1: ◆ZOG6fDwGSQ 2012/04/13(金) 10:24:00 ID:sDTjAaoo
農家「ブチ頃す」

4: 2012/04/13(金) 12:32:29 ID:sDTjAaoo
農家「ぬあっまた柵が壊れてやがる!」

アバレウシドリ 「コケコココココ!」

農家「テメエかあああ!氏ね!!」
 ブンッ

アバレウシドリ「コケッ!?」
 グシャッ!

農家「毎日毎日次から次へと湧いてきやがって!」

農家「あーあー俺のかわいい野菜たちが……」

農家「……モンスターども、次きたら根絶やしにしてやる」
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)
5: 2012/04/13(金) 12:44:49 ID:sDTjAaoo
剣を持った女の子「なにあのおじさん凄っ!強っ!」

杖を持った女の子「傭兵の方でしょうか?」

帽子を被った女の子「……たぶん……ちがう…………」

剣女「確かに傭兵だったらナタじゃなくて剣使うよね」

杖女「ということはこちらの民家の方でしょうか」

剣女「そうなんじゃない?野菜がどうとか言ってるし」

帽子女「……声……かける……?」

剣女「なんか近寄りがたいオーラ出してるけど……」

農家「ああん?何見てんだガキども」

剣女「げ、気付かれた」

6: 2012/04/13(金) 12:57:18 ID:sDTjAaoo
農家「勇者だあ?フザけてんのか?」

剣女(女勇者)「うわあ、めっちゃ不振がられてるよ魔法使いちゃん……」

帽子女(女魔法使い)「……仕方……ない…………」

杖女(女僧侶)「えっと、こちらが王国から発行された証明書です」

農家「……はーん、偽物じゃなさそうだな」

農家「こんなガキどもがねえ」

女勇者「む。おじさんそれは失礼ですよ、これでもボクたち王立学院のトップ3なんですからね」

女魔法使い「……えっへん」
 ぽよんっ

農家「はーん」

農家(この嬢ちゃんチチでけえな)

女僧侶「信じてないですね……」

農家「信じろってほうが無理だろが」

7: 2012/04/13(金) 15:26:28 ID:sDTjAaoo
農家「で?その勇者様御一行が何の用だ。野菜が欲しいなら直売所に行け」

女勇者「いやいやそういう話ではなく」

女僧侶「先程モンスターが出たという話を聞いて駆けつけてきたんです」

女勇者「来たときにはおじさんがやっつけちゃってたけどね」

女魔法使い「おじさん……すごい……」ぱちぱち

農家「たりめえだ、俺は農家だぞ」

女勇者「根拠になってないような……」

農家「テメエの畑くらいテメエで守れなくてどうする」

女勇者「わかるようなわからないような」

8: 2012/04/13(金) 15:30:43 ID:sDTjAaoo
農家「用は済んだな。さっさと帰れ俺は忙しいんだ」

女勇者「むー、そんな言い方しなくてもいいじゃん」ぶーぶー

女僧侶「もう、駄目ですよ勇者ちゃん。すみません、お邪魔しました」

女勇者「ちぇー」

女魔法使い「……ばいばい」ふりふり

農家「じゃあな」



農家「さて、まず柵を直さねえとな」

農家「融資鉄線でも巻くか?」

10: 2012/04/13(金) 18:04:02 ID:sDTjAaoo
融資鉄線ってなんだよ、有刺鉄線だよ馬鹿



女勇者「戦い方の話とか聞きたかったのになー」

女僧侶「勇者ちゃんはそればっかりですね」くすくす

女魔法使い「さすが……脳筋……」

女勇者「なんだとー!」うがーっ

村長「おお、勇者様。こちらにおられましたか」

女勇者「あ、村長さんだ」

女僧侶「何かあったんですか?」

11: 2012/04/13(金) 18:31:35 ID:sDTjAaoo
村長「実は隣村がモンスターの群に襲われておるようで、今討伐隊を編成しておるところなのですじゃ」

女勇者「なっ!住民は無事なんですか!?」

村長「それがどうにもおかしな話でして、モンスターどもは食糧を漁るだけで襲ってはこないようなのですじゃ」

女勇者「へ?」

女勇者「……じゃあ問題ないんじゃ?」

女僧侶「…………」

女魔法使い「…………」

村長「…………」

女勇者「な、なんだよう?」

女魔法使い「勇者……今のはひどい」ハァ…

女僧侶「勇者ちゃんは都会育ちですものね……」ハァ…

12: 2012/04/14(土) 19:51:54 ID:RKBArlAk
農家「…………」

『そんな言い方しなくてもいいじゃない!』

農家「チッ、ガキが……」

農家「王国は何考えてやがんだ」

農家「……ん?」



女僧侶「いいですか勇者ちゃん、この辺りの村は生産者、つまり食糧を作ってくれている側なんです。こちらで生産された食糧は商会を通して国中に売買されています」

女勇者「うん」

女僧侶「つまりこちらにある食糧は国中の食糧でもあるんです。それがモンスターに奪われたらどうなるか、わかりますよね?」

女勇者「んー……?どゆこと?足りないなら買えばいいじゃん」

女僧侶「…………」

女僧侶「……だから、買うのはこちらの村からがほどんどなんです!買いたくてもそもそもお店に商品がなかったら買えないでしょう!」

女勇者「だったら注文」

女僧侶「シャァーラアァー――ップ!!」
 ごちーん!

女勇者「あ痛ァ!? 杖でぶつことないじゃん!!」

13: 2012/04/14(土) 20:01:14 ID:RKBArlAk
農家「おいテメエら、何騒いでやがる」

女魔法使い「…………やっ……ほー」

女勇者「あ、おじさ「話はまだ終わっていませんよ!」
 ごちーん!

女勇者「んぎっ!!」

村長「おお、農家殿。騒がせたようですまんのう……」

農家「いいけどよ、どう――」

女僧侶「いいですか勇者ちゃん!そもそも貴女の口にする食事に限らず身に付けているもの一つ残らず誰かが丹誠込めて作って下さった貴重なものなんです!作って下さる方々がいて初めて私達消費者が手にすることができるんですよ何でそんなこともわかってないんですか馬鹿ですか馬鹿なんですか馬鹿なんですねこの筋肉馬鹿!!」

女勇者「~~馬鹿馬鹿言わなくてもいいじゃんこの頭でっかち!運動不足で体中ぷにぷにしてるくせに!!」

女僧侶「喧嘩売ってんのかこのド貧Oがアアァァァァァァ!!」

女勇者「何だよこの無駄チチいいぃぃぃぃぃぃ!!」

14: 2012/04/14(土) 20:06:06 ID:RKBArlAk
農家「…………」


農家「オイ、黙れ」


 ゾワッ


女勇者「ぴっ!?」
女僧侶「ひっ!!」

農家「人の畑の前でギャーギャーギャーギャー……」

農家「氏にたいのか?」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



女勇・女僧「「すみませんでした(土下座)」」

女魔法使い「……おー……」ぱちぱちぱち

村長「話を進めてもいいかのう」

農家「オラ馬鹿ガキども、村長の話聞きやがれ」

女勇・女僧「「はい」」

15: 2012/04/14(土) 20:18:32 ID:RKBArlAk

 ・ ・ ・

女勇者「よーするに、モンスターを追い払えばいいんだよね」

農家「……まあ要約すりゃそういうことだ」

女僧侶「けど、今追い返せても今後はどうするんでしょうか?王国に依頼しても応じて下さるとは限りませんし」

女勇者「っていうかさー、そんなに大事なら初めっから守ってればいいのに」

『大事なものを守れるようになりたいんです』

農家「……この辺りは強いモンスターが少ないからな、群が襲ってこなけりゃ村人だけで充分追い返せたんだ」

村長「今回のようなことはここ十数年ありませんでしたからなぁ」

女魔法使い「……と、いうか…………学院で……教わった……はず…………」

女勇者「う゛……だって勉強ニガテだしさ」

女僧侶「武術と魔法の授業はぶっちぎりでしたのに……」

女勇者「だってあれは楽しいもん」

女魔法使い「好きこそ……ものの……なんとやら……」

農家「ただの体育会系馬鹿だろ」

女勇者「おじさん酷っ!」くはっ

16: 2012/04/14(土) 20:27:02 ID:RKBArlAk
村長「……不安じゃのう。農家殿、よければついていって下さらんか?」

農家「また俺かよ……まあ、ガキどもがいいならいいけどよ」

女勇者「えっ何なに?おじさん一緒に来るの?」

農家「テメエらが信用できねえんだとよ」

女僧侶「う……」

女魔法使い「仕方……ない……」こくこく

女勇者「やっりぃ!ねえおじさん、途中で色々教えてよ!」

『もっとたくさんのことを学びたいんです』

農家「……チッ、少しだけならな」

女勇者「ひゃっはー!そうと決まれば張り切っちゃうぞー!イェーイ!」

女魔法使い「いぇー……い」

農家「……なんか遠足みてえなノリだな」

女僧侶「すみません……落ち着きがなくて……」

17: 2012/04/14(土) 20:32:43 ID:RKBArlAk
村長「フム……」

農家「あんだよ?」

村長「いやなに、お前さんにしては珍しく素直じゃと思うてな」

農家「うるせえクソジジイ」

村長「ほっほ。ま、とにかく頼むぞい。後からこの村からも討伐隊を送るからの」

農家「あいよ」

女勇者「おじさーん!はやくはやくー!」

農家「うるせえ!」

農家「チッ……いちいち似てやがる……」

農家「…………」

18: 2012/04/14(土) 20:44:07 ID:RKBArlAk
余談

農家→40代前半のおじさん ナタ使い 強いっぽい

女勇者→魔法剣士 箱入り娘 ボクっ子 スレンダー(自己申告)

