向こうに……」
弥子「……」
阪中「キョンくんと、涼宮さんが歩いているのを」
84: 2010/03/23(火) 22:56:45.70 ID:OAd1qBkK0
キョン「なっ……!?」
ネウロ「この矛盾は何でしょう!? 買い出しに行っていたはずのあなたが……校舎内で目撃されていたなんて」
キョン「……何を言っているのか、分からないのだが……」
ネウロ「屋上のコンクリートの床は風雨に晒され、目に見えない程の細かいホコリや塵で常に覆われている」
ネウロ「つい昨日の事ですし、まだありましたよ。あなたと涼宮さんが押し合った……上履きの足跡が」
ネウロ「早々に自殺と決めつけてしまった警察には発見できなかったでしょうね……」
キョン「…………」
弥子「……!!」
ネウロの魔力が、私の右腕を操り……彼を指差した。
弥子「犯人は……おまえだっ……!」
101: 2010/03/23(火) 23:04:20.45 ID:OAd1qBkK0
みくる「えっ……!?」
古泉「……!!」
長門「……」
キョン「ちょっ……意味分かんねえって!! 冗談よしてくれっ!」
ネウロ「さて厄介なのは、この事件は超常的な力によって隠蔽されているという事です」
ネウロ「買い出しに行っていたあなたと、学校に残って涼宮さんを頃したあなた……どちらも目撃されている……つまり」
ネウロ「同時刻に、同じ人間が二人存在していたという訳ですね」
弥子「……!」
122: 2010/03/23(火) 23:16:19.88 ID:OAd1qBkK0
キョン「…………」
ネウロ「それを可能にし得るのは……時間を行き来できる朝比奈さんがまず挙げられますが」
みくる「……!?」
ネウロ「そのやり方では事後処理をしなければならないしリスクが多い。
それに先程聞いた話に依れば、そのTPDDとやらは朝比奈さんと一緒でないと移動できないそうですね」
ネウロ「となると残るのは……空間、時空さえに干渉できる……長門さん」
ネウロ「あなたの加担があったのでしょう?」
長門「……」
ネウロ「違いますか?」
135: 2010/03/23(火) 23:20:45.11 ID:OAd1qBkK0
弥子「……!」
古泉「……そんな、まさか」
みくる「…………っ!」
長門「…………」
キョン「…………」
長い沈黙の後……彼がゆっくりと口を開いた。
キョン「長門は悪くない……長門は、ただ俺の頼みを聞いてくれただけだ」
キョン「もう一人の俺を作ってくれって…………まさか、本当にできるなんてな。長門はすげえよ」
158: 2010/03/23(火) 23:26:52.96 ID:OAd1qBkK0
キョン「俺は……ハルヒと関わってる内に、気付いたんだ」
キョン「俺は何でもない一般人だけど……特別な能力なんて持っていないけど……」
キョン「世界はハルヒを中心に回っているんじゃない……俺を中心に回っているんだって」
弥子「……!?」
古泉「なっ、何を言い出して」
みくる「……??」
キョン「俺が、俺だけが、SOS団の一般人だ。俺のみが、まともな人間なんだ」
170: 2010/03/23(火) 23:35:44.29 ID:OAd1qBkK0
キョン「ハルヒは気違い一歩手前のイカレ女だ。そして他のSOS団のメンバーはみんな人間離れした超常者だ」
弥子「!? 服を……!?」
ビリッ ビリッビリッ
キョン「普通!! 普通!! 普通!!!! なんて素晴らしい響きなんだ!!! 一般人である事への誇り!!
俺はこのSOS団にいる事で再確認できた。凡人でいる嬉しさを、凡人である事の素晴らしさを」
キョン「イカれたオカルト連中に、凡々たる人間の人生を素晴らしさが、分かるものかッ!!! 分かってたまるかッ!!!」
キョン「世界はこんな気違い共に振り回せてはいない。むしろ普通の人間たちによって世界は作られている!!!」
キョン「狂った女の狭い価値観で作られている世界なんてあり得ないんだっ!!その証拠に、ハルヒが氏んでも世界はこうして存在している!!」
キョン「世界は一般人を中心にして回っている!!! 世界は俺たち一般人の味方だッ!!!!」
弥子「……!!」
193: 2010/03/23(火) 23:41:35.44 ID:OAd1qBkK0
ネウロ「ほう……自分は普通の人間であると」
キョン「そうだ、俺たち一般人がッ……!?」ガシッ
ネウロ「普通、ですか……自分が普通であると信じて疑わない人が大抵一番おかしかったりするものですがね」
キョン「うぐっ……!!」
ネウロ「あなたは普通ではありません……控えめに見ても、狂人にしか見えませんよ」ズズズズズズ……
キョン「ウアアアアアアッ……!?」
ネウロ「いただきます」
バクンッ……
225: 2010/03/23(火) 23:53:17.16 ID:OAd1qBkK0
※ ※ ※
弥子「ねえネウロ……どうするの? 彼……」
ネウロ「さあ、知らんな……後は野となれ山となれだ」
弥子「……長門さんは?」
ネウロ「ム?」
弥子「彼女は……どういう扱いをすればいいの? 一応、殺人に加担してたんでしょ?」
ネウロ「そうだな……言わば、奴は舞台装置のようなものだ」
弥子「……?」
ネウロ「超常的な殺人を可能せしめたが……奴に悪意は全くと言っていい程無い。感情が不足しているのだろう」
ネウロ「吾輩の認識は、あくまでキョンとやらが奴の力を利用し殺人を犯したという事実だけだ」
228: 2010/03/23(火) 23:57:47.40 ID:OAd1qBkK0
キョン「俺は狂ってなんかない!! 普通なんだ!! みんな信じてくれぇー!!!」
ネウロ「おやおや……上半身裸で校庭を走り回るなんて……一人で罰ゲームでもしているのか?」
弥子「ははは……」
ネウロ「よし、貴様もやってみるか?」
弥子「へ?」
ネウロ「私はネウロ様の奴隷ですと叫びながら……半裸で校庭を100周するのだ」
弥子「いやいやいや!! 無理ですからそんなの!!」
235: 2010/03/24(水) 00:02:44.71 ID:8JYjb80O0
ネウロ「フハハ、何事もチャレンジが必要なのだ。貴様ら一般人はな」
弥子「やめてぇー!! それだけはっ、勘弁して!! お願い!!」
ネウロ「そぉら走って来い。なんなら半裸は勘弁してやる。その代わりこれを着て行け」ジャラッ
弥子「こんなん着たら走るどころか一歩も歩けんわっ!!」
<終>
237: 2010/03/24(水) 00:03:38.73 ID:qVcp41nV0
おつ
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