922: 2010/05/24(月) 21:30:05.01 ID:KmNjB760
夜、小萌先生のアパート



小萌「さーあ、今日の晩ご飯は真・三国無双焼肉セットですよー
先生がお肉を焼くから姫神ちゃんはじゃんじゃん食べてくださいねー」

姫神「……」

小萌「姫神ちゃん?どうしたんですか?いつも以上にテンション低いですよ?」

姫神「余計なお世話。私はいつも通り。……はあ」

小萌「もしや……出番が少ないとか、存在感がないとか、そういうことを気にしてたりとか?」

姫神「……!」

小萌「やっぱりそうでしたか!いやー、先生も心配してたんですよー
   姫神ちゃんみたいな良い子がほっとかれてるなんて世の男は見る目がないですよー」

姫神「何かむかつく。さっさと肉焼け」

小萌「あ!姫神ちゃん世間へのアピールが足りないんじゃないんですか!?
   こう、もっと、自分を前面に押し出して……」

姫神「それが出来ればもうしてる。肉焼け」

小萌「うーん、ファンと触れ合う機会を作るには……サイン会なんかどうですかー」

姫神「……サイン会?」

小萌「そうです!ファンと直接会話、交流をすることで親近感を出す作戦です!
   先生は最近忙しいんで暇そうな人をアシスタントで呼べば……」

姫神「……」

姫神秋沙はイメージした。少ないながらも自分目当てで来てくれたファン。
それに笑顔で応える自分。「こんなイベントを待ってたんですよ!」「禁書二巻は聖典です!」「あなたのことずっと好きでした!」

姫神(サイン会を開く……その手があったか)


かくして姫神秋沙サイン会の開催が決定した。
『魔女狩りの王(イノケンティウス)』

923: 2010/05/24(月) 21:30:43.87 ID:KmNjB760
――翌日、昼


人気のない公園。その公園に小学校で使われているような机が場違いに二つ並んでいる。
片方の机には巫女装飾の黒髪ロングの少女が、
もう片方の机にはスーツに身を包んだ緑髪オールバックの紳士風の男が座っている。
少女の机には「姫神秋沙サイン会」なんて書かれた画用紙がはってあり、
紳士風の男の机にはサインペンと山積みの色紙が置いてある。

準備は万端。あとは客がいれば……


アウレオルス「湛然。物事が静かな様子。そうまさに今この状態だ」

姫神(暇な男ってこいつかよ……客はいねえし)イライラ

アウレオルス「憮然。サイン会と聞いて急いで買い出しに行ったが、その必要はなかったようだな」

姫神「お前。何か芸やれ。客呼べ」

アウレオルス「漠然。何かと言われても困る。しかし協力する以上全力を尽くそう」


おもむろに懐から針を取り出すアウレオルス。


アウレオルス「お……お……」プスップスッ

アウレオルス「あん……ああああん……」プスップスッ

アウレオルス「あああ……ひいいいいいいいや……」プスップスッ


アウレオルス「テンション上がってきたあああああああああああああああ!!」

姫神「もういい。黙って」

924: 2010/05/24(月) 21:31:15.28 ID:KmNjB760
姫神(それにしても客がいない……やっぱり私の人気なんてこの程度……)

佐天「初春ーあれ見て。巫女さんだよ。巫女さん」

初春「サイン会……?売り出し中の売れないアイドルですかね?」

姫神(!人が来た!どうしよう……いざ来ると緊張する)ドキドキ

アウレオルス(なるほど……緊張してると見た。ここは私が人肌脱ぐか)


アウレオルス「突然。私が客引きをしよう。ガタっ!バキっ!」←いきなり立ちあがってイスを蹴り飛ばす

姫神「ビクッ」

アウレオルス「猛然。君たち姫神秋沙のサイン会には興味ないかな?」

佐天(ひ……何この人)

初春「えーと、姫神……?有名な人なんですかね?」

アウレオルス「呆然。君たちこの子を知らないのか?とあるラノベやアニメにも出演してる。
       結構有名な作品なのだが……」

初春「知りません」

佐天「私も」

姫神「……」

925: 2010/05/24(月) 21:31:54.67 ID:KmNjB760
姫神(いけない……涙出そう)どよーん

初春(佐天さん、何かかわいそうですね……)

佐天(うん……あ、そうだ!)