女僧侶→回復、補助 修道院育ち ぷにぷにだがデブではない(自己申告) おっOい

女魔法使い→援護兼主砲 のんびり屋 口リ巨O


なお、
女勇者<[越えられない壁]<女僧侶≦女魔法使い

19: 2012/04/14(土) 21:14:56 ID:RKBArlAk
女勇者「しっあわっせはぁ~、あっるいってこっない♪」

女勇者「だ~からあっるいっていっくんっだねぇ~♪」

農家「……元気なやつ」

女僧侶「は……ふっ……はぁ……」ぜー、ぜー…

女魔法使い「…………」スタスタスタ…

農家「おい小娘、大丈夫かお前」

女僧侶「はぁ……はい……」ぜー、はー…

農家「そんなザマでよく旅に出たな」

女魔法使い「……普段は……馬車だから…………」

農家「にしても体力なさすぎだろ、平地だぞここ」

女僧侶「武術……の……っ、成績……は……最低っ……オエッ」うぐ…

農家「おいおい……」

女魔法使い「……軟弱」

農家「嬢ちゃんは平気そうだな」

女魔法使い「……自信あり。ぶい」ピース

20: 2012/04/14(土) 21:20:10 ID:RKBArlAk
女勇者「おーい、僧侶ちゃんなっさけないぞー」

女僧侶「はっ……ひー……っ」

農家「……仕方ねえな、背負っていくか」

女勇者「なっさけないなー、モンスターが出たらどうするのさ」

農家「ここで倒れてたら一緒だろが。オラ、行くぞガキ」

女勇者「ちぇー」

女僧侶「……すみません」

農家「いいから休んでろ」

女魔法使い「…………」じー…

農家「あん?」

女魔法使い「……ウチも」

農家「……後でな」

女魔法使い「ん」コクッ

21: 2012/04/14(土) 21:29:15 ID:RKBArlAk

 ~ 隣村 ~

女勇者「だーれもいなーい。なんにもいなーい」

女勇者「何これ、ものけの手柄じゃん」

農家「【蛻の殻(もぬけのから)】だ馬鹿ガキ」

女僧侶「避難してるんでしょうか」

農家「襲われはしてねえってんなら、多分な」

女魔法使い「……足跡」

女勇者「んー……、狼っぽい感じのだね。でもこれおかしくない?」

女僧侶「何がですか?」

女勇者「村の外に向かってる足跡しかないよ」

22: 2012/04/14(土) 21:34:58 ID:RKBArlAk
女僧侶「反対側から侵入したのでは?」

女勇者「いやいや、そこじゃなくてさ」

農家「……足跡がこっちに向かってるのに、モンスターに出くわさなかったって?」

女勇者「そうそれ!さっすがおじさん!」

農家「遠回しに自画自賛してんな馬鹿ガキ」

女魔法使い「……ばかガキー……ぃ」

女勇者「何このアウェイ感」

女僧侶「勇者ちゃんの真意に気付けなかった私って……」

23: 2012/04/14(土) 21:42:06 ID:RKBArlAk
農家「馬鹿言ってねえで話聞きに行くぞ。避難所はこの先だ」

女勇者「むー、何でおじさんが仕切ってるのかなー。リーダーはボクなのにぃ」

農家「残念だったな。俺はテメエらの仲間じゃねえ、保護者だ」

女勇者「……子供扱いですかい」

女僧侶「反論できません……」

女魔法使い「……お父さん?」

農家「違う」

24: 2012/04/14(土) 21:47:25 ID:RKBArlAk
女僧侶「そういえば、おじ様はご家族の方は?」

農家「嫁と娘がいた。もう氏んでる」

女僧侶「あ……ごめんなさい……」

農家「それよりおじ様って何だ、妙な呼び方しやがって」

女勇者「えー、だっておじさんはおじさんじゃん」

農家「チッ……まあいい、好きに呼べ」

女魔法使い「お父さん」

農家「なんでそうなる」

25: 2012/04/14(土) 22:00:34 ID:RKBArlAk

 ・ ・ ・

隣村人「怪我人はいねぇけんどよ、倉にあったモンは根こそぎ持ってかれちまっただぁよ」

隣村人「あん中にゃあ、明日王都に持ってく分もあったでなぁ。困ったもんだ……」

隣村人「モンスターならほれ、お前さんたちが来たほうに逃げてっただぁよ」

隣村人「食いもんによほど困ってただかなぁ、難儀なこったね」



女僧侶「……というのが村人からのお話です」

女勇者「結局何にもやることないんじゃーん」

女僧侶「そんなことありませんよ。今からモンスターを追いかければ原因くらいはわかるかもしれません。もしかしたら食糧も取り返せるかもですよ」

女勇者「かも、ばっかじゃん。もっとビシーッ!っと言い切れることないの?」

女魔法使い「……放置……すると……また、同じことが……起きる…………」

女勇者「かも。でしょ?」

26: 2012/04/14(土) 22:07:30 ID:RKBArlAk
女僧侶「可能性でも予防は大切です。とにかく行ってみましょう」

女勇者「しょーがないなぁ。ま、これも勇者の務めってやつかね」

農家「話は纏まったか?ならさっさと行くぞ」

女魔法使い「……はーい」

女勇者「ちょっ!だからリーダーはボクだってば!」


農家「しかしあのガキ、勇者のくせにちと性格がひねくれてねえか?」

女僧侶「ふふっ、大丈夫ですよ。文句を言いながらも実はいつも乗り気ですから」

農家「はーん、面倒くせえガキだな」

女魔法使い「……天の邪鬼」

女勇者「なんか言ったー?」

三人「「「別に」」」

27: 2012/04/15(日) 10:25:45 ID:Pjw0XQQw

 ―――
 ――
 ―

?1「……不味いな」かちゃん

?2「ッ、申し訳ありません!魔王陛下!」

?1(魔王)「ふん……これは人間の食い物であろう。こんなものが我が口に合おうはずもない。ワーウルフ、貴様ふざけているのか?」

人狼(?2)「とんでもありません!しかしながら、我々は――」

魔王「言い訳なぞ聞かん。『真空』」

人狼「……っ!か……は……っ!」

魔王「……ふん」パチンッ

人狼「っは!は……は…………」

魔王「見逃してやるのは今回だけだ。次は人間を持ってこい」

人狼「…………は」

 ―
 ――
 ―――

28: 2012/04/15(日) 10:31:42 ID:Pjw0XQQw
女勇者「うわぁ、ボロッちい砦……」

女僧侶「足跡はこの中に続いていますね」

女魔法使い「……気配……たくさん」

農家「んー……」

女僧侶「どうかしましたか?」

農家「いや。とりあえず中に入るぞ、見てても仕方ねえ」

女勇者「だーかーらー!」

女魔法使い「……置いていく」スタスタ

女勇者「もー!」タッタッタッ


女僧侶「あの……ところでそろそろ下ろしていただけませんか……?」

農家「すまん、忘れてた」

29: 2012/04/15(日) 12:47:04 ID:Pjw0XQQw
ウルフA「!」
ウルフB「ニンゲンダ!」
ウルフC「タイヘンダ!」

女僧侶「いきなり!?」

 *まもののむれがあらわれた!

女勇者「先手ひっ――」ダッ

農家「待て」がしっ

女勇者「ぐえっ」

ウルフA「ヒィ…ッ」ビクビク
ウルフB「ア、ノウカダ!」
ウルフC「ホントダ、ノウカダ!」

女僧侶「……へ?」

女魔法使い「……友達?」

農家「昔色々あってな」

ウルフC「ノウカダ!ヒサシブリダナ!」
ウルフB「ノウカ!ノウカ!アソブカ!」
ウルフA「ノウカ…?」ビクビク

30: 2012/04/15(日) 12:50:02 ID:Pjw0XQQw
農家「遊ばねえよ」

女魔法使い「……戦い……いらない……?」

農家「ああ、武器はしまっとけ」

女僧侶「は、はぁ……」

女勇者「」

農家「話がある、ワーウルフはどこだ」



魔王「……貴様」ザッ

農家「……ッ!テメエは」

31: 2012/04/15(日) 12:56:59 ID:Pjw0XQQw
人狼「なっ、農家殿!」

農家「よう。なんでテメエがここにいやがる」

魔王「ふん、随分と御挨拶だな人間。しかしなるほど、貴様が生きているとはな」

農家「残念だったなクソ野郎」

魔王「ふん……」

女僧侶「なんなんですかあの人……なんて凶々しい魔力……」

女魔法使い「……危険…………」

魔王「ほう、そやつらはもしや新たな勇者一行か」

女勇者「」

人狼「!勇者だと……」

魔王「いい機会だ。我も名乗っておこう」

32: 2012/04/15(日) 13:04:50 ID:Pjw0XQQw

魔王「我は魔王。真に世界を支配する者だ」

女勇者「」
女僧侶「なっ!?」
女魔法使い「……ッ!」

魔王「人間よ、勇者如きに我が覇道の邪魔は叶わぬと知れ」



農家「………………魔王?」

農家「テメエが、魔王だと?」

魔王「そうだ」

農家「………………」

農家「フザけてんのか」

 ゾ ワ ッ

人狼「ッ!!」ビクッ
ウルフA「ヒッ!」ビクビク
ウルフB「ノウカオコッテル!ナンデ!?」
ウルフC「シラナイヨ!」

33: 2012/04/15(日) 15:13:38 ID:Pjw0XQQw
魔王「本気だとすれば、どうする?」

 ゴゴゴゴゴゴ……

女魔法使い「……すごい魔力……!」

女僧侶「うわわ!砦が崩れそうですよ!?」

人狼「陛下……!」

農家「…………」

農家「ブチ頃す」

魔王「…………」

農家「…………」

勇者「」

34: 2012/04/15(日) 15:20:56 ID:Pjw0XQQw
間違えた ×勇者 〇女勇者


魔王「……ふん、やめておこう。勇者共如き相手にもならぬが」ジロッ

女僧侶「ひっ!」
女魔法使い「……」

魔王「貴様相手では分が悪い。ここは退かせてもらう」

農家「俺が逃がすと思ってんのか」

魔王「逃げるさ。往け、ゾンビ兵共」

 ボコッ ボコッ

ゾンビ兵「オオォォォ…」

魔王「ワーウルフ、貴様の処罰はこの男を頃してからだ」

人狼「…………」ギリ…

魔王「『転移』」
 フォン…

農家「…………チッ、クソ野郎が」

35: 2012/04/15(日) 15:29:41 ID:Pjw0XQQw
ゾンビ兵「ガアアアアア!」
 グワッ!

ウルフA「ヒ…」

農家「ふん!」
 ドゴッ!

ゾンビ兵「ギ」
 グシャッ

農家「おい小娘、浄化だ。嬢ちゃんはワーウルフ達を守ってくれ」

女僧侶「守るって、モンスターですよ!」

女魔法使い「わかった」コクリ

女僧侶「魔法使いちゃん!?」

農家「後で説明してやる。……おいガキ、いつまで寝てんだ」
 ベシッ

女勇者「おふっ!」

36: 2012/04/15(日) 17:05:14 ID:Pjw0XQQw
ゾンビ兵「グォォォ!」

人狼「くっ!」

女魔法使い「下がって。『炎壁』」
 ゴオッ!

ゾンビ兵「ォ…ォォ…」
 バチバチバチ…

女僧侶「詳しく聞かせてもらいますからね!『浄化』!」
 カッ!

ゾンビ兵「ォォォォォォ…ォ…」
 シュウウゥゥゥ……

女勇者「あれ!?何なにどうなってんの!?」

農家「戦闘だ。敵はゾンビ兵、トドメは小娘にやらせろ。浄化しねえと復活してくる」

女勇者「~~よくわかんないけどリーダーはボクだよ!いっくぞー!」

37: 2012/04/15(日) 21:07:58 ID:Pjw0XQQw
女勇者「『魔法剣・炎』!」
 ボワッ

女勇者「せえりゃああああああ!!」
 ブンッ!

ゾンビ兵「ギギギ…」
 ズバッ …ボウッ!

女僧侶「『浄化』!」

農家「ふっ!せっ!らあ!」
 ゴッガッドゴッ!!

ゾンビ兵「グ」
ゾンビ兵「ゲ」
ゾンビ兵「ゴ」
 グシャッ!!

女僧侶「『浄化』!」

女魔法使い「……きりがない」

農家「あのクソ野郎、召喚陣を仕込んでいきやがったな!嬢ちゃん、探せるか?」

女魔法使い「おまかせ……『サーチ』」
 キィィン…

38: 2012/04/15(日) 21:14:40 ID:Pjw0XQQw

 ――――ピカッ

女僧侶「!魔法陣が天井に……」

農家「おいガキ!勇者の電撃で焼き切れ!」

女勇者「だからリーダーはボクだってば!『昇雷』!」
 カッ!

 バリバリバリバリ!

人狼「雷撃魔法……本当に勇者なのか……」

女勇者「よし潰した!一気に行くよ、みんな魔法使いちゃんのそばに!」

農家「あいよ」

女僧侶「わわわ!」

女魔法使い「『反術結界』」
 キュィーン…

勇者「せーの……」

39: 2012/04/15(日) 21:20:11 ID:Pjw0XQQw
また間違えた ×勇者 〇女勇者


女勇者「『極大雷撃』!!」

 ―― カ ッ !

 ピシャーン! ゴロゴロゴロゴロ……

全ゾンビ兵「「「ゲギ…ォ ォォ…」」」

女僧侶「『浄化』!」

 シュウウゥゥゥ……


女勇者「……っし!いっちょあがりぃ!」

 *まもののむれをやっつけた!

40: 2012/04/15(日) 21:28:39 ID:Pjw0XQQw
 ―――
 ――
 ―

?「おや、魔王様。お早いお戻りでしたな」

魔王「側近か。出迎えご苦労、少々不愉快なことがあった」

?(側近)「勇者のことですかな?」

魔王「いや……あの男が生きていた」

側近「!なんと、もはや助からぬものと思えましたが」

魔王「ふん、全く忌々しい」

側近「ゴキブリのようなやつですな」

魔王「各地の将軍に伝えろ。奴の首を持ってくれば、褒美は思いのままだとな」

側近「承知致しました」

41: 2012/04/15(日) 21:37:15 ID:Pjw0XQQw
魔王「……ふん、我が下に降ればその力を役立ててやるものを」

魔王「所詮は人間か……つまらぬ」

魔王「そうは思わぬか、貴様も」

『………………』

魔王「…………ふん」

 ―
 ――
 ―――



女勇者「うげぇ……ひどい臭い……焦げ臭っ」

農家「腐臭よりはマシだろ。しかしまんまと逃げられちまったな」

女勇者「何があったか話してもらえるんだよね?」

農家「まあ待て、ちと整理すっから」

42: 2012/04/15(日) 21:45:21 ID:Pjw0XQQw

 ・ ・ ・

女勇者「よーするに、こっちのモンスター達が食糧泥棒で」

人狼「お前たち……」

ウルフA「ゴメンナサイ…」ビクビク
ウルフB「ションボリ…」
ウルフC「ノウカイナカッタ。ショウガナイ」

農家「お前らが行ったのは隣村だ馬鹿」

女魔法使い「かわいい……」ナデナデ

ウルフA「キュゥン…」
ウルフB「ズルイ!」
ウルフC「オイラモ!オイラモ!」

女僧侶「…………」

女勇者「あーうん、次行っていい?」

農家「おう」

43: 2012/04/15(日) 21:58:50 ID:Pjw0XQQw
女勇者「で、何故か魔王がいて戦闘になりかけたけど、ゾンビ兵を使って逃げられた……と」

農家「そういうこった。ワーウルフ、あのクソ野郎はいつから魔王になったんだ?」

人狼「……“あの後”です。すみません、言うべきではないものと」

農家「まあいいさ、どうせ結果は変わらねえ。それよりこれからどうする?もう魔王軍には戻れねえんだろ」

人狼「……一族を連れてどこか奥地に身を隠します。農家殿に教わった農業の知識がありますから、何とかやっていけるでしょう」

ウルフC「トーチャン、オイラタチデテイクノカ?」
ウルフB「ノウカ、アエナクナルカ?」
ウルフA「ウルウル…」ジワッ

農家「お前らが俺に懐いてくれんのは嬉しいけどよ……」

44: 2012/04/15(日) 22:04:28 ID:Pjw0XQQw
女僧侶「あの……ちょっといいですか」

農家「あん?」

女僧侶「おじ様とワーウルフさんたちはどういう……」

女勇者「そーそー。モンスターと仲良いなんて普通ないよね」

農家「そいつは教会派の認識だな。実際は王都の外に行けばこいつらみてえなのは沢山いるんだ。……頃すなよ?」

女魔法使い「しないしない」コクコク

女勇者「ま、話してわかるんならそのほうがいいよねー」

女僧侶「…………」

45: 2012/04/15(日) 22:10:50 ID:Pjw0XQQw
農家「小娘は納得できねえってツラだな」

女僧侶「すみません……教会の教えとは違っているもので、なかなか……」

農家「旅してりゃうだうだしてるヒマなんざなくなるぞ。スパッといけスパッと」

女勇者「即断即決、だね!」

農家「いや、テメエはもう少し考えて行動しろ」

女勇者「わう……」

女魔法使い「ワーウルフ……は、この辺りの管轄?」

人狼「え?ええ、はい」

46: 2012/04/15(日) 22:19:43 ID:Pjw0XQQw
女魔法使い「なら……ワーウルフがいなくなったら……?」

農家「まあ他のモンスターが来るだろうな。たぶんもっとタチの悪いやつが」

女勇者「あいやー……何それひなたぼっこじゃん」

農家「いたちごっこ、だ馬鹿ガキ」

女僧侶「そうなると、王都に依頼するしかないですよね……」

女勇者「えー、また戻るのぉ?めんどくさいなぁ」

農家「なんだ、テメエら転移魔法使えねえのか?」

女魔法使い「学院……には……魔導書が……なかった……」

女僧侶「大火災の時に消失したとかで」

農家「控え取ってなかったのかあの馬鹿共……」

47: 2012/04/15(日) 22:27:56 ID:Pjw0XQQw
人狼「そういうことでしたら、私がお教えしましょう」

農家「頼めるか?」

人狼「はい」

農家「というわけだ、テメエらは今日ここに泊まり込め」

女勇者「……どーゆーわけ?」

女魔法使い「勉強……会」

女勇者「うげ……マジで?」

女僧侶「……あの、失礼ですがワーウルフさんに襲われたり、しませんよね?」

農家「…………お前犬相手に欲情すんのか?」

人狼「ワーウルフです!」

農家「黙れ犬」

人狼「ぐぬぬ……」

女勇者「余計な心配じゃん?ちゅーかおじさんはどうすんの?」

48: 2012/04/15(日) 22:35:03 ID:Pjw0XQQw
農家「こいつらが盗んだ食糧を返してくる。日が暮れる前には片付くだろ。村長への報告は明日だな」

ウルフB「ノウカ、テツダウゾ!」

農家「たりめえだアホ。今日村に行った奴ら全員連れてこい、一気に運ぶぞ」

ウルフB「ワカッタ!」

女勇者「ほんとに懐いてるんだねー」

女僧侶「この目で見ても信じがたい光景です……」

農家「人間もモンスターも十人十色、千差万別。魔王みてえな人間もいりゃ、神様みてえなモンスターもいるのさ」

女魔法使い「……ワーウルフ、は?」

農家「なんてことはねえ、ただのどこにでもいる父親だ」

女勇者「ふーん」

49: 2012/04/15(日) 22:47:24 ID:Pjw0XQQw
ウルフDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ「「「ノウカ、キタゾ!」」」

女勇者「多っ!?」

農家「テメエら張り切りすぎだろ馬鹿か!?」



 ・ ・ ・



人狼「ですから、基本的には着地点安定のために目印となる陣を使うのが一般的ですね」

女魔法使い「障害物……は?」

人狼「それも含めての対策ですよ。うっかりすると“かべのなかにいる”なんてことになりかねませんから」

女僧侶「なるほど……」

人狼「既定の着地点がない時は、サーチ魔法などを応用して移動先の状態を調べるようにして下さい。次はそのやり方ですが……」

女勇者「うう……ちんぷんかんぷんだよ……」

女魔法使い「……がんばれ」

50: 2012/04/15(日) 23:02:33 ID:Pjw0XQQw
農家「うーす、まだ勉強中か?」

人狼「あと少しです。……勇者殿はまだかかりそうですが」

女勇者「ルーンが!ルーンが頭の中をぐーるぐルーン!」

女僧侶「勇者ちゃん、しっかりして!」

女魔法使い「これはひどい……」

農家「………………」

農家「おいガキ、真面目にやれ」

 ゾワッ!

