419: 2010/05/17(月) 16:25:36.75 ID:2y5rYSgo
九月上旬 とある地下街のゲームセンター前

上条「不幸だ……、一体なんでこんなことに」

美琴「不幸ってねぇ、私の全戦全勝じゃない。運じゃないわよ、これが実力の差よ、実力」

上条「別にゲームの勝ち負けのことじゃねえよ。そもそも俺は宿題の手伝いを頼もうとしただけだってのに……、
    いきなりゲーセン連れてこられて勝ったら宿題の手伝い、負けたら罰ゲームなんて理不尽な勝負しかけられて……」

美琴「それはお気の毒様。でもアンタ、実際勝負を受けて負けちゃったんだからね、ちゃんと罰ゲームは受けなさ――」

上条「はいはい、あんまり無茶な事させんのはやめてくれよ? って、どこ見てんだ御坂?」

美琴「あー、あのさ!罰ゲームってお金かかっちゃっても、いい?」

上条「別に上条さんちの家計を圧迫するようなもんじゃなけりゃ構わないけど……一体なに買わせる気なんだ?」

美琴「あそこよ、あそこ」チョイチョイッ

上条「ん、露店……か? アクセサリーの売ってる」

美琴「そ、あそこで何か、お、女の子らしいのを……あ! 買うのダメなら選ぶだけでもいいから!」

上条「いや、金はいいんだけど……ああいう店のって大抵安物だろ。常盤台のお嬢様的にはブランド物とかじゃなくてもいいのか?」

美琴「ブランドだとかどうでもいいわよ、そんなの。新学期入ってちょっと雰囲気変えたいってだけだから、そんな大層な物じゃなくていいの」

上条「そういうものですか。ま、それならそれで上条さんの懐的には大助かりなんでいいんですけど」

美琴「決まりね。そうと決まれば、さっさと選びに行くわよ」

――――――――――
『魔女狩りの王(イノケンティウス)』
420: 2010/05/17(月) 16:26:12.22 ID:2y5rYSgo
美琴「(……さっきは罰ゲームって言ってたから気にしなかったけど、これってアイツからのプレゼントって考えてもいいのかな、
    あ、でも罰ゲームで買わそうとしてんだから、私がたかってるようなものなのか、ハァ……)」

上条「御坂? おーい、御坂? どうしたんだ、急に落ち込んでブツブツ言い出して」

美琴「へ?あ、べ、別になんでも……で、なに?」

上条「なにっていうか、俺は一体どういう物を選べばいいわけ?」

美琴「ん、そ、そうね。 うちの学校ってそもそも不必要なアクセサリー身につけるのって禁止なのよね」

上条「そうなのか? じゃあ、たいしたもん選べないんじゃ――」

美琴「でも校則でダメそうな物でも、休日につければいいだけだから。とりあえずなんでもいいから女の子らしくて可愛いの選んでみてよ」

421: 2010/05/17(月) 16:26:54.38 ID:2y5rYSgo
上条「結構色々置いてんなぁ。お、これなんてどうだ、御坂?」

美琴「え、どれどれ!?……あのねぇ、女の子らしくて可愛いのって頼んで、何で出てくるのが髑髏のマスクなのよ」

上条「ダメか?」

美琴「当たり前でしょうがっ! 大体それつけて、私にどうしろっていうのよ!」

上条「いやー、警告色だっけ。毒持った動物が派手な色してるみたいに、コレつけてれば街の不良もお前に手を出さないで済むかなーなんて――」

――――――バチバチィッ!

上条「おわっ!? じょ、冗談に決まってんだろ、落ち着け御坂!」

美琴「アンタの目が冗談じゃなかったのよ! アンタ、私をなんだと思ってるわけ!?」バチィ

上条「分かった! 俺が悪かったから! ほら、商品に当たると危ないし、落ち着いた顔で黙ってるけど店の人も微妙に驚いてるから!」

美琴「……ったく、仕方ないわね。もっとちゃんと真面目に選んでよね」

上条「イヤ、ホントスイマセン。上条さんこういうの選んだことないから、緊張に負けてつい、な」

422: 2010/05/17(月) 16:27:33.97 ID:2y5rYSgo
美琴「ハァ、やっぱアンタに頼んだのが間違いだったのかしら……お? おぉっ、どうよコレ!」

上条「ん?……うっ! (あからさまに子供向けのようなハート形の髪留めときたか……)」

美琴「なによ、その悲鳴みたいな声は。もしかしてコレ、似合ってない?」

上条「あー、あはははは。俺はお前がいいと思うならいいと思いますよ?」

美琴「なんかその言い方引っ掛かるんだけど……ま、いいわ。これにする、ハイッ」

上条「おう。っといくらだ、コレ……あ、あれ?この髪留めってここの商品だよな?」

美琴「? そりゃここに置いてたんだからそうでしょ、何言ってんの?」

上条「そ、そうだよな。そりゃそうだよな。あはは」

上条(え? あれ? この髪留め、たかが露店の商品なのに)

上条(なんで、¥の後ろが5桁なの? しかもこんなデザインなのに)ネー

上条(いや、今はデザインとかどうでもいいな。こんな物買ったら今月のご飯が一日一食じゃ済まなくなっちまう)ナニボーットシテンノヨー

上条(でも今更買えないって言ったら、それこそ御坂になんかされそうだしな……)ネーッテバ

上条(だったら、まずはこのふざけた価格をぶっ壊す! じゃなくて……そうだ!)オーイ!!