佐天「すいませーん、サインもらえますか?」

姫神「……え。でもさっき私のこと知らないって……」

佐天「いやー、こういうのってプレミア付くかもしれないじゃないですか。
   お姉さん綺麗だしきっと売れますよ!」

姫神「……」

佐天「どうせならこの鉄バットに、お願いします!」

姫神「う、うん」

アウレオルス「燦然(さんぜん)。少女の顔が再び輝きを取り戻した」

姫神「書くの。初めて。緊張する」

初春「うわー、じゃあ佐天さんサイン第一号じゃないですかあ!」

佐天「へへ、ラッキー!」


佐天さんの差し出したバットを受け取る姫神秋沙。
サインペンを手に持ち、バットの位置を片手で固定する。
まず正方形を形作るように真っ直ぐ線を引く。バットは曲面になってるためなかなか大変だ。
続いてその正方形の中を塗りつぶすように黒く染めていく。
一つ完成。だがまだ終わりではない。
さらにもう一個、大きさが揃う様に気を付けて同じ作業を続ける。

姫神「ふう」

姫神秋沙が作業を終えると、そこには立派な■■入りバットが完成していた。

佐天「……」

初春「……」

姫神「……」

アウレオルス「黙然。この場に声を発する者は誰もいなかった」

926: 2010/05/24(月) 21:32:33.32 ID:KmNjB760
佐天「これは流石に……」

初春「……サインなんですか、これ」

姫神「……うるさい」

初春「はい?」

姫神「そう。これは復讐。存在感がないことを逆に売りにして見返す作戦」

初春(何言っちゃってるの、この人)

アウレオルス「天然。姫神秋沙はいたって真面目に言っている」

佐天「いや、やっぱもうちょっとデザインにこだわった方がいいですよ。
   正直あんま嬉しくない……」

姫神「うるさい。空気空気と言われ名前枠が真っ黒。真っ黒に塗りつぶされる気持ち。あなたたちにはわからない」

佐天「いやそんなこと言われても……」

姫神「じゃ。いっぺんやってみる?■■」

佐天「へ?」

アウレオルス「全然。脈絡がない」

姫神「やっぱ。嫌ですか。そうですか」

佐天「そ、そんなことないですよ!ね!初春!」

初春「は、はい佐天さん!望むところです!」


――――使用前

927: 2010/05/24(月) 21:33:11.21 ID:KmNjB760
使用後――――



■■「どう?」

■■「どうって言われましても……」

■■「うわー、何も見えませんよ」

■■「私の気持ち。わかった?んと。確か佐天さん」

■■「いえ、私は初春です」

■■「ごめん。間違えた」

■■「でも何かワクワクしてきました!修学旅行の枕トークみたいな感じで!」

■■「初春さん」

■■「佐天です」

■■「ごめん」

■■「……。誰が何言ってるか。わかりにくい。主な原因は作者の力量の低さ」

■■「まるで暗黒のブラックホールに飲み込まれたよう!これが空気キャラの末路ですか。こうはなりたくないですねー
   あ、私は佐天さんです」

■■「人の名を語るな、人の名を」

■■■■■■「紛然。これでは本当に誰が誰だかわからぬ」

■■「あなたはわかりやすいですね。いろんな意味で」

928: 2010/05/24(月) 21:34:06.32 ID:KmNjB760
そのまま何事もなく夕方

かーかー……


姫神「結局。来たのは二人だけ」

佐天「そんな落ち込まなくても大丈夫ですって!少なくとも私達二人という新規が獲得できたじゃないですか!」

初春「そうですよ。姫神さんと一緒にいる時間、なんだかんだで楽しかったですよ。
   このまま地道に頑張れば……いつかきっと」

アウレオルス「毅然。その諦めない姿勢こそがもっとも大切であろう」

姫神「あなたたち……」ジーン

佐天「じゃあ私達はこれで!いこ、初春!」

初春「はい!これからアニメの収録もありますしね!」

姫神(……ん?)

初春・佐天「姫神さんさよーならー」



姫神「……。アニメ?」

アウレオルス「忽然。思い出した。あの二人は超電磁砲のメインキャラだった」

姫神「は?」

アウレオルス「偶然。しかし女子中学生とは良い物だ。心が洗われる」

姫神「あの二人。もしかして。私より存在感。あったり?」

アウレオルス「当然。私が言うのもなんだが君より存在感のない奴を探す方が難しい」

姫神「畜生」






姫神「怒畜生!!!!!!!!!!!!!!!」

SSは終わりだが姫神秋沙の戦いはまだまだ続く。続くったら!続く!

929: 2010/05/24(月) 21:36:29.15 ID:KmNjB760
おしまい。シリアスネタ書きためてる息抜きでやった

次スレはテンプレの改変とかもないよね

932: 2010/05/24(月) 22:23:53.24 ID:U9HleTIo
姫神の小萌先生に対する態度が酷いww
乙です

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ≪3冊目≫」【超電磁砲】