女勇者「はいすみませんごめんなさい真剣に取り組まさせていただきますっ!!」ピシッ!

農家「んじゃ後は任せる……なに縮こまってんだ犬」

人狼「すみません、昔の癖が抜けなくて……」ガクガクブルブル

53: 2012/04/17(火) 14:12:49 ID:9Q94Ygsc

 *転移魔法 を 覚えた。

 *そして夜が明けた。

人狼「皆さん、お気を付けて」

農家「そっちこそな」

ウルフB「ノウカ!マタナ!」
ウルフC「マタナ!ゼッタイナ!」
ウルフA「クゥーン…」ショボーン

人狼「そうだ、勇者殿にはこれを」

女勇者「ん?何これ、首飾り?」

 *真紅の爪 を 手に入れた。

農家「おい」

人狼「魔王城を目指すのなら、必要になります」

女勇者「ふーん。おっけ、預かっとくね」

農家「チッ、意味わかってんのかガキ……」

女僧侶「私達は勇者一行ですから」

女魔法使い「いずれ……は……行く……はず……」

54: 2012/04/17(火) 21:39:28 ID:9Q94Ygsc
女勇者「さてー、出発出発ぅ!」

人狼「ご武運を!」


 ・ ・ ・

女勇者「おじさんも王都まで来るの?」

農家「証人がいた方が話が早いからな」

女勇者「うーん、よくわかんないけどいっか!んじゃ魔法使いちゃん、よろしく!」

女魔法使い「了解」コクリ

女勇者「お、マジメモードだ」

農家「なんか違うのか?」

女勇者「少しキビキビしだしたらマジメモードだよ」

農家「はーん」

女僧侶「よろしくお願いしますね」

女魔法使い「行く。……『転移』」

 シュンッ

55: 2012/04/17(火) 21:46:35 ID:9Q94Ygsc

 ~ 王都 ~

女勇者「おおっ!ほんとに一瞬で着いた!」

女僧侶「馬車でも3日はかかりますのに……」

農家「一度行った場所なら覚えてさえいりゃ自由に行き来できるからな。まあ集団移動には才能が不可欠だが」

女魔法使い「……えっへん」
 たゆん

農家(……やっぱチチでけえな)うーむ…

女勇者「それじゃ、ささっとお城まで報告に――」

?「その必要はねえぞ!」

女勇者「い?」

56: 2012/04/17(火) 21:53:22 ID:9Q94Ygsc
農家「よう、相変わらず装飾過多な格好してんな国王」

?(国王)「ガハハハハハ!テメェも変わりなく薄汚ェカッコしてやがんなァ!!」バシバシ

農家「叩くなタコ助」ガッ

国王「うっせぇ畑作バカ」ゲシッ

農家「農業馬鹿にすんな」べしっ

国王「はいはい美味しいご飯をありがとうございまァーす(棒)」ドカッ

農業「やんのかテメエ!!」

国王「おお上等だ表に出ろい!!」

女魔法使い「……既に……外……」

女勇者「」
女僧侶「」

女勇・女僧((王様にタメ口きいてるー―――っ!?))

57: 2012/04/17(火) 23:55:57 ID:9Q94Ygsc
 ~ その頃、城内 ~

「おい、そっちいたか!」

「西塔はいねえ!東は?」

「階段裏にも棚の中にも壁の隙間にもカーテンの影にもいなかったぜ」

「どこ捜してんだお前は!?」

「かくれんぼかよ……」

「つーか王様自由すぎんだよ!毎度捜す羽目になる第一師団の立場も考えてくれ!」

「お前それ師団長の前でぜってー言うなよな」

「クビが飛ぶぞ」

「いや、全力で同意されて土下座で「ガマンしてくれ!」だろうな」

「……かえってそっちのほうがキツいわ」

58: 2012/04/18(水) 00:03:39 ID:LBRuIg5Q
「はいはいだべってる暇があったらさっさと捜す!」

「げ、口うるさいのが」

「何か言いまして?」

「なんでもあーりゃっすぇーん」

「言葉は正しく!」

「おーい」

「ん?」

「見張り台から連絡。外にいたってさ」

「」

「マジかよ……まさかまた抜け穴増やしたのか……」

「で、どうも殴り合いの喧嘩してるらしいって」

「ぶっ」

「何してやがんだあの人!?」

「勇者一行も一緒にいるみたいだよ」

「止めろよ勇者ァアア!!」

59: 2012/04/18(水) 00:17:30 ID:LBRuIg5Q
 ~ 王都、市街 ~

農家「……9784戦」

国王「……9784引き分け、か」

 ドサドサッ

女勇者「あまりの展開にまるでついて行けない……」

女僧侶「――はっ!?こ、国王陛下!おじ様!大丈夫ですか!?」

国王「おう任せろ」すくっ

農家「この程度の傷、2秒で治らあ。農家舐めんな」すくっ

女魔法使い「おー……」ぱちぱちぱち…

国王「いやそれ農家関係ねェだろが」

農家「いいや、あるね」

国王「ねェよ」

農家「ある」

国王「ねェ」

農家「ある」

60: 2012/04/18(水) 00:31:06 ID:LBRuIg5Q
国王「やんのかテメェ!!」

農家「来いよ叩き潰してやらあ!!」

女僧侶「なんでまたケンカになってるんですか!?」

女魔法使い「……仲良し?」

農家・国王「「うん」」
女勇者「いきなり素に戻った……」

国王「切り替えの早さは戦況を大きく左右するからな。お前もいざという時はパッと動けるようにしとけよ!ガハハハハハ!」

女勇者「あ、はい。っていうか、お久しぶりです陛下」

女魔法使い「……や……ふ」

女僧侶「お久しぶりです、国王陛下」

国王「うんうん、やっぱお前らは華があるよなぁ!第一師団のやつらとは大違いだ!」

農家「軍部に何を求めてんだテメエは」

国王「……癒やし?」

農家「嫁にでも甘えてろタコ助」

62: 2012/04/18(水) 23:32:09 ID:LBRuIg5Q
国王「さて、はしゃぐのはこのくらいにしておくか」

女勇者「あ、はしゃいでたんですか」

国王「まあなぁ、こっちからホイホイ出掛けるわけにゃいかねーし、かと言ってコイツ滅多なことじゃ畑から離れねーし」

農家「農家だからな」ウン

女僧侶「はぁ……」

女魔法使い「2人は……友達……?」

農家「というよりは」ウーン…

国王「腐れ縁みてぇなもんか」

農家「まあ昔話は後で聞かせてやる。今は先に魔王の件を話さないとな」

国王「あン?とうとう動いたのか?」

農家「むしろ会った」

国王「……は?」

農家「しかも正体があのクソ野郎だった」

国王「ぶっ!おいおい、マジかよそりゃ!?」

農家「ワーウルフも魔王って呼んでたから間違いねえ……ったく、俺らの世代はろくでもねえ野郎ばっかだな」ハァ…

63: 2012/04/18(水) 23:42:13 ID:LBRuIg5Q
女勇者「はい!」挙手

国王「はい勇者」

女勇者「とりあえず、詳しい話はお城でしたほうがいいと思います!」

女僧侶「そうですね。立ち話で済ませられるような案件ではありませんし」

国王「ヤダ、めんどい」キリッ

農家「ガキかテメエは」ばしーん!

国王「った!頭ひっぱたくんじゃねーよ!」ガッ!

農家「いいからさっさと行くぞタコ助」ぐいいーっ

国王「痛ェ!耳引っ張ンな……あいだだだだだ!!」ずりずり…

女勇者「」ぽかーん…
女僧侶「」ぽかーん…

女魔法使い「……仲良し……良いこと…………」スタスタ

女勇者「……はっ!待ってよー!」

女僧侶「おじ様と陛下、どういう仲なんでしょう……」

64: 2012/04/18(水) 23:59:16 ID:LBRuIg5Q

 ・ ・ ・

国王「大臣に超怒られた」

農家「何故か俺まで怒られた」

女勇者「自業自得だと思うんだけど」

国王「さておき。今回の件については今日中に対策を固めておく。明日伝令代わりに村まで行ってもらうから、今日は夜まで自由にしてていいぞ」

農家「話が済んだならもう帰っていいか?畑耕してえ」

女勇者「えー、色々訊きたいことあるのに」

国王「だとよ。まぁうちの可愛い娘の頼みだ、きいてくれや」

農家「あ?娘?誰が?」

女勇者「はい」挙手

農家「…………」


農家「テ メ エ はあ!何考えてんだああああああ!!」
 ギリギリギリ…!

国王「ちょっギブギブ!首しま゙っ゙!!」
 バンバンバン!

65: 2012/04/19(木) 00:21:58 ID:x8lFrek.
農家「どこの世界に娘を勇者として送り出す王様がいるんだこの素っ頓狂があああ!!」
 ギリギリギリ…!

国王「……ッ!…………ッ!」
 ブクブクブク…

女僧侶「あわわわわ!落ち着いて下さい!完全に締まってます!」

女勇者「人間ってほんとにアワふくんだねー」

女魔法使い「……ねー」

女僧侶「しみじみ言ってないで止めましょうよ!?」



国王「黄泉が見えたぜ……」フー…

農家「あークソ、無駄に疲れちまった」ハァ…

国王「言いたいことはわかるがな……まあまた夜にでも話そうや」

農家「くっだらねえ理由だったら……」

国王「だったら?」

農家「削ぐ」

国王「何を!?」

66: 2012/04/20(金) 10:21:36 ID:n/uDg1U2

 ・ ・ ・

女勇者「というわけで、夜まで自由行動!」

女魔法使い「おー……」

女僧侶「では、私は一度教会へ行ってまいります」

女魔法使い「学院……図書館……」

女勇者「おじさんはボクの鍛錬に付き合ってくれたら嬉しいなー?」上目遣い

農家「俺は我流だから参考にはならねえぞ?」

女勇者(む……上目遣いも効果なしかー……)

女勇者「まぁ、ボクもだいぶ我流アレンジしてるほうだから、変なクセとかついてないか見てほしいかなーって」

女勇者「ついでになんかコツがあったら教えてくれたら嬉しいなーって」テヘリ

農家「そうかい。ま、構わねえぞ」

女勇者「やった!じゃー早速外に行こー!2人とも後でねー!」

農家「外かよ。まあいいか、じゃあな」

女僧侶「お気を付けて」

女魔法使い「……いってらー」ふりふり

67: 2012/04/20(金) 10:48:12 ID:n/uDg1U2

 ・ ・ ・

女勇者「そういえばさ、おじさんって魔法使えない人?」

農家「使わない人だ。必要な機会も少ねえし」

女勇者「そっか、農家だもんね」

農家「使えねえわけじゃねえが、タコ助ほどじゃねえな」

女勇者「ふーん……ところで何でタコ助?」

農家「ハゲだから」

女勇者「あー」

農家「オラ、素振り止まってんぞガキ」

女勇者「ガキって……そりゃボクはおじさんから見たらまだ子供だけどさー……」

農家「小娘と嬢ちゃんのほうがまだ大人びてるな」うん

女勇者「納得いかーん!」うがーっ!