423: 2010/05/17(月) 16:28:11.84 ID:2y5rYSgo
美琴「聞こえてないの? つーか無視すんな! おーい!!」

上条「なぁ、御坂!」

美琴「ひゃうっ!? い、いきなり反応しないでよ! びっくりするじゃない!」

上条「わ、悪い。でさ、髪留めなんだけど、さっきのハート形じゃなくてこっちの花形のとかじゃダメか?」

美琴「は? なによ、急に」

上条「えーと、ほらあれだ!頭に花つけた、機械に強い女の子って人気出そうな気がするじゃん!? たとえ自販機蹴ったりとか物理的にでも!」

美琴「だ、誰の話よ! というか私普通に使う分だって機械には――」

上条「いや、というかさ、ハート形のアクセサリーとかって、恋人ができてからそういう人同士が送りあうもんなんじゃねーのかななーんて!」

美琴「なによそれ! たかが髪留めで、こ、ここ恋人じゃないと、ダメなんてそんなわけ――」

上条「だー! それに! こっちの花形の方が女の子らしくて、お前に似合ってると思うぞ!」

美琴「は? ににに、似合う!? 私に!? ……ア、アンタがそこまで勧めるなら……別にそれでも、いいけど……」

上条「お、決まりだな。さすが、美琴さん! こっち選んでくれて上条さんも大助かりですよ!」

美琴「へ? 助かるってアンタ、も、もしかしてそんなに花形の方を私につけてほしかったり……したわけ?」

上条「あ、すいませーん。この花の形の方買うことにしますわー、お願いしますー。」アリアトアッシター

美琴(うっ、思いっきりスルー!? ……こんのバカ!!)

424: 2010/05/17(月) 16:28:44.38 ID:2y5rYSgo
上条「ホレ、買ったぞ」

美琴「あ……、うん。ありがと」

上条「じゃあ、時間も時間だしそろそろ帰りますか」

美琴「ちょ、ちょっと待って!」

上条「なんだよ。もしかしてまだ上条さん、何か買わされたりするのでせうか?」

美琴「そうじゃなくて。買ってもらったの、今付けてみていい?」

上条「そりゃいいに決まってんだろ、せっかくお前のために買ったんだしさ」

美琴(まぁた、「お前のために」だとかそんな台詞を……自覚が無いってのぐらいどうにかなんないのかしら)

――――カチャ――――――パチン――

美琴「ど、どう? 変だったり、しない?」

上条「いや、前より可愛らしくていいんじゃねえか?」

美琴「ア、アリガト……」(可愛いって、可愛いって、可愛いって! あー、もう反応しすぎ! 落ち着け私!)

上条「お嬢様にもお気に召していただけたようだし、今度こそ帰るとしますか」

美琴「……うん」

425: 2010/05/17(月) 16:29:30.56 ID:2y5rYSgo
美琴「ねぇ、そういえばアンタの宿題っていつ手伝えばいいのよ」

上条「はぁ? 俺が勝負に負けたんだから手伝わないんだろ?」

美琴「あれとは別よ。この髪留めのお礼にちょっとくらいなら、なんてね」

上条「それだって罰ゲームだろ。別にいいよ、一人でなんとか――」

美琴「いいから、美琴さんの機嫌がいい時に頼んどきなさい。どうせ一人でって言ったって終わらないんでしょ。」

上条「うぐっ、じゃあお前がよければ七日とかで」

美琴「オッケー、七日ね。じゃあ私、門限危ないから先帰るわね」

上条「おう、気つけて帰れよ」

美琴「私より、不幸大好きなアンタの方が気をつけなさいよね。じゃ、またね!」




浮かれた御坂美琴が、同じ店の品で、同じ顔の妹に頭真っ白にされるのはまだ先のお話


おしまい

426: 2010/05/17(月) 16:31:23.91 ID:2y5rYSgo
以上です。学芸都市とかシェリーに壊された地下街とか完全無視ですが。
妄想先行で書いてたんで今思うと展開が酷いかも…
内容でもレスの仕方に関することでも変なとこあればご指摘頂けると嬉しいです

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ≪3冊目≫」【超電磁砲】