68: 2012/04/20(金) 12:53:03 ID:n/uDg1U2
農家「で、ひと通り見せてもらったわけだが」

女勇者「はい」正座

農家「まず使う剣を変えろ、重さに振り回されてんじゃねえか。魔法剣ってのは元々がパワー不足を補う手段なんだ。剣が振れねえようじゃ話にならん、威力より速力だ」

女勇者「ふむふむ」

農家「次に魔法だがな……なんで火と風しかまともに使えねえんだよ!テメエ属性バランス悪すぎだ!せめて4属性くらいはキッチリ使えるようにしやがれ!」

女勇者「う……痛いところを……」

農家「特に雷撃魔法は複合上位魔法だ。総合レベルが高くねえとまともな威力なんざ出やしねえ。極大雷撃なら本来はここの城くらい丸ごと消し飛ぶモンなんだぞ、ゾンビ兵倒すのがやっととかショボすぎんだろが。テメエが勇者じゃなかったらそもそも発動すらしねえよ」

女勇者「まくし立てないでよう……」しょんぼり…

農家「ったく、学院は何を教えてやがるんだ」ハァ…

70: 2012/04/20(金) 20:14:26 ID:n/uDg1U2
農家「ひとまず剣買いに行くぞ」

女勇者「はーい」起立

農家「その後は地と水の魔法訓練からだな、最低でも魔法剣が使えるレベルまではなんとかしろ。それから基礎体力の強化に剣術と体術の補強と、魔法術式の最適化、魔法剣の持続力の向上訓練、魔力の底上げ、それと……」

女勇者「ちょっ、そんなにやるの!?」

農家「誰も1日でやれとは言ってねえよ。ただ毎日効率的にやっていかねえと旅するヒマもねえけどな」

女勇者「うえぇ……勘弁してよぉ……」

農家「別にやらなくてもいいんだぞ。途中でモンスターに喰われてもよけりゃあな」

女勇者「うぅ……シビアだー……」

女勇者「っていうかさ、おじさん何でそんな色々詳しいの?お願いしといてなんだけど」

農家「何でって、そんなもん決まってんだろが」
女勇者「うん?」

農家「農家だからだ」

女勇者「なるほど」

女勇者「…………」

女勇者「いやいやいやいや!」

71: 2012/04/20(金) 21:03:27 ID:n/uDg1U2

 ・ ・ ・

女勇者「うーん、新しいのに手に馴染む……」

農家「モノが自分に合ってる証拠だ」

女勇者「そっちの剣はどうすんの?」

農家「素振り用と予備代わりだ。ちっと細工すっけどな」

女勇者「なるほど、リサイクルだね」

農家「ま、そんなところだ。しっかしいつの間にかもう昼時か……腹減ったな」

女勇者「え?まだ鐘鳴ってない――」

 ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、
 ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン…

女勇者「……おおぅ」

農家「農家の腹時計ナメんなよ」

女勇者「んー、そしたら学院の近くにいいお店があるから、そこ行こっか」

農家「任せる」

女勇者「たぶん僧侶ちゃんたちもいるんじゃないかなー」

73: 2012/04/20(金) 22:14:44 ID:n/uDg1U2
女僧侶「あ、勇者ちゃん、おじ様」

女魔法使い「……へーい」片手を上げて

農家「おう」ハイタッチ
 パンッ

女勇者(ごく自然にハイタッチですかい……)

女勇者「2人ともお昼まだ?」

女僧侶「はい。ちょうどここで鉢合わせになったところで」

女魔法使い「おなか……すいた……」
 きゅるるる…

農家「ぷっ。よし、んじゃみんなで食いに行くか」ナデナデ

女魔法使い「ん」ナデラレ

女僧侶「いつものところですか?」

女勇者「そだよん。あーでも席空いてるかなぁ」

女僧侶「その時は王女権限で人払いを」

女勇者「んなことしたらパパに怒られるっつーの」

農家(タコ助、まさかのパパ呼ばわりかい……)

74: 2012/04/20(金) 22:26:57 ID:n/uDg1U2

 ・ ・ ・

女勇者「空いててよかったぁ。正直別のお店まで行く気力なかったよ」ぐてー

女僧侶「勇者ちゃん、はしたないですよ」

女魔法使い「……邪魔」

農家「俺のヒザに座ってるテメエが言うな。つーか降りろ」

女魔法使い「ヤ」

農家「おーい……」

女勇者「……魔法使いちゃん、ずいぶん懐いてるね」

女僧侶「……おじ様の父性の賜物でしょうか」

女勇者「それより何食べよっか。ボクは3倍ハンバーグ2人前!」

女僧侶「相変わらず食べますね……豚生姜焼き定食、豚肉2倍増しで」

女魔法使い「……チャレンジメニューの10倍ステーキセット」

女勇者「……一番小柄なのに一番食べるよね」

女僧侶「おじ様はどうします?」

農家「テメエらちょっと待て」

75: 2012/04/20(金) 22:39:26 ID:n/uDg1U2
女勇者「ん?何?」

農家「肉ばっかじゃねえか、野菜を食え野菜を」

女勇者「えー、野菜なんかじゃパワー出ないもん」

女僧侶「そうですよ。冒険者である以上は体力は必要ですし」

女魔法使い「……野菜だと……物足りない」

農家「あのな……冒険者だからこそ栄養はバランスよく取らねえと、ヤバい病気もあるんだぞ?」

女勇者「そこはまぁ、気合いで」

農家「気合いで壊血病やら栄養失調やらが克服できたら誰も氏なねえよ馬鹿ガキ」

女僧侶「う……それは怖いですね……」

農家「第一そんな肉ばっか食ってたら太るぞ」

女勇者「あ、ボクと魔法使いちゃんは体質的に太らないから大丈夫だよ」

女魔法使い「ん」コクコク

女僧侶「ぐぬぬ……恨めしい……!」

農家「まあそこは大した問題じゃねえんだけどな……」

農家「テメエら仮にも女だろ」

76: 2012/04/20(金) 22:46:27 ID:n/uDg1U2
農家「あんまり肉ばっか食ってやがると……」

農家「肌がガッサガサになるぞ?」



女勇者「温野菜スープ特盛り2人前!」

女僧侶「大盛りシーザーサラダ~プチトマトを添えて!」

女魔法使い「……油少な目なんでも野菜チャンプルー。チャレンジメニュー版」

農家「バランスよくっつっただろうが!野菜に偏ってどうする!」

77: 2012/04/20(金) 23:00:02 ID:n/uDg1U2
女勇者「ところでおじさんは?」

農家「暴れ牛鳥の超野菜カレー(マジ辛)3人前」

女勇者「何それそんなのあったの!?ていうかマジ辛って何!?」

女僧侶「暴れ牛鳥って食べられるんですね……」

農家「いや、説明に注釈で単に牛肉と鶏肉が一緒に入ってるだけと書いてあるな」

女勇者「……おじさんも相当肉だらけじゃん」

農家「だが一応野菜カレーだぞ。サラダも注文するけどな」

女魔法使い「……ステーキ」

農家「……食いたきゃ食え。その代わり野菜も食うんだぞ」

女魔法使い「ん」コクコク

女勇者「すみませーん、注文いいですかー?」

79: 2012/04/21(土) 10:19:25 ID:EdghFsGc

 ・ ・ ・

<アリャアットゥヤシター

女勇者「あの店員さん新人だったみたいだね。顔引き吊ってたし」

農家「そりゃこんなちっこいのがあれだけ食や誰だってビビるだろ」

女魔法使い「……チャレンジメニュー……ダブル制覇」ぶいっ

女僧侶「店長さんも感動して泣いてましたね」

農家「ありゃ悔し涙だろ……」

女勇者「そういえばお金払ったことないなぁ」

女僧侶「毎回賞金で支払いしてましたからね」

女魔法使い「……お腹いっぱい……お財布ぬくぬく」

農家「よく出入り禁止にならねえな」

女勇者「だってボク王女だし」

農家「最悪だなオイ」

女勇者「でも代わりに税金一部免除だよ?」

農家「変なところで権力乱用してんじゃねえよ……」

80: 2012/04/21(土) 12:13:10 ID:EdghFsGc
農家「小娘と嬢ちゃんはこの後どうするんだ?」

女僧侶「特別やることもないので、読書でもしようかと」

女魔法使い「……のんびり……お昼寝」

女勇者「のん気だなー、ヒマなら一緒に鍛錬しない?おじさん超詳しいよ」

農家「また俺か……ま、いいけどな。どうする?」

女魔法使い「行く」

女勇者「お、マジメモードだ」

女僧侶「うーん……私ひとりだけのんびりするわけにもいきませんね、ご一緒します」

農家「ん。じゃあ行くか」

3人「「「おー!」」」

農家「……いよいよ保護者じみてきたなこりゃ」

女魔法使い「お父さん」

農家「何故そうなる」

女勇者「……そういえば、何故にお父さん?」

女魔法使い「なんとなく」

81: 2012/04/21(土) 15:10:23 ID:EdghFsGc

 ・ ・ ・

女僧侶「ぜーっ、ひーっ、ぜーっ、ひーっ!」

農家「……小娘ほんっとに体力ねえのな」

女僧侶「うぶ」うっぷ

農家「おいおい」

女勇者「はいはいあっち向いてー。ほら水」

女魔法使い「……なさけ、ない」

農家「小娘は体力作りからだな……」

  ~

女魔法使い「……ふっ。やあっ。とう」攻撃

女勇者「おわっち!わたた!ぬえいっ!」防御

農家「ほお、嬢ちゃんなかなかやるな」

農家(掛け声がなんか気が抜けるが……)

女勇者「ぐぬぬ……おのれ世を歩く田中めー!」

農家「誰だよ田中……何言ってんだお前」

82: 2012/04/21(土) 20:17:02 ID:EdghFsGc

 ・ ・ ・

農家「総合力で見れば嬢ちゃんが1番か。ガキの立つ瀬がねえな」

女勇者「ふーんだ、剣術だけならボクのが上だもんね!」

農家「魔法使いに武術で負けてたら話にならねえだろ馬鹿ガキ」

女魔法使い「……いぇーい」ぶいっ

女勇者「くそう、反論できぬ……!」

農家「……で、小娘」

女僧侶「……ぁぃ」

農家「……大丈夫かお前」

女僧侶「…………」ふるふる

農家「……テメエは本格的に基礎体力付けるとこからだな」

女勇者「馬車頼みの旅の思わぬ盲点が……」

農家「いや馬車関係なく体力なさすぎるっての」

女魔法使い「……貧弱、貧弱ゥ」

女僧侶「……申し訳、うぶ」うっぷ

84: 2012/04/22(日) 14:20:55 ID:uUCkWj8E

 *そしてその夜・・・。

国王「弟子はとらねぇんじゃなかったのか?」

農家「そんなこと言ったか?」

国王「俺が頼んだとき断ったじゃねーか」

農家「何が悲しくて同年代の男を弟子にせにゃならんのだタコ」

国王「……そりゃそうか」

農家「あれからもう20年か、早いもんだな」

国王「そうだなぁ、先々代の勇者として俺が旅に出て」

農家「世間知らずな振る舞いのせいで俺にボコボコにされて」

国王「まさか農家に太刀打ちできねぇとは思わなかった」

農家「農家舐めんな。魔王相手でも負ける気がしねえよ」

国王「いやそれはさすがにテメェだけだろ、未だに手加減してやがってこの野郎」

農家「王様が農民に負けてたら立場がねえだろうが」

国王「……勝てる気がしねーよボケ」

農家「そうかい」

85: 2012/04/22(日) 14:55:39 ID:uUCkWj8E
農家「そういや馬鹿ガキ、いくら勇者の素養があるっつっても荒削りすぎやしねえか?」

国王「やっぱそう思うか?」

農家「あれで学院トップクラスってどういうことだよ、レベル低すぎんだろ」

国王「そりゃあ……なぁ?」

農家「……なんだよ」

国王「まぁ指導者をまず育てなきゃなんねー状況だからな、全体的にレベルダウンしてんのはしょうがねぇのよ」

農家「それこそテメエが教えりゃいいんじゃねえの?」

国王「お前国王の忙しさ舐めんな。今日も隣国との会談だけで3ヶ国飛び回ってんだぞ」

農家「あー、それで思い出した!テメエ魔導書焼失しただろ!ガキどもに聞いたぞ!」

国王「ゲ!あいつら余計なことを……」

農家「せめて控えくらい初めから残しとけよ!もし魔女の耳に入ったら……お前……ッ」ガクガク

国王「止めろ!考えたくねえ!」ブルブル

農家「……まあどっちにしろ言いに行かなきゃなんねえんだけどな」ハァ…

国王「任せた!」キリッ

農家「ブチ頃すぞテメエ」

86: 2012/04/22(日) 15:20:45 ID:uUCkWj8E
国王「で。これからどうするんだ?」

農家「例えばあのままガキどもを旅させたらどうなると思う?」

国王「野垂れ氏ぬ」


国王「ちょ肩もげるギブギブギブ!!」バンバン!

農家「わかってんなら保護者くれえ付けろこのスットコドッコイ!!」ギリギリ…


国王「もげるところだよ畜生……」

農家「やらねえだけありがたいと思え」

国王「で、どうするんだよ?」

農家「……しょうがねえから俺が行くしかねえだろ」ハァ…

国王「だよなぁ」

農家「つーか、あいつらもう俺が同行するもんだと思ってるっぽいしな。今更放り出すわけにもいかねえのよ」

国王「かーっ!あいっかわらず面倒見のいい野郎だなテメェは!」

農家「農家だからな」

国王「いや関係ねえだろ」

88: 2012/04/22(日) 16:35:01 ID:uUCkWj8E
国王「それにしても……お前なんで勇者じゃねえんだろうなぁ」

農家「農家だからだろ」

国王「いやむしろ勇者の素養なしでそこまで強ェとか意味がわかんねーし」

農家「農家だからだろ」

国王「テメェ農家を何だと思ってんだ!」バシッ

農家「アアン!何か文句あんのかテメエ!」ガッ

国王「ヤんのかゴルァ!!」

農家「農家の力を思い知れ!!」



「うわぁ、またやってるよ……」

「そのうち城が崩れたりしてな」

「いやいや笑えねーから」

「農家マジパネェ」

「農家って何なの」

「……さぁ」

89: 2012/04/22(日) 17:23:38 ID:uUCkWj8E

 *そして夜が明けた!

女勇者「それじゃー、行ってきまーす!」

国王「おう。農家、後は頼むぜ」

農家「そっちもな」

女僧侶「では、行ってまいります」ペコリ

女魔法使い「……ばいばーい」


 ・ ・ ・

 ~ 農家の村 ~

村長「そうですか……行かれますか……。寂しくなりますなぁ」

農家「後のことは国王がなんとかすっから、うちの畑は任せるぜ」

村長「ほっほっほ。なあに、畑一つくらいたやすいことですじゃ」

女勇者「それで、これからどこまで行くの?」

農家「まずは街道沿いに北の村までだな。そこから東の遺跡に旅の扉っつーもんがある。そいつで他の大陸に行く」

女僧侶「船は使わないんですか?」

90: 2012/04/22(日) 17:31:54 ID:uUCkWj8E
農家「今のテメエらの実力じゃ海の藻屑になるのがオチだ」

女魔法使い「……納得」

女勇者「えー、それは侮りすぎじゃん?漁師だって海には出てるでしょ?」

農家「テメエ海の男ナメんな。つーか、テメエらは一人じゃまだ一般兵にも勝てねえレベルなんだよ。海の男どもは全員小隊長クラスだと思え」

女勇者「いやいや、まっさかぁ」

女僧侶「というか例えがよくわかりません……」

農家「キングスライムを片手でなぎ払うレベル」

女勇者「強っ!?」

農家「わかったらさっさと行くぞ。時間の無駄だ」

女魔法使い「……おんぶ」

農家「……はいはい」しゃがみ

女魔法使い「♪」よじよじ
 むにゅん

農家(……背中に柔らかすぎる感触が)

女勇者「あれ、なんだろう……なんか負けた気がする……」

91: 2012/04/22(日) 18:12:11 ID:uUCkWj8E

 ~ 街道 ~

農家「それでは鍛錬を始める」

女勇者「え、北の村に行くんじゃないの?」

農家「鍛錬しながらな。時間が勿体ないだろ」

女僧侶「はぁ」

農家「つーわけでこのバンドを1つずつ足首に巻け」

女勇者「そんなんでい――って何これ剣より重ォ!?」ズシッ!!

女僧侶「……ッ!?」ズシッ!!

農家「目標はそれ20倍な。付けたまま自由に動けるようになれ」

女勇者「20倍!?いやいやいや無理無理無理!いくらなんでもありえない!!」

農家「何も脚力で上げろっつってんじゃねえよ、魔法を使え魔法を」

女勇者「それでも重いって!だいたい、魔法使いちゃんはどうなの!?」

農家「いやこいつ50倍までいけるし」

女勇者「」

女魔法使い「……よゆー」ぶいっ

92: 2012/04/22(日) 19:56:44 ID:uUCkWj8E
農家「嬢ちゃんはこのまま魔力の純化訓練だ。慣れるまで集中力が必要だからそれまでおんぶのままな」

女魔法使い「ん」コクコク

女勇者「純化って?」

農家「属性については話しただろ。純化ってのは特定の属性の魔力だけを仕分けする作業だ。これが出来ると威力が格段に上がるんだ」

農家「つってもお前らにゃまだ無理だけどな。訓練を続ければ魔力の結晶化まで出来るようになる。まあそこまでは必要ないだろうが」

女勇者「それができるとどうなるの?」

農家「いわゆるスクロールが作れる」

女勇者「おおっ」

女僧侶「あの、ちょっといいですか……?」

農家「どうした小娘」

女僧侶「これ、持ち上がりません……」

農家「…………」

女僧侶「…………」

農家「……もう半分にしとくか」

女僧侶「……はい」

93: 2012/04/22(日) 21:50:00 ID:uUCkWj8E
農家「うーし、そんじゃ行くぞー」

女魔法使い「おー」

女勇者「お、おぉ~!」摺り足

女僧侶「ぉぉおおぉーっ!」ど根性

農家「急がねえと日が暮れるぞー」

女勇者「いや待ってこれマジに重いっ!ぐぬぬ!」ズリズリ…

女僧侶「ち、から、が、はいらな、い、ですっ!」ズ…、ズ…、

女魔法使い「…………」集中

農家「モンスターが出る前に動かし方を身に付けろよ、氏ぬぞ」

女勇者「この鬼畜ぅ!!」

95: 2012/04/23(月) 12:44:27 ID:nuaBZtJg

 ・ ・ ・

女勇者「靴底がなくなりそうですたい」ズリズリ

農家「膝が上がるようになったら1本追加な」

女勇者「普通の歩き方がわからなくなるよ!?」ズリズリ

農家「摺り足は剣技の基本だろが」

女僧侶「ふっ……はっ……ふっ……はっ……」スッ、スッ、

農家「見ろ、小娘のほうが余裕あるぞ」

女勇者「ぐぬぬ、重さ半分とはいえこの差は……っ」ズリズリ

農家「元々体力がねえ分動きに無駄が少ないからな。魔力の流れも綺麗なもんだ」

女勇者「むぅ、負けられん!」グッ

 ガッ

女勇者「ぷぴゃん!?」 びたーん!

農家「……大丈夫か?」

女勇者「ゔゔ……はな゙が……」

女魔法使い「……どんまい」

96: 2012/04/23(月) 15:29:13 ID:nuaBZtJg

 ・ ・ ・

農家「飯時だ。ここいらで休むか」

女勇者「うぇ、もう?」ゼー、ハー、

女僧侶「はぁっ、ちっとも、ふぅっ、進んだ、ひぃっ、気が……うぶ」うっぷ

農家「あーあーあー無理して喋るなっつーのに……ほらあっち向け」さすさす

女僧侶「うえぇ……」

女勇者「僧侶ちゃんじゃないけど……しんどぉー」座り込む

農家「テメエはやっぱ魔力の扱いに難があるな。逆に小娘は普通より歩けてるみてえだが」

女勇者「魔法使いちゃんは?」

女魔法使い「…………」ダラダラ

女勇者「うわ汗すごっ!何事!?」

農家「おい。……おい、しっかりしろ」ゆさゆさ

女魔法使い「…………あ、何?」

農家「休憩だ。降りられるか?」

女魔法使い「……。動かない」

97: 2012/04/23(月) 16:28:04 ID:nuaBZtJg
女勇者「……純化ってそんなキツいの?」

農家「慣れるまではな。ぶち撒けたビーズの山から同じモンをひとつひとつ探していくようなもんだ」

女勇者「うわぁ……そりゃまた……」

農家「成果は出たか?」

女魔法使い「ん。はい」
 ポウッ

女勇者「おおぅ、綺麗な緑色の光。なんか宝石が光ってるみたい」

農家「風属性の魔力だ。なかなかの純度だな、初めてでこれは誇っていいぞ」

女魔法使い「……いぇーい」

女勇者「それ、どうするの?」

農家「そうだな……おいガキ、お前風属性は扱えたよな」

女勇者「うん」

農家「んじゃ……あの樹に向けて中級魔法撃ってみろ」

女勇者「普通に?」

農家「ああ」

女勇者「ちょっと遠いけど……よし」

99: 2012/04/25(水) 20:17:45 ID:yWREv2kY
女勇者「『中級風撃』! 別名、圧縮空気爆弾!」

 ヒュオオォォォ・・・
  ゴオオオオオッ!

 *圧縮された空気が弾けて暴風を起こした!

 *樹は粉々になった!

女勇者「……ふいぃ~、今ので魔力切れたぁ」はふぅ

農家「撃てただけ上等だな。そんじゃ次は嬢ちゃんが純化した魔力を使ってもう1回だ」

女勇者「あ、そういえばボクたち魔力の受け渡しとか習ってないよ?」

農家「その辺りは織り込み済みだ。ほとんど渡す側の仕事だし、純化訓練がそのまま基礎になるからな」

女魔法使い「おー……」

農家「一度手本見せとくか。ガキ、手え出せ」
 ポウッ

女勇者「ほい」

農家「ほれ」
 ポワワ…

女勇者「うわなんかくすぐったい!キモい!」

農家「キモいとか言うなボケナス」

101: 2012/04/27(金) 10:29:16 ID:7H2tmYUM
女勇者「うわぁ……なんか泥に手ぇ突っ込んだみたい」

農家「違和感があるってことは俺の渡した魔力が体に馴染んでねえってことだ。時間が経てば勝手に馴染む」

農家「が、そいつは魔力総量を回復したい場合の話でな。逆に馴染まないよう意識してやれば、受け取った分の魔力だけを使って魔法を使う、なんてこともできるわけだ」

女勇者「ほうほう。……あ、違和感なくなってきた」

農家「普通は大体60秒程度で馴染む。ま、意識して早くも遅くもできるけどな」

女勇者「使い方はこっち次第ってわけかー」ふむ

女魔法使い「次、ウチの」はい

女勇者「おっけー」ほい

農家「触れた箇所から魔力を移すだけだからそう難しくはねえだろ。ボケナスは吸収しちまわねえようにだけ気を付けてろ」

女勇者「うへ、やっぱなんかくすぐったい」

農家「そのうち慣れる」

農家「余談だが、熟練者になると離れた場所からでも魔力の譲渡が可能だ。ま、その前にマーキングやらなんやら覚えねえとだがな」

女勇者「マーキングって?」

農家「仲間を判別するためのサインみてえなもんだ。範囲型の魔法でいちいち障壁張って下がる必要がなくなるぞ」

女勇者「なんと!」

102: 2012/04/27(金) 12:48:14 ID:7H2tmYUM
農家「それはそれとしてだ。次はあの樹を狙ってみろ」

女勇者「……さっきより遥かに遠いのですが」

農家「3倍くらいだな」うん

女勇者「もはや米粒ですやん」

農家「いいから。騙されたと思って撃ってみろ。くれぐれも逸らすなよ」

女勇者「大丈夫かなぁ……『中級風撃』」

  カ ッ !

 ズドドドドドドドド!
 ズオオォォォォォォォォ!!

女勇者「」

 *圧縮された大気が大爆発を起こす!

 *まもののむれ を やっつけた!

農家「……巻き添えくったモンスターがいるっぽいな」

女勇者「いやいやいやいや威力上がりすぎだよ!?弾道上の地面が抉れに抉れてるよ!?」

農家「だから逸らすなっつったろ」

103: 2012/04/27(金) 15:26:57 ID:7H2tmYUM
女勇者「……ちなみに逸れるとどうなるの?」

農家「何かにぶつかるまで直進する」

女勇者「」んなアホな…

女魔法使い「……体験談?」

農家「そうじゃねえ。中級風撃の本来の性質がそういうモンなだけだ」

女勇者「げ」

女勇者「……ん?本来の?」

農家「……お前」ハァ…

女魔法使い「……勇者は……学がないから」

女勇者「な、なんだよう!」

農家「問い1。魔法を編み出したのは誰?」

女勇者「……誰?」


女勇者「あだだだだだだ!割れる割れる割れる!」頭蓋骨がっ!
 ギリギリギリギリ…

農家「基礎教養すらねえのかテメエはああああ!!」

105: 2012/04/27(金) 18:08:05 ID:7H2tmYUM
農家「性質もわかってねえモンをよく使えるもんだなオイ……」ハァ…

女勇者「ねえボクの顔歪んでない?大丈夫?」

女魔法使い「……いつもどおり」

女勇者「それはどういう意味で?」

女魔法使い「…………」フイッ

農家「ボケナスは勉強も追加だな」

女勇者「いつの間にかボクの呼び方がボケナスに……」

農家「馬鹿ガキとボケナスどっちがいいんだ?」

女勇者「せめて他の選択肢をっ!それじゃただの悪口だよ!?」

農家「ナスビ」

女勇者「ナスビ!?」

農家「なんか髪型がヘタに似てね?」

女魔法使い「……あー」

女勇者「あーじゃないよ!同意しないで!」

109: 2012/04/28(土) 00:17:03 ID:RHl0XWtY
農家「まあナスビをからかうのはこのくらいにしてだ」

女勇者「」確定かい

農家「飯にするか。おい小娘、ちったあ回復したか?」

女僧侶「あ。私の存在を忘れてたわけじゃないんですね」

農家「動いて止まってすぐ食ったら確実に吐くだろお前」

女僧侶「あはは……お気遣いありがとうございます、もう平気です」

女魔法使い「……何……食べるの?」

農家「食材はあるからなあ……おいナスビ、ぼさっとしてねえでこっちこい」

女勇者「ナスビ言うな!」

女僧侶「おじ様は「親方!」って感じですよね」

農家「なんだそりゃあ」

女魔法使い「……僧侶は……姫でいい……と思う」

女勇者「おーい、目の前にモノホンの姫様がいるんだぞこらー」

農家「嬢ちゃんはまさしく魔法使いってえ雰囲気だよなあ。帽子でけえけど」

女勇者「スルーっすか。ナスビはスルーっすか。「観客は全てナスだと思え」ってやかましいわ!」

110: 2012/04/28(土) 00:20:23 ID:RHl0XWtY

 *しばらくお待ち下さい。

112: 2012/04/28(土) 00:30:20 ID:RHl0XWtY
農家「うーし、飯も食ったし行くか」

女勇者「――はっ!今なんか時間が飛んだ気がする!」

女僧侶「何言ってるんですか、出発しますよ?」

女魔法使い「……レッツ……ごー」おーっ

農家「置いてくぞナスビ」

女勇者「待ってよぉ!」

 ・ ・ ・

女勇者「……結局普通に歩いたときの4分の1も進んでないんだけど」

女僧侶「私は普通より歩けてる気がします」

農家「小娘を基準にしたら世の中超人だらけになっちまうだろ」

女魔法使い「……ウチは?」

農家「普通に見ても天才の部類だな」

女勇者「ボクはー?」

農家「ボケナスビ」

女勇者「ボケナスビ!?」

115: 2012/04/28(土) 15:22:28 ID:RHl0XWtY

 ~ 街道 夜 ~

女勇者「脚がパンパンでござる……」

農家「みせてみろ」

女勇者「うん?」

農家「よっ、とっ」
 ぐっ、ぐっ、

女勇者「ひょわっち!?あ痛゙ッ!あふっ」

農家「農家マッサージだ。明日には回復するぞ」
 ぐっ、ぐっ、

女勇者「どんだけ万能の゙あ゙っ!はんっ!」ビクン

農家(……心頭滅却、心頭滅却)

女僧侶「あ、私もお願いしていいですか?」

農家「任せろ」

女魔法使い「……ウチも」

農家「お前は歩いてねえだろ……」

女魔法使い「…………」むぅ

116: 2012/04/28(土) 17:19:49 ID:RHl0XWtY
農家「それにしてもお前ら2人……」じー…

女僧侶「ん……は、ふ……んぁ……」

女勇者「なに?」足伸ばし

農家「……足太いな」

女勇者「うおおおい!?言うてはならんことをさらりとお!?」

農家「いやいや、ナスビのは健康的でいいと思うぜ?前衛は足を使うしな」

女勇者「くっ……ぐぬぬ、反論しづらい……!」

女僧侶「はふ……ふぁ、んっ……ふ……」

農家「小娘は筋肉足りてねえっぽいけどな……」

農家(つーか無駄に工口い……)

女僧侶「へゃ……?なんですか?」ポー…

女勇者「聞いてなかったんかーい」

女僧侶「あ、すみません……気持ちよくて……」ぽけー…

女魔法使い「……テクニシャン?」

農家「……まあな」

118: 2012/04/28(土) 18:43:27 ID:RHl0XWtY
女魔法使い「…………」じー…

農家「…………」

女魔法使い「………………」じー…

農家「…………」

女魔法使い「……………………」じぃー…

農家「…………なんだよ」

女魔法使い「ウチも」

農家「…………」

女魔法使い「…………………………」じいぃぃぃ~~…

農家「……わかった、わかったからそんな目で見るな」ハァ…

女魔法使い「ん」
 ヌギッ

農家「待てこら脱ぐんじゃねえ!」
 ガシッ

女魔法使い「?」

農家「首を傾げるな!」

120: 2012/04/30(月) 01:50:14 ID:ojVehT6c

 ……――――――

「偵察の兵が?」

「はっ。報告では、遠距離からの中級風撃魔法によるものと」

「彼らは我が軍の中でも機動力に特化した兵だぞ。それがそう易々……」

「しかし、攻撃に使用してきたと思しき中級風撃が、異様なほどの速度と威力だったとか」

「ムゥ……。何れにせよ、新米と侮るべきではないようだな。奴らの進路は?」

「陸路から旅の扉を通じて、こちらへ」

「ほう、我が軍の真正面ではないか。確かなのか?」

「海路を除けば、あの地には他のルートはありません。間違いないと思われます」

「む?この洞窟は……ほう、なるほど使えるな」

「如何致しますか?」

「第3分隊を呼べ。それと――」

「――了解しました、すぐに」

「うむ。さて、勇者どもはどう動くか……」

 ――――――……

121: 2012/04/30(月) 12:10:27 ID:ojVehT6c

 ~ 数日後 街道 ~

農家(……結局リアクションはなしか。厄介だな)

女勇者「自分の汗で臭い……村はまだなの?」

農家「素振り止まってんぞ。そろそろ見えてくるはずだ、日が暮れる前には着くだろ」

女勇者「もう3、4時間くらいかー。遠いなぁ……」

女魔法使い「できた」

農家「今日はもう10回目か。大分慣れてきたな」

女魔法使い「ぶい」ピース

女僧侶「は……ふ……は……ふ……」

農家「小娘もペースが上がってきたし、また1本増やすか」

女勇者「こっち素振りで手一杯なんですが」

農家「そうしねえとお前は姿勢が崩れすぎだからな」

女勇者「むしろ僧侶ちゃんが背筋真っ直ぐのまま歩けてるのが不思議だよ……」

農家「元々所作が綺麗だしな、育ちがいいんだな、うん」

女勇者「遠回しに侮辱された!」

122: 2012/04/30(月) 12:44:17 ID:ojVehT6c
農家「ようやく見えてきたな。……ん?」

女勇者「煙?お祭りでもしてるのかな」

農家「……おいお前らバンド外せ」

女僧侶「はぁ……、えっ?」

農家「外したら俺に掴まれ、村の様子がおかしい。急いだほうがよさそうだ」

 ――――――ズゥ……ン…

女魔法使い「……爆発?」

農家「手え離すなよ、飛ばすぞ」ぐっ…

 ドンッ!

女僧侶「ひ――!」

女勇者「ちょ、速――ッ!!」

女魔法使い「…………!」

 *農家は矢の如く駆けだした!

 ―――
 ――
 ―

125: 2012/05/01(火) 12:09:33 ID:k1MHZL4Y

 ~ 北の村 ~

農夫A「シャァオラァ!かかってこいやァ!!」

キラーエイプA「グルルルル…ガアア!」

農夫B「遅いわサルが!フンヌッ!」
 ゴズッ!

キラーエイプA「ギャウ!」

キラーエイプB「ゴアアアア!」

農夫C「させん!氏ねい!」
 ザンッ! ズパッ!

キラーエイプB「ガ…ガヒ…」

村人A「いいぞー!やっちまえー!」

村人B「ヘイヘイ!エテ公ビビってるゥ!」

キラーエイプC「ガルルルルル…!」

暴れ猿「ぐぬぬ……!ただの人間がなんでこうも強いんだ!?このままでは作戦が……!」

農夫B「オイあいつ喋ってんぞ!」

農夫C「あれが頭か!潰す!!」

127: 2012/05/01(火) 12:38:12 ID:k1MHZL4Y
農夫A「どうしたオラァ!俺はまだ立ってるぞオラァ!」

農夫B「遊んでねぇで武器持てプロレスバカ」

暴れ猿「屑共が図に乗りおって……!」

農夫C「隙だらけだ」

暴れ猿「ふんっ!」
 パキィン!

農夫C「ぬっ!?俺の鍬(クワ)を折った!?」

暴れ猿「……仕方がない。人質にする手筈だったが、貴様等は皆頃しにしてやろう」
 ゴゴゴゴゴゴゴ…

農夫B「なんつー闘気だ……」

農夫A「よっしゃァ!勝負だコラァ!」
 ガシッ

暴れ猿「ぬるいわ!」
 ブンッ!

農夫A「うお……」

 ……ガシャアアアン!

村人A「プロレスバカが容易く投げられただと!?」

128: 2012/05/01(火) 12:44:20 ID:k1MHZL4Y
村人B「野郎ただの猿じゃねえぞ!」

村人C「石だ石投げろ石!」

村人ABC「「「そいそいそーい!!」」」
 ヒョイヒョイヒョイ

暴れ猿「小賢しいわ!!」
 ブォンッ!

村人ABC「「「ぎゃーす!!」」」

農夫B「そおい!!」

 *農夫Bは大きな岩を投げつけた!

暴れ猿「ちょ」

 ゴ ズンッ!

農夫BC「「ヘーイ!」」ハイタッチ

暴れ猿「……くくく、貴様等、俺様を怒らせ」

村人ABC「「「投石ヒャッハー!」」」

暴れ猿「あ痛!痛い!地味に痛い!」

農夫A「――後ろがお留守だぜ」

129: 2012/05/01(火) 12:53:09 ID:k1MHZL4Y
暴れ猿「ッ!貴さm」

 ガシッ

農夫A「農家スープレックス!!」

暴れ猿「おぶっ!?」

 ズ ゴ ン !

暴れ猿「」

村人A「1!2!スr」

暴れ猿「ガアアアアア!!効かぬわァ!!」
 グオッ!!

 *暴れ猿の剛腕が突風を起こした!

村人ABC「「「ぎゃーす!!」」」

 *村人ABCは吹き飛ばされた!

農夫B「っ、この野ろ」

暴れ猿「『爆裂拳』ン!!」
 ドガガガガッ!

農夫ABC「「「ぬわー―――っ!!」」」

131: 2012/05/01(火) 15:19:09 ID:k1MHZL4Y
農夫B「やっべーマジつえー……右腕折れたかも」

農夫C「俺は足が……」

農夫A「ばな゙が……」

村人A「眉毛が」

村人C「スネ毛が」

村人B「もみあげが」

農夫B「お前ら余裕だなオイ!?」

暴れ猿「ふざけるのはここまでだ……来い、同胞達よ」

キラーエイプD「ウッキー!」
キラーエイプE「ウッキー!」
キラーエイプF「ウッキー!」
キラーエイプG「ウッキー!」

農夫C「……ヤバいな」

暴れ猿「構わん、喰え」

キラーエイプの群「ウッキャー!!」



「――農家パンチ!!」

132: 2012/05/01(火) 15:26:02 ID:k1MHZL4Y

 ―― ド ゴ ン !!

キラーエイプの群「――!」
 グシャア!!

 *まもののむれは粉々になった!

暴れ猿「なっ!?」

「おーおー、随分派手に壊したもんだなあオイ」

農家A「だ……」

農家ABC「旦那ぁー―――っ!!」
村人ABC「農家キター―――ッ!!」

農家「よう。間に合ったか」

女勇者「うげぇ……クラクラする……」

女僧侶「はらほろひれはれ……」ぐるぐる…

女魔法使い「……落ちるかと思った」ぐったり

暴れ猿「馬鹿な!同胞達が一撃だと!?」

暴れ猿「貴様一体……!」

農家「通りすがりの農家だ」ドヤァ

134: 2012/05/02(水) 21:21:32 ID:MUtupTTQ
暴れ猿「………………は?」

農家「…………」キリッ

暴れ猿「…………え、ギャグ?」

農家「あ?」

 シュンッ

暴れ猿「!消え――」
農家「農家ファントム!!」

 ズ ド ォ ォ ォ ン !!

暴れ猿「げぶらっぱ!?」

村人A「出たァー!農家の十八番!」
村人B「ファントムとか言ってるけど実はただの超速体当たりィ!」

村人ABC「かーらーのー……」

 ガシッ

暴れ猿(っ!腕を!)

農家「農家ブロー!!」
 ズ ン ッ !!

暴れ猿「――~~ッガ、ハ……!!」

135: 2012/05/02(水) 21:35:11 ID:MUtupTTQ
村人C「決まったァー!こいつを喰らって立ち上がれた奴はいない!必殺農家ブロォオオオ!!」
村人B「例によってただのボディブローだが破壊力がハンパねえー―――ッ!!」
村人A「しかも腕を掴んでるから衝撃がモロに伝わってるぜェ!こいつは氏んだか!?」

女勇者「……なんか、村人がすごいテンションでヒャッハーしてるんだけど」

女僧侶「はうぅう~、ひりゅまにゃにょにおひょししゃまがみえまひゅ……」

女勇者「あ、ダメだ。こっちはこっちでへばってる」

女魔法使い「……オジサン達、農家?」

農夫A「フッ、名乗るほどの者じゃあ、ございやせん」キリッ

農夫B「何カッコつけてんだボケ」スパーン

農夫C「足を捻ったかと思ったがただの打撲だなこれは」うむ

農家「オイコラ、敵さん放ってはしゃいでんじゃねえぞ三下ブラザーズ」

農夫ABC「「「ういっす」」」
村人ABC「「「サーセン」」」

暴れ猿「」ちーん†

女勇者「おぅ……見るも無惨……。氏んだの?」

農家「加減はした」

139: 2012/05/05(土) 03:57:51 ID:cwSKP5LY
女勇者「結局ボクらの出番なかったんねー」

農家「馬鹿言ってんなボケナスビ。消火に治療に片付けに、やることは山ほどあんだぞ」

女勇者「えー……それも勇者の仕事?」

農家「たりめえだ。それともテメエは困ってる連中見捨ててさっさと先に進もうってのか?あ?」

女勇者「それを言われると……うーん……」

女僧侶「あの、もしかして重りを外させたのは……」

農家「ああ、救護活動中は流石に邪魔だろ?」

女勇者「はなから戦力に数えてなかったの!?」

農家「嬢ちゃん以外はここの農夫の方が強えんだから当たり前だろ」

女勇者「」んなアホな

女魔法使い「ある意味……納得……」

農夫B「いやー、でもそのボス猿は流石にキツいわ」

暴れ猿「」氏ーん

農家「鍛錬が足りねえな。こんなもん本気出しゃデコピンで頭潰せらあ」

女僧侶「」デコピン…

140: 2012/05/05(土) 10:55:19 ID:cwSKP5LY

 ………

「馬鹿な……暴れ猿があんな容易く……」

「キングレオ将軍にお伝えしなくては!」

 ………

農家「……ん?おい三下ども、ちょっと石ころ寄越せ」

村人ABC「「「ヘイ!」」」サッ

農家「1つでいいんだが……。あれか」ぐぐっ…

農家「ほっ!」ブゥン

 *石ころは音速を超えた!

 ………

「おや?あの男がこっちを見」

 ぐしゃっ

 *会心の一撃!

 *ガルーダをやっつけた!

農家「これでよし」うん

141: 2012/05/05(土) 11:13:59 ID:cwSKP5LY

 ・ ・ ・

暴れ猿「ぐぬぬ……っ!なんだこの縄はっ、俺様の力で引きちぎれぬなど!」ギシギシ

女魔法使い「強化魔法は……お手のもの……」どやっ

農家「流石の力自慢も宙ぶらりんじゃ間抜けそのものだなあ」

村人A「竹槍でつつくぜぇ!」
村人B「尻だ!尻を狙え!」
村人C「俺は藁束で面で攻めるぜ!」

暴れ猿「ちょっ、止め、止めろ屑共!!」ぷらーん、ぷらーん、

農家「あんまり暴れると下の肥溜めに落ちるぞ」

暴れ猿「だったらこいつらを引き離してくれ!!あ痛!竹と藁が地味に刺さって痛い!」ぷらーん、ぷらーん、

農家「テメエの上にいるのは誰だ?なんでこの村を襲った?」

暴れ猿「無視か貴様ァー!!あっ!そこは止めろ!ア0ルだけは!ア0ルだけは!!」ぷらーん、ぷらーん、

村人B「質問に答えなければこのキンキンに冷えた鉄の棒が貴様のア0ルを貫く!!」くわっ!

暴れ猿「鬼か貴様!?」

農家「嬢ちゃんは見ちゃだめだ。あっち向いてなさい、教育に悪いから」

暴れ猿「ちょっ、押し付けるな!わかった!答える、答えるからア0ルだけはァー―――!!」ぷらーん、ぷらーん、

142: 2012/05/05(土) 11:19:42 ID:cwSKP5LY
暴れ猿「アッー―――――――――――――――――!!」

145: 2012/05/05(土) 14:17:32 ID:cwSKP5LY
村人B「ふぅ……尻の割れ目にピトッと合わせただけなのに大袈裟なモンキーだぜ」

農家「何やりきった顔してんだお前は」

暴れ猿「しょうぐんん……おれはおとこですよぉ……」えぐえぐ

農家「」オゥ…

村人A「泣ーかしたー泣ーかした!せーんせいにー言ってやろ!」

村人C「なんとシュールな」

女魔法使い「……トラウマ?」

農家「……なんだこの罪悪感は」


 *しばらくお待ち下さい


農家「つまりあれか、祠の洞窟に人質使っておびき寄せて、諸とも生き埋めにする手筈だったわけか」

暴れ猿「ふん、潔く罠にかかっていれば苦しまずに氏ねただろうに」

村人B「…………」スッ

暴れ猿「」ビクッ

農家「やめい」スパーン

148: 2012/05/07(月) 10:27:10 ID:18vVs8Rs

 ・ ・ ・

キングレオ将軍「第3分隊が潰されたのか」

副将ワータイガー「第2分隊のガルーダ副隊長からも報告がありません。あるいは……」

キングレオ「何もしないうちにこれか。さすがに想定外の事態だな……」

キングレオ「仕方ない、全分隊に招集をかけろ。ここで迎え撃つ」

ワータイガー「かしこまりました」

キングレオ「ああそれと、洞窟は壊しておくように。時間稼ぎくらいにはなるだろう」

ワータイガー「ではそのように。失礼致します」


キングレオ「……惜しい尻を失くしたな。しかし武闘派の暴れ猿を倒すほどの豪傑か」

キングレオ「ふふふ……楽しみだ」じゅるり…

 ・ ・ ・

農家「」ぞくり

農家「なんか寒気がするな、冷えたか?」

150: 2012/05/07(月) 23:43:34 ID:18vVs8Rs

 一方・・・。

女勇者「丸1日肉体労働……これ絶対勇者の仕事じゃないよね」えんやこらー

女僧侶「でもここまでの鍛錬のお陰か随分と楽ですよね」どっこいせー

女勇者「まあ成果を体感できるのはわかりやすくていいけどさぁ」

農夫A「喋る体力を動きに回せゴルァ!」

農夫C「王女であるとともに勇者の身分であらせられれば、その力を民のためにふるうのが肝要でござる」南無

農夫B「なんでいきなり武士調だよお前」

女勇者「なんか勇者が体のいい雑用に思えてきたんだけど」

農夫A「大正解!!」カッ

農夫B「やかましい」げしっ

農夫A「あふんっ」

女僧侶「先程まで戦ってらしたのに、皆さん体力ありますね……」

農夫ABC「「「農民ですので」」」キリッ

女勇者「声を揃えて……」

女僧侶「納得していいんでしょうか……」

153: 2012/05/08(火) 12:40:02 ID:IdxUrfJs
女勇者(というか、さらっと流されたけど雑用って明言されたよ……)

女勇者(なんかボク、勇者になってからいいとこない気がするなぁ)

女勇者「はぁ……」

農家「何溜め息吐いてんだボケナスビ」

女勇者「あ、おじさん」

農家「…………」

女勇者「……?どうかした?」

農家「いや。3日ばかりここに居座るから、それを伝えに来ただけだ」

女勇者「ん、りょーかい。僧侶ちゃんにも言っとく」

農家「ああ……」

農家「……お前、なんかあったなら言えよ?」
 なでなで

女勇者「ふぇ?」なでられー

農家「んじゃ、俺は向こうにいるから。また後でな」

女勇者「あ、うん」ぽけー…

154: 2012/05/08(火) 21:26:06 ID:IdxUrfJs

 *翌朝・・・

<コケコッコォー!

農家「む、夜明けか」

農夫C「おや旦那、相変わらず早いですね」

農家「習慣付いてるからな。日が昇る前には目が覚めらあ」

農夫C「流石旦那だ。卵要ります?」

農家「おう」

女魔法使い「……あ」

農家「お。おはよう嬢ちゃん」

女魔法使い「……おっはー」

農家「嬢ちゃんも早起きだな。ナスビと小娘は?」

女魔法使い「……まだ……寝てる」

農家「そうかい。ま、疲れてるだろうし寝かせとくか」

女魔法使い「ん」こくこく

159: 2012/05/09(水) 22:46:46 ID:kT3cpzDI

 ~ 広場 ~

村人A「腕を、前から上に上げてノビノビと背伸びの運動から!」

村人ABC
農夫ABC「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
農家・女魔

村人C「ゥいっち、にー!さァン、シッ!」

暴れ猿(……何故俺様まで)

女魔法使い「ご。ろく。しち。はち」キビキビ

農夫A「オラ猿真面目にやれゴルァ!!」おいっちにー

村人B「俺の如意棒は常に貴様を狙っているぜ!!」さーんしー

暴れ猿「くっ……このおかしな鉄環さえなければこんな奴らに……!」ごーろく

農家「対モンスター用の拘束魔具だからな。無理に外そうとすると……」しちはち

女魔法使い「……どうなるの?」

農夫B「尻が大変なことになります」

暴れ猿「」ビクッ

農夫C「哀れな……」

161: 2012/05/10(木) 20:35:12 ID:.oE6u/tw

 ・ ・ ・

暴れ猿「美味い……ッ!!」

農夫C「だろう?」フフン

村人A「ほっかほかの炊きたてご飯!」

村人C「そこに今朝穫れたばかりの新鮮な鶏卵をひとつ!」

村人B「醤油を垂らしてかき混ぜて……」

農夫A「この香り!嗚呼、このまろみ!!」

女魔法使い「……卵かけごはーん」

女勇者「ふぁあ~……なんかおいしそうな匂いがするぅ……」ノロノロ

女僧侶「ぉひゃよぅごじゃいまひゅ……」にゃむにゃむ

農夫B「娘っ子が匂いに釣られてきやがった」

農家「とりあえず顔洗ってから出てこい」

暴れ猿「人間はこんな美味いものを食っていたのか……!」愕然

村人B「ふふふ、どうよ!」ドヤァ

農夫C「うちの卵なのだが……」

162: 2012/05/11(金) 23:14:16 ID:cZqaB6ek

 ・ ・ ・

暴れ猿「ふっ!……ぐ、こ、腰がっ」

農夫B「変な振り方すっからだ」

暴れ猿「モンスターがクワなんぞ使うか!あ痛た……」トントン…

女勇者(文句言う割にちゃんとやってるし……変なの)

女勇者「こっちのガレキもバラしちゃっていいの?」

農家「おう。バラし終わったら猫車に乗せとけ」

女勇者「あーい」

女僧侶「…………」

暴れ猿「掘り返すのはこのくらいでいいのか?」

女勇者「おじさーん!これまだ使えそうだけどどうすんのー!」

女僧侶(うーん、なんというか……)

女魔法使い「……少し……似てる」

女僧侶「ですねぇ……」

女勇者「…………なんか今ひどい侮辱を受けた気がする……」

163: 2012/05/12(土) 23:42:53 ID:2EigEgZU
暴れ猿「ふぅ……」

 サアアァァァァ……

暴れ猿(……いい風だ、故郷の山を思い出す)

暴れ猿(……それにしても)

暴れ猿「人間というのは皆わざわざこんなことをしているのか?」

農夫B「あー?まあな。この辺りは森で採れる木の実も限られてるし」

暴れ猿「ならば、別の場所に移ろうとは思わなかったのか?」

農夫B「さあなぁ……御先祖連中の考えはわかんねえし……」

農夫B「けど、あるかわからない理想郷を探して、見つけたと思ったら先住者がいて……ってなるよりは、まあマシだったんじゃねえか?」

暴れ猿「ふむ……それが人間の考え方なのか」

農夫B「いやこれは俺の考え方だが」

農夫A「あーん?お前ら何の話してやがんでい」

農夫B「おう。いやな、こいつがちょっと人間の遣り口に疑問があるらしくってな」

農夫A「ほーん。やっぱ人間とモンスターじゃちげえのか?」

暴れ猿「あ、ああ」

164: 2012/05/13(日) 21:04:08 ID:ce/Xj9U.
<アーデモナイコーデモナイ
<ワーデルヨーデル
<オッパイ!オッパイ!
<カクカクシカジカ
<シカクイムーヴ

農家「……意外に馴染んでやがるな」ふむ

農家(この様子なら心配いらねえかもな)

女勇者「おじさーん!次どこ片付けるのー?」

農家「おう、ちょっと待ってろ!」

 ―――
 ――
 ―

 *その夜・・・。

暴れ猿(……いい月だ。空だけはどこにいても変わらないな)

農家「よう、起きてたか?」

暴れ猿「む……貴様か」

農家「外に繋いで悪いな。捕虜でもさすがにモンスターはなあ」

暴れ猿「いや……殺されないだけよほどいい」

165: 2012/05/13(日) 21:17:41 ID:ce/Xj9U.
農家「ほれ」ずいっ

暴れ猿「ん?酒か」

農家「月が綺麗だからな。月見酒ってやつだ」

暴れ猿「“風流”というものか?人間の考えはよくわからんな……」

農家「まあ細かいことはいいだろ。ほれ」

暴れ猿「ん」

「「乾杯」」コツッ

暴れ猿「……ふぅ。酒なぞ数年振りだ」

農家「あん?禁酒でもしてたのか?」

暴れ猿「俺様はモンスターだぞ?」

農家「ああ、そういうことか」

暴れ猿「同胞の為にキャラバンを襲うことはあったが……俺様自身はあまり、な」

農家「お前も人間とやり合うのに消極的なタイプだったのか」

暴れ猿「むしろ当然だろう。何故わざわざ危険を冒して無用なことをしなくてはならないんだ」

農家「それもそうか」

166: 2012/05/13(日) 21:49:10 ID:4rkbjzog
農家「月が綺麗だからな」









( ゚Д゚ )

167: 2012/05/14(月) 12:47:25 ID:9azp.Jt6
暴れ猿「……正直、現魔王に反感を抱いている者は少なくないんだ」

農家「魔王軍の内部でもか?」

暴れ猿「ああ。先代がけじめを付けた問題を、わざわざひっくり返してまわっているからな……」

暴れ猿「それに何より、信用がない。うちの将軍はただの戦闘狂だからこそついて行ってはいるが、ほとんどの軍属者は現魔王を頃したがっている」

農家「…………」

農家「お前、そんな話ペラペラ喋っていいのか?敵同士だってのに」

暴れ猿「魔王軍では敗者は氏者だ。氏者が何を語ろうと構うまい」

農家「……変わってんなあ、お前」

暴れ猿「そうか?……そうかもしれんな」

農家「しっかしあのクソ野郎……そんな状態でよく魔王を名乗ってられるな」

暴れ猿「それはあの強さ故にだな。聞いた話になるが、魔王軍全兵力を相手に戦っても5分とたたずに軍の側が全滅する、と言われているらしい」

農家「そいつは随分ふかしてんな。あのクソ野郎はそこまで強かねえよ」

暴れ猿「む?……貴様、現魔王を知っているのか?」

農家「昔馴染み……つうか、元は仲間だったからな」

暴れ猿「!?」

168: 2012/05/16(水) 23:30:51 ID:WSvzL0gA
農家「ま、昔の話だ」

暴れ猿「そ……そうか」

暴れ猿(訊かない方がいいのか……ッ!?)

農家(おー、狼狽えとる狼狽えとる)面白い

農家「さあて……ちょっくら出歩いてくるか」

暴れ猿「あ?ああ」

農家「残りの酒は飲んでいいぞ。おやすみ」ひらひら

暴れ猿「おぅ……」

 ・ ・ ・

 ~ 夜 北の村の外れ ~

女勇者「あ、来た来た」

農家「よう。剣は持ってきたか?」

女勇者「ばっち。で、これから何するの」

農家「魔王軍と接触するまで時間がねえからな」

農家「まだ早いが、俺の技を見せてやるよ」

171: 2012/05/18(金) 00:47:54 ID:4iw.M7uM

 ――――――……

「閣下。こちらにいらしたのですか」

「おや、捜させたかい?」

「いえ……何をご覧になってらしたのですか?」

「少し海の向こうをね」

「海の?」

「南洋大陸の国王殿から、新しい魔王が動き始めたらしいと言われてね。どうやらまた戦争が起きそうな気配だ」

「!魔王が……」

「それと――遠眼鏡を覗いてごらん?モンスター達が群れを成して集まっている」

「失礼します。――――……、ッ!!
 これは……なんという……」

「何十何百という種族が各々の群れを率いているんだ。その数は千か、万か……」

「……兵を集めますか?」

「斬り込み役はもう決まってるから、その意味はあまりないかもしれないね」

「?」

172: 2012/05/18(金) 01:06:01 ID:4iw.M7uM
「君は『鬼神』と呼ばれた男を知っているかな?」

「噂――というより、よた話の類としてなら聞いたことがあります」

「ふふふ、なるほど。確かに彼は冗談のような男だった」

「閣下は御存知なので?」

「ああ。先王の時代、前線で戦っていた頃にね。
 その時は2、3言葉を交わしただけだったけれど――彼の勇姿は今でも覚えている……」

「…………」

「ひと薙ぎで地を返し、ひと突きで山を穿ち、ひと太刀で海を裂き……そんなふざけたデタラメを、易々とやって見せる男」

「……それが」

「そう、それが鬼神、生ける伝説……」



「――――その男の名を『農家』という」



 ……――――――

173: 2012/05/18(金) 01:15:11 ID:4iw.M7uM
 目を逸らすな

 まばたきすら惜しめ

 何一つ見逃すな

 呼吸を
 筋肉の動きを
 魔力の流れを

 僅かな揺らぎさえ見落とすな

 俺を見ていろ

 そこに答えがある

 見ろ 見続けろ

 そして忘れるな

 俺の振るひと薙ぎを
 俺の放つひと突きを
 俺の下すひと太刀を

 焼き付けろ

 目に 記憶に 心に その体に あるいは魂に刻み込め

 俺から目を離すな
 ここに俺の全てがある。

174: 2012/05/18(金) 01:24:53 ID:4iw.M7uM
農家「………………」すぅ……

女勇者「………………」

女勇者(おじさんの見せた技は、とても綺麗だった)

女勇者(ボクはその姿に、知らず知らず見とれていた)

女勇者(綺麗で、しなやかで、それでいて力強くて……)

女勇者(今はまだ、その凄さの理由まではわからないけど……)

女勇者(……きっと、いつかわかる日がくる)

女勇者(そんな予感がしていた――)

 ―――
 ――
 ―



 *そして夜が明けた!

177: 2012/05/20(日) 06:55:23 ID:N4v1oxhY

暴れ猿「高さはこのくらいか?……もっと高くか、崩れないのか?」


女僧侶「はい、治りましたよ。次の方~。……え?なっ、せ、セクハラァー―――――ッ!!?」


農家「この肥料は配合比をもう少し変えて……そんくらいだな。あとは――」


女魔法使い「……結界はこれでいい……はず……他には……?」


女勇者「はいどいてどいてー!ィよいしょー!よーしもう一丁っ!」


農夫C「心なしか賑やかだな」

村人B「いいじゃねーの。活気はあるにこしたことはねーしよ」

農夫C「うむ」

農夫B「おいお前ら今暇か!?農夫Aンとこの牧場で牛が柵ぶっ壊しちまったんだ、手ェ貸してくれ!」

村人B「活気とは別にこういうのは勘弁だけどなぁ……」

農夫C「まぁ、慣れたがな……」

180: 2012/05/22(火) 21:46:50 ID:S4ACx46o

 ―
 ――
 ―――

 たったったったったっ……

?「ハァ……ひぃ……」ぜー、ぜー、

「居たぞ!回り込め!」

?「にゃァ!?くぅ……っ!」だっ!

「チィッ!すばしっこいぞ!」

「この先は人間の村だ、行かせるな!」

?「っ、捕まってなんていられないのにゃ……!」

?「おっちゃん……!」

 ―――
 ――
 ―

農家「…………、?」

農家「おい、誰か呼んだか?」

農夫B「いえ?」

181: 2012/05/22(火) 22:03:30 ID:S4ACx46o

<カーン、カーン、カーン!

農家「!」

農夫B「警鐘!?」

農家「あの鳴らし方はモンスターか……先に行く!ナs――じゃなかった、勇者達呼んでこい!」

農夫B「ウス!」ダッ



暴れ猿「農家、何事だ!?」

農家「モンスターだ!お前、何も知らないのか?」

暴れ猿「うちの将軍は無駄とわかったことはしないはずだ!」

農家「つーことは他の連中か!」

暴れ猿「俺様も行く、連れていけ!」

農家「! いいのか?」

暴れ猿「何が起きたのか確かめたい!」

農家「……わかった、遅れるなよ!」

182: 2012/05/22(火) 22:10:31 ID:S4ACx46o
?「はぐ……うなああああ!!」ダダダダダ…ッ

「クソガキめ、なんて逃げ足だっ」

「建物が見えてきた……仕方ない、最悪乗り込んででも命懸けで頃すぞ!」

「はっ!」

?「くあぁ……!おっちゃん……おっちゃあああん!!」

183: 2012/05/22(火) 22:13:33 ID:S4ACx46o


 「頭下げろ猫娘ェ!!」


.

184: 2012/05/22(火) 22:21:44 ID:S4ACx46o
?「! おっちゃん!」

「なっ!」

農家「超――」ググ…ッ



農家「農家パンチ!!」

  ズ ン ッ !!

 *農家は衝撃波を繰り出した!

「いかん、散れ!」
「うおお……っ!」

 ――――……

 ……――――ゴォォォォン……!!

暴れ猿「」ポカーン…

暴れ猿「山肌が……消し飛んだ、だと……」

農家「猫娘、無事か?」

?(猫娘)「おっちゃん……!」じわ…っ

猫娘「うにゃあん!おっちゃああん!」だきつきっ

188: 2012/05/24(木) 22:55:02 ID:qHtxOvDU
農家「よしよし……もう大丈夫だからな」ぽんぽん

猫娘「う゛う゛う゛~~~っ!……ずびーっ」

農家「鼻かむな」ぺちっ

猫娘「にゃうっ」

「オイオイオイオイィ、随分余裕じゃねえの?」

「舐められたものだ」

暴れ猿「……貴様等、オーク4兄弟!」

農家「オークだぁ?イノシシじゃなくてか?」

猪1「たかがイノシシと侮るなよ」

猪2「我等はキングレオ将軍直属の親衛隊」

猪3「大人しくそのガキを渡せば良し。さもなくば」

猪4「我等兄弟の華麗なる技を持って物言わぬ骸にしてやろう」

猪4兄弟 どやぁ×4

農家「…………」うわぁ…

暴れ猿「…………」うわぁ…

189: 2012/05/24(木) 23:11:50 ID:qHtxOvDU
農家「なあ、こいつら真面目にやってんのか?」

暴れ猿「話には聞いていたが……目の当たりにすると想像以上に痛々しい……」

猫娘「バカだにゃ」うん

猪1「なんだと!なんか文句あんのか!」

猪4「兄貴!やっちまおうぜ!」

猪2「よし、フォーメーションDだ!」

猪134「「「応ッ!」」」バッ

農家「せっかちな連中だな……」

暴れ猿「だが実力は確かだぞ、どうするんだ?」

農家「どうもこうも」


「――――『上級炎撃』」
 轟ッ!!

 *灼熱の炎が嵐となって襲いかかる!

猪4兄弟「「「「ちょっ!?」」」」

 ゴゴオオオオォォォォ……!!

190: 2012/05/24(木) 23:20:28 ID:qHtxOvDU
農家「……俺がやり合うまでもねえだろ」

暴れ猿「」

猫娘「」ガクガクブルブル

女魔法使い「ぴーす」ぶいっ

女僧侶「はぁ……2人とも……っ、はぁ……早すぎ……っ」ぜー、ぜー、

女勇者「うわぁ、めっちゃ燃えてんじゃん……やりすぎじゃない?」

女魔法使い「未純化だから、これでも手加減してる」

女勇者「……純化したらどうなってしまうというのか」

農家「嬢ちゃんの実力でやったら地図書き換える騒ぎになりそうだな」

暴れ猿「途方もないな……」

暴れ猿(氏んでも逆らうまい……)うん

猪1「あぢぢあぢぢあぢャア!!」

猪2「燃えるぅー!毛皮が燃えて禿げて豚になっちゃうぅー!!」

女魔法使い「……倒し損ねた」

女勇者「よっしゃ!今度こそボクの出番だよね!ね!?」

195: 2012/05/28(月) 20:11:43 ID:MCCF5abw

 *まもののむれがあらわれた!

農家「おい暴れ猿、テメエも行け」

暴れ猿「俺様もか!?」

農家「どうせ今更向こうに返り咲きなんざできやしねえだろ。だったら吹っ切るついでに行ってこい」

暴れ猿「む……はぁ、やれやれ。我ながら妙な運命に導かれたものだな……」

女勇者「足引っ張んないでよ?」

暴れ猿「舐めるな餓鬼。元魔王軍獣魔師団第3分隊長の実力を見せてやる」

女僧侶「おじ様にはあっさり負けてましたよね」

暴れ猿「」ぐさっ

女魔法使い「……情けまで……かけられた……」

暴れ猿「」ぐさぐさっ

農家「おいコラ戦闘前に精神的に追い込んでどうする」

猪4「兄貴……あいつらこっち無視してるぜ?」

猪3「ムカつくなぁオイ」

猪1234「「「「ブッ潰す!」」」」キリッ

196: 2012/05/28(月) 20:25:33 ID:MCCF5abw
猪4「『広域強化魔法・加速』ッ!」

 *オークたちの素早さが上がった!

猪1「我らの槍捌きを見よ!」ダッ

猪2「喰らうがいい、疾風突き!」タンッ

 ヒュンッ

女勇者「おっと」カキンッ

女勇者「せっかちだなぁ、もうちょっと――」

猪2「そいそいそいそいそいそい!!」
 シュシュシュシュシュッ

女勇者「て、わっ、この、人の、話をっ」
 カッカンッキンッギンッカキンッ

猪1「後ろもらっ「ふん」

 ドゴォッ!

猪1「ヤーダッバアァァアァァァァ!?」ズサアアアア!

暴れ猿「いつから1対4のつもりだ馬鹿者め」ふんっ

197: 2012/05/28(月) 20:35:11 ID:MCCF5abw
猫娘「おおー……」キラキラ

農家「お前は俺と一緒に下がってような」

猪3「『中級水撃』っ!」

 *無数の水の矢が勇者を襲う!

女勇者「げっ!?」

猪2「ふはははは!俺と弟の多段攻撃の連携技だ!防げるものなら――」

女魔法使い「……『低級水撃』」

 *水飛沫がつぶてとなって襲いかかる!

 *敵の魔法を相頃した!

猪2「――え」
猪3「……へ?」

女魔法使い「……出直してこーい」ひらひら

女勇者「隙ありぃ!」ブンッ

猪2「はっ!?」サッ

 ガキインッ!

198: 2012/05/28(月) 20:52:45 ID:MCCF5abw
猪1「糞が!人間に負けたくせにいきがってんじゃねえぞサルが!」

暴れ猿「気に入らないなら倒してみろ。弱肉強食こそが我々モンスターの唯一絶対のルールだ」

猪1「……上等だ」

猪4「『広域強化魔法・剛力』っ」

 *オークたちの攻撃力が上がった!

女僧侶「こっちもいきますよ。『複合強化魔法』ッ!」

 *勇者達の攻撃力が上がった!
 *勇者達の防御力が上がった!
 *勇者達の素早さが上がった!

猪4「」

猪1「てめっ、ずりぃぞ!?」

暴れ猿「不意打ちを決めようとした雄の台詞か……」やれやれ

農家「実質2対2が2組かなこりゃ」

猫娘「おっちゃん、おんぶしてほしいにゃ」くいくい

農家「あー?しょうがねえな、ほれ」

猫娘「にゃにゃ♪久しぶりにゃん♪」

199: 2012/05/28(月) 21:05:11 ID:MCCF5abw
女勇者「せりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁ!!」

猪2「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 *剣と槍が激しくぶつかり合う……。

猪3「『中級水撃・5連』ッ」

女魔法使い「『低級水撃・3連』」

 *互いの魔法を相頃した。

猪1「喰らえっ、魔神突き!」

暴れ猿「甘いわ!崩拳!」

 *暴れ猿の拳が槍を弾き飛ばした!

猪1「チィッ!」ザッ…

暴れ猿「……少し拳を切ったか」

女僧侶「『治癒魔法・小』」

 *暴れ猿の傷が治った。

暴れ猿「む、すまない」
女僧侶「いえいえ」癒やしますよー

200: 2012/05/28(月) 21:22:51 ID:MCCF5abw
農家(……ナスビは槍の速さについていってはいるが、魔法剣を使う隙がなくて決定力不足だな)

農家(嬢ちゃんは威力で圧倒してるが、速さで劣るから発動の速い低級魔法に頼らざるを得ない。結果拮抗してやがる)

農家(暴れ猿のほうは素手対槍だが……互いに一撃必殺を狙ってるみてえだな)

猫娘「にゃー、あのキョニューのねえちゃんヒマそうだにゃ」

農家「ああ、まあ小娘はヒマなほうがいいんだが……」

女僧侶「…………」ジリッ…

猪3「く……っ」ジリジリ…

農家「補助役同士で牽制しあってる状態だな」

猫娘「にゃあ……なんでなのにゃ?」

農家「例えば強化をかけたタイミングで相手に解除魔法をぶつけられたら致命的だからな」

農家「実力が拮抗してる状態なら、支援のミスが命取りになることもあるのさ」

猫娘「なるほどにゃー」ふむふむ

農家「だがまあ、そいつは実力差がない時の話だ」

猫娘「にゃ?」

農家「この戦い……」

201: 2012/05/28(月) 21:53:46 ID:MCCF5abw
猪4「『中級水――」

女魔法使い「……『初級岩撃』」

 *石つぶてがモンスターを襲った。

猪4「げぎッ!?」
 ゴスッ!

女魔法使い「からのー……『遅延解除』」ポウッ

女魔法使い「『収束・上級岩撃』」

 ボゴン!ボゴン!ボゴン!

猪4「つ……、!? 岩に囲まれ――」

 *石柱が敵を押し潰す!

猪4「あ」



 ぐしゃっ



猪2「!? 弟!?」

女勇者「……何よそ見してんのさ」

202: 2012/05/28(月) 22:06:11 ID:MCCF5abw
猪2「っ、この」

女勇者「『魔法剣・雷』」バリッ…

猪2(防御を……!)

女勇者「らあっ!!」
 ビュッ――

 ――――ズパッ!!

猪2「…………え」ズルッ…

 *モンスターは真っ二つになった!

 ……どしゃっ

女勇者「ふぅ……。魔法使いちゃんナイース!おかげで隙をつけたよっ!」

女魔法使い「……いぇーい」うぇーい

農家「……ま、嬢ちゃんがいればこうなるわな」

猫娘「にゃぁ……ちょっとエグいにゃ……」オェッ

猫娘「でもなんで強い魔法が使えたのにゃ?」

農家「遅延(ディレイ)っつってな、事前に1発限りで魔法を貯めておく技術だ」

女魔法使い「……備え、あれば……憂い、なし」ぴーす

203: 2012/05/28(月) 22:23:05 ID:MCCF5abw
農家「そんでもって雷の魔法剣は“斬”撃の威力を極限まで上げるんだ。修行のお陰で使えるようになったみてえだな」

女勇者「にゃははー、持続時間が一瞬だから隙がないと使えないけどね……」あはは

農家「上等だろ。2人とも頑張ったな」

 ナデナデ

女勇者「うやっ!?」びくっ
女魔法使い「ん……」照れり

農家「で、暴れ猿と小娘のほうは……」

暴れ猿「終わったぞ」

猪3「」ズリズリ…

農家「おう。もう1匹はどうした?」

暴れ猿「ん」ちょいちょい

猪1「」

 *モンスターの頭は粉々に砕けている……。

猫娘「」うわぁ…

女勇者「うわぁ……」

204: 2012/05/28(月) 22:39:28 ID:MCCF5abw
暴れ猿「その娘がタイミングよく強化を拳に集中させてくれたのでな。上手く槍ごと粉砕できた」

女僧侶「うまくいって良かったです……」はふぅ

農家「お疲れさん」ナデナデ

女僧侶「あ……えへへ」なでられー

猫娘「にー……」つねっ

農家「……ぅあにしゅんら。ふぉおをふうぇうあ」

暴れ猿「何を言っているかわからんぞ」

女勇者「やー、でも勝ててよかったぁ。おじさんのお陰だね!」

女魔法使い「ん」こくこく

農家「任せろ。育てるのが農家の仕事だ」

女僧侶「私はあまりお役に立てた気がしませんけど……」

暴れ猿「そう卑下するな。貴様がいなければ俺様が倒れていたかもしれんのだ」

女僧侶「あはは……はい」

女僧侶(内心すっごい複雑な気分ですけどもっ!)

女僧侶(モンスターと共闘なんて……想像もしませんでしたし……)

農家「魔王とかフザけんな」【その2】

引用: 農家「魔王とかフザけんな」